JP2004234825A - 磁気記録テープ用ポリエステルフィルム及び磁気記録テープ - Google Patents
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Abstract
【課題】 コンピューターのハードディスクに記録されているデータのバックアップ用に使用されるリニアー記録用磁気テープとして、より超高密度での記録が可能である蒸着型磁気テープを提供する。さらに、それを製造可能とするベースフィルムとしてのポリエステルフィルムを提供する。
【解決手段】 磁気記録信号がテープ長手方向に対してリニアーにデジタル記録される磁気記録テープ用のベースフィルムであって、ポリエステルフィルムの一方の片側表面に微細粒子と有機化合物を含有する被膜が形成され、被膜側表面の高さ120nm以上の表面傷個数が10個/100cm2 以下であり、フィルム長手方向のヤング率が6000MPa以上であり、かつ、フィルム長手方向と幅方向の屈折率の差(Δn)が30×10-3以上である磁気記録テープ用ポリエステルフィルムである。
【選択図】 なし
【解決手段】 磁気記録信号がテープ長手方向に対してリニアーにデジタル記録される磁気記録テープ用のベースフィルムであって、ポリエステルフィルムの一方の片側表面に微細粒子と有機化合物を含有する被膜が形成され、被膜側表面の高さ120nm以上の表面傷個数が10個/100cm2 以下であり、フィルム長手方向のヤング率が6000MPa以上であり、かつ、フィルム長手方向と幅方向の屈折率の差(Δn)が30×10-3以上である磁気記録テープ用ポリエステルフィルムである。
【選択図】 なし
Description
本発明は、磁気記録テープ、特に、デジタルリニアーテープ(DLT)、リニアーテープオープン(LTO)テープ、QICデータストレージテープ用等の、固定ヘッドによりテープ長手方向に磁気記録信号がリニアーにデジタル記録される磁気記録テープを、より高記録密度化するために好適な磁気記録テープ用ポリエステルフィルムならびに磁気テープに関する。
現在、コンピューターのハードディスクに記録されているデータのバックアップ用途には、固定ヘッドによりテープ長手方向に磁気記録信号がリニアーにデジタル記録される磁気記録テープ(以下、リニアー記録用磁気テープという)が使われている。そのリニアー記録用磁気テープとしては、1/2インチ幅の磁気テープであるDLTテープ、LTOテープがサーバー用コンピューターに、また、1/4インチ幅の磁気テープであるQICデータカートリッジテープがパーソナルコンピューター用に多く利用されている。
1/2インチ幅のDLTテープ、LTOテープのベースフィルムには、5〜6μm厚みで、長手方向に強度の高いポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムやポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム等のポリエステルフィルムが用いられ、そのフィルム表面に針状純鉄等の磁性体が塗布されてリニアー記録用磁気テープが製造されている(例えば、特許文献1、2参照)。また、QICデータカートリッジテープのベースフィルムには、4〜5μm厚みで、長手方向に強度の高いポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムやポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム等のポリエステルフィルムが用いられ、そのフィルム表面に磁性体が塗布されてリニアー記録用磁気テープが製造されている(例えば、特許文献2参照)。
さらにまた、これら磁気テープの記録容量を更に増すために、ポリエステルフィルムの厚さを薄くし、少なくとも片面に補強用の金属薄膜を設けることによりベースフィルムの厚さを薄くし、磁気テープの厚さを薄くし、1巻あたりの磁気テープ長さを増すことが提案されている(例えば、特許文献3参照)。
ところで、近年は、ハードディスクの記録容量が非常に速い速度で増大してきているので、これらハードディスクのバックアップに用いる磁気テープの記録容量も更なる増大が望まれている。そのためには、Co等の金属磁性薄膜を真空蒸着により設けた蒸着テープ型の磁気テープにして、大幅な記録波長の減少やトラック幅の減少を図ることが有効と考えられる。
しかしながら、特許文献1、2、3等に記載されている従来のリニアー記録用磁気テープのためのベースフィルムは、塗布型磁性層を形成するために適したフィルム表面突起形状となっているので、そのベースフィルム表面にCo等の金属磁性薄膜を真空蒸着により設けて蒸着型の磁気テープとしても、ベースフィルムの表面突起形状がそのまま磁気テープの磁性層表面形状となって現れ磁気テープの表面粗さが粗くなり、電磁変換特性が大幅に不良となりコンピュータデータの記録は全く不可能なものになる。
また、蒸着テープを用いて1995年に実用化された民生用デジタルビデオテープ、デジタルビデオカセット(DVC)テープは、蒸着型の磁気テープではあるがヘリカルスキャン磁気記録用テープであるので、そのテープ幅を1/2インチ幅又は1/4インチ幅にしてDLTテープ、LTOテープ、QICテープを作製した場合、リニアー磁気記録は可能であるものの、リニアー記録用磁気テープドライブ内の走行時に種々のトラブルが生じ、コンピュータデータの記録は実際上不可能であることが判った。そのトラブルとしては、例えば、リニアー記録用磁気テープドライブ内をテープが走行する時にかかる非常に高い引き取り張力により、走行中の磁気テープが伸びてしまい、金属磁性薄膜がベースフィルムから剥離してしまうということがある。さらに、磁気テープの走行速度が大であるので、走行位置を規制する走行ガイドとテープエッジが高速で接触し、エッジから削れ粉が発生し、電磁変換特性が大幅に不良となるというトラブルがある。
