JP2002343788A - プラズマ処理装置のガスインレット部材 - Google Patents

プラズマ処理装置のガスインレット部材

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JP2002343788A
JP2002343788A JP2001151214A JP2001151214A JP2002343788A JP 2002343788 A JP2002343788 A JP 2002343788A JP 2001151214 A JP2001151214 A JP 2001151214A JP 2001151214 A JP2001151214 A JP 2001151214A JP 2002343788 A JP2002343788 A JP 2002343788A
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heat
resistant
gas inlet
porous body
inlet member
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Application number
JP2001151214A
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Hiroyuki Ichikawa
浩行 市川
Kenji Takahashi
研司 高橋
Hideo Uemoto
英雄 上本
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Coorstek KK
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Toshiba Ceramics Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】プラズマCVD装置などのプラズマ処理装置に
おいて、プラズマの励起時、ガス流入部(上部電極側)
に向って逆放電が生じるのを防止できるプラズマ処理装
置のガスインレット部材を提供する。 【解決手段】耐熱性中空体2と、この耐熱性中空体2に
設けられた通気用の中空部3と、この中空部3に収納さ
れた耐熱性多孔質体4とを有するプラズマ処理装置のガ
スインレット部材である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はプラズマ処理装置の
ガスインレット部材に係わり、特に耐熱性中空体に設け
られた通気用の中空部に耐熱性多孔質体を設けたプラズ
マ処理装置のガスインレット部材に関する。
【0002】
【従来の技術】半導体デバイスの製造においては、シリ
コンウェーハの表面に酸化シリコンなどの薄膜を形成す
る工程があり、この薄膜を形成する方法には化学的気相
成長法(CVD)が用いられている。
【0003】近年、半導体デバイスの高集積化に伴な
い、高品質で高精度な薄膜が要求されており、プラズマ
CVD法が多く用いられるようになっている。このプラ
ズマCVD法は、真空中において反応ガスをグロー放電
させてプラズマ化して反応に必要なエネルギーを得るも
ので、膜質が強くて耐湿性が優れているなどの特長があ
り、さらに成膜速度が速いなどの利点がある。
【0004】プラズマCVD法に用いられるプラズマC
VD装置では、プラズマを励起させるときに、上部電極
(シャワー電極)に高電圧を印加するが、プロセスガス
の種類によってガス配管上流側(上部電極側)に向って
逆放電が生じ、プラズマ電界に異常が起こる。この逆放
電を除去するため、小さな貫通孔が穿設されたセラミッ
クプレートを多数枚使用し、貫通孔の位置をずらすこと
で電子の衝突によるエネルギーロスを増加させる放電防
止策を採っている。しかし、このような放電防止策では
逆放電を完全になくするに至っていない。
