JP7099880B2 - 窯業系化粧板 - Google Patents

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Description

本発明は、窯業系化粧板に関する。
繊維強化セメント板等の窯業系材料を基板とする窯業系化粧板は、十分な不燃性、強度を有することから外装材及び内装材として広く使用されている。これらの窯業系化粧板は、通常基板の少なくとも片側の面に、シーラー層、下塗り層、着色層およびクリア層をこの順に形成されてなる。このうち、クリア層は、着色層等によって形成された化粧層を保護するとともに、化粧層に施された模様等を明確にする、光沢を付与する等の目的で形成される(特許文献1~3)。
特開昭61-168584号公報 特開2013-240935号公報 特開2015-120339号公報
従来、クリア層は、その名のように、着色層等の化粧層の外観を損なわないようにするため、透明度の高い層であることが前提となっている。しかし、近年では、光沢や透明感が良好な外観が、必ずしも好まれない傾向にある。
従って、本発明の課題は、従来の化粧板とは異なる外観を有する窯業系化粧板を提供することにある。
そこで、本発明者は、窯業系化粧板の特色である不燃性を損なわずに、化粧板表面の外観を新たなものとすべく種々検討を行ってきたところ、着色層を無機系の着色顔料を用いて一定の範囲の高い光沢度とし、クリア層のヘーズを60~90として着色層の光沢度を大きく低下させることにより、着色層の色相は明確に識別できるとともに上質なマット感を有する化粧板が得られることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、次の発明〔1〕~〔5〕を提供するものである。
〔1〕窯業系基板の少なくとも片側の面に、シーラー層、下塗り層、着色層およびクリア層をこの順で形成してなる窯業系化粧板であって、着色層が、無機系の着色顔料を含み、着色層形成後の光沢度が30~60の範囲であり、クリア層のヘーズが60~90であり、クリア層形成後の光沢度が6~15であることを特徴とする窯業系化粧板。
〔2〕クリア層が、非晶質シリカ微粒子を含む〔1〕記載の窯業系化粧板。
〔3〕クリア層が、体積平均粒径1~10μmの非晶質シリカを8~20質量%含有する〔1〕又は〔2〕記載の窯業系化粧板。
〔4〕クリア層の乾燥塗膜での塗布量が10~50g/m2である〔1〕~〔3〕のいずれかに記載の窯業系化粧板。
〔5〕コーンカロリーメーター発熱性試験による総発熱量が8MJ/m2以下である〔1〕~〔4〕のいずれかに記載の窯業系化粧板。
本発明の窯業系化粧板は、派手な光沢はないものの、着色層に施された化粧層が明確に識別でき、上質なマット感を有するとともに、高い不燃性能を維持しており、外装材及び内装材として有用である。また、本発明の窯業系化粧板は、クリア層の保護効果により種々の汚れが付着しにくく、金属をこすりつけると黒く汚れる金属汚れの発生が防止できるという効果も有する。
本発明の窯業系化粧板のシーラー層、下塗り層、着色層及びクリア層を示す概略図である。 参考例の化粧板におけるBRDFの測定結果を示すグラフである。 比較例2の化粧板におけるBRDFの測定結果を示すグラフである。 比較例1の化粧板におけるBRDFの測定結果を示すグラフである。 実施例2の化粧板におけるBRDFの測定結果を示すグラフである。 実施例1の化粧板におけるBRDFの測定結果を示すグラフである。
本発明の窯業系化粧板は、窯業系基板の少なくとも片側の面に、シーラー層、下塗り層、着色層およびクリア層をこの順で形成してなる窯業系化粧板である(図1参照)。
本発明の窯業系化粧板の基板(窯業系基板、以下単に基板ともいう)としては、住宅等の壁面を形成する繊維強化セメント板(けい酸カルシウム板を含む)、木質系セメント板、木毛セメント積層板、火山性ガラス質複層板、押し出し成形セメント板、スラグせっこう板、軽量気泡コンクリート板、ガラス板、セラミックス板等が挙げられる。
