JP2004269771A - ポリテトラメチレンテレフタレート系ポリエステル、その製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】色調に優れ、成形性に優れたポリテトラメチレンテレフタレート系ポリエステルを提供することのできる製造方法を提供すること。
【解決手段】テレフタル酸を主とする芳香族ジカルボン酸とテトラメチレングリコールとのジエステルを、特定のチタン化合物成分とリン化合物成分との未反応混合物から実質的になる触媒系を用いて重縮合させてポリテトラメチレンテレフタレート系ポリエステルを得る。
【選択図】 なし
【解決手段】テレフタル酸を主とする芳香族ジカルボン酸とテトラメチレングリコールとのジエステルを、特定のチタン化合物成分とリン化合物成分との未反応混合物から実質的になる触媒系を用いて重縮合させてポリテトラメチレンテレフタレート系ポリエステルを得る。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はポリテトラメチレンテレフタレート系ポリエステルの製造方法及び繊維、成形体、シート及びフィルムに関し、さらに詳しくは、良好な色調(カラーb値)を有し、成形性に優れたポリテトラメチレンテレフタレート系ポリエステルの製造方法及び繊維、成形体、シート及びフィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリエステル、特にポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート及びポリテトラメチレンテレフタレートは、その機械的、物理的、化学的性能が優れているため、繊維、フィルム、その他の成形物に広く利用されている。
【0003】
そのような中で、特に、ポリテトラメチレンテレフタレート系ポリエステルは、結晶速度が速く、耐熱性及び、強い強度を兼ね備えたエンジニアリングプラスチックスの成形体をはじめとして、繊維、シート及びフィルムとして幅広く使用されている。しかしながらこのポリテトラメチレンテレフタレート系ポリエステルは、ポリエチレンテレフタレートと比較した場合、耐熱性が劣る為、重合時に熱分解による着色が起こりやすい問題を有している。
【0004】
このような問題を解決するために、コバルト化合物をポリエステルに添加して黄味を抑えたり、酸化防止剤等の添加剤を添加することによって黄味を抑えたりすることが一般的に行われている。確かにコバルト化合物を添加することによってポリエステルの色調(b値)は改善することは出来るが、コバルト化合物を添加することによってポリエステルの溶融熱安定性が低下し、ポリマーの分解も起こりやすくなるという問題がある。
【0005】
このような問題を解決するために、チタン化合物とトリメリット酸とを反応させて得られた生成物ポリエステルの触媒として用いること(例えば、特許文献1参照。)、チタン化合物と亜リン酸エステルとを反応させて得られた生成物をポリエステルの反応触媒として使用すること(例えば、特許文献2参照。)が開示されている。確かに、これらの方法によれば、ポリエステルの溶融熱安定性はある程度向上するものの、得られるポリマーの色調が十分なものではなくポリマー色調のさらなる改善が望まれている。
【0006】
さらに、チタン化合物とリン化合物との錯体をポリエステル製造用触媒とすることも提案されているが(例えば、特許文献3参照。)、この方法によれば熱安定性は、ある程度は向上するものの、得られるポリマーの色調は十分なものではない。
【0007】
なお、これらのチタン−リン化合物は、その触媒自身がポリエステルポリマー中に異物として残留することが多く、この問題についても解決されることが望まれていた。
【0008】
【特許文献1】
特公昭59−46258号公報
【0009】
【特許文献2】
特開昭58−38722号公報
【0010】
【特許文献3】
特開平7−138354号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記従来技術が有していた問題点を解消し、良好な色調(カラーb値)を有し、成形性に優れているポリエステル繊維、成形体、シート及びフィルムを提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記従来技術に鑑み鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
【0013】
すなわち、本発明の目的は、
テレフタル酸を主とする芳香族ジカルボン酸とテトラメチレングリコールとのジエステルを、下記一般式(I)で表されるチタン化合物、及び下記一般式(I)で表されるチタン化合物と下記一般式(II)で表される芳香族多価カルボン酸又はその無水物と反応させた生成物からなる群から選ばれた少なくとも一種を含むチタン化合物成分と、下記一般式(III)により表されるリン化合物との未反応混合物から実質的になる触媒系の存在下に重縮合する、テトラメチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とするポリテトラメチレンテレフタレート系ポリエステルの製造方法により達成される。
【0014】
【化4】
