JP2004226452A - 画像形成方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】潜像を乱すことなく、ドット再現性が良好で、かつキャリア付着を防止し、高耐久性で、高画質なフルカラー画像を得られる画像形成方法を提供する。
【解決手段】本発明の画像形成方法においては表面抵抗が1×1010〜1016Ωである電荷注入層を有する静電潜像担持体と二成分系現像剤として、少なくともバインダー樹脂と磁性粒子としてハードフェライト材料からなる粒子をコア材として、更にその表面に非磁性の金属酸化物粒子を含有した樹脂層を有する磁性キャリアを用いることで、キャリア比抵抗を5.0×1013Ω・cm以上の高抵抗かつ、キャリア付着防止に有効な磁気特性とすることが出来る。このようなキャリアを用いた現像剤磁気ブラシを潜像担持体に接触させながら交番電界を印加して現像を行うことで高画質画像を得ることが可能となることを特徴とする。
【選択図】 図1
【解決手段】本発明の画像形成方法においては表面抵抗が1×1010〜1016Ωである電荷注入層を有する静電潜像担持体と二成分系現像剤として、少なくともバインダー樹脂と磁性粒子としてハードフェライト材料からなる粒子をコア材として、更にその表面に非磁性の金属酸化物粒子を含有した樹脂層を有する磁性キャリアを用いることで、キャリア比抵抗を5.0×1013Ω・cm以上の高抵抗かつ、キャリア付着防止に有効な磁気特性とすることが出来る。このようなキャリアを用いた現像剤磁気ブラシを潜像担持体に接触させながら交番電界を印加して現像を行うことで高画質画像を得ることが可能となることを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真法、静電記録法等において、潜像担持体に帯電部材を接触させて帯電させる接触帯電装置を有し、現像プロセスに二成分系現像剤を用いる画像形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真法として米国特許第2,297,691号明細書、特公昭42−23910号公報及び特公昭43−24748号公報等に種々の方法が記載されている。
【0003】
これらの方法は、いずれも光導電層に原稿に応じた光像を照射することにより静電潜像を形成し、次いで該静電潜像上にこれとは反対の極性を有するトナーと呼ばれる着色微粉末を付着させて該静電潜像を現像し、必要に応じて紙等の転写材にトナー画像を転写した後、熱、圧力あるいは溶剤蒸気等により定着し複写物やプリントアウトを得るものである。
【0004】
該静電潜像を現像する工程は、帯電させたトナー粒子を静電潜像の静電相互作用を利用して潜像担持体の静電潜像上に画像形成を行うものである。一般にかかる静電潜像をトナーを用いて現像する方法のうち、トナーをキャリアと呼ばれる媒体に分散させた二成分系現像剤が特に高画質を要求されるフルカラー複写機、フルカラープリンターには好適に用いられている。
【0005】
近年、マルチメディア、コンピュータ画像処理等の発達により、更に高精細なフルカラー画像を出力する手段が要望されている。この目的のため、フルカラーの複写画像やプリントアウト画像をさらに高画質、高精細とし銀塩写真の画像水準にまで高品質化する努力がなされている。こうした要求に応じて、プロセス及び材料の観点から検討が加えられている。
【0006】
上述した二成分系現像方法も、現像剤磁気ブラシが潜像担持体表面を摺擦しながら現像を行う接触二成分系現像方法と、現像剤磁気ブラシが潜像担持体と接触しない非接触二成分系現像方法に分類される。非接触二成分系現像は潜像担持体にキャリアが付着するいわゆるキャリア付着現象が起こりにくいという長所もあるが、上述したような高精細フルカラー画像を得るためには、優れた細線再現性と十分な画像濃度が得られる接触二成分系現像が好適に用いられる。
【0007】
また、トナーを静電潜像上に現像するために、現像剤担持体から静電潜像側に現像バイアスを印加するが、上述したような高画質を達成するために、DCバイアスにACバイアスを重畳する方法が好適に用いられている。
【0008】
また、トナー又はキャリアの粒径を小さくしたり、現像剤磁気ブラシを綴密化することで画質を向上させる方法もある。特開昭59−104663号公報に、飽和磁化の小さな磁性キャリアを使用することで現像剤磁気ブラシを綴密化し、高画質化を達成する方法が記載されている。
【0009】
しかし、以上に述べたような高画質化を達成するための方法、つまり、接触二成分系AC現像方式を用いるキャリアの小粒径化及びキャリアの低磁気力化はすべて潜像担持体にキャリアが付着してしまう、いわゆるキャリア付着現象を起こしやすくするため、実用化されるには困難があった。
【0010】
ところで、潜像担持体に静電潜像を形成する前に、潜像担持体表面全体に一様に電荷をのせるいわゆる一次帯電と呼ばれる工程が行われるが、従来、この帯電装置にはコロナ放電を用いる、いわゆるコロナ帯電器が使用されてきた。
【0011】
しかし、近年これに代わって接触帯電装置が実用化されてきている。これは、低オゾン、低電力、装置の小型化を目的としており、帯電部材として導電ローラや磁気ブラシローラが用いられている。帯電方法としては、接触帯電をスムーズかつ均一に、また環境変動に影響されずに行うため、特開昭63−149669号公報に記されているようにAC成分を重畳した電圧を帯電部材に印加することが望ましい。
【0012】
このような接触帯電装置においても、その本質的な帯電機構は、帯電部材から潜像担持体への放電現象を用いており、そのためオゾンの発生は避けられず、また、帯電部材に印加する電圧は望まれる潜像担持体表面電位以上の値が少なくとも必要であり、上記のようなAC成分を用いた帯電を行った場合は電界による振動や異音の発生、放電による潜像担持体表面の劣化などの問題があった。
【0013】
このような問題を解決するため、潜像担持体への電荷の直接注入による帯電が望まれていた。潜像担持体表面に直接電荷を注入するためには、抵抗値の低い帯電部材を用い、長い帯電時間をかけることにより潜像担持体表面に存在する電荷のトラップ準位に帯電電荷を充電する方法がある。しかし、このような帯電方法では帯電部材の比抵抗が1×103ΩCm未満と非常に低いことが前提となり、潜像担持体表面に生じたキズやピンホールに対して大きな電荷リークをおこしてしまうなどの問題があった。また、十分な帯電を行うために必要な時間も、実用的なレベルではなかった。
【0014】
そこで、特開平6−3921号公報に、潜像担持体表面に電荷注入層を設け、それに対して接触帯電部材で電荷を注入する方法が示されている。これにより以上に述べた接触帯電装置における諸問題は解決することが可能となっている。
【0015】
以上のような接触帯電装置に用いる帯電部材としては、潜像担持体との接触ニップが大きくとれ、潜像担持体表面に均一に接触できる磁気ブラシローラが特に好適に用いられる。
【0016】
磁気ブラシローラを用いた接触帯電装置では、磁気ブラシを構成するひとつひとつの磁性粒子が互いに接触して導電経路を形成する必要があり、この導電経路を通じて流れた電荷によって潜像担持体表面が充電、帯電されるが、磁気ブラシ中に不純物が混入した場合、その帯電特性が変化してしまうという問題がある。例えば、トナー粒子等がなんらかの原因で磁気ブラシに比較的多量に混入した場合、こういった問題が現実化する可能性がある。最近、装置全体の小型化、メンテナンスの簡易化を実現するために、廃トナーの回収部分を省いたクリーナーレスプロセスが提案されているが、とくにこの場合には転写されずに潜像担持体上に残ったトナーがクリーニングされずに磁気ブラシ中に高い確率で混入してしまう。
【0017】
また、前述したような接触二成分系現像プロセス、AC現像バイアスを高画質化のために用いて、従来のような鉄粉キャリアやフェライトキャリア等のコア抵抗が1×109Ωcm以下であるような低抵抗コアに樹脂コートを施した磁性キャリアを現像剤に使用すると、キャリア付着やトナーカブリが発生し、これらのトナー、磁性キャリアが接触帯電部材に混入することにより、接触帯電能力が不十分になる場合があった。
【0018】
特開平6−222676号公報に、帯電磁気ブラシの接触帯電プロセスを用いた画像形成装置で、帯電磁気ブラシに用いる磁性粒子より、現像剤に用いる磁性キャリアの抵抗を高くして帯電及び現像の交流電圧電源を共通化する提案がなされているが、とくに接触二成分系の現像プロセスを用いた場合、該明細書に記載されている、フェライト粒子のコート材を変化させて抵抗をコントロールし、帯電磁気ブラシ用の磁性粒子と二成分系現像剤用の磁性キャリアに用いるような場合、フルカラー画像の高画質化を達成することはできなかった。
【0019】
以上のような理由により、細線再現性に優れ、高画像濃度のフルカラー画像が得られる接触二成分系AC現像プロセスを用いて、かつ低オゾン発生が達成できる画像形成方法はこれまで実用化されていない。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上述の問題点を解消した画像形成方法、とくに二成分系現像剤と接触帯電プロセスを用いた画像形成方法を提供することにある。
【0021】
本発明の目的は、オゾンの発生を抑制され、キャリア付着の発生がない、細線再現性に優れた高画質トナー画像が得られる画像形成方法を提供することにある。
【0022】
本発明の目的は、接触帯電磁気ブラシを用いた接触AC帯電プロセスを使った画像形成方法において、トナーが高転写効率であり、またトナーカブリがなく、クリーナーレスプロセスにも対応できる画像形成方法を提供することにある。
【0023】
【課題を解決するための手段及び作用】
本発明は、表面抵抗が1×1010〜1×1016Ωである電荷注入層を有する潜像担持体と、磁性キャリアとトナーを含有する二成分系現像剤を担持する現像剤担持体とを対向させて配設し、現像する画像形成方法において、該磁性キャリア粒子は少なくともバインダー樹脂及び磁性金属酸化物粒子を含有し、
磁性キャリア粒子の個数平均粒径が5〜100μmであり、
磁性キャリア粒子の比抵抗が25〜500V印加時に、50×1013Ω・cm以上であり、
磁性キャリア粒子の真比重が3.0〜4.9g/cm3であり、
磁性キャリア粒子の10000エルステッドの磁場における飽和磁化が100emu/cm3以上であり、残留磁化が50emu/cm3以上であり、かつ保持カが300エルステッド以上であり、
該現像剤担持体上に形成する現像剤磁気ブラシを該潜像担持体に接触させ、交番電界を印加しつつ現像を行うことを特徴とする画像形成方法に関する。
【0024】
本発明における現像方式には、現像剤として二成分系現像剤を用い、現像剤磁気ブラシが潜像担持体に接触して摺擦しつつ交番電界をかけながら現像を行う、いわゆる接触二成分系AC現像が最適である。これは、前述したように、細線再現性に優れた高画質トナー画像を得るためである。
【0025】
また、該潜像担持体の表面抵抗が1×1010〜1×1016Ωである電荷注入層が存在し、これに接触帯電する部材で一次帯電を行うことで、オゾンの発生を抑制することができる。特に、磁性粒子を用いた帯電ブラシを使用することで、より、均一な帯電が可能となる。
【0026】
さらに、二成分系現像剤を構成する磁性キャリアの磁気力を小さくし、かつ実質的に高抵抗化することにより、トナーカブリとキャリア付着を防止しつつ、細線再現性の良好な、高画質画像が得られる。
【0027】
また、以上のような構成の画像形成装置に、重合法によって製造されるトナーを使用することにより、高転写効率で、カブリのないトナーによりクリーナーレスの画像形成方法も併せて達成することができる。
【0028】
また、以上のような実質的に高抵抗で、磁気力の小さい現像樹脂キャリアを用いて、現像剤担持体の回転の進行方向と潜像担持体の回転の進行方向が、対向部において互いにカウンター方向である現像方式を好ましく用いることによって、スキャベンジングを防止しつつ、高画像濃度でドット抜けのない高品位画像を得ることができる。
【0029】
【発明の実施の形態】
本発明者らが詳細な検討を行ったところ、本発明における潜像担持体の電荷注入層の表面抵抗は、1×1010〜1×1016Ωであることが必要であり、より好ましくは1×1012〜1×1015Ωの範囲にあることが好ましいことがわかった。
【0030】
電荷注入層の表面抵抗が1×1010Ω未満である場合、接触帯電部材から注入される電荷が電荷注入層の表面で保持されずに、反転現像系の電子写真プロセスでは結果として画像流れと呼ばれる現象を引き起こすことがあった。これはとくに高湿下で多く見られた。電荷注入層の表面の抵抗が1×1016Ωを超える場合は、電荷が十分に注入されず、潜像担持体の帯電不良領域に不必要にトナーが乗ってしまういわゆる帯電ポジコーストが発生することがある。
【0031】
また、以上のように潜像担持体の電荷注入層の表面抵抗が1×1010Ω〜1×1016Ωの範囲にあっても、注入帯電部材の比抵抗が適当な範囲になければ、適正に帯電は行われない。これは注入帯電部材の構成によって調整される必要があるが、例えば磁性粒子で構成される帯電ブラシローラを用いる場合、1×105〜1×108Ωcmの比抵抗の磁性体で構成された帯電ブラシローラが良好な帯電性を示す。
【0032】
帯電磁気ブラシローラを構成する磁性体は、例えば鉄、コバルト、ニッケルなど磁性金属や、その化合物を用いることができる。これらを適切なコート樹脂でコートするか、あるいは酸化処理、還元処理などを行って、上記の比抵抗に調整する必要がある。
【0033】
例えば、水素還元処理したZn−Cuフェライト、酸化処理したマグネタイトなどを用いることができる。また、磁性金属酸化物と導電性微粒子とをバインダー樹脂中に分散させたバインダー型の磁性粒子、あるいは該バインダー型磁性粒子を適切なコート樹脂でコートしたものを用いることもできる。
【0034】
潜像担持体の電荷注入層としては、絶縁性でかつ透光性のバインダー樹脂中に導電性の微粒子を分散したものが好ましく用いられる。この電荷注入層を、電圧を印加された帯電磁気ブラシが接触することで、あたかも潜像担持体の導電基体に対して導電粒子が無数の独立したフロート電極のように存在し、これらのフロート電極が形成するコンデンサーに充電を行うような作用を期待することができる。従って、接触帯電部材に印加した電圧と潜像担持体表面電位は等しい値に収束し、印加する電圧も最小限のもので良いという効果も認められた。
【0035】
前述したように、高画質化を達成するために接触二成分系現像プロセス、AC現像バイアスを用いたとき、以上のように電荷注入層の表面抵抗が1×1010Ω〜1×1016Ωの範囲にある潜像担持体を用いるとき、従来のような鉄粉キャリアやフェライトに樹脂コートを施した磁性キャリアを現像剤に使用すると、キャリア付着やトナーカブリが著しく発生することが見受けられた。
【0036】
この現象は電荷注入層の表面の比抵抗が低くなるにつれて現れやすくなり、また、現像剤の磁性キャリアの比抵抗が低くなると顕著に現れることがわかった。
【0037】
本発明者らはこの現象の原因を探求し、以下のような結論に至った。
【0038】
つまり、比抵抗が比較的低い電荷注入層を有する潜像担持体と、比抵抗の低い磁性キャリアを合わせて使用する場合、潜像担持体上の潜像の電位が、接触して摺擦する磁性キャリア粒子を介してリークしてその電位を現像バイアス電位に近づくように変化させてしまい、その結果、カブリ取り電位が低くなり、トナーカブリを発生する。
【0039】
従って、この現象を防ぐためには高抵抗な磁性キャリアを用いることが効果的であることを見いだした。具体的には、本発明のような潜像担持体の電荷注入層の表面抵抗が1×1010Ω〜1×1016Ωの範囲にある場合、磁性キャリアの比抵抗が5×1013Ωcm以上であるキャリアを用いることが必須であることが見いだした。
【0040】
また、高画質化の観点からはキャリア粒径をできるだけ小さくすることが好ましく、現像極(磁極の強さ約1000エルステッド)において、磁気ブラシの穂立ちを密にすることで、静電潜像に忠実な現像が可能となり、ドット再現性の良い画像が得られることがわかった。磁気ブラシの密度はキャリアの磁化の強さがに関係しており、キャリア粒子の磁気力を下げるにつれて磁気ブラシ密度が密になる。
【0041】
キャリアが同一組成であるならば、キャリア粒子の磁気力は粒径と関係しているため、キャリアの磁気力を下げていくと、次第にキャリア付着が生じる傾向にある。このような観点から、本発明では使用するキャリア粒径として、その個数平均粒径としては5〜100μmの範囲のものを使用することができ、さらにはキャリア磁化の強さが100emu/cm3以上のときに高画質が得られ、またキャリア付着防止の観点からより好適で、更にキャリアの残留磁化の強さが50emu/cm3以上で、かつ保持力が300エルステッド以上となるような磁気特性を有するようにMO・6(Fe2O3)で表されるマグネトプランバイト構造を有するハードフェライト材料を選択した場合にキャリア付着を良好に防止できることを見いだした。
【0042】
尚、本発明に用いられる磁性キャリアの比抵抗測定は、ハイレジスタンスメーター4329A(横河ヒューレットパッカード製)で測定した値を示した。
【0043】
本発明に用いられる磁性キャリアに用いることができる磁性金属酸化物粒子としては、MO・6(Fe2O3)で表される六方晶マグネトプランバイト構造を有するハードフェライト材料が必須であり、例えば、BaFe12O19,SrFe12O19,PbFe12O19であらわされるバリウムフェライト、ストロンチウムフェライト及び鉛フェライトな、とを挙げることができる。このようなハードフェライト材料を樹脂中に分散させることで高抵抗化と所望の磁気特性との両立することが可能となる。
【0044】
また、キャリアとしての磁気特性や電気抵抗等の調整のために、上記磁性金属酸化物粒子以外にも非磁性金属酸化物粒子を併用することが可能であり、例えば、A12O3,SiO2,CaO,TiO2,V2O5,CrO2,MnO2、α−Fe2O3,CoO,NiO,CuO,ZnO,SrO,Y2O3,ZrO2等を挙げることができる。非磁性金属酸化物粒子を併用する場合には、比重や形状が類似している粒子を用いるのがバインダーとの密着性、キャリア強度を高めるためにより好ましい。本発明に用いられる磁性キャリアでは非磁性金属酸化物粒子としてヘマタイトを組み合せて用いてることが好ましい。
【0045】
上記の金属酸化物粒子を樹脂に分散してキャリアとする場合、磁性を示す金属酸化物粒子の個数平均粒径はキャリア粒径によっても変わるが、0.02〜2μmまでのものが好ましく用いることができる。また、2種以上の金属酸化物粒子を分散させて用いる場合、磁性を示す金属酸化物粒子の個数平均粒径は0.02〜2μmまでのものが用いることができ、他方の金属酸化物粒子の個数平均粒径は、0.05〜5μmのものが使用できる。
【0046】