これらの基板のうち、繊維強化セメント板がより好ましい。
これらの基板は、例えばマトリックスを形成するための主原料としてポルトランドセメント等の水硬性セメントを使用し、繊維原料として石綿以外の繊維を使用するとともに、必要に応じてワラストナイトや炭酸カルシウム粉末等の混和材を原料として使用する基板であり、具体的にはJIS A 5430に規定された繊維強化セメント板等の基板である。特に、マトリックスを形成するための原料として、石灰質原料とけい酸質原料とを用い、養生工程においてオートクレーブ養生を行ってなる繊維強化セメント板の一種である0.8けい酸カルシウム板や1.0けい酸カルシウム板は、柔軟性に優れた基板であり、強度が高く吸水による長さ変化率が小さいので、本発明の窯業系化粧板の基板として好適である。
前記繊維材料としては、例えばパルプ、合成パルプ、ポリプロピレン繊維、レーヨン繊維、アクリル繊維、ビニロン繊維、ナイロン繊維、ポリエステル繊維等の有機繊維、鋼繊維(スチール線繊維)、アモルファス金属繊維等の金属繊維、ガラス繊維、炭素繊維(カーボンファイバー)、ロックウール繊維、ウィスカー等の無機繊維などが挙げられるが、本発明では、前記のオートクレーブ養生を採用した場合であっても、化粧板の補強性及び靭性を向上できるという観点から、パルプを使用する場合が好ましい。なお、ここでいうパルプとは、木材などの植物原料を機械的または化学的に処理してセルロースを取り出した状態のものであり、いわゆるセルロースパルプを指す。
繊維強化セメント板中の繊維、特にパルプ等の有機繊維の含有比率は、マトリックスによっても異なるが、強度及び不燃性の確保の点から、5~9質量%であることが好ましく、6~8質量%であるのがさらに好ましい。パルプ等の有機繊維の含有比率が少ないと化粧板の機械的強度が低下し、熱負荷、乾燥、炭酸化や衝撃による割れを発生しやすくなる。逆にパルプ等の有機繊維の含有率が多いと、不燃性を維持することが困難となる。
水硬性セメントとしては、当業界で一般的に用いられているものであればよく、例えばポルトランドセメントが挙げられる。
必要に応じて用いられる各種添加材としては、当業界で一般的に用いられているものが挙げられ、とくに制限されないが、例えばワラストナイト、マイカ、炭酸カルシウム等の粉末、繊維強化セメント板やせっこうボードの廃材粉末等が挙げられる。なお、オートクレーブ養生を行う場合は、セメント中の石灰との水熱反応硬化によりさらに強度を上げる点から、けい酸質原料、例えば粉末硅石等の結晶質シリカ、フライアッシュ等の非晶質シリカ等を添加するとともに、必要に応じて石灰質原料、例えば生石灰、消石灰等も追加して、マトリックス成分のCaO/SiO2のモル比が0.7~1.2となるように調整して用いるのが好ましい。
本発明において、基板の厚さは、耐衝撃性、軽量性、施工性の点から、3~12mmが好ましく、4~8mmであるのがさらに好ましい。
また本発明において、基板のかさ密度は、軽量性、機械的強度、施工性の点から、0.6~1.8g/cm3が好ましく、0.6~1.2g/cm3であるのがさらに好ましい。
また本発明において、基板の総発熱量は、不燃性の点から、5MJ/m2以下であるのが好ましく、4.7MJ/m2以下であるのがさらに好ましい。
なお、本発明において、基板又は化粧板の厚さは、JIS A 5430:2013、9.2.2項b)に従い測定した値である。かさ密度は、JIS A 5430:2013、9.5項に従い測定した値である。
基板の総発熱量は、JIS A 5430:2013、附属書JAに従い測定した値である。
基板と下塗り層の間、すなわち基板の少なくとも片面には、シーラー層を設けるのが好ましい。シーラー層を設けることにより、基板の表層が強化されるとともに、表面へのアルカリの溶出が防止でき、その上層となる下塗り層との密着性も向上する。
