JP2004254479A - 電気接続箱の防水構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡易な構造により防水性を高めることのできる電気接続箱の防水構造を提供する。
【解決手段】電気接続箱10の上側に位置するカバー部材30f、30rの嵌合端縁32aを覆うべく、カバー部材30f、30rを内部に含むように外部二重壁部24a、24を本体20に設けたので、電気接続箱10の上側に滴下した水分は、カバー部材30f、30rの外側を通って流れ、電気接続箱10の内部に水分が浸入するのを防止することができる。仮にカバー部材30f、30rを伝って本体20側へ流れて外部二重壁部24a、24に侵入しても、本体20に設けられている外部二重壁部24a、24の内側の壁によって電気接続箱10内部への水分の浸入を阻止するので、防水効果が向上する。
【選択図】 図1
【解決手段】電気接続箱10の上側に位置するカバー部材30f、30rの嵌合端縁32aを覆うべく、カバー部材30f、30rを内部に含むように外部二重壁部24a、24を本体20に設けたので、電気接続箱10の上側に滴下した水分は、カバー部材30f、30rの外側を通って流れ、電気接続箱10の内部に水分が浸入するのを防止することができる。仮にカバー部材30f、30rを伝って本体20側へ流れて外部二重壁部24a、24に侵入しても、本体20に設けられている外部二重壁部24a、24の内側の壁によって電気接続箱10内部への水分の浸入を阻止するので、防水効果が向上する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、電気接続箱の防水構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、自動車の電気回路に使用される電気接続箱はエンジンルームに配置される場合が多いが、車内に配置される場合もある。
この場合、直接水が当たることは少ないが、近年行われるようになってきた車内の湿式洗浄(水洗い)の場合や、車内で飲食する際に飲み物をこぼした場合や、エアコンダクトからの結露水がかかる場合等、車内でも水の浸入を防止することが要求されるようになってきた。
【0003】
高度な防水性を得るためにはOリングを用いることが考えられるが、本体およびカバー部材にOリングに対応した溝を形成する必要がある。
このため、金型コストの上昇、Oリングの使用により部品点数および組付け工数の増加等を招くという問題がある。
【0004】
前述した問題に対して、図6に示すように、電気接続箱100を本体101とカバー部材102とから構成することにより、本体101とカバー部材102との間に水が侵入しないような防水構造103が施されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
すなわち、図7に示すように、本体101の周壁101aにL字形断面の枠体104を設け、この枠体104と本体101の周壁101aとの間に環状溝105を形成するとともに、カバー部材102の四周に枠体104を被覆する被覆体106を周設している。
そして、枠体104および被覆体106との立上り基部間に適宜空間を形成し、さらに被覆体106の端縁に、先端が本体101の周壁101aに近接する傾斜板107を設けている。
【0006】
しかしながら、前述した電気接続箱100においても、本体101やカバー部材102が成形後の「引け」等により変形すると、本体101とカバー部材102との間に隙間が生じて、水分が浸入する虞れがある。
【0007】
そこで、この問題点を解決すべく、図8に示すような防水構造が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。
すなわち、図8に示すように、この電気接続箱110をアッパーカバー111とロアーカバー112で構成し、アッパーカバー111の外周下部にスカート部113を形成して、上部を閉じた嵌合溝114を形成する。ロアーカバー112の上端部の周壁112aが嵌合溝114内に嵌合されるように、アッパーカバー111をロアーカバー112に被せる。これにより、スカート部113とロアーカバー112により3重の壁が形成され、防水を図っている。
【0008】
【特許文献1】
実開昭55−129479号公報(第1頁、第1図)
【特許文献2】
特開平11−41748号公報(第2、3頁、第1図)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述した電気接続箱110においては、本体であるロアーカバー112とカバー部材であるアッパーカバー111の位置決めと、防水とを同時に行うので、ロアーカバー112やアッパーカバー111に「引け」等の変形があった場合には、図9に示すようにロアーカバー112の上部の周壁112aが、アッパーカバー111のスカート部113の途中の段差113aに引っ掛かったりして相互の嵌合が面倒である。
