JP2019151001A - 窯業系化粧板およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】基板の毛羽立ちを抑えたスジ加工を施した下地下塗り層と木質感を向上させた上塗り層を備え、かつ、優れた不燃性能を有する窯業系化粧板およびその製造方法の提供。【解決手段】窯業系基板の少なくとも片側の表面に、シーラー層、下塗り層、着色層、印刷層および上塗り層をこの順で形成する窯業系化粧板の製造方法であって、前記下塗り層は、下塗り塗料を塗布して硬化させた表面を前記窯業系基板の長手方向に沿って無数のスジがつくよう粗く研磨して形成し、前記上塗り層は、樹脂ビーズおよび合成シリカを含有するクリア塗料をフローコーターで塗布して形成する。【選択図】図1

Description

本発明は、不燃性能を有し、建築物の内装仕上材として有用な、窯業系化粧板およびその製造方法に関する。
従来から、建築物の内装には落ち着きとぬくもりが感じられる空間が求められており、その空間の創出には木目調の材料が好んで使用されている。しかし、単に木材を板状にして木目を生かした仕上塗装を施した内装材では、建築基準法の内装制限を受けるような大型の建築物に必要な不燃性能を確保することが難しく、また、内装仕上材として好まれる柾目模様の大判板材を量産することは、木材資源の点からも困難といえる。そこでこうした市場からは、木質系内装仕上材と同様の外観性を有しながら天然木の無垢材と比べて安価であり、かつ優れた不燃性能を有する生産性の高い化粧板が求められている。
木質感を表現した化粧板の技術としては、突板の表面にパターン状低艶印刷層、表面保護層等を積層して化粧シートとし、これを接着剤層を介して化粧板用基材(基板)に貼着した化粧板(特許文献1)や、紙質層と樹脂フィルム層とを有する積層シート上に意匠層が設けられた化粧シートを金属薄膜層を有する不燃性基材(基板)の表面に接着剤層を介して貼着した後、熱圧成形により表面に凹凸形状を施す不燃化粧板(特許文献2)のように化粧シートを基板に接着するもの、および不燃材、準不燃材の基板の表面に下地加工を施した後、シーラー、下塗り、木目模様の印刷および上塗り塗料を塗装する化粧板(特許文献3)のように基板の表面に直接塗装するもの等が開示されている。
突板を用いて凹凸感を表すパターン印刷や表面保護層を設けた特許文献1の化粧板は、木質感を重視するあまり化粧シートが可燃性物質を多く含んでおり、また、基板との接着のために樹脂を含む接着剤を必要とすることから、基板が不燃性能を有したとしても化粧板全体としての不燃性能を確保することは困難である。また、特許文献2では、有機物総量を制限した化粧シートを用いているが、基板との接着に有機物を含む接着剤を必要とすることから、不燃性能を確保するためには金属薄膜層を有する特殊な不燃性の基板を用いることが必要とされている。これらのように化粧シートを用いた技術では、高い意匠性を得るために複数の層を積層した化粧シートを作る必要があり、さらにこれを接着剤を用いて基板に貼ることになるため、不燃性能の確保が難しく、また、工程も複雑となることから生産効率が悪く、コスト高になるという問題がある。
一方、特許文献3は、石綿板、炭酸マグネシウム板、硅酸カルシウム板等の不燃材、準不燃材を基板とし、その表面に木質風の下地加工を施した後、木目模様の印刷と上塗り塗装を施す技術であり、塗料の塗布量を制御することによって不燃性の確保が容易であり、かつ、下地加工、印刷および塗装は、一連の工程とすることが容易であることから効率的な生産が期待できる。しかしこれは、石綿を使用した不燃性材料が一般的であった頃の技術であり、無石綿化がなされた今日ではそのまま適用することが出来ないものである。
すなわち、現在、窯業系不燃化粧板の主な基板であるけい酸カルシウム板等の繊維強化セメント板は、石綿に代わる補強繊維としてパルプ等の有機繊維を用いているのが一般的であるが、パルプ等を多く含んだ繊維強化セメント板は、表面をベルトサンダーで研磨した場合に石綿使用品よりも毛羽立ちが酷くなる傾向にある。このため、特許文献3のように目の粗いベルトサンダーで研磨した場合には、パルプ等の毛羽が目立つこととなり、木目風の導管溝を模した表面とはなり得ない。また、このパルプ等による毛羽立ちは、その上に塗料を塗っても抑えることが難しいため、木質感を出すのが目的の化粧板にとっては不向きな下地となってしまう。また、単に木目印刷の上に透明な上塗り塗料を塗布した仕上げでは安手な模造板でしかなく、今日求められているような落ち着いたぬくもりのある木質感を得ることはできない。このため、毛羽立ちの克服に加え、木質感の向上を図る必要がある。
特開2012−183834号公報 特開2012−210794号公報 特公昭58−39678号公報
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、基板の毛羽立ちを抑えたスジ加工を施した下塗り層と木質感を向上させた上塗り層を備え、かつ、優れた不燃性能を有する窯業系化粧板およびその製造方法を提供することである。
