JP2004250448A - アリールアミン系化合物、該化合物を用いた正孔輸送材料および電子写真感光体 - Google Patents

アリールアミン系化合物、該化合物を用いた正孔輸送材料および電子写真感光体 Download PDF

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Abstract

【課題】優れた正孔輸送能力を有し、耐久性のある正孔輸送材料として有用な有機光導電材料、該導電材料を用いた正孔輸送材料および、高感度で帯電性、暗減衰、残留電位等の各種電気特性が、良好にバランスのとれた電子写真用感光体を提供する。
【解決手段】一般式(1)で示されるアリールアミン系化合物、該化合物を用いた正孔輸送材料および該正孔輸送材料を感光層中に少なくとも1種含有する電子写真感光体。一般式(1)において、AおよびCは、それぞれジアリールアミノアリール基であり、該基中のジアリールアミノ基の各アリール基に、それぞれ異なっていてもよい置換基を少なくとも1つ有するジアリールアミノアリール基であり、Bは特定の化学式で表される2価の有機残基を1個以上含む。A−X−B−C(1)
【選択図】なし

Description

本発明は新規なアリールアミン系化合物、該化合物からなる正孔輸送材料および該化合物を用いた電子写真感光体に関するものである。さらに具体的には、電子写真感光体や表示、平面光源等に使用される有機エレクトロルミネッセンス素子等に用いられる正孔輸送材料として利用可能な、新規なアリールアミン系化合物および、該正孔輸送材料を含有する感光層を有する非常に高感度でかつ高性能の電子写真用感光体に関するものである。
感光材料や正孔輸送材料として利用される有機光導電材料は、低コスト、加工の容易性、無公害性などの多くの利点があるため多くの化合物が提案されており、例えば、ヒドラゾン誘導体、トリアリールピラゾリン誘導体、アリールアミン誘導体、スチルベン誘導体などが、提案されている。また、近年では、繰り返し構造を持つ有機光導電性材料が提案され、トリフェニルアミン類の重合体が、優れた正孔輸送能力を示すことが開示されている(例えば、特許文献1 参照)。
正孔輸送能力を示す有機光導電材料を利用した技術の一例として、電子写真感光体が知られている。
従来の技術では、電子写真感光体の感光層にはセレン、硫化カドミウム、酸化亜鉛等の無機系の光導電性物質が広く用いられていたが、近年では、有機系の光導電性物質を電子写真用感光体の感光層に用いる研究が進み、有機系の感光層を有する電子写真感光体が主流となっている。有機系の感光層は無機系のものに比し、軽量である、成膜が容易である、感光体の製造が容易である、種類によっては透明な感光体を製造できる材料が無公害である等の利点を有する。
最近は、電荷キャリヤーの発生と移動の機能を別々の化合物に分担させる、いわゆる機能分離型の感光体が高感度化に有効であることから、開発の主流となっており、このタイプによる有機系電子写真感光体の実用化も行なわれている。電荷キャリヤーの輸送媒体としては、ポリビニルカルバゾールなどの高分子光導電性化合物を用いる場合と低分子光導電性化合物をバインダーポリマー中に分散溶解する場合とがある。
特に、有機系の低分子光導電性化合物は、バインダーとして皮膜性、可とう性、接着性などのすぐれたポリマーを選択することができるので容易に機械的特性の優れた感光体を得ることができる(例えば、特許文献2 参照。)。
また、残留電位、光応答性、繰り返し使用した場合の帯電性、残留電位等種々の特性がバランス良く好適な感光体を得るために、特定の2種類のヒドラゾン化合物を併用し、感光体の他の特性をあまり損わずに残留電位上昇を防止する技術が報告されている(例えば、特許文献3 参照。)。
特開平8−100038号公報 特開平7−036203号公報 特開昭61−134767号公報
しかしながら、電子写真感光体の絶え間ない高感度化の要請の中で、その電気特性的には残留電位が不十分、光応答性が悪い、繰り返し使用した場合帯電性が低下し残留電位が蓄積する等の種々の問題を抱えており、それらの課題を解決するために多くの提案がなさ
れている。しかしながら、各種特性のバランスの点では必ずしも十分ではなく、感光体全体としての特性をバランスよく向上させる技術が求められている。
また、電子写真感光体の露光光源として半導体レーザーが積極的に応用されている。技術的進歩に従い、該光源の波長が少しずつ短波長化の様相を呈し、400nm前後の波長を持つ光源の応用もされ始めてきており、このような光源に適した感光層も求められている。
本発明は上述の問題点を解決するためになされたものでありその目的は、優れた正孔輸送能力を有し、耐久性のある正孔輸送材料として有用な有機光導電材料、該光導電材料を用いた正孔輸送材料および、高感度で帯電性、暗減衰、残留電位等の各種電気特性が、良好にバランスのとれた電子写真用感光体を提供する事にある。
本発明者らは、これらの目的を満足しえる有機系の光導電性化合物について鋭意研究したところ、特定のアリールアミン系化合物が好適であることを見い出し、本発明に至った。すなわち、本発明の要旨は、導電性基体上に感光層を有する電子写真感光体において、該感光層中に、下記一般式(1)で示されるアリールアミン系化合物、該化合物を用いた正孔輸送材料および該正孔輸送材料を少なくとも1種含有することを特徴とする電子写真感光体に存する。
Figure 2004250448
