JP2004259768A - 真空チャンバー用部材およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】真空チャンバーにおいてチャンバーのシール性を向上させ、高真空を実現できる部材を提供する。
【解決手段】半導体製造装置に用いられ、被加工部材を配置する空間を有する容器2と、該容器2の開口部にシール部材3を介して蓋板1を配置し、容器2内の真空を保持する真空チャンバー用部材であって、上記蓋板1の少なくともシール部材3と接する面の表面粗さが(Ra)0.15μm以下とする。
【選択図】図1
【解決手段】半導体製造装置に用いられ、被加工部材を配置する空間を有する容器2と、該容器2の開口部にシール部材3を介して蓋板1を配置し、容器2内の真空を保持する真空チャンバー用部材であって、上記蓋板1の少なくともシール部材3と接する面の表面粗さが(Ra)0.15μm以下とする。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
半導体製造装置の真空チャンバーにおいて、プラズマ等のガスに曝される真空チャンバー用部材に関する。
【0002】
【従来の技術】
図1は半導体製造装置に用いられ、ウエハーにプラズマCVD成膜する真空チャンバーの模式図であり、真空ポンプ4を連設した容器2と、該容器2の開口部に蓋板1がシール部材3を介してクランプ5で固定され、蓋板1の上方には腐食性ガス7を導入するための導入管6が別のシール部材を介して固定用ボルト8により固定されており、容器2と蓋板1とで形成された容器内2aには静電チャック9で固定されたシリコンウエハー10の表面にシリコン酸化膜や金属膜等がプラズマCVD法により成膜される仕組みである。
【0003】
このような真空チャンバー11を有する半導体製造装置において、セラミックスは、その高絶縁特性や耐食性に優れる点から、真空チャンバー11内のシリコンウエハー10の周辺部材だけでなく、外気とのシール構造部である蓋板1にも使用され、プロセスガスに対する耐食性の良さと比較的に安価に製造できることから、主にアルミナセラミックスが使用されている。
【0004】
上記蓋板1を構成するアルミナセラミックスは、その平均結晶粒径が25〜100μm程度、相対密度96%以上であり、このようなアルミナセラミックスを得るため、アルミナ粉末の平均粒径を1〜10μmとし、焼成温度も1650〜1800℃としていた。
【0005】
そして、容器内2aは0.133×10−3〜0.133×10−6Paの真空度が必要であり、蓋板1と容器2、蓋板1とガス導入管6との間のシール性が重要となってくる。
【0006】
シール面の構造については、シール部材3として弾性体からなるOリングが多用され、蓋板1側にこのOリングを設置する溝3aを形成してもいいが、セラミックスは難加工材であり、しかもシール面の機能を果たすために重要である面粗さを良くするために通常行うラップ加工ができないため、図3(a)に示すように蓋板1の表面はフラット面とし、相手側の金属部(容器2)に溝3aを設ける構造となっている。
【0007】
また、上記蓋板1と容器2のシール性を高め、腐食性ガス7が直接シール部材3に暴露し、不純物の混入をさけるため、種々の提案がなされている。
【0008】
具体的には、図3(b)に示すように、複数の部材が互いに接続されてなる容器2内を真空に保持するため、互いに隣接する2つの部材のうち、一方の部材の接続端部の内周側に段部が形成されて外周側に凸部13が設けられ、他方の部材の接続端部には外周側に段部が形成されて外周側に凹部14が設けられ、凸部13と凹部14と嵌合される構造で且つ凸部13と凹部14との間にシール部材が狭持されるような構造となっている(特許文献1参照)。
【0009】
【特許文献1】
特開2002−241939号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、シール構造として引用文献1に示すような真空チャンバー用部材を用いた場合においても、アルミナセラミックス等からなる蓋板1にラップ加工を施して得られる最小の表面粗さは、セラミックス自体の結晶粒径と関係があるため、結晶が大きいとラップ加工する際、表面の結晶の一部が加工負荷に耐え切れずに脱粒をおこし、シール面に多くの窪みができ、時間をかけても表面粗さはRa0.3μm程度であった。
【0011】
そのため、容器内2aでは良好なシール性が得られず、特に0.133×10−6〜0.133×10−9KPaの真空度が要求される場合には、安定した真空度が得られないという問題があった。
【0012】
また、蓋板1を粒径が大きいアルミナ粉末から形成した場合、表面エネルギーが小さいため活性が低く、シリカ(SiO2)などの焼結助剤が必要となり、焼成温度も1650〜1800℃と高くする必要がある。しかし、焼成温度をあまり高くすると粒成長して結晶が大きくなり、平均結晶粒径を小さくすることができず、シール部材3とのシール性が低下しやすいという問題があった。
【0013】
