JP2004270563A - 電子スロットル装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】比較的簡易な構成により消費電力を低減させ、同装置を小型化すること。
【解決手段】電子スロットル装置1は、主要な構成要素として、スロットルボディ2、スロットルシャフト3、スロットルバルブ4、DCモータ5、減速機構6及びオープナ機構7を備える。スロットルバルブ4は、スロットルシャフト3上に一体的に設けられる。DCモータ5は、スロットルバルブ4を開方向へ駆動するためにスロットルシャフト3を回動させる。オープナ機構7に含まれるリターンスプリング14は、スロットルバルブ4を閉方向へ付勢する。この電子スロットル装置1で、DCモータ5には、電機子の各突極の外周に補助溝を設け、4極6スロット構成の磁気回路を備えたものが採用される。
【選択図】 図1
【解決手段】電子スロットル装置1は、主要な構成要素として、スロットルボディ2、スロットルシャフト3、スロットルバルブ4、DCモータ5、減速機構6及びオープナ機構7を備える。スロットルバルブ4は、スロットルシャフト3上に一体的に設けられる。DCモータ5は、スロットルバルブ4を開方向へ駆動するためにスロットルシャフト3を回動させる。オープナ機構7に含まれるリターンスプリング14は、スロットルバルブ4を閉方向へ付勢する。この電子スロットル装置1で、DCモータ5には、電機子の各突極の外周に補助溝を設け、4極6スロット構成の磁気回路を備えたものが採用される。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、エンジンの吸気通路を開閉するスロットルバルブをDCモータにより駆動させるように構成した電子スロットル装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、この種の電子スロットル装置として、例えば、下記の特許文献1及び2に記載された装置がある。また、下記の特許文献3に記載された回転電機がある。
【0003】
特許文献1に記載の装置は、スロットルシャフト上に一体的に設けられたスロットルバルブと、そのスロットルバルブを開方向へ駆動するためにスロットルシャフトを回動させるDCモータと、スロットルシャフトをDCモータに駆動連結するためのギア等よりなる駆動連結機構と、スロットルバルブを閉方向へ付勢するためのリターンスプリングとを備えている。
【0004】
DCモータとして、例えば、2極5スロット構成の磁気回路や、2極7スロット構成の磁気回路を備えたものが採用されている。図13に、一例として、2極5スロット構成の磁気回路を備えたDCモータ51の断面図を示す。ここで、「極」とは、モータをスロットルシャフトに対して垂直に切断した面に表れる磁極(NSNSNS・・・)の数、即ち界磁石52の数を意味する。「スロット」とは、コイルが挿入される鉄心溝のことを意味し、図中「53」で示す。一般に、スロット数が少ないと、回転位置の違いにより発生トルクに差が生じる。スロットとコイルの数が多くなるほど、トルクムラ(変動)が減り、回転が滑らかになる。従って、従来より、DCモータでは、トルクムラを少なくする観点からスロット数が決められていた。
【0005】
一方、特許文献2に記載の装置は、DCモータとして、コアレスDCモータが採用されている。
【0006】
さらに、特許文献3に記載の回転電機は、2以上の磁極を形成する界磁部と、複数相の電機子巻線が巻装された巻線用の溝(スロット)及び突極を有する電機子を備える。界磁部と電機子のうち、いずれか一方を他方に対して回転させるようにし、電機子の突極の界磁部と対向する位置に補助溝を設けている。この回転電機は、上記補助溝を設けることで、コギング力に関与し得る界磁部及び電機子の突極における調波成分の数が少なくなり、コギング力の基本的な調波成分が高次の成分となり、これによりコギング力を減少させている。コギング力とは、回転電機のトルク変動に関与するものであり、電機子の突極における磁気的不均一性を有する調波成分と、界磁部の有する調波成分が整合(一致)するときに発生するものとされる。
【0007】
【特許文献1】
特開平7−97950号公報(第2−8頁,図1〜11)
【特許文献2】
特開平10−274060号公報(第2−6頁,図1〜3)
【特許文献3】
特公昭58−42707号公報(第1−5頁,図1〜3)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記特許文献1に記載の装置では、DCモータのディテントトルクが相対的に大きい傾向にあった。ここで「ディテントトルク」とは、DCモータが非通電状態となったときにロータに生じる吸引力を意味する。このディテントトルクは、スロットルバルブを所定の閉位置まで戻すときの抵抗になるため、これに打ち勝つ付勢力をリターンスプリングに設定する必要がある。ディテントトルクが大きいと、リターンスプリングの付勢力を大きく設定する必要があり、モータの負荷トルクが大きくなる。そのため、リターンスプリングの大きな付勢力に抗した力でスロットルバルブを開方向へ駆動させなければならず、DCモータを高出力化する必要があり、モータが大型化することになった。この結果、DCモータに供給される電流値が大きくなり、消費電力が増大する問題があった。
【0009】
一方、上記特許文献2に記載の装置では、コアレスDCモータを採用していることから、特許文献1に記載の装置と異なり、モータ負荷トルクが相対的に小さくなり、リターンスプリングの付勢力を相対的に小さくすることができ、DCモータの消費電力を低減させることができ、小型化することができる。しかしながら、この装置では、コアレスDCモータの製造工程が複雑で、製造コストが高騰する傾向にあった。
【0010】
また、上記特許文献3に記載の回転電機では、コギング力を小さくする観点から、電機子の突極の外周に補助溝を設けていただけであり、補助溝とディテントトルクとの関係については何も示唆されていなかった。
【0011】
