JP2004253556A - 半導体素子収納用パッケージおよび半導体装置 - Google Patents
半導体素子収納用パッケージおよび半導体装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004253556A JP2004253556A JP2003041483A JP2003041483A JP2004253556A JP 2004253556 A JP2004253556 A JP 2004253556A JP 2003041483 A JP2003041483 A JP 2003041483A JP 2003041483 A JP2003041483 A JP 2003041483A JP 2004253556 A JP2004253556 A JP 2004253556A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- seal ring
- base
- semiconductor element
- package
- lid
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Withdrawn
Links
Images
Classifications
-
- H—ELECTRICITY
- H01—ELECTRIC ELEMENTS
- H01L—SEMICONDUCTOR DEVICES NOT COVERED BY CLASS H10
- H01L2924/00—Indexing scheme for arrangements or methods for connecting or disconnecting semiconductor or solid-state bodies as covered by H01L24/00
- H01L2924/15—Details of package parts other than the semiconductor or other solid state devices to be connected
- H01L2924/161—Cap
- H01L2924/1615—Shape
- H01L2924/16195—Flat cap [not enclosing an internal cavity]
Abstract
【課題】基体の上面にシールリングをろう付けした半導体素子収納用パッケージにおいて、シールリングと蓋体の溶接の際に、基体の上面にクラックが生ずるのを防ぐこと。
【解決手段】半導体素子収納用パッケージは、上面に半導体素子5を載置し収容するための凹部1bが形成されたセラミックス製の基体1と、この基体1の上面の凹部1bの周囲に下面が接合された、上下端に外側に延出する延出部2a,2bがそれぞれ全周にわたって形成された金属製のシールリング2とを具備しており、シールリング2は、上端の延出部2aの幅が下端の延出部2bの幅よりも大きい。
【選択図】 図1
【解決手段】半導体素子収納用パッケージは、上面に半導体素子5を載置し収容するための凹部1bが形成されたセラミックス製の基体1と、この基体1の上面の凹部1bの周囲に下面が接合された、上下端に外側に延出する延出部2a,2bがそれぞれ全周にわたって形成された金属製のシールリング2とを具備しており、シールリング2は、上端の延出部2aの幅が下端の延出部2bの幅よりも大きい。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体素子を収容する半導体素子収納用パッケージに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の半導体素子収納用パッケージ(以下、単にパッケージともいう)は、アルミナ(Al2O3)質セラミックス,窒化アルミニウム(AlN)質セラミックス,ムライト(3Al2O3・2SiO2)質セラミックス等の電気絶縁材料から成り、その上面の中央部に半導体素子を収容するための凹部を有する基体と、凹部の内側から外側にかけて導出された、半導体素子を外部電気回路に電気的に接続するためのタングステン(W),モリブデン(Mo),マンガン(Mn)等の高融点金属粉末から成る複数個のメタライズ配線層とを具備している。
【0003】
また、基体の凹部の底面に半導体素子をガラス、樹脂、ろう材等の接着剤を介して接着固定するとともに半導体素子の各電極をボンディングワイヤを介してメタライズ配線層に接続し、しかる後、基体の上面に鉄(Fe)−ニッケル(Ni)−コバルト(Co)合金やFe−Ni合金等の金属から成る蓋体を溶接し、基体と蓋体とから成る容器内部に半導体素子を気密に収容することによって、最終製品としての半導体装置となる。
【0004】
なお、従来のパッケージは、一般に、基体の上面にFe−Ni−Co合金やFe−Ni合金等から成るシールリングを予めろう付けしておくとともに、シールリングに蓋体をシームウェルド法等により溶接することによって蓋体が基体の上面に取着されている。これによって基体と蓋体とからなる容器がより気密に封止される。
【0005】
このような従来のパッケージのシールリング周辺の拡大断面図を図7(a),(b)に示す。以下、このパッケージについて説明する。
【0006】
図7(a),(b)のパッケージは、アルミナ(Al2O3)質セラミックス,窒化アルミニウム(AlN)質セラミックス,ムライト(3Al2O3・2SiO2)質セラミックス等から成る基体10の上面に、ろう材との濡れ性のよいNiめっき等のめっきが表面に施されたメタライズ層10aが形成され、このメタライズ層10aに基体10の上面の幅よりも幅が細いFe−Ni−Co合金等の金属から成るシールリング20が、ろう付け接合されることによって形成されている。
【0007】
また、図7(a),(b)に示すように、シールリング20の下端の側面中途部に切欠き部20aが設けられている。具体的には、図7(a)に示したパッケージでは、シールリング20下端の内外の側面中途部に断面コの字状をした切欠き部20aをそれぞれ設けている。図7(b)に示したパッケージでは、シールリング20下端の内外の側面中途部に断面レの字状をした切欠き部20aをそれぞれ設けている。
【0008】
こうして、基体10上面にシールリング20をろう付け接合した際に、シールリング20の内外の側面をその上方に這い上がろうとするろう材30が、切欠き部20aに邪魔されて、切欠き部20a下端よりその上方に這い上がれないようにしている。それと共に、切欠き部20a下端を乗り越えてその上方に這い上がろうとするろう材30を、切欠き部20a内側のコーナー部表面に働く表面張力作用を用いて、切欠き部20a内側のコーナー部表面に吸引、付着させて、ろう材30が切欠き部20a下端を乗り越えてシールリング20の内外の側面をその上方に這い上がれないようにしている。そして、シールリング20下端の内外の側面に、短いろう材のメニスカスであって、その上端が切欠き部20a下端で確実に途切れたろう材のメニスカスがそれぞれ形成されるようにしている(例えば、下記の特許文献1参照)。
【0009】
このような構成により、基体10上面にシールリング20をろう付け接合した際に、シールリング20側面に形成されるろう材30のメニスカスを短くして、そのろう材30のメニスカスから基体10上面に加わる力を小さく抑えることができる。そして、基体10の上面にクラックが生ずるのを防ぐことができる。
【0010】
【特許文献1】