シーラー層は、公知のシーラーを用いて形成させることができ、例えば湿気硬化型ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂等の硬化性樹脂を用い、基板の表面に塗布し硬化させること等により行われる。シーラーは基板への含浸性が良く、高不揮発分であり、かつ、基板中の水分や雰囲気の湿気と反応して三次元架橋し、耐水性能等が良いポリイソシアネート又はポリイソシアネートとポリオールとの反応生成物である遊離イソシアネート基を有するプレポリマー及び酢酸ブチルのような溶剤を主成分とする湿気硬化型ウレタン系のものが好適である。また、化粧板としての黄変が問題となる場合には、HDI(ヘキサメチレンジイソシアネート)等の脂肪族イソシアネート、IPDI(イソホロンジイソシアネート)等の脂環族イソシアネートを使用することが好ましい。なお、昨今のVOC対策の観点から溶剤を含んでいない無溶剤シーラーまたは水系シーラーを使用することや、ケイ酸リチウムあるいはケイ酸ナトリウムなどのケイ酸塩系シーラー等の無機シーラーや、テトラエトキシシランやテトラメトキシシランなどを主成分とするシラン化合物系シーラーも使用できる。
シーラー層の形成は、例えば繊維強化セメント板の表面温度を50~60℃に加熱し、公知のロールコーター、スプレー等の方法でシーラーを塗布し、次いで硬化することにより行うことができる。含浸シーラーの粘度は、使用する含浸シーラーの種類、塗装方法を勘案して適宜決めることができ、硬化は、例えば加熱乾燥することにより行うことができる。
また、本発明においては、基板の裏面も含浸シーラー処理して補強を行うことができる。化粧板の施工方法としては、接着工法が多く用いられており、基板の裏面を補強しておくと、施工性が向上するからである。基板の裏面についても含浸シーラー処理する場合、後述する下塗り層を形成する前に裏面の含浸シーラー処理を行うのが一般的であるが、下塗り層を形成した後に行ってもよい。
本発明においては、含浸シーラーの成分中の有機固形分量が、基板の単位面積(m2)当たり3~50gとなるように設定するのが好ましい。有機固形分量が少なすぎると基板の表層がそれほど強化されない可能性がある。また、その上層となる下塗り層との密着性が低下する可能性もある。有機固形分量が多すぎると、基板の表層に余分な有機固形分が残り、この有機固形分が原因となってシーラー層内での凝集剥離や後工程での発泡、わき等の不良が生じる可能性がある。なお、わきとは発泡において、泡の中にある気体が塗膜を破ってできた微小な穴であり、塗装時の局部的厚膜に起因し、主に乾燥時の急激な昇温により生じる。含浸シーラーの成分中の有機固形分量は、基板の単位面積(m2)当たり10~40gとなるように設定するのがより好ましい。また、基板の裏面に含浸シーラー処理する場合、含浸シーラーの成分中の有機固形分量は、基板の単位面積(m2)当たり3~30gとなるように設定するのが好ましい。
なお、本発明において、有機固形分量は、塗料原液の組成、希釈溶剤の使用量、実塗布量から簡単に算出することができる。
本発明の窯業系化粧板は、シーラー層表面上に下塗り層を有する。下塗り層を形成することにより、基板の表面に存在する大小の凹凸部や、空隙部が塗料により充填され、凹凸感、塗料の吸い込み斑による光沢・色のばらつき感が抑制される。また、化粧板にピンホールのような不良が生じる可能性も減じられる。
下塗り層の膜厚は、5~100μmであるのが、化粧板の表面平滑性及びその上下の塗膜との密着性、形成性、防水性、基材成分の析出防止性、塗膜ピンホールの防止、塗膜硬化性、表面異物埋没性、膜厚管理の容易性の点で好ましく、より好ましい膜厚は、20~90μmであり、さらに好ましくは25~70μmである。
