JP2004267187A - アジ魚醤の製造法 - Google Patents
アジ魚醤の製造法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004267187A JP2004267187A JP2003108393A JP2003108393A JP2004267187A JP 2004267187 A JP2004267187 A JP 2004267187A JP 2003108393 A JP2003108393 A JP 2003108393A JP 2003108393 A JP2003108393 A JP 2003108393A JP 2004267187 A JP2004267187 A JP 2004267187A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- horse mackerel
- fish sauce
- fish
- producing
- sauce
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Withdrawn
Links
Landscapes
- Soy Sauces And Products Related Thereto (AREA)
- Meat, Egg Or Seafood Products (AREA)
Abstract
【課題】従来法により製造されたアジの魚醤に比べて低コストで、熟成期間の短い魚醤の製造方法。
【解決手段】未利用部分である頭・内臓・骨・ヒレ等を原料とし、原料水分に対して食塩を2・0%、原料重量に対して蛋白質分解酵素を0.1〜0.4%添加した後、20〜40℃下で、30日〜50日程度の熟成工程を経ることで呈味性の高い魚醤が得られる。
【解決手段】未利用部分である頭・内臓・骨・ヒレ等を原料とし、原料水分に対して食塩を2・0%、原料重量に対して蛋白質分解酵素を0.1〜0.4%添加した後、20〜40℃下で、30日〜50日程度の熟成工程を経ることで呈味性の高い魚醤が得られる。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は魚醤のタンパク質分解酵素による製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の魚醤は、原料魚介類を対水食塩濃度20%以上で1年〜3年の長期にわたって自己消化分解させ、得られた分解液を火入れ、ろ過して製造する。しかし近年では、タンパク質分解酵素を添加することで分解を促進し、熟成工程の短縮や特有臭の低減を図った製造方法が広く用いられている。
【0003】
魚醤製造に用いられる原料魚介類は、小型のため加工用途が限られ、特定の時期に大量に獲れる等の理由から市場価値の低いイワシなどの魚種が用いられるのが通常である。これらは、骨やヒレ等を除去することなく、そのまま細断され魚醤製造に用いられている。
【0004】
しかし、流通しているアジの中でも高級魚として取引されているものを原料として、同製法により魚醤を製造すると、著しく原料コストが高くなるため、実施例がほとんどないのが現状である。
【0005】
【発明が解決しようとする問題点】
本発明の目的は、従来法のアジ魚醤に比べて、低コストで熟成期間も短いアジ魚醤の製造方法を提供することにある。
【0006】
【発明の実施形態】
アジのすり身・一夜干し・刺身等の加工処理において、未利用部位の頭・内臓・骨・ヒレ等が大量に排出されているが、一部が堆肥や飼料として利用されている以外はほとんどが廃棄されており、有効に利用されていない。しかし、これらの未利用部位には、依然多くのタンパク資源が含まれているだけでなく、内臓には強いタンパク質分解酵素活性があることが知られている。
【0007】
そこで、これら未利用部位を原料に用いて特定条件でタンパク質分解酵素を作用させてアジの魚醤を製造したところ、原料コストの大幅な削減と酵素反応の促進によるさらなる熟成期間の短期化が可能であることを見出した。
【0008】
アジ魚醤の製造方法は以下のとおりである。細断したアジの未利用部位の頭・内臓・骨・ヒレ等を原料とし、タンパク質分解酵素の粉体を0.1〜0.4%量を振りかけてよくかく拌する。その後、原料水分に対して食塩を20%量添加し、20〜40℃で一定期間の熟成工程を経る。その後の火入れ・ろ過工程は一般的な方法を用いる。
【0009】
添加するタンパク質分解酵素は、エンド型とエキソ型を含み、至適pH3〜8で、タンパク質原料1g当たり2200〜29000IU程度の酵素活性を有するものが、分解速度や分解液の呈味性の点から最適である。なお、酵素活性とは、ミルクカゼインを基質とし、pH7.0、37℃で60分間に100μgのチロシン相当量のアミノ酸を生成させる酵素量を1IUとするものである。
