JP2004238122A - 建設機械用キャブ - Google Patents
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Abstract
【課題】パイプ部材の直径寸法、肉厚寸法、材質を変更することなくルーフ部の強度を高め、パイプ部材を共用して製造コストを低減する。
【解決手段】キャブ11のルーフ部11Fを構成するパイプフレーム12,15のルーフパイプ部12C,15B上部に、剛性を有する長尺な平板からなる補強部材27を前,後方向に延びた状態で立設する構成とする。従って、キャブ11のルーフ部11Fは、補強部材27により上側からの荷重に対して剛性を高めることができる。これにより、車両重量の小さなリフトトラック1のキャブ11に用いるパイプフレーム12,15と、車両重量の大きなリフトトラック1のキャブ11に用いるパイプフレーム12,15とに同じものを使用することができ、パイプフレーム12,15を異なる車格のリフトトラック1で共用することができるから、部品の種類を削減することができる。
【選択図】 図3
【解決手段】キャブ11のルーフ部11Fを構成するパイプフレーム12,15のルーフパイプ部12C,15B上部に、剛性を有する長尺な平板からなる補強部材27を前,後方向に延びた状態で立設する構成とする。従って、キャブ11のルーフ部11Fは、補強部材27により上側からの荷重に対して剛性を高めることができる。これにより、車両重量の小さなリフトトラック1のキャブ11に用いるパイプフレーム12,15と、車両重量の大きなリフトトラック1のキャブ11に用いるパイプフレーム12,15とに同じものを使用することができ、パイプフレーム12,15を異なる車格のリフトトラック1で共用することができるから、部品の種類を削減することができる。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばリフトトラック、油圧ショベル、油圧クレーン等の建設機械に用いて好適な建設機械用キャブに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、建設機械としては、例えば地上から高所への荷物の運搬作業等を行なうリフトトラック、土砂の掘削作業等を行なう油圧ショベル等が知られている。これらの建設機械は、自走可能な車体と、該車体に搭載され、内部に運転室を画成したキャブ等によって大略構成され、前記キャブ内にはオペレータが着座する運転席が設けられている。
【0003】
また、建設機械のキャブは、パイプ部材を用いて骨格を形成し、このパイプ部材からなる骨格に前面パネル、後面パネル、側面パネル、天面パネル、床板等を取付けることにより形成されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−88812号公報
【0005】
ここで、建設機械用キャブは、その上部に重量物が落下したり、建設機械が横転したときの荷重に耐える強度が要求される。特に、建設機械用キャブでは、オペレータを保護するためにルーフ部の強度が重要であり、例えば建設機械がひっくり返った場合を想定し、そのときの荷重にも耐えることができる強度が要求されている。
【0006】
即ち、車両重量の大きな建設機械に用いられるキャブは、その車格に応じた高い剛性が要求される。また、車両重量が小さな建設機械は、その車格に応じてキャブに要求される剛性が低くなる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した従来技術では、車両重量の大きな建設機械に用いるキャブは、パイプ部材の直径寸法、肉厚寸法を大きくし、または高強度な材料を用いて剛性を高めている。一方、車両重量の小さな建設機械に用いるキャブは、高い剛性を必要とせず、直径寸法、肉厚寸法の小さなパイプ部材、または低強度なパイプ部材を用いて形成することができる。
【0008】
従って、キャブの骨組を形成するパイプ部材は、建設機械の車格に応じて複数種類を用意する必要があり、製造コストが嵩んでしまうという問題がある。そこで、車格の大きな建設機械用キャブで使用する大径なパイプ部材、または高強度な材料からなるパイプ部材を用い、車格が小さな建設機械用キャブを製造することが考えられるが、この場合にはキャブの重量、製造コストが増大する、パイプ部材が太くなることで視界が狭くなる等の問題が生じてしまう。
【0009】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、パイプ部材の直径寸法、肉厚寸法、材質を変更することなくルーフ部位の強度を高めることができ、パイプ部材を共用して製造コストを低減することができるようにした建設機械用キャブを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明による建設機械用キャブは、左,右方向に離間して前,後方向に延びる一対のパイプ部材と、該各パイプ部材のルーフ部位間に設けられ上面を覆うルーフパネルとを備え、前記パイプ部材とルーフパネルとにより内部に運転室を画成している。
【0011】
そして、上述した課題を解決するために、請求項1の発明が採用する構成の特徴は、パイプ部材のルーフ部位には、該ルーフ部位に沿って前,後方向に延び該ルーフ部位を補強する補強部材を設ける構成としたことにある。
【0012】
このように構成したことにより、パイプ部材のルーフ部位は補強部材によって強度を高めることができるから、例えば車両重量が小さな建設機械のキャブに用いる小径なパイプ部材を、車両重量が大きな建設機械のキャブに使用することができ、車格が異なる建設機械でパイプ部材を共用することができる。また、補強部材を設けることにより直径寸法の小さなパイプ部材を用いることができるから、視界を広くすることができる。
【0013】
請求項2の発明によると、補強部材とパイプ部材とは別部材により形成し、補強部材はパイプ部材に対し溶接手段を用いて接合する構成としたことにある。これにより、パイプ部材のルーフ部位に補強部材を溶接手段を用いて接合するだけで簡単にルーフ部位の強度を高めることができる。
【0014】
請求項3の発明によると、ルーフパネルには、オペレータの頭上に対応する位置で上方に突出する突出部を設け、該突出部の左,右側縁部と補強部材とを接合する構成としたことにある。
【0015】
このように構成したことにより、突出部は、ルーフパネルを立体構造とすることができ、該ルーフパネルの強度を高めることができる。また、ルーフパネル等が変形することがあっても突出部は、オペレータの頭上にスペースを確保することができる。さらに、突出部の左,右側縁部と補強部材とを接合することにより、荷重が作用したときに補強部材が倒れるのを防止することができる。
【0016】
また、請求項4の発明が採用する構成の特徴は、ルーフパネルには、パイプ部材のルーフ部位に沿って前,後方向に延び該ルーフ部位を補強する補強部材を設け、該補強部材をパイプ部材のルーフ部位に接合する構成としたことにある。
【0017】
このように構成したことにより、パイプ部材のルーフ部位は補強部材によって強度を高めることができるから、例えば車両重量が小さな建設機械のキャブに用いる小径なパイプ部材、または低強度な材料からなるパイプ部材を、車両重量が大きな建設機械のキャブに使用することができ、車格が異なる建設機械でパイプ部材を共用することができる。また、補強部材を設けることにより直径寸法の小さなパイプ部材を用いることができるから、視界を広くすることができる。さらに、補強部材はルーフパネルに設けられているから、該補強部材とルーフパネルとの接合作業を省略することができる。
【0018】
請求項5の発明によると、ルーフパネルには、オペレータの頭上に対応する位置で上方に突出する突出部を設け、該突出部の左,右側縁部に補強部材を一体に設ける構成としたことにある。
【0019】
このように構成したことにより、突出部は、ルーフパネルを立体構造とすることができ、該ルーフパネルの強度を高めることができる。また、ルーフパネル等が変形することがあっても突出部は、オペレータの頭上にスペースを確保することができる。さらに、突出部の左,右側縁部に補強部材を一体に設けることにより、荷重が作用したときに補強部材が倒れるのを防止することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態に適用される建設機械用キャブとして、地上から高所への荷物の運搬作業等を行なうリフトトラックに搭載されたキャブを例に挙げ、添付図面に従って詳細に説明する。