下塗り層を形成するための塗料は、表面平滑性、耐薬品性、塗膜密着性、研磨加工性、塗膜硬度、塗装容易性、クラック防止性の点から、不飽和ポリエステル系塗料が好ましく、具体的にはエポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、フタル酸ジアリルエステルなどのアリル系不飽和ポリエステル、無水マレイン酸やフマル酸などの不飽和二塩基酸とグリコール類との重縮合によるマレイン酸系不飽和ポリエステル、官能基としてカルボキシル基や水酸基を持つポリエステルモノアクリレート、アクリル酸と2塩基酸と2価アルコールから得られるポリエステルジアクリレート、3価以上の多価アルコールと2塩基酸とアクリル酸から得られるポリエステルポリアクリレート等のポリエステルアクリレート、エポキシアクリレートオリゴマー、エポキシオリゴマー等のオリゴマー類、アクリルポリエーテル、ポリエーテルアクリレート等が挙げられる。また、下塗り層を形成するための塗料は紫外線硬化型塗料とすることが、塗布容易性や、塗膜の硬化速度が早い点、塗膜の被研削性や耐久性、基板や上塗り塗料との密着性に優れることから好ましい。
下塗り塗料の塗布方法は、ロールコーターやフローコーター等を用いる方法が挙げられ、中でも、基板表面に存在する大小の凹凸部や、空隙部を塗料により充填する効果を考慮すると、ロールコーターが適している。また、塗料を均一に塗布するという観点からは、フローコーターが適している。
本発明においては、下塗り層に含まれる有機固形分量は、基板の単位面積(m2)当たり3~70g、好ましくは10~65gに設定するのがよい。
下塗り層を形成するための下塗り塗装は、1回で所定の膜厚の下塗り層を形成することもできるし、2回以上行って所定の膜厚の下塗り層を形成することもできる。例えば、下塗り塗装を2回行って所定の膜厚の下塗り層を形成する場合は、まず1回目の下塗り塗装をやや粘度の高い下塗り塗料(200~600dPa・s)で行い、紫外線の照射量を加減して完全には硬化しないように紫外線照射し、次にやや粘度の低い下塗り塗料(20~60dPa・s)で2回目の下塗り塗装を行った後に再度紫外線を照射して、下塗り塗料全体を完全に硬化させると良い。こうすることで1回目の下塗り塗装で基板表面に存在する大小の凹凸部や空隙部を塗料により充填する効果が得られ、2回目の下塗り塗装ではセルフレベリング効果により平滑な下塗り層の塗膜表面が得られることから、効率よく良好な下塗り層を形成することができる。また、下塗り塗料を完全に硬化させた後、ベルトサンダー等で研磨を行うことにより、さらに平滑な表面を有する下塗り層とすることもできる。
下塗り層の表面上には、着色層を有する。着色層の膜厚は5~40μmが好ましく、10~40μmがより好ましく、15~35μmがさらに好ましい。
本発明の窯業系化粧板の着色層は、無機系の着色顔料を含み、着色層形成後の光沢度が30~60の範囲であるのが、化粧板の外観及び上質なマット感を得るうえで重要である。着色層表面の光沢度が30未満では、クリア層形成後に着色層の識別性が十分でない。また、着色層表面の光沢度が60を超えると、クリア層形成後に上質なマット感が得られない。より好ましい光沢度は30~50である。ここで、光沢度はJIS Z 8741:1997に準拠した光沢度計により測定した60度鏡面光沢の値である。
着色層に含まれる無機系の着色顔料としては、酸化チタン、亜鉛華、ベンガラ、黄土、酸化クロム緑、紺青、カーボンブラック、鉄黒などが挙げられ、これらのうちから選ばれる1種又は2種以上を組み合わせて用いるのがより好ましい。また、必要に応じ有機顔料を併用することもできる。
着色層を形成する塗料としては、前記の着色顔料を有する、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、アクリルウレタン樹脂等の樹脂を含有する塗料を用いるのが好ましく、中でもアクリルウレタン樹脂塗料が好適であり、2液硬化型アクリルウレタン樹脂塗料を用いるのがより好ましい。また、エポキシ樹脂塗料、ポリウレタン樹脂塗料、塩化ビニル樹脂塗料、塩化ビニリデン樹脂塗料、アクリルシリコーン樹脂塗料、フッ素樹脂塗料等の塗料を用いてもよい。
