JP2004230976A - 車両用シートベルト装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】シートベルトによる拘束時に乗員に不快感を与えず、しかも車両の衝突時に乗員を適切に保護可能なシートベルト装置を提供する。
【解決手段】シートベルト装置は、シートベルト11の張力を調節可能な電動モータ15と、ベルト張力制御プログラムを実行する電子制御ユニット31とを備えている。電子制御ユニット31は、距離センサ21、車速センサ22からの検出信号に基づき車両の衝突可能性を検出する。また、電子制御ユニット31は、衝突可能性の検出により電動モータ15を制御して前方物体との検出相対距離もしくは検出衝突時間が小さくなるに従い、または衝突を継続して検出している時間が大きくなるに従いシートベルト11の張力を大きくする。また、電子制御ユニット31は、衝突可能性が検出されなくなったときベルト張力が大きければ所定時間維持し、小または中程度の張力であれば元に戻すように制御する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の衝突時にシートベルトの張力を調節して乗員を保護するベルト張力調節手段を備えた車両用シートベルト装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、車両の衝突を予知する衝突予知手段によって車両の衝突が予知されたときプリテンショナを作動させ、シートベルトを所定の巻き取りトルクで巻き取って乗員を拘束するようにした車両用シートベルト装置は知られている。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−247210号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、衝突予知手段によって車両の衝突が一旦予知されても、その後の運転者の運転操作により衝突を回避できる場合がある。このような場合に、シートベルトの張力を大きくして乗員を拘束すると、乗員に不快感を与え、しかも乗員を不必要に拘束するという問題がある。
【0005】
【発明の概要】
本発明は、上記問題に対処するためになされたものであり、その目的は、シートベルトによる拘束時に乗員に不快感を与えず、しかも車両の衝突時に乗員を適切に保護できるシートベルト装置を提供することにある。
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の特徴は、車両の衝突時にシートベルトの張力を調節して乗員を保護するベルト張力調節手段を備えた車両用シートベルト装置において、車両が衝突対象物と衝突する可能性を検出する衝突可能性検出手段と、車両と衝突対象物との相対距離を検出する相対距離検出手段と、衝突可能性検出手段によって車両の衝突可能性が検出されているとき、相対距離検出手段によって検出される相対距離が小さくなるに従ってシートベルトの張力が大きくなるようにベルト張力調節手段を制御するベルト張力制御手段とを設けたことにある。
【0007】
この場合、前記衝突可能性検出手段を、車両の前端から前方物体(前方車両など)までの距離を検出する距離検出手段と、同検出距離が所定の短い距離以下であるとき車両が衝突する可能性があることを判定する判定手段とで構成できる。また、前記衝突可能性検出手段を、車両が前方物体に衝突するまでの時間を予測する衝突時間予測手段と、同予測した時間が所定の短い時間以下であるとき車両が衝突する可能性があることを判定する判定手段とで構成してもよい。さらに、前記衝突可能性検出手段を、ブレーキペダルの踏込量を検出するブレーキ踏込量検出手段と、同検出踏込量が所定の踏込量以上であるとき、または同検出踏込量により算出されたブレーキ踏込速度が所定の速度以上であるとき、車両が衝突する可能性があることを判定する判定手段とで構成してもよい。また、前記衝突可能性検出手段を、ブレーキマスタシリンダ液圧を検出する液圧検出手段と、同検出液圧が所定の液圧以上であるとき車両が衝突する可能性があることを判定する判定手段とで構成してもよい。
【0008】
一般的に、車両と衝突対象物との相対距離が小さくなるに従って車両の衝突可能性はより高くなる。前記本発明の特徴によれば、車両と衝突対象物との相対距離が大きいときには同相対距離が小さいときよりもシートベルトの張力が小さいので、車両の衝突可能性が誤って検出されたり、運転者が衝突を回避したときにシートベルトにより乗員を拘束しても乗員に不快感を与えない。
【0009】
また、本発明の他の特徴は、車両の衝突時にシートベルトの張力を調節して乗員を保護するベルト張力調節手段を備えた車両用シートベルト装置において、車両が衝突対象物と衝突する可能性を検出する衝突可能性検出手段と、衝突可能性検出手段によって車両の衝突可能性が継続して検出されている時間を計時する計時手段と、衝突可能性検出手段によって車両の衝突可能性が検出されているとき、計時手段によって検出される時間が長くなるに従ってシートベルトの張力が大きくなるようにベルト張力調節手段を制御するベルト張力制御手段とを設けたことにある。
【0010】
この場合も、前記と同様、前記衝突可能性検出手段を、距離検出手段、衝突時間予測手段、ブレーキ踏込量検出手段およびブレーキマスタシリンダ液圧検出手のうちの少なくとも一つと、各検出手段により検出された検出値に応じてそれぞれ車両が衝突する可能性があることを判定する判定手段とで構成できる。
【0011】
一般的に、衝突可能性を連続して検出している時間が長くなるに従って車両の衝突可能性はより高くなる。前記本発明の他の特徴によれば、検出時間が短いときには検出時間が長いときよりもシートベルトの張力が小さいので、車両の衝突可能性が誤って検出されたり、運転者が衝突を回避したときにシートベルトにより乗員を拘束しても乗員に不快感を与えない。
【0012】
また、本発明の他の特徴は、さらに衝突可能性検出手段によって車両の衝突可能性が検出されなくなったとき、シートベルトの張力が小さくなるようにベルト張力調節手段を制御するベルト張力低減制御手段を設けたことにある。これによれば、車両の衝突可能性が誤って検出されたり、衝突が回避されて車両の衝突可能性が検出されなくなったときシートベルトの張力が小さくなるので、乗員への不快感を減らし、不必要に乗員を拘束することを防止できる。