【0005】また、特開平6−151411号公報に
は、シャワー電極に近接してガス上流側に別のガス分散
板を設け、シャワー電極に穿設された貫通孔とガス分散
板に設けられた透孔が一致しないように配設し、生成条
件の変化に対応できるように反応ガス溜りを2箇所に形
成し、ウェーハへのガスの分散性の改善を図ったプラズ
マCVD装置が記載されている。この公報記載のプラズ
マCVD装置もウェーハへのガスの分散性の改善を図る
ことができるが、上記逆放電を完全になくすることはで
きない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】そこでプラズマCVD
装置などのプラズマ処理装置において、プラズマの励起
時、ガス流入部(上部電極側)に向って逆放電が生じる
のを防止できるプラズマ処理装置のガスインレット部材
が要望されている。
【0007】本発明は上述した事情を考慮してなされた
もので、プラズマCVD装置などのプラズマ処理装置に
おいて、プラズマの励起時、ガス流入部(上部電極側)
に向って逆放電が生じるのを防止できるプラズマ処理装
置のガスインレット部材を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
になされた本願請求項1の発明は、耐熱性中空体と、こ
の耐熱性中空体に設けられた通気用の中空部と、この中
空部に収納された耐熱性多孔質体とを有することを特徴
とするプラズマ処理装置のガスインレット部材であるこ
とを要旨としている。
【0009】本願請求項2の発明では、上記耐熱性中空
体は、緻密質セラミックスであり、耐熱性多孔質体は、
セラミックス多孔質体であることを特徴とする請求項1
に記載のプラズマ処理装置のガスインレット部材である
ことを要旨としている。
【0010】本願請求項3の発明では、上記セラミック
ス多孔質体は、平均気孔径が50〜1000μmである
ことを特徴とする請求項2に記載のプラズマ処理装置の
ガスインレット部材であることを要旨としている。
【0011】本願請求項4の発明では、上記中空部は、
耐熱性中空体の両端部に設けられ耐熱性多孔質体が収納
される収納部と、この収納部を連通し前記収納部の断面
積よりも小さな断面積を有するガス流通路とからなり、
前記収納部に耐熱性多孔質体が収納されることを特徴と
する請求項1ないし3のいずれか1項に記載のプラズマ
処理装置のガスインレット部材であることを要旨として
いる。
【0012】本願請求項5の発明では、上記耐熱性多孔
質体は、この耐熱性多孔質体の端部に固着される平均気
孔径が10〜20μmのセラミックス多孔質体により中
空部に固定されることを特徴とする請求項1ないし4の
いずれか1項に記載のプラズマ処理装置のガスインレッ
ト部材であることを要旨としている。
【0013】本願請求項6の発明は、耐熱性中空体と、
この耐熱性中空体に設けられた通気用の中空部と、この
中空部に充填され平均粒径が50〜300μmの耐熱性
ビーズとを有することを特徴とするプラズマ処理装置の
ガスインレット部材であることを要旨としている。
【0014】本願請求項7の発明では、上記耐熱性中空
体は、緻密質セラミックスであり、耐熱性ビーズは、セ
ラミックスであることを特徴とする請求項6に記載のプ
ラズマ処理装置のガスインレット部材であることを要旨
としている。
【0015】本願請求項8の発明は、石英ガラス中空体
と、この石英ガラス中空体に設けられた通気用の中空部
と、この中空部に収納された石英ガラス多孔質体とを有
することを特徴とするプラズマ処理装置のガスインレッ
ト部材であることを要旨としている。
【0016】本願請求項9の発明では、上記石英ガラス
多孔質体の平均気孔径は、2〜80μmであることを特
徴とする請求項8に記載のプラズマ処理装置のガスイン
レット部材であることを要旨としている。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明に係わるプラズマ処理装置