特開平7−30007号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のシールリング20では、シールリング20の上側に金属製の蓋体(図示せず)を溶接接合すると、溶接接合時にシールリング20が熱膨張し、シールリング20と基体10との熱膨張差による熱応力がそれらの接合部に加わって、基体10の上面にクラックが生じてしまう場合があった。
【0012】
このような課題を解消するために、シールリング20の幅を狭くしてシールリング20の熱伝導量を少なくすることが可能である。しかし、この場合、基体10とシールリング20とをろう付けする際にシールリング20が変形しやすくなってシールリング20の表面の平坦性が悪くなり、シールリング20と蓋体との接合部に隙間が生じてパッケージ内部の気密性を保持しにくくなるという問題点を有していた。
【0013】
従って、本発明はこのような問題点に鑑みて完成されたものであり、その目的は、基体の上面にシールリングをろう付けしたパッケージにおいて、シールリングと蓋体との溶接の際に基体の上面にクラックが生ずるのを防ぐことができるとともに、気密信頼性に優れたパッケージを提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明の半導体素子収納用パッケージは、上面に半導体素子を載置し収容するための凹部が形成されたセラミックス製の基体と、該基体の上面の前記凹部の周囲に下面が接合された、上下端に外側に延出する延出部がそれぞれ全周にわたって形成された金属製のシールリングとを具備しており、前記シールリングは、上端の延出部の幅が下端の延出部の幅よりも大きいことを特徴とする。
【0015】
本発明の半導体素子収納用パッケージは、基体の上面の凹部の周囲に下面が接合された、上下端に外側に延出する延出部がそれぞれ全周にわたって形成された金属製のシールリングを具備しており、シールリングの上端の延出部の幅が下端の延出部の幅よりも大きいことにより、シールリングの上端の延出部の外周部と金属製の蓋体とを溶接接合しても、シールリングの蓋体との接合部から基体との接合部までの距離が長くなるためにシールリングの下端と基体との接合部に熱が伝わりにくくなり、シールリングと基体との熱膨張差による熱応力がそれらの接合部に加わるのを抑制することができる。また、シールリングの上端の延出部が蓋体との接合時に熱膨張したとしても、細くなっているシールリングの上下方向の中央部が優先的に変形し熱膨張差による歪みを吸収することができ、基体の上面にクラックが発生するのを有効に抑制することができる。
【0016】
また、上下端にそれぞれ形成した延出部によりシールリングの強度が向上するため、シールリングを基体にろう付けする際にシールリングの上面の平坦性を保持することができ、シールリングと蓋体との接合部に隙間が生じるのを防止して、半導体素子収納用パッケージ内部の気密信頼性を向上させることができる。
【0017】
本発明の半導体素子収納用パッケージは、上面に半導体素子を載置し収容するための横断面形状が四角形状の凹部が形成された、円板状のセラミックス製の基体と、該基体の上面の前記凹部の周囲に下面が接合された、上端に外側に延出する延出部が全周にわたって形成された環状の金属製のシールリングとを具備しており、前記シールリングは、前記四角形状の4つの角に対応する部位の外周面の前記延出部と下端との間に凹部が形成されていることを特徴とする。
【0018】
本発明の半導体素子収納用パッケージは、上面に半導体素子を載置し収容するための横断面形状が四角形状の凹部が形成された、円板状のセラミックス製の基体と、この基体の上面の凹部の周囲に下面が接合された、上端に外側に延出する延出部が全周にわたって形成された環状の金属製のシールリングとを具備しており、シールリングは、四角形状の4つの角に対応する部位の外周面の延出部と下端との間に凹部が形成されていることから、円板状の基体と環状のシールリングは角がないため応力が集中しにくく、シールリングの上端の延出部の外周部に金属製の蓋体を溶接接合しても、シールリングと基体との熱膨張差による熱応力が局所的に加わるのを有効に抑制できる。
【0019】
また、一般に四角形状である半導体素子に対して基体の凹部の横断面形状を四角形状とすることにより、円形とするよりも横断面積をより小さくすることができるため、厚みが薄く強度の弱い部位である凹部の比率を小さくして基体の強度をより向上し、基体が歪むのを有効に抑制することができる。さらに、基体とシールリングとの熱膨張差による熱応力がもっとも加わり易い四角形状の凹部の4つの角部に対応する部位の外周面の延出部と下端との間に凹部が形成されていることから、この凹部でこれらの熱応力を有効に吸収することができる。その結果、シールリングに蓋体を溶接する際に基体の上面にクラックが発生するのを有効に抑制できる。
【0020】
本発明の半導体装置は、上記構成の半導体素子収納用パッケージと、前記基体の前記凹部の底面に載置された半導体素子と、前記シールリングの上面に取着された蓋体とを具備していることを特徴とする。
【0021】
本発明の半導体装置は、上記の構成により、上記本発明の半導体素子収納用パッケージを用いた気密信頼性の高いものとなる。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明の半導体素子収納用パッケージについて以下に詳細を説明する。図1は本発明のパッケージについて実施の形態の例を示す断面図であり、図2は本発明のパッケージの上面図である。
【0023】
図1,図2において、1は上面にメタライズ層1aと凹部1bを有する基体、2は金属製のシールリング、3はろう材、4は蓋体である。基体1とシールリング2と蓋体4とで内部に半導体素子5を収容するための容器が構成される。
【0024】
本発明のパッケージは、上面に半導体素子5を載置するための凹部1bが形成された基体1と、基体1の上面の凹部1bの周囲に下面がろう付け接合された金属製のシールリング2とから成り、シールリング2は、上下端に外側に延出する延出部2a,2bがそれぞれ全周にわたって形成されている。
【0025】
本発明の基体1は、円板状や、長方形状等の平板状であり、Al2O3質セラミックス,AlN質セラミックス,3Al2O3・2SiO2質セラミックス等のセラミックスから成る。
【0026】
基体1は、例えばAl2O3質セラミックスから成る場合、次のようにして作製される。先ず酸化アルミニウム、酸化珪素(SiO2)、酸化マグネシウム(MgO)および酸化カルシウム(CaO)等の原料粉末に適当な有機バインダー、可塑剤、溶剤等を添加混合して泥漿状と成す。これを従来周知のドクターブレード法やカレンダーロール法等のテープ成形技術により複数のセラミックグリーンシートを得る。次にセラミックグリーンシートに金型等によって打ち抜き加工を施して凹部1bとなる穴を形成する。そして、基体1の上面のシールリング2を接合するためのメタライズ層1aや、基体1の内外を導通させて半導体素子5に駆動信号を入力したり半導体素子5で発生した電気信号を取り出したりするための導体層(図示せず)となるW,Mo等の高融点金属粉末に適当な有機バインダー、可塑剤、溶剤等を添加混合して得た金属ペーストを塗布し、しかる後、これらのセラミックグリーンシートを積層,焼成することによって基体1が形成される。
【0027】
なお、メタライズ層1aと導体層は、その露出する表面に良導電性で耐蝕性に優れたNiや金(Au)等の金属をめっき法により所定厚み(1〜20μm程度)に被着させておくのがよく、メタライズ層1aと導体層の酸化腐蝕を有効に防止できるとともにメタライズ層1aとシールリング2とのろう材3による接合および導体層とボンディングワイヤ等の電気的な接続手段との接続信頼性の高いものと成すことができる。
