JP2004262389A - エンジンの防振支持装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】能動型防振支持装置の制御中にエンジンの運転状態が正常であれば能動型防振支持装置の制御をそのまま続行し、エンジンの運転状態に異常が発生すれば能動型防振支持装置の制御を中止する。これにより、異常が発生したエンジンの大きな振動を抑制しきれない状態のまま能動型防振支持装置が無駄な作動を行うのを防止し、無駄な電力の消費や能動型防振支持装置の耐久性低下を回避することができる。また能動型防振支持装置の作動状態に異常が発生した場合、エンジンが気筒休止中であれば気筒休止を解除し、エンジンが気筒休止中でなければ気筒休止への切り換えを禁止する。これにより、能動型防振装置が充分な防振機能を発揮できない状態でエンジンの振動が増加する気筒休止状態になるのを禁止し、騒音や振動の増加を防止することができる。
【選択図】 図6
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、能動型防振支持装置のアクチュエータへの通電を制御することでエンジンの振動が車体フレームに伝達されるのを抑制するエンジンの防振支持装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
かかる能動型防振支持装置は、下記特許文献により公知である。
【0003】
この能動型防振支持装置は、アクチュエータに電流を印加して可動部材を振動させることでバネ定数を変化させるもので、そのバネ定数を設定する印加電流のピーク電流値と位相との関係を予めマップとして記憶しておき、エンジン回転数に応じて前記マップからアクチュエータに印加すべき電流のピーク電流値と位相とを求めることで、種々のエンジン回転数領域で能動型防振支持装置に有効な防振性能を発揮させるようになっている。
【0004】
【特許文献】
特開平7−42783号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、能動型防振支持装置の作動中にエンジンに異常が発生して振動が急激に増加すると、その振動を抑制しようとして能動型防振支持装置が能力の限界を超えた作動を行い、その結果として能動型防振支持装置そのものに異常が発生したり耐久性が低下したりする可能性がある。また能動型防振支持装置自体に異常が発生した場合に、エンジンの運転状態が振動が大きい運転状態に切り換えられると、その振動を能動型防振支持装置で抑制することができなくなって騒音や振動が増加する可能性がある。
【0006】
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、能動型防振支持装置やエンジンに異常が発生したときに、能動型防振支持装置の耐久性低下を防止するとともに騒音や振動の増加を最小限に抑えることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明によれば、エンジンの振動を受ける弾性体と、弾性体が少なくとも壁面の一部を構成する液室と、液室の容積を変化させる可動部材と、可動部材を電磁力で駆動するアクチュエータとを含む能動型防振支持装置を備え、能動型防振支持装置のアクチュエータへの通電を制御することでエンジンの振動が車体フレームに伝達されるのを抑制するエンジンの防振支持装置において、エンジンの運転状態に異常が検出されたときに能動型防振支持装置の作動を禁止することを特徴とするエンジンの防振支持装置が提案される。
【0008】
上記構成によれば、能動型防振支持装置のアクチュエータへの通電を制御することでエンジンの振動が車体フレームに伝達されるのを抑制する際に、エンジンの運転状態に異常が検出されると能動型防振支持装置の作動を禁止するので、エンジンの振動を抑制しきれない状態で能動型防振支持装置が無駄な作動を行うのを防止し、アクチュエータが電力を浪費したり能動型防振支持装置の耐久性が低下したりするのを回避することができる。
【0009】
また請求項2に記載された発明によれば、気筒休止可能なエンジンの振動を受ける弾性体と、弾性体が少なくとも壁面の一部を構成する液室と、液室の容積を変化させる可動部材と、可動部材を電磁力で駆動するアクチュエータとを含む能動型防振支持装置を備え、能動型防振支持装置のアクチュエータへの通電を制御することでエンジンの振動が車体フレームに伝達されるのを抑制するエンジンの防振支持装置において、能動型防振支持装置の作動状態に異常が検出されたときにエンジンの気筒休止を禁止することを特徴とするエンジンの防振支持装置が提案される。
