JP2004246456A - 画像編集装置および画像編集方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】CPU4は、スキャナ2またはメモリカードリーダ3から処理対象の画像を取り込み、この画像中の顔画像を検出する。さらに、CPU4は。検出した顔画像の特徴量を用いて、被写体の人種、年代、性別などを推論し、その推論結果に適合する補正パラメータを設定して、顔画像の肌色調整や逆光補正処理を行う。補正処理後の画像は、プリンタ11に出力され、写真として印刷される。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、所定の撮影装置で生成された画像を取り込んで補正処理を行い、その補正処理後の画像を出力する画像編集装置に関する。特に、この発明は、人物を撮像して得られた画像を入力して、その被写体の顔画像を補正する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、人物を被写体として撮影を行った際の画像から、被写体の顔に相当する画像領域を検出し、その領域内の特徴量に基づいて露光量などの撮影条件を調整したり、撮影後の画像を補正するようにした技術が開示されている。
たとえば、下記特許文献1〜3に開示されたような技術が存在する。
【0003】
【特許文献1】
特開平10−268447号公報
【特許文献2】
特開平8−62741号公報
【特許文献3】
特開平11−146405号公報
【0004】
特許文献1では、撮像素子から取り込んだ画像データを用いて写真焼き付け処理を行う際に、前記画像データから人物の顔の領域を検出し、この領域内の側光データに基づいて露光量を定めた上で補正を行うことにより、顔画像の特徴に合わせて画像を補正するようにしている。
【0005】
特許文献2では、カメラで撮像した画像をプリントアウトする処理において、処理対象の画像から顔画像に相当する肌色領域を検出するとともに、この画像の輝度情報に基づき、逆光の度合を判別し、人物の存在する度合や逆光の度合によって、異なる内容の階調補正を行うようにしている。
【0006】
特許文献3では、カラービデオカメラなどの映像信号処理装置において、映像信号を取り込む過程で肌色領域を検出し、肌色領域が検出されたときの映像信号に輝度補正や色補正などを施すことにより、肌色領域のみを補正できるようにしている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記の先行技術をはじめとする従来の補正処理では、いずれも、顔画像の明るさや色彩などの特徴量をあらかじめ定められた基準と照合して、補正のパラメータを決定しているものと思われる。しかしながら、この補正の基準は、所定の人種の肌の色に合わせて定められるので、他の人種を被写体とした場合の補正処理に不具合が生じる虞がある。
【0008】
たとえば、補正の基準を黄色人に合わせていると、黒人が被写体になった場合には逆光時の補正パラメータが適用される可能性がある。しかしながら、実際の黒人の顔画像と逆光時の顔画像とは大きく異なるので、適正な補正を行うのは困難である。また、白人が被写体になった場合に、黄色人と同様の補正処理を行うと、肌の色に黄味がかかり、不自然な印象の画像になる虞がある。
【0009】
年代や性別の違いによっても、人種の場合と同様に、画一化された補正パラメータだけでは対応が困難な可能性がある。たとえば、20代の顔画像と40代の顔画像とでは、補正すべき箇所や基準にかなりの差異があると考えられる。また、被写体が男性である場合と女性である場合とでは、一般に、好ましいとされる顔色の基準が異なるものになると考えられる。
【0010】
さらに、顔の色や明るさについては、人によって好みがあり、またその時々の流行や季節などによっても好みが変動する可能性がある。このような種々の要素に応じて個々の被写体の顔画像を補正するには、従来の画一的な基準による補正だけで対応するのは困難である。
【0011】
加えて、従来の写真焼付けサービス(DPE)では、画像全体を補正することは可能であるが、各被写体を個別に補正するまでのサービスは行われていない。
【0012】
この発明は、上記問題に着目してなされたもので、被写体の人種、性別、年齢や個人の好みに応じて、各被写体に適した補正処理を行うことができるようにすることを、目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
この発明にかかる第1の画像編集装置は、人物を撮像して得られた画像を入力する画像入力手段と、前記入力画像に含まれる被写体の顔画像を検出する顔画像検出手段と、前記顔画像検出手段により検出された顔画像を含む画像領域内の特徴量に基づき、前記顔画像について、少なくとも人種、年齢、性別のいずれかに対する推論処理を実行する推論手段と、前記推論手段による推論結果に基づき、前記顔画像の補正処理内容を決定する決定手段と、前記顔画像に対し、前記決定手段が決定した内容による補正処理を実行する顔画像補正手段と、前記顔画像補正手段による補正処理後の画像を出力する画像出力手段とを具備する。
【0014】
上記の画像編集装置は、上記各手段の機能に対応するプログラムを組みこんだコンピュータを制御主体とするのが望ましい。また、画像入力手段には、外部から画像を取り込むためのインターフェース回路が含まれる。画像出力手段にも同様に、外部への画像出力に関わるハードウェアが含まれる。
【0015】
なお、画像入力手段には、ディジタル画像データを入力するのが望ましいが、これに限らず、たとえば、アナログビデオカメラからのアナログ画像信号を入力することもできる。この場合の画像入力手段は、インターフェース回路のほか、フレーム毎のアナログ画像信号をディジタル変換するA/D変換回路などを含むものとなる。
【0016】
顔画像検出手段は、たとえば、入力画像上に所定大きさの検索領域を走査し、顔を構成する器官の特徴を示す特徴点が含まれているかどうかを検索する方法により、顔画像の検出処理を行う。この検索では、下記の特許文献4に記載されたような特徴点検出処理を行うことにより、高確度で顔画像を検出することができる。ただし、これに限らず、従来の肌色領域を検出する方法や単純なパターンマッチング処理によって、顔画像を検出することも可能である。
【0017】
【特許文献4】
特開2001−16573号公報
(段落[0064]〜[0069]参照。)
【0018】
推論手段は、顔の器官を構成する特徴点を用いた演算処理により人種,年齢,性別などを高確度で判別することができる。人種の推定では、たとえば、下記の非特許文献1の手法を適用できるが、これに限らず、顔画像内の輝度分布を検出する方法を用いることができる。また、年齢や性別を推定するには、たとえば、下記の非特許文献2に開示された方法を使用することができる。
【0019】
【非特許文献1】
