図1は、この発明の実施形態の一例を示す画像記録装置であるディジタル複写機の構成を示す正面断面の略図である。ディジタル複写機30は、スキャナ部31及びレーザ記録部32により構成されている。スキャナ部31は、透明ガラスからなる原稿載置台35、原稿載置台35上に原稿を自動的に供給搬送する両面対応自動原稿送り装置(RADF)36、及び、原稿載置台35上に載置された原稿の画像を読み取るスキャナユニット40から構成されている。スキャナ部31において読み取られた原稿の画像は、画像データとして後述する画像データ入力部へ送られ、画像データに対して所定の画像処理が施される。
RADF36は、所定の原稿トレイ上にセットされた複数枚の原稿を1枚ずつ自動的に原稿載置台35上に搬送する。また、RADF36は、オペレータの選択に応じて原稿の片面又は両面を選択的にスキャナユニット40に読み取らせるため、片面原稿用搬送路、両面原稿用搬送路及び搬送路切換手段を備えている。 スキャナユニット40は、原稿の画像面を露光するコピーランプ41と、原稿からの反射光を電気的画像信号に変換する光電変換素子(CCD)44と、原稿からの反射光をCCD44に配光するミラー42a〜42cを設けた走査ユニット40a,40bと、原稿からの反射光をCCD44に結像させるレンズ43とから構成されている。
スキャナ部31は、RADF36とスキャナユニット40との関連した動作により、原稿載置台35上に読み取るべき原稿を順次載置させながら、原稿載置台35の下面に沿ってスキャナユニット40を水平に移動させて原稿の画像を走査する。スキャナユニット40の走査により読み取られた画像データは、後述する画像処理部に送られ、各種画像処理が施された後、メモリに一旦記憶される。画像処理部は、出力指示にしたがってメモリ内の画像データをレーザプリンタ部32に供給し、用紙上に画像を形成する。
レーザプリンタ部32は、用紙収納搬送部33、レーザ書込ユニット46及び電子写真プロセス部47を備えている。レーザ書込ユニット46は、画像処理部から供給された画像データに応じたレーザ光を照射する半導体レーザ、レーザ光を等角速度偏光するポリゴンミラー、及び、等角速度偏光されたレーザ光が電子写真プロセス部47の感光体ドラム48上で等速度偏光されるように補正するfθレンズ等を備えている。
用紙収納搬送部33には、第1カセット51、第2カセット52、両面複写ユニット53及び手差しトレイ54が備えられている。この用紙収納搬送部33の各カセットには、複数枚の用紙がサイズ毎に収納されており、オペレータが所望するサイズを収納したカセットを選択すると、そのカセットから用紙が一枚ずつ給紙され、搬送経路55を経由して順次レーザプリンタ部32に搬送される。
電子写真プロセス部47は、感光体ドラム48の周囲に設置された帯電器、現像器、転写器、剥離器、クリーナ及び除電器と、感光体ドラム48の用紙搬送方向の下流側に設けられた定着装置49とを備えている。定着装置49の下流側には、後処理装置34に連続する搬送路57と両面複写ユニット53に連続する搬送路58とに分岐した用紙排紙搬送路50が形成されている。
複写動作において、レーザ書込ユニット46から照射されたレーザ光により電子写真プロセス部47の感光体ドラム48の表面に静電潜像が形成される。この静電潜像は、現像器から供給されるトナーによってトナー画像に顕像化された後、用紙収納給紙部33から給紙された用紙に静電転写され、定着装置49による加熱及び加圧を受けて用紙上に定着する。トナー画像が形成された用紙は搬送路50及び57を経由して後処理装置34に搬送されるか、又は、搬送路50及び58を経由して両面複写ユニット53に搬送される。
図2は、上記ディジタル複写機が有する画像処理部の構成を示すブロック図である。画像処理部は、画像データ入力部70、画像処理部71、画像データ入力部72、RAM及びハードディスク等から構成されるメモリ73及びCPU74を備えている。画像データ入力部70は、CCD部70a、ヒストグラム処理部70a及び誤差拡散処理部70cから構成される。この画像データ入力部70は、CCD42から読み込まれた画像データを2値化変換して2値のディジタル量としてヒストグラムを取りながら、誤差拡散法により画像データを処理してメモリ73に格納する。