【0010】
上記構成によれば、能動型防振支持装置のアクチュエータへの通電を制御することでエンジンの振動が車体フレームに伝達されるのを抑制する際に、能動型防振支持装置の作動状態に異常が検出されるとエンジンの気筒休止を禁止するので、気筒休止によるエンジンの振動の増加を能動型防振支持装置で抑制しきれなくなる事態を未然に回避することができる。
【0011】
尚、実施例の第1弾性体14は本発明の弾性体に対応し、実施例の第1液室24は本発明の液室に対応する。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に示した本発明の実施例に基づいて説明する。
【0013】
図1〜図7は本発明の一実施例を示すもので、図1は能動型防振支持装置の縦断面図、図2は図1の2−2線断面図、図3は図1の3−3線断面図、図4は図1の要部拡大図、図5はアクチュエータの制御手法を示すフローチャート、図6はエンジンの運転状態に異常が発生した場合の能動型防振支持装置の制御手法を示すフローチャート、図7は能動型防振支持装置の作動状態に異常が発生した場合のエンジンの制御手法を示すフローチャートである。
【0014】
図1〜図4に示す能動型防振支持装置Mは、自動車の気筒休止制御が可能なエンジンEを車体フレームFに弾性的に支持するためのもので、エンジンEのクランクシャフトの回転に伴って出力されるクランクパルスを検出するクランクパルスセンサSが接続された電子制御ユニットUによって制御される。このクランクパルスはクランクシャフトの1回転につき36回、つまりクランクアングルの10°毎に1回出力される。
【0015】
能動型防振支持装置Mは軸線Lに関して実質的に軸対称な構造を有するもので、エンジンEに結合される板状の取付ブラケット11に溶接した内筒12と、この内筒12の外周に同軸に配置された外筒13とを備えており、内筒12および外筒13には厚肉のゴムで形成した第1弾性体14の上端および下端がそれぞれが加硫接着により接合される。中央に開口15bを有する円板状の第1オリフィス形成部材15と、上面が開放した樋状の断面を有して環状に形成された第2オリフィス形成部材16と、同じく上面が開放した樋状の断面を有して環状に形成された第3オリフィス形成部材17とが溶接により一体化されており、第1オリフィス形成部材15および第2オリフィス形成部材16の外周部が重ね合わされて前記外筒13の下部に設けたカシメ固定部13aに固定される。
【0016】
膜状のゴムで形成された第2弾性体18の外周が第3オリフィス形成部材17の内周に加硫接着により固定されており、この第2弾性体18の内周に加硫接着により固定されたキャップ部材19が、軸線L上に上下動可能に配置された可動部材20に圧入により固定される。外筒13のカシメ固定部13aに固定されたリング部材21にダイヤフラム22の外周が加硫接着により固定されており、このダイヤフラム22の内周に加硫接着により固定されたキャップ部材23が前記可動部材20に圧入により固定される。
【0017】
しかして、第1弾性体14および第2弾性体18間に液体が封入された第1液室24が区画され、第2弾性体18およびダイヤフラム22間に液体が封入された第2液室25が区画される。そして第1液室24および第2液室25は、第1〜第3オリフィス形成部材15,16,17により形成された上部オリフィス26および下部オリフィス27によって相互に連通する。
【0018】
上部オリフィス26は第1オリフィス形成部材15および第2オリフィス形成部材16間に形成される環状の通路であって、その一部に設けられた隔壁26aの一側において第1オリフィス形成部材15に連通孔15aが形成され、前記隔壁26aの他側において第2オリフィス形成部材16に連通孔16aが形成される。従って、上部オリフィス26は、第1オリフィス形成部材15の連通孔15aから第2オリフィス形成部材16の連通孔16aまでの略1周の範囲に亘って形成される(図2参照)。
【0019】
下部オリフィス27は第2オリフィス形成部材16および第3オリフィス形成部材17間に形成される環状の通路であって、その一部に設けられた隔壁27aの一側において第2オリフィス形成部材16に前記連通孔16aが形成され、前記隔壁27aの他側において第3オリフィス形成部材17に連通孔17aが形成される。従って、下部オリフィス27は、第2オリフィス形成部材16の連通孔16aから第3オリフィス形成部材17の連通孔17aまでの略1周の範囲に亘って形成される(図3参照)。
【0020】
以上のことから、第1液室24および第2液室25は、直列に接続された上部オリフィス26および下部オリフィス27によって相互に連通する。