この場合、磁性の金属酸化物粒子(粒径:ra)に対して他方の金属酸化物粒子(粒径:rb)の粒径比rb/raは1.0を越え5.0倍以下であることが好ましい。1.0倍以下であると比抵抗の低い磁性の金属酸化物粒子が表面に出やすくなり、キャリアの抵抗を十分に上げることができず、本発明においてキャリア付着を防止する効果が得られにくくなる。また、5.0倍を超えると樹脂中への金属酸化物粒子の取り込みがうまくいかなくなり、キャリアの強度が低下し、金属酸化物粒子の脱離を引き起こしやすくなる。本発明で使用する金属酸化物粒子の粒径測定方法については後述する。
【0047】
本発明に用いられる磁性キャリアのコア中に含有される金属酸化物粒子の量は、50質量%〜99質量%である。金属酸化物粒子の量が50質量%未満であると帯電性が不安定になり、特に低温低湿環境下においてキャリアが帯電し、その残留電荷が残存しやすくなるために微粉トナーや外添削等がキャリア表面に付着しやすくなる。また、99質量%を超えるとキャリア強度が低下して、耐久によるキャリアの割れ、金属酸化物粒子の脱離などの問題を生じやすくなる。
【0048】
さらに本発明に用いられる磁性キャリアでは、例えば、コア中に非磁性の金属酸化物粒子と磁性の金属酸化物粒子を組み合わせるて用いるなど、2種以上の金属酸化物粒子を分散させることも可能である。この場合、コア中に含有される金属酸化物粒子全体に占める磁性を有する金属酸化物粒子の含有量が30質量%〜100質量%である。30質量%未満であるとコアの高抵抗化は良好になる半面、キャリアとしての磁気力が小さくなり、キャリア付着を招く場合がある。
【0049】
更に、本発明に用いられる磁性キャリアに使用される金属酸化物粒子は親油化処理されていることが好ましい。これはキャリアから金属酸化物粒子の脱離を防止でき、またキャリア製造上においても、親油化処理された金属酸化物粒子をバインダー樹脂中に分散させ、コア粒子を形成する場合、均一でかつ高密度でバインダー樹脂中に取り込ませることが可能となる。特に、重合法でコア粒子を形成する場合は球形で表面が平滑な粒子を得る上で、また粒度分布をシャープにするために重要である。
【0050】
親油化処理はシラン系カップリング剤やチタネート系カップリング剤などのカップリング剤で金属酸化物を処理するか、界面活性剤を含む水性溶媒中に金属酸化物を分散させることにより表面を親油化する等の方法がある。
【0051】
また、本発明で使用する磁性キャリアのコアに含有される金属酸化物は、親油化処理されていることが好ましい。親油化処理された金属酸化物はバインダー樹脂中に分散させコア粒子を形成する場合、均一でかつ高密度でバインダー樹脂中に取り込まれることが可能となる。特に、重合法でコア粒子を形成する場合は球形で表面が平滑な粒子を得るために、親油化処理はシラン系カップリング剤やチタネート系カップリング剤などのカップリング剤で金属酸化物を処理するか、界面活性剤を含む水性溶媒中に金属酸化物を分散させることにより表面を親油化する等の方法がある。
【0052】
ここでいうシラン系カップリング剤としては、疎水性基、アミノ基あるいはエポキシ基を有するものを用いることができる。疎水性基をもつシラン系カップリング剤として例えば、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシ)シラン等を挙げることができる。アミノ基をもつシラン系カップリング剤としては、γ−アミノプロピルエトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。エポキシ基をもつシラン系カップリング剤としては、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)トリメトキシシラン等が挙げられる。
【0053】
チタネート系カップリング剤としては、例えば、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリトデシルベンセンスルホニルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルピロホスフェート)チタネート等を挙げることができる。
【0054】
界面活性剤としては、市販の界面活性剤をそのまま使用することができる。
【0055】
本発明に用いられるコアに用いられるバインダー樹脂としては、ビニル系モノマーを重合して得られる全ての樹脂が挙げられる。ここで言うビニル系モノマーとしては例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン、m−ニトロスチレン、o−ニトロスチレン、p−ニトロスチレン等のスチレン誘導体;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレンなどのエチレン及び不飽和モノオレブイン類;ブタジエン、イソプレンなどの不飽和ジオレブイン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、フッ化ビニル等のハロゲン化ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル等のビニルエステル類;メタクリル酸及びメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル等のα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;アクリル酸及びアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2ニグロルエチル、アクリル酸フェニル等のアクリル酸エステル類;マレン酸、マレイン酸ハーフエステル;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類;N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドン等のN−ビニル化合物;ビニルナフタリン類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等のアクリル酸若しくはメタクリル酸誘導体;アクロレイン類などが挙げられ、これらの中から1種又は2種以上使用して重合させたものが用いられる。
【0056】
また、ビニル系モノマーから重合して得られる樹脂以外にポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂などの非ビニル縮合系樹脂あるいはこれらと前記ビニル系樹脂との混合物を用いることができる。
【0057】
本発明に用いられる磁性キャリアのコアを製造する方法としては、ビニル系、非ビニル系の熱可塑性樹脂、金属酸化物、その他硬化剤等の添加剤を混合機により十分に混合してから加熱ロール、ニーダー、エクストルーダー等の混練機を用いて溶融、混練して、これを冷却後、粉砕分級を行なってキャリアコアを得ることができる。この際、得られた金属酸化物含有樹脂粒子を熱あるいは機械的に球形化してコアとして用いることが好ましい。
【0058】
より好ましく本発明に用いられる磁性キャリアのコアを製造する方法としては、直接モノマーと金属酸化物を混合、重合してキャリアコアを得る方法がある。このとき、重合に用いられるモノマーとしては、前述したビニル系モノマーの他にエポキシ樹脂の出発原料となるビスフェノール類とエピクロルヒドリン、フェノール樹脂のフェノール類とアルデヒド類、尿素樹脂の尿素とアルデヒド類、メラミンとアルデヒド類等が用いられる。例えば、硬化系フェノール樹脂を用いたキャリアコアの製造方法としては、水性媒体中でフェノール類とアルデヒド類を塩基性触媒の存在下で前述した金属酸化物、好ましくは親油化処理した金属酸化物を入れ、重合しコアを得る。このようなキャリアコアの製造方法では、さらに水性媒体中でフェノール類とアルデヒド類を塩基性触媒の存在下で得られたキャリアコアを入れ、さらにフェノール系樹脂を表面にコートさせることで、キャリアコアの比抵抗をさらに向上させることができる。また、この際、前述した非磁性の金属酸化物粒子をフェノール樹脂と共にコート樹脂中に含有させることで、キャリアコアの表面をさらに頑強にすることができる。
【0059】
本発明に用いられるキャリアを製造する方法としては、キャリアの強度をアップさせたり、コート樹脂をより良好にコートさせるためにコア製造時にバインダーを架橋させて用いるのが好ましい。例えば、溶融混練時に架橋成分を添加し混練時に架橋させ方法、あるいは直接麗含時に硬化型樹脂を選択し直接璽含させてコアを得る方法、あるいは架橋成分を入れたモノマーを使用する等の方法を挙げることができる。
【0060】
また、コート量はキャリアコア粒子100質量部に対し、0.05〜10質量部であることが好ましい。さらには0.2質量%〜5質量%の範囲であることが最も好適である。コート盤が0.05質量%未満ではキャリアコア材を十分にコートすることが困難となり、耐久後にトナースペントを十分抑制することができない。また、10質量%を超えると、樹脂コート量が多すぎるため比抵抗は所望の範囲とすることができるが流動性が低下したり、かえって電荷が蓄積することによるキャリア付着を生じたりする場合がある。
【0061】
本発明に使用できるコート樹脂としては、絶縁性樹脂を使用することができる。ここで、使用される絶縁性樹脂としては熱可塑性の樹脂であっても熱硬化性樹脂であっても使用でき、具体的には例えば熱可塑性の樹脂としてはポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、スチレン−アクリル酸共重合体等のアクリル樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル、酢酸ビニル、ポリフッ化ビニリデン樹脂、フルオロカーボン樹脂、ハーフロロカーボン樹脂、溶剤可溶性ハーフロロカーボン樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリビニルピロリドン、石油樹脂、セルロース、酢酸セルロース、硝酸セルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース誘導体、ノボラック樹脂、低分子量ポリエチレン、飽和アルキルポリエステル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアクリレートといった芳香族ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルケトン樹脂を挙げることができる。
【0062】
またかかる硬化性樹脂としては、具体的には例えば、フェノール樹脂、変性フェノール樹脂、マレイン樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、具体的には例えば無水マレイン酸−テレフタル酸−多価アルコールの重縮合によって得られる不飽和ポリエステル、尿素樹脂、メラミン樹脂、尿素−メラミン樹脂、キシレン樹脂、トルエン樹脂、グアナミン樹脂、メラミン−グアテミン樹脂、アセトグアナミン樹脂、グリプタール樹脂、フラン樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリウレタン樹脂等を挙げることができる。上述した樹脂は、単独でも使用できるがそれぞれを混合して使用してもよい。また、熱可塑性樹脂に硬化剤などを混合し硬化させて使用することもできる。
【0063】
本発明においては、特にキャリア表面にシリコーン樹脂をコートしたキャリアを用いることが好ましい。これはキャリア同士が合一せずに均一に膜形成ができ、長期の使用においてもコート層がコア材から剥がれることなく耐久性の優れたキャリアとすることができるからであり、またシリコーン樹脂は低表面エネルギーであるため、トナーと混合して現像剤とした場合に、キャリア表面へのトナー組成物のスペントを防止でき、安定してトナーに摩擦帯電電荷を付与できることによることによる。シリコーン樹脂をコートする場合は、被膜強度をより高めるためにキュアを施すことが好ましい。具体的には150℃以上の温度で0.5時間以上保持することが好ましい。
【0064】
本発明のコートキャリアを好ましく製造する方法としては、キャリアコア材を浮遊流動させながら樹脂溶液をスプレーしコア材表面にコート膜を形成させる方法、及びスプレードライ法が挙げられる。上記コート方法は特に上述したような比較的低抵抗のキャリアコアに、コート樹脂をほぼ完全に被覆することが必要な場合や、熱可塑性樹脂をバインダー樹脂とするコアにコートする場合に好適である。
【0065】
またその他のコート方法として、剪断応力を加えながらコート樹脂溶液の溶媒を徐々に揮発させながら被膜を形成させるなどの方法によっても本発明に用いられる樹脂コートキャリアを製造することができる。
【0066】
本発明では高抵抗である磁性キャリアを用いて現像するのであるが、抵抗の低い現像キャリアよりも潜像担持体にキャリアが付着する、いわゆるキャリア付着現象が起こりにくいという利点もある。これは、キャリア付着のドライビングフォースには、特に交番電界印加における接触現像方式において、現像剤担持体から磁性キャリアヘ電荷が注入することが支配的因子となっているためであり、このような電荷注入の起こりにくい上記のような実質的に高抵抗であるキャリアを用いれば、キャリア付着現象は飛躍的に改善される。
【0067】
本発明に用いられる磁性キャリアの粒径は5〜100μmが好ましい。キャリアの粒径は、高画質化の観点からはできるだけ小さくすることが好ましいが、磁気力と粒径の関係によりキャリア付着を生じてくる。すなわち、キャリア粒径が100μmを超えると磁気ブラシが感光体表面を摺擦するときに掃き目を生じやすくなるために高画質の観点から好適でなく、また1μmより小さくなるとキャリア1個の持つ磁気力が小さくなるためにキャリア付着を生じやすくなる。
【0068】
本発明で使用したキャリア粒径の測定方法を記載する。本発明のキャリアの粒径は、走査電子顕微鏡(100〜5000倍)によりランダムに粒径0.1μm以上のキャリア粒子を300個以上抽出し、ニレコ社(株)製の画像処理解析装置Luzex3により水平方向フェレ径をもってキャリア粒径として測定し、個数平均粒径を算出するものとする。
【0069】
本発明で使用するキャリアの磁気特性は、理研電子(株)社製の振動磁場型磁気特性自動記録装置BHV−30を用いて測定する。キャリア粉体の磁気特性値は1キロエルステッドの外部磁場を作り、そのときの磁化の強さを求める。キャリアは円筒状のプラスチック容器に十分密になるようにパッキングした状態に作製する。この状態で磁化モーメントを測定し、試料を入れたときの実際の重量を測定して、磁化の強さ(emu/g)を求める。次いで、キャリア粒子の真比重を乾式自動密度計アキュピック1330(島津製作所(株)社製)により求め、磁化の強さ(emu/g)に真比重を掛けることで本発明の単位体積あたりの磁化の強さ(emu/cm3)を求める。
【0070】
本発明においては潜像担持体の帯電部材としては、ファーブラシ、磁気ブラシ、樹脂ローラーなどを用いることが出来るが、より均一な帯電と高耐久性を達成するために磁気ブラシを用いるのが好ましい。
【0071】
ところで、画質の向上はキャリアの改良のみでは難しく、トナーを改良することも重要である。すなわち、二成分系現像剤においてはキャリアは現像において重要であるが、それ以降の電子写真プロセスである転写、定着過程を経て、最終画像の画質ならびにカブリ等の画像品質に対してはトナーの影響が非常に大きい。本発明の二成分系現像剤においてはトナーを改良することで画像品質を向上することができた。
【0072】
すなわち、本発明に用いられるトナーは、重量平均粒径が1〜10μm、好ましくは3〜8μmの範囲であることが好適である。また、35%以下の個数分布の変動係数を有していることが反転成分のない良好な帯電付与、潜像ドットの再現性等を満足させるために必須である。
【0073】
トナー重量平均粒径が10μmを超えると、潜像を現像する粒子1個が大きくなるためにいくらキャリアの磁気力を下げても潜像に忠実な現像が行えず、また、静電的な転写を行うとトナーの飛び散りが激しくなる。また、1μm以下の粒径では粉体としてのハンドリング性に不都合を生じる。
【0074】
また、35%以下の個数分布の変動係数を超えると微粉トナーへのトナー帯電付与が良好に行えず、トナートリボ分布が広くなり、帯電不良(反転成分生成)や現像したトナーの粒径変化等の問題を生じてしまったり、キャリアとの摩擦帯電が良好に行えなくなるのに加え、潜像を忠実に再現できなくなる。本発明に用いる粒度分布の測定には、例えばレーザー走査型のCIS100(GLAI社製)を使用する方法を挙げることができる。
【0075】
具体的測定法については後述する。
【0076】
更にまた、本発明に用いられるトナーは形状係数SF−1が100〜130の範囲であり、全体、または一部が重合法で形成されており、かつ残存モノマー含有量が1000ppm以下であることが必要である。すなわち、本発明においてトナーは電子写真プロセス、特に現像同時クリーニング方法、クリーナレス画像形成方法等のクリーナーレスプロセスを用いたシステムにおいて有効である。すなわち、クリーナーレスプロセスのその原理は、電子写真各工程における感光体上のトナーの帯電極性及び帯電量を制御することと、反転現像方法を用いることが重要である。
【0077】
例を挙げて説明すると、マイナス帯電性の感光体及びマイナス帯電性のトナーを用いた場合、その転写工程において、プラス極性の転写部材によって可視化された像を転写材に転写することになるが、転写材の種類(厚み、抵抗、誘電率等の違い)と画像面積等の関係により、転写残余のトナーの帯電極性がプラスからマイナスまで変動する。しかし、マイナス帯電性の感光体を帯電する際のマイナス極性の帯電部材により、感光体表面と共に転写残余のトナーまでもが、転写工程においてプラス極性に振れていたとしても、一様にマイナス側へ帯電極性を揃えることが出来る。これゆえ、現像方法として反転現像を用いた場合、トナーの現像されるべき明部電位部にはマイナスに帯電された、転写残余のトナーが残り、トナーの現像されるべきでない暗部電位には、現像電界の関係上、トナー担持体の方に引き寄せられ、暗部電位をもつ感光体上にトナーは残留しない。
【0078】
このように、転写残余のトナーの帯電極性を制御することにより、現像同時クリーニング、クリーナレス画像形成方法が成立するわけであるが、このトナーの帯電極性を制御する工程において、感光体帯電部材によりトナーあるいは現像剤の劣化が促進されており、画質の劣化を引き起こしていることが判明した。
【0079】
その劣化の詳細であるが、例えば、コロナ帯電器を感光体帯電部材として用いた場合、先ず、コロナ帯電線により発生した電離イオンが感光体表面に導かれ、感光体表面に付着することにより表面に電位をもつ。このとき、感光体上にトナーが存在すれば、このコロナシャワーに晒されることにより、トナーも同時に感光体帯電極性と同極性に帯電される。これら電離イオンは化学的活性が非常に高いと考えられ、転写残余のトナーについてコロナシャワー、又は放電の影響をみると、感光体帯電部材を通過するトナーが帯電極性制御される際、化学的影響を受けて耐久特性、画像品質特性等に悪影響を与えていることが判明した。従来は、ブレード又は、ファーブラシなどのクリーニング部材により、転写残余のトナーが感光体上からクリーニングされており、感光体帯電の影響がトナーあるいは、現像剤に及ぶことはなかったものと考えられる。このため、感光体上に存在するトナーの帯電による化学的影響を考慮にいれた検討は行われていなかった。しかし、現像同時クリーニング、クリーナレス画像形成方法においては、感光帯電部材の影響を受けたトナーが現像器に回収、再利用されるため、これらの化学的影響を考慮にいれる必要性があることが判明した。