この発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、比較的簡易な構成により消費電力を低減させ、小型化を図ることを可能とした電子スロットル装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、スロットルシャフト上に一体的に設けられたスロットルバルブと、スロットルバルブを開方向へ駆動するためにスロットルシャフトを回動させるDCモータと、スロットルバルブを閉方向へ付勢するためのリターンスプリングとを備えた電子スロットル装置において、DCモータは、偶数の磁極を形成する界磁部と、巻線が巻装される複数のスロット及び複数の突極を有する電機子と、界磁部と電機子とが互いに相対回転可能に設けられることと、各突極の界磁部と対向する位置に設けられる補助溝とを備えたことを趣旨とする。
【0013】
上記発明の構成によれば、DCモータにおいて電機子の各突極の界磁部と対向する位置に補助溝が設けられることから、DCモータのコギング力が小さくなり、これによりDCモータのディテントトルクが相対的に小さくなる。このため、リターンスプリングの付勢力を相対的に小さく設定することが可能となり、その付勢力に抗してスロットルバルブを開方向へ駆動するために必要なDCモータの電流値が相対的に小さくなる。
ここで、従来は、電機子の各突極における補助溝が、DCモータのトルク変動に影響のあるコギング力を小さくする観点だけから設けられていた。そのため、電機子の各突極に補助溝を設けたDCモータが電子スロットル装置に採用されることはなかった。この発明のように、電機子の各突極に補助溝を設けたDCモータが、そのディテントトルクを小さくする観点から電子スロットル装置に採用されることは初めてのことである。
【0014】
【発明の実施の形態】
[第1の実施の形態]
以下、本発明の電子スロットル装置を具体化した第1の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
【0015】
図1に、電子スロットル装置1の平断面図を示す。電子スロットル装置1は、主要な構成要素として、スロットルボディ2、スロットルシャフト3、スロットルバルブ4、DCモータ5、減速機構6及びオープナ機構7を備える。
【0016】
スロットルボディ2は、アルミ合金や樹脂などよりなり、エンジンの吸気通路(図示略)に連通するボア8を含むバルブハウジング9と、そのハウジング9の開口端を閉鎖するエンドフレーム10とを備える。スロットルシャフト3は、ボア8を貫通して配置され、その両端がベアリング11,12を介してバルブハウジング9に回転可能に支持される。スロットルバルブ4は、スロットルシャフト3上に固定されて一体的に設けられ、ボア8内に配置される。
【0017】
図2は、スロットルボディ2からエンドフレーム10を取り外した状態におけるバルブハウジング9の正面図を示す。スロットルシャフト3の一端には、スロットルギア13が固定される。スロットルギア13とバルブハウジング9との間には、リターンスプリング14が設けられる。リターンスプリング14は、スロットルバルブ4を閉方向へ付勢するためのものである。リターンスプリング14は、オープナ機構7を構成する一要素である。
【0018】
DCモータ5は、バルブハウジング9に固定される。DCモータ5は、スロットルバルブ4を開方向へ駆動するためにスロットルシャフト3を回動させるものである。DCモータ5は、減速機構6を介してスロットルシャフト3に駆動連結される。即ち、DCモータ5の出力シャフト5a上には、モータギア15が固定される。このモータギア15が、中間ギア16を介してスロットルギア13に連結される。中間ギア16は、大径ギア16aと小径ギア16bとが一体をなす二段ギアであり、ピンシャフト17を介してバルブハウジング9に回転可能に支持される。大径ギア16aには、モータギア15が連結され、小径ギア16bには、スロットルギア13が連結される。
【0019】
従って、図1の全閉状態から、DCモータ5が通電により作動して出力シャフト5aが正方向へ回転し、モータギア15が回転することにより、その回転が中間ギア16により減速されてスロットルギア13に伝達される。これにより、スロットルシャフト3及びスロットルバルブ4が、リターンスプリング14の付勢力に抗して回動され、ボア8が開かれる。即ち、スロットルバルブ4が開弁される。また、スロットルバルブ4をある開度に保持するために、DCモータ5に通電により回転力を発生させることにより、その回転力がモータギア15、中間ギア16及びスロットルギア13を介し保持力としてスロットルシャフト3及びスロットルバルブ4に伝達される。この保持力がリターンスプリング14の付勢力に均衡することにより、スロットルバルブ4がある開度に保持される。
【0020】
オープナ機構7は、DCモータ5に対する通電が停止されたときに、スロットルバルブ4を全閉状態から若干開いたオープナ開度に保持するためのものである。図3に、オープナ機構7を含む電子スロットル装置1の概念構成図を示す。図4に、オープナ機構7によるスロットルバルブ4の動作を示す。
【0021】
図3に示すように、スロットルバルブ4はボア8に配置され、スロットルシャフト3を中心にスロットルボディ2に回転可能に支持される。スロットルシャフト3の一端には、オープナ機構7及び減速機構6を介してDCモータ5が連結される。ここで、スロットルバルブ4の開閉については、図4に示すように、その全閉位置Sから全開位置Fへ向かう方向を開方向とし、全開位置Fから全閉位置Sへ向かう方向を閉方向とする。
【0022】
図3において、スロットルシャフト3に設けられたオープナ機構7は、エンジンが停止されるDCモータ5の非通電時には、スロットルバルブ4を所定のオープナ開度位置N(図4参照)に保持するためのオープナレバー21を備える。オープナレバー21には、リターンスプリング14の一端が接続され、同スプリング14の他端はスロットルボディ2に固定される。リターンスプリング14はオープナレバー21を介してスロットルバルブ4を閉方向へ付勢する。オープナレバー21は所定の回動位置で全開ストッパ22に係合して停止する。スロットルボディ2には、スロットルバルブ4を全閉位置S(図4参照)に保持するための全閉ストッパ23が設けられる。オープナレバー21には、オープナスプリング24の一端が接続される。オープナスプリング24の他端は、スロットルシャフト3に接続される。オープナスプリング24は、スロットルバルブ4を開方向へ付勢する。これらオープナレバー21、リターンスプリング14、全開ストッパ22、全閉ストッパ23及びオープナスプリング24等によりオープナ機構7が構成される。図2に示す調整ネジ25は、オープナ開度位置N(図4参照)を調整するために操作されるものであり、オープナ機構7に含まれる。