着色層の形成方法は、特に限定されるものではなく、スプレー法、ロールコーター法、フローコーター法等、通常の塗装において使用される公知の方法から選定でき、中でもロールコーターまたはフローコーターによる塗布が適しており、2回以上に分けて重ね塗りする場合にはこれらを適宜組み合わせて用いてもよい。
本発明においては、着色層の成分中の有機固形分量は、基板の単位面積(m2)当たり5~35gとなるように設定するのが好ましく、さらに10~30gとするのがより好ましい。
本発明の窯業系化粧板は、着色層の表面上にクリア層を有する。クリア層の膜厚は、10~50μmが好ましく、10~40μmがより好ましい。また、クリア層のヘーズは60~90であり、かつクリア層形成後の光沢度が6~15である。このようなヘーズ及び光沢度とすることにより、着色層が識別できるとともに、上質なマット感が得られる。
クリア層のヘーズが60未満では透明感が強いため期待する上品な質感が得られず、90を超えると着色層の識別性が低下する。また、クリア層形成後の光沢度が、6~15の範囲外の場合は、上質なマット感が得られない。より好ましいヘーズは60~80である。ここで、ヘーズは、透明なガラス板の表面に化粧板と同じ膜厚のクリア層を形成し、これをJIS K 7136:1999に準拠のヘーズメーターにより測定した値である。
クリア層には、無機質微粒子を含有させることにより、ヘーズを調整するのが好ましく、当該無機質微粒子としては非晶質シリカ微粒子が好ましい。非晶質シリカの体積平均粒径は着色層の識別性及び上質なマット感を得る点から、1~10μmが好ましく、5~10μmがより好ましい。また、クリア層中の非晶質シリカ微粒子の含有量は、着色層の識別性及び上質なマット感を得る点から8~20質量%が好ましく、10~15質量%がより好ましい。
クリア層を形成するための塗料は、前記微粒子を含有する塗料であればよいが、例えば、アクリルシリコーン系、ウレタン系、アクリル系、アクリルウレタン系等の2液硬化型樹脂、熱硬化型樹脂等からなる無色透明樹脂と、他の添加剤として例えば湿潤分散剤、沈降防止剤、消泡剤、レベリング剤等、溶剤として例えば酢酸ブチル、酢酸エチル等を含むものが挙げられる。中でも耐候性や耐汚染性に優れるアクリルシリコーン系やアクリルウレタン系の樹脂を使用したクリア塗料とするのが好ましい。
クリア層を形成するための塗布方法は、フローコーター、ロールコーター、スプレーコーター等の既存に方法が適用できる。クリア層の乾燥塗膜での塗布量は、基板の単位面積(m2)当たり、10~50gが好ましく、10~40gがより好ましい。また、クリア層中の有機固形分量は、不燃性確保の点から、基板の単位面積(m2)当たり、8~45gが好ましく、8~35gがより好ましい。
また、本発明の窯業系化粧板においては、着色層とクリア層の間に印刷層を設けることもできる。印刷層を設けることにより、化粧板に木目調あるいは石目調といった模様を付与することができる。印刷を施す方法としては、グラビア印刷、グラビアオフセット印刷、インクジェット印刷、スクリーン印刷、ロータリースクリーン印刷、凸版式印刷、パット印刷等既存の方法を適用することができる。
本発明の化粧板は、コーンカロリーメーター発熱性試験による総発熱量が8MJ/m2以下であるのが好ましい。この要件を満たすことにより、JIS A 5430:2013、附属書JAで規定する発熱性1級(加熱時間20分)を満たし、高い不燃性を示す。さらに好ましい総発熱量は、7.2MJ/m2以下である。
以下、本発明を実施例及び比較例によりさらに説明するが、本発明は下記例に制限されない。
(1)繊維強化セメント板(基板)