これらトラブルは、そのDVCテープ用のベースフィルムとして、ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、ポリマーブレンド体(水溶性ポリエステル共重合体を含有する)と粒径50〜500オングストロームの微細粒子を主体とした不連続皮膜を密着させ、その微細粒子により不連続皮膜上に微細突起を形成させたポリエステルフィルム(例えば特許文献4参照)等が用いられ、そのベースフィルムから作製した蒸着テープの長手方向の機械強度が弱く、磁気テープのポリエステルフィルムエッジの耐削れ性が低いことによるものと考えられる。
本発明の目的は、コンピューターのハードディスクに記録されているデータのバックアップ用に使用されるリニアー記録用磁気テープとして、より超高密度での記録が可能である蒸着型磁気テープを提供すること、及び、それを製造可能とするベースフィルムとしてのポリエステルフィルムを提供することである。
かかる目的を達成するための本発明は以下の通りである。すなわち、
1. 磁気記録信号がテープ長手方向に対してリニアーにデジタル記録される磁気記録テープ用のベースフィルムであって、ポリエステルフィルムの一方の片側表面に微細粒子と有機化合物を含有する被膜が形成され、被膜側表面の高さ120nm以上の表面傷個数が10個/100cm2 以下であり、フィルム長手方向のヤング率が6000MPa以上であり、かつ、フィルム長手方向と幅方向の屈折率の差(Δn)が30×10-3以上である磁気記録テープ用ポリエステルフィルム。
2. 微細粒子の粒径が5〜100nmである上記1記載の磁気記録テープ用ポリエステルフィルム。
3. 被膜側表面における微細表面突起の個数が300万〜9000万個/mm2 である上記1又は2に記載の磁気記録テープ用ポリエステルフィルム。
4. 微細粒子が有機化合物系微細粒子である上記1〜3のいずれかに記載の磁気記録テープ用ポリエステルフィルム。
5. ポリエステルがポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレン−2、6−ナフタレートである上記1から4のいずれかに記載の磁気記録テープ用ポリエステルフィルム。
6. 上記1〜5のいずれかに記載の磁気記録テープ用ポリエステルフィルムの被膜面上に強磁性金属薄膜層を設けてなる磁気記録テープ。
7. 強磁性金属薄膜層の厚みが20〜300nmである上記6に記載の磁気記録テープ。
とするものである。
1. 磁気記録信号がテープ長手方向に対してリニアーにデジタル記録される磁気記録テープ用のベースフィルムであって、ポリエステルフィルムの一方の片側表面に微細粒子と有機化合物を含有する被膜が形成され、被膜側表面の高さ120nm以上の表面傷個数が10個/100cm2 以下であり、フィルム長手方向のヤング率が6000MPa以上であり、かつ、フィルム長手方向と幅方向の屈折率の差(Δn)が30×10-3以上である磁気記録テープ用ポリエステルフィルム。
2. 微細粒子の粒径が5〜100nmである上記1記載の磁気記録テープ用ポリエステルフィルム。
3. 被膜側表面における微細表面突起の個数が300万〜9000万個/mm2 である上記1又は2に記載の磁気記録テープ用ポリエステルフィルム。
4. 微細粒子が有機化合物系微細粒子である上記1〜3のいずれかに記載の磁気記録テープ用ポリエステルフィルム。
5. ポリエステルがポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレン−2、6−ナフタレートである上記1から4のいずれかに記載の磁気記録テープ用ポリエステルフィルム。
6. 上記1〜5のいずれかに記載の磁気記録テープ用ポリエステルフィルムの被膜面上に強磁性金属薄膜層を設けてなる磁気記録テープ。
7. 強磁性金属薄膜層の厚みが20〜300nmである上記6に記載の磁気記録テープ。
とするものである。
本発明によると、エラーレートが低く、リニアー記録方式で大容量の記録が可能な蒸着型磁気テープを製造できる磁気テープ用ポリエステルフィルムを与えることができる。そして、リニアー記録用大容量蒸着型磁気テープを製造することが可能となるので、コンピューターのハードディスクに記録されているデータのバックアップ用のリニアー記録用磁気テープを、より大容量化することが可能となる。
このように、本発明によると、リニアー記録用磁気テープにおける磁性層を、蒸着により製造することができるようになるので、記録波長、トラック幅を狭化しても出力が確保できる極めて大容量のリニアー記録の磁気テープとすることも可能になる。
本発明のポリエステルフィルムにおけるポリエステルは、分子配向により高強度フィルムとなるポリエステルであればよいが、なかでも、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレートが好ましい。即ち、その構成成分の80%以上がエチレンテレフタレート又はエチレンナフタレートであるポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレートが好ましい。エチレンテレフタレート、エチレンナフタレート以外のポリエステル共重合体成分としては、例えばジエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコール、p−キシリレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどのジオール成分、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸などのジカルボン酸成分、トリメリット酸、ピロメリット酸などの多官能ジカルボン酸成分、p−オキシエトキシ安息香酸などが挙げられる。