【0080】
本発明者らは、様々なトナーについて鋭意検討を行い、現像同時クリーニング、クリーナレス画像形成方法においては、トナー中に含まれる残存モノマーの含有量とこれら耐久特性、画像品質特性に密接なつながりのあることを見い出した。すなわち、残存モノマーによる作用は、以下のようなものと考えられる。例えば、結着樹脂、着色剤、帯電制御剤を主たる成分とするトナーの場合、残存モノマーは、トナー中に存在し、トナーのガラス転移点あるいはガラス転移点周辺の熱的挙動に影響を与える。モノマーは低分子量成分であるためにトナー全体を可塑化する方向に働く。一方、放電又はコロナシャワーに晒されたトナーについては、その活性種により、結着樹脂が影響を受ける。例えば、樹脂中の分子鎖が切断されることで樹脂分解物が生成し、低分子量分を生じたり、あるいは、逆に樹脂分解物が更に重合反応を促進していくなどが考えられる。一方、トナー中の残存モノマーは、感光体帯電部材により発生する活性種により、活性化するものと考えられる。
【0081】
このように、トナー中にはこれらに起因する反応性低分子量分が存在するため、これらが拮抗あるいは競合するものと考えられる。又、トナー中に含まれる荷電制御剤も比較的電子の授受に富む化合物であり、明瞭な原因の総ては掴みきれてはいないが、残存モノマーが存在することで、トナー中の反応性低分子量分の拮抗、競合の関係が変化することが示唆される。つまり、残存モノマーの影響でトナー表面の特性が徐々に変化することにより、トナーの流動性、帯電性が変化し、耐久により画像濃度の変化、かぶりの発生、フィルミング等の問題が生じる。
【0082】
トナー中の残存モノマー含有量という観点から現象を解析すると、1000ppmよりも少なければ、耐久特性上の性能が良好であり、1000ppmを超える範囲のトナーを用いると、耐久特性及び画像特性の点で実用上不十分である。望ましくは、残存モノマー量が、500ppm以下であると、耐久特性、画像品質特性が良好となり、300ppm以下であると更に良好な結果が得られる。本発明に供せられるトナー中の残存モノマーの定量方法については後述する。
【0083】
又、本発明においては、トナーの形状係数SF−1が100〜130であるものが好適に用いられる。さらに好ましくは、SF−1が100〜120である。本発明に用いられる形状係数を示すSF−1は、日立製作所製FE−SEM(S−800)を用いトナー像を100個無作為にサンプリングし、その画像情報はインターフェースを介してニレコ社製画像解析装置(LUSEX3)に導入し解析を行い下式より算出し得られた値を本発明においては形状係数SF−1と定義した。
【0084】
【数1】
MXLNGトナーの最大径
AREAトナーの投影面積
【0085】
トナーの形状係数SF−1は球形度合を示し、130より大きいと、球形から徐々に不定形となる。トナー形状の作用効果としては、できるだけ、トナー表面に対する感光体帯電部材の影響を低め、トナー中に反応性低分子量成分の生成を抑さえることである。すなわち、トナー表面積のなるべく小さい球形が好ましい。
【0086】
トナーの一部又は、全体が重合法により形成されたトナーを用いることにより発明の効果を高めることが出来る。特に、トナー表面部分を重合法により形成されたトナーについては、分散媒中にプレドナー(モノマー組成物)粒子として存在させ、必要な部分を重合反応により生成するため、表面性については、かなり平滑化されたものを得ることが出来る。この平滑さの作用効果は、電界がいわゆる尖った部分に集中する傾向があることに集約される。
【0087】
すなわち、感光体帯電工程を経たトナーについては、いわゆる凸凹のあるトナーについては、凸部分にコロナシャワーあるいは放電が集中しその部分を特異的に劣化する特性をもつのに対し、平滑であればコロナシャワーあるいは放電の集中するところがないので劣化しにくいと考えられる。
【0088】
SF−1が130を超えると、かぶりが増えたり、耐久性が若干劣る場合がある。
【0089】
さらには、トナーにコア/シェル構造をもたせ、シェル部分を重合により形成されたようなトナーを用いることで、本発明に用いられるトナーをさらに容易に製造することが出来る。この意味で、本発明には、コア/シェル構造を有するトナーが好ましく用いられる。コア/シェル構造の作用は、トナーの優れた定着性を損なうことなく耐ブロッキング性を付与できることは言うまでもなく、コアを有しないようなバルクとしての重合トナーに比較して、シェル部分のみを重合するほうが、重合工程の後の後処理工程において、残存モノマーの除去が容易に行われるからである。
【0090】
また、コア部の主たる成分としては低軟化点物質が好ましく、ASTMD3418−8に準拠し測定された主体極大ピーク値が、40〜90℃を示す化合物が好ましい。極大ピークが40℃未満であると低軟化点物質の自己凝集力が弱くなり、結果として高温オフセット性が弱くなり好ましくない。一方、極大ピークが、90℃を超えると定着温度が高くなり、好ましくない。更に直接重合方法によりトナーを得る場合においては、水系で造粒・重合を行うため極大ピーク値の温度が高いと主に造粒中に低軟化点物質が析出してきて懸濁系を阻害するため好ましくない。
【0091】
本発明の極大ピーク値の温度の測定には、例えばパーキンエレマー社製DSC−7を用いる。装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。サンプルはアルミニウム製パンを用い対照用にに空パンをセットし、昇温速度10℃/min.で測定を行なった。
【0092】
具体的にはパラフィンワックス,ポリオレフィンワックス,フィッシャートロピッシュワックス,アミドワックス,高級脂肪酸,エステルワックス及びこれらの誘導体又はこれらのグラフト/ブロック化合物等が利用できる。
【0093】
また、低軟化点物質はトナー中へ5〜30質量%添加することが好ましい。仮に5質量%未満の添加では先に述べた残存モノマーの除去に負担がかかり、又30質量%を超える場合は、重合法による製造においいても造粒時にトナー粒子同士の合一が起きやすく、粒度分布の広いものが生成しやすく、本発明には不適当であった。本発明に使用されるトナーの結着剤樹脂としては、具体的には例えばポリスチレン、ポリ−p−クロルスチレン、ポリビニルトルエン、と言ったスチレンおよびその誘導体から得られる高分子化合物、スチレン−P−クロルスチレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリルーインデン共重合体、ポリ塩化ビニル、フェノール樹脂、変性フェノール樹脂、マレイン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル、シリコーン樹脂、脂肪族多価アルコール、脂肪族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、芳香族シアルコール類、ジフェノール類から選択される単量体を構造単位として有するポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール、テルペン樹脂、クマロンインデン樹脂、石油樹脂、架橋したスチレン系樹脂および架橋したポリエステル樹脂等を挙げることができる。
【0094】
スチレン−アクリル系共重合体に使用される重合可能な単量体としては具体的には例えば、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸2エチルヘキシル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸オクチル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドと言ったエチレン性2重結合を有するアクリル酸エステル類、例えばマレイン酸、マレイン酸ブチル、と言ったマレイン酸のハーフエステル、およびジエステル類、酢酸ビニル、塩化ビニル、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテル、ビニルブチルエーテルと言ったビニルエステル類、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルヘキシルケトン、と言ったビニルケトン類を挙げることができる。
【0095】
上述した架橋剤としては、主として不飽和結合を2個以上有する化合物を挙げることができ、具体的には例えばジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、等の芳香族ジビニル化合物、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、と言った不飽和結合を2個有するカルボン酸エステル、ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルスルフィド、ジビニルスルホン等のジビニル化合物、および不飽和結合を3個以上有する化合物を単独若しくは混合して使用することができる。上述の架橋剤は、結剤着樹脂に対して、0.01から10質量%、好ましくは0.05から5質量%で使用するのが好適である。
【0096】
加圧定着方式を用いる場合には、圧力定着トナー用結剤着樹脂を使用することが可能であり、具体的には例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチレン、ポリウレタンエラストマー、エチレン−チルアクリレート共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、線状飽和ポリエステル、パラフィンおよび他のワックス類を挙げることができる。
【0097】
本発明に使用されるトナーには、荷電制御剤をトナーに配合して使用することもできる。荷電制御剤の添加によって現像システムに応じた最適の帯電量とすることができる。かかる正荷電制御剤としてはニグロシン、及び脂肪酸金属塩誘導体、トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4ナフトスルホン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフロロボレートと言った4級アンモニウム塩、ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド、ジシクロヘキシルスシオキサイドと言った、シオルガノスズオキサイド、ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズボレート、ジシクロヘキシルスズボレートを単独であるいは2種以上組み合わせて用いることができる。上述した荷電制御剤のうち特に、ニグロシン系、4級アンモニウム塩と言った荷電制御剤が好適である。
【0098】
また、本発明では負荷電制御剤を使用することもでき、具体的には例えば、有機金属錯体、キレート化合物が有効であり、アルミニウムアセチルアセトナート、鉄(II)アセチルアセトナート、3,5−ジターシャルブチルサリチル酸クロムを挙げることができる。特にアセチルアセトンの金属錯体(モノアルキル置換体、ジアルキル置換体を包含する)、サリチル酸系金属錯体(モノアルキル置換体、ジアルキル置換体を包含する)、またはそれらの塩が好ましく、特にはサリチル酸系金属塩が好適である。上述の荷電制御剤はトナーに添加する際には、結着剤樹脂に対して0.1〜20質量部、より好ましくは0.2〜10質量部で使用されることが好適である。特にカラー画像形成に使用される場合には無色若しくは淡色の荷電制御剤を使用することが好ましい。
【0099】
本発明で使用されるトナーに添加することができる着色剤としては、従来知られている染料及び顔料を使用することができ、具体的には例えばカーボンブラック、マグネタイト、フタロシアニンブルー、ピーコックブルー、パーマネントレッド、レーキレッド、ローダミンレーキ、バンザイエロー、パーマネントイエロー、ベンジジンイエロー等を使用することができる。その際の添加料としては、結着剤樹脂に対して0.1〜20質量%好ましくは0.5−20質量部、さらにはトナー像の好適なOHPフイルムの透過性を考慮すると12質量%以下の範囲で使用されるのが好ましく、通常0.5〜9質量%であるのが最も好適である。
【0100】
本発明のトナーにはさらに熱ロール定着時の雛型性を向上させる目的でポリエチレン、ポリプロピレン、マイクロクリスタリングワックス、カルナバワックス、サゾールワックス、パラフィンワックスなどのワックス成分を添加することもできる。本発明に使用されるトナーにはシリカ、アルミナ、酸化チタン、ポリテトラフロロエチレン、ポリビニリデンフロライド、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、シリコーンと言った微粉末を添加することが好適である。トナーに対して上述した微粉末を添加することによって、トナーとキャリア、あるいはトナー相互の間に微粉末が存在することになり、現像剤の流動性が向上され、さらに現像剤の寿命も向上されることになる。
【0101】
また、これら微粉末の表面積としては、BET法による窒素吸潜によった比表面積が100m2/g以上、特に150〜400m2/gの範囲のものが良好である。かかる微粉末の添加量は、トナー粒径に合わせてトナー100質量%に対して0.1〜20質量%で使用することが好適である。100m2/g未満であると、トナーの流動性が無くなり、トナーの転写性を充分に向上させることができず、画質を低下させてしまう場合がある。
【0102】
本発明に用いられるトナーを粉砕法で製造する方法は、ビニル系、非ビニル系の熱可塑成樹脂、着色剤、荷電制御剤、その他の添加剤を混合機により十分に混合してから加熱ロール、ニーダー、エクストルーダーと言った混練機を用いて溶融、混練して樹脂類を十分に混合して、その中に顔料、若しくは染料を分散させる。これを冷却後、粉砕分級を行なってトナー粒子を得ることができる。本発明におけるトナーの分級方法として好ましくは、慣性力を利用した多分割分級装置を用いる。この装置を用いることにより、本発明の粒度分布を有するトナーを効率的に製造できる。
【0103】
発明に用いられるトナーの製造方法に直接重合方法を用いる場合は、具体的には以下のようにして製造することが可能である。
【0104】
単量体中に低軟化物質からなる雛型剤,着色剤,荷電制御剤,重合開始剤その他の添加剤を加え、ホモジナイサー・超音波分散機等によって均一に溶解又は分散せしめた単量体組成物を、分散安定剤を含有する水相中に通常の撹拌機またはホモミキサー,ホモジナイサー等により分散せしめる。好ましくは単量体組成物からなる液滴が所望のトナー粒子のサイズを有するように撹拌速度・時間を調整し、造粒する。その後は分散安定剤の作用により、粒子状態が維持され、且つ粒子の沈降が防止される程度の撹拌を行えば良い。
【0105】
重合温度は40℃以上、一般的には50〜90℃の温度に設定して重合を行う。また、重合反応後半に昇温しても良く、更に、耐久特性向上の目的で、未反応の重合性単量体、副生成物等を除去するために反応後半、又は、反応終了後に一部水系媒体を留去しても良い。反応終了後、生成したトナー粒子を洗浄・ろ過により回収し、乾燥する。懸濁重合法においては、通常単量体系100質量部に対して水300〜3000質量部を分散媒として使用するのが好ましい。得られたトナーは分級して粘膜:分布を制御しても良く、その方法として好ましくは、慣性力を利用した多分割分級装置を用いる。この装置を用いることにより、本発明の粒度分布を有するトナーを効率的に製造できる。
【0106】
また、トナー中に低軟化点物質を内包化せしめる具体的方法としては、水系媒体中での材料の極性を主要巣量体より低軟化点物質の方を小さく設定し、更に少量の極僚の大きな樹脂又は単量体を添加せしめることで低軟化点物質を外殻樹脂で被覆したいわゆるコア/シェル構造を有するトナーを得ることができる。トナーの粒度分布制御や粒径の制御は、離水溶性の無機塩や保護コロイド作詞をする分散剤の種類や添加鐙を変える方法や機械的装置条件例えばローターの周速・バス同数・撹拌羽根形状等の撹拌条件や容器形状又は、水溶液中での固形分濃度等を制御することにより可能となる。
【0107】
本発明に用いられるトナーの外殻樹脂としては、一般的に用いられているスチレン−(メタ)アクリル共重合体,ポリエステル樹脂,エポキシ樹脂,スチレン−ブタジエン共重合体を利用する事が出来る。重合法による直接トナーを得る方法においては、それらの単量体が好ましく用いられる、外殻樹脂成分の数平均分子量(Mn)は、5000〜1000000が好ましく、また重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)は、2〜100が好ましい。
【0108】
外殻樹脂の分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定される。具体的なGPCの測定方法としては、予めトナーをソックスレー抽出器を用いトルエン溶剤で20時間抽出を行った後、ロータリーエバポレーターでトルエンを留去せしめ、更に低軟化点物質は溶解するがシェル用樹脂は溶解し得ない有機溶剤、例えばクロロホルム等を加え十分洗浄を行った後、THF(テトラヒドロフラン)に可溶した溶液をポア径が0.3μmの耐溶剤性メンブランフィルターでろ過したサンプルをウォーターズ社製150Cを用い、カラム構成は昭和電工製A−801、802,803,804,805,806,807を連結し標準ポリスチレン樹脂の検量線を用い分子量分布を測定し得る。
【0109】
本発明において用いられるトナーがコア/シェル構造を有する場合、その製造方法としては、外殻樹脂で低軟化点物質を内包化せしめるため外殻樹脂の他に更に極性樹脂を添加せしめることが特に好ましい。本発明に用いられる極性樹脂としては、スチレンと(メタ)アクリル酸の共重合体,マレイン酸共重合体,飽和ポリエステル樹脂,エポキシ樹脂が好ましく用いられる。該極性樹脂は、シェル樹脂又は単量体と反応しうる不飽和基を分子中に含まないものが特に好ましい。仮に不飽和慕を有する極性樹脂を含む場合においてはシェル樹脂層を形成する単量体と架橋反応が起き、特に、フルカラー用トナーとしては、極めて高分子量になり四色トナーの混色には不利となり好ましくない。
【0110】
また、本発明においては、外殻構造を有するトナーの表面にさらに重ねて重合法により最外殻樹脂層を設けても良い。
【0111】
上述の最外殻樹脂層のガラス転移温度は、敵ブロッキング機のさらなる向上のため外殻樹脂層のガラス転移温度以上に設計されること、さらに定着性を損なわない程度に架橋されていることが好ましい。また、該外殻樹脂層には帯電性向上のため極性樹脂や荷電制御剤が含有されていることが好ましい。
【0112】
