JP2004238552A - ポリトリメチレンテレフタレート系ポリエステル、その製造方法、及びそれから得られる繊維 - Google Patents

ポリトリメチレンテレフタレート系ポリエステル、その製造方法、及びそれから得られる繊維 Download PDF

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Abstract

【課題】良好な色調を有し、成形性に優れたポリトリメチレンテレフタレート系ポリエステルを提供することのできる製造方法を提供すること。
【解決手段】テレフタル酸を主とする芳香族ジカルボン酸とトリメチレングリコールとのジエステルを、特定のチタン化合物成分とリン化合物成分との未反応混合物から実質的になる触媒系を用いて重縮合させてポリトリメチレンテレフタレート系ポリエステルを得る。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はポリトリメチレンテレフタレート系ポリエステル、その製造方法及びそれから得られる繊維に関し、更に詳しくは、良好な色調(カラーb値)を有し、成形性に優れたポリトリメチレンテレフタレート系ポリエステル、その製造方法、及びそれから得られる繊維に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリエステル、特にポリエチレンテレフタレートは、その機械的、物理的、化学的性能が優れているため、繊維、フィルム、その他の成形物に広く利用されている。そのような中で近年、従来のポリエチレンテレフタレートでは実現が難しい風合いや染色性を発現させることのできる、ポリトリメチレンテレフタレート系ポリエステルからなる繊維及びそれからなる織編物が注目されている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながらこのポリトリメチレンテレフタレート系ポリエステルからなる繊維は、ポリエチレンテレフタレートと比べて耐熱性が劣る為、重縮合反応時に熱分解による着色が起こりやすいという問題を有している。
【0003】
このような問題を解決するため、重縮合反応時にリン化合物を添加することが提案されている(例えば、特許文献2参照)。この方法によると確かにポリトリメチレンテレフタレートの色相は改良されるが、未だ十分なレベルとは言えない。
【0004】
一方、予めチタン系触媒化合物とホスホン酸系化合物とを反応させた触媒の存在下にポリトリメチレンテレフタレートを製造する方法も提案されている(例えば、特許文献3参照)。この方法によれば、確かにポリトリメチレンテレフタレートの色相は改良されるが、ポリマーの結晶性が速くなり、製糸時の高速製糸性が低下してしまうという問題があった。
【0005】
【特許文献1】
特開平11−200175号公報
【0006】
【特許文献2】
国際公開第99/011709号パンフレット
【0007】
【特許文献3】
特開2001−278971号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記従来技術が有していた問題点を解消し、良好な色調(カラーb値)を有し、成形性に優れたポリトリメチレンテレフタレート系ポリエステルを提供することのできる製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者は上記従来技術に鑑み鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明の目的は、
テレフタル酸を主とする芳香族ジカルボン酸とトリメチレングリコールとのジエステルを、下記一般式(I)で表されるチタン化合物、及び下記一般式(I)で表されるチタン化合物と下記一般式(II)で表される芳香族多価カルボン酸又はその無水物とを反応させた生成物からなる群から選ばれた少なくとも一種を含むチタン化合物成分と、下記一般式(III)により表されるリン化合物との未反応混合物から実質的になる触媒系を下記数式(1)及び(2)を同時に満足するように用いて重縮合する、トリメチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とするポリトリメチレンテレフタレート系ポリエステルの製造方法によって達成することができる。
【0011】
【化4】
Figure 2004238552
【0012】
【化5】
Figure 2004238552
【0013】
【化6】
Figure 2004238552
【0014】
【数2】
Figure 2004238552