【0013】
また、本発明の他の特徴は、さらにシートベルトの張力が所定値よりも大きくなったことを条件に、前記ベルト張力低減制御手段によるシートベルトの張力を小さくする制御を所定時間だけ禁止する張力低減禁止手段を設けたことにある。この場合、前記シートベルトの張力が所定値よりも大きくなったことの条件は、上述した相対距離検出手段による検出相対距離が所定距離よりも小さくなったこと、または上述した計時手段による計時時間が所定時間よりも大きくなったこととすることができる。
【0014】
車両の衝突時に衝突可能性検出手段の破損等によって衝突可能性が検出されないことがある。この場合に、シートベルトの張力が小さくなるように制御すると車両の衝突時に乗員を適切に拘束することができない。この本発明の特徴によれば、シートベルトの張力が一旦所定値よりも大きくなった場合には、衝突可能性検出手段によって車両の衝突可能性が検出されなくなったときでも、張力低減禁止手段がシートベルトの張力を低減することなく、所定時間だけ以前の状態に維持するので、車両の衝突時に乗員を適切に拘束することができる。
【0015】
また、本発明の他の特徴は、車両の衝突時にシートベルトの張力を調節して乗員を保護するベルト張力調節手段を備えた車両用シートベルト装置において、車両が衝突対象物に衝突するまでの時間を予測する衝突時間予測手段と、衝突時間予測手段によって予測される時間が短くなるに従ってシートベルトの張力が大きくなるようにベルト張力調節手段を制御するベルト張力制御手段とを設けたことにある。
【0016】
この本発明の他の特徴によれば、衝突時間予測手段によって予測される時間が短くなるに従ってシートベルトの張力が大きくなる。一般的に、車両が衝突対象物に衝突するまでの予測時間が小さくなるに従って車両が衝突する確率は高くなる。この本発明の他の特徴によれば、予測時間が長いときは予測時間が短いときよりもシートベルトの張力が小さいので、運転者の回避操作により、車両が衝突する可能性が低くなり、また衝突する可能性がなくなったりしたときに、シートベルトにより乗員を拘束しても乗員に不快感を与えない。
【0017】
また、本発明の他の特徴は、さらに、前記衝突時間予測手段によって予測される時間が第1所定時間よりも長くなったとき、シートベルトの張力が小さくなるようにベルト張力調節手段を制御するベルト張力低減制御手段を設けたことにある。これによれば、運転者の回避操作により、車両が衝突する可能性がなくなったとき、シートベルトの張力を小さくすることができるので、シートベルトによる不必要な乗員拘束を防止できる。
【0018】
また、本発明の他の特徴は、さらに、前記衝突時間予測手段によって予測された時間が第1所定時間より短い第2所定時間よりも短くなったことを条件に、前記ベルト張力低減制御手段によるシートベルトの張力を小さくする制御を所定時間だけ禁止する張力低減禁止手段を設けた構成にするとよい。これによれば、車両衝突時に衝突時間予測手段によって衝突時間が予測されなくなったときでも、シートベルトの張力が維持されて、車両の衝突時に乗員が適切に保護される。
【0019】
【発明の実施の形態】
a.第1実施形態
以下、本発明の第1実施形態について図面を用いて説明すると、図1は、同第1実施形態に係る車両用シートベルト装置を概略的に示すブロック図である。このシートベルト装置SBは、車両衝突時にシートベルトの張力を大きくするためにシートベルトを巻き取って乗員を保護するもので、シートベルト11、バックル12およびリトラクタ13を備えている。シートベルト11は、その一端にてシートSの側方にて車両に固定されていて、その他端にてリトラクタ13に進入しており、その中間部にタングプレート14が組み付けられている。バックル12は、シートSの側方にて同シートSのフレームに固定されていて、タングプレート14を脱着可能とする。
【0020】
リトラクタ13は、シートSの側方にて車両に設置されていて、電動モータ15と巻き取り機構とを備えている。電動モータ15は、ベルト張力調節手段として機能するものであり、巻き取り機構に連結されていて、車両が衝突するまでの経過に応じた巻き取りトルクによりシートベルト11を巻き取る。
【0021】
次に、このシートベルト装置の電気制御装置について説明する。この電気制御装置は、車両の衝突可能性を検出するために、距離センサ21および車速センサ22を備えている。距離センサ21は、車両の前端から前方にある前方物体(主に前方車両)までの相対距離Lを検出する。車速センサ22は、車速Vを検出する。
【0022】
距離センサ21および車速センサ22は、電子制御ユニット31に接続されている。電子制御ユニット31は、CPU、ROM、RAM、タイマなどからなるマイクロコンピュータを主要構成部品とするもので、図2のベルト張力制御プログラムを所定の短時間毎に実行することにより、車両の衝突時に、シートベルト11を張力上昇のために巻き取る。この電子制御ユニット31には、駆動回路32が接続されている。駆動回路32は、電子制御ユニット31からの制御信号に応じて電動モータ15を作動させる。
【0023】
上記のように構成した第1実施形態に係るシートベルト装置の作動を説明すると、イグニッションスイッチの投入により、電子制御ユニット31は、図2のベルト張力制御プログラムを所定の短時間毎に繰り返し実行し始める。
【0024】
最初に、車両が前方物体と衝突する可能性があると判定されない場合について説明する。この場合、ベルト張力制御プログラムの実行がステップ100にて開始された後、ステップ102にて車速センサ22によって検出された車速Vを入力して、同車速Vが所定の小さな車速V0以上であるかを判定することにより、車両が走行状態にあるか否かを判定する。車両がほぼ停止状態にあって、車速Vが所定の小さな車速V0未満であれば、ステップ102にて「No」と判定し、ステップ124にてシートベルト11の張力が所定の大きな張力であることを示す大張力フラグGCFが“1”であるか否かを判定する。この場合、シートベルト11の張力が大きくなる制御状態ではないので、ステップ124にて「No」と判定し、ステップ132にて電動モータ15を停止状態に維持して、シートベルト11が通常の使用張力に維持される。ステップ132の処理の実行後、ステップ134にてベルト張力制御プログラムの実行を終了する。
