JP2004231788A - 絶縁樹脂シートおよび絶縁樹脂付き金属箔の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】以下の4項を同時に満たす絶縁樹脂シートおよび絶縁樹脂付き金属箔を提供する。
1.割れ角度90度以上
2.切断時の樹脂粉末の発生量0.01%以下
3.5mm/10mm幅のライン/スペースをボイドなく埋め込みできること(絶縁樹脂厚80μm,回路銅箔厚35μm)
4.デスミア溶解量100mg/dm2以下
【解決手段】多官能エポキシ樹脂とポリビニルアセタール樹脂を必須成分とする樹脂組成物。
【選択図】 なし
1.割れ角度90度以上
2.切断時の樹脂粉末の発生量0.01%以下
3.5mm/10mm幅のライン/スペースをボイドなく埋め込みできること(絶縁樹脂厚80μm,回路銅箔厚35μm)
4.デスミア溶解量100mg/dm2以下
【解決手段】多官能エポキシ樹脂とポリビニルアセタール樹脂を必須成分とする樹脂組成物。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は,プリント配線板を製造する際に用いられる絶縁樹脂材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
民生用電子機器の小型化が進むに従い,それらに用いるプリント配線板はより高密度化し,微細配線化する傾向にある。また,近年,薄型化ファインピッチに対応した絶縁樹脂シートまたは絶縁樹脂付き金属箔を使用したビルドアップ工法による薄板多層プリント配線板が多用されている。
【0003】
従来,絶縁樹脂シートまたは絶縁樹脂付き金属箔の切断時に,樹脂粉末が発生し,これが積層時のロールラミネーターのロール等または金属鏡面板等と絶縁樹脂シートまたは絶縁樹脂付き金属箔の間に入り込み,多層プリント配線板表面の凹凸となり,その後のエッチングによる回路パターン作成時の回路形成不良等の原因となっていた。このため,樹脂粉末が発生している絶縁樹脂付き金属箔を加熱・溶融し固着することにより樹脂粉末の飛散を防止する方法や,有機溶剤等の絶縁樹脂を溶解する液体で絶縁樹脂付き金属箔を洗浄し樹脂粉末を除去する等の方法が行われていた。しかし,前者の方法では加熱による絶縁樹脂付き金属箔のそり・カール等の発生により,取り扱い性が著しく低下する,また加熱温度が120−170℃と高温であるため樹脂の硬化が進行してしまい回路埋め込み性等が悪化するなどの問題を抱えていた。また,後者の方法では除去したい樹脂粉末のみならず,樹脂が洗浄に使用する液体により溶解し外観不良が発生する,一般に有機溶剤を用いるため安全性に問題がある,洗浄に用いる液体やその廃液処理にコストがかかる等の問題があった。さらに,水を用いて絶縁樹脂付き金属箔を洗浄し樹脂粉末を除去する方法もあり,上記の方法の問題点は解決されるが,半硬化状態で固着しやすい樹脂粉末を除去するために長時間の洗浄が必要である,長時間の水洗により樹脂が吸水するため洗浄処理後の乾燥が十分でないと耐熱性等が劣化する等の問題もあった。
【0004】
また,切断時やその後の工程等で絶縁樹脂シートまたは絶縁樹脂付き金属箔を取扱う際に,絶縁樹脂シートまたは絶縁樹脂付き金属箔が割れやすいという取扱い上の問題もあり,注意して取扱う必要があるため作業性が低下したり,割れの程度がひどい場合は絶縁樹脂と共に金属箔にも亀裂が入ってしまい回路の断線の原因にもなっていた。
【0005】
一般に,絶縁樹脂シートまたは絶縁樹脂付き金属箔に用いられる樹脂組成物は,エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂と塗膜形成性,可とう性を持たせるための可とう材を主材とするものであり,従来は,可とう材を増量することで切断時の樹脂粉末発生の抑制や取扱い性の向上を図り,上記の問題を解決していた。
【0006】
しかし,可とう材を増量する方法では,樹脂組成物中の熱硬化成分が減ってしまうため,耐デスミア性に劣るという問題があった。このことに起因して,デスミア処理が過剰となる傾向があるため,処理条件の緩和が必要となるが,処理の程度とのバランスをとる必要があり処理条件の管理幅が狭くなる,処理液を汚染することがあり処理液の寿命が短くなりコストが上がる等の問題があった。また,可とう材は一般に高粘度であるため回路埋め込み性が悪くなる等の問題もあった。そのため従来は,耐デスミア性および回路埋め込み性と,切断時の樹脂粉末の発生や取扱い性の問題を同時には解決できなかった。(例えば、特許文献1参照)
【0007】
【特許文献1】
特開平10−330512号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は,上記の問題を解決するために,以下の4項を同時に満たす絶縁樹脂シートおよび絶縁樹脂付き金属箔を提供するものである。
【0009】
1.割れ角度90度以上
2.切断時の樹脂粉末の発生量0.01%以下
3.5mm/10mm幅のライン/スペースをボイドなく埋め込みできること(絶縁樹脂厚80μm,回路銅箔厚35μm)
