JP2004149042A - 車両用シートベルト装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】レーダ判断、及び制動判断が成立した際の、運転者に与える違和感を低減することのできる車両用シートベルト装置を提供する。
【解決手段】ウェビング11をリトラクタ12に所望する張力で巻き取り駆動する第1のプリテンショナ16と、緊急時にウェビングに張力を付与し、乗員を最終的に拘束する第2のプリテンショナ17と、車両のブレーキ操作量を検出するブレーキペダルストロークセンサ20と、車両前方に存在する障害物を検出するレーザレーダ51と、ブレーキペダルストロークセンサ20の検出データに基づく制御、及びレーザレーダ51の検出データに基づく制御にて第1のプリテンショナ16による張力を制御する第1のコントローラ30と、を具備し、第1のコントローラ30は、ブレーキペダルストロークセンサ20の検出データに基づく制御、またはレーザレーダ51の検出データに基づく制御の、いずれか一方の判断条件が成立している際には、他方の制御の判断条件が成立するための感度を敏感にすることを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、シートベルトの張力を変化させるプリテンショナを有し、急ブレーキによる制動、或いは障害物との間の異常接近が予測された際には、シートベルトを巻き取って乗員のリスク度を回避する車両用シートベルト装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来におけるシートベルト装置として、例えば特開2002−2450号公報(以下、特許文献1という)に記載されたものが知られている。該特許文献1では、通常時にはシートベルトの巻き取りを行わず、自車両にリスクが発生した際に、プリテンショナ用モータを駆動させ、シートベルトを巻き取るように動作する。この際のリスクとは、先行車と自車両との間の相対速度と車間距離から、先行車両に異常接近すると予想された時点、自車両に搭載される走行加速度計が大きな減速状態を検出した時点、及びスリップセンサがスリップを検出した時点、等である。
【0003】
また、他のシートベルト装置として、特開2000−177535号公報(以下、特許文献2という)に記載されたものが提案されており、該特許文献2では、車両の走行状況に応じて、シートベルト張力を制御する内容について記載されている。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−2450号公報
【0005】
【特許文献2】
特開2000−177535号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した特許文献1、2では、リスクの発生を予測する手段として、運転者の緊急制動(ブレーキ操作等)を検出して判断する手段と、レーダによって先行車との異常接近までの余裕時間を演算して判断する手段とを併用する場合には、両手段がそれぞれ独立に作動してしまい、運転者に違和感を与えてしまうという問題があった。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は、シートに着座した乗員を拘束するウェビングと、該ウェビングを巻き取り、巻き戻しするリトラクタを備えた車両用シートベルト装置において、前記ウェビングを前記リトラクタに所望する張力で巻き取り駆動する第1のプリテンショナと、緊急時に前記ウェビングに張力を付与し、乗員を最終的に拘束する第2のプリテンショナと、車両のブレーキ操作量を検出するブレーキ操作検出手段と、車両前方に存在する障害物を検出する障害物検出手段と、前記ブレーキ操作検出手段の検出データに基づく制御、及び前記障害物検出手段の検出データに基づく制御、の少なくとも一方にて前記第1のプリテンショナによる張力を制御する制御手段と、を具備し、前記制御手段は、前記ブレーキ操作検出手段の検出データに基づく制御、または前記障害物検出手段の検出データに基づく制御の、いずれか一方の判断条件が成立している際には、他方の制御の判断条件が成立するための感度を上昇させることを特徴とする。
【0008】
【発明の効果】
本発明では、障害物検出手段の検出データに基づく判断で、シートベルト張力の制御が実施されている際には、ブレーキ操作検出手段の検出データに基づく制御判断を決定する際の、減速Gのしきい値が小さくなるように変更される。そして、障害物検出手段の検出データに基づく制御が行われているということは、自車両のリスク度が高まっているということであり、このような状況下でブレーキ操作検出手段の検出データに基づく制御判断が敏感になるので、両者の関連性を持たせた総合的な制御ができ、運転者に与える違和感を低減することができる。
【0009】
また、ブレーキ操作検出手段の検出データに基づく判断で、シートベルト張力を制御が実施されている際には、障害物検出手段の検出データに基づく制御判断を決定する際の、衝突までの時間のしきい値が大きくなるように変更される。そして、ブレーキ操作検出手段の検出データに基づく制御が行われているということは、自車両のリスク度が高まっているということであり、このような状況下で障害物検出手段の検出データに基づく制御判断が敏感になるので、運転者に与える違和感を低減することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の実施形態に係るシートベルト装置の配置構成図である。
【0011】
同図に示すように、シートベルト装置10は、3点式パッシブシートベルトに例をとって示し、シートSに着座した乗員Hを拘束するウェビング11と、このウェビング11の一端側を巻回するリトラクタ12とを備え、ウェビング11の他端側はシートSのドア側に配置したアンカーを介して車体に固定してあるとともに、ウェビング11の中間部に移動自在に挿通したタング13を、シートSの車体中央側で車体に固定したバックル14に着脱自在に係合し、このバックル14と前記リトラクタ12との間でウェビング11をセンターピラーPcの上部のスルーリング15を介して移動自在に支持するようになっている。
【0012】
リトラクタ12は、ウェビング11をリトラクタ12に巻き取り駆動し、またはリトラクタから巻き戻し駆動する第1のプリテンショナ16と、緊急時にウェビング11に張力を付与し乗員Hを最終的に拘束する第2のプリテンショナ17と、を設けてある。