【0025】
上記車速Vが所定の小さな車速V0以上であれば、ステップ102にて「Yes」と判定し、ステップ104にて距離センサ21によって検出された相対距離Lを入力して、同相対距離Lが所定距離L0以下であるかを判定する。この所定距離L0は、車両が前方物体と衝突可能性がある距離に設定されている。この場合、同相対距離Lが所定距離L0より長いので、ステップ104にて「No」と判定した後、前記と同様、ステップ124,132の処理を実行して、ステップ134にてベルト張力制御プログラムの実行を終了する。
【0026】
次に、車両が前方物体と衝突する可能性があると判定され、上記相対距離Lが距離L0から次第に小さくなる場合について説明する。この場合、ステップ102,104にて共に「Yes」と判定して、ステップ106以降の処理が実行される。このステップ106以降の処理は、車両と前方物体との相対距離Lが小さくなるに従ってシートベルト11の張力が大きくなるように電動モータ15を作動させるものである。
【0027】
ステップ106においては、上記相対距離Lが所定距離L2以上であるか否かを判定する。この所定距離L2は、衝突が予知される範囲内ではあるが、衝突の確率が小さい値に設定されている。この場合、ステップ106にて「Yes」と判定して、ステップ108の処理が実行される。ステップ108においては、電子制御ユニット31は、駆動回路32を介して電動モータ15に電流を供給し、シートベルト11の弛みを所定量だけなくしてシートベルト11の張力が所定の小さな張力となるように電動モータ15を作動させる。ステップ108の処理の実行後、ステップ134にてベルト張力制御プログラムの実行を一旦終了する。以後、この状態が続く限り、ステップ102〜108,134の処理が繰り返し実行され、電動モータ15の作動状態が維持されて、シートベルト11が小さな張力に維持される。なお、この状態では、電動モータ15の駆動トルクよりも大きなトルクが発生するような力がシートベルト11に付与されれば、シートベルト11は引き出される。以後に説明する電動モータ15が作動状態にあるときについても同様である。
【0028】
この状態から、相対距離Lが距離L2より短くなれば、ステップ102,104の処理の実行後、ステップ106にて「No」と判定し、ステップ110にて相対距離Lが所定距離L1以上であるか否かを判定する。この所定距離L1は、所定距離L2よりも車両衝突の確率が高い値、すなわち所定距離L2よりも短い値に設定されている。この場合、ステップ110にて「Yes」と判定して、ステップ112の処理を実行する。ステップ112においては、シートベルト11の弛みを更になくすために、シートベルト11の張力が所定の中程度の張力となるように電動モータ15を作動させる。ステップ112の処理の実行後、ステップ134にてベルト張力制御プログラムの実行を一旦終了する。以後、この状態が続く限り、ステップ102〜106,110,112,134の処理が繰り返し実行され、電動モータ15の作動状態が維持されて、シートベルト11が中程度の張力に維持される。
【0029】
そして、相対距離Lがさらに短くなって距離L1より短くなれば、ステップ102〜106の処理の実行後、ステップ110にて「No」と判定し、ステップ114の処理を実行する。ステップ114においては、衣服などによるシートベルト11の弛みをもなくして乗員をシートSに拘束するために、シートベルト11の張力が所定の大きな張力となるように電動モータ15を作動させる。ステップ114の処理の実行後、ステップ116にてタイマフラグTMFが“1”であるかを判定する。このタイマフラグTMFは後述する処理によって“1”に設定されるもので、“0”に初期設定されている。したがって、この場合には、ステップ116にて「No」と判定し、ステップ120にて前記した大張力フラグGCFを“1”に設定して、ステップ134にてベルト張力制御プログラムの実行を一旦終了する。以後、この状態が続く限り、ステップ102〜106,110,114,116,120,134の処理が繰り返し実行され、電動モータ15の作動状態が維持されて、シートベルト11が大きな張力に維持される。
【0030】
次に、ステップ106以降の処理の実行によりシートベルト11の張力が所定の張力となるように電動モータ15が作動された後、車速Vが所定車速V0未満となったか、または相対距離Lが所定距離L0より長くなって車両の衝突可能性が検出されなくなった場合について説明する。この場合、ステップ102,104のいずれかにて「No」と判定し、ステップ124にて大張力フラグGCFが“1”であるかを判定する。シートベルト11が小さな張力または中程度の張力となるように電動モータ15が作動されたときは、大張力フラグGCFが“0”に設定されたままであるため、ステップ124にて「No」と判定し、ステップ132の処理を実行する。ステップ132においては、駆動回路32は、電子制御ユニット31からの制御信号に応じて電動モータ15への電流の供給を停止する。これにより、乗員はシートベルト11を通常どおり引き出せるようになり、シートベルト11の拘束から解放される。ステップ132の処理の実行後、ステップ134にてベルト張力制御プログラムの実行を終了する。
【0031】
一方、シートベルト11が大きな張力となるように電動モータ15が作動されていて、車両が前方物体と衝突直前または衝突時には、距離センサ21、車速センサ22の破損等により同センサ21,22からの検出信号が入力されないことがある。この場合、ステップ102にて車速Vが所定車速V0以上であるか、ステップ104にて相対距離Lが所定距離L0以下であるかを判定することができないため、ステップ102,104のいずれかにて「No」と判定して、ステップ124に進む。
【0032】
ステップ124においては、前記と同様、大張力フラグGCFが“1に設定されているか否かを判定する。この場合、大張力フラグGCFが“1に設定されているので、ステップ124にて「Yes」と判定し、ステップ126にてタイマフラグTMFが“1”であるか否かを判定する。このタイマフラグTMFはタイマTMによる時間計測開始時に“1”に設定されるもので、“0”に初期設定されている。したがって、ステップ126にて「No」と判定し、ステップ128にてタイマTMのカウント値を「0」にクリアした後に計時を開始させ、ステップ130にてタイマフラグTMFを“1”に設定して、ステップ114に進む。
