JP2004276111A - 熱延鋼板の製造設備および製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】仕上圧延機の後方に少なくとも一つのピンチロール、冷却装置および巻き取り機が配置された熱延鋼板の製造設備において、前記巻き取り機のモータ電流または/およびマンドレル周速度の制御を行うモータ制御装置と、前記巻き取り機での鋼板スリップの有無を判定するスリップ判定装置と、前記少なくとも一つのピンチロールの昇降を制御するロール昇降制御装置と、前記ピンチロールの駆動を制御するロール駆動制御装置とを有することを特徴とする熱延鋼板の製造設備。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】本発明は、熱延鋼板の製造設備および製造方法に関し、なかでも熱延鋼板を安定に搬送する熱延鋼板の製造設備および製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、熱延鋼板は、加熱炉においてスラブを所定温度に加熱し、加熱されたスラブを粗圧延機で所定厚みに圧延して粗バーとし、さらにこの粗バーを複数基のスタンドからなる連続熱間仕上げ圧延機において所定の厚みの鋼板とする。そして、この鋼板をランナウトテーブル上の冷却スタンドにおいて冷却した後、巻き取り機で巻き取ることにより製造される。
【0003】
仕上げ圧延された高温の鋼板を連続的に冷却するランナウトの冷却装置では、第1に鋼板を安定して搬送すること(安定通板性)が要求され、これまで種々の装置および方法が提案されている。
【0004】
特開平11−285732号公報(特許文献1)では、熱延鋼板のランナウトテーブルロール上での、フライング、波打ちの影響を抑える方法が開示されている。 この方法は、ランナウトテーブル上に走行するワイヤ等の紐状ガイド体からなるガイド機構を設置し、ストリップを搬送テーブルと紐状ガイドで挟み込み、送り出し・巻き戻すようにして、仕上げ圧延機出側から巻き取り機入り側まで安定して、搬送できるようにしたものである。
【0005】
また、特開2001−340911号公報(特許文献2)では、熱延鋼帯に疵を発生させること無く、先端跳ね上がりに起因する鋼帯の折れ曲がりを防止する装置が開示されている。 この装置は、熱間仕上圧延機のランナウトテ−ブル上で発生する鋼帯先端の跳ね上がりに起因する折れ曲がりを防止するため、ランナウトテ−ブルよりも上流側に設けられた鋼帯先端を検出する鋼帯先端検出センサと、該鋼帯先端検出センサからの検出信号に基づき折れ曲がりを防止する噴射水を供給する配管に設けられた開閉弁の開閉のタイミングを制御する開閉弁制御器と、前記噴射水を鋼帯の跳ね上がった先端に進行方向に向かって水平に噴射する噴射装置を設けた装置である。
【0006】
しかしながら近年は、結晶粒径が細かい熱延鋼板が、加工性に優れることと、低Cep でも強度が高いこと等の理由から市場で求められている。 結晶粒径を細かくするため、熱延鋼板の製造設備には、急速な冷却(強冷却)を行う冷却設備が必要となり、次に示すような技術が開示されている。
【0007】
特開2001−246413号公報(特許文献3)では、複数の回転するロールテーブル上を鋼帯が搬送されるランナウト上で、ロールテーブル間に鋼帯と直近の位置に冷却水を噴射する下面冷却手段をなすノズル群を設置し、この下面冷却ノズル群と相対する位置にライン上から昇降可能な上面冷却手段をなすノズル群および、この上面冷却ノズル群と一体となって昇降可能で、かつテーブルロールと周速度が同一となるよう同期して回転する拘束ロールをそれぞれ1つを1組とした上部冷却ブロックを複数配置し、鋼帯先端が冷却装置を通過するのと同時に、順次上流側の上部冷却ブロックから下降させ、同時に上下面冷却ノズル群から冷却水を噴射して鋼帯の先端通過と同時に順次鋼帯上下面に対する冷却を開始するという技術が開示されている。
【0008】
