JP2004237334A - ストッカを有する板材の搬入出装置およびその板材搬入出方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】設置面積及び設置高を増やさずパレット収納棚段数を増やせ、パレット交換速度を上げて生産性を向上できるストッカを有する板材搬入出装置、その板材搬入出方法を提供する。
【解決手段】板材加工機(1)への素材(3a)搬入及び製品(3b)搬出を行う搬入出装置(2)と、該搬入出装置(2)の上方に第1パレット収納棚(13)を複数設けた第1ストッカ(11)と、第1パレット収納棚へパレット収納、引出を行い、搬入出装置との間で該パレットを昇降する第1パレット昇降装置(12)と、第2パレット収納棚(23)を複数有し、第1ストッカに隣接した第2ストッカ(21)と、第2ストッカ下方位置から搬入出装置での受渡し位置の間で移動自在に設けられた台車(6)と、第1パレット昇降装置の対向位置に設けられ、台車と第2パレット収納棚の間でパレットを昇降する第2パレット昇降装置(22)とを設けた。
【選択図】 図1
【解決手段】板材加工機(1)への素材(3a)搬入及び製品(3b)搬出を行う搬入出装置(2)と、該搬入出装置(2)の上方に第1パレット収納棚(13)を複数設けた第1ストッカ(11)と、第1パレット収納棚へパレット収納、引出を行い、搬入出装置との間で該パレットを昇降する第1パレット昇降装置(12)と、第2パレット収納棚(23)を複数有し、第1ストッカに隣接した第2ストッカ(21)と、第2ストッカ下方位置から搬入出装置での受渡し位置の間で移動自在に設けられた台車(6)と、第1パレット昇降装置の対向位置に設けられ、台車と第2パレット収納棚の間でパレットを昇降する第2パレット昇降装置(22)とを設けた。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、素材パレットまたは製品パレットのストッカを有する板材の搬入出装置、またはその板材搬入出方法の技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、タレットパンチプレスやレーザ加工機などの板材加工機においては、少しでも長時間の無人自動運転を行うため、板材の素材を積載した素材パレット、または加工された板材製品を積載した製品パレットをストッカに収納しておき、該板材加工機に隣接して設けられた素材・製品搬入出装置により、適時板材の素材をストッカから板材加工機に搬入し、または板材加工機で加工された板材製品をストッカへ収納する技術が採用されているのが一般的である。また、この素材パレットや製品パレットをより多くストッカに収納するための技術も、多く提案されている。
そして、板材素材を集積して収納する素材パレットと加工済みの板材製品を集積して収納する製品パレットとを収納するストッカは、コストパフォーマンスまたは設置面積などの制約から、1台の板材加工機に対して1棟設けるのが一般的である。
【0003】
従来の上記のような板材加工機のストッカ付き板材搬入出装置としては、例えば、板材加工機に隣接して設置された素材・製品搬入出装置と、この素材・製品搬入出装置に隣接して設置された1棟のストッカと、このストッカと前記素材・製品搬入出装置との間でパレットを移送し、パレット交換する2連の台車とで構成されているものがある。
【0004】
ここに、素材・製品搬入出装置は、板材加工機に隣接して設置され、板材素材を積層した素材パレットから、複数のバキュームカップで該板材素材を吸い上げて1枚づつ取り出し、これを板材加工機へ移送搬入するローディング手段と、加工済みの板材製品を1枚づつその一端を把持装置で把持して、板材加工機から本装置へ取り込み、製品パレット上へ積層して収納するアンローディング手段とで構成されている。
またストッカは、前記素材パレットと前記製品パレットとを格納する棚を、複数(例えば6,8,10段)上下方向に設けており、また所定の素材パレットを棚から引き出し、下降して前記台車に移載したり、または板材加工機への素材供給が終わった素材パレットを台車から受け取り、上昇してこれを所定の棚に格納する昇降手段を備えている。
またさらに、台車はその移動方向に2連で構成され、ストッカと素材・製品搬入出装置との間で素材パレットまたは製品パレットを移送し、または交換する移送手段をそれぞれ有している。
【0005】
これらの装置による板材搬入出における一連の動作は、以下の通りである。
所定の素材パレットを、昇降手段により、ストッカの所定の棚から取り出して下降し、台車へ移載する。そして台車を移動して、この素材パレットを素材・製品搬入出装置へ引き込み、この位置でローディング手段のバキュームカップで素材の1枚を吸着して、引上げ、板金加工機への素材の搬入待機をする。
その後、空になるか、または別の素材供給のためにこの素材供給済みの素材パレットの交換が必要な際には、台車をストッカ位置へ移動させ、昇降手段により上昇させて、元の(空状態の棚)へ格納しておく。
【0006】
また、所定の製品パレットを、昇降手段により、ストッカの所定の棚から取り出して下降し、台車へ移載し、そしてこの台車を移動して、この製品パレットを素材・製品搬入出装置へ引き込み、板金加工機により加工の完了した板材製品が直ちに受取れるように、この位置で製品パレットを待機させる。
この後、板金加工機で板材の加工が完了したら、素材・製品搬入出装置のアンローディング手段により、加工済みの1枚の板材製品の一端を把持して、板材加工機から素材・製品搬入出装置へ取り込み、この位置で待機していた製品パレット上へ受け渡し、これを製品パレットに積層収納する。
【0007】
一方、前述の板材製品の取り込み動作に連動させて、この位置でローディング手段により、搬入待機していた素材の1枚をバキュームカップ吸着し、板金加工機へ搬入する。
また、満載になるか、または別の製品収納のため、製品パレットの交換が必要な際には、台車を移動させて、ストッカ位置へ移動させ、昇降手段により上昇させて、この製品パレットを元の(空状態の)棚へ格納しておく。
以上の動作を繰り返し、複数種の加工材の無人連続加工運転を行っている。
【0008】
また例えば、特許文献1には、1棟のパレットストッカを有した板材搬送装置の技術が開示されている。この技術は図4に示すように、複数のパレット収納部105を設けたストッカ107を1棟有していて、該ストッカ107にパレット出入れ装置を有するエレベータ121が昇降可能に設けてあり、素材パレットP1 に集積された素材Wを板材加工機へ1枚づつ搬入したり、製品WAを板材加工機から1枚づつ製品パレットP2 へ搬出したりする板材搬送装置101において、素材Wを支持する素材テーブル139を板材出入れ領域111と素材待機領域113との間を移動可能に設け、この素材テーブル139が板材出入れ領域111に位置するときに、素材テーブル139がスラットコンベア133の上端部の近接下方位置に位置するように構成してなる技術を提供しており、この技術により、板材の搬入に要する一連の作業の時間短縮を図って、作業能率の向上が図れたとしている。
【0009】
【特許文献1】
特開平10−263731号公報(第4−5頁、第1図)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来のストッカを有する板材搬入出装置においては、以下のような課題を有している。
【0011】
近年、ユーザの商品趣向の多様化により、板金加工業界においても少品種多量生産から多品種少量生産への生産形態の変換を余儀なくされ、その移行対応から素材種、製品種が多くなり、この素材種、製品種の段取り換えが増し、その結果機械の実質稼働率が低下することになり、板材加工装置を昼夜で稼動させたいというニーズが強まってきている。しかも、大容量金型マガジンの装備など板材加工機側の改善による連続加工時間の延長に伴ない、多くなった休日においてまでも無人運転させたいという要求に対し、従来のストッカの棚段数では、到底、この板金加工業界の要求には対応できなかった。
【0012】
そこで、現有ストッカのパレット格納棚の段数を多くする一案として、ストッカを上方に伸ばし高くして棚数を(例えば従来の10段より)増す方法が考えられるが、建屋の実用上の高さ制限(5m程度)があり、この方法では十分な段数が確保できない。
【0013】
また、これに代わる案として、現有のストッカを2棟隣接させて、パレット格納棚数を増すことも考えられるが、この案では、ストッカの設備費用が2倍以上となり、このコスト高のデメリットは勿論のこと、板材加工機を含めた、素材・製品搬入出装置およびストッカ(素材、製品)装置の設置面積がさらに大きくなるため、設置場所の制約が生じ、その導入は現実には困難である。
【0014】
さらに、特許文献1に記載のストッカを有する板材搬入出装置においては、パレット格納棚の数が少ないことに加えて、1台の昇降手段(エレベータ121)しか備えていないため、パレット交換速度が遅く、板金の加工サイクルタイムに較べて数倍のパレット交換時間を要しており、機械の稼働率に直接影響を及ぼし、生産性が上がらないといった問題もある。特に昇降手段の昇降速度は、通常、安全性確保のため、台車移動速度よりもかなり遅く設定するからである。
【0015】
本発明は、上記の問題点に着目してなされ、設置面積及び設置高を増やすことなくパレット収納棚の段数を増やすことができ、しかもパレット交換速度を上げて生産性の向上が可能な、ストッカを有する板材の搬入出装置、またはその板材搬入出方法の提供を目的としている。
【0016】
【課題を解決するための手段、作用及び効果】
上記の目的を達成するために、本発明に係る第1発明は、ストッカを有する板材の搬入出装置において、板材加工機に対し素材の搬入および製品の搬出を行う素材・製品搬入出装置と、前記素材・製品搬入出装置の上方に、素材または製品のパレットを収納する第1パレット収納棚を上下方向に複数設けた第1ストッカと、前記第1ストッカの第1パレット収納棚へパレットの収納および引出を行うと共に、前記素材・製品搬入出装置および各前記第1パレット収納棚間で前記パレットの昇降を行い、前記パレットの収納および引出の方向が、前記素材・製品搬入出装置における板材加工機への素材・製品の搬入出方向に対して直角方向になるように前記第1ストッカに設けられた第1パレット昇降装置と、上下方向に複数設けた第2パレット収納棚を有し、かつ該第2パレット収納棚へのパレットの収納および引出の方向が前記第1ストッカと同一となるよう前記第1ストッカに隣接して設けられた第2ストッカと、第2ストッカの下方位置から、前記素材・製品搬入出装置における板材の受取り、受渡し位置に至る間で、前記第2ストッカのパレットの収納および引出の方向と同一方向に移動自在に設けられ、パレットの積載部を該移動方向に2個所有する台車と、前記第1ストッカおよび前記第2ストッカを挟んで、前記第1パレット昇降装置に対向した位置に設けられ、前記第2ストッカの第2パレット収納棚へのパレットの収納および引出を前記第1パレット昇降装置と同一方向に行うと共に、前記台車および各前記第2パレット収納棚間で前記パレットの昇降を行う第2パレット昇降装置とを設けた構成としている。
