JP2004245760A - 圧力と加速度との双方を検出するセンサおよびその製造方法 - Google Patents

圧力と加速度との双方を検出するセンサおよびその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2004245760A
JP2004245760A JP2003037757A JP2003037757A JP2004245760A JP 2004245760 A JP2004245760 A JP 2004245760A JP 2003037757 A JP2003037757 A JP 2003037757A JP 2003037757 A JP2003037757 A JP 2003037757A JP 2004245760 A JP2004245760 A JP 2004245760A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
pressure
acceleration
sensor
side wall
weight body
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2003037757A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4335545B2 (ja
Inventor
Kazuhiro Okada
和廣 岡田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Wacoh Corp
Wako KK
Original Assignee
Wacoh Corp
Wako KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Wacoh Corp, Wako KK filed Critical Wacoh Corp
Priority to JP2003037757A priority Critical patent/JP4335545B2/ja
Publication of JP2004245760A publication Critical patent/JP2004245760A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4335545B2 publication Critical patent/JP4335545B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Abstract

【課題】単一の構造体により加速度と圧力との双方を検出する。
【解決手段】シリコンからなる可撓性基板100の上面に、不純物を拡散して、ピエゾ抵抗素子Rx1〜Rx4,Rp1,Rp2を形成する。中央部110の下面には、筒状の側壁部210を接合し、その下面に重錘体310を接合する。側壁部210の内部には、真空室Cが形成されるようにし、中央部110が感圧膜として機能するようにする。固定部130の下面には、台座220,320を接合する。重錘体310は、接続部121,123を介して、台座で囲まれた空間内で宙吊り状態になる。外部の圧力は、中央部110の撓みを抵抗素子Rp1,Rp2の抵抗値の変化として検出して求め、重錘体310に作用した加速度は、接続部121,123の撓みを抵抗素子Rx1〜Rx4の抵抗値の変化として検出して求める。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、圧力と加速度との双方を検出するセンサおよびその製造方法に関し、特に、小さな半導体チップ上に、圧力検出部と加速度検出部との双方を組み込むことが可能なセンサおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、様々な電子機器に、様々な物理量を検出するためのセンサが組み込まれている。このような電子機器に組み込むためのセンサは、できるだけ小型化することが望まれており、最近では、半導体チップを利用した量産タイプの小型センサが広く利用されている。たとえば、加速度を検出するためのセンサとしては、下記の特許文献1に、半導体基板上にピエゾ抵抗素子を形成してなる加速度センサが開示されており、特許文献2に、そのようなセンサを量産するためのプロセスが開示されている。一方、圧力を検出するためのセンサとしては、下記の特許文献3に、半導体ダイアフラム上にピエゾ抵抗素子を形成するタイプの圧力センサが開示されている。
【特許文献1】
特開平3−2535号公報
【特許文献2】
特開平4−81630号公報
【特許文献3】
特開平11−142270号公報
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、半導体チップを利用した小型のセンサとしては、加速度センサ、圧力センサ、力センサ、磁気センサなど種々のセンサが利用されている。しかしながら、電子機器によっては、複数の物理量を検出する必要があるものも少なくない。特に、加速度および圧力は、いずれも基本的な物理量であり、これら双方を検出して動作する電子機器も少なくない。ところが、加速度センサや圧力センサは、それぞれ単体としては、半導体チップを利用した小型のものが開発されているが、このような単体のセンサをそのまま電子機器に組み込むことにすると、加速度センサ用チップと圧力センサ用チップとの両方を組み込む必要があり、2つのセンサ分のスペースを占めることになる。このように、複数の物理量検出のために、複数のセンサを別体として設けることは、スペース効率を低下させる要因になり、更なる小型化を求められている電子機器にとっては重大な障害となる。
【0004】
そこで本発明は、単一の構造体により加速度と圧力との双方を検出することが可能なセンサおよびその製造方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
(1) 本発明の第1の態様は、圧力と加速度との双方を検出するセンサにおいて、
筒状の側壁部と、
この側壁部の上面を塞ぐように形成され、検出対象となる圧力の作用により撓みを生じる感圧膜と、
側壁部の下面を塞ぐように取り付けられた重錘体と、
重錘体の周囲に設けられた台座と、
台座と側壁部とを接続するとともに、検出対象となる加速度の作用により撓みを生じる接続部と、
感圧膜の撓みを電気信号として検出する圧力検出部と、
接続部の撓みを電気信号として検出する加速度検出部と、
を設け、側壁部、感圧膜、重錘体により封止された空間が密閉室を構成するようにしたものである。
【0006】
(2) 本発明の第2の態様は、圧力と加速度との双方を検出するセンサにおいて、
筒状の側壁部と、
この側壁部の上面を塞ぐように形成され、検出対象となる圧力の作用により撓みを生じる感圧膜と、
側壁部の下面を塞ぐように取り付けられた重錘体と、
重錘体の周囲に設けられた台座と、
台座と側壁部とを接続するとともに、検出対象となる加速度の作用により撓みを生じる接続部と、
感圧膜の撓みを電気信号として検出する圧力検出部と、
接続部の撓みにより生じた重錘体の変位を電気信号として検出する加速度検出部と、
を設け、側壁部、感圧膜、重錘体により封止された空間が密閉室を構成するようにしたものである。
【0007】
(3) 本発明の第3の態様は、圧力と加速度との双方を検出するセンサにおいて、
感圧膜として機能する中央部と、この中央部の周囲に設けられた接続部と、この接続部の周囲に設けられた固定部と、を有する可撓性基板と、
中央部の下面に固定された筒状の側壁部と、
側壁部の下面を塞ぐように取り付けられた重錘体と、
側壁部および重錘体の周囲に設けられ、固定部の下面に固定された台座と、
中央部の撓みを電気信号として検出する圧力検出部と、
接続部の撓みを電気信号として検出する加速度検出部と、
を設け、
接続部が、中央部と固定部とを接続する機能を果たすとともに、検出対象となる加速度の作用により撓みを生じるように構成され、
側壁部、中央部、重錘体により封止された空間が密閉室を構成するようにしたものである。
【0008】
(4) 本発明の第4の態様は、圧力と加速度との双方を検出するセンサにおいて、
感圧膜として機能する中央部と、この中央部の周囲に設けられた接続部と、この接続部の周囲に設けられた固定部と、を有する可撓性基板と、
中央部の下面に固定された筒状の側壁部と、
側壁部の下面を塞ぐように取り付けられた重錘体と、
側壁部および重錘体の周囲に設けられ、固定部の下面に固定された台座と、
中央部の撓みを電気信号として検出する圧力検出部と、
接続部の撓みにより生じた重錘体の変位を電気信号として検出する加速度検出部と、
を設け、
接続部が、中央部と固定部とを接続する機能を果たすとともに、検出対象となる加速度の作用により撓みを生じるように構成され、
側壁部、中央部、重錘体により封止された空間が密閉室を構成するようにしたものである。
【0009】
(5) 本発明の第5の態様は、上述の第3または第4の態様に係る圧力と加速度との双方を検出するセンサにおいて、
可撓性基板に形成されたスリットに挟まれた部分によって橋梁構造体が構成されており、この橋梁構造体が接続部として機能し、重錘体が台座に対して、橋梁構造体を介して支持されるようにしたものである。