【0010】
本発明は、前述した問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、簡易な構造により防水性を高めることのできる電気接続箱の防水構造を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前述した目的を達成するために、本発明にかかる電気接続箱の防水構造は、請求項1に記載したように、本体と、前記本体の開口部の外側に被るように嵌合されるカバー部材とを有し、前記カバー部材における複数の嵌合端縁が垂直面に略沿うように配置される電気接続箱の防水構造であって、取り付け状態において前記カバー部材の各嵌合端縁のうちの少なくとも前記電気接続箱の上側に位置する嵌合端縁を覆うべく前記カバー部材を内部に含む外部二重壁部が、前記本体および前記カバー部材の嵌合方向に沿って前記本体に設けられていることを特徴としている。
【0012】
このように構成された電気接続箱の防水構造においては、電気接続箱の上側に位置するカバー部材の嵌合端縁を覆うべく、カバー部材を内部に含むように外部二重壁部を本体に設けたので、電気接続箱の上側に滴下した水分は、カバー部材の外側を通って流れ、電気接続箱の内部に水分が浸入するのを防止することができる。
仮にカバー部材を伝って本体側へ流れて外部二重壁部に侵入しても、本体に設けられている外部二重壁部の内側の壁によって電気接続箱内部への水分の浸入を阻止するので、防止することができる。
【0013】
また、本発明にかかる電気接続箱の防水構造は、請求項2に記載したように、請求項1に記載した電気接続箱の防水構造において、前記外部二重壁部における前記嵌合方向に沿った重複寸法が5mm以上であることを特徴としている。
【0014】
このように構成された電気接続箱の防水構造においては、外部二重壁部において本体とカバー部材との嵌合方向に重なる長さが長いので、確実に防水することができる。
【0015】
また、本発明にかかる電気接続箱の防水構造は、請求項3に記載したように、請求項1に記載した電気接続箱の防水構造において、前記外部二重壁部が前記嵌合端縁に沿った入隅部に設けられていることを特徴としている。
【0016】
このように構成された電気接続箱の防水構造においては、入隅部が上側にあると水分が溜まりやすいが、入隅部に外部二重壁部を設けることにより、入隅部の防水性を向上させることができる。
【0017】
また、本発明にかかる電気接続箱の防水構造は、請求項4に記載したように、請求項1に記載した電気接続箱の防水構造において、前記外部二重壁部における前記嵌合方向の端部が前記カバー部材の基部に対応する位置に配置されていることを特徴としている。
【0018】
このように構成された電気接続箱の防水構造においては、本体に設けた外部二重壁部がカバー部材を全幅にわたって覆うので、カバー部材に水分が付着しにくく、防水性を向上させることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る電気接続箱の防水構造の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は電気接続箱の分解斜視図、図2は図1中II−II位置における電気接続箱の防水構造を示す拡大断面図である。
【0020】
図1に示すように、本発明に係る電気接続箱10は、前後両面に開口部21f、21rを有する本体20と、この本体20の前後の開口部21f、21rの両外側に被るように嵌合される一対のカバー部材30f、30rとを有している。本体20、カバー部材30f、30r等は、一般に、合成樹脂から形成されている。この電気接続箱10は、例えば本体20の両開口部21f、21rがほぼ垂直面に沿った状態で使用される。
【0021】
本体20の内部には、種々の電装品を装着するための電装品収容ブロック22が設けられており、その外周には本体壁部23がカバー部材30f、30rの嵌合方向(図1中矢印方向)である前後両側に設けられている。
本体壁部23の内、少なくとも電気接続箱10の使用状態において上側となる本体壁部23Uにおいては、外部二重壁部を構成する外壁24aおよび内壁24bが各々前後両方に向かって設けられている。
なお、全周にわたって外壁24aおよび内壁24bを設けることも可能である。
【0022】
図1に示すように、裏側のカバー部材30rは、前述した本体20の裏側の開口部21rを覆うべく、ほぼ矩形状のベースプレート31rを有しており、このベースプレート31rの外周には壁32rがベースプレート31rに対して直角(嵌合方向)に設けられている。
壁32rは場所によって切欠き33a、33bが設けられており、本体20の電装品収容ブロック22に設けられている取付けブラケット34との干渉を回避したり、電装品収容ブロック22に取付けたコネクタを覆うコネクタカバーを付けることができるようになっている。