グレゴリー シャナロビッチ(Gregory Shakhnarovich),ポール A ヴィオラ(Paul A. Viola),ババック モハダム(Baback Moghaddam);「ア ユニファイド ラーニング フレームワーク フォア リアルタイム フェイス ディテクション アンド クラシフィケーション(A Unified Learning Framework for Real Time Face Detection and Classification)」;プロシーディングス オブ ザ フィフス IEEE インターナショナル コンファレンス オン オートマティック フェイス アンド ジェスチャー レコグニッション(Proceedings of the Fifth IEEE International Conference on Automatic Face and Gesture and Gesture Recognition); (米国) インスティチュート オブ エレクトリカル アンド エレクトロニクス エンジニアズ(Institute of Electrical and Electronics Engineers,略称 IEEE);2002年5月
【0020】
【非特許文献2】
細井聖,瀧川えりな,川出雅人;「ガボールウェーブレット変換とサポートベクタマシンによる性別・年代推定システム」; 第8回画像センシングシンポジウム講演論文集;画像センシング技術研究会;2002年7月
【0021】
上記の推論処理に使用される特徴量は、主として顔画像の検出領域から導き出されるが、これに限らず、顔画像の周辺領域や、画像全体または画像の一部の特徴量も含めてもよい。特徴量としては、顔画像の色彩や明度の平均や分散、強度分布、周囲画像との色彩差や明度差などを検出することができる。また、これらの特徴量を所定の演算式にあてはめて、推論に必要な二次的な特徴量を求めることもできる。
【0022】
この発明で実行するところの補正処理としては、たとえば、肌色調整のために各色成分(たとえば赤,緑,青の三原色)の強度や明度を補正する処理、顔面の欠陥を検出して消去する処理、肌のスムージング処理など、種々の内容の処理を設定することができる。前記推論結果に基づいて顔画像の補正処理内容を決定するには、あらかじめ、各種補正項目毎に、その補正を実行する上で必要なパラメータ(以下、これを「補正パラメータ」と呼ぶ。)の設定値を推論の対象となる各要素に対応づけた設定テーブルを作成しておき、前記推論処理の結果をこの設定テーブルと照合して、推論結果に応じた補正パラメータを導き出すようにするのが望ましい。
【0023】
たとえば、肌色調整を例にとると、補正パラメータとして、各色成分毎の増減の比率を設定することができる。この場合の設定テーブルでは、人種、年齢、性別をそれぞれ複数のカテゴリーに分類し(たとえば、人種について「白人」「黄色人」「黒人」、年齢について「10代」「20代」「30代」など)、これらカテゴリーの組み合わせ毎に、各色成分毎の補正パラメータの値の組み合わせが異なるものとなるようにするのが望ましい。
【0024】
上記の画像編集装置によれば、少なくとも、人種、年齢、性別のいずれかにかかる複数とおりの標準設定の補正処理の中から、被写体に適合する内容の補正が選択され、この内容に基づき顔画像の補正を行うことができる。すなわち、個々の被写体の人種、年齢、性別によって補正内容を自動選択し、被写体に適した補正を行うことができる。
【0025】
つぎに、この発明にかかる第2の画像編集装置は、前記第1の画像編集装置と同様の画像入力手段および顔画像検出手段と、所定数の被写体について、それぞれその被写体の顔画像の特徴量およびその顔画像の補正に必要な情報を前記被写体に固有の識別情報に対応づけた登録情報を保持する登録手段と、前記顔画像検出手段により検出された顔画像の特徴量を前記登録手段の登録情報と照合して、前記被写体を推定する推論手段と、前記推論手段により推定された被写体の登録情報を用いて前記検出された顔画像の補正処理を実行する顔画像補正手段と、前記顔画像補正手段による補正処理後の画像を出力する画像出力手段とを具備する。
【0026】
上記構成の画像編集装置も、第1の画像編集装置と同様に、コンピュータを制御主体とするのが望ましい。画像入力手段、顔画像検出手段、画像出力手段は、第1の画像編集装置と同様に構成することができる。
【0027】
登録手段は、前記コンピュータ内のメモリに設定されたデータベースとすることができる。「顔画像の補正に必要な情報」は、たとえば、顔画像の色彩を特定するパラメータ(顔色を構成するR,G,Bの階調、明度など)であって、登録対象の被写体の好みの色彩になるように調整されたものであるのが望ましい。また、被写体に固有の識別情報としては、被写体の名前(フルネームに限らず、ニックネームなどでもよい。)など、撮影者や被写体が容易に確認できる情報であるのが望ましい。
【0028】
登録対象の顔画像の好ましい特徴量としては、顔の器官の特徴点の位置関係を示すものがよい。たとえば、前記特許文献4の(1)式に示される特徴量を、顔画像を構成する各点毎に求めて登録することができる。
【0029】
推論手段は、検出された顔画像の特徴量を登録手段に登録された各被写体の顔画像の特徴量と照合する処理により、被写体が誰であるかを推定することができる。顔画像補正手段は、推定された被写体の登録情報に含まれる補正の内容に基づき、顔画像を補正することができる。
【0030】
上記第2の画像編集装置によれば、被写体となり得る人物について、あらかじめ、その人物の顔画像の特徴量と、その顔画像を最適に補正するのに必要な情報を登録しておくことにより、その人物の顔画像を処理する都度、その顔画像を被写体の好みの方法で補正することができる。
【0031】
つぎに、上記第1、第2の画像編集装置に共通に設定できる態様について説明する。まず一の態様では、前記顔画像検出手段は、前記顔画像の検出結果に対する修正操作を受け付けて、前記顔画像の検出結果を修正する手段を含むように構成される。
【0032】
顔画像の検出結果に対する修正操作については、前記入力画像における顔画像の検出結果を表示し、この表示画面上で、顔画像の検出位置、検出した範囲の変更、所定の顔画像の削除などの操作を実行できるようにするのが望ましい。顔画像の検出結果の表示は、たとえば、画像上の顔画像の検出位置にポインタを配置することによって行うことができる。より好ましい方法としては、顔画像の位置および大きさが明確になるようなマーキング表示(たとえば、顔画像を含むような枠画像を設定する。)を行うこともできる。
【0033】
上記の態様によれば、顔画像の検出結果の誤りにより、間違った推論処理が行われて、以後の処理に誤りが生じるのを回避することができる。また、顔画像を削除する操作によれば、たとえば、被写体とする人物以外の人物の顔画像が含まれている場合に、この被写体以外の人物にかかる顔画像の検出結果を削除するなど、以後の推論処理や補正内容の決定を行う必要のない顔画像を削除することができ、被写体に対してのみ詳細な処理を行うことができる。
【0034】
さらに、他の態様にかかる画像編集装置では、前記推論手段は、前記推論結果に対する修正操作を受け付けて、前記推論結果を修正する手段を含むように設定される。
【0035】
推論結果に対する修正操作については、推論結果を表示し、この表示画面上で、誤った推論情報を指定して修正したり、不要な推論情報を削除するものとするのが望ましい。さらに、推論されていない新規の情報を追加できるようにしてもよい。