一般式(1)において、AおよびCは、それぞれジアリールアミノアリール基であり、該基中のジアリールアミノ基の各アリール基は、それぞれ異なっていてもよい置換基を少なくとも1つ有し、Bは下記一般式(2)で表される2価の有機残基および一般式(3)で表される2価の有機残基からなる群から選ばれる基を少なくとも1個以上含む構造であり、X1は、下記一般式(4)で示される2価の残基を表す。
Figure 2004250448
一般式(2)中、Ar1およびAr3は置換基を有していてもよいアリーレン基、Ar2
は置換基を有していてもよいアリール基を表し、X2は下記一般式(5)で示される2価
の残基を表し、一般式(3)中、Ar4,Ar6およびAr7は、置換基を有していてもよ
いアリーレン基を表し、Ar5およびAr8は、置換基を有していてもよいアリール基を表し、X3は下記一般式(6)で示される2価の残基を表す。
Figure 2004250448
一般式(4)、(5)、(6)中、R1,R2,R3,R4,R5およびR6は、それぞれ、水素原子またはハロゲン原子を含まない置換基を有していてもよいアルキル基を表す。また、R1とR2とで脂肪族環状構造を、R3とR4とで脂肪族環状構造を、R5とR6とで脂肪族環状構造を形成してもよい。l,m,nはそれぞれ1以上の整数を表す。
本発明のアリールアミン系化合物は、電荷輸送材料として用いたときに正孔輸送能力に優れ、例えば有機エレクトロルミネッセンス素子や電子写真感光体に好適に使用することができる。
また、各種のバインダー樹脂に対して相溶性に優れるため、バインダー樹脂により結着される感光層や光導電性素子の成膜性に優れ、本願発明のアリールアミン系化合物を正孔輸送材料として用いた場合、帯電性が良く、高感度で、暗減衰が小さい上、残留電位が小さく繰り返し使用時に安定であって、電気特性バランスの優れた電子写真感光体を得ることができる。
以下、本発明の実施の形態につき詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は本発明の実施形態の代表例であって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変形して実施することができる。
<アリールアミン系化合物>
一般式(1)中、AおよびCは、ジアリールアミノ基のそれぞれのアリール基に、それぞれ異なっていても構わない置換基を少なくとも1つ有するジアリールアミノアリール基を表す。各アリール基の例としては、フェニル基、ナフチル基、インデニル基、アントリル基、フルオレニル基があげられ、これらの中でもフェニル基が好ましい。置換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基;アミノ基、メチルアミノ基、エチ
ルアミノ基、ジメチルアミノ基トリメチルアミノ基等の置換アミノ基;メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基;フェニル基、ナフチル基、インデニル基、アントリル基、フルオレニル基等のアリール基があげられ、特にアルキル基が好ましい。また、前記の置換基はジアリールアミノアリール基の窒素原子に対して、4位に結合するものが好ましい。
このようなジアリールアミノアリール基の例としては、p−{N,N−ジ(4−トリル)アミノ}フェニル基、p−{N−(4−トリル)−N−(4−o−キシリル)}アミノフェニル基、p−{N,N−ジ(4−o−キシリル)}アミノフェニル基、p−{N−(4−トリル)−N−(4−ビフェニル)}アミノフェニル基、p−{N−(4−トリル)−N−(1−ナフチル)}アミノフェニル基、p−{N−(4−トリル)−N−(2−ナフチル)}アミノフェニル基、p−{N,N’−ジ(4−トリル)アミノ}−m−メチルフェニル基、p−{N,N−ジ(4−メトキシフェニル)アミノ}フェニル基、p−{N−(4−トリル)−N−(4−メトキシフェニル)}アミノフェニル基などがあげられ、なかでも、p−{N,N−ジ(4−トリル)アミノ}フェニル基、p−{N−(4−トリル)−N−(4−o−キシリル)}アミノフェニル基、p−{N,N−ジ(4−o−キシリル)}アミノフェニル基、p−{N−(4−トリル)−N−(4−ビフェニル)}アミノフェニル基などの、それぞれのアリール基に、それぞれ異なっていても構わないアルキル基を少なくとも1つ有するジアリールアミノアリール基が好ましい。
一般式(1)中のBは、下記一般式(2)または一般式(3)で表される2価の有機残基ユニットのいずれかを少なくとも1個以上含む構造である。
Figure 2004250448
一般式(2)中、Ar1およびAr3は置換基を有していてもよいアリーレン基を表し、Ar2は置換基を有していてもよいアリール基を表し、X2は、下記一般式(5)で示される2価の残基を表す。
Figure 2004250448
一般式(3)中、Ar4,Ar6およびAr7は、置換基を有していてもよいアリーレン
基を表し、Ar5およびAr8は、置換基を有していてもよいアリール基を表し、X3は、
下記一般式(6)で示される2価の残基を表す。
Figure 2004250448
一般式(2),(3)の、Ar1,Ar3,Ar4,Ar6,Ar7で表される、置換基を
有していてもよいアリーレン基の例としては、フェニレン基、ナフチレン基、アントリレン基、フェンナントリレン基、フルオレニレン基、2価のピリジン残基、2価のチオフェン残基、2価のフラン残基、2価のピロール残基などが挙げられる。