【0013】
第1のプリテンショナ16は、モータMと減速ギヤ機構16aとによって構成し、モータMの回転数を減速してトルクをリトラクタ12に設けたウェビング11を巻回するリールに伝達するようになっている。
【0014】
第2のプリテンショナ17は、この実施形態では火薬式(火薬プリテイン)として構成され、衝突検知によって火薬の爆発力でウェビング11を瞬時にリトラクタ12に巻取るようになっている。
【0015】
なお、第2のプリテンショナ17は火薬式に限ることなく、ウェビング11を迅速に巻取ることができる限りにおいてモータ等を用いることができる。
【0016】
また、前記リトラクタ12には、衝突時に巻取ったウェビング11の張力が所定値以上に上昇して乗員Hに大きな負担を掛けるのを防止するためのロードフォースリミッタ、及びウェビング11の急激な引き出しを感知してこのウェビング11の引き出しをロックするロック機構を設けてある。
【0017】
そして、衝突時には、ロック機構により、乗員の体をシートに拘束し、第2のプリンテンショナが作動して、ウェビング11の弛みを除去して、乗員の拘束性を向上させる。また、ロードフォースリミッタが作用して、シートベルトにより乗員の体へ作用する力を所定値以下に抑制する。
【0018】
更に、本実施形態に係るシートベルト装置10は、第1のプリテンショナ16を制御する第1のコントローラ30と、第2のプリテンショナ17を制御する第2のコントローラ53と、を具備している。
【0019】
第1のコントローラ30は、車両のブレーキ操作量を検出するブレーキペダルストロークセンサ(ブレーキ操作検出手段)20にて検知されるブレーキストローク信号、車速センサ21の検出信号、及び車両前方に搭載され先行車両との間の車間距離を検知するレーザレーダ(障害物検出手段)51の検出信号に基づいて、第1のプリテンショナ16を制御する。なお、レーザレーダ51の代わりに、ミリ波レーダ、超音波レーダ等を用いることもできる。
【0020】
第2のコントローラ53は、衝突時の衝撃を検知する衝撃センサ52より衝突を示す検知信号が与えられた際には、第2のプリテンショナ17を駆動させるべく制御する。
【0021】
図2は、第1のコントローラ30の詳細な構成を示す機能ブロック図である(図1に示した第2のコントローラ53については、記載を省略している)。同図では、第1のプリテンショナ16のモータMを2個設けてあり、このうち一方は運転席用のシートベルト装置10のものであり、他方は助手席用のシートベルト装置10のものとなっている。
【0022】
第1のコントローラ30は、図2に示すようにCPU31を備え、更に、このCPU31にバッテリ(BATT)からフューズ22を介して電源電圧を入力する電源回路32と、イグニッション信号を入力するIGN(イグニッション)入力回路33と、車速センサ21の車速信号、及びレーザレーダ51による検出信号を入力するCAN(Controller Area Network)・I/F34と、ブレーキペダルストロークセンサ20のブレーキストローク信号を入力するアナログI/F35と、を備えている。
【0023】
ここで、電源回路32により安定化された電圧は、CPU31の駆動源として用いる以外に、センサ電源回路32aを介してブレーキペダルストロークセンサ20に供給されるようになっている。
【0024】
CPU31より出力される制御信号は、駆動回路36を介してリレー37に供給され、且つ、運転席用及び助手席用のモータMを駆動制御し、且つ回転方向を切り換えるH−Bridge(Hブリッジ)38a,38bに供給されるようになっている。
【0025】
H−Bridge38a,38bには、リレー37を介して、フューズ22バッテリ電源よりの電圧が与えられ、且つ、各モータMは、H−Bridge38a,38bにより回転方向が制御されるとともに、これらモータMの回転速度は、CPU31で演算したデューティ比(以下、デューティと称す)によって制御されるようになっている。
【0026】
ブレーキペダルストロークセンサ20は、運転者の制動操作によるブレーキペダルの踏込み量を、ポテンショメータの回転角で検出するようになっており、このブレーキペダルストロークセンサ20は、センサ電源回路32aより与えられる電源電圧を、ブレーキペダルの踏込み量に応じた電圧信号に変換し、この電圧信号を、アナログI/F35を介してCPU31に出力する。
【0027】
車速センサ21で検出した車速データは、CAN・I/F34を経由してCPU31に供給される。この場合、CAN・I/F34を経由することなく、車速センサ21から車速に応じた周期のパルスを出力して、このパルス周期から車速を検出するようにしてもよい。
【0028】
CPU31は、ブレーキペダルストロークセンサ20の検出信号に基づいて、ブレーキペダルが踏み込まれたときの制動が、緊急制動(後述する緩制動、或いは急制動のいずれか)であるかどうかを判断する共に、緊急制動であれば衝突回避動作であると判断して、H−Bridge38a,38bに電流指令値をデューティ出力し、モータMの回転数を制御してウェビング11の巻取りを早める。
【0029】
また、レーザレーダ51の検出信号より、前方の障害物までの距離、及び相対速度を算出し、これらのデータに基づいて障害物への異常接近の可能性を判断し、異常接近の可能性が高いと判断された場合には、ウェビング11を巻き取るべくモータ電流を制御するために、各H−Bridge38a,38bをデューティ制御する。
【0030】
また、第1のコントローラ30に入力される、ブレーキペダルストローク、レーダー信号、車速を検出する各センサが故障した場合には、これらの故障を検知するフェールセーフ機能を有しており、このフェールセーフロジックに基づいて、各モータMへの電流の通電を停止する。
【0031】
以下、本実施形態に係るシートベルト装置10の動作について説明する。図3は、該シートベルト装置10の全体的な動作を示すフローチャートである。また、図4〜図9は、詳細フローチャートである。
【0032】
車両走行中には、ステップS1にて、車速センサ21にて検出される当該車両の走行速度が、CAN・I/Fを介してCPU31に取り込まれる。次いで、ステップS2では、ブレーキペダルストロークセンサ20により検出されたブレーキペダルのストローク量(踏み込み量)が検知され、アナログ・I/F35を介してCPU31に取り込まれる。