【0021】
外筒13のカシメ固定部13aには、能動型防振支持装置Mを車体フレームFに固定するための環状の取付ブラケット28が固定されており、この取付ブラケット28の下面に前記可動部材20を駆動するためのアクチュエータ29の外郭を構成するアクチュエータハウジング30が溶接される。
【0022】
アクチュエータハウジング30にはヨーク32が固定されており、ボビン33に巻き付けられたコイル34がアクチュエータハウジング30およびヨーク32に囲まれた空間に収納される。環状のコイル34の内周に嵌合するヨーク32の筒状部32aに有底円筒状のベアリング36が嵌合する。コイル34の上面に対向する円板状のアーマチュア38がアクチュエータハウジング30の内周面に摺動自在に支持されており、このアーマチュア38の内周に形成した段部38aがベアリング36の上部に係合する。アーマチュア38はボビン33の上面との間に配置した皿ばね42で上方に付勢され、アクチュエータハウジング30に設けた係止部30aに係合して位置決めされる。
【0023】
ベアリング36の内周に円筒状のスライダ43が摺動自在に嵌合しており、可動部材20から下方に延びる軸部20aが、ベアリング36の上底部を緩く貫通してスライダ43の内部に固定したボス44に接続される。ベアリング36の上底部とスライダ43との間にコイルばね41が配置されており、このコイルばね41でベアリング36は上向きに付勢され、スライダ43は下向きに付勢される。
【0024】
アクチュエータ29のコイル34が消磁状態にあるとき、ベアリング36に摺動自在に支持されたスライダ43にはコイルばね41の弾発力が下向きに作用するとともに、ヨーク32の底面との間に配置したコイルばね45の弾発力が上向きに作用しており、スライダ43は両コイルばね41,45の弾発力が釣り合う位置に停止する。この状態からコイル34を励磁してアーマチュア38を下方に吸引すると、段部38aに押されてベアリング36が下方に摺動することによりコイルばね41が圧縮される。その結果、コイルばね41の弾発力が増加してコイルばね45を圧縮しながらスライダ43が下降するため、スライダ43にボス44および軸部20aを介して接続された可動部材20が下降し、可動部材20に接続された第2弾性体18が下方に変形して第1液室24の容積が増加する。逆にコイル34を消磁すると、可動部材20が上昇して第2弾性体18が上方に変形し、第1液室24の容積が減少する。
【0025】
しかして、自動車の走行中に低周波数のエンジンシェイク振動が発生したとき、エンジンEから入力される荷重で第1弾性体14が変形して第1液室24の容積が変化すると、上部オリフィス26および下部オリフィス27を介して接続された第1液室24および第2液室25間で液体が行き来する。第1液室24の容積が拡大・縮小すると、それに応じて第2液室25の容積が縮小・拡大するが、この第2液室25の容積変化はダイヤフラム22の弾性変形により吸収される。このとき、上部オリフィス26および下部オリフィス27の形状および寸法、並びに第1弾性体14のばね定数は前記エンジンシェイク振動の周波数領域で低ばね定数および高減衰力を示すように設定されているため、エンジンEから車体フレームFに伝達される振動を効果的に低減することができる。
【0026】
尚、上記エンジンシェイク振動の周波数領域では、アクチュエータ29は非作動状態に保たれる。
【0027】
前記エンジンシェイク振動よりも周波数の高い振動、即ちエンジンEのクランクシャフトの回転に起因するアイドル時の振動や気筒休止時の振動が発生した場合、第1液室24および第2液室25を接続する上部オリフィス26および下部オリフィス27内の液体はスティック状態になって防振機能を発揮できなくなるため、アクチュエータ29を駆動して防振機能を発揮させる。
【0028】
アクチュエータ29による防振機能を発揮させるべく、電子制御ユニットUはクランクパルスセンサSからの信号に基づいてコイル34に対する通電を制御する。この制御の内容を、図5のフローチャートに基づいて具体的に説明する。
【0029】
先ずステップS1でクランクパルスセンサSからクランクアングルの10°毎に出力されるクランクパルスを読み込み、ステップS2で前記読み込んだクランクパルスを基準となるクランクパルス(特定のシリンダのTDC信号)と比較することでクランクパルスの時間間隔を演算する。続くステップS3で前記10°のクランクアングルをクランクパルスの時間間隔で除算することでクランク角速度ωを演算し、ステップS4でクランク角速度ωを時間微分してクランク角加速度dω/dtを演算する。続くステップS5でエンジンEのクランクシャフト回りのトルクTqを、エンジンEのクランクシャフト回りの慣性モーメントをIとして、
