JP2004267470A - 芳香器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】芳香器10であって、使用開始段階で、吸上げ部材21の周囲に筒状部材23付きフロート22を組付けたサブ組体を容器11の開口部から容器11内に組入れ可能にし、キャップ12を容器11の開口部に取着する過程で該キャップ12により筒状部材23付きフロート22を容器11内の芳香剤中に落とし込み可能にするもの
【選択図】 図3
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は芳香器に関する。
【0002】
【従来の技術】
特許文献1に記載の如く、芳香器として、容器内の芳香剤に吸上げ部材の一端側を浸漬し、容器外の他端側を揮散領域の側に立上げ、吸上げ部材に浸透した容器内の芳香剤を揮散領域にて揮散するものがある。
【0003】
【特許文献1】
特開平9−187495(2頁、図4)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
▲1▼特許文献1では、芳香器の生産段階から容器内の芳香剤に吸上げ部材を浸漬しており、吸上げ部材には大量の芳香剤が浸透蓄積される。従って、使用開始段階で、吸上げ部材の揮散領域を周囲に開放したとき、大量の芳香成分が一度に揮散され、香りを過度に強くする。使用開始当初から穏やかな香りが望まれる。
【0005】
▲2▼特許文献1では、芳香器の使用段階で、容器内の芳香剤が吸上げ部材に吸上げられて揮散し続ける間に、吸上げ部材の揮散領域に臨む面に芳香剤のうちで揮散しにくい成分がつまり、吸上げ部材の吸上げ能力を経時的に低下する。これにより、吸上げ部材から揮散領域への芳香剤の揮散量が経時的に減じ、香りが次第に弱くなる。
【0006】
本発明の課題は、芳香剤の吸上げ部材を用いる芳香器において、使用開始段階の香りを穏やかにし、使用段階では芳香剤の揮散量の経時的減量を回避することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、芳香剤を収容する容器と、容器内の芳香剤に一端側を浸漬し、他端側を揮散領域の側に立上げられる吸上げ部材と、吸上げ部材の周囲に配置され、芳香剤上に浮くように設けられるフロートと、フロートの上部に設けられ、吸上げ部材の周囲を揮散領域に対して遮蔽する筒状部材と、容器の開口部に設けられ、筒状部材を遊挿可能にするキャップとを有してなる芳香器であって、使用開始段階で、吸上げ部材の周囲に筒状部材付きフロートを組付けたサブ組体を容器の開口部から容器内に組入れ可能にし、キャップを容器の開口部に取着する過程で該キャップにより筒状部材付きフロートを容器内の芳香剤中に落とし込み可能にするようにしたものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
芳香器10は、使用開始前段階(物流段階)で、図1に示す如く、容器11とキャップ12(下キャップ13、上キャップ14)と中栓15のサブ組体Aと、吸上げ部材21とフロート22と筒状部材23のサブ組体Bにて構成される。
【0009】
(サブ組体A)
容器11は液状芳香剤Lを収容する。容器11は開口部11Aの外周にキャップ12のためのねじ部11Bを備え、底面には吸上げ部材21を立設支持するための挿入凹部11Cを備える。
【0010】
キャップ12は容器11の開口部11A(ねじ部11B)に螺着される下キャップ13と、下キャップ13に係着された上キャップ14の結合体からなる。下キャップ13は、容器11のねじ部11Bに螺着されるねじ部13Aと、吸上げ部材21、筒状部材23を遊挿可能にする内周筒部13Bの孔と、上キャップ14が係着される係止部13Cを備える。上キャップ14は、揮散領域16を囲む、例えばドーム状をなし、揮散領域16を外方空間に連通する複数の通気口14Aを備える。上キャップ14は、揮散領域16に臨む天面内側部に濾紙等からなる円盤状揮散部材17を係合保持する。揮散部材17の下面には、吸上げ部材21の上端面が接触し、吸上げ部材21が吸上げた芳香剤を揮散部材17に浸透可能にする。
【0011】
中栓15は容器11の開口部11Aの上縁に載せられてキャップ12で固定化され、物流段階で、容器11に収容している芳香剤を封止する。
【0012】
容器11は芳香剤を装填され、中栓15を螺着された状態で、キャップ12(下キャップ13、上キャップ14)を螺着され、サブ組体Aを構成する。
【0013】
(サブ組体B)