【0017】
第1発明によると、ストッカを有する板材の搬入出装置において、以下の作用、効果を奏する。
本発明では、1棟のストッカ(第2ストッカに相当)とこれに付属する1つのパレット昇降装置(第2パレット昇降装置に相当)よりなる従来構成に対して、もう1棟の第1ストッカとこれに付属する第1パレット昇降装置とを、従来空きスペースとなっていた素材・製品搬入出装置の上方に追加して設けている。即ち、従来空きスペースとなっていた素材・製品搬入出装置の上方に、素材パレットまたは製品パレットなどのパレットを収納する第1パレット収納棚を上下方向に複数段設けた第1ストッカと、第2パレット昇降装置と同一方向へこの第1パレット収納棚へのパレットの収納および引出を行うと共に、素材・製品搬入出装置から第1パレット収納棚への前記パレットの昇降を行うよう第1ストッカに設けられた第1パレット昇降装置とが設置されている。
よって、本発明の装置は、従来の機械設置面積に対して設置面積を増やすことなく、パレットのストック段数を格段に多く設けることができる。
【0018】
また、パレットを多く収納できることから、板材素材および加工完了後の板材製品を数多くストックでき、従来ネックとされていた板材加工機の夜間無人運転が可能となる。さらに、ストックする板材素材の枚数や加工時間を考慮すると、連休でも無人運転が可能となる。
またさらに、ストッカとパレット昇降装置とを2台それぞれ個別に設けたので、素材パレット、製品パレットそれぞれの出し入れが2箇所となり、それぞれのパレット交換動作が独立して同時に行えるため、パレット交換時間は大幅に短縮され(従来のおよそ半分となる)、よって機械稼働率が上がり、顕著な生産性の向上が期待できる。
【0019】
第2発明は、前記第1パレット昇降装置の下方位置、および前記第2パレット昇降装置の下方位置に、それぞれ外部と前記第1ストッカおよび前記第2ストッカとの間でパレットの搬入出を行うための第1パレット搬入出装置と第2パレット搬入出装置とを設けたことを特徴とする前記第1発明記載のストッカを有する板材の搬入出装置としている。
【0020】
第2発明によると、前記第1発明記載のストッカを有する板材の搬入出装置の、前記第1パレット昇降装置の最下部位置と、前記第2パレット昇降装置の最下部位置との2個所にそれぞれ第1パレット搬入出装置と、第2パレット搬入出装置とを設けたので、フォークリフトなどによるパレットの搬入出作業が2個所でそれぞれ独立して行え、パレットの搬入出作業の能率が上がる。
また前記台車は、移動方向に2個所パレットの積載部を有し、それぞれの積載部で第2ストッカ下方位置から板材搬入出装置における板材受取り、受渡し位置まで移動自在としているため、台車の移動は前記第1パレット昇降装置の最下部位置と、前記第2パレット昇降装置の最下部位置とのそれぞれの位置まで達することになる。そこで、これらの位置を第1パレット搬入出装置および第2パレット搬入出装置として利用することにした。したがって、ただ単に待機場所となっていた本発明での第1および第2パレット昇降装置の下部位置を、フォークリフトなどによるパレットの搬入出位置として、パレット搬入出装置を設けたので、このための新たな設置面積を必要とせず、省スペース、省設備コストとなる。
【0021】
第3発明は、前記第1ストッカの第1パレット収納棚には、前記製品パレットのみを収納することを特徴とする前記第1発明または第2発明記載のストッカを有する板材の搬入出装置としている。
【0022】
第3発明によると、近年では多品種少量な生産方式の関連から、製品種が多くなり製品パレットの方を素材パレットより多く必要とするケースが多いが、第1発明記載の第1ストッカの第1パレット収納棚は、製品パレットのみを収納する構成としたので、第2ストッカの第2パレット収納棚は、製品パレットと素材パレットと両方を収納すれば、本装置全体として製品パレットの方を多く収納でき、製品パレットと素材パレットとのバランスが良くなり、システムの運用効率が良くなり、生産性に寄与できる。
【0023】
通常、積層素材をパレットに載せ、これをフォークリフト等により搬入の際には、パレット上での積層素材の位置を、素材・製品搬入出装置の基準位置(板材加工機の基準位置に相当)に合わせて搬入する必要があるが、製品パレットの場合、その加工基準に合わせる必要はなく、当然ながらフォーク搬出時において製品パレットの位置決めの必要はない。
本発明によると、第1ストッカの第1パレット収納棚には製品パレットのみを収納する構成としたので、必然的に、第2ストッカのみに素材パレットが収納される構成となる。前述の積層素材をパレット上にフォークリフトにより搬入の際に、素材の搬入向きが逆になることから、第1ストッカへのパレット搬入出個所での素材パレットの位置決め基準を第2ストッカの場合の基準に対し変更するなどの煩わしさがあったが、第2ストッカのみに素材パレットを収納したことから、作業性が向上する。また、素材パレットの位置決め基準の変更が不必要なことから、これに起因する搬送トラブル、加工精度のトラブルなどが生じる懸念が無い。
【0024】
第4発明は、ストッカを有する板材の搬入出装置の板材搬入出方法において、板材加工機に対して素材・製品搬入出装置を介して、それぞれ板材の素材の搬入、および加工を完了した板材の製品の搬出をするに際し、前記素材・製品搬入出装置の上方に設けられ、上下方向に素材パレットおよび製品パレットなどのパレットの収納部を複数有したストッカの、所定のパレット収納棚から、パレット収納手段により所定のパレットの引出しを行った後、これを前記素材・製品搬入出装置の搬入出位置までパレット昇降装置により下降させ、続いて、受渡し位置まで前記パレット収納手段によりこのパレットを差込み、この状態で直接該パレットと前記素材・製品搬入出装置との間で、素材の送り込み、または製品の受け取りを行い、その後、このパレットを前記受渡し位置から前記パレット収納手段により引出し、パレット昇降装置により上昇させ、所定のパレット収納棚へ前記パレット収納手段により収納する方法としている。
【0025】
第4発明によると、パレット収納棚と素材・製品搬入出装置との間のパレットの搬送に関して、素材・製品搬入出装置の上方に設けられ、上下方向にパレット収納棚を複数有したストッカの所定のパレット収納棚から、パレット収納手段により所望のパレットの出し入れを行い、パレット昇降装置により昇降させ、このパレットを台車などを介さずに直接パレット収納手段により素材・製品搬入出装置へ受け渡しているので、これらのパレット交換作業時間が極めて速い。
【0026】
また、素材パレットから素材・製品搬入出装置へ板材素材を受け渡し、または素材・製品搬入出装置から製品パレットへ板材製品を受け渡す動作は、従来の台車を介しての受け渡しや、前述の特許文献1に開示された素材テーブル139による受渡しなどとは異なり、パレット昇降装置のパレット収納手段により直接行っており、これら一連の受渡し動作は極めてシンプルで短時間に行えるから、生産性効率が高い。
【0027】
さらに、素材・製品搬入出装置の上方を利用して第1ストッカを設けたので、設置面積を増やすことなく、パレットのストック段数を格段に多くできる効果も得られる。
【0028】
第5発明は、前記板材加工機の加工中に、次に板材製品を受け取るための前記製品パレット、または次に板材素材を供給するための前記素材パレットを、前記素材・製品搬入出装置の搬入出位置で前記パレット収納手段上に待機させておくことを特徴とする、前記第4発明記載のストッカを有する板材の搬入出装置の板材搬入出方法としている。
【0029】
第5発明によると、板材製品を受け取るための製品パレット、または次に板材素材を供給するための素材パレットを、前回の製品または素材の受渡し後そのまま、または必要に応じて板材加工機の加工中に当該パレットに交換して、前記素材・製品搬入出装置の搬入出位置で、前記パレット収納手段上に待機させておくことにより、来るべき次の、製品の受け入れまたは素材の受渡し動作に即時に対応できるので、極めてこれらの動作効率が良く、生産性を向上できる。
【0030】
【発明の実施の形態】
次いで、図面1〜図3を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0031】
図1は本発明に係るストッカを有する板材の搬入出装置の全体図であり、図2は本発明に用いられる素材・製品搬入出装置の側面図である。これらにより、本発明の実施構成を説明する。
本体フレーム10に、隣接して第1ストッカ11と第2ストッカ21が設けられている。第1、第2ストッカ11,21は、それぞれ上下に複数段の第1パレット収納棚13および第2パレット収納棚23が設けられており、第1、第2パレット収納棚13,23には、パレット4が互いに反対方向に出し入れ自在に収納されるようになっている。パレット4には、板材3の素材3aを積層して載置する素材パレット4aと、板材3を板材加工機1で加工した製品3bを積層して載置する製品パレット4bとがある。本実施形態では、第1ストッカ11には製品パレット4bのみを収納するようにしている。第1ストッカ11の下方には素材・製品搬入出装置2が配設されており、この素材・製品搬入出装置2および第2ストッカ21の下方には、台車6が移動自在に設けられている。
【0032】
第1、第2ストッカ11,21には、該第1、第2ストッカ11,21をはさんで互いに対向する位置に、それぞれ第1パレット昇降装置12および第2パレット昇降装置22が上下動自在に設けられている。この第1、第2パレット昇降装置12,22には、パレット4をそれぞれ第1、第2パレット収納棚13,23に出し入れするためのパレット収納手段5が備えられている。第1パレット昇降装置12は、素材・製品搬入出装置2、および第1ストッカ11の各第1パレット収納棚13間でパレット4の昇降を行い、第2パレット昇降装置22は、台車6、および第2ストッカ21の各第2パレット収納棚23間でパレット4の昇降を行う。
【0033】
また、第1、第2パレット昇降装置12,22の真下の本体フレーム10最下部位置には、それぞれ、外部と本ストッカ11,21との間で例えばフォークリフトなどによるパレット4の搬入出を行うための第1パレット搬出入装置14および第2パレット搬出入装置24を設けている。なお、この第1パレット搬出入装置14および第2パレット搬出入装置24においては、フォークリフトによるパレット4の搬入出に限定されず、自動搬送台車や自動搬送ロボット等の外部搬送装置によるパレット搬入出であっても構わない。
【0034】
そして、前記台車6は、上記第1パレット搬出入装置14の位置から第2パレット搬出入装置24の位置までにわたって、パレット4を載置して、第1パレット昇降装置12および第2パレット昇降装置22でのパレット4の出入方向と同一方向に移動自在となっており、パレット4の積載部をその移送方向に2個所有している。
【0035】