【0021】
まず、図1ないし図5は本発明の第1の実施の形態を示している。図中、1は本実施の形態に適用される建設機械としてのリフトトラックで、該リフトトラック1は、自走可能なホイール式の車体2と、後述のフロント3、キャブ11等により大略構成されている。
【0022】
ここで、車体2は、厚肉な鋼板を組合せて前,後方向に延びるように形成されたフレーム2Aと、該フレーム2Aの前,後に取付けられた4個の車輪2B(左側のみ図示)とによって大略構成されている。
【0023】
3は車体2のフレーム2Aに起伏可能に設けられたフロントで、該フロント3は、基端側がフレーム2Aの後部上端側にピン結合され、前,後方向に延びた伸縮式(テレスコピック式)のブーム3Aと、該ブーム3Aの先端側に回動可能に取付けられたフォーク式の荷役具3Bと、フレーム2Aとブーム3Aとの間に設けられ、車体2に対してブーム3Aを起伏させるブーム起伏シリンダ3Cと、ブーム3Aと荷役具3Bとの間に設けられ、ブーム3Aに対して荷役具3Bを回動させるフォークシリンダ3Dと、前記ブーム3Aを伸長、縮小するブーム伸縮シリンダ3Eとにより大略構成されている。
【0024】
そして、フロント3は、例えば図1中に実線で示すブーム3Aの伏せ位置において荷役具3Bに荷物を積載した後、ブーム起伏シリンダ3Cによってブーム3Aを二点鎖線で示す起立位置へと移動させつつ、ブーム伸縮シリンダ3Eによって該ブーム3Aを伸長させることにより、荷物を地上から高所へと運搬するものである。
【0025】
次に、11は車体2に設けられた本実施の形態に係るキャブで、該キャブ11は、内部に運転室を画成するもので、前,後の車輪2B,2B間に位置してフレーム2Aから左側に張出した支持ブラケット(図示せず)に支持されている。また、キャブ11は、図2、図3に示す如く、左,右方向の左側を覆う左側面部11A、右側を覆う右側面部11B、前側を覆う前面部11C、後側を覆う後面部11D、下側を覆う下面部11Eおよび上側を覆うルーフ部11Fによりボックス状に形成されている。
【0026】
さらに、キャブ11内には、後述する運転席29が配設され、該運転席29の右側にはフロント3等を操作する操作レバー30等が配設され、前側には車体2を走行させるステアリングホイール31等が配設されている。
【0027】
次に、キャブ11の左側面部11Aの構成について説明する。この左側面部11Aは、骨格をなす後述のパイプフレーム12と、該パイプフレーム12に取付けられたセンタピラー13と、該センタピラー13の後側に設けられた左側面ガラス14とにより大略構成されている。
【0028】
12は左側面部11Aの外枠を形成し、キャブ11の骨格をなすパイプ部材としてのパイプフレームで、該パイプフレーム12は、図4に示す如く、断面略8字状の1本の異形パイプ材に長さ方向の複数箇所で所望の曲げ加工を施すことにより形成されている。
【0029】
即ち、パイプフレーム12は、下側に位置して前,後方向に延び、後述する下面部11Eの一部をなす下面パイプ部12Aと、該下面パイプ部12Aの前端から凸湾曲状に上側に延び、後述する前面部11Cの一部をなす前面パイプ部12Bと、該前面パイプ12Bの上端から後側に延び、後述するルーフ部11Fの一部をなすルーフパイプ部12Cと、該ルーフパイプ部12Cの後端から下側に延び、後述する後面部11Dの一部をなす後面パイプ部12Dと、該後面パイプ部12Dの下端から下側に向け斜め前側に延びた傾斜パイプ部12Eとによって角枠状に形成されている。
【0030】
13はパイプフレーム12の前,後方向中間部に位置して上,下方向に延びて設けられたセンタピラーで、該センタピラー13は、上端部がパイプフレーム12のルーフパイプ部12Cに接合され、下端部が下面パイプ部12Aに接合されている。また、センタピラー13の上,下方向の下側寄りにはパイプフレーム12の傾斜パイプ部12Eが接合されている。
【0031】
14はセンタピラー13の後側に設けられた左側面ガラスで、該左側面ガラス14は、パイプフレーム12のルーフパイプ部12Cの後側部位、後面パイプ部12D、傾斜パイプ部12Eおよびセンタピラー13により囲まれた空間を閉塞して設けられている。
【0032】
次に、キャブ11の右側面部11Bの構成について説明する。この右側面部11Bは、図3、図4に示す如く、骨格をなす後述のパイプフレーム15と、該パイプフレーム15の下側に設けられた右側面パネル16と、該右側面パネル16の上側に設けられた右側面ガラス17とにより大略構成されている。
【0033】
15は右側面部11Bの外枠を形成し、キャブ11の骨格をなすパイプ部材としてのパイプフレームで、該パイプフレーム15は、図4に示す如く、左側面部11Aのパイプフレーム12と同様の断面略8字状の1本の異形パイプ材を用い、この異形パイプ材に長さ方向の複数箇所で所望の曲げ加工を施すことにより形成されている。
【0034】
即ち、パイプフレーム15は、前側に位置して上,下方向に凸湾曲状に延び、後述する前面部11Cの一部をなす前面パイプ部15Aと、該前面パイプ部15Aの上端から後側に延び、後述するルーフ部11Fの一部をなすルーフパイプ部15Bと、該ルーフパイプ部15Bの後端から下側に延び、後述する後面部11Dの一部をなす後面パイプ部15Cとによって下向きに開口する略コ字状に形成されている。
【0035】
16はパイプフレーム15の下側に取付けられた右側面パネルで、該右側面パネル16は、右側面部11Bの下側部分を覆うもので、板材を折曲げることによりステップ状に形成されている。
【0036】
17は右側面パネル16の上側に設けられた右側面ガラス(図3中に一部のみ図示)で、該右側面ガラス17は、パイプフレーム15と右側面パネル16とにより囲まれた空間を閉塞して設けられている。
【0037】
次に、キャブ11の前面部11Cの構成について説明する。この前面部11Cは、パイプフレーム12,15の前面パイプ部12B,15Aを含んで構成されている。そして、前面部11Cは、図3に示す如く、パイプフレーム12,15の前面パイプ部12B,15Aと、該パイプフレーム12,15の前面パイプ部12B,15A間を左,右方向に延びて設けられ、両者を連結する前側連結フレーム18と、該前側連結フレーム18の下側に位置してオペレータの足元の前側を覆う前面パネル19と、前記前側連結フレーム18の上側に取付けられた前面ガラス20とによって大略構成されている。
【0038】
次に、キャブ11の後面部11Dの構成について説明する。この後面部11Dは、パイプフレーム12,15の後面パイプ部12D,15Cを含んで構成されている。そして、後面部11Dは、図4に示す如く、パイプフレーム12,15の後面パイプ部12D,15Cと、該パイプフレーム12,15の後面パイプ部12D,15C間を左,右方向に延びて設けられた後側連結フレーム21と、該後側連結フレーム21の下側に位置してステップ状に形成された後面パネル22と、前記後側連結フレーム21の上側に取付けられた後面ガラス23(図3中に一部のみ図示)とにより大略構成されている。
【0039】
次に、キャブ11の下面部11Eの構成について説明する。この下面部11Eは、パイプフレーム12の下面パイプ部12Aと右側面パネル16の下端縁とを含んで構成されている。そして、下面部11Eは、パイプフレーム12の下面パイプ部12A、右側面パネル16の下端縁と、該パイプフレーム12の下面パイプ部12Aと右側面パネル16の下端縁と間に位置して前側寄りに配置された床板24と、該床板24の後側に位置して1段高く形成された運転席支持台25とによって大略構成されている。
【0040】
次に、キャブ11のルーフ部11Fの構成について説明する。このルーフ部11Fは、左,右に離間して前,後方向に延びる一対のパイプ部材をなすパイプフレーム12,15のルーフパイプ部12C,15Bを含んで構成されている。即ち、ルーフ部11Fは、図4、図5に示す如く、ルーフパイプ部12C,15Bと、該各ルーフパイプ部12C,15B間に設けられ、上面を覆うルーフパネル26とによって構成されている。