基板として、ハイラック((株)エーアンドエーマテリアル製)を使用した。ハイラックは、JIS A 5430の表1において「けい酸カルシウム板 タイプ2 0.8けい酸カルシウム板」に該当する繊維強化セメント板である。なお、実施例および比較例において使用したハイラックは、プラテン研磨機を用いて番手100番の研磨紙で研磨することにより、あらかじめ化粧層を形成する面(以下、表面)を平滑にしたものを使用した。
(2)各層の形成
各塗膜層は、次の塗料と方法により形成した。なお、クリア層に用いた塗料に含まれる非晶質シリカの含有率は表1の実施例1、2および比較例1,2の4水準とし、それ以外は以下に示す方法により化粧板を作成し、試験体とした。また、着色層の形成までは同じ方法とし、クリア層形成前の表面状態としたものを参考例の試験体とした。
(a)シーラー層
大日本塗料(株)Vセラン♯100NSシーラー(ポリウレタン樹脂系無溶剤型)
基板の表面に有機固形分が約30g/m2となるようロールコーターを用いて塗布した。
(b)下塗り層
下塗り1回目:大日本塗料(株)ルーセン♯600NR-1(変性エポキシ樹脂系紫外線硬化型)
シーラー層の上層に有機固形分が約37g/m2となるようロールコーターを用いて塗布した。
下塗り2回目:大日本塗料(株)ルーセン♯600NR-2(変性エポキシ樹脂系紫外線硬化型)
1回目の下塗り塗料を紫外線照射である程度硬化させた後、有機固形分量が約27g/m2となるようロールコーターを用いて塗布し、紫外線を照射して下塗り層全体を硬化させてから、ワイドベルトサンダーを用いて研磨材番手400番の研磨ペーパーで研磨して平滑な下塗り層とした。
(c)着色層
ナトコ(株)ユービマイルド 1A色
下塗り層の上層に有機固形分が約22g/m2となるようフローコーターを用いて塗布したのち、常温でセッティング後、雰囲気温度60℃にて2hr乾燥して着色層を形成した。
(3)クリア層
2液硬化型アクリルウレタン系つや消しクリア塗料(非晶質シリカ(平均粒径6μm)含有)
着色層の上層に有機固形分が約20g/m2となるようフローコーターを用いて塗布したのち、常温でセッティング後、雰囲気温度60℃にて2hr乾燥してクリア層を形成した。
(4)ヘーズ(くもり)の測定
クリア層用の塗料を透明なガラス板にフローコーターで所定量塗布し、常温でセッティング後、雰囲気温度60℃にて2hr乾燥後に測定した。
測定機器は日本電色工業製 NDH4000を使用した。
(5)光沢度(グロス)の測定
クリア層形成前および形成後の板について測定した。
測定機器はキヤノン製 表面反射アナライザー RA-532Hを使用し、測定角度は60°とした。
(6)L***表色系による測定
クリア層形成前および形成後の板について測定した。
測定機器はKONICA MINOLTA製 色彩色差計CR-410を使用。
(7)マット感の判定
塗装表面を目視により評価。
○:上質なマット感が有る。
△:ややマット感は有るものの光沢も有る。
×:マット感は無く、光沢が有る。
(8)RBDFの測定
マット感を表すためにRBDF(拡散度)の測定を行った。RBDFは、光が入射したときに、どの方向にどれだけの光を反射したかを表す、反射光強度の角度分布のことで、入射角60°に対し、反射角60°付近の反射光強度の角度分布を測定した。
測定機器はキヤノン製 表面反射アナライザー RA-532Hを使用した。
表1および図2~6に測定結果を示す。
Figure 0007099880000001
表1より、実施例1、2はクリア層のヘーズが高く、光沢度が15以下のつや消し状態になっており、L***表色系の色差が1.6以上ではあるが、さほど大きな値とはなっていないので着色層の色が判別できる程度であり、結果として上質なマット感が得られるものとなった。これに対し比較例1、2では、つや感が残っており、マット感が不足と感じられるものになった。これは、RBDFの測定結果である図2~6の違いに現れている。参考例を測定した図2ではほぼ正規分布に近い反射率の分布となっているが、比較例2の図3、比較例1の図4ではやや分布が拡がり、反射率も落ちているのが判る。これに対し、実施例2の図5および実施例1の図6では反射率が極端に低くなり、分布も拡がりすぎて規則性がなくなっているためつやが感じられない表面となっていることが判る。