前記素材・製品搬入出装置2は、上記第1、第2ストッカ11,21の各素材パレット4aの素材3aをローディング手段31により板材加工機1に搬入し、また板材加工機1で加工済みの製品3bをアンローディング手段32により板材加工機1から搬出して製品パレット4bに積載するものであり、板材加工機1に隣接して設けられている。また、素材・製品搬入出装置2には、製品3bの搬出時に製品3bを製品パレット4bの上方に支持するブラシコンベヤ33も備えられており、さらに素材・製品搬入出装置2の下方位置には、素材3aまたは製品3bを搬入、搬出する際に補助的な役目を行うリフタ34が設けられている。この素材・製品搬入出装置2の素材3aおよび製品3bの搬入出方向は、前記第1、第2パレット昇降装置12,22のパレット収納手段5の出し入れ方向に対して直角方向になるように構成している。
【0036】
次に、素材・製品搬入出装置2について、図2により詳細に説明する。
素材3aおよび製品3bの搬入出方向に沿って懸架フレーム38が設けられ、この懸架フレーム38に前記搬入出方向に沿ってガイドレール38aが布設されおり、該ガイドレール38aに沿って移動自在に支持部材39が懸架フレーム38に支持されている。また支持部材39は、図示しない上下動手段により懸架フレーム38に対して上下動自在に設けられている。支持部材39の下端部には、複数のバキューム把持手段35を有するローディング手段31が備えられている。このローディング手段31は、素材3aを、バキューム把持手段35で吸引し、リフトアップして板材加工機1へ搬出するようになっている。
【0037】
ローディング手段31の下方には、アンローディング手段32が設けられている。アンローディング手段32は、板材加工機1の端部から、素材・製品搬入出装置2の下方に移送された製品パレット4bまで、移動自在に設けられたグリッパ36と、搬入出方向に回動するブラシコンベヤ33とを有している。グリッパ36は、加工済みの製品3bの引き込み側端部をクランプするクランプ部36aを有している。ブラシコンベヤ33は、該コンベヤ面の一部に板材3を載置可能な大きさのブラシ面37を有するとともに、このブラシ面37の隣接部に板材3より大きい開口孔を有している。
【0038】
さらに、ブラシコンベヤ33の下方には、素材パレット4aを上昇させて、ローディング手段31のバキューム把持手段35へ素材3aを渡すためのリフタ34が配設されている。リフタ34は、上下動駆動手段の上面部に素材パレット4aを載置するための載置台34aを備えており、該載置台34aはその最下限位置で台車6の架台6aよりも下方に位置し、台車6の走行に支障が無いようになっている。
なお、台車6の架台6aの2個所のパレット積載部には、それぞれのほぼ中央部に前記リフタ34の載置台34aよりもやや大きな孔6bが形成されている。
【0039】
以上、本発明においては、従来の構成である、1棟の第2ストッカ21とこれに付属する1つの第2パレット昇降装置22とよりなる構成に対して、もう1棟の第1ストッカ11とこれに付属する第1パレット昇降装置12とを、従来空きスペースとなっていた素材・製品搬入出装置2および台車待避所(本発明では第1パレット搬入出装置14に相当)の上方に追加して設けている。
【0040】
このように、従来空きスペースとなっていた、素材・製品搬入出装置2および台車待避所の上方部を利用して第1ストッカ11と第1パレット昇降装置12とを設けたので、従来の機械設置面積に対して設置面積を増やすことなく、パレット4のストック段数を格段に多くできる。
また、パレットを多く収納できることから、板材素材および加工完了後の板材製品を多くストックでき、従来ネックとされていた板材加工機の夜間連続無人運転は勿論、連休でも無人運転が可能となる。
【0041】
また、本発明においては、第1パレット昇降装置12の真下の最下部位置と、第2パレット昇降装置22の真下の最下部位置との2個所にそれぞれ第1パレット搬入出装置14と、第2パレット搬入出装置24とのパレット搬入出装置を設けたので、フォークリフトなどによるパレットの搬入出作業が、2個所でそれぞれ独立して行え、パレットの搬入出作業の能率が上がる。
また従来、ただ単に待機場所となっていた本発明での第1パレット昇降装置12の真下の最下部位置に、上述のようにパレット搬入出装置を設けたので、このための新たな設置面積を必要とせず、省スペース、省設備コストとなる。
【0042】
近年、多品種少量の生産方式の関連から、製品種が多くなり製品パレット4bの方を素材パレット4aよりも多く必要とするケースが多いが、本実施形態では第1ストッカ11の第1パレット収納棚13は製品パレット4bのみを収納する構成としたので、第2ストッカ21の第2パレット収納棚23が、製品パレット4bおよび素材パレット4aの両方を収納すれば、製品パレット4bの方を多く収納でき、製品パレット4bと素材パレット4aとのバランスが良くなり、システムの利用効率が良くなり、生産性に寄与できる。
【0043】
また、本発明では、ストッカを2棟設け、これらを挟む対向位置にフォークリフトによるパレット搬入出個所を2箇所(第1、第2パレット搬出入装置14,24)設けている。この場合、これらのフォークリフトの搬入出位置でのパレットの向きは、それぞれ180°位相が異なる関係となる。
ところで、積層素材をパレット上にフォークにより搬入の際には、パレット上での積層素材の位置を、素材・製品搬入出装置の基準位置(板材加工機の基準位置)に合わせて搬入する必要があるが、製品パレットの場合、板材加工機での加工は完了した状態なので、加工基準は必要なく、当然ながらフォーク搬出時において製品パレットの位置決めの必要はない。
【0044】
このため、素材パレット4aは、第1ストッカ11または第2ストッカ21のいずれか一方のみに収納するのが望ましいが、本発明においては、第1ストッカ11には製品パレット4bのみを収納する構成としたので、必然的に、第2ストッカ21のみに素材パレット4aが収納される構成となり、前述の積層素材3aをパレット4上にフォークリフトにより搬入の際に、素材パレット4aの位置決め基準を変更するなどの煩わしさがなく、作業性を向上できる。また素材パレット4aの位置決め基準の変更が不必要なことから、これに起因する搬送トラブル、加工精度のトラブルなどが生じる懸念が無い
【0045】
次に、本発明のストッカを有する板材の搬入出装置の作用について説明する。先ず図2を参照して素材・製品搬入出装置2の動作を説明する。
板材加工機1により加工を完了した製品3bは、板材加工機1上でアンローディング手段32のグリッパ36により、その素材・製品搬入出装置2側の一端が把持され、素材・製品搬入出装置2のブラシコンベヤ33上まで引き込まれる。なお、製品3bは切断線の一部をわざと切り残したミクロジョイントの状態で素材本体につながっているので、ブラシコンベヤ33上を素材本体と共に引き込まれる。
【0046】
一方このとき、板材加工機1側では、その素材・製品の搬入出位置から、前記製品3bが搬出されて、次の素材3aが搬入可能なスペースができた時点で、ローディング手段31のバキューム把持手段35で吸引保持したままその場(前記板材加工機1の素材・製品搬入出位置の上方)で待機していた素材3aを、直ちに板材加工機1側へ搬入(図2でのローディング手段31の鎖線図示)し、下降させ、板材加工機1は次の製品3bのための加工を始める。
【0047】
そして、上述のようにしてアンローディング手段32が搬出端まで移動し、先の製品3bがブラシコンベヤ33上まで引込まれた後、ブラシコンベヤ33をチェン駆動により回動してブラシ面37を順次開口部にずらして開状態(製品3bを製品パレット4b上へ落下させるためブラシコンベヤ33のブラシ面37をずらし、製品3bの載置位置を順次開口孔部になるようにする)にして、その下で台車6上に待ち受けている製品パレット4bの上へ降下させて積層する。
【0048】
なお、上記実施形態では、この際、台車6上に製品パレット4bを待機させているが、これに限定せず、台車6に換えて第1パレット昇降装置12のパレット収納手段5上に直接製品パレット4bを待機させておいてもよい。
【0049】
また、ローディング手段31による素材3aの板材加工機1への供給は、図2に見られるように、台車6の上に載置された前記製品パレット4bを、台車6を移動させることにより、2連のもう一方の台車6上に載置されている所定の素材パレット4aと入れ換え、ブラシコンベヤ33が開の状態で、この素材パレット4aをリフタ34により上昇させ、素材パレット4a上の積層素材から一枚の素材3aをローディング手段31のバキューム把持手段35により吸引し、上下動手段で上昇し、これを板材加工機1側のローディング位置まで移動させ、ここで待機させる(図2でのローディング手段31の鎖線図示)。
【0050】
一方、製品搬出時、アンローディング手段32のグリッパ36による製品4bのブラシ面37での引き込み動作に追随して、ブラシコンベア33を回動させて、ブラシ面37で製品4bを支持する。
【0051】
次に本実施形態として、本発明に係る素材パレットおよび製品パレットの交換動作を示す図である図3を参照して、第1ストッカ11の第1パレット収納棚13と製品搬入出装置2のパレット搬入位置との間における製品パレット4bの交換動作と、第2ストッカ21の第2パレット収納棚23と台車6の間、および第2ストッカ21での台車6と製品搬入出装置2のパレット搬入位置との間における素材パレット4aの交換動作とについて以下説明する
【0052】
図3は、本実施形態としてのパレット4の交換動作例を示しており、ここに、上部の図は、本発明の第1ストッカ11と、第2ストッカ21と、第1パレット収納棚13と、第2パレット収納棚23と、素材・製品搬入出装置2と、台車6とを概略的に表している。第1ストッカ11には、1段目から10段目までの第1パレット収納棚13が設けられており、第2ストッカ21には、11段目から15段目までの第2パレット収納棚23が設けられている。また図中、工程(a)〜(h)は第1ストッカ11において、加工の完了した製品3bの製品パレット4bを例えば11段目の第1パレット収納棚13へ収納し、そして次の製品3bの製品パレット4bを例えば12段目の第1パレット収納棚13から引出して準備するパレットの交換動作における各工程を示している。また図中、工程(a’)〜(k’)は第2ストッカ21において、加工の完了した素材3aの素材パレット4aを例えば5段目の第2パレット収納棚23へ収納し、そして次の素材3aの素材パレット4aを例えば4段目の第2パレット収納棚23から引出してこれを準備するパレットの交換動作の各工程を示している。
【0053】
先ず、第1ストッカ11における製品パレット4bの交換動作を説明する。
(a)素材・製品搬入出装置2の所定の位置で、加工が完了して素材・製品搬入出装置2のアンローディング手段32により板材加工機1から搬出されてきた製品3b(1枚)を、パレット収納手段5に載置した製品パレット4b上に積載する。