4.デスミア溶解量100mg/dm2以下
割れ角度に関しては,作業性を落とさずに,絶縁樹脂シートおよび絶縁樹脂付き金属箔を取扱うことができるための割れ角度は90度以上である。90度未満では割れが発生しやすくなるため,取扱いに注意する必要があり作業性は著しく低下する。また,切断時の樹脂粉末の発生量に関しては,0.01%以下で,積層後に絶縁樹脂シートおよび絶縁樹脂付き金属箔表面上の実用上問題となる凹凸数が0になる。0.01%を越えると,実用上問題となる凹凸が形成されるため,この凹凸を除去する工程が必要となり作業性が悪くなる,歩留が低下する等の問題がある。さらに,回路埋め込み性に関しては,絶縁樹脂厚80μmで回路銅箔厚35μmの5mm/10mm幅のライン/スペースをボイドなく埋め込みできれば,一般的な回路埋め込み性が問題ないレベルとなる。最後に,デスミア溶解量は100mg/dm2以下であれば,一般のFR−4材と同等の溶解量となり,処理過剰や液の汚染等も問題にならない。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は,次のものに関する。
(1)多官能エポキシ樹脂とポリビニルアセタール樹脂を必須成分とする樹脂組成物。
(2)該多官能エポキシ樹脂の軟化点が80℃以上である項1記載の樹脂組成物。
(3)該ポリビニルアセタール樹脂が樹脂組成物中の樹脂成分100重量部当り10〜30重量部である項2記載の樹脂組成物。
(4)項3記載の樹脂組成物をワニスとして,キャリアフィルムまたは金属箔に塗布,乾燥して得られる絶縁樹脂シートまたは絶縁樹脂付き金属箔。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下,本発明を詳細に説明する。
本発明において使用される多官能エポキシ樹脂としては,軟化点が80℃以上であれば特に限定されないが,フェノールノボラック型エポキシ樹脂やクレゾールノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられ,これらから単独または2種以上が選択される。この多官能エポキシ樹脂で軟化点が80℃以上のものとしては,エピクロンN−680(大日本インキ化学工業株式会社製,商品名,軟化点85℃),エピクロンN−695(大日本インキ化学工業株式会社製,商品名,軟化点95℃),ESCN−190−10(住友化学工業株式会社製,商品名,軟化点81.5℃)ESCN−190−18(住友化学工業株式会社製,商品名,軟化点87.5℃),ESCN−195−10(住友化学工業株式会社製,商品名,軟化点83℃),ESCN−195−18(住友化学工業株式会社製,商品名,軟化点89℃)として市販されているものが挙げられる。また,これらから単独または2種以上が選択される。
【0012】
本発明において使用される樹脂組成物は,必要に応じてエポキシ樹脂の硬化剤を適宜加えても良く,その硬化剤としては,前記エポキシ樹脂を硬化させるものであれば特に限定されないが,例えば,多官能フェノール類,アミン類,イミダゾール化合物,酸無水物,有機リン化合物およびこれらのハロゲン化物などが挙げられる。これらから単独または2種以上選択される。
【0013】
多官能フェノール類の硬化剤としては,単環二官能フェノールであるヒドロキノン,レゾルシノール,カテコール,多環二官能フェノールであるビスフェノールA,ビスフェノールF,ナフタレンジオール類,ビフェノール類およびこれらのフェノール類とアルデヒド類との重縮合物であるノボラック,レゾール等が挙げられる。
【0014】
アミン類の硬化剤としては,脂肪族あるいは芳香族の第一級アミン,第二級アミン,第三級アミン,第四級アンモニウム塩および脂肪族環状アミン類,グアニジン類,尿素誘導体等が挙げられる。
【0015】
これらの化合物としては,N,N−ベンジルジメチルアミン,2−(ジメチルアミノメチル)フェノール,2,4,6,−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール,テトラメチルグアニジン,トリエタノールアミン,N,N’−ジメチルピペラジン,1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン,1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセン,1,5−ジアザビシクロ[4,4,0]−5−ノネン,ヘキサメチレンテトラミン,ピリジン,ピコリン,ピペリジン,ピロリジン,ジメチルシクロヘキシルアミン,ジメチルヘキシルアミン,ジイソブチルアミン,ジ−n−ブチルアミン,ジフェニルアミン,N−メチルアニリン,トリ−n−プロピルアミン,トリ−n−オクチルアミン,トリ−n−ブチルアミン,テトラメチルアンモニウムクロライド,テトラメチルアンモニウムブロマイド,テトラメチルアンモニウムアイオダイド,トリエチレンテトラミン,ジアミノジフェニルメタン,ジアミノジフェニルエーテル,ジシアンジアミド,トリビグアニド,グアニル尿素,ジメチル尿素等が挙げられる。
【0016】