【0023】
また、表側のカバー部材30fは、本体20の表側の開口部21fを覆うべく前述した裏側のカバー部材30rと同様の形状をしており、ベースプレート31fの外周には壁32fが嵌合方向に延びて設けられている。
また、カバー部材30fには、電装品収容ブロック22に装着される電装品との干渉を回避するために、電装品の形状に対応して、凹部35が設けられたり、切欠き36a、36bが設けられたりしている。
【0024】
図2に示すように、本体20に設けられている外壁24aおよび内壁24bから構成される外部二重壁部は、外壁24aと内壁24bとの間に一定の隙間25を設け、この隙間25にカバー部材30f、30rの壁32f、32rの先端である嵌合端縁32aを各々嵌合させることにより、カバー部材30f、30rを外壁24aと内壁24bとの間に含む構造となっている。
なお、内壁24bの外側面には、係止突起26が設けられており、カバー部材30f、30rを係止して脱落を防止している。
【0025】
また、図2に示すように、外壁24aがカバー部材30f、30rの壁32f、32rと重複する長さLとして、最低でも5mm以上確保する。
好ましくは、図3に示すように、嵌合方向の端部である外壁24aの先端24cが、カバー部材30f、30rの基部、すなわちベースプレート31f、31rの外側面31a位置まで達するようにして、カバー部材30f、30rの外面を全幅にわたって覆うようにするのがよい。
【0026】
以上、前述した電気接続箱の防水構造によれば、使用状態において上側に位置する本体20に外壁24aおよび内壁24bからなる外部二重壁部を設けて、外壁24aと内壁24bとの間にカバー部材30f、30rを嵌合させるようにしたので、本体20とカバー部材30f、30rとの間の防水性を向上させることができる。
【0027】
なお、本発明の電気接続箱の防水構造は、前述した実施形態に限定されるものでなく、適宜な変形、改良等が可能である。
例えば、前述した各実施形態では、本体20の上側の壁23Uがほぼ水平となるように配置して使用する場合について説明したが、図4に示すように、隅角部27を上にしたような斜めの状態で使用する場合でも同様である。この場合には、隅角部27を挟んだ両側の本体壁部23U、23Uについて、前述した上側の本体壁部23Uと同様な二重壁構造とする。
【0028】
また、図5に示すように、電気接続箱10の隅角部27に、内側へ食い込んだ入隅部28が形成され、使用時にはこの入隅部28を上側に配置されることが想定される場合には、少なくとも入隅部28は二重壁構造とする。
これにより、水が溜まりやすい入隅部28における防水性を向上させることができる。この際には、入隅部28の両側の本体壁部23U、23Uについても二重壁構造として防水を図るようにする。
【0029】
また、前述した実施形態においては、図1に示したように、本体20の前後両面に開口部21f、21rが設けられており、一対のカバー部材30f、30rにより両開口部21f、21rを覆う場合について説明したが、この他、本体20の前面(あるいは後面)にのみ開口部21を有し、この開口部21を1枚のカバー部材30により覆う場合についても同様に適用することができる。
この場合には、本体20の前側に延びるように外壁24aと内壁24bを設けて外部二重壁部を形成し、外壁24aと内壁24bとの間の隙間25にカバー部材30の壁32の端縁が嵌合される。
【0030】
【発明の効果】
以上、説明したように、本発明にかかる電気接続箱の防水構造によれば、請求項1に記載したように、電気接続箱の上側に位置するカバー部材の嵌合端縁を覆うべく、カバー部材を内部に含むように外部二重壁部を本体に設けたので、電気接続箱の上側に滴下した水分は、カバー部材の外側を通って流れ、電気接続箱の内部に水分が浸入するのを防止することができる。仮にカバー部材を伝って本体側へ流れて外部二重壁部に侵入しても、本体に設けられている外部二重壁部の内側の壁によって接続箱内部への水分の浸入を阻止するので、防止効果を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る電気接続箱の防水構造の一実施形態を示す分解斜視図である。
【図2】図1中II−II位置における外部二重壁部の拡大断面図である。
【図3】外部二重壁部の別の例を示す拡大断面図である。
【図4】電気接続箱の使用状態を示す正面図である。
【図5】隅角部に入隅部が形成された場合を示す説明図である。
【図6】従来の電気接続箱の一例を示す斜視図である。
【図7】図6中VII−VII位置における断面図である。
【図8】従来の電気接続箱の別の例を示す斜視図である。
【図9】図8の電気接続箱における問題点を示す断面図である。
【符号の説明】
10 電気接続箱
20 本体