【0028】
また、基体1は円板状である場合、図5に基体1の上面図で示すように、基体1の外周に対向する一対の直線部1dを設けるのがよい。このような直線部1dを有することによって、基体1は、図6に平面図で示すように、基体1を作製するためのセラミックグリーンシート1cの斜線部を打ち抜き加工して円弧状の側面を形成し、これらのシートを多層積層し焼成した後に点線部をスライス加工して個片に切断することにより量産性よく形成される。即ち、基体1が円形である場合、焼成体を切削加工して円形にすることが困難であるため、セラミックグリーンシート1cを焼成前の段階で打ち抜き加工して円形の基体1の個片に切断した後に焼成しなければならず、その場合円形の各個片を焼成炉内に設置する手間がかかるため作業効率が低下する。一方、基体1が上記のように直線部1dを有する場合、多数の基体1をグリーンシート1cに保持した状態で焼成することができるため、作業効率が著しく向上する。
【0029】
基体1の上面にはシールリング2が、基体1の上面に設けられたメタライズ層1aを介して、銀(Ag)ろう,Ag−銅(Cu)ろう,Au−錫(Sn)ろう等のろう材3によってろう付け接合されている。
【0030】
シールリング2は、Fe−Ni−Co合金等の金属から成り、図3(a),(b)に示すように、上下端に外側に延出する延出部2a,2bがそれぞれ全周にわたって形成されているとともに上端の延出部2aの幅が下端の延出部2bの幅よりも大きくされている。この構成により、シールリング2の上端の延出部2aの外周部と金属製の蓋体4とを溶接接合しても、シールリング2の蓋体4との接合部から基体1との接合部までの距離が長くなるためにシールリング2の下端と基体1との接合部に熱が伝わりにくくなり、シールリング2と基体1との熱膨張差による熱応力がそれらの接合部に加わるのを抑制することができる。また、シールリング2の上端の延出部2aが蓋体4との接合時に熱膨張したとしても、細くなっているシールリング2の上下方向の中央部が優先的に変形し熱膨張差による歪みを吸収することができ、基体1の上面にクラックが発生するのを有効に抑制することができる。
【0031】
また、上下端にそれぞれ形成した延出部2a,2bによりシールリング2の強度が向上するため、シールリング2を基体1にろう付けする際にシールリング2の上面2aの平坦性を保持することができ、シールリング2と蓋体4との接合部に隙間が生じるのを防止して、パッケージ内部の気密信頼性を向上させることができる。
【0032】
さらに、図3(b)に示すように、シールリング2の上下方向の中央部は上側から下側にかけて幅が漸次小さくなっているのがよい。これにより、シールリング2の上端の延出部2aの外周部と金属製の蓋体4とを溶接接合しても、シールリング2の下端と基体1との接合部に熱がより伝わりにくくなり、シールリング2と基体1との熱膨張差による熱応力がそれらの接合部に加わるのを抑制することができ、その結果、シールリング2に蓋体4を溶接する際に基体1の上面にクラックが発生するのを有効に抑制できる。
【0033】
好ましくは、シールリング2は、図3(a),(b)において、下端の幅をA、上下方向の中央部の幅が最も小さい部位における幅をBとしたとき、B=0.25A〜0.75Aであるのがよい。この構成により、シールリング2に蓋体4を溶接接合する際に基体1にクラックが発生するのを有効に抑制することができる。B<0.25Aであると、シールリング2の上下方向の中央部が薄くなりすぎて、シールリング2と基体1とのろう付け時にシールリング2が変形し易くなり、シールリング2の上面の平坦性を保持するのが困難になる。その結果、シールリング2と蓋体4との接合部に隙間が生じて、パッケージ内部の気密性を保持するのが困難になる。また、B>0.75Aであると、シールリング2に蓋体4を溶接接合する際に発生する熱が基体1に伝わり易くなって、基体1にクラックが入り易くなる。
【0034】
また、延出部2aと延出部2bとの間隔は1〜7mmであるのがよい。1mm未満であると、シールリング2の上下端の距離が短くなり、シールリング2に蓋体4を溶接接合する際に発生する熱が基体1に伝わり易くなって、基体1にクラックが入り易くなる。また、7mmを超えると、シールリング2の上下方向の中央部が長くなってシールリング2の強度が弱くなり、シールリング2を基体1に接合する際に延出部2aの平坦性を保持するのが困難になる。
【0035】
また、本発明のパッケージは、図4の上面図に示すように、上面に半導体素子5を載置し収容するための横断面形状が四角形状の凹部1bが形成された、円板状のセラミックス製の基体1と、この基体1の上面の凹部1bの周囲に下面が接合された、上端に外側に延出する延出部2aが全周にわたって形成された環状の金属製のシールリング2とを具備しており、シールリング2は、四角形状の4つの角に対応する部位の外周面の延出部2aと下端との間に凹部2cが形成されている。
【0036】
これにより、円板状の基体1と環状のシールリング2は角がないため応力が集中しにくく、シールリング2の上端の延出部2aの外周部に金属製の蓋体4を溶接接合しても、シールリング2と基体1との熱膨張差による熱応力が局所的に加わるのを有効に抑制できる。
【0037】
また、一般に四角形状である半導体素子5に対して基体1の凹部1bの横断面形状を四角形状とすることにより、円形とするよりも凹部1bの横断面積をより小さくすることができるため、厚みが薄く強度の弱い部位である凹部の比率を小さくして基体の強度をより向上し、基体1の強度をより向上して基体1が歪むのを有効に抑制することができる。さらに、基体1とシールリング2との熱膨張差による熱応力がもっとも加わり易い四角形状の凹部1bの4つの角部に対応する部位の外周面の延出部2aと下端との間に凹部2cが形成されていることから、この凹部2cでこれらの熱応力を有効に吸収することができる。その結果、シールリング2に蓋体4を溶接する際に基体2の上面にクラックが発生するのを有効に抑制できる。
【0038】
このような凹部2cの断面は、四角形状や三角形状、円弧状、U字状等の形状であり、例えば、シールリング2の凹部2cにおける縦断面形状は、図3(a),(b)と同様の形状とされ得る。また、凹部2cの深さは、シールリング2の下端の幅をA、凹部2cの深さをCとしたとき、C=0.25A〜0.75Aであるのがよい。この構成により、シールリング2に蓋体4を溶接接合する際に基体1にクラックが発生するのを有効に抑制することができる。B<0.25Aであると、シールリング2の上下方向の中央部が薄くなりすぎて、シールリング2と基体1とのろう付け時にシールリング2が変形し易くなり、シールリング2の上面の平坦性を保持するのが困難になる。その結果、シールリング2と蓋体4との接合部に隙間が生じて、パッケージ内部の気密性を保持するのが困難になる。また、B>0.75Aであると、シールリング2に蓋体4を溶接接合する際に発生する熱が基体1に伝わり易くなって、基体1にクラックが入り易くなる。
【0039】
本発明の半導体装置は、上記本発明のパッケージと、基体1の凹部1bの底面に載置された半導体素子5と、シールリング2の上面に取着された金属製の蓋体4とを具備している。
【0040】
