JPS6240076B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は表面に木目模様、抽象柄模様などの立
体的な凹凸模様を圧設されてなる化粧板の製造方
法に関するものである。

従来一般には合板の表面に木目柄模様を印刷し
その表面に該模様と同調するように表面に細かな
小凸部を導管溝模様状に多数配設されたエンボス
ロールを用いて押圧し、導管溝模様状の小凹部を
圧設形成する方法が提案されている。

この方法により得られた化粧板は導管溝模様状
の小凹部が多数形成され、広葉樹天然木表面に近
似したものとなつたが、表面に導管溝模様状の小
凹部を多数形成されているにもかかわらずこれら
の凹部は小さくしかも浅いためその表面は平滑面
に近く立体的な凹凸模様を表現されるものではな
く、その模様自体導管溝を表現しごく限られた局
部的な天然木表面を表現したものである。

しかし天然木表面には導管溝以外の凹凸模様た
とえば広葉樹の木目模様のように大きな凹凸面も
存在する。このような導管溝以外の凹凸模様を表
現するために、特公昭34−648号のように、合板
の表面に下地塗装を施こした後、木目模様を調刻
したエンボスロールで合板表面を圧搾し、この圧
搾した表面に下地塗料よりやゝ濃い塗料を塗布
し、さらにその上面に最も濃い塗料を塗布する方
法も提案されている。この方法においては木目模
様がエンボスロールにより立体的に表現されるの
で、木目模様部分に塗られた塗料の色調と相挨つ
て、木目模様とその周囲の部分との境界面が漠と
して、天然木の自然感をある程度表現できるもの
である。

しかしこの方法でもなお次のような問題点を残
している。

表面に浮出し模様が形成されているにもかか
わらず、浮出模様上面から単純に天然木に似せ
て塗装するものであり、天然木のもつ複雑な木
目模様を表現するには至らなかつた。

下地塗料を塗布乾燥後、型ローラで圧搾する
ため表面に深い凹部を形成すると合板自体の割
れ、下地塗料の割れが発生するため凹部を浅く
しなくてはならず立体感に乏しいものである。

下地塗料を塗布乾燥後型ローラで圧搾するた
め、圧搾後合板の反発により凹部がもどり凹部
が小さくなつたり浅くなつたりし立体感を減少
する。

本発明はこのように従来技術の課題を解決する
ことを目的とするものである。すなわち本発明は
基板１の下地塗装２上に木目印刷３を施こし、さ
らにその上に塗膜層４を形成して凹凸模様５形成
の際木目印刷３を保護するとともに、下地塗装２
塗膜層４の合成樹脂塗料を適宜選択することによ
り、塗料の割れの発生を防止したものである。

以下図面に記載された本発明の実施例について
説明する。

１は基板であり、合板繊維板、木質板、石膏
板、セメント板、金属板、合成樹脂板などの有
機質あるいは無機質または有機質無機質の混合
体などの板状体である。またその表面に紙、
布、樹脂フイルムなどのシート状物を貼着した
ものなどその表面に凹凸模様を圧設することの
できるものであればいずれでも良い。

基板１の表面に必要に応じて目止塗装、シー
ラー塗装、サンデイングなどの下地処理を適宜
に１回ないし複数回施し平滑面とすると共に表
面強化を施す。

基板１の表全面に木下地色その他任意色に着
色された塗料をロールコーター、フローコータ
ーなどの塗装装置を用いてほぼ均一に塗装し、
下地塗装２を施す。下地塗装２は基板１の表面
の材色の不揃い、欠点を隠蔽し、同一色調に調
整し、後工程での印刷、色調また塗膜の密着を
良好にする。

下地塗装２として形成される木下地色その他
任意色に着色された塗料は加熱することによつ
て柔軟性を有する熱可塑性樹脂塗料と該塗料の
可塑温度よりも高い温度で硬化する熱可塑性樹
脂塗料との混合塗料を用いる。

熱可塑性樹脂塗料を下地塗装２として用いる
塗料を用いることにより、表面に凹凸を有する
ロールあるいはプレートによる加熱成型時、下
地塗膜が軟化するため押圧成型し易くしかも塗
膜割れなどの発生がない。

また熱可塑性樹脂塗料と該塗料の可塑温度よ
りも高い温度で硬化する熱硬化性樹脂塗料との
混合塗料を用いることにより、先に示したよう
に凹凸模様の押圧成型し易くしかも塗膜の割れ
などの発生がないだけでなく、押圧成型時の加
熱により熱硬化性樹脂塗料が同時に硬化するた
め成型後の基板の反発を固着する。したがつて
押圧成型された凹凸模様５は反発による戻りが
なく、凹凸部の原形が保持される。

つぎに下地塗装２を施された表面にグラビア
印刷あるいはオフセツト印刷またはグラビアオ
フセツト印刷などの印刷方法により任意の木目
柄模様３を印刷形成する。

木目柄模様３の印刷に代えて抽象柄模様でも
良く、また１色印刷に限らず多色印刷を施して
も良い。

木目柄模様３に使用する印刷インキは基板１
の表面に施された下地塗装２また印刷方法など
の条件によつて決定されるが、たとえば一般的
に用いられるグラビア用インキ、オフセツト用
インキ、グラビアオフセツト用インキなどを用
いれば良い。

４また木目柄模様３の印刷形成前あるいは後
に木目柄模様３と同調するように表面に細かな
小凸部を導管溝模様状に多数配設されたエンボ
スロールを用いて押圧し、導管溝模様状の小凹
部を形成しても良い。