【0010】
これらの配合でアジ魚醤を製造すると、原料コストの削減が可能であるだけでなく、熟成期間の短縮も可能となる。例えば、タンパク質分解酵素を添加しない従来法で、魚体全部分を原料に用いたアジ魚醤の熟成期間は1年以上を、また、上記に示した条件で魚体全部分を原料に用いたアジ魚醤の熟成期間は80日以上を要するのに対して、同条件により未利用部分を原料にしたアジ魚醤では30日〜50日程度で熟成工程を終える。(実施例参照)
【0011】
また、未利用部位を原料としたアジ魚醤は、魚体全部分を原料としたアジ魚醤に比較して、遊離アミノ酸総量はやや少ないものの、遊離アミノ酸パターンは近似しており、官能的評価においても同等品質の製品が得られる。(実施例参照)
【0012】
【実施例】
頭・内臓・骨・ヒレ部分を原料に用いたアジ魚醤と魚体全部分を原料に用いたアジ魚醤を同条件により製造し、以下に示した各項目について比較した。
【0013】
アジ魚醤は、対水食塩濃度20%に調整した原料10kgにタンパク質分解酵素を20g添加し仕込みを行った後、1週間毎に攪拌を行い4週目、8週目および12週目の試料を採取し分析に供した。試料は、もろみをよくかく拌した後、2mmメッシュ相当のザルを沈めて溶出した液を採取し、通常の方法で火入れ・ろ過したものとした。
【0014】
(1)全窒素量に対するホルモール態窒素量の割合
タンパク質の分解程度の指標となる全窒素量に対するホルモール態窒素量の割合の経時的推移の結果を図1に示した。これによると、頭・内臓・骨・ヒレ部分を用いたアジ魚醤は、魚体全部分を用いたアジ魚醤に比べ、4週目までにアミノ酸の生成が高い割合で進んでいる。このことから、頭・内臓・骨・ヒレ部分を原料に用いることで熟成期間を大幅に短縮できることは明らかである。
【0015】
(3)遊離アミノ酸総量および遊離アミノ酸パターン
遊離アミノ酸総量および遊離アミノ酸パターンを図2、図3に示した。頭・内臓・骨・ヒレ部分を用いたアジ魚醤は、魚体全部分を用いたアジ魚醤に比べ、遊離アミノ酸総量が約20%少なかったが、遊離アミノ酸パターンは、近似した。
【0016】
(3)官能検査
対にした2つの試料に対し、試食順序などの影響を要因としてとらえることのできるシェッフェの一対比較法により、5つの基本味(甘味、塩味、酸味、苦味、うま味)と香りの強さをパネル26名により比較した結果を表1に示した。有意差がみられたのは塩味のみであり(1%有意水準)、その他の味、香りの強さには有意差がみられなかった。
【0017】
魚醤の呈味に影響を与える遊離アミノ酸総量は、前述したように頭・内臓・骨・ヒレ部分を用いたアジ魚醤の方が少なかったが、官能的にはほとんど差が認められなかった。
【0018】
【発明の効果】
本発明により、高級アジを用いた魚醤の原料コストの大幅な削減や熟成期間の短縮が図られるだけでなく、これまで未利用であった高級アジの頭・内臓・骨・ヒレ部分の新たな有効活用が図られる。
【発明の属する技術分野】
本発明は魚醤のタンパク質分解酵素による製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の魚醤は、原料魚介類を対水食塩濃度20%以上で1年〜3年の長期にわたって自己消化分解させ、得られた分解液を火入れ、ろ過して製造する。しかし近年では、タンパク質分解酵素を添加することで分解を促進し、熟成工程の短縮や特有臭の低減を図った製造方法が広く用いられている。
【0003】
魚醤製造に用いられる原料魚介類は、小型のため加工用途が限られ、特定の時期に大量に獲れる等の理由から市場価値の低いイワシなどの魚種が用いられるのが通常である。これらは、骨やヒレ等を除去することなく、そのまま細断され魚醤製造に用いられている。
【0004】
しかし、流通しているアジの中でも高級魚として取引されているものを原料として、同製法により魚醤を製造すると、著しく原料コストが高くなるため、実施例がほとんどないのが現状である。
【0005】
【発明が解決しようとする問題点】
本発明の目的は、従来法のアジ魚醤に比べて、低コストで熟成期間も短いアジ魚醤の製造方法を提供することにある。
【0006】
【発明の実施形態】
アジのすり身・一夜干し・刺身等の加工処理において、未利用部位の頭・内臓・骨・ヒレ等が大量に排出されているが、一部が堆肥や飼料として利用されている以外はほとんどが廃棄されており、有効に利用されていない。しかし、これらの未利用部位には、依然多くのタンパク資源が含まれているだけでなく、内臓には強いタンパク質分解酵素活性があることが知られている。
【0007】