このような半導体装置は、上記本発明のパッケージの基体1の凹部1bの底面に半導体素子5をガラス、樹脂、ろう材等の接着剤を介して接着固定するとともに半導体素子5の各電極をボンディングワイヤを介して基体1に形成した導体層(図示せず)に接続し、しかる後、基体1の上面にFe−Ni−Co合金やFe−Ni合金等の金属から成る蓋体を溶接等の方法により取着し、基体1と蓋体4とから成る容器内部に半導体素子5を気密に収容することによって作製される。
【0041】
かくして、本発明の半導体装置は、上記本発明のパッケージを用いた気密信頼性の高いものとなる。
【0042】
なお、本発明は以上の実施の形態の例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内であれば種々の変更は可能である。例えば、シールリング2の上下方向の中央部の断面形状は、図3(a)に示した四角形状、図3(b)に示した三角形状の他に円弧状やU字状等の種々の形状としても何ら差し支えない。
【0043】
【発明の効果】
本発明の半導体素子収納用パッケージは、上面に半導体素子を載置し収容するための凹部が形成されたセラミックス製の基体と、この基体の上面の凹部の周囲に下面が接合された、上下端に外側に延出する延出部がそれぞれ全周にわたって形成された金属製のシールリングとを具備しており、シールリングは、上端の延出部の幅が下端の延出部の幅よりも大きいことにより、シールリングの上端の延出部の外周部と金属製の蓋体とを溶接接合しても、シールリングの蓋体との接合部から基体との接合部までの距離が長くなるためにシールリングの下端と基体との接合部に熱が伝わりにくくなり、シールリングと基体との熱膨張差による熱応力がそれらの接合部に加わるのを抑制することができる。また、シールリングの上端の延出部が蓋体との接合時に熱膨張したとしても、細くなっているシールリングの上下方向の中央部が優先的に変形し熱膨張差による歪みを吸収することができ、基体の上面にクラックが発生するのを有効に抑制することができる。
【0044】
また、上下端にそれぞれ形成した延出部によりシールリングの強度が向上するため、シールリングを基体にろう付けする際にシールリングの上面の平坦性を保持することができ、シールリングと蓋体との接合部に隙間が生じるのを防止して、半導体素子収納用パッケージ内部の気密信頼性を向上させることができる。
【0045】
本発明の半導体素子収納用パッケージは、上面に半導体素子を載置し収容するための横断面形状が四角形状の凹部が形成された、円板状のセラミックス製の基体と、この基体の上面の凹部の周囲に下面が接合された、上端に外側に延出する延出部が全周にわたって形成された環状の金属製のシールリングとを具備しており、シールリングは、四角形状の4つの角に対応する部位の外周面の延出部と下端との間に凹部が形成されていることから、円板状の基体と環状のシールリングは角がないため応力が集中しにくく、シールリングの上端の延出部の外周部に金属製の蓋体を溶接接合しても、シールリングと基体との熱膨張差による熱応力が局所的に加わるのを有効に抑制できる。
【0046】
また、一般に四角形状である半導体素子に対して基体の凹部の横断面形状を四角形状とすることにより、円形とするよりも横断面積をより小さくすることができるため、厚みが薄く強度の弱い部位である凹部の比率を小さくして基体の強度をより向上し、基体が歪むのを有効に抑制することができる。さらに、基体とシールリングとの熱膨張差による熱応力がもっとも加わり易い四角形状の凹部の4つの角部に対応する部位の外周面の延出部と下端との間に凹部が形成されていることから、この凹部でこれらの熱応力を有効に吸収することができる。その結果、シールリングに蓋体を溶接する際に基体の上面にクラックが発生するのを有効に抑制できる。
【0047】
本発明の半導体装置は、上記構成の半導体素子収納用パッケージと、基体の凹部の底面に載置された半導体素子と、シールリングの上面に取着された蓋体とを具備していることにより、上記本発明の半導体素子収納用パッケージを用いた気密信頼性の高いものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の半導体素子収納用パッケージについて実施の形態の例を示す断面図である。
【図2】図1の半導体素子収納用パッケージの上面図である。
【図3】(a)は本発明の半導体素子収納用パッケージにおけるシールリングについて実施の形態の例を示す拡大断面図、(b)は本発明の半導体素子収納用パッケージにおけるシールリングについて実施の形態の他の例を示す拡大断面図である。
【図4】本発明の半導体素子収納用パッケージについて実施の形態の他の例を示す上面図である。
【図5】本発明の半導体素子収納用パッケージにおける基体について実施の形態の他の例を示す平面図である。
【図6】本発明の半導体素子収納用パッケージにおける基体を作製するためのセラミックグリーンシートについて実施の形態の例を示す平面図である。
【図7】(a),(b)はそれぞれ従来の半導体素子収納用パッケージにおけるシールリングの例を示す拡大断面図である。
【符号の説明】
1:基体
1b:凹部
2:シールリング
2a:上端の延出部
2b:下端の延出部
3:ろう材
4:蓋体
5:半導体素子
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体素子を収容する半導体素子収納用パッケージに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の半導体素子収納用パッケージ(以下、単にパッケージともいう)は、アルミナ(Al2O3)質セラミックス,窒化アルミニウム(AlN)質セラミックス,ムライト(3Al2O3・2SiO2)質セラミックス等の電気絶縁材料から成り、その上面の中央部に半導体素子を収容するための凹部を有する基体と、凹部の内側から外側にかけて導出された、半導体素子を外部電気回路に電気的に接続するためのタングステン(W),モリブデン(Mo),マンガン(Mn)等の高融点金属粉末から成る複数個のメタライズ配線層とを具備している。
【0003】
また、基体の凹部の底面に半導体素子をガラス、樹脂、ろう材等の接着剤を介して接着固定するとともに半導体素子の各電極をボンディングワイヤを介してメタライズ配線層に接続し、しかる後、基体の上面に鉄(Fe)−ニッケル(Ni)−コバルト(Co)合金やFe−Ni合金等の金属から成る蓋体を溶接し、基体と蓋体とから成る容器内部に半導体素子を気密に収容することによって、最終製品としての半導体装置となる。
【0004】
なお、従来のパッケージは、一般に、基体の上面にFe−Ni−Co合金やFe−Ni合金等から成るシールリングを予めろう付けしておくとともに、シールリングに蓋体をシームウェルド法等により溶接することによって蓋体が基体の上面に取着されている。これによって基体と蓋体とからなる容器がより気密に封止される。
【0005】
このような従来のパッケージのシールリング周辺の拡大断面図を図7(a),(b)に示す。以下、このパッケージについて説明する。
【0006】
図7(a),(b)のパッケージは、アルミナ(Al2O3)質セラミックス,窒化アルミニウム(AlN)質セラミックス,ムライト(3Al2O3・2SiO2)質セラミックス等から成る基体10の上面に、ろう材との濡れ性のよいNiめっき等のめっきが表面に施されたメタライズ層10aが形成され、このメタライズ層10aに基体10の上面の幅よりも幅が細いFe−Ni−Co合金等の金属から成るシールリング20が、ろう付け接合されることによって形成されている。
【0007】