のガスインレット部材の第1の実施形態について添付図
面を参照して説明する。
【0018】図1は本発明に係わるプラズマ処理装置、
例えばプラズマCVD装置に用いられるガスインレット
部材の断面図である。
【0019】図1に示すように、プラズマCVD装置用
ガスインレット部材1は、耐熱性中空体、例えば、耐熱
性の円筒状緻密体2と、この円筒状緻密体2に設けられ
た通気用の中空部3と、この中空部3に収納された耐熱
性多孔質体4とを有し、さらに、この耐熱性多孔質体4
を中空部3に固定し、円筒状緻密体2に焼嵌めされた円
板形状の固定用多孔質体5を有している。なお、6は必
要に応じて円筒状緻密体2に設けられる円環状の取付溝
である。
【0020】円筒状緻密体2は、例えば、緻密質セラミ
ックスであり、アルミナ、ジルコニア、炭化珪素などを
用いることができ、好ましくはアルミナである。
【0021】また、中空部3は円筒状緻密体2を貫通し
て設けられ、中空部3の両端部、すなわち、円筒状緻密
体2の両端部2a、2bには各々耐熱性多孔質体4を収
納する複数個、例えば、2個の収納部3aが設けられ、
この収納部3aはガス流通路3bで連通されている。こ
の収納部3aを連通するガス流通路3bは、収納部3a
の断面積よりも小さな断面積を有するように形成され、
収納部3aに収納された耐熱性多孔質体4の一端部を支
持、固定するようになっている。
【0022】耐熱性多孔質体4は、セラミックス多孔質
体であり、アルミナ、ジルコニア、炭化珪素などを用い
ることができ、好ましくはアルミナであり、その平均気
孔径は50〜1000μmである。耐熱性多孔質体4
は、セラミックス多孔質体であるので、耐熱性に優れて
長寿命であり、通気部材を穿設などによらず多数の通気
孔を有する部材を容易に製造することができる。
【0023】耐熱性多孔質体4の平均気孔径が50〜1
000μmであるので、耐熱性多孔質体を放電防止に必
要な長さにしてもガス流の圧力損失を小さく抑えること
ができる。平均気孔径が50μmより小さいと、放電防
止はできるがガス流の圧力損失が増加して十分なガス流
量を得ることができない。1000μmを超えると、十
分なガス流量を得ることができるが、電子の通過を許し
十分に放電防止をすることができない。
【0024】固定用多孔質体5は、セラミックス多孔質
体であり、アルミナ、ジルコニア、炭化珪素などを用い
ることができ、好ましくはアルミナであり、平均気孔径
が10〜20μmの円板形状のセラミックス多孔質体で
形成されている。
【0025】耐熱性多孔質体5は、平均気孔径が10〜
20μmであるので、その厚さを薄くすれば、ガス流の
圧力損失を増加させることがなく、かつ、耐熱性中空体
との焼嵌め時にも破損することがない。平均気孔径が1
0μmより小さいと、その厚さを薄くしても、ガス流の
圧力損失が増加して十分なガス流量が得られなくなる。
20μmを超えると、機械的強度が低下し、耐熱性中空
体との焼嵌め時にも破損するおそれがある。
【0026】上述のように、円筒状緻密体2、耐熱性多
孔質体4および固定用多孔質体5いずれもアルミナとす
ることによって、これらを接着剤等の他成分を介在させ
ることなく焼嵌めによって各々を破損することなく強固
に結合させることができる。
【0027】次に本発明に係わるプラズマ処理装置のガ
スインレット部材の製造方法について説明する。
【0028】図1に示すようなプラズマCVD装置用ガ
スインレット部材1の基体をなす円筒状緻密体2はアル
ミナ原料にバインダーを配合し、混合、造粒して成型用
原料粉を得、この成型用原料粉からCIPによりムク棒
を成型する。
【0029】このムク棒を中空部3内に耐熱性多孔質体
が収納される2個の収納部3aおよびガス流通路3bを
形成するように内周研削し形状に加工する。加工後、仮
焼をする。この時ガス流通路3bの内径が2種の耐熱性
多孔質体4および固定用多孔質体5の外径より小さくな
るような温度で仮焼する。