【0023】
ここで、リターンスプリング14の付勢力は、DCモータ5の出力よりも小さく、DCモータ5の非通電時におけるディテントトルクよりも大きく設定されている。この設定は、DCモータ5の通電時には、リターンスプリング14又はオープナスプリング24の付勢力に抗してスロットルバルブ4を開いたり閉じたりし、非通電時には、リターンスプリング14及びオープナスプリング24等の作用によりスロットルバルブ4を所定のオープナ開度位置N(図4参照)に保持するためのものである。
【0024】
図4に示すように、オープナ開度位置Nは、エンジンが停止されるDCモータ5の非通電時に、エンジンを再始動させるときの吸気を確保するための初期開度をスロットルバルブ4に与える。一方、エンジン運転中にDCモータ5への通電が万一遮断されたときには、このオープナ開度位置Nが、エンジンの出力を必要最小限のレベルで維持するための開度をスロットルバルブ4に与える。これにより、エンジンの運転を持続させて自動車の退避走行を可能とする。上記のようにDCモータ5の非通電時、或いは、DCモータ5への通電遮断時には、スロットルシャフト3及びオープナレバー21がリターンスプリング14により閉方向へ付勢される。これと同時に、スロットルシャフト3がオープナスプリング24により開方向へ付勢される。これらリターンスプリング14及びオープナスプリング24の釣り合いにより、スロットルバルブ4がオープナ開度位置Nに保持される。
【0025】
スロットルバルブ4をオープナ開度位置Nから全開位置Fへ開くには、DCモータ5の出力がリターンスプリング14の付勢力に抗してスロットルシャフト3に与えられ、オープナレバー21が全開ストッパ22に係合するまでスロットルシャフト3が回動される。一方、スロットルバルブ4をオープナ開度位置Nから全閉位置Sまで閉じるには、DCモータ5の出力がオープナスプリング24の付勢力に抗してスロットルシャフト3に与えられ、同シャフト3が全閉ストッパ23に係合するまで回動される。
【0026】
ここで、エンジン運転時には、アクセルペダル(図示略)の操作に応じて電子制御装置(図示略)によりDCモータ5が制御されることにより、スロットルバルブ4が所定の目標開度に開かれる。このとき、スロットルバルブ4の開度は、アクセルペダルの操作量に応じて、図4に示すように全閉位置Sから全開位置Fまでの間の作動範囲の中で決定される。全開位置Fでは、オープナレバー21が全開ストッパ22に係合することから、ボア8が最大限に開けられた状態でスロットルバルブ4が保持される。この全開ストッパ22があることから、スロットルバルブ4が全開位置Fを超えて開方向へ余分に回動することがない。一方、全閉位置Sでは、スロットルシャフト3が全閉ストッパ23に係合することから、ボア8が最大限に閉じられた状態でスロットルバルブ4が保持される。この全閉ストッパ23があることから、スロットルバルブ4が全閉位置Sを超えて閉方向へ余分に回動することがない。
【0027】
図5に、DCモータ5の部分破断図を示す。図6に、図5のA−A線に沿った断面図を示す。図5に示すように、DCモータ5は、ステータ31と、ステータ31の中で回転するロータ32とを備える。ステータ31は、ヨークを兼ねた有底筒形のハウジング33と、ハウジング33の内側に配置された界磁部としての界磁石34とを含む。ハウジング33の開口端はブラケット35により塞がれる。界磁石34は、基礎となる磁束を作る磁石である。ハウジング33は、主として鉄より構成され、界磁石34とともに磁気回路(磁界)を構成する。一方のブラケット35には、端子(図示略)に接続されたブラシ36が設けられる。ロータ32は、出力シャフト5aと、そのシャフト5a上に設けられたベアリング37、整流子38及び電機子39とを含む。電機子39には、巻線40が設けられる。巻線40は、電機子39の複数の鉄心溝(スロット)41に挿入されたコイルが結線されることにより構成される。整流子38には、ブラシ36が接触して巻線40に電流を流す。巻線40に電流が流れることにより、電機子39に回転力が発生する。電機子39は、鉄からなる積層板であって、複数の突極39aと、複数のスロット(鉄心溝)41を含み、隣り合うスロット41の間にはコイルが巻かれ、それらコイルにより巻線40が構成される。図7に示すように、この実施の形態で、各突極39aの外周面に、凹凸状の補助溝39bが形成される。
【0028】
即ち、DCモータ5は、偶数の磁極を形成する界磁石34と、巻線40が巻装される複数のスロット41及び複数の突極39aを有する電機子39とを備える。そして、界磁石34と電機子39とが互いに相対回転可能に設けられる。また、各突極39aにおける界磁石34と対向する位置に補助溝39bが設けられる。
【0029】
図6に示すように、この実施の形態のDCモータ5は、4極6スロット構成の磁気回路を備えたものである。ここで、「4極」とは、界磁石34により構成される磁極(NSNS)の数が偶数の「4つ」であることを意味する。「6スロット」とは、コイルが挿入されるスロット41が「6つ」であることを意味する。
【0030】
以上説明したこの実施の形態の電子スロットル装置1によれば、DCモータ5において電機子39の各突極39aの界磁石34と対向する位置に補助溝39bが設けられることから、DCモータ5のコギング力が小さくなり、これによりDCモータ5にて非通電時にロータ32に生じるディテントトルクが相対的に小さくなる。
【0031】
図8に、DCモータにおける1回転当たりのディテントトルクの変化をグラフに示す。このグラフで、下側の曲線は、本実施の形態のDCモータ5(電機子39の各突極39aに補助溝39bを設けたもの)に関するディテントトルクの変化を示す。上側の曲線は、従来例のDCモータ51(電機子の各突極に補助溝を設けていないもの)に関するディテントトルクの変化を示す。このグラフからも明らかなように、本実施の形態のDCモータ5は、従来例のDCモータ51に比べ、ディテントトルクが相対的に小さいことが分かる。その実測値を比較すると、本実施の形態では、従来例に比べて約20%ほどディテントトルクを低減させることができた。
【0032】
従って、リターンスプリング14の付勢力を相対的に小さく設定することが可能となり、その付勢力に抗してスロットルバルブ4を開方向へ駆動するために必要なDCモータ5の電流値を相対的に小さく設定することが可能となる。
【0033】