そこで本発明者は、窯業系化粧板の下塗り層の加工方法および上塗り層のクリア塗料について種々検討してきた結果、下塗り塗料として塗膜硬度の高いUV硬化型の塗料を用いた上、通常は平滑性が求められる下塗り層の表面を目の粗いベルトサンダーで研磨して毛羽立ちを抑えた導管溝を模した表面とし、さらに、上塗り層のクリア塗料にはつや消し効果をもつ非晶質の合成シリカ粒子と、上塗り層表面に表情をもたせる樹脂ビーズを添加することで木質感を向上させることが可能であり、かつ、化粧層に含まれる有機物の量を適正化することにより化粧板としての十分な不燃性能を併せ持つ窯業系化粧板が得られることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、次の〔1〕〜〔3〕を提供するものである。
〔1〕窯業系基板の少なくとも片側の表面に、シーラー層、下塗り層、着色層、印刷層および上塗り層をこの順で形成する窯業系化粧板の製造方法であって、前記下塗り層は、下塗り塗料を塗布して硬化させた表面を前記窯業系基板の長手方向に沿って無数のスジがつくよう粗く研磨して形成し、前記上塗り層は、樹脂ビーズおよび合成シリカを含有するクリア塗料をフローコーターで塗布して形成することを特徴とする窯業系化粧板の製造方法。
〔2〕前記下塗り層形成後の表面粗さが、前記窯業系基板の長手方向に対し平行方向のRaの値が0.5〜4μmかつRzの値が5〜30μmであり、同直交方向のRaの値が5〜15μmかつRzの値が35〜70μmであることを特徴とする〔1〕に記載の窯業系化粧板の製造方法。
〔3〕前記樹脂ビーズとして平均粒径20〜40μmの大ビーズと平均粒径5〜10μmの小ビーズの少なくとも2種類を混合して使用するとともに、前記大ビーズに対する前記小ビーズの割合を質量比で1.1〜1.6倍とし、かつ前記樹脂ビーズを前記クリア塗料の総固形分のうち5〜15質量%含有することを特徴とする、〔1〕または〔2〕のいずれかに記載の窯業系化粧板の製造方法。
本発明の化粧板の製造方法を用いれば、窯業系の基板におけるパルプ等の毛羽立ちが抑えられ、また、上塗り層にビーズを添加することで滑らかで柔らかい落ち着いたぬくもりのある木質感を効果的に表現した窯業系化粧板を製造することが可能である。
本発明に係る窯業系化粧板の構成を示した断面のイメージ図である。 実施例1の表面粗さの測定波形を示した図である。 比較例1の表面粗さの測定波形を示した図である。 参考例1の表面粗さの測定波形を示した図である。 参考例2の表面粗さの測定波形を示した図である。
図1は、本発明に係る化粧板の構成を示した基板の長手方向と直交する断面のイメージ図である。本発明の窯業系化粧板の製造方法は、基板1の表面に含浸シーラーを塗布してシーラー層2を形成する工程、下塗り塗料を塗布したのち研磨して一方向に沿った導管溝を模した表面の下塗り層3を形成する工程、木目柄のベースとなる着色層4を形成する工程、木目柄を印刷して印刷層5を形成する工程、および大小の樹脂ビーズ7および8を含有する上塗り層6を形成する工程を経ることを特徴とする。
本発明は、窯業系化粧板(以下、単に化粧板ともいう)に関するものであり、窯業系の基板の少なくとも一方の面に化粧層を有する。ここで窯業系の基板(以下、単に基板ともいう)としては、建築物の内装材等に使用されている繊維強化セメント板、木質系セメント板、木毛セメント積層板、押し出し成形セメント板、繊維混入石膏板等が挙げられ、JIS A 5430:2013 附属書JAに規定する発熱性1級に該当する不燃性能を有するものを用いる。
これらの基板は、例えばマトリックスを形成するための主原料としてポルトランドセメント等の水硬性セメントを使用し、繊維原料として石綿以外の繊維を使用するとともに、必要に応じてワラストナイトや炭酸カルシウム粉末等の混和材を原料として用い、これらに水を加えて混合したのち板状に成形して養生したものであり、より具体的にはJIS A 5430:2013に規定された繊維強化セメント板等の基板である。特に、マトリックスを形成するための原料として、石灰質原料とけい酸質原料とを用い、養生工程においてオートクレーブ養生を行ってなる繊維強化セメント板の一種である0.8けい酸カルシウム板や1.0けい酸カルシウム板は、柔軟性に優れた基板であり、強度が高く吸水による長さ変化率が小さいので、本発明で用いる基板として好適である。
前記繊維原料としては、例えばパルプ、合成パルプ、ポリプロピレン繊維、レーヨン繊維、アクリル繊維、ビニロン繊維、ナイロン繊維、ポリエステル繊維等の有機繊維、鋼繊維(スチール線繊維)、アモルファス金属繊維等の金属繊維、ガラス繊維、炭素繊維(カーボンファイバー)、ロックウール繊維、ウィスカー等の無機繊維などが挙げられるが、本発明では、前記のオートクレーブ養生を採用した場合であっても、化粧板の補強性および靭性を向上できるという観点から、パルプを使用するのが好ましい。なお、ここでいうパルプとは、木材などの植物原料を機械的または化学的に処理してセルロースを取り出した状態のものであり、いわゆるセルロースパルプを指す。