21f、21r 開口部
24a 外壁(外部二重壁部)
24b 内壁(外部二重壁部)
24c 先端面(端部)
28 入隅部
30f、30r カバー部材
31a ベースプレート外側面(基部)
32a 嵌合端縁
L 重複寸法
【発明の属する技術分野】
この発明は、電気接続箱の防水構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、自動車の電気回路に使用される電気接続箱はエンジンルームに配置される場合が多いが、車内に配置される場合もある。
この場合、直接水が当たることは少ないが、近年行われるようになってきた車内の湿式洗浄(水洗い)の場合や、車内で飲食する際に飲み物をこぼした場合や、エアコンダクトからの結露水がかかる場合等、車内でも水の浸入を防止することが要求されるようになってきた。
【0003】
高度な防水性を得るためにはOリングを用いることが考えられるが、本体およびカバー部材にOリングに対応した溝を形成する必要がある。
このため、金型コストの上昇、Oリングの使用により部品点数および組付け工数の増加等を招くという問題がある。
【0004】
前述した問題に対して、図6に示すように、電気接続箱100を本体101とカバー部材102とから構成することにより、本体101とカバー部材102との間に水が侵入しないような防水構造103が施されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
すなわち、図7に示すように、本体101の周壁101aにL字形断面の枠体104を設け、この枠体104と本体101の周壁101aとの間に環状溝105を形成するとともに、カバー部材102の四周に枠体104を被覆する被覆体106を周設している。
そして、枠体104および被覆体106との立上り基部間に適宜空間を形成し、さらに被覆体106の端縁に、先端が本体101の周壁101aに近接する傾斜板107を設けている。
【0006】
しかしながら、前述した電気接続箱100においても、本体101やカバー部材102が成形後の「引け」等により変形すると、本体101とカバー部材102との間に隙間が生じて、水分が浸入する虞れがある。
【0007】
そこで、この問題点を解決すべく、図8に示すような防水構造が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。
すなわち、図8に示すように、この電気接続箱110をアッパーカバー111とロアーカバー112で構成し、アッパーカバー111の外周下部にスカート部113を形成して、上部を閉じた嵌合溝114を形成する。ロアーカバー112の上端部の周壁112aが嵌合溝114内に嵌合されるように、アッパーカバー111をロアーカバー112に被せる。これにより、スカート部113とロアーカバー112により3重の壁が形成され、防水を図っている。
【0008】
【特許文献1】
実開昭55−129479号公報(第1頁、第1図)
【特許文献2】
特開平11−41748号公報(第2、3頁、第1図)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述した電気接続箱110においては、本体であるロアーカバー112とカバー部材であるアッパーカバー111の位置決めと、防水とを同時に行うので、ロアーカバー112やアッパーカバー111に「引け」等の変形があった場合には、図9に示すようにロアーカバー112の上部の周壁112aが、アッパーカバー111のスカート部113の途中の段差113aに引っ掛かったりして相互の嵌合が面倒である。
【0010】
本発明は、前述した問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、簡易な構造により防水性を高めることのできる電気接続箱の防水構造を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前述した目的を達成するために、本発明にかかる電気接続箱の防水構造は、請求項1に記載したように、本体と、前記本体の開口部の外側に被るように嵌合されるカバー部材とを有し、前記カバー部材における複数の嵌合端縁が垂直面に略沿うように配置される電気接続箱の防水構造であって、取り付け状態において前記カバー部材の各嵌合端縁のうちの少なくとも前記電気接続箱の上側に位置する嵌合端縁を覆うべく前記カバー部材を内部に含む外部二重壁部が、前記本体および前記カバー部材の嵌合方向に沿って前記本体に設けられていることを特徴としている。
【0012】
このように構成された電気接続箱の防水構造においては、電気接続箱の上側に位置するカバー部材の嵌合端縁を覆うべく、カバー部材を内部に含むように外部二重壁部を本体に設けたので、電気接続箱の上側に滴下した水分は、カバー部材の外側を通って流れ、電気接続箱の内部に水分が浸入するのを防止することができる。