図9,10に、スロットルバルブの開度(スロットル開度)に対するスロットル作動トルクの変化をそれぞれグラフに示す。図9は、本実施の形態の電子スロットル装置1に関するグラフであり、図10は、従来例の電子スロットル装置に関するグラフである。これらグラフの比較から明らかなように、本実施の形態では、「オープナ開度」を基準に開側及び閉側でスロットル開度が変化する場合の両方で、リターンスプリング荷重を相対的に小さくすることができ、それによってスロットル作動トルクが相対的に小さくなることが分かる。
【0034】
このため、本実施の形態では、DCモータ5に供給される電流値を相対的に小さくすることができ、DCモータ5による消費電力を低減させることができ、DCモータ5を小型化することができる。この結果、DCモータ5の消費電力を低減できる分だけ電子スロットル装置1による消費電力を低減させることができ、DCモータ5を小型化できる分だけ電子スロットル装置1を小型化することができる。つまり、この実施の形態の電子スロットル装置1によれば、特に複雑な機構を付加することなく、単に電機子39の各突極39aに補助溝39bを設けたDCモータ5を採用するだけの比較的簡易な構成により、電子スロットル装置1による消費電力を低減させることができ、同装置1を小型化することができる。
【0035】
ここで、従来は、電機子の各突極における補助溝が、DCモータのトルク変動に影響のあるコギング力を小さくする観点だけから設けられていた。そのため、電機子の各突極に補助溝を設けたDCモータが電子スロットル装置に採用されることはなかった。つまり、この実施の形態のように、電機子39の各突極39aに補助溝39bを設けたDCモータ5が、そのディテントトルクを小さくする観点から電子スロットル装置1に採用されることは初めてのことである。
【0036】
また、この実施の形態では、DCモータ5のディテントトルクを低減できることから、減速機構6における各ギア13,15,16の摩耗、ブラシ36の摩耗を低減させることができ、それらの長寿命化を図ることができる。さらに、ベアリング37にかかる荷重を低減させることができ、定格荷重の低減によりスロットルシャフト3の小径化を図ることができる。これにより、電子スロットル装置1を構成する駆動系部品の低コスト化、長寿命化、簡易構成化を図ることができる。
【0037】
その他、この実施の形態の電子スロットル装置1によれば、リターンスプリング14の付勢力を低減できることから、スロットルバルブ4の開閉動作の応答性を向上させることができる。このことから、延いては、エンジンの吸気流量特性を向上させることができ、作動音を低減させて静粛性を改善することもできる。
【0038】
[第2の実施の形態]
次に、本発明の電子スロットル装置を具体化した第2の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
【0039】
尚、この実施の形態において、前記第1の実施の形態と同等の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略し、以下には異なった点を中心に説明する。
【0040】
この実施の形態の電子スロットル装置では、DCモータ45の点で第1の実施の形態の電子スロットル装置1と構成が異なる。図11には、DCモータ45の部分破断図を示す。図12には、図11のB−B線に沿った断面図を示す。図11は、図5に準じ、図12は、図6に準ずる。
【0041】
図11に示すように、全体構成において、界磁石34の厚み、巻線40の大きさを除いて、DCモータ45の基本構成要素は、前述したDCモータ5のそれと同じである。図中「45a」は、DCモータ45の出力シャフトを示す。そして、この実施の形態では、DCモータ45における磁気回路の構成の点で、前述したDCモータ5のそれと特に異なる。
【0042】
即ち、図12に示すように、この実施の形態のDCモータ45でも、電機子39の各突極39aに補助溝39bが設けられる。加えて、DCモータ45は、2極7スロット構成の磁気回路を備える。ここで、「2極」とは、界磁石34により構成される磁極(NS)の数が偶数の「2つ」であることを意味する。「7スロット」とは、コイルが挿入されるスロット41が「7つ」であることを意味する。
【0043】
従って、この実施の形態の電子スロットル装置によっても、基本的には、第1の実施の形態の電子スロットル装置1と同等の作用効果を得ることができる。
【0044】
尚、この発明は前記各実施の形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱することのない範囲で以下のように実施することもできる。
【0045】
例えば、前記各実施の形態では、界磁石34の磁極の数を偶数である「4」又は「2」としたが、この数は偶数であれば「4」又は「2」以外の数にすることもできる。
【0046】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明の構成によれば、DCモータの電機子の各突極に補助溝を設けたので、DCモータのコギング力が小さくなり、これによりDCモータのディテントトルクが相対的に小さくなる。このため、リターンスプリングの付勢力を相対的に小さく設定することが可能となり、その付勢力に抗してスロットルバルブを開方向へ駆動するために必要なDCモータの電流値を相対的に小さくすることが可能となる。この結果、DCモータによる消費電力を低減させることができ、同モータを小型化させることができ、延いては、電子スロットル装置につき、比較的簡易な構成により消費電力を低減させることができ、同装置を小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態に係り、電子スロットル装置を示す平断面図。
【図2】エンドフレームを取り外した状態のバルブハウジングを示す正面図。
【図3】オープナ機構を含む電子スロットル装置を示す概念構成図。
【図4】オープナ機構によるスロットルバルブの動作を示す説明図。
【図5】DCモータを示す部分破断図。
【図6】図5のA−A線に沿った断面図。
【図7】突極の一部を示す正面図。
【図8】DCモータにおける1回転当たりのディテントトルクの変化を示すグラフ。
【図9】スロットル開度に対するスロットル作動トルクの変化を示すグラフ。
【図10】スロットル開度に対するスロットル作動トルクの変化を示すグラフ。