本発明に燭いられるトナーに外添剤として微粉末を処理する場合は、ヘンジェルミキサー等の混合機を使用して行うことができる。このようにして得られたトナーは本発明のキャリア粒子と混合されて2成分現像剤とされる。上述の2成分現像剤を形成する揚含、現像プロセスにも依存するが典型的には現像剤中のトナーの割合が1〜20質量%、より好ましくは1〜10質量%の範囲であることが好適である、またかかる2成分現像剤の摩擦帯電盤としては5〜600mc/kgの範囲であることが好適であり、最も好ましくは5〜60mc/kgである。なお本発明で使踊した摩擦帯電量の測定条件については後述する。
【0113】
潜像担持体の帯電部材に、磁性粒子で構成された磁気ブラシを用いる場合、前述したように該磁性粒子の比抵抗は1×105〜1×108Ωcmであることが必要であるが、これは本発明の磁性キャリアの比抵抗に比較してかなり低抵抗であり、該磁性粒子の磁場1キロエルステッドにおける磁化の強さが十分高くない場合、以上のような原理で該磁性粒子がキャリア付着してしまう。このため、帯電磁気ブラシに用いる磁性粒子は少なくとも磁性キャリアより高い必要があり、1キロエルステッドにおける磁化の強さが200emu/cm3以上であることが好ましい。
【0114】
本発明のように、現像剤に比較的低磁気力の磁性キャリアを用いる場合、現像剤担持体の回転と潜像担持体の回転が互いにカウンター方向である現像方式を好ましく用いることができる。この方式では、現像剤担持体の回転と潜像担持体の回転が互いに1頂方向である現像方式に比較して、同じプロセススピードでは、潜像担持体の一部分に対して接する現像剤磁気ブラシの量、すなわちトナーの絶対量が増えるため、高画像濃度でドット抜けのない高品位画像が期待できる。
【0115】
磁気力の高い磁性キャリアでは、現像剤担持体の回転と潜像担持体の回転が互いにカウンター方向である現像方式を用いて、本発明のごとき接触二成分系AC現像を行う場合、現像剤担持体の回転と潜像担持体の回転が互いに順方向である現像方式に比較して、剛直な現像剤磁気ブラシにより画像にスジ目があらわれるいわゆるスキャベンジングが起こりやすくなる。これは、現像剤磁気ブラシが潜像及び潜像に乗ったトナーに、より衝撃力が強く接するためである。しかし、本発明のような比較的低磁気力の磁性キャリアの場合は、現像剤磁気ブラシが比較的ソフトに潜像担持体及びトナー画像に接するため、スキャベンジングが起こりにくい。
【0116】
本発明の画像形成方法における接触二成分系AC現像方式で、現像剤磁気ブラシに印加する交番電界は500Hz〜5000Hzであることが好適である。印加する交番電界が500Hz未満である場合、いかに本発明のごとき実質的に高抵抗の磁性キャリアであっても、磁性キャリアを通じて電荷が潜像担持体に注入されてしまい、キャリア付着してしまう場合があった。また、印加する交番電界が5000Hzを超える場合、電界に対してトナーが追随できず画質低下を招きやすい。
【0117】
印加する交番電界としては、従来の正弦波、三角波あるいは矩形波を用いることができるが、波形を適切に制御した交番電界を用いることもできる。例えば、潜像担持体から現像剤担持体にトナーを向かわせる第1電圧と現像剤担持体から潜像担持体にトナーを向かわせる第2電圧と、該第1電圧と第2電圧の間の第3電圧で波形のパターンを形成させるような交番電界を用いることができるが、このような場合も、その波形の繰り返しパターン1周期に対して周波数が本発明における交番電界の周波数の範囲、すなわち500Hz〜5000Hzであることが好適である。
【0118】
ところで、本発明の画像形成方法に、クリーナーレスプロセスを組み合わせることが可能であるが、前述したように、接触帯電部材に磁気ブラシローラを用いて、これにクリーナーレスプロセスを組み合わせた場合、磁気ブラシ中にトナーが混入したとき、その帯電特性が変化してしまうという問題点がある。
【0119】
このような問題を避けるため、本発明の画像形成方法にクリーナーレスプロセスを組み合わせる場合には、転写効率が95%以上であるトナーが必須であり、より好ましくは98%以上であるトナーを用いるのが良い。このような観点から、本発明ではトナーとして個数平均粒径が1〜10μmであり、35%以下の個数分布の変動係数を有することトナーを用いることが好ましく、さらに好ましくはトナーの形状係数SF−1が100〜130の範囲であり、かつ、全体又は一部が重合法により形成されており、かつ残存モノマーの含有量が1000ppm以下であるトナーが好ましい。
【0120】
転写効率は、ベタ黒画像を現像させたのち紙上に転写させ、その単位面積当りの転写されたトナー重量(T1)と、転写されずに潜像担持体上に残ったトナー重量(T2)を測定し、下記の式
転写効率(%)=100×T1/(T1+T2)
により計算することにより算出した。
【0121】
また、本発明の画像形成方法においては現像剤担持体は、その表面形状が
0.2μm≦中心線平均粗さ(Ra)≦5.0μm
10μm≦凹凸の平均間隔(Sm)≦80μm
0.05≦Ra/Sm≦0.5
上記条件を満足することが好ましい。
【0122】
Ra及びSmとは、JIS−B0601及びIS0468に記載される中心線平均粗さ及び凹凸の平均間隔を規定する値で次式により求められる。
【0123】
【数2】
【0124】
【数3】
【0125】
Raが0.2μmより小さいと、現像剤の搬送性が不十分なため耐久による画像むらや画像の濃度むらが発生しやすくなる。Raが5μmを超えると、現像剤の搬送性には優れるものの、プレード等の現像剤搬送量規制部における規制力が大きくなりすぎるために外部添加剤が摺擦による劣化を受けて耐久時の画質が低下する。
【0126】
Smが80μmより大きくなると、現像剤担持体上への現像剤が保持されにくくなるために画像濃度が低くなってしまう。このSmの与える原因について詳細は不明であるが、現像剤担持体の搬送量規制部等で現像剤担持体との滑りが起こっていることから、凹凸の間隔が広くなりすぎると現像剤が密にパッキングされた塊として作用し、その力が現像剤担持体一現像剤間の保持力を上回ると考えられる。Smが10μm未満であると、担持体表面の凹凸の多くが現像剤平均粒径より小さくなるため、凹部に入り込む現像剤の粒度選択性が生じ、現像剤微粉成分による融着が発生しやすくなる。また製造的にも困難である。
【0127】
さらに上記の観点より現像剤担持体上の凸部の高さと凹凸の間隔から求められる凸・凹の傾斜(≒f(Ra/Sm))が本発明の場合重要な原因となる。本発明では
0.05≦Ra/Sm≦0.5
であることが好ましく、より好ましくは0.07以上0.3以下である。
Ra/Smが0.05未満であると、現像剤の現像剤担持体上への保持力が弱いため現像剤担持体へ現像剤が保持されにくくなるので現像剤規制部で搬送量が制御されず、結果として画像むらが生じる。Ra/Smが0.5を超えると、現像剤担持体表面の凹部に入った現像剤が他の現像剤と循環しにくくなるため現像剤融着が発生する。
【0128】
現像剤担持体の長さ方向にさらに溝(いわゆるローレット)を数本加工せしめることで、さらに流動性に優れた現像剤をも現像剤担持体に均一にコーティングすることが容易になった。
【0129】
本発明におけるRa及びSmの測定は、接触式表面粗さ測定器SE−3300(小坂研究所社製)を用い、JIS−B0601に準拠して行った。
【0130】
本発明の所定の表面粗さを有する現像剤担持体を製造する方法としては、例えば不定形・定形粒子を砥粒として用いたサンドブラスト法、スリーブ円周方向に凹凸を形成するためにサンドペーパーでスリーブ面を軸方向に擦るサンドペーパー法、化学処理による方法、弾性樹脂でコート後樹脂凸部を形成する方法等を用いることができる。
【0131】
以下に、本発明で使用するトナー粒径測定の具体例を示す。純水100〜150mlに界面活性剤(アルキルベンゼンスルホン酸塩)を0.1〜5ml添加し、これに測定試料を2〜20mg添加する。試料を懸濁した電解液を超音波分散器で1〜3分間分散処理して、レーザースキャン粒度分布アナライザーCIS−100(GALAI社製)を用いて粒度分布等を測定する。本発明では0.5μm〜60μmの粒子を測定して、この条件で測定した個数平均粒径、標準偏差をコンピュータ処理により求め、更に個数分布の変動係数を計算によりを求める。
【0132】
本発明に用いられるトナー中の残存モノマーの定量方法については、トナー0.2gをTHF4mlに溶解し、ガスクロマトグラフィーにて以下の条件で内部標準法により測定した。
【0133】
【0134】
本発明で用いられるトナーの摩擦帯電量の測定方法を記載する。ポリビンにトナーとキャリアをトナー濃度が5質量%となるように混合し、ヤヨイ式振とう機で120秒間混合する。この混合粉体(現像剤)を底部に635メッシュの導電性スクリーンを装着した金属製の容器にいれ、吸引機で吸引し、エレクトロメーターに表示された値と容器内の重量変化から摩擦帯電量を求める。この際、吸引圧を250mmHgとする。この方法によって、トナーの摩擦帯電量Qを下記式を用いて算出する。
Q(mC/kg)=Q’/(W1−W2)
(式中W1は吸引前の重量でありW2は吸引後の重量であり、Q’はエレクトロメーターに表示された値である。)
【0135】
なお、本発明で用いた静電潜像担持体の表面抵抗の測定方法について述べる。
【0136】
潜像担持体表面に、有効電極長さ2cmで、電極間距離120μmのくし型電極を金蒸着し、抵抗測定装置(ヒューレットパッカード社製4140BpAMATER)にて100Vの電圧を印加させて測定する。
【0137】
【実施例】
以下に本発明を実施例をもって具体的に説明するが、本発明は実施例によって制限されるものではない。
【0138】
[実施例]
<磁性キャリア製造例>
(磁性キャリアA)
フェノール 10質量部
ホルムアルデヒド溶液 6質量部
(ホルムアルデヒド40%、メタノール10%、水50%)
親油化処理したバリウムフェライト 100質量部
上記材料と、28%アンモニア水、水をフラスコに入れ、撹拌、混合しながら40分間で85℃まで昇温・保持し、3時間反応・硬化させた。その後、30℃まで冷却し、さらに水を添加した後、上澄み液を除去し、沈殿物を水洗し、風乾した。次いで、これを減圧下(5mmHg以下)で180℃で乾燥して、球状のキャリアコア粒子(a)を得た。
【0139】
次いで上記で得られたキャリアコア粒子(a)100質量部、フェノール0.5質量部、ホルマリン溶液0.75部、親液化処理α−F2O3 2質量部、28質量%のアンモニア水0.2質量部、及び水50質量部をフラスコにいれ、撹拌、混合しながら40分間で85℃まで昇温、保持し、3時間反応・硬化させた。その後、30℃まで冷却し、50質量部の水を添加した後、上澄み液を除去し、水洗し、風乾した。次いで減圧下(5mmHg以下)に170℃で乾燥して、表面をフェノール樹脂でコートしたキャリア:コア粒子(b)を得た。また、このキャリアコア粒子の切断面をFE−SEM観察したところ、粒子表面近傍に樹脂とα−Fe2O3からなるコート層が形成されていることが半竈明した。
【0140】
上記で用いたバリウムフェライト粉(個数平均粒径0.25μm)及びα−Fe2O3(個数平均粒径0.60μm)はそれぞれ、0.5質量%のシラン系カップリング剤[3−(2−アミノエチルアミノプロピル)ジメトキシシラン]を加え、容器内で100℃以上で、高速混合撹拌して金属酸化物粒子の親油化処理を行った。
【0141】
更に、上記で得られたキャリアコア粒子(b)の表面に、以下の方法で熱硬化性のシリコーン樹脂をコートした。キャリアコア粒子(b)の表面のコート樹脂量が0.5質量%になるように、トルエンを溶媒として10質量%のキャリアコード溶液を作製した。次にキャリアコア粒子(b)に剪断応力を連続して加えながらコート溶液を滴下した後、溶媒を揮発させて、キャリアコア表面へのコートを行った。このコート磁性キャリア粒子を160℃で2時間熱処理した後、放冷する。次に凝集したキャリアを解砕し、更に200メッシュの篩で分級して、磁性キャリア(A)を得た。
【0142】
得られた磁性キャリア粒子の個数平均粒径は36.3μmであった。また、キャリアの切断面をFE−SEM観察したところ、粒子表面近傍に樹脂とα−Fe2O3からなるコート層とさらにその上にシリコーン樹脂層が形成されていることが判明した。
【0143】
得られた磁性キャリア粒子(A)を10キロエルステッドの磁場中で磁化したのち、磁気特性を測定した。10キロエルステッドにおける飽和磁化は175emu/cm3であり、残留磁化は110emu/cm3、保持力2650エルステッドであった。磁性キャリア粒子の真比重は3.7g/cm3であった。磁性キャリア粒子の比抵抗は、25V印加時には3.6×1016Ω・cm,100V印加時には7.5×1015Ω・cm,500V印加時には9.2×1014Ω・cmであった。
【0144】
(磁性キャリアB)
フェノール 10質量部
ホルムアルデヒド溶液 6質量部
(ホルムアルデヒド40%、メタノール10%、水50%)
親油化処理したストロンチウムフェライト 100質量部
上記材料と、28%アンモニア水、水をフラスコに入れ、撹拌、混合しながら40分間で85℃まで昇温・保持し、3時間反応・硬化させた。その後、30℃まで冷却し、さらに水を添加した後、上澄み液を除去し、沈殿物を水洗し、風乾した。次いで、これを減圧下(5mmHg以下)で180℃で乾燥して、球状のキャリアコア粒子(c)を得た。
【0145】
次いで上記で得られたキャリアコア粒子(c)100質量部、フェノール0.5質量部、ホルマリン溶液0.75部、親油化処理α−Fe2O31.5質量部、28質量%のアンモニア水0.2質量部、及び水50質量部をフラスコにいれ、撹拌、混合しながら40分間で85℃まで昇温、保持し、3時間反応・硬化させた、その後、30℃まで冷却し、50質量部の水を添加した後、上澄み液を除去し、水洗し、風乾した。次いで減圧下(5mmHg以下)に170℃で乾燥して、表面をフェノール樹脂でコートしたキャリアコア粒子(d)を得た。
【0146】
キャリアコア粒粒子の切断面をFE−SEM観察したところ、粒子表面近傍に樹脂とα−Fe2O3からなるコート層が形成されていることが判明した。
【0147】
尚、上記で用いたストロンチウムフェライト粉(個数平均粒径0.25μm)及びα−Fe2O3(個数平均粒径0.60μm)はそれぞれ、10質量%のシラン系カップリング剤[3−(2−アミノエチノレアミノプロピル)ジメトキシシラン]を加え、容器内で100℃以上で、高速混合撹拌して金属酸化物粒子の親油化処理を行ったものである。
【0148】
次に、上記で得られたキャリアコア粒子(d)の表面に、以下の方法で熱硬化性のシリコーン樹脂をコートした。キャリアコア粒子(d)の表面のコート樹脂量が0.5質量%になるように、シリコーン樹脂を秤取した。次にシラン系カップリング剤として3一アミノプロピルトリメトキシシランを上述のシリコーン樹脂固形分量の3質量%となるように秤取して添加した。次にトルエンを溶媒としてシリコーン樹脂溶液の樹脂固形分濃度が10質量%になるように希釈してキャリアコード溶液を作製した。
【0149】
次にキャリアコア粒子(d)に剪断応力を連続して加えながら上記のコート溶液を滴下した後、溶媒を揮発させて、キャリアコア表面へのコートを行った。このコート磁性キャリア粒子を160℃で2時間熱処理した後、放冷する。次に凝集したキャリアを解砕し、更に200メッシュの篩で分級して、磁性キャリア(B)を得た。得られた磁性キャリア粒子の個数平均粒径は37.5μmであった。また、キャリアの切断面をFE−SEM観察したところ、粒子表面近傍に樹脂とα−Fe2O3からなるコート層とさらにその上にシリコーン樹脂層が形成されていることが判跳した。
【0150】
得られた磁性キャリア粒子(B)を10キロエルステッドの磁場中で磁化したのち、磁気特性を測定した。10キロエルステッドにおける飽和磁化は150emu/cm3であり、残留磁化は90emu/cm3、保持力2200エルステッドであった。磁性キャリア粒子の奥比重は3.65g/cm3であった。磁性キャリア粒子の比抵抗は、25V印加時には2.9×1016Ω・cm,100V印加時には8.3×1015Ω・cm,500V印加時には3.1×1015Ω・cmであった。
【0151】
(磁性キャリアC)
フェノール 7質量部
ホルマリン溶液 10.5質量部
(ホルムアルデヒド40%、メタノール10%、水50%)
親油化処理したバリウムフェライト粉 73質量部
親油化処理したα−Fe2O3 15質量部
上記材料と塩基性触媒として28質量%アンモニア水2質量部、および水15質量部をフラスコに入れ、撹拌、混合しながら40分間で85℃まで昇温・保持し、3時間反応・硬化させた。その後、30℃まで冷却し、100質量部の水を添加した後、上澄み液を除去し、沈殿物を水洗し、風乾した。次いで、これを減圧下(5mmHg以下)に70℃で乾燥して、バリウムフェライトとα−Fe2O3とをフェノール樹脂をバインダーとして結合した球状のキャリアコア(e)を得た。
【0152】
次いで上紀で得られたキャリアコア粒子(e)100質量部、フェノール0.5質量部、ホルマリン溶液0.75部、親油化処理α−Fe2O31.5質量部、28質量%のアンモニア水0.2質量部、及び水50質量部をフラスコにいれ、撹拌、混合しながら40分間で85℃まで昇温、保持し、3時間反応・硬化させた。その後、30℃まで冷却し、50質量部の水を添加した後、上澄み液を除去し、水洗し、風乾した。次いで減圧下(5mmHg以下)に170℃で乾燥して、.表面をフェノール樹脂でコートしたキャリアコア粒子(f)を得た。また、キャリアの切断面をFe−SEM観察したところ、粒子表面近傍に樹脂とα−Fe2O3からなるコート層が形成されていることが判明した。
【0153】
尚、上記で用いたバリウムフェライト粉(個数平均粒径0.25μm)及びα−Fe2O3(個数平均粒径0.60μm)はそれぞれ、2.0質量%のチタン系カップリング剤(イソプロピルトリトデシルベンセンスルホニルチタネート)を加え、容器内で100℃以上で、高速混合撹拌して金属酸化物粒子の親油化処理を行ったものである。
【0154】
次に、上記で得られたキャリアコア粒子(f)の表面に、以下の方法で熱硬化性のシリコーン樹脂をコートした、まず、キャリアコア粒子(f)の表面のコート樹脂量が0.5質量%になるように、シリコーン樹脂を秤取し、次にシラン系カップリング剤としてn−プロピルトリメトキシシランを上述のシリコーン樹脂固形分量の3質量%となるように秤取して添加した。次にトルエンを溶媒としてシリコーン樹脂溶液の樹脂固形分濃度が10質量%になるように希釈してキャリアコード溶液を作製した。
【0155】
次にキャリアコア粒子(f)に勢断応力を連続して加えながら上記のコート溶液を滴下した後、溶媒を揮発させて、キャリアコア表面へのコートを行った。このコート磁性キャリア粒子を160℃で2時間熱処理した後、放冷する。次に凝集したキャリアを解砕し、更に200メッシュの篩で分級して、磁性キャリア(C)を得た。得られた磁性キャリア粒子の個数平均粒径は42.6μmであった。キャリアの切断面をFE−SEM観察したところ、粒子表面近傍に樹脂とα−Fe2O3からなるコート層とさらにその上にシリコーン樹脂層が形成されていることが判明した。