【0036】
上記の態様によれば、推論結果の誤りを修正した上で補正内容の決定処理を行うことができるから、被写体に適した補正内容を精度良く選択することが可能となる。
【0037】
さらに、他の態様にかかる画像編集装置は、顔画像補正手段は、補正処理後にその補正内容の修正操作を受け付けて、修正された内容に基づき前記顔画像の再補正を実行する手段を含む。また、画像出力手段は、確定操作に応じて、その時点における最新の補正処理により得られた画像を出力する。
【0038】
補正内容の修正操作については、補正処理後の画像や、実行された補正内容を示す情報(前記した補正パラメータなど)を表示し、この表示画面上で所定の補正内容を指定して修正を行うことができるようにするのが望ましい。また確定操作についても、同じ補正処理後の画像の表示画面上で行うことができる。
【0039】
上記の態様によれば、ユーザーは、補正処理後の画像が好ましくない場合には、修正操作により画像の再補正処理を行わせることができる。そして、最終的に、好ましい補正画像を得ることができた時点で確定操作を行うことによって、最新の補正により得られた画像を出力することができる。
【0040】
つぎに、この発明にかかる第3の画像編集装置は、人物を撮像して得られた画像を入力する画像入力手段と、前記入力画像に含まれる被写体の顔画像を検出する顔画像検出手段と、前記被写体について、その顔画像の補正処理内容を示す情報を入力するための情報入力手段と、前記顔画像検出手段により検出された顔画像に対し、前記情報入力手段より入力された情報に基づく内容による補正処理を実行する顔画像補正手段と、前記顔画像補正手段による補正処理後の画像を出力する画像出力手段とを具備する。
【0041】
上記第3の画像編集装置も、コンピュータを制御主体とするのが望ましく、画像入力手段、顔画像検出手段、画像出力手段は、前記第1、第2の画像編集装置と同様のものとすることができる。情報入力手段は、検出された顔画像に対する具体的な補正内容を入力するための操作部(キーボード、マウスなど)、この入力処理を支援するために補正項目のメニューなどを提示するユーザーインターフェースが組みこまれたコンピュータ、および前記メニュー表示のための表示装置などにより構成することができる。
【0042】
上記の装置によれば、ユーザーは、処理対象の画像を装置に入力した後に、被写体について、補正内容を示す情報を入力すると、補正の対象である顔画像が自動検出され、入力情報に基づく補正処理が実行されるようになる。よって、ユーザーの意図する内容の補正を簡単かつ確実に実行することが可能となる。なお、複数人が被写体となる画像を処理する場合には、各被写体の顔画像の検出結果を表示してユーザーに確認させた上で、被写体毎に補正処理内容を示す情報の入力を受け付けるようにするのが望ましい。また、補正内容の入力は、画像編集用ソフト等の機能を用いて、表示された入力画像を直接修正する操作によって行うこともできる。
【0043】
さらに、この第3の画像編集装置でも、第1、第2の画像編集装置と同様に、顔画像の検出結果に対する修正操作を受け付けて、検出結果を修正できるようにするのが望ましい。また、画像補正手段による補正処理後の画像に対し、補正内容の修正操作に応じて再補正を行い、確定操作に応じて、その時点における最新の補正処理により得られた画像を出力することも可能である。
【0044】
さらに、上記第1、第3の画像編集装置には、前記顔画像検出手段により検出された顔画像の特徴量を前記画像補正手段が実行した補正内容に対応づけてメモリに登録する登録処理手段を具備させることができる。この場合の顔画像検出手段は、所定の登録情報を指定する操作に応じて、この指定された登録情報に含まれる特徴量を用いた検索処理により、前記入力画像より顔画像を検出することが可能に設定される。また、前記顔画像補正手段は、前記検索処理により顔画像が検出されたとき、この検出された顔画像に対し、前記指定された登録情報に含まれる補正処理内容による補正処理を実行するように設定される。なお、前記登録処理手段による情報の登録は、この画像編集装置を構成するコンピュータのメモリ内に対して行われるものである。
【0045】
この態様でも、登録対象の顔画像の好ましい特徴量は、顔の器官の特徴点の位置関係を示すものであるのが望ましい。なお、各登録情報は、第2の編集装置におけるのと同様に、各被写体に固有の識別情報(前記第2の画像編集装置と同様の名前情報など)により識別できるようにするのが望ましい。また登録情報の指定については、たとえば、所定の登録情報にかかる識別情報を入力することによって、その登録情報を指定することができる。
【0046】
上記構成によれば、過去に補正処理を行った被写体については、顔画像の特徴量とその補正内容とが対応づけて登録されるので、以後に同じ被写体が含まれる画像を入力した際には、その被写体にかかる登録情報を指定することにより、その被写体に対応する顔画像を検出した上で、前回と同じ内容の補正を行うことが可能となる。よって、処理を高速化することができ、また、過去の処理内容に沿って、ユーザーの意図する補正を確実に実行することができる。
【0047】
なお、前記メモリには、必ずしも、過去に処理したすべての被写体の情報を登録する必要はなく、たとえば、補正処理後に登録を行うかどうかの選択操作を受け付け、登録すべき旨の選択が行われたときに、登録処理を行うようにしてもよい。
【0048】
さらに、第1〜3の各画像編集装置において、前記画像検出手段は、前記画像入力手段より被写体の顔画像の位置を示す情報をリンクさせた画像が入力されたとき、そのリンク情報に基づき顔画像を検出するように構成することができる。
【0049】
前記顔画像の位置を示す情報をリンクさせた画像は、この発明の顔画像検出手段と同様の手段が設定された撮影装置により生成することができる。なお、リンク情報には、顔画像の位置を示す情報のほか、顔画像の大きさ、向きまでを含むことができる。このような構成によれば、入力された画像のリンク情報に基づき、顔画像を簡単に検出することができる。
【0050】
なお、前記した撮影装置に、この発明にかかる推論手段と同じ機能が付与されている場合には、顔画像の検出位置に加えて、被写体の人種、年齢、性別にかかる推論結果までがリンクした画像を生成することが可能である。このような画像を入力すれば、顔画像の検出処理を簡単に行うことができる上に、推論処理をスキップして、速やかに顔画像の補正処理を行うことができる。
【0051】
さらに、第1〜3の画像編集装置にかかる他の態様では、前記画像出力手段を、補正処理後の画像を印刷する手段とすることができる。この構成によれば、ユーザーが写真として焼き付けを行いたい画像を装置に入力すると、被写体に適した補正処理が行われた後、その補正処理後の画像が印刷されるようになり、被写体の顔の特徴を明瞭に捉えた写真を提供することができる。
【0052】
上記第1〜3の各画像編集装置(各種実施態様を含む。)は、ディジタルカメラ、スキャナ、またはメモリカードなどの記憶媒体から、ディジタル量の静止画像データを入力して補正し、補正処理後の画像を印刷したり、記憶媒体などに保存する装置として構成することができる。
【0053】