吸上げ部材21は、フェルト芯、焼結金属棒等からなり、下キャップ13の内周筒部13Bから容器11内に挿入されてその一端部を容器11の挿入凹部11Cに挿入される。吸上げ部材21は、容器11内の芳香剤に一端側を浸漬し、他端側を容器11の外の上キャップ14で囲まれる揮散領域16の側に立上げられる。吸上げ部材21の膨出状頭部21Aの上端面は上キャップ14に設けた揮散部材17の下面に接触する。
【0014】
フロート22は、吸上げ部材21の周囲に遊挿され、上下動自在となるように配置され、容器11への組入れ状態では、芳香剤の上に浮くように設けられる。フロート22は、中空体からなる。
【0015】
筒状部材23は、フロート22の上部に一体成形されて設けられ、吸上げ部材21の周囲に遊挿され、フロート22とともに上下動自在となるように配置される。筒状部材23は、吸上げ部材21の周囲を揮散領域16に対して遮蔽する。尚、本実施形態では、筒状部材23は、吸上げ部材21の上端側の一定長さ範囲の当初開放面H0については使用開始段階から遮蔽しない。
【0016】
フロート22及び筒状部材23は、吸上げ部材21の周囲に遊挿された組付状態で、筒状部材23の上端部23Aを吸上げ部材21の膨出状頭部21Aに下から係止する等(筒状部材23の上端部23Aに設けた針を吸上げ部材21の頭部21Aに刺通する等)により仮止めされ、サブ組体Bを構成する。
【0017】
芳香器10の使用手順は以下の如くになる。
(1)サブ組体Aにおいて、容器11からキャップ12(下キャップ13、上キャップ14)、中栓15を取外す。
【0018】
(2)サブ組体Bの吸上げ部材21、フロート22、筒状部材23を容器11の開口部11Aから容器内に組入れる。吸上げ部材21の下端部を容器11の底面の挿入凹部11Cに挿入し、吸上げ部材21を立設する。このとき、フロート22と筒状部材23は吸上げ部材21の周囲に小さ目の隙間を介して遊挿され、フロート22は容器11の開口部11Aの内周に小さ目の隙間を介して遊挿される。これにより、フロート22と筒状部材23は、吸上げ部材21と容器11の開口部11Aにガイドされて位置決めされ、容器11内の芳香剤の上に浮く(図2)。
【0019】
(3)キャップ12(下キャップ13)の内周筒部13Bの孔に上述(2)の吸上げ部材21、筒状部材23を遊挿し、下キャップ13のねじ部13Aを容器11の開口部11Aのねじ部11Bに螺着する。この螺着の過程で、下キャップ13の内周筒部13Bの下端面(下キャップ13の下面から下方に突出する部分でも可)によりフロート22の上端面を圧下し、筒状部材23の上端部23Aと吸上げ部材21の頭部21Aとの仮止めを解除させ、フロート22及び筒状部材23を容器11内の芳香剤中に落とし込む。キャップ12(下キャップ13)は容器11に打ち込み嵌合して取着されても良く、下キャップ13の打ち込みの過程でフロート22及び筒状部材23を容器11内の芳香剤中に落とし込んでも良い。
【0020】
(4)上述(3)の下キャップ13によるフロート22及び筒状部材23の落とし込み初期状態で、下キャップ13はフロート22に作用する浮力f0に抗してフロート22を容器11内の芳香剤中に押し込み状態にする(図3)。即ち、フロート22は筒状部材23及びフロート23に作用する重力とつり合う浮力f0を生ずる深さを越えて芳香剤の中に押し込まれ、浮力f0より大きな浮力f1を受け、この浮力f1による上方への浮上を下キャップ13により制止される。
【0021】
(5)上述(3)の下キャップ13の螺着完了状態で、上キャップ14が保持する揮散部材17の下面が吸上げ部材21の頭部21Aの上端面に接触する。
【0022】
(6)以上により、芳香器10は、吸上げ部材21が吸上げる容器11内の芳香剤を、吸上げ部材21の外表面において、揮散領域16に対して開放される当初開放面H0〜新規開放面H1、H2…、及び揮散部材17から、揮散領域16に揮散し、ひいては上キャップ14の通気口14Aから外部空間に放散する。
【0023】
本実施形態によれば以下の作用効果がある。
(請求項1に対応する作用効果)
▲1▼芳香剤の吸上げ部材21は使用開始段階で初めて容器11内に組入れされ、芳香剤を吸上げ可能となる。従って、使用開始当初の香りが過度に強くならず、穏やかな香りとすることができる。
【0024】
▲2▼吸上げ部材21の周囲に組付けた筒状部材23付きフロート22をキャップ12(下キャップ13)により容器11内の芳香剤中に落とし込みする。従って、吸上げ部材21と筒状部材23付きフロート22をサブ組体Bとしながら、容器11内に組入れでき、部品管理、容器11への組入れ作業性を簡易化できる。
【0025】