【0033】
ステップ114の処理の実行によりシートベルト11が大きな張力に維持された後、ステップ116にてタイマフラグTMFが“1”であるか否かを判定する。この場合、タイマフラグTMFが“1”に設定されているので、ステップ116にて「Yes」と判定して、ステップ118にてタイマTMのカウント値が所定時間T0以上を示しているか否かを判定する。この所定時間T0は、車両の衝突時に乗員の前方への飛び出しを防止するために、シートベルト11により乗員を拘束可能な時間に設定されている。タイマTMのカウント値が所定時間T0以上を示していなければステップ118にて「No」と判定し、ステップ120の処理を実行した後、ステップ134にてベルト張力制御プログラムの実行を一旦終了する。以後、所定時間T0が経過するまでは、ステップ102(またはステップ102,104),ステップ124,126の処理を経てステップ114〜120,134の処理が繰り返し実行され、電動モータ15の作動状態が維持されて、シートベルト11が大きな張力に維持される。
【0034】
一方、タイマTMによる計時開始から所定時間T0が経過すると、ステップ118にて「Yes」と判定し、ステップ122にて大張力フラグGCFを“0”に設定した後、ステップ134にてベルト張力制御プログラムの実行を一旦終了する。その後、ステップ102,104のいずれかにて「No」、ステップ124にて「No」と判定して、前記と同様、ステップ132にて電動モータ15の作動を停止させる。これにより、乗員はシートベルト11を通常どおり引き出せるようになり、車両の衝突後においてシートベルト11の拘束から解放される。ステップ132の処理の実行後、ステップ134にてベルト張力制御プログラムの実行を終了する。
【0035】
上記第1実施態様によれば、ステップ102,104の処理により、車両の衝突可能性が検出されているときステップ106〜114の処理により、車両と前方物体との相対距離Lが小さくなるに従ってシートベルト11の張力が大きくなる。したがって、車両と前方物体との相対距離Lが大きいときは同相対距離Lが小さいときよりもシートベルト11の張力が小さいので、衝突可能性が誤って検出されたり、衝突を回避したときにシートベルト11により乗員を拘束しても乗員に不快感を与えない。
【0036】
また、上記第1実施態様によれば、ステップ102,104の処理により、車両の衝突可能性が検出されなくなったとき、ステップ124,132の処理により、電動モータ15を制御してシートベルト11の張力が通常の張力に戻るような構成としたので、衝突可能性が誤って検出されたり、衝突が回避されて車両の衝突可能性が検出されなくなったときも、乗員への不快感を減らし、不必要に乗員を拘束することを防止できる。
【0037】
また、上記第1実施態様によれば、ステップ114の処理によりシートベルト11の張力が所定値よりも大きくなった最大の張力である場合に、距離センサ21、車速センサ22の破損等によってステップ102(またはステップ102,104)の処理により車両の衝突可能性が検出されなくなったとき、ステップ116〜132の処理により、シートベルト11の張力を所定時間T0だけ維持するような構成としたので、ステップ102(またはステップ102,104)の処理により車両の衝突可能性が検出されなくなったときでも、シートベルト11の張力を維持することにより車両の衝突時に乗員を適切に拘束することができる。
【0038】
(第1変形例)
次に、上記第1実施態様の第1変形例について説明する。この第1変形例においては、電子制御ユニット31は図3のベルト張力制御プログラムを実行する。この図3のベルト張力制御プログラムは、上記第1実施態様に係る図2のベルト張力制御プログラムにおいて衝突可能性検出手段として機能するステップ102,104の処理に代えて、ステップ140の衝突時間予測ルーチンおよびステップ142の判定処理を実行するものである。
【0039】
衝突時間予測ルーチンは、自車両が前方物体に衝突するまでの時間を予測するもので図4に詳細に示すように、ステップ400にて開始され、ステップ402にて検出車速Vが所定車速V0以上であるかを判定する。車速Vが所定車速V0未満であれば、ステップ402にて「No」すなわち衝突可能性がないと判定し、ステップ414にて衝突時間Tsを所定時間Tsxに設定して、ステップ416にてこのプログラムの実行を終了する。なお、この所定時間Tsxは、後述する処理により衝突可能性がないと判定される極めて大きな値である。
【0040】
一方、車速Vが所定車速V0以上であれば、ステップ402にて「Yes」と判定し、ステップ404以降の処理を実行する。ステップ404においては、距離センサ21によって検出された距離Lを入力して、今回のプログラムの実行による入力距離を表す今回距離Lnewとして設定する。次に、ステップ406にて、前回のプログラムの実行時に入力した距離L(以降、前回距離Loldという)から今回距離Lnewを減算した減算値Lold−Lnewをこの衝突時間予測ルーチンの実行時間間隔Δtで除算することにより、前方物体との相対速度Vabを計算する。なお、前回距離Loldは、初期設定処理によって「0」に設定されている。この場合、初回に計算される相対速度Vabは負になるが、後述するステップ410にて「No」と判定されて、ステップ414の処理により衝突時間Tsが大きな所定時間Tsxに設定されるだけであるので、初回に計算される相対速度Vabが不適切であっても、この点が問題になることはない。
【0041】
前記相対速度Vabの計算後、ステップ408にて次回の相対速度Vabの計算のために、前回距離Loldを今回距離Lnewに更新しておく。相対速度Vabが正でなければ、車両が前方物体に衝突する可能性がないので、ステップ410にて「No」と判定して、ステップ414にて衝突時間Tsを大きな所定時間Tsxに設定する。
【0042】
