JP3803603B2 - 能動型防振支持装置のアクチュエータ駆動制御方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンの振動を受ける弾性体と、弾性体が少なくとも壁面の一部を構成する液室と、液室の容積を変化させる可動部材と、可動部材を電磁力で駆動するアクチュエータとを備えた能動型防振支持装置のアクチュエータ駆動制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
かかる能動型防振支持装置は、特開平7−42783号公報により公知である。
【0003】
この能動型防振支持装置は、アクチュエータに交流電流を印加して可動部材を振動させることでバネ定数を変化させるもので、そのバネ定数を設定する交流電流のピーク電流値と位相との関係を予めマップとして記憶しておき、エンジン回転数に応じて前記マップからアクチュエータに印加すべき交流電流のピーク電流値と位相とを求めることで、種々のエンジン回転数領域で能動型防振支持装置に有効な防振性能を発揮させるようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記従来のものは、エンジンの個体間で振動の大きさや振動の位相にバラツキがあることや、エンジンの長期の使用に伴う振動特性の変化の影響を考慮できないため、必ずしも有効な防振性能を発揮できない場合があった。
【0005】
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、個々のエンジンの振動特性に応じて能動型防振支持装置に有効な防振性能を発揮させることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明によれば、エンジンの振動を受ける弾性体と、弾性体が少なくとも壁面の一部を構成する液室と、液室の容積を変化させる可動部材と、可動部材を電磁力で駆動するアクチュエータとを備えた能動型防振支持装置のアクチュエータ駆動制御方法において、エンジンのクランクパルスを検出することでエンジン振動の位相およびエンジン振動の大きさを推定し、推定したエンジン振動の大きさが所定値以上のときには推定したエンジン振動の位相に基づいてアクチュエータを制御し、推定したエンジン振動の大きさが所定値未満のときには予め設定したエンジン振動の位相に基づいてアクチュエータを制御することを特徴とする能動型防振支持装置のアクチュエータ駆動制御方法が提案される。
【0007】
上記構成によれば、エンジンのクランクパルスからエンジン振動の大きさおよびエンジン振動の位相を推定し、推定したエンジン振動が大きいときには推定したエンジン振動の位相に基づいてアクチュエータを制御するので、エンジンの個体間の振動の大きさや振動の位相のバラツキ、あるいはエンジンの長期の使用に伴う振動特性の変化の影響を受けることなく、アクチュエータを的確に制御して有効な防振性能を発揮させることができる。また推定したエンジン振動が小さいときには予め設定したエンジン振動の位相に基づいてアクチュエータを制御するので、エンジン振動が小さいためにエンジン振動の位相の推定が難しい場合でも、アクチュエータを的確に制御して有効な防振性能を発揮させることができる。
【0008】
また請求項2に記載された発明によれば、エンジンの振動を受ける弾性体と、弾性体が少なくとも壁面の一部を構成する液室と、液室の容積を変化させる可動部材と、可動部材を電磁力で駆動するアクチュエータとを備えた能動型防振支持装置のアクチュエータ駆動制御方法において、エンジンのクランクパルスを検出することでエンジン振動の位相およびエンジン振動の大きさを推定し、推定したエンジン振動の大きさが所定値以上のときには推定したエンジン振動の大きさおよび推定したエンジン振動の位相に基づいてアクチュエータを制御し、推定したエンジン振動の大きさが所定値未満のときには推定したエンジン振動の大きさおよび予め設定したエンジン振動の位相に基づいてアクチュエータを制御することを特徴とする能動型防振支持装置のアクチュエータ駆動制御方法が提案される。
【0009】
上記構成によれば、エンジンのクランクパルスからエンジン振動の大きさおよびエンジン振動の位相を推定し、推定したエンジン振動が大きいときには推定したエンジン振動の大きさおよびエンジン振動の位相に基づいてアクチュエータを制御するので、エンジンの個体間の振動の大きさや振動の位相のバラツキ、あるいはエンジンの長期の使用に伴う振動特性の変化の影響を受けることなく、アクチュエータを的確に制御して有効な防振性能を発揮させることができる。また推定したエンジン振動が小さいときには推定したエンジン振動の大きさおよび予め設定したエンジン振動の位相に基づいてアクチュエータを制御するので、エンジン振動が小さいためにエンジン振動の位相の推定が難しい場合でも、アクチュエータを的確に制御して有効な防振性能を発揮させることができる。