【0033】
ステップS3では、上記の処理で得られた車速データ、及びブレーキペダルのストローク量のデータに基づいて、緊急制動が行われているかどうかが判断される。例えば、運転者が運転中、前方に障害物が急に現れたり、障害物の発見が遅れた場合には、衝突を回避するために、緊急制動を行う。そして、ブレーキペダルストロークセンサ20の出力信号に基づき、緊急の制動操作が発生していることが検出される。
【0034】
また、ステップS4では、緊急制動が終了しているかどうかが判断される。ここでは、例えば、車両が停止している場合や速度が略一定である場合、或いは加速している場合に、緊急制動が終了しているものと判断する。
【0035】
ステップS5では、レーザレーダ51により検出される障害物までの距離に関するデータが、CPU31に供給される。次いで、ステップS6では、このレーザレーダ51の検出データに基づいて、前方に存在する障害物(先行車両等)に異常接近するかどうかの判断が行われる。
【0036】
ステップS7では、前述のステップS3の処理による判断結果と、ステップS6の処理による判断結果に基づいて、シートベルトの制御を決定する作動モードを選択する。つまり、緊急制動中であるかどうかに基づいてシートベルトを制御する作動モード、及び前方障害物までの距離に基づいてシートベルトを制御する作動モードのうちの、いずれか一方を選択する。
【0037】
ステップS8では、設定された作動モードに基づいて、出力デューティを算出する処理が行われる。
【0038】
次いで、ステップS9では、フェールセーフのロジックにより、センサ類が故障した場合には、各モータMへの電圧供給を停止させる処理が行われる。
【0039】
ステップS10では、フェールセーフ、作動禁止条件に基づいて、シートベルト制御の作動、非作動を判断し、その後、ステップS1からの処理に戻る。
【0040】
図4は、図3のステップS3に示した制動判断処理(ブレーキ操作検出手段の検出データに基づく制御の判断)の、詳細な処理動作を示すフローチャートである。同図に示すように、まず、ステップS11では、車両の走行速度が所定速度V1よりも大きいかどうかが判断される。車速がV1以下である場合には、ステップS11でNOとなり、緊急な制動判断は発生していないもとする。つまり、ウェビング11の張力制御は行わない。
【0041】
他方、車速がV1よりも大きい場合には、ステップS11でYESとなり、ステップS12の処理にて、ブレーキを踏み込む速度を算出する。これは、ブレーキペダルストロークセンサ20による検出信号から求めることができる。
【0042】
次いで、ステップS13では、ブレーキペダルのストローク量(踏み込み量)、及びブレーキペダルの踏み込み速度に基づいて、運転者が期待する減速Gである、期待速度G(Gは減速度を示す)を算出する。
【0043】
その後、ステップS14では、レーダ判断による制御が発生中であるかどうかが判断される。つまり、図3のステップS6の処理(詳細は後述する)でレーダ判断によるウェビング11の張力制御が発生しているかどうかが判断される。そして、レーダ判断による制御が発生している場合には、ステップS14でYESとなり、ステップS15で、減速Gのしきい値であるG1を「G11」に設定する。他方、レーダ判断による制御が発生していない場合には、ステップS14でNOとなり、ステップS16で、しきい値G1を「G12」(但し、G12>G11)に設定する。
【0044】
つまり、ステップS14〜S16の処理では、レーダ判断による張力制御が行われているかどうかにより、ブレーキの制動時より張力制御を行うかどうかを決定するためのしきい値を変更する処理を行っている。具体的には、G12>G11であるので、レーダ判断による張力制御が行われているときには、G1の値が小さく設定されるので、制動判断による制御が発生する条件が敏感になる。つまり、ブレーキの制動判断の感度が上昇することになる。
【0045】
次いで、ステップS17では、期待減速Gと、G1とを比較する処理が行われ、期待減速Gがしきい値G1以下である場合には、ステップS17でNOとなり、そのままリターンする。つまり、ウェビング11の張力制御を行わない。
【0046】
他方、G>G1である場合には、ステップS17でYESとなり、ステップS18の処理で、制動フラグを「1」に設定する。これにより、ブレーキ操作検出手段の検出データに基づく判断条件が満たされることになる。
【0047】
図5は、図3に示したステップS4の、制動判断終了処理を詳細に示すフローチャートである。同図に示すステップS21では、車速が所定値V0未満であるかどうかが判断され、V0未満である場合には、車両は停止しているものと見なして、ステップS23にて、変数「タイマ」をインクリメントする。また、車両の減速度が所定の減速度G3よりも小さいときには、略一定の速度で走行しているか、或いは加速しているものと判断し、前記と同様に、ステップS23にて、変数「タイマ」をインクリメントする。
【0048】
他方、減速度が所定の減速度G2以上である場合には、ステップS22でNOとなり、ステップS24にて、「タイマ」をリセットする。つまり、「タイマ」=0とする。
【0049】
その後、ステップS25では、変数「タイマ」の値と所定値T1とを比較し、「タイマ」がT1よりも大きい場合には、ステップS26で制動フラグをリセットする。また、「タイマ」がT1以下である場合には、制動フラグをそのまま維持する。
【0050】
ここで、「タイマ」が所定値T1を超えるまで待つ理由は、車両停止ではないけれども、タイヤロック等に起因して車両の走行速度が一瞬だけV0以下になったり、ポンピングブレーキにより、制動中ではあるが、減速度が一瞬だけG2よりも小さくなるような場合を想定し、このような場合に、ウェビング11の張力制御が終了することを防止するためである。
【0051】
図6は、図3のステップS6に示したレーダ判断処理の詳細な手順を示すフローチャートである。ステップS31で、車速と所定値V1とを比較し、V1以下である場合には、ステップS31でNOとなって、ステップS36の処理で、レーダ判断フラグを「0」とする。つまり、ウェビング11の張力制御を行わない。
【0052】
