JP7099880B2 - 窯業系化粧板 - Google Patents
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Description
従って、本発明の課題は、従来の化粧板とは異なる外観を有する窯業系化粧板を提供することにある。
〔2〕クリア層が、非晶質シリカ微粒子を含む〔1〕記載の窯業系化粧板。
〔3〕クリア層が、体積平均粒径1~10μmの非晶質シリカを8~20質量%含有する〔1〕又は〔2〕記載の窯業系化粧板。
〔4〕クリア層の乾燥塗膜での塗布量が10~50g/m2である〔1〕~〔3〕のいずれかに記載の窯業系化粧板。
〔5〕コーンカロリーメーター発熱性試験による総発熱量が8MJ/m2以下である〔1〕~〔4〕のいずれかに記載の窯業系化粧板。
これらの基板のうち、繊維強化セメント板がより好ましい。
繊維強化セメント板中の繊維、特にパルプ等の有機繊維の含有比率は、マトリックスによっても異なるが、強度及び不燃性の確保の点から、5~9質量%であることが好ましく、6~8質量%であるのがさらに好ましい。パルプ等の有機繊維の含有比率が少ないと化粧板の機械的強度が低下し、熱負荷、乾燥、炭酸化や衝撃による割れを発生しやすくなる。逆にパルプ等の有機繊維の含有率が多いと、不燃性を維持することが困難となる。
必要に応じて用いられる各種添加材としては、当業界で一般的に用いられているものが挙げられ、とくに制限されないが、例えばワラストナイト、マイカ、炭酸カルシウム等の粉末、繊維強化セメント板やせっこうボードの廃材粉末等が挙げられる。なお、オートクレーブ養生を行う場合は、セメント中の石灰との水熱反応硬化によりさらに強度を上げる点から、けい酸質原料、例えば粉末硅石等の結晶質シリカ、フライアッシュ等の非晶質シリカ等を添加するとともに、必要に応じて石灰質原料、例えば生石灰、消石灰等も追加して、マトリックス成分のCaO/SiO2のモル比が0.7~1.2となるように調整して用いるのが好ましい。
基板の総発熱量は、JIS A 5430:2013、附属書JAに従い測定した値である。
シーラー層は、公知のシーラーを用いて形成させることができ、例えば湿気硬化型ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂等の硬化性樹脂を用い、基板の表面に塗布し硬化させること等により行われる。シーラーは基板への含浸性が良く、高不揮発分であり、かつ、基板中の水分や雰囲気の湿気と反応して三次元架橋し、耐水性能等が良いポリイソシアネート又はポリイソシアネートとポリオールとの反応生成物である遊離イソシアネート基を有するプレポリマー及び酢酸ブチルのような溶剤を主成分とする湿気硬化型ウレタン系のものが好適である。また、化粧板としての黄変が問題となる場合には、HDI(ヘキサメチレンジイソシアネート)等の脂肪族イソシアネート、IPDI(イソホロンジイソシアネート)等の脂環族イソシアネートを使用することが好ましい。なお、昨今のVOC対策の観点から溶剤を含んでいない無溶剤シーラーまたは水系シーラーを使用することや、ケイ酸リチウムあるいはケイ酸ナトリウムなどのケイ酸塩系シーラー等の無機シーラーや、テトラエトキシシランやテトラメトキシシランなどを主成分とするシラン化合物系シーラーも使用できる。
シーラー層の形成は、例えば繊維強化セメント板の表面温度を50~60℃に加熱し、公知のロールコーター、スプレー等の方法でシーラーを塗布し、次いで硬化することにより行うことができる。含浸シーラーの粘度は、使用する含浸シーラーの種類、塗装方法を勘案して適宜決めることができ、硬化は、例えば加熱乾燥することにより行うことができる。