また、特開2001−246414号公報(特許文献4)では、複数の回転するロールテーブル上を鋼帯が搬送されるランナウトにピンチロールを配置し、このピンチロールの前、あるいは前後に冷却手段を配置し、圧延機を出た鋼帯がこのピンチロールを通過した際に、速やかに張力を張って冷却を開始するという技術が開示されている。
【0009】
【特許文献1】
特開平11−285732号公報
【0010】
【特許文献2】
特開2001−340911号公報
【0011】
【特許文献3】
特開2001−246413号公報
【0012】
【特許文献4】
特開2001−246414号公報
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献3で示す技術は、急速な冷却(強冷却)を実現するために冷却ノズルと熱延鋼板の間隙を狭くする点に特徴がある。例えば、従来のラミナー冷却ノズルの場合では、1000mm程度の間隙であったものを、5mm程度まで冷却ノズルと熱延鋼板の間隙を狭くして、冷却液を熱延鋼板に当てることにより、強冷却を実現している。さらに、特許文献4で示す技術は、特許文献3で示された技術をベースに、ランナウト上にピンチロールを付設することを特徴とするものである。
【0014】
そして安定通板技術という観点からは、特許文献1および特許文献2で示された技術は、冷却ノズルと熱延鋼板の間隙が広い、強冷却を目的としないラミナーフローによる冷却装置をそれらの適用対象としており、特許文献1では、ランナウトテーブル上に走行するワイヤ等の紐状ガイド体からなるガイド機構を設置するという複雑な機構を有することが特徴であり、特許文献2では、折れ曲がりを防止する噴射水を鋼板先端に噴射することが特徴である。しかしながら、特許文献3、特許文献4および本発明が適用対象としている強冷却を目的とする冷却装置では、冷却ノズルと熱延鋼板の間隙が狭いため特許文献1および特許文献2の安定通板技術を適用することが難しいという問題がある。さらに、鋼板の先端または後端が搬送される通板時期、すなわち張力がかからない非定常通板時期のみを、安定通板の対象としている点にも問題がある。
【0015】
鋼板の先端が巻き取り機(コイラー)に到着した後でも、ランナウト上で熱延鋼板がループ状になるトラブルが発生する。これは、板の先端がマンドレル(コイラーの巻き取り心棒)に巻付いた後に、マンドレルの周速度が鋼板の速度を上回る現象、すなわち鋼板のスリップがその一因である。コイラーでうまく巻き取られずランナウト上にループ状になった熱延鋼板は、さらに折り重なりあってアコーディオン状へとどんどん蓄積していき、最終的には鋼板詰まりとなる。これらのトラブルは、ほとんどの場合仕上げ圧延機の出側直近に設置された冷却装置入側で生じ、最悪の場合にはX線板厚計などのセンサー、仕上げ圧延機の出側にあるガイド類などの設備破壊をもたらし、操業に重大な支障をきたすとともに当該熱延鋼板のスクラップ化をももたらす。
【0016】
本発明は、これらの問題を解決し、巻き取り機での鋼板のスリップを検知・除去することにより熱延鋼板を安定して搬送することができる熱延鋼板の製造設備および製造方法の提供を目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記の課題は次の発明により解決される。
【0018】
本発明は、仕上圧延機の後方に少なくとも一つのピンチロール、冷却装置および巻き取り機が配置された熱延鋼板の製造設備において、前記巻き取り機のモータ電流または/およびマンドレル周速度の制御を行うモータ制御装置と、前記巻き取り機での鋼板スリップの有無を判定するスリップ判定装置と、前記少なくとも一つのピンチロールの昇降を制御するロール昇降制御装置と、前記ピンチロールの駆動を制御するロール駆動制御装置とを有することを特徴とする熱延鋼板の製造設備である。
【0019】