【0015】
【化5】
【0016】
【化6】
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0018】
本発明の製造方法においては、テレフタル酸を主とする芳香族ジカルボン酸とテトラメチレングリコールとのジエステルを重縮合させることによってポリテトラメチレンテレフタレート系ポリエステルを得るが、ここで、該ジエステルとしては、テレフタル酸を主とする芳香族ジカルボン酸とテトラメチレングリコールとのジエステル化反応により製造することもできるし、またテレフタル酸を主とする芳香族ジカルボン酸のジアルキルエステルとテトラメチレングリコールとのエステル交換反応により製造することもでき、いずれの方法を用いてもよいが、芳香族ジカルボン酸のジアルキルエステルを原料とし、エステル交換反応を経由する製造方法とした方が、芳香族ジカルボン酸を原料とする製造方法に比較し、重縮合反応中に安定剤として添加したリン化合物の飛散が少ないという利点がある。
【0019】
また、芳香族ジカルボン酸のジアルキルエステルを原料物質とする製造方法では、チタン化合物の添加量を低減できる、チタン化合物の一部及び/又は全量をエステル交換反応開始前に添加し、エステル交換反応触媒と重縮合反応触媒との二つの触媒として兼用させる製造方法が好ましく、具体的には、テレフタル酸を主とする芳香族ジカルボン酸のジアルキルエステルとテトラメチレングリコールとのエステル交換反応を、下記一般式(I)で表されるチタン化合物、及び下記一般式(I)で表されるチタン化合物と下記一般式(II)で表される芳香族多価カルボン酸又はその無水物とを反応させた生成物からなる群から選ばれた少なくとも1種を含むチタン化合物成分の存在下に行い、このエステル交換反応により得られた、芳香族ジカルボン酸とテトラメチレングリコールとのジエステルを含有する反応混合物に、さらに下記一般式(III)により表されるリン化合物を添加し、これらの存在下に重縮合することが好ましい。
【0020】
【化7】
【0021】
【化8】
【0022】
【化9】
【0023】
なお、該エステル交換反応を行う場合には通常は常圧下で実施されるが、0.05〜0.20MPaの加圧下に実施すると、チタン化合物成分の触媒作用による反応がさらに促進されるとともに副生物が大量に発生することもないので、熱安定性などの特性がさらに良好なものとなる。
【0024】
特に、テレフタル酸を主とする芳香族ジカルボン酸とテトラメチレングリコールとのジエステルを得るにあたり、テレフタル酸のジアルキルエステルとテトラメチレングリコールとを、全ジカルボン酸成分を基準として金属元素換算で、アルカリ土類金属化合物5〜120ミリモル%の存在下に、常圧下ないし0.20MPaの加圧下でエステル交換反応させることが好ましい。
【0025】
上記の条件でエステル交換反応を行うと、特に品質の優れたポリエステルを得ることができる。
【0026】
本発明の製造方法において、テレフタル酸を主とする芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸以外に、2,6−ナフタレンジカルボン酸、イソフタル酸、フタル酸等を挙げることができる。ここで、「テレフタル酸を主とする」とは、全芳香族ジカルボン酸を基準としてテレフタル酸が70モル%以上を占めていることを意味し、該テレフタル酸は、全芳香族ジカルボン酸を基準として80モル%以上を占めていることが好ましい。
【0027】
ここで、テレフタル酸以外の芳香族ジカルボン酸としては、フタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸を挙げることができる。
【0028】
また、本発明の製造方法において得られるポリエステルは、テトラメチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とするポリエステルである。ここで「主たる」とは該テトラメチレンテレフタレート繰り返し単位がポリエステル中の全繰り返し単位を基準として70モル%以上を占めていることをいい、この範囲内であれば、テトラメチレンテレフタレート繰り返し単位を構成する以外のポリエステル構成成分を共重合し、共重合ポリテトラメチレンテレフタレートとしてもよく、上記共重合成分してもよい成分としては、ジカルボン酸成分またはグリコール成分のいずれでもよい。
【0029】
ここで、共重合するための成分として好ましく用いられるのは、ジカルボン酸成分として、2,6−ナフタレンジカルボン酸、イソフタル酸、フタル酸等の芳香族ジカルボン酸成分、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸成分、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸成分等を挙げることができ、またグリコール成分としては、エチレングリコール、トリメチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパン等を挙げることができ、これらは一種を単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
【0030】