繊維強化セメント板中、繊維、特にパルプ等の有機繊維の含有比率は、マトリックスによっても異なるが、強度および不燃性の確保の点から、5〜9質量%であることが好ましく、6〜8質量%であるのがさらに好ましい。パルプ等の有機繊維の含有比率が少ないと化粧板の機械的強度が低下し、熱負荷、乾燥、炭酸化や衝撃による割れを発生しやすくなる。逆にパルプ等の有機繊維の含有率が多いと、不燃性を維持することが困難となる。
水硬性セメントとしては、当業界で一般的に用いられているものであればよく、例えばポルトランドセメント等が挙げられる。
必要に応じて用いられる各種混和材としては、当業界で一般的に用いられているものが挙げられ、とくに制限されないが、例えばワラストナイト、マイカ、炭酸カルシウム等の粉末、繊維強化セメント板やせっこうボードの廃材粉末等が挙げられる。なお、オートクレーブ養生を行う場合は、セメント中の石灰との水熱反応硬化によりさらに強度を上げる点から、けい酸質原料、例えば粉末硅石等の結晶質シリカ、フライアッシュ等の非晶質シリカ等を必要に応じて混合して用いるのが好ましい。
本発明において、基板の厚さは、3〜12mmが好ましい。厚さが薄すぎると、耐衝撃性が悪化し、また、施工後に歪により平滑性が損なわれ、特に化粧板として不適となる。逆に厚すぎると、質量が増加し、施工性が低下し、また、コストの上昇にも繋がる。基板の厚さは、4〜8mmであるのがさらに好ましい。また、基板の少なくとも化粧を施す面については、平滑性を確保するためにあらかじめワイドベルトサンダー等で研磨してから使用するのが好ましい。
また本発明において、基板のかさ密度は、0.6〜1.8g/cmが好ましい。かさ密度が小さすぎると、基板表面がポーラスになり、含浸シーラーの吸い込みムラが発生することで、塗装後の外観が悪化する。また、耐凍害性が低下するとともに、剛性、破壊荷重等の機械的物性の低下に繋がる。かさ密度が大きすぎると、質量が増加し、施工性、加工性が低下する。基板のかさ密度は、0.6〜1.2g/cmであるのがさらに好ましい。
なお、本発明において、厚さは、JIS A 5430:2013、9.2.2項b)に従い測定した値であり、かさ密度は、JIS A 5430:2013、9.5項に従い測定した値である。また、総発熱量は、JIS A 5430:2013附属書JAに従い測定した値である。
本発明の化粧板は、基板の少なくとも片側の表面にシーラー層、下塗り層、着色層、印刷層、および上塗り層を、この順で有する。これらの有機塗膜層は、基板の片側の表面(片面)だけでもよく、両面に有していてもよい。
本発明の化粧板は、基板と下塗り層の間、すなわち基板の少なくとも片面には、含浸シーラーによるシーラー層を設ける。シーラー層を設けることにより、基板の表層が強化されるとともに、表面へのアルカリの溶出が防止でき、その上層となる下塗り層との密着性も向上する。
シーラー層は、公知の含浸シーラーを用いて形成させることができ、例えば湿気硬化型ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂等の硬化性樹脂を用い、基板の表面に塗布し硬化させること等により行われる。含浸シーラーは基板への含浸性が良く、高不揮発分であり、かつ、基板中の水分や雰囲気の湿気と反応して三次元架橋し、耐水性能等が良いポリイソシアネートまたはポリイソシアネートとポリオールとの反応生成物である遊離イソシアネート基を有するプレポリマーおよび酢酸ブチルのような溶剤を主成分とする湿気硬化型ウレタン系のものが好適である。また、化粧板としての黄変が問題となる場合には、HDI(ヘキサメチレンジイソシアネート)等の脂肪族イソシアネート、IPDI(イソホロンジイソシアネート)等の脂環族イソシアネート、MDI(メチレンビス(4,1−フェニレン)=ジイソシアネート)等の芳香族イソシアネートを使用することが好ましい。なお、昨今の揮発性有機化合物(VOC)対策の観点から溶剤を含んでいない無溶剤シーラーまたは水系シーラーを使用することや、ケイ酸リチウムあるいはケイ酸ナトリウムなどのケイ酸塩系シーラー等の無機シーラーや、テトラエトキシシランやテトラメトキシシランなどを主成分とするシラン化合物系シーラーも使用できる。
シーラー層の形成は、例えば繊維強化セメント板の表面温度を50〜60℃に加熱し、公知のロールコーター、スプレー等の方法で含浸シーラーを塗布し、次いで硬化することにより行うことができる。含浸シーラーの粘度は、使用する含浸シーラーの種類、塗装方法を勘案して適宜決めることができ、硬化は、例えば加熱乾燥することにより行うことができる。
また、本発明においては、基板の裏面も含浸シーラー処理し補強を行うのが好適である。化粧板の施工方法としては、接着工法が多く用いられており、基板の裏面を補強しておくと、施工性が向上するからである。基板の裏面についても含浸シーラー処理する場合、後述する下塗り層を形成する前に裏面の含浸シーラー処理を行うのが一般的であるが、下塗り層を形成した後に行ってもよい。
