JP2004255847A - 印刷システム - Google Patents

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Abstract

【課題】ユーザに負担をかけることなく簡単に、しかも、確実に周辺処理装置のROMの内容を更新できる印刷システムを提供する。
【解決手段】PC2では、ドライバプログラム14により印刷データφ1と更新用データφ2とを連続した一つのデータ列φ4とし、このデータ列φ4をプリンタ3に送信する。プリンタ3では、データ列φ4を受信すると、更新用データφ2を抽出し、この抽出した更新用データφ2によりフラッシュROM32の内容を更新する。これにより、印刷処理を行うだけで、プリンタ3のフラッシュROM32の内容が更新されるので、ユーザに負担をかけることなく、簡単で確実にフラッシュROM32の内容を更新できる。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プリンタや、スキャナ付きのプリンタ(多目的プリンタまたはマルチファンクションプリンタ)などの印刷機構を備えた周辺処理装置のROMの内向を更新する技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
PCなどのホスト装置の周辺機器の一つであるプリンタは、自己のROMに記録されているファームウェアによりホスト装置から送信されてきた印刷データを印刷機構により記録用紙に印刷する。近年では、書き換え可能なフラッシュROMにファームウェアを記録しておき、後から、新しい機能が追加された最新のファームウェアに更新できるプリンタや、ファームウェアを更新する方式が考えられている。したがって、プリンタのファームウェアの更新をユーザが個人的に行えるようになっている。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−351687号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ファームウェアなどのROMの記録内容の更新または変更をユーザが自主的に行えることは、印刷データに含まれるコマンドを解析して印刷時の具体的な動作や出力内容を決定する機能などをユーザが自由に更新でき、非常に便利である。しかしながら、その更新または変更をユーザに委ねることは、ユーザに余計な手間をかけることになる。また、更新手順や操作の情報をユーザに提供する必要がある。特に、誤った操作によりROMの更新が不完全に終わると、プリンタなどの周辺処理装置が起動しなくなる恐れも大きいので、その情報提供は十分に行う必要がある。
【0005】
そこで、本発明においては、ファームウェアなどのROMの内容の更新をユーザに手間をかけずに確実に行うことができ、さらに、ROMの内容を更新するための手順や操作などの情報提供も少なくて済む印刷システムを提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
このため、本発明においては、プリンタなどの周辺処理装置に印刷データを送信する際に、ROMの内容の少なくとも一部を更新する更新用データを印刷データに連続した状態で送信し、印刷処理の一連の流れのなかに、ROMの内容を更新する処理を含ませるようにしている。すなわち、本発明は、アプリケーションプログラムから得られたデータを印刷するための印刷データに変換して送信可能な状態にするプリント管理プログラムが稼動するホスト装置と、印刷データを受信すると、その印刷データを記録用紙に印刷する印刷機構を備えた周辺処理装置とを有する印刷システムであって、プリント管理プログラムは、印刷データと連続した状態で周辺処理装置のROMの少なくとも一部を更新する更新用データを送信する更新用データ出力機能を備えており、周辺処理装置は、更新用データによりROMの少なくとも一部を更新する更新処理機能を備えている印刷システムを提供する。
【0007】
また、アプリケーションプログラムから得られたデータを印刷するための印刷データに変換して送信可能な状態にするプリント管理プログラムが稼動するホスト装置と、印刷データを受信すると、その印刷データを記録用紙に印刷する印刷機構を備えた周辺処理装置とを有し、ホスト装置から送信された印刷データを周辺処理装置で印刷する方法であって、プリント管理プログラムが、印刷データと連続した状態で周辺処理装置のROMの少なくとも一部を更新する更新用データを送信する更新用データ出力工程と、周辺処理装置が更新用データを受信すると、その更新用データによりROMの少なくとも一部を更新する更新処理工程とを有する印刷方法を提供する。
【0008】
