JP4299026B2 - 芳香器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は芳香器に関する。
【0002】
【従来の技術】
特許文献1は、芳香器として、芳香剤を収容する容器と、容器の開口部を封止する中栓と、容器内の芳香剤に浸漬する状態で立上げられた吸上げ部材と、中栓が取外された容器の開口部に取着されて揮散領域を形成するキャップとを有してなるものを開示している。
【0003】
【特許文献1】
特開2001-261080(2頁〜3頁、図1、図2)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1では、使用開始前段階で、芳香剤を収容した容器の開口部を封止するために中栓を用いている。このため、使用開始段階では、容器から中栓を取外し、その後、容器にキャップを取付ける必要があり、ワンタッチで使用開始できない。
【0005】
本発明の課題は、芳香器において、物流形態を簡素にして取扱性を向上するとともに、ワンタッチで使用開始可能にすることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、芳香剤を収容する容器と、容器の開口部に取着されるキャップと、容器内の芳香剤に浸漬する状態で容器内に立上げられた吸上げ部材と、キャップ内に設けた上吸上げ部材と、使用開始前段階で、容器内の芳香剤と吸上げ部材の上部であり、かつ上吸上げ部材の下部に配置され、容器内を容器外に対して封止する隔膜を有する芳香器であって、使用開始段階で、キャップを容器の開口部に本取付する過程で、前記吸上げ部材により前記隔膜開封されるとともに、前記吸上げ部材と前記上吸上げ部材とが結合する構成としたものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)(図1、図2)
芳香器10は、図1、図2に示す如く、容器11と、キャップ12と、吸上げ部材13と、フロート14と、筒状部材15と、上吸上げ部材16を有する。
【0008】
容器11は液状芳香剤Lを収容する。容器11は開口部11Aの外周にキャップ12のためのねじ部11Bを備え、底面に吸上げ部材13を立設支持するための挿入凹部11Cを備える。
【0009】
キャップ12は、容器11の開口部11Aに備えたねじ部11Bに螺着されるねじ部12Aを備える(キャップ12は容器11の開口部11Aに打ち込み嵌合により取着されても可)。キャップ12は芳香器10の使用開始前段階では容器11に浅い締結範囲内に螺着されて仮取付され、芳香器10の使用段階で深い締結範囲にまで螺着されて本取付される。キャップ12は、揮散領域17を形成するドーム状をなし、揮散領域17を外方空間に連通する複数の通気口12Bを備える。
【0010】
吸上げ部材13は、金属等の硬質芯材13Aの外周にフェルト等の吸液性を有する芯13Bを被覆して構成され、容器11の挿入凹部11Cに下端部を挿入固定されて容器11の芳香剤Lに浸漬され、上端部を芳香剤Lの液面より上に立上げられる。吸上げ部材13は、後述する隔膜19を突き破るための針状先端部13Cを上端面に備える。吸上げ部材13は、焼結金属等の硬質の多孔質材の棒等からなり、針状先端部13Cを備えるものでも良い。
【0011】
フロート14は、芳香器10の使用状態で吸上げ部材13及び上吸上げ部材16に遊挿される中空孔18を有し、それらの周囲を上下動可能に配置され、容器11内の芳香剤L中に浮くように設けられる。芳香器10の使用開始前段階で、フロート14の外周は容器11の開口部11Aの内周に軽圧入されて液密に嵌合する。フロート14は中空体からなる。
【0012】
筒状部材15は、フロート14の上部に一体成形されて設けられ、芳香器10の使用状態で吸上げ部材13及び上吸上げ部材16に遊挿され、フロート14とともに上下動自在となるように配置される。筒状部材15は、上吸上げ部材16の周囲を揮散領域17に対して遮蔽する。尚、本実施形態では、筒状部材15は、上吸上げ部材16の上端側の一定長さ範囲の当初開放面21A(図2)については、使用開始当初から遮蔽しない。
【0013】