他方、車速がV1よりも大きい場合には、ステップS32にて、前述したステップS3の処理で設定された制動フラグが「0」であるかどうかが判断され、制動フラグが「0」の場合、即ち、図4のステップS18の処理で、制動フラグが「1」となった場合には、ステップS36の処理でレーダ判断フラグを「0」とする。
【0053】
制動フラグが「0」である場合には、ステップS33で、レーザレーダ51で求められた前方障害物までの距離、及び相対速度に基づいて、前方障害物に異常接近するまでの時間が算出される。そして、ステップS34では、求められた時間(異常接近までの時間)と、所定時間T2とが比較され、T2よりも小さい場合には、異常接近(或いは衝突)の回避が不可能であると判断し、ステップS35の処理で、レーダ判断フラグを「1」に設定する。これにより、障害物検出手段の検出データに基づく制御の判断条件が満たされることになる。また、T2よりも大きい場合には、ステップS36の処理で、レーダ判断フラグを「0」に設定する。
【0054】
図7は、図3のステップS7に示した作動モード判断処理の詳細な処理手順を示すフローチャートである。図4に示したステップS18で、制動フラグが「1」に設定されている場合には、図7のステップS41でYESとなり、ステップS43で作動モードが「2」に設定される。
【0055】
また、図6に示したステップS35で、レーダ判断フラグが「1」に設定されている場合には、ステップS42でYESとなり、ステップS44で作動モードが「1」に設定される。どちらでもない場合には、ステップS42でNOとなり、作動モードは「0」に設定される。
【0056】
ここで、作動モードとは、後述するようにシートベルト装置を巻き取る際の、張力制御の態様を示す。
【0057】
図8は、図3のステップS8に示した出力デューティ算出処理の、具体的な処理手順を示すフローチャートであり、図7に示した処理で求められた作動モードに基づいて、H−Bridge38a,38bより出力するパルス信号の出力デューティを決定する。図8において、作動モードが「2」である場合には、ステップS51でYESとなり、ステップS53で出力デューティが「D2」に設定される。
【0058】
また、作動モードが「1」である場合には、ステップS52でYESとなり、ステップS54で、出力デューティが「D1」に設定される。それ以外の場合には(作動モード「0」の場合)、ステップS52でNOとなり、ステップS55で、出力デューティが「0」に設定される。この場合には、ウェビング11の張力制御を行わない。
【0059】
図10は、制動判断による制御の場合のベルト張力と、レーダ判断による制御の場合のベルト張力の変化の様子を示す特性図である。
【0060】
同図より、衝突までのベルト張力は、それぞれ平坦な特性となり、制動判断による制御の場合のベルト張力は、レーダ判断による制御の場合のベルト張力よりも大きくなるように動作することが理解される。
【0061】
図9は、図3に示したステップS9の、フェールセーフ処理の、具体的な処理手順を示すフローチャートである。まず、ステップS61で、各種センサ等において、故障が検知されたかどうかが判断され、故障が検知された場合には、ステップS63で、デューティ出力を禁止する。つまり、センサ類が故障している場合には、ブレーキ制動、或いは前方障害物への接近が検出されていないにも関わらず、ウェビング11の張力が制御される場合があり、このような場合には、乗員にリスクが生じる可能性があるので、これを回避するために、故障が検知された際には、デューティ出力を禁止する。
【0062】
また、同様に、ステップS62にて、作動禁止条件が満たされた場合においても、デューティ出力を禁止する。
【0063】
他方、故障が検知されず、且つ作動禁止条件が満たされていない場合には、ステップS64にてデューティ出力を許可する。
【0064】
本実施形態では、図4のフローチャートに示したように、レーザレーダ51の判断による制御が実施されている際には、ブレーキ操作による制動の判定処理が敏感になるように設定されている。即ち、レーダ判断により、ウェビング11に張力を加える制御が行われているときには、しきい値G1の値を小さくすることにより、より小さい減速Gで、ブレーキ操作に基づく制御が行われることになる。
【0065】
このようにして、本発明の第1の実施形態では、レーダ判断により、ウェビング11に張力を加える制御が実施されている際には、ブレーキ操作量に基づく制御判断を決定する減速Gのしきい値が小さくなるように変更される。つまり、レーダ判断が成立しているということは、車両が障害物に接近しつつあるということであり、このような場合には、自車両のリスクが大きくなるので、ブレーキ操作量に基づく制御判断を決定する減速Gのしきい値を小さくすることにより、ブレーキ判断を成立し易くするので、運転者に与える違和感を低減することができる。
【0066】
図11は、レーダ判断が成立することにより、減速Gのしきい値が変化する様子を示すタイミングチャートである。同図(b)に示すように、時刻t1にて、レーダ判断が成立した場合には、減速Gのしきい値がG12からG11に切り替わる。従って、同図(a)の曲線x1に示すように、減速Gがしきい値G12を超える場合には、レーダ判断に関わらず制動判断が成立するが、曲線x2に示すように減速Gがしきい値G11と、G12との間の値の場合には、レーダ判断が不成立のときには、制動判断は成立せず、レーダ判断が成立しているときには、制動判断が成立することになる。
【0067】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。第2の実施形態では、自動ブレーキを具備した車両について、レーダ判断が成立した場合には、自動ブレーキを駆動させることにより、いち早く車両の走行速度を低減させ、運転者に与える違和感を低減するものである。
【0068】
図12は、第2の実施形態に係るシートベルト制御装置の、第1のコントローラ30′の構成を示すブロック図である。同図に示すように、該第1のコントローラ30′は、図2に示した第1のコントローラ30と略同一であるが、自動ブレーキ用のブレーキアクチェータに駆動信号を出力するドライバ回路39を具備した点で相違している。
【0069】
また、処理動作は、第1の実施形態と略同一であり、図3のステップS6に示したレーダ判断処理のみが相違するので、以下、図13に示すフローチャートを参照しながら、このレーダ判断処理の動作について説明する。
【0070】