【0041】
また、ルーフパネル26は、前側に設けられ、上部視界を得るために網目状に形成された前板部26Aと、後側に設けられた後板部26Bと、該後板部26Bの前側に一体的に設けられ、前記前板部26A、後板部26Bよりも上方に突出した突出部26Cとによって構成されている。
【0042】
ここで、突出部26Cは、キャブ11に搭乗したオペレータの頭上に配置され、下向きに開口するほぼコ字状の断面形状で左,右方向に延びて形成されている。これにより、突出部26Cは、ルーフパネル26を立体構造として強度を高めることができる。また、突出部26Cは、ルーフ部11Fが変形することがあっても、オペレータの頭上にスペースを確保することができる。
【0043】
そして、ルーフパネル26の前板部26Aは、その左,右側縁部26A1がパイプフレーム12,15のルーフパイプ部12C,15Bに溶接手段を用いて接合されている。また、前板部26Aは、前端で前面部11Cの前面ガラス20の上端を支持している。一方、後板部26Bは、その左,右側縁部26B1がパイプフレーム12,15のルーフパイプ部12C,15Bに溶接手段を用いて接合されている。また、後板部26Bは、後端で後面部11Dの後面ガラス23の上端を支持している。
【0044】
さらに、突出部26Cは、その左,右側縁部26C1がパイプフレーム12,15のルーフパイプ部12C,15Bと後述の補強部材27とに溶接手段を用いて接合されている。また、突出部26Cの前端は、前板部26Aの後部上面に溶接されている。
【0045】
27は左,右方向に離間してルーフ部11Fに設けられた一対の補強部材で、該各補強部材27は、ルーフ部11Fの強度、特に、ルーフ部11Fに上側から作用する荷重に対する剛性を高めて補強するものである。また、各補強部材27は、剛性を有する長尺な平板からなり、ルーフ部11Fを構成するパイプフレーム12,15のルーフパイプ部12C,15B上部に、該ルーフパイプ部12C,15Bに沿って前,後方向に延びた状態で立設されている。なお、補強部材27の前部と後部には面取り部27A,27Bが形成され、該面取り部27A,27Bは、補強部材27を軽量化し、また見栄えを良好にしている。
【0046】
そして、補強部材27は、下側の長辺部がルーフパイプ部12C,15Bに溶接手段を用いて接合されている。また、補強部材27の左,右方向の内側面には、突出部26Cの左,右側縁部26C1が溶接手段を用いて接合されている。
【0047】
さらに、補強部材27は、その上端縁の位置がルーフパネル26の突出部26Cよりも高く形成されている。これにより、補強部材27と突出部26Cの左,右側縁部26C1とを溶接するときには、補強部材27側に溶接代を確保することができるから、両者間に容易に溶接を施すことができる。また、溶接部位を外部から見えないように補強部材27により覆い隠すことができる。
【0048】
このように、各補強部材27は、左,右のパイプフレーム12,15のルーフパイプ部12C,15B上に前,後方向に延びるリブとして立設されているから、ルーフ部11Fに上側から作用する荷重に対し、ルーフパイプ部12C,15Bの剛性を高めることができる。しかも、各補強部材27には、ルーフパネル26の突出部26Cを溶接しているから、この突出部26Cにより各補強部材27が倒れないように支持することができ、高い剛性を安定的に得ることができる。
【0049】
一方、28は左側面部11Aに位置してセンタピラー13に開閉可能に設けられたドア(図2、図3参照)で、該ドア28は、キャブ11の出入口を開閉するものである。そして、ドア28は、出入口のほぼ下側半分を開閉する下部ドア28Aと、残りの上側半分を開閉する上部ドア28Bとにより構成されている。
【0050】
29はキャブ11内に位置して下面部11Eの運転席支持台25上に設けられた運転席(図3中に図示)で、該運転席29は、オペレータが着座するものである。また、運転席29の右側には、フロント3等を操作するための操作レバー30等が配設されている。さらに、運転席29の前側には、車体2を走行させるためのステアリングホイール31がインストルメントパネル32の位置に設けられ、該ステアリングホイール31の下側の足元にはペダル33が配設されている。
【0051】
本実施の形態によるリフトトラック1は上述の如き構成を有するもので、次に、その動作について説明する。
【0052】
まず、オペレータはドア28を開いてキャブ11内に乗込み、運転席29に着座する。この状態でペダル33等を操作しながらステアリングホイール31を操作することにより車体2を走行させることができる。また、各操作レバー30等を操作し、フロント3を起伏させることにより、地上から高所への荷物の運搬作業等を行なうことができる。
【0053】
一方、リフトトラック1の走行時、作業時には、その上部に重量物が落下したり、運転操作を誤まってひっくり返る虞がある。しかし、キャブ11のルーフ部11Fには、前,後方向に延びるリブ状の補強部材27を設けているから、ルーフ部11Fの剛性を高めることができ、オペレータを保護することができる。
【0054】
かくして、本実施の形態によれば、ルーフ部11Fを構成するパイプフレーム12,15のルーフパイプ部12C,15B上部に、剛性を有する長尺な平板からなる補強部材27を前,後方向に延びた状態で立設する構成としている。従って、キャブ11のルーフ部11Fは、補強部材27により上側からの荷重に対して剛性を高めることができる。
【0055】
この結果、車両重量の小さなリフトトラック1のキャブ11に用いるパイプフレーム12,15と、車両重量の大きなリフトトラック1のキャブ11に用いるパイプフレーム12,15とに同じものを使用することができ、パイプフレーム12,15を異なる車格のリフトトラック1で共用することができる。これにより、部品の種類を削減することができ、製造コストを低減することができる。
【0056】
また、補強部材27を設けることによって直径寸法の小さなパイプフレーム12,15を用いることができるから、パイプフレーム12,15が妨げとなって見えなくなる範囲を少なくして、キャブ11内からの視界を広くすることができ、作業性等を向上することができる。
【0057】
また、補強部材27は、パイプフレーム12,15のルーフパイプ部12C,15Bに対し溶接手段を用いて接合しているから、パイプフレーム12,15に補強部材27を溶接するだけで、ルーフ部11Fの強度を簡単に高めることができる。
【0058】
一方、ルーフ部11Fのルーフパネル26には、オペレータの頭上に対応する位置に上方に突出する突出部26Cを設けているから、ルーフパネル26を突出部26Cにより立体構造とすることができ、ルーフ部11Fの強度をより一層高めることができる。また、突出部26Cは、ルーフ部11Fが変形することがあっても、オペレータの頭上にスペースを確保することができ、安全性を向上することができる。
【0059】
さらに、突出部26Cの左,右側縁部26C1と補強部材27とを接合しているから、荷重が作用したときに補強部材27が倒れるのを防止することができ、高い剛性を安定的に得ることができる。
【0060】
次に、図6および図7は本発明に係る建設機械用キャブの第2の実施の形態を示している。本実施の形態の特徴は、ルーフパネルには、パイプ部材のルーフ部位に沿って前,後方向に延び該ルーフ部位を補強する補強部材を設け、該補強部材をパイプ部材のルーフ部位に接合する構成としたことにある。なお、本実施の形態では、前述した第1の実施の形態と同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0061】
41は第2の実施の形態によるルーフ部で、該ルーフ部41は、第1の実施の形態によるルーフ部11Fとほぼ同様に、パイプフレーム12,15のルーフパイプ部12C,15Bと、ルーフパネル42とによって構成されている。
【0062】
42はルーフ部41に設けられたルーフパネルで、該ルーフパネル42は、第1の実施の形態によるルーフパネル26とほぼ同様に、前板部42A、後板部42B、突出部42Cとによって構成されている。しかし、第2の実施の形態によるルーフパネル42は、突出部42Cに補強部材をなす補強端板43が一体的に設けられている点で第1の実施の形態によるルーフパネル26と相違している。