(b)この製品3bの加工が完了したら、または該製品パレット4b内が満杯になったら、この製品パレット4bをパレット収納手段5により上昇可能な位置まで引出す。
(c)製品パレット4bを第1パレット昇降装置12により、11段目の第1パレット収納棚13まで上昇させる。
(d)製品パレット4bをパレット収納手段5により、11段目の第1パレット収納棚13へ収納する。そして、パレット収納手段5(パレット無し)を後退させる。
【0054】
(e)第1パレット昇降装置12によりパレット収納手段5(パレット無し)を1段上昇させ、12段目の第1パレット収納棚13位置で停止させる。
(f)ここで、パレット収納手段5(パレット無し)を前進させ、次の製品3bを積載するための製品パレット4bを載置して、これを下降可能な位置まで引出す。
(g)12段目の製品パレット4bを第1パレット昇降装置12により、素材・製品搬入出装置2の所定の高さ位置まで下降させる。
(h)12段目の製品パレット4bをパレット収納手段5により、素材・製品搬入出装置2の所定の水平位置まで差込み、加工完了後搬出されてくるべき製品3bの受取りの待機をする。
【0055】
次に、第2ストッカ21における素材パレット4aの交換動作を説明する。
(a’)素材パレット4aを台車6上に載置して第2ストッカ21の最下部位置に待機している。
(b’)使用していた素材パレット4aの下部に第2パレット昇降装置22のパレット収納手段5を差込んで素材パレット4aを台車6から受取り、そしてこれを上昇可能な位置まで第2ストッカ21の最下部位置から引出す。
(c’)素材パレット4aを第2パレット昇降装置22により、5段目の第2パレット収納棚23まで上昇させる。
(d’)使用済みの素材パレット4aをパレット収納手段5により、5段目の第2パレット収納棚23へ収納する。そして、パレット収納手段5(パレット無し)を後退させる。
【0056】
(e’)第2パレット昇降装置22によりパレット収納手段5(パレット無し)を1段下降させ、4段目の第2パレット収納棚23位置で停止させる。
(f’)ここで、パレット収納手段5(パレット無し)を前進させ、次に使用する素材3aを積載した4段目の素材パレット4aを載置して下降可能な位置まで引出す。
(g’)4段目の素材パレット4aを第2パレット昇降装置22により、台車6に載置するための所定高さ位置まで下降させる。
(h’)第2ストッカ21のパレット収納手段5により、次に使用する4段目の素材パレット4aを第2ストッカ21側に送り込み、これを台車6上へ載置する。そして、パレット収納手段5(パレット無し)を後退させる。
【0057】
(i’)台車6により、次に使用する素材パレット4aを素材・製品搬入出装置2の所定の位置に送り込む。
(j’)この位置で、素材パレット4aをリフタ34により所定高さまで上昇させ、ローディング手段31のバキューム把持手段35へ素材3a(1枚)を受け渡す。ここでローディング手段31は(前述のように)素材3a(1枚)を板材加工機1の板材の搬入出位置まで送り込み、加工開始されると戻って、更にもう一枚素材3aを把持し、そこで加工完了まで待機する。
(k’) ローディング手段31へ素材3a(1枚)を渡した後、リフタ34を下降して、素材パレット4aを台車6に載置して、台車6により、素材パレット4aを第2ストッカ21側に後退させ、この位置で待機する。
【0058】
そして、上記のパレット交換が終わり、通常の生産が開始されると、その工程は、順に(a)→(b)→(i’) →(j’) → (k’) →(h)→(a)の各工程が繰り返されることになる。そしてその後、素材種類、製品種類の変更、素材パレットの素材切れ(空パレット)、または製品パレットの満杯などにより、パレット交換の必要性が生じた場合、前述のパレットの交換工程を行うことになる。
【0059】
本発明における生産性を、図3の実施例により検討してみる。
この場合、発明者の実測によると、全工程に掛かった動作時間は133秒であった。また、第1ストッカ11の製品パレット4b交換と、第2ストッカの素材パレット4a交換とはそれぞれ独立して稼動できるが、この独立したそれぞれの工程とその時間は、第1ストッカ11の製品パレット4b交換の場合が(c)〜(g)の工程の合計で96秒、第2ストッカ21の素材パレット4a交換の場合が(b’)〜(g’)の工程の合計で101秒掛かっていた。よって従来のようにストッカを1棟とした場合には、この独立稼動している工程部分の時間が加算されるから、少なくとも229秒はかかると言える。
従って、上記の実施例からも類推されるように、本発明のパレット交換時間は従来のストッカ1棟の場合に比べて半分程度に大幅短縮されており、大幅な機械稼働率のアップと、顕著な生産性の向上が期待できる。
【0060】
また、本発明においては、図3の(a)、(h)工程に見られるように、製品パレット4bを、パレット収納手段5により素材・製品搬入出装置2の所定の水平位置まで差込んで、加工完了し搬出されてくる製品3bの受取りの待機をしておき、加工が完了してアンローディング手段32により板材加工機1から搬出されてきた製品3b(1枚)を、パレット収納手段5に載置した製品パレット4b上に直接積載している。よって、素材・製品搬入出装置2から製品パレット4bへ製品3bを受け渡す動作は、従来の台車を介しての受け渡しや、前述の特許文献1に開示された素材テーブル139による受渡しなどとは異なり、パレット昇降装置12,22のパレット収納手段5のみにより直接行っており、これら一連の受渡し動作は、極めてシンプルで短時間に行え、生産性効率が高い。
【0061】
なお、本発明の前述の実施形態においては、第1ストッカ11の第1パレット収納棚13が製品パレット4bのみを収納する例で記載したが、本発明はこの構成に限定されるものではなく、第1ストッカ11に素材パレット4aを収納してもよいのは論を待たない。
【0062】
以上説明したように、本発明により以下のような効果を奏する。
本発明の板材の搬入出装置は、1棟のストッカとこれに付属する1つの昇降装置よりなる従来構成に対して、もう1棟のストッカを、従来空スペースとなっていた前記素材・製品搬入出装置の上方に追加して設けたので、従来の機械設置面積に対して設置面積を増やすことなく、パレットのストック段数を格段に多くできる。
【0063】
また、このパレットを多く収納できることから、板材素材および加工完了後の板材製品を多くストックでき、従来ネックとされていた板材加工機の夜間無人連続運転は勿論、連休でも無人運転が可能となる。
またさらに、ストッカとパレット昇降装置とを2台それぞれ個別に設けたので、素材パレット、製品パレットそれぞれの出し入れが2箇所となり、それぞれのパレット交換動作が、独立して同時にも行えるため、パレット交換時間は大幅に短縮(従来のおよそ半分)され、機械稼働率が上がり、顕著な生産性の向上が期待できる。
【0064】
本発明の板材の搬入出装置は、第1パレット昇降装置の最下部位置と、第2パレット昇降装置の最下部位置との2個所にそれぞれ第1パレット搬入出装置と、第2パレット搬入出装置とを設けたので、フォークリフトなどによるパレットの搬入出作業が、2個所でそれぞれ独立して行え、パレットの搬入出作業の能率が上がる。
また従来、ただ単に待機場所となっていた本発明での第1パレット昇降装置の下方位置を、上記の外部からのパレット搬入出位置としたので、このための新たな設置面積を必要とせず、省スペース、省設備コストとなる。
【0065】
近年、製品種が多くなり製品パレットを素材パレットより多く必要とするケースが多くなる傾向にあるが、本発明に係るパレット収納棚の段数の少ない方の第1ストッカが製品パレットのみを収納する構成とした場合、第2ストッカが、製品パレットと素材パレットとの両方を収納すれば、本装置全体として製品パレットの方を多く収納できるから、製品パレットと素材パレットとのバランスが良くなり、システムの運用効率が良くなり、生産性向上に寄与できる。
【0066】
本発明の板材の搬入出装置では、素材・製品搬入出装置の上方に設けられ、上下方向にパレットの収納棚を複数有したストッカの、所定のパレット収納棚から、パレット収納手段によりパレットの出し入れを行い、これを台車またはその他の受渡し手段(例えば前述の特許文献1に開示された素材テーブル139など)などを介さずに直接、パレット昇降装置により昇降させて、パレット収納手段により素材・製品搬入出装置へ受け渡しているので、このストッカでのパレット交換作業時間が極めて速い。
またこの場合、パレットをパレット昇降装置の下方における前記素材・製品搬入出装置の搬入位置で、パレット収納手段上に待機させておくことにより、来るべき次の、製品の受け入れまたは素材の受渡し動作に即時対応できるので、これらの動作効率が極めて良く、生産効率を上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るストッカを有する板材の搬入出装置の全体図である。
【図2】本発明に係る素材・製品搬入出装置の側面図である。
【図3】本発明に係る素材パレットおよび製品パレットの交換動作を示すである。
【図4】従来技術であるストッカを有する板材の搬入出装置の一例を示す図である。
【符号の説明】
1…板材加工機、2…素材・製品搬入出装置、3…板材、3a…素材、3b…製品、4…パレット、4a…素材パレット、4b…製品パレット、5…パレット収納手段、6…台車、11…第1ストッカ、12…第1パレット昇降装置、13…第1パレット収納棚、14…第1パレット搬入出装置、21…第2ストッカ、22…第2パレット昇降装置、23…第2パレット収納棚、24…第2パレット搬入出装置、31…ローディング手段、32…アンローディング手段、33…ブラシコンベヤ、34…リフタ、35…バキューム把持手段、36…グリッパ、37…ブラシ面。
【発明の属する技術分野】
本発明は、素材パレットまたは製品パレットのストッカを有する板材の搬入出装置、またはその板材搬入出方法の技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、タレットパンチプレスやレーザ加工機などの板材加工機においては、少しでも長時間の無人自動運転を行うため、板材の素材を積載した素材パレット、または加工された板材製品を積載した製品パレットをストッカに収納しておき、該板材加工機に隣接して設けられた素材・製品搬入出装置により、適時板材の素材をストッカから板材加工機に搬入し、または板材加工機で加工された板材製品をストッカへ収納する技術が採用されているのが一般的である。また、この素材パレットや製品パレットをより多くストッカに収納するための技術も、多く提案されている。
そして、板材素材を集積して収納する素材パレットと加工済みの板材製品を集積して収納する製品パレットとを収納するストッカは、コストパフォーマンスまたは設置面積などの制約から、1台の板材加工機に対して1棟設けるのが一般的である。
【0003】
従来の上記のような板材加工機のストッカ付き板材搬入出装置としては、例えば、板材加工機に隣接して設置された素材・製品搬入出装置と、この素材・製品搬入出装置に隣接して設置された1棟のストッカと、このストッカと前記素材・製品搬入出装置との間でパレットを移送し、パレット交換する2連の台車とで構成されているものがある。