即ち、CCD部70aでは、画像データの各画素濃度に応じたアナログ電気信号がA/D変換された後、MTF補正、白黒補正又はガンマ補正が行われ、256階調(8ビット)のディジタル信号としてヒストグラム処理部70bに出力される。ヒストグラム処理部70bでは、CCD部70aから入力されたディジタル信号が256階調の画素濃度別に加算され濃度情報(ヒストグラムデータ)を得るとともに、必要に応じて得られたヒストグラムデータをCPU74、又は、画素データとして誤差拡散処理部70cに出力する。誤差拡散処理部70cは、疑似中間処理の一種である誤差拡散法、即ち、2値化の誤差を隣接画素の2値化判定に反映させる方法により、CCD部70aから出力された8ビット/画素のディジタル信号が1ビット(2値)に変換され、原稿における局所領域濃度を忠実に再現するための再配分演算が行われる。
画像処理部71は、多値化処理部71a,71b、合成処理部71c、濃度変換処理部71d、変倍処理部71e、画像プロセス部71f、誤差拡散処理部71g及び圧縮処理部71hにより構成されている。この画像処理部71は、入力された画像データをオペレータが所望する画像データに最終的に変換する処理部であり、最終的に変換された出力画像データとしてメモリ73に格納されるまで処理を行う。但し、画像処理部71を構成する上述の各処理部71a〜71hは、必要に応じて選択的に機能する。
即ち、多値化処理部71a及び71bは、誤差拡散処理部70cにおいて2値化されたデータが再度256階調に変換される。合成処理部71cでは、画素毎の論理演算、即ち、論理和、論理積又は排他的論理和の演算が選択的に行われる。この演算の対象となるデータは、メモリ73に格納されている画素データ及びパターンジェネレータ(PG)から出力されるビットデータである。濃度変換処理部71dでは、256階調のデータ信号に対して、所定の階調変換テーブルに基づいて入力濃度に対する出力濃度の関係が任意に設定される。変倍処理部71eでは、指示された変倍率に応じて入力される既知データにより補間処理を行うことにより、変倍後の対象画素に対する画素データ(濃度値)が求められ、副走査方向について変倍した後に主走査方向についての変倍を行う。画像プロセス部71fでは、入力された画素データに対して様々な画像処理が行われるとともに、特徴抽出等のデータ列に対する情報収集が行われる。誤差拡散処理部71gでは、画像データ入力部70の誤差拡散処理部70cと同様な処理が行われる。圧縮処理部71hでは、ランレングスという符号化により2値データが圧縮される。この画像データの圧縮は、最終的な出力画像データが完成した時点で最後の処理ループにおいて実行される。
画像データ出力部72は、復元部72a、多値化処理部72b、誤差拡散処理部72c及びレーザ出力部72dによって構成されている。画像データ出力部72は、圧縮状態でメモリ73に記憶されている画像データを復元し、もとの256階調に再度変換し、2値データより滑らかな中間調表現となる4値データの誤差拡散を行い、レーザ出力部72dにデータを転送する。
即ち、復元部72aでは、圧縮処理部71hにおいて圧縮された画像データが復元される。多値化処理部72bでは、画像処理部71の多値化処理部71及び71bと同様な処理が行われる。誤差拡散処理部72cでは、画像データ入力部70の誤差拡散処理部70cと同様な処理が行われる。レーザ出力部72dでは、図示しないシーケンスコントロールからの制御信号に基づき、ディジタル画素データがレーザのオン/オフ信号に変換され、レーザ書込ユニット46における半導体レーザがオン/オフ状態となり、感光体ドラム48上に静電潜像が書き込まれる。
なお、画像データ入力部70及び画像データ出力部72において扱われるデータは、メモリ73の容量を削減するため、基本的には2値データとして記憶されているが、画像データの劣化を考慮して4値データとして処理することもできる。
図3は、上記ディジタル複写機におけるCPUによる各部の処理状態を示す図である。CPU74は、RADF36、スキャナ部31、レーザプリンタ部32等の各駆動機構部をシーケンス制御により管理するとともに、各駆動機構部に対して制御信号を出力する。さらに、CPU74には、操作パネルの操作基板ユニット75が相互通信可能な状態で接続されており、オペレータが設定入力した複写モードに応じて制御信号をCPU74に転送し、ディジタル複写機30を複写モードに応じて動作させる。一方、CPU74は、操作基板ユニット75に対してディジタル複写機30の動作状態を示す制御信号を転送し、操作基板ユニット75においてディジタル複写機30の現在の動作状態を表示する。