本発明の印刷システムおよび印刷方法では、更新用データ付きの印刷データが1つのデータ列として周辺処理装置に送信され、周辺処理装置で更新用データが抽出されてROMの内容が更新される。したがって、ROMの内容を更新するための専用の手順または操作を独立して、あるいは個別に行うのではなく、パーソナルコンピュータ(PC)などのホスト装置で印刷指示を行うだけで、印刷データと共に更新用データが送られ、自動的に周辺処理装置のROMの内容を更新できる。このため、ユーザが意識してROMの内容を更新する必要はなく、ユーザにかかる負荷はない。したがって、極めて簡単に、そして、間違いなく、周辺処理装置のメーカやドライバなどの供給者の意図にしたがって周辺処理装置のROMの内容を書き換えできる。
【0009】
更新するROMの内容の対象は、ファームウェア全体、ファームウェアの一部、あるいはプリンタフォントなど、極めてフレキシブルに設定することが可能であり、周辺処理装置に新規の機能やフォントなどを容易に追加または変更できる。また、ROMの内容を更新するための特別な手順や操作が必要ないので、ROMの内容を更新する作業をサポートするために提供する情報も少なくて済む。したがって、周辺処理装置のメーカー側の負荷も軽減されると共に、ROMの内容を更新できる機能を持った周辺処理装置を十二分に活用できる。
【0010】
周辺処理装置に送信される印刷データの量が多い場合、印刷データの後に更新用データが送られると、先に受信した印刷データを処理しないと更新用データを受信できなくなる恐れがある。また、印刷データの量が多くても更新用データを受信できるようにするには、データ量の大きな印刷データを保持しておくためのメモリが必要になる。このため、このようなケースにも対応できるように、更新用データ出力機能により、印刷データの前に更新用データを送信することが望ましい。
【0011】
また、更新処理機能に、印刷データを印刷する前にROMを更新する第1の処理機能と、印刷データを印刷した後にROMを更新する第2の処理機能とを設けておくことにより、ROMの内容を更新するタイミングを印刷の前後でフレキシブルに切替できる。印刷データの量と周辺処理装置のメモリ容量との比較結果や印刷データのフォーマットなどに基づいて更新処理をフレキシブルに切り替えることも可能であり、印刷データが周辺処理装置に搭載されているメモリに保持できる場合や、周辺処理装置のROMの内容を更新しないと印刷できないような印刷データが送信された場合などのROMの内容を印刷の前に更新することが望ましいケースでは、印刷前に更新処理を行うことが可能になる。一方、印刷データを保持できるだけのメモリが周辺処理装置に搭載されているような印刷後に更新処理を行える場合は、印刷後にROMの内容を更新できる。
【0012】
さらに、更新処理機能に、ROMに記録されたデータのバージョンと更新用データのバージョンを比較する機能と、これらのバージョンの比較結果に基づいてROMを更新する機能とを設けておくことにより、ROMに記録されているデータのバージョンが古いときにだけROMを更新する処理を実行するような処理も可能である。
【0013】
本発明の印刷システムは、アプリケーションプログラムから得られたデータを印刷するための印刷データに変換して送信可能な状態にするプリント管理プログラムが稼動するホスト装置から送信された印刷データを受信すると、その印刷データを記録用紙に印刷する印刷機構を備えた周辺処理装置であって、印刷データと連続した状態で送信された、当該周辺処理装置のROMの少なくとも一部を更新する更新用データを抽出する機能と、更新用データによりROMを更新する機能と、印刷機構により、印刷データを印刷する印刷機能とを備えている周辺処理装置と、アプリケーションプログラムから得られたデータを印刷するための印刷データに変換して送信可能な状態にする情報処理装置であって、印刷データと連続した状態で、印刷データを記録用紙に印刷する印刷機構を備えた周辺処理装置のROMの少なくとも一部を更新する更新用データを送信する更新用データ出力機能を有する情報処理装置またはホスト装置とにより構築することが可能である。
【0014】
また、本発明の情報処理装置の機能は、パーソナルコンピュータなどの適当なハードウェア資源を備えたコンピュータに対して、アプリケーションプログラムから得られたデータを印刷するための印刷データに変換して送信可能な状態にするプリント管理プログラムであって、印刷データと連続した状態で、印刷データを記録用紙に印刷する印刷機構を備えた周辺処理装置のROMの少なくとも一部を更新する更新用データを送信する更新用データ出力処理を実行可能とする命令を有するプリント管理プログラムとして適当な記録媒体に記録して、あるいはネットワークを介して提供できる。また、そのプリント管理プログラムをパーソナルコンピュータなどのハードディスクやROMなどのメモリに記録し、適当なタイミングでロードして実行することにより本発明の情報処理装置として使用できる。このプリント管理プログラムはプリンタなどの周辺機器と共にメーカにより提供されるプリンタドライバを含むソフトウェアであり、ドライバと一般的に呼ばれることも多い。