さらに、第1〜3の各画像編集装置は、前記画像入力手段を、コンピュータネットワークを介して処理対象の画像の送信を受ける手段として構成することができる。この場合、前記画像出力手段は、補正後の画像を印刷する手段、または、前記コンピュータネットワークを介して画像の送信元もしくはこの送信元から指定された配信先に補正後の画像を送信する手段として構成することができる。
【0054】
なお、このようにネットワーク対応型の装置とした場合、前記顔検出結果や推論結果に対する修正操作や、補正後の画像に対する修正操作、確定操作を受け付けるには、前記コンピュータネットワークを介してユーザの端末装置と通信を行う必要がある。また,第2の画像編集装置における情報入力手段も同様に、コンピュータネットワークを介した通信により、情報入力を受け付けるように構成する必要がある。
【0055】
上記構成によれば、コンピュータネットワークを介して、ユーザーから画像の補正依頼を受け付け、補正後の画像を、印刷してユーザーに送付する処理を行うことができる。また、前記コンピュータネットワークを介して、補正後の画像をユーザーまたはユーザーの指定した配信先に送信することもできる。この場合、前記コンピュータネットワークを、インターネットのような汎用のネットワークとすれば、不特定多数のユーザーからの画像送信を受け付けることができる。ただし、これに限らず、会員登録を行ったユーザーからの画像送信のみを受け付けるようにしてもよい。
【0056】
さらに、上記の第1〜3の画像編集装置において、画像入力手段を動画像データを取り込むように構成した場合、補正後の画像を出力する出力手段は、DVD(ディジタル・ビデオ・ディスク)のような画像記憶媒体に画像を格納する手段として構成することができる。または、所定の表示装置に、補正後の画像を順に出力する動画像表示手段として構成することもできる。
【0057】
上記構成の画像編集装置によれば、動画像を構成する各フレーム毎の画像に、それぞれ適正な顔画像の補正処理を行うことができる。なお、この場合の画像検出処理において、前のフレームで検出した顔画像の特徴量を用いて被写体の顔画像を追跡するようにすれば、同じ被写体には同様の内容による補正処理を行うことが可能となるから、被写体が動いても、顔画像の状態が変化するような不具合が生じず、高品質の動画像を得ることができる。
【0058】
この発明にかかる第1の画像編集方法は、人物を撮像して得られた画像を入力するステップ、前記入力画像に含まれる被写体の顔画像を検出するステップ、前記検出された顔画像を含む画像領域内の特徴量に基づき、前記顔画像について、少なくとも人種、年齢、性別のいずれかに対する推論処理を実行するステップ、前記推論処理における推論結果に基づき、前記顔画像の補正処理内容を決定するステップ、前記決定した内容による補正処理を前記顔画像に対して実行するステップ、前記補正処理後の顔画像を出力するステップ、の各ステップを実行することを特徴とする。
【0059】
また、この発明にかかる第2の画像編集方法は、人物を撮像して得られた画像を入力するステップ、前記入力画像に含まれる被写体の顔画像を検出するステップ、所定数の被写体について、それぞれその被写体の顔画像の特徴量および顔画像の補正に必要な情報が登録されたデータベースを、前記検出された顔画像の特徴量により照合して、前記入力画像に含まれる被写体を推定するステップ、前記推定された被写体について、前記データベースに登録された補正に必要な情報を用いて、前記顔画像を補正するステップ、前記補正処理後の顔画像を出力するステップ、の各ステップを実行することを特徴とする。
【0060】
さらに、この発明にかかる第3の画像編集方法は、人物を撮像して得られた画像を入力するステップ、前記入力画像に含まれる被写体の顔画像を検出するステップ、前記被写体について、その顔画像の補正処理内容を示す情報の入力を受け付けるステップ、前記検出された顔画像に対し、前記入力された情報に基づく内容による補正処理を実行するステップ、前記補正処理後の顔画像を出力するステップ、の各ステップを実行することを特徴とする。
【0061】
上記第1〜3の画像編集方法は、いずれも、各ステップを実行するためのプログラムをコンピュータに組みこむことにより実施することができる。いずれの方法も、画像編集を目的とする専用の装置のほか、パーソナルコンピュータのような汎用の装置において実行することができる。さらに、インターネットのようなコンピュータネットワークにおいて、各端末からの画像の送信を受け付けて編集処理を行うサーバシステムでも、各方法を実行することができる。
【0062】
【発明の実施の形態】
図1は、この発明が適用された画像編集装置の構成を示す。
この画像編集装置100は、写真印刷のサービスを行う業者の店内に設置されるもので、顧客のディジタルカメラにより得た画像、または印刷された写真から読み取った画像に補正処理を施し、その補正処理後の画像を印刷する処理を行うものである。なお、画像編集装置100は、業者の係員が操作する装置としても良いが、これに限らず、顧客自身が操作を行うセルフサービス式の機械として構成することもできる(以下の説明では、装置の操作を行う者のことを、「ユーザー」という。)。
【0063】
前記画像編集装置100は、コンピュータから成る本体部1に、イメージスキャナ2(以下、単に「スキャナ2」という。)、メモリカードリーダー3、入力部9、モニタ10、プリンタ11などの周辺機器を接続して成る。なお、前記スキャナ2は、印刷された写真を読み取るタイプのものに限らず、フィルムからの読み取りを専用に行うフィルム・スキャナとすることもできる。
【0064】
前記本体部1は、CPU4、メモリ5のほか、画像入力インターフェース6、USBインターフェース7、および、入出力インターフェース8を具備する。なお、図示のメモリ5は、ハードディスクのような大容量メモリであり、ROMやRAMはCPU4に含まれるものとする。メモリ5には、ウィンドウズ(登録商標)のようなオペレーティングシステムや、図2に示す各処理部に対応するプログラム、ユーザーデータベース47、補正内容を導き出すための設定テーブルなどが格納される。さらに、このメモリ5には、処理対象の画像を一時保存するための作業領域も設定される。
【0065】
画像入力インターフェース6は、前記スキャナ2をCPU4に接続するためのものである。USBインターフェース7は、ユニバーサル・シリアル・バス(Universal Serial Bus)の規格に準拠するインターフェースであって、前記メモリカードリーダー3をCPU4に接続するのに用いられる。なお、このUSBインターフェース7には、メモリカードリーダー3に代えて、ディジタルカメラを接続することもできる。
【0066】
入出力インターフェース8は、前記入力部9、モニタ10、プリンタ11の接続に使用される。モニタ10やプリンタ11は、カラー画像に対応する規格のものであり、また、入力部9は、キーボードやマウスにより構成される。
【0067】
CPU4は、前記スキャナ2またはメモリカードリーダー3のいずれかを入力先として選択し、この選択した装置からディジタル画像データを取り込んで、後記する補正処理を実行する。補正後の画像は、モニタ10に表示された後、入力部11による印刷指定操作に応じてプリンタ11に出力され、印刷処理が実行される。