【0030】このようにして仮焼された円筒状緻密体2
に、図3に示すように、別工程で造られた平均細孔径5
0〜1000μmで、外径が収納部3aの内径よりも小
さく加工された耐熱性多孔質体4を遊嵌、収納する。
【0031】耐熱性多孔質体4は、平均粒径0.4〜
0.5μmのアルミナ原料でスラリーを作り、その中に
起泡剤(界面活性剤を混合させ、型内に充填し、乾燥固
化させ、焼成し、焼成後、所定の寸法に加工して造られ
る。
【0032】さらに、中空部3内に、別工程で造られ耐
熱性多孔質体4の外径よりも若干大きい外径を有し、平
均気孔径が10〜20μmの固定用多孔質体5を耐熱性
多孔質体4と接するようにして遊嵌、収納する。なお、
下側の収納部3aに収納される固定用多孔質体5は治具
によって支持される。
【0033】固定用多孔質体5は、平均粒径18〜30
μmのアルミナ粗粒原料と平均粒径0.1〜0.2μm
の微粒原料を一定割合で配合し、これにバインダーを添
加して混合、造粒して成型用原料粉を得、この成型用原
料粉を加圧成型し、仮焼する。仮焼後、本焼成における
収縮量を考慮して最終的な焼嵌め(焼き上がり)寸法
(径)となるよう円板状に外周加工する。
【0034】図3に示すような状態で焼成炉に入れ、本
焼成することにより、円筒状緻密体2と固定用多孔質体
5は焼嵌めされて、固定用多孔質体5は円筒状緻密体2
に固着され、従って、固定用多孔質体5の働きで、耐熱
性多孔質体4も収納部3aに固定される。このガスイン
レット部材1の製造工程において、比較的強度の強い円
筒状緻密体2と固定用多孔質体5とを焼嵌めで固定し、
この固定用多孔質体5により耐熱性多孔質体4を収納部
3aに固定するようにしたので、製造工程中に比較的機
械的強度が弱い耐熱性多孔質体4が破損するおそれがな
い。
【0035】また、本発明に係わるプラズマCVD装置
用ガスインレット部材1は、従来のように小さな貫通孔
が穿設されたセラミックプレートを多数枚使用するもの
と異なり、多孔質体を用いて、ガスを通過させ、電子を
衝突させるようにしたので、多数枚のセラミックプレー
トに多数の貫通孔を穿設する必要がなく、安価に製造す
ることができる。
【0036】さらに、本発明に係わる第1の実施形態の
プラズマ処理装置のガスインレット部材をプラズマCV
D装置に用いた例を説明する。
【0037】図2に示すような一般に用いられるプラズ
マCVD装置11は、気密性を有するチャンバー12を
有し、ヒーターユニットと均熱板で構成されるサセプタ
13が配置され、このサセプタ13が接地電極を形成し
ている。また、チャンバー12の上方には高電圧が印加
されるシャワー電極14が設けられている。
【0038】さらに、チャンバー12の上方には、上述
した本発明に係わるプラズマCVD装置用ガスインレッ
ト部材1が設けられており、このガスインレット部材1
の円筒状緻密体2の一端部2aはシャワー電極14に設
けられた通気孔(図示せず)を介してチャンバー12に
連通している。円筒状緻密体2の他端部2bにはガス流
入部20a、20bに連設され、通気用の中空部3に収
納された耐熱性多孔質体4、ガス流通路3bおよび固定
用多孔質体5を介して、反応ガスおよびキャリアガスを
チャンバー12内に導入するようになっている。
【0039】従って、このようなプラズマCVD装置1
1によりウェーハWの表面に酸化シリコンなどの薄膜を
形成するには、ヒーターユニットにより均熱板を加熱し
てこの均熱板に載置されたウェーハWを所定温度に加熱
し、ガス流入部20a、20bより所定の反応ガスおよ
びキャリアガスが吸入されて、シャワー電極14より噴
射される。ここで、シャワー電極14に高周波電圧が印
加されるとグロー放電により反応ガスがプラズマ化し、
反応による生成物がウェーハWの表面に蒸着して薄膜が
形成される。
【0040】このCVD工程において、通常はプラズマ
励起時、シャワー電極14に高電圧を印加するが、この
高電圧の印加によりプロセスガスの種類によってガス流