【0010】
(6) 本発明の第6の態様は、上述の第1〜第5の態様に係る圧力と加速度との双方を検出するセンサにおいて、
圧力検出部として、感圧膜上に形成されたピエゾ抵抗素子を用い、このピエゾ抵抗素子の抵抗値の変化に基づいて圧力検出を行うようにしたものである。
【0011】
(7) 本発明の第7の態様は、上述の第1〜第5の態様に係る圧力と加速度との双方を検出するセンサにおいて、
圧力検出部として、感圧膜上に形成された変位電極と、この変位電極に対向する位置において台座もしくは重錘体に固定された固定電極と、によって構成される容量素子を用い、この容量素子の静電容量値の変化に基づいて圧力検出を行うようにしたものである。
【0012】
(8) 本発明の第8の態様は、上述の第1または第3の態様に係る圧力と加速度との双方を検出するセンサにおいて、
加速度検出部として、接続部に形成されたピエゾ抵抗素子を用い、このピエゾ抵抗素子の抵抗値の変化に基づいて加速度検出を行うようにしたものである。
【0013】
(9) 本発明の第9の態様は、上述の第2または第4の態様に係る圧力と加速度との双方を検出するセンサにおいて、
加速度検出部として、重錘体の変位に起因して変位を生じる変位面に形成された変位電極と、この変位電極に対向する位置において台座に固定された固定電極と、によって構成される容量素子を用い、この容量素子の静電容量値の変化に基づいて加速度検出を行うようにしたものである。
【0014】
(10) 本発明の第10の態様は、上述の第3または第4の態様に係る圧力と加速度との双方を検出するセンサを製造する方法において、
上から順に、第1層、第2層、第3層の3層を積層してなり、第1層と第2層とが互いにエッチング特性が異なり、第3層と第2層とが互いにエッチング特性が異なり、第1層が可撓性基板として機能するのに適した材質および厚みを有する第1の基板と、重錘体としての質量を確保するのに適した材質および厚みを有する第2の基板と、を用意する基板準備段階と、
第3層に対するエッチングと第2層に対するエッチングとを行い、これら各層の残存部により、台座の上部と側壁部とを形成するエッチング段階と、
所定圧力環境下で、第3層の残存部の下面に、第2の基板を接合する基板接合段階と、
第2の基板をエッチングもしくはダイシングにより分離し、台座の下部と重錘体とを形成する基板分離段階と、
圧力検出部および加速度検出部を形成する検出部形成段階と、
を行うようにしたものである。
【0015】
(11) 本発明の第11の態様は、上述の第10の態様に係る圧力と加速度との双方を検出するセンサの製造方法において、
第1層に対するエッチングを行うことにより複数のスリットを形成し、このスリットに挟まれた部分によって橋梁構造体を構成し、この橋梁構造体を接続部として用いることができるようにする橋梁構造体形成段階を更に行うようにしたものである。
【0016】
(12) 本発明の第12の態様は、上述の第10または第11の態様に係る圧力と加速度との双方を検出するセンサの製造方法において、
検出部形成段階で、第1層にピエゾ抵抗素子を形成し、このピエゾ抵抗素子を圧力検出部および加速度検出部として用いるセンサを構成するようにしたものである。
【0017】
(13) 本発明の第13の態様は、上述の第10〜第12の態様に係る圧力と加速度との双方を検出するセンサの製造方法において、
第1の基板としてSOI基板を用い、第2の基板としてガラス基板もしくはシリコン基板を用いるようにしたものである。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図示する実施形態に基づいて説明する。
【0019】
<<< §1.基本的実施形態の構造および動作 >>>
図1は、本発明の基本的実施形態に係る圧力と加速度との双方を検出するセンサの上面図である。ここでは、説明の便宜上、このセンサ上面の中心位置に原点Oを定義し、図の右方向にX軸、図の上方向にY軸、図の紙面垂直上方にZ軸をそれぞれ定義して、XYZ三次元座標系を考えることにする。したがって、センサ上面は、XY平面に含まれることになる。
【0020】
図2は、このセンサを図1のX軸(XZ平面)に沿って切断した側断面図である。図2に示されているとおり、このセンサは3層構造をなしている。すなわち、上層の構成要素は、可撓性基板100であり、中層の構成要素は、筒状の側壁部210および台座上部220であり、下層の構成要素は、重錘体310および台座下部320である。
【0021】
図3は、可撓性基板100の上面図である。図示のとおり、この可撓性基板100には、4か所にスリットS1〜S4が形成されている。これらスリットS1〜S4は、いずれも可撓性基板100の厚み方向に貫通するスリットになっており、これらスリットの存在により、可撓性基板100は、中央部110、4本の橋梁構造体121〜124、固定部130、4枚の翼状部125〜128の各部分に分けられる。中央部110は、中央部分に位置する正方形状の領域であり、図3に示すとおり、この中央部110の上面に、4本のピエゾ抵抗素子Rp1〜Rp4が形成されている。この4本のピエゾ抵抗素子Rp1〜Rp4は、後述するように、圧力検出部として機能する。
【0022】
一方、固定部130は、可撓性基板100の外周に位置する枠状部分であり、この固定部130と中央部110との間が、4本の橋梁構造体121〜124によって接続されていることになる。すなわち、4本の橋梁構造体121〜124は、中央部110の周囲に設けられ、固定部130に対する接続部として機能することになる。なお、4枚の翼状部125〜128は、スリットS1〜S4を形成したために形成された部分であり、ここに示す実施形態では、特有の機能は有していない。したがって、翼状部125〜128は除去してもかまわない(除去した場合、スリットS1〜S4の代わりに、4か所に正方形状の開口窓が形成されることになる)。
【0023】
図3に示されているとおり、4本の橋梁構造体121〜124の上面にも、それぞれ2本もしくは4本ずつピエゾ抵抗素子が形成されている。具体的には、橋梁構造体121の上面には、X軸正方向上にピエゾ抵抗素子Rx1,Rx2が配置され、橋梁構造体122の上面には、Y軸正方向に平行となるようにピエゾ抵抗素子Ry1,Ry2およびRz1,Rz2が配置され、橋梁構造体123の上面には、X軸負方向上にピエゾ抵抗素子Rx3,Rx4が配置され、橋梁構造体124の上面には、Y軸負方向に平行となるようにピエゾ抵抗素子Ry3,Ry4およびRz3,Rz4が配置されている。これら橋梁構造体上に配置されているピエゾ抵抗素子は、後述するように、加速度検出部として機能する。
【0024】
図4は中層の構成要素である側壁部210および台座上部220を示す横断面図であり、図2に示すセンサを切断線4−4に沿って切断した断面を示す。図示のとおり、側壁部210は、断面が正方形状の筒状の構造体であり、可撓性基板100の中央部110の周囲下面に接合されている(図1の破線が、可撓性基板100に対する側壁部210の接続位置を示している)。一方、台座上部220は、枠状の構造体であり、固定部130の下面に接合されている。
【0025】
図5は下層の構成要素である重錘体310および台座下部320を示す横断面図であり、図2に示すセンサを切断線5−5に沿って切断した断面を示す。図示のとおり、重錘体310はブロック状の構造体であり、加速度検出に用いられる。図1には、この重錘体310のスリットS1〜S4から覗いている一部分が実線で示され、その他の部分が破線で示されている。重錘体310の上面は、側壁部210の下面に接合されている。一方、台座下部320は、枠状の構造体であり、台座上部220の下面に接合されている。
【0026】
なお、ここに示す実施形態では、台座上部220の平面形状と台座下部320の平面形状とは同一になっているが、台座下部320は台座上部220を支持する機能を有していればよいので、両者の平面形状は必ずしも同一にする必要はない。また、ここに示す実施例では、台座を、台座上部220と台座下部320との接合体として構成しているが、もちろん、台座上部220と台座下部320とを単一の台座として一体構造にしてもかまわない。
【0027】
ここで、可撓性基板100は、可撓性をもった基板であり、検出対象となる圧力や加速度の作用により、その一部分が撓みを生じる構造となっている。たとえば、シリコン基板などの半導体基板により可撓性基板100を構成する場合、厚みをある程度まで小さくすることにより、可撓性基板100に必要な可撓性をもたせることが可能である。
【0028】
図2に示すとおり、筒状の側壁部210の上面は、可撓性基板100の中央部110に接合され、下面は、重錘体310の上面に接合されている。ここで、各面の接合は、十分に密閉性を有する接合となっており、側壁部210、中央部110、重錘体310によって封止された空間Cが密閉室Cを構成するようになっている。したがって、たとえば、この密閉室Cを大気圧よりも圧力の小さい真空室としておき、このセンサを大気圧の環境で使用した場合、図示の密閉室Cを構成する各壁面には、内側へ向かう大気圧が加わることになる。このとき、可撓性をもった可撓性基板100の中央部110は、感圧膜として機能する。このように、感圧膜を密閉室Cに張ることにより、常に圧力の絶対値を測定することが可能になる。