さらに、これらは置換基を有していてもよく、置換基としては、水酸基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子、などのハロゲン原子;メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、イソプロピル基等のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基等のアルコキシ基;アリル基、ベンジル基、ナフチルメチル基、フェネチル基等のアラルキル基;フェノキシ基、トリロキシ基等のアリールオキシ基;ベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基等のアリールアルコキシ基;フェニル基、ナフチル基、インデニル基、アントリル基、フルオレニル基等のアリール基;スチリル基、ナフチルビニル基等のアリールビニル基;アセチル基、ベンゾイル基等のアシル基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等のジアルキルアミノ基;ジフェニルアミノ基、ジナフチルアミノ基等のジアリールアミノ基;ジベンジルアミノ基、ジフェネチルアミノ基等のジアラルキルアミノ基、ジピリジルアミノ基、ジチエニルアミノ基等のジ複素環アミノ基;ジアリルアミノ基、又、上記のアミノ基の置換基を組み合わせたジ置換アミノ基等の置換アミノ基等があげられる。一般式(2),(3)の、Ar1,Ar3,Ar4,Ar6,Ar7で表される
、置換基を有していてもよいアリーレン基が置換基を有する場合には、特に電気特性の面から、置換基としてはアルキル基、またはアリール基が好ましい。
一般式(2),(3)中、Ar2,Ar5,Ar8で表される置換基を有していてもよい
アリール基の例としては、フェニル基、ナフチル基、フルオレニル基、アントリル基、フェナントリル基、チエニル基、フリル基、ピロリル基、ピリジル基などが挙げられる。
さらに、これらは置換基を有していてもよく、置換基としては、水酸基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子、などのハロゲン原子;メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、イソプロピル基等のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基等のアルコキシ基;アリル基、ベンジル基、ナフチルメチル基、フェネチル基等のアラルキル基;フェノキシ基、トリロキシ基等のアリールオキシ基;ベンジルオ
キシ基、フェネチルオキシ基等のアリールアルコキシ基;アリル基、ベンジル基、ナフチルメチル基、フェネチル基等のアラルキル基;フェノキシ基、トリロキシ基等のアリールオキシ基;ベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基等のアリールアルコキシ基;フェニル基、ナフチル基等のアリール基;スチリル基、ナフチルビニル基等のアリールビニル基;アセチル基、ベンゾイル基等のアシル基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等のジアルキルアミノ基;ジフェニルアミノ基、ジナフチルアミノ基等のジアリールアミノ基;ベンジルアミノ基、ジフェネチルアミノ基等のジアラルキルアミノ基、ジピリジルアミノ基、ジチエニルアミノ基等のジ複素環アミノ基;ジアリルアミノ基、又、上記のアミノ基の置換基を組み合わせたジ置換アミノ基等の置換アミノ基等があげられる。これらの中でも、特に電気特性の面から、アルキル基、アリール基が好ましい。また、前記の置換基はAr2,Ar5,Ar8で表される置換基を有していてもよいアリール基の結合する窒素原子
に対して、パラ位に結合するものが好ましい。
一般式(1)中のX1、一般式(2)中のX2および一般式(3)中のX3は、それぞれ
一般式(4),(5)および(6)で表される残基を表し、一般式(4),(5)および(6)中のR1,R2,R3,R4,R5およびR6はそれぞれ、水素原子またはハロゲン原子を含まない置換基を有していてもよいアルキル基を表す。また、R1とR2とで脂肪族環状構造を、R3とR4とで脂肪族環状構造を、R5とR6とで脂肪族環状構造を形成してもよい。l,m,nはそれぞれ1以上の整数を表す。
ハロゲン原子を含まない置換基を有していてもよいアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、イソプロピル基等が挙げられ、R1
2、R3とR4、R5とR6が形成してもよい脂肪族環状構造の例としては、シクロブタン
環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロオクタン環などが挙げられる。