【0015】
さらに、本発明の周辺処理装置の機能は、ホスト装置から送信された印刷データを受信すると、その印刷データを記録用紙に印刷する印刷機構を備えた周辺処理装置をCPUなどの制御機構あるいはマイクロコンピュータを介して制御する制御プログラムであって、印刷データと連続した状態で、当該周辺処理装置のROMの少なくとも一部を更新する更新用データを抽出する処理と、更新用データによりROMを更新する処理とを実行可能な状態にする命令を有する制御プログラムとして適当な記録媒体あるいはネットワークを介して提供できる。そして、その制御プログラムを周辺処理装置のROMなどのメモリに記録し、CPUなどの制御機構で実行することにより本発明の周辺処理装置を提供できる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下に図面を参照して本発明をさらに詳しく説明する。図1に本発明に係る印刷システムの概略を示してある。印刷システム1は、ホスト装置としてのパーソナルコンピュータ(PC)2と、PC2をホスト装置として動作する周辺処理装置の一つであるプリンタ3とを有しており、これらに設けられたUSBなどの適当なインターフェイス13および35をケーブル4で接続することによりデータ転送が可能となっている。
【0017】
本例の印刷システム1では、PC2からプリンタ3のROMの内容の少なくとも1部を更新するための更新用データφ2を印刷データφ1と連続した状態で生成し、一つのデータ列φ4としてプリンタ3に送信できる。そして、プリンタ3でデータ列φ4が受信されると、更新用データφ2が抽出されてプリンタ3のフラッシュROM32の内容が更新される。もっとも、データ列φ4は、データが転送されるインターフェイスのアプリケーション層などの上位層において連続した1つのデータ列であることを意味し、インターフェイスの物理層などの下位層においては、インターフェイスのアーキテクチャによって適当な単位のパケットなどによって分割して送受信されることを制限するものではない。
【0018】
PC2は、フォトレタッチやワードプロセッサの機能を実現するアプリケーション11と、アプリケーション11で処理された画像データや文章データなどのデータφ0をプリンタ3で印刷するための印刷データφ1に変換してプリンタ3に送信可能な状態にするプリント管理機能12と、USBなどのプリンタ3との間のデータ転送を可能にするインターフェイス13とを有している。
【0019】
プリント管理機能12は、プリント管理プログラムがPC2で実行されることにより実現される機能であり、印刷データφ1を生成すると共に、更新用データφ2をインターネットなどを介してプリンタメーカのホームページなどより取得し、これらを一つのデータ列φ4としてプリンタ3に送信する。
【0020】
一方、プリンタ3は、CPU31と、プリンタ3の制御を行うファームウェアまたは制御プログラム30が記録されたフラッシュROM32と、ROM32に記録されたプログラムの実行領域やデータ列φ4を一時的に保持する領域などとして利用されるRAM33と、印刷データφ1を記録用紙に印刷する印刷機構34と、PC2との間のデータ転送を可能にするUSBなどのインターフェイス35とを備えており、これらがバス36を介して接続されている。また、CPU31において制御プログラム30が実行されることにより、CPU31がインターフェイス35や印刷機能34などのプリンタ全体を制御する制御部38として機能する。この制御部38による制御のもとにフラッシュROM32へのデータの書き込み処理や印刷処理が行われる。
【0021】
図2に、PC2のプリント管理機能12、およびプリンタ3の制御部38の機能をさらに詳しく示してある。PC2のプリント管理機能12は、アプリケーション11から送られたデータφ0を印刷データφ1に変換するプリンタドライバ14と、印刷データφ1をスプールするプリントスプーラ15と、言語モニタやポートモニタなどの適当なポートから印刷データφ1を出力するプリンタモニタ16とを備えている。プリンタドライバ14は、印刷データφ1に変換するデータ変換機能21を備えている。
【0022】