木目柄模様３を形成後その表全面に透明ある
いは半透明塗料をロールコーター．フローコー
ターなどの塗布装置を用いて均一に塗布し、塗
膜層４を形成する。

塗膜層４の形成する透明あるいは半透明塗料
は必要に応じて着色を施しても良く、その塗料
は加熱することによつて柔軟となる熱可塑性合
成樹脂塗料と、該熱硬化性合成樹脂塗料と該塗
料の可塑温度よりも高い温度で硬化する熱硬化
性合成樹脂塗料との混合塗料を用いる。

熱可塑性合成樹脂塗料を用いることにより表
面に凹凸を有するロールあるいはプレートによ
る加熱成型時、塗膜層４の塗膜が軟化するため
押圧成型し易くしかも塗膜割れなどの発生がな
い。

このような混合塗料を用いることにより、凹
凸模様５の押圧成型が容易に行え、成型後塗膜
割れの発生がない。

また押圧成型時の加熱により熱硬化性樹脂塗
料が同時に硬化するので、成型後の基板の反発
も固着する。すなわち凹凸模様５の凹凸形状に
戻りが発生せず、その原形状が保持される。

つぎに加熱ロールあるいはプレートを用いて
基板１の表面を押圧し、塗膜層４に被覆されて
いる木目模様３上に立体的な木目模様状の凹凸
模様５を形成する。

ロールあるいはプレート表面に刻設される凹
凸模様は木目模様に限らず抽象柄模様などでも
良い。

また印刷形成された木目柄模様３あるいは抽
象柄模様と圧設形成される立体的な木目模様状
の凹凸模様５あるいは抽象柄模様状の凹凸模様
とは同調してもあるいは同調しなくてもよい。

木目模様状の凹凸模様５を木目柄模様３と同
調させ形成するときは、その凸部を秋目、凹部
を春目に表現し木目柄模様３における秋目の凸
頂部に当る部分を濃く印刷することによつてそ
の表面は焼木的な浮出し模様が表現され、意匠
的効果が高められる。

前記した如く加熱ロールあるいは加熱プレー
トを用いて押圧成型を施すとき下層の下地塗装
２上層の塗膜層４として熱可塑性樹脂塗料を用
いることにより加圧時、その熱によつて下地塗
装２塗膜層４が軟化し、凹凸模様５が成形し易
くなり、これらの塗膜に塗膜割れの発生がな
い。

また熱可塑性、熱硬化性樹脂塗料を併用する
ことにより凹凸模様５の成型が容易になるだけ
でなく、基板１の反発による“戻り”も発生し
ない。

仮に上層の塗膜層４を形成しないで、凹凸模
様５を形成することも可能であるが、加圧時の
熱で木目柄模様３のインクが劣化してしまい、
意匠的効果は低下する。

凹凸模様５の形成後、その表全面に透明ある
いは半透明塗料をロールコーター、フローコー
ターなどで均一に塗布し、表面保護層６を形成
してもよい。

また表面保護層６は任意着色してもよい。

本願発明の作用効果： 下地塗装２、塗膜層４は熱可塑性塗料と、該熱
硬化性塗料の可塑温度より高い硬化温度を有する
熱硬化性塗料とを混合しているので、凹凸模様５
の押圧成型時、この熱硬化性塗料が“硬化”し、
凹凸模様５はその成型後、前記“硬化”により固
着され、基板１の反発による戻りもない。したが
つて凹凸模様５は鮮明に美しく表現される。

木目柄模様３の上面に塗膜層４を形成した後、
凹凸模様５が形成されるので、木目柄模様３の印
刷面は、塗膜層４に保護され、印刷インクのにじ
みなど発生することがない。

実施例 合板の表面にシーラー塗装を施した後目止塗装
を複数回繰り返し行いサンデイングをして表面の
ランダムな導管溝を埋め平滑面とする。

木下地色に着色されたビニール系樹脂塗料をロ
ールコーターを用いて全面均一に30ｇ／m²塗布す
る。

グラビアオフセツト印刷インキを用いグラビア
オフセツト印刷機により１色目木目柄模様、２色
目木目柄模様を順次印刷形成する。

表全面にアルキト系樹脂塗料をロールコーター
を用いて全面均一に20ｇ／m²塗布する。熱風乾燥
機を用いて70〜120℃５分間の乾燥を行なう。

次にエンボスプレートを取り付けた熱圧プレス
を用いて合板の表面を100〜200℃、60〜120秒、
45Kg／cm²の条件で凹凸模様を形成する。該エンボ
スプレートには春目部分を凸部、秋目部分を凹部
に形成されたエンボス面を有し、このエンボス模
様は前記２色印刷された木目柄模様とは同調して
いない。

つぎに表全面にウレタン系樹脂塗料をロールコ
ーターを用いて20ｇ／m²塗布する。

つぎに熱風乾燥機を用いて70〜120℃10分間乾
燥し、求むる木目浮出し模様を有する化粧板を得
た。

【図面の簡単な説明】

第１〜５図は本発明方法を工程順に示す断面図
である。 １……基板、２……下地塗装、３……木目柄模
様、４……塗膜層、５……凹凸模様、６……表面
保護層。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 基板１の表面に木下地色に着色された熱可塑
   性合成樹脂塗料と、該熱可塑性合成樹脂塗料の可
   塑温度より高い硬化温度を有する熱硬化性合成樹
   脂塗料との混合塗料を用いて下地塗装２を施こ
   し、 下地塗装２上に木目模様３を印刷した後、透明
   ないし半透明の熱可塑性合成樹脂塗料と、該熱可
   塑性合成樹脂塗料の可塑温度より高い硬化温度を
   有する熱硬化性合成樹脂塗料との混合塗料を用い
   て、塗膜層４を形成し、しかる後該塗膜層４の表
   面から加熱をともなうエンボス装置を押圧して凹
   凸模様５を形成する、 ことを特徴とする化粧板の製造方法。