さらにこれらはハロゲン原子以外の置換基を有していてもよく、置換基としては、水酸基;メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、イソプロピル基等のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基等のアルコキシ基;アリル基、ベンジル基、ナフチルメチル基、フェネチル基等のアラルキル基;フェノキシ基、トリロキシ基等のアリールオキシ基;ベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基等のアリールアルコキシ基;アリル基、ベンジル基、ナフチルメチル基、フェネチル基等のアラルキル基;フェノキシ基、トリロキシ基等のアリールオキシ基;ベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基等のアリールアルコキシ基;フェニル基、ナフチル基等のアリール基;スチリル基、ナフチルビニル基等のアリールビニル基;アセチル基、ベンゾイル基等のアシル基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等のジアルキルアミノ基;ジフェニルアミノ基、ジナフチルアミノ基等のジアリールアミノ基;ジベンジルアミノ基、ジフェネチルアミノ基等のジアラルキルアミノ基、ジピリジルアミノ基、ジチエニルアミノ基等のジ複素環アミノ基;ジアリルアミノ基、又、上記のアミノ基の置換基を組み合わせたジ置換アミノ基等の置換アミノ基等があげられる。これらの中でも、特に電気特性の面から、アルキル基、アリール基が好ましい。
<アリールアミン系化合物の製造方法>
前記一般式(1)で表わされるアリールアミン系化合物は、公知の方法を用いて製造できる。酸触媒による縮合反応により目的化合物を得る方法がその一つの方法である。たとえば、脱水反応を伴うような縮合反応の例としては、特開昭56−13939公報で示されているようなアリールアミン化合物とカルボニル化合物との酸触媒による脱水的縮合反応による合成法が挙げられる。
また、たとえば、前駆アリールアミン化合物をさらにアリール置換して目的化合物を得る方法が挙げられる。アリール化反応においては、触媒金属として、Cu、Pd、Niな
どが用いられた触媒系がよく知られており、これらのいずれを用いても、目的とするアリールアミン化合物の合成が可能である。
特に、Cu触媒系は、触媒原価が安価である点で、またPd触媒系は、単離をしないで選択的なアリールアミンユニットの構築ができ、かつ、反応条件が穏和である点でそれぞれ有力な合成法として好ましい。
以下、一般式(1)で表わされるアリールアミン系化合物の代表的な例について、上記酸触媒反応により合成を行う際の出発原料を表1に、その出発原料により合成されるアリールアミン系化合物を挙げる。
例示化合物は、それぞれに対する出発原料と酸触媒を酢酸などの有機溶媒で混合し、40℃〜90℃で反応させることにより得ることができるが、反応条件はこれに限定されるものではない。
Figure 2004250448
Figure 2004250448
Figure 2004250448
Figure 2004250448
これら例示化合物は例示の為に示されるのであって、本発明に含まれるアリールアミン系化合物はこれら代表例に限定されるものではない。また出発原料は、選択する反応により、出発原料の選択に際して多様な組み合わせがあるので、本発明の趣旨に反しない限りは例示された代表例に限定されるものではない。なお、これらの反応において場合によっては、再結晶、精製、再沈精製、昇華精製、カラム精製等の公知な精製手段により、さらなる高純度体を得ることも可能である。
<正孔輸送材料>
本発明の一般式(1)で表わされるアリールアミン系化合物は、良好な正孔輸送能力を有するので、正孔輸送能力を利用する各種の用途に使用することができる。具体的には例えば、有機エレクトロルミネッセンス素子や電子写真感光体に用いる正孔輸送材料として利用できる。
<電子写真感光体>
本発明の電子写真感光体は、感光層中に一般式(1)で表わされるアリールアミン系化合物を正孔輸送材料として含有する。
本発明の正孔輸送材料を用いた電子写真感光体の感光層の形態としては、正孔輸送材料を含んだ正孔輸送媒体中に電荷発生材料の粒子を分散した、いわゆる分散型のほか、電荷発生材料を含んだ電荷発生層と正孔輸送材料を含んだ電荷輸送層を積層した、いわゆる積層型を適用することができる。
積層型感光体では、基体上に電荷発生層と電荷輸送層をこの順に積層したもの(以下、
順積層型感光層と呼ぶことがある)、あるいは逆の順に積層したもの(以下、逆積層型感光層と呼ぶことがある)など、種々のものが知られているが、本発明の電子写真感光体の感光層としてはそれらのいずれの構成も用いることができる。
本発明の電子写真感光体は、一般式(1)で表わされるアリールアミン系化合物を1種または2種以上含有する感光層を有し、高感度で耐久性に優れた感光体を与える。該感光体は、一般式(1)で表わされるアリールアミン化合物とともに有機光伝導体として優れた性能を有する公知の他のアリールアミン化合物、ヒドラゾン化合物、スチルベン化合物、ブタジエン化合物などを含有してもよい。
本発明の正孔輸送材料は、積層型感光体の電荷輸送層中に用いる場合に、特に感度が高く、残留電位が小さく、且つ、繰り返し使用した場合に、表面電位の変動や感度の低下、残留電位の蓄積等が少なく、耐久性に優れた感光体を得ることができる。また、該感光体がその使用環境により曝露される、オゾン、NOxなどによる表面電位変動、感度低下、残留電位の蓄積等も少ない。
本発明の正孔輸送材料は、ポリマーバインダー等と混合して電荷輸送層としたとき、広い波長範囲において高い光透過率を示す。したがって、通常広く用いられている700〜850nmの比較的長波長の光は勿論のこと、350〜500nmの比較的短波長の光や白色光を露光光源とする各種電子写真装置に使用する感光体に用いることができる。
本発明の正孔輸送材料は、常法に従ってバインダーと共に適当な溶剤中に溶解し、必要に応じ、適当な電荷発生材料、増感染料、電子吸引性化合物、他の正孔輸送材料、あるいは、可塑剤、顔料等との周知の添加剤を添加して得られる塗布液を導電性支持体上に塗布、乾燥し、通常、数μ〜数十μ、好ましくは10〜45μm、特に好ましくは15μm以上の膜厚の感光層を形成させることにより、感光層とすることができる。