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の製造方法においては、テレフタル酸を主とする芳香族ジカルボン酸とトリメチレングリコールとのジエステルを重縮合させることによってポリトリメチレンテレフタレート系ポリエステルを得るが、ここで、該ジエステルとしては、テレフタル酸を主とする芳香族ジカルボン酸とトリメチレングリコールとのジエステル化反応により製造することもできるし、またテレフタル酸を主とする芳香族ジカルボン酸のジアルキルエステルとトリメチレングリコールとのエステル交換反応により製造することもでき、いずれの方法を用いてもよいが、芳香族ジカルボン酸のジアルキルエステルを原料とし、エステル交換反応を経由する製造方法とした方が、芳香族ジカルボン酸を原料とする製造方法に比較し、重縮合反応中に安定剤として添加したリン化合物の飛散が少ないという利点がある。
【0016】
また、芳香族ジカルボン酸のジアルキルエステルを原料物質とする製造方法では、チタン化合物の添加量を低減できる、チタン化合物の一部及び/又は全量をエステル交換反応開始前に添加し、エステル交換反応触媒と重縮合反応触媒との二つの触媒として兼用させる製造方法が好ましく、具体的には、テレフタル酸を主とする芳香族ジカルボン酸のジアルキルエステルとトリメチレングリコールとのエステル交換反応を、下記一般式(I)で表されるチタン化合物、及び下記一般式(I)で表されるチタン化合物と下記一般式(II)で表される芳香族多価カルボン酸又はその無水物とを反応させた生成物からなる群から選ばれた少なくとも1種を含むチタン化合物成分の存在下に行い、このエステル交換反応により得られた、芳香族ジカルボン酸とトリメチレングリコールとのジエステルを含有する反応混合物に、更に下記一般式(III)により表されるリン化合物を添加し、これらの存在下に重縮合することが好ましい。
【0017】
【化7】
Figure 2004238552
【0018】
【化8】
Figure 2004238552
【0019】
【化9】
Figure 2004238552
【0020】
なお、該エステル交換反応を行う場合には通常は常圧下で実施されるが、0.05〜0.20MPaの加圧下に実施すると、チタン化合物成分の触媒作用による反応が更に促進され、かつ副生物のジプロピレングリコールが大量に発生することもないので、熱安定性などの特性が更に良好なものとなる。
【0021】
本発明の製造方法において、テレフタル酸を主とする芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸以外に、2,6−ナフタレンジカルボン酸、イソフタル酸、フタル酸等を挙げることができる。ここで、「テレフタル酸を主とする」とは、全芳香族ジカルボン酸を基準としてテレフタル酸が70モル%以上を占めていることを意味し、該テレフタル酸は、全芳香族ジカルボン酸を基準として80モル%以上を占めていることが好ましい。
【0022】
ここで、テレフタル酸以外の芳香族ジカルボン酸としては、フタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸を挙げることができる。
【0023】
また、本発明の製造方法において得られるポリエステルは、トリメチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とするポリエステルである。ここで「主たる」とは該トリメチレンテレフタレート繰り返し単位がポリエステル中の全繰り返し単位を基準として70モル%以上を占めていることをいい、この範囲内であれば、トリメチレンテレフタレート繰り返し単位を構成する以外のポリエステル構成成分を共重合し、共重合ポリトリメチレンテレフタレートとしてもよく、上記共重合成分してもよい成分としては、ジカルボン酸成分またはグリコール成分のいずれでもよい。
【0024】
ここで、共重合するための成分として好ましく用いられるのは、ジカルボン酸成分として、2,6−ナフタレンジカルボン酸、イソフタル酸、フタル酸等の芳香族ジカルボン酸成分、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸成分、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸成分等を挙げることができ、またグリコール成分としては、エチレングリコール、テトラメチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパン等を挙げることができ、これらは一種を単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
【0025】