本発明においては、含浸シーラーの成分中の有機固形分量が、基板の単位面積(m)当たり3〜50gとなるように設定するのが好ましい。有機固形分量が少なすぎると基板の表層がそれほど強化されない可能性がある。また、その上層となる下塗り層との密着性が低下する可能性もある。有機固形分量が多すぎると、基板の表層に余分な有機固形分が残り、この有機固形分が原因となってシーラー層内での凝集剥離や後工程での発泡、わき等の不良が生じる可能性がある。なお、わきとは発泡において、泡の中にある気体が塗膜を破ってできた微小な穴であり、塗装時の局部的厚膜に起因し、主に乾燥時の急激な昇温により生じる。含浸シーラーの成分中の有機固形分量は、基板の単位面積(m)当たり10〜40gとなるように設定するのがより好ましい。また、基板の裏面に含浸シーラー処理する場合、含浸シーラーの成分中の有機固形分量は、基板の単位面積(m)当たり3〜30gとなるように設定するのが好ましい。
なお、本発明において、有機固形分量は、塗料原液の組成、希釈溶剤の使用量、実塗布量から簡単に算出することができる。
本発明の化粧板は、前記含浸シーラー層の上層に下塗り層を有し、その下塗り層の表面は目の粗い研磨材で、一方向に沿って導管溝を模した細かなスジがついている状態に研磨されていることが重要である。下塗り塗料を硬化してから研磨することにより、基板表面を研磨した場合等に発生する毛羽立ちを抑えることが可能である。これは、基板表面にあるパルプ等の有機繊維の毛羽立ちを下塗り塗料の樹脂で強固に固めることにより、その後の研磨で下塗り塗料の樹脂とともに毛羽が削られるため、研磨後の表面に残らないためと考えられる。また、下塗り層の形成により基板の表面に存在する大小の凹凸部や、空隙部が下塗り塗料により充填され、下塗り層よりも上層に塗布される塗料の吸い込みムラによる光沢・色のばらつき感が抑制される。また、化粧板にピンホールのような不具合が生じる可能性も減じられる。本発明では、下塗り塗料を硬化して塗膜とした後、当該塗膜の表面を研磨する。まず、少なくとも一度、比較的目の細かい研磨材で下塗り層表面の平滑性を整え、最後に目の粗い研磨材で研磨を行うことにより、導管溝を模した表面とする加工を施すことが可能であり、この表面により自然な落ち着いたぬくもりのある木質感を効果的に表現することが可能となる。
下塗り層の膜厚は、10〜120μmであるのが、化粧板の表面平滑性、上塗り層の塗膜との密着性、基板隠蔽性、防水性、基板成分の析出防止性、塗膜ピンホールの防止、塗膜硬化性、表面異物埋没性、膜厚管理の容易性の点で重要である。10μm未満では、その上層および下層の塗膜との密着性が低下する可能性がある。一方120μmを超えると総発熱量が増加し、不燃性の悪化につながる可能性があり、また、極端な低湿度環境で使用された場合には塗膜の乾燥収縮による化粧板の反りが発生しやすくなる。好ましい塗膜は10〜80μmであり、より好ましくは15〜60μmである。
下塗り層を形成するための塗料は、基板隠蔽性、表面平滑性、耐薬品性、塗膜密着性、研磨加工性、塗膜硬度、塗装容易性、クラック防止性の点から、ラジカルオリゴマー系塗料やモノマーラジカル系塗料、例えばエポキシ系アクリレート、ウレタン系アクリレート、エステル系アクリレート、アクリル系アクリレート、シリコン系アクリレート、不飽和ポリエステル系塗料が好ましく、具体的にはエポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、フタル酸ジアリルエステルなどのアリル系不飽和ポリエステル、無水マレイン酸やフマル酸などの不飽和二塩基酸とグリコール類との重縮合によるマレイン酸系不飽和ポリエステル、官能基としてカルボキシル基や水酸基を持つポリエステルモノアクリレート、アクリル酸と2塩基酸と2価アルコールから得られるポリエステルジアクリレート、3価以上の多価アルコールと2塩基酸とアクリル酸から得られるポリエステルポリアクリレート等のポリエステルアクリレート、エポキシアクリレートオリゴマー、エポキシオリゴマー等のオリゴマー類、アクリルポリエーテル、ポリエーテルアクリレート等が挙げられる。また、下塗り層を形成するための塗料は紫外線硬化型塗料とすることが、塗布容易性や、塗膜の硬化速度が早い点、塗膜の被研削性や耐久性、基板や上塗り塗料との密着性に優れることから好ましい。また、紫外線硬化型塗料は硬化速度が速く、基板表面の毛羽を取り込んで強固に固めることができるので、研磨した際に毛羽も一緒に削られて研磨後の表面に毛羽が残らない利点がある。
塗料を塗布した後は、紫外線を照射して塗料を硬化させ、次いでその表面の研磨を行う。また、下塗り層を形成するための塗料は基板隠蔽性の確保および可燃物の含有率を減らして発熱量を低減させる目的から、炭酸カルシウムなどの無機顔料を添加したものが好ましい。
下塗り塗料の塗布方法は、ロールコーターやフローコーター等を用いる方法が挙げられ、中でも、基板表面に存在する大小の凹凸部や、空隙部を塗料により充填する効果を考慮すると、ロールコーターが適している。また、塗料を均一に塗布するという観点からは、フローコーターが適している。
本発明においては、下塗り層に含まれる有機固形分量は、基板の単位面積(m)当たり3〜70g、好ましくは3〜45g、より好ましくは5〜35gに設定するのがよい。