前述した図6のフローチャートの処理と同様に、ステップS31で、車速と所定値V1とを比較し、車速がV1よりも大きい場合には、ステップS32にて、制動フラグが「0」であるかどうかが判断され、制動フラグが「1」の場合には、ステップS36の処理でレーダ判断フラグを「0」とする。
【0071】
制動フラグが「0」である場合には、ステップS33で、レーザレーダ51で求められた前方障害物までの距離、及び相対速度に基づいて、前方障害物に異常接近するまでの時間が算出される。そして、ステップS34では、求められた時間(異常接近までの時間)と、所定時間T2とが比較され、T2よりも小さい場合には、ステップS35の処理で、レーダ判断フラグを「1」に設定する。
【0072】
これにより、障害物検出手段の検出データに基づく制御の判断条件が満たされることになる。その後、ステップS37で、自動ブレーキをオンとする処理を行う。従って、運転者がブレーキ操作を行わなくても、自動でブレーキが動作し、車両が減速方向に向かう。
【0073】
ここで、自動ブレーキをオンとすると、図14に示すように、ブレーキシステムには反力が発生している状態となる。その状態から急ブレーキを操作したときのブレーキ踏み込み速度は、通常のブレーキ踏み込みの速度よりも遅くなる。従って、ブレーキ踏み込み速度を加味して、シートベルト制御開始判断をする場合には、通常ブレーキ時とブレーキ制御作動時で、判断しきい値を変更することにより、同等の緊急制動でウェビング11の張力制御を開始するようにする。
【0074】
更に、自動でブレーキを作動させているので、減速Gの立ち上がりが早くなり、乗員の前方への移動が早く生じるので、ウェビング11への張力の付与を素速くすることが望ましい。また、レーダ判断が成立している状態では、衝突の危険が高いので、その状態でのブレーキ操作は、緊急制動の可能性が高いと見なすことができ、制動判断のしきい値を下げても良い。
【0075】
このようにして、本実施形態では、レーザレーダ51により障害物の存在が検出され、且つ、レーダ判断が成立した際には、ウェビング11の張力を制御すると共に、自動ブレーキを駆動させるので、より一層運転者に与える違和感を低減することができる。
【0076】
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。本実施形態は、制動判断時のしきい値を複数設定し(この場合は2個)、レーダ判断成立時におけるこれら制動判断のしきい値を、レーダ判断不成立時における各制動判断のしきい値よりも、小さい値に設定する。
【0077】
第1の実施形態と比較して、ステップS3の制動判断処理、ステップS7の作動モード判断処理、ステップS8の出力デューティ算出処理のみが相違するので、以下、図15〜図17を参照しながら、これらの詳細な処理動作について説明する。
【0078】
図15に示す制動判断処理では、まず、ステップS81にて、車両の走行速度が所定速度V1よりも大きいかどうかが判断される。車速がV1以下である場合には、ステップS81でNOとなり、緊急な制動判断は発生していないもとする。つまり、ウェビング11の張力制御は行わない。
【0079】
他方、車速がV1よりも大きい場合には、ステップS81でYESとなり、ステップS82の処理にて、ブレーキを踏み込む速度を算出する。これは、ブレーキペダルストロークセンサ20による検出信号から求めることができる。
【0080】
次いで、ステップS83では、ブレーキペダルのストローク量(踏み込み量)、及びブレーキペダルの踏み込み速度に基づいて、運転者が期待する減速Gである、期待速度Gを算出する。
【0081】
その後、ステップS84では、レーダ判断による制御が発生中であるかどうかが判断される。つまり、図3に示したステップS6の処理で、レーダ判断によるウェビング11の張力制御が発生しているかどうかが判断される。そして、レーダ判断による制御が発生している場合には、ステップS84でYESとなり、ステップS85で、減速Gの第1のしきい値であるG1を「G11」に設定し、第2のしきい値となる減速GであるG3を「G31」に設定する。
【0082】
他方、レーダ判断による制御が発生していない場合には、ステップS84でNOとなり、ステップS86で、G1を「G12」(但し、G12>G11)に設定し、且つ、G3を「G32」(但し、G32>G31)に設定する。
【0083】
つまり、ステップS84〜S86の処理では、レーダ判断による張力制御が行われているかどうかにより、ブレーキの制動時より張力制御を行うかどうかを決定するための基準となる2つのしきい値G1,G3を変更する処理を行っている。
【0084】
具体的には、G12>G11であり、G32>G31であるので、レーダ判断による張力制御が行われているときには、G1、G3の値が小さく設定されることになり、制動判断による制御が発生する条件が敏感になる。つまり、ブレーキの制動判断の感度が上昇することになる。
【0085】
次いで、ステップS87では、期待減速Gと、G1とを比較する処理が行われ、期待減速Gがしきい値G1よりも大きい場合には、ステップS89の処理で制動フラグを「2」に設定する。他方、期待減速Gがしきい値G1以下である場合には、ステップS87でNOとなり、ステップS88で、この期待減速GとG3とを比較する処理が行われる。そして、G>G3であれば、ステップS90にて、制動フラグが「1」に設定され、G<G3であれば、そのままリターンする。
【0086】
図16は、作動モード判断処理の動作を示すフローチャートであり、ステップS91で制動フラグが「2」に設定されている場合には、ステップS94で作動モードを「3」とし、ステップS92の処理で、制動フラグが「1」に設定されている場合には、ステップS95の処理で作動モードが「2」に設定される。
【0087】
また、ステップS93の処理で、レーダ判断フラグが「1」に設定されている場合には、ステップS96の処理で作動モードが「1」に設定され、それ以外の場合には、ステップS97の処理で作動モードが「0」に設定される。
【0088】
図17は、出力デューティ算出処理を示すフローチャートであり、ステップS101では、作動モードが3に設定されていると判断された場合には、ステップS104で、出力デューティを「D3」に設定し、ステップS102の処理で、作動モードが「2」に設定されていると判断された場合には、ステップS105で出力デューティを「D2」に設定する。