入部20a、20b側(上部電極側)に向って逆放電が
生じ、プラズマ電界に異常が発生する。しかし、ガス流
入部20a、20bとチャンバー12間には、プラズマ
CVD装置用ガスインレット部材1が設けられているの
で、逆放電が防止される。すなわち、耐熱性多孔質体4
により反応ガスおよびキャリアガスは通過させるが、耐
熱性多孔質体4への電子の衝突によってエネルギーロス
を発生させ、放電は防止される。
【0041】このように耐熱性多孔質体4により電子に
エネルギーロスを発生させるので、従来のように小さな
貫通孔が穿設されたセラミックプレートを多数枚使用
し、貫通孔の位置をずらすことで電子の衝突によるエネ
ルギーロスを図るのに比べて、ガス流の圧力損失を小さ
く抑えることができると共に、エネルギーロス効果が大
きい。
【0042】また、耐熱性多孔質体4は2個に分割さ
れ、ガス流通路3bで連通されているので、ガス流通路
3bがガスの溜りの働きをし、生成条件の変動による反
応ガスの不均一供給を防止でき、生成されたCVD膜の
ウェーハ面内の膜質および膜厚の均一性の向上が期待で
き、また、ガスインレット部材1を適宜の長さに調整す
ることができる。
【0043】次に上記第1の実施形態の変形例を説明す
る。
【0044】上記第1の実施形態が中空部にガス流通路
を設け、2個の耐熱性多孔質体を収納するのに対して、
本変形例のプラズマ処理装置のガスインレット部材は、
中空部にガス流通路を設けず1個の耐熱性多孔質体を収
納するものである。
【0045】例えば、図4に示すように、プラズマCV
D装置用ガスインレット部材21は、耐熱性の円筒状緻
密体22と、この円筒状緻密体22に設けられた通気用
の中空部23と、この中空部23に収納された1個の耐
熱性多孔質体24と、固定用多孔質体25とを有してい
る。
【0046】本変形例にはガス流通路を設けないので、
ガスインレット部材21の長さ(高さ)を短くでき、プ
ラズマ処理装置の小型化などに役立つ。
【0047】さらに、本発明に係わるガスインレット部
材の第2の実施形態について説明する。
【0048】上記第1の実施形態はセラミックス多孔質
体を用いるのに対して、本第2の実施形態のガスインレ
ット部材は、充填された耐熱性ビーズを用いるガスイン
レット部材である。
【0049】例えば、図5に示すように、ガスインレッ
ト部材31は、耐熱性中空体32と、この耐熱性中空体
32に設けられた通気用の中空部33と、この中空部3
3に充填され平均粒径が50〜300μmの耐熱性ビー
ズ34とを有している。
【0050】耐熱性ビーズ34の平均粒径が50〜30
0μmであるので、放電を防止ができると共に、ガス流
の圧力損失を小さく抑えることができる。平均気孔径が
50μmより小さいと、放電防止はできるがガス流の圧
力損失が増加して十分なガス流量を得ることができな
い。300μmを超えると、十分なガス流量を得ること
ができるが、電子の通過を許し十分に放電防止をするこ
とができない。
【0051】さらに、この耐熱性ビーズ34は固定用多
孔質体35によって中空部32に保持されるようになっ
ている。
【0052】耐熱性ビーズ33は流動性があるので、プ
ラズマ処理装置の形状上の要求に応じて、任意の形状の
耐熱性中空体31を造ることによって、任意の形状のガ
スインレット部材31が造り易くなる。
【0053】また、本発明に係わるガスインレット部材
の第3の実施形態について説明する。
【0054】上記第1の実施形態は円筒状緻密体および
耐熱性多孔質体にセラミックスを用いるのに対して、本
第3の実施形態のガスインレット部材は、円筒状緻密体
および耐熱性多孔質体に石英ガラスを用いるものであ
る。
【0055】例えば、図6に示すように、ガスインレッ
ト部材41は、耐熱性を有する石英ガラスからなる中空
体、例えば、石英ガラス円筒体42と、この石英ガラス
円筒体42に設けられた通気用の中空部43と、この中
