JPS6144061B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は基板表面に針葉樹の木目模様を印刷し
た木目模様印刷と同調した凹凸模様を形成された
化粧板及びその製造方法に関するものである。

化粧板の化粧模様に針葉樹の木目模様を表現し
ようとして従来から多くの試みがなされている
が、本発明者はどの部分に化粧模様のアクセント
を置いたならば、天然針葉樹の木目に酷似した木
目模様が得られるかを検討した結果、秋目、春目
部分に異なる木肌のてりがあることに着目した。

そして、以下述べるように化粧模様の秋目相当
部分に光沢を帯びさせることにより、天然の針葉
樹の木目模様に酷似した化粧面を得ることを企図
したものである。

一方、従来既に合板の表面に下地塗料を塗布乾
燥後木目模様を彫刻した型ロールで圧搾し凹凸模
様を形成し、該凹凸模様の凸部表面に下地塗料よ
りやや濃い塗料、次に濃い色彩塗料を順次塗布し
た後、その表全面に艶出し剤を塗布することによ
つて塗り重ねられた色彩の境界面を漠然とし、天
然木の色彩を表現しようとした方法が提案されて
いる。（特公昭34−648） しかしこの方法によつて得られた化粧板は次の
ような問題点が存する。

表面に凹凸模様が形成されているにもかかわ
らず、その表面化粧は天然木の色彩を大まかに
表現されたものであり、天然木のもつ複雑な木
目模様（柾目板目）を表現されたものではなか
つた。

表面全面を艶出し剤にて塗装しているため、
表面全面に光沢があり、天然木の表面光沢すな
わち秋目、春目によつて異なる木肌のてりが表
現されるものでない。

本発明は、その化粧模様を針葉樹を表現したも
のに限定し従来技術の課題を解決することを目的
とするものである。すなわち本発明は基板１上に
印刷された天然針葉樹を表現した木目模様３に同
調した凹凸模様５，６を形成し、該凹凸模様５，
６の凸部５を金属粉末顔料を混入した塗料により
塗装するものである。本発明方法による化粧板は
このような構成をとることにより、天然木針葉樹
に酷似したてりのある“手造り”感のある化粧面
を得ようとするものである。

以下図面に記載された本発明の実施例について
説明する。

１は基板であり、合板繊維板、木質板、石膏
板、セメント板、金属板、合成樹脂板などの有
機質あるいは無機質または有機質無機質の混合
体などの板状体が用いられる。

また基板１としては、表面に紙、布、樹脂フ
イルムなどのシート状物質を貼着したもの、あ
るいは表面に凹凸模様を刻設したものを用いて
もよい。

基板１の表面に必要に応じて目止塗装シーラ
ー、塗装サンデイングなどの下地処理を適宜に
１回ないし複数回施し平滑面とすると共に表面
強化を施す。

基板１の表全面に天然針葉樹の木下地色に似
た色の塗料をロールコーター、フローコーター
などの塗装装置を用いてほぼ均一に塗装し、下
塗り塗装２を施す。

下塗り塗装２は基板１の表面の材色の不揃い
欠点を隠蔽し、同一色調に調整し、後工程にお
ける印刷、色調の調整および塗膜への密着を良
好にする。

下塗り塗装２として形成される木下地色に着
色された塗料は、加熱することによつて柔軟性
を有する熱可塑性塗料が好ましい。

熱可塑性塗料を用いることによつて表面に凹
凸を有するロールあるいはプレートすなわちエ
ンボスロール、エンボスプレートによる加熱成
型時下塗り塗装２の塗膜が軟化するため押圧成
型し易く、しかも塗膜割れなどが発生しない。

下塗り塗装２として形成される塗料は熱可塑
性塗料と該塗料の可塑温度よりも高い温度で硬
化する熱硬化性塗料との混合塗料であつてもよ
い。

該混合塗料を用いることによつて先に示した
如く熱可塑性塗料の軟化により押圧成型し易
く、しかも塗膜の割れの発生がないばかりか、
押圧成型時の熱により熱硬化性塗料が硬化する
ため、成型後の基板の反発によるもどりを固着
する利点がある。

つぎに下塗り塗装２を施された表面に、グラ
ビア印刷あるいはオフセツト印刷またはグラビ
アオフセツト印刷などの印刷方法により天然針
葉樹の木目を表現しようとする木目模様３を印
刷形成する。

木目模様３に使用される印刷インキは基板１
の表面に施された下塗り塗装２または印刷方法
などの条件によつて決定されるが、たとえば一
般的に用いられるグラビア用インキ、オフセツ
ト用インキ、グラビアオフセツト用インキなど
を用いればよい。

また基板１の表面を木目模様３の印刷形成前
あるいは後に該木目模様３と同調するように天
然針葉樹にも存在するような表面に細かな小凸
部を導管溝模様状に多数配設されたエンボスロ
ールを用いて押圧し、基板１表面に導管溝模様
状の小凹部を多数形成してもよい。

つぎに木目模様３を印刷形成後、その表全面
に透明あるいは半透明塗料をロールコーター、
フローコーターなどの塗装装置を用いてほぼ均
一に塗装し上塗り塗装４を施す。

上塗り塗装４として形成される塗料は下塗り
塗装２として用いる塗料と同様熱可塑性塗料あ
るいは熱可塑性塗料と熱硬化性塗料を用いるこ
とが好ましい。

上塗り塗装４は必要に応じて着色を施しても
よい。

また上塗り塗装４はシリカ粉、タルク、クレ
ー、珪藻土、アルミナなどの艶消し剤を添加さ
れた透明ないし半透明塗料を用いて艶消し上塗
り塗装としてもよい。

つぎにこの上塗り塗装４表面からエンボスロ
ールあるいはエンボスプレートを用いて加熱押
圧し、凸部５凹部６からなる天然針葉樹の表面
凹凸に似せた凹凸模様５，６を形成する。