プリンタモニタ16はプリンタ3のステータスや印刷の進捗状況などを表示する機能を備えたランゲージモニタ16aと、プリンタ3が接続されているポートを制御するポートモニタ16bとを備えている。ランゲージモニター16aは、プリンタ3のフラッシュROM32に記録されたファームウェア30を更新するためのプログラム(ファームウェアデータまたは更新用データ)φ2を取得するデータ取得機能22と、印刷データφ1の前にファームウェアデータφ2を付加して、これらを連続した一つのデータ列φ4としてスプーラ15に送る更新用データ出力機能23とを備えている。
【0023】
データ取得機能22は、インターネットを介してファームウェアデータφ2がダウンロード可能なサイトに自動的にアクセスして最新のファームウェアデータφ2をPC2にダウンロードすることができ、印刷ジョブが指示されたり、印刷データφ1に変換され終わったなどの適当なタイミングでファームウェアデータφ2を取得する。したがって、ユーザが意識してファームウェアデータφ2をダウンロードする操作とは異なり、自動的に、そして無意識のうちにファームウェアデータφ2が取得される。
【0024】
更新用データ出力機能23は、印刷データφ1の前にファームウェアデータφ2がプリンタ3に送信されるように、ファームウェアデータφ2を印刷データφ1に付加して一つのデータ列φ4を生成する。
【0025】
図3はデータ列φ4を示している。データ列φ4は、始端のジョブ開始コマンド41から終端のジョブ終了コマンド42の間に、ファームウェアデータ情報コマンド43、ファームウェアデータφ2、その他のファームウェアに関する情報コマンド44、印刷情報コマンド45、印刷データφ1およびその他の印刷に関する情報コマンド46がこの順序で配列されて1つのデータ列を形成している。ジョブ開始コマンド41は本発明に係る印刷処理、すなわち、ファームウェアの更新を含む印刷処理を指示するデータであり、ファームウェアデータ情報コマンド43は、プリンタの機種、ファームウェアの種類、ファームウェアのバージョンが含まれたデータである。このため、データ列φ4を受信したプリンタ3では、ファームウェアデータ情報コマンド43に含まれるデータに基づいて、プリンタ3のフラッシュROM32に記録されているファームウェア30とファームウェアデータφ2とのバージョンを比較したり、プリンタ3に合致したファームウェアデータφ2であるかを判別できる。また、印刷情報コマンド45は印刷データφ1のデータサイズや印刷方法などを指定するデータである。データ列φ4には、その他のファームウェアに関する情報コマンド44やその他の印刷に関する情報コマンド45として、ファームウェアの更新や印刷に関連する様々なデータを付加することが可能である。
【0026】
プリンタ3では、フラッシュROM32に記録されたブートプログラムによりファームウェア30を起動すると共に、ファームウェア30の一部である実行プログラムをRAM33にコピーする。CPU31は、コピーされた実行プログラムをRAM33で実行することによりプリンタ内の制御を行い、制御部38の各種の機能を実現する。制御部38は、インターフェイス35を制御するインターフェイス制御機能51と、RAM33やフラッシュROM32の管理を行うメモリ管理機能52と、PC2から送信されたデータ列φ4に含まれるコマンドを解析してコマンドに従った処理を指示するコマンド制御機能55とを備えている。また、プリンタ3は、コマンド制御機能55で指示された処理の制御を行う印刷制御機能54と、印刷制御機能54で指示された処理に従って印刷機構34を制御するメカ・エンジン制御機能53と、フラッシュROM32へのデータの書き込み制御を行う書き込み制御機能57と、その他の制御を行う機能56とを備えている。
【0027】
コマンド制御機能55は、フラッシュROM32の内容の少なくとも一部を更新する更新処理機能を備えている。このため、コマンド制御機能55は、ファームウェアデータφ2をデータ列φ4から抽出する機能63と、フラッシュROM32を更新可能か否かを判定する第1の判定機能61と、ファームウェア30が更新可能な場合、フラッシュROM32を印刷の前に書き換えるまたは更新するか、または印刷の後に書き換えるかまたは更新するかを決定する第2の判定機能62と、第1の判定機能61および第2の判定機能62の判定結果に基づいてファームウェア30を更新する更新機能65とを備えている。更新機能65は、印刷データφ1を印刷する前にフラッシュROM32の内容を更新する第1の処理機能66と、印刷データφ1を印刷した後にフラッシュROM32の内容を更新する第2の処理機能67とを備えている。
【0028】
このコマンド制御機能55では、データ列φ4が受信されると、ジョブ開始コマンド41を解析してフラッシュROM32の内容の更新を含む印刷処理であることを認識する。抽出機能63はデータ列φ4からファームウェアデータφ2を抽出する。
【0029】