【0029】
図6は、この感圧膜として機能する中央部110に、圧力Pが加わった状態を示す側断面図(XZ平面で切った断面図)である。ブロック状の重錘体310や側壁部210に比べて、中央部110の可撓性を十分に高く設定しておけば(たとえば、側壁部210の厚みに比べて、中央部110の厚みを十分に小さくしておけば)、大気圧などの外部環境の圧力は、このセンサの各部に作用するものの、この圧力によって密閉室Cの隔壁に生じる内側への変形は、専ら中央部110において生じることになり、感圧膜として機能する中央部110に撓みが生じることになる。このような撓みは、中央部110に形成された4本のピエゾ抵抗素子Rp1〜Rp4の抵抗値に基づいて検出することができる。
【0030】
たとえば、図6に示すように、中央部110が下方へ窪むような変形を生じた場合、図3に示す中央部110の外周位置に配置されたピエゾ抵抗素子Rp1およびRp2には、長手方向に伸びる応力が加わり、中央部110の中央位置に配置されたピエゾ抵抗素子Rp3およびRp4には、長手方向に縮む応力が加わる。したがって、可撓性基板100をシリコン基板により構成し、各ピエゾ抵抗素子をP型不純物ドープ層によって構成した場合、ピエゾ抵抗素子Rp1およびRp2の抵抗値は増加し、ピエゾ抵抗素子Rp3およびRp4の抵抗値は減少する(ピエゾ抵抗素子をN型不純物ドープ層によって構成した場合は、抵抗値の増減が逆になる。以下も同様)。
【0031】
もちろん、密閉室Cの圧力を大気圧よりも高くしておいた場合、このセンサを大気圧の環境で使用すると、図6とは逆に、感圧膜として機能する中央部110は、上方へ膨らむように外側に向けて変形する。この場合は、ピエゾ抵抗素子Rp1およびRp2には、長手方向に縮む応力が加わり、ピエゾ抵抗素子Rp3およびRp4には、長手方向に伸びる応力が加わることになり、抵抗値の増減の関係は、上述の場合と逆になる。
【0032】
結局、中央部110の撓みの形態は、密閉室C内の圧力と、このセンサが置かれた環境の圧力との比較の下に定まることになるが、密閉室C内の圧力と外部の圧力とが等しくなったときの各ピエゾ抵抗素子Rp1〜Rp4の抵抗値を基準として、これら各抵抗素子の増減を測定するようにすれば、増減の形態に基づいて外部の圧力が密閉室C内の圧力より高いか低いかを認識することができ、増減の程度に基づいてどの程度高いか低いかを認識することができる。
【0033】
なお、原理的には、上述したとおり、密閉室Cの圧力は、検出対象となる圧力(たとえば、大気圧)より低く設定しても、高く設定しても、圧力検出は可能になるが、実用上は、密閉室Cの圧力を大気圧に比べて十分に低く設定し、実質的に密閉室Cが真空室となるようにしておくのが好ましい。これは、センサの温度特性を改善させるためである。すなわち、密閉室C内の空気は、温度により膨張するので、密閉室C内に空気が含まれていると、温度が上昇すると、感圧膜として機能する中央部110に内圧が加わり、撓みの状態に変化が生じることになる。そのため、ピエゾ抵抗素子Rp1〜Rp4の抵抗値は、温度によっても変化してしまうことになり、温度条件の変化により、検出値に誤差が生じることになる。したがって、実用上は、密閉室C内はできるだけ高い真空度に維持するようにし、温度依存性を排除するようにするのが好ましい。
【0034】
続いて、このセンサに加速度が作用した場合を考えてみよう。図2に示すとおり、重錘体310は、筒状の側壁部210を介して中央部110の下面に接合されており、この中央部110は4本の橋梁構造体121〜124によって固定部130(および台座上部220、台座下部320)に固定されているので、重錘体310は、その周囲を取り囲むように設けられた台座220,320に対して、4本の橋梁構造体121〜124を介して宙吊りの状態になっている。したがって、重錘体310に加速度が加わると、この加速度に起因した力により、可撓性をもった橋梁構造体121〜124が撓みを生じ、重錘体310が変位することになる。
【0035】
たとえば、重錘体310に対して、X軸正方向への加速度αxが作用すると、図7の側断面図(XZ平面で切った断面図)に示すとおり、重錘体310に対して、加速度αxに応じた力Fxが加わることになり、重錘体310がX軸正方向へと変位することになる。この変位量は、加わった加速度の大きさに応じたものになる。このような変位は、主として、4本の橋梁構造体121〜124の撓みによって生じる。このとき、X軸に沿って、橋梁構造体121,123上に配置されたピエゾ抵抗素子Rx1〜Rx4には、物理的な伸縮の変化が生じ、抵抗値に変化が生じることになる。具体的には、ピエゾ抵抗素子Rx1およびRx3には、長手方向に縮む応力が加わり、ピエゾ抵抗素子Rx2およびRx4には、長手方向に伸びる応力が加わる。したがって、可撓性基板100をシリコン基板により構成し、各ピエゾ抵抗素子をP型不純物ドープ層によって構成した場合、ピエゾ抵抗素子Rx2およびRx4の抵抗値は増加し、ピエゾ抵抗素子Rx1およびRx3の抵抗値は減少する。一方、X軸負方向への加速度−αxが作用すると、ピエゾ抵抗素子Rx1〜Rx4の伸縮が逆になり、抵抗値の増減も逆になる。
【0036】
また、重錘体310に対して、Y軸方向への加速度が作用した場合は、Y軸に関して上述と同様の現象が生じるので、Y軸に沿って橋梁構造体122,124上に配置されたピエゾ抵抗素子Ry1〜Ry4の抵抗値の増減により、作用した加速度を検出することができる。
【0037】
一方、重錘体310に対して、Z軸正方向への加速度αzが作用した場合は、図8の側断面図(XZ平面で切った断面図)に示すとおり、重錘体310に対して、加速度αzに応じた力Fzが加わることになり、重錘体310がZ軸正方向へと変位することになる。このとき、Y軸に沿って、橋梁構造体122,124上に配置されたピエゾ抵抗素子Rz1〜Rz4のうち、内側に配置された2つの抵抗素子Rz2,Rz3には、長手方向に伸びる応力が加わり、外側に配置された2つの抵抗素子Rz1,Rz4には、長手方向に縮む応力が加わる(抵抗素子Rx1〜Rx4やRy1〜Ry4に関しても同様の応力が加わるが、Z軸方向の加速度検出には、抵抗素子Rz1〜Rz4を用いる)。したがって、可撓性基板100をシリコン基板により構成し、各ピエゾ抵抗素子をP型不純物ドープ層によって構成した場合、ピエゾ抵抗素子Rz2およびRz3の抵抗値は増加し、ピエゾ抵抗素子Rz1およびRz4の抵抗値は減少する。逆に、Z軸負方向への加速度が作用した場合は、抵抗値の増減が逆になる。
【0038】
ここに示す実施形態の場合、圧力を検出するためのピエゾ抵抗素子Rp1〜Rp4、X軸方向の加速度を検出するためのピエゾ抵抗素子Rx1〜Rx4、Y軸方向の加速度を検出するためのピエゾ抵抗素子Ry1〜Ry4、Z軸方向の加速度を検出するためのピエゾ抵抗素子Rz1〜Rz4を、それぞれ4本ずつ設けているが、これは図9(a) 〜(d) に示すようなブリッジ回路を構成することにより、それぞれのブリッジ電圧として、圧力、X軸方向の加速度、Y軸方向の加速度、Z軸方向の加速度を検出できるようにするためである。
【0039】
すなわち、圧力は、ピエゾ抵抗素子Rp1〜Rp4により図9(a) に示すブリッジ回路を形成し、電源410から図示のような電圧を印加したときのブリッジ電圧を電圧計415で測定することにより得ることができる。測定した電圧値の符号は、密閉室C内の圧力に対して、測定対象となる外部の圧力が高いか低いかを示す情報となり、測定した電圧値の絶対値は、密閉室C内の圧力に比べて、どの程度高いかもしくは低いかを示す情報となる。
【0040】
同様に、X軸方向の加速度は、ピエゾ抵抗素子Rx1〜Rx4により図9(b) に示すブリッジ回路を形成し、電源420から図示のような電圧を印加したときのブリッジ電圧を電圧計425で測定することにより得ることができ、Y軸方向の加速度は、ピエゾ抵抗素子Ry1〜Ry4により図9(c) に示すブリッジ回路を形成し、電源430から図示のような電圧を印加したときのブリッジ電圧を電圧計435で測定することにより得ることができ、Z軸方向の加速度は、ピエゾ抵抗素子Rz1〜Rz4により図9(d) に示すブリッジ回路を形成し、電源440から図示のような電圧を印加したときのブリッジ電圧を電圧計445で測定することにより得ることができる。いずれの場合も、測定した電圧値の符号は、測定対象となる加速度の向きを示す情報となり、測定した電圧値の絶対値は、測定対象となる加速度の大きさを示す情報となる。
【0041】
結局、図1に示すセンサの上層を構成する可撓性基板100は、中央部110と、この中央部110の周囲に設けられた接続部として機能する4本の橋梁構造体121〜124と、更にその周囲に設けられた固定部130と、を有する構造をなしており、中央部110の下面には、筒状の側壁部210が接合され、更に、この側壁部210の下面を塞ぐように重錘体310が取り付けられている。このため、所定の圧力をもった密閉室Cが形成されることになり、中央部110は検出対象となる圧力の作用により撓みを生じる感圧膜として機能し、外圧に応じて変形する。この中央部110の変形は、ピエゾ抵抗素子Rp1〜Rp4の抵抗値の変化として検出することが可能であり、ピエゾ抵抗素子Rp1〜Rp4は、感圧膜の撓みを電気信号として検出する圧力検出部として機能することになる。