また、図7(a),(b)に示すように、シールリング20の下端の側面中途部に切欠き部20aが設けられている。具体的には、図7(a)に示したパッケージでは、シールリング20下端の内外の側面中途部に断面コの字状をした切欠き部20aをそれぞれ設けている。図7(b)に示したパッケージでは、シールリング20下端の内外の側面中途部に断面レの字状をした切欠き部20aをそれぞれ設けている。
【0008】
こうして、基体10上面にシールリング20をろう付け接合した際に、シールリング20の内外の側面をその上方に這い上がろうとするろう材30が、切欠き部20aに邪魔されて、切欠き部20a下端よりその上方に這い上がれないようにしている。それと共に、切欠き部20a下端を乗り越えてその上方に這い上がろうとするろう材30を、切欠き部20a内側のコーナー部表面に働く表面張力作用を用いて、切欠き部20a内側のコーナー部表面に吸引、付着させて、ろう材30が切欠き部20a下端を乗り越えてシールリング20の内外の側面をその上方に這い上がれないようにしている。そして、シールリング20下端の内外の側面に、短いろう材のメニスカスであって、その上端が切欠き部20a下端で確実に途切れたろう材のメニスカスがそれぞれ形成されるようにしている(例えば、下記の特許文献1参照)。
【0009】
このような構成により、基体10上面にシールリング20をろう付け接合した際に、シールリング20側面に形成されるろう材30のメニスカスを短くして、そのろう材30のメニスカスから基体10上面に加わる力を小さく抑えることができる。そして、基体10の上面にクラックが生ずるのを防ぐことができる。
【0010】
【特許文献1】
特開平7−30007号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のシールリング20では、シールリング20の上側に金属製の蓋体(図示せず)を溶接接合すると、溶接接合時にシールリング20が熱膨張し、シールリング20と基体10との熱膨張差による熱応力がそれらの接合部に加わって、基体10の上面にクラックが生じてしまう場合があった。
【0012】
このような課題を解消するために、シールリング20の幅を狭くしてシールリング20の熱伝導量を少なくすることが可能である。しかし、この場合、基体10とシールリング20とをろう付けする際にシールリング20が変形しやすくなってシールリング20の表面の平坦性が悪くなり、シールリング20と蓋体との接合部に隙間が生じてパッケージ内部の気密性を保持しにくくなるという問題点を有していた。
【0013】
従って、本発明はこのような問題点に鑑みて完成されたものであり、その目的は、基体の上面にシールリングをろう付けしたパッケージにおいて、シールリングと蓋体との溶接の際に基体の上面にクラックが生ずるのを防ぐことができるとともに、気密信頼性に優れたパッケージを提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明の半導体素子収納用パッケージは、上面に半導体素子を載置し収容するための凹部が形成されたセラミックス製の基体と、該基体の上面の前記凹部の周囲に下面が接合された、上下端に外側に延出する延出部がそれぞれ全周にわたって形成された金属製のシールリングとを具備しており、前記シールリングは、上端の延出部の幅が下端の延出部の幅よりも大きいことを特徴とする。
【0015】
本発明の半導体素子収納用パッケージは、基体の上面の凹部の周囲に下面が接合された、上下端に外側に延出する延出部がそれぞれ全周にわたって形成された金属製のシールリングを具備しており、シールリングの上端の延出部の幅が下端の延出部の幅よりも大きいことにより、シールリングの上端の延出部の外周部と金属製の蓋体とを溶接接合しても、シールリングの蓋体との接合部から基体との接合部までの距離が長くなるためにシールリングの下端と基体との接合部に熱が伝わりにくくなり、シールリングと基体との熱膨張差による熱応力がそれらの接合部に加わるのを抑制することができる。また、シールリングの上端の延出部が蓋体との接合時に熱膨張したとしても、細くなっているシールリングの上下方向の中央部が優先的に変形し熱膨張差による歪みを吸収することができ、基体の上面にクラックが発生するのを有効に抑制することができる。
【0016】
また、上下端にそれぞれ形成した延出部によりシールリングの強度が向上するため、シールリングを基体にろう付けする際にシールリングの上面の平坦性を保持することができ、シールリングと蓋体との接合部に隙間が生じるのを防止して、半導体素子収納用パッケージ内部の気密信頼性を向上させることができる。
【0017】
本発明の半導体素子収納用パッケージは、上面に半導体素子を載置し収容するための横断面形状が四角形状の凹部が形成された、円板状のセラミックス製の基体と、該基体の上面の前記凹部の周囲に下面が接合された、上端に外側に延出する延出部が全周にわたって形成された環状の金属製のシールリングとを具備しており、前記シールリングは、前記四角形状の4つの角に対応する部位の外周面の前記延出部と下端との間に凹部が形成されていることを特徴とする。
【0018】
本発明の半導体素子収納用パッケージは、上面に半導体素子を載置し収容するための横断面形状が四角形状の凹部が形成された、円板状のセラミックス製の基体と、この基体の上面の凹部の周囲に下面が接合された、上端に外側に延出する延出部が全周にわたって形成された環状の金属製のシールリングとを具備しており、シールリングは、四角形状の4つの角に対応する部位の外周面の延出部と下端との間に凹部が形成されていることから、円板状の基体と環状のシールリングは角がないため応力が集中しにくく、シールリングの上端の延出部の外周部に金属製の蓋体を溶接接合しても、シールリングと基体との熱膨張差による熱応力が局所的に加わるのを有効に抑制できる。
【0019】
また、一般に四角形状である半導体素子に対して基体の凹部の横断面形状を四角形状とすることにより、円形とするよりも横断面積をより小さくすることができるため、厚みが薄く強度の弱い部位である凹部の比率を小さくして基体の強度をより向上し、基体が歪むのを有効に抑制することができる。さらに、基体とシールリングとの熱膨張差による熱応力がもっとも加わり易い四角形状の凹部の4つの角部に対応する部位の外周面の延出部と下端との間に凹部が形成されていることから、この凹部でこれらの熱応力を有効に吸収することができる。その結果、シールリングに蓋体を溶接する際に基体の上面にクラックが発生するのを有効に抑制できる。
【0020】
本発明の半導体装置は、上記構成の半導体素子収納用パッケージと、前記基体の前記凹部の底面に載置された半導体素子と、前記シールリングの上面に取着された蓋体とを具備していることを特徴とする。
【0021】
本発明の半導体装置は、上記の構成により、上記本発明の半導体素子収納用パッケージを用いた気密信頼性の高いものとなる。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明の半導体素子収納用パッケージについて以下に詳細を説明する。図1は本発明のパッケージについて実施の形態の例を示す断面図であり、図2は本発明のパッケージの上面図である。
【0023】
図1,図2において、1は上面にメタライズ層1aと凹部1bを有する基体、2は金属製のシールリング、3はろう材、4は蓋体である。基体1とシールリング2と蓋体4とで内部に半導体素子5を収容するための容器が構成される。
【0024】
本発明のパッケージは、上面に半導体素子5を載置するための凹部1bが形成された基体1と、基体1の上面の凹部1bの周囲に下面がろう付け接合された金属製のシールリング2とから成り、シールリング2は、上下端に外側に延出する延出部2a,2bがそれぞれ全周にわたって形成されている。