(9)汚れ防止試験
前記(1)の基板に対し、(2)の材料を用い表2の塗装仕様に示す塗布量で実施例3と比較例3の化粧板を製造し、汚れ防止試験を行った。実施例3では、実施例1と同じシリカ含有率のクリア層用塗料を使用した。
Figure 0007099880000002
(a)金属汚れ試験
塗装面にコイン(10円玉)平面部を当てて30回往復(コインスクラッチ)した後、汚れの有無を目視観察し、光沢度と色差を測定した。
その後、エタノールを含ませた紙タオルで20回往復させて拭取り、汚れの有無を目視観察し、光沢度と色差を測定した。結果を表3に示す。
Figure 0007099880000003
(b)耐汚染試験
対象の汚染物質を試験体の中央に滴下または塗布し、時計皿で被覆した状態で24時間放置した。
24時間放置後、塗膜面を傷つけない脱脂綿等と台所用中性合成洗剤を用い拭き取り、表面を観察した。
中性洗剤で拭き取れない場合はエタノールを用いて拭き取り、表面を観察した。
滴下または塗布条件
青インク:試験体の中央部にスポイトで1~2滴(約0.5mL)を滴下する。
黒マジック:試験体の中央部20mm×40mmの面積を均一に塗りつぶす。
結果を表4に示す。
Figure 0007099880000004
表3の結果から、本発明のクリア層を有する実施例3の化粧板は、比較例3に比べて金属汚れがつきにくく、コインスクラッチによる光沢度の変化が小さいことが判る。また、エタノール拭取り後も光沢度および色差に変化がなく、さらに、表4の結果からも実施例3は耐汚れ性に優れているといえる。
以上のように、本発明の窯業系化粧板は、着色層の色相等が明確に識別できる上質なマット感を有するとともに、汚れ防止の効果もある化粧層をもつことから、建築物等の内装仕上材として広く適用することができる。

Claims (3)

  1. 窯業系基板の少なくとも片側の面に、シーラー層、下塗り層、着色層およびクリア層をこの順で形成してなる窯業系化粧板であって、
    下塗り層は、シーラー層表面上に、粘度が200~600dPa・sである第1の不飽和ポリエステル塗料を塗布して紫外線を照射する第1の下塗り塗装と粘度が20~60dPa・sである第2の不飽和ポリエステル塗料を塗布して紫外線を照射する第2の下塗り塗装を行い、第2の下塗り塗装で下塗り塗料全体を硬化させた硬化物であって、表面が平滑になるように研磨した硬化物であり、
    着色層は、無機系の着色顔料と、アクリル樹脂、ウレタン樹脂及びアクリルウレタン樹脂から選択される樹脂とを含み、
    下塗り層表面上に着色層を形成した後にJIS Z 8741:1997に準拠して測定した60°鏡面光沢度が30~60の範囲であり、
    クリア層は、体積平均粒径が1~10μmである非晶質シリカを8~20質量%と、アクリルシリコーン、ウレタン、アクリル及びアクリルウレタンから選択される無色透明樹脂とを含み、
    下記の方法により測定したヘーズが60~90であり、かつ
    着色層表面上にクリア層を形成した後にJIS Z 8741:1997に準拠して測定した60°鏡面光沢度が6~15である、
    窯業系化粧板。
    (ヘーズの測定)
    クリア層を形成した塗料を透明なガラス板の表面に塗布し、雰囲気温度60℃にて2時間乾燥して当該化粧板と同じ膜厚のクリア層を形成し、これをJIS K 7136:1999に準拠してヘーズを測定する。
  2. クリア層の乾燥塗膜での塗布量が10~50g/m2である請求項1記載の窯業系化粧板。
  3. コーンカロリーメーター発熱性試験による総発熱量が8MJ/m2以下である請求項1又は2記載の窯業系化粧板。
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