イミダゾール化合物の硬化剤としては,イミダゾール,2−エチルイミダゾール,2−エチル−4−メチルイミダゾール,2−メチルイミダゾール,2−フェニルイミダゾール,2−ウンデシルイミダゾール,1−ベンジル−2−メチルイミダゾール,2−ヘプタデシルイミダゾール,4,5−ジフェニルイミダゾール,2−エチルイミダゾリン,2−メチルイミダゾリン,2−フェニルイミダゾリン,2−ウンデシルイミダゾリン,2−ヘプタデシルイミダゾリン,2−イソプロピルイミダゾール,2,4−ジメチルイミダゾール,2−フェニル−4−メチルイミダゾール,2−フェニル−4−メチルイミダゾリン,ベンズイミダゾール,1−シアノエチルイミダゾール等が挙げられる。
【0017】
酸無水物の硬化剤としては,無水フタル酸,ヘキサヒドロ無水フタル酸,ピロメリット酸二無水物,ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
【0018】
有機リン化合物の硬化剤としては,有機基を有するリン化合物であれば特に限定されず,例えば,ヘキサメチルリン酸トリアミド,リン酸トリ(クロロプロピル),リン酸トリ(ジクロロプロピル),亜リン酸トリフェニル,リン酸トリメチル,フェニルフォスフォン酸,トリフェニルフォスフィン,トリ−n−ブチルフォスフィン,ジフェニルフォスフィン等が挙げられる。
【0019】
これらの硬化剤は,単独または2種以上選択される。また,これらのエポキシ樹脂用硬化剤の配合量については,エポキシ樹脂のエポキシ基の硬化反応を進行させることが可能であれば特に限定されないが,好ましくは,エポキシ樹脂のエポキシ基に対して0.01−10.0当量の範囲で,特に好ましくは0.1−1.5当量の範囲で使用する。
【0020】
本発明において使用されるポリビニルアセタール樹脂は,ポリビニルアルコールとアルデヒドの縮合によって得られるポリマーで,分子内にアセタール結合を有し,アルデヒドとしてホルムアルデヒドを用いるとポリビニルホルマール樹脂,アルデヒドとしてブチルアルデヒドを用いるとポリビニルブチラール樹脂が得られる。本発明では,ポリビニルブチラール樹脂が好ましい。ポリビニルブチラール樹脂の重合度およびブチラール化度は特に制限はないが,数平均重合度が500〜3000でありブチラール化度が60モル%以上であるものが好ましい。数平均重合度が500未満では耐熱性が十分ではなく,また3000を越えると粘度が高くなりすぎ,塗布することが困難になる傾向がある。また,ブチラール化度は上記の範囲であれば特に制限はないが,60モル%未満では樹脂の柔軟性が十分ではなく,接着強度に劣る傾向がある。
【0021】
ポリビニルブチラール樹脂としては,エスレックBX−1(平均重合度1700,ブチラール化度65モル%),同BX−2(平均重合度1700,ブチラール化度65モル%),同BX−55(平均重合度1700,ブチラール化度70モル%)(以上,積水化学工業株式会社製,商品名),デンカブチラール#4000−2(平均重合度1000,ブチラール化度65モル%),同#5000−A(平均重合度2000,ブチラール化度70モル%),同#6000−C(平均重合度2400,ブチラール化度70モル%)(以上,電気化学工業工業株式会社製,商品名)として市販されているものを用いることができる。また,これらから単独または2種以上が選択される。
【0022】
本発明において使用される樹脂組成物には,必要に応じてメラミン樹脂を加えても良く,このメラミン樹脂としては特に制限はないが,例えばメチルエーテル化メラミン樹脂,ブチルエーテル化メラミン樹脂,混合エーテル化メラミン樹脂等を挙げることができる。これらのメラミン樹脂は単独または2種以上を組み合わせて用いられる。さらにメラミン樹脂の硬化剤も必要に応じて使用され,この硬化剤としては特に制限はないが,例えば酸性硬化剤としてはパラトルエンスルホン酸,アジピン酸,イタコン酸,サリチル酸,シュウ酸,安息香酸,酢酸等が挙げられ,酸無水物系硬化剤としては例えば無水マレイン酸,無水フタル酸,無水酢酸等を挙げることができる。
【0023】
本発明の樹脂組成物のワニスは,上記の配合材料に必要に応じて有機溶液を加え,混合することにより得られる。有機溶液としては,樹脂組成物を溶解するものであれば特に限定するものではないが,メタノール,エタノール,イソプロピルアルコール,n−ブタノール等のアルコール系溶剤,アセトン,メチルエチルケトン,シクロヘキサノン等のケトン系溶剤,トルエン,キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤,ジメチルスルホキシド等の硫黄化合物系溶剤,N−メチルピロリドン,ホルムアルデヒド,N−メチルホルムアルデヒド,N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド系溶剤,メチルセロソルブ,エチルセロソルブ,セロソルブアセテートなどのセロソルブ系溶剤等が使用可能であり,これらから単独または2種以上選択される。
【0024】