【0010】
また請求項3に記載された発明によれば、請求項1または請求項2の構成に加えて、前記推定したエンジン振動の大きさが所定値以上のときは、エンジンが気筒休止状態のときであり、前記推定したエンジン振動の大きさが所定値未満のときは、エンジンが非気筒休止状態のときであることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の能動型防振支持装置のアクチュエータ駆動制御方法が提案される。
【0011】
上記構成によれば、エンジン振動が大きくなる気筒休止状態のときには推定したエンジン振動の位相に基づいてアクチュエータを制御し、エンジン振動が小さくなる非気筒休止状態のときには予め設定したエンジン振動の位相に基づいてアクチュエータを制御することで、気筒休止状態であるか否かに関わらずに有効な防振性能を発揮させることができる。
【0012】
また請求項4に記載された発明によれば、請求項1または請求項2の構成に加えて、前記推定したエンジン振動の大きさが所定値以上のときは、エンジンが非アイドル状態のときであり、前記推定したエンジン振動の大きさが所定値未満のときは、エンジンがアイドル状態のときであることを特徴とする能動型防振支持装置のアクチュエータ駆動制御方法が提案される。
【0013】
上記構成によれば、エンジン振動が大きくなる非アイドル状態のときには推定したエンジン振動の位相に基づいてアクチュエータを制御し、エンジン振動が小さくなるアイドル状態のときには予め設定したエンジン振動の位相に基づいてアクチュエータを制御することで、アイドル状態であるか否かに関わらずに有効な防振性能を発揮させることができる。
【0014】
尚、実施例の第1弾性体14は本発明の弾性体に対応し、実施例の第1液室24は本発明の液室に対応し、実施例の能動型防振支持装置Mの位置における振幅は本発明のエンジン振動の大きさに対応する。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に示した本発明の実施例に基づいて説明する。 図1〜図5は本発明の一実施例を示すもので、図1は能動型防振支持装置の縦断面図、図2は図1の2−2線断面図、図3は図1の3−3線断面図、図4は図1の要部拡大図、図5はアクチュエータの制御手法を示すフローチャートである。
【0016】
図1〜図4に示す能動型防振支持装置Mは、自動車のエンジンEを車体フレームFに弾性的に支持するためのもので、エンジンEのクランクシャフトの回転に伴って出力されるクランクパルスを検出するクランクパルスセンサSが接続された電子制御ユニットUによって制御される。このクランクパルスはクランクシャフトの1回転につき36回、つまりクランクアングルの10°毎に1回出力される。
【0017】
能動型防振支持装置Mは軸線Lに関して実質的に軸対称な構造を有するもので、エンジンEに結合される板状の取付ブラケット11に溶接した内筒12と、この内筒12の外周に同軸に配置された外筒13とを備えており、内筒12および外筒13には厚肉のゴムで形成した第1弾性体14の上端および下端がそれぞれが加硫接着により接合される。中央に開口15bを有する円板状の第1オリフィス形成部材15と、上面が開放した樋状の断面を有して環状に形成された第2オリフィス形成部材16と、同じく上面が開放した樋状の断面を有して環状に形成された第3オリフィス形成部材17とが溶接により一体化されており、第1オリフィス形成部材15および第2オリフィス形成部材16の外周部が重ね合わされて前記外筒13の下部に設けたカシメ固定部13aに固定される。
【0018】
膜状のゴムで形成された第2弾性体18の外周が第3オリフィス形成部材17の内周に加硫接着により固定されており、この第2弾性体18の内周に加硫接着により固定されたキャップ部材19が、軸線L上に上下動可能に配置された可動部材20に圧入により固定される。外筒13のカシメ固定部13aに固定されたリング部材21にダイヤフラム22の外周が加硫接着により固定されており、このダイヤフラム22の内周に加硫接着により固定されたキャップ部材23が前記可動部材20に圧入により固定される。
【0019】