第1の判定機能61は、ファームウェアデータ情報コマンド43からファームウェアデータφ2の機種情報、ファームウェア種類、ファームウェアバージョンを解析し、ファームウェアデータφ2の対応機種や種類がプリンタ3の機種や種類と合致しているか否かを判断する。さらに、ファームウェアデータφ2のバージョンがフラッシュROM32に書き込まれているファームウェア30のバージョンより新しいか否かを判断する。したがって、第1の判定機能61は比較する機能を兼ねている。この第1の判定機能61は、ファームウェアデータφ2の対応機種や種類がプリンタ3と合致しており、さらに、ファームウェアデータφ2がフラッシュROM32のファームウェア30よりバージョンが新しいときにのみフラッシュROM32を更新または書換可能であると判断する。これにより、プリンタ3に対応した新しいファームウェアデータφ2のみがフラッシュROM32への書き込みが許可される。
【0030】
なお、プリンタ3に書き込みが不可のROMが搭載されている場合は、ROMの内容を更新することはできないので、第1の判定機能61に、ROMが書き込み可能であるか否かを判断する機能を付加しておくことも望ましい。
【0031】
第2の判定機能62は、印刷情報コマンド45を解析することにより印刷データφ1のデータサイズを把握し、プリンタ3に用意されているメモリに印刷データφ1が納まるか否かを判定する。そして、印刷データφ1がメモリに納まる場合は、フラッシュROM32のファームウェア30の更新を印刷の前に実行すると決定し、印刷データφ1がメモリに納まらない場合は、フラッシュROM32のファームウェア30の更新を印刷の後に実行すると決定する。この第2の判定機能62によりファームウェア30の更新実施時期が決定される。また、印刷データφ1の種類によっては、新規のバージョンの制御プログラムまたはファームウェアでしか印刷できないケースが有りえるので、このような場合は、印刷データφ1の種類を識別し、印刷データφ1がメモリに納まるか否かに関わらず、フラッシュROM32のファームウェア30の更新を印刷前に実行すると決定するような処理も望ましい。
【0032】
更新機能65は、第1の判定機能61および第2の判定機能62による判定結果に基づき、フラッシュROM32のファームウェア30を更新する処理が可能で、印刷前に更新処理を実行する場合は、第1の処理機能66により書き込み制御機能57を介してファームウェアデータφ2をフラッシュROM32に書き込む。また、フラッシュROM32のファームウェア30を更新する処理が可能で、印刷後に更新処理を実行する場合は、印刷処理が終了してから第2の処理機能67により書き込み制御機能57を介してファームウェアデータφ2をフラッシュROM32に書き込む。これにより、印刷前または印刷後にフラッシュROM32の内容が更新される。このように、フラッシュROM32の更新は、印刷処理の前後ではあるが、PC2から指示された印刷処理の一連の処理として自動的に行われ、ユーザが個別の操作を意識的に行うことなく実行される。
【0033】
更新が正常に終了した後には、更新されたファームウェアのバージョン情報を第1の判定機能61に反映し、このバージョン情報を用いて以降に送信されてくるファームウェアデータφ2のバージョンとの比較に利用することが可能である。
【0034】
図4に、PC2において印刷処理が開始されたときの処理を、フローチャートを用いて示してある。ステップ71において、PC2において印刷が指示されると、ステップ72において、データ変換機能21により、アプリケーション11から得られたデータφ0がプリンタ3で印刷可能な印刷データφ1に変換される。この印刷データφ1の変換に前後して、ステップ73において、プリンタドライバ14のデータ取得部22により、インターネットを介して最新のファームウェアデータ(更新用データ)φ2が自動的に取得される。ファームウェアデータφ2および印刷データφ1は、ステップ74において、更新用データ出力機能23により、印刷データφ1とファームウェアデータφ2が連続した状態の一つのデータ列φ4とされる。このとき、ファームウェアデータφ2が印刷データφ1より前にプリンタ3に送信されるようにファームウェアデータφ2が印刷データφ1に対して付加される。
【0035】
したがって、プリンタ3に用意されているメモリに納まらないサイズの大きな印刷データφ1が送信される場合であっても、プリンタ3にはファームウェアデータφ2が先立って到達する。このため、印刷データφ1を処理(印刷)しなければ、ファームウェアデータφ2が受信不能となるような事態は発生せず、ファームウェアデータφ2を用いてプリンタ3のフラッシュROM32を印刷に先立って確実に更新できる。データ列φ4は、ステップ75において、プリンタモニタ16でプリンタ3とのデータ通信が可能であると認識されると、ステップ76においてプリンタ3に送信される。