また本発明は、仕上圧延機の後方に少なくとも一つのピンチロール、冷却装置および巻き取り機が配置された熱延鋼板の製造設備において、前記冷却装置のうち少なくとも一つは、熱延鋼板の結晶粒径を細かくするための急速な冷却を行う冷却装置であり、前記巻き取り機のモータ電流または/およびマンドレル周速度の制御を行うモータ制御装置と、前記巻き取り機での鋼板スリップの有無を判定するスリップ判定装置と、前記少なくとも一つのピンチロールの昇降を制御するロール昇降制御装置と、前記ピンチロールの駆動を制御するロール駆動制御装置とを有することを特徴とする熱延鋼板の製造設備である。
【0020】
また本発明は、前記スリップ判定装置は、鋼板速度とマンドレル周速度との偏差または/およびモータ電流の基準値とモータ電流の測定値との偏差により鋼板スリップの有無を判定することを特徴とする請求項1および請求項2記載の熱延鋼板の製造設備である。
【0021】
また本発明は、仕上圧延工程、冷却工程、および巻き取り工程を有する熱延鋼板の製造方法において、前記巻き取り工程で鋼板スリップの有無を判定し、鋼板スリップが有ると判定した場合には、前記仕上圧延工程以降に設置された少なくとも一つのピンチロールを下降して鋼板タッチさせた後、前記ピンチロールの駆動を制御して鋼板の張力を制御することを特徴とする熱延鋼板の製造方法である。
【0022】
また本発明は、仕上圧延工程、冷却工程、および巻き取り工程を有する熱延鋼板の製造方法において、前記冷却工程の一部は、熱延鋼板の結晶粒径を細かくするための急速な冷却を行うものであり、前記巻き取り工程で鋼板スリップの有無を判定し、鋼板スリップが有ると判定した場合には、前記仕上圧延工程以降に設置された少なくとも一つのピンチロールを下降して鋼板タッチさせた後、前記ピンチロールの駆動を制御して鋼板の張力を制御することを特徴とする熱延鋼板の製造方法である。
【0023】
さらに本発明は、前記鋼板スリップの有無の判定は、鋼板速度とマンドレル周速度との偏差または/およびモータ電流の基準値とモータ電流の測定値との偏差により行うことを特徴とする請求項4および請求項5記載の熱延鋼板の製造方法である。
【0024】
【発明の実施の形態】
図6は、巻き取り機での鋼板巻き取りを説明する図である。巻き付け区間、定常巻き取り区間、スリップ発生時でのマンドレル周速度およびモータ電流の変化を示している。鋼板先端が巻き取り機に到達するまでは、マンドレルは無負荷であるため鋼板搬送速度よりΔαだけ速い周速度で回転するように速度制御されている。通常、偏差Δαは、鋼板搬送速度に対するリード率を設定して決めている。そして、マンドレルを回転させるモータの電流は、無負荷であるためメカロスに相当する低い無負荷電流で推移する。
【0025】
次に、Aで示す時点で鋼板先端が巻き取り機に到達すれば、巻き付け区間に入る。この巻き付け区間では、マンドレルが鋼板をグリップし、マンドレル周速度が鋼板搬送速度に近づいていく。これにつれてモータ電流が増加する。この区間は、マンドレル周速度が鋼板搬送速度と同じになるBで示す時点まで続く。
【0026】
B時点以降が、定常巻き取り区間であり、マンドレル周速度は鋼板搬送速度と同期し、モータの電流は電流制御され基準電流値で推移する。この基準電流値は、板サイズおよび鋼種により最適張力を求め、これを電流換算することにより算出し設定される。
【0027】
しかしながら、Cで示す時点に鋼板スリップが発生したとすれば、前記巻き付け区間と逆にマンドレル周速度が上昇し、モータの電流値が下降するという現象を示す。本発明は、この現象を捕らえて鋼板スリップを検知するものである。すなわち、マンドレル周速度の増加偏差Δβまたは/およびモータ電流の減少偏差Δγを設定しておき、マンドレル周速度または/およびモータ電流を監視する。マンドレル周速度が偏差Δβを超えて増加、または/およびモータ電流が偏差Δγを超えて減少した時点にて鋼板スリップ検知とする。図6で示す時点Dが、鋼板スリップ検知のタイミングであるが、ΔβおよびΔγの設定の仕方によっては時点Dが一致しないこともあり得る。
【0028】