本発明は、上述した課題に鑑みなされたものであってその目的は、真空チャンバー用部材の表面粗さに着目し、最適な範囲とすることでシール性を高め、真空チャンバー内の真空度を高いものに保持するものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明の真空チャンバー用部材は、半導体製造装置に用いられ、被加工部材を配置する空間を有する容器と、該容器の開口部にシール部材を介して配置された蓋板とからなり、容器内の真空を保持する真空チャンバー用部材であって、上記蓋板の少なくともシール部材と接する面の表面粗さが(Ra)0.15μm以下であることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の真空チャンバー用部材は、上記蓋板は、平均結晶粒径15μm以下、最大結晶粒径が50μm以下、および相対密度が96%以上であるアルミナセラミックスからなることを特徴とする。
【0016】
さらに、本発明の真空チャンバー用部材は、上記シール部材が、断面形状が円形である弾性体のOリングからなり、上記蓋板のOリングとの接触部に、Oリングの断面形状である円の直径の1.3倍以上の幅を有し、上記直径の1/4以下の深さを有する曲面状の溝を設けたことを特徴とする。
【0017】
また、本発明の真空チャンバー用部材の製造方法は、平均粒径が0.3〜1μmのアルミナ粉末を99〜99.95重量%に、200〜800ppmのマグネシアを焼結助剤として添加、混合してなる原料粉末を所定形状に成形した後、焼成温度1550〜1650℃の酸化雰囲気中で焼成することを特徴とする。
【0018】
これにより、蓋板のシール部材と接触する面をシール面としたとき、シール部材とシール面とを密着させ、隙間を生じることなく高い真空度を保持することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
次いで、本発明の実施形態を図面に基いて説明する。
【0020】
図1は、本発明の真空チャンバー用部材を用いて成る真空チャンバーを模式的に示す断面図であり、真空ポンプ4を連設した容器2と、該容器2の開口部にシール部材3を介してクランプ5で固定された蓋板1とからなり、蓋板1の上方には腐食性ガス7を導入するための導入管6が別のシール部材を介して固定用ボルト8により固定されており、容器2と蓋板1とで形成された容器内2aには静電チャック9で固定されたシリコンウエハー10等の被加工部材が載置され、その表面にシリコン酸化膜や金属膜等をプラズマCVD法により成膜する仕組みである。
【0021】
上記容器内2aを高真空に保持するためには、蓋板1と容器2の開口部のシール性が重要であり、蓋板1は、図2(a)に示すような円形状あるいは角板形状をなし、ジルコニア、窒化珪素、窒化アルミニウム、アルミナ等のセラミックスからなり、特に腐食性ガス7に対する耐食性が高く、純度も高い、アルミナセラミックスによって形成することがより好ましい。
【0022】
また、上記蓋板1と容器2との間のシール性を保持するために設けられるシール部材3は、弾性体からなり、断面が円形状のOリング等からなる。
【0023】
上記蓋板1は、少なくともシール部材3と接する面の表面粗さが(Ra)0.15μm以下とすることが重要である。
【0024】
これは、蓋板1のシール部材3と接触する面をシール面1aとしたとき、シール部材3とシール面1aとを密着させ、隙間を生じることなく高い真空度を保持できるためである。
【0025】
上記シール部材3は、弾性体からなるため、シール部材3がシール面1aに押しつぶされたときに、その接触部においてできるだけ密着させる必要があり、その際シール面1aの表面粗さが重要となる。
【0026】
また、このように表面粗さの小さい蓋板1は、平均結晶粒径15μm以下、最大結晶粒径が50μm以下、および相対密度が96%以上であるアルミナセラミックスから形成することが好ましく、得られた焼結体にラップ加工を施す際、ラップ加工時の負荷に耐えることが可能で脱粒が生じず、また、相対密度96%以上とすることで、通常セラミックスに見られるボイドの割合が面積比15%以下となり、リークに対するボイドの影響も少なくできるため、Ra0.15μm以下とすることができる。
【0027】
上記平均結晶粒径が15μmを越えると、ラップ加工時に結晶に掛かる負荷が高くなり脱粒しやすいため、結果としてRa0.15μm以下の表面粗さが得られなくなり、シール部材3との密着性が不十分となり微細な隙間が生じシール性が低下する。また、同様に最大結晶粒径が50μmを越えると、部分的に肥大した結晶の脱粒がおきるため、その部分の隙間からリークが起こり、所望の真空度が得られない。
【0028】
また、上記相対密度が96%未満になると、シール部材3との密着性は得ることができるが、ボイドの割合が高くなりリーク特性が低下することとなる。
【0029】
なお、上記結晶の平均粒径及び、最大粒径は焼結体より切り出した試料の表面をラップ加工した後、酸にてエッチング処理することにより結晶の様子を観察し、画像解析機器による画像解析によって測定できる。
【0030】
また、このようなアルミナセラミックスからなる蓋板1を作製するには、詳細は後述するが、原料となるアルミナ粉末の粒径をできるだけ小さくし、低温で焼成することによって得られる。
【0031】
これは、アルミナ粉末の粒径が大きいと焼成時にアルミナ粉末が凝集して結晶化するため大きな結晶となりやすく、また焼成温度が高いと結晶が粒成長するため大きな結晶となりやすいためである。
【0032】