【0156】
得られた磁性キャリア粒子(C)を10キロエルステッドの磁場中で磁化したのち、磁気特性を測定した。10キロエルステッドにおける飽和磁化は140emu/cm3であり、残留磁化は85emu/cm3、保持力2100エルステッドであった。磁性キャリア粒子の輿比重は3.63g/cm3であった。磁性キャリア粒子の比抵抗は、25V印加時には79×1015Ω・cm,100V印加時には6.5×1015Ω・cm,500V印加時には3.1×1015Ω・cmであった。
【0157】
(磁性キャリアD)
フェノール 10質量部
ホルムアルデヒド溶液 6質量部
(ホルムアルデヒド40%、メタノール10%、水50%)
親油化処理したマグネタイト 100質量部
上記材料と、28%アンモニア水、水をフラスコに入れ、撹拌、混合しながら40分間で85℃まで昇温・保持し、3時間反応・硬化させた。その後、30℃まで冷却し、さらに水を添加した後、上澄み液を除去し、沈殿物を水洗し、風乾した。次いで、これを減圧下(5mmHg以下)で180℃で乾燥して、球状のキャリアコア粒子(g)を得た。
【0158】
上記で用いたマグネタイト粉(個数平均粒径0.24μm)1.0質量%のシラン系カップリング剤[3−(2−アミノエチルアミノプロピル)ジメトキシシラン]を加え、容器内で100℃以上で、高速混合撹拌して親油化処理を行った。
【0159】
更に、上記で得られたキャリアコア粒子(g)の表面に、キャリアAと同様の方法で熱硬化性のシリコーン樹脂をコートして、磁性キャリア(D)を得た。キャリアの切断面をFE−SEM観察したところ、バインダー樹脂とマグネタイトからなるコア粒子の表面にシリコーン樹脂層が形成されていることが判明した。
【0160】
得られた磁性キャリア粒子の個数平均粒径は35.8μmであった。得られた磁性キャリア粒子(D)の磁気特性を測定した。10キロエルステッドにおける飽和磁化は210emu/cm3であり、残留磁化は20emu/cm3、保持力は0エルステッドであった。磁性キャリア粒子の真比重は3.65g/cm3であった。磁性キャリア粒子の比抵抗は、25V印加時には2.1×109Ω・cm,100V印加時には7.5×108Ω・cm,500V印加時には34×107Ω・cmであった。
【0161】
(磁性キャリアE)
Fe2O3 26.4質量部
CuO 12.0質量部
ZnO 52.7質量部
になるように秤量し、ボールミルを用いて混合を行った。
【0162】
これを仮焼した後、ボールミルを用いて混合を行い、さらにスプレードライヤーにより造粒を行った。これを焼結し、さらに分級してキャリアコア粒子を得た。このキャリアコアに、スチレン−メタクリル酸2−エチルヘキシル共重合体(共重合比:50/50)をコート量0.5質量%になるようトルエンを溶媒として流動床式塗布装置スピラコーター(岡田精工社製)を用いてコートを行い、150℃で1時間流動床中で乾燥した後、解砕し、さらに200メッシュの箭いがけによる分級を行って磁性キャリア(E)を得た。得られたキャリア粒子の粒径は、45.1μmであった。得られた磁性キャリア粒子(E)の磁性特性を測定した。10キロエルステッドにおける飽和磁化は280emu/cm3であり、残留磁化は0emu/cm3、保持力は0エルステッドであった。磁性キャリア粒子の真比重は4.88g/cm3であった。磁性キャリア粒子の比抵抗は、25V印加時には7.1×1012Ω・cm,100V印加時には5.0×1010Ω・cm,500V印加時には34×109Ω・cmであった。
【0163】
[トナー製造例]
(重合トナーの製造例A)
イオン交換水710gに、0.1M−Na3PO4水溶液450gを投入し、60℃に加温した後、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、12000rpmにて撹拌した。これに1.0M−CaCl2水溶液68gを徐々に添加し、Ca3(PO4)2を含む水系媒体を得た。
【0164】
一方、
上記処方を60℃に加温し、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、12000rpmにて均一に溶解、分散した。これに、重合開始剤2,2’−アソビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)10gを溶解し、重合性単量体組成物を調製した。
【0165】
前記、水系媒体中に上記重合性単量体組成物を投入し、60℃、N2雰囲気下において、TK式ホモミキサーにて10000rpmで10分間撹拌し、重合性単量体組成物を造粒した。その後、パドル撹拌翼で撹拌しつつ、80℃に昇温し、10時間反応させた。
【0166】
重合反応終了後、減圧下で残存モノマーを留去し、冷却後、塩酸を加え、リン酸カルシウムを溶解させた後、ろ過、水洗、乾燥をして、シアン着色懸濁粒子を得た。
【0167】
得られた着色粒子は個数平均粒径(D1)が5.2μmであり、変動径数が19%であった。
【0168】
得られた着色粒子100質量部に対して、BET法による比表面積が、200m2/gである疎水性シリカを1.5質量部外添し、懸濁重合トナーAを得た。このシアントナーの個数平均粒径及び変動係数は実質的に外添前と同等であった。また、得られたトナーの形状係数SF−1は112であり、残存モノマー量は420ppmであった。
【0169】
(重合トナーの製造例B)
イオン交換水710gに、0.1M−Na3PO4水溶液450gを投入し、60℃に加温した後、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、12000rpmにて撹拌した。これに1.0M−CaCl2水溶液68gを徐々に添加し、Ca3(PO4)2を含む水系媒体を得た。
【0170】
一方、
上記処方を60℃に加温し、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、12000rpmにて均一に溶解、分散した。これに、重合開始剤2,21−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)10gを溶解し、重合性単量体組成物を調製した。
【0171】
前記、水系媒体中に上記重合性単量体組成物を投入し、60℃、N2雰囲気下において、TK式ホモミキサーにて10000rpmで10分間撹拌し、重合性単量体組成物を造粒した。その後、パドル撹拌翼で撹拌しつつ、80℃に昇温し、10時間反応させた。重合反応終了後、製造例Aと同一条件の減圧下で残存モノマーを留去し、冷却後、塩酸を加えリン酸カルシウムを溶解させた後、ろ過、水洗、乾燥をして、シアン着色懸濁粒子を得た。得られた着色粒子は個数平均粒径(D1)が5.1μmであり、変動係数17%であった。得られた着色粒子100質量部に対して、BET法による比表面積が、200m2/gである疎水化処理酸化チタンを2.0質量部外添し、懸濁重合トナーBを得た。このシアントナーの個数平均粒径及び変動係数は実質的に外添前と同等であった。得られたトナー得られたトナーの形状係数SF−1は108であり、残存モノマー量は440ppmであった。
【0172】
[重合トナーの製造例C]
イオン交換水710gに、0.1M−Na3PO4水溶液450gを投入し、60℃に加温した後、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、12000rpmにて撹拌した。これに1.0M−CaCl2水溶液68gを徐々に添加し、Ca3(PO4)2を含む水系媒体を得た。
【0173】
一方、
上記処方を60℃に加温し、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、12000ppmにて均一に溶解、分散した。これに、重合開始剤2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)10gを溶解し、重合性単量体組成物を調製した。
【0174】
前記、水系媒体中に上記重合性単量体組成物を投入し、60℃、N2雰囲気下において、TK式ホモミキサーにて10000ppmで10分間撹拌し、重合性単量体組成物を造粒した。その後、パドル撹拌翼で撹拌しつつ、60℃に昇温し、6時間反応させた。重合反応終了後、冷却し、塩酸を加えリン酸カルシウムを溶解させた後、ろ過、水洗、乾燥をして、シアン着色懸濁粒子を得た。得られた着色粒子は重量平均径(D4)約6.4μm、個数平均粒径(D1)が5.0μmであり、個数分布の変動係数は41%であった。
【0175】
得られた着色粒子100質量部に対して、BET法による比表面積が、200m2/gである疎水化処理酸化チタンを1.5質量部外添し、懸濁重合トナーCを得た。このシアントナーの個数平均粒径及び変動係数は実質的に外添前と同等であった。得られたトナーの形状係数SF−1は115であり、残属モノマー量は1700ppmであった。
【0176】
[粉砕トナーの製造例D]
四つ口フラスコに、窒素置換した水180質量部とポリビニルアルコールの0.2質量%水溶液20質量部を投入したのちに、スチレン77質量部、アクリル酸−n−ブチル22質量部ベンゾイルパーオキサイド1.4質量部、ジビニルベンゼン0.2質量部を加え、撹拌し懸濁液とした。この後、フラスコ内を窒素で置換した後に、80℃に昇温し同温度に10時間保持し重合反応を行った。
【0177】
該重合体を水洗した後に、温度を65℃に保ちつつ減圧環境にて乾燥し樹脂を得た。該樹脂を88質量%、合金属アゾ染料を2質量%、カーボンブラック7質量%、低分子量ポリプロピレン3質量%を固定槽式乾式混合機に上り混合し、ベント口を吸引ポンプに接続し吸引しつつ、二軸押し出し機にて溶融混練を行った。
【0178】
この溶融混練物を、ハンマーミルにて粗砕し1mmメッシュパスのトナー組成物の粗砕物をえた。さらに、この粗砕物を機械式粉砕機により、体積平均径20〜30μmまで粉砕を行った後に、旋回流中の粒子間衝突を利用したジェットミルにて粉砕を行った後、多段割分級機により、分級を行い黒色の着色粒子を得た。得られた粒子は個数平均粒径6.1μm、変動係数は28.2%であった。
【0179】
このトナー組成物100質量部に対して、疎水化処理した酸化チタン(BET比表面積250m2/g)1.5質量部外添し、粉砕トナーDを得た。このシアントナーの個数平均粒径及び変動係数は実質的に外添前と同等であった。尚、トナー形状係数を測定したところ、SF−1は124であり、残存モノマー量は510ppmであった。
【0180】
以上のコート樹脂溶液の各処方をガラスビーズをいれたペイントシェイカーで2時問分散させ、コート樹脂溶液を作製した。これを上記のコア粒子に、前述したスピラゴータを用いてコートし、150℃で1時間乾燥させた。得られた接触帯電磁性ブラシ用磁性粒子の比抵抗は8.9×106Ωcm、個数平均粒径は40.1μmであった。1キロエルステッドにおける磁化の強さ(σ1000)=250.3emu/cm3であった(磁性粒子の真比重は5.02g/cm3)。
【0181】
ここで用いた接触帯電磁性ブラシ用磁性粒子とそのコア粒子の比抵抗と個数平均粒径は、前述した現像剤用磁性キャリアの該特性の測定方法によった。
【0182】
(実施例1)
上述のようにして製造した磁性キャリアAと重合トナーAとをトナー濃度が8%となるように混合して現像剤を調製した。この現像剤をキヤノン製フルカラーレーザー複写機CLC−500改造機を用いて画像出しを行った。この現像部周辺の模式図を図1に示し、これをもって説明する。
【0183】
キヤノン製フルカラーレーザー複写機現像器の現像剤担持体(現像スリーブ)1と現像剤規制部材(磁性ブレード)8との距離Aを600μm、現像スリーブ1と静電潜像担持体(感光ドラム)2との距離Bを400μmとした。このときの現像ニップCは5mmであった。
【0184】
なお、現像スリーブは、CLC−500の現像器内で用いられている現像スリーブ(材質:SUS、日立金属社製、25φ)の表面をニューマブラスター(不二製作所製)を用いてサンドブラストし、Ra=2.1μm,Sm=29.6μmのブラストスリーブ(Ra/Sm=0.07)としたものを用いた。
【0185】
また、現像スリーブ1と感光ドラム2との周速比は2.2:1で進行方向が図1に示す通りお互いにカウンター方向であり、現像スリーブ1の現像極S1の磁場が1キロエルステッド、さらに現像条件は、交番電界は図2に示したような波形をもつ1800Vで周波数3000Hzのものを用い、現像バイアスは−480Vとなるように設定した。さらに、トナー現像コントラスト(Vcont)350V、カブリ取り電圧(Vback)80Vとした。
【0186】
接触帯電部材3に印加する電圧としては、−560VのDCバイアスを用いた。
【0187】
なお、感光ドラムとしてはアルミニウム製のφ80のドラム上に以下の機能層を5層もったOPC感光体を用いた。
【0188】
アルミ基層側から順に第1層は下引き層、第2層は正電荷注入防止層、第3層は電荷発生層、第4層は電荷輸送層であり、第5層が電荷注入層である。この電荷注入層は光硬化性のアクリル樹脂にSnO2超微粒子、さらに接触帯電部材と感光体との接触時間を増加させて、均一な帯電を行うために4フッ化エチレン樹脂粒子を分散したものである。具体的には、アンチモンをドーピングし、低抵抗化した樺径約0.03μmのSnO2粒子を樹脂に対して70質量%、さらに粒径0.25μmの4フッ化エチレン樹脂粒子を20質量%、分散剤を1.2質量%分散したものである。この感光ドラムの表面抵抗は1×1012Ωであった。
【0189】
上記の現像条件で画像出しを行った。この結果、細線再現性に非常に優れ、ベタ画像の濃度が高い優れた画像が得られた。さらに、キャリア付着による画像部、非画像部の画像の乱れやトナーカブリは認められなかった。
【0190】
なお、ベタ黒画像を感光ドラムから紙上に転写する際のトナー転写効率を測定すると、99.4%であり、クリーナーレスプロセスにも十分対応できるレベルてあった。実際、クリーナーを取り外して1万枚の画像出し耐久を行ったところ、帯電磁気ブラシの帯電性にまったく変化はなく、帯電ブーストなどは見られなかった。
【0191】
(実施例2)
現像剤としては実施例1と全く同じものを用いて、現像条件を交番電界2000V(ピーク間電圧)、周波数1000Hzの矩形波に変え、他の条件は実施例1と全く同様にして画像出しを行った。その結果、問題ないレベルの良好な画像が得られた。
【0192】
(実施例3)
磁性キャリアBと重合トナーBとを実施例1と同様に現像剤化(トナー濃度8.0%)し二成分系現像剤を得た。実施例1と全く同様にして画像出し、1万枚の画像出し耐久試験を行った。細線再現性、キャリア付着、トナーカプリなどは実施例1と同様の良好な結果を得た。
【0193】
(実施例4)
磁性キャリアCと重合トナーAとを実施例1と同様に現像剤化(トナー濃度8.0%)して、実施例1と全く同様にして画像出しを行い、実施例1同様に良好な結果を得た。
【0194】
(実施例5)
磁性キャリアAと粉砕トナーDとを実施例1と同様に現像剤化(トナー濃度8.0%)実施例1と全く同様にして画像出しを行っれキャリア付着、トナーカブリなどは実施例1と同様の良好な結果を得た。但し、実施例1同様に転写効率を測定すると、90%であった。
【0195】
(実施例6)
実施例1の感光ドラムの表面機能層のうち第5層の電荷注入層に、4フッ化エチレン樹脂粒子と分散剤を分散しないこと以外は全く同様の感光ドラムを用い、他の現像剤、現像条件等を全く実施例1と同様にして画像出しを行った。感光ドラムの表面抵抗は3×1010Ωであった。その結果、実施例1同様に良好な結果を得られた。
【0196】
(比較例1)
磁性キャリアDと重合トナーAとを実施例1と同様に現像剤化(トナー濃度8.0%)して実施例1と全く同様にして画像出しを行った結果、ベタ画像濃度は十分であったが、細線再現性、キャリア付着及びトナーカブリがいずれも悪い結果となった。
【0197】
(比較例2)
実施例1の感光ドラムの表面機能層のうち第5層の電荷注入層に添加する低抵抗化したSnO2粒子を、光硬化性のアクリル樹脂に対して125質量%分散すること以外は全く同様の感光ドラムを用い、他の現像剤、現像条件等は全く実施例1と同様にして画像出しを行った。感光ドラムの表面抵抗は5×109Ωであった。
【0198】
その結果、細線再現性が悪く、微視的に見ると画像流れが起こっていることがわかった。
【0199】
(比較例3)
実施例1の感光ドラムの表面機能層のうち第5層を除く構成とした以外は全く同様の感光ドラムを用い、他の現像剤、現像条件等は全く実施例1と同様にして画像出しを行った。感光ドラムの表面抵抗は3×1016Ωであった。その結果、帯電ゴーストの発生とそれに起因する細線再現性の悪化、トナーカブリの発生が見られた。
【0200】
【表1】
【0201】
【表2】
【0202】
表2中の評価方法、基準は次の通りである。
(1)画像濃度:画像濃度はSPIフィルターを装着したマクベス社製マクベスカラーチェッカーRD−1255を使用して、普通紙上に形成された画像の相対濃度として測定した。
(2)ライン再現性:オリジナル画像及び標準サンプルを参考にして目視により評価した。
(3)キャリア付着:ベタ白画像を画出しし、現像部とクリーナー部との間の感光ドラム上の部分を透明な接着テープを密着させてサンプリングし、5cm×5cm中の感光ドラム上に付着していた磁性キャリア粒子の個数をカウントし、1cm2あたりの付着キャリアの個数を算出する。
優 :10個/cm2未満
良 :10個〜20個/cm2未満
可 :20個〜50個/cm2未満
やや悪い:50個〜100個/cm2未満
悪い :100個/cm2以上
【0203】
(4)カブリ
画出し前の普通紙の平均反射率Dr(%)を東京電色株式会社製デンシトメータTC−6MCによって測定した。一方、普通紙上にベタ自画像を画出しし、次いでベタ白画像の反射率Ds(%)を測定した。カブリ(%)は下記式
fog(%)=Dr(%)−Ds(%)
から算出する。
優 :1.0(%)未満
良 :1.0〜1.5(%)未満
可 :1.5〜2.0(%)未満
やや悪い:2.0〜3.0(%)未満
悪い :3.0(%)以上
【0204】
【発明の効果】
本発明によれば、表面抵抗が1×1010〜1×1016Ωである電荷注入層を有する静電潜像担持体に帯電部材を接触させて帯電させる接触帯電装置を有する画像形成方法において、二成分系現像剤として、磁性キャリアは少なくともバインダー樹脂と磁性粒子としてハードフェライト材料からなる粒子をコア材として、更にその表面に非磁性の金属酸化物粒子を含有した樹脂層を設け、比抵抗を5.0×1013Ω・cm以上の高抵抗とした磁性キャリアを用いている。このような構成とすることで、現像剤磁気ブラシを潜像担持体に接触させながら交番電界を印加して現像を行うと、キャリア付着がなく、かつ高画質画像を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に好適な画像形成装置の模式図である。
【図2】本発明の実施例に用いた現像バイアス波形を示したものである。
【符号の説明】
1 現像スリーブ
2 感光ドラム
3 接触帯電部材
4 転写ドラム
5 露光手段
6 クリーナー
7 転写材