さらに、上記のポリエステルは、他にポリエステルと非反応性のスルホン酸のアルカリ金属塩誘導体、該ポリエステルに実質的に不溶なポリアルキレングリコールなどの少なくとも一つを5重量%を越えない程度に混合してもよい。
本発明において、ポリエステルフィルムの一方の片側表面には、微細粒子と有機化合物を含有する被膜が形成されており、その被膜側表面Aにおける高さ120nm以上の表面傷個数が10個/100cm2 以下、より好ましくは5個/100cm2 以下である。高さ120nm以上の表面傷個数が10個/100cm2 を越えると、本発明のポリエステルフィルムの被膜側表面A上に真空蒸着により形成される強磁性金属薄膜層の表面に、高さ120nm以上の傷状欠陥が形成され、その傷状欠陥部では磁気記録が困難となるので、その傷状欠陥部による磁気記録読みとりエラーが増加し、磁気テープの出力特性が不良となる。
本発明のポリエステルフィルムの長手方向のヤング率は6000MPa以上、より好ましくは6500MPa以上である。ヤング率が6000MPaを下回ると、リニアー記録用磁気テープドライブ内の走行時の引取張力が0.5Nを超える時に磁気テープが数%伸びてしまい、そのため強磁性金属薄膜層とベースフィルムが剥離してしまい磁気記録が不可能になる。そのヤング率は高いほど好ましいが、フィルム製造時におけるフィルム破断頻度が過度とならずに工業的に製造できるという点からして、実質上の上限は12000MPa程度である。
本発明のポリエステルフィルムの長手方向と幅方向の屈折率の差(Δn)即ち、長手方向屈折率より幅方向屈折率を引いた値は、30×10-3以上、より好ましくは35×10-3以上である。その屈折率差が小さ過ぎる場合には、リニアー記録用磁気テープドライブ内でのテープ走行時における引取速度が1m/sを超えた時に、磁気テープのエッジが走行規制ガイドと高速摩擦することによりそのベースフィルムのエッジ部分が削り取られ、削れ屑が磁気テープドライブのヘッドのギャップ内に詰まり、磁気記録が不可能になる。フィルム内でポリエステル分子が長手方向に配向するほど、走行規制ガイドとの走行がなめらかになりエッジの耐削れ性が向上するが、Δnを高めるためにはフィルム製造時の長手方向配向を上昇させなければならず、フィルム製造時におけるフィルム破断頻度が過度とならずに工業的に製造できるという点からして、実質上のΔnの上限は40×10-3程度である。
被膜中に含有させる微細粒子の粒径は5〜100nmであることが好ましい。微細粒子による被膜上の微細表面突起の個数は300万〜9000万個/mm2 であることが好ましい。粒径が5nm未満で、微細表面突起の個数が300万個/mm2 未満であると、磁気テープの強磁性金属薄膜層が平滑となりすぎて、磁気テープの磁気ヘッドとの走行耐久性が低下するので好ましくない。粒径が100nmを超え、微細表面突起の個数が9000万個/mm2 を超えると、磁気テープの磁性層表面が粗れすぎて磁気テープのドロップアウトが増加しがちとなるので好ましくない。
本発明の磁気記録テープ用ポリエステルフィルムの表面における微細表面突起は、微細粒子を有機化合物に含有させた被膜層をポリエステルフィルム表面に形成させることにより設けられる。その微細粒子の種類としては、ポリアクリル酸、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアクリル酸エステル、ポリメチルメタクリレート、ポリエポキシ樹脂、ポリ酢酸ビニル、アクリル−スチレン共重合体、アクリル系共重合体、各種変成アクリル系樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、各種変成スチレンーブタジエン共重合体等の有機高分子からなる有機化合物粒子、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム等の無機粒子を核として、有機高分子で被覆した粒子等が使用できるが、これらに限定されない。有機高分子化合物としては、末端基がエポキシ、アミン、カルボン酸、水酸基等で変成された自己架橋性のものが好ましい。なお微細粒子としてはシリカ、アルミナ等の無機粒子も用い得るが、上記した有機化合物系粒子の方が、発現する表面突起の径に比べて突起高さが低くなりがちであるので、より好ましい。
被膜層の構成成分として使用される有機化合物としては、ポリビニルアルコール、トラガントゴム、カゼイン、ゼラチン、セルロース誘導体、水溶性ポリエステル、ポリウレタン、アクリル樹脂、アクリル−ポリエステル樹脂、イソフタル酸エステル樹脂、メタクリル酸エステル樹脂等の有極性高分子これらのブレンド体が使用できるが、これらに限定されない。
本発明のポリエステルフィルムの片側表面B(前記した被膜側表面Aとは反対側の表面である)のRa値は、ポリエステルフィルムを製膜した後、ポリエステルフィルムを所定の幅にスリットする際、巻姿の良い製品を採取しやすくし、ポリエステルフィルムの被膜側表面A上に強磁性薄膜を設けた後にロール状の巻取りにより片側表面Bの粗さが被膜側表面A側に転写されて強磁性薄膜層にうねり状の変形が起きることを最小限に抑えるために、5〜40nm、より好ましくは8〜30nmが望ましい。