図1は、本発明に係る熱延鋼板の製造設備の一実施の形態を示す図である。最終仕上げ圧延機1で所定の厚さに仕上げ圧延された熱延鋼板2は、少なくとも一つのピンチロール(図では、後述する図2にて示す第二のピンチロール6選択している)を経て、巻き取り機9に巻き取られる。スリップ判定装置14は、モータ制御装置19より巻き取り機9の周速度または/およびモータ9aの電流信号を受け取り、後述する判定方法によって巻き取り機での鋼板スリップの有無を判定する。
【0029】
ここで鋼板にスリップが発生したと判定されれば、ロール昇降制御装置15およびロール駆動制御装置16にスリップ除去のための信号が送られる。 先ず、ロール昇降制御装置15では、少なくとも一つのピンチロールの間隔を狭くして、ロールが鋼板にタッチして所定の圧力を加えるように、ロール下降の信号を油圧サーボ系に送る。ここでは少なくとも一つのピンチロールの例として、後述の図2に示した第二のピンチロール(出側P/R)6を挙げているが、第一のピンチロール(入側P/R)3を用いるようにしても良いし、さらに両方を用いても良い。次に、ロール駆動制御装置16では、鋼板に張力をかけて鋼板スリップを解消するように前記ピンチロールのモータに対して張力制御の指令を送る。
【0030】
図2は、本発明に係る熱延鋼板の製造設備の他の実施の形態を示す図である。熱延鋼板の製造設備の内、連続熱間仕上げ圧延機最後段のスタンドからコイラーまでの設備概要の一例を示している。
【0031】
最終仕上げ圧延機1にて所定の厚さまで圧延された熱延鋼板2は、第一のピンチロール(以下、入側P/Rと記述する)3、第一の冷却装置(以下、#1ユニットと記述する)4、第二の冷却装置(以下、#2ユニットと記述する)5、第二のピンチロール(以下、出側P/Rと記述する)6、第三の冷却装置(以下、#3ユニットと記述する)7およびラミナー冷却装置8を経て、コイラー9にて巻き取られる。
【0032】
図2で示す設備配置の場合は、例えば最終仕上げ圧延機1から入側P/R3までが約5m、入側P/R3から#3ユニット7までが約15m、さらに#3ユニット7からコイラー9までが約100mの距離があり、熱延鋼板2が最終仕上げ圧延機1と入側P/R3との間でループ状にパスラインから浮き上がり、それを形状計12で測定している様子を模式的に示している。 形状計12は、鋼板のループ状の浮き上がりを検出するためのセンサーである。例えば、CCDカメラ、レーザーなどを利用して、鋼板の両端部または/および中央部のパスラインからの浮き上がり量を測定する。形状計の方式また鋼板のどの部位の浮き上がり量を測定するかの一例を示したもので、上記に限られるものでない。ループ有無判定方法は、例えば形状計12からの鋼板の浮き上がり量測定値そのものまたはそれらの加工値を予め設定した閾値と比較して、閾値を超えた場合にループ発生と判断するというものである。そして、測定値の加工処理方法は、鋼板両端部の浮き上がり量をそれぞれ計測して平均値を求める、さらに鋼板中央部のパスラインからの浮き上がり量と鋼板両端部の浮き上がり量の3データの平均値を求めるなど種々の方法がある。
【0033】
ループ発生と判断した場合は、前述の図1で示したスリップ除去の場合と同じようにロール昇降制御装置15およびロール駆動制御装置16に、ループ除去のための信号が送られ同様の操作が行われる。形状計12以外の主なセンサーとしては、X線板厚計10および板温度計11が適宜設置される。
【0034】
入側P/R3は、出側P/R6まで鋼板2を運ぶ役目があり、鋼板2を挟んで出側P/R6に鋼板2の先端が到達したあとは、ロール間隔を板厚+数mm(例えば5mm)を広げて待機する。上下ロール駆動用にモータ3a、3bとロール間隔変更用の油圧シリンダー(図示せず)を有している。
【0035】
また、出側P/R6は、コイラー9まで鋼板2を運ぶ役目があり、鋼板の先端がコイラ9に到達し、コイラ9にしっかり巻き付けられるまで板タッチする。その後は、入側P/R3と同じくロール間隔を板厚+数mm(例えば5mm)を広げて待機する。上下ロール駆動用にモータ6a、6bとロール間隔変更用の油圧シリンダー(図示せず)を有している。
