JP2004229517A - 畜肉食品の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】短時間で全体が均一に加熱され、食感がよく、外観も良好な畜肉食品を製造するとともに、畜肉食品の製造工程における燻煙の効果を維持しながら、燻煙時間を短縮して生産効率を向上させる。
【解決手段】本発明に係る畜肉食品の製造方法は、生の豚肉ブロックを塩漬けする塩漬け工程と、塩漬け後のブロック肉に通電して加熱する通電加熱工程とを含むことを特徴とする。通電加熱は望ましくは2回繰り返し、1回目の通電加熱では、ブロック肉の到達温度は20〜40℃、望ましくは30〜40℃とし、この温度で15分以上保持する。上述した工程に加えて、燻煙工程を含めることができる。
【選択図】 図1
【解決手段】本発明に係る畜肉食品の製造方法は、生の豚肉ブロックを塩漬けする塩漬け工程と、塩漬け後のブロック肉に通電して加熱する通電加熱工程とを含むことを特徴とする。通電加熱は望ましくは2回繰り返し、1回目の通電加熱では、ブロック肉の到達温度は20〜40℃、望ましくは30〜40℃とし、この温度で15分以上保持する。上述した工程に加えて、燻煙工程を含めることができる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は通電加熱を適用した畜肉食品の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
畜肉食品の1つであるハム(魚肉ハムを除く)は豚の部分肉を塩漬けした後、そのまま、またはケーシングや型に充填して燻煙後、湯煮あるいは蒸煮して製造するもので、材料の部位によりロースハム、ボンレスハム、ショルダーハム、ベリーハムなどがあり、湯煮あるいは蒸煮しないものとして骨付きハムおよびラックスハムがある。これらのハムはひとつの肉塊からつくられるが、小さい肉片につなぎ肉を加えて結着させてつくられるプレスハムもある。
【0003】
ハム製造工程における塩漬けは、原料肉を食塩、砂糖、亜硝酸塩、香辛料などで漬け込むことである。燻煙では、樫、桜、楢などの堅木の煙でいぶし、特有のフレーバーの付与や表面の色の改良が行われる。また、煙で香味を付けると同時に煙中のフェノール物質を付着、浸透させることにより抗酸化力をもたせる。湯煮あるいは蒸煮は、ハムの中心温度が63℃、30分以上となるように加熱する工程である。
【0004】
上記の製造工程において、燻煙工程には改善すべき点がある。その一つは、煙に含まれる有効成分がハムの内部に浸透する速度が遅いため、殺菌効果が得られるには相当長時間燻煙しなければならず、非能率的であるということである。通常、0〜5℃の塩漬け肉のブロックを80〜240分かけて燻煙している。もう一つは、燻煙にはメタノール、ホルムアルデヒドをはじめ、フェノール類、ケトン類、アルデヒド類など、またベンツピレンやジベンツアントラセンなどが含まれており、これらの有害物質の影響を無視することができないということである。この二点を改善するためには、燻煙時間を大幅に短縮する必要がある。
【0005】
燻煙時間を短縮するために、塩漬け肉を通電加熱により加熱する方法が考えられる。従来、ソーセージや蒲鉾などの練り製品の加熱に通電加熱を利用する方法は公知である。たとえば特許文献1には、導電性繊維体を絶縁性の筒体の両端部に装着し、練り製品の材料を筒体内に充填した後、導電性繊維体を締結して密封状の包装材料を得、この包装材料の両端部の締結展開部が電極板と密接するように密閉容器内に挿入し、電極版間に通電させて発熱させ、包装材料を包装したまま殺菌、熟熱して包装食品とする方法が記載されている。
【0006】
また、特許文献2には、練り食品を加熱加工する適宜な容器内に練り食品とは直接広い面積で接触し、かつ相互には絶縁されている二枚の電極板を固定し、この電極板に高周波電流を流して練り製品を加熱する方法が記載されている。
【0007】
また、特許文献3には、魚肉練り製品の通電加熱を機械化、自動化した通電加熱装置が記載され、特許文献4にも魚肉、畜肉などの連続通電加熱装置が記載されている。
【0008】
【特許文献1】
特公昭49−45570号公報(第2頁)
【特許文献2】
特開昭58−36371号公報(第2頁)
【特許文献3】
特開平11−169136号公報(段落番号0026−0028)
【特許文献4】