本発明の製造方法において、重縮合反応に触媒として用いられるチタン化合物成分は、触媒に起因する異物を低減する観点から、ポリマー中に可溶なチタン化合物を使用することが必要であり、該チタン化合物成分としては、下記一般式(I)で表される化合物、若しくは一般式(II)で表される化合物と下記一般式(II)で表される芳香族多価カルボン酸又はその無水物とを反応させた生成物である必要がある。
【0031】
【化10】
【0032】
【化11】
【0033】
ここで、一般式(I)で表されるチタン化合物としては、具体的にはテトライソプロポキシチタン、テトラプロポキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトラフェノキシチタン、オクタアルキルトリチタネート、及びヘキサアルキルジチタネートなどが好ましく用いられる。
【0034】
また、本発明の製造方法において、該チタン化合物と反応させる一般式(II)で表される芳香族多価カルボン酸又はその無水物としては、フタル酸、トリメリット酸、ヘミメリット酸、ピロメリット酸及びこれらの無水物が好ましく用いられる。
【0035】
上記チタン化合物と芳香族多価カルボン酸又はその無水物とを反応させる場合には、溶媒に芳香族多価カルボン酸又はその無水物の一部または全部を溶解し、この混合液にチタン化合物を滴下し、0〜200℃の温度で少なくとも30分間、好ましくは30〜190℃の温度で40〜90分間加熱することによって行われる。この際の反応圧力については特に制限はなく、常圧で十分である。なお、芳香族多価カルボン酸またはその無水物を溶解させる溶媒としては、エタノール、エチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ベンゼン及びキシレン等から所望に応じていずれを用いることもできる。
【0036】
ここで、チタン化合物と芳香族多価カルボン酸またはその無水物との反応モル比には特に限定はないが、チタン化合物の割合が高すぎると、得られるポリエステルの色調が悪化したり、軟化点が低下したりすることがあり、逆にチタン化合物の割合が低すぎると重縮合反応が進みにくくなることがある。このため、チタン化合物と芳香族多価カルボン酸又はその無水物との反応モル比は、2/1〜2/5の範囲内とすることが好ましい。
【0037】
本発明の製造方法に重縮合触媒として用いる触媒系は、上記のチタン化合物成分は、下記一般式(III)により表されるリン化合物との未反応混合物から実質的になるものである。
【0038】
【化12】
【0039】
上記一般式(III)のリン化合物(ホスホネート化合物)としては、カルボメトキシメタンホスホン酸、カルボエトキシメタンホスホン酸、カルボプロポキシメタンホスホン酸、カルボプトキシメタンホスホン酸、カルボメトキシ−ホスホノ−フェニル酢酸、カルボエトキシ−ホスホノ−フェニル酢酸、カルボプロトキシ−ホスホノ−フェニル酢酸およびカルボブトキシ−ホスホノ−フェニル酢酸のジメチルエステル類、ジエチルエステル類、ジプロピルエステル類およびジブチルエステル類から選ばれることが好ましい。
【0040】
上記のホスホネート化合物は、通常安定剤として使用されるリン化合物に比較して、チタン化合物との反応が比較的緩やかに進行するので、反応中における、チタン化合物の触媒活性持続時間が長く、結果として該チタン化合物のポリエステルへの添加量を少なくすることができる。また、一般式(III)のリン化合物を含む触媒系に多量に安定剤を添加しても、得られるポリエステルの熱安定性を低下させることがなく、その色調を不良化することが無い。
【0041】
また、上記の触媒系は下記数式(1)及び(2)を同時に満足するものであることが好ましい。
【0042】
【数2】
【0043】
ここで、(P/Ti)が1未満の場合、ポリエステルの色相が黄味を帯びたものであり、好ましくない。また、(P/Ti)が5を越えるとポリエステルの重縮合反応性が大幅に低下し、目的とするポリエステルを得ることが困難となる。この(P/Ti)の適正範囲は通常の金属触媒系よりも狭いことが特徴的であるが、適正範囲にある場合、本発明のような従来にない効果を得ることができる。
【0044】
一方、(Ti+P)が10に満たない場合は、成形プロセスにおける生産性が大きく低下し、満足な性能が得られにくい。また、(Ti+P)が250を越える場合には、触媒に起因する異物が少量ではあるが発生し好ましくない。
【0045】
上記式(1)、(2)の範囲は好ましくは(1)式中の(P/Ti)は1.2〜4.5の範囲、(2)式中の(Ti+P)は15〜200の範囲であり、さらに好ましくは、(1)式中の(P/Ti)は1.5〜4の範囲、(2)式中の(Ti+P)は20〜150の範囲である。
【0046】
本発明の製造方法において、前記触媒系を用いて行われる重縮合反応は、230〜320℃の温度において、常圧下、又は減圧下、好ましくは0.05Pa〜0.2MPaにおいて、これらの条件を組み合わせて、15〜300分間重縮合反応させることが好ましい。
【0047】
本発明におけるポリエステルの固有粘度は特に制限はないが、0.40〜2.00の範囲にあることが好ましく、特に0.50〜1.50の範囲が好ましい。固有粘度が0.40未満であると、繊維、成形体、シート及びフィルムとしたときの強度が不足するため好ましくない。他方、固有粘度が2.00を越えると、溶融時のポリマーの溶融粘度が高すぎて成形性が低下する為、好ましくない。