【0036】
#1〜3ユニット4、5および7は、鋼板2を強冷却するための冷却装置であり、冷却時には板厚+数mm(例えば5mm)の間隔に保持される。図示はしないが各ユニットには、上に水切り用の拘束ロールと下に搬送用のテーブルロールという一対のロールを複数組、さらに間隔を置いて複数個の冷却ノズルを有している。
【0037】
以下に本発明に係る熱延鋼板の製造方法について、フローチャートを使って説明する。 図3は、鋼板の先端がコイラーにしっかり巻き付けられるまでの処理フロー(その1)を示している。
【0038】
先ずStep100にて、熱延鋼板の先端が形状計のある場所を通過したかどうかを検知する。この検知には、例えば図2に示す形状計12と同じ位置に設置した板温度計11で高温の熱延鋼板の侵入を計測することにより行う。この他に専用の通過センサーを設置することも考えられるが、いずれの検知方法をとるとしても、熱延鋼板の先端の通過を確実に検知できることが必要である。
【0039】
熱延鋼板の通過を検知したらStep101にて、形状計12を用いて熱延鋼板に生ずるループの測定を開始する。
【0040】
次に熱延鋼板先端の走行にともなってStep102にて、入側P/R3を通過したかどうか検知する。この検知には、例えばStep100での形状計通過の信号をトリガーに、最終仕上げ圧延機1に取り付けた回転速度計(図示せず)の信号を積算して熱延鋼板先端の位置をトラキングすることにより行う。
【0041】
熱延鋼板先端が入側P/R3に到達したらStep103にて、ピンチロールの間隔を狭めて鋼板をピンチして張力制御を開始する。この張力制御は、予め決めた張力になるような ピンチロールのトルクさらにはモータ電流を求めて、モータ3a、3bに供給する電流の制御を行うものである。
【0042】
次にStep104では、熱延鋼板先端の走行にともなって出側P/R6を通過したかどうか検知する。この通過検知はStep102と同様に、トラキングにより行う。すなわち、最終仕上げ圧延機1に取り付けた回転速度計の信号を積算して、形状計12から出側P/R6までの距離に達したかどうか判定するものである。
【0043】
出側P/R6通過を検知すれば次にStep105に進む。この工程では先ず、出側P/R6のピンチロールの間隔を狭めて鋼板をピンチし、その後出側P/Rでの張力制御を開始する。そして、出側P/R6まで鋼板を搬送した入側P/Rの役目を終えるため、入側P/R3のピンチロールを開放して入側P/Rでの張力制御を終了する。
【0044】
次にStep106にて、鋼板の先端がコイラーに巻付けが終わったかどうかを判断する。鋼板の先端がコイラーにしっかり巻き付けられた時点を検知するものであり、具体的には、コイラーの回転を計測する回転計(図示せず)にて鋼板の先端がコイラーに巻き付けられてからの回転数(例えば、3回転または3巻きなど)が予め決めた回転数以上になったことにより判断する、またはコイラーのモータ9aの負荷電流を計測し、その値が予め決めた巻き取り張力設定電流の一定以上の割合になったことにより判断するなどの方法が考えられる。
【0045】
次にStep107にて、コイラーユニットロールの鋼板タッチを解除する。図5にコイラー9およびコイラーユニットロール13の概要を図示する。コイラーユニットロール13は、鋼板2がコイラー9のマンドレル18(心棒)にしっかり巻付くように、鋼板2をマンドレル18に押し付ける働きをするものであり、油圧シリンダー17にて押し付け圧力を調節している。この例では、3セットがマンドレル18の円周方向に配置されている。コイラーユニットロール13は、鋼板の巻き取り初期段階およびコイラー巻き取りトラブル段階などに使用される。
【0046】
最後にStep108にて、出側P/R6を開放し、出側P/Rでの張力制御を終了して一連の処理を終わる。
