JP2004232237A - 木目模様を有する無機質板と、その製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】無機質板1は、基板2の表面2aに、基板の長手方向に沿って不均一な長さを有する多数の略平行な微細溝部6を刻設することにより微細凹凸部5を形成してあり、微細凹凸部5の上面に木目模様7が付加されている。微細凹凸部5は、基板2の表面2aにサンディング加工により形成される。微細凹凸部5は、基板2の抄造成型時にマット面に対接する下面側であった表面に形成される。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、壁板等の建築板に使用する無機質板と、その製造方法に係り、特に、木材の道管や表面繊維を表現する微細な凹凸部を有し、木質感を忠実に表現して高級感を有する天然木調の木目模様を有する無機質板と、その製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の化粧板として、間隔を置いて形成される複数の深い凹状溝とこれら凹状溝の間に形成された表面に多数ランダムに形成される小さい起伏の凹凸とを有する台形部とから成る基板の全表面に、上記凹凸が残留する程度の略均一な厚みの不透明着色塗料による下塗り塗装層を設け、そして該下塗り塗装層上に、上記凹状溝にはその溝上辺から中腹に至るまでの斜面のみに次第に厚みが増すように、又上記小さい起伏の凹所面では極薄の或いは上記下塗り塗装面が露出しそしてこの小さい起伏の凹所面には次第に塗膜が厚くなるような、上記下塗り塗装層の色と異なった不透明着色塗料による塗装層を夫々設け、そして上記小さい起伏の凹部上に印刷模様層を最上層として設ける事を特徴とする凹凸部を有する化粧板がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、基材上に、隠蔽ベタ印刷層、絵柄印刷層、透明な合成樹脂層およびツヤ調整層を順に積層し、エンボスを施してなる化粧材がある(例えば、特許文献2参照)。この化粧材は、透明な合成樹脂層とツヤ調整層との間に、第二の絵柄印刷層および第二の透明な合成樹脂層を設けたことを、さらに特徴としている。この化粧材は、透明な合成樹脂層が絵柄印刷層を保護し、絵柄印刷層の汚染や摩耗、スクラッチによる剥離を防止し、全体として表面物性が向上するものである。
【0004】
【特許文献1】
特開昭51−101102号公報(特許請求の範囲、第1図)
【特許文献2】
特開平2−128843号公報(特許請求の範囲、図1)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前者の化粧板は、凹状溝は深さが2乃至5mm程で、この凹状溝を介して存在する断面略台形状の凸状面に深さ1乃至2mm以下の小さい起伏の凹凸が多数錯綜する如く集中的に形成されており、これらの溝、凹凸は予め木質繊維板に形成されている。ここで形成される凹凸は、基板の長手方向に連続するもので不均一な長さを有するものでなく、凹状溝は溝端部を有するものでない。このため、木材特有の道管や表面繊維を表現することができず、高級感を有する天然木調を表現することは不可能であった。
【0006】
また、後者の化粧材は、エンボスにより凹凸が形成された基材を使用しており、この基材上に隠蔽ベタ印刷層および絵柄印刷層を施そうとする際、凹凸が深すぎるものでは印刷用のロールが凹部に届かず印刷特性が悪くなってしまう。また、凹凸を浅くしたものでも、成型後の基板のスプリングバックや押圧時に圧締ムラ等により、基板に厚みムラや板厚のばらつきが生じた場合には、印刷時にロールの基板に付着する際の圧力が異なるので、印刷塗装面に色違いやツヤ違いを生ずる。さらに、型板で化粧材の基材を成型すると、凹凸の境界部に微細なクラックが生じる可能性があり、特に連続生産時に、このような不具合が生じた場合には、その部分が目立ちやすくなり商品の外観を損ねる結果となる。
【0007】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、木材特有の道管や表面繊維と近似した微細凹凸部を有し、高級感のある天然木調の木目模様を有する無機質板を提供することにある。また、前記の道管や表面繊維に近似した微細凹凸部を容易に形成でき、高級感のある天然木調の無機質板を製造できる、木目模様を有する無機質板の製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成すべく、本発明に係る木目模様を有する無機質板は、基板の表面に、その長手方向に沿って不均一な長さを有する多数の微細溝部を刻設することにより微細凹凸部を形成してあり、微細凹凸部の上面に木目模様が付加されていることを特徴とする。特に、微細溝部は、研削等により形成された1mmの間に数本が入るような細かいものが好ましく、不均一な長さを有して端部を有する形状となっている。微細溝部の端部は針のように尖っており、微細溝部の平面形状は針状となっている。