【0042】
一方、加速度の検出に関しては、側壁部210および重錘体310の周囲を取り囲むように、かつ、固定部130の下面に固定されるように台座(台座上部220および台座下部320)が設けられており、4本の橋梁構造体121〜124によって宙吊り状態となった重錘体310が、加速度に起因する力の作用により変位することになるので、この変位によって生じた橋梁構造体121〜124の撓みを、ピエゾ抵抗素子Rx1〜Rx4,Ry1〜Ry4,Rz1〜Rz4の抵抗値の変化として検出することにより、加速度の各軸方向成分を求めることが可能になる。ここで、ピエゾ抵抗素子Rx1〜Rx4,Ry1〜Ry4,Rz1〜Rz4は、接続部として機能する橋梁構造体121〜124の撓みを電気信号として検出する加速度検出部として機能することになる。
【0043】
このように、本発明に係るセンサによれば、加速度センサ用の重錘体の一部に、感圧膜を有する密閉室を組み込むようにしたため、単一の構造体により加速度と圧力との双方を検出することが可能になる。
【0044】
なお、検出感度をできるだけ高めるためには、各ピエゾ抵抗素子は、できるだけ撓みによる応力が集中する箇所に配置するのが好ましい。図1には、各ピエゾ抵抗素子を最も応力が集中する箇所に配置した例が示されている(各ピエゾ抵抗素子の符号は図3参照)。すなわち、圧力検出用のピエゾ抵抗素子Rp1〜Rp4については、外側の抵抗素子Rp1,Rp2の外側端が、側壁部210の壁面内側位置に揃うように配置し、内側の抵抗素子Rp3,Rp4をほぼ中央位置に配置している。一方、加速度検出用のピエゾ抵抗素子のうち、橋梁構造体の外側に配置されるRx1,Rx4,Ry1,Ry4,Rz1,Rz4については、その外側端が、橋梁構造体の外側端に揃うように配置し、橋梁構造体の内側に配置されるRx2,Rx3,Ry2,Ry3,Rz2,Rz3については、その内側端が、橋梁構造体の内側端に揃うように配置してある。
【0045】
<<< §2.変形例の構造および動作 >>>
続いて、本発明に係るセンサの変形例をいくつか述べておく。まず、本発明を実施する上で、中央部110と固定部130とを接続する接続部は、必ずしも橋梁構造体にする必要はない。図10は、スリットを有しない可撓性基板100Aによって構成したセンサの実施例を示す上面図である。可撓性基板100Aは、1枚の平板状の基板であり、その中央付近の下面に筒状の側壁部210(図では破線で示されている)が接合され、更にこの側壁部210の下面に重錘体310が接合される点は、§1で述べた基本的実施形態と全く同様である。また、可撓性基板100Aの周囲部分の下面に台座上部220、更にその下面に台座下部320(いずれも図では破線で示されている)が接合される点も、§1で述べた基本的実施形態と全く同様である。ただ、可撓性基板100Aにはスリットは形成されておらず、橋梁構造体も形成されていない。
【0046】
図示のとおり、可撓性基板100Aの中央の側壁部210に囲まれた内側部分が中央部110Aを構成し、台座上部220が接合された周囲の枠状部分が固定部130Aを構成し、この中央部110Aと固定部130Aとの間の板状領域が接続部120Aを構成することになる。この板状領域からなる接続部120Aに、§1で述べた実施形態における4本の橋梁構造体121〜124から構成される接続部と同等の可撓性をもたせるためには、厚みをより小さくするか、より可撓性の高い材料を用いるなどの工夫が必要になるものの、この図10に示す変形例に係るセンサも、§1で述べた基本的実施形態に係るセンサと同じ原理により、圧力と加速度との双方の検出が可能である。
【0047】
要するに、図10に示すセンサでは、可撓性基板100Aは1枚のダイアフラムとしての機能を果たすことになる。もっとも、できるだけ検出感度を高めるためには、§1で述べた基本的な実施形態のように、ビーム構造をもった橋梁構造体によって接続部を構成するのが好ましい。橋梁構造体によって接続部を構成すれば、この接続部の可撓性を、可撓性基板100の厚みだけでなく、橋梁構造体の幅や長さによって制御することができるため、所望の検出感度をもったセンサを製造しやすくなる。
【0048】
また、§1で述べた実施形態に係るセンサでは、図2に示すように、全体的に3層からなる構造を有しているが、もちろん、本発明に係るセンサの構造部分は、必ずしも3層構造をとる必要はない。図11に示す変形例は、2層構造によって、本発明に係るセンサの構造部分を実現したものである。図11は、図2に示す基本的な実施形態と同様に、この変形例に係るセンサを、XZ平面で切った側断面図である。この図11の変形例のセンサの下層部分は、重錘体310と台座下部320とによって構成されており、これは図2に示すセンサと全く同様である。ただ、この変形例では、上層部分が、1枚のシリコン基板700によって構成されている。
【0049】
シリコン基板700の下面には、エッチングなどの加工により、溝が掘られており、その結果、感圧膜として機能する中央部710と、この中央部710の下面周囲を取り囲むように設けられた側壁部720と、この側壁部720の更に周囲を取り囲むように設けられた膜状の接続部730と、その更に周囲を取り囲むように設けられた台座上部740と、が形成されている。この台座上部740は、台座下部320に接合されており、側壁部720の下面には、重錘体310が接合されている。したがって、中央部710、側壁部720、重錘体310の上面によって、密閉室(真空室)Cが形成されることになる。
【0050】
ここで、感圧膜となる中央部710上に圧力検出用ピエゾ抵抗素子Rp1〜Rp4が形成され、膜状の接続部730上に加速度検出用ピエゾ抵抗素子Rx1〜Rx4,Ry1〜Ry4,Rz1〜Rz4が形成されている点は、図2に示すセンサと同様である。もちろん、膜状の接続部730の代わりに、何本かの橋梁構造体を設けることも可能である。
【0051】
また、§1で述べた基本的な実施形態では、スリットS1〜S4を有する可撓性基板100を用いることにより、4本の橋梁構造体121〜124を構成し、この4本の橋梁構造体121〜124を接続部として用いて、中央部110と固定部130とを接続していた。しかしながら、接続部として機能する橋梁構造体は必ずしも4本にする必要はなく、たとえば、2本にしてもよいし、1本でもかまわない。橋梁構造体を1本にした場合は、いわゆる片持ち梁構造により、重錘体が台座に対して支持されることになる。
【0052】
図12および図13に示す変形例は、このような片持ち梁構造をもったセンサである。図12は、このセンサの上面図、図13は、このセンサをXZ平面で切った側断面図である。図13に示されているとおり、このセンサも2層構造を有しており、上層部分は、1枚のシリコン基板800の下面をエッチングすることにより構成されている。すなわち、上層部分は、感圧膜810と、この感圧膜810の下面周囲を取り囲むように設けられた側壁部820と、この側壁部820を一方側から支持する接続部830(片持ち梁として機能する橋梁構造体)と、この接続部830を固定する台座上部840と、によって構成されている。また、下層部分は、重錘体850と台座下部860とによって構成されており、たとえば、ガラス基板を切断することにより形成することができる。重錘体850の上面は、側壁部820の下面に接合され、台座下部860の上面は、台座上部840の下面に接合される。したがって、感圧膜810、側壁部820、重錘体850の上面によって、密閉室(真空室)Cが形成されることになる。
【0053】
この変形例では、台座上部840もしくは台座下部860の部分を装置筐体などに固定した状態にしても、接続部830が可撓性を有しているため、重錘体850をZ軸方向に変位させることができる。このような変位は、接続部830上に設けられた加速度検出用ピエゾ抵抗素子Rz1,Rz2の抵抗値を測定することにより検出することができ、このセンサをZ軸方向に関する1軸加速度センサとして用いることができる。また、感圧膜810の上面には、圧力検出用ピエゾ抵抗素子Rp1〜Rp4が形成されており、これらの抵抗値を測定することにより圧力検出も可能になる。
【0054】
一方、§1で述べた基本的実施形態では、圧力検出部および加速度検出部として、いずれもピエゾ抵抗素子を用いているが、本発明を実施するにあたり、各検出部としては、必ずしもピエゾ抵抗素子を用いる必要はない。
【0055】
たとえば、圧力検出部は、感圧膜として機能する中央部110の撓みを電気信号として検出する機能をもっていれば足りるので、たとえば、一対の電極からなる容量素子によって圧力検出部を構成することも可能である。具体的には、図2において、中央部110に電極(中央部110の撓みとともに変位を生じるため、ここでは変位電極と呼ぶ)を形成しておき、この変位電極の上方位置に、所定間隔をおいて対向するようにもう1枚の電極(中央部110の撓みにかかわらず固定されているため、ここでは固定電極と呼ぶ)を形成しておき、この固定電極が何らかの方法で台座に固定されるような構造(たとえば、可撓性基板100の上方に所定間隔をおいて導電性材料からなる補助基板を配置し、この補助基板を、固定部130の上に配置した枠状台座によって固定する構造とすれば、この補助基板自身を固定電極として利用できる)にしておけば、変位電極と固定電極とにより容量素子が形成されることになる。しかも、検出対象となる圧力に応じて、変位電極の位置が変動するため、この容量素子の電極間隔が変動し、その静電容量値も変動することになる。したがって、この容量素子を圧力検出部として用い、その静電容量値を検出することにより、圧力の検出を行うことが可能になる。