本発明のポリエステルフィルムの片側表面B側には、シリコーン等の潤滑剤が含まれたより粗い被覆層が設けられるか、より大きな微細粒子を含有するポリエステルフィルム層が積層されて形成されたもの、あるいは更にその上に上記粗い被覆層が設けられたものが好ましく用いられるが、特にこれらに限定されるものではない。なおここで用いられる微細粒子としては炭酸カルシウム、シリカ、アルミナ、ポリスチレン球、ポリシロキサン球、ポリジメチルシロキサン球等が例示される。この微細粒子としては、平均粒子径が好ましくは100〜1000nm、より好ましくは150〜900nmのものが用いられ、その添加量としては好ましくは0.05〜1.0重量%、より好ましくは0.08〜0.8重量%が望ましい。
本発明のポリエステルフィルムはフィルム厚さ10μm未満が好ましく、さらに好ましくは厚さ3.5〜9.0μmが望ましい。
本発明のポリエステルフィルムをベースフィルムに用いて磁気記録テープを製造するためには、被膜側表面A上に強磁性金属薄膜層が設けられるが、さらに、表面B上に、固体微粒子および結合剤からなり必要に応じて各種添加剤を加えた溶液を塗布することにより形成されるバックコート層を設けることが好ましく、その固体微粒子、結合剤、添加剤は公知のものを使用でき、特に限定されない。バックコート層の厚さは0.3〜1.5μm程度が好ましい。
次に本発明の磁気記録テープ用ポリエステルフィルムの製法の一例を説明する。
本発明のポリエステルフィルムは、そのA面側(被膜が形成される側)の原料として含有粒子を可能な限り除いたポリエステルを用い、溶融、成形、二軸延伸、熱固定からなる通常のプラスチックフィルム製造工程に、後述する被膜形成を加え、さらに、後述する延伸条件をとることにより製造される。
その延伸工程では90〜140℃で、縦、横方向に、それぞれ、4.5〜7.0倍、3.5〜4.0倍に延伸され、190〜220℃の温度で熱固定される。縦方向の延伸、それと直角の横方向の延伸との後に、再縦延伸を行う場合には、最初の縦延伸倍率(MS1)と再縦延伸倍率(MS2)との積(MS1×MS2)を4.5〜7.0倍にすることが好ましい。また、長手方向のヤング率を6000MPa以上とするには縦方向の全延伸倍率を4.5倍以上にすることが好ましい。Δnを30×10-3以上とするには縦延伸倍率を横延伸倍率より1.0倍以上高くすることが望ましい。
被膜側表面における、高さ120nm以上の表面傷個数を10個/100cm2以下に収めるためには、次の方法が好ましい。
縦方向延伸の後に横方向延伸を行い、さらに再縦延伸を行う逐次2軸延伸法の場合には、延伸ロール表面に存在する0.3μmを超える高さの傷の個数を、縦延伸倍率(MS1×MS2)と横延伸倍率(TS)との積(MS1×MS2×TS=MTS)に対し、(10/MTS)個/100cm2 以下に抑えることが好ましい。また、再縦延伸の時に表面傷が入りやすいために、より表面傷を減少させるためには、延伸ロールを使わずに縦延伸と横延伸を同時に行う同時2軸延伸を用い、この同時2軸延伸時に所定の全延伸を行うことが好ましい。さらにまた、再縦延伸を延伸ロール方式で行う場合、表面傷個数の低減のためには、被膜中に含有させる微細粒子として有機化合物系粒子を用いることが好ましく、例えば、有機化合物粒子、あるいは無機粒子を核とし有機高分子で被覆した粒子等を使用すればよい。
また、フィルム片側表面に本発明の被膜を形成させるには下記の操作を行えばよい。
一方向に延伸後の平滑なポリエステルフィルムのA面側に、前記記載の微細粒子を塗液中の有効成分に対し0.5〜15.0重量%、好ましくは1.0〜10.0重量%含む有機化合物からなる塗液を塗布してA面側に被膜層を形成させ、その被膜の表面Aに微細表面突起を形成する。被膜層に使用される有機化合物としてはポリビニルアルコール、トラガントゴム、カゼイン、ゼラチン、セルロース誘導体、水溶性ポリエステル、ポリウレタン、イソフタル酸エステル樹脂、メタクリル酸エステル樹脂等の有極性高分子、これらのブレンド体が使用できるが、これらに限定されない。
被膜表面における微細表面突起の個数を300万〜9000万個/mm2 とするためには、前記塗液中に含有させる微細粒子の種類、平均粒径、添加濃度、固形分塗布濃度を、前記した条件内で調整すればよいが、例えば、微細粒子の含有量を0.005〜6.0重量%、好ましくは0.01〜3.0重量%とすればよい。
なお、共押出し技術の使用により、前記したA面側原料と、積極的により大きな微粒子を含有させたB層用の原料とを用いてA/B積層フィルムを溶融押出しし製膜してもよいし、B層を用いなく、前記A面側と反対の表面B側に滑剤を含む塗液を塗布しB面側に易滑処理をしてもよい。B層を用い、更に滑剤を含む塗液を塗布しB面側の易滑処理をしてもよい。
本発明の磁気記録テープは、本発明のポリエステルフィルムの被膜表面A上に、真空蒸着により強磁性金属薄膜層を設け、そしてテープ状にしたものであり、使用する金属薄膜としては公知のものを使用でき、特に限定されないが、鉄、コバルト、ニッケル、またはそれらの合金の強磁性体からなるものが好ましい。MRヘッド対応とするため、すなわちMRヘッド読み取り出力の飽和を防ぐためには、金属薄膜層の厚さは20〜300nmが好ましい。20nmを下回ると磁気テープからの再生出力信号が弱すぎ、記録信号が読みとり難い。300nmを上回ると再生出力信号が強すぎ、ヘッド読み取り信号強度が飽和してしまい、記録の読み取りが不可能となり好ましくない。