【0025】
本発明の基体1は、円板状や、長方形状等の平板状であり、Al2O3質セラミックス,AlN質セラミックス,3Al2O3・2SiO2質セラミックス等のセラミックスから成る。
【0026】
基体1は、例えばAl2O3質セラミックスから成る場合、次のようにして作製される。先ず酸化アルミニウム、酸化珪素(SiO2)、酸化マグネシウム(MgO)および酸化カルシウム(CaO)等の原料粉末に適当な有機バインダー、可塑剤、溶剤等を添加混合して泥漿状と成す。これを従来周知のドクターブレード法やカレンダーロール法等のテープ成形技術により複数のセラミックグリーンシートを得る。次にセラミックグリーンシートに金型等によって打ち抜き加工を施して凹部1bとなる穴を形成する。そして、基体1の上面のシールリング2を接合するためのメタライズ層1aや、基体1の内外を導通させて半導体素子5に駆動信号を入力したり半導体素子5で発生した電気信号を取り出したりするための導体層(図示せず)となるW,Mo等の高融点金属粉末に適当な有機バインダー、可塑剤、溶剤等を添加混合して得た金属ペーストを塗布し、しかる後、これらのセラミックグリーンシートを積層,焼成することによって基体1が形成される。
【0027】
なお、メタライズ層1aと導体層は、その露出する表面に良導電性で耐蝕性に優れたNiや金(Au)等の金属をめっき法により所定厚み(1〜20μm程度)に被着させておくのがよく、メタライズ層1aと導体層の酸化腐蝕を有効に防止できるとともにメタライズ層1aとシールリング2とのろう材3による接合および導体層とボンディングワイヤ等の電気的な接続手段との接続信頼性の高いものと成すことができる。
【0028】
また、基体1は円板状である場合、図5に基体1の上面図で示すように、基体1の外周に対向する一対の直線部1dを設けるのがよい。このような直線部1dを有することによって、基体1は、図6に平面図で示すように、基体1を作製するためのセラミックグリーンシート1cの斜線部を打ち抜き加工して円弧状の側面を形成し、これらのシートを多層積層し焼成した後に点線部をスライス加工して個片に切断することにより量産性よく形成される。即ち、基体1が円形である場合、焼成体を切削加工して円形にすることが困難であるため、セラミックグリーンシート1cを焼成前の段階で打ち抜き加工して円形の基体1の個片に切断した後に焼成しなければならず、その場合円形の各個片を焼成炉内に設置する手間がかかるため作業効率が低下する。一方、基体1が上記のように直線部1dを有する場合、多数の基体1をグリーンシート1cに保持した状態で焼成することができるため、作業効率が著しく向上する。
【0029】
基体1の上面にはシールリング2が、基体1の上面に設けられたメタライズ層1aを介して、銀(Ag)ろう,Ag−銅(Cu)ろう,Au−錫(Sn)ろう等のろう材3によってろう付け接合されている。
【0030】
シールリング2は、Fe−Ni−Co合金等の金属から成り、図3(a),(b)に示すように、上下端に外側に延出する延出部2a,2bがそれぞれ全周にわたって形成されているとともに上端の延出部2aの幅が下端の延出部2bの幅よりも大きくされている。この構成により、シールリング2の上端の延出部2aの外周部と金属製の蓋体4とを溶接接合しても、シールリング2の蓋体4との接合部から基体1との接合部までの距離が長くなるためにシールリング2の下端と基体1との接合部に熱が伝わりにくくなり、シールリング2と基体1との熱膨張差による熱応力がそれらの接合部に加わるのを抑制することができる。また、シールリング2の上端の延出部2aが蓋体4との接合時に熱膨張したとしても、細くなっているシールリング2の上下方向の中央部が優先的に変形し熱膨張差による歪みを吸収することができ、基体1の上面にクラックが発生するのを有効に抑制することができる。
【0031】
また、上下端にそれぞれ形成した延出部2a,2bによりシールリング2の強度が向上するため、シールリング2を基体1にろう付けする際にシールリング2の上面2aの平坦性を保持することができ、シールリング2と蓋体4との接合部に隙間が生じるのを防止して、パッケージ内部の気密信頼性を向上させることができる。
【0032】
さらに、図3(b)に示すように、シールリング2の上下方向の中央部は上側から下側にかけて幅が漸次小さくなっているのがよい。これにより、シールリング2の上端の延出部2aの外周部と金属製の蓋体4とを溶接接合しても、シールリング2の下端と基体1との接合部に熱がより伝わりにくくなり、シールリング2と基体1との熱膨張差による熱応力がそれらの接合部に加わるのを抑制することができ、その結果、シールリング2に蓋体4を溶接する際に基体1の上面にクラックが発生するのを有効に抑制できる。
【0033】
好ましくは、シールリング2は、図3(a),(b)において、下端の幅をA、上下方向の中央部の幅が最も小さい部位における幅をBとしたとき、B=0.25A〜0.75Aであるのがよい。この構成により、シールリング2に蓋体4を溶接接合する際に基体1にクラックが発生するのを有効に抑制することができる。B<0.25Aであると、シールリング2の上下方向の中央部が薄くなりすぎて、シールリング2と基体1とのろう付け時にシールリング2が変形し易くなり、シールリング2の上面の平坦性を保持するのが困難になる。その結果、シールリング2と蓋体4との接合部に隙間が生じて、パッケージ内部の気密性を保持するのが困難になる。また、B>0.75Aであると、シールリング2に蓋体4を溶接接合する際に発生する熱が基体1に伝わり易くなって、基体1にクラックが入り易くなる。
【0034】
また、延出部2aと延出部2bとの間隔は1〜7mmであるのがよい。1mm未満であると、シールリング2の上下端の距離が短くなり、シールリング2に蓋体4を溶接接合する際に発生する熱が基体1に伝わり易くなって、基体1にクラックが入り易くなる。また、7mmを超えると、シールリング2の上下方向の中央部が長くなってシールリング2の強度が弱くなり、シールリング2を基体1に接合する際に延出部2aの平坦性を保持するのが困難になる。
【0035】
また、本発明のパッケージは、図4の上面図に示すように、上面に半導体素子5を載置し収容するための横断面形状が四角形状の凹部1bが形成された、円板状のセラミックス製の基体1と、この基体1の上面の凹部1bの周囲に下面が接合された、上端に外側に延出する延出部2aが全周にわたって形成された環状の金属製のシールリング2とを具備しており、シールリング2は、四角形状の4つの角に対応する部位の外周面の延出部2aと下端との間に凹部2cが形成されている。
【0036】
これにより、円板状の基体1と環状のシールリング2は角がないため応力が集中しにくく、シールリング2の上端の延出部2aの外周部に金属製の蓋体4を溶接接合しても、シールリング2と基体1との熱膨張差による熱応力が局所的に加わるのを有効に抑制できる。
【0037】
また、一般に四角形状である半導体素子5に対して基体1の凹部1bの横断面形状を四角形状とすることにより、円形とするよりも凹部1bの横断面積をより小さくすることができるため、厚みが薄く強度の弱い部位である凹部の比率を小さくして基体の強度をより向上し、基体1の強度をより向上して基体1が歪むのを有効に抑制することができる。さらに、基体1とシールリング2との熱膨張差による熱応力がもっとも加わり易い四角形状の凹部1bの4つの角部に対応する部位の外周面の延出部2aと下端との間に凹部2cが形成されていることから、この凹部2cでこれらの熱応力を有効に吸収することができる。その結果、シールリング2に蓋体4を溶接する際に基体2の上面にクラックが発生するのを有効に抑制できる。