【0063】
ここで、ルーフパネル42の突出部42Cは、第1の実施の形態による突出部26Cとほぼ同様に、上側に突出し、かつ下向きに開口するほぼコ字状の断面形状で左,右方向に延びて形成されている。しかし、第2の実施の形態による突出部42Cには、その左,右側縁部42C1に位置して後述の補強端板43が一体に設けられている点で第1の実施の形態による突出部26Cと相違している。
【0064】
43はルーフパネル42の突出部42Cの左,右側縁部42C1に設けられた補強部材としての一対の補強端板(図7中に片方のみ図示)で、該補強端板43は、突出部42Cと一体的に設けられている。そして、補強端板43は、突出部42Cの左,右方向の端部を閉塞する位置で前,後方向に延び、パイプフレーム12,15のルーフパイプ部12C,15B上部に溶接手段を用いて接合されている。これにより、補強端板43は、上側からの荷重に対するキャブ11のルーフ部41の剛性を高めて補強することができる。
【0065】
かくして、このように構成された第2の実施の形態においても、前述した第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。特に、本実施の形態では、補強部材をなす補強端板43をルーフパネル42の突出部42Cと一体に設けているから、部品点数を削減して溶接作業を簡略化することができる。また、外観状の見栄えを良好にすることができる。
【0066】
なお、第1の実施の形態では、ルーフ部11Fのルーフパネル26は、後板部26Bと突出部26Cとを一体的に設け、突出部26Cの前端を別個に設けられた前板部26Aに溶接する構成とした場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば図8に示す第1の変形例によるルーフ部51のように、ルーフパネル52を形成する前板部52A、後板部52B、突出部52Cをそれぞれ別個に設け、溶接手段を用いて接合する構成としてもよい。また、前板部、後板部、突出部を一体形成する構成としてもよい。
【0067】
また、第1の実施の形態では、ルーフ部11Fのルーフパネル26に突出部26Cを設けた場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば図9に示す第2の変形例によるルーフ部61のように、例えばルーフパネル62を前側に網目部62Aが形成された1枚の板体から形成する構成としてもよい。
【0068】
また、第2の実施の形態では、ルーフパネル42の突出部42Cの左,右側縁部42C1に補強部材をなす補強端板43を設けた場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば図10に示す第3の変形例のように、切欠部71Aにより突出部42Cの左,右側縁部42C1を跨いで前,後方向に延びる補強部材71を、パイプフレーム12,15のルーフパイプ部12C,15B上に溶接手段を用いて接合する構成としてもよい。この場合には、ルーフ部41の剛性をより一層高めることができる。
【0069】
また、第1の実施の形態では、パイプフレーム12,15はそてぞれ1本の異形パイプ材を折曲げることにより形成するものとして説明したが、本発明はこれに限るものではなく、例えばパイプフレームを複数の部位に分割し、溶接手段等を用いて接合する構成としてもよい。この構成は他の実施の形態、変形例にも同様に適用することができるものである。
【0070】
さらに、各実施の形態では、建設機械用キャブとしてリフトトラック1のキャブ11を例示したが、本発明はこれに限らず、例えば油圧ショベル、油圧クレーン、ホイールローダ、トラクタ等の他の建設機械のキャブにも広く適用できるものである。この場合、ルーフパネルは、必ずしも上方視界を得るために網目状に形成する必要はないものである。
【0071】
【発明の効果】
以上詳述した通り、請求項1の発明によれば、左,右方向に離間して前,後方向に延びる一対のパイプ部材のルーフ部位には、該ルーフ部位に沿って前,後方向に延び該ルーフ部位を補強する補強部材を設ける構成としている。従って、パイプ部材のルーフ部位は補強部材によって強度を高めることができるから、例えば車両重量が小さな建設機械のキャブに用いる小径なパイプ部材、または低強度な材料からなるパイプ部材を、車両重量が大きな建設機械のキャブに使用することができる。
【0072】
この結果、車格が異なる建設機械でパイプ部材を共用することができから、部品の種類を削減することができ、製造コストを低減することができる。また、補強部材を設けることにより直径寸法の小さなパイプ部材を用いることができるから、パイプ部材が妨げとなって見えなくなる範囲を少なくして、キャブ内からの視界を広くすることができ、作業性等を向上することができる。
【0073】
請求項2の発明によれば、補強部材とパイプ部材とは別部材により形成し、補強部材はパイプ部材に対し溶接手段を用いて接合する構成としているので、パイプ部材のルーフ部位に補強部材を溶接手段を用いて接合するだけで簡単にルーフ部位の強度を高めることができ、作業性を向上することができる。
【0074】
請求項3の発明によれば、ルーフパネルには、オペレータの頭上に対応する位置で上方に突出する突出部を設け、該突出部の左,右側縁部と補強部材とを接合する構成としているので、突出部は、ルーフパネルを立体構造とすることができ、該ルーフパネルの強度をより一層高めることができる。
【0075】
また、ルーフパネル等が変形することがあっても突出部は、オペレータの頭上にスペースを確保することができ、安全性を向上することができる。さらに、突出部の左,右側縁部と補強部材とを接合することにより、荷重が作用したときに補強部材が倒れるのを防止することができ、高い剛性を安定的に得ることができる。
【0076】
請求項4の発明によれば、各パイプ部材のルーフ部位間に設けられ上面を覆うルーフパネルには、パイプ部材のルーフ部位に沿って前,後方向に延び該ルーフ部位を補強する補強部材を設け、該補強部材をパイプ部材のルーフ部位に接合する構成としているので、請求項1の発明とほぼ同様の作用効果を得ることができる。しかも、補強部材はルーフパネルに設けられているから、該補強部材とルーフパネルとの接合作業を省略することができる。
【0077】
請求項5の発明によれば、ルーフパネルには、オペレータの頭上に対応する位置で上方に突出する突出部を設け、該突出部の左,右側縁部に補強部材を一体に設ける構成としているので、請求項3の発明とほぼ同様の作用効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に適用されるリフトトラックを示す正面図である。
【図2】図1中のキャブを拡大して示す正面図である。
【図3】ドアを開いた状態のキャブを示す外観斜視図である。
【図4】図3に示すキャブの分解斜視図である。
【図5】キャブのルーフ部を図3中の矢示V−V方向から拡大して示す断面斜視図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態によるルーフ部を拡大して示す断面斜視図である。
【図7】図6中のルーフ部を右側から拡大して示す断面斜視図である。
【図8】本発明の第1の変形例によるルーフ部を拡大して示す断面斜視図である。
【図9】本発明の第2の変形例によるルーフ部を拡大して示す断面斜視図である。
【図10】本発明の第3の変形例によるルーフ部を右側から拡大して示す断面斜視図である。
【符号の説明】
1 リフトトラック(建設機械)
2 車体
11 キャブ
12,15 パイプフレーム(パイプ部材)
12C,15B ルーフパイプ部(ルーフ部位)
11F,41,51,61 ルーフ部
26,42,52,62 ルーフパネル
26C,42C,52C 突出部
26C1,42C1 左,右側縁部
27,71 補強部材
29 運転席
43 補強端板(補強部材)