しかして、第1弾性体14および第2弾性体18間に液体が封入された第1液室24が区画され、第2弾性体18およびダイヤフラム22間に液体が封入された第2液室25が区画される。そして第1液室24および第2液室25は、第1〜第3オリフィス形成部材15,16,17により形成された上部オリフィス26および下部オリフィス27によって相互に連通する。
【0020】
上部オリフィス26は第1オリフィス形成部材15および第2オリフィス形成部材16間に形成される環状の通路であって、その一部に設けられた隔壁26aの一側において第1オリフィス形成部材15に連通孔15aが形成され、前記隔壁26aの他側において第2オリフィス形成部材16に連通孔16aが形成される。従って、上部オリフィス26は、第1オリフィス形成部材15の連通孔15aから第2オリフィス形成部材16の連通孔16aまでの略1周の範囲に亘って形成される(図2参照)。
【0021】
下部オリフィス27は第2オリフィス形成部材16および第3オリフィス形成部材17間に形成される環状の通路であって、その一部に設けられた隔壁27aの一側において第2オリフィス形成部材16に前記連通孔16aが形成され、前記隔壁27aの他側において第3オリフィス形成部材17に連通孔17aが形成される。従って、下部オリフィス27は、第2オリフィス形成部材16の連通孔16aから第3オリフィス形成部材17の連通孔17aまでの略1周の範囲に亘って形成される(図3参照)。
【0022】
以上のことから、第1液室24および第2液室25は、直列に接続された上部オリフィス26および下部オリフィス27によって相互に連通する。
【0023】
外筒13のカシメ固定部13aには、能動型防振支持装置Mを車体フレームFに固定するための環状の取付ブラケット28が固定されており、この取付ブラケット28の下面に前記可動部材20を駆動するためのアクチュエータ29の外郭を構成するアクチュエータハウジング30が溶接される。
【0024】
アクチュエータハウジング30にはヨーク32が固定されており、ボビン33に巻き付けられたコイル34がアクチュエータハウジング30およびヨーク32に囲まれた空間に収納される。環状のコイル34の内周に嵌合するヨーク32の筒状部32aに有底円筒状のベアリング36が嵌合する。コイル34の上面に対向する円板状のアーマチュア38がアクチュエータハウジング30の内周面に摺動自在に支持されており、このアーマチュア38の内周に形成した段部38aがベアリング36の上部に係合する。アーマチュア38はボビン33の上面との間に配置した皿ばね42で上方に付勢され、アクチュエータハウジング30に設けた係止部30aに係合して位置決めされる。
【0025】
ベアリング36の内周に円筒状のスライダ43が摺動自在に嵌合しており、可動部材20から下方に延びる軸部20aが、ベアリング36の上底部を緩く貫通してスライダ43の内部に固定したボス44に接続される。ベアリング36の上底部とスライダ43との間にコイルばね41が配置されており、このコイルばね41でベアリング36は上向きに付勢され、スライダ43は下向きに付勢される。
【0026】
アクチュエータ29のコイル34が消磁状態にあるとき、ベアリング36に摺動自在に支持されたスライダ43にはコイルばね41の弾発力が下向きに作用するとともに、ヨーク32の底面との間に配置したコイルばね45の弾発力が上向きに作用しており、スライダ43は両コイルばね41,45の弾発力が釣り合う位置に停止する。この状態からコイル34を励磁してアーマチュア38を下方に吸引すると、段部38aに押されてベアリング36が下方に摺動することによりコイルばね41が圧縮される。その結果、コイルばね41の弾発力が増加してコイルばね45を圧縮しながらスライダ43が下降するため、スライダ43にボス44および軸部20aを介して接続された可動部材20が下降し、可動部材20に接続された第2弾性体18が下方に変形して第1液室24の容積が増加する。逆にコイル34を消磁すると、可動部材20が上昇して第2弾性体18が上方に変形し、第1液室24の容積が減少する。
【0027】
しかして、自動車の走行中に低周波数のエンジンシェイク振動が発生したとき、エンジンEから入力される荷重で第1弾性体14が変形して第1液室24の容積が変化すると、上部オリフィス26および下部オリフィス27を介して接続された第1液室24および第2液室25間で液体が行き来する。第1液室24の容積が拡大・縮小すると、それに応じて第2液室25の容積が縮小・拡大するが、この第2液室25の容積変化はダイヤフラム22の弾性変形により吸収される。このとき、上部オリフィス26および下部オリフィス27の形状および寸法、並びに第1弾性体14のばね定数は前記エンジンシェイク振動の周波数領域で低ばね定数および高減衰力を示すように設定されているため、エンジンEから車体フレームFに伝達される振動を効果的に低減することができる。