Tq=I×dω/dt
により演算する。このトルクTqはクランクシャフトが一定の角速度ωで回転していると仮定すると0になるが、膨張行程ではピストンの加速により角速度ωが増加し、圧縮行程ではピストンの減速により角速度ωが減少してクランク角加速度dω/dtが発生するため、そのクランク角加速度dω/dtに比例したトルクTqが発生することになる。
【0030】
続くステップS6で時間的に隣接するトルクの最大値および最小値を判定し、ステップS7でトルクの最大値および最小値の偏差、つまりトルクの変動量としてエンジンEを支持する能動型防振支持装置Mの位置における振幅を演算する。この振幅は本発明のエンジン振動の大きさに対応する。続くステップS8で前記振幅が予め設定した設定値以上であれば、ステップS9でエンジン振動の位相を演算する。このエンジン振動の位相は、前記トルクが最大になるときのクランクアングルから演算可能である。一方、前記ステップS8で前記振幅が予め設定した設定値未満であれば、ステップS10でエンジン振動の位相を予め設定した設定値に固定する。そしてステップS11で、演算したエンジン振動の大きさおよび演算したエンジン振動の位相(あるいは予め設定したエンジン振動の位相)に基づいて、アクチュエータ29のコイル34に印加する電流のデューティ波形およびタイミング(位相)を決定する。
【0031】
しかして、振動によってエンジンEが下方に偏倚して第1液室24の容積が減少して液圧が増加するときには、コイル34を励磁してアーマチュア38を吸引する。その結果、アーマチュア38はコイルばね41,45を圧縮しながらスライダ43および可動部材20と共に下方に移動し、可動部材20に内周を接続された第2弾性体18を下方に変形させる。これにより、第1液室24の容積が増加して液圧の増加を抑制するため、能動型防振支持装置MはエンジンEから車体フレームFへの下向きの荷重伝達を防止する能動的な支持力を発生する。
【0032】
逆に振動によってエンジンEが上方に偏倚して第1液室24の容積が増加して液圧が減少するときには、コイル34を消磁してアーマチュア38の吸引を解除する。その結果、アーマチュア38はコイルばね41,45の弾発力でスライダ43および可動部材20と共に上方に移動し、可動部材20に内周を接続された第2弾性体18を上方に変形させる。これにより、第1液室24の容積が減少して液圧の減少を抑制するため、能動型防振支持装置MはエンジンEから車体フレームFへの上向きの荷重伝達を防止する能動的な支持力を発生する。
【0033】
以上のように、クランクパルスセンサSで検出したエンジンEのクランクパルスからエンジン振動の大きさおよびエンジン振動の位相を推定し、推定したエンジン振動の大きさおよびエンジン振動の位相に基づいてアクチュエータ29のコイル34に印加する電流を制御するので、エンジンEの個体間の振動特性のバラツキ、あるいはエンジンの長期の使用に伴う振動特性の変化の影響を受けることなく、能動型防振支持装置Mに有効な防振性能を発揮させることができる。
【0034】
また推定したエンジン振動が小さいときにはトルクの変動も小さいため、そのトルクが最大になる位相から推定するエンジン振動の位相の精度が低下し、アクチュエータ29を的確に制御することが難しくなる。しかしながら、この場合には推定したエンジン振動の大きさと、予め設定したエンジン振動の位相とに基づいてアクチュエータ29を制御するので、エンジン振動の位相の推定が難しい場合でもアクチュエータ29を的確に制御し、能動型防振支持装置Mに有効な防振性能を発揮させることができる。
【0035】
さて、図6のフローチャートにおいて、ステップS21で能動型防振支持装置Mの制御中に、ステップS22でエンジンEの運転状態が正常であれば、ステップS23で能動型防振支持装置Mの制御をそのまま続行する。一方、前記ステップS22でエンジンEの運転状態に異常が発生すると、ステップS24で能動型防振支持装置Mの制御を中止する。
【0036】
これにより、異常が発生したエンジンEの大きな振動を抑制しきれない状態のまま能動型防振支持装置Mが無駄な作動を行うのを防止し、そのアクチュエータ29が無駄な電力を消費する事態や、能動型防振支持装置Mの負荷が増加して耐久性が低下する事態を未然に回避することができる。
【0037】
尚、上述したエンジンEの運転状態の異常には、例えば気筒休止機構の異常があり、その異常検出は気筒休止切換油圧を油圧センサで監視したり、油圧切換用のソレノイド弁の断線等を監視することで行われる。