特開2002−345416号公報(段落番号0015−0030)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記の特許文献1,2に記載の通電加熱方法は、適用対象の製品の一つとしてハムも挙げられてはいるが、実際には挽肉を主材料としたソーセージや魚擂り身を主材料とした蒲鉾などの練り製品の加熱に適した方法であり、ひとつの肉塊からつくられるハムの加熱には適用できない。
また、この練り製品の製造方法では、ハムの製造工程のなかの重要な工程である燻煙処理を行うことができず、燻煙による香味付けや殺菌の効果を得ることができない。また、特許文献3,4に記載の装置を使用した加熱も含め、通電加熱は短時間で終わるので、ハムに関して食品衛生法で定められた基準(63℃−30分)を維持することができない。
【0010】
そこで本発明では、短時間で全体が均一に加熱され、食感がよく、外観も良好な畜肉食品を製造するとともに、畜肉食品の製造工程における燻煙の効果を維持しながら、燻煙時間を短縮して生産効率を向上させることを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る畜肉食品の製造方法は、生の豚肉ブロックを塩漬けする塩漬け工程と、塩漬け後のブロック肉に通電して加熱する通電加熱工程とを含むことを特徴とする。ここでは、燻煙工程を含まないので、畜肉食品の一つとしての焼豚を製造することができる。
【0012】
通電加熱ではブロック肉は内部も外部も同時に加熱されるので、ブロック肉の大きさに特別な制限はない。ただし、大きさの上限については、通電加熱装置で取り扱うことのできる大きさ、および短時間燻煙で燻煙の効果が得られる大きさを考慮する必要がある。ハム用のブロック肉は、豚のどの部位から採取されたかがわかっているので、ブロック肉ごとの電気抵抗値の推定は容易であり、電気抵抗値に見合った電流を流すことによりブロック肉全体を均一に加熱することができる。
【0013】
前処理としての塩漬け工程は、常法により行う。食塩は弱い塩味をつけ、保水性を高めるために少量使用する。亜硝酸塩は発色剤として少量使用する。
通電加熱の条件は、ブロック肉の採取部位と大きさ、および装置上の材料の搬送速度によって異なるが、通電電圧を20V以上75V以下、電流を5A以上15A以下として高周波加熱するのが適当である。この高周波加熱においては、周波数を20kHz程度とするのが好ましい。
【0014】
通電加熱は望ましくは2回繰り返し、1回目の通電加熱では通電時間を5分以上20分以下とし、ブロック肉の到達温度を20〜40℃、望ましくは30〜40℃とし、この温度で15分以上保持する。この1回目の通電加熱でブロック肉の発色効果と食感向上効果が得られる。2回目の通電加熱では通電時間を5分以上40分以下とし、ブロック肉の到達温度が55〜85℃、望ましくは65〜85℃となるまで加熱する。これは、食品衛生法で定められている63℃−30分の基準を維持するためである。
このように通電加熱により材料を内部から加熱することにより、短時間で全体が均一に加熱され、食感がよく、外観も良好な加熱ブロック肉が得られる。
【0015】
上述した工程に加えて、燻煙工程を含めることによって、畜肉食品の一つとしての畜肉ハムを製造することができる。
燻煙工程は常法に従って行うが、本発明においては、通電加熱工程においてブロック肉の内部まで均一に加熱されているので、燻煙工程で従来のように長時間燻煙する必要はない。ただし、2回目の通電加熱において、食品衛生法で定められている63℃−30分の基準に対して、加熱時間が不足する場合もあるので、燻煙室の温度を75〜85℃とし、燻煙室で30分間程度保持するのが好ましい。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の畜肉食品の製造方法について詳細に説明する。
図1に、畜肉食品の製造方法の一例として、ロースハムを製造する方法について、その製造工程を示す。
図1に示すように、原料となるブロック肉を塩漬した後、通電加熱する。通電加熱の工程は、互いに通電条件が異なる2つの工程からなる。その後、スモークまたはスチームを用いて燻煙を行った後冷却し、包装して商品とする。
【0017】
図2に、重量950gのロースハムブロックを製造する際の通電加熱の例を示す。