キャップ12はフランジ状押下部12Cを内周の上下方向中間部に設け、筒状部材15は押下部12Cに係合するフランジ部15Aを上端部に備える。これにより、芳香器10の使用開始段階で、キャップ12を容器11の開口部11Aに本取付する過程で、キャップ12が容器11により深く螺着されると、キャップ12の押下部12Cが筒状部材15のフランジ部15Aを下方に押し下げ、容器11の開口部11Aに対するフロート14の嵌合を外し、フロート14を容器11内の芳香剤中に落とし込み可能にする。
【0014】
尚、キャップ12は容器11に対しねじ嵌合に限らず打ち込み嵌合するものでも良く、キャップ12の打ち込みの過程でフロート14を容器11内の芳香剤中に落とし込んでも良い。
【0015】
上吸上げ部材16は、キャップ12の天面内側に設けた挿入凹部12Dに挿入固定され、揮散領域17内を垂下し、フロート14及び筒状部材15の中空孔18に遊挿される。上吸い上げ部材16は、芳香器10の使用段階で、容器11に設けられている吸上げ部材13と結合可能にされる。上吸上げ部材16は、吸上げ部材13と同様に、フェルト等の吸液性を有する芯、焼結金属等の硬質の多孔質材の棒等にて構成される。
【0016】
しかるに、芳香器10にあっては、フロート14の吸上げ部材13、上吸上げ部材16を遊挿可能にする中空孔18の下端開口面、換言すればフロート14の下端面に液密シール材を形成可能にするフィルム状隔膜19を接着等により設ける。隔膜19は、使用開始前段階で、容器11内の芳香剤と吸上げ部材13の上部に設けられ、容器11の内部を容器11の外の揮散領域17に対して液密に封止する。
【0017】
芳香器10の使用開始段階では、キャップ12を容器11の開口部11Aに本取付する前述の如くの過程で、キャップ12がフロート14を容器11内の芳香剤中に落とし込むとき、容器11に前述の如くに設けた開封手段としての吸上げ部材13の上端部の針状先端部13Cが、キャップ12の側から立設している上吸上げ部材16の下端部の切刃状先端部16Aに凹凸結合するとともに、フロート14の下端面の隔膜19を突き破って開封し、結果として吸上げ部材13の上端部を直接的に、又は上吸上げ部材16を介して揮散領域17内に位置付け可能にする。
【0018】
芳香器10の使用手順は以下の如くになる。
(1)キャップ12を容器11に対する仮取付状態(図1)から前述の如くに本取付状態(図2)にする。
【0019】
(2)キャップ12の本取付の過程で、キャップ12の押下部12Cにより筒状部材15のフランジ部15Aを押し下げ、容器11に対するフロート14の嵌合を解除し、フロート14を容器11内の芳香剤中に落とし込んで浮き状態にする。フロート14が容器11に落とし込まれるとき、容器11に設けた吸上げ部材13の上端部の針状先端部13Cが、キャップ12の側から立設している上吸上げ部材16の下端部の切刃状先端部16Aに凹凸結合するときに、フロート14の下端面の隔膜19を突き破って開封する。同時に、上吸上げ部材16の切刃状先端部16Aと吸上げ部材13の針状先端部13Cを凹凸結合する。
【0020】
(3)以上により、芳香器10は、吸上げ部材13及び上吸上げ部材16が吸上げる容器11内の芳香剤を、上吸上げ部材16の外表面において、揮散領域17に対して開放している当初開放面21A(図2)、更にはフロート14の下降とともに筒状部材15による遮蔽が解除されて新たに揮散領域17に臨む新規開放面21B(図2)から揮散領域17に揮散し、ひいてはキャップ12の通気口12Bから外部空間に放散する。
【0021】
本実施形態によれば以下の作用効果がある。
(請求項1に対応する作用効果)
(a)芳香器10の使用開始前段階で、芳香剤を収容した容器11の開口部11Aを封止するために隔膜19を用い、容器11の開口部11Aにはキャップ12を仮取付する。そして、使用開始段階では、キャップ12を本取付する過程で、キャップ12の取付力を利用して容器11に設けた開封手段(吸上げ部材13)を隔膜19に押込み、隔膜19を破って開封し、吸上げ部材13、16の上端部を揮散領域17内に位置付ける。これにより、容器11内の芳香剤を吸上げ部材13、16により吸上げて揮散領域17にて揮散させ、ひいては外部空間に放散させる。
【0022】
(b)上述(a)により、キャップ12を本取付するだけのワンタッチで芳香器10を使用開始できる。
【0023】
(c)芳香器10の物流形態は、全部品を一体組付けしたものになり、簡素で取扱性は良い。