【0056】
なお、固定電極は、必ずしも台座に固定する必要はなく、重錘体310側に固定するようにしてもかまわない。たとえば、図2において、中央部110を導電性材料で構成し、重錘体310を導電体で構成しておけば、変位電極として機能する中央部110と、固定電極として機能する重錘体310の上面の一部とによって容量素子が構成される。しかも、その電極間隔は、検出対象となる圧力によって変動するので、この容量素子の静電容量値に基づいて、作用した圧力を検出することが可能である。
【0057】
また、加速度検出部は、接続部の撓みもしくは重錘体の変位を電気信号として検出する機能をもっていれば足りるので、こちらも一対の電極からなる容量素子によって構成することが可能である。たとえば、§1で述べた実施形態では、接続部(橋梁構造体)の撓みを検出するために、ピエゾ抵抗素子を加速度検出部として用いたが、重錘体の変位を検出することにすれば、容量素子を加速度検出部として利用することができる。具体的には、図3に示す4枚の翼状部125〜128の上面に、それぞれ電極を形成するようにすれば、これらの電極は重錘体310の変位に応じて所定の変位を生じるため、変位電極として機能することになる。そこで、可撓性基板100の上方に、前述したような導電性材料からなる補助基板を配置し、この補助基板自身を共通の固定電極として利用するようにすれば、4枚の変位電極と、これに対向する1枚の固定電極と、によって、独立した4組の容量素子が構成されることになる。この4組の容量素子の静電容量値の増減パターンを解析すれば、重錘体310がいずれの方向に変位を生じたかを認識することができ、作用した加速度の各座標軸方向成分を検出することが可能になる。
【0058】
図14は、容量素子を利用したセンサの別な変形例を示す上面図である。このセンサの最上層は、導電性の基板を、4本のスリットS5〜S8によって、各部に分離することにより形成されており、感圧膜として機能する中央部910、可撓性をもった橋梁構造体によって構成される4本の接続部911〜914、4枚の固定電極915〜918によって構成されている。中央部910の下面には、断面が8角形をなす筒状の側壁部920が接合されており、更に、この筒状の側壁部920の下面には、ブロック状の重錘体930が接合されている。また、4本の接続部911〜914および4枚の固定電極915〜918の外側部分は、正方形状の枠体をなす台座940の上面に固定されている。重錘体930は、可撓性をもった4本の接続部911〜914によって支持されている形になるため、台座940に囲まれた空間内において所定の自由度をもって変位する。
【0059】
ここで、重錘体930は、導電性材料によって構成されており、この重錘体930の上面は、4枚の固定電極915〜918に部分的に対向している。したがって、この対向部分によって、4組の容量素子が形成されることになり、これら容量素子の電極間隔は、重錘体930の変位の態様によって変化する。結局、この4組の容量素子の静電容量値を測定することにより、重錘体930の変位の態様および変位の量を認識することが可能になり、重錘体930に作用した加速度を検出することが可能になる。
【0060】
一方、中央部910、側壁部920、重錘体930の上面によって、密閉室(真空室)Cが形成されており、圧力は、感圧膜として機能する中央部910の撓みを測定することにより検出できる。図14には、この圧力検出を行うための素子は図示されていないが、たとえば、中央部910上にピエゾ抵抗素子を形成しておけば、その抵抗値を測定することにより圧力検出ができる。あるいは、中央部910の上方に所定間隔をおいて固定電極を配置し、中央部910と当該固定電極とにより容量素子を形成しておけば、この容量素子の静電容量値を測定することにより圧力検出ができる。
【0061】
<<< §3.センサの製造方法 >>>
最後に、§1で述べた基本的実施形態に係るセンサを量産するのに適した製造方法を述べておく。図15および図16は、この製造方法を示す側断面図である。ここで、図16(b) および(c) は、図1に示すセンサを切断線16b−16bの位置で切断した断面を示す側断面図であるが、その他はすべてX軸(XZ平面)で切断した断面を示す側断面図である。
【0062】
まず、図15(a) に示すように、上から順に、第1層510、第2層520、第3層530の3層を積層してなる第1の基板500を用意する。このとき、第1層510と第2層520とは互いにエッチング特性が異なり、また、第3層530と第2層520とは互いにエッチング特性が異なるような材料基板を用意するようにする。これは、後述するエッチングプロセスにおいて、特定の層に対するエッチング時に、別な層がエッチングを受けないようにするためである。また、この第1の基板500における第1層510は、§1で述べたセンサにおける可撓性基板100を構成する部分になるので、可撓性基板100として機能するのに適した材質および厚みを有する層になるようにする。
【0063】
実用上、このような第1の基板500としては、SOI(Silicon On Insulator)基板を用いるのが好ましい。SOI基板は、半導体装置を製造するための基板として、種々の分野で利用されており、用途に応じた様々な種類のSOI基板が入手可能である。ここでは、第1層510がシリコン、第2層520が酸化シリコン、第3層530がシリコンから構成されているSOI基板を用いた例を説明する。なお、ここで実際に用いたSOI基板は、第1層510の厚みが5μm、第2層520の厚みが1μm、第3層530の厚みが500μm程度のものであるが、本願図面では、便宜上、各部の寸法比を無視した構造図を示すことにする。
【0064】
さて、第1の基板500が用意できたら、図15(b) に示すように、第1層510の上面に、ピエゾ抵抗素子を形成する。図15(b) には、これらピエゾ抵抗素子の一部しか示されていないが、図3の上面図に示すように、合計16本のピエゾ抵抗素子Rp1〜Rp4,Rx1〜Rx4,Ry1〜Ry4,Rz1〜Rz4が形成されることになる。たとえば、第1の基板500として、シリコン/酸化シリコン/シリコンなるSOI基板を用いた場合、第1層510の所定位置に、P型不純物もしくはN型不純物(基板の不純物とは異なる型の不純物)をイオン注入もしくは熱拡散することにより、これらピエゾ抵抗素子を形成することができる。これらピエゾ抵抗素子が、圧力検出部および加速度検出部として機能することは、既に述べたとおりである。
【0065】
続いて、第3層530に対する下面側からのエッチングを行い、図15(c) に示すように、その残存部により側壁部の一部531と台座の一部532とを形成し、更に、第2層520に対するエッチングを行い、図15(d) に示すように、その残存部により側壁部の一部521と台座の一部522とを形成する。ここで、側壁部の一部521,531によって構成される部分が、図2に示す側壁部210に相当する部分となり、台座の一部522,532によって構成される部分が、図2に示す台座上部220に相当する部分となる。結局、この図15(c) ,(d) に示す工程は、第3層530に対するエッチングと第2層520に対するエッチングとを行い、これら各層の残存部により、図2に示す台座上部220と側壁部210に相当する部分を形成する工程ということになる。
【0066】
なお、第1の基板500として、シリコン/酸化シリコン/シリコンなるSOI基板を用いた場合、第3層530に対するエッチングは、シリコンに対しては腐食性を有するが、酸化シリコンに対しては腐食性を有しないエッチング液、たとえば、KOHなどを用いて行うことができ、第2層520に対するエッチングは、酸化シリコンに対しては腐食性を有するが、シリコンに対しては腐食性を有しないエッチング液、たとえば、バッファド弗酸(HF:NHF=1:10の混合液)などを用いて行うことができる。
【0067】
上述のエッチングプロセスでは、第1層510と第2層520とが、エッチング特性の異なる材料から構成されているため、第2層520に対するエッチングでは、第1層510はエッチングされることなしに残ることになる。これは、所望の検出感度をもったセンサを製造する上では非常に重要である。すなわち、第1層510は、可撓性基板100として機能する層であり、橋梁構造体121〜124を構成する層であるが、その厚みは、第2層520に対するエッチングプロセスにより変化することはなく、常に一定に保つことができる。したがって、このセンサを大量生産した場合であっても、橋梁構造体121〜124の厚みは、最初に用意した第1の基板の第1層510の厚みに等しくなり、ロットごとに感度がばらつくことを避けることができる。
【0068】