この加熱例においては、まず第1通電工程において、10分間通電した後、コンベア上で15分間ホールドする。次に、第2通電工程において10分間通電した後、コンベア上で18分間ホールドする。最後に、仕上げ加熱として、ジェットオーブンで、190℃、15分間加熱した後、コンベア上で8分間ホールドする。
【0018】
本発明の畜肉食品の製造方法においては、通電加熱条件のうち、通電電圧を20V以上75V以下としているが、これは、通電電圧が20V未満であると、必要な加熱温度を得るためには通電時間を長くとることが必要となるため好ましくなく、通電電圧が75Vを超えると、電極接触部でスパークを生じて適正に通電加熱を行うことが困難になるからである。
【0019】
また、周波数を20kHzとしているのは、商用周波数(50Hz又は60Hz)で通電加熱を行うと、通電加熱で用いられるTi電極が電解腐食を起こす場合があり、食品衛生上好ましくないからである。
【0020】
さらに、第1通電工程において、通電時間を5分以上20分以下としているのは、通電時間が5分未満であると、実現できる温度にばらつきを生じて、ブロック肉の発色効果と食感向上効果が得られにくく、通電時間が20分を超えると、生産性が低下するためである。
【0021】
また、第2通電工程において、通電時間を5分以上40分以下としているのは、通電時間が5分未満であると、実現できる温度にばらつきを生じて、食品衛生法で定められている63℃−30分の基準を維持することが難しく、通電時間が20分を超えると、生産性が低下するためである。
【0022】
通電加熱工程で使用する装置はとくに限定されるものではないが、大量生産のためには自動化された装置を使用するのが好ましく、たとえば特許文献4に記載の連続通電加熱装置を使用することもできる。この連続通電加熱装置は、電解液の供給手段と、少なくとも1つのフレキシブルなのれん状上部通電部材と、食品を搬送するためのコンベアと、このコンベアの搬送面の下側に配置された下部電極と、前記上部通電部材の近傍に配置した少なくとも1つの邪魔棒と、前記上部通電部材と前記下部電極との間、または前記邪魔棒と前記下部電極との間に交流電圧を印加する手段によって構成されている。
【0023】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によると、以下の効果を奏することができる。
(1)生の豚肉ブロックを塩漬けする塩漬け工程と、塩漬け後のブロック肉に通電して加熱する通電加熱工程とを含む畜肉食品の製造方法により、短時間で全体が均一に加熱され、食感がよく、外観も良好な畜肉食品を得ることができる。
【0024】
(2)通電加熱による加熱後のブロック肉を、室温が75〜85℃の燻煙室で30分間以上燻煙することにより、燻煙の効果を維持しながら、燻煙時間を短縮して生産効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】畜肉食品の製造方法の一例として、ロースハムを製造する方法について、その製造工程を示す図である。
【図2】ロースハムを製造する際の通電加熱の例を示す図である。
【発明の属する技術分野】
本発明は通電加熱を適用した畜肉食品の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
畜肉食品の1つであるハム(魚肉ハムを除く)は豚の部分肉を塩漬けした後、そのまま、またはケーシングや型に充填して燻煙後、湯煮あるいは蒸煮して製造するもので、材料の部位によりロースハム、ボンレスハム、ショルダーハム、ベリーハムなどがあり、湯煮あるいは蒸煮しないものとして骨付きハムおよびラックスハムがある。これらのハムはひとつの肉塊からつくられるが、小さい肉片につなぎ肉を加えて結着させてつくられるプレスハムもある。
【0003】
ハム製造工程における塩漬けは、原料肉を食塩、砂糖、亜硝酸塩、香辛料などで漬け込むことである。燻煙では、樫、桜、楢などの堅木の煙でいぶし、特有のフレーバーの付与や表面の色の改良が行われる。また、煙で香味を付けると同時に煙中のフェノール物質を付着、浸透させることにより抗酸化力をもたせる。湯煮あるいは蒸煮は、ハムの中心温度が63℃、30分以上となるように加熱する工程である。
【0004】