【0038】
このような凹部2cの断面は、四角形状や三角形状、円弧状、U字状等の形状であり、例えば、シールリング2の凹部2cにおける縦断面形状は、図3(a),(b)と同様の形状とされ得る。また、凹部2cの深さは、シールリング2の下端の幅をA、凹部2cの深さをCとしたとき、C=0.25A〜0.75Aであるのがよい。この構成により、シールリング2に蓋体4を溶接接合する際に基体1にクラックが発生するのを有効に抑制することができる。B<0.25Aであると、シールリング2の上下方向の中央部が薄くなりすぎて、シールリング2と基体1とのろう付け時にシールリング2が変形し易くなり、シールリング2の上面の平坦性を保持するのが困難になる。その結果、シールリング2と蓋体4との接合部に隙間が生じて、パッケージ内部の気密性を保持するのが困難になる。また、B>0.75Aであると、シールリング2に蓋体4を溶接接合する際に発生する熱が基体1に伝わり易くなって、基体1にクラックが入り易くなる。
【0039】
本発明の半導体装置は、上記本発明のパッケージと、基体1の凹部1bの底面に載置された半導体素子5と、シールリング2の上面に取着された金属製の蓋体4とを具備している。
【0040】
このような半導体装置は、上記本発明のパッケージの基体1の凹部1bの底面に半導体素子5をガラス、樹脂、ろう材等の接着剤を介して接着固定するとともに半導体素子5の各電極をボンディングワイヤを介して基体1に形成した導体層(図示せず)に接続し、しかる後、基体1の上面にFe−Ni−Co合金やFe−Ni合金等の金属から成る蓋体を溶接等の方法により取着し、基体1と蓋体4とから成る容器内部に半導体素子5を気密に収容することによって作製される。
【0041】
かくして、本発明の半導体装置は、上記本発明のパッケージを用いた気密信頼性の高いものとなる。
【0042】
なお、本発明は以上の実施の形態の例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内であれば種々の変更は可能である。例えば、シールリング2の上下方向の中央部の断面形状は、図3(a)に示した四角形状、図3(b)に示した三角形状の他に円弧状やU字状等の種々の形状としても何ら差し支えない。
【0043】
【発明の効果】
本発明の半導体素子収納用パッケージは、上面に半導体素子を載置し収容するための凹部が形成されたセラミックス製の基体と、この基体の上面の凹部の周囲に下面が接合された、上下端に外側に延出する延出部がそれぞれ全周にわたって形成された金属製のシールリングとを具備しており、シールリングは、上端の延出部の幅が下端の延出部の幅よりも大きいことにより、シールリングの上端の延出部の外周部と金属製の蓋体とを溶接接合しても、シールリングの蓋体との接合部から基体との接合部までの距離が長くなるためにシールリングの下端と基体との接合部に熱が伝わりにくくなり、シールリングと基体との熱膨張差による熱応力がそれらの接合部に加わるのを抑制することができる。また、シールリングの上端の延出部が蓋体との接合時に熱膨張したとしても、細くなっているシールリングの上下方向の中央部が優先的に変形し熱膨張差による歪みを吸収することができ、基体の上面にクラックが発生するのを有効に抑制することができる。
【0044】
また、上下端にそれぞれ形成した延出部によりシールリングの強度が向上するため、シールリングを基体にろう付けする際にシールリングの上面の平坦性を保持することができ、シールリングと蓋体との接合部に隙間が生じるのを防止して、半導体素子収納用パッケージ内部の気密信頼性を向上させることができる。
【0045】
本発明の半導体素子収納用パッケージは、上面に半導体素子を載置し収容するための横断面形状が四角形状の凹部が形成された、円板状のセラミックス製の基体と、この基体の上面の凹部の周囲に下面が接合された、上端に外側に延出する延出部が全周にわたって形成された環状の金属製のシールリングとを具備しており、シールリングは、四角形状の4つの角に対応する部位の外周面の延出部と下端との間に凹部が形成されていることから、円板状の基体と環状のシールリングは角がないため応力が集中しにくく、シールリングの上端の延出部の外周部に金属製の蓋体を溶接接合しても、シールリングと基体との熱膨張差による熱応力が局所的に加わるのを有効に抑制できる。
【0046】
また、一般に四角形状である半導体素子に対して基体の凹部の横断面形状を四角形状とすることにより、円形とするよりも横断面積をより小さくすることができるため、厚みが薄く強度の弱い部位である凹部の比率を小さくして基体の強度をより向上し、基体が歪むのを有効に抑制することができる。さらに、基体とシールリングとの熱膨張差による熱応力がもっとも加わり易い四角形状の凹部の4つの角部に対応する部位の外周面の延出部と下端との間に凹部が形成されていることから、この凹部でこれらの熱応力を有効に吸収することができる。その結果、シールリングに蓋体を溶接する際に基体の上面にクラックが発生するのを有効に抑制できる。
【0047】
本発明の半導体装置は、上記構成の半導体素子収納用パッケージと、基体の凹部の底面に載置された半導体素子と、シールリングの上面に取着された蓋体とを具備していることにより、上記本発明の半導体素子収納用パッケージを用いた気密信頼性の高いものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の半導体素子収納用パッケージについて実施の形態の例を示す断面図である。
【図2】図1の半導体素子収納用パッケージの上面図である。
【図3】(a)は本発明の半導体素子収納用パッケージにおけるシールリングについて実施の形態の例を示す拡大断面図、(b)は本発明の半導体素子収納用パッケージにおけるシールリングについて実施の形態の他の例を示す拡大断面図である。
【図4】本発明の半導体素子収納用パッケージについて実施の形態の他の例を示す上面図である。
【図5】本発明の半導体素子収納用パッケージにおける基体について実施の形態の他の例を示す平面図である。
【図6】本発明の半導体素子収納用パッケージにおける基体を作製するためのセラミックグリーンシートについて実施の形態の例を示す平面図である。
【図7】(a),(b)はそれぞれ従来の半導体素子収納用パッケージにおけるシールリングの例を示す拡大断面図である。
【符号の説明】
1:基体
1b:凹部
2:シールリング
2a:上端の延出部
2b:下端の延出部
3:ろう材
4:蓋体
5:半導体素子
Claims (3)
- 上面に半導体素子を載置し収容するための凹部が形成されたセラミックス製の基体と、該基体の上面の前記凹部の周囲に下面が接合された、上下端に外側に延出する延出部がそれぞれ全周にわたって形成された金属製のシールリングとを具備しており、前記シールリングは、上端の延出部の幅が下端の延出部の幅よりも大きいことを特徴とする半導体素子収納用パッケージ。
- 上面に半導体素子を載置し収容するための横断面形状が四角形状の凹部が形成された、円板状のセラミックス製の基体と、該基体の上面の前記凹部の周囲に下面が接合された、上端に外側に延出する延出部が全周にわたって形成された環状の金属製のシールリングとを具備しており、前記シールリングは、前記四角形状の4つの角に対応する部位の外周面の前記延出部と下端との間に凹部が形成されていることを特徴とする半導体素子収納用パッケージ。