【0089】
また、ステップS103の処理で、作動モードが「1」に設定されていると判断された場合には、ステップS106にて、出力デューティを「D1」に設定する。但し、D3>D2>D1である。なお、それ以外の場合には、ステップS107にて出力デューティを「0」に設定する。
【0090】
このようにして、第3の実施形態に係る車両用シートベルト装置では、制動判断が成立するかどうかを設定するしきい値が複数(この場合は2個)設定されている場合において、レーダ判断が成立した際には、これらの各しきい値が共に変更される。従って、ウェビング11に加えられる張力を多段階に変化させることができるので、きめ細かいウェビング11の張力制御が可能となる。
【0091】
また、詳しい説明を省略するが、図18のフローチャートに示すように、制動判断に関して複数設定されたしきい値のうちの、一つのみをレーダ判断の成立、不成立に応じて変更するように構成することも可能である。即ち、図18のステップS85′、S86′では、一つのしきい値G1についてのみ、レーダ判断の結果に応じてその値を変更している。このような構成においても、第3の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0092】
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。本実施形態では、ブレーキ操作の制動判断による制御が行われているかどうかに応じて、レーダ判断時のしきい値を変更するものである。具体的には、制動判断成立時におけるレーダ判断のしきい値が、制動判断不成立時におけるレーダ判断のしきい値よりも大きくなるように設定する。即ち、衝突までの時間が小さければ小さいほど、衝突の可能性が高くなるので、衝突までの時間のしきい値の値が大きい値であるということは、より第1のプリテンショナ駆動の感度が高くなることを意味する。
【0093】
本実施形態では、レーダ判断のしきい値としてT2,T3の2つを設定している。また、上述した第1の実施形態と比較して、ステップS6のレーダ判断処理、ステップS7の作動モード判断処理、及びステップS8のデューティ算出処理のみが相違するので、この部分の動作のみ説明する。
【0094】
以下、図19,図20を参照しながら、これらの詳細な処理動作について説明する。図19は、第4の実施形態に係る車両用シートベルト装置の、レーダ判断の処理動作を示すフローチャートである。
【0095】
同図に示すステップS111で、車速と所定値V1とを比較し、V1以下である場合には、ステップS111でNOとなって、ステップS120の処理で、レーダ判断フラグを「0」とする。
【0096】
他方、車速がV1よりも大きい場合には、ステップS112にて、レーザレーダ51で求められた前方障害物までの距離、及び相対速度に基づいて、前方障害物に衝突するまでの時間が算出される。そして、ステップS113では、図3のステップS3にて、ブレーキ操作による制動判断が成立中であるかどうかが判断される。
【0097】
そして、制動判断が成立中である場合には、ステップS114で、レーダ判断フラグを設定する際の衝突時間の第1のしきい値T2をT22に設定し、第2のしきい値T3をT32に設定する。他方、制動判断が成立していない場合には、ステップS115にて、第1のしきい値T2を、T21(T21<T22)に設定し、第2のしきい値T3を、T31(T31<T32)に設定する。
【0098】
その後、ステップS116で、レーザレーダ51により求められた衝突までの時間と衝突時間のしきい値T2とが比較され、T2よりも小さい場合には、ステップS118にて、レーダ判断フラグを「2」に設定する。また、衝突までの時間が第1のしきい値T2以上である場合には、ステップS117にて、衝突までの時間と第2のしきい値T3とが比較され、T3よりも小さい場合には、ステップS119にて、レーダ判断フラグを「1」に設定する。更に、衝突までの時間がT3以上である場合には、ステップS120で、レーダ判断フラグを「0」に設定する。
【0099】
図20は、作動モード判断処理を示すフローチャートであり、ステップS121で、制動フラグが「1」であると判断された場合には、ステップS124にて、作動モードを「3」に設定する。また、ステップS122にて、レーダ判断フラグが「2」であると判断された場合には、ステップS125にて、作動モードを「2」に設定する。
【0100】
更に、ステップS123にて、レーダ判断フラグが「1」であると判断された場合には、ステップS126にて、作動モードを「1」に設定する。また、いずれの場合でもない場合には、ステップS123でNOとなり、ステップS127にて、作動モードが「0」とされる。その後、設定された作動モードに基づいて、出力デューティの制御が行われる。
【0101】
具体的な出力デューティの算出処理は、前述した図17に示した処理と同様であるので、ここでの説明を省略する。
【0102】
このようにして、第4の実施形態に係る車両用シートベルト装置では、制動判断が成立した際には、レーダ判断が成立するかどうかを設定するしきい値が大きい値となるように変更される。また、複数のしきい値が設定されている場合には、各しきい値が大きい値となるように変更される。
【0103】
従って、制動判断が成立し、リスク度が高まった状態において、レーダ判断をより敏感に成立させることができるので、より一層運転者に与える違和感を低減することができる。
【0104】
また、詳しい説明を省略するが、図21のフローチャートに示すように、レーダ判断に関して複数設定されたしきい値のうちの、一つのみを制動判断の成立、不成立に応じて変更するように構成することも可能である。即ち、図21のステップS114′、S115′では、一つのしきい値T2についてのみ、制動判断の結果に応じてその値を変更している。このような構成においても、第4の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0105】
更に、図22に示すように、しきい値が一つの場合についても、前述と同様に、制動判断が成立しているときには、しきい値T2を大きい値(T22)に設定し、制動判断が成立していないときには、しきい値T2を小さい値(T21)に設定することもできる。以下、図22に示すフローチャートについて、詳細に説明する。
【0106】