【0048】
本発明のポリエステルは固相重縮合せしめても良い。好ましくは溶融重縮合で固有粘度を0.40〜0.70の範囲とした後に、固相重縮合で0.60〜2.00の範囲とすることが好ましい。ここで、固相重縮合は一般的に知られている高温真空状態での反応でも、窒素等の不活性ガスの高温気流下での反応でもよく、バッチ式でも連続式でもよい。
【0049】
本発明におけるポリエステルは、必要に応じて少量の添加剤、例えば滑剤、顔料、染料、酸化防止剤、固相重縮合促進剤、蛍光増白剤、帯電防止剤、抗菌剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、遮光剤、艶消剤等を含んでいてもよく、特に艶消剤として酸化チタンなどは好ましく添加される。
【0050】
本発明の製造方法によって得られたポリエステルから繊維、成形体、シート及びフィルムを製造する時の製造方法としては特に限定はなく、従来公知のポリエステルを溶融して成形する方法を用いることができるが、例えばポリエステルを240℃〜280℃の範囲で溶融して製造することが好ましく、それらの繊維、成形体、シート、フォルム等の成形品の形態については特に制限は無い。
【0051】
【実施例】
以下、本発明をさらに下記実施例により具体的に説明するが、本発明の範囲はこれら実施例により何等限定を受けるものではない。尚、固有粘度、色相、チタン含有量については、下記記載の方法により測定した。
(1)固有粘度:
ポリエステルポリマーの固有粘度は、35℃オルソクロロフェノール溶液にて、常法に従って35℃において測定した粘度の値から求めた。
(2)色調(カラーL値及びカラーb値):
ポリマーチップを130℃、1時間乾燥結晶化処理後、日本電色工業株式会社製測色色差計Z−1001DPを用いて測定した。L値は明度を示し、その数値が大きいほど明度が高いことを示し、b値はその値が大きいほど黄色味の度合いが大きいことを示す。
(3)ポリエステル中のチタン、リン含有量:
サンプルをアルミ板上で加熱溶融した後、圧縮プレス機で平面を有する成形体に形成し、蛍光X線装置(理学電機工業株式会社製3270E型)に供して、定量分析した。
【0052】
[実施例1]
テレフタル酸ジメチル100部とテトラメチレングリコール70.5部との混合物に、テトラ−n−ブチルチタネート0.0526部を撹拌機、精留塔及びメタノール留出コンデンサーを設けた反応器に仕込み、140℃から徐々に昇温しつつ、反応の結果生成するメタノールを系外に留出させながら、エステル交換反応を行った。反応開始後3時間で内温は190℃に達した。エステル交換反応終了時にトリエチルホスホノアセテート0.0693部を添加し、エステル交換反応を終了させた。
【0053】
次いで、得られた反応生成物を撹拌機及びグリコール留出コンデンサーを設けた別の反応器に移し、210℃から250℃に徐々に昇温すると共に、常圧から70Paの高真空に圧力を下げながら重合反応を行った。反応系の溶融粘度をトレースしつつ、固有粘度が0.69となる時点で重合反応を打ち切った。
【0054】
溶融ポリマーを反応器底部よりストランド状に冷却水中に押し出し、ストランドカッターを用いて切断してチップ化した。
【0055】
得られたチップは、120℃で4時間予備結晶化後、タンブラー型固相重合装置に仕込み、窒素雰囲気下中、200℃に昇温させた後、70Paの高真空下で約14時間固相重合反応せしめて、固有粘度0.875のポリエステルチップを得た。
【0056】
[参考例]
トリメリット酸チタンの合成方法:
無水トリメリット酸のテトラメチレングリコール溶液(0.2%)にテトラブトキシチタンを無水トリメリット酸に対して1/2モル添加し、空気中常圧下で80℃に保持して60分間反応させた。その後、常温に冷却し、10倍量のアセトンによって生成触媒を再結晶化させ、析出物を濾紙で濾過し、100℃で2時間乾燥させて、目的の触媒を得た。
【0057】
[実施例2]
実施例1において、チタン化合物として、上記参考例の方法にて合成したトリメリット酸チタン0.0946部に変更したこと以外は同様の操作を行った。結果を表1に示す。
【0058】
[比較例1]
実施例1において、トリエチルホスホノアセテートを添加しなかったこと以外は同様の操作を行った。結果を表1に示す。
【0059】
[実施例3〜5並びに比較例2〜3]
チタン化合物及びリン化合物を表1示す化合物及び添加量に変更したこと以外は、実施例1と同様の操作を行った。結果を表1に示す。
【0060】
【表1】
【0061】
表1から明らかなように、本発明のポリエステルは良好な色相のものを得ることができた。さらに、該ポリエステルの良好な色相を反映して、それらを溶融成形して得られた繊維、成形体、シート及び、フィルムの色相も良好であった。
【0062】
【発明の効果】