【0009】
前記のごとく構成された本発明の木目模様を有する無機質板は、微細凹凸部を構成する微細溝部が不均一な長さで端部を有しているため、木材に特有の道管模様や、表面繊維と極めて近い形状となり、従来の基板表面の凹凸部が基板の長手方向の全長にわたって連続して形成されているものと比べて、より忠実に木材表面に近似した表面を表現することができ、微細凹凸部と木目模様により高級感のある天然木調を表現することができる。
【0010】
本発明に係る木目模様を有する無機質板の好ましい具体的な態様としては、前記微細溝部は、幅及び深さが0.1〜1mm程度に設定され、前記基板の長手方向に沿って略平行に、1mmの間に数本が形成されることを特徴とする。この構成により、木材に特有の表面の道管や、表面繊維を微細凹凸部で忠実に表現できるため、高級感のある天然木調を表現した木目模様を有する無機質板を形成することができる。
【0011】
また、本発明に係る木目模様を有する無機質板の好ましい具体的な他の態様としては、前記微細凹凸部は、基板の表面にサンディング加工により形成されることを特徴としている。サンディング加工とは、ヤスリ面を有するサンダーベルトやサンダーロールを基板の表面に接触させ、サンダーベルト等と基板とを相対的に移動させて表面を研削して仕上げると共に、微細溝部を刻設して微細凹凸部を形成する加工法である。また、サンディング加工において、表面粗さの異なる2つのサンダーロールを使用すると、より忠実に木材の道管や表面繊維を表現することができる。
【0012】
さらに、本発明に係る木目模様を有する無機質板の好ましい具体的な他の態様としては、前記微細凹凸部は、基板の成型時にマット下面側であった表面に形成されることを特徴としている。ここで、マットとは、撒布又はモールディングされた押圧成型前の原料のことであり、基板とはマットを押圧成型した未硬化の無機質板のことであり、無機質板は湿式製法、乾式製法のいずれの製法でも成型することができる。
【0013】
この構成によれば、抄造等により基板を成型する場合、基板の上面側は比較的比重の小さな繊維物質が多いので平滑度が悪いが、マット面に対接する下面は、比較的粉体物質が多いため比重が大きく平滑となっており、短時間で美麗に微細凹凸部を形成することができる。また、乾式原料を定盤に散布した上から押圧プレスする方式の場合、原料マットはマット下面側の方が散布原料の撒きムラにより平滑度が悪いが、マット面に対接する下面は平滑となっており、同様に短時間で美麗に微細凹凸部を形成することができる。
【0014】
本発明に係る木目模様を有する無機質板の製造方法は、基板の表面に、円周研削面が接触するサンダー装置でサンディング加工して微細凹凸部を形成する工程と、サンディングされた表面に下地塗装する工程と、下地塗装された表面に木目模様を印刷等で付加する工程とを備えることを特徴とする。木目模様は、印刷、塗装、又はインクジェット法等を使用して付加することができる。この製造方法によれば、サンダー装置で基板の表面をサンディング加工して、端部が針状に尖った微細溝部による微細凹凸部を容易に形成でき、木材に特有の道管や表面繊維を忠実に表現することができる。
【0015】
本発明に係る木目模様を有する無機質板の製造方法の他の態様は、マットを押圧成型する工程と、押圧成型された基板成型時にマット下面側であった表面にサンディングする工程と、サンディングされた表面に下地塗装する工程と、下地塗装された表面に木目模様を印刷等で付加する工程とを備えることを特徴とする。この場合も、無機質板の成型は、湿式製法、乾式製法のいずれの製法でも成型することができる。基板をサンディング加工するときは、押圧成型された基板を上下反転して下面側を上面として加工することが好ましい。このように構成された本発明の製造方法では、成型時にマット下面側であった表面は、比較的粉体物質が多く平滑であるため、道管や表面繊維に近似した微細凹凸部を短時間で美麗に形成することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る木目模様を有する無機質板の一実施形態を図面に基づき詳細に説明する。図1は、本実施形態に係る木目模様を有する無機質板を示し、(a)は板目部分の平面図、(b)は柾目部分の平面図、図2(a)は、図1の微細凹凸部を示す平面図、(b)は(a)のA−A線拡大断面図、(c)は微細凹凸部の部分拡大斜視図、図3は、図1(a)の木目模様を示す平面図である。なお、図1、図2(a)の微細溝部は、説明のために間引いた状態で表現している。図1〜3において、建物の壁板等に使用する無機質板1は、例えば縦方向の長さが3m程度で、横方向の幅が45cm程度の長方形状をしており、厚さは10〜25mm程度に設定された基板2から形成されている。