同図に示すステップS71で、車速と所定値V1とを比較し、V1以下である場合には、ステップS71でNOとなって、ステップS78の処理で、レーダ判断フラグを「0」とする。
【0107】
他方、車速がV1よりも大きい場合には、ステップS72にて、レーザレーダ51で求められた前方障害物までの距離、及び相対速度に基づいて、前方障害物に衝突するまでの時間が算出される。そして、ステップS73では、図3のステップS3にて、ブレーキ操作による制動判断が成立中であるかどうかが判断される。
【0108】
そして、制動判断が成立中である場合には、ステップS74にて判断フラグを設定する際の衝突時間のしきい値T2を、T22に設定する。他方、制動判断が成立していない場合には、ステップS75にて、衝突時間のしきい値T2を、T21(T21<T22)に設定する。
【0109】
その後、ステップS76で、レーザレーダ51により求められた衝突までの時間と衝突時間のしきい値T2とが比較され、T2よりも小さい場合には、ステップS77にて、衝突の回避が不可能であると判断し、レーダ判断フラグを「1」に設定する。また、衝突までの時間がしきい値T2以上である場合には、ステップS78にて、レーダ判断フラグを「0」に設定する。
【0110】
こうして、ブレーキ操作による制動が行われている際には、レーダ判断によりウェビング11の制御を開始する際の、衝突時間のしきい値T2が長くなるように設定されるので、レーダ判断の処理が敏感になる。
【0111】
図23は、制動判断が成立することにより、衝突までの時間Tのしきい値が変化する様子を示すタイミングチャートである。同図(b)に示すように、時刻t2にて、制動判断が成立した場合には、衝突までの時間Tのしきい値がT21からT22に切り替わる。従って、同図(a)の曲線x3に示すように、衝突までの時間Tがしきい値T21よりも小さい場合には、制動判断の成立、不成立に関わらず、乗員拘束のためにレーダ判断が成立する。しかし、曲線x4に示すように、衝突までの時間Tがしきい値T22とT21との間の値となった場合には、制動判断が成立しているかどうかにより、レーダ判断の成立、不成立が変化する。
【0112】
つまり、しきい値T2がT21となっている場合には、レーダ判断は成立せず、しきい値T2がT21となっている場合には、レーダ判断が成立する。
【0113】
次に、本発明の第5の実施形態について説明する。第5の実施形態では、レーダ判断が成立している状態においては、制動判断のしきい値を小さい値に設定し(即ち、検出感度を敏感に設定し)、レーダ判断と制動判断とが共に成立したときのウェビング11に付与する張力(ベルト張力)は、レーダ判断、或いは制動判断が単独で成立したときよりも高くなるように設定している。
【0114】
即ち、図24に示すように、レーダ判断が成立しているときには、ウェビング11の張力をD1に設定し、レーダ判断が成立していない状態で、制動判断が成立した場合には、ウェビング11の張力をD2に設定する。
【0115】
そして、レーダ判断成立時に、制動判断が成立した場合には、ウェビング11の張力がD3(D3>D2>D1)となるように設定している。
【0116】
レーダ判断と制動判断の双方が成立しているということは、レーダ判断のみ成立時、或いは制動判断のみ成立時よりも、衝突の危険性が高いと考えられるので、双方の判断が共に成立した条件下では、ウェビング11の張力を高くすることで、より確実に張力制御ができるようになり、乗員を確実にシートに拘束することができるようになる。
【0117】
次に、本発明の第6の実施形態について説明する。第6の実施形態では、制動判断が成立している状態では、レーダ判断のしきい値を大きい値に設定し(即ち、検出感度を敏感に設定し)、制動判断とレーダ判断とが共に成立したときのウェビング11に付与する張力(ベルト張力)は、レーダ判断、或いは制動判断が単独で成立したときよりも高くなるように設定している。
【0118】
即ち、図25に示すように、制動判断が成立しているときには、ウェビング11の張力をD1に設定し、制動判断が成立していない状態で、レーダ判断が成立した場合には、ウェビング11の張力をD2に設定する。
【0119】
そして、制動判断成立時に、レーダ判断が成立した場合には、ウェビング11の張力がD3(D3>D2>D1)となるように設定している。
【0120】
制動判断とレーダ判断の双方が成立しているということは、制動判断のみ成立時、或いはレーダ判断のみ成立時よりも、衝突の危険性が高いと考えられるので、双方の判断が共に成立した条件下では、ウェビング11の張力を高くすることで、より確実に張力制御ができるようになり、乗員を確実にシートに拘束することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るシートベルト制御装置の各構成要素の配置を示す説明図である。
【図2】本発明の実施形態に係るシートベルト制御装置の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施形態に係るシートベルト制御装置の、全体の処理手順を示すフローチャートである。
【図4】制動判断の処理手順を示すフローチャートである。
【図5】制動判断を終了する際の処理手順を示すフローチャートである。
【図6】レーダ判断の処理手順を示すフローチャートである。
【図7】作動モード判断の処理手順を示すフローチャートである。
【図8】出力デューティを決定する際の処理手順を示すフローチャートである。
【図9】フェールセーフ機能による出力許可判断の処理手順を示すフローチャートである。
【図10】制動判断により生じるベルト張力と、レーダ判断により生じるベルト張力の変化を示す特性図である。
【図11】レーダ判断成立時、及び不成立時における、減速Gのしきい値の変化を示す説明図である。
【図12】本発明の第2の実施形態に係るシートベルト制御装置の構成を示すブロック図である。
【図13】第2の実施形態に係るシートベルト制御装置の、レーダ判断の処理手順を示すフローチャートである。
【図14】通常ブレーキ時と、ブレーキ制御作動時のブレーキペダルストロークの相違を示す説明図である。
【図15】第3の実施形態に係るシートベルト制御装置の、制動判断の処理手順を示すフローチャートである。
【図16】第3の実施形態に係るシートベルト制御装置の、作動モードを決定する処理手順を示すフローチャートである。