さらに、図2(b)に示すように、上記蓋板1はOリングからなるシール部材3との接触部に、Oリングの断面における円の直径Cの1.3倍以上の幅T、直径Cの1/4以下の深さFを有する曲面状の溝12を設けることが好ましい。
【0033】
この溝12によって、Oリングとの接触面積を大きくして、シール面1aとの密着性をより高めることができる。なお、このような溝12にもPVA(ポリビニルアルコール)質からなる砥石にダイヤモンドスラリー等を含ませて加工することによって、上記表面粗さにすることでさらに真空度を高めることが可能である。
【0034】
なお、上記溝12の幅TがOリングの直径Cの1.3倍未満となると、Oリングが潰れた際に、Oリングに傷がつきやすく、逆に真空シール性を低下させる。また、溝12の深さFが直径Cの1/4を越えると、溝12が深すぎて十分にOリングが潰れず真空シール性が低下しやすい。
【0035】
また、溝12の幅TはOリングの直径Cに対して1.3〜2倍、深さFはOリングの直径Cの1/6〜1/10の範囲とすることがより好ましい。
【0036】
さらに、上記Oリングの材質は、耐食性、耐熱性に優れたフッ素樹脂系のFTFE、PFA、FEP等を使用するのが好ましい(FTFE:四フッ化エチレン樹脂、PFA:四フッ化エチレンパーフロアルキルビニルエーテル共重合樹脂、FEP:四フッ化エチレンエチレン共重合樹脂)。
【0037】
このような蓋板1を作製するには、平均粒径が0.3〜1μmのアルミナ粉末を99〜99.95重量%に、200〜800ppmのマグネシアを焼結助剤として添加、混合してなる原料粉末を所定形状に成形した後、焼成温度1550〜1650℃の酸化雰囲気中で焼成することによって得ることができる。
【0038】
先ず、アルミナ粉末の平均粒径を0.3〜1μmとすることによって、焼成によって得られた平均粒径15μm以下、最大粒径50μm以下の結晶粒径として、その表面における表面粗さを非常に小さいものに加工することができる。なお、上記アルミナ粉末の平均粒径は0.4〜0.8μmとすることがより好ましい。
【0039】
ここで、上記アルミナ粉末の平均粒径が1μmを超えると、焼成温度を高くする必要があり、また、大きな粒子が凝集すると結晶も大きくなるため焼成後の結晶粒径が15μmを越えるものとなってしまう。
【0040】
また、上記アルミナ粉末99〜99.5重量%に、焼結助剤としてMgOを200〜800ppm含有することによって、粒成長による結晶の肥大を防ぐ効果のある。マグネシアの添加量は300〜700ppmとすることがより好ましい。
【0041】
ここで、アルミナ粉末が99重量%未満となると、半導体製造装置に使用されるためその不純物に対する耐食性が低下したり、その不純物がプロセスに与える影響が懸念される。
【0042】
また、上記マグネシアの添加量が200ppm未満になると、結晶の粒成長を防止すること効果が低下するため、焼結体の結晶が大きくなり平均結晶粒径15μm以下を得られない。一方、800ppmを超えると焼結温度が低い場合、焼結を阻害するため焼結体が十分に緻密化せず、相対密度96%以上の緻密体を得られない。また、焼成温度を高くすると焼結するが、焼成温度が高くなることによる結晶の成長速度が、マグネシアの粒成長を防止する効果よりも強くなり結果として、平均結晶粒径15μm以下の焼結体を得ることができない。
【0043】
なお、上記アルミナセラミックスは、主成分のアルミナを99〜99.95重量%含有しており、且つ副成分のマグネシアを200〜800ppm含有しておれば、他の焼結助剤例えばシリカ(SiO2)やカルシア(CaO)を含有するものでも構わない。
【0044】
次に、このような原料粉末を所定形状に成形する。成形方法は、静水圧プレスで行い、成形性、切削性を良くするために、ワックスエマルジョン、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコールなどの有機バインダーを混練乾燥させ造粒した。
【0045】
次いで、焼成温度1600℃〜1650℃の酸化雰囲気中で焼成する。焼成温度を1550〜1650℃の低温で焼成することにより、結晶が大きく成長するのを防止して、結晶粒径15μm以下のアルミナセラミックスを得ることができる。
【0046】
ここで、上記焼成温度が1550℃未満の酸化雰囲気中で焼成しても、焼結体が十分に緻密化せず、相対密度96%以上の緻密体を得られない。一方、焼成温度が1650℃を超えると結晶粒径が15μm以上に肥大化し、温度がさらに高くなると、結晶粒子間のボイドが大きくなり、相対密度96%以上の緻密体が得られなくなる。
【0047】
なお、有機バインダーは焼成過程の500℃前後のところで焼け飛ぶため、焼結体に与える影響はない。
【0048】
しかる後、得られたアルミナセラミックスを研削加工にて所望の形状にし、シール面1aについては、レジンダイヤモンドホイール#600等で研削し下地をよくし、さらに、銅盤上で1〜2μmのダイヤモンド砥粒を溶液で溶かしたもの(ダイヤモンドスラリー)を銅盤とセラミックスのシール面に流しこみラップ加工を行う。
【0049】
また、銅盤上でラップできないものは、軸付ポリビニルアルコールをリュウターに取り付け、ダイヤモンドスラリーを付けながら磨き加工をしてもよい。
【0050】