また、相対速度Vabが正であれば、ステップ410にて「Yes」と判定し、ステップ412にて、今回距離Lnewを相対速度Vabで除算することにより、現在の相対速度Vabで走行し続ければ、車両が前方物体に衝突するまでの衝突時間Tsを計算した後、ステップ416にてこの衝突時間予測ルーチンの実行を終了する。このようにして衝突時間Tsが予測計算された後、すなわち図3のステップ140の処理後、ステップ142にてこの衝突時間Tsが所定時間Ts0以下であるかを判定する。この所定時間Ts0は、自車両が前方物体に衝突する可能性がある時間に設定されている。そして、衝突時間Tsが所定時間Ts0よりも大きければ、上述した図2のステップ124以降の処理が実行される。また、衝突時間Tsが所定時間Ts0以下であれば、ステップ142にて「Yes」と判定して、図2のステップ106以降の処理が実行される。
【0043】
したがって、この第1変形例によっても、第1実施形態と同様に、車両の衝突可能性を検出することができるので、この衝突可能性の検出結果に応じてシートベルト11の張力を適切に調節することができる。
【0044】
(第2変形例)
次に、第1実施形態の第2変形例について説明する。この第2変形例に係るシートベルト装置は、上記第1実施形態のシートベルト装置に加えて、図1に破線で示すように、電子制御ユニット31に接続されて、ブレーキペダルの踏込量を検出するブレーキ踏込量センサ23を備えている。また、この第2変形例においては、電子制御ユニット31は図5のベルト張力制御プログラムを実行する。この図5のベルト張力制御プログラムは、上記第1実施形態に係る図2のベルト張力制御プログラムのステップ102,104の処理に代えて、ステップ150の処理を実行するようにしたものである。
【0045】
ステップ150においては、ブレーキペダルが急に踏み込み操作されたか否かを判定する。急ブレーキをかけたときは、通常衝突可能性が高いからである。具体的には、ブレーキ踏込量センサ23によって検出されたブレーキペダルの踏込量Bを入力して、検出踏込量Bが所定の踏込量以下であれば、「No」すなわち衝突可能性がないと判定して、上述した図2のステップ124以降の処理を実行する。一方、検出踏込量Bが所定の踏込量以上であれば、「Yes」すなわち衝突可能性があると判定して、上述した図2のステップ106以降の処理を実行する。
【0046】
また、これに代えて、今回踏込量Bnewから前回のプログラムの実行時に入力した前回踏込量Boldを減算した減算値を図5のベルト張力制御プログラムの実行時間間隔Δtで除算することにより、ブレーキ踏込速度を計算する。そしてブレーキ踏込速度が所定速度以下であれば、ステップ150にて「No」すなわち衝突可能性がないと判定して、上述した図2のステップ124以降の処理を実行する。一方、ブレーキ踏込速度が所定速度より大きければ、ステップ150にて「Yes」すなわち衝突可能性があると判定して、上述した図2のステップ106以降の処理を実行する。
【0047】
したがって、この第2変形例によっても、上記第1実施形態と同様に、車両の衝突可能性を検出することができるので、この衝突可能性の検出結果に応じてシートベルト11の張力を適切に調節することができる。
【0048】
なお、急ブレーキをかけたか否かを判定するためには、上記のようにブレーキの踏込量やブレーキ踏込速度に基づいて判定してもよいが、ブレーキマスタシリンダ液圧を検出して同液圧が所定液圧より大きくなったとき急ブレーキをかけたと判定してもよい。また、相対距離、衝突時間および急ブレーキを複合して検出することにより、衝突可能性を検出するようにしてもよい。これによれば、衝突可能性検出の精度がより高くなる。
【0049】
b.第2実施形態
次に、本発明の第2実施形態について説明する。この第2実施形態に係る電子制御ユニット31は、上記図2のベルト張力制御プログラムに代えて、図6のベルト張力制御プログラムを記憶していて同プログラムを所定の短時間毎に繰り返し実行する。他の部分に関しては上記第1実施形態と同じである。
【0050】
このベルト張力制御プログラムの実行は、ステップ200にて開始され、上記図2のステップ102,104と同じステップ202,204の処理により、検出車速Vおよび相対距離Lを用いて衝突可能性の有無を判定する。衝突可能性がなければステップ202,204のいずれかにて「No」と判定し、上記図2のステップ124,132と同じステップ230,238の処理、および後述するステップ240の処理を実行してステップ242にてベルト張力制御プログラムの実行を終了する。一方、車両の衝突可能性があれば、ステップ202,204にて共に「Yes」と判定し、ステップ206以降の処理が実行される。
【0051】
ステップ206においては、タイマフラグTM1Fが“1”であるか否かを判定する。このタイマフラグTM1FはタイマTM1の時間計測時に“1”に設定されるもので、初期には“0”に設定されている。したがって、この場合には、ステップ206にて「No」と判定し、ステップ208にてタイマTM1のカウント値を「0」にクリアして計時を開始させた後、ステップ210にてタイマフラグTM1Fを“1”に設定する。そして、ステップ214にて、上記図2のステップ108の処理と同様に、シートベルト11の張力が所定の小さな張力となるように電動モータ15を作動させる。ステップ214の処理の実行後、ステップ242にてベルト張力制御プログラムの実行を一旦終了する。次に、このベルト張力制御プログラムが実行されたときには、タイマフラグTM1Fは“1”に設定されているので、ステップ206にて「Yes」と判定して、ステップ212にてタイマTM1のカウント値が所定時間T1未満であるかを判定する。そして、タイマTM1のカウント値が所定時間T1に達するまでは、ステップ202〜206,212,214の処理が繰り返し実行され、電動モータ15の作動状態が維持されてシートベルト11が小さな張力に維持される。なお、所定時間T1は、車両衝突が予知される範囲内ではあるが、衝突の確率が低い値に設定されている。
【0052】
タイマTM1による計時開始から所定時間T1が経過すると、ステップ212にて「No」と判定して、タイマTM1のカウント値が所定時間T2未満であるか否かを判定する。この所定時間T2は、所定時間T1よりも車両衝突の確率が高い値すなわち所定時間T1よりも大きな値に設定されている。この場合、ステップ216にて「Yes」と判定し、ステップ218にて上記図2のステップ112の処理と同様に、シートベルト11の張力が所定の中程度の張力となるように電動モータ15を作動させる。ステップ218の処理の実行後、ステップ242にてベルト張力制御プログラムの実行を一旦終了する。以後、所定時間T2が経過するまでは、ステップ202〜206,212,216,218の処理が繰り返し実行され、電動モータ15の作動状態が維持されてシートベルト11が中程度の張力に維持される