【図17】第3の実施形態に係るシートベルト制御装置の、出力デューティを決定する処理手順を示すフローチャートである。
【図18】第3の実施形態に係るシートベルト制御装置の、制動判断の他の処理手順を示すフローチャートである。
【図19】第4の実施形態に係るシートベルト制御装置の、レーダ判断の処理手順を示すフローチャートである。
【図20】第4の実施形態に係るシートベルト制御装置の、作動モードを決定する処理手順を示すフローチャートである。
【図21】第4の実施形態に係るシートベルト制御装置の、レーダ判断の他の処理手順を示すフローチャートである。
【図22】第4の実施形態に係るシートベルト制御装置の、レーダ判断の更に他の処理手順を示すフローチャートである。
【図23】制動判断成立時、及び不成立時における、衝突までの時間Tのしきい値の変化を示す説明図である。
【図24】第5の実施形態に係るシートベルト制御装置に係り、衝突発生時までのベルト張力の変化を示す説明図である。
【図25】第6の実施形態に係るシートベルト制御装置に係り、衝突発生時までのベルト張力の変化を示す説明図である。
【符号の説明】
10 シートベルト装置
11 ウェビング
12 リトラクタ
13 タング
14 バックル
15 スルーリング
16 第1のプリテンショナ
16a 減速ギヤ機構
17 第2のプリテンショナ
20 ブレーキペダルストロークセンサ(ブレーキ操作検出手段)
21 車速センサ
22 フューズ
30 第1のコントローラ(制御手段)
31 CPU
32 電源回路
32a センサ電源回路
33 IGN入力回路
34 CAN・I/F
35 アナログI/F
36 駆動回路
37 リレー
38a,38b H−Bridge
39 ドライバ回路
51 レーザレーダ(障害物検出手段)
52 衝撃センサ
53 第2のコントローラ

Claims (10)

  1. シートに着座した乗員を拘束するウェビングと、該ウェビングを巻き取り、巻き戻しするリトラクタを備えた車両用シートベルト装置において、
    前記ウェビングを前記リトラクタに所望する張力で巻き取り駆動する第1のプリテンショナと、
    緊急時に前記ウェビングに張力を付与し、乗員を最終的に拘束する第2のプリテンショナと、
    車両のブレーキ操作量を検出するブレーキ操作検出手段と、
    車両前方に存在する障害物を検出する障害物検出手段と、
    前記ブレーキ操作検出手段の検出データに基づく制御、及び前記障害物検出手段の検出データに基づく制御、の少なくとも一方にて前記第1のプリテンショナによる張力を制御する制御手段と、を具備し、
    前記制御手段は、前記ブレーキ操作検出手段の検出データに基づく制御、または前記障害物検出手段の検出データに基づく制御の、いずれか一方の判断条件が成立している際には、他方の制御の判断条件が成立するための感度を上昇させることを特徴とする車両用シートベルト装置。
  2. 前記制御手段は、前記障害物検出手段の検出データに基づく制御の判断条件が成立している際には、前記ブレーキ操作検出手段の検出データに基づく制御の判断条件が成立するための、減速度のしきい値を低い値に変更することを特徴とする請求項1に記載の車両用シートベルト装置。
  3. 前記ブレーキ操作検出手段の検出データに基づく制御の判断条件を設定する減速度のしきい値を複数設定し、
    前記障害物検出手段の検出データに基づく制御の判断条件が成立した際には、前記複数設定されたしきい値の全てを低い値に変更することを特徴とする請求項2に記載の車両用シートベルト装置。
  4. 前記ブレーキ操作検出手段の検出データに基づく制御の判断条件を設定する減速度しきい値を複数設定し、
    前記障害物検出手段の検出データに基づく制御の判断条件が成立した際には、前記複数設定されたしきい値うちの一部のみを低い値に変更することを特徴とする請求項2に記載の車両用シートベルト装置。
  5. 前記制御手段は、前記ブレーキ操作検出手段の検出データに基づく制御の判断条件が成立している際には、前記障害物検出手段の検出データに基づく制御の判断条件が成立するための、衝突発生までの時間のしきい値を高い値に変更することを特徴とする請求項1に記載の車両用シートベルト装置。
  6. 前記障害物検出手段の検出データに基づく制御の判断条件を設定する衝突発生までの時間のしきい値を複数設定し、
    前記ブレーキ操作検出手段の検出データに基づく制御の判断条件が成立した際には、前記複数設定されたしきい値の全てを高い値に変更することを特徴とする請求項5に記載の車両用シートベルト装置。
  7. 前記障害物検出手段の検出データに基づく制御の判断条件を設定する衝突発生までの時間のしきい値を複数設定し、
    前記ブレーキ操作検出手段の検出データに基づく制御の判断条件が成立した際には、前記複数設定されたしきい値のうちの一部のみを高い値に変更することを特徴とする請求項5に記載の車両用シートベルト装置。
  8. 前記障害物検出手段の検出データに基づく制御の判断条件が成立した際には、当該車両が有する自動ブレーキ装置を駆動させることを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載のシートベルト装置。
  9. 前記制御手段は、前記障害物検出手段の検出データに基づく制御の判断条件が成立しているときに前記ブレーキ操作検出手段の検出データに基づく制御の判断条件が成立した際には、当該ブレーキ操作検出手段の検出データに基づく制御の判断条件が単独で成立したときよりも、ベルト張力が大きくなるように前記第1のプリテンショナを制御することを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の車両用シートベルト装置。
  10. 前記制御手段は、前記ブレーキ操作検出手段の検出データに基づく制御の判断条件が成立しているときに前記障害物検出手段の検出データに基づく制御の判断条件が成立した際には、当該障害物検出手段の検出データに基づく制御の判断条件が単独で成立したときよりも、ベルト張力が大きくなるように前記第1のプリテンショナを制御することを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の車両用シートベルト装置。
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