電荷発生層と電荷輸送層の二層からなる積層型感光層の場合には、電荷発生層の上に上記塗布液を塗布するか、上記塗布液を塗布して得られる電荷輸送層の上に電荷発生層を形成させることにより、製造することができる。
積層型感光層の場合の電荷輸送層に使用されるバインダー樹脂、あるいは分散型感光層の場合のマトリックスとして使用されるバインダー樹脂としては、正孔輸送材料との相溶性が良く、塗膜形成後に正孔輸送材料が結晶化したり、相分離することのないポリマーが好ましく、例えば、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ブタジエン等のビニル化合物の重合体および共重合体、ポリビニルアセタール、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアリレート、ポリエステルカーボネート、ポリスルホン、ポリイミド、ポリフェニレンオキサイド、ポリウレタン、セルロースエステル、セルロースエーテル、フェノキシ樹脂、けい素樹脂、エポキシ樹脂等の各種ポリマーが挙げられ、またこれらの部分的架橋硬化物も使用できる。バインダーの使用量が多くなれば、層の機械的強度が高くなり好ましいが、相対的にアリールアミン系化合物の含量が減少することとなり、電気特性が悪化する。そのため、バインダーの使用量は、通常アリールアミン系化合物に対し、通常0.5重量倍以上、好ましくは0.7重量倍以上で、特に好ましくは0.9重量倍以上であり、通常30重量倍以下、好ましくは10重量倍以下、特に好ましくは、8重量倍以下の範囲である。
積層型感光層の場合の電荷輸送層には、必要に応じて酸化防止剤、増感剤等の各種添加剤並びに他の正孔輸送材料を含んでいてもよい。電荷輸送層の膜厚は通常、10〜60μm、好ましくは10〜45μm、更に好ましくは15〜40μmの厚みで使用されるのがよい。各層の成形方法としては、層に含有させる物質を溶剤に溶解又は分散させて得られた塗布液を順次塗布するなどの公知の方法が適用できる。
<支持体>
本発明の正孔輸送材料を用いた電子写真感光層が形成される導電性支持体としては、周知の電子写真感光体に採用されているものがいずれも使用できる。具体的には例えば、アルミニウム、ステンレス鋼、銅、ニッケル等の金属材料からなるドラム、シートあるいはこれらの金属箔のラミネート物、蒸着物、あるいは表面にアルミニウム、銅、パラジウム、酸化すず、酸化インジウム等の導電性層を設けたポリエステルフィルム、紙等の絶縁性支持体が挙げられる。更に、金属粉末、カーボンブラック、ヨウ化銅、高分子電解質等の導電性物質を適当なバインダーとともに塗布して導電処理したプラスチックフィルム、プラスチックドラム、紙、紙管等が挙げられる。また、金属粉末、カーボンブラック、炭素繊維等の導電性物質を含有し、導電性となったプラスチックのシートやドラムが挙げられる。そして、酸化スズ、酸化インジウム等の導電性金属酸化物で導電処理したプラスチックフィルムやベルトが挙げられる。
なかでもアルミニウム等の金属のエンドレスパイプが好ましい支持体である。アルミニウム等の金属製支持体上には、バリアー層などの中間層を設けてもよい。バリアー層としては、例えばアルミニウム陽極酸化被膜、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム等の無機層、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、セルロース類、ゼラチン、デンプン、ポリウレタン、ポリイミド、ポリアミド、等の有機層が使用される。
<電荷発生材料>
本発明の正孔輸送材料を用いた電子写真感光層に用いられる電荷発生材料としては、セレン、セレン−テルル合金、セレン−ヒ素合金、硫化カドミウム、アモルファスシリコン等の無機光伝導性粒子;無金属フタロシアニン、金属含有フタロシアニン、ペリノン系顔料、インジゴ、チオインジゴ、キナクリドン、ペリレン系顔料、アントラキノン系顔料、アゾ系顔料、ビスアゾ系顔料、トリスアゾ系顔料、テトラキス系アゾ顔料、シアニン系顔料、多環キノン、ピリリウム塩、チオピリリウム塩、アントアントロン、ピラントロン等の各種有機顔料および染料が使用できる。
中でも、一般式〔I〕で示されるアリールアミン誘導体と組合せた場合には、高感度の感光体が得られるという点で、無金属フタロシアニン、または、銅、塩化インジウム、塩化ガリウム、錫、オキシチタニウム、亜鉛、バナジウム等の金属または、その酸化物、塩化物の配位したフタロシアニン類、モノアゾ、ビスアゾ、トリスアゾ、ポリアゾ類等のアゾ顔料が好ましい。
そして、これらの電荷発生材量の中でも、無金属および金属含有フタロシアニンが、比較的長波長のレーザー光に対して高感度の感光体が得られる点で、また、モノアゾ、ビスアゾ、トリスアゾ等のアゾ顔料が、白色光および比較的短波長のレーザー光に対し十分な感度を持つ点で優れている。
また、フタロシアニン類の中でも特に、CuKα特性X線に対するX線回折スペクトルのブラック角(2θ±0.2°)が、27.3°に主たる回折ピークを示すオキシチタニウムフタロシアニン、9.3°,13.2°,26.2°および27.1°に主たる回折ピークを示すオキシチタニウムフタロシアニン、9.2,14.1,15.3,19.7
,27.1 ゜に主たる回折ピークを有するジヒドロキシシリコンフタロシアニン、8.