【0036】
なお、印刷ジョブが指示された後に、更新用データφ2を付加してプリンタ3のフラッシュROM32の更新をするか否かを許可するポップアップ画面をPC2に表示させ、ユーザの判断を仰ぐような処理ももちろん可能である。
【0037】
図5に、プリンタ3でPC2から送信されたデータ列φ4が受信されたときの処理をフローチャートを用いて示してある。ステップ81において、データ列φ4が受信されると、所定のメモリエリアに保存される。ステップ82において、抽出機能63によりデータ列φ4からファームウェアデータφ2が抽出される。次に、ステップ83において、第1の判定機能61によりファームウェアデータ情報コマンド43に基づいてファームウェアデータφ2の機種、種類、バージョンが確認され、ステップ84において、フラッシュROM32のファームウェア30が更新可能であるか否かが判断される。更新が不要であれば、ステップ88で印刷処理が実行され、印刷データφ1が記録用紙に印刷される。
【0038】
一方、更新が可能または必要であれば、ステップ85において、第2の判定機能62により、更新実施時期、すなわち、印刷前にフラッシュROM32のファームウェア30の更新をするか、あるいは印刷後にフラッシュROM32のファームウェア30更新をするかが決定される。印刷前にファームウェア30の更新を行うと判断されると、ステップ86において、第1の処理機能66によりファームウェアデータ(更新用データ)φ2が書き込まれ、フラッシュROM32のファームウェアが更新される。そして、これに前後して、ステップ87において、第1の判定機能61に更新されたファームウェアのバージョン情報が設定される。このフラッシュROM32の更新処理が終了すると、ステップ88において、ファームウェアデータφ2と同期して送信された印刷データφ1が印刷機構34により記録用紙に印刷される。
【0039】
印刷が終了した後にフラッシュROM32のファームウェア30の更新が行われる場合は、まず、ステップ89において、印刷データφ1が印刷され、ステップ90において、第2の処理機能67によりフラッシュROM32にファームウェアデータφ2が書き込まれる。そして、これに前後して、ステップ91において、第1の判定機能61に更新されたファームウェアのバージョン情報が設定される。
【0040】
図4に示したPC2における処理は、図4に示した各ステップを実行する命令を有するプログラム(プリント管理プログラム)として提供し、パーソナルコンピュータのハードディスクなどのメモリに記録して適当なタイミングでロードして実行させることにより実現できる。また、図5に示したプリンタ3における処理も、図5に示した各ステップを実行する命令を有する制御プログラムまたはファームウェアとして提供し、プリンタ内のCPUや制御装置により実行させることにより実現可能である。いずれのプログラムもCD−ROMなどの適当な記録媒体に記録して提供したり、インターネットなどのコンピュータネットワークを介して提供できる。また、各ステップを実行するハードウェアロジックを備えたデータ処理装置として提供しても良い。
【0041】
このように本例の印刷システム1では、印刷ジョブが指示されたときに、印刷データと連続または同期した状態でファームウェアデータφ2をプリンタ3に送信し、プリンタ3で印刷の前または後にファームウェアデータφ2によりROMに記録されているファームウェア30を更新するようにしている。したがって、印刷処理の一連のフローのなかでROMの更新処理が行われるので、印刷を指示する従来通りの操作を行えば自動的にROMの内容を更新できる。すなわち、ROMの内容を更新するための独立または個別の手順や操作は不要であり、ユーザに負担をかけることなく極めて簡単で確実にROMを更新できる。また、ユーザにファームウェアの更新を意識させないで、プリンタなどの周辺処理装置のメーカやドライバプログラムの供給者の意図通りに周辺処理装置のファームウェアを更新できる。
【0042】
さらに、ファームウェア全体だけでなく、ファームウェアの一部を更新したり、新規のプリンタフォントを追加するための更新用データφ2をプリンタに送信することも可能であり、ファームウェアの部分的な修正やバージョンアップ、フォントの追加も簡単に行うことができる。また、更新用データとして送信されたファームウェアデータと、既に記録されているファームウェアとを並存させることも可能であり、印刷データに応じて2つのファームウェアを切り替えて使用できる周辺処理装置へとアップグレードすることも可能である。したがって、ROMを書き換えできる機能を持った周辺処理装置の機能を有効利用できる。