【0047】
以上が、鋼板の巻き取り初期での処理フロー(その1)である。次に、これに続くスリップ検知・除去のための処理フロー(その2)を、図4を使って説明する。
【0048】
先ずStep200にて、巻き上げ機での鋼板のスリップ発生を監視する。ここでは、鋼板スリップ有無について例えば次のような2つの判定方法がある。先ず速度による判定は、(1)式に示すようにコイラーのマンドレル周速度Vcと鋼板搬送速度V(鋼板の冷却条件などで決まるランナウト上搬送速度)との偏差Δβを求める。次に、この偏差Δβが鋼板搬送速度Vの設定割合1を超えたならば((2)式))、鋼板のスリップが発生したと判断するものである。設定割合1は、例えば50%などと予め操業実績等から与えておく。
【0049】
Δβ = Vc − V ・・・・・(1)
Δβ/V > 設定割合1 ・・・・・(2)
次に、モータ電流による判定は、(3)式に示すように鋼板搬送速度Vで鋼板を巻き取るのに必要な基準電流Iとモータ負荷電流Icとの偏差Δγを求める。次に、この偏差Δγが基準電流Iの設定割合2を超えたならば((4)式))、鋼板のスリップが発生したと判断するものである。設定割合2は、例えば10%などと予め操業実績等から与えておく。
【0050】
Δγ = I − Ic ・・・・・(3)
Δγ/I > 設定割合2 ・・・・・(4)
上記速度による判定または/および電流による判定により、上記鋼板のスリップ発生有無の判断を行う。
【0051】
巻き上げ機での鋼板のスリップ発生が検知されれば、Step201にて前述のStep107で開放したコイラーユニットロールを再び鋼板に押し付ける。さらに続けてStep202にて、出側P/R6のピンチロールの間隔を狭めて鋼板をピンチして出側P/R6での張力制御を開始する。出側P/R6で鋼板をピンチして鋼板に張力を加えることにより、鋼板のスリップ除去を行う。これにより、鋼板のループが仕上げ圧延機の出側に発生・蓄積することを防止する。
【0052】
その後、Step203にてタイマーにて予め設定した時間を置いて、Step204にて改めて巻き上げ機での鋼板スリップの有無を判定する。この段階で、鋼板のスリップが除去されずスリップがまだ継続するようであれば、Step205の緊急処理を行う。すなわち、#1〜3ユニット4、5および7の間隔を拡げて、冷却装置での通板抵抗を少なくする操作である。鋼板スリップが解消されず、ランナウト上に鋼板のループがどんどん蓄積していき鋼板詰まりとなり、X線板厚計などのセンサー、仕上げ圧延機の出側にあるガイド類などの設備破壊に至ることを防止するために、鋼板の冷却処理を犠牲にしての緊急操作である。なお、ここでの操作に、入側P/R3および出側P/R6の開放を加えることもある。
【0053】
Step204で鋼板スリップが検出されなければ、出側P/R6を開放し、鋼板の後端が出側P/R6を通過(Step206)するまで、最初に戻るという処理ループをとる。
【0054】
なお、上述のStep202では、出側P/R6単独の操作を説明したが、入側P/R3単独または出側P/R6と入側P/R3両方の操作を行ってもよい。 また、パスライン上に鋼板ループが発生した場合にも、Step202、Step205など同じ操作を行うようにしてもよい。このように、スリップおよびループ情報とをあわせて、全体としてスリップおよびループの除去を行うようにしてもよい。
【0055】
以上説明した処理フローは、図2で示した設備配置をとり仕上げ圧延機の出側に鋼板のループが生じやす場合を前提にしている。設備配置が異なり、鋼板のループが異なる箇所または複数箇所で鋼板のループが生ずる場合などは、形状計を異なるまたは複数箇所に配置するなどが考えられ、ここで示した処理フローを適宜変更することが必要となる。
【0056】
【発明の効果】