【0017】
基板2はセメントと、パルプやファイバー等の繊維質材料とを混ぜ、必要に応じて硬化剤等を混ぜて抄造により形成されている。すなわち、湿式製法では、繊維質材料とセメント等の水硬性無機質材料と骨材等の増量材と適宜の水を添加したスラリー状の原料混合物を、抄造ベルト上の型枠内に流し込み、スラリーを吸引脱水して基材マットを調整し、吸引脱水しながらプレス成型したあと、成型物を養生硬化させて作製している。また、乾式製法では、木片や木繊維等の木質補強材とセメント等の水硬性無機質材料と骨材等の増量材を主体とする原料混合物を型板上に散布して乾式マットを形成し、マットをプレスしたあと養生硬化させて作製している。
【0018】
無機質板1は、基板2の表面2aに微細凹凸部5が形成されている。この微細凹凸部5は基板2の長手方向に沿ってランダムに刻設された不均一な長さを有する多数の微細溝部6と、基板2の表面2aとにより形成され、例えば1mmの間に数本の微細溝部6が任意の長さで形成されている。したがって、例えば0.1〜1mm程度の太さと深さを有する微細溝部6が数mm〜数cmあるいは連続して数10cmの長さで、1mmの間に数本が略平行に形成されている。このため、各々の微細溝部6は両端に端部6aが形成され、これらの端部は針のように尖っているため微細溝部6は、両端が尖った針状形状となっている。
【0019】
基板2が抄造により形成される場合は、マット面に対接するマット下面側の基板面に微細凹凸部5が形成されることが好ましい。基板2を抄造するとき、下方のマット面側にセメント部分が沈殿して比重が大きくなると共に平滑度が向上するため、サンディング加工による微細凹凸部5の形成が短時間で容易に行える。しかも、内部に混入されているパルプ等の繊維部分がサンディング加工で表面から露出することが防止され、美麗に仕上げることができる。
【0020】
微細凹凸部5が表面に形成された基板2には、例えば肌色の下塗り塗装が施され、その上面に茶色やこげ茶色の木目模様7が印刷等により付加されている。木目模様7を例えばオフセット印刷で付加する場合、微細溝部6は深さが0.1〜1mm程度であるため、微細溝部6の底部にも印刷インクが到達して木目模様7が途切れることがない。木目模様7が付加された基板2の上面にはクリアー塗装が施され、下塗り塗装と木目模様7を保護している。なお、下塗り塗膜及びクリアー塗膜は図示していない。また、下塗り塗装のあとに、中塗り塗装を施してもよい。
【0021】
このようにして製造された本実施形態の無機質板1は、木材に特有の道管や表面繊維を表現する、溝端部を有する不均一な長さの針状の微細溝部6を刻設した微細凹凸部5と、天然木等の年輪模様からなる木目模様7とが効果的にマッチングするため、高級感のある天然木調の仕上がりが得られる。つまり、溝端部6aを有する不均一な長さの針状形状の微細溝部6に付された意匠と、年輪等の木目模様7により、本物の天然木調の意匠が表現でき、従来のシート貼りのプリント化粧板のような平板的な印刷模様とは異なり、光の当たる方向が異なると陰影が生じて立体的でダイナミックな意匠を表現できる。そして、従来のような基板の長手方向に連続して大きく単調な凹凸部と、印刷による木目模様による単調な木質感と異なった、深みと道管部を有する高級な木質感を表現することができる。
【0022】
また、本実施形態の無機質板1は、型板等による浅い凹凸を形成した基板に印刷したものでなく、サンディング加工により多数の微細溝部6を形成したものであり、この微細溝部6と表面2aとからなる微細凹凸部5上に木目模様7を付加したので、無機質板1の厚み精度が良く、また厚み方向の均一性が確保されるので印刷特性に優れた良い仕上がり感を得ることができる。従って、色や艶のムラが発生することがなく、商品の外観を損ねることがなく品質を向上できる。
【0023】