【0028】
尚、上記エンジンシェイク振動の周波数領域では、アクチュエータ29は非作動状態に保たれる。
【0029】
前記エンジンシェイク振動よりも周波数の高い振動、即ちエンジンEのクランクシャフトの回転に起因するアイドル振動やこもり音振動が発生した場合、第1液室24および第2液室25を接続する上部オリフィス26および下部オリフィス27内の液体はスティック状態になって防振機能を発揮できなくなるため、アクチュエータ29を駆動して防振機能を発揮させる。
【0030】
アクチュエータ29による防振機能を発揮させるべく、電子制御ユニットUはクランクパルスセンサSからの信号に基づいてコイル34に対する通電を制御する。この制御の内容を、図5のフローチャートに基づいて具体的に説明する。
【0031】
先ずステップS1でクランクパルスセンサSからクランクアングルの10°毎に出力されるクランクパルスを読み込み、ステップS2で前記読み込んだクランクパルスを基準となるクランクパルス(特定のシリンダのTDC信号)と比較することでクランクパルスの時間間隔を演算する。続くステップS3で前記10°のクランクアングルをクランクパルスの時間間隔で除算することでクランク角速度ωを演算し、ステップS4でクランク角速度ωを時間微分してクランク角加速度dω/dtを演算する。続くステップS5でエンジンEのクランクシャフト回りのトルクTqを、エンジンEのクランクシャフト回りの慣性モーメントをIとして、
Tq=I×dω/dt
により演算する。このトルクTqはクランクシャフトが一定の角速度ωで回転していると仮定すると0になるが、膨張行程ではピストンの加速により角速度ωが増加し、圧縮行程ではピストンの減速により角速度ωが減少してクランク角加速度dω/dtが発生するため、そのクランク角加速度dω/dtに比例したトルクTqが発生することになる。
【0032】
続くステップS6で時間的に隣接するトルクの最大値および最小値を判定し、ステップS7でトルクの最大値および最小値の偏差、つまりトルクの変動量としてエンジンEを支持する能動型防振支持装置Mの位置における振幅を演算する。この振幅は本発明のエンジン振動の大きさに対応する。続くステップS8で前記振幅が予め設定した設定値以上であれば、ステップS9でエンジン振動の位相を演算する。このエンジン振動の位相は、前記トルクが最大になるときのクランクアングルから演算可能である。一方、前記ステップS8で前記振幅が予め設定した設定値未満であれば、ステップS10でエンジン振動の位相を予め設定した設定値に固定する。そしてステップS11で、演算したエンジン振動の大きさおよび演算したエンジン振動の位相(あるいは予め設定したエンジン振動の位相)に基づいて、アクチュエータ29のコイル34に印加する電流のデューティ波形およびタイミング(位相)を決定する。
【0033】
しかして、振動によってエンジンEが下方に偏倚して第1液室24の容積が減少して液圧が増加するときには、コイル34を励磁してアーマチュア38を吸引する。その結果、アーマチュア38はコイルばね41,45を圧縮しながらスライダ43および可動部材20と共に下方に移動し、可動部材20に内周を接続された第2弾性体18を下方に変形させる。これにより、第1液室24の容積が増加して液圧の増加を抑制するため、能動型防振支持装置MはエンジンEから車体フレームFへの下向きの荷重伝達を防止する能動的な支持力を発生する。
【0034】
逆に振動によってエンジンEが上方に偏倚して第1液室24の容積が増加して液圧が減少するときには、コイル34を消磁してアーマチュア38を吸引を解除する。その結果、アーマチュア38はコイルばね41,45の弾発力でスライダ43および可動部材20と共に上方に移動し、可動部材20に内周を接続された第2弾性体18を上方に変形させる。これにより、第1液室24の容積が減少して液圧の減少を抑制するため、能動型防振支持装置MはエンジンEから車体フレームFへの上向きの荷重伝達を防止する能動的な支持力を発生する。
【0035】
以上のように、クランクパルスセンサSで検出したエンジンEのクランクパルスからエンジン振動の大きさおよびエンジン振動の位相を推定し、推定したエンジン振動の大きさおよびエンジン振動の位相に基づいてアクチュエータ29のコイル34に印加する電流を制御するので、エンジンEの個体間の振動特性のバラツキ、あるいはエンジンの長期の使用に伴う振動特性の変化の影響を受けることなく、能動型防振支持装置Mに有効な防振性能を発揮させることができる。