また、下塗り層は、基板表面からの毛羽立ちを研磨後の表面に出さないよう強固に固める性質を持つことが必要であり、その目安としては、下塗り層の表面硬度が鉛筆硬度でH〜3Hであることが好ましい。表面硬度がH未満では研磨の際に表面の毛羽が抜け残るおそれがあることに加え化粧層全体の硬度が不足して傷つきやすいものとなってしまう。また、表面硬度が3Hを超えると、下塗り層が硬すぎて基板の動きに追従できなくなり、化粧層にクラックが入る原因となる。ここで、鉛筆硬度とは、JIS K 5600−5−4:1999に準拠した鉛筆法による引っかき硬度を示している。
下塗り層を形成するための下塗り塗装は、1回で所定の膜厚の下塗り層を形成することもできるし、2回以上行って所定の膜厚の下塗り層を形成することもできる。例えば、下塗り塗装を2回行って所定の膜厚の下塗り層を形成する場合は、1回目の下塗り塗装を行った後、紫外線を照射して下塗り塗料を硬化させる際に、紫外線の照射量を加減して完全には硬化しないようにし、その上に2回目の下塗り塗装を行った後に再度紫外線を照射して、下塗り塗料全体を完全に硬化させる。また、3回以上の下塗り塗装を行う場合も、2回の場合と同様に、最後の下塗り塗装を行った後の紫外線照射により、下塗り塗料全体を完全に硬化させる。本発明の化粧板においては、導管溝模様および毛羽立ちの抑制、さらに不燃性を確保することが重要である。この観点から、基板表面に存在する大小の凹凸部や空隙部を塗料により充填する効果と、導管溝模様および毛羽立ちを抑制させる効果とを効率よく得るため下塗り塗装を2回行うことにより下塗り層の塗膜を形成するのがよい。
次に、上記下塗り層の表面を研磨する。使用する研磨機としては、ワイドベルトサンダー、ポリシャー研磨機、フェルト研磨機、バフ研磨機、ブラシ研磨機等が挙げられるが、木質感の成形性、研磨効率の点からワイドベルトサンダー、中でもプラテン研磨機が好ましい。プラテン研磨機は、ワイドベルトサンダーの一種であり、周回駆動される無端ベルト状の研磨紙を、プラテンと呼ぶ平板(押板)を用いて研磨対象に押し当てた状態で、研磨対象を進行させて研磨するものである。下塗り層の最終研磨は、番手(研磨材の粒度)が40〜100番の研磨材で研磨することが好ましい。これにより、導管溝模様を効果的に形成することが可能となる。番手が40番以下の粗い研磨材では研磨後の表面が粗くなりすぎてしまうため内装材に不向きであり、100番を超える細かい研磨材では研磨後の表面が平滑になりすぎるため良好な木質感を得るための導管溝模様が得られない。下塗り層の最終研磨は、40〜80番の研磨材を用いて研磨するのがより好ましい。
また、研磨は複数回行うことで、より意匠性の高い外観が得られる。研磨を複数回行う場合には、番手の細かい研磨材から順に行う。番手の細かい研磨材から順に研磨することにより、一度表面が平滑となるため、最後に番手の粗い研磨材で研磨した際の導管溝模様がより強調され、良好な外観を確保することが可能となる。さらに、一度平滑な表面とすることでその上に形成される各塗膜の意匠性も良好となる。
また、下塗り層を複数回に分けて形成する場合、下塗り層の研磨は、下塗り塗装をすべて終えてからその表面のみを研磨してもよいし、下塗り塗装し硬化(半硬化)させるたびに表面研磨を行うこともできる。
研磨後の下塗り層の表面粗さは、導管溝模様を施すという観点から基板の長手方向に沿ったスジ状の研磨面とする必要があり、基板の長手と平行の方向(以下、平行方向)および基板の長手に対し直交する方向(以下、直交方向)のそれぞれについてRa(算術平均粗さ)、Rz(最大高さ)の各値が以下の範囲となることが好ましい。
平行方向のRaは、0.5〜4μmであることが好ましく、1〜3μmであることがより好まく、かつ平行方向のRzは、5〜30μmであることが好ましく、10〜25μmであることがより好ましい。さらに直交方向のRaは、5〜15μmであることが好ましく、5〜10μmであることがより好ましく、かつ直交方向のRzは、35〜70μmであることが好ましく、40〜60μmであることがより好ましい。
なお、本発明において、表面粗さ測定は、JIS B 0651:2001準拠の触針式表面粗さ測定器を用いて測定した値である。
本発明の化粧板は、前記下塗り層の上層に膜厚5〜50μmの着色層を有する。当該着色層を形成することにより、本発明の化粧板に良好な外観、化粧性(意匠性)、基板隠蔽性(基板自体の色が化粧板の外観に影響を与えないように隠蔽する)を付与することができる。着色層の膜厚は、前記した特性を付与するため、5〜50μmであることが必要であり、10〜40μmがより好ましい。膜厚が5μmを下回ると良好な外観、化粧性(意匠性)、基板隠蔽性を付与できなくなり、50μmを越えると、塗料の塗布量が多くなるため着色層の形成工程で塗装面に塗料の偏りが生じて着色層に凹凸が生じたり、泡痕跡が着色層の内部や表面に残り易くなったりして、化粧板の表面が下塗り層を研磨して形成した導管溝模様とは異なるものとなり、本発明において意図しない凹凸となって外観が低下する傾向となることから好ましくない。