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真法、静電記録法等において、潜像担持体に帯電部材を接触させて帯電させる接触帯電装置を有し、現像プロセスに二成分系現像剤を用いる画像形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真法として米国特許第2,297,691号明細書、特公昭42−23910号公報及び特公昭43−24748号公報等に種々の方法が記載されている。
【0003】
これらの方法は、いずれも光導電層に原稿に応じた光像を照射することにより静電潜像を形成し、次いで該静電潜像上にこれとは反対の極性を有するトナーと呼ばれる着色微粉末を付着させて該静電潜像を現像し、必要に応じて紙等の転写材にトナー画像を転写した後、熱、圧力あるいは溶剤蒸気等により定着し複写物やプリントアウトを得るものである。
【0004】
該静電潜像を現像する工程は、帯電させたトナー粒子を静電潜像の静電相互作用を利用して潜像担持体の静電潜像上に画像形成を行うものである。一般にかかる静電潜像をトナーを用いて現像する方法のうち、トナーをキャリアと呼ばれる媒体に分散させた二成分系現像剤が特に高画質を要求されるフルカラー複写機、フルカラープリンターには好適に用いられている。
【0005】
近年、マルチメディア、コンピュータ画像処理等の発達により、更に高精細なフルカラー画像を出力する手段が要望されている。この目的のため、フルカラーの複写画像やプリントアウト画像をさらに高画質、高精細とし銀塩写真の画像水準にまで高品質化する努力がなされている。こうした要求に応じて、プロセス及び材料の観点から検討が加えられている。
【0006】
上述した二成分系現像方法も、現像剤磁気ブラシが潜像担持体表面を摺擦しながら現像を行う接触二成分系現像方法と、現像剤磁気ブラシが潜像担持体と接触しない非接触二成分系現像方法に分類される。非接触二成分系現像は潜像担持体にキャリアが付着するいわゆるキャリア付着現象が起こりにくいという長所もあるが、上述したような高精細フルカラー画像を得るためには、優れた細線再現性と十分な画像濃度が得られる接触二成分系現像が好適に用いられる。
【0007】
また、トナーを静電潜像上に現像するために、現像剤担持体から静電潜像側に現像バイアスを印加するが、上述したような高画質を達成するために、DCバイアスにACバイアスを重畳する方法が好適に用いられている。
【0008】
また、トナー又はキャリアの粒径を小さくしたり、現像剤磁気ブラシを綴密化することで画質を向上させる方法もある。特開昭59−104663号公報に、飽和磁化の小さな磁性キャリアを使用することで現像剤磁気ブラシを綴密化し、高画質化を達成する方法が記載されている。
【0009】
しかし、以上に述べたような高画質化を達成するための方法、つまり、接触二成分系AC現像方式を用いるキャリアの小粒径化及びキャリアの低磁気力化はすべて潜像担持体にキャリアが付着してしまう、いわゆるキャリア付着現象を起こしやすくするため、実用化されるには困難があった。
【0010】
ところで、潜像担持体に静電潜像を形成する前に、潜像担持体表面全体に一様に電荷をのせるいわゆる一次帯電と呼ばれる工程が行われるが、従来、この帯電装置にはコロナ放電を用いる、いわゆるコロナ帯電器が使用されてきた。
【0011】
しかし、近年これに代わって接触帯電装置が実用化されてきている。これは、低オゾン、低電力、装置の小型化を目的としており、帯電部材として導電ローラや磁気ブラシローラが用いられている。帯電方法としては、接触帯電をスムーズかつ均一に、また環境変動に影響されずに行うため、特開昭63−149669号公報に記されているようにAC成分を重畳した電圧を帯電部材に印加することが望ましい。
【0012】
このような接触帯電装置においても、その本質的な帯電機構は、帯電部材から潜像担持体への放電現象を用いており、そのためオゾンの発生は避けられず、また、帯電部材に印加する電圧は望まれる潜像担持体表面電位以上の値が少なくとも必要であり、上記のようなAC成分を用いた帯電を行った場合は電界による振動や異音の発生、放電による潜像担持体表面の劣化などの問題があった。
【0013】
このような問題を解決するため、潜像担持体への電荷の直接注入による帯電が望まれていた。潜像担持体表面に直接電荷を注入するためには、抵抗値の低い帯電部材を用い、長い帯電時間をかけることにより潜像担持体表面に存在する電荷のトラップ準位に帯電電荷を充電する方法がある。しかし、このような帯電方法では帯電部材の比抵抗が1×103ΩCm未満と非常に低いことが前提となり、潜像担持体表面に生じたキズやピンホールに対して大きな電荷リークをおこしてしまうなどの問題があった。また、十分な帯電を行うために必要な時間も、実用的なレベルではなかった。
【0014】
そこで、特開平6−3921号公報に、潜像担持体表面に電荷注入層を設け、それに対して接触帯電部材で電荷を注入する方法が示されている。これにより以上に述べた接触帯電装置における諸問題は解決することが可能となっている。
【0015】
以上のような接触帯電装置に用いる帯電部材としては、潜像担持体との接触ニップが大きくとれ、潜像担持体表面に均一に接触できる磁気ブラシローラが特に好適に用いられる。
【0016】
磁気ブラシローラを用いた接触帯電装置では、磁気ブラシを構成するひとつひとつの磁性粒子が互いに接触して導電経路を形成する必要があり、この導電経路を通じて流れた電荷によって潜像担持体表面が充電、帯電されるが、磁気ブラシ中に不純物が混入した場合、その帯電特性が変化してしまうという問題がある。例えば、トナー粒子等がなんらかの原因で磁気ブラシに比較的多量に混入した場合、こういった問題が現実化する可能性がある。最近、装置全体の小型化、メンテナンスの簡易化を実現するために、廃トナーの回収部分を省いたクリーナーレスプロセスが提案されているが、とくにこの場合には転写されずに潜像担持体上に残ったトナーがクリーニングされずに磁気ブラシ中に高い確率で混入してしまう。
【0017】
また、前述したような接触二成分系現像プロセス、AC現像バイアスを高画質化のために用いて、従来のような鉄粉キャリアやフェライトキャリア等のコア抵抗が1×109Ωcm以下であるような低抵抗コアに樹脂コートを施した磁性キャリアを現像剤に使用すると、キャリア付着やトナーカブリが発生し、これらのトナー、磁性キャリアが接触帯電部材に混入することにより、接触帯電能力が不十分になる場合があった。
【0018】
特開平6−222676号公報に、帯電磁気ブラシの接触帯電プロセスを用いた画像形成装置で、帯電磁気ブラシに用いる磁性粒子より、現像剤に用いる磁性キャリアの抵抗を高くして帯電及び現像の交流電圧電源を共通化する提案がなされているが、とくに接触二成分系の現像プロセスを用いた場合、該明細書に記載されている、フェライト粒子のコート材を変化させて抵抗をコントロールし、帯電磁気ブラシ用の磁性粒子と二成分系現像剤用の磁性キャリアに用いるような場合、フルカラー画像の高画質化を達成することはできなかった。
【0019】
以上のような理由により、細線再現性に優れ、高画像濃度のフルカラー画像が得られる接触二成分系AC現像プロセスを用いて、かつ低オゾン発生が達成できる画像形成方法はこれまで実用化されていない。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上述の問題点を解消した画像形成方法、とくに二成分系現像剤と接触帯電プロセスを用いた画像形成方法を提供することにある。
【0021】
本発明の目的は、オゾンの発生を抑制され、キャリア付着の発生がない、細線再現性に優れた高画質トナー画像が得られる画像形成方法を提供することにある。
【0022】
本発明の目的は、接触帯電磁気ブラシを用いた接触AC帯電プロセスを使った画像形成方法において、トナーが高転写効率であり、またトナーカブリがなく、クリーナーレスプロセスにも対応できる画像形成方法を提供することにある。
【0023】
【課題を解決するための手段及び作用】
本発明は、表面抵抗が1×1010〜1×1016Ωである電荷注入層を有する潜像担持体と、磁性キャリアとトナーを含有する二成分系現像剤を担持する現像剤担持体とを対向させて配設し、現像する画像形成方法において、該磁性キャリア粒子は少なくともバインダー樹脂及び磁性金属酸化物粒子を含有し、
磁性キャリア粒子の個数平均粒径が5〜100μmであり、
磁性キャリア粒子の比抵抗が25〜500V印加時に、50×1013Ω・cm以上であり、
磁性キャリア粒子の真比重が3.0〜4.9g/cm3であり、
磁性キャリア粒子の10000エルステッドの磁場における飽和磁化が100emu/cm3以上であり、残留磁化が50emu/cm3以上であり、かつ保持カが300エルステッド以上であり、
該現像剤担持体上に形成する現像剤磁気ブラシを該潜像担持体に接触させ、交番電界を印加しつつ現像を行うことを特徴とする画像形成方法に関する。
【0024】
本発明における現像方式には、現像剤として二成分系現像剤を用い、現像剤磁気ブラシが潜像担持体に接触して摺擦しつつ交番電界をかけながら現像を行う、いわゆる接触二成分系AC現像が最適である。これは、前述したように、細線再現性に優れた高画質トナー画像を得るためである。
【0025】
また、該潜像担持体の表面抵抗が1×1010〜1×1016Ωである電荷注入層が存在し、これに接触帯電する部材で一次帯電を行うことで、オゾンの発生を抑制することができる。特に、磁性粒子を用いた帯電ブラシを使用することで、より、均一な帯電が可能となる。
【0026】
さらに、二成分系現像剤を構成する磁性キャリアの磁気力を小さくし、かつ実質的に高抵抗化することにより、トナーカブリとキャリア付着を防止しつつ、細線再現性の良好な、高画質画像が得られる。
【0027】
また、以上のような構成の画像形成装置に、重合法によって製造されるトナーを使用することにより、高転写効率で、カブリのないトナーによりクリーナーレスの画像形成方法も併せて達成することができる。
【0028】
また、以上のような実質的に高抵抗で、磁気力の小さい現像樹脂キャリアを用いて、現像剤担持体の回転の進行方向と潜像担持体の回転の進行方向が、対向部において互いにカウンター方向である現像方式を好ましく用いることによって、スキャベンジングを防止しつつ、高画像濃度でドット抜けのない高品位画像を得ることができる。
【0029】
【発明の実施の形態】
本発明者らが詳細な検討を行ったところ、本発明における潜像担持体の電荷注入層の表面抵抗は、1×1010〜1×1016Ωであることが必要であり、より好ましくは1×1012〜1×1015Ωの範囲にあることが好ましいことがわかった。
【0030】
電荷注入層の表面抵抗が1×1010Ω未満である場合、接触帯電部材から注入される電荷が電荷注入層の表面で保持されずに、反転現像系の電子写真プロセスでは結果として画像流れと呼ばれる現象を引き起こすことがあった。これはとくに高湿下で多く見られた。電荷注入層の表面の抵抗が1×1016Ωを超える場合は、電荷が十分に注入されず、潜像担持体の帯電不良領域に不必要にトナーが乗ってしまういわゆる帯電ポジコーストが発生することがある。
【0031】
また、以上のように潜像担持体の電荷注入層の表面抵抗が1×1010Ω〜1×1016Ωの範囲にあっても、注入帯電部材の比抵抗が適当な範囲になければ、適正に帯電は行われない。これは注入帯電部材の構成によって調整される必要があるが、例えば磁性粒子で構成される帯電ブラシローラを用いる場合、1×105〜1×108Ωcmの比抵抗の磁性体で構成された帯電ブラシローラが良好な帯電性を示す。
【0032】
帯電磁気ブラシローラを構成する磁性体は、例えば鉄、コバルト、ニッケルなど磁性金属や、その化合物を用いることができる。これらを適切なコート樹脂でコートするか、あるいは酸化処理、還元処理などを行って、上記の比抵抗に調整する必要がある。
【0033】
例えば、水素還元処理したZn−Cuフェライト、酸化処理したマグネタイトなどを用いることができる。また、磁性金属酸化物と導電性微粒子とをバインダー樹脂中に分散させたバインダー型の磁性粒子、あるいは該バインダー型磁性粒子を適切なコート樹脂でコートしたものを用いることもできる。
【0034】
潜像担持体の電荷注入層としては、絶縁性でかつ透光性のバインダー樹脂中に導電性の微粒子を分散したものが好ましく用いられる。この電荷注入層を、電圧を印加された帯電磁気ブラシが接触することで、あたかも潜像担持体の導電基体に対して導電粒子が無数の独立したフロート電極のように存在し、これらのフロート電極が形成するコンデンサーに充電を行うような作用を期待することができる。従って、接触帯電部材に印加した電圧と潜像担持体表面電位は等しい値に収束し、印加する電圧も最小限のもので良いという効果も認められた。
【0035】
前述したように、高画質化を達成するために接触二成分系現像プロセス、AC現像バイアスを用いたとき、以上のように電荷注入層の表面抵抗が1×1010Ω〜1×1016Ωの範囲にある潜像担持体を用いるとき、従来のような鉄粉キャリアやフェライトに樹脂コートを施した磁性キャリアを現像剤に使用すると、キャリア付着やトナーカブリが著しく発生することが見受けられた。
【0036】
この現象は電荷注入層の表面の比抵抗が低くなるにつれて現れやすくなり、また、現像剤の磁性キャリアの比抵抗が低くなると顕著に現れることがわかった。
【0037】
本発明者らはこの現象の原因を探求し、以下のような結論に至った。
【0038】
つまり、比抵抗が比較的低い電荷注入層を有する潜像担持体と、比抵抗の低い磁性キャリアを合わせて使用する場合、潜像担持体上の潜像の電位が、接触して摺擦する磁性キャリア粒子を介してリークしてその電位を現像バイアス電位に近づくように変化させてしまい、その結果、カブリ取り電位が低くなり、トナーカブリを発生する。
【0039】
従って、この現象を防ぐためには高抵抗な磁性キャリアを用いることが効果的であることを見いだした。具体的には、本発明のような潜像担持体の電荷注入層の表面抵抗が1×1010Ω〜1×1016Ωの範囲にある場合、磁性キャリアの比抵抗が5×1013Ωcm以上であるキャリアを用いることが必須であることが見いだした。
【0040】
また、高画質化の観点からはキャリア粒径をできるだけ小さくすることが好ましく、現像極(磁極の強さ約1000エルステッド)において、磁気ブラシの穂立ちを密にすることで、静電潜像に忠実な現像が可能となり、ドット再現性の良い画像が得られることがわかった。磁気ブラシの密度はキャリアの磁化の強さがに関係しており、キャリア粒子の磁気力を下げるにつれて磁気ブラシ密度が密になる。
【0041】
キャリアが同一組成であるならば、キャリア粒子の磁気力は粒径と関係しているため、キャリアの磁気力を下げていくと、次第にキャリア付着が生じる傾向にある。このような観点から、本発明では使用するキャリア粒径として、その個数平均粒径としては5〜100μmの範囲のものを使用することができ、さらにはキャリア磁化の強さが100emu/cm3以上のときに高画質が得られ、またキャリア付着防止の観点からより好適で、更にキャリアの残留磁化の強さが50emu/cm3以上で、かつ保持力が300エルステッド以上となるような磁気特性を有するようにMO・6(Fe2O3)で表されるマグネトプランバイト構造を有するハードフェライト材料を選択した場合にキャリア付着を良好に防止できることを見いだした。
【0042】
尚、本発明に用いられる磁性キャリアの比抵抗測定は、ハイレジスタンスメーター4329A(横河ヒューレットパッカード製)で測定した値を示した。
【0043】
本発明に用いられる磁性キャリアに用いることができる磁性金属酸化物粒子としては、MO・6(Fe2O3)で表される六方晶マグネトプランバイト構造を有するハードフェライト材料が必須であり、例えば、BaFe12O19,SrFe12O19,PbFe12O19であらわされるバリウムフェライト、ストロンチウムフェライト及び鉛フェライトな、とを挙げることができる。このようなハードフェライト材料を樹脂中に分散させることで高抵抗化と所望の磁気特性との両立することが可能となる。
【0044】
また、キャリアとしての磁気特性や電気抵抗等の調整のために、上記磁性金属酸化物粒子以外にも非磁性金属酸化物粒子を併用することが可能であり、例えば、A12O3,SiO2,CaO,TiO2,V2O5,CrO2,MnO2、α−Fe2O3,CoO,NiO,CuO,ZnO,SrO,Y2O3,ZrO2等を挙げることができる。非磁性金属酸化物粒子を併用する場合には、比重や形状が類似している粒子を用いるのがバインダーとの密着性、キャリア強度を高めるためにより好ましい。本発明に用いられる磁性キャリアでは非磁性金属酸化物粒子としてヘマタイトを組み合せて用いてることが好ましい。
【0045】
上記の金属酸化物粒子を樹脂に分散してキャリアとする場合、磁性を示す金属酸化物粒子の個数平均粒径はキャリア粒径によっても変わるが、0.02〜2μmまでのものが好ましく用いることができる。また、2種以上の金属酸化物粒子を分散させて用いる場合、磁性を示す金属酸化物粒子の個数平均粒径は0.02〜2μmまでのものが用いることができ、他方の金属酸化物粒子の個数平均粒径は、0.05〜5μmのものが使用できる。
【0046】
この場合、磁性の金属酸化物粒子(粒径:ra)に対して他方の金属酸化物粒子(粒径:rb)の粒径比rb/raは1.0を越え5.0倍以下であることが好ましい。1.0倍以下であると比抵抗の低い磁性の金属酸化物粒子が表面に出やすくなり、キャリアの抵抗を十分に上げることができず、本発明においてキャリア付着を防止する効果が得られにくくなる。また、5.0倍を超えると樹脂中への金属酸化物粒子の取り込みがうまくいかなくなり、キャリアの強度が低下し、金属酸化物粒子の脱離を引き起こしやすくなる。本発明で使用する金属酸化物粒子の粒径測定方法については後述する。
【0047】
本発明に用いられる磁性キャリアのコア中に含有される金属酸化物粒子の量は、50質量%〜99質量%である。金属酸化物粒子の量が50質量%未満であると帯電性が不安定になり、特に低温低湿環境下においてキャリアが帯電し、その残留電荷が残存しやすくなるために微粉トナーや外添削等がキャリア表面に付着しやすくなる。また、99質量%を超えるとキャリア強度が低下して、耐久によるキャリアの割れ、金属酸化物粒子の脱離などの問題を生じやすくなる。
【0048】
さらに本発明に用いられる磁性キャリアでは、例えば、コア中に非磁性の金属酸化物粒子と磁性の金属酸化物粒子を組み合わせるて用いるなど、2種以上の金属酸化物粒子を分散させることも可能である。この場合、コア中に含有される金属酸化物粒子全体に占める磁性を有する金属酸化物粒子の含有量が30質量%〜100質量%である。30質量%未満であるとコアの高抵抗化は良好になる半面、キャリアとしての磁気力が小さくなり、キャリア付着を招く場合がある。
【0049】
更に、本発明に用いられる磁性キャリアに使用される金属酸化物粒子は親油化処理されていることが好ましい。これはキャリアから金属酸化物粒子の脱離を防止でき、またキャリア製造上においても、親油化処理された金属酸化物粒子をバインダー樹脂中に分散させ、コア粒子を形成する場合、均一でかつ高密度でバインダー樹脂中に取り込ませることが可能となる。特に、重合法でコア粒子を形成する場合は球形で表面が平滑な粒子を得る上で、また粒度分布をシャープにするために重要である。