本発明の窯業系化粧板の着色層は、無機系の着色顔料を含み、着色層形成後の光沢度が30~60の範囲であるのが、化粧板の外観及び上質なマット感を得るうえで重要である。着色層表面の光沢度が30未満では、クリア層形成後に着色層の識別性が十分でない。また、着色層表面の光沢度が60を超えると、クリア層形成後に上質なマット感が得られない。より好ましい光沢度は30~50である。ここで、光沢度はJIS Z 8741:1997に準拠した光沢度計により測定した60度鏡面光沢の値である。
着色層を形成する塗料としては、前記の着色顔料を有する、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、アクリルウレタン樹脂等の樹脂を含有する塗料を用いるのが好ましく、中でもアクリルウレタン樹脂塗料が好適であり、2液硬化型アクリルウレタン樹脂塗料を用いるのがより好ましい。また、エポキシ樹脂塗料、ポリウレタン樹脂塗料、塩化ビニル樹脂塗料、塩化ビニリデン樹脂塗料、アクリルシリコーン樹脂塗料、フッ素樹脂塗料等の塗料を用いてもよい。
クリア層のヘーズが60未満では透明感が強いため期待する上品な質感が得られず、90を超えると着色層の識別性が低下する。また、クリア層形成後の光沢度が、6~15の範囲外の場合は、上質なマット感が得られない。より好ましいヘーズは60~80である。ここで、ヘーズは、透明なガラス板の表面に化粧板と同じ膜厚のクリア層を形成し、これをJIS K 7136:1999に準拠のヘーズメーターにより測定した値である。
基板として、ハイラック((株)エーアンドエーマテリアル製)を使用した。ハイラックは、JIS A 5430の表1において「けい酸カルシウム板 タイプ2 0.8けい酸カルシウム板」に該当する繊維強化セメント板である。なお、実施例および比較例において使用したハイラックは、プラテン研磨機を用いて番手100番の研磨紙で研磨することにより、あらかじめ化粧層を形成する面(以下、表面)を平滑にしたものを使用した。
各塗膜層は、次の塗料と方法により形成した。なお、クリア層に用いた塗料に含まれる非晶質シリカの含有率は表1の実施例1、2および比較例1,2の4水準とし、それ以外は以下に示す方法により化粧板を作成し、試験体とした。また、着色層の形成までは同じ方法とし、クリア層形成前の表面状態としたものを参考例の試験体とした。
(a)シーラー層
大日本塗料(株)Vセラン♯100NSシーラー(ポリウレタン樹脂系無溶剤型)
基板の表面に有機固形分が約30g/m2となるようロールコーターを用いて塗布した。
(b)下塗り層
下塗り1回目:大日本塗料(株)ルーセン♯600NR-1(変性エポキシ樹脂系紫外線硬化型)
シーラー層の上層に有機固形分が約37g/m2となるようロールコーターを用いて塗布した。
下塗り2回目:大日本塗料(株)ルーセン♯600NR-2(変性エポキシ樹脂系紫外線硬化型)
1回目の下塗り塗料を紫外線照射である程度硬化させた後、有機固形分量が約27g/m2となるようロールコーターを用いて塗布し、紫外線を照射して下塗り層全体を硬化させてから、ワイドベルトサンダーを用いて研磨材番手400番の研磨ペーパーで研磨して平滑な下塗り層とした。
(c)着色層
ナトコ(株)ユービマイルド 1A色
下塗り層の上層に有機固形分が約22g/m2となるようフローコーターを用いて塗布したのち、常温でセッティング後、雰囲気温度60℃にて2hr乾燥して着色層を形成した。
2液硬化型アクリルウレタン系つや消しクリア塗料(非晶質シリカ(平均粒径6μm)含有)
着色層の上層に有機固形分が約20g/m2となるようフローコーターを用いて塗布したのち、常温でセッティング後、雰囲気温度60℃にて2hr乾燥してクリア層を形成した。
クリア層用の塗料を透明なガラス板にフローコーターで所定量塗布し、常温でセッティング後、雰囲気温度60℃にて2hr乾燥後に測定した。
測定機器は日本電色工業製 NDH4000を使用した。
クリア層形成前および形成後の板について測定した。
測定機器はキヤノン製 表面反射アナライザー RA-532Hを使用し、測定角度は60°とした。