着色層の形成に用いられる塗料としては、塗装作業性、塗装後の塗膜乾燥性、安全性、塗装後の耐久性、塗膜表面硬度、塗膜の耐薬品性や耐汚染性の点から、アクリル樹脂塗料、ウレタン樹脂塗料、アクリルウレタン樹脂塗料等が好適であり、中でもアクリルウレタン樹脂塗料が好ましく、2液硬化型アクリルウレタン樹脂塗料がより好ましい。
また、顔料を比較的高濃度で含有する塗料が好ましい。顔料は、塗料中の総固形分量のうち30〜60質量%含まれるのが好ましく、これにより良好な着色性が得られ、さらに基材隠蔽性の面からも好ましいといえる。着色層の形成方法は、ロールコーターまたはフローコーターによる塗布が適しており、2回以上に分けて重ね塗りする場合にはこれらを適宜組み合わせて用いてもよい。
また、着色層形成後は、その表面をバフ研磨等により研磨することができる。バフ研磨することで、その上層に設けられる印刷層および上塗り層の形成性、化粧特性等を改善することができる。
本発明においては、着色層の成分中の有機固形分量は、基板の単位面積(m)当たり5〜35gとなるように設定するのが好ましく、さらに10〜30gとするのがより好ましい。
本発明の化粧板においては、着色層と上塗り層の間に印刷層を設ける。この印刷層により化粧板に木目模様を付与する。印刷層により木目模様を付与する場合、1回の印刷で形成することもできるし、2回以上行って形成することもできる。複数回印刷を重ねることにより、木目模様の陰影をより細かく表現することが可能となり、外観がより良好となる。
印刷層を形成するための塗料としては、模様、文字等の形状を形成できる塗料であればよく、例えば顔料、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、アクリルウレタン樹脂等の樹脂、溶剤、添加剤等を含有する塗料が挙げられる。塗布手段は、グラビア印刷、グラビアオフセット印刷、インクジェット印刷、スクリーン印刷、ロータリースクリーン印刷、凸版式印刷、パット印刷が好ましい。印刷層中の有機固形分量は、模様等の形成性および不燃性の確保の点から、基板の単位面積(m)当たり0.03〜10gが好ましく、0.1〜7gがさらに好ましい。また、印刷層の形成後は、研磨は行なわないのが好ましい。
前記着色層と前記印刷層を組み合わせることによって樹種の違いを表現することがでる。着色層と印刷層の濃淡等を組み合わせることにより特徴的ないくつかの樹種の板材に似せた良好な木肌と木目の外観を表現することが可能となる。さらに、印刷層での木目模様の柄において、あえて節を作らない柾目とすることにより、化粧板を連続して壁または天井等の建築物の内装仕上げ材として施工した場合においても同一柄が連続して施工されているとは気づきにくく、単調で安っぽい木目模様とはなりにくい。
本発明の化粧板の上塗り層は、下層の木目調を見えやすくする点からクリア塗料であるのが好ましい。クリア塗料としては、特に限定されないが、アクリルウレタン樹脂系、ポリエステル樹脂系、アルキド樹脂系、ポリエーテル樹脂系、アクリル樹脂系、エポキシ樹脂系、ウレタン樹脂系、シリコン樹脂系の透明樹脂塗料、およびポリブタジエン樹脂系等のラジカル重合可能な不飽和二重結合を有する紫外線重合性化合物と光開始剤の混合物あるいはカチオン開環重合型化合物と光開始剤の混合物等のUV硬化型樹脂からなる透明樹脂塗料、ならびにアクリルウレタン樹脂系、アクリルシリコーン樹脂系、アクリル樹脂系、エポキシ樹脂系、ウレタン樹脂系、シリコン樹脂系、フッ素樹脂系等の熱硬化型樹脂等からなる透明樹脂塗料が好ましい。
また、前記上塗り層に用いるクリア塗料には、表面のつやを抑えて質感を向上するためにつや消し剤を添加する。つや消し剤は非晶質の合成シリカの微粉末が化学的安定性や透明性確保の点から好まく、特に湿式法で合成される微粉シリカを用いるのが好ましい。つや消し剤の添加量は、クリア塗料中の固形分のうち、1〜6質量%が好ましく、1〜3質量%がより好ましい。また、つや消し剤の平均粒子径は1〜10μmが好ましい。
さらに、前記上塗り層に用いるクリア塗料に樹脂ビーズを含有させることにより、形成される上塗り層の表面に微細な凹凸による表情を与えることができ、下塗り層の研磨によって形成した導管溝模様をより木質感のある外観とすることが可能となる。使用する樹脂ビーズとしては、アクリル樹脂、シリコン樹脂、ナイロン樹脂、ポリエチレン樹脂、ウレタン樹脂等からなる球状粒子が好ましく、中でも透明性と適度な弾力を持つことからアクリル樹脂ビーズが好ましく、特に架橋ポリメタクリル酸メチル樹脂ビーズが好ましい。
また、樹脂ビーズの平均粒子径は5〜40μmが好ましく、より好ましくは比較的粒径の大きい樹脂ビーズと比較的小さい粒径の樹脂ビーズを2種類以上混ぜて使うことでより自然な凹凸表面を有する上塗り層を形成することができる。例えば、平均粒径20〜40μmの大ビーズと同5〜10μmの小ビーズの2種類を混合して使用し、大ビーズに対し小ビーズを質量比で1.1〜1.6倍の割合とすることで自然な凹凸表面となる。小ビーズの割合をやや多めにする方がより自然な凹凸表面となることが期待できる。