なお、上述の実施形態では、真空チャンバー用部材として、蓋板1について説明したが、蓋板1に限定されるものではなく、真空チャンバー等に用いられ、真空度の高いシール性を保持するための部材であれば同様の効果を得るものである。
【0051】
【実施例】
次いで、本発明の実施例を説明する。
【0052】
図1に示すような真空チャンバーに用いる蓋板となる試料を作製し評価した。
【0053】
先ず、原料として用いるアルミナ粉末は、表1に示す如く粒径、組成を有し、各焼成温度で焼成した後、研削加工にて所望の形状にし、シール面については、レジンダイヤモンドホイール#600で研削し下地をよくし、さらに、銅盤上で1〜2μmのダイヤモンド砥粒を溶液で溶かしたもの(ダイヤモンドスラリー)を銅盤とセラミックスのシール面に流しこみラップ加工を施して同組成の蓋板試料を各10ケづつ作製した。
【0054】
得られた蓋板試料の表面粗さを面粗さ測定器によって、平均粒径及び、最大粒径を試験後、試料から部分的に切り出し、その表面の結晶状態を画像解析によって測定した。
【0055】
そして、各蓋板試料をテスト用の真空チャンバーに設置し、真空度を真空チャンバーに設けられた真空度計測器によって測定した。そして真空度が0.133×10−6KPa以下のものをOK、越えるものをNGとして評価した。
【0056】
結果を表1に示す。
【0057】
【表1】
【0058】
表1に示す通り、アルミナセラミックスの平均結晶粒径が15μm以下、且つ最大結晶粒径50μm以下の試料(No.3〜10)は、表面粗さRa0.15μm以下となり、0.133×10−6KPa以下の真空度を達成できた。
【0059】
これに対し、アルミナセラミックスの平均粒径が15μmを越える試料(No.11〜14、17〜20)は、表面粗さがRa0.18μm以上となり、所望の真空度を達成できないことがわかる。
【0060】
また、焼成温度が1550℃未満の試料(No.1、2)は、緻密化せず、また、低温でマグネシアの添加量が多い試料(No.15、16)も同様に緻密化しないことがわかる。焼成温度が1650℃を越える試料(No.11〜14)は、焼結温度が高いためマグネシアを多く入れても、温度の影響で結晶粒径が大きくなることがわかる。平均粒径が1μmを超える試料(No.17〜20)は、活性が低いため緻密化させるためには焼成温度を高くすることが必要となり、そのために結晶が大きくなり、マグネシアを添加しても結晶の成長を妨げる効果はそれ程期待できないことがわかる。
【0061】
【発明の効果】
本発明の真空チャンバー用部材は、半導体製造装置に用いられ、被加工部材を配置する空間を有する容器と、該容器の開口部にシール部材を介して配置された蓋板とからなり、容器内の真空を保持する真空チャンバー用部材であって、上記蓋板の少なくともシール部材と接する面の表面粗さが(Ra)0.15μm以下であることから、蓋板のシール部材と接触する面をシール面としたとき、シール部材とシール面とを密着させ、隙間を生じることなく高い真空度を保持できる。
【0062】
また、本発明の真空チャンバー用部材は、上記蓋板は、平均結晶粒径15μm以下、最大結晶粒径が50μm以下、および相対密度が96%以上であるアルミナセラミックスからなることから、蓋板のシール面における表面粗さをRa0.15μm以下の非常に小さなものとしてシール性の高い部材を得ることができる。
【0063】
さらに、本発明の真空チャンバー用部材は、上記シール部材が、弾性体からなり、断面形状が円形であるOリングからなり、上記蓋板のOリングとの接触部に、Oリングの断面形状である円の直径の1.3倍以上の幅を有し、上記直径の1/4以下の深さを有する曲面状の溝を設けたことから、蓋板とシール部材とをより密着させ、隙間を生じることなく高い真空度を保持することができる。
【0064】
また、本発明の真空チャンバー用部材の製造方法は、平均粒径が0.3〜1μmのアルミナ粉末を99〜99.95重量%に、200〜800ppmのマグネシアを焼結助剤として添加、混合してなる原料粉末を所定形状に成形した後、焼成温度1550〜1650℃の酸化雰囲気中で焼成することから、部材の平均結晶粒径を15μm以下、最大結晶粒径を50μm以下、相対密度を96%以上としてシール性の高い部材を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一般的な真空チャンバーを模式的に示す部分断面図である。
【図2】(a)は本発明の真空チャンバー用部材の一実施形態を示す斜視図であり、(b)はシール部を示す部分断面図である。
【図3】(a)、(b)はそれぞれ従来の真空チャンバー用部材を用いたシール部を示す部分断面図である。
【符号の説明】
1:蓋板
1a:シール面
2:容器
2a:容器内
3:シール部材
3a:溝
4:真空ポンプ
5:クランプ
6:ガス導入管
7:腐食性ガス
8:ボルト
9:静電チャック
10:シリコンウエハー
11:真空チャンバー
12:溝
13:凸部
14:凹部
【発明の属する技術分野】
半導体製造装置の真空チャンバーにおいて、プラズマ等のガスに曝される真空チャンバー用部材に関する。
【0002】
【従来の技術】