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばリフトトラック、油圧ショベル、油圧クレーン等の建設機械に用いて好適な建設機械用キャブに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、建設機械としては、例えば地上から高所への荷物の運搬作業等を行なうリフトトラック、土砂の掘削作業等を行なう油圧ショベル等が知られている。これらの建設機械は、自走可能な車体と、該車体に搭載され、内部に運転室を画成したキャブ等によって大略構成され、前記キャブ内にはオペレータが着座する運転席が設けられている。
【0003】
また、建設機械のキャブは、パイプ部材を用いて骨格を形成し、このパイプ部材からなる骨格に前面パネル、後面パネル、側面パネル、天面パネル、床板等を取付けることにより形成されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−88812号公報
【0005】
ここで、建設機械用キャブは、その上部に重量物が落下したり、建設機械が横転したときの荷重に耐える強度が要求される。特に、建設機械用キャブでは、オペレータを保護するためにルーフ部の強度が重要であり、例えば建設機械がひっくり返った場合を想定し、そのときの荷重にも耐えることができる強度が要求されている。
【0006】
即ち、車両重量の大きな建設機械に用いられるキャブは、その車格に応じた高い剛性が要求される。また、車両重量が小さな建設機械は、その車格に応じてキャブに要求される剛性が低くなる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した従来技術では、車両重量の大きな建設機械に用いるキャブは、パイプ部材の直径寸法、肉厚寸法を大きくし、または高強度な材料を用いて剛性を高めている。一方、車両重量の小さな建設機械に用いるキャブは、高い剛性を必要とせず、直径寸法、肉厚寸法の小さなパイプ部材、または低強度なパイプ部材を用いて形成することができる。
【0008】
従って、キャブの骨組を形成するパイプ部材は、建設機械の車格に応じて複数種類を用意する必要があり、製造コストが嵩んでしまうという問題がある。そこで、車格の大きな建設機械用キャブで使用する大径なパイプ部材、または高強度な材料からなるパイプ部材を用い、車格が小さな建設機械用キャブを製造することが考えられるが、この場合にはキャブの重量、製造コストが増大する、パイプ部材が太くなることで視界が狭くなる等の問題が生じてしまう。
【0009】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、パイプ部材の直径寸法、肉厚寸法、材質を変更することなくルーフ部位の強度を高めることができ、パイプ部材を共用して製造コストを低減することができるようにした建設機械用キャブを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明による建設機械用キャブは、左,右方向に離間して前,後方向に延びる一対のパイプ部材と、該各パイプ部材のルーフ部位間に設けられ上面を覆うルーフパネルとを備え、前記パイプ部材とルーフパネルとにより内部に運転室を画成している。
【0011】
そして、上述した課題を解決するために、請求項1の発明が採用する構成の特徴は、パイプ部材のルーフ部位には、該ルーフ部位に沿って前,後方向に延び該ルーフ部位を補強する補強部材を設ける構成としたことにある。
【0012】
このように構成したことにより、パイプ部材のルーフ部位は補強部材によって強度を高めることができるから、例えば車両重量が小さな建設機械のキャブに用いる小径なパイプ部材を、車両重量が大きな建設機械のキャブに使用することができ、車格が異なる建設機械でパイプ部材を共用することができる。また、補強部材を設けることにより直径寸法の小さなパイプ部材を用いることができるから、視界を広くすることができる。
【0013】
請求項2の発明によると、補強部材とパイプ部材とは別部材により形成し、補強部材はパイプ部材に対し溶接手段を用いて接合する構成としたことにある。これにより、パイプ部材のルーフ部位に補強部材を溶接手段を用いて接合するだけで簡単にルーフ部位の強度を高めることができる。
【0014】
請求項3の発明によると、ルーフパネルには、オペレータの頭上に対応する位置で上方に突出する突出部を設け、該突出部の左,右側縁部と補強部材とを接合する構成としたことにある。
【0015】
このように構成したことにより、突出部は、ルーフパネルを立体構造とすることができ、該ルーフパネルの強度を高めることができる。また、ルーフパネル等が変形することがあっても突出部は、オペレータの頭上にスペースを確保することができる。さらに、突出部の左,右側縁部と補強部材とを接合することにより、荷重が作用したときに補強部材が倒れるのを防止することができる。
【0016】
また、請求項4の発明が採用する構成の特徴は、ルーフパネルには、パイプ部材のルーフ部位に沿って前,後方向に延び該ルーフ部位を補強する補強部材を設け、該補強部材をパイプ部材のルーフ部位に接合する構成としたことにある。
【0017】
このように構成したことにより、パイプ部材のルーフ部位は補強部材によって強度を高めることができるから、例えば車両重量が小さな建設機械のキャブに用いる小径なパイプ部材、または低強度な材料からなるパイプ部材を、車両重量が大きな建設機械のキャブに使用することができ、車格が異なる建設機械でパイプ部材を共用することができる。また、補強部材を設けることにより直径寸法の小さなパイプ部材を用いることができるから、視界を広くすることができる。さらに、補強部材はルーフパネルに設けられているから、該補強部材とルーフパネルとの接合作業を省略することができる。
【0018】
請求項5の発明によると、ルーフパネルには、オペレータの頭上に対応する位置で上方に突出する突出部を設け、該突出部の左,右側縁部に補強部材を一体に設ける構成としたことにある。
【0019】
このように構成したことにより、突出部は、ルーフパネルを立体構造とすることができ、該ルーフパネルの強度を高めることができる。また、ルーフパネル等が変形することがあっても突出部は、オペレータの頭上にスペースを確保することができる。さらに、突出部の左,右側縁部に補強部材を一体に設けることにより、荷重が作用したときに補強部材が倒れるのを防止することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態に適用される建設機械用キャブとして、地上から高所への荷物の運搬作業等を行なうリフトトラックに搭載されたキャブを例に挙げ、添付図面に従って詳細に説明する。
【0021】
まず、図1ないし図5は本発明の第1の実施の形態を示している。図中、1は本実施の形態に適用される建設機械としてのリフトトラックで、該リフトトラック1は、自走可能なホイール式の車体2と、後述のフロント3、キャブ11等により大略構成されている。
【0022】
ここで、車体2は、厚肉な鋼板を組合せて前,後方向に延びるように形成されたフレーム2Aと、該フレーム2Aの前,後に取付けられた4個の車輪2B(左側のみ図示)とによって大略構成されている。
【0023】
3は車体2のフレーム2Aに起伏可能に設けられたフロントで、該フロント3は、基端側がフレーム2Aの後部上端側にピン結合され、前,後方向に延びた伸縮式(テレスコピック式)のブーム3Aと、該ブーム3Aの先端側に回動可能に取付けられたフォーク式の荷役具3Bと、フレーム2Aとブーム3Aとの間に設けられ、車体2に対してブーム3Aを起伏させるブーム起伏シリンダ3Cと、ブーム3Aと荷役具3Bとの間に設けられ、ブーム3Aに対して荷役具3Bを回動させるフォークシリンダ3Dと、前記ブーム3Aを伸長、縮小するブーム伸縮シリンダ3Eとにより大略構成されている。
【0024】
そして、フロント3は、例えば図1中に実線で示すブーム3Aの伏せ位置において荷役具3Bに荷物を積載した後、ブーム起伏シリンダ3Cによってブーム3Aを二点鎖線で示す起立位置へと移動させつつ、ブーム伸縮シリンダ3Eによって該ブーム3Aを伸長させることにより、荷物を地上から高所へと運搬するものである。
【0025】
次に、11は車体2に設けられた本実施の形態に係るキャブで、該キャブ11は、内部に運転室を画成するもので、前,後の車輪2B,2B間に位置してフレーム2Aから左側に張出した支持ブラケット(図示せず)に支持されている。また、キャブ11は、図2、図3に示す如く、左,右方向の左側を覆う左側面部11A、右側を覆う右側面部11B、前側を覆う前面部11C、後側を覆う後面部11D、下側を覆う下面部11Eおよび上側を覆うルーフ部11Fによりボックス状に形成されている。