本発明の製造方法において、重縮合反応に触媒として用いられるチタン化合物成分は、触媒に起因する異物を低減する観点から、ポリマー中に可溶なチタン化合物を使用することが必要であり、該チタン化合物成分としては、下記一般式(I)で表される化合物、若しくは一般式(II)で表される化合物と下記一般式(II)で表される芳香族多価カルボン酸又はその無水物とを反応させた生成物である必要がある。
【0026】
【化10】
Figure 2004238552
【0027】
【化11】
Figure 2004238552
【0028】
ここで、一般式(I)で表されるチタン化合物としては、具体的にはテトライソプロポキシチタン、テトラプロポキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトラフェノキシチタン、オクタアルキルトリチタネート、及びヘキサアルキルジチタネートなどが好ましく用いられる。
【0029】
また、本発明の製造方法において、該チタン化合物と反応させる一般式(II)で表される芳香族多価カルボン酸又はその無水物としては、フタル酸、トリメリット酸、ヘミメリット酸、ピロメリット酸及びこれらの無水物が好ましく用いられる。
【0030】
上記チタン化合物と芳香族多価カルボン酸又はその無水物とを反応させる場合には、溶媒に芳香族多価カルボン酸又はその無水物の一部または全部を溶解し、この混合液にチタン化合物を滴下し、0〜200℃の温度で少なくとも30分間、好ましくは30〜150℃の温度で40〜90分間加熱することによって行われる。この際の反応圧力については特に制限はなく、常圧で十分である。なお、芳香族多価カルボン酸またはその無水物を溶解させる溶媒としては、エタノール、エチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ベンゼン及びキシレン等から所望に応じていずれを用いることもできる。
【0031】
ここで、チタン化合物と芳香族多価カルボン酸またはその無水物との反応モル比には特に限定はないが、チタン化合物の割合が高すぎると、得られるポリエステルの色調が悪化したり、軟化点が低下したりすることがあり、逆にチタン化合物の割合が低すぎると重縮合反応が進みにくくなることがある。このため、チタン化合物と芳香族多価カルボン酸又はその無水物との反応モル比は、2/1〜2/5の範囲内とすることが好ましい。
【0032】
本発明の製造方法に重縮合触媒として用いる触媒系は、上記のチタン化合物成分は、下記一般式(III)により表されるリン化合物との未反応混合物から実質的になるものである。
【0033】
【化12】
Figure 2004238552
【0034】
上記一般式(III)のリン化合物(ホスホネート化合物)としては、カルボメトキシメタンホスホン酸、カルボエトキシメタンホスホン酸、カルボプロポキシメタンホスホン酸、カルボプトキシメタンホスホン酸、カルボメトキシ−ホスホノ−フェニル酢酸、カルボエトキシ−ホスホノ−フェニル酢酸、カルボプロトキシ−ホスホノ−フェニル酢酸およびカルボブトキシ−ホスホノ−フェニル酢酸のジメチルエステル類、ジエチルエステル類、ジプロピルエステル類およびジブチルエステル類から選ばれることが好ましい。
【0035】
上記のホスホネート化合物は、通常安定剤として使用されるリン化合物に比較して、チタン化合物との反応が比較的緩やかに進行するので、反応中における、チタン化合物の触媒活性持続時間が長く、結果として該チタン化合物のポリエステルへの添加量を少なくすることができる。また、一般式(III)のリン化合物を含む触媒系に多量に安定剤を添加しても、得られるポリエステルの熱安定性を低下させることがなく、その色調を不良化することが無い。
【0036】
また、上記の触媒系は下記数式(1)及び(2)を同時に満足するものである必要がある。
【0037】
【数3】
Figure 2004238552
【0038】
ここで、(P/Ti)が1未満の場合、ポリエステルの色相が黄味を帯びたものであり、好ましくない。また、(P/Ti)が5を越えるとポリエステルの重縮合反応性が大幅に低下し、目的とするポリエステルを得ることが困難となる。この(P/Ti)の適正範囲は通常の金属触媒系よりも狭いことが特徴的であるが、適正範囲にある場合、本発明のような従来にない効果を得ることができる。
【0039】
一方、(Ti+P)が10に満たない場合は、製糸プロセスにおける生産性が大きく低下し、満足な性能が得られなくなる。また、(Ti+P)が250を越える場合には、触媒に起因する異物が少量ではあるが発生し好ましくない。
【0040】
上記式(1)、(2)の範囲は好ましくは(1)式中の(P/Ti)は1.2〜4.5の範囲、(2)式中の(Ti+P)は15〜200の範囲であり、更に好ましくは、(1)式中の(P/Ti)は1.5〜4の範囲、(2)式中の(Ti+P)は20〜150の範囲である。