【図11】第2の実施の形態に係り、DCモータを示す部分破断図。
【図12】図11のB−B線に沿った断面図。
【図13】従来例のDCモータの断面図。
【符号の説明】
1 電子スロットル装置
3 スロットルシャフト
4 スロットルバルブ
5 DCモータ
14 リターンスプリング
34 界磁石
39 電機子
39a 突極
39b 補助溝
40 巻線
41 スロット
45 DCモータ
【発明の属する技術分野】
この発明は、エンジンの吸気通路を開閉するスロットルバルブをDCモータにより駆動させるように構成した電子スロットル装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、この種の電子スロットル装置として、例えば、下記の特許文献1及び2に記載された装置がある。また、下記の特許文献3に記載された回転電機がある。
【0003】
特許文献1に記載の装置は、スロットルシャフト上に一体的に設けられたスロットルバルブと、そのスロットルバルブを開方向へ駆動するためにスロットルシャフトを回動させるDCモータと、スロットルシャフトをDCモータに駆動連結するためのギア等よりなる駆動連結機構と、スロットルバルブを閉方向へ付勢するためのリターンスプリングとを備えている。
【0004】
DCモータとして、例えば、2極5スロット構成の磁気回路や、2極7スロット構成の磁気回路を備えたものが採用されている。図13に、一例として、2極5スロット構成の磁気回路を備えたDCモータ51の断面図を示す。ここで、「極」とは、モータをスロットルシャフトに対して垂直に切断した面に表れる磁極(NSNSNS・・・)の数、即ち界磁石52の数を意味する。「スロット」とは、コイルが挿入される鉄心溝のことを意味し、図中「53」で示す。一般に、スロット数が少ないと、回転位置の違いにより発生トルクに差が生じる。スロットとコイルの数が多くなるほど、トルクムラ(変動)が減り、回転が滑らかになる。従って、従来より、DCモータでは、トルクムラを少なくする観点からスロット数が決められていた。
【0005】
一方、特許文献2に記載の装置は、DCモータとして、コアレスDCモータが採用されている。
【0006】
さらに、特許文献3に記載の回転電機は、2以上の磁極を形成する界磁部と、複数相の電機子巻線が巻装された巻線用の溝(スロット)及び突極を有する電機子を備える。界磁部と電機子のうち、いずれか一方を他方に対して回転させるようにし、電機子の突極の界磁部と対向する位置に補助溝を設けている。この回転電機は、上記補助溝を設けることで、コギング力に関与し得る界磁部及び電機子の突極における調波成分の数が少なくなり、コギング力の基本的な調波成分が高次の成分となり、これによりコギング力を減少させている。コギング力とは、回転電機のトルク変動に関与するものであり、電機子の突極における磁気的不均一性を有する調波成分と、界磁部の有する調波成分が整合(一致)するときに発生するものとされる。
【0007】
【特許文献1】
特開平7−97950号公報(第2−8頁,図1〜11)
【特許文献2】
特開平10−274060号公報(第2−6頁,図1〜3)
【特許文献3】
特公昭58−42707号公報(第1−5頁,図1〜3)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記特許文献1に記載の装置では、DCモータのディテントトルクが相対的に大きい傾向にあった。ここで「ディテントトルク」とは、DCモータが非通電状態となったときにロータに生じる吸引力を意味する。このディテントトルクは、スロットルバルブを所定の閉位置まで戻すときの抵抗になるため、これに打ち勝つ付勢力をリターンスプリングに設定する必要がある。ディテントトルクが大きいと、リターンスプリングの付勢力を大きく設定する必要があり、モータの負荷トルクが大きくなる。そのため、リターンスプリングの大きな付勢力に抗した力でスロットルバルブを開方向へ駆動させなければならず、DCモータを高出力化する必要があり、モータが大型化することになった。この結果、DCモータに供給される電流値が大きくなり、消費電力が増大する問題があった。
【0009】
一方、上記特許文献2に記載の装置では、コアレスDCモータを採用していることから、特許文献1に記載の装置と異なり、モータ負荷トルクが相対的に小さくなり、リターンスプリングの付勢力を相対的に小さくすることができ、DCモータの消費電力を低減させることができ、小型化することができる。しかしながら、この装置では、コアレスDCモータの製造工程が複雑で、製造コストが高騰する傾向にあった。
【0010】
また、上記特許文献3に記載の回転電機では、コギング力を小さくする観点から、電機子の突極の外周に補助溝を設けていただけであり、補助溝とディテントトルクとの関係については何も示唆されていなかった。
【0011】
この発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、比較的簡易な構成により消費電力を低減させ、小型化を図ることを可能とした電子スロットル装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、スロットルシャフト上に一体的に設けられたスロットルバルブと、スロットルバルブを開方向へ駆動するためにスロットルシャフトを回動させるDCモータと、スロットルバルブを閉方向へ付勢するためのリターンスプリングとを備えた電子スロットル装置において、DCモータは、偶数の磁極を形成する界磁部と、巻線が巻装される複数のスロット及び複数の突極を有する電機子と、界磁部と電機子とが互いに相対回転可能に設けられることと、各突極の界磁部と対向する位置に設けられる補助溝とを備えたことを趣旨とする。
【0013】
上記発明の構成によれば、DCモータにおいて電機子の各突極の界磁部と対向する位置に補助溝が設けられることから、DCモータのコギング力が小さくなり、これによりDCモータのディテントトルクが相対的に小さくなる。このため、リターンスプリングの付勢力を相対的に小さく設定することが可能となり、その付勢力に抗してスロットルバルブを開方向へ駆動するために必要なDCモータの電流値が相対的に小さくなる。
ここで、従来は、電機子の各突極における補助溝が、DCモータのトルク変動に影響のあるコギング力を小さくする観点だけから設けられていた。そのため、電機子の各突極に補助溝を設けたDCモータが電子スロットル装置に採用されることはなかった。この発明のように、電機子の各突極に補助溝を設けたDCモータが、そのディテントトルクを小さくする観点から電子スロットル装置に採用されることは初めてのことである。