前記の如く構成された本実施形態の木目模様を有する無機質板の製造方法について、図4の工程図を参照して以下に説明する。ステップS1の搬入工程では、無機質板1の材料である基板2を搬入し、製造ラインのベルトコンベア上に、抄造成型時にマット下面側であった面を上にして設置する。ステップS2のサンディング工程では、基板2の表面(マット下面側の表面)2aにサンディング加工で微細凹凸部5を形成する。
【0024】
ここで、サンディング加工を行うサンダー装置について、図5を参照して説明する。図5は製造ラインのベルトコンベア間に設置されたサンダー装置10の概略斜視図である。ベルトコンベアBは無機質板1の材料となる基板2を搬送するものであり、平行状態に並設された第1及び第2のサンダーベルト11,12の円周研削面と、基板2の搬送方向とが直交するようにサンダー装置10が設置されている。
【0025】
このサンダー装置は、基板2の表面2aに微細凹凸部5を形成するものであり、第1のサンダーベルト11は10〜30番程度の表面粗さを有するヤスリ面のベルトが使用され、第2のサンダーベルト12は、これより細かい40〜80番程度の表面粗さを有するヤスリ面のベルトが使用されている。サンダーベルトはベルトコンベアB,Bのローラ間のバックアップローラRの上部に張設され、サンダーベルト11,12と基板2とは面接触でなく、線接触に近い状態となっている。そして、サンダーベルト11,12の回転方向は、サンダーベルトと基板2との接触部分において、基板の移動方向とサンダーベルトの回転方向が互いに逆方向になるように設定されている。
【0026】
サンダーベルト11,12の比較的粗い表面粗さを有する円周研削面を基板2に接触させてサンディング(研削あるいはヤスリかけ)加工することにより、微細溝部6を刻設して形成することができる。サンダーベルトの円周研削面を基板2に強く押付けると、研削用の突起のすべてが基板2に接触して微細溝部6は多数形成され、弱く押付けると研削用の突起の高い部分のみが基板2に接触して微細溝部6は少数が形成されるため、押付け圧力によって微細凹凸部5の間隔を、例えば0.3〜1mm程度の範囲で調整することができる。また、第1のサンダーベルト11で粗い微細凹凸部を形成し、次いで第2のサンダーベルト12で細かい微細凹凸部を形成すると微細凹凸部が単調とならず、太さの異なるランダムな道管に近似させることができ、より忠実な天然木調の表面を表現することができる。
【0027】
このサンディング工程では、基板2を例えば10〜25m/分の速度で移動し、サンダー装置10のサンダーベルト11,12を毎分1500〜2500回転で回転させ、基板2の表面2aにサンダーベルトの多数の突部が接触して研削し、基板2の長手方向に沿って平行な微細溝部6が形成される。サンダーベルト11,12の多数の突部がランダムに配置されているため、微細溝部6もランダムに、任意の長さで形成される。また、サンダーベルトと基板2とが線接触しているため、微細溝部6には尖った針状の端部6aが形成される。
【0028】
第1のサンダーベルト11と第2のサンダーベルト12は異なる表面粗さのヤスリ面となっているため、例えば第1のサンダーベルト11で比較的粗い間隔の微細凹凸部5を形成したあと、第2のサンダーベルト12で細かい間隔の微細凹凸部を重複した状態で形成することができ、単調感を払拭し高級感を有する天然木調の微細凹凸部を表面に形成することができる。なお、第1及び第2のサンダーベルトは同じ回転速度で回転させるものに限らない。異なる回転速度で回転させると、比較的粗い間隔と微細凹凸部と細かい間隔の微細凹凸部の長さが異なり、より単調感を除去することができる。
【0029】
表面2aに微細凹凸部5が形成された基板2は、ステップS3の下塗り塗装工程で基板の表面2aに下塗り塗装が施される。この下塗り塗装工程は、下地の目止めを兼ねるものであり、例えば薄茶色や肌色等のベースとなる淡い色が付着される。このあと、ステップS4のドライヤー工程では、ステップS3の下塗り塗装を乾燥させる。次いで、必要に応じて、ステップS5の中塗り塗装工程があり、これを乾燥させるステップS6のドライヤー工程がある。なお、ステップS5,S6は省略してもよい。
【0030】
微細凹凸部5が形成され、下塗り及び/又は中塗りが施された基板2は、ステップS7,S8の第1及び第2印刷工程で木目模様7が付加される。本例では、2つの印刷工程を有しているため、第1の印刷工程S7で例えばこげ茶色の木目模様を付加し、第2の印刷工程S8で茶色の細かい木目を付加するというように分けて付加することが可能となる。なお、印刷工程は1つだけでもよいことは勿論である。印刷工程はオフセット印刷が好適であるが、これに限られるものでなく、他の印刷法を用いてもよい。また、印刷工程で付加される木目模様は、下塗り塗装工程で塗布された塗膜を一部残して付加すると、木目模様に深みが生じて好ましい。