【0053】
タイマTMによる計時開始から所定時間T2が経過すると、ステップ216にて「No」と判定して、ステップ220にて上記図2のステップ114の処理と同様に、シートベルト11の張力が所定の大きな張力となるように電動モータ15を作動させる。ステップ220の処理の実行後、上記図2のステップ116,120の処理とそれぞれ同じステップ222,226の処理を実行する。ただし、この場合、タイマフラグをTM2Fとして示す。すなわち、ステップ222にて「No」と判定し、ステップ226にて大張力フラグGCFを“1”に設定して、ステップ242にてベルト張力制御プログラムの実行を一旦終了する。以後、この状態が続く限り、ステップ202〜206,212,216,220,222,226の処理が繰り返し実行され、電動モータ15の作動状態が維持されてシートベルト11が大きな張力に維持される。
【0054】
次に、ステップ206以降の処理の実行によりシートベルト11が所定の張力となるように電動モータ15が作動された後、車両の衝突可能性が判定されなくなった場合は、前記と同様、ステップ202,204のいずれかにて「No」と判定する。そして、シートベルト11が小または中程度の張力となるように電動モータ15が作動されているときは、大張力フラグGCFが“0”に設定されたままであるため、ステップ230にて「No」と判定し、ステップ238にて電動モータ15の作動を停止させる。これにより、乗員はシートベルト11を通常どおり引き出せるようになり、シートベルト11の拘束から解放される。ステップ238の処理の実行後、ステップ240にてタイマフラグTM1Fを“0”に設定し、ステップ242にてベルト張力制御プログラムの実行を終了する。
【0055】
一方、シートベルト11が大きな張力となるように電動モータ15が作動された後は、前記と同様、ステップ202,204のいずれかにて「No」と判定し、上記図2のステップ124〜130,114〜122とそれぞれ同じステップ230〜236,220〜228の処理を実行する。この場合、大張力フラグGCFは“1に設定されているので、ステップ230にて「Yes」と判定する。また、この段階ではタイマTM2がクリアされていないので、ステップ232にて「No」と判定し、ステップ234にてタイマTM2をクリアして計時を開始させ、ステップ236にてタイマフラグTM2Fを“1”に設定する。そして、ステップ220の処理の実行により電動モータ15の作動状態が維持されて、シートベルト11が大きな張力に維持される。
【0056】
そして、タイマフラグTM2Fが“1”に設定されているので、ステップ222にて「Yes」と判定する。次にステップ224にて前記タイマTMの場合と同様に、タイマTM2のカウント値が所定時間T0以上を示していなければステップ224にて「No」と判定し、ステップ226の処理を実行した後、ステップ242にてベルト張力制御プログラムの実行を一旦終了する。以後、所定時間T0が経過するまでは、ステップ202(またはステップ202,204),230,232,220〜226の処理が繰り返し実行され、電動モータ15の作動状態が維持されて、シートベルト11が大きな張力に維持される。
【0057】
一方、タイマTM2による計時開始から所定時間T0が経過すると、ステップ224にて「Yes」と判定し、ステップ228にて大張力フラグGCFを“0”に設定してステップ242にてベルト張力制御プログラムの実行を一旦終了する。その後、ステップ202,204のいずれかにて「No」、ステップ230にて「No」と判定して、前記と同様に、ステップ238にて電動モータ15の作動状態を停止させる。その後、ステップ240にてタイマフラグTM2Fを“0”に設定してステップ242にてベルト張力制御プログラムの実行を終了する。
【0058】
上記第2実施態様によれば、ステップ202,204の処理により車両の衝突可能性が検出されているとき、ステップ206〜220の処理により衝突可能性を連続して検出している時間が長くなるに従ってシートベルト11の張力が大きくなる。したがって、タイマTM1のカウント値に示された同検出時間が短いときは同検出時間が長いときよりもシートベルト11の張力が小さいので、前記相対距離Lによってシートベルト11の張力を調節する場合と同様、シートベルト11により乗員を拘束しても乗員に不快感を与えない。
【0059】
また、上記第2実施態様によれば、ステップ202,204の処理により、車両の衝突可能性が検出されなくなったとき、ステップ230,238の処理により、電動モータ15を制御してシートベルト11の張力が通常の張力に戻るような構成としたので、衝突可能性が誤って検出されたり、衝突が回避されて車両の衝突可能性が検出されなくなったときも、乗員への不快感を減らし、不必要に乗員を拘束することを防止できる。
【0060】
また、上記第2実施態様によれば、ステップ220の処理によりシートベルト11の張力が所定値よりも大きくなった最大の張力である場合に、距離センサ21、車速センサ22の破損等によってステップ202,204の処理の実行により車両の衝突可能性が検出されなくなったとき、ステップ220〜238の処理により、シートベルト11の張力を所定時間T0だけ維持するような構成としたので、ステップ202,204の処理により車両の衝突可能性が検出されなくなったときでも、シートベルト11の張力を維持することにより車両の衝突時に乗員を適切に拘束することができる。
【0061】
なお、上記第2実施態様についても、図3および図4に示すように、上記第1実施態様に係る第1変形例と同様、図6のベルト張力制御プログラムにおいて衝突可能性検出手段として機能するステップ202,204の処理に代えて、ステップ140,142の処理を実行するようにしてもよい。
【0062】
また、上記第2実施態様についても、図5に示すように、上記第1実施態様に係る第2変形例と同様、図6のベルト張力制御プログラムにおいて衝突可能性検出手段として機能するステップ202,204の処理に代えて、ステップ150の処理を実行するようにしてもよい。さらに、ブレーキマスタシリンダ液圧を検出することにより急ブレーキをかけたか否かを判定してもよいし、上記の衝突可能性検出手段を複合して使用してもよい。