【0038】
また、図7のフローチャートにおいて、ステップS31で能動型防振支持装置Mの制御中に、ステップS32で能動型防振支持装置Mの作動状態が正常であれば、ステップS33で能動型防振支持装置Mの制御をそのまま続行する。一方、前記ステップS32で能動型防振支持装置Mの作動状態に異常が発生した場合、ステップS34でエンジンEが気筒休止中であれば、ステップS35で気筒休止を解除して全筒状態に復帰させるとともに、前記ステップS34でエンジンEが気筒休止中でなければ、ステップS36で気筒休止への切り換えを禁止する。
【0039】
これにより、能動型防振支持装置Mに異常が発生して充分な防振機能を発揮できない状態で、エンジンEの振動が増加する気筒休止状態になるのを未然に防止し、騒音や振動の増加を防止することができる。
【0040】
尚、上述した能動型防振支持装置Mの作動状態の異常には、例えばアクチュエータ29やその電子制御ユニットUの異常があり、アクチュエータ29を流れる電流の大きさを監視したり、電子制御ユニットUの各信号線の電圧に基づいて断線を監視することで行われる。
【0041】
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
【0042】
例えば、実施例では自動車のエンジンEを支持する能動型防振支持装置Mを例示したが、本発明の能動型防振支持装置Mは自動車以外のエンジンの支持に適用することができる。
【0043】
【発明の効果】
以上のように請求項1に記載された発明によれば、能動型防振支持装置のアクチュエータへの通電を制御することでエンジンの振動が車体フレームに伝達されるのを抑制する際に、エンジンの運転状態に異常が検出されると能動型防振支持装置の作動を禁止するので、エンジンの振動を抑制しきれない状態で能動型防振支持装置が無駄な作動を行うのを防止し、アクチュエータが電力を浪費したり能動型防振支持装置の耐久性が低下したりするのを回避することができる。
【0044】
また請求項2に記載された発明によれば、能動型防振支持装置のアクチュエータへの通電を制御することでエンジンの振動が車体フレームに伝達されるのを抑制する際に、能動型防振支持装置の作動状態に異常が検出されるとエンジンの気筒休止を禁止するので、気筒休止によるエンジンの振動の増加を能動型防振支持装置で抑制しきれなくなる事態を未然に回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】能動型防振支持装置の縦断面図
【図2】図1の2−2線断面図
【図3】図1の3−3線断面図
【図4】図1の要部拡大図
【図5】アクチュエータの制御手法を示すフローチャート
【図6】エンジンの運転状態に異常が発生した場合の能動型防振支持装置の制御手法を示すフローチャート
【図7】能動型防振支持装置の作動状態に異常が発生した場合のエンジンの制御手法を示すフローチャート
【符号の説明】
E エンジン
F 車体フレーム
M 能動型防振支持装置
14 第1弾性体(弾性体)
20 可動部材
24 第1液室(液室)
29 アクチュエータ
Claims (2)
- エンジン(E)の振動を受ける弾性体(14)と、
弾性体(14)が少なくとも壁面の一部を構成する液室(24)と、
液室(24)の容積を変化させる可動部材(20)と、
可動部材(20)を電磁力で駆動するアクチュエータ(29)と、
を含む能動型防振支持装置(M)を備え、
能動型防振支持装置(M)のアクチュエータ(29)への通電を制御することでエンジン(E)の振動が車体フレーム(F)に伝達されるのを抑制するエンジンの防振支持装置において、
エンジン(E)の運転状態に異常が検出されたときに能動型防振支持装置(M)の作動を禁止することを特徴とするエンジンの防振支持装置。 - 気筒休止可能なエンジン(E)の振動を受ける弾性体(14)と、
弾性体(14)が少なくとも壁面の一部を構成する液室(24)と、
液室(24)の容積を変化させる可動部材(20)と、
可動部材(20)を電磁力で駆動するアクチュエータ(29)と、
を含む能動型防振支持装置(M)を備え、
能動型防振支持装置(M)のアクチュエータ(29)への通電を制御することでエンジン(E)の振動が車体フレーム(F)に伝達されるのを抑制するエンジンの防振支持装置において、
能動型防振支持装置(M)の作動状態に異常が検出されたときにエンジン(E)の気筒休止を禁止することを特徴とするエンジンの防振支持装置。
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