このエンボスロールあるいはエンボスプレー
トは、その表面に木目模様３に同調した凹凸面
が形成されている。

木目模様３と同調して形成された凹凸模様の
凸部５を天然針葉樹の秋目、凹部６を天然針葉
樹の春目に表現し、木目模様３における秋目を
濃く印刷することによつて表面が立体感を増し
浮出し模様が表現される。

つぎに立体的な凹凸模様を形成する凸部５表
面をロールコーター印刷機などの装置を用い、
通常用いられる塗料に金属粉末顔料を混入され
た塗料を塗布し凸部塗装７を施す。

金属粉末顔料としては金粉、銀粉、銅粉、ア
ルミニウム粉、真鍮粉などを任意選択して用い
る。また金属粉末顔料を混入された塗料のかわ
りにパール仕上げ塗料を用いて凸部塗装７を施
し、光沢（テリ）を表現してもよい。

凸部塗装７を施すことによりその中に混入さ
れた金属粉末顔料によつて天然木の表面光沢と
同様の光沢（テリ）を放ち天然木と酷似した化
粧面が形成される。また、本発明は針葉樹以外
の針葉樹に類似した木目の樹種にも適用できる
ものである。

（第１発明の効果） 凸部５に施された金属粉末顔料の光沢と、透明
ないし半透明の上塗り塗装４とが相俟つて天然針
葉樹の表面光沢（テリ）が自然感をもつて表現さ
れる。

殊に、木目模様３は化粧紙に印刷されたもので
なく、ダイレクトに基板１上に印刷されたもので
あるので、凹凸模様を同調され易く美麗に表現さ
れるので、よりよく自然木の針葉樹に酷似したも
のとなる。

（第２発明の効果） エンボスの加熱成型時、下塗り塗装２の塗膜
が軟化するため、押圧成型し易く、塗膜切れが
発生しない。

木目模様３表面に上塗り塗装４を施した後、
凹凸模様５，６を加熱成型するので成型時の熱
により、木目模様３内の顔料は上塗り塗装４に
被覆されて変色することがない。したがつて木
目模様３は鮮やかに表現される。

実施例 基板１の表面にシーラー塗装を施した後目止塗
装を複数回繰り返し行ない、サンデイングをして
表面のランダムな導管溝を埋め平滑面とする。

天然針葉樹に似せた木下地色に着色されたビニ
ール系樹脂塗料２をロールコーターを用いて全面
均一に30ｇ/m²塗布する。

グラビアオフセツト用印刷インキを用い、グラ
ビアオフセツト印刷機によつて天然針葉樹の木目
に似せた１色目木目模様、２色目木目模様を順次
印刷形成する。

つぎにその表全面にシリカ粉15％を添加された
アルキツド系樹脂塗料をロールコーターを用いて
全面均一に20ｇ/m²塗布して艶消し上塗り塗装４
を形成する。

つぎに熱風乾燥機を用いて70〜120℃で５分間
乾燥する。

つぎに該艶消し上塗り塗装４の表面から木目模
様３と同調した天然針葉樹の凹凸模様に似せた凹
凸模様を形成したエンボスプレートを配設した熱
圧プレスを用いて100〜200℃、60〜120℃、45Kg/
cm³の条件で押圧し、凹凸模様５，６を形成する。

つぎに凹凸模様５，６の凸部６にロールコータ
ーを用いて真鍮成分20％を混合したウレタン樹脂
塗料７を塗布する。

つぎに熱風乾燥機を用い70〜120℃10分間乾燥
し、求むる化粧板を得た。

【図面の簡単な説明】

図は本発明による実施例化粧板の断面拡大図で
ある。 １：基板、２：下塗り塗装、３：木目模様、
４：上塗り塗装、５：凸部、６：凹部、７：凸部
塗装。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 下塗り塗装２上に天然針葉樹の秋目、春目を
   表現する木目模様が印刷され、さらに透明ないし
   半透明上塗り塗装４が施された化粧板であつて、
   化粧板表面は木目模様３に同調する凹凸模様６が
   形成され、 該凹凸模様６の凸部５は金属粉末顔料を混入さ
   れた塗料によつて塗装されている、 ことを特徴とする化粧板。 ２ 上塗り塗装４が艶消し塗料により形成されて
   いる特許請求の範囲第１項記載の化粧板。 ３ 基板１の表面に木下地色に着色された下塗り
   塗装２を施し、 つぎに下塗り塗装２上に天然針葉樹の秋目、春
   目を表現する木目模様３を印刷し、 さらに透明ないし半透明塗料を塗布して上塗り
   塗装４を施し、 つぎにエンボスロールあるいはエンボスプレー
   トを用いて木目模様３に同調し、かつ天然針葉樹
   の表面凹凸に似せた凹凸模様５，６を形成した
   後、 凹凸模様５，６の凸部５に金属粉末顔料を混入
   した塗料を塗布する、 ことを特徴とする化粧板の製造方法。 ４ 上塗り塗装４の塗料中に艶消し剤を添加混合
   した特許請求の範囲第３項記載の化粧板の製造方
   法。