本発明によれば、チタン金属化合物を触媒として使用する際の欠点であった色相の悪化を解消し、ポリエステルが持つ、優れた特性を保持しながら、色相が優れたポリエステルを提供することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明はポリテトラメチレンテレフタレート系ポリエステルの製造方法及び繊維、成形体、シート及びフィルムに関し、さらに詳しくは、良好な色調(カラーb値)を有し、成形性に優れたポリテトラメチレンテレフタレート系ポリエステルの製造方法及び繊維、成形体、シート及びフィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリエステル、特にポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート及びポリテトラメチレンテレフタレートは、その機械的、物理的、化学的性能が優れているため、繊維、フィルム、その他の成形物に広く利用されている。
【0003】
そのような中で、特に、ポリテトラメチレンテレフタレート系ポリエステルは、結晶速度が速く、耐熱性及び、強い強度を兼ね備えたエンジニアリングプラスチックスの成形体をはじめとして、繊維、シート及びフィルムとして幅広く使用されている。しかしながらこのポリテトラメチレンテレフタレート系ポリエステルは、ポリエチレンテレフタレートと比較した場合、耐熱性が劣る為、重合時に熱分解による着色が起こりやすい問題を有している。
【0004】
このような問題を解決するために、コバルト化合物をポリエステルに添加して黄味を抑えたり、酸化防止剤等の添加剤を添加することによって黄味を抑えたりすることが一般的に行われている。確かにコバルト化合物を添加することによってポリエステルの色調(b値)は改善することは出来るが、コバルト化合物を添加することによってポリエステルの溶融熱安定性が低下し、ポリマーの分解も起こりやすくなるという問題がある。
【0005】
このような問題を解決するために、チタン化合物とトリメリット酸とを反応させて得られた生成物ポリエステルの触媒として用いること(例えば、特許文献1参照。)、チタン化合物と亜リン酸エステルとを反応させて得られた生成物をポリエステルの反応触媒として使用すること(例えば、特許文献2参照。)が開示されている。確かに、これらの方法によれば、ポリエステルの溶融熱安定性はある程度向上するものの、得られるポリマーの色調が十分なものではなくポリマー色調のさらなる改善が望まれている。
【0006】
さらに、チタン化合物とリン化合物との錯体をポリエステル製造用触媒とすることも提案されているが(例えば、特許文献3参照。)、この方法によれば熱安定性は、ある程度は向上するものの、得られるポリマーの色調は十分なものではない。
【0007】
なお、これらのチタン−リン化合物は、その触媒自身がポリエステルポリマー中に異物として残留することが多く、この問題についても解決されることが望まれていた。
【0008】
【特許文献1】
特公昭59−46258号公報
【0009】
【特許文献2】
特開昭58−38722号公報
【0010】
【特許文献3】
特開平7−138354号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記従来技術が有していた問題点を解消し、良好な色調(カラーb値)を有し、成形性に優れているポリエステル繊維、成形体、シート及びフィルムを提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記従来技術に鑑み鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
【0013】
すなわち、本発明の目的は、
テレフタル酸を主とする芳香族ジカルボン酸とテトラメチレングリコールとのジエステルを、下記一般式(I)で表されるチタン化合物、及び下記一般式(I)で表されるチタン化合物と下記一般式(II)で表される芳香族多価カルボン酸又はその無水物と反応させた生成物からなる群から選ばれた少なくとも一種を含むチタン化合物成分と、下記一般式(III)により表されるリン化合物との未反応混合物から実質的になる触媒系の存在下に重縮合する、テトラメチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とするポリテトラメチレンテレフタレート系ポリエステルの製造方法により達成される。
【0014】
【化4】
【0015】
【化5】
【0016】
【化6】
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0018】
本発明の製造方法においては、テレフタル酸を主とする芳香族ジカルボン酸とテトラメチレングリコールとのジエステルを重縮合させることによってポリテトラメチレンテレフタレート系ポリエステルを得るが、ここで、該ジエステルとしては、テレフタル酸を主とする芳香族ジカルボン酸とテトラメチレングリコールとのジエステル化反応により製造することもできるし、またテレフタル酸を主とする芳香族ジカルボン酸のジアルキルエステルとテトラメチレングリコールとのエステル交換反応により製造することもでき、いずれの方法を用いてもよいが、芳香族ジカルボン酸のジアルキルエステルを原料とし、エステル交換反応を経由する製造方法とした方が、芳香族ジカルボン酸を原料とする製造方法に比較し、重縮合反応中に安定剤として添加したリン化合物の飛散が少ないという利点がある。