本発明に用いられる絶縁樹脂シートおよび絶縁樹脂付き金属箔の製造方法は特に限定されないが,例えば上記の樹脂組成物のワニスを,溶剤に溶解して樹脂ワニスとしたものを,キャリアフィルムまたは金属箔に塗布し,加熱・乾燥してすることにより得られる。本発明において,絶縁樹脂シートに使用されるキャリアフィルムとしては特に限定されないが,例えばPET,PBT,PPOなどの乾燥温度に耐えうる有機フィルムが挙げられる。また,絶縁樹脂付き金属箔に使用される金属箔としては特に限定されないが,銅箔,アルミニウム箔,ニッケル箔,銀箔等が挙げられる。さらに,樹脂組成物の上記キャリアフィルムおよび金属箔への塗布方法については,特に限定されないが,コンマコータ,ブレードコータ,リップコータ,ロッドコータ,スクイズコータ,リバースロールコータ,トランスファロールコータ等を使用することにより塗布される。
【0025】
【実施例】
以下に本発明を実施例により詳細に説明するが,本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0026】
実施例1−3,比較例1−4
1.表1に示す配合で,固形分が50重量%となるようにメタノールとメチルエチルケトン(1/1重量比)の混合溶剤に均一に溶解させて,樹脂組成物のワニスを得た。こうして得られたワニスをロールコータにより厚さ12μmの銅箔(GTS−12:古河サーキットフォイル社製,商品名)の粗化面に乾燥・硬化後での樹脂厚みが80μmになるよう塗布し,120℃で20分間乾燥し銅箔付き絶縁樹脂を作製した。
【0027】
2.取扱い性については割れ角度により評価した。割れ角度は,項1記載の銅箔付き絶縁樹脂を20mm×100mmのサイズに切断し,その長手方向の割れ角度をマンドレル試験器により樹脂面を内側にして測定した。
【0028】
3.樹脂粉末発生量は,以下のように測定した。項1記載の銅箔付き絶縁樹脂を100mm×100mmに切断し5枚重ねた状態で重量を測定し,落下前重量とした。これを水平な実験台上で垂直につまみ,20mmの高さから20回落下させた後重量を測定し,落下後重量とし,次式により樹脂粉末発生量を算出した。
【0029】
【数1】
樹脂粉末発生量[%]=(落下前重量−落下後重量)/落下前重量×100
【0030】
4.回路埋め込み性は,5mm/10mm幅のライン/スペースを一面に施したガラス・エポキシ樹脂銅張積層板(積層板厚:0.6mm,銅箔厚35μm)MCL−E−67(日立化成工業株式会社製,商品名)に,項1の銅箔付き絶縁樹脂を真空下で加温加圧積層(温度:185℃,圧力:3.0MPa,保持時間:90分)し,銅をエッチングにより全面除去しボイドの有無を確認することにより評価した。
【0031】
5. デスミア溶解量は以下のように測定した。項1の銅箔付き絶縁樹脂をガラス・エポキシ樹脂銅張積層板(積層板厚:0.4mm,銅箔厚12μm)MCL−E−67(日立化成工業株式会社製,商品名)の両面の銅に黒化処理を施した後,絶縁樹脂層を積層板側に向け,真空下で加温加圧積層(温度:185℃,圧力:3.0MPa,保持時間:90分)して評価基板を作製した。この基板の銅をエッチングにより全面除去し,50mm×100mmの大きさに切断し評価サンプルを作製した。これを,130℃に保った恒温槽中で1時間乾燥後,重量を測定し処理前の重量とした。デスミア処理は,シプレイ・ファーイースト社製の処理液を用い,下記の工程にて実施した。処理後,130℃に保った恒温槽中でサンプルを1時間乾燥した後,再び重量を測定し処理後の重量とし,その重量減少量によりデスミア溶解量を測定した。
【0032】
デスミア処理
(1) 膨潤: サーキュポジット MLB コンディショナー 211( シプレイ・ファーイースト社製), 80℃, 5分
(2) 流水洗: 5分
(3) 粗化: サーキュポジット MLB プロモーター 213(シプレイ・ファーイースト社製), 80℃
(4) 温水洗: 50℃,3分
(5) 中和: サーキュポジット MLB ニュートラライザー 216−2(シプレイ・ファーイースト社製), 40℃, 5分
(6) 流水洗: 5分
【0033】
本発明のいずれの実施例においても,割れ角度が90度以上,切断時の樹脂粉末の発生量が0.01%以下,絶縁樹脂厚80μmで回路銅箔厚35μmの5mm/10mm幅のライン/スペースをボイドなく埋め込み可能,デスミア溶解量は100mg/dm2以下,すなわち取扱い性に優れ,切断時の樹脂粉末の発生が少なく,且つ,回路埋め込み性およびデスミア性に優れた絶縁樹脂シートおよび絶縁樹脂付き金属箔を容易に製造可能となることが示される。
【0034】
【発明の効果】
本発明の樹脂組成物を用いることにより,取扱い性に優れ,切断時の樹脂粉末の発生が少なく,且つ,回路埋め込み性およびデスミア性に優れた絶縁樹脂シートおよび絶縁樹脂付き金属箔を容易に製造可能となる。
【0035】
【表1】
エピクロンN−680: 大日本インキ化学工業株式会社製,商品名(クレゾールノボラック型エポキシ樹脂,軟化点85℃)
エピクロンN−660: 大日本インキ化学工業株式会社製,商品名(クレゾールノボラック型エポキシ樹脂,軟化点64℃)