続いて、重錘体としての質量を確保するのに適した材質および厚みを有する第2の基板600を用意し、これを上述のエッチングプロセスを経た第1の基板500の下面に接合する。図16(a) は、このような接合が完了した状態を示す側断面図である。このとき、側壁部531の底面と第2の基板600の上面との間が密閉され、所定の圧力をもった密閉室Cが形成されるようにする。前述したとおり、圧力検出値の温度依存性を極力排除するためには、密閉室Cを真空室にするのが好ましい。そこで、実際には、所定の真空度に維持された真空チャンバ内で、両者を密接に接合する工程を行うようにすればよい。ここに示す例では、第2の基板600としてガラス基板を用いており、このガラス基板を、所定の真空度が確保された真空チャンバ内において、側壁部531および台座532の底面に対して、陽極接合により接合するようにし、所定の真空度をもった密閉室Cが確保されるようにしている。もちろん、第2の基板600としては、シリコン基板など、別な材質の基板を用いてもかまわない。
【0069】
なお、図16に示す第2の基板600の底面には、底面の中央部分に溝G1が形成されているが、これは最終的に、重錘体の底面を台座の底面よりも若干上げるような構造にするための配慮である。このような溝G1は、予めエッチングや切削加工により、第2の基板600の底面に形成しておけばよい。
【0070】
続いて、第1層510に対して上面側からのエッチングを行い、スリットS1〜S4を形成する。図16(b) は、このようなエッチングにより、スリットS1〜S4を形成した状態を示す側断面図(図1の切断線16b−16bの位置で切断した側断面図)である。このエッチングの残存部により、図3に示す中央部110、橋梁構造体121〜124、翼状部125〜128、固定部130に相当する部分が形成されることになる。このエッチングは、たとえば、シリコンに対しては腐食性を有するが、酸化シリコンに対しては腐食性を有しないKOHなどのエッチング液を用いて行えばよい。このエッチング液は、第1層510だけでなく、側壁部531や台座532に対しても腐食性を有するが、エッチング液が第1層510の部分だけに作用するようなエッチング方法を採ったり、エッチング時間を適当に制御する方法を採ることにより、側壁部531や台座532に対しては、実質的にエッチングが進行しないようにすることができる。もちろん、この第1層510に対するエッチング工程は、必ずしもこの段階で行う必要はなく、たとえば、図15(b) に示す工程の後に行ってもよい。
【0071】
なお、上述した第1層510に対するエッチング工程は、スリットS1〜S4の形成により、接続部として機能する橋梁構造体121〜124を構成するための工程であるので、図10に示す実施形態(スリットを形成せず、可撓性基板100A全体をダイアフラムとして用いる実施形態)に係るセンサを製造する場合には、このエッチング工程は不要である。
【0072】
最後に、第2の基板600をエッチングもしくはダイシング(機械的な切削)により分離し、台座の下部と重錘体とを形成するプロセスを行う。具体的には、図16(b) に破線で示す部分(平面的には、図5に示す重錘体310と台座下部320との空隙部分)をエッチングもしくはダイシングにより除去すれば、第2の基板600を、図2に示す重錘体310および台座下部320に相当する部分に分けることができる。かくして、図2に示す構造と同等の構造をもったセンサが得られる。第2の基板600がガラス基板のときは、ダイシングによる分離が好ましいが、シリコン基板のときは、ICPエッチング法による分離を行うこともできる。
【0073】
なお、この最後の工程をダイシングで行う場合には、図16(c) に示すように、予め、第2の基板600の上面のダイシング位置近傍に、溝G2(平面的には、図5に示す重錘体310と台座下部320との空隙部分に相当する枠状の溝)を形成しておくのが好ましい。このような溝G2を形成しておくことにより、ダイシングブレードによる切削工程をより容易に行うことが可能になる。
【0074】
このように、SOI基板のような3層基板を第1の基板500として用いると、第1層510の厚みがそのまま可撓性基板100の厚みとなり、感圧膜の厚みを正確に制御することが可能になり、圧力センサとしての感度を正確に制御することが可能になる。一方、加速度センサとしての感度は、可撓性基板100の厚みだけではなく、橋梁構造体の幅や長さ、重錘体310の質量や重心位置によって定まるため、スリットの形成位置、第2の基板600の厚み、ダイシング位置などによって制御することが可能である。したがって、本発明に係るセンサは、同じ構造体でありながら、圧力の検出感度と加速度の検出感度とをそれぞれ独立して設定することが可能になり、所望の圧力検出感度および所望の加速度検出感度をもったセンサを自由に製造することが可能になる。
【0075】
以上、§1で述べた基本的実施形態に係るセンサの製造方法を述べたが、§2で述べたように、圧力検出部や加速度検出部に容量素子を用いる変形例のセンサを製造する場合には、第1層510の上面にピエゾ抵抗素子を形成するプロセスの代わりに、変位電極として機能する導電層を形成するプロセスを行うようにし、別途、固定電極としての構造体を設けるプロセスを行えばよい。
【0076】
【発明の効果】
以上のとおり、本発明に係る圧力と加速度との双方を検出するセンサによれば、加速度検出を行うための重錘体の一部に圧力検出用の密閉室および感圧膜を組み込む構造にしたため、単一の構造体により加速度と圧力との双方を検出することが可能なセンサを実現することができ、また、本発明に係るセンサの製造方法によれば、このようなセンサを効率的に量産することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の基本的実施形態に係る圧力と加速度との双方を検出するセンサの上面図である。
【図2】図1に示すセンサを、X軸(XZ平面)に沿って切断した側断面図である。
【図3】図1に示すセンサの上層の構成要素である可撓性基板100の上面図である。
【図4】図1に示すセンサの中層の構成要素である側壁部210および台座上部220を示す横断面図であり、図2に示すセンサを切断線4−4に沿って切断した断面を示す。
【図5】図1に示すセンサの下層の構成要素である重錘体310および台座下部320を示す横断面図であり、図2に示すセンサを切断線5−5に沿って切断した断面を示す。
【図6】図1および図2に示すセンサにおいて、感圧膜として機能する中央部110に、圧力Pが加わった状態を示す側断面図(XZ平面で切った断面図)である。
【図7】図1および図2に示すセンサにおいて、重錘体310に、加速度に起因するX軸正方向の力Fxが加わった状態を示す側断面図(XZ平面で切った断面図)である。
【図8】図1および図2に示すセンサにおいて、重錘体310に、加速度に起因するZ軸正方向の力Fzが加わった状態を示す側断面図(XZ平面で切った断面図)である。
【図9】図1および図2に示すセンサに用いる検出回路の一例を示す回路図である。
【図10】図1および図2に示すセンサの変形例を示す上面図である。
【図11】2層構造によって形成された本発明に係るセンサの変形例を示す側断面図(XZ平面で切った断面図)である。
【図12】片持ち梁構造をもった本発明に係るセンサの変形例を示す上面図である。
【図13】図12に示すセンサをXZ平面で切った断面を示す側断面図である。
【図14】容量素子を利用した本発明に係るセンサの変形例を示す上面図である。
【図15】図1および図2に示すセンサの製造方法の前半段階のプロセスを示す側断面図(いずれも、XZ平面で切った断面図)である。
【図16】図1および図2に示すセンサの製造方法の後半段階のプロセスを示す側断面図((a) はXZ平面で切った断面図、(b) および(c) は図1の切断線16b−16bに沿って切った断面図)である。
【符号の説明】
100,100A…可撓性基板
110,110A…中央部(感圧膜)
120A…接続部
121〜124…橋梁構造体
125〜128…翼状部
130,130A…固定部
210…側壁部
220…台座上部
310…重錘体
320…台座下部
410…電源
415…電圧計
420…電源
425…電圧計
430…電源
435…電圧計
440…電源
445…電圧計
500…第1の基板(SOI基板)
510…第1層(シリコン層)
520…第2層(酸化シリコン層)
521…側壁部の一部
522…台座の一部
530…第3層(シリコン層)
531…側壁部の一部
532…台座の一部
600…第2の基板(ガラスもしくはシリコン基板)
700…シリコン基板
710…中央部(感圧膜)
720…側壁部
730…接続部
740…台座上部
800…シリコン基板
810…感圧膜
820…側壁部
830…接続部(橋梁構造体)
840…台座上部
850…重錘体
860…台座下部
910…中央部(感圧膜)
911〜914…接続部(橋梁構造体)
915〜918…固定電極
920…側壁部
930…重錘体
940…台座
C…密閉室(真空室)
Fx…X軸正方向の力
Fz…Z軸正方向の力
G1,G2…溝
O…座標系の原点
P…圧力
Rp1〜Rp4…圧力検出用ピエゾ抵抗素子
Rx1〜Rx4…X軸方向の加速度検出用ピエゾ抵抗素子
Ry1〜Ry4…Y軸方向の加速度検出用ピエゾ抵抗素子
Rz1〜Rz4…Z軸方向の加速度検出用ピエゾ抵抗素子
S1〜S8…スリット
X,Y,Z…座標軸