図1は半導体製造装置に用いられ、ウエハーにプラズマCVD成膜する真空チャンバーの模式図であり、真空ポンプ4を連設した容器2と、該容器2の開口部に蓋板1がシール部材3を介してクランプ5で固定され、蓋板1の上方には腐食性ガス7を導入するための導入管6が別のシール部材を介して固定用ボルト8により固定されており、容器2と蓋板1とで形成された容器内2aには静電チャック9で固定されたシリコンウエハー10の表面にシリコン酸化膜や金属膜等がプラズマCVD法により成膜される仕組みである。
【0003】
このような真空チャンバー11を有する半導体製造装置において、セラミックスは、その高絶縁特性や耐食性に優れる点から、真空チャンバー11内のシリコンウエハー10の周辺部材だけでなく、外気とのシール構造部である蓋板1にも使用され、プロセスガスに対する耐食性の良さと比較的に安価に製造できることから、主にアルミナセラミックスが使用されている。
【0004】
上記蓋板1を構成するアルミナセラミックスは、その平均結晶粒径が25〜100μm程度、相対密度96%以上であり、このようなアルミナセラミックスを得るため、アルミナ粉末の平均粒径を1〜10μmとし、焼成温度も1650〜1800℃としていた。
【0005】
そして、容器内2aは0.133×10−3〜0.133×10−6Paの真空度が必要であり、蓋板1と容器2、蓋板1とガス導入管6との間のシール性が重要となってくる。
【0006】
シール面の構造については、シール部材3として弾性体からなるOリングが多用され、蓋板1側にこのOリングを設置する溝3aを形成してもいいが、セラミックスは難加工材であり、しかもシール面の機能を果たすために重要である面粗さを良くするために通常行うラップ加工ができないため、図3(a)に示すように蓋板1の表面はフラット面とし、相手側の金属部(容器2)に溝3aを設ける構造となっている。
【0007】
また、上記蓋板1と容器2のシール性を高め、腐食性ガス7が直接シール部材3に暴露し、不純物の混入をさけるため、種々の提案がなされている。
【0008】
具体的には、図3(b)に示すように、複数の部材が互いに接続されてなる容器2内を真空に保持するため、互いに隣接する2つの部材のうち、一方の部材の接続端部の内周側に段部が形成されて外周側に凸部13が設けられ、他方の部材の接続端部には外周側に段部が形成されて外周側に凹部14が設けられ、凸部13と凹部14と嵌合される構造で且つ凸部13と凹部14との間にシール部材が狭持されるような構造となっている(特許文献1参照)。
【0009】
【特許文献1】
特開2002−241939号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、シール構造として引用文献1に示すような真空チャンバー用部材を用いた場合においても、アルミナセラミックス等からなる蓋板1にラップ加工を施して得られる最小の表面粗さは、セラミックス自体の結晶粒径と関係があるため、結晶が大きいとラップ加工する際、表面の結晶の一部が加工負荷に耐え切れずに脱粒をおこし、シール面に多くの窪みができ、時間をかけても表面粗さはRa0.3μm程度であった。
【0011】
そのため、容器内2aでは良好なシール性が得られず、特に0.133×10−6〜0.133×10−9KPaの真空度が要求される場合には、安定した真空度が得られないという問題があった。
【0012】
また、蓋板1を粒径が大きいアルミナ粉末から形成した場合、表面エネルギーが小さいため活性が低く、シリカ(SiO2)などの焼結助剤が必要となり、焼成温度も1650〜1800℃と高くする必要がある。しかし、焼成温度をあまり高くすると粒成長して結晶が大きくなり、平均結晶粒径を小さくすることができず、シール部材3とのシール性が低下しやすいという問題があった。
【0013】
本発明は、上述した課題に鑑みなされたものであってその目的は、真空チャンバー用部材の表面粗さに着目し、最適な範囲とすることでシール性を高め、真空チャンバー内の真空度を高いものに保持するものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明の真空チャンバー用部材は、半導体製造装置に用いられ、被加工部材を配置する空間を有する容器と、該容器の開口部にシール部材を介して配置された蓋板とからなり、容器内の真空を保持する真空チャンバー用部材であって、上記蓋板の少なくともシール部材と接する面の表面粗さが(Ra)0.15μm以下であることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の真空チャンバー用部材は、上記蓋板は、平均結晶粒径15μm以下、最大結晶粒径が50μm以下、および相対密度が96%以上であるアルミナセラミックスからなることを特徴とする。
【0016】
さらに、本発明の真空チャンバー用部材は、上記シール部材が、断面形状が円形である弾性体のOリングからなり、上記蓋板のOリングとの接触部に、Oリングの断面形状である円の直径の1.3倍以上の幅を有し、上記直径の1/4以下の深さを有する曲面状の溝を設けたことを特徴とする。
【0017】
また、本発明の真空チャンバー用部材の製造方法は、平均粒径が0.3〜1μmのアルミナ粉末を99〜99.95重量%に、200〜800ppmのマグネシアを焼結助剤として添加、混合してなる原料粉末を所定形状に成形した後、焼成温度1550〜1650℃の酸化雰囲気中で焼成することを特徴とする。