なお、樹脂ビーズの含有量は、クリア塗料の総固形分のうち5〜20質量%が好ましく、5〜15質量%がより好ましい。樹脂ビーズの含有量が5質量%未満では十分な凹凸感を得られず、また、20質量%を超えると不自然なざらつきが出るため良好な木質感を得ることができない。
当該クリア塗料には、他の添加剤として例えば湿潤分散剤、沈降防止剤、消泡剤、レベリング剤等、溶剤として例えば酢酸ブチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等を含むものが挙げられる。塗料の塗布方法は、自然な木質感を表現し易いといった点からフローコーター法が好ましいが、その他、ロールコーター法、スプレー法等の既存の方法を用いてもよい。
上塗り層中の有機固形分量は、模様等の外観確保、および不燃性確保の点から、基板の単位面積(m)当たり、10〜50gが好ましく、10〜40gがより好ましく、その膜厚は、10〜50μmが好ましく、10〜40μmがより好ましい。膜厚が50μmを超えると上塗り塗料の塗布量が多くなりすぎるため塗布工程でレベリングが進んで凹凸感が薄れてしまい、また、10μm未満では十分な塗膜性能と良好な外観を確保するのが難しくなる。
また、上塗り層に用いるクリア塗料に対し各種機能性添加剤を加えることにより、上塗り層に種々の特性を付与することが可能であり、例えば、抗菌性、抗ウイルス性、耐擦傷性などの各種機能を付加した化粧板とすることができる。
本発明の化粧板は、発熱性試験による総発熱量が8MJ/m以下である。この要件を満たすことにより、JIS A 5430:2013で規定する発熱性1級(加熱時間20分)を満たし、高い不燃性を示すことになる。さらに好ましい総発熱量は、7.2MJ/m以下である。
以下、本発明を実施例および比較例によりさらに説明するが、本発明は下記例に制限されない。
(1)けい酸カルシウム板(基板)
基板として、JIS A 5430:2013の表1における「けい酸カルシウム板 タイプ2 0.8けい酸カルシウム板」に準拠した、かさ密度0.8g/cmのけい酸カルシウム板である、エーアンドエーマテリアル社製 ハイラック(サイズ:1820mm×910mm×6mm)を用いた。なお、基板は、プラテン研磨機を用いて番手100番の研磨紙で研磨することにより、あらかじめ化粧層を形成する面(以下、表面)を平滑にしたものを使用した。研磨した基板表面は、鉛筆硬度5Bであった。
(2)塗料
各塗装は、次の塗料を使用して行った。
含浸シーラー:大日本塗料社製 Vセラン#100NSシーラー
(ポリウレタン樹脂系シーラー)
下塗り層塗料:変性エポキシ樹脂系塗料(紫外線硬化型)
塗料の組成は、有機質分50%、無機質分50%である。
着色層塗料:ナトコ社製 ユービマイルド 54Fウォールナット
(2液硬化型アクリルウレタン樹脂系塗料)
印刷層塗料:ナトコ社製 NTインクMウォールナット
(アクリル樹脂系グラビアインキ)
上塗り層塗料:2液硬化型アクリルウレタン樹脂系クリア塗料
塗料中の総固形分のうち、湿式法シリカ:平均粒径約4μmを約1.5質量%、樹脂ビーズ:平均粒径30μmを約4質量%、樹脂ビーズ:平均粒径8μmを約5質量%、それぞれ含有している。なお、これらの平均粒径はいずれもコールターカウンター法(APチューブ50μm)による値である。
実施例1
実施例1
基板の表面にロールコーターを用いて含浸シーラーを約30g/m塗布し、基板の表面に有機固形分が約30g/mとなる含浸シーラー層を形成した。
次にロールコーターを用いて基板表面側に下塗り塗料を約120g/m塗布した後、紫外線照射により塗膜を硬化し、プラテン研磨機により研磨した。下塗り塗料硬化後の表面硬度は、鉛筆硬度2Hであった。研磨は初めに番手240番の研磨紙を用いて研磨し、次に番手60番の研磨紙を用いて研磨して、膜厚が約40μmとなる下塗り層を形成した。 さらに下塗り層の上から着色層として、フローコーターを用いて着色層塗料を約110g/m塗布し、静置後に熱風式乾燥機で塗膜を硬化させた後、バフ研磨機を用いて、番手1000番のバフロールにて着色層の表面を研磨して、膜厚が約26μmで有機固形分が約30g/mの着色層を形成した。
つぎに印刷層として、着色層の表面にグラビアオフセット印刷機を用いて印刷層の厚みが約1μm以下で有機固形分量が約5g/mとなる木目模様の印刷層を形成した。さらに印刷後の表面にフローコーターを用いてクリア塗料を約80g/m塗布し、静置後に熱風式乾燥炉で塗膜を硬化させ、塗膜の厚みが約21μmで有機固形分が約28g/mの上塗り層を形成して化粧板を作成した。
比較例1
下塗り層の研磨において、初めに番手240番の研磨紙を用いて研磨し、次に番手400番の研磨紙を用いて研磨すること以外は実施例1と同じとした。
参考例1
基板の表面にロールコーターを用いて含浸シーラーを約30g/m塗布し、基板の表面に有機固形分が約30g/mとなる含浸シーラー層を形成した。