Claims (13)

  1. 筒状の側壁部と、
    この側壁部の上面を塞ぐように形成され、検出対象となる圧力の作用により撓みを生じる感圧膜と、
    前記側壁部の下面を塞ぐように取り付けられた重錘体と、
    前記重錘体の周囲に設けられた台座と、
    前記台座と前記側壁部とを接続するとともに、検出対象となる加速度の作用により撓みを生じる接続部と、
    前記感圧膜の撓みを電気信号として検出する圧力検出部と、
    前記接続部の撓みを電気信号として検出する加速度検出部と、
    を備え、前記側壁部、前記感圧膜、前記重錘体により封止された空間が密閉室を構成することを特徴とする圧力と加速度との双方を検出するセンサ。
  2. 筒状の側壁部と、
    この側壁部の上面を塞ぐように形成され、検出対象となる圧力の作用により撓みを生じる感圧膜と、
    前記側壁部の下面を塞ぐように取り付けられた重錘体と、
    前記重錘体の周囲に設けられた台座と、
    前記台座と前記側壁部とを接続するとともに、検出対象となる加速度の作用により撓みを生じる接続部と、
    前記感圧膜の撓みを電気信号として検出する圧力検出部と、
    前記接続部の撓みにより生じた前記重錘体の変位を電気信号として検出する加速度検出部と、
    を備え、前記側壁部、前記感圧膜、前記重錘体により封止された空間が密閉室を構成することを特徴とする圧力と加速度との双方を検出するセンサ。
  3. 感圧膜として機能する中央部と、この中央部の周囲に設けられた接続部と、この接続部の周囲に設けられた固定部と、を有する可撓性基板と、
    前記中央部の下面に固定された筒状の側壁部と、
    前記側壁部の下面を塞ぐように取り付けられた重錘体と、
    前記側壁部および前記重錘体の周囲に設けられ、前記固定部の下面に固定された台座と、
    前記中央部の撓みを電気信号として検出する圧力検出部と、
    前記接続部の撓みを電気信号として検出する加速度検出部と、
    を備え、
    前記接続部が、前記中央部と前記固定部とを接続する機能を果たすとともに、検出対象となる加速度の作用により撓みを生じるように構成され、
    前記側壁部、前記中央部、前記重錘体により封止された空間が密閉室を構成することを特徴とする圧力と加速度との双方を検出するセンサ。
  4. 感圧膜として機能する中央部と、この中央部の周囲に設けられた接続部と、この接続部の周囲に設けられた固定部と、を有する可撓性基板と、
    前記中央部の下面に固定された筒状の側壁部と、
    前記側壁部の下面を塞ぐように取り付けられた重錘体と、
    前記側壁部および前記重錘体の周囲に設けられ、前記固定部の下面に固定された台座と、
    前記中央部の撓みを電気信号として検出する圧力検出部と、
    前記接続部の撓みにより生じた前記重錘体の変位を電気信号として検出する加速度検出部と、
    を備え、
    前記接続部が、前記中央部と前記固定部とを接続する機能を果たすとともに、検出対象となる加速度の作用により撓みを生じるように構成され、
    前記側壁部、前記中央部、前記重錘体により封止された空間が密閉室を構成することを特徴とする圧力と加速度との双方を検出するセンサ。
  5. 請求項3または4に記載のセンサにおいて、
    可撓性基板に形成されたスリットに挟まれた部分によって橋梁構造体が構成されており、この橋梁構造体が接続部として機能し、重錘体が台座に対して、前記橋梁構造体を介して支持されることを特徴とする圧力と加速度との双方を検出するセンサ。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のセンサにおいて、
    圧力検出部として、感圧膜上に形成されたピエゾ抵抗素子を用い、このピエゾ抵抗素子の抵抗値の変化に基づいて圧力検出を行うことを特徴とする圧力と加速度との双方を検出するセンサ。
  7. 請求項1〜5のいずれかに記載のセンサにおいて、
    圧力検出部として、感圧膜上に形成された変位電極と、この変位電極に対向する位置において台座もしくは重錘体に固定された固定電極と、によって構成される容量素子を用い、この容量素子の静電容量値の変化に基づいて圧力検出を行うことを特徴とする圧力と加速度との双方を検出するセンサ。
  8. 請求項1または3に記載のセンサにおいて、
    加速度検出部として、接続部に形成されたピエゾ抵抗素子を用い、このピエゾ抵抗素子の抵抗値の変化に基づいて加速度検出を行うことを特徴とする圧力と加速度との双方を検出するセンサ。
  9. 請求項2または4に記載のセンサにおいて、
    加速度検出部として、重錘体の変位に起因して変位を生じる変位面に形成された変位電極と、この変位電極に対向する位置において台座に固定された固定電極と、によって構成される容量素子を用い、この容量素子の静電容量値の変化に基づいて加速度検出を行うことを特徴とする圧力と加速度との双方を検出するセンサ。
  10. 請求項3または4に記載のセンサを製造する方法において、
    上から順に、第1層、第2層、第3層の3層を積層してなり、前記第1層と前記第2層とが互いにエッチング特性が異なり、前記第3層と前記第2層とが互いにエッチング特性が異なり、前記第1層が可撓性基板として機能するのに適した材質および厚みを有する第1の基板と、重錘体としての質量を確保するのに適した材質および厚みを有する第2の基板と、を用意する基板準備段階と、
    前記第3層に対するエッチングと前記第2層に対するエッチングとを行い、これら各層の残存部により、台座の上部と側壁部とを形成するエッチング段階と、
    所定圧力環境下で、前記第3層の残存部の下面に、前記第2の基板を接合する基板接合段階と、
    前記第2の基板をエッチングもしくはダイシングにより分離し、台座の下部と重錘体とを形成する基板分離段階と、
    圧力検出部および加速度検出部を形成する検出部形成段階と、
    を有することを特徴とする圧力と加速度との双方を検出するセンサの製造方法。
  11. 請求項10に記載のセンサの製造方法において、
    第1層に対するエッチングを行うことにより複数のスリットを形成し、このスリットに挟まれた部分によって橋梁構造体を構成し、この橋梁構造体を接続部として用いることができるようにする橋梁構造体形成段階を更に有することを特徴とする圧力と加速度との双方を検出するセンサの製造方法。
  12. 請求項10または11に記載のセンサの製造方法において、
    検出部形成段階で、第1層にピエゾ抵抗素子を形成し、このピエゾ抵抗素子を圧力検出部および加速度検出部として用いるセンサを構成することを特徴とする圧力と加速度との双方を検出するセンサの製造方法。
  13. 請求項10〜12のいずれかに記載のセンサの製造方法において、
    第1の基板としてSOI基板を用い、第2の基板としてガラス基板もしくはシリコン基板を用いることを特徴とする圧力と加速度との双方を検出するセンサの製造方法。
JP2003037757A 2003-02-17 2003-02-17 圧力と加速度との双方を検出するセンサおよびその製造方法 Expired - Fee Related JP4335545B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003037757A JP4335545B2 (ja) 2003-02-17 2003-02-17 圧力と加速度との双方を検出するセンサおよびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003037757A JP4335545B2 (ja) 2003-02-17 2003-02-17 圧力と加速度との双方を検出するセンサおよびその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2004245760A true JP2004245760A (ja) 2004-09-02
JP4335545B2 JP4335545B2 (ja) 2009-09-30