【0014】
【発明の実施の形態】
[第1の実施の形態]
以下、本発明の電子スロットル装置を具体化した第1の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
【0015】
図1に、電子スロットル装置1の平断面図を示す。電子スロットル装置1は、主要な構成要素として、スロットルボディ2、スロットルシャフト3、スロットルバルブ4、DCモータ5、減速機構6及びオープナ機構7を備える。
【0016】
スロットルボディ2は、アルミ合金や樹脂などよりなり、エンジンの吸気通路(図示略)に連通するボア8を含むバルブハウジング9と、そのハウジング9の開口端を閉鎖するエンドフレーム10とを備える。スロットルシャフト3は、ボア8を貫通して配置され、その両端がベアリング11,12を介してバルブハウジング9に回転可能に支持される。スロットルバルブ4は、スロットルシャフト3上に固定されて一体的に設けられ、ボア8内に配置される。
【0017】
図2は、スロットルボディ2からエンドフレーム10を取り外した状態におけるバルブハウジング9の正面図を示す。スロットルシャフト3の一端には、スロットルギア13が固定される。スロットルギア13とバルブハウジング9との間には、リターンスプリング14が設けられる。リターンスプリング14は、スロットルバルブ4を閉方向へ付勢するためのものである。リターンスプリング14は、オープナ機構7を構成する一要素である。
【0018】
DCモータ5は、バルブハウジング9に固定される。DCモータ5は、スロットルバルブ4を開方向へ駆動するためにスロットルシャフト3を回動させるものである。DCモータ5は、減速機構6を介してスロットルシャフト3に駆動連結される。即ち、DCモータ5の出力シャフト5a上には、モータギア15が固定される。このモータギア15が、中間ギア16を介してスロットルギア13に連結される。中間ギア16は、大径ギア16aと小径ギア16bとが一体をなす二段ギアであり、ピンシャフト17を介してバルブハウジング9に回転可能に支持される。大径ギア16aには、モータギア15が連結され、小径ギア16bには、スロットルギア13が連結される。
【0019】
従って、図1の全閉状態から、DCモータ5が通電により作動して出力シャフト5aが正方向へ回転し、モータギア15が回転することにより、その回転が中間ギア16により減速されてスロットルギア13に伝達される。これにより、スロットルシャフト3及びスロットルバルブ4が、リターンスプリング14の付勢力に抗して回動され、ボア8が開かれる。即ち、スロットルバルブ4が開弁される。また、スロットルバルブ4をある開度に保持するために、DCモータ5に通電により回転力を発生させることにより、その回転力がモータギア15、中間ギア16及びスロットルギア13を介し保持力としてスロットルシャフト3及びスロットルバルブ4に伝達される。この保持力がリターンスプリング14の付勢力に均衡することにより、スロットルバルブ4がある開度に保持される。
【0020】
オープナ機構7は、DCモータ5に対する通電が停止されたときに、スロットルバルブ4を全閉状態から若干開いたオープナ開度に保持するためのものである。図3に、オープナ機構7を含む電子スロットル装置1の概念構成図を示す。図4に、オープナ機構7によるスロットルバルブ4の動作を示す。
【0021】
図3に示すように、スロットルバルブ4はボア8に配置され、スロットルシャフト3を中心にスロットルボディ2に回転可能に支持される。スロットルシャフト3の一端には、オープナ機構7及び減速機構6を介してDCモータ5が連結される。ここで、スロットルバルブ4の開閉については、図4に示すように、その全閉位置Sから全開位置Fへ向かう方向を開方向とし、全開位置Fから全閉位置Sへ向かう方向を閉方向とする。
【0022】
図3において、スロットルシャフト3に設けられたオープナ機構7は、エンジンが停止されるDCモータ5の非通電時には、スロットルバルブ4を所定のオープナ開度位置N(図4参照)に保持するためのオープナレバー21を備える。オープナレバー21には、リターンスプリング14の一端が接続され、同スプリング14の他端はスロットルボディ2に固定される。リターンスプリング14はオープナレバー21を介してスロットルバルブ4を閉方向へ付勢する。オープナレバー21は所定の回動位置で全開ストッパ22に係合して停止する。スロットルボディ2には、スロットルバルブ4を全閉位置S(図4参照)に保持するための全閉ストッパ23が設けられる。オープナレバー21には、オープナスプリング24の一端が接続される。オープナスプリング24の他端は、スロットルシャフト3に接続される。オープナスプリング24は、スロットルバルブ4を開方向へ付勢する。これらオープナレバー21、リターンスプリング14、全開ストッパ22、全閉ストッパ23及びオープナスプリング24等によりオープナ機構7が構成される。図2に示す調整ネジ25は、オープナ開度位置N(図4参照)を調整するために操作されるものであり、オープナ機構7に含まれる。
【0023】
ここで、リターンスプリング14の付勢力は、DCモータ5の出力よりも小さく、DCモータ5の非通電時におけるディテントトルクよりも大きく設定されている。この設定は、DCモータ5の通電時には、リターンスプリング14又はオープナスプリング24の付勢力に抗してスロットルバルブ4を開いたり閉じたりし、非通電時には、リターンスプリング14及びオープナスプリング24等の作用によりスロットルバルブ4を所定のオープナ開度位置N(図4参照)に保持するためのものである。
【0024】
図4に示すように、オープナ開度位置Nは、エンジンが停止されるDCモータ5の非通電時に、エンジンを再始動させるときの吸気を確保するための初期開度をスロットルバルブ4に与える。一方、エンジン運転中にDCモータ5への通電が万一遮断されたときには、このオープナ開度位置Nが、エンジンの出力を必要最小限のレベルで維持するための開度をスロットルバルブ4に与える。これにより、エンジンの運転を持続させて自動車の退避走行を可能とする。上記のようにDCモータ5の非通電時、或いは、DCモータ5への通電遮断時には、スロットルシャフト3及びオープナレバー21がリターンスプリング14により閉方向へ付勢される。これと同時に、スロットルシャフト3がオープナスプリング24により開方向へ付勢される。これらリターンスプリング14及びオープナスプリング24の釣り合いにより、スロットルバルブ4がオープナ開度位置Nに保持される。