【0031】
このあと、ステップS9のクリアー塗装工程では、印刷等で付加された木目模様7の上にクリアー塗膜を塗布し、ステップS10のドライヤー工程でクリアー塗膜を乾燥させ、無機質板1が完成する。クリアー塗膜を施して木目模様7を保護することができる。そして、ステップS11の梱包、搬出工程で完成された無機質板1を所定の数量で梱包し、製造ラインから搬出する。
【0032】
本実施形態の無機質板の製造方法によれば、サンディング加工による微細凹凸部5の形成、下塗り塗装、木目模様7の印刷工程、上塗りのクリアー塗装工程等やドライヤー工程の、一連の作業工程で無機質板1を効率良く製造できる。サンダー装置10で微細凹凸部5を形成すれば、微細凹凸部を形成するための型板が不要となるため、固定費を削減することができる。
【0033】
以上、本発明の一実施形態について詳述したが、本発明は、前記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができるものである。例えば、微細凹凸部を構成する針状の微細溝部はサンディング加工により形成する例を示したが、型板に微細溝部を形成する微細突条を突出形成しておき、この型板に基板を押圧し微細凹凸部を転写して形成してもよい。また、サンダー装置のヤスリ面はベルト状に限らず、円柱状でもよい。
【0034】
【発明の効果】
以上の説明から理解できるように、本発明の木目模様を有する無機質板は、木材に特有の道管や、表面繊維と近似した微細凹凸部を有しており、高級感のある天然木調を表現することができる。そして、微細凹凸部は表面に刻設された微細溝部で構成されるため、光の当たる方向が異なると陰影が生じてダイナミックで立体的な意匠を表現することができる。
【0035】
また、本発明の木目模様を有する無機質板の製造方法によれば、木材に特有の道管や表面繊維に近似する微細凹凸部をリアルに形成することができる。さらに、微細凹凸部を短時間で美麗に形成することができる。サンディング加工で微細凹凸部を形成すると型板が不要となり、固定費を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明に係る木目模様を有する無機質板の一実施形態の要部を拡大した板目部分の平面図、(b)は柾目部分の平面図。
【図2】(a)は図1の微細凹凸部を示す平面図、(b)は(a)のA−A線拡大断面図、(c)は微細凹凸部の部分拡大斜視図。
【図3】図1(a)の木目模様を示す平面図。
【図4】本発明に係る無機質板の製造方法を示す工程図。
【図5】微細凹凸部を形成するサンダー装置の概略斜視図。
【符号の説明】
1…無機質板、2…基板、2a…基板の表面(マット下面側の表面)、5…微細凹凸部、6…微細溝部、6a…微細溝部の端部、7…木目模様、10…サンダー装置、11…第1サンダーベルト、12…第2サンダーベルト
Claims (6)
- 基板の表面に、該基板の長手方向に沿って不均一な長さを有する多数の微細溝部を刻設することにより微細凹凸部を形成してあり、前記微細凹凸部の上面に木目模様が付加されていることを特徴とする木目模様を有する無機質板。
- 前記微細溝部は、幅及び深さが0.1〜1mm程度に設定され、前記基板の長手方向に沿って略平行に、1mmの間に数本形成されることを特徴とする請求項1に記載の木目模様を有する無機質板。
- 前記微細凹凸部は、前記基板の表面にサンディング加工により形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の木目模様を有する無機質板。
- 前記微細凹凸部は、前記基板の成型時にマット下面側であった表面に形成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の木目模様を有する無機質板。
- 基板の表面に、円周研削面が接触するサンダー装置でサンディング加工して微細凹凸部を形成する工程と、前記サンディングされた表面に下地塗装する工程と、前記下地塗装された表面に木目模様を印刷等で付加する工程とを備える木目模様を有する無機質板の製造方法。
- マットを押圧成型する工程と、前記押圧成型された基板成型時にマット下面側であった表面にサンディングする工程と、前記サンディングされた表面に下地塗装する工程と、前記下地塗装された表面に木目模様を印刷等で付加する工程とを備える木目模様を有する無機質板の製造方法。
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