【0019】
また、芳香族ジカルボン酸のジアルキルエステルを原料物質とする製造方法では、チタン化合物の添加量を低減できる、チタン化合物の一部及び/又は全量をエステル交換反応開始前に添加し、エステル交換反応触媒と重縮合反応触媒との二つの触媒として兼用させる製造方法が好ましく、具体的には、テレフタル酸を主とする芳香族ジカルボン酸のジアルキルエステルとテトラメチレングリコールとのエステル交換反応を、下記一般式(I)で表されるチタン化合物、及び下記一般式(I)で表されるチタン化合物と下記一般式(II)で表される芳香族多価カルボン酸又はその無水物とを反応させた生成物からなる群から選ばれた少なくとも1種を含むチタン化合物成分の存在下に行い、このエステル交換反応により得られた、芳香族ジカルボン酸とテトラメチレングリコールとのジエステルを含有する反応混合物に、さらに下記一般式(III)により表されるリン化合物を添加し、これらの存在下に重縮合することが好ましい。
【0020】
【化7】
【0021】
【化8】
【0022】
【化9】
【0023】
なお、該エステル交換反応を行う場合には通常は常圧下で実施されるが、0.05〜0.20MPaの加圧下に実施すると、チタン化合物成分の触媒作用による反応がさらに促進されるとともに副生物が大量に発生することもないので、熱安定性などの特性がさらに良好なものとなる。
【0024】
特に、テレフタル酸を主とする芳香族ジカルボン酸とテトラメチレングリコールとのジエステルを得るにあたり、テレフタル酸のジアルキルエステルとテトラメチレングリコールとを、全ジカルボン酸成分を基準として金属元素換算で、アルカリ土類金属化合物5〜120ミリモル%の存在下に、常圧下ないし0.20MPaの加圧下でエステル交換反応させることが好ましい。
【0025】
上記の条件でエステル交換反応を行うと、特に品質の優れたポリエステルを得ることができる。
【0026】
本発明の製造方法において、テレフタル酸を主とする芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸以外に、2,6−ナフタレンジカルボン酸、イソフタル酸、フタル酸等を挙げることができる。ここで、「テレフタル酸を主とする」とは、全芳香族ジカルボン酸を基準としてテレフタル酸が70モル%以上を占めていることを意味し、該テレフタル酸は、全芳香族ジカルボン酸を基準として80モル%以上を占めていることが好ましい。
【0027】
ここで、テレフタル酸以外の芳香族ジカルボン酸としては、フタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸を挙げることができる。
【0028】
また、本発明の製造方法において得られるポリエステルは、テトラメチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とするポリエステルである。ここで「主たる」とは該テトラメチレンテレフタレート繰り返し単位がポリエステル中の全繰り返し単位を基準として70モル%以上を占めていることをいい、この範囲内であれば、テトラメチレンテレフタレート繰り返し単位を構成する以外のポリエステル構成成分を共重合し、共重合ポリテトラメチレンテレフタレートとしてもよく、上記共重合成分してもよい成分としては、ジカルボン酸成分またはグリコール成分のいずれでもよい。
【0029】
ここで、共重合するための成分として好ましく用いられるのは、ジカルボン酸成分として、2,6−ナフタレンジカルボン酸、イソフタル酸、フタル酸等の芳香族ジカルボン酸成分、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸成分、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸成分等を挙げることができ、またグリコール成分としては、エチレングリコール、トリメチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパン等を挙げることができ、これらは一種を単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
【0030】
本発明の製造方法において、重縮合反応に触媒として用いられるチタン化合物成分は、触媒に起因する異物を低減する観点から、ポリマー中に可溶なチタン化合物を使用することが必要であり、該チタン化合物成分としては、下記一般式(I)で表される化合物、若しくは一般式(II)で表される化合物と下記一般式(II)で表される芳香族多価カルボン酸又はその無水物とを反応させた生成物である必要がある。
【0031】
【化10】
【0032】
【化11】
【0033】
ここで、一般式(I)で表されるチタン化合物としては、具体的にはテトライソプロポキシチタン、テトラプロポキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトラフェノキシチタン、オクタアルキルトリチタネート、及びヘキサアルキルジチタネートなどが好ましく用いられる。
【0034】
また、本発明の製造方法において、該チタン化合物と反応させる一般式(II)で表される芳香族多価カルボン酸又はその無水物としては、フタル酸、トリメリット酸、ヘミメリット酸、ピロメリット酸及びこれらの無水物が好ましく用いられる。
