JP2004270320A - 耐震補強用接合構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】補強工事が施工空間だけで完了でき、簡単な構成で強度の大きい耐震補強用接合構造を提供することを目的とする。
【解決手段】断面角形又は円形の構造部材に耐震補強用部材を接合する接合金具において、前記接合金具は前記構造部材の一方の面と面接合する接合部を有し、前記接合金具と前記構造部材の一方の面とを接着剤または高力ボルトで接合し、前記接合金具は接合部の反対側に補強部を有し、前記補強部に少なくとも1枚の水平補強リブを固定したことを特徴とする耐震補強用接合構造。
【選択図】図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、構造物を耐震補強するため断面角形の構造部材に耐震補強用部材を接合する耐震補強用接合構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、構造物が鉄骨構造の場合は、ブレース等の耐震補強用部材を柱梁の交差部に接合する接合金具を現場溶接により接合していた。
また、構造物が鉄筋コンクリート構造、鉄骨鉄筋コンクリート構造の場合、耐震補強用部材を設置するために鉄骨枠組を据えつけて行っていた。
柱、梁等の構造部材にブレース等の耐震補強用部材を接合する接合構造として、例えば、特開平10−292636号公報(以下、「従来例1」という。)には図5に示されるように、断面角形の構造部材である柱21に耐震補強用部材であるブレース22を接合するための接合金具23は、2つに分割されブレース22の端部との連結用つば25を形成した鋼板ジャケット24で構成し、2つの鋼板ジャケット24を断面角形の柱22の外周に抱き込むように配置し、断面角形の柱22と接合金具23との間にモルタル又はコンクリートを充填して固定し、鋼板ジャケット24の連結用つば25とブレース22の端部を連結する耐震補強用接合構造が開示されている。
また、特開平10−184031号公報(以下、「従来例2」という。)には、断面角形の柱にブレース等の耐震補強用部材を接合するための接合金具において、断面凸状に成形された鋼板を断面角形の柱に当接し、且つ前記断面角形の柱及び前記鋼板外面に沿って高強度繊維シートを接着しながら巻き付け、前記角形柱と鋼板との間にコンクリートを充填して固定し、前記鋼板に耐震補強用部材を連結した耐震補強用接合構造が開示されている。
【0003】
【特許文献1】
特開平10−292636号公報
【特許文献2】
特開平10−184031号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、鉄骨構造の場合の現場溶接による接合では、無理な姿勢での現場溶接のため溶接強度の信頼性が低下し、現場溶接のため溶接箇所周囲の養生が必要であり、既存の構造物の場合、居つき工事ができず、工事期間が長くなるという問題を有していた。
また、鉄筋コンクリート構造、鉄骨鉄筋コンクリート構造の場合は、限られたスペースでの鉄骨枠組の据付工事が必要であり、工事期間が長期化し、コスト高になるという問題が発生する。
さらに、鉄骨鉄筋コンクリート構造では、内部の鉄骨が邪魔になり長い後施工アンカーが施工できないという問題が発生する。
断面角形の構造部材に接合金具を固定する従来例1の場合は、柱と耐震補強用部材の接合金具としての鋼板ジャケットが柱全体を抱え込む形状となっているため、工事する際に隣室まで作業範囲がおよんでしまい、柱が独立柱でなければ適用できず、鉄骨構造で間仕切り壁がある場合は、壁を壊す必要があり、鉄筋コンクリート構造の場合は、壁、袖壁が存在すると適用できないという問題が発生する。また、鋼板ジャケットの剛性が小さいとブレースとの接合部に引張力が作用する場合、鋼板ジャケットが面外に変形するため、鋼板ジャケットの板厚を厚くしなければならず、コスト高となる。
従来例2の場合は、断面角形の柱と断面凸状に成形された鋼板を当接し、高強度繊維シートを接着しながら巻き付けつ固定するものであるため、工事する際に隣室まで作業範囲がおよんでしまい、柱が独立柱でなければ適用できず、炭素繊維等の高強度繊維は高価であり、コスト高となる。
【0005】
本発明は、上記課題を解決する、補強工事が施工空間だけで完了でき、簡単な構成で強度の大きい耐震補強用接合構造を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本第1発明は、上記課題を解決するために、耐震補強用接合構造において、断面角形又は円形の構造部材に耐震補強用部材を接合する接合金具において、前記接合金具は前記構造部材の一方の面と面接合する接合部を有し、前記接合金具と前記構造部材の一方の面とを接着剤または高力ボルトで接合し、前記接合金具は接合部の反対側に補強部を有し、前記補強部に少なくとも1枚の水平補強リブを固定したことを特徴とする。
【0007】
本第2発明は、本第1発明の耐震補強用接合構造において、前記接合金具の補強部に耐震補強用部材を接合するためのガセットプレートを固定したことを特徴とする。
【0008】
本第3発明は、本第1または第2発明の耐震補強用接合構造において、前記構造部材が柱であり、前記耐震補強用部材がブレースであることを特徴とする。
【0009】
【作用】