そこで、これら未利用部位を原料に用いて特定条件でタンパク質分解酵素を作用させてアジの魚醤を製造したところ、原料コストの大幅な削減と酵素反応の促進によるさらなる熟成期間の短期化が可能であることを見出した。
【0008】
アジ魚醤の製造方法は以下のとおりである。細断したアジの未利用部位の頭・内臓・骨・ヒレ等を原料とし、タンパク質分解酵素の粉体を0.1〜0.4%量を振りかけてよくかく拌する。その後、原料水分に対して食塩を20%量添加し、20〜40℃で一定期間の熟成工程を経る。その後の火入れ・ろ過工程は一般的な方法を用いる。
【0009】
添加するタンパク質分解酵素は、エンド型とエキソ型を含み、至適pH3〜8で、タンパク質原料1g当たり2200〜29000IU程度の酵素活性を有するものが、分解速度や分解液の呈味性の点から最適である。なお、酵素活性とは、ミルクカゼインを基質とし、pH7.0、37℃で60分間に100μgのチロシン相当量のアミノ酸を生成させる酵素量を1IUとするものである。
【0010】
これらの配合でアジ魚醤を製造すると、原料コストの削減が可能であるだけでなく、熟成期間の短縮も可能となる。例えば、タンパク質分解酵素を添加しない従来法で、魚体全部分を原料に用いたアジ魚醤の熟成期間は1年以上を、また、上記に示した条件で魚体全部分を原料に用いたアジ魚醤の熟成期間は80日以上を要するのに対して、同条件により未利用部分を原料にしたアジ魚醤では30日〜50日程度で熟成工程を終える。(実施例参照)
【0011】
また、未利用部位を原料としたアジ魚醤は、魚体全部分を原料としたアジ魚醤に比較して、遊離アミノ酸総量はやや少ないものの、遊離アミノ酸パターンは近似しており、官能的評価においても同等品質の製品が得られる。(実施例参照)
【0012】
【実施例】
頭・内臓・骨・ヒレ部分を原料に用いたアジ魚醤と魚体全部分を原料に用いたアジ魚醤を同条件により製造し、以下に示した各項目について比較した。
【0013】
アジ魚醤は、対水食塩濃度20%に調整した原料10kgにタンパク質分解酵素を20g添加し仕込みを行った後、1週間毎に攪拌を行い4週目、8週目および12週目の試料を採取し分析に供した。試料は、もろみをよくかく拌した後、2mmメッシュ相当のザルを沈めて溶出した液を採取し、通常の方法で火入れ・ろ過したものとした。
【0014】
(1)全窒素量に対するホルモール態窒素量の割合
タンパク質の分解程度の指標となる全窒素量に対するホルモール態窒素量の割合の経時的推移の結果を図1に示した。これによると、頭・内臓・骨・ヒレ部分を用いたアジ魚醤は、魚体全部分を用いたアジ魚醤に比べ、4週目までにアミノ酸の生成が高い割合で進んでいる。このことから、頭・内臓・骨・ヒレ部分を原料に用いることで熟成期間を大幅に短縮できることは明らかである。
【0015】
(3)遊離アミノ酸総量および遊離アミノ酸パターン
遊離アミノ酸総量および遊離アミノ酸パターンを図2、図3に示した。頭・内臓・骨・ヒレ部分を用いたアジ魚醤は、魚体全部分を用いたアジ魚醤に比べ、遊離アミノ酸総量が約20%少なかったが、遊離アミノ酸パターンは、近似した。
【0016】
(3)官能検査
対にした2つの試料に対し、試食順序などの影響を要因としてとらえることのできるシェッフェの一対比較法により、5つの基本味(甘味、塩味、酸味、苦味、うま味)と香りの強さをパネル26名により比較した結果を表1に示した。有意差がみられたのは塩味のみであり(1%有意水準)、その他の味、香りの強さには有意差がみられなかった。
【0017】
魚醤の呈味に影響を与える遊離アミノ酸総量は、前述したように頭・内臓・骨・ヒレ部分を用いたアジ魚醤の方が少なかったが、官能的にはほとんど差が認められなかった。
【0018】
【発明の効果】
本発明により、高級アジを用いた魚醤の原料コストの大幅な削減や熟成期間の短縮が図られるだけでなく、これまで未利用であった高級アジの頭・内臓・骨・ヒレ部分の新たな有効活用が図られる。
Claims (1)
- タンパク質分解酵素処理を行ったアジ魚醤を製造するに際し、酵素添加量0.1〜0.4%、対水食塩濃度20%、温度20〜40℃の条件下で、アジの未利用部位(頭・内蔵・骨・ヒレ等)を原料に用いることを特徴としたアジ魚醤の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003108393A JP2004267187A (ja) | 2003-03-07 | 2003-03-07 | アジ魚醤の製造法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003108393A JP2004267187A (ja) | 2003-03-07 | 2003-03-07 | アジ魚醤の製造法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004267187A true JP2004267187A (ja) | 2004-09-30 |