【0018】
これにより、蓋板のシール部材と接触する面をシール面としたとき、シール部材とシール面とを密着させ、隙間を生じることなく高い真空度を保持することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
次いで、本発明の実施形態を図面に基いて説明する。
【0020】
図1は、本発明の真空チャンバー用部材を用いて成る真空チャンバーを模式的に示す断面図であり、真空ポンプ4を連設した容器2と、該容器2の開口部にシール部材3を介してクランプ5で固定された蓋板1とからなり、蓋板1の上方には腐食性ガス7を導入するための導入管6が別のシール部材を介して固定用ボルト8により固定されており、容器2と蓋板1とで形成された容器内2aには静電チャック9で固定されたシリコンウエハー10等の被加工部材が載置され、その表面にシリコン酸化膜や金属膜等をプラズマCVD法により成膜する仕組みである。
【0021】
上記容器内2aを高真空に保持するためには、蓋板1と容器2の開口部のシール性が重要であり、蓋板1は、図2(a)に示すような円形状あるいは角板形状をなし、ジルコニア、窒化珪素、窒化アルミニウム、アルミナ等のセラミックスからなり、特に腐食性ガス7に対する耐食性が高く、純度も高い、アルミナセラミックスによって形成することがより好ましい。
【0022】
また、上記蓋板1と容器2との間のシール性を保持するために設けられるシール部材3は、弾性体からなり、断面が円形状のOリング等からなる。
【0023】
上記蓋板1は、少なくともシール部材3と接する面の表面粗さが(Ra)0.15μm以下とすることが重要である。
【0024】
これは、蓋板1のシール部材3と接触する面をシール面1aとしたとき、シール部材3とシール面1aとを密着させ、隙間を生じることなく高い真空度を保持できるためである。
【0025】
上記シール部材3は、弾性体からなるため、シール部材3がシール面1aに押しつぶされたときに、その接触部においてできるだけ密着させる必要があり、その際シール面1aの表面粗さが重要となる。
【0026】
また、このように表面粗さの小さい蓋板1は、平均結晶粒径15μm以下、最大結晶粒径が50μm以下、および相対密度が96%以上であるアルミナセラミックスから形成することが好ましく、得られた焼結体にラップ加工を施す際、ラップ加工時の負荷に耐えることが可能で脱粒が生じず、また、相対密度96%以上とすることで、通常セラミックスに見られるボイドの割合が面積比15%以下となり、リークに対するボイドの影響も少なくできるため、Ra0.15μm以下とすることができる。
【0027】
上記平均結晶粒径が15μmを越えると、ラップ加工時に結晶に掛かる負荷が高くなり脱粒しやすいため、結果としてRa0.15μm以下の表面粗さが得られなくなり、シール部材3との密着性が不十分となり微細な隙間が生じシール性が低下する。また、同様に最大結晶粒径が50μmを越えると、部分的に肥大した結晶の脱粒がおきるため、その部分の隙間からリークが起こり、所望の真空度が得られない。
【0028】
また、上記相対密度が96%未満になると、シール部材3との密着性は得ることができるが、ボイドの割合が高くなりリーク特性が低下することとなる。
【0029】
なお、上記結晶の平均粒径及び、最大粒径は焼結体より切り出した試料の表面をラップ加工した後、酸にてエッチング処理することにより結晶の様子を観察し、画像解析機器による画像解析によって測定できる。
【0030】
また、このようなアルミナセラミックスからなる蓋板1を作製するには、詳細は後述するが、原料となるアルミナ粉末の粒径をできるだけ小さくし、低温で焼成することによって得られる。
【0031】
これは、アルミナ粉末の粒径が大きいと焼成時にアルミナ粉末が凝集して結晶化するため大きな結晶となりやすく、また焼成温度が高いと結晶が粒成長するため大きな結晶となりやすいためである。
【0032】
さらに、図2(b)に示すように、上記蓋板1はOリングからなるシール部材3との接触部に、Oリングの断面における円の直径Cの1.3倍以上の幅T、直径Cの1/4以下の深さFを有する曲面状の溝12を設けることが好ましい。
【0033】
この溝12によって、Oリングとの接触面積を大きくして、シール面1aとの密着性をより高めることができる。なお、このような溝12にもPVA(ポリビニルアルコール)質からなる砥石にダイヤモンドスラリー等を含ませて加工することによって、上記表面粗さにすることでさらに真空度を高めることが可能である。
【0034】
なお、上記溝12の幅TがOリングの直径Cの1.3倍未満となると、Oリングが潰れた際に、Oリングに傷がつきやすく、逆に真空シール性を低下させる。また、溝12の深さFが直径Cの1/4を越えると、溝12が深すぎて十分にOリングが潰れず真空シール性が低下しやすい。
【0035】
また、溝12の幅TはOリングの直径Cに対して1.3〜2倍、深さFはOリングの直径Cの1/6〜1/10の範囲とすることがより好ましい。
【0036】
さらに、上記Oリングの材質は、耐食性、耐熱性に優れたフッ素樹脂系のFTFE、PFA、FEP等を使用するのが好ましい(FTFE:四フッ化エチレン樹脂、PFA:四フッ化エチレンパーフロアルキルビニルエーテル共重合樹脂、FEP:四フッ化エチレンエチレン共重合樹脂)。