エピコート815: ジャパンエポキシレジン株式会社製,商品名(ビスフェノールA型エポキシ樹脂)
エスレックBX−1: 積水化学工業株式会社製,商品名(ポリビニルアセタール樹脂)
メラン2000: 日立化成工業株式会社製,商品名(n−ブチル化メラミン樹脂)
【発明の属する技術分野】
本発明は,プリント配線板を製造する際に用いられる絶縁樹脂材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
民生用電子機器の小型化が進むに従い,それらに用いるプリント配線板はより高密度化し,微細配線化する傾向にある。また,近年,薄型化ファインピッチに対応した絶縁樹脂シートまたは絶縁樹脂付き金属箔を使用したビルドアップ工法による薄板多層プリント配線板が多用されている。
【0003】
従来,絶縁樹脂シートまたは絶縁樹脂付き金属箔の切断時に,樹脂粉末が発生し,これが積層時のロールラミネーターのロール等または金属鏡面板等と絶縁樹脂シートまたは絶縁樹脂付き金属箔の間に入り込み,多層プリント配線板表面の凹凸となり,その後のエッチングによる回路パターン作成時の回路形成不良等の原因となっていた。このため,樹脂粉末が発生している絶縁樹脂付き金属箔を加熱・溶融し固着することにより樹脂粉末の飛散を防止する方法や,有機溶剤等の絶縁樹脂を溶解する液体で絶縁樹脂付き金属箔を洗浄し樹脂粉末を除去する等の方法が行われていた。しかし,前者の方法では加熱による絶縁樹脂付き金属箔のそり・カール等の発生により,取り扱い性が著しく低下する,また加熱温度が120−170℃と高温であるため樹脂の硬化が進行してしまい回路埋め込み性等が悪化するなどの問題を抱えていた。また,後者の方法では除去したい樹脂粉末のみならず,樹脂が洗浄に使用する液体により溶解し外観不良が発生する,一般に有機溶剤を用いるため安全性に問題がある,洗浄に用いる液体やその廃液処理にコストがかかる等の問題があった。さらに,水を用いて絶縁樹脂付き金属箔を洗浄し樹脂粉末を除去する方法もあり,上記の方法の問題点は解決されるが,半硬化状態で固着しやすい樹脂粉末を除去するために長時間の洗浄が必要である,長時間の水洗により樹脂が吸水するため洗浄処理後の乾燥が十分でないと耐熱性等が劣化する等の問題もあった。
【0004】
また,切断時やその後の工程等で絶縁樹脂シートまたは絶縁樹脂付き金属箔を取扱う際に,絶縁樹脂シートまたは絶縁樹脂付き金属箔が割れやすいという取扱い上の問題もあり,注意して取扱う必要があるため作業性が低下したり,割れの程度がひどい場合は絶縁樹脂と共に金属箔にも亀裂が入ってしまい回路の断線の原因にもなっていた。
【0005】
一般に,絶縁樹脂シートまたは絶縁樹脂付き金属箔に用いられる樹脂組成物は,エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂と塗膜形成性,可とう性を持たせるための可とう材を主材とするものであり,従来は,可とう材を増量することで切断時の樹脂粉末発生の抑制や取扱い性の向上を図り,上記の問題を解決していた。
【0006】
しかし,可とう材を増量する方法では,樹脂組成物中の熱硬化成分が減ってしまうため,耐デスミア性に劣るという問題があった。このことに起因して,デスミア処理が過剰となる傾向があるため,処理条件の緩和が必要となるが,処理の程度とのバランスをとる必要があり処理条件の管理幅が狭くなる,処理液を汚染することがあり処理液の寿命が短くなりコストが上がる等の問題があった。また,可とう材は一般に高粘度であるため回路埋め込み性が悪くなる等の問題もあった。そのため従来は,耐デスミア性および回路埋め込み性と,切断時の樹脂粉末の発生や取扱い性の問題を同時には解決できなかった。(例えば、特許文献1参照)
【0007】
【特許文献1】
特開平10−330512号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は,上記の問題を解決するために,以下の4項を同時に満たす絶縁樹脂シートおよび絶縁樹脂付き金属箔を提供するものである。
【0009】
1.割れ角度90度以上
2.切断時の樹脂粉末の発生量0.01%以下
3.5mm/10mm幅のライン/スペースをボイドなく埋め込みできること(絶縁樹脂厚80μm,回路銅箔厚35μm)
4.デスミア溶解量100mg/dm2以下
割れ角度に関しては,作業性を落とさずに,絶縁樹脂シートおよび絶縁樹脂付き金属箔を取扱うことができるための割れ角度は90度以上である。90度未満では割れが発生しやすくなるため,取扱いに注意する必要があり作業性は著しく低下する。また,切断時の樹脂粉末の発生量に関しては,0.01%以下で,積層後に絶縁樹脂シートおよび絶縁樹脂付き金属箔表面上の実用上問題となる凹凸数が0になる。0.01%を越えると,実用上問題となる凹凸が形成されるため,この凹凸を除去する工程が必要となり作業性が悪くなる,歩留が低下する等の問題がある。さらに,回路埋め込み性に関しては,絶縁樹脂厚80μmで回路銅箔厚35μmの5mm/10mm幅のライン/スペースをボイドなく埋め込みできれば,一般的な回路埋め込み性が問題ないレベルとなる。最後に,デスミア溶解量は100mg/dm2以下であれば,一般のFR−4材と同等の溶解量となり,処理過剰や液の汚染等も問題にならない。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は,次のものに関する。