【0004】
ここに、素材・製品搬入出装置は、板材加工機に隣接して設置され、板材素材を積層した素材パレットから、複数のバキュームカップで該板材素材を吸い上げて1枚づつ取り出し、これを板材加工機へ移送搬入するローディング手段と、加工済みの板材製品を1枚づつその一端を把持装置で把持して、板材加工機から本装置へ取り込み、製品パレット上へ積層して収納するアンローディング手段とで構成されている。
またストッカは、前記素材パレットと前記製品パレットとを格納する棚を、複数(例えば6,8,10段)上下方向に設けており、また所定の素材パレットを棚から引き出し、下降して前記台車に移載したり、または板材加工機への素材供給が終わった素材パレットを台車から受け取り、上昇してこれを所定の棚に格納する昇降手段を備えている。
またさらに、台車はその移動方向に2連で構成され、ストッカと素材・製品搬入出装置との間で素材パレットまたは製品パレットを移送し、または交換する移送手段をそれぞれ有している。
【0005】
これらの装置による板材搬入出における一連の動作は、以下の通りである。
所定の素材パレットを、昇降手段により、ストッカの所定の棚から取り出して下降し、台車へ移載する。そして台車を移動して、この素材パレットを素材・製品搬入出装置へ引き込み、この位置でローディング手段のバキュームカップで素材の1枚を吸着して、引上げ、板金加工機への素材の搬入待機をする。
その後、空になるか、または別の素材供給のためにこの素材供給済みの素材パレットの交換が必要な際には、台車をストッカ位置へ移動させ、昇降手段により上昇させて、元の(空状態の棚)へ格納しておく。
【0006】
また、所定の製品パレットを、昇降手段により、ストッカの所定の棚から取り出して下降し、台車へ移載し、そしてこの台車を移動して、この製品パレットを素材・製品搬入出装置へ引き込み、板金加工機により加工の完了した板材製品が直ちに受取れるように、この位置で製品パレットを待機させる。
この後、板金加工機で板材の加工が完了したら、素材・製品搬入出装置のアンローディング手段により、加工済みの1枚の板材製品の一端を把持して、板材加工機から素材・製品搬入出装置へ取り込み、この位置で待機していた製品パレット上へ受け渡し、これを製品パレットに積層収納する。
【0007】
一方、前述の板材製品の取り込み動作に連動させて、この位置でローディング手段により、搬入待機していた素材の1枚をバキュームカップ吸着し、板金加工機へ搬入する。
また、満載になるか、または別の製品収納のため、製品パレットの交換が必要な際には、台車を移動させて、ストッカ位置へ移動させ、昇降手段により上昇させて、この製品パレットを元の(空状態の)棚へ格納しておく。
以上の動作を繰り返し、複数種の加工材の無人連続加工運転を行っている。
【0008】
また例えば、特許文献1には、1棟のパレットストッカを有した板材搬送装置の技術が開示されている。この技術は図4に示すように、複数のパレット収納部105を設けたストッカ107を1棟有していて、該ストッカ107にパレット出入れ装置を有するエレベータ121が昇降可能に設けてあり、素材パレットP1 に集積された素材Wを板材加工機へ1枚づつ搬入したり、製品WAを板材加工機から1枚づつ製品パレットP2 へ搬出したりする板材搬送装置101において、素材Wを支持する素材テーブル139を板材出入れ領域111と素材待機領域113との間を移動可能に設け、この素材テーブル139が板材出入れ領域111に位置するときに、素材テーブル139がスラットコンベア133の上端部の近接下方位置に位置するように構成してなる技術を提供しており、この技術により、板材の搬入に要する一連の作業の時間短縮を図って、作業能率の向上が図れたとしている。
【0009】
【特許文献1】
特開平10−263731号公報(第4−5頁、第1図)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来のストッカを有する板材搬入出装置においては、以下のような課題を有している。
【0011】
近年、ユーザの商品趣向の多様化により、板金加工業界においても少品種多量生産から多品種少量生産への生産形態の変換を余儀なくされ、その移行対応から素材種、製品種が多くなり、この素材種、製品種の段取り換えが増し、その結果機械の実質稼働率が低下することになり、板材加工装置を昼夜で稼動させたいというニーズが強まってきている。しかも、大容量金型マガジンの装備など板材加工機側の改善による連続加工時間の延長に伴ない、多くなった休日においてまでも無人運転させたいという要求に対し、従来のストッカの棚段数では、到底、この板金加工業界の要求には対応できなかった。
【0012】
そこで、現有ストッカのパレット格納棚の段数を多くする一案として、ストッカを上方に伸ばし高くして棚数を(例えば従来の10段より)増す方法が考えられるが、建屋の実用上の高さ制限(5m程度)があり、この方法では十分な段数が確保できない。
【0013】
また、これに代わる案として、現有のストッカを2棟隣接させて、パレット格納棚数を増すことも考えられるが、この案では、ストッカの設備費用が2倍以上となり、このコスト高のデメリットは勿論のこと、板材加工機を含めた、素材・製品搬入出装置およびストッカ(素材、製品)装置の設置面積がさらに大きくなるため、設置場所の制約が生じ、その導入は現実には困難である。
【0014】
さらに、特許文献1に記載のストッカを有する板材搬入出装置においては、パレット格納棚の数が少ないことに加えて、1台の昇降手段(エレベータ121)しか備えていないため、パレット交換速度が遅く、板金の加工サイクルタイムに較べて数倍のパレット交換時間を要しており、機械の稼働率に直接影響を及ぼし、生産性が上がらないといった問題もある。特に昇降手段の昇降速度は、通常、安全性確保のため、台車移動速度よりもかなり遅く設定するからである。
【0015】
本発明は、上記の問題点に着目してなされ、設置面積及び設置高を増やすことなくパレット収納棚の段数を増やすことができ、しかもパレット交換速度を上げて生産性の向上が可能な、ストッカを有する板材の搬入出装置、またはその板材搬入出方法の提供を目的としている。
【0016】
【課題を解決するための手段、作用及び効果】
上記の目的を達成するために、本発明に係る第1発明は、ストッカを有する板材の搬入出装置において、板材加工機に対し素材の搬入および製品の搬出を行う素材・製品搬入出装置と、前記素材・製品搬入出装置の上方に、素材または製品のパレットを収納する第1パレット収納棚を上下方向に複数設けた第1ストッカと、前記第1ストッカの第1パレット収納棚へパレットの収納および引出を行うと共に、前記素材・製品搬入出装置および各前記第1パレット収納棚間で前記パレットの昇降を行い、前記パレットの収納および引出の方向が、前記素材・製品搬入出装置における板材加工機への素材・製品の搬入出方向に対して直角方向になるように前記第1ストッカに設けられた第1パレット昇降装置と、上下方向に複数設けた第2パレット収納棚を有し、かつ該第2パレット収納棚へのパレットの収納および引出の方向が前記第1ストッカと同一となるよう前記第1ストッカに隣接して設けられた第2ストッカと、第2ストッカの下方位置から、前記素材・製品搬入出装置における板材の受取り、受渡し位置に至る間で、前記第2ストッカのパレットの収納および引出の方向と同一方向に移動自在に設けられ、パレットの積載部を該移動方向に2個所有する台車と、前記第1ストッカおよび前記第2ストッカを挟んで、前記第1パレット昇降装置に対向した位置に設けられ、前記第2ストッカの第2パレット収納棚へのパレットの収納および引出を前記第1パレット昇降装置と同一方向に行うと共に、前記台車および各前記第2パレット収納棚間で前記パレットの昇降を行う第2パレット昇降装置とを設けた構成としている。
【0017】
第1発明によると、ストッカを有する板材の搬入出装置において、以下の作用、効果を奏する。
本発明では、1棟のストッカ(第2ストッカに相当)とこれに付属する1つのパレット昇降装置(第2パレット昇降装置に相当)よりなる従来構成に対して、もう1棟の第1ストッカとこれに付属する第1パレット昇降装置とを、従来空きスペースとなっていた素材・製品搬入出装置の上方に追加して設けている。即ち、従来空きスペースとなっていた素材・製品搬入出装置の上方に、素材パレットまたは製品パレットなどのパレットを収納する第1パレット収納棚を上下方向に複数段設けた第1ストッカと、第2パレット昇降装置と同一方向へこの第1パレット収納棚へのパレットの収納および引出を行うと共に、素材・製品搬入出装置から第1パレット収納棚への前記パレットの昇降を行うよう第1ストッカに設けられた第1パレット昇降装置とが設置されている。
よって、本発明の装置は、従来の機械設置面積に対して設置面積を増やすことなく、パレットのストック段数を格段に多く設けることができる。
【0018】
また、パレットを多く収納できることから、板材素材および加工完了後の板材製品を数多くストックでき、従来ネックとされていた板材加工機の夜間無人運転が可能となる。さらに、ストックする板材素材の枚数や加工時間を考慮すると、連休でも無人運転が可能となる。
またさらに、ストッカとパレット昇降装置とを2台それぞれ個別に設けたので、素材パレット、製品パレットそれぞれの出し入れが2箇所となり、それぞれのパレット交換動作が独立して同時に行えるため、パレット交換時間は大幅に短縮され(従来のおよそ半分となる)、よって機械稼働率が上がり、顕著な生産性の向上が期待できる。
【0019】
第2発明は、前記第1パレット昇降装置の下方位置、および前記第2パレット昇降装置の下方位置に、それぞれ外部と前記第1ストッカおよび前記第2ストッカとの間でパレットの搬入出を行うための第1パレット搬入出装置と第2パレット搬入出装置とを設けたことを特徴とする前記第1発明記載のストッカを有する板材の搬入出装置としている。
【0020】
第2発明によると、前記第1発明記載のストッカを有する板材の搬入出装置の、前記第1パレット昇降装置の最下部位置と、前記第2パレット昇降装置の最下部位置との2個所にそれぞれ第1パレット搬入出装置と、第2パレット搬入出装置とを設けたので、フォークリフトなどによるパレットの搬入出作業が2個所でそれぞれ独立して行え、パレットの搬入出作業の能率が上がる。
また前記台車は、移動方向に2個所パレットの積載部を有し、それぞれの積載部で第2ストッカ下方位置から板材搬入出装置における板材受取り、受渡し位置まで移動自在としているため、台車の移動は前記第1パレット昇降装置の最下部位置と、前記第2パレット昇降装置の最下部位置とのそれぞれの位置まで達することになる。そこで、これらの位置を第1パレット搬入出装置および第2パレット搬入出装置として利用することにした。したがって、ただ単に待機場所となっていた本発明での第1および第2パレット昇降装置の下部位置を、フォークリフトなどによるパレットの搬入出位置として、パレット搬入出装置を設けたので、このための新たな設置面積を必要とせず、省スペース、省設備コストとなる。