上記の製造工程において、燻煙工程には改善すべき点がある。その一つは、煙に含まれる有効成分がハムの内部に浸透する速度が遅いため、殺菌効果が得られるには相当長時間燻煙しなければならず、非能率的であるということである。通常、0〜5℃の塩漬け肉のブロックを80〜240分かけて燻煙している。もう一つは、燻煙にはメタノール、ホルムアルデヒドをはじめ、フェノール類、ケトン類、アルデヒド類など、またベンツピレンやジベンツアントラセンなどが含まれており、これらの有害物質の影響を無視することができないということである。この二点を改善するためには、燻煙時間を大幅に短縮する必要がある。
【0005】
燻煙時間を短縮するために、塩漬け肉を通電加熱により加熱する方法が考えられる。従来、ソーセージや蒲鉾などの練り製品の加熱に通電加熱を利用する方法は公知である。たとえば特許文献1には、導電性繊維体を絶縁性の筒体の両端部に装着し、練り製品の材料を筒体内に充填した後、導電性繊維体を締結して密封状の包装材料を得、この包装材料の両端部の締結展開部が電極板と密接するように密閉容器内に挿入し、電極版間に通電させて発熱させ、包装材料を包装したまま殺菌、熟熱して包装食品とする方法が記載されている。
【0006】
また、特許文献2には、練り食品を加熱加工する適宜な容器内に練り食品とは直接広い面積で接触し、かつ相互には絶縁されている二枚の電極板を固定し、この電極板に高周波電流を流して練り製品を加熱する方法が記載されている。
【0007】
また、特許文献3には、魚肉練り製品の通電加熱を機械化、自動化した通電加熱装置が記載され、特許文献4にも魚肉、畜肉などの連続通電加熱装置が記載されている。
【0008】
【特許文献1】
特公昭49−45570号公報(第2頁)
【特許文献2】
特開昭58−36371号公報(第2頁)
【特許文献3】
特開平11−169136号公報(段落番号0026−0028)
【特許文献4】
特開2002−345416号公報(段落番号0015−0030)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記の特許文献1,2に記載の通電加熱方法は、適用対象の製品の一つとしてハムも挙げられてはいるが、実際には挽肉を主材料としたソーセージや魚擂り身を主材料とした蒲鉾などの練り製品の加熱に適した方法であり、ひとつの肉塊からつくられるハムの加熱には適用できない。
また、この練り製品の製造方法では、ハムの製造工程のなかの重要な工程である燻煙処理を行うことができず、燻煙による香味付けや殺菌の効果を得ることができない。また、特許文献3,4に記載の装置を使用した加熱も含め、通電加熱は短時間で終わるので、ハムに関して食品衛生法で定められた基準(63℃−30分)を維持することができない。
【0010】
そこで本発明では、短時間で全体が均一に加熱され、食感がよく、外観も良好な畜肉食品を製造するとともに、畜肉食品の製造工程における燻煙の効果を維持しながら、燻煙時間を短縮して生産効率を向上させることを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る畜肉食品の製造方法は、生の豚肉ブロックを塩漬けする塩漬け工程と、塩漬け後のブロック肉に通電して加熱する通電加熱工程とを含むことを特徴とする。ここでは、燻煙工程を含まないので、畜肉食品の一つとしての焼豚を製造することができる。
【0012】
通電加熱ではブロック肉は内部も外部も同時に加熱されるので、ブロック肉の大きさに特別な制限はない。ただし、大きさの上限については、通電加熱装置で取り扱うことのできる大きさ、および短時間燻煙で燻煙の効果が得られる大きさを考慮する必要がある。ハム用のブロック肉は、豚のどの部位から採取されたかがわかっているので、ブロック肉ごとの電気抵抗値の推定は容易であり、電気抵抗値に見合った電流を流すことによりブロック肉全体を均一に加熱することができる。
【0013】
前処理としての塩漬け工程は、常法により行う。食塩は弱い塩味をつけ、保水性を高めるために少量使用する。亜硝酸塩は発色剤として少量使用する。
通電加熱の条件は、ブロック肉の採取部位と大きさ、および装置上の材料の搬送速度によって異なるが、通電電圧を20V以上75V以下、電流を5A以上15A以下として高周波加熱するのが適当である。この高周波加熱においては、周波数を20kHz程度とするのが好ましい。
【0014】
通電加熱は望ましくは2回繰り返し、1回目の通電加熱では通電時間を5分以上20分以下とし、ブロック肉の到達温度を20〜40℃、望ましくは30〜40℃とし、この温度で15分以上保持する。この1回目の通電加熱でブロック肉の発色効果と食感向上効果が得られる。2回目の通電加熱では通電時間を5分以上40分以下とし、ブロック肉の到達温度が55〜85℃、望ましくは65〜85℃となるまで加熱する。これは、食品衛生法で定められている63℃−30分の基準を維持するためである。