即ち、本発明の磁気記録テープは、本発明のポリエステルフィルムの片側表面上に設けた被膜面上に、Co等からなる強磁性金属薄膜を、真空蒸着により膜厚み20〜300nm程度で形成し、この金属薄膜上に10nm程度の厚みのダイヤモンド状カーボン膜をコーティングし、さらにその上に、潤滑剤を塗布し、他方、片側表面Bに固体微粒子および結合剤からなり必要に応じて各種添加剤を加えた溶液を塗布することによりバックコート層を設け、そして、所定のテープ幅に切断することにより、製造することができる。
本実施例で用いた測定法を下記に示す。
(1)被膜側表面における高さ120nm以上の表面傷個数
光学顕微鏡(観測倍率:100倍)を用いてフィルムの被膜側表面を観察し、傷状に見えるものを観測しマーキングし、マーキングされたその傷の高さを、キーエンス社製のレーザー顕微鏡(表面形状測定顕微鏡 VF−7500)を用いて測り、高さ120nm以上のものをピックアップする。その個数を、観測した面積より100cm2 あたりの個数に換算し、高さ120nm以上の表面傷個数とした。
(1)被膜側表面における高さ120nm以上の表面傷個数
光学顕微鏡(観測倍率:100倍)を用いてフィルムの被膜側表面を観察し、傷状に見えるものを観測しマーキングし、マーキングされたその傷の高さを、キーエンス社製のレーザー顕微鏡(表面形状測定顕微鏡 VF−7500)を用いて測り、高さ120nm以上のものをピックアップする。その個数を、観測した面積より100cm2 あたりの個数に換算し、高さ120nm以上の表面傷個数とした。
磁気テープからの判断は、磁気記録した後に、磁性コロイドを磁気テープ表面に塗布し光学顕微鏡(観測倍率:100倍)により塗布表面観察することにより行う。塗布表面上の磁気記録が抜けた箇所をマーキングし、マーキングされたそれら欠陥の高さをキーエンス社製のレーザー顕微鏡(表面形状測定顕微鏡 VF−7500)を用いて測り、高さ120nm以上のものをピックアップする。その個数を、観測した面積より100cm2 あたりの個数に換算し、高さ120nm以上の表面傷個数とした。
(2)ヤング率
引張試験測定により得られる応力−ひずみ曲線におけるスタート点の立ち上がり勾配からASTM D−882−67に準じてヤング率を求め、MPaで表す。サンプル幅、実効長さは、それぞれ10mm、100mmとした。引張速度は100mm/minとした。
引張試験測定により得られる応力−ひずみ曲線におけるスタート点の立ち上がり勾配からASTM D−882−67に準じてヤング率を求め、MPaで表す。サンプル幅、実効長さは、それぞれ10mm、100mmとした。引張速度は100mm/minとした。
(3)フィルムの長手方向と幅方向の屈折率の差(Δn)
アッベ式屈折率計を用い、光源にはナトリウムのD線を用いて、フィルム長手方向の屈折率(nM)、幅方向の屈折率(nT)を求め、Δn=nM−nT により求めた。
(4)被膜側表面における微細表面突起の個数
フィルムの被膜側表面の微細表面突起の個数は、走査型電子顕微鏡により5万倍の拡大倍率でそのフィルム表面を10視野以上観察し、突起状に見える表面突起が1mm2あたり何個あるかを求めることにより測定した。
アッベ式屈折率計を用い、光源にはナトリウムのD線を用いて、フィルム長手方向の屈折率(nM)、幅方向の屈折率(nT)を求め、Δn=nM−nT により求めた。
(4)被膜側表面における微細表面突起の個数
フィルムの被膜側表面の微細表面突起の個数は、走査型電子顕微鏡により5万倍の拡大倍率でそのフィルム表面を10視野以上観察し、突起状に見える表面突起が1mm2あたり何個あるかを求めることにより測定した。
(5)Ra値
ポリエステルフィルムの表面粗さRa値は、原子間力顕微鏡(走査型プローブ顕微鏡:セイコーインスツルメント社製の卓上型プローブ顕微鏡、Nanopics 1000)を用いて測定した。ただし測定面積は4μm角の範囲とし、得られる表面のプロファイル曲線よりJIS・B0601・Raに相当する算術平均粗さよりRaを求めた。面内方向の拡大倍率は1万〜5万倍、高さ方向の拡大倍率は100万倍程度とした。
ポリエステルフィルムの表面粗さRa値は、原子間力顕微鏡(走査型プローブ顕微鏡:セイコーインスツルメント社製の卓上型プローブ顕微鏡、Nanopics 1000)を用いて測定した。ただし測定面積は4μm角の範囲とし、得られる表面のプロファイル曲線よりJIS・B0601・Raに相当する算術平均粗さよりRaを求めた。面内方向の拡大倍率は1万〜5万倍、高さ方向の拡大倍率は100万倍程度とした。
(6)磁気テープの特性評価
1/2インチ幅の600m長さの磁気テープを組み込んだDLTカートリッジを、市販のDLT磁気テープドライブを用い、ハードディスクより40GBのデータを書き込み、読み込む作業を繰り返して100回実施した。最初の読み込み時のエラーレートと100回走行後の磁気テープエラーレートを求め、データのバックアップ性能を評価した。測定は常温常湿(25℃、60%RH)雰囲気下で行った。
1/2インチ幅の600m長さの磁気テープを組み込んだDLTカートリッジを、市販のDLT磁気テープドライブを用い、ハードディスクより40GBのデータを書き込み、読み込む作業を繰り返して100回実施した。最初の読み込み時のエラーレートと100回走行後の磁気テープエラーレートを求め、データのバックアップ性能を評価した。測定は常温常湿(25℃、60%RH)雰囲気下で行った。
次に実施例に基づき、本発明を説明する。
[実施例1]
実質的に不活性粒子を含有しないポリエチレンテレフタレート原料Aと、同一のポリエチレンテレフタレートと平均粒径300nmのケイ酸アルミニウムを0.20重量%含有させた原料Bとを厚み比5:1の割合で共押出し、冷却ドラムに密着させシート化し、ロール延伸法で110℃で3.2倍に縦延伸した。