【0021】
第3発明は、前記第1ストッカの第1パレット収納棚には、前記製品パレットのみを収納することを特徴とする前記第1発明または第2発明記載のストッカを有する板材の搬入出装置としている。
【0022】
第3発明によると、近年では多品種少量な生産方式の関連から、製品種が多くなり製品パレットの方を素材パレットより多く必要とするケースが多いが、第1発明記載の第1ストッカの第1パレット収納棚は、製品パレットのみを収納する構成としたので、第2ストッカの第2パレット収納棚は、製品パレットと素材パレットと両方を収納すれば、本装置全体として製品パレットの方を多く収納でき、製品パレットと素材パレットとのバランスが良くなり、システムの運用効率が良くなり、生産性に寄与できる。
【0023】
通常、積層素材をパレットに載せ、これをフォークリフト等により搬入の際には、パレット上での積層素材の位置を、素材・製品搬入出装置の基準位置(板材加工機の基準位置に相当)に合わせて搬入する必要があるが、製品パレットの場合、その加工基準に合わせる必要はなく、当然ながらフォーク搬出時において製品パレットの位置決めの必要はない。
本発明によると、第1ストッカの第1パレット収納棚には製品パレットのみを収納する構成としたので、必然的に、第2ストッカのみに素材パレットが収納される構成となる。前述の積層素材をパレット上にフォークリフトにより搬入の際に、素材の搬入向きが逆になることから、第1ストッカへのパレット搬入出個所での素材パレットの位置決め基準を第2ストッカの場合の基準に対し変更するなどの煩わしさがあったが、第2ストッカのみに素材パレットを収納したことから、作業性が向上する。また、素材パレットの位置決め基準の変更が不必要なことから、これに起因する搬送トラブル、加工精度のトラブルなどが生じる懸念が無い。
【0024】
第4発明は、ストッカを有する板材の搬入出装置の板材搬入出方法において、板材加工機に対して素材・製品搬入出装置を介して、それぞれ板材の素材の搬入、および加工を完了した板材の製品の搬出をするに際し、前記素材・製品搬入出装置の上方に設けられ、上下方向に素材パレットおよび製品パレットなどのパレットの収納部を複数有したストッカの、所定のパレット収納棚から、パレット収納手段により所定のパレットの引出しを行った後、これを前記素材・製品搬入出装置の搬入出位置までパレット昇降装置により下降させ、続いて、受渡し位置まで前記パレット収納手段によりこのパレットを差込み、この状態で直接該パレットと前記素材・製品搬入出装置との間で、素材の送り込み、または製品の受け取りを行い、その後、このパレットを前記受渡し位置から前記パレット収納手段により引出し、パレット昇降装置により上昇させ、所定のパレット収納棚へ前記パレット収納手段により収納する方法としている。
【0025】
第4発明によると、パレット収納棚と素材・製品搬入出装置との間のパレットの搬送に関して、素材・製品搬入出装置の上方に設けられ、上下方向にパレット収納棚を複数有したストッカの所定のパレット収納棚から、パレット収納手段により所望のパレットの出し入れを行い、パレット昇降装置により昇降させ、このパレットを台車などを介さずに直接パレット収納手段により素材・製品搬入出装置へ受け渡しているので、これらのパレット交換作業時間が極めて速い。
【0026】
また、素材パレットから素材・製品搬入出装置へ板材素材を受け渡し、または素材・製品搬入出装置から製品パレットへ板材製品を受け渡す動作は、従来の台車を介しての受け渡しや、前述の特許文献1に開示された素材テーブル139による受渡しなどとは異なり、パレット昇降装置のパレット収納手段により直接行っており、これら一連の受渡し動作は極めてシンプルで短時間に行えるから、生産性効率が高い。
【0027】
さらに、素材・製品搬入出装置の上方を利用して第1ストッカを設けたので、設置面積を増やすことなく、パレットのストック段数を格段に多くできる効果も得られる。
【0028】
第5発明は、前記板材加工機の加工中に、次に板材製品を受け取るための前記製品パレット、または次に板材素材を供給するための前記素材パレットを、前記素材・製品搬入出装置の搬入出位置で前記パレット収納手段上に待機させておくことを特徴とする、前記第4発明記載のストッカを有する板材の搬入出装置の板材搬入出方法としている。
【0029】
第5発明によると、板材製品を受け取るための製品パレット、または次に板材素材を供給するための素材パレットを、前回の製品または素材の受渡し後そのまま、または必要に応じて板材加工機の加工中に当該パレットに交換して、前記素材・製品搬入出装置の搬入出位置で、前記パレット収納手段上に待機させておくことにより、来るべき次の、製品の受け入れまたは素材の受渡し動作に即時に対応できるので、極めてこれらの動作効率が良く、生産性を向上できる。
【0030】
【発明の実施の形態】
次いで、図面1〜図3を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0031】
図1は本発明に係るストッカを有する板材の搬入出装置の全体図であり、図2は本発明に用いられる素材・製品搬入出装置の側面図である。これらにより、本発明の実施構成を説明する。
本体フレーム10に、隣接して第1ストッカ11と第2ストッカ21が設けられている。第1、第2ストッカ11,21は、それぞれ上下に複数段の第1パレット収納棚13および第2パレット収納棚23が設けられており、第1、第2パレット収納棚13,23には、パレット4が互いに反対方向に出し入れ自在に収納されるようになっている。パレット4には、板材3の素材3aを積層して載置する素材パレット4aと、板材3を板材加工機1で加工した製品3bを積層して載置する製品パレット4bとがある。本実施形態では、第1ストッカ11には製品パレット4bのみを収納するようにしている。第1ストッカ11の下方には素材・製品搬入出装置2が配設されており、この素材・製品搬入出装置2および第2ストッカ21の下方には、台車6が移動自在に設けられている。
【0032】
第1、第2ストッカ11,21には、該第1、第2ストッカ11,21をはさんで互いに対向する位置に、それぞれ第1パレット昇降装置12および第2パレット昇降装置22が上下動自在に設けられている。この第1、第2パレット昇降装置12,22には、パレット4をそれぞれ第1、第2パレット収納棚13,23に出し入れするためのパレット収納手段5が備えられている。第1パレット昇降装置12は、素材・製品搬入出装置2、および第1ストッカ11の各第1パレット収納棚13間でパレット4の昇降を行い、第2パレット昇降装置22は、台車6、および第2ストッカ21の各第2パレット収納棚23間でパレット4の昇降を行う。
【0033】
また、第1、第2パレット昇降装置12,22の真下の本体フレーム10最下部位置には、それぞれ、外部と本ストッカ11,21との間で例えばフォークリフトなどによるパレット4の搬入出を行うための第1パレット搬出入装置14および第2パレット搬出入装置24を設けている。なお、この第1パレット搬出入装置14および第2パレット搬出入装置24においては、フォークリフトによるパレット4の搬入出に限定されず、自動搬送台車や自動搬送ロボット等の外部搬送装置によるパレット搬入出であっても構わない。
【0034】
そして、前記台車6は、上記第1パレット搬出入装置14の位置から第2パレット搬出入装置24の位置までにわたって、パレット4を載置して、第1パレット昇降装置12および第2パレット昇降装置22でのパレット4の出入方向と同一方向に移動自在となっており、パレット4の積載部をその移送方向に2個所有している。
【0035】
前記素材・製品搬入出装置2は、上記第1、第2ストッカ11,21の各素材パレット4aの素材3aをローディング手段31により板材加工機1に搬入し、また板材加工機1で加工済みの製品3bをアンローディング手段32により板材加工機1から搬出して製品パレット4bに積載するものであり、板材加工機1に隣接して設けられている。また、素材・製品搬入出装置2には、製品3bの搬出時に製品3bを製品パレット4bの上方に支持するブラシコンベヤ33も備えられており、さらに素材・製品搬入出装置2の下方位置には、素材3aまたは製品3bを搬入、搬出する際に補助的な役目を行うリフタ34が設けられている。この素材・製品搬入出装置2の素材3aおよび製品3bの搬入出方向は、前記第1、第2パレット昇降装置12,22のパレット収納手段5の出し入れ方向に対して直角方向になるように構成している。
【0036】
次に、素材・製品搬入出装置2について、図2により詳細に説明する。
素材3aおよび製品3bの搬入出方向に沿って懸架フレーム38が設けられ、この懸架フレーム38に前記搬入出方向に沿ってガイドレール38aが布設されおり、該ガイドレール38aに沿って移動自在に支持部材39が懸架フレーム38に支持されている。また支持部材39は、図示しない上下動手段により懸架フレーム38に対して上下動自在に設けられている。支持部材39の下端部には、複数のバキューム把持手段35を有するローディング手段31が備えられている。このローディング手段31は、素材3aを、バキューム把持手段35で吸引し、リフトアップして板材加工機1へ搬出するようになっている。
【0037】
ローディング手段31の下方には、アンローディング手段32が設けられている。アンローディング手段32は、板材加工機1の端部から、素材・製品搬入出装置2の下方に移送された製品パレット4bまで、移動自在に設けられたグリッパ36と、搬入出方向に回動するブラシコンベヤ33とを有している。グリッパ36は、加工済みの製品3bの引き込み側端部をクランプするクランプ部36aを有している。ブラシコンベヤ33は、該コンベヤ面の一部に板材3を載置可能な大きさのブラシ面37を有するとともに、このブラシ面37の隣接部に板材3より大きい開口孔を有している。
【0038】
さらに、ブラシコンベヤ33の下方には、素材パレット4aを上昇させて、ローディング手段31のバキューム把持手段35へ素材3aを渡すためのリフタ34が配設されている。リフタ34は、上下動駆動手段の上面部に素材パレット4aを載置するための載置台34aを備えており、該載置台34aはその最下限位置で台車6の架台6aよりも下方に位置し、台車6の走行に支障が無いようになっている。
なお、台車6の架台6aの2個所のパレット積載部には、それぞれのほぼ中央部に前記リフタ34の載置台34aよりもやや大きな孔6bが形成されている。
【0039】
以上、本発明においては、従来の構成である、1棟の第2ストッカ21とこれに付属する1つの第2パレット昇降装置22とよりなる構成に対して、もう1棟の第1ストッカ11とこれに付属する第1パレット昇降装置12とを、従来空きスペースとなっていた素材・製品搬入出装置2および台車待避所(本発明では第1パレット搬入出装置14に相当)の上方に追加して設けている。
【0040】