【0050】
親油化処理はシラン系カップリング剤やチタネート系カップリング剤などのカップリング剤で金属酸化物を処理するか、界面活性剤を含む水性溶媒中に金属酸化物を分散させることにより表面を親油化する等の方法がある。
【0051】
また、本発明で使用する磁性キャリアのコアに含有される金属酸化物は、親油化処理されていることが好ましい。親油化処理された金属酸化物はバインダー樹脂中に分散させコア粒子を形成する場合、均一でかつ高密度でバインダー樹脂中に取り込まれることが可能となる。特に、重合法でコア粒子を形成する場合は球形で表面が平滑な粒子を得るために、親油化処理はシラン系カップリング剤やチタネート系カップリング剤などのカップリング剤で金属酸化物を処理するか、界面活性剤を含む水性溶媒中に金属酸化物を分散させることにより表面を親油化する等の方法がある。
【0052】
ここでいうシラン系カップリング剤としては、疎水性基、アミノ基あるいはエポキシ基を有するものを用いることができる。疎水性基をもつシラン系カップリング剤として例えば、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシ)シラン等を挙げることができる。アミノ基をもつシラン系カップリング剤としては、γ−アミノプロピルエトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。エポキシ基をもつシラン系カップリング剤としては、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)トリメトキシシラン等が挙げられる。
【0053】
チタネート系カップリング剤としては、例えば、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリトデシルベンセンスルホニルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルピロホスフェート)チタネート等を挙げることができる。
【0054】
界面活性剤としては、市販の界面活性剤をそのまま使用することができる。
【0055】
本発明に用いられるコアに用いられるバインダー樹脂としては、ビニル系モノマーを重合して得られる全ての樹脂が挙げられる。ここで言うビニル系モノマーとしては例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン、m−ニトロスチレン、o−ニトロスチレン、p−ニトロスチレン等のスチレン誘導体;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレンなどのエチレン及び不飽和モノオレブイン類;ブタジエン、イソプレンなどの不飽和ジオレブイン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、フッ化ビニル等のハロゲン化ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル等のビニルエステル類;メタクリル酸及びメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル等のα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;アクリル酸及びアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2ニグロルエチル、アクリル酸フェニル等のアクリル酸エステル類;マレン酸、マレイン酸ハーフエステル;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類;N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドン等のN−ビニル化合物;ビニルナフタリン類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等のアクリル酸若しくはメタクリル酸誘導体;アクロレイン類などが挙げられ、これらの中から1種又は2種以上使用して重合させたものが用いられる。
【0056】
また、ビニル系モノマーから重合して得られる樹脂以外にポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂などの非ビニル縮合系樹脂あるいはこれらと前記ビニル系樹脂との混合物を用いることができる。
【0057】
本発明に用いられる磁性キャリアのコアを製造する方法としては、ビニル系、非ビニル系の熱可塑性樹脂、金属酸化物、その他硬化剤等の添加剤を混合機により十分に混合してから加熱ロール、ニーダー、エクストルーダー等の混練機を用いて溶融、混練して、これを冷却後、粉砕分級を行なってキャリアコアを得ることができる。この際、得られた金属酸化物含有樹脂粒子を熱あるいは機械的に球形化してコアとして用いることが好ましい。
【0058】
より好ましく本発明に用いられる磁性キャリアのコアを製造する方法としては、直接モノマーと金属酸化物を混合、重合してキャリアコアを得る方法がある。このとき、重合に用いられるモノマーとしては、前述したビニル系モノマーの他にエポキシ樹脂の出発原料となるビスフェノール類とエピクロルヒドリン、フェノール樹脂のフェノール類とアルデヒド類、尿素樹脂の尿素とアルデヒド類、メラミンとアルデヒド類等が用いられる。例えば、硬化系フェノール樹脂を用いたキャリアコアの製造方法としては、水性媒体中でフェノール類とアルデヒド類を塩基性触媒の存在下で前述した金属酸化物、好ましくは親油化処理した金属酸化物を入れ、重合しコアを得る。このようなキャリアコアの製造方法では、さらに水性媒体中でフェノール類とアルデヒド類を塩基性触媒の存在下で得られたキャリアコアを入れ、さらにフェノール系樹脂を表面にコートさせることで、キャリアコアの比抵抗をさらに向上させることができる。また、この際、前述した非磁性の金属酸化物粒子をフェノール樹脂と共にコート樹脂中に含有させることで、キャリアコアの表面をさらに頑強にすることができる。
【0059】
本発明に用いられるキャリアを製造する方法としては、キャリアの強度をアップさせたり、コート樹脂をより良好にコートさせるためにコア製造時にバインダーを架橋させて用いるのが好ましい。例えば、溶融混練時に架橋成分を添加し混練時に架橋させ方法、あるいは直接麗含時に硬化型樹脂を選択し直接璽含させてコアを得る方法、あるいは架橋成分を入れたモノマーを使用する等の方法を挙げることができる。
【0060】
また、コート量はキャリアコア粒子100質量部に対し、0.05〜10質量部であることが好ましい。さらには0.2質量%〜5質量%の範囲であることが最も好適である。コート盤が0.05質量%未満ではキャリアコア材を十分にコートすることが困難となり、耐久後にトナースペントを十分抑制することができない。また、10質量%を超えると、樹脂コート量が多すぎるため比抵抗は所望の範囲とすることができるが流動性が低下したり、かえって電荷が蓄積することによるキャリア付着を生じたりする場合がある。
【0061】
本発明に使用できるコート樹脂としては、絶縁性樹脂を使用することができる。ここで、使用される絶縁性樹脂としては熱可塑性の樹脂であっても熱硬化性樹脂であっても使用でき、具体的には例えば熱可塑性の樹脂としてはポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、スチレン−アクリル酸共重合体等のアクリル樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル、酢酸ビニル、ポリフッ化ビニリデン樹脂、フルオロカーボン樹脂、ハーフロロカーボン樹脂、溶剤可溶性ハーフロロカーボン樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリビニルピロリドン、石油樹脂、セルロース、酢酸セルロース、硝酸セルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース誘導体、ノボラック樹脂、低分子量ポリエチレン、飽和アルキルポリエステル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアクリレートといった芳香族ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルケトン樹脂を挙げることができる。
【0062】
またかかる硬化性樹脂としては、具体的には例えば、フェノール樹脂、変性フェノール樹脂、マレイン樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、具体的には例えば無水マレイン酸−テレフタル酸−多価アルコールの重縮合によって得られる不飽和ポリエステル、尿素樹脂、メラミン樹脂、尿素−メラミン樹脂、キシレン樹脂、トルエン樹脂、グアナミン樹脂、メラミン−グアテミン樹脂、アセトグアナミン樹脂、グリプタール樹脂、フラン樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリウレタン樹脂等を挙げることができる。上述した樹脂は、単独でも使用できるがそれぞれを混合して使用してもよい。また、熱可塑性樹脂に硬化剤などを混合し硬化させて使用することもできる。
【0063】
本発明においては、特にキャリア表面にシリコーン樹脂をコートしたキャリアを用いることが好ましい。これはキャリア同士が合一せずに均一に膜形成ができ、長期の使用においてもコート層がコア材から剥がれることなく耐久性の優れたキャリアとすることができるからであり、またシリコーン樹脂は低表面エネルギーであるため、トナーと混合して現像剤とした場合に、キャリア表面へのトナー組成物のスペントを防止でき、安定してトナーに摩擦帯電電荷を付与できることによることによる。シリコーン樹脂をコートする場合は、被膜強度をより高めるためにキュアを施すことが好ましい。具体的には150℃以上の温度で0.5時間以上保持することが好ましい。
【0064】
本発明のコートキャリアを好ましく製造する方法としては、キャリアコア材を浮遊流動させながら樹脂溶液をスプレーしコア材表面にコート膜を形成させる方法、及びスプレードライ法が挙げられる。上記コート方法は特に上述したような比較的低抵抗のキャリアコアに、コート樹脂をほぼ完全に被覆することが必要な場合や、熱可塑性樹脂をバインダー樹脂とするコアにコートする場合に好適である。
【0065】
またその他のコート方法として、剪断応力を加えながらコート樹脂溶液の溶媒を徐々に揮発させながら被膜を形成させるなどの方法によっても本発明に用いられる樹脂コートキャリアを製造することができる。
【0066】
本発明では高抵抗である磁性キャリアを用いて現像するのであるが、抵抗の低い現像キャリアよりも潜像担持体にキャリアが付着する、いわゆるキャリア付着現象が起こりにくいという利点もある。これは、キャリア付着のドライビングフォースには、特に交番電界印加における接触現像方式において、現像剤担持体から磁性キャリアヘ電荷が注入することが支配的因子となっているためであり、このような電荷注入の起こりにくい上記のような実質的に高抵抗であるキャリアを用いれば、キャリア付着現象は飛躍的に改善される。
【0067】
本発明に用いられる磁性キャリアの粒径は5〜100μmが好ましい。キャリアの粒径は、高画質化の観点からはできるだけ小さくすることが好ましいが、磁気力と粒径の関係によりキャリア付着を生じてくる。すなわち、キャリア粒径が100μmを超えると磁気ブラシが感光体表面を摺擦するときに掃き目を生じやすくなるために高画質の観点から好適でなく、また1μmより小さくなるとキャリア1個の持つ磁気力が小さくなるためにキャリア付着を生じやすくなる。
【0068】
本発明で使用したキャリア粒径の測定方法を記載する。本発明のキャリアの粒径は、走査電子顕微鏡(100〜5000倍)によりランダムに粒径0.1μm以上のキャリア粒子を300個以上抽出し、ニレコ社(株)製の画像処理解析装置Luzex3により水平方向フェレ径をもってキャリア粒径として測定し、個数平均粒径を算出するものとする。
【0069】
本発明で使用するキャリアの磁気特性は、理研電子(株)社製の振動磁場型磁気特性自動記録装置BHV−30を用いて測定する。キャリア粉体の磁気特性値は1キロエルステッドの外部磁場を作り、そのときの磁化の強さを求める。キャリアは円筒状のプラスチック容器に十分密になるようにパッキングした状態に作製する。この状態で磁化モーメントを測定し、試料を入れたときの実際の重量を測定して、磁化の強さ(emu/g)を求める。次いで、キャリア粒子の真比重を乾式自動密度計アキュピック1330(島津製作所(株)社製)により求め、磁化の強さ(emu/g)に真比重を掛けることで本発明の単位体積あたりの磁化の強さ(emu/cm3)を求める。
【0070】
本発明においては潜像担持体の帯電部材としては、ファーブラシ、磁気ブラシ、樹脂ローラーなどを用いることが出来るが、より均一な帯電と高耐久性を達成するために磁気ブラシを用いるのが好ましい。
【0071】
ところで、画質の向上はキャリアの改良のみでは難しく、トナーを改良することも重要である。すなわち、二成分系現像剤においてはキャリアは現像において重要であるが、それ以降の電子写真プロセスである転写、定着過程を経て、最終画像の画質ならびにカブリ等の画像品質に対してはトナーの影響が非常に大きい。本発明の二成分系現像剤においてはトナーを改良することで画像品質を向上することができた。
【0072】
すなわち、本発明に用いられるトナーは、重量平均粒径が1〜10μm、好ましくは3〜8μmの範囲であることが好適である。また、35%以下の個数分布の変動係数を有していることが反転成分のない良好な帯電付与、潜像ドットの再現性等を満足させるために必須である。
【0073】
トナー重量平均粒径が10μmを超えると、潜像を現像する粒子1個が大きくなるためにいくらキャリアの磁気力を下げても潜像に忠実な現像が行えず、また、静電的な転写を行うとトナーの飛び散りが激しくなる。また、1μm以下の粒径では粉体としてのハンドリング性に不都合を生じる。
【0074】
また、35%以下の個数分布の変動係数を超えると微粉トナーへのトナー帯電付与が良好に行えず、トナートリボ分布が広くなり、帯電不良(反転成分生成)や現像したトナーの粒径変化等の問題を生じてしまったり、キャリアとの摩擦帯電が良好に行えなくなるのに加え、潜像を忠実に再現できなくなる。本発明に用いる粒度分布の測定には、例えばレーザー走査型のCIS100(GLAI社製)を使用する方法を挙げることができる。
【0075】
具体的測定法については後述する。
【0076】
更にまた、本発明に用いられるトナーは形状係数SF−1が100〜130の範囲であり、全体、または一部が重合法で形成されており、かつ残存モノマー含有量が1000ppm以下であることが必要である。すなわち、本発明においてトナーは電子写真プロセス、特に現像同時クリーニング方法、クリーナレス画像形成方法等のクリーナーレスプロセスを用いたシステムにおいて有効である。すなわち、クリーナーレスプロセスのその原理は、電子写真各工程における感光体上のトナーの帯電極性及び帯電量を制御することと、反転現像方法を用いることが重要である。
【0077】
例を挙げて説明すると、マイナス帯電性の感光体及びマイナス帯電性のトナーを用いた場合、その転写工程において、プラス極性の転写部材によって可視化された像を転写材に転写することになるが、転写材の種類(厚み、抵抗、誘電率等の違い)と画像面積等の関係により、転写残余のトナーの帯電極性がプラスからマイナスまで変動する。しかし、マイナス帯電性の感光体を帯電する際のマイナス極性の帯電部材により、感光体表面と共に転写残余のトナーまでもが、転写工程においてプラス極性に振れていたとしても、一様にマイナス側へ帯電極性を揃えることが出来る。これゆえ、現像方法として反転現像を用いた場合、トナーの現像されるべき明部電位部にはマイナスに帯電された、転写残余のトナーが残り、トナーの現像されるべきでない暗部電位には、現像電界の関係上、トナー担持体の方に引き寄せられ、暗部電位をもつ感光体上にトナーは残留しない。
【0078】
このように、転写残余のトナーの帯電極性を制御することにより、現像同時クリーニング、クリーナレス画像形成方法が成立するわけであるが、このトナーの帯電極性を制御する工程において、感光体帯電部材によりトナーあるいは現像剤の劣化が促進されており、画質の劣化を引き起こしていることが判明した。
【0079】
その劣化の詳細であるが、例えば、コロナ帯電器を感光体帯電部材として用いた場合、先ず、コロナ帯電線により発生した電離イオンが感光体表面に導かれ、感光体表面に付着することにより表面に電位をもつ。このとき、感光体上にトナーが存在すれば、このコロナシャワーに晒されることにより、トナーも同時に感光体帯電極性と同極性に帯電される。これら電離イオンは化学的活性が非常に高いと考えられ、転写残余のトナーについてコロナシャワー、又は放電の影響をみると、感光体帯電部材を通過するトナーが帯電極性制御される際、化学的影響を受けて耐久特性、画像品質特性等に悪影響を与えていることが判明した。従来は、ブレード又は、ファーブラシなどのクリーニング部材により、転写残余のトナーが感光体上からクリーニングされており、感光体帯電の影響がトナーあるいは、現像剤に及ぶことはなかったものと考えられる。このため、感光体上に存在するトナーの帯電による化学的影響を考慮にいれた検討は行われていなかった。しかし、現像同時クリーニング、クリーナレス画像形成方法においては、感光帯電部材の影響を受けたトナーが現像器に回収、再利用されるため、これらの化学的影響を考慮にいれる必要性があることが判明した。
【0080】
本発明者らは、様々なトナーについて鋭意検討を行い、現像同時クリーニング、クリーナレス画像形成方法においては、トナー中に含まれる残存モノマーの含有量とこれら耐久特性、画像品質特性に密接なつながりのあることを見い出した。すなわち、残存モノマーによる作用は、以下のようなものと考えられる。例えば、結着樹脂、着色剤、帯電制御剤を主たる成分とするトナーの場合、残存モノマーは、トナー中に存在し、トナーのガラス転移点あるいはガラス転移点周辺の熱的挙動に影響を与える。モノマーは低分子量成分であるためにトナー全体を可塑化する方向に働く。一方、放電又はコロナシャワーに晒されたトナーについては、その活性種により、結着樹脂が影響を受ける。例えば、樹脂中の分子鎖が切断されることで樹脂分解物が生成し、低分子量分を生じたり、あるいは、逆に樹脂分解物が更に重合反応を促進していくなどが考えられる。一方、トナー中の残存モノマーは、感光体帯電部材により発生する活性種により、活性化するものと考えられる。
【0081】