実質的に不活性粒子を含有しないポリエチレンテレフタレート原料Aと、同一のポリエチレンテレフタレートと平均粒径300nmのケイ酸アルミニウムを0.20重量%含有させた原料Bとを厚み比5:1の割合で共押出し、冷却ドラムに密着させシート化し、ロール延伸法で110℃で3.2倍に縦延伸した。
縦延伸の後の工程で、片側表面Aの外側に下記組成の水溶液を固形分塗布量が25mg/m2 となるように塗布した。
A面外側への塗布水溶液(全体としてのpH=7.0):
メチルセルロース 0.12 重量%
水溶性ポリエステル(=テレフタル酸70モル%、5−ナトリウムスルホイソフタル酸30モル%の酸成分とエチレングリコールとの1:1の共重合体)
0.40 重量%
アミノ変性シリコーン 0.01 重量%
平均粒径30nmのポリスチレン球(ガラス転移温度:107℃、固形分10重量%、エマルジョン状態 pH7.8) 0.030重量%
メチルセルロース 0.12 重量%
水溶性ポリエステル(=テレフタル酸70モル%、5−ナトリウムスルホイソフタル酸30モル%の酸成分とエチレングリコールとの1:1の共重合体)
0.40 重量%
アミノ変性シリコーン 0.01 重量%
平均粒径30nmのポリスチレン球(ガラス転移温度:107℃、固形分10重量%、エマルジョン状態 pH7.8) 0.030重量%
その後、ステンターにて横方向に110℃で3.5倍に延伸し、その後第2縦延伸ロールにより140℃の温度にフィルムを加熱し、第2縦延伸ロール間の速度差より延伸倍率1.6倍で長手方向に再縦延伸した。そして次に205℃で熱処理し中間スプールに巻き、スリッターで小幅にスリットし、円筒コアーにロール状に巻取り、厚さ8.0μmのポリエステルフィルムを作製した。製膜工程においてフィルムにふれるすべてのロールは、ロール上の表面傷の高さが0.3μm以下であるように管理した。
得られたフィルムの被膜表面A上に、真空蒸着によりコバルト−酸素薄膜を50nmの膜厚で形成した。次にコバルト−酸素薄膜層上に、スパッタリング法によりダイヤモンド状カーボン膜を8nmの厚さで形成させ、フッ素含有脂肪酸エステル系潤滑剤を2nmの厚さで塗布した。続いて表面B上に、カーボンブラック、ポリウレタン、シリコーンからなるバックコート層を500nmの厚さで設け、スリッターにより幅12.65mmにスリットし600mの巻き長さでリールに巻き取り記録容量40GBの磁気テープ(DLTカートリッジテープ)を作製した。
得られたポリエステルフィルム及び磁気テープの特性を表1に示す。なおポリエステルフィルムのB面のRa値は22nmであった。
[実施例2]
実施例1と同様に共押出し、冷却ドラムに密着させシート化し、片側表面Aの外側に、実施例1の塗布水溶液においてポリスチレン球を平均粒径12nmの極微細シリカ 0.016重量%と変更し、pHを8.4に調整した塗布水溶液を、その固形分塗布量が80mg/m2 となるように塗布した後、110℃で縦、横方向に5.4倍、3.5倍の倍率で延伸ロールを用いずにクリップでステンター内で把持し同時に延伸し、205℃で熱処理し、中間スプールに巻き、スリッターで小幅にスリットし、円筒コアーにロール状に巻取り、厚さ6.3μmのポリエステルフィルムを作製した。このポリエステルフィルムより巻き長さ600mのDLTテープを実施例1と同様に作製した。また、この磁気テープの場合、所定のDLTカートリッジ内に長さ760mの磁気テープを巻き込むことができ、記録容量50GBのDLTテープを作製することができた。得られたポリエステルフィルム及び磁気テープの特性を表1に示す。なおポリエステルフィルムのB面のRa値は22nmであった。
実施例1と同様に共押出し、冷却ドラムに密着させシート化し、片側表面Aの外側に、実施例1の塗布水溶液においてポリスチレン球を平均粒径12nmの極微細シリカ 0.016重量%と変更し、pHを8.4に調整した塗布水溶液を、その固形分塗布量が80mg/m2 となるように塗布した後、110℃で縦、横方向に5.4倍、3.5倍の倍率で延伸ロールを用いずにクリップでステンター内で把持し同時に延伸し、205℃で熱処理し、中間スプールに巻き、スリッターで小幅にスリットし、円筒コアーにロール状に巻取り、厚さ6.3μmのポリエステルフィルムを作製した。このポリエステルフィルムより巻き長さ600mのDLTテープを実施例1と同様に作製した。また、この磁気テープの場合、所定のDLTカートリッジ内に長さ760mの磁気テープを巻き込むことができ、記録容量50GBのDLTテープを作製することができた。得られたポリエステルフィルム及び磁気テープの特性を表1に示す。なおポリエステルフィルムのB面のRa値は22nmであった。
[実施例3]
実施例1のベースフィルム製造において、ポリエチレンテレフタレートをポリエチレン−2,6−ナフタレートに変更し、原料B内のケイ酸アルミニウムの含有量を1.1重量%と変更し、縦延伸温度、倍率を135℃で5.0倍と変更し、固形分塗布量を45mg/m2と変更し、横延伸温度、倍率を135℃、4.0倍と変更し、再縦延伸倍率を1.4倍と変更して、その他は実施例1と同様にして、厚さ4.8μmのポリエステルフィルムを作製した。得られたポリエステルフィルムから、巻き長さ600mのDLTテープを実施例1と同様に作製した。また、この磁気テープの場合、所定のDLTカートリッジ内に長さ1000mの磁気テープを巻き込むことができ、記録容量67GBのDLTテープを作製することができた。得られたポリエステルフィルム及び磁気テープの特性を表1に示す。なおポリエステルフィルムのB面のRa値は22nmであった。