空部43に収納され耐熱性を有する石英ガラス多孔質体
44とを有している。このように、ガスインレット部材
41は全て放電しない材料である石英ガラスで製造され
ている。石英ガラス多孔質体44の平均気孔径は、2〜
80μmである。この平均気孔径にする理由は、上述し
た第1の実施形態における耐熱性多孔質体の場合と同様
であるが、石英ガラスを用いる場合に、特にこの平均気
孔径にする理由は、石英ガラス多孔質体を単一層の単純
構造とする上で、十分な放電防止および強度を得るため
である。
【0056】ガスインレット部材41を製造するには、
パイプ状の石英ガラス円筒体42に石英ガラス多孔質体
をはめ込み溶接する。全て石英製であるので製造時、加
工および溶接が容易である。
【0057】また、このガスインレット部材41は石英
ガラス多孔質体44の気孔径を調整することによりガス
流量および圧力損失を容易に調整できる。使用時には逆
放電を効果的に防止できる。
【0058】
【実施例】「1」試験1: 本発明に係わるプラズマC
VD装置用ガスインレット部材(実施例1)に用いる円
筒状緻密体、耐熱性多孔質体および固定用多孔質体を作
製し、プラズマCVD装置用ガスインレット部材を作製
する。
【0059】1.円筒状緻密体 平均粒径0.05〜0.2μmのアルミナ原料に2〜3
wt%のバインダーを配合し、混合、造粒して成型用原
料粉を得る。この成型用原料粉からCIPにより100
〜150MPaでムク棒を成型する。ムク棒の内周研削
(内径)が、細孔径10〜20μm多孔体(耐熱性多孔
質体)の焼き上がり寸法(外径)より0.1〜0.2m
m小さくなるよう収縮率を考慮して図1のよう形状に加
工する。加工後、仮焼をする。この時ガス流通路の内径
が2種の多孔体外径より小さくなり、図3に示すように
耐熱性多孔質体がガス流通路に端部に乗るように収縮さ
せる温度1250〜1350℃で仮焼する。
【0060】2.耐熱性多孔質体 平均粒径0.4〜0.5μmのアルミナ原料でスラリー
を造り、その中に起泡剤(一般的に界面活性剤)を混合
させ、型内に充填し、乾燥固化させる(ゲルキャスティ
ング法)。これを1600〜1800℃で焼成し、焼成
後、平均気孔径10〜20μm多孔質体の焼き上がり寸
法(外径)より0.1〜0.2mm小さい径に加工す
る。長さは10〜30mmとした。
【0061】3.固定用多孔質体 平均粒径18〜30μmのアルミナ粗粒原料90%と平
均粒径0.1〜0.2μmの微粒原料10%を配合し、
これに対してバインダー(PVA)を1〜5wt%添加
して混合、造粒して成型用原料粉を得る。この成型用原
料粉を一軸プレスまたはCIPにより50〜100MP
aで成型し、1000〜1400℃で仮焼する。仮焼
後、本焼成における収縮量を考慮して最終的な焼嵌め
(焼き上がり)寸法(外径)となるよう円板状に外周加
工する。厚みは焼き上がり寸法で1.5〜2mm程度が
良い。
【0062】4.焼嵌め 図3のように円筒状緻密体に耐熱性多孔質体および固定
用多孔質体を収納し、これを焼成炉に詰めて、本焼成を
1600〜1800℃(耐熱性多孔質体の仮焼と同じ温
度)で行い焼嵌める。
【0063】5.取り付け形状加工 図4に示すような円環状の取付溝を円筒状緻密体の外周
に装置形状に合わせて加工、形成する。
【0064】「2」試験2: 本発明に係わるプラズマ
CVD装置用ガスインレット部材(実施例3)に用いる
石英ガラス中空体、石英ガラス性多孔質体(平均細孔径
10μm石英多孔体使用の場合)を作製し、プラズマC
VD装置用ガスインレット部材を作製する。
【0065】平均気孔径10μmの石英多孔体を作製す
る場合:ゾル調整としてテトラェトキシシラン:水:
0.1規定塩酸を12.4:9:1の割合(容積比)で
混合して加水分解させ、さらに、プロピレングリコール
を、0.1規定塩酸1に対して3.1(容積比)加え、
次いで、PH4.5〜5になるように0.01規定のア
ンモニア水を加えてゾルとする。このゾルに粒径30〜