(1)多官能エポキシ樹脂とポリビニルアセタール樹脂を必須成分とする樹脂組成物。
(2)該多官能エポキシ樹脂の軟化点が80℃以上である項1記載の樹脂組成物。
(3)該ポリビニルアセタール樹脂が樹脂組成物中の樹脂成分100重量部当り10〜30重量部である項2記載の樹脂組成物。
(4)項3記載の樹脂組成物をワニスとして,キャリアフィルムまたは金属箔に塗布,乾燥して得られる絶縁樹脂シートまたは絶縁樹脂付き金属箔。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下,本発明を詳細に説明する。
本発明において使用される多官能エポキシ樹脂としては,軟化点が80℃以上であれば特に限定されないが,フェノールノボラック型エポキシ樹脂やクレゾールノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられ,これらから単独または2種以上が選択される。この多官能エポキシ樹脂で軟化点が80℃以上のものとしては,エピクロンN−680(大日本インキ化学工業株式会社製,商品名,軟化点85℃),エピクロンN−695(大日本インキ化学工業株式会社製,商品名,軟化点95℃),ESCN−190−10(住友化学工業株式会社製,商品名,軟化点81.5℃)ESCN−190−18(住友化学工業株式会社製,商品名,軟化点87.5℃),ESCN−195−10(住友化学工業株式会社製,商品名,軟化点83℃),ESCN−195−18(住友化学工業株式会社製,商品名,軟化点89℃)として市販されているものが挙げられる。また,これらから単独または2種以上が選択される。
【0012】
本発明において使用される樹脂組成物は,必要に応じてエポキシ樹脂の硬化剤を適宜加えても良く,その硬化剤としては,前記エポキシ樹脂を硬化させるものであれば特に限定されないが,例えば,多官能フェノール類,アミン類,イミダゾール化合物,酸無水物,有機リン化合物およびこれらのハロゲン化物などが挙げられる。これらから単独または2種以上選択される。
【0013】
多官能フェノール類の硬化剤としては,単環二官能フェノールであるヒドロキノン,レゾルシノール,カテコール,多環二官能フェノールであるビスフェノールA,ビスフェノールF,ナフタレンジオール類,ビフェノール類およびこれらのフェノール類とアルデヒド類との重縮合物であるノボラック,レゾール等が挙げられる。
【0014】
アミン類の硬化剤としては,脂肪族あるいは芳香族の第一級アミン,第二級アミン,第三級アミン,第四級アンモニウム塩および脂肪族環状アミン類,グアニジン類,尿素誘導体等が挙げられる。
【0015】
これらの化合物としては,N,N−ベンジルジメチルアミン,2−(ジメチルアミノメチル)フェノール,2,4,6,−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール,テトラメチルグアニジン,トリエタノールアミン,N,N’−ジメチルピペラジン,1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン,1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセン,1,5−ジアザビシクロ[4,4,0]−5−ノネン,ヘキサメチレンテトラミン,ピリジン,ピコリン,ピペリジン,ピロリジン,ジメチルシクロヘキシルアミン,ジメチルヘキシルアミン,ジイソブチルアミン,ジ−n−ブチルアミン,ジフェニルアミン,N−メチルアニリン,トリ−n−プロピルアミン,トリ−n−オクチルアミン,トリ−n−ブチルアミン,テトラメチルアンモニウムクロライド,テトラメチルアンモニウムブロマイド,テトラメチルアンモニウムアイオダイド,トリエチレンテトラミン,ジアミノジフェニルメタン,ジアミノジフェニルエーテル,ジシアンジアミド,トリビグアニド,グアニル尿素,ジメチル尿素等が挙げられる。
【0016】
イミダゾール化合物の硬化剤としては,イミダゾール,2−エチルイミダゾール,2−エチル−4−メチルイミダゾール,2−メチルイミダゾール,2−フェニルイミダゾール,2−ウンデシルイミダゾール,1−ベンジル−2−メチルイミダゾール,2−ヘプタデシルイミダゾール,4,5−ジフェニルイミダゾール,2−エチルイミダゾリン,2−メチルイミダゾリン,2−フェニルイミダゾリン,2−ウンデシルイミダゾリン,2−ヘプタデシルイミダゾリン,2−イソプロピルイミダゾール,2,4−ジメチルイミダゾール,2−フェニル−4−メチルイミダゾール,2−フェニル−4−メチルイミダゾリン,ベンズイミダゾール,1−シアノエチルイミダゾール等が挙げられる。
【0017】
酸無水物の硬化剤としては,無水フタル酸,ヘキサヒドロ無水フタル酸,ピロメリット酸二無水物,ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