【0068】
上記構成において、CPU4には、メモリ5に保存されたプログラムにより、図2に示すような機能が設定されている。これらの機能により、この実施例の画像編集装置100では、人物の顔画像を含む画像を取り込んだ場合には、この顔画像の位置や大きさなどを特定するとともに、被写体である人物の人種、年齢、性別を推定し、その推定結果に適合する補正パラメータを決定した上で、被写体の顔画像を補正するようにしている。
【0069】
図2において、画像取得部41は、前記スキャナ2またはメモリカードリーダー3からのディジタル画像を処理対象の画像として取り込んで、前記作業領域に格納するためのものである。顔検出処理部42は、処理対象の画像から被写体の顔画像を検出する。顔領域設定部43は、この検出結果に応じて、前記顔画像を含む所定大きさの領域を設定する。なお、この領域は、以後の推論処理や補正処理の対象領域となるもので、以下、「顔領域」と呼ぶ。
【0070】
推論処理部44は、設定された顔領域につき、その領域内の特徴量に基づき、被写体の人種、年代、性別などを推論する。画像補正処理部45は、前記推論処理の結果に適合する補正内容を決定し、その決定した内容に基づく補正処理を実行する。補正画像出力部46は、補正処理後の画像をモニタ10やプリンタ11に出力するためのものである。
【0071】
なお、この実施例では、標準的な補正として、肌色調整および逆光時の明るさ補正のためにR,G,Bの各階調を補正する処理を行うようにしている。この処理のために、この実施例では、あらかじめ、人種、年代をそれぞれ複数のカテゴリーに分類し、これらのカテゴリー、性別、および逆光の有無の組み合わせ毎に補正項目を設定する(たとえば、「20代の白人女性の逆光なし時の補正」、「30代の黄色人男性の逆光時の補正」など)。そして各項目毎に、補正パラメータとして、各階調の増減量または増減率を設定した設定テーブルを作成して、メモリ5内に保存している。画像補正処理部45は、前記推論処理部44の推論結果をこの設定テーブルと照合することにより、推論結果に応じた補正パラメータを読み出すことができる。
【0072】
ユーザーデータベース47は、この画像編集装置100が過去に処理した顔画像について、補正前の顔画像の特徴量と実行された補正内容とを対応づけて蓄積するためのものである。このユーザーデータベース47内の登録情報は、後記するように、顔検出処理や画像補正処理に用いられるもので、各登録情報には、それぞれインデックス情報として、顔画像に対応する個人の名前と識別コードとが付与されている。
【0073】
ユーザーインターフェース制御部48は、前記顔領域の設定結果、推論結果、画像補正結果を確認して、その誤りを修正したり、追加の情報を入力するほか、補正画像に対する確定操作を行う際に、前記入力部9およびモニタ10を用いて前記操作を支援する。さらに、このユーザーインターフェース制御部48は、処理を終了した顔画像にかかる情報をユーザーデータベース47に登録する操作や、新たな処理対象の画像を処理する際に、ユーザーデータベース47から使用可能な登録情報を呼び出す操作を支援する。さらに、この実施例では、前記した標準の補正以外のオプションの補正項目を指定し、その補正パラメータを設定する作業を、ユーザーインターフェース制御部48により支援するようにしている。
【0074】
図3は、顔検出処理の結果の表示例であって、画像20中の各人物の顔画像上に、それぞれ顔領域の境界線に応じた枠画像21,22が表示されている。
ユーザーインターフェース制御部48は、このような表示とともに、顔領域の設定を修正する操作や新規の顔領域を設定する操作を行うための操作画面を設定して、各種操作を受け付け、その操作の内容を顔領域設定部43に出力する。顔領域設定部43は、この操作の内容に応じて、設定した顔領域の場所や大きさを修正したり、不要な顔領域を削除したり、新規の顔領域を設定したりする。
【0075】
推論結果や補正パラメータの修正などについても、同様に、画像を表示した上で修正操作を行うようにしている。なお、この実施例では、推論結果とともに、この推論結果から導き出した補正パラメータについても、修正を受け付けるようにしている。
【0076】
以下、上記画像編集装置における画像編集処理の詳細な流れを説明する。
図4は、前記図2の各処理部の機能を用いて画像を印刷するまでの一連の手順を示す。なお、以下の説明では、各ステップを「ST」として示す。
【0077】
まず、ST1で、処理対象の画像を入力して前記メモリの作業領域に格納した後、つぎにST2に進んで、顔検出処理を実行する。
この顔検出処理では、入力画像に所定大きさの検索領域を走査して、顔画像の特徴点を検索する処理を行う。なお、画像上における顔画像の大きさは、撮影時の被写体までの距離やレンズ 倍率によって変わってくるので、前記検索処理では、検索領域の大きさを段階的に変更しながら、入力画像を繰り返し検索するのが望ましい。
【0078】
つぎのST3では、検出された顔画像について、以後の処理対象領域となる顔領域を設定する。
図5は、前記顔領域の設定例、およびこの設定に使用する各パラメータの具体例を示す。図示例では、顔画像中の各特徴点の中から、鼻の最も高い位置に対応する特徴点Pを検出し、この点Pの座標(xP,yP)を顔の検出位置としている。また、この点Pを起点にして、各種方向毎に額と髪との境界を検索し、この境界に相当する特徴点の中から点Pとの距離が最短になる点Qを求め、この点Qと前記点Pとの間の距離を、顔の大きさrとする。さらに、点Pから点Qの方向を向くベクトルCを設定し、画像の水平方向(x軸方向)に対する前記ベクトルCのなす角度を、顔の傾きθとして計測する。
【0079】
この実施例では、前記点Pの座標(xP,yP)、顔の大きさr、および顔の傾きθを、顔領域設定用のパラメータとしている。図5のUは、各パラメータにより設定された顔領域の一例である。この顔領域Uの大きさは、前記顔の大きさrに基づいて決められたものであり、その中心が点Pに対応し、また主軸がx軸に対して前記角度θだけ傾いた状態になるように、設定されている。
【0080】
図4に戻って、このようにして顔領域を設定すると、つぎのST4では、前記モニタ10に、顔領域の設定結果を、前記枠画像として表示する。この表示に対し、修正操作がなされると、その操作に応じて、顔領域設定用のパラメータの修正処理を行う(ST5,6)。
なお、ST5の修正操作は、設定された顔領域の位置や大きさを変更する操作のほか、顔領域を削除する操作、新たな顔領域を設定する操作も含む。これに対応して、ST6では、顔領域設定用のパラメータの値を変更する処理のほか、パラメータを削除する処理、新規のパラメータを設定する処理を実行する。
【0081】
顔領域の修正処理が行われた後に確定操作が行われると、ST7に進み、確定した顔領域について、種々の推論処理を実行する。なお、ST4での枠画像の表示に対し、修正操作が行われずにすぐに確定操作が行われた場合には、ST5が「NO」となってST7に進み、ST3で設定した顔領域に対する推論処理を実行する。
【0082】