このように、従来空きスペースとなっていた、素材・製品搬入出装置2および台車待避所の上方部を利用して第1ストッカ11と第1パレット昇降装置12とを設けたので、従来の機械設置面積に対して設置面積を増やすことなく、パレット4のストック段数を格段に多くできる。
また、パレットを多く収納できることから、板材素材および加工完了後の板材製品を多くストックでき、従来ネックとされていた板材加工機の夜間連続無人運転は勿論、連休でも無人運転が可能となる。
【0041】
また、本発明においては、第1パレット昇降装置12の真下の最下部位置と、第2パレット昇降装置22の真下の最下部位置との2個所にそれぞれ第1パレット搬入出装置14と、第2パレット搬入出装置24とのパレット搬入出装置を設けたので、フォークリフトなどによるパレットの搬入出作業が、2個所でそれぞれ独立して行え、パレットの搬入出作業の能率が上がる。
また従来、ただ単に待機場所となっていた本発明での第1パレット昇降装置12の真下の最下部位置に、上述のようにパレット搬入出装置を設けたので、このための新たな設置面積を必要とせず、省スペース、省設備コストとなる。
【0042】
近年、多品種少量の生産方式の関連から、製品種が多くなり製品パレット4bの方を素材パレット4aよりも多く必要とするケースが多いが、本実施形態では第1ストッカ11の第1パレット収納棚13は製品パレット4bのみを収納する構成としたので、第2ストッカ21の第2パレット収納棚23が、製品パレット4bおよび素材パレット4aの両方を収納すれば、製品パレット4bの方を多く収納でき、製品パレット4bと素材パレット4aとのバランスが良くなり、システムの利用効率が良くなり、生産性に寄与できる。
【0043】
また、本発明では、ストッカを2棟設け、これらを挟む対向位置にフォークリフトによるパレット搬入出個所を2箇所(第1、第2パレット搬出入装置14,24)設けている。この場合、これらのフォークリフトの搬入出位置でのパレットの向きは、それぞれ180°位相が異なる関係となる。
ところで、積層素材をパレット上にフォークにより搬入の際には、パレット上での積層素材の位置を、素材・製品搬入出装置の基準位置(板材加工機の基準位置)に合わせて搬入する必要があるが、製品パレットの場合、板材加工機での加工は完了した状態なので、加工基準は必要なく、当然ながらフォーク搬出時において製品パレットの位置決めの必要はない。
【0044】
このため、素材パレット4aは、第1ストッカ11または第2ストッカ21のいずれか一方のみに収納するのが望ましいが、本発明においては、第1ストッカ11には製品パレット4bのみを収納する構成としたので、必然的に、第2ストッカ21のみに素材パレット4aが収納される構成となり、前述の積層素材3aをパレット4上にフォークリフトにより搬入の際に、素材パレット4aの位置決め基準を変更するなどの煩わしさがなく、作業性を向上できる。また素材パレット4aの位置決め基準の変更が不必要なことから、これに起因する搬送トラブル、加工精度のトラブルなどが生じる懸念が無い
【0045】
次に、本発明のストッカを有する板材の搬入出装置の作用について説明する。先ず図2を参照して素材・製品搬入出装置2の動作を説明する。
板材加工機1により加工を完了した製品3bは、板材加工機1上でアンローディング手段32のグリッパ36により、その素材・製品搬入出装置2側の一端が把持され、素材・製品搬入出装置2のブラシコンベヤ33上まで引き込まれる。なお、製品3bは切断線の一部をわざと切り残したミクロジョイントの状態で素材本体につながっているので、ブラシコンベヤ33上を素材本体と共に引き込まれる。
【0046】
一方このとき、板材加工機1側では、その素材・製品の搬入出位置から、前記製品3bが搬出されて、次の素材3aが搬入可能なスペースができた時点で、ローディング手段31のバキューム把持手段35で吸引保持したままその場(前記板材加工機1の素材・製品搬入出位置の上方)で待機していた素材3aを、直ちに板材加工機1側へ搬入(図2でのローディング手段31の鎖線図示)し、下降させ、板材加工機1は次の製品3bのための加工を始める。
【0047】
そして、上述のようにしてアンローディング手段32が搬出端まで移動し、先の製品3bがブラシコンベヤ33上まで引込まれた後、ブラシコンベヤ33をチェン駆動により回動してブラシ面37を順次開口部にずらして開状態(製品3bを製品パレット4b上へ落下させるためブラシコンベヤ33のブラシ面37をずらし、製品3bの載置位置を順次開口孔部になるようにする)にして、その下で台車6上に待ち受けている製品パレット4bの上へ降下させて積層する。
【0048】
なお、上記実施形態では、この際、台車6上に製品パレット4bを待機させているが、これに限定せず、台車6に換えて第1パレット昇降装置12のパレット収納手段5上に直接製品パレット4bを待機させておいてもよい。
【0049】
また、ローディング手段31による素材3aの板材加工機1への供給は、図2に見られるように、台車6の上に載置された前記製品パレット4bを、台車6を移動させることにより、2連のもう一方の台車6上に載置されている所定の素材パレット4aと入れ換え、ブラシコンベヤ33が開の状態で、この素材パレット4aをリフタ34により上昇させ、素材パレット4a上の積層素材から一枚の素材3aをローディング手段31のバキューム把持手段35により吸引し、上下動手段で上昇し、これを板材加工機1側のローディング位置まで移動させ、ここで待機させる(図2でのローディング手段31の鎖線図示)。
【0050】
一方、製品搬出時、アンローディング手段32のグリッパ36による製品4bのブラシ面37での引き込み動作に追随して、ブラシコンベア33を回動させて、ブラシ面37で製品4bを支持する。
【0051】
次に本実施形態として、本発明に係る素材パレットおよび製品パレットの交換動作を示す図である図3を参照して、第1ストッカ11の第1パレット収納棚13と製品搬入出装置2のパレット搬入位置との間における製品パレット4bの交換動作と、第2ストッカ21の第2パレット収納棚23と台車6の間、および第2ストッカ21での台車6と製品搬入出装置2のパレット搬入位置との間における素材パレット4aの交換動作とについて以下説明する
【0052】
図3は、本実施形態としてのパレット4の交換動作例を示しており、ここに、上部の図は、本発明の第1ストッカ11と、第2ストッカ21と、第1パレット収納棚13と、第2パレット収納棚23と、素材・製品搬入出装置2と、台車6とを概略的に表している。第1ストッカ11には、1段目から10段目までの第1パレット収納棚13が設けられており、第2ストッカ21には、11段目から15段目までの第2パレット収納棚23が設けられている。また図中、工程(a)〜(h)は第1ストッカ11において、加工の完了した製品3bの製品パレット4bを例えば11段目の第1パレット収納棚13へ収納し、そして次の製品3bの製品パレット4bを例えば12段目の第1パレット収納棚13から引出して準備するパレットの交換動作における各工程を示している。また図中、工程(a’)〜(k’)は第2ストッカ21において、加工の完了した素材3aの素材パレット4aを例えば5段目の第2パレット収納棚23へ収納し、そして次の素材3aの素材パレット4aを例えば4段目の第2パレット収納棚23から引出してこれを準備するパレットの交換動作の各工程を示している。
【0053】
先ず、第1ストッカ11における製品パレット4bの交換動作を説明する。
(a)素材・製品搬入出装置2の所定の位置で、加工が完了して素材・製品搬入出装置2のアンローディング手段32により板材加工機1から搬出されてきた製品3b(1枚)を、パレット収納手段5に載置した製品パレット4b上に積載する。
(b)この製品3bの加工が完了したら、または該製品パレット4b内が満杯になったら、この製品パレット4bをパレット収納手段5により上昇可能な位置まで引出す。
(c)製品パレット4bを第1パレット昇降装置12により、11段目の第1パレット収納棚13まで上昇させる。
(d)製品パレット4bをパレット収納手段5により、11段目の第1パレット収納棚13へ収納する。そして、パレット収納手段5(パレット無し)を後退させる。
【0054】
(e)第1パレット昇降装置12によりパレット収納手段5(パレット無し)を1段上昇させ、12段目の第1パレット収納棚13位置で停止させる。
(f)ここで、パレット収納手段5(パレット無し)を前進させ、次の製品3bを積載するための製品パレット4bを載置して、これを下降可能な位置まで引出す。
(g)12段目の製品パレット4bを第1パレット昇降装置12により、素材・製品搬入出装置2の所定の高さ位置まで下降させる。
(h)12段目の製品パレット4bをパレット収納手段5により、素材・製品搬入出装置2の所定の水平位置まで差込み、加工完了後搬出されてくるべき製品3bの受取りの待機をする。
【0055】
次に、第2ストッカ21における素材パレット4aの交換動作を説明する。
(a’)素材パレット4aを台車6上に載置して第2ストッカ21の最下部位置に待機している。
(b’)使用していた素材パレット4aの下部に第2パレット昇降装置22のパレット収納手段5を差込んで素材パレット4aを台車6から受取り、そしてこれを上昇可能な位置まで第2ストッカ21の最下部位置から引出す。
(c’)素材パレット4aを第2パレット昇降装置22により、5段目の第2パレット収納棚23まで上昇させる。
(d’)使用済みの素材パレット4aをパレット収納手段5により、5段目の第2パレット収納棚23へ収納する。そして、パレット収納手段5(パレット無し)を後退させる。
【0056】
(e’)第2パレット昇降装置22によりパレット収納手段5(パレット無し)を1段下降させ、4段目の第2パレット収納棚23位置で停止させる。
(f’)ここで、パレット収納手段5(パレット無し)を前進させ、次に使用する素材3aを積載した4段目の素材パレット4aを載置して下降可能な位置まで引出す。
(g’)4段目の素材パレット4aを第2パレット昇降装置22により、台車6に載置するための所定高さ位置まで下降させる。
(h’)第2ストッカ21のパレット収納手段5により、次に使用する4段目の素材パレット4aを第2ストッカ21側に送り込み、これを台車6上へ載置する。そして、パレット収納手段5(パレット無し)を後退させる。
【0057】
(i’)台車6により、次に使用する素材パレット4aを素材・製品搬入出装置2の所定の位置に送り込む。
(j’)この位置で、素材パレット4aをリフタ34により所定高さまで上昇させ、ローディング手段31のバキューム把持手段35へ素材3a(1枚)を受け渡す。ここでローディング手段31は(前述のように)素材3a(1枚)を板材加工機1の板材の搬入出位置まで送り込み、加工開始されると戻って、更にもう一枚素材3aを把持し、そこで加工完了まで待機する。
(k’) ローディング手段31へ素材3a(1枚)を渡した後、リフタ34を下降して、素材パレット4aを台車6に載置して、台車6により、素材パレット4aを第2ストッカ21側に後退させ、この位置で待機する。