以上説明した本発明によれば、巻き取り機での鋼板のスリップを検知・除去できるため、ランナウト上に鋼板のループがどんどん蓄積していき鋼板詰まりとなり、X線板厚計などのセンサー、仕上げ圧延機の出側にあるガイド類などの設備破壊に至るという重大な通板トラブルをさけることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る熱延鋼板の製造設備の一実施の形態を示す図。
【図2】本発明に係る熱延鋼板の製造設備の他の実施の形態を示す図。
【図3】本発明に係る熱延鋼板の製造方法を説明する処理フロー(その1)を示す図。
【図4】本発明に係る熱延鋼板の製造方法を説明する処理フロー(その2)を示す図。
【図5】巻き取り機の概要を示す図。
【図6】巻き取り機での鋼板巻き取りを説明する図。
【符号の説明】
1 最終仕上げ圧延機
2 熱延鋼板
3 第一のピンチロール(入側P/R)
3a、3b モータ
4 第一の冷却装置(#1ユニット)
5 第二の冷却装置(#2ユニット)
6 第二のピンチロール(出側P/R)
6a、6b モータ
7 第三の冷却装置(#3ユニット)
8 ラミナー冷却装置
9 巻き取り機(コイラー)
9a モータ
10 X線板厚計
11 板温度計
12 形状計
13 コイラーユニットロール
14 スリップ判定装置
15 ロール昇降制御装置
16 ロール駆動制御装置
17 油圧シリンダー
18 マンドレル
19 モータ制御装置
Claims (6)
- 仕上圧延機の後方に少なくとも一つのピンチロール、冷却装置および巻き取り機が配置された熱延鋼板の製造設備において、
前記巻き取り機のモータ電流または/およびマンドレル周速度の制御を行うモータ制御装置と、
前記巻き取り機での鋼板スリップの有無を判定するスリップ判定装置と、
前記少なくとも一つのピンチロールの昇降を制御するロール昇降制御装置と、
前記ピンチロールの駆動を制御するロール駆動制御装置とを有することを特徴とする熱延鋼板の製造設備。 - 仕上圧延機の後方に少なくとも一つのピンチロール、冷却装置および巻き取り機が配置された熱延鋼板の製造設備において、
前記冷却装置のうち少なくとも一つは、熱延鋼板の結晶粒径を細かくするための急速な冷却を行う冷却装置であり、
前記巻き取り機のモータ電流または/およびマンドレル周速度の制御を行うモータ制御装置と、
前記巻き取り機での鋼板スリップの有無を判定するスリップ判定装置と、
前記少なくとも一つのピンチロールの昇降を制御するロール昇降制御装置と、
前記ピンチロールの駆動を制御するロール駆動制御装置とを有することを特徴とする熱延鋼板の製造設備。 - 前記スリップ判定装置は、鋼板速度とマンドレル周速度との偏差または/およびモータ電流の基準値とモータ電流の測定値との偏差により鋼板スリップの有無を判定することを特徴とする請求項1および請求項2記載の熱延鋼板の製造設備。
- 仕上圧延工程、冷却工程、および巻き取り工程を有する熱延鋼板の製造方法において、
前記巻き取り工程で鋼板スリップの有無を判定し、
鋼板スリップが有ると判定した場合には、前記仕上圧延工程以降に設置された少なくとも一つのピンチロールを下降して鋼板タッチさせた後、前記ピンチロールの駆動を制御して鋼板の張力を制御することを特徴とする熱延鋼板の製造方法。 - 仕上圧延工程、冷却工程、および巻き取り工程を有する熱延鋼板の製造方法において、
前記冷却工程の一部は、熱延鋼板の結晶粒径を細かくするための急速な冷却を行うものであり、
前記巻き取り工程で鋼板スリップの有無を判定し、
鋼板スリップが有ると判定した場合には、前記仕上圧延工程以降に設置された少なくとも一つのピンチロールを下降して鋼板タッチさせた後、前記ピンチロールの駆動を制御して鋼板の張力を制御することを特徴とする熱延鋼板の製造方法。 - 前記鋼板スリップの有無の判定は、鋼板速度とマンドレル周速度との偏差または/およびモータ電流の基準値とモータ電流の測定値との偏差により行うことを特徴とする請求項4および請求項5記載の熱延鋼板の製造方法。
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