実施例1のベースフィルム製造において、ポリエチレンテレフタレートをポリエチレン−2,6−ナフタレートに変更し、原料B内のケイ酸アルミニウムの含有量を1.1重量%と変更し、縦延伸温度、倍率を135℃で5.0倍と変更し、固形分塗布量を45mg/m2と変更し、横延伸温度、倍率を135℃、4.0倍と変更し、再縦延伸倍率を1.4倍と変更して、その他は実施例1と同様にして、厚さ4.8μmのポリエステルフィルムを作製した。得られたポリエステルフィルムから、巻き長さ600mのDLTテープを実施例1と同様に作製した。また、この磁気テープの場合、所定のDLTカートリッジ内に長さ1000mの磁気テープを巻き込むことができ、記録容量67GBのDLTテープを作製することができた。得られたポリエステルフィルム及び磁気テープの特性を表1に示す。なおポリエステルフィルムのB面のRa値は22nmであった。
[実施例4]
実施例2のベースフィルム製造において、塗布水溶液中の極微細シリカの粒径を4nmと変更した。その他は実施例2と同様にして、厚さ6.3μmのポリエステルフィルムを得、幅12.65mmのDLTテープを作製した。得られたポリエステルフィルム及び磁気テープの特性を表1に示す。なおポリエステルフィルムのB面のRa値は20nmであった。
実施例2のベースフィルム製造において、塗布水溶液中の極微細シリカの粒径を4nmと変更した。その他は実施例2と同様にして、厚さ6.3μmのポリエステルフィルムを得、幅12.65mmのDLTテープを作製した。得られたポリエステルフィルム及び磁気テープの特性を表1に示す。なおポリエステルフィルムのB面のRa値は20nmであった。
[実施例5]
実施例1のベースフィルム製造において、塗布水溶液中のポリスチレン球の粒径を100nmと変更した。その他は実施例1と同様にして、厚さ8.0μmのポリエステルフィルムを得、幅12.65mmのDLTテープを作製した。得られたポリエステルフィルム及び磁気テープの特性を表1に示す。なおポリエステルフィルムのB面のRa値は20nmであった。
実施例1のベースフィルム製造において、塗布水溶液中のポリスチレン球の粒径を100nmと変更した。その他は実施例1と同様にして、厚さ8.0μmのポリエステルフィルムを得、幅12.65mmのDLTテープを作製した。得られたポリエステルフィルム及び磁気テープの特性を表1に示す。なおポリエステルフィルムのB面のRa値は20nmであった。
[実施例6]
実施例1のベースフィルム製造において、塗布水溶液の固形分塗布量を6mg/m2と変更した。その他は実施例1と同様にして、厚さ8.0μmのポリエステルフィルムを得、幅12.65mmのDLTテープを作製した。得られたポリエステルフィルム及び磁気テープの特性を表1に示す。なおポリエステルフィルムのB面のRa値は20nmであった。
実施例1のベースフィルム製造において、塗布水溶液の固形分塗布量を6mg/m2と変更した。その他は実施例1と同様にして、厚さ8.0μmのポリエステルフィルムを得、幅12.65mmのDLTテープを作製した。得られたポリエステルフィルム及び磁気テープの特性を表1に示す。なおポリエステルフィルムのB面のRa値は20nmであった。
[実施例7]
実施例1のベースフィルム製造において、塗布水溶液中のポリスチレン球濃度を0.056重量%と変更した。その他は実施例1と同様にして、厚さ8.0μmのポリエステルフィルムを得、幅12.65mmのDLTテープを作製した。得られたポリエステルフィルム及び磁気テープの特性を表1に示す。なおポリエステルフィルムのB面のRa値は20nmであった。
実施例1のベースフィルム製造において、塗布水溶液中のポリスチレン球濃度を0.056重量%と変更した。その他は実施例1と同様にして、厚さ8.0μmのポリエステルフィルムを得、幅12.65mmのDLTテープを作製した。得られたポリエステルフィルム及び磁気テープの特性を表1に示す。なおポリエステルフィルムのB面のRa値は20nmであった。
[実施例8]
実施例1と同様にして製造した厚さ8.0μmのポリエステルフィルムから、磁気テープを製造する際、コバルト−酸素薄膜の膜厚を250nmに変更した。その他は実施例1と同様にして、幅12.65mmのDLTテープを作製した。得られたポリエステルフィルム及び磁気テープの特性を表1に示す。
実施例1と同様にして製造した厚さ8.0μmのポリエステルフィルムから、磁気テープを製造する際、コバルト−酸素薄膜の膜厚を250nmに変更した。その他は実施例1と同様にして、幅12.65mmのDLTテープを作製した。得られたポリエステルフィルム及び磁気テープの特性を表1に示す。
[実施例9]
実施例1と同様にして製造した厚さ8.0μmのポリエステルフィルムから、磁気テープを製造する際、コバルト−酸素薄膜の膜厚を10nmに変更した。その他は実施例1と同様にして、幅12.65mmのDLTテープを作製した。得られたポリエステルフィルム及び磁気テープの特性を表1に示す。
実施例1と同様にして製造した厚さ8.0μmのポリエステルフィルムから、磁気テープを製造する際、コバルト−酸素薄膜の膜厚を10nmに変更した。その他は実施例1と同様にして、幅12.65mmのDLTテープを作製した。得られたポリエステルフィルム及び磁気テープの特性を表1に示す。
[比較例1]
実施例1のベースフィルム製造において、縦延伸時に用いた延伸ロール、再縦延伸時に用いた延伸ロールとして、ロール表面に高さが0.4μm程度の傷が100cm2あたり30個、10個程度入っている延伸ロールを用いて製膜を行った。その他は実施例1と同様にして、厚さ8.0μmのポリエステルフィルムを得、幅12.65mmのDLTテープを作製した。得られたポリエステルフィルム及び磁気テープの特性を表1に示す。なおポリエステルフィルムのB面のRa値は20nmであった。