【0063】
c.第3実施形態
次に、本発明の第3実施形態について説明する。この第3実施形態に係る電子制御ユニット31は、前記図2および図6のベルト張力制御プログラムに代えて、図7のベルト張力制御プログラムを記憶していて同プログラムを所定の短時間毎に繰り返し実行する。この第3実施形態においては、前述した図4の衝突時間予測ルーチンによって検出された衝突時間Tsが小さくなるに従ってシートベルト11の張力が大きくなるように電動モータ15を作動させるものである。他の部分に関しては上記第1実施形態と同じである。
【0064】
このベルト張力制御プログラムの実行は、ステップ300にて開始された後、ステップ302にて上述した図4の衝突時間予測ルーチンを実行して、衝突時間Tsを予測する。
【0065】
前記ステップ302の衝突時間予測ルーチンの実行後、ステップ304,316,320にて、予測した衝突時間Tsが所定時間Ts1,Ts2,Ts3未満であるか否かをそれぞれ判定する。所定時間Ts1は、車両の衝突が高い確率で予知される値に設定されている。所定時間Ts2は、車両の衝突がある程度高い確率で予知されるが、その確率が上記所定時間Ts1の場合よりも低い値、すなわち所定時間Ts1よりも大きな値に設定されている。所定時間Ts3は、所定時間Ts2よりも車両の衝突が低い確率で予知される時間、すなわち所定時間Ts2よりも大きな値に設定されている。今、車両が前方物体に衝突する可能性がなく、衝突時間Tsが所定時間Ts3以上であれば、ステップ304,316,320にてそれぞれ「No」と判定し、ステップ324にて大張力フラグGCFが“1”であるか否かを判定する。この場合、この大張力フラグGCFも上記第1および第2実施形態で用いたものと同じであり、初期には“0”に設定されているので、ステップ324にて「No」と判定し、ステップ332にて上記図2のステップ132および図6のステップ238の場合と同様、電動モータ15の停止状態を維持しステップ334にてベルト張力制御プログラムの実行を一旦終了する。
【0066】
一方、自車両が前方物体に衝突する可能性がでてきて、衝突時間Tsが所定時間Ts2以上所定時間Ts3未満になると、ステップ302,304,316の処理を経てステップ320にて「Yes」と判定し、ステップ322にて上記図2のステップ108および上記図6の214の処理と同様、シートベルト11の張力が所定の小さな張力となるように電動モータ15を作動させる。ステップ322の処理の実行後、ステップ334にてベルト張力制御プログラムの実行を一旦終了する。そして、衝突時間Tsが所定時間Ts2以上所定時間Ts3未満である限り、ステップ302,304,316,320,322の処理が繰り返し実行され、シートベルト11が小さな張力に維持される。
【0067】
また、衝突時間Tsが所定時間Ts1以上所定時間Ts2未満になると、ステップ302,304の処理を経てステップ316にて「Yes」と判定し、ステップ318にて上記図2のステップ112および上記図6の218の処理と同様、シートベルト11が所定の中程度の張力となるように電動モータ15を作動させる。ステップ318の処理の実行後、ステップ334にてベルト張力制御プログラムの実行を一旦終了する。そして、衝突時間Tsが所定時間Ts1以上所定時間Ts2未満である限り、ステップ302,304,316,318の処理が繰り返し実行され、シートベルト11が中程度の張力に維持される。
【0068】
この状態から、衝突時間Tsが所定時間Ts1未満になると、ステップ302の処理後、ステップ304にて「Yes」と判定し、ステップ306にて上記図2のステップ114および上記図6のステップ220の処理と同様、シートベルト11の張力が所定の大きな張力となるように電動モータ15を作動させる。ステップ306の処理の実行後は、上記図2のステップ116および上記図2のステップ120の処理と同様、ステップ308にて「No」、ステップ312にて大張力フラグGCFを“1”に設定して、ステップ334にてベルト張力制御プログラムの実行を一旦終了する。そして、衝突時間Tsが所定時間Ts1未満である限り、ステップ302,304〜308,312の処理が繰り返し実行され、シートベルト11が大きな張力に維持される。
【0069】
次に、上記ステップ322またはステップ318の処理の実行によりシートベルト11が小または中程度の張力となるように電動モータ15が作動されているとき、衝突時間Tsが所定時間Ts3以上になって車両衝突が予知されない状態になると、ステップ304,316,320,324にてそれぞれ「No」と判定し、ステップ332にて電動モータ15の作動を停止させる。これにより、乗員はシートベルト11を通常どおり引き出せるようになり、シートベルト11の拘束から解放される。ステップ332の処理の実行後、ステップ334にてベルト張力制御プログラムの実行を終了する。
【0070】
一方、シートベルト11が大きな張力となるように電動モータ15が作動状態にあり、車両が前方物体と衝突直前であるときは、上記第1実施形態の場合と同様の理由から、ステップ302にて衝突時間Tsを検出できないことがある。この場合、ステップ304,316,320にてそれぞれ「No」と判定し、上記図2のステップ124〜130にそれぞれ対応するステップ324〜330の処理を経て、上記図2のステップ116〜122にそれぞれ対応するステップ308〜314の処理が実行される。
【0071】
前記ステップ324〜330,308〜314の処理の実行により、上記第1実施形態の場合と同様に、タイマTMをクリアしてから所定時間T0が経過するまでは、シートベルト11が大きな張力に維持される。そして、所定時間T0が経過すれば、ステップ332にて電動モータ15の作動が停止されて、シートベルト11の張力が通常の張力に戻る。
【0072】
上記第3実施形態によれば、衝突時間Tsが所定時間T3未満であり車両の衝突が予知される状態において、ステップ302の衝突時間予測ルーチンの実行によって予測される衝突時間Tsが小さくなるに従ってステップ304,316,320の処理によりシートベルト11の張力が大きくなる。したがって、衝突時間Tsが長いほどシートベルト11の張力が小さいので、前記第1および第2実施形態と同様、シートベルト11の拘束により乗員に不快感を与えない。