5°,12.2°,13.8°,16.9°,22.4°,28.4°および30.1°に主たる回折ピークを示すジクロロスズフタロシアニン、7.5゜,9.9゜,12.5゜,16.3゜,18.6゜,25.1゜および28.3゜に主たる回折ピークを示すヒドロキシガリウムフタロシアニン、7.4゜,16.6゜,25.5゜および28.3゜に回折ピークを示すクロロガリウムフタロシアニンが、好ましい。
<電荷発生層>前記電荷発生材料を、バインダーポリマーおよび必要に応じ他の有機光導電性化合物、色素、電子吸引性化合物等と共に溶剤に溶解あるいは分散し、得られた塗布液を基体上に塗布乾燥して電荷発生層を得る。
本発明において場合により電荷発生層に添加される染料色素としては、例えばメチルバイオレット、ブリリアントグリーン、クリスタルバイオレット等のトリフェニルメタン染料、メチレンブルーなどのチアジン染料、キニザリン等のキノン染料およびシアニン染料やビリリウム塩、チアビリリウム塩、ベンゾビリリウム塩等が挙げられる。また、アリールアミン系化合物と電荷移動錯体を形成する電子吸引性化合物としては、例えばクロラニル、2,3−ジクロロ−1,4−ナフトキノン、1−ニトロアントラキノン、1−クロロ−5−ニトロアントラキノン、2−クロロアントラキノン、フェナントレンキノン等のキノン類;4−ニトロベンズアルデヒド等のアルデヒド類;9−ベンゾイルアントラセン、インダンジオン、3,5−ジニトロベンゾフェノン、2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロフルオレノン、3,3′,5,5′−テトラニトロベンゾフェノン等のケトン類;無水フタル酸、4−クロロナフタル酸無水物等の酸無水物;テトラシアノエチレン、テレフタラルマロノニトリル、9−アントリルメチリデンマロノニトリル、4−ニトロベンザルマロノニトリル、4−(p−ニトロベンゾイルオキシ)ベンザルマロノニトリル等のシアノ化合物;3−ベンザルフタリド、3−(α−シアノ−p−ニトロベンザル)フタリド、3−(α−シアノ−p−ニトロベンザル)−4,5,6,7−テトラクロロフタリド等のフタリド類等の電子吸引性化合物が挙げられる。
電荷発生層は、上記の材料を例えば、ポリビニルアセテート、ポリエステル、ポリアリレート、ポリカーボネート、ポリビニルアセトアセタール、ポリビニルプロピオナール、ポリビニルブチラール、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、セルロースエステル、セルロースエーテルなどの各種バインダー樹脂で結着した形で使用してもよい。更に、バインダー樹脂としては、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ビニルアルコール、エチルビニルエーテル等のビニル化合物の重合体および共重合体、ポリアミド、けい素樹脂等が挙げられる。この場合の電荷発生材料の使用比率はバインダー樹脂100重量部に対して通常20から2000重量部、好ましくは30から500重量部、より好ましくは33から500重量部の範囲より使用され、電荷発生層の膜厚は通常0.05〜5μm、好ましくは0.1μmから2μm、より好ましくは0.15μmから0.8μmが好適である。また電荷発生層は上記電荷発生材料の蒸着膜であってもよい。
分散型感光層の場合の電荷発生材料の粒子径は充分小さいことが必要であり、好ましくは1μm以下、より好ましくは0.5μm以下で使用される。感光層内に分散される電荷発生材料の量は例えば0.5〜50重量%の範囲であるが少なすぎると充分な感度が得られず、多すぎると帯電性の低下、感度の低下などの弊害があり、より好ましくは1〜20重量%の範囲で使用される。分散型感光層の膜厚は通常5〜50μm、より好ましくは10〜45μmで使用される。
<添加剤>
更に、本発明の電子写真用感光体の感光層は成膜性、可撓性、機械的強度を向上させるために周知の可塑剤や架橋剤、酸化防止剤、安定剤、増感剤、塗布性を改善するため各種レベリング剤、分散補助剤などの添加剤を含有していてもよい。可塑剤としては、例えばフタル酸エステル、りん酸エステル、エポキシ化合物、塩素化パラフィン、塩素化脂肪酸エステル、メチルナフタレンなどの芳香族化合物などが挙げられ、レベリング剤としては、例えばシリコーンオイル、フッ素系オイル等が上げられる。
<他の機能層>
このようにして形成される感光体にはまた、必要に応じ、バリアー層、接着層、ブロッキング層等の中間層、透明絶縁層、あるいは保護層など、電気特性、機械特性の改良のための層を有していてもよいことはいうまでもない。
最表面層として従来公知の例えば熱可塑性或いは熱硬化性ポリマーを主体とするオーバ
ーコート層を設けてもよい。
<溶剤>
塗布液調製用の溶剤としてはテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル類、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;N,N−ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒;酢酸エチル、蟻酸メチル、メチルセロソルブアセテート等のエステル類;ジクロロエタン、クロロホルム等の塩素化炭化水素などのアリールアミン系化合物を溶解させる溶剤が挙げられる。勿論これらの中からバインダーを溶解するものを選択する必要がある。
<塗布方法>
感光層の塗布方法としては、スプレー塗布法、スパイラル塗布法、リング塗布法、浸漬塗布法等がある。スプレー塗布法としては、エアスプレー、エアレススプレー、静電エアスプレー、静電エアレススプレー、回転霧化式静電スプレー、ホットスプレー、ホットエアレススプレー等があるが、均一な膜厚を得るための微粒化度、付着効率等を考えると回転霧化式静電スプレーにおいて、再公表平1−805198号公報に開示されている搬送方法、すなわち円筒状ワークを回転させながらその軸方向に間隔を開けることなく連続して搬送することにより、総合的に高い付着効率で膜厚の均一性に優れた電子写真感光体を得ることができる。