【0018】
有機リン化合物の硬化剤としては,有機基を有するリン化合物であれば特に限定されず,例えば,ヘキサメチルリン酸トリアミド,リン酸トリ(クロロプロピル),リン酸トリ(ジクロロプロピル),亜リン酸トリフェニル,リン酸トリメチル,フェニルフォスフォン酸,トリフェニルフォスフィン,トリ−n−ブチルフォスフィン,ジフェニルフォスフィン等が挙げられる。
【0019】
これらの硬化剤は,単独または2種以上選択される。また,これらのエポキシ樹脂用硬化剤の配合量については,エポキシ樹脂のエポキシ基の硬化反応を進行させることが可能であれば特に限定されないが,好ましくは,エポキシ樹脂のエポキシ基に対して0.01−10.0当量の範囲で,特に好ましくは0.1−1.5当量の範囲で使用する。
【0020】
本発明において使用されるポリビニルアセタール樹脂は,ポリビニルアルコールとアルデヒドの縮合によって得られるポリマーで,分子内にアセタール結合を有し,アルデヒドとしてホルムアルデヒドを用いるとポリビニルホルマール樹脂,アルデヒドとしてブチルアルデヒドを用いるとポリビニルブチラール樹脂が得られる。本発明では,ポリビニルブチラール樹脂が好ましい。ポリビニルブチラール樹脂の重合度およびブチラール化度は特に制限はないが,数平均重合度が500〜3000でありブチラール化度が60モル%以上であるものが好ましい。数平均重合度が500未満では耐熱性が十分ではなく,また3000を越えると粘度が高くなりすぎ,塗布することが困難になる傾向がある。また,ブチラール化度は上記の範囲であれば特に制限はないが,60モル%未満では樹脂の柔軟性が十分ではなく,接着強度に劣る傾向がある。
【0021】
ポリビニルブチラール樹脂としては,エスレックBX−1(平均重合度1700,ブチラール化度65モル%),同BX−2(平均重合度1700,ブチラール化度65モル%),同BX−55(平均重合度1700,ブチラール化度70モル%)(以上,積水化学工業株式会社製,商品名),デンカブチラール#4000−2(平均重合度1000,ブチラール化度65モル%),同#5000−A(平均重合度2000,ブチラール化度70モル%),同#6000−C(平均重合度2400,ブチラール化度70モル%)(以上,電気化学工業工業株式会社製,商品名)として市販されているものを用いることができる。また,これらから単独または2種以上が選択される。
【0022】
本発明において使用される樹脂組成物には,必要に応じてメラミン樹脂を加えても良く,このメラミン樹脂としては特に制限はないが,例えばメチルエーテル化メラミン樹脂,ブチルエーテル化メラミン樹脂,混合エーテル化メラミン樹脂等を挙げることができる。これらのメラミン樹脂は単独または2種以上を組み合わせて用いられる。さらにメラミン樹脂の硬化剤も必要に応じて使用され,この硬化剤としては特に制限はないが,例えば酸性硬化剤としてはパラトルエンスルホン酸,アジピン酸,イタコン酸,サリチル酸,シュウ酸,安息香酸,酢酸等が挙げられ,酸無水物系硬化剤としては例えば無水マレイン酸,無水フタル酸,無水酢酸等を挙げることができる。
【0023】
本発明の樹脂組成物のワニスは,上記の配合材料に必要に応じて有機溶液を加え,混合することにより得られる。有機溶液としては,樹脂組成物を溶解するものであれば特に限定するものではないが,メタノール,エタノール,イソプロピルアルコール,n−ブタノール等のアルコール系溶剤,アセトン,メチルエチルケトン,シクロヘキサノン等のケトン系溶剤,トルエン,キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤,ジメチルスルホキシド等の硫黄化合物系溶剤,N−メチルピロリドン,ホルムアルデヒド,N−メチルホルムアルデヒド,N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド系溶剤,メチルセロソルブ,エチルセロソルブ,セロソルブアセテートなどのセロソルブ系溶剤等が使用可能であり,これらから単独または2種以上選択される。
【0024】
本発明に用いられる絶縁樹脂シートおよび絶縁樹脂付き金属箔の製造方法は特に限定されないが,例えば上記の樹脂組成物のワニスを,溶剤に溶解して樹脂ワニスとしたものを,キャリアフィルムまたは金属箔に塗布し,加熱・乾燥してすることにより得られる。本発明において,絶縁樹脂シートに使用されるキャリアフィルムとしては特に限定されないが,例えばPET,PBT,PPOなどの乾燥温度に耐えうる有機フィルムが挙げられる。また,絶縁樹脂付き金属箔に使用される金属箔としては特に限定されないが,銅箔,アルミニウム箔,ニッケル箔,銀箔等が挙げられる。さらに,樹脂組成物の上記キャリアフィルムおよび金属箔への塗布方法については,特に限定されないが,コンマコータ,ブレードコータ,リップコータ,ロッドコータ,スクイズコータ,リバースロールコータ,トランスファロールコータ等を使用することにより塗布される。
【0025】
【実施例】