【0037】
このような蓋板1を作製するには、平均粒径が0.3〜1μmのアルミナ粉末を99〜99.95重量%に、200〜800ppmのマグネシアを焼結助剤として添加、混合してなる原料粉末を所定形状に成形した後、焼成温度1550〜1650℃の酸化雰囲気中で焼成することによって得ることができる。
【0038】
先ず、アルミナ粉末の平均粒径を0.3〜1μmとすることによって、焼成によって得られた平均粒径15μm以下、最大粒径50μm以下の結晶粒径として、その表面における表面粗さを非常に小さいものに加工することができる。なお、上記アルミナ粉末の平均粒径は0.4〜0.8μmとすることがより好ましい。
【0039】
ここで、上記アルミナ粉末の平均粒径が1μmを超えると、焼成温度を高くする必要があり、また、大きな粒子が凝集すると結晶も大きくなるため焼成後の結晶粒径が15μmを越えるものとなってしまう。
【0040】
また、上記アルミナ粉末99〜99.5重量%に、焼結助剤としてMgOを200〜800ppm含有することによって、粒成長による結晶の肥大を防ぐ効果のある。マグネシアの添加量は300〜700ppmとすることがより好ましい。
【0041】
ここで、アルミナ粉末が99重量%未満となると、半導体製造装置に使用されるためその不純物に対する耐食性が低下したり、その不純物がプロセスに与える影響が懸念される。
【0042】
また、上記マグネシアの添加量が200ppm未満になると、結晶の粒成長を防止すること効果が低下するため、焼結体の結晶が大きくなり平均結晶粒径15μm以下を得られない。一方、800ppmを超えると焼結温度が低い場合、焼結を阻害するため焼結体が十分に緻密化せず、相対密度96%以上の緻密体を得られない。また、焼成温度を高くすると焼結するが、焼成温度が高くなることによる結晶の成長速度が、マグネシアの粒成長を防止する効果よりも強くなり結果として、平均結晶粒径15μm以下の焼結体を得ることができない。
【0043】
なお、上記アルミナセラミックスは、主成分のアルミナを99〜99.95重量%含有しており、且つ副成分のマグネシアを200〜800ppm含有しておれば、他の焼結助剤例えばシリカ(SiO2)やカルシア(CaO)を含有するものでも構わない。
【0044】
次に、このような原料粉末を所定形状に成形する。成形方法は、静水圧プレスで行い、成形性、切削性を良くするために、ワックスエマルジョン、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコールなどの有機バインダーを混練乾燥させ造粒した。
【0045】
次いで、焼成温度1600℃〜1650℃の酸化雰囲気中で焼成する。焼成温度を1550〜1650℃の低温で焼成することにより、結晶が大きく成長するのを防止して、結晶粒径15μm以下のアルミナセラミックスを得ることができる。
【0046】
ここで、上記焼成温度が1550℃未満の酸化雰囲気中で焼成しても、焼結体が十分に緻密化せず、相対密度96%以上の緻密体を得られない。一方、焼成温度が1650℃を超えると結晶粒径が15μm以上に肥大化し、温度がさらに高くなると、結晶粒子間のボイドが大きくなり、相対密度96%以上の緻密体が得られなくなる。
【0047】
なお、有機バインダーは焼成過程の500℃前後のところで焼け飛ぶため、焼結体に与える影響はない。
【0048】
しかる後、得られたアルミナセラミックスを研削加工にて所望の形状にし、シール面1aについては、レジンダイヤモンドホイール#600等で研削し下地をよくし、さらに、銅盤上で1〜2μmのダイヤモンド砥粒を溶液で溶かしたもの(ダイヤモンドスラリー)を銅盤とセラミックスのシール面に流しこみラップ加工を行う。
【0049】
また、銅盤上でラップできないものは、軸付ポリビニルアルコールをリュウターに取り付け、ダイヤモンドスラリーを付けながら磨き加工をしてもよい。
【0050】
なお、上述の実施形態では、真空チャンバー用部材として、蓋板1について説明したが、蓋板1に限定されるものではなく、真空チャンバー等に用いられ、真空度の高いシール性を保持するための部材であれば同様の効果を得るものである。
【0051】
【実施例】
次いで、本発明の実施例を説明する。
【0052】
図1に示すような真空チャンバーに用いる蓋板となる試料を作製し評価した。
【0053】
先ず、原料として用いるアルミナ粉末は、表1に示す如く粒径、組成を有し、各焼成温度で焼成した後、研削加工にて所望の形状にし、シール面については、レジンダイヤモンドホイール#600で研削し下地をよくし、さらに、銅盤上で1〜2μmのダイヤモンド砥粒を溶液で溶かしたもの(ダイヤモンドスラリー)を銅盤とセラミックスのシール面に流しこみラップ加工を施して同組成の蓋板試料を各10ケづつ作製した。
【0054】
得られた蓋板試料の表面粗さを面粗さ測定器によって、平均粒径及び、最大粒径を試験後、試料から部分的に切り出し、その表面の結晶状態を画像解析によって測定した。
【0055】
そして、各蓋板試料をテスト用の真空チャンバーに設置し、真空度を真空チャンバーに設けられた真空度計測器によって測定した。そして真空度が0.133×10−6KPa以下のものをOK、越えるものをNGとして評価した。
【0056】
結果を表1に示す。
【0057】