実施例1のベースフィルム製造において、縦延伸時に用いた延伸ロール、再縦延伸時に用いた延伸ロールとして、ロール表面に高さが0.4μm程度の傷が100cm2あたり30個、10個程度入っている延伸ロールを用いて製膜を行った。その他は実施例1と同様にして、厚さ8.0μmのポリエステルフィルムを得、幅12.65mmのDLTテープを作製した。得られたポリエステルフィルム及び磁気テープの特性を表1に示す。なおポリエステルフィルムのB面のRa値は20nmであった。
[比較例2]
実施例1のベースフィルム製造において、再縦延伸の延伸倍率を1.2倍と変更した。その他は実施例1と同様にして、厚さ8.0μmのポリエステルフィルムを得、幅12.65mmのDLTテープを作製した。得られたポリエステルフィルム及び磁気テープの特性を表1に示す。なおポリエステルフィルムのB面のRa値は20nmであった。
実施例1のベースフィルム製造において、再縦延伸の延伸倍率を1.2倍と変更した。その他は実施例1と同様にして、厚さ8.0μmのポリエステルフィルムを得、幅12.65mmのDLTテープを作製した。得られたポリエステルフィルム及び磁気テープの特性を表1に示す。なおポリエステルフィルムのB面のRa値は20nmであった。
[比較例3]
実施例1のベースフィルム製造において、横延伸時の延伸倍率を3.8倍と変更した。その他は実施例1と同様にして、厚さ8.0μmのポリエステルフィルムを得、幅12.65mmのDLTテープを作製した。得られたポリエステルフィルム及び磁気テープの特性を表1に示す。なおポリエステルフィルムのB面のRa値は20nmであった。
実施例1のベースフィルム製造において、横延伸時の延伸倍率を3.8倍と変更した。その他は実施例1と同様にして、厚さ8.0μmのポリエステルフィルムを得、幅12.65mmのDLTテープを作製した。得られたポリエステルフィルム及び磁気テープの特性を表1に示す。なおポリエステルフィルムのB面のRa値は20nmであった。
表1の特性から明らかな様に、本発明によるポリエステルフィルムを用いて製造されたDLTテープは、DLT磁気テープドライブによってリニアーにデジタル記録しても、エラーレートが低く高品質で書込み及び読込みすることができた。また、厚みの薄いテープでは所定のDLTテープカートリッジ内に、より長い磁気テープを巻き込むことができ、記録容量を増大させることができた。
本発明のポリエステルフィルムは、リニアー記録用磁気テープのベースフィルムのためのフィルムであり、特に、超高密度にデジタル記録されるデータストレージ用途のリニアー記録用磁気テープのベースフィルムとして使用すると優れた結果を得ることができ、好適である。
Claims (7)
- 磁気記録信号がテープ長手方向に対してリニアーにデジタル記録される磁気記録テープ用のベースフィルムであって、ポリエステルフィルムの一方の片側表面に微細粒子と有機化合物を含有する被膜が形成され、被膜側表面の高さ120nm以上の表面傷個数が10個/100cm2 以下であり、フィルム長手方向のヤング率が6000MPa以上であり、かつ、フィルム長手方向と幅方向の屈折率の差(Δn)が30×10-3以上であることを特徴とする磁気記録テープ用ポリエステルフィルム。
- 微細粒子の粒径が5〜100nmであることを特徴とする請求項1記載の磁気記録テープ用ポリエステルフィルム。
- 被膜側表面における微細表面突起の個数が300万〜9000万個/mm2 であることを特徴とする請求項1又は2に記載の磁気記録テープ用ポリエステルフィルム。
- 微細粒子が有機化合物系微細粒子であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の磁気記録テープ用ポリエステルフィルム。
- ポリエステルがポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレン−2、6−ナフタレートであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の磁気記録テープ用ポリエステルフィルム。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の磁気記録テープ用ポリエステルフィルムの被膜面上に強磁性金属薄膜層を設けてなることを特徴とする磁気記録テープ。
- 強磁性金属薄膜層の厚みが20〜300nmであることを特徴とする請求項6に記載の磁気記録テープ。
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JP2004002816A JP2004234825A (ja) | 2003-01-10 | 2004-01-08 | 磁気記録テープ用ポリエステルフィルム及び磁気記録テープ |
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JP2013103361A (ja) * | 2011-11-11 | 2013-05-30 | Toray Ind Inc | 二軸配向ポリエステルフィルムおよび磁気記録媒体 |
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- 2004-01-08 JP JP2004002816A patent/JP2004234825A/ja active Pending
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