ST7では、設定された顔領域につき、人種、年代、性別、および逆光の有無を推定するようにしている。人種の推定処理は、前記した非特許文献1に基づいて行うことも可能であるが、この実施例では、処理時間の短縮のために、顔領域内の輝度分布を用いて、人種および逆光の有無を同時に推定するようにしている。
【0083】
図6は、被写体や照明環境が異なる3つの事例について、顔領域内におけるR,G,Bの各色データおよび明度L(R,G,Bの総和平均)毎に検出したヒストグラムの例を示す。なお、ヒストグラムのスケールは、階調であって、図中、紙面の右方向にいくほど明るい状態を示す。
【0084】
図6(1)は、適正な照明環境で黄色人を撮影した場合のヒストグラムである。この場合のヒストグラムは、各色データとも、比較的に明るい方への分布が優勢となっており、とりわけ赤色成分の強度が強調された状態となる。
【0085】
図6(2)は、図6(1)と同じ黄色人を逆光状態で撮影した場合のヒストグラムである。この場合のヒストグラムでは、各色データの出現率は、図6(1)に比べて大幅に低下し、また暗い側に集中した分布状態となる。
【0086】
図6(3)は、適正な照明環境で黒人を撮影した場合のヒストグラムである。この場合のヒストグラムでは、暗い側と明るい側の両方にピークを持つ分布状態が得られる(暗い側は皮膚に対応し、明るい側は目や歯に対応すると考えられる。)
【0087】
この実施例では、あらかじめ、各人種毎に、それぞれ照明状態などが異なる複数種の撮影環境について輝度ヒストグラムのテンプレートを用意しており、処理対象の顔領域について検出したヒストグラムを各テンプレートと照合することにより、人種および逆光の有無を推定するようにしている。なお、前記ヒストグラムを、顔領域全体に限らず、目の部分や口の部分など、局所的な領域の輝度分布も検出して判別処理に利用するようにすれば、推定結果をより確かなものとすることができる。
【0088】
なお、年代,性別の推定は、非特許文献2に示すように、各器官にかかる特徴点の持つ特徴量を、サポートベクタマシンと称される推定システムに与える方法により実行するが、必ずしもこの方法に限定されるものではない。
【0089】
図4に戻って、一連の推論処理が終了すると、ST8では、この推論結果に基づきメモリ5内の設定テーブルを照合して、補正パラメータを決定する。
【0090】
つぎのST9では、前記推論結果および補正パラメータの内容を示す情報を、入力画像とともに表示する。この表示画面上で、所定の推論結果または補正パラメータを指定して修正する操作が行われると、ST10が「YES」となり、ST11において、前記修正に応じて、補正パラメータを修正する。
【0091】
ST11では、たとえば、表示画面上の顔画像にマウスカーソルを近づけると、その顔画像に対応する推論結果や補正パラメータを示す情報が表示され、修正を受け付けるようにすることができる。なお、ここで表示する補正パラメータは、具体的な数値ではなく、たとえば、「色白にする」「普通の肌色にする」「色黒にする」といった具体的な補正内容に置き換えて示すのが望ましい。
【0092】
さらに、オプションの補正を指定する操作が行われた場合は、ST12が「YES」となってST13に進み、ユーザーの操作に応じて、オプションの補正項目および補正パラメータを設定する処理を実行する。
なお、このST13でも、「シミ除去処理」「肌のスムージング補正」というように、具体的な補正内容をメニュー表示し、さらに選択操作に応じて細かい補正の内容を指定するメニューを提示すれば、ユーザーの要望に応じた補正項目と補正パラメータとを簡単に設定することができる。
【0093】
前記推論結果および補正パラメータに対する修正操作や、オプション補正の設定は、繰り返し実行することが可能である。所定の時点で、ユーザーが確定操作を行うと、ST14が「YES」となり、ST15において、その時点で設定されている補正項目および補正パラメータに基づき、画像補正処理を実行する。
【0094】
この後は、ST16において、補正処理後の画像(以下、「補正画像」という。)を表示する。なお、この実施例では、補正画像がユーザーの意図するものでない場合には、補正項目や補正パラメータを変更して再補正を実行できるように、印刷指定操作および再設定操作のいずれかを受け付けるようにしている。ここで、再設定操作があると、ST17が「NO」、ST18が「YES」となって、ST10に戻り、再度、推論結果や補正項目を修正したり、オプションの補正を追加することが可能となる。そして、再度の確定操作に応じてST15を実行することにより、前記入力画像の再補正処理が行われる。
【0095】
所定の時点での補正画像の表示に対して、印刷指定操作が行われると、ST17が「YES」となり、ST19に進む。ST19では、この時点で得ている補正画像をプリンタ11に出力し、印刷処理を行わせる。
【0096】
上記図4の手順によれば、標準設定された補正内容の中から被写体の人種、年代、性別に適合するものを自動的に選択して、写真として印刷することができる。また、推論結果に誤りがあったり、標準的な補正処理がユーザーの意図するものでない場合には、適宜、ユーザーインターフェースを用いて簡単に修正を行うことができるから、精度の高い補正処理を簡単に行うことができる。
【0097】
つぎに、前記したユーザーデータベース47内の登録情報を利用することにより、過去に処理対象とした顔画像に同じ内容の補正処理を実行する手順について説明する。
【0098】
図7の手順は、顔画像を検出した後に、この検出した顔画像に対応する登録情報を検索し、登録情報があれば、その情報に含まれる補正項目、補正パラメータを用いた補正を行うようにしたものである。
【0099】
まず、ST21〜23において、前記図4のST1〜3と同様の処理により、入力画像中の顔画像を検出して顔領域を設定する。つぎのST24では、検出した顔画像の特徴量を用いてユーザーデータベース47を検索する。この結果、前記顔画像の特徴量に類似する特徴量を含む登録情報が見つかると、ST25からST26に進み、この登録情報に含まれる補正項目および補正パラメータに基づき、前記顔領域内の画像を補正する。なお、この補正処理を行う前には、ヒットした登録情報のインデックス情報(前記した個人名など)を表示し、ユーザーに確認させるようにするのが望ましい。
【0100】
つぎのST27では、前記補正処理により得た補正画像を表示する。この実施例でも、この補正画像がユーザーの意図するものでなかった場合には、再補正ができるように、修正指定を受け付けるようにしている。修正指定操作があると、ST28が「NO」、ST30が「YES」となって、ST31に進み、前記補正処理に使用した補正項目および補正パラメータを表示する。この表示に対し、修正操作が行われると、ST32からST33に進み、前記修正操作に応じて補正項目や補正パラメータを修正する。そして、つぎのST34では、修正後の補正項目および補正パラメータに基づき、前記入力画像を再補正し、しかる後にST27に戻る。
【0101】
このようにして、所定の時点での補正画像の表示に対し、印刷指定操作が行われると、ST28が「YES」となってST29に進み、前記補正画像の印刷処理が実行される。
【0102】