スパイラル塗布法としては、特開昭52−119651号公報に開示されている注液塗布機またはカーテン塗布機を用いた方法、特開平1−231966号公報に開示されている微小開口部から塗料を筋状に連続して飛翔させる方法、特開平3−193161号公報に開示されているマルチノズル体を用いた方法等がある。
浸漬塗布法については、以下に詳細に説明する。
本発明の一般式〔I〕で示されるアリールアミン系正孔輸送材料、バインダー、溶剤等を用いて、好適な全固形分濃度が通常10重量%以上、好ましくは15重量%、特に好ましくは20重量%以上であって、通常50重量%以下、好ましくは40重量%以下、特に好ましくは35重量%以下の、且つ、粘度が通常50センチポアーズ〜500センチポアーズ、好ましくは100センチポアーズ〜400センチポアーズの電荷輸送層形成用の塗布液を調整する。ここで実質的に塗布液の粘度はバインダーポリマーの種類およびその分子量により決まるが、あまり分子量が低い場合にはポリマー自身の機械的強度が低下するためこれを損わない程度の分子量を持つバインダーポリマーを使用することが好ましい。この様にして調整された塗布液を用いて浸漬塗布法により電荷輸送層が形成される。
その後塗膜を乾燥させ、必要且つ充分な乾燥が行われる様に乾燥温度時間を調整するとよい。乾燥温度は通常100〜250℃好ましくは、110〜170℃さらに好ましくは、120〜140℃の範囲である。乾燥方法としては、熱風乾燥機、蒸気乾燥機、赤外線乾燥機および遠赤外線乾燥機等を用いることができる。
本発明を製造例、実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例中「部」とあるのは「重量部」を示す。
(製造例1:例示化合物1の合成)
p,p’−ジメチルトリフェニルアミン69部、p−メチルトリフェニルアミン26部、イソブチルアルデヒド22部、酢酸350部、メタンスルホン酸2.4部を混合し、60度で8時間反応させた。析出固体を分離し、メタノール100mlにて洗浄し、乾燥させた。得られた固体と、p,p’−ジメチルトリフェニルアミン35部、イソブチルアルデヒド11部、酢酸350部、メタンスルホン酸2.4部を混合し、60度で8時間反応
させた。得られた固体を分離後、カラムクロマトグラフィーにより精密分離、精製した。生成物をNMR、およびMASSスペクトルにて確認したところ、例示化合物1に相当する化合物が得られたことが判明した。図1に生成物のNMRチャートを示す。
(実施例1)
CuKα特性X線に対するX線回折パターンが、図2で示されるチタニルフタロシアニン1.6部をジメチルグリコール30部に加え、サンドグラインダーで分散処理をした後、ジメチルグリコール、4−メチル−4−メトキシ−2−ペンタノンを加えて希釈し、さらにポリビニルブチラール(電気化学工業製 デンカブチラール #6000C)1部をジメチルグリコール6部、4−メチル−4メトキシ−2−ペンタノン6部の混合溶媒に溶解した液と混合し、顔料分散液を得た。
この分散液を75μmの膜厚のポリエチレンテレフタレートフィルムの表面に蒸着したアルミニウム蒸着層(厚み70nm)の上に、乾燥後の膜厚が0.4μmになるようにワイヤーバーで塗布した後、乾燥して電荷発生層を形成させた。この上に表1における例示化合物1を40部と下記に示すポリカーボネート樹脂100部をテトラヒドロフラン100部に溶解して調製した混合溶液を、乾燥後の膜厚が20μmとなるように塗布して、電荷輸送層を形成させ、感光体1を作製した。
Figure 2004250448
(実施例2)
例示化合物1の代わりに、例示化合物2を用いた以外は、実施例1と同様の方法で感光体2を作製した。
(実施例3)
例示化合物1の代わりに、例示化合物3を用いた以外は、実施例1と同様の方法で感光体3を作製した。
(実施例4)
例示化合物1の代わりに、例示化合物8を用いた以外は、実施例1と同様の方法で感光体4を作製した。
(実施例5)
例示化合物1の代わりに、例示化合物11を用いた以外は、実施例1と同様の方法で感光体5を作製した。
(比較例1)
例示化合物1の代わりに、有機エレクトロルミネッセンス素子に用いられる正孔輸送材料である下記化合物Aを使用して、比較感光体1を作製したが、表面に析出が見られ良好な感光体を得ることが出来なかった。
Figure 2004250448
(比較例2)
例示化合物1の代わりに、下記化合物Bを用いた以外は、実施例1と同様の方法で比較感光体2を作製した。
Figure 2004250448
(比較例3)
例示化合物1の代わりに、下記化合物Cを用いた以外は、実施例1と同様の方法で比較感光体3を作製した。
Figure 2004250448
(比較例4)
例示化合物1の代わりに、下記化合物Dを用いた以外は、実施例1と同様の方法で比較感光体4を作製した。
Figure 2004250448
[感光体の特性試験]
感光体1〜5および比較感光体1〜4の電子写真特性を、電子写真特性評価装置(シンシア−55、ジェンテック社製)を用いて、スタティック方式で測定した。
遮光下、感光体の表面電位が約−700Vとなるように放電させたスコロトロン帯電器の下を、125mm/秒で感光体を通過させて帯電させた後、感光体表面電位(以下、V0ということがある)を測定した。その後、2.5秒間放置した後の感光体表面電位とV0との電位差(−V)を測定した(以下、DDということがある)。次に、露光強度0.5μW/cm2の780nmの単色光を感光体表面に照射し、感光体表面の電位が−55
0Vから−275Vになるまでに要した露光エネルギー(μJ/cm2、以下、感度ということがある)、および、該単色光照射後の感光体表面電位と5秒後の感光体表面電位との電位差(−V)を測定した(以下、Vrということがある)。測定結果を表2に示す。