以下に本発明を実施例により詳細に説明するが,本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0026】
実施例1−3,比較例1−4
1.表1に示す配合で,固形分が50重量%となるようにメタノールとメチルエチルケトン(1/1重量比)の混合溶剤に均一に溶解させて,樹脂組成物のワニスを得た。こうして得られたワニスをロールコータにより厚さ12μmの銅箔(GTS−12:古河サーキットフォイル社製,商品名)の粗化面に乾燥・硬化後での樹脂厚みが80μmになるよう塗布し,120℃で20分間乾燥し銅箔付き絶縁樹脂を作製した。
【0027】
2.取扱い性については割れ角度により評価した。割れ角度は,項1記載の銅箔付き絶縁樹脂を20mm×100mmのサイズに切断し,その長手方向の割れ角度をマンドレル試験器により樹脂面を内側にして測定した。
【0028】
3.樹脂粉末発生量は,以下のように測定した。項1記載の銅箔付き絶縁樹脂を100mm×100mmに切断し5枚重ねた状態で重量を測定し,落下前重量とした。これを水平な実験台上で垂直につまみ,20mmの高さから20回落下させた後重量を測定し,落下後重量とし,次式により樹脂粉末発生量を算出した。
【0029】
【数1】
樹脂粉末発生量[%]=(落下前重量−落下後重量)/落下前重量×100
【0030】
4.回路埋め込み性は,5mm/10mm幅のライン/スペースを一面に施したガラス・エポキシ樹脂銅張積層板(積層板厚:0.6mm,銅箔厚35μm)MCL−E−67(日立化成工業株式会社製,商品名)に,項1の銅箔付き絶縁樹脂を真空下で加温加圧積層(温度:185℃,圧力:3.0MPa,保持時間:90分)し,銅をエッチングにより全面除去しボイドの有無を確認することにより評価した。
【0031】
5. デスミア溶解量は以下のように測定した。項1の銅箔付き絶縁樹脂をガラス・エポキシ樹脂銅張積層板(積層板厚:0.4mm,銅箔厚12μm)MCL−E−67(日立化成工業株式会社製,商品名)の両面の銅に黒化処理を施した後,絶縁樹脂層を積層板側に向け,真空下で加温加圧積層(温度:185℃,圧力:3.0MPa,保持時間:90分)して評価基板を作製した。この基板の銅をエッチングにより全面除去し,50mm×100mmの大きさに切断し評価サンプルを作製した。これを,130℃に保った恒温槽中で1時間乾燥後,重量を測定し処理前の重量とした。デスミア処理は,シプレイ・ファーイースト社製の処理液を用い,下記の工程にて実施した。処理後,130℃に保った恒温槽中でサンプルを1時間乾燥した後,再び重量を測定し処理後の重量とし,その重量減少量によりデスミア溶解量を測定した。
【0032】
デスミア処理
(1) 膨潤: サーキュポジット MLB コンディショナー 211( シプレイ・ファーイースト社製), 80℃, 5分
(2) 流水洗: 5分
(3) 粗化: サーキュポジット MLB プロモーター 213(シプレイ・ファーイースト社製), 80℃
(4) 温水洗: 50℃,3分
(5) 中和: サーキュポジット MLB ニュートラライザー 216−2(シプレイ・ファーイースト社製), 40℃, 5分
(6) 流水洗: 5分
【0033】
本発明のいずれの実施例においても,割れ角度が90度以上,切断時の樹脂粉末の発生量が0.01%以下,絶縁樹脂厚80μmで回路銅箔厚35μmの5mm/10mm幅のライン/スペースをボイドなく埋め込み可能,デスミア溶解量は100mg/dm2以下,すなわち取扱い性に優れ,切断時の樹脂粉末の発生が少なく,且つ,回路埋め込み性およびデスミア性に優れた絶縁樹脂シートおよび絶縁樹脂付き金属箔を容易に製造可能となることが示される。
【0034】
【発明の効果】
本発明の樹脂組成物を用いることにより,取扱い性に優れ,切断時の樹脂粉末の発生が少なく,且つ,回路埋め込み性およびデスミア性に優れた絶縁樹脂シートおよび絶縁樹脂付き金属箔を容易に製造可能となる。
【0035】
【表1】
エピクロンN−680: 大日本インキ化学工業株式会社製,商品名(クレゾールノボラック型エポキシ樹脂,軟化点85℃)
エピクロンN−660: 大日本インキ化学工業株式会社製,商品名(クレゾールノボラック型エポキシ樹脂,軟化点64℃)
エピコート815: ジャパンエポキシレジン株式会社製,商品名(ビスフェノールA型エポキシ樹脂)
エスレックBX−1: 積水化学工業株式会社製,商品名(ポリビニルアセタール樹脂)
メラン2000: 日立化成工業株式会社製,商品名(n−ブチル化メラミン樹脂)
Claims (4)
- 多官能エポキシ樹脂とポリビニルアセタール樹脂を必須成分とする樹脂組成物。
- 該多官能エポキシ樹脂の軟化点が80℃以上である請求項1項記載の樹脂組成物。
- 該ポリビニルアセタール樹脂が樹脂組成物中の樹脂成分100重量部当り10〜30重量部である請求項2項記載の樹脂組成物。
- 請求項第3項記載の樹脂組成物をワニスとして,キャリアフィルムまたは金属箔に塗布,乾燥して得られる絶縁樹脂シートまたは絶縁樹脂付き金属箔。
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