なお、前記ST24の検索処理において、検出した顔画像に対応する登録情報が見つからなかった場合には、ST25が「NO」となるが、この場合には、前記図4のST4以降の処理が行われる。
【0103】
つぎに、図8の手順では、前記ユーザーデータベース47に補正処理の対象となる人物の情報が登録されていることを前提として、その人物を特定する識別データを入力することにより、補正処理対象の人物を指定するようにしている。さらに、この手順では、複数の画像を順に入力し、この中から前記指定した人物を含む画像を検出し、その画像に登録情報に沿った補正処理を行うようにしている。
【0104】
なお、識別データは、ユーザーデータベースのインデックス情報に対応するものであり、画像入力に先立ち、最初のST41で入力される。図8には示していないが、CPU4は、この識別データの入力があると、ユーザーデータベース47を検索し、該当する登録情報を特定する。
【0105】
この後、ST42において、処理対象の画像を入力すると、つぎのST43では、前記識別データに対応する登録情報に含まれる特徴量により前記入力画像を検索する。この検索処理により、登録情報に類似する特徴量を持つ画像領域が見つかると、この領域を前記顔画像として特定する。これによりST44が「YES」となってST45に進み、前記登録情報に含まれる補正項目および補正パラメータによる補正処理を実行する。
【0106】
この後は、ST46からST42に戻る。よって、以下、処理対象の画像を順に取り込みながら、顔検出処理および補正処理を実行することになる。なお、ST43の検索処理において前記登録情報に類似する特徴量を持つ画像領域が見つからなかった場合には、ST44が「NO」となり、ST45の補正処理はスキップされる。
【0107】
このようにしてすべての画像に対する処理が終了すると、ST46が「YES」となってST47に進み、補正画像を表示する。なお、この実施例でも、前記図7の実施例と同様に、修正指定操作があれば、使用した補正項目および補正パラメータを表示して修正操作を受け付け、修正操作に応じて補正項目、補正パラメータを修正し、画像の再補正処理を行う(ST50〜54)。そして、所定の時点で印刷指定操作があると、ST48が「YES」となってST49に進み、補正画像の印刷処理を実行する。
【0108】
なお、ST48以降の手順は、説明を簡単にするために、図7のST28以降と同様の流れにしてあるが、実際の処理においては、補正処理が行われた画像1枚1枚を順に表示して、印刷や再補正を個別に行うようにするのが望ましい。
【0109】
上記図7,8の実施例によれば、既に補正処理の対象となり、ユーザーデータベース47に登録された人物であれば、過去に実行した補正内容を呼び出して、同様の補正処理を実行することが可能となるので、一度、詳細に補正の内容を設定して登録しておけば、以後は、同じ内容の補正処理を速やかに実行することができる。また図8の実施例によれば、複数枚の画像の中から処理対象の人物が含まれる画像を自動的に選択して、補正処理を施すことができる。
【0110】
なお、図7,8において、登録された補正内容による補正処理を行った後に、補正項目や補正パラメータを修正した場合には、その修正された補正項目や補正パラメータにより登録情報を書き換えることができる。また、いずれの実施例では、最終的には印刷指定操作によって、必ず画像印刷処理を行わせるようにしているが、これに限らず、キャンセル操作によって、印刷処理を中止できるようにしてもよい。
【0111】
また、このように、各人の顔画像の特徴量と固有の補正内容とを登録する場合には、最初の登録時の画像に対しては、顔画像の検出処理のみを実行し、具体的な補正項目や補正パラメータは、ユーザーに入力させるようにしてもよい。この場合、前記したメニュー表示による設定に代えて、画像補正用ソフトの機能等を用いて、入力画像をユーザーに補正させ、その補正内容に該当する補正項目や補正パラメータを登録するようにしてもよい。
【0112】
ところで、ここまでに示した実施例は、図1に示した構成の画像編集装置100で実行されるものであるが、この種の画像処理は単体の装置に限らず、インターネットのようなコンピュータネットワーク上で展開することもできる。
【0113】
図9は、インターネットを利用した画像編集システムの例を示す。図中、ユーザーPC103,ユーザー携帯104は、任意のユーザーが使用する端末装置であり、インターネット102を介して画像編集サーバー101との通信が可能に設定される。なお、「PC」はパーソナルコンピュータを、「携帯」は携帯電話を、それぞれ意味する。
【0114】
画像編集サーバー101は、前記図2に示した各機能を具備するもので、各ユーザーの端末装置103,104から送信される画像を受け付け、前記図7,8,9の各実施例と同様の処理を実行することができる。なお、この装置における画像取得部41は、インターネット102からの画像送信を受け付けるように設定される。また、ユーザーインターフェース制御部48は、画像や各種操作用のメニュー画面等を提示したWebページを、インターネット102を介して端末装置103,104に配信するように設定される。
【0115】
また補正画像出力部46は、補正処理後の画像を端末装置103,104に送信するものとすることができる。また、このシステムの利用を会員登録制として、画像編集サーバー101、またはこのサーバーに接続される事務管理用サーバー(図示せず。)に、各会員の住所データベースを持たせたり、各ユーザーに住所等の情報を送信させるようにすれば、図1の画像編集装置100と同様に、補正画像出力部46により補正処理後の画像を印刷し、得られた写真をユーザーの元に送付することもできる。なお、画像の送信先、送付先は、ユーザーの元に限らず、ユーザーにより指定された第3者とすることもできる。
【0116】
上記画像編集システムによれば、パーソナルコンピュータを使用するユーザーは、このコンピュータにディジタルカメラやメモリカードを接続して画像データの読み込みを行い、画像編集サーバー101に送信して、編集サービスを受けることができる。また、カメラ機能が組みこまれた携帯電話を使用するユーザーであれば、撮影を行った後、その撮影によって得た画像をそのまま画像編集サーバー101に送信して、編集サービスを受けることができる。このように、ユーザーは、インターネット102を介した通信により、自身の撮影により得た画像の補正を簡単に依頼できる上、顔画像が適正に補正された補正画像を簡単に得ることができ、利便性を大いに高めることができる。
【0117】
なお、前記図1の画像編集装置100や図9の画像編集サーバー101には、あらかじめ顔画像の検出処理や推論処理を経て、これらの処理結果を示す情報がリンクした画像を入力することもできる。このような画像によれば、リンク情報を用いて、顔画像の検出処理を簡単に実行した後、推論情報に基づき補正内容を速やかに決定することができ、処理を高速化できる。
【0118】
【発明の効果】