50μmの石英粉未粒子を、ゾル:石英粉末粒子を1:
2の割合(重量比)で加えて混合し、円筒状の型に流し
込み3時間静置して成形体とする。得られた成形体を大
気雰囲気中1300〜1400℃で12時間焼成し、平
均気孔径10μmの石英多孔体とする。得られた石英多
孔体を石英パイプの中に嵌め込み両端部を溶接加工して
オール石英製ガスインレットとする。
【0066】
【発明の効果】本発明に係わるプラズマ処理装置のガス
インレット部材によれば、プラズマの励起時、ガス流入
部(上部電極側)に向って逆放電が生じるのを防止でき
るプラズマ処理装置のガスインレット部材を提供するこ
とができる。
【0067】すなわち、耐熱性中空体と、この耐熱性中
空体に設けられた通気用の中空部と、この中空部に収納
された耐熱性多孔質体とを有するプラズマ処理装置のガ
スインレット部材であるので、耐熱性多孔質体により反
応ガスおよびキャリアガスは通過させるが、耐熱性多孔
質体への電子の衝突によってエネルギーロスを発生させ
て放電を防止することができる。
【0068】また、耐熱性中空体は、緻密質セラミック
スであり、耐熱性多孔質体は、セラミックス多孔質体で
あるので、耐熱性に優れて長寿命であり、かつ、通気部
材を穿設などによらず多数の通気孔を有する部材を容易
に製造することができる。
【0069】また、セラミックス多孔質体は、平均気孔
径が50〜1000μmであるので、耐熱性多孔質体を
放電防止に必要な長さにしてもガス流の圧力損失を小さ
く抑えることができる。
【0070】また、中空部は、耐熱性中空体の両端部に
設けられ耐熱性多孔質体が収納される収納部と、この収
納部を連通し上記収納部の断面積よりも小さな断面積を
有するガス流通路とからなり、上記収納部に耐熱性多孔
質体が収納されるプラズマ処理装置のガスインレット部
材であるので、ガス流通路がガス溜りの働きをし、生成
条件の変動による反応ガスの不均一供給を防止でき、生
成されたCVD膜のウェーハ面内の膜質および膜厚の均
一性の向上が期待でき、また、ガスインレット部材を適
宜の長さに調整することができる。
【0071】また、耐熱多孔質体は、この耐熱性多孔質
体の端部に固着される平均気孔径が10〜20μmのセ
ラミックス多孔質体により中空部に固定されるプラズマ
処理装置のガスインレット部材であるので、その厚さを
薄くすれば、ガス流の圧力損失を増加させることがな
く、かつ、耐熱性中空体との焼嵌め時にも破損すること
がない。
【0072】また、耐熱性中空体と、この耐熱性中空体
に設けられた通気用の中空部と、この中空部に充填され
平均粒径が50〜300μmの耐熱性ビーズとを有する
プラズマ処理装置のガスインレット部材であるので、放
電を防止できると共に、ガス流の圧力損失を小さく抑え
ることができる。
【0073】また、耐熱性中空体は、緻密質セラミック
スであり、耐熱性ビーズは、セラミックスであるので、
耐熱性に優れて長寿命であり、かつ、通気部材を穿設な
どによらず多数の通気孔を有する部材を容易に製造する
ことができ、さらに、耐熱性ビーズは流動性があり、プ
ラズマ処理装置の要求に応じて、任意の形状の耐熱性中
空体を造ることによって、任意の形状のガスインレット
部材が造り易くなる。
【0074】また、石英ガラス中空体と、この石英ガラ
ス中空体に設けられた通気用の中空部と、この中空部に
収納された石英ガラス多孔質体とを有するプラズマ処理
装置のガスインレット部材であるので、耐熱性に優れて
長寿命であり、かつ、通気部材を穿設などによらず多数
の通気孔を有する部材を容易に製造することができ、ま
た、全て石英製であり製造時、加工および溶接が容易で
あり、さらに、石英ガラス多孔質体の気孔径の調整が容
易であり、この調整によりガス流量および圧力損失を容
易に調整できる。
【0075】また、石英ガラス多孔質体の平均気孔径
は、2〜80μmであるので、耐熱性多孔質体を放電防
止に必要な長さにしてもガス流の圧力損失を小さく抑え