【0025】
スロットルバルブ4をオープナ開度位置Nから全開位置Fへ開くには、DCモータ5の出力がリターンスプリング14の付勢力に抗してスロットルシャフト3に与えられ、オープナレバー21が全開ストッパ22に係合するまでスロットルシャフト3が回動される。一方、スロットルバルブ4をオープナ開度位置Nから全閉位置Sまで閉じるには、DCモータ5の出力がオープナスプリング24の付勢力に抗してスロットルシャフト3に与えられ、同シャフト3が全閉ストッパ23に係合するまで回動される。
【0026】
ここで、エンジン運転時には、アクセルペダル(図示略)の操作に応じて電子制御装置(図示略)によりDCモータ5が制御されることにより、スロットルバルブ4が所定の目標開度に開かれる。このとき、スロットルバルブ4の開度は、アクセルペダルの操作量に応じて、図4に示すように全閉位置Sから全開位置Fまでの間の作動範囲の中で決定される。全開位置Fでは、オープナレバー21が全開ストッパ22に係合することから、ボア8が最大限に開けられた状態でスロットルバルブ4が保持される。この全開ストッパ22があることから、スロットルバルブ4が全開位置Fを超えて開方向へ余分に回動することがない。一方、全閉位置Sでは、スロットルシャフト3が全閉ストッパ23に係合することから、ボア8が最大限に閉じられた状態でスロットルバルブ4が保持される。この全閉ストッパ23があることから、スロットルバルブ4が全閉位置Sを超えて閉方向へ余分に回動することがない。
【0027】
図5に、DCモータ5の部分破断図を示す。図6に、図5のA−A線に沿った断面図を示す。図5に示すように、DCモータ5は、ステータ31と、ステータ31の中で回転するロータ32とを備える。ステータ31は、ヨークを兼ねた有底筒形のハウジング33と、ハウジング33の内側に配置された界磁部としての界磁石34とを含む。ハウジング33の開口端はブラケット35により塞がれる。界磁石34は、基礎となる磁束を作る磁石である。ハウジング33は、主として鉄より構成され、界磁石34とともに磁気回路(磁界)を構成する。一方のブラケット35には、端子(図示略)に接続されたブラシ36が設けられる。ロータ32は、出力シャフト5aと、そのシャフト5a上に設けられたベアリング37、整流子38及び電機子39とを含む。電機子39には、巻線40が設けられる。巻線40は、電機子39の複数の鉄心溝(スロット)41に挿入されたコイルが結線されることにより構成される。整流子38には、ブラシ36が接触して巻線40に電流を流す。巻線40に電流が流れることにより、電機子39に回転力が発生する。電機子39は、鉄からなる積層板であって、複数の突極39aと、複数のスロット(鉄心溝)41を含み、隣り合うスロット41の間にはコイルが巻かれ、それらコイルにより巻線40が構成される。図7に示すように、この実施の形態で、各突極39aの外周面に、凹凸状の補助溝39bが形成される。
【0028】
即ち、DCモータ5は、偶数の磁極を形成する界磁石34と、巻線40が巻装される複数のスロット41及び複数の突極39aを有する電機子39とを備える。そして、界磁石34と電機子39とが互いに相対回転可能に設けられる。また、各突極39aにおける界磁石34と対向する位置に補助溝39bが設けられる。
【0029】
図6に示すように、この実施の形態のDCモータ5は、4極6スロット構成の磁気回路を備えたものである。ここで、「4極」とは、界磁石34により構成される磁極(NSNS)の数が偶数の「4つ」であることを意味する。「6スロット」とは、コイルが挿入されるスロット41が「6つ」であることを意味する。
【0030】
以上説明したこの実施の形態の電子スロットル装置1によれば、DCモータ5において電機子39の各突極39aの界磁石34と対向する位置に補助溝39bが設けられることから、DCモータ5のコギング力が小さくなり、これによりDCモータ5にて非通電時にロータ32に生じるディテントトルクが相対的に小さくなる。
【0031】
図8に、DCモータにおける1回転当たりのディテントトルクの変化をグラフに示す。このグラフで、下側の曲線は、本実施の形態のDCモータ5(電機子39の各突極39aに補助溝39bを設けたもの)に関するディテントトルクの変化を示す。上側の曲線は、従来例のDCモータ51(電機子の各突極に補助溝を設けていないもの)に関するディテントトルクの変化を示す。このグラフからも明らかなように、本実施の形態のDCモータ5は、従来例のDCモータ51に比べ、ディテントトルクが相対的に小さいことが分かる。その実測値を比較すると、本実施の形態では、従来例に比べて約20%ほどディテントトルクを低減させることができた。
【0032】
従って、リターンスプリング14の付勢力を相対的に小さく設定することが可能となり、その付勢力に抗してスロットルバルブ4を開方向へ駆動するために必要なDCモータ5の電流値を相対的に小さく設定することが可能となる。
【0033】
図9,10に、スロットルバルブの開度(スロットル開度)に対するスロットル作動トルクの変化をそれぞれグラフに示す。図9は、本実施の形態の電子スロットル装置1に関するグラフであり、図10は、従来例の電子スロットル装置に関するグラフである。これらグラフの比較から明らかなように、本実施の形態では、「オープナ開度」を基準に開側及び閉側でスロットル開度が変化する場合の両方で、リターンスプリング荷重を相対的に小さくすることができ、それによってスロットル作動トルクが相対的に小さくなることが分かる。
【0034】
このため、本実施の形態では、DCモータ5に供給される電流値を相対的に小さくすることができ、DCモータ5による消費電力を低減させることができ、DCモータ5を小型化することができる。この結果、DCモータ5の消費電力を低減できる分だけ電子スロットル装置1による消費電力を低減させることができ、DCモータ5を小型化できる分だけ電子スロットル装置1を小型化することができる。つまり、この実施の形態の電子スロットル装置1によれば、特に複雑な機構を付加することなく、単に電機子39の各突極39aに補助溝39bを設けたDCモータ5を採用するだけの比較的簡易な構成により、電子スロットル装置1による消費電力を低減させることができ、同装置1を小型化することができる。