【0058】
そして、上記のパレット交換が終わり、通常の生産が開始されると、その工程は、順に(a)→(b)→(i’) →(j’) → (k’) →(h)→(a)の各工程が繰り返されることになる。そしてその後、素材種類、製品種類の変更、素材パレットの素材切れ(空パレット)、または製品パレットの満杯などにより、パレット交換の必要性が生じた場合、前述のパレットの交換工程を行うことになる。
【0059】
本発明における生産性を、図3の実施例により検討してみる。
この場合、発明者の実測によると、全工程に掛かった動作時間は133秒であった。また、第1ストッカ11の製品パレット4b交換と、第2ストッカの素材パレット4a交換とはそれぞれ独立して稼動できるが、この独立したそれぞれの工程とその時間は、第1ストッカ11の製品パレット4b交換の場合が(c)〜(g)の工程の合計で96秒、第2ストッカ21の素材パレット4a交換の場合が(b’)〜(g’)の工程の合計で101秒掛かっていた。よって従来のようにストッカを1棟とした場合には、この独立稼動している工程部分の時間が加算されるから、少なくとも229秒はかかると言える。
従って、上記の実施例からも類推されるように、本発明のパレット交換時間は従来のストッカ1棟の場合に比べて半分程度に大幅短縮されており、大幅な機械稼働率のアップと、顕著な生産性の向上が期待できる。
【0060】
また、本発明においては、図3の(a)、(h)工程に見られるように、製品パレット4bを、パレット収納手段5により素材・製品搬入出装置2の所定の水平位置まで差込んで、加工完了し搬出されてくる製品3bの受取りの待機をしておき、加工が完了してアンローディング手段32により板材加工機1から搬出されてきた製品3b(1枚)を、パレット収納手段5に載置した製品パレット4b上に直接積載している。よって、素材・製品搬入出装置2から製品パレット4bへ製品3bを受け渡す動作は、従来の台車を介しての受け渡しや、前述の特許文献1に開示された素材テーブル139による受渡しなどとは異なり、パレット昇降装置12,22のパレット収納手段5のみにより直接行っており、これら一連の受渡し動作は、極めてシンプルで短時間に行え、生産性効率が高い。
【0061】
なお、本発明の前述の実施形態においては、第1ストッカ11の第1パレット収納棚13が製品パレット4bのみを収納する例で記載したが、本発明はこの構成に限定されるものではなく、第1ストッカ11に素材パレット4aを収納してもよいのは論を待たない。
【0062】
以上説明したように、本発明により以下のような効果を奏する。
本発明の板材の搬入出装置は、1棟のストッカとこれに付属する1つの昇降装置よりなる従来構成に対して、もう1棟のストッカを、従来空スペースとなっていた前記素材・製品搬入出装置の上方に追加して設けたので、従来の機械設置面積に対して設置面積を増やすことなく、パレットのストック段数を格段に多くできる。
【0063】
また、このパレットを多く収納できることから、板材素材および加工完了後の板材製品を多くストックでき、従来ネックとされていた板材加工機の夜間無人連続運転は勿論、連休でも無人運転が可能となる。
またさらに、ストッカとパレット昇降装置とを2台それぞれ個別に設けたので、素材パレット、製品パレットそれぞれの出し入れが2箇所となり、それぞれのパレット交換動作が、独立して同時にも行えるため、パレット交換時間は大幅に短縮(従来のおよそ半分)され、機械稼働率が上がり、顕著な生産性の向上が期待できる。
【0064】
本発明の板材の搬入出装置は、第1パレット昇降装置の最下部位置と、第2パレット昇降装置の最下部位置との2個所にそれぞれ第1パレット搬入出装置と、第2パレット搬入出装置とを設けたので、フォークリフトなどによるパレットの搬入出作業が、2個所でそれぞれ独立して行え、パレットの搬入出作業の能率が上がる。
また従来、ただ単に待機場所となっていた本発明での第1パレット昇降装置の下方位置を、上記の外部からのパレット搬入出位置としたので、このための新たな設置面積を必要とせず、省スペース、省設備コストとなる。
【0065】
近年、製品種が多くなり製品パレットを素材パレットより多く必要とするケースが多くなる傾向にあるが、本発明に係るパレット収納棚の段数の少ない方の第1ストッカが製品パレットのみを収納する構成とした場合、第2ストッカが、製品パレットと素材パレットとの両方を収納すれば、本装置全体として製品パレットの方を多く収納できるから、製品パレットと素材パレットとのバランスが良くなり、システムの運用効率が良くなり、生産性向上に寄与できる。
【0066】
本発明の板材の搬入出装置では、素材・製品搬入出装置の上方に設けられ、上下方向にパレットの収納棚を複数有したストッカの、所定のパレット収納棚から、パレット収納手段によりパレットの出し入れを行い、これを台車またはその他の受渡し手段(例えば前述の特許文献1に開示された素材テーブル139など)などを介さずに直接、パレット昇降装置により昇降させて、パレット収納手段により素材・製品搬入出装置へ受け渡しているので、このストッカでのパレット交換作業時間が極めて速い。
またこの場合、パレットをパレット昇降装置の下方における前記素材・製品搬入出装置の搬入位置で、パレット収納手段上に待機させておくことにより、来るべき次の、製品の受け入れまたは素材の受渡し動作に即時対応できるので、これらの動作効率が極めて良く、生産効率を上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るストッカを有する板材の搬入出装置の全体図である。
【図2】本発明に係る素材・製品搬入出装置の側面図である。
【図3】本発明に係る素材パレットおよび製品パレットの交換動作を示すである。
【図4】従来技術であるストッカを有する板材の搬入出装置の一例を示す図である。
【符号の説明】
1…板材加工機、2…素材・製品搬入出装置、3…板材、3a…素材、3b…製品、4…パレット、4a…素材パレット、4b…製品パレット、5…パレット収納手段、6…台車、11…第1ストッカ、12…第1パレット昇降装置、13…第1パレット収納棚、14…第1パレット搬入出装置、21…第2ストッカ、22…第2パレット昇降装置、23…第2パレット収納棚、24…第2パレット搬入出装置、31…ローディング手段、32…アンローディング手段、33…ブラシコンベヤ、34…リフタ、35…バキューム把持手段、36…グリッパ、37…ブラシ面。
Claims (5)
- ストッカを有する板材の搬入出装置において、
板材加工機(1)に対し素材(3a)の搬入および製品(3b)の搬出を行う素材・製品搬入出装置(2)と、
前記素材・製品搬入出装置(2)の上方に、素材(3a)または製品(3b)のパレット(4)を収納する第1パレット収納棚(13)を上下方向に複数設けた第1ストッカ(11)と、
前記第1ストッカ(11)の第1パレット収納棚(13)へパレット(4)の収納および引出を行うと共に、前記素材・製品搬入出装置(2)および各前記第1パレット収納棚(13)間で前記パレット(4)の昇降を行い、前記パレット(4)の収納および引出の方向が、前記素材・製品搬入出装置(2)における板材加工機(1)への素材・製品の搬入出方向に対して直角方向になるように前記第1ストッカ(11)に設けられた第1パレット昇降装置(12)と、
上下方向に複数設けた第2パレット収納棚(23)を有し、かつ該第2パレット収納棚(23)へのパレット(4)の収納および引出の方向が前記第1ストッカ(11)と同一となるよう前記第1ストッカ(11)に隣接して設けられた第2ストッカ(21)と、
第2ストッカ(21)の下方位置から、前記素材・製品搬入出装置(2)における板材(3)の受取り、受渡し位置に至る間で、前記第2ストッカ(21)のパレット(4)の収納および引出の方向と同一方向に移動自在に設けられ、パレット(4)の積載部を該移動方向に2個所有する台車(6)と、
前記第1ストッカ(11)および前記第2ストッカ(21)を挟んで、前記第1パレット昇降装置(12)に対向した位置に設けられ、前記第2ストッカ(21)の第2パレット収納棚(23)へのパレット(4)の収納および引出を前記第1パレット昇降装置(12)と同一方向に行うと共に、前記台車(6)および各前記第2パレット収納棚(23)間で前記パレット(4)の昇降を行う第2パレット昇降装置(22)とを設けた
ことを特徴とするストッカを有する板材の搬入出装置。 - 前記第1パレット昇降装置(12)の下方位置、および前記第2パレット昇降装置(22)の下方位置に、それぞれ外部と前記第1ストッカ(11)および前記第2ストッカ(21)との間でパレット(4)の搬入出を行うための第1パレット搬入出装置(14)と第2パレット搬入出装置(24)とを設けた
ことを特徴とする前記請求項1記載のストッカを有する板材の搬入出装置。 - 前記第1ストッカ(11)の第1パレット収納棚(13)には、前記製品パレット(4b)のみを収納することを特徴とする請求項1または請求項2記載のストッカを有する板材の搬入出装置。
- ストッカを有する板材の搬入出装置の板材搬入出方法において、
板材加工機(1)に対して素材・製品搬入出装置(2)を介して、それぞれ板材(3)の素材(3a)の搬入、および加工を完了した板材(3)の製品(3b)の搬出をするに際し、前記素材・製品搬入出装置(2)の上方に設けられ、上下方向に素材パレット(4a)および製品パレット(4b)などのパレット(4)の収納部を複数有したストッカの、所定のパレット収納棚から、パレット収納手段(5)により所定のパレット(4)の引出しを行った後、
これを前記素材・製品搬入出装置(2)の搬入出位置までパレット昇降装置により下降させ、
続いて、受渡し位置まで前記パレット収納手段(5)によりこのパレット(4)を差込み、この状態で直接該パレット(4)と前記素材・製品搬入出装置(2)との間で、素材(3a)の送り込み、または製品(3b)の受け取りを行い、
その後、このパレット(4)を前記受渡し位置から前記パレット収納手段(5)により引出し、パレット昇降装置により上昇させ、所定のパレット収納棚へ前記パレット収納手段(5)により収納する
ことを特徴とするストッカを有する板材の搬入出装置の板材搬入出方法。 - 前記板材加工機(1)の加工中に、次に板材製品(3b)を受け取るための前記製品パレット(4b)、または次に板材素材(3a)を供給するための前記素材パレット(4a)を、前記素材・製品搬入出装置(2)の搬入出位置で前記パレット収納手段(5)上に待機させておく
ことを特徴とする請求項4記載のストッカを有する板材の搬入出装置の板材搬入出方法。
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- 2003-02-07 JP JP2003030335A patent/JP2004237334A/ja active Pending
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