仮にカバー部材を伝って本体側へ流れて外部二重壁部に侵入しても、本体に設けられている外部二重壁部の内側の壁によって電気接続箱内部への水分の浸入を阻止するので、防止することができる。
【0013】
また、本発明にかかる電気接続箱の防水構造は、請求項2に記載したように、請求項1に記載した電気接続箱の防水構造において、前記外部二重壁部における前記嵌合方向に沿った重複寸法が5mm以上であることを特徴としている。
【0014】
このように構成された電気接続箱の防水構造においては、外部二重壁部において本体とカバー部材との嵌合方向に重なる長さが長いので、確実に防水することができる。
【0015】
また、本発明にかかる電気接続箱の防水構造は、請求項3に記載したように、請求項1に記載した電気接続箱の防水構造において、前記外部二重壁部が前記嵌合端縁に沿った入隅部に設けられていることを特徴としている。
【0016】
このように構成された電気接続箱の防水構造においては、入隅部が上側にあると水分が溜まりやすいが、入隅部に外部二重壁部を設けることにより、入隅部の防水性を向上させることができる。
【0017】
また、本発明にかかる電気接続箱の防水構造は、請求項4に記載したように、請求項1に記載した電気接続箱の防水構造において、前記外部二重壁部における前記嵌合方向の端部が前記カバー部材の基部に対応する位置に配置されていることを特徴としている。
【0018】
このように構成された電気接続箱の防水構造においては、本体に設けた外部二重壁部がカバー部材を全幅にわたって覆うので、カバー部材に水分が付着しにくく、防水性を向上させることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る電気接続箱の防水構造の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は電気接続箱の分解斜視図、図2は図1中II−II位置における電気接続箱の防水構造を示す拡大断面図である。
【0020】
図1に示すように、本発明に係る電気接続箱10は、前後両面に開口部21f、21rを有する本体20と、この本体20の前後の開口部21f、21rの両外側に被るように嵌合される一対のカバー部材30f、30rとを有している。本体20、カバー部材30f、30r等は、一般に、合成樹脂から形成されている。この電気接続箱10は、例えば本体20の両開口部21f、21rがほぼ垂直面に沿った状態で使用される。
【0021】
本体20の内部には、種々の電装品を装着するための電装品収容ブロック22が設けられており、その外周には本体壁部23がカバー部材30f、30rの嵌合方向(図1中矢印方向)である前後両側に設けられている。
本体壁部23の内、少なくとも電気接続箱10の使用状態において上側となる本体壁部23Uにおいては、外部二重壁部を構成する外壁24aおよび内壁24bが各々前後両方に向かって設けられている。
なお、全周にわたって外壁24aおよび内壁24bを設けることも可能である。
【0022】
図1に示すように、裏側のカバー部材30rは、前述した本体20の裏側の開口部21rを覆うべく、ほぼ矩形状のベースプレート31rを有しており、このベースプレート31rの外周には壁32rがベースプレート31rに対して直角(嵌合方向)に設けられている。
壁32rは場所によって切欠き33a、33bが設けられており、本体20の電装品収容ブロック22に設けられている取付けブラケット34との干渉を回避したり、電装品収容ブロック22に取付けたコネクタを覆うコネクタカバーを付けることができるようになっている。
【0023】
また、表側のカバー部材30fは、本体20の表側の開口部21fを覆うべく前述した裏側のカバー部材30rと同様の形状をしており、ベースプレート31fの外周には壁32fが嵌合方向に延びて設けられている。
また、カバー部材30fには、電装品収容ブロック22に装着される電装品との干渉を回避するために、電装品の形状に対応して、凹部35が設けられたり、切欠き36a、36bが設けられたりしている。
【0024】
図2に示すように、本体20に設けられている外壁24aおよび内壁24bから構成される外部二重壁部は、外壁24aと内壁24bとの間に一定の隙間25を設け、この隙間25にカバー部材30f、30rの壁32f、32rの先端である嵌合端縁32aを各々嵌合させることにより、カバー部材30f、30rを外壁24aと内壁24bとの間に含む構造となっている。
なお、内壁24bの外側面には、係止突起26が設けられており、カバー部材30f、30rを係止して脱落を防止している。
【0025】
また、図2に示すように、外壁24aがカバー部材30f、30rの壁32f、32rと重複する長さLとして、最低でも5mm以上確保する。