【0035】
ここで、従来は、電機子の各突極における補助溝が、DCモータのトルク変動に影響のあるコギング力を小さくする観点だけから設けられていた。そのため、電機子の各突極に補助溝を設けたDCモータが電子スロットル装置に採用されることはなかった。つまり、この実施の形態のように、電機子39の各突極39aに補助溝39bを設けたDCモータ5が、そのディテントトルクを小さくする観点から電子スロットル装置1に採用されることは初めてのことである。
【0036】
また、この実施の形態では、DCモータ5のディテントトルクを低減できることから、減速機構6における各ギア13,15,16の摩耗、ブラシ36の摩耗を低減させることができ、それらの長寿命化を図ることができる。さらに、ベアリング37にかかる荷重を低減させることができ、定格荷重の低減によりスロットルシャフト3の小径化を図ることができる。これにより、電子スロットル装置1を構成する駆動系部品の低コスト化、長寿命化、簡易構成化を図ることができる。
【0037】
その他、この実施の形態の電子スロットル装置1によれば、リターンスプリング14の付勢力を低減できることから、スロットルバルブ4の開閉動作の応答性を向上させることができる。このことから、延いては、エンジンの吸気流量特性を向上させることができ、作動音を低減させて静粛性を改善することもできる。
【0038】
[第2の実施の形態]
次に、本発明の電子スロットル装置を具体化した第2の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
【0039】
尚、この実施の形態において、前記第1の実施の形態と同等の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略し、以下には異なった点を中心に説明する。
【0040】
この実施の形態の電子スロットル装置では、DCモータ45の点で第1の実施の形態の電子スロットル装置1と構成が異なる。図11には、DCモータ45の部分破断図を示す。図12には、図11のB−B線に沿った断面図を示す。図11は、図5に準じ、図12は、図6に準ずる。
【0041】
図11に示すように、全体構成において、界磁石34の厚み、巻線40の大きさを除いて、DCモータ45の基本構成要素は、前述したDCモータ5のそれと同じである。図中「45a」は、DCモータ45の出力シャフトを示す。そして、この実施の形態では、DCモータ45における磁気回路の構成の点で、前述したDCモータ5のそれと特に異なる。
【0042】
即ち、図12に示すように、この実施の形態のDCモータ45でも、電機子39の各突極39aに補助溝39bが設けられる。加えて、DCモータ45は、2極7スロット構成の磁気回路を備える。ここで、「2極」とは、界磁石34により構成される磁極(NS)の数が偶数の「2つ」であることを意味する。「7スロット」とは、コイルが挿入されるスロット41が「7つ」であることを意味する。
【0043】
従って、この実施の形態の電子スロットル装置によっても、基本的には、第1の実施の形態の電子スロットル装置1と同等の作用効果を得ることができる。
【0044】
尚、この発明は前記各実施の形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱することのない範囲で以下のように実施することもできる。
【0045】
例えば、前記各実施の形態では、界磁石34の磁極の数を偶数である「4」又は「2」としたが、この数は偶数であれば「4」又は「2」以外の数にすることもできる。
【0046】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明の構成によれば、DCモータの電機子の各突極に補助溝を設けたので、DCモータのコギング力が小さくなり、これによりDCモータのディテントトルクが相対的に小さくなる。このため、リターンスプリングの付勢力を相対的に小さく設定することが可能となり、その付勢力に抗してスロットルバルブを開方向へ駆動するために必要なDCモータの電流値を相対的に小さくすることが可能となる。この結果、DCモータによる消費電力を低減させることができ、同モータを小型化させることができ、延いては、電子スロットル装置につき、比較的簡易な構成により消費電力を低減させることができ、同装置を小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態に係り、電子スロットル装置を示す平断面図。
【図2】エンドフレームを取り外した状態のバルブハウジングを示す正面図。
【図3】オープナ機構を含む電子スロットル装置を示す概念構成図。
【図4】オープナ機構によるスロットルバルブの動作を示す説明図。
【図5】DCモータを示す部分破断図。
【図6】図5のA−A線に沿った断面図。
【図7】突極の一部を示す正面図。
【図8】DCモータにおける1回転当たりのディテントトルクの変化を示すグラフ。
【図9】スロットル開度に対するスロットル作動トルクの変化を示すグラフ。
【図10】スロットル開度に対するスロットル作動トルクの変化を示すグラフ。
【図11】第2の実施の形態に係り、DCモータを示す部分破断図。
【図12】図11のB−B線に沿った断面図。
【図13】従来例のDCモータの断面図。
【符号の説明】
1 電子スロットル装置
3 スロットルシャフト
4 スロットルバルブ
5 DCモータ
14 リターンスプリング
34 界磁石
39 電機子
39a 突極
39b 補助溝
40 巻線
41 スロット
45 DCモータ
Claims (1)
- スロットルシャフト上に一体的に設けられたスロットルバルブと、
前記スロットルバルブを開方向へ駆動するために前記スロットルシャフトを回動させるDCモータと、
前記スロットルバルブを閉方向へ付勢するためのリターンスプリングと
を備えた電子スロットル装置において、
前記DCモータは、偶数の磁極を形成する界磁部と、巻線が巻装される複数のスロット及び複数の突極を有する電機子と、前記界磁部と前記電機子とが互いに相対回転可能に設けられることと、前記各突極の前記界磁部と対向する位置に設けられる補助溝とを備えたことを特徴とする電子スロットル装置。
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