【0073】
また、上記第3実施形態によれば、ステップ322またはステップ318の処理の実行によりシートベルト11が小または中程度の張力となるように電動モータ15を制御した後、検出衝突時間Tsが所定時間T3以上になったときは、ステップ304,316,320,324,332の処理によりシートベルト11の張力が小さくなる。これにより、乗員への不快感を減らし、シートベルトによる不必要な乗員拘束を防止できる。
【0074】
また、上記第3実施形態によれば、検出衝突時間Tsが所定時間Ts1未満となったために、ステップ306の処理の実行によりシートベルト11の張力が大きくなった後、検出衝突時間Tsが所定時間T3以上になったときは、ステップ308〜314およびステップ324〜332の処理の実行によりシートベルト11の張力が所定時間T0維持される。これにより、衝突時間Tsが検出されなくなったときでも、車両の衝突時に乗員が適切に保護される。
【0075】
なお、上記第1〜第3実施態様においては、衝突対象物が前方物体であるとして、同前方物体との衝突可能性を検出するようにしたが、衝突対象物が後方物体である場合についても本発明を同様に適用することができる。
【0076】
また、上記第1〜第3実施態様においては、ベルト張力調節手段として電動モータ15を採用した場合について説明したが、シートベルト11の張力を小から大に調節可能、かつ大から小に調節可能なシートベルト拘束装置についても同様に本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1ないし第3実施形態およびそれらの変形例に係る車両用シートベルト装置の全体を概略的に示すブロック図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係り、図1の電子制御ユニットによって実行されるベルト張力制御プログラムのフローチャートである。
【図3】本発明の第1および第2実施形態のそれぞれの第1変形例に係り、図1の電子制御ユニットによって実行されるベルト張力制御プログラムのフローチャートである。
【図4】本発明の第1および第2実施形態のそれぞれの第1変形例ないし本発明の第3実施形態に係るベルト張力制御プログラムにおいて、衝突時間予測ルーチンの詳細を示すフローチャートである。
【図5】本発明の第1および第2実施形態のそれぞれの第2変形例に係り、図1の電子制御ユニットによって実行されるベルト張力制御プログラムのフローチャートである。
【図6】本発明の第2実施形態に係り、図1の電子制御ユニットによって実行されるベルト張力制御プログラムのフローチャートである。
【図7】本発明の第3実施形態に係り、図1の電子制御ユニットによって実行されるベルト張力制御プログラムのフローチャートである。
【符号の説明】
SB…シートベルト装置、S…シート、11…シートベルト、12…バックル、13…リトラクタ、14…タングプレート、15…電動モータ、21…距離センサ、22…車速センサ、31…電子制御ユニット、32…駆動回路

Claims (7)

  1. 車両の衝突時にシートベルトの張力を調節して乗員を保護するベルト張力調節手段を備えた車両用シートベルト装置において、
    車両が衝突対象物と衝突する可能性を検出する衝突可能性検出手段と、
    車両と衝突対象物との相対距離を検出する相対距離検出手段と、
    前記衝突可能性検出手段によって車両の衝突可能性が検出されているとき、前記相対距離検出手段によって検出される相対距離が小さくなるに従ってシートベルトの張力が大きくなるように前記ベルト張力調節手段を制御するベルト張力制御手段とを設けたことを特徴とする車両用シートベルト装置。
  2. 車両の衝突時にシートベルトの張力を調節して乗員を保護するベルト張力調節手段を備えた車両用シートベルト装置において、
    車両が衝突対象物と衝突する可能性を検出する衝突可能性検出手段と、
    前記衝突可能性検出手段によって車両の衝突可能性が継続して検出されている時間を計時する計時手段と、
    前記衝突可能性検出手段によって車両の衝突可能性が検出されているとき、前記計時手段によって検出される時間が長くなるに従ってシートベルトの張力が大きくなるように前記ベルト張力調節手段を制御するベルト張力制御手段とを設けたことを特徴とする車両用シートベルト装置。
  3. 前記請求項1または2に記載した車両用シートベルト装置において、さらに、
    前記衝突可能性検出手段によって車両の衝突可能性が検出されなくなったとき、シートベルトの張力が小さくなるように前記ベルト張力調節手段を制御するベルト張力低減制御手段を設けた車両用シートベルト装置。
  4. 前記請求項3に記載した車両用シートベルト装置において、さらに、
    シートベルトの張力が所定値よりも大きくなったことを条件に、前記ベルト張力低減制御手段によるシートベルトの張力を小さくする制御を所定時間だけ禁止する張力低減禁止手段を設けた車両用シートベルト装置。
  5. 車両の衝突時にシートベルトの張力を調節して乗員を保護するベルト張力調節手段を備えた車両用シートベルト装置において、
    車両が衝突対象物に衝突するまでの時間を予測する衝突時間予測手段と、
    前記衝突時間予測手段によって予測される時間が短くなるに従ってシートベルトの張力が大きくなるように前記ベルト張力調節手段を制御するベルト張力制御手段とを設けたことを特徴とする車両用シートベルト装置。
  6. 前記請求項5に記載した車両用シートベルト装置において、さらに、
    前記衝突時間予測手段によって予測される時間が第1所定時間よりも長くなったとき、シートベルトの張力が小さくなるように前記ベルト張力調節手段を制御するベルト張力低減制御手段を設けた車両用シートベルト装置。
  7. 前記請求項6に記載した車両用シートベルト装置において、
    前記衝突時間予測手段によって予測された時間が前記第1所定時間より短い第2所定時間よりも短くなったことを条件に、前記ベルト張力低減制御手段によるシートベルトの張力を小さくする制御を所定時間だけ禁止する張力低減禁止手段を設けた車両用シートベルト装置。
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