【0035】
上記チタン化合物と芳香族多価カルボン酸又はその無水物とを反応させる場合には、溶媒に芳香族多価カルボン酸又はその無水物の一部または全部を溶解し、この混合液にチタン化合物を滴下し、0〜200℃の温度で少なくとも30分間、好ましくは30〜190℃の温度で40〜90分間加熱することによって行われる。この際の反応圧力については特に制限はなく、常圧で十分である。なお、芳香族多価カルボン酸またはその無水物を溶解させる溶媒としては、エタノール、エチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ベンゼン及びキシレン等から所望に応じていずれを用いることもできる。
【0036】
ここで、チタン化合物と芳香族多価カルボン酸またはその無水物との反応モル比には特に限定はないが、チタン化合物の割合が高すぎると、得られるポリエステルの色調が悪化したり、軟化点が低下したりすることがあり、逆にチタン化合物の割合が低すぎると重縮合反応が進みにくくなることがある。このため、チタン化合物と芳香族多価カルボン酸又はその無水物との反応モル比は、2/1〜2/5の範囲内とすることが好ましい。
【0037】
本発明の製造方法に重縮合触媒として用いる触媒系は、上記のチタン化合物成分は、下記一般式(III)により表されるリン化合物との未反応混合物から実質的になるものである。
【0038】
【化12】
【0039】
上記一般式(III)のリン化合物(ホスホネート化合物)としては、カルボメトキシメタンホスホン酸、カルボエトキシメタンホスホン酸、カルボプロポキシメタンホスホン酸、カルボプトキシメタンホスホン酸、カルボメトキシ−ホスホノ−フェニル酢酸、カルボエトキシ−ホスホノ−フェニル酢酸、カルボプロトキシ−ホスホノ−フェニル酢酸およびカルボブトキシ−ホスホノ−フェニル酢酸のジメチルエステル類、ジエチルエステル類、ジプロピルエステル類およびジブチルエステル類から選ばれることが好ましい。
【0040】
上記のホスホネート化合物は、通常安定剤として使用されるリン化合物に比較して、チタン化合物との反応が比較的緩やかに進行するので、反応中における、チタン化合物の触媒活性持続時間が長く、結果として該チタン化合物のポリエステルへの添加量を少なくすることができる。また、一般式(III)のリン化合物を含む触媒系に多量に安定剤を添加しても、得られるポリエステルの熱安定性を低下させることがなく、その色調を不良化することが無い。
【0041】
また、上記の触媒系は下記数式(1)及び(2)を同時に満足するものであることが好ましい。
【0042】
【数2】
【0043】
ここで、(P/Ti)が1未満の場合、ポリエステルの色相が黄味を帯びたものであり、好ましくない。また、(P/Ti)が5を越えるとポリエステルの重縮合反応性が大幅に低下し、目的とするポリエステルを得ることが困難となる。この(P/Ti)の適正範囲は通常の金属触媒系よりも狭いことが特徴的であるが、適正範囲にある場合、本発明のような従来にない効果を得ることができる。
【0044】
一方、(Ti+P)が10に満たない場合は、成形プロセスにおける生産性が大きく低下し、満足な性能が得られにくい。また、(Ti+P)が250を越える場合には、触媒に起因する異物が少量ではあるが発生し好ましくない。
【0045】
上記式(1)、(2)の範囲は好ましくは(1)式中の(P/Ti)は1.2〜4.5の範囲、(2)式中の(Ti+P)は15〜200の範囲であり、さらに好ましくは、(1)式中の(P/Ti)は1.5〜4の範囲、(2)式中の(Ti+P)は20〜150の範囲である。
【0046】
本発明の製造方法において、前記触媒系を用いて行われる重縮合反応は、230〜320℃の温度において、常圧下、又は減圧下、好ましくは0.05Pa〜0.2MPaにおいて、これらの条件を組み合わせて、15〜300分間重縮合反応させることが好ましい。
【0047】
本発明におけるポリエステルの固有粘度は特に制限はないが、0.40〜2.00の範囲にあることが好ましく、特に0.50〜1.50の範囲が好ましい。固有粘度が0.40未満であると、繊維、成形体、シート及びフィルムとしたときの強度が不足するため好ましくない。他方、固有粘度が2.00を越えると、溶融時のポリマーの溶融粘度が高すぎて成形性が低下する為、好ましくない。
【0048】
本発明のポリエステルは固相重縮合せしめても良い。好ましくは溶融重縮合で固有粘度を0.40〜0.70の範囲とした後に、固相重縮合で0.60〜2.00の範囲とすることが好ましい。ここで、固相重縮合は一般的に知られている高温真空状態での反応でも、窒素等の不活性ガスの高温気流下での反応でもよく、バッチ式でも連続式でもよい。
【0049】
本発明におけるポリエステルは、必要に応じて少量の添加剤、例えば滑剤、顔料、染料、酸化防止剤、固相重縮合促進剤、蛍光増白剤、帯電防止剤、抗菌剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、遮光剤、艶消剤等を含んでいてもよく、特に艶消剤として酸化チタンなどは好ましく添加される。
【0050】