【0043】
また、PCなどのホスト装置から複雑な操作を行うことなくROMの内容を更新できるので、更新時の手順や操作を詳細に説明した情報の提供も不要である。また、複雑な操作が不要なので、更新が失敗に終ることもほとんどなく、ROMの更新処理の信頼性も高い。
【0044】
さらに、印刷システム1では、印刷データφ1の前にファームウェアデータφ2がプリンタ3に到達するようになっている。印刷データφ1のデータサイズがプリンタ3に用意されているメモリ容量との関係で、印刷データφ1をプリンタ3で保持できないときには、印刷が終了するまでファームウェアデータφ2がプリンタ3で受信されない。この場合は、印刷処理をROMの更新処理に先行して行えばよいのではあるが、新規のファームウェアでなければ印刷できないような印刷データφ1であれば、印刷処理を先行して実施できない。このため、このようなケースを想定すると、ファームウェアデータφ2を印刷データφ1に先行してプリンタ3に送信し、ROMの更新処理を印刷処理に先立って実行することが望ましい。
【0045】
なお、印刷データφ1とファームウェアデータφ2を一つのデータ列φ4とする処理をランゲージモニタ16aで行っているが、データ列φ4に変換する処理はプリンタドライバ14で行うことも可能である。一般的に、プリンタドライバ14とランゲージモニタ16aは対で提供され、印刷データに変換する機能がプリンタドライバ14に搭載され、その他の機能がランゲージモニタ16aに搭載されるので、プリンタ3の機種や種類などの情報はランゲージモニタ16aに備わっており、プリンタ3やPC2のOSに合致したファームウェアデータφ2をインターネットを介して取得する処理はランゲージモニタ16aで行うことが望ましい。
【0046】
また、インターネットを介してファームウェアデータφ2を取得する例を説明したが、プリンタドライバのアップデートファイルにファームウェアデータφ2を含ませることにより、そのアップデートファイルと共にファームウェアデータφ2を取得することも可能である。この場合、プリンタドライバのアップデートと対でファームウェアを更新することが可能になる。
【0047】
また、上記のプリンタ3は、フラッシュROM32に記録されたブートプログラムによりファームウェア30を起動すると共に、ファームウェア30の一部である実行プログラムをRAM33にコピーし、コピーした実行プログラムをCPU31により実行するハードウェア構成となっている。この代りに、図6に示すように、ブートプログラムP1が記録されたROM39がバス36に接続され、制御プログラムまたはファームウェア30が記録されたシリアルフラッシュROM32がCPU31に接続されたハードウェア構成とすることも可能である。このプリンタ3では、シリアルフラッシュROM32でプログラムの実行ができないので、ROM39のブートプログラムP1を起動することにより、制御プログラム30をシリアルフラッシュROM32からRAM33にコピーし、CPU31により実行する。
【0048】
印刷データを印刷する周辺処理装置としてプリンタを説明したが、スキャナおよびプリンタの機能を備えた多目的プリンタまたはマルチファンクションプリンタと呼ばれる周辺処理装置であっても本発明は適用可能であり、本発明の周辺処理装置は印刷機構により印刷データを印刷する機能を有する装置のすべてが含まれる。
【0049】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明においては、印刷データに連続した状態で、周辺処理装置のROMの少なくとも一部を更新するための更新用データを周辺処理装置に送信し、周辺処理装置で更新用データを抽出してROMを更新するようにしている。したがって、周辺処理装置のROMの更新は、印刷データを印刷する際の一連の処理の中に含まれることになり、ユーザがROMの更新のために個別の操作を行うことなく、周辺処理装置のメーカなどの意図している通りに周辺処理装置のROMを更新することが可能になる。したがって、ユーザに負担をほとんどかけずに、さらに、ユーザにROMの更新を意識させないで、ROMの内容を極めて簡単で正確に更新できる。また、ROMの内容を更新するための手順や操作の情報は少なくても済み、ユーザの負担と共に周辺処理装置のメーカー側の負担も軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る印刷システムの概略を示す図である。
【図2】本発明に係る印刷システムの概略機能を示す図である。
【図3】ホスト装置からプリンタに送信されるデータ列を示す図である。
【図4】ホスト装置からプリンタにデータ列が送信される処理を示すフローチャートである。