好ましくは、図3に示すように、嵌合方向の端部である外壁24aの先端24cが、カバー部材30f、30rの基部、すなわちベースプレート31f、31rの外側面31a位置まで達するようにして、カバー部材30f、30rの外面を全幅にわたって覆うようにするのがよい。
【0026】
以上、前述した電気接続箱の防水構造によれば、使用状態において上側に位置する本体20に外壁24aおよび内壁24bからなる外部二重壁部を設けて、外壁24aと内壁24bとの間にカバー部材30f、30rを嵌合させるようにしたので、本体20とカバー部材30f、30rとの間の防水性を向上させることができる。
【0027】
なお、本発明の電気接続箱の防水構造は、前述した実施形態に限定されるものでなく、適宜な変形、改良等が可能である。
例えば、前述した各実施形態では、本体20の上側の壁23Uがほぼ水平となるように配置して使用する場合について説明したが、図4に示すように、隅角部27を上にしたような斜めの状態で使用する場合でも同様である。この場合には、隅角部27を挟んだ両側の本体壁部23U、23Uについて、前述した上側の本体壁部23Uと同様な二重壁構造とする。
【0028】
また、図5に示すように、電気接続箱10の隅角部27に、内側へ食い込んだ入隅部28が形成され、使用時にはこの入隅部28を上側に配置されることが想定される場合には、少なくとも入隅部28は二重壁構造とする。
これにより、水が溜まりやすい入隅部28における防水性を向上させることができる。この際には、入隅部28の両側の本体壁部23U、23Uについても二重壁構造として防水を図るようにする。
【0029】
また、前述した実施形態においては、図1に示したように、本体20の前後両面に開口部21f、21rが設けられており、一対のカバー部材30f、30rにより両開口部21f、21rを覆う場合について説明したが、この他、本体20の前面(あるいは後面)にのみ開口部21を有し、この開口部21を1枚のカバー部材30により覆う場合についても同様に適用することができる。
この場合には、本体20の前側に延びるように外壁24aと内壁24bを設けて外部二重壁部を形成し、外壁24aと内壁24bとの間の隙間25にカバー部材30の壁32の端縁が嵌合される。
【0030】
【発明の効果】
以上、説明したように、本発明にかかる電気接続箱の防水構造によれば、請求項1に記載したように、電気接続箱の上側に位置するカバー部材の嵌合端縁を覆うべく、カバー部材を内部に含むように外部二重壁部を本体に設けたので、電気接続箱の上側に滴下した水分は、カバー部材の外側を通って流れ、電気接続箱の内部に水分が浸入するのを防止することができる。仮にカバー部材を伝って本体側へ流れて外部二重壁部に侵入しても、本体に設けられている外部二重壁部の内側の壁によって接続箱内部への水分の浸入を阻止するので、防止効果を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る電気接続箱の防水構造の一実施形態を示す分解斜視図である。
【図2】図1中II−II位置における外部二重壁部の拡大断面図である。
【図3】外部二重壁部の別の例を示す拡大断面図である。
【図4】電気接続箱の使用状態を示す正面図である。
【図5】隅角部に入隅部が形成された場合を示す説明図である。
【図6】従来の電気接続箱の一例を示す斜視図である。
【図7】図6中VII−VII位置における断面図である。
【図8】従来の電気接続箱の別の例を示す斜視図である。
【図9】図8の電気接続箱における問題点を示す断面図である。
【符号の説明】
10 電気接続箱
20 本体
21f、21r 開口部
24a 外壁(外部二重壁部)
24b 内壁(外部二重壁部)
24c 先端面(端部)
28 入隅部
30f、30r カバー部材
31a ベースプレート外側面(基部)
32a 嵌合端縁
L 重複寸法
Claims (4)
- 本体と、前記本体の開口部の外側に被るように嵌合されるカバー部材とを有し、前記カバー部材における複数の嵌合端縁が垂直面に略沿うように配置される電気接続箱の防水構造であって、
取り付け状態において前記カバー部材の各嵌合端縁のうちの少なくとも前記電気接続箱の上側に位置する嵌合端縁を覆うべく前記カバー部材を内部に含む外部二重壁部が、前記本体および前記カバー部材の嵌合方向に沿って前記本体に設けられていることを特徴とする電気接続箱の防水構造。 - 前記外部二重壁部における前記嵌合方向に沿った重複寸法が5mm以上であることを特徴とする請求項1に記載した電気接続箱の防水構造。
- 前記外部二重壁部が前記嵌合端縁に沿った入隅部に設けられていることを特徴とする請求項1に記載した電気接続箱の防水構造。
- 前記外部二重壁部における前記嵌合方向の端部が前記カバー部材の基部に対応する位置に配置されていることを特徴とする請求項1に記載した電気接続箱の防水構造。
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