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わるプラズマ処理装置のガスインレ
ット部材の断面図。
【図2】本発明に係わるプラズマ処理装置のガスインレ
ット部材をプラズマCVD装置に用いた概念図。
【図3】本発明に係わるプラズマ処理装置のガスインレ
ット部材の製造工程を説明する概念図。
【図4】本発明に係わるプラズマ処理装置のガスインレ
ット部材の実施形態の変形例の断面図。
【図5】本発明に係わるプラズマ処理装置のガスインレ
ット部材の他の実施形態の断面図。
【図6】本発明に係わるプラズマ処理装置のガスインレ
ット部材の他の実施形態の断面図。
【符号の説明】
1 プラズマCVD装置用ガスインレット部材 2 円筒状緻密体 2a、2b 端部 3 中空部 3a 収納部 3b ガス流通路 4 耐熱性多孔質体 5 固定用多孔質体 6 取付溝
フロントページの続き (72)発明者 上本 英雄 神奈川県秦野市曽屋30番地 東芝セラミッ クス株式会社秦野事業所内 Fターム(参考) 4K030 BA44 CA04 CA12 EA05 KA46 LA15 5F045 AA08 BB02 DP03 EB03 EF05 EF11 EH14

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 耐熱性中空体と、この耐熱性中空体に設
    けられた通気用の中空部と、この中空部に収納された耐
    熱性多孔質体とを有することを特徴とするプラズマ処理
    装置のガスインレット部材。
  2. 【請求項2】 上記耐熱性中空体は、緻密質セラミック
    スであり、耐熱性多孔質体は、セラミックス多孔質体で
    あることを特徴とする請求項1に記載のプラズマ処理装
    置のガスインレット部材。
  3. 【請求項3】 上記セラミックス多孔質体は、平均気孔
    径が50〜1000μmであることを特徴とする請求項
    2に記載のプラズマ処理装置のガスインレット部材。
  4. 【請求項4】 上記中空部は、耐熱性中空体の両端部に
    設けられ耐熱性多孔質体が収納される収納部と、この収
    納部を連通し前記収納部の断面積よりも小さな断面積を
    有するガス流通路とからなり、前記収納部に耐熱性多孔
    質体が収納されることを特徴とする請求項1ないし3の
    いずれか1項に記載のプラズマ処理装置のガスインレッ
    ト部材。
  5. 【請求項5】 上記耐熱性多孔質体は、この耐熱性多孔
    質体の端部に固着される平均気孔径が10〜20μmの
    セラミックス多孔質体により中空部に固定されることを
    特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載のプ
    ラズマ処理装置のガスインレット部材。
  6. 【請求項6】 耐熱性中空体と、この耐熱性中空体に設
    けられた通気用の中空部と、この中空部に充填され平均
    粒径が50〜300μmの耐熱性ビーズとを有すること
    を特徴とするプラズマ処理装置のガスインレット部材。
  7. 【請求項7】 上記耐熱性中空体は、緻密質セラミック
    スであり、耐熱性ビーズは、セラミックスであることを
    特徴とする請求項6に記載のプラズマ処理装置のガスイ
    ンレット部材。
  8. 【請求項8】 石英ガラス中空体と、この石英ガラス中
    空体に設けられた通気用の中空部と、この中空部に収納
    された石英ガラス多孔質体とを有することを特徴とする
    プラズマ処理装置のガスインレット部材。
  9. 【請求項9】 上記石英ガラス多孔質体の平均気孔径
    は、2〜80μmであることを特徴とする請求項8に記
    載のプラズマ処理装置のガスインレット部材。
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