本発明の構成により、断面角形又は円形の構造部材に耐震補強用部材を接合する接合金具において、前記接合金具は断面角形又は円形の前記構造部材の一方の面と面接合する接合部を有し、前記接合金具の接合部と前記構造部材の一方の面とを接着剤または高力ボルトで接合し、前記接合金具は接合部の反対側に補強部を有し、前記補強部に少なくとも1枚の水平補強リブを固定する構成により、耐震補強工事が工事対象空間だけですみ、接着剤または高力ボルトによる接合であるため、溶接作業がなく、騒音及び振動の発生が抑制され、工事対象空間外の空間では、通常の生活が可能となり、工期も短縮可能となり、施工コストの安価な耐震補強用接合構造を可能とする。
また、前記接合金具の接合部との反対側の補強部に少なくとも1枚の水平補強リブを固定することにより、接合金具の板厚を厚くすることなく接合金具の剛性を向上させ、接合金具に接合される耐震補強用部材からの引張力を接合金具の構造部材との接合部を介して面内応力として構造部材に伝達するため、支持力の大きい接合金具が可能となる。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図により説明する。
図1に示されるように、本発明の耐震補強用接合構造1は、構造部材としての断面角形又は丸形の柱2にダイアフラム3を介して梁4が接続され、梁4上にコンクリートスラブ5が配置される建築構造物等に適用される。この構造物を耐震補強するための耐震補強用接合構造1は、耐震補強用部材としてのブレース6と、ブレース6を構造部材に連結するため接合金具7を有する。
【0011】
図2に示される実施形態では、接合金具7は、断面角形の柱2の一方の面と面接合する断面コ字形の接合部8を備える。接合金具7は、断面角形の柱2の接合する断面コ字形の接合部8と反対側に補強部9を備える。接合金具7の補強部9に、ガセットプレート10の一端が溶接等の手段により固定される。接合金具7の補強部9に少なくとも1枚の水平補強リブ11が溶接等の手段により固定される。断面角形の柱2と接合金具7の接合部8とは、エポキシ樹脂系接着剤等の接着剤12又は高力ボルトにより接合される。ガセトプレート10に耐震補強材としてのブレース6が連結ボルト等により連結される。
【0012】
図3に示される実施形態では、接合金具7は断面丸形の柱2の一方の面と面接合する断面半円形の接合部8を備える。接合金具7は、断面H形の補強部9を備え、断面半円形の接合部8の反対側の補強部9にガセットプレート10の一端が溶接等の手段により固定される。接合金具7の補強部9に少なくとも1枚の水平補強リブ11が溶接等の手段により固定される。断面丸形の柱2と接合金具7の接合部8とは、エポキシ樹脂系接着剤等の接着剤12又は高力ボルトにより接合される。ガセトプレート10に耐震補強材としてのブレース6が連結ボルト等により連結される。
【0013】
図4に示される実施形態では、接合金具7は断面角形の柱2の角部を中心とした一方の面と面接合する断面略L形の接合部8を備える。接合金具7は、断面H形の補強部9を備え、断面略L形の接合部8の反対側の補強部9にガセットプレート10の一端が溶接等の手段により固定される。接合金具7の補強部9に少なくとも1枚の水平補強リブ11が溶接等の手段により固定される。断面角形の柱2と接合金具7の断面略L形の接合部8とは、エポキシ樹脂系接着剤等の接着剤12又は高力ボルトにより接合される。ガセトプレート10に耐震補強材としてのブレース6が連結ボルト等により連結される。
【0014】
【発明の効果】
本発明の構成により、断面角形又は円形の構造部材の一方の面に接合金具の接合部を面接合し、エポキシ樹脂系接着剤等の接着剤または高力ボルトで連結するので、耐震補強工事が工事対象空間だけですみ、接着剤または高力ボルトによる接合であるため、溶接作業がなく、騒音及び振動の発生が抑制され、工事対象空間外の空間では、通常の生活が可能となり、工期も短縮可能となり、施工コストの安価な耐震補強用接合構造を可能とする。
また、前記接合金具の接合部との反対側の補強部に少なくとも1枚の水平補強リブを固定することにより、接合金具の板厚を厚くすることなく接合金具の剛性を向上させ、接合金具に接合される耐震補強用部材からの引張力を接合金具の接合部を介して面内応力として断面角形又は円形の構造部材に伝達するため、支持力の大きい接合金具が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す正面図。
【図2】本発明の一実施形態を示す一部断面図。
【図3】本発明の一実施形態を示す一部断面図。
【図4】本発明の一実施形態を示す一部断面図。
【図5】従来の耐震補強用接合構造を示す図。
【符号の説明】
1: 耐震補強用接合構造
2: 断面角形又は円形の柱
3:ダイアフラム
4:梁
5:コンクリートスラブ
6:ブレース
7:接合金具
8:接合部
9:補強部
10:ガセットプレート
11:水平補強リブ
12:接着剤
13:連結ボルト
21:断面角形柱
22:ブレース
23:接合金具
24:鋼板ジャケット
25:連結用つば25

Claims (3)

  1. 断面角形又は円形の構造部材に耐震補強用部材を接合する接合金具において、前記接合金具は前記構造部材の一方の面と面接合する接合部を有し、前記接合金具と前記構造部材の一方の面とを接着剤または高力ボルトで接合し、前記接合金具は接合部の反対側に補強部を有し、前記補強部に少なくとも1枚の水平補強リブを固定したことを特徴とする耐震補強用接合構造。
  2. 前記接合金具の補強部に耐震補強用部材を接合するためのガセットプレートを固定したことを特徴とする請求項1に記載の耐震補強用接合構造。
  3. 前記構造部材が柱であり、前記耐震補強用部材がブレースであることを特徴とする請求項1又は2に記載の耐震補強用接合構造。
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