本発明の製造方法によって得られたポリエステルから繊維、成形体、シート及びフィルムを製造する時の製造方法としては特に限定はなく、従来公知のポリエステルを溶融して成形する方法を用いることができるが、例えばポリエステルを240℃〜280℃の範囲で溶融して製造することが好ましく、それらの繊維、成形体、シート、フォルム等の成形品の形態については特に制限は無い。
【0051】
【実施例】
以下、本発明をさらに下記実施例により具体的に説明するが、本発明の範囲はこれら実施例により何等限定を受けるものではない。尚、固有粘度、色相、チタン含有量については、下記記載の方法により測定した。
(1)固有粘度:
ポリエステルポリマーの固有粘度は、35℃オルソクロロフェノール溶液にて、常法に従って35℃において測定した粘度の値から求めた。
(2)色調(カラーL値及びカラーb値):
ポリマーチップを130℃、1時間乾燥結晶化処理後、日本電色工業株式会社製測色色差計Z−1001DPを用いて測定した。L値は明度を示し、その数値が大きいほど明度が高いことを示し、b値はその値が大きいほど黄色味の度合いが大きいことを示す。
(3)ポリエステル中のチタン、リン含有量:
サンプルをアルミ板上で加熱溶融した後、圧縮プレス機で平面を有する成形体に形成し、蛍光X線装置(理学電機工業株式会社製3270E型)に供して、定量分析した。
【0052】
[実施例1]
テレフタル酸ジメチル100部とテトラメチレングリコール70.5部との混合物に、テトラ−n−ブチルチタネート0.0526部を撹拌機、精留塔及びメタノール留出コンデンサーを設けた反応器に仕込み、140℃から徐々に昇温しつつ、反応の結果生成するメタノールを系外に留出させながら、エステル交換反応を行った。反応開始後3時間で内温は190℃に達した。エステル交換反応終了時にトリエチルホスホノアセテート0.0693部を添加し、エステル交換反応を終了させた。
【0053】
次いで、得られた反応生成物を撹拌機及びグリコール留出コンデンサーを設けた別の反応器に移し、210℃から250℃に徐々に昇温すると共に、常圧から70Paの高真空に圧力を下げながら重合反応を行った。反応系の溶融粘度をトレースしつつ、固有粘度が0.69となる時点で重合反応を打ち切った。
【0054】
溶融ポリマーを反応器底部よりストランド状に冷却水中に押し出し、ストランドカッターを用いて切断してチップ化した。
【0055】
得られたチップは、120℃で4時間予備結晶化後、タンブラー型固相重合装置に仕込み、窒素雰囲気下中、200℃に昇温させた後、70Paの高真空下で約14時間固相重合反応せしめて、固有粘度0.875のポリエステルチップを得た。
【0056】
[参考例]
トリメリット酸チタンの合成方法:
無水トリメリット酸のテトラメチレングリコール溶液(0.2%)にテトラブトキシチタンを無水トリメリット酸に対して1/2モル添加し、空気中常圧下で80℃に保持して60分間反応させた。その後、常温に冷却し、10倍量のアセトンによって生成触媒を再結晶化させ、析出物を濾紙で濾過し、100℃で2時間乾燥させて、目的の触媒を得た。
【0057】
[実施例2]
実施例1において、チタン化合物として、上記参考例の方法にて合成したトリメリット酸チタン0.0946部に変更したこと以外は同様の操作を行った。結果を表1に示す。
【0058】
[比較例1]
実施例1において、トリエチルホスホノアセテートを添加しなかったこと以外は同様の操作を行った。結果を表1に示す。
【0059】
[実施例3〜5並びに比較例2〜3]
チタン化合物及びリン化合物を表1示す化合物及び添加量に変更したこと以外は、実施例1と同様の操作を行った。結果を表1に示す。
【0060】
【表1】
【0061】
表1から明らかなように、本発明のポリエステルは良好な色相のものを得ることができた。さらに、該ポリエステルの良好な色相を反映して、それらを溶融成形して得られた繊維、成形体、シート及び、フィルムの色相も良好であった。
【0062】
【発明の効果】
本発明によれば、チタン金属化合物を触媒として使用する際の欠点であった色相の悪化を解消し、ポリエステルが持つ、優れた特性を保持しながら、色相が優れたポリエステルを提供することができる。
Claims (8)
- テレフタル酸を主とする芳香族ジカルボン酸とテトラメチレングリコールとのジエステルを、テレフタル酸のジアルキルエステルとテトラメチレングリコールとを、全ジカルボン酸成分を基準として金属元素換算でアルカリ土類金属化合物5〜120ミリモル%の存在下、常圧下ないし0.20MPaの加圧下でエステル交換反応させて得る、請求項1記載の製造方法。
- テレフタル酸が全芳香族ジカルボン酸を基準として80mol%以上を占める、請求項1記載の製造方法。
- 請求項4記載のポリテトラメチレンテレフタレート系ポリエステルを溶融紡糸して得られる繊維。
- 請求項4記載のポリテトラメチレンテレフタレート系ポリエステルを溶融成形して得られる成形体。
- 請求項4記載のポリテトラメチレンテレフタレート系ポリエステルを溶融成形して得られるシート。
- 請求項4記載のポリテトラメチレンテレフタレート系ポリエステルを溶融製膜して得られるフィルム。
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