次にロールコーターを用いて基板表面側に下塗り塗料を約120g/m塗布した後、紫外線照射により塗膜を硬化し、プラテン研磨機により研磨した。研磨は初めに番手240番の研磨紙を用いて研磨し、次に番手60番の研磨紙を用いて研磨して、膜厚が約40μmとなる下塗り層を形成し、実施例1における研磨した下塗り層形成までとした。
参考例2
下塗り層の研磨において、初めに番手240番の研磨紙を用いて研磨し、次に番手400番の研磨紙を用いて研磨すること以外は参考例1と同じとしたことにより、比較例1における研磨した下塗り層形成までとした。
実施例1、比較例1および参考例1、2についてJIS B 0651−2001に準拠した表面粗さ測定機(SurfTest SJ−400(株式会社ミツトヨ社製))を用いて以下の条件で、表面粗さを測定した。Ra、Rzの各値は、下塗り層の研磨方向と(基板の長手方向)と直行する方向について3回測定した値から、平均値を算出したものである。表面粗さの測定波形を図1〜4に示す。
測定長さ:15.0mm
カットオフ:2.5mm
測定速度:1.5mm/s
測定レンジ:800μm
塗装面の表面状態を目視および触感にて観察した。導管溝模様の状態、毛羽立ちの有無を評価し、導管溝模様の状態については、適度な導管溝模様により木質感を表現しているかを目視および触感にて観察した。毛羽立ちの有無に関しては目視および触感にて、基板の毛羽立ちの有無を判断した。また、実施例1および比較例1については、不燃性の評価としてJIS A 5430:2013附属書JAに従い発熱量を測定した。
得られた評価結果を表1に示す。
Figure 2019151001
表1から明らかなように、実施例1では直交方向に大きな粗さを有する導管溝を模した毛羽立ちのない下塗り層の上層に、着色層、印刷層および樹脂ビーズが添加された上塗り層を設けることにより、良好な木質感が表現可能となった。図2の粗さ測定波形から解るとおり、直交方向に見られる溝模様は下塗り層を粗く研磨したことによるものであり、平行方向に見られる大小の凸模様は上塗り層に含まれる樹脂ビーズがもたらしたものであり、これらの相乗効果で化粧板表面に良好な木質感を付与することができた。
しかし、比較例1のように平滑な下塗り層の上層に、着色層、印刷層および樹脂ビーズが添加された上塗り層を設けただけでは、単に平坦でザラツキ感のある表面とはなるものの、良好な木質感を表現することはできなかった。図3の粗さ測定波形から解るとおり、平坦な面に樹脂ビーズによる大小の凸模様が見られるものの、平行方向と直交方向の間に違いが無く単調であり、木質感を表現するに至らなかった。
また、参考例1において、基板表面に下塗り塗料を塗装した後に研磨することで毛羽立ちは抑えられ、研磨する際に番手の粗い研磨紙で仕上げることにより、図4の粗さ測定波形から解るとおり、直交方向にのみ大きな凹凸を有するスジ模様の表面となっていた。このため、導管溝を模した木質感を表現するのに好適な下塗り層を形成できたといえる。これに対し参考例2では、毛羽立ちは抑えられるが、番手の細かい研磨紙で仕上げた結果、図5の粗さ測定波形からも解るとおり、平行方向と直交方向の粗さに違いが無く、単に平滑性の高い表面となっていた。このため、木質感を表現するのに適した下塗り層とはならなかったといえる。
不燃性に関しては、実施例1および比較例1のいずれも、20分総発熱量が8MJ/m以下であり、発熱性1級相当であった。これは基板および塗膜構成がほぼ同一であるため、差が出なかったものである。
上記のとおり、本発明の窯業系化粧板の製造方法によれば、基板の毛羽立ちを抑えた下塗り層と表情豊かな化粧層により木質感を向上させることが可能であり、さらに優れた不燃性能を有する窯業系化粧板を製造することができる。
1:基板
2:シーラー層
3:下塗り層
4:着色層
5:印刷層
6:上塗り層
7:樹脂ビーズ(大ビーズ)
8:樹脂ビーズ(小ビーズ)

Claims (3)

  1. 窯業系基板の少なくとも片側の表面に、シーラー層、下塗り層、着色層、印刷層および上塗り層をこの順で形成する窯業系化粧板の製造方法であって、前記下塗り層は、下塗り塗料を塗布して硬化させた表面を前記窯業系基板の長手方向に沿って無数のスジがつくよう粗く研磨して形成し、前記上塗り層は、樹脂ビーズおよび合成シリカを含有するクリア塗料をフローコーターで塗布して形成することを特徴とする窯業系化粧板の製造方法。
  2. 前記下塗り層形成後の表面粗さが、前記窯業系基板の長手方向に対し平行方向のRaの値が0.5〜4μmかつRzの値が5〜30μmであり、同直交方向のRaの値が5〜15μmかつRzの値が35〜70μmであることを特徴とする請求項1に記載の窯業系化粧板の製造方法。
  3. 前記樹脂ビーズとして平均粒径20〜40μmの大ビーズと平均粒径5〜10μmの小ビーズの少なくとも2種類を混合して使用するとともに、前記大ビーズに対する前記小ビーズの割合を質量比で1.1〜1.6倍とし、かつ前記樹脂ビーズを前記クリア塗料の総固形分のうち5〜15質量%含有することを特徴とする、請求項1または2のいずれか一項に記載の窯業系化粧板の製造方法。

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