この発明によれば、被写体の顔画像を検出し、この顔画像に適切な補正内容を決定した上で画像補正処理を行うことができるので、個々の被写体について、鮮明かつ実物のイメージに近くなるように、顔画像を補正することが可能となる。また、適宜、推論結果や補正内容を修正できるようにすることによって、各人の要望に応じた詳細な補正を簡単に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明が適用された画像編集装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図1の画像編集装置のCPUに設定される機能を示す図である。
【図3】顔領域の検出結果の表示例を示す図である。
【図4】画像編集処理の一連の手順を示すフローチャートである。
【図5】顔領域設定用のパラメータの例を示す図である。
【図6】顔領域内の輝度分布を人種や照明状態の違い毎に示すヒストグラムである。
【図7】登録情報を用いて画像補正を行う場合の手順を示すフローチャートである。
【図8】登録情報を用いて画像補正を行う場合の手順を示すフローチャートである。
【図9】この発明が適用された画像編集システムの構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
100 画像編集装置
101 画像編集サーバー
1 本体部
2 スキャナ
3 メモリカードリーダー
4 CPU
5 メモリ
9 入力部
11 プリンタ
41 画像取得部
42 顔検出処理部
43 顔領域設定部
44 推論処理部
45 画像補正処理部
46 補正画像出力部
47 ユーザーデータベース
48 ユーザーインターフェース制御部
Claims (13)
- 人物を撮像して得られた画像を入力する画像入力手段と、
前記入力画像に含まれる被写体の顔画像を検出する顔画像検出手段と、
前記顔画像検出手段により検出された顔画像を含む画像領域内の特徴量に基づき、前記顔画像について、少なくとも人種、年齢、性別のいずれかに対する推論処理を実行する推論手段と、
前記推論手段による推論結果に基づき、前記顔画像の補正処理内容を決定する決定手段と、
前記顔画像に対し、前記決定手段が決定した内容による補正処理を実行する顔画像補正手段と、
前記顔画像補正手段による補正処理後の画像を出力する画像出力手段とを具備して成る画像編集装置。 - 人物を撮像して得られた画像を入力する画像入力手段と、
前記入力画像に含まれる被写体の顔画像を検出する顔画像検出手段と、
所定数の被写体について、それぞれその被写体の顔画像の特徴量およびその顔画像の補正に必要な情報を前記被写体に固有の識別情報に対応づけた登録情報を保持する登録手段と、
前記顔画像検出手段により検出された顔画像の特徴量を前記登録手段の登録情報と照合して前記被写体を推定する推論手段と、
前記推論手段により推定された被写体の登録情報を用いて前記検出された顔画像の補正処理を実行する顔画像補正手段と、
前記顔画像補正手段による補正処理後の画像を出力する画像出力手段とを具備して成る画像編集装置。 - 請求項1または2に記載された画像編集装置において、
前記顔画像検出手段は、前記顔画像の検出結果に対する修正操作を受け付けて、前記顔画像の検出結果を修正する手段を含んで成る画像編集装置。 - 請求項1〜3のいずれかに記載された画像編集装置において、
前記推論手段は、前記推論結果に対する修正操作を受け付けて、前記推論結果を修正する手段を含んで成る画像編集装置。 - 請求項1〜4のいずれかに記載された画像編集装置において、前記顔画像補正手段は、補正処理後にその補正内容の修正操作を受け付けて、修正された内容に基づき前記顔画像の再補正を実行する手段を含み、
前記画像出力手段は、確定操作に応じて、その時点における最新の補正処理画像を出力する画像編集装置。 - 人物を撮像して得られた画像を入力する画像入力手段と、
前記入力画像に含まれる被写体の顔画像を検出する顔画像検出手段と、
前記被写体について、その顔画像の補正処理内容を示す情報を入力するための情報入力手段と、
前記顔画像検出手段により検出された顔画像に対し、前記情報入力手段より入力された情報に基づく内容による補正処理を実行する顔画像補正手段と、
前記顔画像補正手段による補正処理後の画像を出力する画像出力手段とを具備して成る画像編集装置。 - 請求項1または6に記載された画像編集装置において、
前記顔画像検出手段により検出された顔画像の特徴量と顔画像補正手段が実行した補正処理内容とを対応づけた登録情報をメモリに登録する登録処理手段を具備し、
前記顔画像検出手段は、所定の登録情報を指定する操作に応じて、この指定された登録情報に含まれる特徴量を用いた検索処理により、前記入力画像から顔画像を検出することが可能に設定され、
前記顔画像補正手段は、前記検索処理により顔画像が検出されたとき、この検出された顔画像に対し、前記指定された登録情報に含まれる補正処理内容による補正処理を実行する画像編集装置。 - 請求項1〜7のいずれかに記載された画像編集装置において、前記顔画像検出手段は、前記画像入力手段より、被写体の顔画像の位置を示す情報をリンクさせた画像が入力されたとき、そのリンク情報に基づき顔画像を検出する画像編集装置。
- 請求項1〜8のいずれかに記載された画像編集装置において、前記画像出力手段は、前記補正処理後の画像を印刷する手段である画像編集装置。
- 請求項1〜8のいずれかに記載された画像編集装置において、前記画像入力手段は、コンピュータネットワークを介して処理対象の画像の送信を受ける手段であり、
前記画像出力手段は、補正後の画像を印刷する手段、または、前記コンピュータネットワークを介して前記画像の送信元もしくはこの送信元から指定された配信先に前記補正後の画像を送信する手段である画像編集装置。 - 人物を撮像して得られた画像を入力するステップ、
前記入力画像に含まれる被写体の顔画像を検出するステップ、
前記検出された顔画像を含む画像領域内の特徴量に基づき、前記顔画像について、少なくとも人種、年齢、性別のいずれかに対する推論処理を実行するステップ、
前記推論処理における推論結果に基づき、前記顔画像の補正処理内容を決定するステップ、
前記決定した内容による補正処理を前記顔画像に対して実行するステップ、
前記補正処理後の顔画像を出力するステップ、
の各ステップを実行することを特徴とする画像編集方法。 - 人物を撮像して得られた画像を入力するステップ、
前記入力画像に含まれる被写体の顔画像を検出するステップ、
所定数の被写体について、顔画像の特徴量および顔画像の補正に必要な情報が登録されたデータベースを、前記検出された顔画像の特徴量により照合して、前記入力画像に含まれる被写体を推定するステップ、
前記推定された被写体について、前記データベースに登録された補正に必要な情報を用いて、前記顔画像を補正するステップ、
前記補正処理後の顔画像を出力するステップ、
の各ステップを実行することを特徴とする画像編集方法。 - 人物を撮像して得られた画像を入力するステップ、
前記入力画像に含まれる被写体の顔画像を検出するステップ、
前記被写体について、その顔画像の補正処理内容を示す情報の入力を受け付けるステップ、
前記検出された顔画像に対し、前記入力された情報に基づく内容による補正処理を実行するステップ、
前記補正処理後の顔画像を出力するステップ、
の各ステップを実行することを特徴とする画像編集方法。
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