クリア層形成前および形成後の板について測定した。
測定機器はKONICA MINOLTA製 色彩色差計CR-410を使用。
塗装表面を目視により評価。
○:上質なマット感が有る。
△:ややマット感は有るものの光沢も有る。
×:マット感は無く、光沢が有る。
マット感を表すためにRBDF(拡散度)の測定を行った。RBDFは、光が入射したときに、どの方向にどれだけの光を反射したかを表す、反射光強度の角度分布のことで、入射角60°に対し、反射角60°付近の反射光強度の角度分布を測定した。
測定機器はキヤノン製 表面反射アナライザー RA-532Hを使用した。
前記(1)の基板に対し、(2)の材料を用い表2の塗装仕様に示す塗布量で実施例3と比較例3の化粧板を製造し、汚れ防止試験を行った。実施例3では、実施例1と同じシリカ含有率のクリア層用塗料を使用した。
塗装面にコイン(10円玉)平面部を当てて30回往復(コインスクラッチ)した後、汚れの有無を目視観察し、光沢度と色差を測定した。
その後、エタノールを含ませた紙タオルで20回往復させて拭取り、汚れの有無を目視観察し、光沢度と色差を測定した。結果を表3に示す。
対象の汚染物質を試験体の中央に滴下または塗布し、時計皿で被覆した状態で24時間放置した。
24時間放置後、塗膜面を傷つけない脱脂綿等と台所用中性合成洗剤を用い拭き取り、表面を観察した。
中性洗剤で拭き取れない場合はエタノールを用いて拭き取り、表面を観察した。
滴下または塗布条件
青インク:試験体の中央部にスポイトで1~2滴(約0.5mL)を滴下する。
黒マジック:試験体の中央部20mm×40mmの面積を均一に塗りつぶす。
結果を表4に示す。
Claims (3)
- 窯業系基板の少なくとも片側の面に、シーラー層、下塗り層、着色層およびクリア層をこの順で形成してなる窯業系化粧板であって、
下塗り層は、シーラー層表面上に、粘度が200~600dPa・sである第1の不飽和ポリエステル系塗料を塗布して紫外線を照射する第1の下塗り塗装と、粘度が20~60dPa・sである第2の不飽和ポリエステル系塗料を塗布して紫外線を照射する第2の下塗り塗装を行い、第2の下塗り塗装で下塗り塗料全体を硬化させた硬化物であって、表面が平滑になるように研磨した硬化物であり、
着色層は、無機系の着色顔料と、アクリル樹脂、ウレタン樹脂及びアクリルウレタン樹脂から選択される樹脂とを含み、
下塗り層表面上に着色層を形成した後にJIS Z 8741:1997に準拠して測定した60°鏡面光沢度が30~60の範囲であり、
クリア層は、体積平均粒径が1~10μmである非晶質シリカを8~20質量%と、アクリルシリコーン系、ウレタン系、アクリル系及びアクリルウレタン系から選択される無色透明樹脂とを含み、
下記の方法により測定したヘーズが60~90であり、かつ
着色層表面上にクリア層を形成した後にJIS Z 8741:1997に準拠して測定した60°鏡面光沢度が6~15である、
窯業系化粧板。
(ヘーズの測定)
クリア層を形成した塗料を透明なガラス板の表面に塗布し、雰囲気温度60℃にて2時間乾燥して当該化粧板と同じ膜厚のクリア層を形成し、これをJIS K 7136:1999に準拠してヘーズを測定する。 - クリア層の乾燥塗膜での塗布量が10~50g/m2である請求項1記載の窯業系化粧板。
- コーンカロリーメーター発熱性試験による総発熱量が8MJ/m2以下である請求項1又は2記載の窯業系化粧板。
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Nico Frankhuizen,製品・材料の光沢管理の重要性およびISOの最新動向,塗装技術,2014年07月,7月号,p.101-107 |
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