【表1】
【0058】
表1に示す通り、アルミナセラミックスの平均結晶粒径が15μm以下、且つ最大結晶粒径50μm以下の試料(No.3〜10)は、表面粗さRa0.15μm以下となり、0.133×10−6KPa以下の真空度を達成できた。
【0059】
これに対し、アルミナセラミックスの平均粒径が15μmを越える試料(No.11〜14、17〜20)は、表面粗さがRa0.18μm以上となり、所望の真空度を達成できないことがわかる。
【0060】
また、焼成温度が1550℃未満の試料(No.1、2)は、緻密化せず、また、低温でマグネシアの添加量が多い試料(No.15、16)も同様に緻密化しないことがわかる。焼成温度が1650℃を越える試料(No.11〜14)は、焼結温度が高いためマグネシアを多く入れても、温度の影響で結晶粒径が大きくなることがわかる。平均粒径が1μmを超える試料(No.17〜20)は、活性が低いため緻密化させるためには焼成温度を高くすることが必要となり、そのために結晶が大きくなり、マグネシアを添加しても結晶の成長を妨げる効果はそれ程期待できないことがわかる。
【0061】
【発明の効果】
本発明の真空チャンバー用部材は、半導体製造装置に用いられ、被加工部材を配置する空間を有する容器と、該容器の開口部にシール部材を介して配置された蓋板とからなり、容器内の真空を保持する真空チャンバー用部材であって、上記蓋板の少なくともシール部材と接する面の表面粗さが(Ra)0.15μm以下であることから、蓋板のシール部材と接触する面をシール面としたとき、シール部材とシール面とを密着させ、隙間を生じることなく高い真空度を保持できる。
【0062】
また、本発明の真空チャンバー用部材は、上記蓋板は、平均結晶粒径15μm以下、最大結晶粒径が50μm以下、および相対密度が96%以上であるアルミナセラミックスからなることから、蓋板のシール面における表面粗さをRa0.15μm以下の非常に小さなものとしてシール性の高い部材を得ることができる。
【0063】
さらに、本発明の真空チャンバー用部材は、上記シール部材が、弾性体からなり、断面形状が円形であるOリングからなり、上記蓋板のOリングとの接触部に、Oリングの断面形状である円の直径の1.3倍以上の幅を有し、上記直径の1/4以下の深さを有する曲面状の溝を設けたことから、蓋板とシール部材とをより密着させ、隙間を生じることなく高い真空度を保持することができる。
【0064】
また、本発明の真空チャンバー用部材の製造方法は、平均粒径が0.3〜1μmのアルミナ粉末を99〜99.95重量%に、200〜800ppmのマグネシアを焼結助剤として添加、混合してなる原料粉末を所定形状に成形した後、焼成温度1550〜1650℃の酸化雰囲気中で焼成することから、部材の平均結晶粒径を15μm以下、最大結晶粒径を50μm以下、相対密度を96%以上としてシール性の高い部材を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一般的な真空チャンバーを模式的に示す部分断面図である。
【図2】(a)は本発明の真空チャンバー用部材の一実施形態を示す斜視図であり、(b)はシール部を示す部分断面図である。
【図3】(a)、(b)はそれぞれ従来の真空チャンバー用部材を用いたシール部を示す部分断面図である。
【符号の説明】
1:蓋板
1a:シール面
2:容器
2a:容器内
3:シール部材
3a:溝
4:真空ポンプ
5:クランプ
6:ガス導入管
7:腐食性ガス
8:ボルト
9:静電チャック
10:シリコンウエハー
11:真空チャンバー
12:溝
13:凸部
14:凹部
Claims (4)
- 半導体製造装置に用いられ、被加工部材を配置する空間を有する容器と、該容器の開口部にシール部材を介して配置された蓋板とからなり、容器内の真空を保持する真空チャンバー用部材であって、上記蓋板の少なくともシール部材と接する面の表面粗さが(Ra)0.15μm以下であることを特徴とする真空チャンバー用部材。
- 上記蓋板は、平均結晶粒径15μm以下、最大結晶粒径50μm以下、および相対密度96%以上であるアルミナセラミックスからなることを特徴とする請求項1に記載の真空チャンバー用部材。
- 上記シール部材が、断面形状が円形である弾性体のOリングからなり、上記蓋板のOリングとの接触部に、Oリングの断面形状である円の直径の1.3倍以上の幅を有し、上記直径の1/4以下の深さを有する曲面状の溝を設けたことを特徴とする請求項1または2に記載の真空チャンバー用部材。
- 請求項1乃至3の何れかに記載の真空チャンバー用部材の製造方法であって、平均粒径0.3〜1μmのアルミナ粉末を99〜99.95重量%に、焼結助剤として200〜800ppmのマグネシアを添加・混合してなる原料粉末を所定形状に成形した後、焼成温度1550〜1650℃の酸化雰囲気中で焼成することを特徴とする真空チャンバー用部材の製造方法。
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2003
- 2003-02-24 JP JP2003046301A patent/JP2004259768A/ja active Pending
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