Figure 2004250448
(実施例6)
実施例1で用いたものと同様のアルミニウム蒸着層の上に、アルミナ(日本アエロジル株式会社製 アルミニウムオキサイドC)を、メタノール/1−プロパノールの混合溶媒中でボールミルにより分散させることにより、アルミナ分散スラリーとなし、該分散スラリーと、メタノール/1−プロパノール(重量比7/3)の混合溶媒、及び、ε−カプロラクタム/ビス(4−アミノ−3−メチルフェニル)メタン/ヘキサメチレンジアミン/デカメチレンジカルボン酸/オクタデカメチレンジカルボン酸(組成モル%75/9.5/3/9.5/3)からなる共重合ポリアミドのペレットとを加熱しながら撹拌、混合してポリアミドペレットを溶解させた後、超音波分散処理を行うことにより得られた、アルミナ/共重合ポリアミドを重量比1/1で含有する(固形分濃度8%の)分散液を、下引き層用分散液をバーコーターにより、乾燥後の膜厚が1.25μmとなるように塗布し、乾燥させて下引き層を形成した。
この下引き層の上に、実施例2で用いたチタニルフタロシアニンを、CuKα線によるX線回折スペクトルが、図3に示すものであるチタニルフタロシアニンに変更し、電荷輸送層の膜厚を25μmとした以外は、実施例2と同様にして、電荷発生層および電荷輸送層を作製し、積層型の感光体6を得た。
(比較例5)
実施例6で用いた例示化合物2を、化合物Dにした以外は、実施例6と同様にして比較感光体5を作製した。
また、実施例6の感光体6と同様にして、その電気特性評価を行った。
(実施例7)
実施例2で用いたチタニルフタロシアニンを、合成溶媒として1−クロロナフタレンを用いた以外は、特開平5−98181号の合成例および実施例1記載の方法と同様にして製造したII型クロロガリウムフタロシアニンにして、電荷輸送層の膜厚を25μmとした以外は、実施例2と同様にして感光体7を作製した。
(比較例6)
実施例7で用いた例示化合物2を、化合物Dにした以外は、実施例7と同様にして比較感光体6を作製した。
(実施例8)
実施例2で用いたチタニルフタロシアニンを、下記構造のアゾ化合物にして、電荷輸送層の膜厚を25μmとした以外は、実施例2と同様にして感光体8を作成した。
Figure 2004250448
(比較例7)
実施例8で用いた例示化合物2を、化合物Dにした以外は、実施例8と同様にして比較感光体7を作製した。
[感光体の特性試験]
感光体6,7、および比較感光体5,6については、露光光を、露光強度0.1μW/cm2の780nmの単色光とし、感光体8、および比較感光体7については、露光光を
、露光強度0.078μW/cm2の425nmの単色光とした以外は、前記の感光体1
の試験方法と同様にして、感光体6〜8、および比較感光体5〜7の電気特性評価を行った。その結果を下記表3に示す。
Figure 2004250448
表2および表3の結果から、正孔輸送材料として本発明のアリールアミン系化合物を使用した電子写真感光体では、種々の電気特性を総合的に勘案した際の特性バランスに優れ、特に、感度が高く、Vrが低い、高性能の電子写真感光体となることがわかる。
製造例1で合成した化合物のNMRチャートである。 実施例1で使用したチタニルフタロシアニンのX線回折パターンである。 実施例6で使用したチタニルフタロシアニンのX線回折パターンである。

Claims (7)

  1. 下記一般式(1)で表される構造を持つアリールアミン系化合物。
    Figure 2004250448
    (一般式(1)において、AおよびCは、それぞれジアリールアミノアリール基であり、該基中のジアリールアミノ基の各アリール基は、それぞれ異なっていてもよい置換基を少なくとも1つ有し、Bは下記一般式(2)で表される2価の有機残基および一般式(3)で表される2価の有機残基からなる群から選ばれる基を少なくとも1個以上含む構造であり、X1は、下記一般式(4)で示される2価の残基を表す。)
    Figure 2004250448
    (一般式(2)中、Ar1およびAr3は置換基を有していてもよいアリーレン基、Ar2
    は置換基を有していてもよいアリール基を表し、X2は下記一般式(5)で示される2価
    の残基を表し、一般式(3)中、Ar4,Ar6およびAr7は、置換基を有していてもよ
    いアリーレン基を表し、Ar5およびAr8は、置換基を有していてもよいアリール基を表し、X3は下記一般式(6)で示される2価の残基を表す。)
    Figure 2004250448
    (一般式(4)、(5)、(6)中、R1,R2,R3,R4,R5およびR6は、それぞれ、水素原子、または、ハロゲン原子を含まない置換基を有していてもよいアルキル基を表す。また、R1とR2とで脂肪族環状構造を、R3とR4とで脂肪族環状構造を、R5とR6とで脂肪族環状構造を形成してもよい。l,m,nはそれぞれ1以上の整数を表す。)
  2. 分子内に、一般式(2)で表される繰り返し構造が奇数個含まれる、請求項1に記載のアリールアミン系化合物。
  3. 分子内に、一般式(3)で表される繰り返し構造が奇数個含まれる、請求項1または2に記載のアリールアミン系化合物。
  4. 一般式(1)中、Bの部分構造が、一般式(2)および/または一般式(3)で表される2価の有機残基からなる群より選ばれる基のみからなる、請求項1〜3の何れかに記載のアリールアミン系化合物。
  5. 請求項1〜4の何れかに記載のアリールアミン系化合物からなる正孔輸送材料。
  6. 導電性基体上に感光層を有する電子写真感光体において、該感層中に、請求項5に記載の正孔輸送材料を少なくとも1種含有することを特徴とする電子写真感光体。
  7. 感光層中に電荷発生材料を含有し、該電荷発生材料が、フタロシアニン化合物および/またはアゾ化合物である請求項6に記載の電子写真感光体。

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