【0026】
さらに、キャブ11内には、後述する運転席29が配設され、該運転席29の右側にはフロント3等を操作する操作レバー30等が配設され、前側には車体2を走行させるステアリングホイール31等が配設されている。
【0027】
次に、キャブ11の左側面部11Aの構成について説明する。この左側面部11Aは、骨格をなす後述のパイプフレーム12と、該パイプフレーム12に取付けられたセンタピラー13と、該センタピラー13の後側に設けられた左側面ガラス14とにより大略構成されている。
【0028】
12は左側面部11Aの外枠を形成し、キャブ11の骨格をなすパイプ部材としてのパイプフレームで、該パイプフレーム12は、図4に示す如く、断面略8字状の1本の異形パイプ材に長さ方向の複数箇所で所望の曲げ加工を施すことにより形成されている。
【0029】
即ち、パイプフレーム12は、下側に位置して前,後方向に延び、後述する下面部11Eの一部をなす下面パイプ部12Aと、該下面パイプ部12Aの前端から凸湾曲状に上側に延び、後述する前面部11Cの一部をなす前面パイプ部12Bと、該前面パイプ12Bの上端から後側に延び、後述するルーフ部11Fの一部をなすルーフパイプ部12Cと、該ルーフパイプ部12Cの後端から下側に延び、後述する後面部11Dの一部をなす後面パイプ部12Dと、該後面パイプ部12Dの下端から下側に向け斜め前側に延びた傾斜パイプ部12Eとによって角枠状に形成されている。
【0030】
13はパイプフレーム12の前,後方向中間部に位置して上,下方向に延びて設けられたセンタピラーで、該センタピラー13は、上端部がパイプフレーム12のルーフパイプ部12Cに接合され、下端部が下面パイプ部12Aに接合されている。また、センタピラー13の上,下方向の下側寄りにはパイプフレーム12の傾斜パイプ部12Eが接合されている。
【0031】
14はセンタピラー13の後側に設けられた左側面ガラスで、該左側面ガラス14は、パイプフレーム12のルーフパイプ部12Cの後側部位、後面パイプ部12D、傾斜パイプ部12Eおよびセンタピラー13により囲まれた空間を閉塞して設けられている。
【0032】
次に、キャブ11の右側面部11Bの構成について説明する。この右側面部11Bは、図3、図4に示す如く、骨格をなす後述のパイプフレーム15と、該パイプフレーム15の下側に設けられた右側面パネル16と、該右側面パネル16の上側に設けられた右側面ガラス17とにより大略構成されている。
【0033】
15は右側面部11Bの外枠を形成し、キャブ11の骨格をなすパイプ部材としてのパイプフレームで、該パイプフレーム15は、図4に示す如く、左側面部11Aのパイプフレーム12と同様の断面略8字状の1本の異形パイプ材を用い、この異形パイプ材に長さ方向の複数箇所で所望の曲げ加工を施すことにより形成されている。
【0034】
即ち、パイプフレーム15は、前側に位置して上,下方向に凸湾曲状に延び、後述する前面部11Cの一部をなす前面パイプ部15Aと、該前面パイプ部15Aの上端から後側に延び、後述するルーフ部11Fの一部をなすルーフパイプ部15Bと、該ルーフパイプ部15Bの後端から下側に延び、後述する後面部11Dの一部をなす後面パイプ部15Cとによって下向きに開口する略コ字状に形成されている。
【0035】
16はパイプフレーム15の下側に取付けられた右側面パネルで、該右側面パネル16は、右側面部11Bの下側部分を覆うもので、板材を折曲げることによりステップ状に形成されている。
【0036】
17は右側面パネル16の上側に設けられた右側面ガラス(図3中に一部のみ図示)で、該右側面ガラス17は、パイプフレーム15と右側面パネル16とにより囲まれた空間を閉塞して設けられている。
【0037】
次に、キャブ11の前面部11Cの構成について説明する。この前面部11Cは、パイプフレーム12,15の前面パイプ部12B,15Aを含んで構成されている。そして、前面部11Cは、図3に示す如く、パイプフレーム12,15の前面パイプ部12B,15Aと、該パイプフレーム12,15の前面パイプ部12B,15A間を左,右方向に延びて設けられ、両者を連結する前側連結フレーム18と、該前側連結フレーム18の下側に位置してオペレータの足元の前側を覆う前面パネル19と、前記前側連結フレーム18の上側に取付けられた前面ガラス20とによって大略構成されている。
【0038】
次に、キャブ11の後面部11Dの構成について説明する。この後面部11Dは、パイプフレーム12,15の後面パイプ部12D,15Cを含んで構成されている。そして、後面部11Dは、図4に示す如く、パイプフレーム12,15の後面パイプ部12D,15Cと、該パイプフレーム12,15の後面パイプ部12D,15C間を左,右方向に延びて設けられた後側連結フレーム21と、該後側連結フレーム21の下側に位置してステップ状に形成された後面パネル22と、前記後側連結フレーム21の上側に取付けられた後面ガラス23(図3中に一部のみ図示)とにより大略構成されている。
【0039】
次に、キャブ11の下面部11Eの構成について説明する。この下面部11Eは、パイプフレーム12の下面パイプ部12Aと右側面パネル16の下端縁とを含んで構成されている。そして、下面部11Eは、パイプフレーム12の下面パイプ部12A、右側面パネル16の下端縁と、該パイプフレーム12の下面パイプ部12Aと右側面パネル16の下端縁と間に位置して前側寄りに配置された床板24と、該床板24の後側に位置して1段高く形成された運転席支持台25とによって大略構成されている。
【0040】
次に、キャブ11のルーフ部11Fの構成について説明する。このルーフ部11Fは、左,右に離間して前,後方向に延びる一対のパイプ部材をなすパイプフレーム12,15のルーフパイプ部12C,15Bを含んで構成されている。即ち、ルーフ部11Fは、図4、図5に示す如く、ルーフパイプ部12C,15Bと、該各ルーフパイプ部12C,15B間に設けられ、上面を覆うルーフパネル26とによって構成されている。
【0041】
また、ルーフパネル26は、前側に設けられ、上部視界を得るために網目状に形成された前板部26Aと、後側に設けられた後板部26Bと、該後板部26Bの前側に一体的に設けられ、前記前板部26A、後板部26Bよりも上方に突出した突出部26Cとによって構成されている。
【0042】
ここで、突出部26Cは、キャブ11に搭乗したオペレータの頭上に配置され、下向きに開口するほぼコ字状の断面形状で左,右方向に延びて形成されている。これにより、突出部26Cは、ルーフパネル26を立体構造として強度を高めることができる。また、突出部26Cは、ルーフ部11Fが変形することがあっても、オペレータの頭上にスペースを確保することができる。
【0043】
そして、ルーフパネル26の前板部26Aは、その左,右側縁部26A1がパイプフレーム12,15のルーフパイプ部12C,15Bに溶接手段を用いて接合されている。また、前板部26Aは、前端で前面部11Cの前面ガラス20の上端を支持している。一方、後板部26Bは、その左,右側縁部26B1がパイプフレーム12,15のルーフパイプ部12C,15Bに溶接手段を用いて接合されている。また、後板部26Bは、後端で後面部11Dの後面ガラス23の上端を支持している。
【0044】
さらに、突出部26Cは、その左,右側縁部26C1がパイプフレーム12,15のルーフパイプ部12C,15Bと後述の補強部材27とに溶接手段を用いて接合されている。また、突出部26Cの前端は、前板部26Aの後部上面に溶接されている。
【0045】
27は左,右方向に離間してルーフ部11Fに設けられた一対の補強部材で、該各補強部材27は、ルーフ部11Fの強度、特に、ルーフ部11Fに上側から作用する荷重に対する剛性を高めて補強するものである。また、各補強部材27は、剛性を有する長尺な平板からなり、ルーフ部11Fを構成するパイプフレーム12,15のルーフパイプ部12C,15B上部に、該ルーフパイプ部12C,15Bに沿って前,後方向に延びた状態で立設されている。なお、補強部材27の前部と後部には面取り部27A,27Bが形成され、該面取り部27A,27Bは、補強部材27を軽量化し、また見栄えを良好にしている。
【0046】
そして、補強部材27は、下側の長辺部がルーフパイプ部12C,15Bに溶接手段を用いて接合されている。また、補強部材27の左,右方向の内側面には、突出部26Cの左,右側縁部26C1が溶接手段を用いて接合されている。
【0047】
さらに、補強部材27は、その上端縁の位置がルーフパネル26の突出部26Cよりも高く形成されている。これにより、補強部材27と突出部26Cの左,右側縁部26C1とを溶接するときには、補強部材27側に溶接代を確保することができるから、両者間に容易に溶接を施すことができる。また、溶接部位を外部から見えないように補強部材27により覆い隠すことができる。
【0048】
このように、各補強部材27は、左,右のパイプフレーム12,15のルーフパイプ部12C,15B上に前,後方向に延びるリブとして立設されているから、ルーフ部11Fに上側から作用する荷重に対し、ルーフパイプ部12C,15Bの剛性を高めることができる。しかも、各補強部材27には、ルーフパネル26の突出部26Cを溶接しているから、この突出部26Cにより各補強部材27が倒れないように支持することができ、高い剛性を安定的に得ることができる。
【0049】
一方、28は左側面部11Aに位置してセンタピラー13に開閉可能に設けられたドア(図2、図3参照)で、該ドア28は、キャブ11の出入口を開閉するものである。そして、ドア28は、出入口のほぼ下側半分を開閉する下部ドア28Aと、残りの上側半分を開閉する上部ドア28Bとにより構成されている。
【0050】
29はキャブ11内に位置して下面部11Eの運転席支持台25上に設けられた運転席(図3中に図示)で、該運転席29は、オペレータが着座するものである。また、運転席29の右側には、フロント3等を操作するための操作レバー30等が配設されている。さらに、運転席29の前側には、車体2を走行させるためのステアリングホイール31がインストルメントパネル32の位置に設けられ、該ステアリングホイール31の下側の足元にはペダル33が配設されている。
【0051】
本実施の形態によるリフトトラック1は上述の如き構成を有するもので、次に、その動作について説明する。
【0052】
まず、オペレータはドア28を開いてキャブ11内に乗込み、運転席29に着座する。この状態でペダル33等を操作しながらステアリングホイール31を操作することにより車体2を走行させることができる。また、各操作レバー30等を操作し、フロント3を起伏させることにより、地上から高所への荷物の運搬作業等を行なうことができる。
【0053】
一方、リフトトラック1の走行時、作業時には、その上部に重量物が落下したり、運転操作を誤まってひっくり返る虞がある。しかし、キャブ11のルーフ部11Fには、前,後方向に延びるリブ状の補強部材27を設けているから、ルーフ部11Fの剛性を高めることができ、オペレータを保護することができる。
【0054】
かくして、本実施の形態によれば、ルーフ部11Fを構成するパイプフレーム12,15のルーフパイプ部12C,15B上部に、剛性を有する長尺な平板からなる補強部材27を前,後方向に延びた状態で立設する構成としている。従って、キャブ11のルーフ部11Fは、補強部材27により上側からの荷重に対して剛性を高めることができる。
【0055】
この結果、車両重量の小さなリフトトラック1のキャブ11に用いるパイプフレーム12,15と、車両重量の大きなリフトトラック1のキャブ11に用いるパイプフレーム12,15とに同じものを使用することができ、パイプフレーム12,15を異なる車格のリフトトラック1で共用することができる。これにより、部品の種類を削減することができ、製造コストを低減することができる。
【0056】
また、補強部材27を設けることによって直径寸法の小さなパイプフレーム12,15を用いることができるから、パイプフレーム12,15が妨げとなって見えなくなる範囲を少なくして、キャブ11内からの視界を広くすることができ、作業性等を向上することができる。
【0057】
また、補強部材27は、パイプフレーム12,15のルーフパイプ部12C,15Bに対し溶接手段を用いて接合しているから、パイプフレーム12,15に補強部材27を溶接するだけで、ルーフ部11Fの強度を簡単に高めることができる。
【0058】
一方、ルーフ部11Fのルーフパネル26には、オペレータの頭上に対応する位置に上方に突出する突出部26Cを設けているから、ルーフパネル26を突出部26Cにより立体構造とすることができ、ルーフ部11Fの強度をより一層高めることができる。また、突出部26Cは、ルーフ部11Fが変形することがあっても、オペレータの頭上にスペースを確保することができ、安全性を向上することができる。
【0059】
さらに、突出部26Cの左,右側縁部26C1と補強部材27とを接合しているから、荷重が作用したときに補強部材27が倒れるのを防止することができ、高い剛性を安定的に得ることができる。
【0060】
次に、図6および図7は本発明に係る建設機械用キャブの第2の実施の形態を示している。本実施の形態の特徴は、ルーフパネルには、パイプ部材のルーフ部位に沿って前,後方向に延び該ルーフ部位を補強する補強部材を設け、該補強部材をパイプ部材のルーフ部位に接合する構成としたことにある。なお、本実施の形態では、前述した第1の実施の形態と同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0061】
41は第2の実施の形態によるルーフ部で、該ルーフ部41は、第1の実施の形態によるルーフ部11Fとほぼ同様に、パイプフレーム12,15のルーフパイプ部12C,15Bと、ルーフパネル42とによって構成されている。
【0062】
42はルーフ部41に設けられたルーフパネルで、該ルーフパネル42は、第1の実施の形態によるルーフパネル26とほぼ同様に、前板部42A、後板部42B、突出部42Cとによって構成されている。しかし、第2の実施の形態によるルーフパネル42は、突出部42Cに補強部材をなす補強端板43が一体的に設けられている点で第1の実施の形態によるルーフパネル26と相違している。
【0063】
ここで、ルーフパネル42の突出部42Cは、第1の実施の形態による突出部26Cとほぼ同様に、上側に突出し、かつ下向きに開口するほぼコ字状の断面形状で左,右方向に延びて形成されている。しかし、第2の実施の形態による突出部42Cには、その左,右側縁部42C1に位置して後述の補強端板43が一体に設けられている点で第1の実施の形態による突出部26Cと相違している。
【0064】
43はルーフパネル42の突出部42Cの左,右側縁部42C1に設けられた補強部材としての一対の補強端板(図7中に片方のみ図示)で、該補強端板43は、突出部42Cと一体的に設けられている。そして、補強端板43は、突出部42Cの左,右方向の端部を閉塞する位置で前,後方向に延び、パイプフレーム12,15のルーフパイプ部12C,15B上部に溶接手段を用いて接合されている。これにより、補強端板43は、上側からの荷重に対するキャブ11のルーフ部41の剛性を高めて補強することができる。
【0065】
かくして、このように構成された第2の実施の形態においても、前述した第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。特に、本実施の形態では、補強部材をなす補強端板43をルーフパネル42の突出部42Cと一体に設けているから、部品点数を削減して溶接作業を簡略化することができる。また、外観状の見栄えを良好にすることができる。
【0066】
なお、第1の実施の形態では、ルーフ部11Fのルーフパネル26は、後板部26Bと突出部26Cとを一体的に設け、突出部26Cの前端を別個に設けられた前板部26Aに溶接する構成とした場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば図8に示す第1の変形例によるルーフ部51のように、ルーフパネル52を形成する前板部52A、後板部52B、突出部52Cをそれぞれ別個に設け、溶接手段を用いて接合する構成としてもよい。また、前板部、後板部、突出部を一体形成する構成としてもよい。
【0067】
また、第1の実施の形態では、ルーフ部11Fのルーフパネル26に突出部26Cを設けた場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば図9に示す第2の変形例によるルーフ部61のように、例えばルーフパネル62を前側に網目部62Aが形成された1枚の板体から形成する構成としてもよい。
【0068】
また、第2の実施の形態では、ルーフパネル42の突出部42Cの左,右側縁部42C1に補強部材をなす補強端板43を設けた場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば図10に示す第3の変形例のように、切欠部71Aにより突出部42Cの左,右側縁部42C1を跨いで前,後方向に延びる補強部材71を、パイプフレーム12,15のルーフパイプ部12C,15B上に溶接手段を用いて接合する構成としてもよい。この場合には、ルーフ部41の剛性をより一層高めることができる。
【0069】
また、第1の実施の形態では、パイプフレーム12,15はそてぞれ1本の異形パイプ材を折曲げることにより形成するものとして説明したが、本発明はこれに限るものではなく、例えばパイプフレームを複数の部位に分割し、溶接手段等を用いて接合する構成としてもよい。この構成は他の実施の形態、変形例にも同様に適用することができるものである。
【0070】
さらに、各実施の形態では、建設機械用キャブとしてリフトトラック1のキャブ11を例示したが、本発明はこれに限らず、例えば油圧ショベル、油圧クレーン、ホイールローダ、トラクタ等の他の建設機械のキャブにも広く適用できるものである。この場合、ルーフパネルは、必ずしも上方視界を得るために網目状に形成する必要はないものである。
【0071】
【発明の効果】
以上詳述した通り、請求項1の発明によれば、左,右方向に離間して前,後方向に延びる一対のパイプ部材のルーフ部位には、該ルーフ部位に沿って前,後方向に延び該ルーフ部位を補強する補強部材を設ける構成としている。従って、パイプ部材のルーフ部位は補強部材によって強度を高めることができるから、例えば車両重量が小さな建設機械のキャブに用いる小径なパイプ部材、または低強度な材料からなるパイプ部材を、車両重量が大きな建設機械のキャブに使用することができる。
【0072】
この結果、車格が異なる建設機械でパイプ部材を共用することができから、部品の種類を削減することができ、製造コストを低減することができる。また、補強部材を設けることにより直径寸法の小さなパイプ部材を用いることができるから、パイプ部材が妨げとなって見えなくなる範囲を少なくして、キャブ内からの視界を広くすることができ、作業性等を向上することができる。
【0073】
請求項2の発明によれば、補強部材とパイプ部材とは別部材により形成し、補強部材はパイプ部材に対し溶接手段を用いて接合する構成としているので、パイプ部材のルーフ部位に補強部材を溶接手段を用いて接合するだけで簡単にルーフ部位の強度を高めることができ、作業性を向上することができる。
【0074】
請求項3の発明によれば、ルーフパネルには、オペレータの頭上に対応する位置で上方に突出する突出部を設け、該突出部の左,右側縁部と補強部材とを接合する構成としているので、突出部は、ルーフパネルを立体構造とすることができ、該ルーフパネルの強度をより一層高めることができる。
【0075】
また、ルーフパネル等が変形することがあっても突出部は、オペレータの頭上にスペースを確保することができ、安全性を向上することができる。さらに、突出部の左,右側縁部と補強部材とを接合することにより、荷重が作用したときに補強部材が倒れるのを防止することができ、高い剛性を安定的に得ることができる。
【0076】
請求項4の発明によれば、各パイプ部材のルーフ部位間に設けられ上面を覆うルーフパネルには、パイプ部材のルーフ部位に沿って前,後方向に延び該ルーフ部位を補強する補強部材を設け、該補強部材をパイプ部材のルーフ部位に接合する構成としているので、請求項1の発明とほぼ同様の作用効果を得ることができる。しかも、補強部材はルーフパネルに設けられているから、該補強部材とルーフパネルとの接合作業を省略することができる。
【0077】
請求項5の発明によれば、ルーフパネルには、オペレータの頭上に対応する位置で上方に突出する突出部を設け、該突出部の左,右側縁部に補強部材を一体に設ける構成としているので、請求項3の発明とほぼ同様の作用効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に適用されるリフトトラックを示す正面図である。
【図2】図1中のキャブを拡大して示す正面図である。
【図3】ドアを開いた状態のキャブを示す外観斜視図である。
【図4】図3に示すキャブの分解斜視図である。
【図5】キャブのルーフ部を図3中の矢示V−V方向から拡大して示す断面斜視図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態によるルーフ部を拡大して示す断面斜視図である。
【図7】図6中のルーフ部を右側から拡大して示す断面斜視図である。
【図8】本発明の第1の変形例によるルーフ部を拡大して示す断面斜視図である。
【図9】本発明の第2の変形例によるルーフ部を拡大して示す断面斜視図である。
【図10】本発明の第3の変形例によるルーフ部を右側から拡大して示す断面斜視図である。
【符号の説明】
1 リフトトラック(建設機械)
2 車体
11 キャブ
12,15 パイプフレーム(パイプ部材)
12C,15B ルーフパイプ部(ルーフ部位)
11F,41,51,61 ルーフ部
26,42,52,62 ルーフパネル
26C,42C,52C 突出部
26C1,42C1 左,右側縁部
27,71 補強部材
29 運転席
43 補強端板(補強部材)
Claims (5)
- 左,右方向に離間して前,後方向に延びる一対のパイプ部材と、該各パイプ部材のルーフ部位間に設けられ上面を覆うルーフパネルとを備え、前記パイプ部材とルーフパネルとにより内部に運転室を画成してなる建設機械用キャブにおいて、
前記パイプ部材のルーフ部位には、該ルーフ部位に沿って前,後方向に延び該ルーフ部位を補強する補強部材を設ける構成としたことを特徴とする建設機械用キャブ。 - 前記補強部材と前記パイプ部材とは別部材により形成し、前記補強部材は前記パイプ部材に対し溶接手段を用いて接合する構成としてなる請求項1に記載の建設機械用キャブ。
- 前記ルーフパネルには、オペレータの頭上に対応する位置で上方に突出する突出部を設け、該突出部の左,右側縁部と前記補強部材とを接合する構成としてなる請求項1または2に記載の建設機械用キャブ。
- 左,右方向に離間して前,後方向に延びる一対のパイプ部材と、該各パイプ部材のルーフ部位間に設けられ上面を覆うルーフパネルとを備え、前記パイプ部材とルーフパネルとにより内部に運転室を画成してなる建設機械用キャブにおいて、
前記ルーフパネルには、前記パイプ部材のルーフ部位に沿って前,後方向に延び該ルーフ部位を補強する補強部材を設け、該補強部材を前記パイプ部材のルーフ部位に接合する構成としたことを特徴とする建設機械用キャブ。 - 前記ルーフパネルには、オペレータの頭上に対応する位置で上方に突出する突出部を設け、該突出部の左,右側縁部に前記補強部材を一体に設ける構成としてなる請求項4に記載の建設機械用キャブ。
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CN105339245A (zh) * | 2015-07-01 | 2016-02-17 | 株式会社小松制作所 | 作业车辆的驾驶室及其制造方法 |
JPWO2014083659A1 (ja) * | 2012-11-29 | 2017-01-05 | ニチユ三菱フォークリフト株式会社 | フォークリフトのヘッドガード構造 |
-
2003
- 2003-02-04 JP JP2003027426A patent/JP2004238122A/ja not_active Withdrawn
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