ソータコントロールユニット76は、ディジタル複写機30から排出された複写用紙の仕分け等を行うソータ等の後処理装置の動作を管理する。画像データ通信ユニット77は、画像情報及び画像制御信号等の他のディジタル画像機器との画像通信を行う。
図4は、上記ディジタル複写機の操作パネルの平面図である。操作パネルの中央部には、タッチパネルを有する液晶表示装置1が配置されており、その周囲に各種のモード設定キー群が配置されている。液晶表示装置1の画面上には、画像編集機能の選択を受け付ける選択画面に切り換えるための画面切換指示エリアが常時設けられており、このエリアを押圧操作することにより、各種画像編集機能が一覧表示される。液晶表示装置1に一覧表示された画像編集機能の中からオペレータが所望する機能が表示さている領域を押圧操作することにより、その画像編集機能が設定される。
ダイヤル2は、液晶表示装置1の画面の明るさを調整する際に操作する。倍率自動設定キー3は、複写倍率を自動的に選択させるモードを設定する際に操作する。ズームキー4は、複写倍率を1%単位で変化させる際に操作する。固定倍率キー5及び6は、固定された倍率を選択する際に操作する。等倍キー7は、複写倍率を標準倍率に復帰させる際に操作する。濃度切換キー8は、複写濃度調整を自動モード、手動モード又は写真モードのいずれかに切り換える際に操作する。濃度調整キー9は、手動モード又は写真モードの複写濃度調整時において濃度レベルを細かく調整する際に操作する。トレイ選択キー10は、ディジタル複写機30にセットされている用紙サイズの中から所望の用紙サイズを選択する際に操作する。
枚数設定キー11は、複写枚数を設定する際に操作する。クリアキー12は、複写枚数の設定値をクリアしたり、連続複写動作を途中で中断する際に操作する。スタートキー13は、複写動作の開始を指示する際に操作する。全解除キー14は、現在設定されている全てのモードを解除して標準状態に復帰させる際に操作する。割込キー15は、連続複写動作中に別の原稿の複写動作を行う際に操作する。操作ガイドキー16は、操作方法のガイダンスを表示させる際に操作する。順送りキー17は、表示中の操作方法のガイダンスの続きを表示させる際に操作する。両面モード設定キー18は、用紙の両面に複写する両面複写モードを設定する際に操作する。後処理モード設定キー19は、後処理装置による複写済の用紙の仕分方法を設定する際に操作する。
設定キー20〜22は、ファクシミリモード時に操作される。メモリ送信モードキー20は、送信原稿の画像データを一旦メモリに蓄えてから送信する際に操作する。モード切換キー21は、ディジタ複写機30の動作モードを複写機又はファクシミリのいずれかに選択的に切り換える際に操作する。ワンタッチダイヤルキー22は、送信先の電話番号を予め記憶させておき、ワンタッチ操作で送信先に電話を発信させる際に操作する。
上記液晶表示装置1には、複数の表示画面が階層表示される。この複数の表示画面の階層構造を図5に示す。液晶表示装置1は、図6及び図7に示す表示画面を図5に示す階層構造にしたがって表示する。
図8は、上記ディジタル複写機のシステム構成を示す図である。このシステムは、複数のディジタル複写機30を通信手段を介して接続することにより構成されている。オフィス内には、スキャナやプリンタ等とともに、電話回線を介してデータを送受信することができるファックス機能や、パーソナルコンピュータ又はワードプロセッサ等から出力される文書データをプリントアウトするプリンタ機能を有するディジタル複写機等の情報機器が存在する。これらの情報機器は、SCSI等の汎用インタフェースを介して相互に接続されており、データの送受信を行う。このデータとしては、制御用のコマンドコードや画像の濃度データ等のビットデータがある。
上述のようにディジタル複写機としては、種々の機能を備えたものがあり、例えば、ディジタル複写機30aは、メモリレスの低機能廉価型のディジタル複写機であり、白黒反転、斜体及び鏡像等のメモリを必要としない基本的な編集機能を備えている。通信用のインタフェースとしては、画像データを高速に転送できるイーサネット(登録商標)を備えている。このディジタル複写機30aは、複写速度が20CPM(1分間当りの複写枚数)程度の低速タイプである。
ディジタル複写機30bは、64MBのメモリ(400DPI、8bit/pix でA4サイズ4枚分)を備えており、上述の基本的な編集機能に加えて、合成やリピート等の編集機能を有する。ディジタル複写機30bは、通信用のインタフェースとして、ディジタル複写機30aと同様の画像データを高速で転送できるイーサネット(登録商標)を備え、複写速度が40CPM程度の中速タイプである。
ディジタル複写機30cは、500MBの大容量メモリ(400DPI、8bit/pix 、圧縮率1/4でA4サイズ100枚分)を備えており、ディジタル複写機30bの編集機能に加えて、頁順を変えたり、各種のフォーマット化された文書データを記憶する。さらに、ディジタル複写機30cには、読み取った画像データから文字を抽出する文字認識用のソフトウェアが搭載されており、ビットデータのコード化もできる。このディジタル複写機30cは、複写速度が60CPM程度の高速タイプである。また、ディジタル複写機30cには、高速画像データ転送用のイーサネット(登録商標)だけでなく、SCSIやRS232C等の汎用の通信用インタフェースも備えられている。
システム内には、ディジタル複写機30a〜30cに加えて、読取解像度が600DPIのカラースキャナ81、及び、記録密度が600DPIのフルカラープリンタ82が接続されており、汎用の通信用インタフェースを介してディジタル複写機30cとの間で相互にデータを送受信する。
以上のように構成されたシステム80において、豊富な画像編集機能を備え、かつ、大容量のメモリを有するディジタル複写機30cをメイン複写機として設定することにより、通信手段を介して接続された他のディジタル複写機30a,30bからディジタル複写機30cが有する豊富な画像編集機能を活用することができる。また、ディジタル複写機30a〜30c間で相互に画像データの送受信ができることから、あるディジタル複写機またはカラースキャナ81で読み取った画像を他のディジタル複写機やカラープリンタ82で複写することもできる。
上記のシステム80における通信データをイメージデータ等のビットデータ(1画素単位の階層データ、例えば、8ビット:256階調)とすることにより高階調画像を高精細に伝送できる。また、文字等のテキストデータをコード化して少ないデータ量で高速に伝送することもできる。特に自然画等の階調を有する画像データは、一般的にデータを圧縮することを目的とした面積階調手法の1つであるディザ法や、誤差拡散法で表現されたデータとして伝送することもある。この誤差拡散画像への変換は、各機器内で事前に行われる。
伝送データの形式は、各ディジタル複写機又はプリンタの設定により定まる。したがって、各スキャナからの画像データは、プリンタ部に転送された後、画像処理部において書込時に必要となるデータ列に変換され、画像データが出力される。各インタフェースは、それぞれ規定されたプロトコルと通信速度とにより定義され、伝送するデータの内容(データ量)やそれぞれの機器の位置関係(距離等)により選択する。
また、各インタフェースは、機器毎を1対1で接続するものに限るものではない。例えば、デジーチェーンのように共通の通信ラインに各機器が接続されている場合があり、このような場合にもデータの伝送相手先を特定できるように各機器にはアドレスが設定されている。
図9は、上記ディジタル複写機の複写動作における処理手順を示すフローチャートである。ディジタル複写機30は、操作パネルにおける複写モードの設定を受け付けつつ、スタートキー13の操作を待機している。スタートキー13が操作されると、中央処理ユニット74は、待機状態からコピー実行状態となる(s1)。中央処理ユニット74は、画像処理部71をリセットした後、操作基板ユニット75において設定された設定条件に基づいて、モード設定のためのコマンドを画像処理部71に対して出力し、モード条件の設定を行う(s2)。
次いで、中央処理ユニット74は、画像処理部71に対して画像入力コマンドを出力するとともに、画像読取装置31に画像の読取を開始させる(s3)。スキャナユニットの1走査分の画像の入力が完了すると(s4)、中央処理ユニット74は、画像処理部71に対して画像処理コマンドを出力し、画像処理部71において画像処理が開始される(s5)。複数枚の原稿が存在する場合には、画像処理と並行して画像の読取が継続される。
画像読取及び画像処理が終了すると(s6,s7)、画像処理データをメモリに退避させるとともに、レーザを駆動して画像の記録を開始する(s8)。これにともなって用紙の給紙を開始し(s9)、全てのページについての画像記録を終了して用紙の排出を完了することにより複写処理を終了する(s10〜s12)。
この処理において、画像記録動作または用紙の排出が所定時間を経過しても終了しない場合に、トラブルを発生したと判断し(s13)、トラブル処理を実行する(s14)。
図10は、上記ディジタル複写機におけるトラブル処理の一例を示すフローチャートである。システムを構成するディジタル複写機においてトラブルを発生した場合、トラブルを発生した複写動作に係る画像データについての画像形成処理を代行させるべき機器として、システムに接続されている他の機器を選択する(s21,s22)。ディジタル複写機30aは、選択した機器に対して代行を依頼するコマンドを送信し(s23)、代行許可を受けたのち、設定されているモード及び条件を送信する(s24,s25)。さらに、トラブルを発生した複写動作に係る画像データを送信する(s26,s27)。
例えば、図11に示した構成に係るシステムにおいて、ディジタル複写機30aにおける複写処理中にトラブルを発生した場合、ディジタル複写機30b又はプリンタ82により代行処理が実行される。この処理により、トラブルを発生した複写動作に係る画像データについての複写処理を他の機器において代行させることができる。
なお、図12に示すように、トラブルの発生時に複写処理が終了していたか否かに拘らず、トラブルを発生した複写動作における全ての画像データについて、代行処理を行う機器により複写処理を実行させることができる。例えば、5枚の原稿についての複写動作中であって3枚目の原稿についての複写処理を終了した時点でトラブルを発生した場合、代行処理において1枚目の原稿から全ての原稿についての複写処理を行う。これによって、ソーティング等の後処理が設定されていた場合にも、代行処理を行った機器においてオペレータが所望する状態で複写画像を得ることができる。
また、図13に示すように、トラブルの発生時に複写処理が終了していない画像データのみについて代行処理を行う機器に複写処理を実行させることもできる。例えば、上記の例では、代行処理を行う機器において4枚目以降の原稿の画像データについてのみ複写処理を実行する。これによって、同一の画像データについて重複して複写処理が行われないようにし、稼働効率の低下を防ぐことができる。
さらに、図14に示すように、複数枚の原稿についてマルチコピーの複写動作においてトラブルを発生した場合、原稿群の先頭の画像データから代行処理を開始させることもできる。例えば、3枚の原稿についてn部のマルチコピー中に、m部目の2枚目の原稿についての複写処理が終了した時点でトラブルを発生した場合、m部目の1枚目の原稿についての複写処理から代行処理を開始させる。これによって、ソーティング等の後処理が設定されていた場合にも、重複した複写処理を最小限に抑えつつ、オペレータが所望する状態で複写画像を得ることができる。
なお、トラブルを発生した複写動作において設定されていたモードや条件に応じて、どの画像データから代行処理を開始するかを自動的に設定するようにしてもよい。
また、代行処理を依頼する機器の選択方法は、例えば、送信した画像を記憶するためのメモリを備えているか否か、トラブルを発生したディジタル複写機と同一の条件で複写処理を実行できるか否か、設置場所が近いかどうか、管理部署が同一かどうか等によって判断する。
この判断は、代行処理の依頼コマンドを受信したディジタル複写機において、代行処理を許可するレスポンスを送信する際に行うこともできる。例えば、他のユーザによって使用されている場合、トラブルを発生している場合、必要な用紙がセットされていない場合等においては、代行処理を許可するレスポンスは送信しないようにすることが考えられる。
さらに、トラブルを発生したディジタル複写機の操作パネル上に、代行処理を依頼する機器を表示し、代行処理された複写済の用紙が存在する場所をオペレータが容易に認識できるようにしてもよい。この場合に、表示内容を確認したオペレータにより代行処理が指示された場合にのみ、代行処理の依頼を実行することもできる。また、所定時間においてトラブルの解除を待機し、所定時間を経過してもトラブルが解除されない場合にのみ代行処理を依頼するようにしてもよい。 また、代行処理を許可したディジタル複写機の操作パネル上に、代行処理を受け付けた旨を表示することにより、代行処理を許可したディジタル複写機を他のオペレータが誤って使用することを防止できる。この場合に、代行処理を受け付けた旨の表示から所定時間経過後に代行処理に係る複写動作を開始することにより、この所定時間内において他のオペレータが使用できるようにしてもよい。
さらに、トラブルを発生したディジタル複写機の操作パネル上に、代行処理の結果を表示するようにしてもよい。
図15は、ディジタル複写機におけるトラブル処理を示すフローチャートである。複写速度が互いに異なる他のディジタル複写機とともにシステムを構成するディジタル複写機においてトラブルを発生した場合、他のディジタル複写機の複写速度に応じて代行処理を行わせる。このため、代行処理量を決定した後に画像データの送信を開始する(s30→s26)。この代行処理量の決定処理は、トラブルの発生により画像形成できなかった画像データの残り枚数Cを算出し(s31)、システムに接続されている他のディジタル複写機の複写速度CPMmを処理能力Tmとして読み取り(s32)、処理能力Tmに応じた代行処理量の算出を行う(s33)。算出された代行処理量にしたがって送信すべき画像データを準備する(s34)。
例えば、図16に示すように構成されたシステムにおいて、複写速度が40CPMであるディジタル複写機30aにおいて8枚分の画像データを残してトラブルを発生した場合、ディジタル複写機30aから複写速度が60CPMであるディジタル複写機30bに対して8×60/(60+20)=6枚分の画像データが送信され、複写速度が20CPMであるディジタル複写機30cに対して8×20/(60+20)=2枚分の画像データか送信される。この処理により、ディジタル複写機30aにおける複写動作中にトラブルを生じた場合に、システムに接続された他のディジタル複写機30b,30cのそれぞれによって複写能力に応じて複写処理を代行させることができ、トラブルの発生によって処理できなかった画像データについての複写処理を素早く完了させることができる。
図17は、ディジタル複写機におけるトラブル処理の他の例を示すフローチャートである。1つのディジタル複写機においてトラブルの発生により複写処理できなかった画像データについて、システムを構成する他の機器で代行処理を実行中に、トラブルが解除されたか否かの判別を行い(s41,s42)、代行処理中にトラブルが解消した場合には、自機処理モードが選択されていることを条件に、代行処理中の機器に対して動作の停止コマンドを送信する(s44)。代行処理中の機器が動作を停止すると(s45)、処理モードを設定した後に代行処理中の機器に対して画像データの送信コマンドを送信する(s46〜s48)。これによって、代行処理中の機器から送信された画像データを受信して複写処理を実行する(s49→s8)。
例えば、図11に示した構成に係るシステムにおいて、ディジタル複写機30aにおける複写処理中にトラブルを発生し、ディジタル複写機30bによる代行処理が実行されていた場合、この代行処理中にディジタル複写機30aのトラブルが解消すると、ディジタル複写機30bによる代行処理を中止し、この中止によって残った画像データに係る複写処理をディジタル複写機30aによって実行する。この処理により、他の部署に設置されている機器を使用する時間を短縮することができる。
図18は、ディジタル複写機における再分配処理を示すフローチャートである。1つのディジタル複写機においてトラブルの発生により複写処理できなかった画像データについて、システムを構成する他の複数の機器で代行処理を実行中にトラブルが解消した場合(回復した場合)において、再分配処理モードが選択されていると、代行処理中の機器に対して動作の停止コマンドを送信する(s51,s44)。代行処理中の機器が動作を停止すると(s45)、処理モードを設定した後に代行処理中の機器に対して画像データの送信コマンドを送信し(s46,s47)、代行処理中の機器から送信された画像データを受信する(s48,s49)。この後、代行処理を行わせる機器を選択して代行依頼コマンドを送信し、代行許可が返信された機器に対して処理モードを送信する(s22〜s25)。さらに、前述のs31〜s34の処理に基づいて自機を含めた代行処理量の決定を行い(s30)、決定した代行処理量の画像データを各機器に送信するとともに(s26,s27)、残りの画像データについての複写処理を自機において実行する(s61〜s64→s8)。
例えば、図11に示した構成に係るシステムにおいて、ディジタル複写機30aにおける複写処理中にトラブルを発生し、ディジタル複写機30b及びプリンタ82による代行処理が実行されていた場合、この代行処理中にディジタル複写機30aのトラブルが解消すると、ディジタル複写機30b及びプリンタ82による代行処理を中止し、この中止によって残った画像データに係る複写処理をディジタル複写機30a、ディジタル複写機30b及びプリンタ82によって実行する。この処理により、トラブル解消後に残っている画像データについての複写処理をより速く完了することができる。
図19は、ディジタル複写機におけるトラブル処理のさらに他の例を示すフローチャートである。システムを構成するディジタル複写機においてトラブルを発生した場合、トラブルの発生により用紙に対する画像形成を実行できなかった画像データについての画像形成処理を代行させるべき機器として、システムに接続されている他の機器を選択する(s21,s22)。この時、ディジタル複写機30aは、代行依頼モードの決定を行う(s70)。この代行依頼モードの決定処理は、代行処理を行わせる機器として選択した他の機器のそれぞれについて、動作中であるか否かの判別を行い(s71,s72,s77,s78)、選択した機器が動作中でなければ通常の依頼モードとし(s74)、選択した機器が動作中であればその機器が割込処理を受け付けるか否かを判断し(s74)、割込処理を受け付ける機器であれば割込依頼モードとする(s75)。割込処理を受け付けない場合は、その機器を割込処理を行わせる機器から除外する(s76)。
例えば、図20に示すシステムにおいて、ディジタル複写機30aが複写処理を実行中にトラブルを生じた場合、代行処理を行う機器としてディジタル複写機30b〜30dを選択した際に、割込処理が可能なディジタル複写機30b及び割込処理が可能なディジタル複写機30cが動作中である場合、ディジタル複写機30bに対して割込処理として代行処理を依頼し、ディジタル複写機30dに対して通常の代行処理を依頼し、ディジタル複写機30cは代行処理を行う機器から除外する。この処理により、システムを構成する他の機器の動作状態及び機能に応じて代行処理を依頼することができる。
図21は、ディジタル複写機におけるトラブル処理のさらに他の例を示すフローチャートである。システムを構成するディジタル複写機においてトラブルを発生した際に、トラブルの発生により用紙に対する画像形成を実行できなかった画像データについての画像形成処理を代行させるべき機器として選択した機器が動作中である場合、その機器における動作中の処理の残り枚数と処理能力とから、動作が完了するまでの時間を計算し(s81)、この時間が一定時間内であるか否かに応じて割込処理として代行処理を依頼するか否かを判断する(s82〜s84)。
例えば、図22に示すシステムにおいて、ディジタル複写機30aが複写処理を実行中にトラブルを生じた場合、代行処理を行う機器としてディジタル複写機30b〜30dを選択した際に、ディジタル複写機30bが動作中である場合、ディジタル複写機30bにおける残り枚数Cと複写速度CPMとから動作終了までの時間Tを算出し、この時間Tが例えば5分以内であれば、ディジタル複写機30bに対して割込処理による代行処理を依頼する。この処理により、システムを構成する他の機器の動作状態に応じてよりきめ細かく代行処理を依頼することができる。
図23は、ディジタル複写機におけるトラブル処理のさらに他の例を示すフローチャートである。システムを構成するディジタル複写機においてトラブルを発生した場合、トラブルの発生により用紙に対する複写処理を実行できなかった画像データについて、複写処理の代行処理の管理を依頼する機器を選択する(s91,s92)。選択した機器に対して代行処理の管理を依頼するコマンドを送信し(s93)、代行処理の管理に対する受付レスポンスを受信した後(s94)、処理モード及び画像データを送信する(s95〜s97)。一方、代行処理の管理依頼コマンドを受信した機器は、代行処理の管理が可能か否かの判断の後(s101,s102)、受付レスポンスを送信し(s103)、処理モード及び画像データを受信する(s104〜s106)。この後、例えば、図18に示したs22〜s25,s30,s26,s27,s61〜s64の処理を実行する。