【図5】ホスト装置から送信されたデータ列がプリンタで受信されたときの処理を示すフローチャートである。
【図6】プリンタの異なるハードウェア構成を示す図である。
【符号の説明】
1 印刷システム
2 ホスト装置
3 プリンタ
11 アプリケーション
12 プリント管理機能
14 プリンタドライバ
30 ファームウェア
32 フラッシュROM
34 印刷機能
55 コマンド制御機能(更新処理機能)
63 抽出機能
65 更新機能
66 第1の処理機能
67 第2の処理機能
φ1 印刷データ
φ2 更新用データ
φ4 データ列

Claims (9)

  1. アプリケーションプログラムから得られたデータを印刷するための印刷データに変換して送信可能な状態にするプリント管理プログラムが稼動するホスト装置と、
    前記印刷データを受信すると、その印刷データを記録用紙に印刷する印刷機構を備えた周辺処理装置とを有する印刷システムであって、
    前記プリント管理プログラムは、前記印刷データと連続した状態で前記周辺処理装置のROMの少なくとも一部を更新する更新用データを送信する更新用データ出力機能を備えており、
    前記周辺処理装置は、更新用データにより前記ROMの少なくとも一部を更新する更新処理機能を備えている印刷システム。
  2. 請求項1において、前記更新用データ出力機能は、前記印刷データの前に前記更新用データを送信する印刷システム。
  3. 請求項1において、前記更新処理機能は、前記印刷データを印刷する前に前記ROMを更新する第1の処理機能と、前記印刷データを印刷した後に前記ROMを更新する第2の処理機能とを備えている印刷システム。
  4. 請求項1において、前記更新処理機能は、前記ROMに記録されたデータのバージョンと前記更新用データのバージョンを比較する機能と、バージョンの比較結果に基づいて前記ROMを更新する機能とを備えている印刷システム。
  5. アプリケーションプログラムから得られたデータを印刷するための印刷データに変換して送信可能な状態にするプリント管理プログラムが稼動するホスト装置から送信された前記印刷データを受信すると、その印刷データを記録用紙に印刷する印刷機構を備えた周辺処理装置であって、
    前記印刷データと連続した状態で送信された、当該周辺処理装置のROMの少なくとも一部を更新する更新用データを抽出する機能と、
    前記更新用データにより前記ROMを更新する機能と、
    前記印刷機構により、前記印刷データを印刷する印刷機能とを備えている周辺処理装置。
  6. アプリケーションプログラムから得られたデータを印刷するための印刷データに変換して送信可能な状態にする情報処理装置であって、
    前記印刷データと連続した状態で、前記印刷データを記録用紙に印刷する印刷機構を備えた周辺処理装置のROMの少なくとも一部を更新する更新用データを送信する更新用データ出力機能を有する情報処理装置。
  7. ホスト装置から送信された印刷データを受信すると、その印刷データを記録用紙に印刷する印刷機構を備えた周辺処理装置の制御プログラムであって、
    前記印刷データと連続した状態で、当該周辺処理装置のROMの少なくとも一部を更新する更新用データを抽出する処理と、
    前記更新用データにより前記ROMを更新する処理と、
    前記印刷機構により、前記印刷データを印刷する印刷処理とを実行可能な命令を有する制御プログラム。
  8. アプリケーションプログラムから得られたデータを印刷するための印刷データに変換して送信可能な状態にするプリント管理プログラムであって、
    前記印刷データと連続した状態で、前記印刷データを記録用紙に印刷する印刷機構を備えた周辺処理装置のROMの少なくとも一部を更新する更新用データを送信する更新用データ出力処理を実行可能な命令を有するプリント管理プログラム。
  9. アプリケーションプログラムから得られたデータを印刷するための印刷データに変換して送信可能な状態にするプリント管理プログラムが稼動するホスト装置と、前記印刷データを受信すると、その印刷データを記録用紙に印刷する印刷機構を備えた周辺処理装置とを有し、前記ホスト装置から送信された印刷データを前記周辺処理装置で印刷する方法であって、
    前記プリント管理プログラムが前記印刷データと連続した状態で前記周辺処理装置のROMの少なくとも一部を更新する更新用データを送信する更新用データ出力工程と、
    前記周辺処理装置が前記更新用データを受信すると、その更新用データにより前記ROMの少なくとも一部を更新する更新処理工程とを有する印刷方法。
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