- 請求項1または請求項2記載の半導体素子収納用パッケージと、前記基体の前記凹部の底面に載置された半導体素子と、前記シールリングの上面に取着された蓋体とを具備していることを特徴とする半導体装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003041483A JP2004253556A (ja) | 2003-02-19 | 2003-02-19 | 半導体素子収納用パッケージおよび半導体装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003041483A JP2004253556A (ja) | 2003-02-19 | 2003-02-19 | 半導体素子収納用パッケージおよび半導体装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004253556A true JP2004253556A (ja) | 2004-09-09 |
Family
ID=33025055
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003041483A Withdrawn JP2004253556A (ja) | 2003-02-19 | 2003-02-19 | 半導体素子収納用パッケージおよび半導体装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004253556A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007266171A (ja) * | 2006-03-28 | 2007-10-11 | Kyocera Corp | セラミック容器 |
WO2012043313A1 (ja) * | 2010-09-28 | 2012-04-05 | 京セラ株式会社 | 素子収納用パッケージ、およびこれを用いた電子装置 |
JP2014204077A (ja) * | 2013-04-09 | 2014-10-27 | 日本特殊陶業株式会社 | 接合構造体及び半導体素子収納用パッケージ |
JP2019169675A (ja) * | 2018-03-26 | 2019-10-03 | 京セラ株式会社 | セラミック回路基板、パッケージおよび電子装置 |
WO2022239153A1 (ja) * | 2021-05-12 | 2022-11-17 | 三菱電機株式会社 | 気密パッケージ素子および素子モジュール |
-
2003
- 2003-02-19 JP JP2003041483A patent/JP2004253556A/ja not_active Withdrawn
Cited By (9)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007266171A (ja) * | 2006-03-28 | 2007-10-11 | Kyocera Corp | セラミック容器 |
WO2012043313A1 (ja) * | 2010-09-28 | 2012-04-05 | 京セラ株式会社 | 素子収納用パッケージ、およびこれを用いた電子装置 |
CN102884618A (zh) * | 2010-09-28 | 2013-01-16 | 京瓷株式会社 | 元件收纳用容器及使用其的电子装置 |
JP5570609B2 (ja) * | 2010-09-28 | 2014-08-13 | 京セラ株式会社 | 素子収納用パッケージ、およびこれを用いた電子装置 |
US9237662B2 (en) | 2010-09-28 | 2016-01-12 | Kyocera Corporation | Device housing package and electronic apparatus employing the same |
JP2014204077A (ja) * | 2013-04-09 | 2014-10-27 | 日本特殊陶業株式会社 | 接合構造体及び半導体素子収納用パッケージ |
JP2019169675A (ja) * | 2018-03-26 | 2019-10-03 | 京セラ株式会社 | セラミック回路基板、パッケージおよび電子装置 |
JP7033974B2 (ja) | 2018-03-26 | 2022-03-11 | 京セラ株式会社 | セラミック回路基板、パッケージおよび電子装置 |
WO2022239153A1 (ja) * | 2021-05-12 | 2022-11-17 | 三菱電機株式会社 | 気密パッケージ素子および素子モジュール |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP2004253556A (ja) | 半導体素子収納用パッケージおよび半導体装置 | |
JP3556567B2 (ja) | 電子部品収納用パッケージ | |
JP6034054B2 (ja) | 電子部品収納用パッケージおよび電子装置 | |
JP3695706B2 (ja) | 半導体パッケージ | |
JP3694670B2 (ja) | 半導体素子収納用パッケージおよび半導体装置 | |
JP2003133449A (ja) | ろう材付きシールリングおよびこれを用いた電子部品収納用パッケージの製造方法 | |
JP3164802B1 (ja) | 電子部品収納用パッケージ | |
JP2009054967A (ja) | 電子部品収納用パッケージおよび電子装置 | |
JP3318453B2 (ja) | 電子部品収納用パッケージ | |
JP2002043701A (ja) | 多数個取りセラミック配線基板およびセラミック配線基板 | |
JP4295641B2 (ja) | 電子部品収納用パッケージの製造方法 | |
WO2020004566A1 (ja) | 基体および半導体装置 | |
JP2005159251A (ja) | 電子部品収納用パッケージおよび電子装置 | |
JP2003110037A (ja) | 電子部品収納用パッケージ | |
JP5865783B2 (ja) | 電子部品収納用容器および電子装置 | |
JP2002184885A (ja) | 電子部品収納用パッケージおよびその製造方法 | |
JP2002246494A (ja) | 半導体素子収納用パッケージ | |
JP2717727B2 (ja) | 半導体素子収納用パッケージ | |
JP3185724U (ja) | パッケージ基体および半導体素子載置体 | |
JP2005101374A (ja) | 半導体素子収納用パッケージおよび半導体装置 | |
JP4331957B2 (ja) | 圧電振動子収納用パッケージ | |
JP2543153Y2 (ja) | 半導体素子収納用パッケージ | |
JP2008198809A (ja) | 電子部品収納用パッケージの製造方法 | |
JP2003309205A (ja) | セラミックパッケージ | |
JP2002111428A (ja) | 圧電振動子収納用容器 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20050712 |
|
A761 | Written withdrawal of application |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761 Effective date: 20061120 |