【0024】
(d)前述(a)で開封手段を構成する吸い上げ部材13は、使用開始段階で初めて隔膜19を破り、キャップ12内の上吸上げ部材16と結合して芳香剤を吸上げ可能にする。従って、使用開始当初、上吸上げ部材16から揮散する香りが過度に強くならず、穏やかな香りとすることができる。
【0025】
(請求項に対応する作用効果)
(e)吸上げ部材13の周囲に配置可能にされる筒状部材15付きフロート14をキャップ12により容器11内の芳香剤中に落とし込み可能にするに際し、使用開始前段階で、フロート14を容器11の開口部11Aに液密に嵌合させた。従って、容器11の開口部11Aに設けるべき封止構造の簡素を図ることができる。
【0026】
(f)芳香器10の使用経過により、容器11内の芳香剤が減少するにつれて、フロート14及び筒状部材15が下降し、筒状部材15による上吸上げ部材16の遮蔽面積を減じ、上吸上げ部材16の揮散領域17に対する開放面を新たに増す。吸上げ部材16の揮散領域17に対する既開放面21Aでは芳香剤のうちの揮散しにくい成分のつまりによって芳香剤の揮散流量を減ずることになるものの、新たなつまりのない新規開放面21Bの開放によって芳香剤の揮散流量を補填する。これにより、吸上げ部材16のつまりによる吸上げ部材16から揮散領域17への芳香剤の揮散量の経時的な減量を回避できる。
【0027】
(g)上述(f)の芳香剤の揮散流量の補填度合は、フロート14及び筒状部材15の下降速度に支配される。容器11の横断面積が下端寄りで漸増するものにあっては、フロート14の下降速度が漸減するから、新規開放面21Bの開放速度は経時的に低く、芳香剤の揮散流量の補填度合は経時的に低く、芳香剤の揮散流量を経時的に減量傾向にする。容器11の横断面積が下端寄りで漸減するものにあっては、フロート14の下降速度が漸増するから、新規開放面21Bの開放速度は経時的に高く、芳香剤の揮散流量の補填度合は経時的に高く、芳香剤の揮散流量を経時的に増量傾向にする。
【0028】
(請求項に対応する作用効果)
(h)前述(a)の隔膜19を、フロート14の吸上げ部材13、16のための遊挿孔18に設けたから、芳香器10への隔膜19の組込みの簡易を図ることができる。
【0029】
尚、第1実施形態の芳香器10にあっては、図1の使用開始前状態で、キャップ12の下端面と容器11における肩部11Dとの間隔をa、フロート14の外周と容器11における開口部11Aの内側端肩部との間隔をb、フロート14に設けた隔膜19と吸上げ部材13の針状先端部13Cとの間隔をc、吸上げ部材13の針状先端部13Cの凸状先端部と上吸上げ部材16の切刃状先端部16Aの凹状底部との間隔をd、キャップ12の押下部12Cと容器11の開口部11Aの外側端上縁部との間隔をeとするとき、フロート14の落下のためにa>b、隔膜19の開封のためにa>c、吸上げ部材13と上吸上げ部材16の接触のためにa≧d、キャップ12の押下部12Cが容器11に干渉しないためにa<eとする。
【0030】
(第2実施形態)(図3)
第2実施形態の芳香器10が第1実施形態の芳香器10と実質的に異なる点は、図3に示す如く、キャップ12の揮散領域17に位置する側に、上吸上げ部材16が接触する円盤状揮散部材30を設けたことにある。揮散部材30は濾紙等からなる。本実施形態では、揮散部材30が上吸上げ部材16の上端面に接着される等により結合され、揮散部材30と上吸上げ部材16は、キャップ12の天面内側部にバックアップされる状態で、該キャップ12の天面とフロート14に設けた隔膜19との間に保持されて使用に供される。
【0031】
本実施形態によれば、吸上げ部材13、16を長くしなくても、吸上げ部材13、16が吸上げた芳香剤の揮散面積を拡大することができ、芳香器10のコンパクトを図ることができる。
【0032】
参考形態)(図4、図5)
本参考形態の芳香器10が第1実施形態の芳香器10と実質的に異なる点は、図4、図5に示す如く、隔膜19をフロート14に設けた筒状部材15のフランジ部15Aの上端面に接着等により設け、容器11に立設した吸上げ部材13をフロート14及び筒状部材15の中空孔18の中で隔膜19の直下にまで立上げ、キャップ12の天面内側部に開封手段としての針状部40を設けたことにある。尚、キャップ12の天面内側部には揮散部材30も設けられている。