Family
ID=33128026
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003108393A Withdrawn JP2004267187A (ja) | 2003-03-07 | 2003-03-07 | アジ魚醤の製造法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004267187A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2022045308A (ja) * | 2020-09-08 | 2022-03-18 | ガイア アグリカルチャー シーオー., エルティーディー. | 魚醤における生体アミン低減方法 |
-
2003
- 2003-03-07 JP JP2003108393A patent/JP2004267187A/ja not_active Withdrawn
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2022045308A (ja) * | 2020-09-08 | 2022-03-18 | ガイア アグリカルチャー シーオー., エルティーディー. | 魚醤における生体アミン低減方法 |
JP7247450B2 (ja) | 2020-09-08 | 2023-03-29 | ガイア アグリカルチャー シーオー., エルティーディー. | 魚醤における生体アミン低減方法 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
KR100971010B1 (ko) | 멸치액젓 농축물을 이용한 msg 대체용 조미료 조성물 및그 제조방법 | |
JP6990942B2 (ja) | うなぎ醤油の製造方法 | |
KR20060111923A (ko) | 수산 부산물을 이용한 조미베이스 및 그의 제조방법 | |
JPS648992B2 (ja) | ||
CN108354160B (zh) | 一种双孢蘑菇酶解粉的制备方法及包含双孢蘑菇酶解粉的蘑菇盐调味品和制备方法 | |
KR100859098B1 (ko) | 단백가수분해물로부터 천연 아미노산 함유 코쿠미조미료의제조방법 | |
JP2004267187A (ja) | アジ魚醤の製造法 | |
JP2006158390A (ja) | 食品の香味・呈味改善用組成物 | |
JP2001299267A (ja) | 魚介類エキスを原料とする発酵調味料 | |
JP2002176951A (ja) | 発酵調味料の製造方法 | |
JPH09191850A (ja) | 濃厚で風味の改良された魚醤油の製造法およびその製造法で得られた濃厚で風味の改良された魚醤油 | |
JP2002255994A (ja) | 呈味向上作用を有する新規ペプチド、該新規ペプチドを含有するペプチド含有調味液及びその製造方法、並びに該新規ペプチド及び/又は該ペプチド含有調味液を用いた食品の呈味改善方法 | |
JP4446637B2 (ja) | 醤油粕からエキスを製造する方法 | |
JP2001120220A (ja) | 魚醤油様調味料の製造方法 | |
JP3881147B2 (ja) | 濃厚で風味の改良された魚醤油およびその製造方法 | |
KR100476112B1 (ko) | 까나리액젓 발효부산물을 이용한 조미식품 및 그 제조방법 | |
JPH0347051A (ja) | 調味料原液の製造方法 | |
JPH11221043A (ja) | 低塩化自己消化魚醤油の製造方法 | |
JPH06209738A (ja) | 魚醤油の製造方法 | |
JP2010075093A (ja) | 麹を使用したエイ調味食品及びその製造方法 | |
JP2002000220A (ja) | 鰹魚体から調味料を製造する方法 | |
JP4063473B2 (ja) | こく味調味料及びその製造方法 | |
JPS603462B2 (ja) | 調味料の製造方法および調味料 | |
JP2004242646A (ja) | 魚醤油の製造法 | |
KR20040048650A (ko) | 난백 단백질의 가수분해물 조미료의 제조방법 및 그방법에 의해 얻어진 가수분해물 조미료 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20060509 |