【0036】
また推定したエンジン振動が小さいときにはトルクの変動も小さいため、そのトルクが最大になる位相から推定するエンジン振動の位相の精度が低下し、アクチュエータ29を的確に制御することが難しくなる。しかしながら、この場合には推定したエンジン振動の大きさと、予め設定したエンジン振動の位相とに基づいてアクチュエータ29を制御するので、エンジン振動の位相の推定が難しい場合でもアクチュエータ29を的確に制御し、能動型防振支持装置Mに有効な防振性能を発揮させることができる。
【0037】
ところで上記実施例では、能動型防振支持装置Mの位置での振幅が大きいときには推定したエンジン振動の位相に基づいてアクチュエータ29を制御し、前記振幅が小さいときには予め設定したエンジン振動の位相に基づいてアクチュエータ29を制御しているが、この方法だとエンジン回転数が同一であっても振動の大小によって2種類のエンジン振動の位相の何れか一方を用いて制御を行うことになるため、制御が複雑になって2種類の制御が切り換わるときに不具合が発生し易くなる問題がある。そこで、以下の二つの手法によってアクチュエータ29の制御を切り換えることで、上記問題を解消することができる。
【0038】
休筒運転と全筒運転とを切り換えるエンジンEでは、作動する気筒数が少ない休筒運転時にエンジンEの運転が滑らかでなくなって振動が大きくなり、作動する気筒数が多い全筒運転時にエンジンEの運転が滑らかになって振動が小さくなるため、エンジン振動が大きい休筒運転時に推定したエンジン振動の位相を採用してアクチュエータ29を制御し、エンジン振動が小さい全筒運転時に予め設定したエンジン振動の位相を採用してアクチュエータ29を制御することができる。
【0039】
またエンジン回転数が低いアイドル運転時にエンジン振動が小さくなり、エンジン回転数が高い非アイドル運転時にエンジン振動が大きくなるため、エンジン振動が大きい非アイドル運転時に推定したエンジン振動の位相を採用してアクチュエータ29を制御し、エンジン振動が小さいアイドル運転時に予め設定したエンジン振動の位相を採用してアクチュエータ29を制御することができる。
【0040】
このように、休筒運転時には実際のエンジン振動の大小に関わらずに推定したエンジン振動の位相に基づいてアクチュエータ29を制御し、またアイドル運転時には実際のエンジン振動の大小に関わらずに予め設定したエンジン振動の位相に基づいてアクチュエータ29を制御することで、アクチュエータ29の制御を簡素化することができ、しかも推定したエンジン振動の位相に基づく制御と予め設定したエンジン振動の位相に基づく制御とが切り換わるときの不具合を回避することができる。
【0041】
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
【0042】
例えば、実施例では自動車のエンジンEを支持する能動型防振支持装置Mを例示したが、本発明の能動型防振支持装置は工作機械等の他の振動体の支持に適用することができる。
【0043】
また実施例では振幅が予め設定した設定値以上のときに、演算したエンジン振動の大きさおよび演算したエンジン振動の位相に基づいてアクチュエータ29への通電を制御しているが、演算したエンジン振動の位相だけに基づいてアクチュエータ29への通電を制御しても良い。同様に実施例では振幅が予め設定した設定値未満のときに、演算したエンジン振動の大きさおよび予め設定したエンジン振動の位相に基づいてアクチュエータ29への通電を制御しているが、予め設定したエンジン振動の位相だけに基づいてアクチュエータ29への通電を制御しても良い。
【0044】
【発明の効果】
以上のように請求項1に記載された発明によれば、エンジンのクランクパルスからエンジン振動の大きさおよびエンジン振動の位相を推定し、推定したエンジン振動が大きいときには推定したエンジン振動の位相に基づいてアクチュエータを制御するので、エンジンの個体間の振動の大きさや振動の位相のバラツキ、あるいはエンジンの長期の使用に伴う振動特性の変化の影響を受けることなく、アクチュエータを的確に制御して有効な防振性能を発揮させることができる。また推定したエンジン振動が小さいときには予め設定したエンジン振動の位相に基づいてアクチュエータを制御するので、エンジン振動が小さいためにエンジン振動の位相の推定が難しい場合でも、アクチュエータを的確に制御して有効な防振性能を発揮させることができる。
【0045】