【0041】
本発明の製造方法において、前記触媒系を用いて行われる重縮合反応は、230〜320℃の温度において、常圧下、又は減圧下、好ましくは0.05Pa〜0.2MPaにおいて、これらの条件を組み合わせて、15〜300分間重縮合反応させることが好ましい。
【0042】
本発明におけるポリエステルの固有粘度は特に制限はないが、0.40〜1.50の範囲にあることが好ましく、特に0.50〜1.30範囲が好ましい。固有粘度が0.40未満であると、溶融紡糸し、繊維としたときの強度が不足するため好ましくない。他方、固有粘度が1.30を越えると、溶融時のポリマーの溶融粘度が高すぎて成形性が低下する為、好ましくない。
【0043】
本発明のポリエステルは固相重縮合せしめても良い。特にポリトリメチレンテレフタレート系ポリエステルは溶融重縮合の段階で環状ダイマーが発生し、後の製糸、加工の工程で悪影響を与えることがあるので、好ましくは溶融重縮合で固有粘度を0.40〜0.70の範囲とした後に、固相重縮合で0.60〜1.10の範囲として、環状ダイマー量も低減しておくことが好ましい。ここで、固相重縮合は一般的に知られている高温真空状態での反応でも、窒素等の不活性ガスの高温気流下での反応でもよく、バッチ式でも連続式でもよい。
【0044】
本発明におけるポリエステルは、必要に応じて少量の添加剤、例えば滑剤、顔料、染料、酸化防止剤、固相重縮合促進剤、蛍光増白剤、帯電防止剤、抗菌剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、遮光剤、艶消剤等を含んでいてもよく、特に艶消剤として酸化チタンなどは好ましく添加される。
【0045】
本発明のポリエステル繊維を製造する時の製造方法としては特に限定はなく、従来公知のポリエステルを溶融紡糸する方法を用いることができるが、例えばポリエステルを240℃〜280℃の範囲で溶融紡糸して製造することが好ましく、溶融紡糸の速度は400〜5000m/分で紡糸することが好ましい。紡糸速度がこの範囲にあると、得られる繊維の強度も十分なものであると共に、安定して巻き取りを行うこともできる。また延伸はポリエステル繊維を巻き取ってから、あるいは一旦巻き取ることなく連続的に延伸処理することによって、延伸糸を得ることができる。更に本発明のポリエステル繊維には風合いを高める為に、アルカリ減量処理も好ましく実施される。
【0046】
本発明のポリエステル繊維を製造する際において、紡糸時に使用する口金の形状について制限は無く、円形、異形、中実、中空等のいずれも採用することができる。
【0047】
【実施例】
以下、本発明を更に下記実施例により具体的に説明するが、本発明の範囲はこれら実施例により何等限定を受けるものではない。なお、固有粘度、色相、チタン含有量及び紡糸口金に発生する付着物の層については、下記記載の方法により測定した。
(1)固有粘度:
ポリエステルポリマーの固有粘度は、35℃オルソクロロフェノール溶液中、常法に従って35℃において測定した粘度の値から求めた。
(2)ジプロピレングリコール量:
サンプルを過剰量のメタノールとともに封管し、オートクレーブ中260℃、4時間メタノール分解し、分解物をガスクロマトグラフィー(HEWLETT PACKARD社製、HP6890 Series GC System)を用いてジプロピレングリコール量を定量し、測定したポリマーの重量を基準とした時のジプロピレンの重量百分率を求めた。
(3)環状ダイマー含有量:
Waters社製486型液体クロマトグラフにWaters社製GPCカラム TSKgel G2000H8を2本接続した装置を用い、展開溶剤としてクロロホルムを使用し、サンプル1mgをヘキサフルオロイソプロパノール1mlに溶解してクロロホルムで10mlに希釈したサンプルを注入して、標準の環状ダイマーの検量線からポリマー中の重量百分率を求めた。
(4)色調(カラーL値及びカラーb値):
ポリマーチップを130℃、1時間乾燥結晶化処理後、日本電色工業株式会社製測色色差計Z−1001DPを用いて測定した。L値は明度を示し、その数値が大きいほど明度が高いことを示し、b値はその値が大きいほど黄色味の度合いが大きいことを示す。
(5)ポリエステル中のチタン、リン含有量:
サンプルをアルミ板上で加熱溶融した後、圧縮プレス機で平面を有する成形体に形成し、蛍光X線装置(理学電機工業株式会社製3270E型)に供して、定量分析した。
(6)引張強度、引張伸度:
JIS L 1013記載の方法に準拠して測定を行った。
【0048】
[実施例1]