このように通電加熱により材料を内部から加熱することにより、短時間で全体が均一に加熱され、食感がよく、外観も良好な加熱ブロック肉が得られる。
【0015】
上述した工程に加えて、燻煙工程を含めることによって、畜肉食品の一つとしての畜肉ハムを製造することができる。
燻煙工程は常法に従って行うが、本発明においては、通電加熱工程においてブロック肉の内部まで均一に加熱されているので、燻煙工程で従来のように長時間燻煙する必要はない。ただし、2回目の通電加熱において、食品衛生法で定められている63℃−30分の基準に対して、加熱時間が不足する場合もあるので、燻煙室の温度を75〜85℃とし、燻煙室で30分間程度保持するのが好ましい。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の畜肉食品の製造方法について詳細に説明する。
図1に、畜肉食品の製造方法の一例として、ロースハムを製造する方法について、その製造工程を示す。
図1に示すように、原料となるブロック肉を塩漬した後、通電加熱する。通電加熱の工程は、互いに通電条件が異なる2つの工程からなる。その後、スモークまたはスチームを用いて燻煙を行った後冷却し、包装して商品とする。
【0017】
図2に、重量950gのロースハムブロックを製造する際の通電加熱の例を示す。
この加熱例においては、まず第1通電工程において、10分間通電した後、コンベア上で15分間ホールドする。次に、第2通電工程において10分間通電した後、コンベア上で18分間ホールドする。最後に、仕上げ加熱として、ジェットオーブンで、190℃、15分間加熱した後、コンベア上で8分間ホールドする。
【0018】
本発明の畜肉食品の製造方法においては、通電加熱条件のうち、通電電圧を20V以上75V以下としているが、これは、通電電圧が20V未満であると、必要な加熱温度を得るためには通電時間を長くとることが必要となるため好ましくなく、通電電圧が75Vを超えると、電極接触部でスパークを生じて適正に通電加熱を行うことが困難になるからである。
【0019】
また、周波数を20kHzとしているのは、商用周波数(50Hz又は60Hz)で通電加熱を行うと、通電加熱で用いられるTi電極が電解腐食を起こす場合があり、食品衛生上好ましくないからである。
【0020】
さらに、第1通電工程において、通電時間を5分以上20分以下としているのは、通電時間が5分未満であると、実現できる温度にばらつきを生じて、ブロック肉の発色効果と食感向上効果が得られにくく、通電時間が20分を超えると、生産性が低下するためである。
【0021】
また、第2通電工程において、通電時間を5分以上40分以下としているのは、通電時間が5分未満であると、実現できる温度にばらつきを生じて、食品衛生法で定められている63℃−30分の基準を維持することが難しく、通電時間が20分を超えると、生産性が低下するためである。
【0022】
通電加熱工程で使用する装置はとくに限定されるものではないが、大量生産のためには自動化された装置を使用するのが好ましく、たとえば特許文献4に記載の連続通電加熱装置を使用することもできる。この連続通電加熱装置は、電解液の供給手段と、少なくとも1つのフレキシブルなのれん状上部通電部材と、食品を搬送するためのコンベアと、このコンベアの搬送面の下側に配置された下部電極と、前記上部通電部材の近傍に配置した少なくとも1つの邪魔棒と、前記上部通電部材と前記下部電極との間、または前記邪魔棒と前記下部電極との間に交流電圧を印加する手段によって構成されている。
【0023】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によると、以下の効果を奏することができる。
(1)生の豚肉ブロックを塩漬けする塩漬け工程と、塩漬け後のブロック肉に通電して加熱する通電加熱工程とを含む畜肉食品の製造方法により、短時間で全体が均一に加熱され、食感がよく、外観も良好な畜肉食品を得ることができる。
【0024】
(2)通電加熱による加熱後のブロック肉を、室温が75〜85℃の燻煙室で30分間以上燻煙することにより、燻煙の効果を維持しながら、燻煙時間を短縮して生産効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】畜肉食品の製造方法の一例として、ロースハムを製造する方法について、その製造工程を示す図である。
【図2】ロースハムを製造する際の通電加熱の例を示す図である。
Claims (4)
- 生の豚肉ブロックを塩漬けする塩漬け工程と、塩漬け後のブロック肉に通電して加熱する通電加熱工程とを含むことを特徴とする畜肉食品の製造方法。
- 前記通電加熱工程において、通電電圧を20V以上75V以下、電流を5A以上15A以下として高周波で加熱することを特徴とする請求項1記載の畜肉食品の製造方法。
- 前記通電加熱を2回行い、1回目の通電加熱では通電時間を5分以上20分以下とし、ブロック肉の到達温度を20〜40℃として同温度で15分以上保持し、2回目の通電加熱では通電時間を5分以上40分以下とし、ブロック肉の到達温度が55〜85℃となるまで加熱することを特徴とする請求項1または2記載の畜肉食品の製造方法。
- 請求項1記載の工程に加えて、加熱後のブロック肉を燻煙する燻煙工程を含み、前記燻煙は室温が75〜85℃の燻煙室でブロック肉を30分間以上保持することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の畜肉食品の製造方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003019215A JP2004229517A (ja) | 2003-01-28 | 2003-01-28 | 畜肉食品の製造方法 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2003019215A JP2004229517A (ja) | 2003-01-28 | 2003-01-28 | 畜肉食品の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004229517A true JP2004229517A (ja) | 2004-08-19 |
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ID=32949141
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2003019215A Pending JP2004229517A (ja) | 2003-01-28 | 2003-01-28 | 畜肉食品の製造方法 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2004229517A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013179921A (ja) * | 2012-03-05 | 2013-09-12 | Tottori Institute Of Industrial Technology | 魚肉接着方法 |
CN103876167A (zh) * | 2014-04-01 | 2014-06-25 | 广西巴马百岁寿星健康长寿产业有限公司 | 一种烤香猪的生产方法 |
JP2014183758A (ja) * | 2013-03-22 | 2014-10-02 | Shizuoka Prefecture | 調味料食品およびその製造方法 |
-
2003
- 2003-01-28 JP JP2003019215A patent/JP2004229517A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013179921A (ja) * | 2012-03-05 | 2013-09-12 | Tottori Institute Of Industrial Technology | 魚肉接着方法 |
JP2014183758A (ja) * | 2013-03-22 | 2014-10-02 | Shizuoka Prefecture | 調味料食品およびその製造方法 |
CN103876167A (zh) * | 2014-04-01 | 2014-06-25 | 广西巴马百岁寿星健康长寿产业有限公司 | 一种烤香猪的生产方法 |
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