Family

ID=33022459

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003037757A Expired - Fee Related JP4335545B2 (ja) 2003-02-17 2003-02-17 圧力と加速度との双方を検出するセンサおよびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4335545B2 (ja)

Cited By (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006242594A (ja) * 2005-02-28 2006-09-14 Mitsumi Electric Co Ltd 3軸加速度センサおよびその製造方法
JP2006250581A (ja) * 2005-03-08 2006-09-21 Mitsumi Electric Co Ltd 3軸加速度センサモジュールおよびその製造方法
CN100335865C (zh) * 2005-06-30 2007-09-05 西安交通大学 一种多传感器集成芯片
US7398684B2 (en) 2005-03-09 2008-07-15 Ricoh Company, Ltd. Semiconductor sensor having weight of material different than that of weight arranging part
JP2009098022A (ja) * 2007-10-17 2009-05-07 Rohm Co Ltd 半導体装置
JP2009139202A (ja) * 2007-12-06 2009-06-25 Oki Semiconductor Co Ltd 静電容量型センサ及びその製造方法
JP2009524211A (ja) * 2005-12-22 2009-06-25 ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング マイクロマシニングセンサ素子
US8604565B2 (en) 2010-04-12 2013-12-10 Denso Corporation Physical quantity detection device and method for manufacturing the same
KR101444015B1 (ko) 2013-03-28 2014-09-23 삼성전기주식회사 가속도 및 압력 일체형 센서
CN104236628A (zh) * 2014-09-16 2014-12-24 武汉大学 一种四自由度组合传感器
WO2015115365A1 (ja) * 2014-01-28 2015-08-06 京セラ株式会社 センサおよびその製造方法
CN110346602A (zh) * 2019-06-26 2019-10-18 歌尔股份有限公司 一种加速度计、环境传感器的集成芯片及其制造方法

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103991836B (zh) * 2013-02-19 2016-01-13 苏州敏芯微电子技术有限公司 微机电系统传感器的制造方法
CN104743498B (zh) * 2013-12-27 2016-02-03 中芯国际集成电路制造(上海)有限公司 一种单芯片微机电系统及其制备方法
CN104793015B (zh) * 2015-02-03 2018-04-27 中国科学院上海微系统与信息技术研究所 加速度计内嵌压力传感器的单硅片复合传感器结构及方法
JP5821158B1 (ja) * 2015-04-09 2015-11-24 株式会社トライフォース・マネジメント 複合センサデバイス
JP5843302B1 (ja) * 2015-08-19 2016-01-13 株式会社トライフォース・マネジメント 複合センサデバイスの製造方法
KR20200046282A (ko) 2018-10-24 2020-05-07 삼성전자주식회사 집적 회로 장치 및 고 대역폭 메모리 장치

Cited By (17)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006242594A (ja) * 2005-02-28 2006-09-14 Mitsumi Electric Co Ltd 3軸加速度センサおよびその製造方法
JP2006250581A (ja) * 2005-03-08 2006-09-21 Mitsumi Electric Co Ltd 3軸加速度センサモジュールおよびその製造方法
US7745235B2 (en) 2005-03-09 2010-06-29 Ricoh Company, Ltd. Method for manufacturing semiconductor sensor
US7398684B2 (en) 2005-03-09 2008-07-15 Ricoh Company, Ltd. Semiconductor sensor having weight of material different than that of weight arranging part
CN100335865C (zh) * 2005-06-30 2007-09-05 西安交通大学 一种多传感器集成芯片
JP2009524211A (ja) * 2005-12-22 2009-06-25 ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング マイクロマシニングセンサ素子
JP2009098022A (ja) * 2007-10-17 2009-05-07 Rohm Co Ltd 半導体装置
JP4562762B2 (ja) * 2007-12-06 2010-10-13 Okiセミコンダクタ株式会社 静電容量型センサ及びその製造方法
JP2009139202A (ja) * 2007-12-06 2009-06-25 Oki Semiconductor Co Ltd 静電容量型センサ及びその製造方法
US8604565B2 (en) 2010-04-12 2013-12-10 Denso Corporation Physical quantity detection device and method for manufacturing the same
KR101444015B1 (ko) 2013-03-28 2014-09-23 삼성전기주식회사 가속도 및 압력 일체형 센서
WO2015115365A1 (ja) * 2014-01-28 2015-08-06 京セラ株式会社 センサおよびその製造方法
US20160341759A1 (en) * 2014-01-28 2016-11-24 Kyocera Corporation Sensor and method of manufacturing same
JPWO2015115365A1 (ja) * 2014-01-28 2017-03-23 京セラ株式会社 センサおよびその製造方法
CN104236628A (zh) * 2014-09-16 2014-12-24 武汉大学 一种四自由度组合传感器
CN110346602A (zh) * 2019-06-26 2019-10-18 歌尔股份有限公司 一种加速度计、环境传感器的集成芯片及其制造方法
WO2020258813A1 (zh) * 2019-06-26 2020-12-30 潍坊歌尔微电子有限公司 一种加速度计、环境传感器的集成芯片及其制造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP4335545B2 (ja) 2009-09-30

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4871513B2 (ja) 薄く形成されたカンチレバー構造を備えた微小機械装置及び関連の方法
EP2339357B1 (en) Method for fabricating a sensor
US7508040B2 (en) Micro electrical mechanical systems pressure sensor
JP4335545B2 (ja) 圧力と加速度との双方を検出するセンサおよびその製造方法
US8186221B2 (en) Vertically integrated MEMS acceleration transducer
US7998777B1 (en) Method for fabricating a sensor
KR100499970B1 (ko) 가속도 센서
US20080034867A1 (en) Multi-range three-axis acceleration sensor device
JPH1151967A (ja) 多軸加速度センサ及びその製造方法
EP3165888B1 (en) Pressure sensor with variable sense gap
JP2013068503A (ja) 触覚センサ及び多軸触覚センサ
JP6258977B2 (ja) センサおよびその製造方法
WO2016185813A1 (ja) 多軸触覚センサ及び多軸触覚センサの製造法
KR100508198B1 (ko) 가속도 센서
GB2579057A (en) Accelerometer
KR20030026872A (ko) 가속도 센서
CN110531114B (zh) 一种纯轴向变形的mems三轴压阻式加速度计芯片及其制备方法
JP2006098323A (ja) 半導体型3軸加速度センサ
JPH04249726A (ja) 静電容量の変化を利用したセンサの製造方法
JP2000147000A (ja) ピエゾ抵抗体を用いたセンサ及び加速度センサ
JP4665733B2 (ja) センサエレメント
JP5401820B2 (ja) センサ
JP2005069946A (ja) 半導体加速度センサ
JP3025468B2 (ja) 静電容量の変化を利用したセンサおよびその製造方法
JP5547054B2 (ja) 静電容量型加速度センサ

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20051228

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20080528

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20081202

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090127

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090428

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090515

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20090623

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20090625

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120703

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120703

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150703

Year of fee payment: 6

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees