JP2006327282A - 作業車両の運転室構造 - Google Patents

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Kenta Kojima
賢太 小島
Chuichi Ishibashi
忠一 石橋
Tomokazu Nakagawa
知和 中川
Hironori Yamaguchi
拓則 山口
Mariko Matsuda
真理子 松田
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Abstract

【課題】 作業車両の運転室の強度を確保するとともに、軽量化を図ること。
【解決手段】 本構造は、油圧ショベルの旋回フレーム上に搭載され、この旋回フレーム上に立設された複数のピラー91〜95と、これらのピラーと接合されるクロスメンバ96,97,99とを有するキャビン9の構造であって、ピラー93〜95やクロスメンバ96,97における長手方向の中間部の断面強度が、その端部の断面強度よりも低くなるように構成されたものである。
【選択図】 図2

Description

本発明は、作業車両の運転室構造に関し、特に大型油圧ショベル等の運転室構造に好適である。
作業車両の一例としての油圧ショベルのキャビン(運転室)9’の構造は、図8に示すように、ドア・ガラス・パネル等の意匠面を除くと、図示しない本体フレーム上の所定区画における前方右側に立設されたピラー91’と、前方左側に立設されたピラー92’と、後方右側に立設されたピラー93’と、後方左側に立設されたピラー94’と、ピラー92’,94’間に立設されたピラー95’と、ピラー93’,94’の各上端部にその両端部がそれぞれ接合されたクロスメンバ96’と、ピラー91’,92’の各上端部にその両端部がそれぞれ接合されたクロスメンバ97’と、ピラー91’,93’の各上端部にその両端部がそれぞれ接合されたクロスメンバ98’と、ピラー92’,95’の各上端部にその両端部がそれぞれ接合されたクロスメンバ99a’と、ピラー95’,94’の各上端部にその両端部がそれぞれ接合されたクロスメンバ99b’とから構成される骨組み構造からなっている。ピラー91’〜95’とクロスメンバ96’〜99b’とは中空の矩形又は円形断面を有している。
ピラー91’〜95’やクロスメンバ96’〜99b’の断面積や肉厚は、前記接合される部分でブラケットを設けるなどによりその形状を変化させることはあっても、それぞれの全長に亘り一定である。また、ピラー91’〜95’やクロスメンバ96’〜99b’を構成する材料についても、それぞれの全長に亘り一定である。かかるキャビン9’の骨組み構造は、キャビン9’の安全性を確保するため、外力に対する十分な強度が必要とされ、その対策として従来から様々な提案がなされている(例えば、特許文献1,2参照)。
例えば、特許文献1では、ピラー95’を、キャビン9’を跨ぐような門型に構成することによりキャビン9’の強度を確保しており、特許文献2では、骨組み構造に複数の補助部材を追加することによりキャビン9’の強度を確保している。
特開2001−140283号公報 特開2004−042739号公報
ところで、キャビン9’はその強度を確保できる範囲で、できるだけ軽量なものとすることが望ましい。
しかしながら、図8のキャビン9’のようにピラー91’〜95’やクロスメンバ96’〜99b’の断面形状と肉厚がそれぞれの全長に亘り一定である場合には、任意の外力に耐えるために必要な1本当りの断面形状と肉厚は、その外力により作用する最大モーメントに応じたものに設定せざるをえない。一方、前記断面形状と肉厚を小さくするために、全ての材料を高強度のものとすることは、高強度ではあるが高価な材料の使用によるキャビン9’の大幅なコストアップを招くので、現実的ではない。
また、上記特許文献1,2では、ピラー91’〜95’やクロスメンバ96’〜99b’を太く設計したり、補強部材を加えたりしているので、キャビン9’の自重アップを招くおそれがある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、作業車両の運転室の自重アップを抑えつつ、その強度を確保することである。
一般的な運転室の骨組み構造の場合、運転室が横転した場合、作業車両の重量に応じた大荷重が骨組み構造の上端部にかかる。このとき、力学的にピラーとクロスメンバの接合部に大きなモーメントが生じるため、そのピラーやクロスメンバの1本当りの断面形状と、それが中空構造であるときの肉厚と、材料とがその長手方向の全体に亘って一定であるとすると、その接合部分には比較的高い応力が発生するが、中央部分には比較的低い応力しか発生しない。
本発明は、この点に着目してなされたものであり、作業車両の本体フレーム上に搭載され、該本体フレーム上に立設された複数のピラーと、これらのピラーを連結する複数のクロスメンバとを有する運転室の構造であって、前記ピラー及びクロスメンバのうちの少なくとも1つについて、その長手方向の中間部の断面強度が、両端部の断面強度よりも低くなるように構成したことを特徴とするものである。なお、断面強度とは、全塑性モーメント、すなわち、曲げ材料の全断面が降伏したとして求める終局曲げモーメントを意味する。塑性断面係数をZ、降伏応力をσとすると、全塑性モーメントM=Z・σで与えられる。断面に作用する曲げモーメントがこの全塑性モーメントに達したときには、この全塑性モーメントを保ちながら曲率が自由に増大すると考えられる。
この本発明によれば、前記ピラー及びクロスメンバのうちの少なくとも1つについて、その長手方向の中間部の断面強度が、両端部の断面強度よりも低くなるように構成されたので、ピラー又はクロスメンバに発生する応力が均一化され、ピラー又はクロスメンバの全体の断面強度を無駄なく発揮させることができる。かかる断面強度は、上述したように、塑性断面係数Zと、降伏応力σとの積で与えられる全塑性モーメントMを意味するから、例えばピラー又はクロスメンバの断面形状やそれを中空構造としたときの肉厚を長手方向に部分的に変化させることにより、任意の外力に耐えるために必要なピラー又はクロスメンバ1本当りの断面積の平均値を、従来の一定断面積の場合よりも小さく設定できるようになる。したがって、材料の使用量(重量)を少なくして、その強度を確保することができるとともに、従来よりも軽量化が可能となる。
上記構成とするには、例えば前記中間部の断面積を、前記両端部の断面積よりも小さくすればよい。
さらに、前記ピラー又はクロスメンバは中空構造であり、その長手方向の中間部の断面における外形を、両端部の断面における外形と略一致させ、かつ、前記中間部の肉厚を、前記端部の肉厚よりも小さくしてもよい。この場合は、ピラー又はクロスメンバの外観を変えることなく、その中間部の塑性断面係数Zが両端部の塑性断面係数Zよりも小さくなるので、任意の外力に耐えるために必要なピラー又はクロスメンバ1本当りの断面積の平均値を従来よりも小さく設定できる。したがって、材料の使用量(重量)を少なくして、その強度を確保することができるとともに、従来よりも軽量化が可能となる。
或いは、前記ピラー又はクロスメンバは中空構造であり、その長手方向の肉厚は一定とし、かつ長手方向の中間部の断面における外形を、両端部の断面における外形よりも小さくしてもよい。この場合も、ピラー又はクロスメンバの中間部の塑性断面係数Zが両端部の塑性断面係数Zよりも小さくなるので、任意の外力に耐えるために必要なピラー又はクロスメンバ1本当りの断面積の平均値を従来よりも小さく設定できる。したがって、材料の使用量(重量)を少なくして、その強度を確保することができるとともに、従来よりも軽量化が可能となる。
また、運転室の骨組み構造は、基本的には運転者の視界を遮るものである。例えば油圧ショベルにおいては、掘削作業をしている際に、フロント部分のピラーは作業者に対して死角を作るため、バケット位置の確認の妨げになる。さらに、リア側のピラーは、後方に死角を作るものであり、旋回作業や車両移動の際に、運転者の確認の妨げになりうる。したがって、かかる運転室の骨組み構造は、運転者の立場から考えると、できるだけ小さな断面の部材から構成されているのが好ましい。
しかしながら、ピラーやクロスメンバの断面を均一化した場合、上述したように、その断面を小さくするには限界があるため、運転者の視界確保の要請に応えることが困難であった。また、上記特許文献1,2では、ピラーやクロスメンバを太く設計したり、補強部材を加えたりしているので、運転者の視界をむしろ悪化させるおそれがあった。
そこで、本発明において、運転室は、周壁として天井、前後壁及び左右側壁を有する箱状に形成され、前記後壁回りに配設されたピラー又はクロスメンバについて、その長手方向の中間部の断面積が、両端部の断面積よりも小さくなるように構成したことこととすれば、任意の外力に耐えるために必要な1本当りの断面積の平均値を従来よりも小さく設定できるようになり、運転室の自重アップを抑えつつ、その強度を確保することができるとともに、運転室内における運転者の視界を必要とする部分(後壁回りに配設されたピラー又はクロスメンバの長手方向の中間部)の断面積が小さくなるので、その視界確保の要請に応えることができる。
さらに、前記前壁と後壁との間に配設されたピラー又はクロスメンバについて、その長手方向の中間部の断面積が、両端部の断面積よりも小さくなるように構成してもよい。この場合も、任意の外力に耐えるために必要な1本当りの断面積の平均値を従来よりも小さく設定できるようになり、運転室の自重アップを抑えつつ、その強度を確保することができるとともに、運転室内における運転者の視界を必要とする部分の断面積が小さくなるので、その視界確保の要請に応えることができる。
さらに、前記前壁回りに配設されたピラー又はクロスメンバについて、その長さ方向の中間部の断面積を、両端部の断面積よりも小さくしてもよい。この場合も、任意の外力に耐えるために必要な1本当りの断面積の平均値を従来よりも小さく設定できるようになり、運転室の自重アップを抑えつつ、その強度を確保することができるとともに、運転室内における運転者の視界を必要とする部分の断面積が小さくなるので、その視界確保の要請に応えることができる。
本発明によれば、前記接合されたピラー及びクロスメンバのうちの少なくとも1つについて、その長手方向の中間部の断面強度が、両端部の断面強度よりも低くなるように構成されたので、ピラー又はクロスメンバに発生する応力が均一化され、ピラー又はクロスメンバの全体の断面強度を無駄なく発揮させることができる。かかる断面強度は、上述したように、塑性断面係数Zと、降伏応力σとの積で与えられる全塑性モーメントMを意味するから、例えばピラー又はクロスメンバの断面形状やそれを中空構造としたときの肉厚を長手方向に部分的に変化させることにより、任意の外力に耐えるために必要なピラー又はクロスメンバ1本当りの断面積の平均値を、従来の一定断面積の場合よりも小さく設定できるようになる。したがって、材料の使用量(重量)を少なくして、その強度を確保するとともに、軽量化が可能となる。
(実施形態1)
図1は大型油圧ショベルの全体構成を示す側面図であって、作業車輌の一例としての大型油圧ショベルの車体は、下部走行体1と、上部旋回体2とより構成されており、この上部旋回体2の前部には掘削用アタッチメント3が起伏自在に装着されている。
下部走行体1は、左右のクローラフレーム4及びクローラ5(いずれも片側のみ図示)からなり、両側クローラ5が、左右の走行モータ7により個別に回転駆動されて走行する。上部旋回体2は、旋回フレーム(本体フレームに相当する。)8上に、略密閉構造のキャビン(運転室に相当する。)9と、エンジンやこのエンジンで駆動される油圧ポンプ等を搭載した機械室10とが前後に設けられてなっている。
このうちのキャビン9は、周壁として天井、前後壁及び左右側壁を有する箱状に形成されるとともに、外部の騒音や塵埃等から運転者を保護するために外気と遮断されて上記略密閉構造となっており、その居住性を確保するために空気調和装置(図略)が備えられている。
掘削用アタッチメント3は、ブーム17、上記油圧ポンプからの圧油により伸縮動作してブームを起伏させるブームシリンダ18と、アーム19と、このアーム19を回動させるアームシリンダ20と、バケット21と、このバケットを回動させるバケットシリンダ22とを具備している。
図2は本実施形態1に係る小型油圧ショベルのキャビンの骨組み構造を示す斜視図であって、同図に示すように、本実施形態1のキャビン(運転室)9の骨組み構造(以下、本構造という。)は、旋回フレーム8(図1参照。)上の所定区画における前方右側に立設されたピラー91と、前方左側に立設されたピラー92と、後方右側に立設されたピラー93と、後方左側に立設されたピラー94と、ピラー92,94間に立設されたピラー95と、ピラー93,94の各上端部にその両端部がそれぞれ接合されたクロスメンバ96と、ピラー93,95の各上端部にその両端部がそれぞれ接合されたクロスメンバ97と、ピラー94,95の各上端部にその両端部がそれぞれ接合されたクロスメンバ99とから構成されている。ピラー91〜95とクロスメンバ96,97,99とは中空の円形又は矩形断面を有し、ここでは同一のピラー又はクロスメンバにおける材料と肉厚は長手方向に一定であるものとする。
そして、本構造では、主としてピラー93〜95とクロスメンバ96,97とによりキャビン9に必要とされる強度を確保しているが、このためにピラー93〜95とクロスメンバ96,97の断面積を長手方向に部分的に変化させている。
一般的な運転室の骨組み構造(以下、従来構造という。)の場合、ピラーとクロスメンバの接合部に大きなモーメントがかかるので、力学的にそのピラーやクロスメンバの1本当りの断面積と肉厚と材料とがその長手方向の全体に亘って一定である、いわゆる均一断面であるとすると、その接合部分には比較的高い応力が発生し、中央部分には比較的低い応力しか発生しない。このことは均一断面を有する従来構造を例えばFEM解析することで容易に理解できるが、本構造はこれに対応するものである。
すなわち、本構造では、図3に示すように、例えばピラー93〜95やクロスメンバ96,97における長手方向の中間部の断面積を、上下又は前後左右の両端部の断面積よりも小さく設定することにより、ピラー93〜95やクロスメンバ96,97における長手方向の中間部の断面強度を、上下又は前後左右の両端部の断面強度よりも小さく設定している。かかる構造は、溶接や板金加工等で実現できる。なお、断面強度とは、全塑性モーメント、すなわち、曲げ材料の全断面が降伏したとして求める終局曲げモーメントを意味する。塑性断面係数をZ、降伏応力をσとすると、全塑性モーメントM=Z・σで与えられる。断面に作用する曲げモーメントがこの全塑性モーメントに達したときには、この全塑性モーメントを保ちながら曲率が自由に増大すると考えられる。
図4は、FEM解析に基づいて設定したピラーの断面を示すもので、(a)は従来構造を採用した場合、(b)は左側方荷重に対し、従来構造と同等の強度を有する本構造を採用した場合を示す。ピラー又はクロスメンバの断面積以外の条件(例えば柱の長さや使用材料)は、すべて同じとする。なお、かかる荷重は、作業車両が横転した際を想定して、左側方部に機械質量に応じた荷重が負荷された後も、運転者の空間を確保することを考慮したものである。
従来構造を採用した場合には、図4(a)に示すように、ピラー94’は全長に亘って300mm×100mmの断面積が必要であり、ピラー95’は全長に亘って200mm×60mmの断面積が必要である。
これに対し、本構造を採用した場合には、図4(b)に示すように、ピラー94は長手方向の中間部で200mm×70mmの断面積が必要であり、ピラー95は長手方向の中間部で130mm×60mmの断面積が必要である。これより、本構造のピラー94,95における長手方向の中間部の断面積は、従来構造のピラー94’,95’の断面積よりも大幅に小さくできることがわかった。具体的な数値は記載していないが、本構造の他のピラー93やクロスメンバ96,97の中間部の断面積についても、同様に、従来構造のピラー93’やクロスメンバ96’,97’の断面積よりも大幅に小さくできることがわかった。
なお、図4(a)(b)では、ピラー94,95の断面形状は、キャビン9の室内容積を減することのないように、いずれも前後方向の寸法を左右方向の寸法に比べて大きくして幾分扁平な形状としているが、後述する視界確保の観点から、本構造の左右方向の寸法を従来構造のそれと一致させることで、前後方向の寸法をさらに減少させることとしてもよい。
本構造の効果を検証するために、従来構造と本構造とのキャビン重量の比較を行った。その結果を図5に示す。同図に示すように、従来構造の重量を1.0とすると(同図中、ハッチングで示す)、本構造のキャビン重量は0.87となり(同図中、網掛けで示す)、キャビン9の重量を約1.3割程度減少させることができることがわかった。
以上より、本構造によれば、ピラー93〜95とクロスメンバ96,97における長手方向の中間部の塑性断面係数Zを両端部の塑性断面係数Zよりも小さくして、その中間部の断面強度を両端部の断面強度よりも低くしているので、ピラー93〜95とクロスメンバ96,97に発生する応力が均一化される。したがって、ピラー93〜95とクロスメンバ96,97との全体の断面強度を無駄なく発揮させることができる。
その結果、任意の外力に耐えるために必要なピラー又はクロスメンバ1本当りの断面積の平均値を、従来よりも小さく設定できるようになるので、材料の使用量(重量)を少なくして、その強度を確保することができるとともに、従来よりも軽量化が可能となる。かかる軽量化を可能とすることにより、油圧ショベルの作業能力と走行能力を向上させることもできる。
ところで、キャビン9の隣り合うピラー91〜95間には大型の窓ガラス98(図1)がそれぞれ嵌め込まれており、この窓ガラス98を介して運転者は外部を視認する必要がある。
図1中の手前には、ヒンジ回りに外側に開閉自在なドア30が備わっており、非作業時でかつ非走行時にはこのドア30を開放して運転者がキャビン9に出入りする一方、作業中又は走行中にはこのドア30を全閉状態とすることができるようになっている。この他、図示はしないが、キャビン9内には運転者が操作するための左右操作レバーや運転席などが備わっていることはもちろんである。
ところが、キャビン9の骨組み構造は、基本的には運転者の視界を遮るものである。具体的にいえば、油圧ショベルにおいては、掘削作業をしている際に、フロント部分のピラー91,92は作業者に対して死角を作るため、バケット21の位置確認の妨げになる。また、リア側のピラー93,94は、後方に死角を作るものであり、旋回作業や車両移動の際に、運転者の確認の妨げになりうる。
したがって、かかるキャビン9の骨組み構造は、運転者の立場から考えると、できるだけ小さな断面の部材から構成されているのが好ましい。しかしながら、ピラーやクロスメンバの断面を均一化した場合においては、その断面を小さくするにも限界があるため、運転者の視界確保の要請に応えることが困難である。また、前述した従来の特許文献1,2では、ピラーやクロスメンバを太く設計したり、補強部材を加えたりしているので、運転者の視界をむしろ悪化させるおそれさえあった。
そこで、本構造では、キャビン9の前記後壁回りに、上記したように中間部の断面積を、両端部の断面積よりも小さくしたピラー93,94を設け、さらに、同様のピラー95を、前記後壁からドア30の後部までの間に設けている。これにより、キャビン9内における運転者の視界を必要とする部分(中間部)の断面積が設定条件によっては3割程度小さくなるので、その視界確保の要請に十分に応えることができる。その結果、安全性と作業性の向上を図ることができた。
(実施形態2)
上記実施形態1の構造では、キャビン9のピラー91〜95やクロスメンバ96,97の長手方向に断面積を変化させるために、ピラー91〜95やクロスメンバ96,97の外形を変化させているが、この場合にはキャビン9の外観が損なわれるおそれがある。そこで、本実施形態2の構造は、キャビン9のピラー91〜95やクロスメンバ96,97の外形を変化させずに、同一のピラー又はクロスメンバにおいて長手方向に肉厚又は材料を変化させることとした。その他の部分は、上記実施形態1と全く同じであるので、その詳細説明は省略する。
例えば図6において、ピラー95は長手方向の中間部95bは肉厚t0であるが、上端部95aと下端部95cとは肉厚t1(>t0)である。また図7において、ピラー95は長手方向の中間部95bを構成する材料が、例えば一般構造用鋼材であるとすれば、その降伏応力はσ=200MPa程度である。一方、上端部95aと下端部95cとを構成する材料が、例えば高張力鋼材であるとすれば、その降伏応力は、σ=500MPa程度である。なお、上下両端部95a,95cの肉厚又は材料は必ずしも一致させる必要はなく、それぞれ要求される強度に応じて適宜設定される。
ピラー93,94やクロスメンバ96,97についても同様の構造とすれば、キャビン9の外観を変えることなく、ピラー93〜95とクロスメンバ96,97における長手方向の中間部の塑性断面係数Zが両端部の塑性断面係数Zよりも小さくなるか、或いは、中間部の降伏応力σが両端部の降伏応力σよりも小さくなり、ピラー93〜95とクロスメンバ96,97における長手方向の中間部の断面強度が、その端部の断面強度よりも低くなるので、ピラー93〜95とクロスメンバ96,97に発生する応力が均一化される。
その結果、任意の外力に耐えるために必要なピラー又はクロスメンバ1本当りの肉厚又は降伏応力の平均値を従来(全ての材料を高強度のものにしたと仮定した場合)よりも下げることができる。したがって、材料の使用量(自重)を少なくして、その強度を確保することができるとともに、従来よりも軽量化が可能となる。
なお、上記実施形態1の構造では、ピラー93〜95やクロスメンバ96,97の長手方向の両端部から中間部に向かって、各断面における外形を階段状に減少させているが、理想的には曲線状に減少させるのが好ましい。また、上記実施形態2の構造では、ピラー93〜95やクロスメンバ96,97の長手方向の両端部と中間部とで同一のピラー又はクロスメンバにおける長手方向での肉厚又は材料を変化させているが、その変化を複数段階で行うようにしてもよい。
また、上記実施形態1の構造では、キャビン9のピラー93〜95やクロスメンバ96,97の長手方向に断面積を変化させるために、ピラー93〜95やクロスメンバ96,97の外形を変化させており、上記実施形態2では、外形を変化させずに肉厚又は材料を変化させることとしているが、それらを適宜組み合わせもよい。例えば、ピラー93〜95やクロスメンバ96,97の外形を変化させるとともに、肉厚又は材料を変化させることとすると、さらなる軽量化や視界確保を期待できる。
また、上記実施形態1,2では、主としてピラー93〜95とクロスメンバ96,97とによりキャビン9に必要とされる強度を確保しているので、ピラー91,92,99については、その長手方向に断面積等を変化させていない。しかし、ピラー91,92,99がキャビン9の強度確保に不可欠なものであれば、ピラー93〜95とクロスメンバ96,97と同様に、その長手方向に断面等を変化させることが好ましい。すなわち、キャビン9を構成する全てのピラーとクロスメンバとが本発明の適用対象となりうる。
また、上記実施形態1,2では、天井面と前後左右の四面とからなる周壁を有する箱状のキャビン9を説明したが、その他の形状、例えば周壁として五面以上を有する多角柱状や連続した周壁を有する円筒状に形成されたキャビン等であってもよい。すなわち、キャビン9のピラーの本数は5本に限らず、例えば3〜6本以上の場合にも本発明を適用できる。クロスメンバの本数についても同様である。また、ドア30は必ずしも左側壁に取付けられるものである必要もなく、右側壁に取付けられるものであってもよい。
また、上記実施形態1,2では、大型油圧ショベルのキャビンについて説明したが、小型の油圧ショベルやクレーンその他の作業車両の運転室構造にも本発明を適用できることはもちろんである。
大型油圧ショベルの全体構成を示す側面図である。 本発明の実施形態1に係るキャビンの骨組み構造を示す斜視図である。 ピラー強度の最適化の一例を示す斜視図である。 キャビンの骨組み構造の断面比較結果を示す図であって、(a)は従来構造、(b)は本発明構造である。 キャビンの骨組み構造の重量比較結果を示す図である。 本発明の実施形態2に係るピラーを示す図である。 本発明の実施形態2に係るピラーを示す図である。 従来のキャビンの骨組み構造の一例を示す斜視図である。
符号の説明
8 旋回フレーム(作業車両の本体フレームに相当する。)
9 キャビン(運転室に相当する。)
93〜95 ピラー
96,97 クロスメンバ
98 窓ガラス
30 ドア

Claims (7)

  1. 作業車両の本体フレーム上に搭載され、該本体フレーム上に立設された複数のピラーと、これらのピラーを連結する複数のクロスメンバとを有する運転室の構造であって、
    前記ピラー及びクロスメンバのうちの少なくとも1つについて、その長手方向の中間部の断面強度が、両端部の断面強度よりも低くなるように構成したことを特徴とする作業車両の運転室構造。
  2. 前記中間部の断面積を、前記両端部の断面積よりも小さくしたことを特徴とする請求項1記載の作業車両の運転室構造。
  3. 前記ピラー又はクロスメンバは中空構造であり、その長手方向の中間部の断面における外形を、両端部の断面における外形と略一致させ、かつ、前記中間部の肉厚を、前記端部の肉厚よりも小さくしたことを特徴とする請求項1記載の作業車両の運転室構造。
  4. 前記ピラー又はクロスメンバは中空構造であり、その長手方向の肉厚は一定とし、かつ長手方向の中間部の断面における外形を、両端部の断面における外形よりも小さくしたことを特徴とする請求項1記載の作業車両の運転室構造。
  5. 運転室は、周壁として天井、前後壁及び左右側壁を有する箱状に形成され、前記後壁回りに配設されたピラー又はクロスメンバについて、その長手方向の中間部の断面積を、両端部の断面積よりも小さくしたことを特徴とする請求項1記載の作業車両の運転室構造。
  6. 前記後壁から前記前壁までの間に配設されたピラー又はクロスメンバについて、その長手方向の中間部の断面積を、両端部の断面積よりも小さくしたことを特徴とする請求項5記載の作業車両の運転室構造。
  7. 前記前壁回りに配設されたピラー又はクロスメンバについて、その長さ方向の中間部の断面積を、両端部の断面積よりも小さくしたことを特徴とする請求項5又は6記載の作業車両の運転室構造。
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