テレフタル酸ジメチル100部とトリメチレングリコール70.5部との混合物に、テトラ−n−ブチルチタネート0.0526部を撹拌機、精留塔及びメタノール留出コンデンサーを設けた反応器に仕込み、140℃から徐々に昇温しつつ、反応の結果生成するメタノールを系外に留出させながら、エステル交換反応を行った。反応開始後3時間で内温は210℃に達した。エステル交換反応終了時にトリエチルホスホノアセテート0.0693部を添加し、エステル交換反応を終了させた。
【0049】
次いで、得られた反応生成物を撹拌機及びグリコール留出コンデンサーを設けた別の反応器に移し、210℃から265℃に徐々に昇温すると共に、常圧から70Paの高真空に圧力を下げながら重縮合反応を行った。反応系の溶融粘度をトレースしつつ、固有粘度が0.65となる時点で重縮合反応を打ち切った。
【0050】
溶融ポリマーを反応器底部よりストランド状に冷却水中に押し出し、ストランドカッターを用いて切断してチップ化した。
【0051】
得られたチップは、120℃で4時間予備結晶化後、タンブラー型固相重縮合装置に仕込み、窒素雰囲気下中、200℃に昇温させた後、70Paの高真空下で約14時間固相重縮合反応させて、固有粘度0.93のポリエステルチップを得た。
【0052】
得られたチップは更に120℃で4時間乾燥した後、得られたチップを孔径0.27mmの円形紡糸孔を36個備えた紡糸口金を有する押出紡糸機を用いて260℃で溶融し、吐出量34g/分、引取速度2400m/分で紡糸し、得られた未延伸糸を、60℃の加熱ローラーと160℃のプレートヒーターとを有する延伸処理機に供し、延伸倍率1.7倍で延伸処理し83dtex/36フィラメントの延伸糸を得た。得られたポリエステルチップ及び繊維の結果を表1に示す。
【0053】
[参考例]
トリメリット酸チタンの合成方法:
無水トリメリット酸のトリメチレングリコール溶液(0.2%)にテトラブトキシチタンを無水トリメリット酸に対して1/2モル添加し、空気中常圧下で80℃に保持して60分間反応させた。その後、常温に冷却し、10倍量のアセトンによって生成触媒を再結晶化させ、析出物を濾紙で濾過し、100℃で2時間乾燥させて、目的の触媒を得た。
【0054】
[実施例2]
実施例1において、チタン化合物として、上記参考例の方法で合成したトリメリット酸チタン0.0946部に変更したこと以外は同様の操作を行った。結果を表1に示す。
【0055】
[比較例1]
実施例1において、トリエチルホスホノアセテートを添加しなかったこと以外は同様の操作を行った。結果を表1に示す。
【0056】
[実施例3〜5並びに比較例2〜4]
チタン化合物及びリン化合物を表1示す化合物及び添加量に変更したこと以外は、実施例1と同様の操作を行った。結果を表1に示す。
【0057】
【表1】
Figure 2004238552
【0058】
表1からも明らかなように、本発明のポリエステルは良好な性能が得られたが、チタン化合物、リン化合物の添加量が本発明の範囲を外れる場合(比較例1〜4)は、色相が不良、若しくは重縮合度が上がらず評価不能であった。
【0059】
【発明の効果】
本発明によれば、チタン金属化合物を触媒として使用する際の欠点であった色相の悪化を解消し、ポリエステルが持つ、優れた特性を保持しながら、色相が優れたポリエステル繊維を提供することができる。

Claims (4)

  1. テレフタル酸を主とする芳香族ジカルボン酸とトリメチレングリコールとのジエステルを、下記一般式(I)で表されるチタン化合物、及び下記一般式(I)で表されるチタン化合物と下記一般式(II)で表される芳香族多価カルボン酸又はその無水物とを反応させた生成物からなる群から選ばれた少なくとも一種を含むチタン化合物成分と、下記一般式(III)により表されるリン化合物との未反応混合物から実質的になる触媒系を下記数式(1)及び(2)を同時に満足するように用いて重縮合する、トリメチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とするポリトリメチレンテレフタレート系ポリエステルの製造方法。
    Figure 2004238552
    Figure 2004238552
    Figure 2004238552
    Figure 2004238552
  2. テレフタル酸が全芳香族ジカルボン酸を基準として80mol%以上を占める、請求項1記載の製造方法。
  3. 請求項1記載の製造方法によって得られた、ポリトリメチレンテレフタレート系ポリエステル。
  4. 請求項3記載のポリトリメチレンテレフタレート系ポリエステルを溶融紡糸して得られる繊維。
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