▲3▼芳香器10の使用経過により、容器11内の芳香剤が減少するにつれて、フロート22及び筒状部材23が下降し、筒状部材23による吸上げ部材21の遮蔽面積を減じ、吸上げ部材21の揮散領域16に対する開放面を当初開放面H0に新規開放面H1、H2…を加える如くに増す。吸上げ部材21の揮散領域16に対する既開放面、例えばH0では芳香剤のうちの揮散しにくい成分のつまりによって芳香剤の揮散流量を減ずることになるものの、新たなつまりのない新規開放面H1、H2…の開放によって芳香剤の揮散流量を補填する。これにより、吸上げ部材21のつまりによる吸上げ部材21から揮散領域16への芳香剤の揮散量の経時的な減量を回避する。
【0026】
▲4▼上述▲3▼の芳香剤の揮散流量の補填度合は、フロート22及び筒状部材23の下降速度に支配される。容器11の横断面積が下端寄りで漸増するものにあっては、フロート22の下降速度が漸減するから、新規開放面H1、H2…の開放速度は経時的に低く、芳香剤の揮散流量の補填度合は経時的に低く、芳香剤の揮散流量を経時的に減量傾向にする。容器11の横断面積が下端寄りで漸減するものにあっては、フロート22の下降速度が漸増するから、新規開放面H1、H2…の開放速度は経時的に高く、芳香剤の揮散流量の補填度合は経時的に高く、芳香剤の揮散流量を経時的に増量傾向にする。従って、容器11の断面形状の選択により、芳香剤の揮散流量の所望とする増減傾向を実現できる。
【0027】
(請求項2に対応する作用効果)
▲5▼使用開始段階における、キャップ12による筒状部材23付きフロート22の落とし込み初期状態で、キャップ12はフロート22に作用する浮力に抗してフロート22を容器11内の芳香剤中に押し込み状態にした。従って、フロート22は筒状部材23とフロート22に作用する重力とつり合う浮力f0を生ずる深さを越えて芳香剤の中に押し込まれ、上記浮力f0より大きな浮力f1を受け、この浮力f1による上方への浮上をキャップ12により制止される。これにより、芳香器10の使用当初、容器11内の芳香剤が吸上げ部材21に吸上げ消費されて一定レベル、換言すれば上記浮力f1が上記浮力f0に低減することとなる液面レベルに低下するまで、フロート22及び筒状部材23の前述▲3▼の下降を開始しない。よって、芳香器10の使用当初の吸上げ部材21の新鮮で揮散性能の良い当初開放面H0の利用期間を長期化し、吸上げ部材21の有効利用を図ることができる。
【0028】
(請求項3に対応する作用効果)
▲6▼キャップ12の揮散領域16に位置する側に、吸上げ部材21が接触する揮散部材17を設けた。これにより、吸上げ部材21を長くしなくても、吸上げ部材21が吸上げた芳香剤の揮散面積を拡大することができ、芳香器10のコンパクトを図ることができる。
【0029】
【発明の効果】
本発明によれば、芳香剤の吸上げ部材を用いる芳香器において、使用開始段階の香りを穏やかにし、使用段階では芳香剤の揮散量の経時的減量を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は芳香器の使用開始前状態を示す模式図である。
【図2】図2は吸上げ部材のサブ組体を容器に組入れた状態を示す模式図である。
【図3】図3は芳香器の使用開始状態を示す模式図である。
【符号の説明】
10 芳香器
11 容器
12 キャップ
16 揮散領域
17 揮散部材
21 吸上げ部材
22 フロート
23 筒状部材
Claims (3)
- 芳香剤を収容する容器と、
容器内の芳香剤に一端側を浸漬し、他端側を揮散領域の側に立上げられる吸上げ部材と、
吸上げ部材の周囲に配置され、芳香剤上に浮くように設けられるフロートと、
フロートの上部に設けられ、吸上げ部材の周囲を揮散領域に対して遮蔽する筒状部材と、
容器の開口部に設けられ、筒状部材を遊挿可能にするキャップとを有してなる芳香器であって、
使用開始段階で、吸上げ部材の周囲に筒状部材付きフロートを組付けたサブ組体を容器の開口部から容器内に組入れ可能にし、キャップを容器の開口部に取着する過程で該キャップにより筒状部材付きフロートを容器内の芳香剤中に落とし込み可能にする芳香器。 - 前記キャップによる前記筒状部材付きフロートの落とし込み初期状態で、該キャップは該フロートに作用する浮力に抗して該フロートを容器内の芳香剤中に押し込み状態にする請求項1に記載の芳香器。
- 前記キャップの揮散領域に位置する側に、吸上げ部材が接触する揮散部材を設けた請求項1又は2に記載の芳香器。
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