【0033】
従って、芳香器10の使用手順は以下の如くになる。
(1)キャップ12を容器11に対する仮取付状態(図4)から本取付状態(図5)にする。
【0034】
(2)キャップ12の本取付の過程で、キャップ12の押下部12Cにより筒状部材15のフランジ部15Aを押し下げ、容器11に対するフロート14の嵌合を解除し、フロート14を容器11内の芳香剤中に落とし込んで浮き状態にする。
【0035】
(3)フロート14が容器11に落とし込まれるとき、キャップ12に設けた針状部40により筒状部材15の上端面の隔膜19を突き破って開封する。同時に、吸上げ部材13の上端部が揮散領域17に突出してキャップ12の天面内側部の揮散部材30に接触する(図5)。
【0036】
(4)以上により、芳香器10は、吸上げ部材13が吸上げる容器11内の芳香剤を、吸上げ部材13の外表面において、揮散領域17に対して開放している当初開放面21A、更にはフロート14の下降とともに筒状部材15による遮蔽が解除されて新たに揮散領域17に臨む新規開放面21Bから揮散領域17に揮散し、ひいてはキャップ12の通気口12Bから外部空間に放散する。
【0037】
参考形態によれば、第1実施形態において前述した(a)〜(c)(e)〜(h)の作用効果、及び第2実施形態において前述した作用効果と同様の作用効果を奏する。
【0038】
尚、本参考形態の芳香器10にあっては、図4の使用開始前状態で、キャップ12の下端面と容器11における開口部11Aの内側端肩部との間隔をa、キャップ12の針状部40と筒状部材15の側の隔膜19との間隔をb、揮散部材30と吸上げ部材13の上端面との間隔をcとするとき、隔膜19の開封のためにa>b、吸上げ部材13と揮散部材30の接触のためにa≧cとする。
【0039】
【発明の効果】
本発明によれば、芳香器において、物流形態を簡素にして取扱性を向上するとともに、ワンタッチで使用開始することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は第1実施形態の芳香器の使用開始前状態を示す模式図である。
【図2】 図2は第1実施形態の芳香器の使用状態を示す模式図である。
【図3】 図3は第2実施形態の芳香器の使用開始前状態を示す模式図である。
【図4】 図4は参考形態の芳香器の使用開始前状態を示す模式図である。
【図5】 図5は参考形態の芳香器の使用状態を示す模式図である。
【符号の説明】
10 芳香器
11 容器
11A 開口部
12 キャップ
13 吸上げ部材
14 フロート
15 筒状部材
16 上吸上げ部材(開封手段)
17 揮散領域
19 隔膜
30 揮散部材

Claims (4)

  1. 芳香剤を収容する容器と、
    容器の開口部に取着されるキャップと、
    容器内の芳香剤に浸漬する状態で容器内に立上げられた吸上げ部材と、
    キャップ内に設けた上吸上げ部材と、
    使用開始前段階で、容器内の芳香剤と吸上げ部材の上部であり、かつ上吸上げ部材の下部に配置され、容器内を容器外に対して封止する隔膜を有する芳香器であって、
    使用開始段階で、キャップを容器の開口部に本取付する過程で、前記吸上げ部材により前記隔膜開封されるとともに、前記吸上げ部材と前記上吸上げ部材とが結合する構成とした芳香器。
  2. 前記吸上げ部材と上吸上げ部材の周囲に配置可能にされ、芳香剤中に浮くように設けられるフロートと、フロートの上部に設けられ、吸上げ部材と上吸上げ部材の周囲を遮蔽可能にする筒状部材からなる筒状部材付きフロートを有し、
    使用開始前段階で、フロートは容器の開口部に液密に嵌合し、
    使用開始段階では、キャップを容器の開口部に本取付する過程で、該キャップにより筒状部材付きフロートを容器内の芳香剤中に落とし込み可能にする請求項1に記載の芳香器。
  3. 前記筒状部材付きフロートの吸上げ部材と上吸上げ部材を遊挿可能にする中空孔に前記隔膜を設けた請求項に記載の芳香器。
  4. 前記キャップの天面内側部に、吸上げ部材が接触する揮散部材を設けた請求項1〜のいずれかに記載の芳香器。
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