また請求項2に記載された発明によれば、エンジンのクランクパルスからエンジン振動の大きさおよびエンジン振動の位相を推定し、推定したエンジン振動が大きいときには推定したエンジン振動の大きさおよびエンジン振動の位相に基づいてアクチュエータを制御 するので、エンジンの個体間の振動の大きさや振動の位相のバラツキ、あるいはエンジンの長期の使用に伴う振動特性の変化の影響を受けることなく、アクチュエータを的確に制御して有効な防振性能を発揮させることができる。また推定したエンジン振動が小さいときには推定したエンジン振動の大きさおよび予め設定したエンジン振動の位相に基づいてアクチュエータを制御するので、エンジン振動が小さいためにエンジン振動の位相の推定が難しい場合でも、アクチュエータを的確に制御して有効な防振性能を発揮させることができる。
【0046】
また請求項3に記載された発明によれば、エンジン振動が大きくなる気筒休止状態のときには推定したエンジン振動の位相に基づいてアクチュエータを制御し、エンジン振動が小さくなる非気筒休止状態のときには予め設定したエンジン振動の位相に基づいてアクチュエータを制御することで、気筒休止状態であるか否かに関わらずに有効な防振性能を発揮させることができる。
【0047】
また請求項4に記載された発明によれば、エンジン振動が大きくなる非アイドル状態のときには推定したエンジン振動の位相に基づいてアクチュエータを制御し、エンジン振動が小さくなるアイドル状態のときには予め設定したエンジン振動の位相に基づいてアクチュエータを制御することで、アイドル状態であるか否かに関わらずに有効な防振性能を発揮させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 能動型防振支持装置の縦断面図
【図2】 図1の2−2線断面図
【図3】 図1の3−3線断面図
【図4】 図1の要部拡大図
【図5】 アクチュエータの制御手法を示すフローチャート
【符号の説明】
E エンジン
14 第1弾性体(弾性体)
20 可動部材
24 第1液室(液室)
29 アクチュエータ
Claims (4)
- エンジン(E)の振動を受ける弾性体(14)と、
弾性体(14)が少なくとも壁面の一部を構成する液室(24)と、
液室(24)の容積を変化させる可動部材(20)と、
可動部材(20)を電磁力で駆動するアクチュエータ(29)と、
を備えた能動型防振支持装置のアクチュエータ駆動制御方法において、
エンジン(E)のクランクパルスを検出することでエンジン振動の位相およびエンジン振動の大きさを推定し、
推定したエンジン振動の大きさが所定値以上のときには推定したエンジン振動の位相に基づいてアクチュエータ(29)を制御し、
推定したエンジン振動の大きさが所定値未満のときには予め設定したエンジン振動の位相に基づいてアクチュエータ(29)を制御することを特徴とする能動型防振支持装置のアクチュエータ駆動制御方法。 - エンジン(E)の振動を受ける弾性体(14)と、
弾性体(14)が少なくとも壁面の一部を構成する液室(24)と、
液室(24)の容積を変化させる可動部材(20)と、
可動部材(20)を電磁力で駆動するアクチュエータ(29)と、
を備えた能動型防振支持装置のアクチュエータ駆動制御方法において、
エンジン(E)のクランクパルスを検出することでエンジン振動の位相およびエンジン振動の大きさを推定し、
推定したエンジン振動の大きさが所定値以上のときには推定したエンジン振動の大きさおよび推定したエンジン振動の位相に基づいてアクチュエータ(29)を制御し、
推定したエンジン振動の大きさが所定値未満のときには推定したエンジン振動の大きさおよび予め設定したエンジン振動の位相に基づいてアクチュエータ(29)を制御することを特徴とする能動型防振支持装置のアクチュエータ駆動制御方法。 - 前記推定したエンジン振動の大きさが所定値以上のときは、エンジン(E)が気筒休止状態のときであり、前記推定したエンジン振動の大きさが所定値未満のときは、エンジン(E)が非気筒休止状態のときであることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の能動型防振支持装置のアクチュエータ駆動制御方法。
- 前記推定したエンジン振動の大きさが所定値以上のときは、エンジン(E)が非アイドル状態のときであり、前記推定したエンジン振動の大きさが所定値未満のときは、エンジン(E)がアイドル状態のときであることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の能動型防振支持装置のアクチュエータ駆動制御方法。
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