例えば、図11に示したシステムにおいて、ディジタル複写機30aにおいてトラブルを発生した場合、ディジタル複写機30bに対して代行処理の管理を依頼する。ディジタル複写機30bは、自機及びプリンタ82を代行処理を行う機器として選択し、ディジタル複写機30aから受信した画像データを自機とプリンタ82とに分配し、受信した処理モードにしたがって複写処理を実行する。この処理により、ディジタル複写機30aにおいてトラブル発生後に電源が切断された場合でも、他の機器により代行処理を管理してトラブルの発生によって残った画像データについての複写処理を実行することができる。
図24は、ディジタル複写機におけるトラブル処理のさらに他の例を示すフローチャートである。システムを構成するディジタル複写機においてトラブルを発生した場合、トラブルの発生により用紙に対する複写処理を実行できなかった画像データについて、複写処理の代行処理を依頼する機器を選択し、画像データを送信する前に、画像データについての画像処理が全て終了しているか否かの判別を行う(s110)。画像処理が完了していない場合には、画像処理が完了している画像データを送信した後(s111,s112)、画像処理を完了していない画像データを送信し(s113,s114)、さらに、画像処理の依頼コマンドを送信する(s115)。
この処理により、例えば、画像処理部又は画像記録部においてトラブルを発生した場合のように、原稿の画像の読取が終了後に一部の画像データについての画像処理が完了していない状態でトラブルを発生して動作が停止した場合でも、オペレータが所望する画像処理を施した状態で複写処理を実行することがてきる。 図25は、代行処理を依頼されたディジタル複写機における処理の一例を示すフローチャートである。代行処理の依頼を受けたディジタル複写機では、代行処理が可能か否かの判断を行い(s120,s121)、代行処理が可能な場合には代行処理を受け付ける応答を送信し(s122)、代行処理が不可能な場合には拒否する応答を送信する(s123)。代行処理を受け付けた場合は、受信した処理モードを設定するとともに(s124)、画像データの受信を開始する(s125)。画像データの受信が終了すると画像処理が依頼されているか否かを判断する(s126,s127)。画像処理が依頼されている場合には画像処理を実行し(s128)、図9のs8〜s15の処理により複写動作に係る画像記録を実行する。
代行処理を受け付けたディジタル複写機は、代行処理に係る複写動作の実行中においてもスタートキーの操作を待機しており(s129→s1)、代行処理に係る複写動作の実行中にスタートキーが操作された場合には、図9のs2〜s7の処理により原稿の画像の読取処理及び画像処理を実行し、画像処理を完了した画像データをメモリに格納しておく。そして、代行処理に係る複写処理が完了すると、メモリ内に画像データがあるか否かの判断を行い(s129→s130)、画像データがある場合には図9のs8〜s15の処理により画像記録を行う。 図26は、代行処理を依頼するか否かの判断に係る処理の一例を示すフローチャートである。トラブルが発生したディジタル複写機において、トラブルの内容がトナーや用紙等の消耗品がないことによるトラブルである場合には、他の機器に対して代行処理を依頼せず(s131,s132)、トラブルの原因が消耗品に関するもの以外である場合、例えば、ディジタル複写機の機構的なトラブルである場合には、システム内に接続されている他の機器に代行処理を依頼する(s133)。
図27は、代行処理を依頼するか否かの判断に係る処理の他の例を示すフローチャートである。トラブルが発生したディジタル複写機において、トラブルの内容がディジタル複写機の機構的なトラブルである場合であって、操作パネル上のガイダンス等によってユーザにより解消できる軽微なものである場合には代行処理を依頼せず(s141,s142)、トラブルがユーザによって容易に修復できないものである場合にのみ他の機器に対して代行処理を依頼する(s143)。