このように、トナー中にはこれらに起因する反応性低分子量分が存在するため、これらが拮抗あるいは競合するものと考えられる。又、トナー中に含まれる荷電制御剤も比較的電子の授受に富む化合物であり、明瞭な原因の総ては掴みきれてはいないが、残存モノマーが存在することで、トナー中の反応性低分子量分の拮抗、競合の関係が変化することが示唆される。つまり、残存モノマーの影響でトナー表面の特性が徐々に変化することにより、トナーの流動性、帯電性が変化し、耐久により画像濃度の変化、かぶりの発生、フィルミング等の問題が生じる。
【0082】
トナー中の残存モノマー含有量という観点から現象を解析すると、1000ppmよりも少なければ、耐久特性上の性能が良好であり、1000ppmを超える範囲のトナーを用いると、耐久特性及び画像特性の点で実用上不十分である。望ましくは、残存モノマー量が、500ppm以下であると、耐久特性、画像品質特性が良好となり、300ppm以下であると更に良好な結果が得られる。本発明に供せられるトナー中の残存モノマーの定量方法については後述する。
【0083】
又、本発明においては、トナーの形状係数SF−1が100〜130であるものが好適に用いられる。さらに好ましくは、SF−1が100〜120である。本発明に用いられる形状係数を示すSF−1は、日立製作所製FE−SEM(S−800)を用いトナー像を100個無作為にサンプリングし、その画像情報はインターフェースを介してニレコ社製画像解析装置(LUSEX3)に導入し解析を行い下式より算出し得られた値を本発明においては形状係数SF−1と定義した。
【0084】
【数1】
MXLNGトナーの最大径
AREAトナーの投影面積
【0085】
トナーの形状係数SF−1は球形度合を示し、130より大きいと、球形から徐々に不定形となる。トナー形状の作用効果としては、できるだけ、トナー表面に対する感光体帯電部材の影響を低め、トナー中に反応性低分子量成分の生成を抑さえることである。すなわち、トナー表面積のなるべく小さい球形が好ましい。
【0086】
トナーの一部又は、全体が重合法により形成されたトナーを用いることにより発明の効果を高めることが出来る。特に、トナー表面部分を重合法により形成されたトナーについては、分散媒中にプレドナー(モノマー組成物)粒子として存在させ、必要な部分を重合反応により生成するため、表面性については、かなり平滑化されたものを得ることが出来る。この平滑さの作用効果は、電界がいわゆる尖った部分に集中する傾向があることに集約される。
【0087】
すなわち、感光体帯電工程を経たトナーについては、いわゆる凸凹のあるトナーについては、凸部分にコロナシャワーあるいは放電が集中しその部分を特異的に劣化する特性をもつのに対し、平滑であればコロナシャワーあるいは放電の集中するところがないので劣化しにくいと考えられる。
【0088】
SF−1が130を超えると、かぶりが増えたり、耐久性が若干劣る場合がある。
【0089】
さらには、トナーにコア/シェル構造をもたせ、シェル部分を重合により形成されたようなトナーを用いることで、本発明に用いられるトナーをさらに容易に製造することが出来る。この意味で、本発明には、コア/シェル構造を有するトナーが好ましく用いられる。コア/シェル構造の作用は、トナーの優れた定着性を損なうことなく耐ブロッキング性を付与できることは言うまでもなく、コアを有しないようなバルクとしての重合トナーに比較して、シェル部分のみを重合するほうが、重合工程の後の後処理工程において、残存モノマーの除去が容易に行われるからである。
【0090】
また、コア部の主たる成分としては低軟化点物質が好ましく、ASTMD3418−8に準拠し測定された主体極大ピーク値が、40〜90℃を示す化合物が好ましい。極大ピークが40℃未満であると低軟化点物質の自己凝集力が弱くなり、結果として高温オフセット性が弱くなり好ましくない。一方、極大ピークが、90℃を超えると定着温度が高くなり、好ましくない。更に直接重合方法によりトナーを得る場合においては、水系で造粒・重合を行うため極大ピーク値の温度が高いと主に造粒中に低軟化点物質が析出してきて懸濁系を阻害するため好ましくない。
【0091】
本発明の極大ピーク値の温度の測定には、例えばパーキンエレマー社製DSC−7を用いる。装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。サンプルはアルミニウム製パンを用い対照用にに空パンをセットし、昇温速度10℃/min.で測定を行なった。
【0092】
具体的にはパラフィンワックス,ポリオレフィンワックス,フィッシャートロピッシュワックス,アミドワックス,高級脂肪酸,エステルワックス及びこれらの誘導体又はこれらのグラフト/ブロック化合物等が利用できる。
【0093】
また、低軟化点物質はトナー中へ5〜30質量%添加することが好ましい。仮に5質量%未満の添加では先に述べた残存モノマーの除去に負担がかかり、又30質量%を超える場合は、重合法による製造においいても造粒時にトナー粒子同士の合一が起きやすく、粒度分布の広いものが生成しやすく、本発明には不適当であった。本発明に使用されるトナーの結着剤樹脂としては、具体的には例えばポリスチレン、ポリ−p−クロルスチレン、ポリビニルトルエン、と言ったスチレンおよびその誘導体から得られる高分子化合物、スチレン−P−クロルスチレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリルーインデン共重合体、ポリ塩化ビニル、フェノール樹脂、変性フェノール樹脂、マレイン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル、シリコーン樹脂、脂肪族多価アルコール、脂肪族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、芳香族シアルコール類、ジフェノール類から選択される単量体を構造単位として有するポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール、テルペン樹脂、クマロンインデン樹脂、石油樹脂、架橋したスチレン系樹脂および架橋したポリエステル樹脂等を挙げることができる。
【0094】
スチレン−アクリル系共重合体に使用される重合可能な単量体としては具体的には例えば、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸2エチルヘキシル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸オクチル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドと言ったエチレン性2重結合を有するアクリル酸エステル類、例えばマレイン酸、マレイン酸ブチル、と言ったマレイン酸のハーフエステル、およびジエステル類、酢酸ビニル、塩化ビニル、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテル、ビニルブチルエーテルと言ったビニルエステル類、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルヘキシルケトン、と言ったビニルケトン類を挙げることができる。
【0095】
上述した架橋剤としては、主として不飽和結合を2個以上有する化合物を挙げることができ、具体的には例えばジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、等の芳香族ジビニル化合物、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、と言った不飽和結合を2個有するカルボン酸エステル、ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルスルフィド、ジビニルスルホン等のジビニル化合物、および不飽和結合を3個以上有する化合物を単独若しくは混合して使用することができる。上述の架橋剤は、結剤着樹脂に対して、0.01から10質量%、好ましくは0.05から5質量%で使用するのが好適である。
【0096】
加圧定着方式を用いる場合には、圧力定着トナー用結剤着樹脂を使用することが可能であり、具体的には例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチレン、ポリウレタンエラストマー、エチレン−チルアクリレート共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、線状飽和ポリエステル、パラフィンおよび他のワックス類を挙げることができる。
【0097】
本発明に使用されるトナーには、荷電制御剤をトナーに配合して使用することもできる。荷電制御剤の添加によって現像システムに応じた最適の帯電量とすることができる。かかる正荷電制御剤としてはニグロシン、及び脂肪酸金属塩誘導体、トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4ナフトスルホン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフロロボレートと言った4級アンモニウム塩、ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド、ジシクロヘキシルスシオキサイドと言った、シオルガノスズオキサイド、ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズボレート、ジシクロヘキシルスズボレートを単独であるいは2種以上組み合わせて用いることができる。上述した荷電制御剤のうち特に、ニグロシン系、4級アンモニウム塩と言った荷電制御剤が好適である。
【0098】
また、本発明では負荷電制御剤を使用することもでき、具体的には例えば、有機金属錯体、キレート化合物が有効であり、アルミニウムアセチルアセトナート、鉄(II)アセチルアセトナート、3,5−ジターシャルブチルサリチル酸クロムを挙げることができる。特にアセチルアセトンの金属錯体(モノアルキル置換体、ジアルキル置換体を包含する)、サリチル酸系金属錯体(モノアルキル置換体、ジアルキル置換体を包含する)、またはそれらの塩が好ましく、特にはサリチル酸系金属塩が好適である。上述の荷電制御剤はトナーに添加する際には、結着剤樹脂に対して0.1〜20質量部、より好ましくは0.2〜10質量部で使用されることが好適である。特にカラー画像形成に使用される場合には無色若しくは淡色の荷電制御剤を使用することが好ましい。
【0099】
本発明で使用されるトナーに添加することができる着色剤としては、従来知られている染料及び顔料を使用することができ、具体的には例えばカーボンブラック、マグネタイト、フタロシアニンブルー、ピーコックブルー、パーマネントレッド、レーキレッド、ローダミンレーキ、バンザイエロー、パーマネントイエロー、ベンジジンイエロー等を使用することができる。その際の添加料としては、結着剤樹脂に対して0.1〜20質量%好ましくは0.5−20質量部、さらにはトナー像の好適なOHPフイルムの透過性を考慮すると12質量%以下の範囲で使用されるのが好ましく、通常0.5〜9質量%であるのが最も好適である。
【0100】
本発明のトナーにはさらに熱ロール定着時の雛型性を向上させる目的でポリエチレン、ポリプロピレン、マイクロクリスタリングワックス、カルナバワックス、サゾールワックス、パラフィンワックスなどのワックス成分を添加することもできる。本発明に使用されるトナーにはシリカ、アルミナ、酸化チタン、ポリテトラフロロエチレン、ポリビニリデンフロライド、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、シリコーンと言った微粉末を添加することが好適である。トナーに対して上述した微粉末を添加することによって、トナーとキャリア、あるいはトナー相互の間に微粉末が存在することになり、現像剤の流動性が向上され、さらに現像剤の寿命も向上されることになる。
【0101】
また、これら微粉末の表面積としては、BET法による窒素吸潜によった比表面積が100m2/g以上、特に150〜400m2/gの範囲のものが良好である。かかる微粉末の添加量は、トナー粒径に合わせてトナー100質量%に対して0.1〜20質量%で使用することが好適である。100m2/g未満であると、トナーの流動性が無くなり、トナーの転写性を充分に向上させることができず、画質を低下させてしまう場合がある。
【0102】
本発明に用いられるトナーを粉砕法で製造する方法は、ビニル系、非ビニル系の熱可塑成樹脂、着色剤、荷電制御剤、その他の添加剤を混合機により十分に混合してから加熱ロール、ニーダー、エクストルーダーと言った混練機を用いて溶融、混練して樹脂類を十分に混合して、その中に顔料、若しくは染料を分散させる。これを冷却後、粉砕分級を行なってトナー粒子を得ることができる。本発明におけるトナーの分級方法として好ましくは、慣性力を利用した多分割分級装置を用いる。この装置を用いることにより、本発明の粒度分布を有するトナーを効率的に製造できる。
【0103】
発明に用いられるトナーの製造方法に直接重合方法を用いる場合は、具体的には以下のようにして製造することが可能である。
【0104】
単量体中に低軟化物質からなる雛型剤,着色剤,荷電制御剤,重合開始剤その他の添加剤を加え、ホモジナイサー・超音波分散機等によって均一に溶解又は分散せしめた単量体組成物を、分散安定剤を含有する水相中に通常の撹拌機またはホモミキサー,ホモジナイサー等により分散せしめる。好ましくは単量体組成物からなる液滴が所望のトナー粒子のサイズを有するように撹拌速度・時間を調整し、造粒する。その後は分散安定剤の作用により、粒子状態が維持され、且つ粒子の沈降が防止される程度の撹拌を行えば良い。
【0105】
重合温度は40℃以上、一般的には50〜90℃の温度に設定して重合を行う。また、重合反応後半に昇温しても良く、更に、耐久特性向上の目的で、未反応の重合性単量体、副生成物等を除去するために反応後半、又は、反応終了後に一部水系媒体を留去しても良い。反応終了後、生成したトナー粒子を洗浄・ろ過により回収し、乾燥する。懸濁重合法においては、通常単量体系100質量部に対して水300〜3000質量部を分散媒として使用するのが好ましい。得られたトナーは分級して粘膜:分布を制御しても良く、その方法として好ましくは、慣性力を利用した多分割分級装置を用いる。この装置を用いることにより、本発明の粒度分布を有するトナーを効率的に製造できる。
【0106】
また、トナー中に低軟化点物質を内包化せしめる具体的方法としては、水系媒体中での材料の極性を主要巣量体より低軟化点物質の方を小さく設定し、更に少量の極僚の大きな樹脂又は単量体を添加せしめることで低軟化点物質を外殻樹脂で被覆したいわゆるコア/シェル構造を有するトナーを得ることができる。トナーの粒度分布制御や粒径の制御は、離水溶性の無機塩や保護コロイド作詞をする分散剤の種類や添加鐙を変える方法や機械的装置条件例えばローターの周速・バス同数・撹拌羽根形状等の撹拌条件や容器形状又は、水溶液中での固形分濃度等を制御することにより可能となる。
【0107】
本発明に用いられるトナーの外殻樹脂としては、一般的に用いられているスチレン−(メタ)アクリル共重合体,ポリエステル樹脂,エポキシ樹脂,スチレン−ブタジエン共重合体を利用する事が出来る。重合法による直接トナーを得る方法においては、それらの単量体が好ましく用いられる、外殻樹脂成分の数平均分子量(Mn)は、5000〜1000000が好ましく、また重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)は、2〜100が好ましい。
【0108】
外殻樹脂の分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定される。具体的なGPCの測定方法としては、予めトナーをソックスレー抽出器を用いトルエン溶剤で20時間抽出を行った後、ロータリーエバポレーターでトルエンを留去せしめ、更に低軟化点物質は溶解するがシェル用樹脂は溶解し得ない有機溶剤、例えばクロロホルム等を加え十分洗浄を行った後、THF(テトラヒドロフラン)に可溶した溶液をポア径が0.3μmの耐溶剤性メンブランフィルターでろ過したサンプルをウォーターズ社製150Cを用い、カラム構成は昭和電工製A−801、802,803,804,805,806,807を連結し標準ポリスチレン樹脂の検量線を用い分子量分布を測定し得る。
【0109】
本発明において用いられるトナーがコア/シェル構造を有する場合、その製造方法としては、外殻樹脂で低軟化点物質を内包化せしめるため外殻樹脂の他に更に極性樹脂を添加せしめることが特に好ましい。本発明に用いられる極性樹脂としては、スチレンと(メタ)アクリル酸の共重合体,マレイン酸共重合体,飽和ポリエステル樹脂,エポキシ樹脂が好ましく用いられる。該極性樹脂は、シェル樹脂又は単量体と反応しうる不飽和基を分子中に含まないものが特に好ましい。仮に不飽和慕を有する極性樹脂を含む場合においてはシェル樹脂層を形成する単量体と架橋反応が起き、特に、フルカラー用トナーとしては、極めて高分子量になり四色トナーの混色には不利となり好ましくない。
【0110】
また、本発明においては、外殻構造を有するトナーの表面にさらに重ねて重合法により最外殻樹脂層を設けても良い。
【0111】
上述の最外殻樹脂層のガラス転移温度は、敵ブロッキング機のさらなる向上のため外殻樹脂層のガラス転移温度以上に設計されること、さらに定着性を損なわない程度に架橋されていることが好ましい。また、該外殻樹脂層には帯電性向上のため極性樹脂や荷電制御剤が含有されていることが好ましい。
【0112】
本発明に燭いられるトナーに外添剤として微粉末を処理する場合は、ヘンジェルミキサー等の混合機を使用して行うことができる。このようにして得られたトナーは本発明のキャリア粒子と混合されて2成分現像剤とされる。上述の2成分現像剤を形成する揚含、現像プロセスにも依存するが典型的には現像剤中のトナーの割合が1〜20質量%、より好ましくは1〜10質量%の範囲であることが好適である、またかかる2成分現像剤の摩擦帯電盤としては5〜600mc/kgの範囲であることが好適であり、最も好ましくは5〜60mc/kgである。なお本発明で使踊した摩擦帯電量の測定条件については後述する。
【0113】
潜像担持体の帯電部材に、磁性粒子で構成された磁気ブラシを用いる場合、前述したように該磁性粒子の比抵抗は1×105〜1×108Ωcmであることが必要であるが、これは本発明の磁性キャリアの比抵抗に比較してかなり低抵抗であり、該磁性粒子の磁場1キロエルステッドにおける磁化の強さが十分高くない場合、以上のような原理で該磁性粒子がキャリア付着してしまう。このため、帯電磁気ブラシに用いる磁性粒子は少なくとも磁性キャリアより高い必要があり、1キロエルステッドにおける磁化の強さが200emu/cm3以上であることが好ましい。
【0114】
本発明のように、現像剤に比較的低磁気力の磁性キャリアを用いる場合、現像剤担持体の回転と潜像担持体の回転が互いにカウンター方向である現像方式を好ましく用いることができる。この方式では、現像剤担持体の回転と潜像担持体の回転が互いに1頂方向である現像方式に比較して、同じプロセススピードでは、潜像担持体の一部分に対して接する現像剤磁気ブラシの量、すなわちトナーの絶対量が増えるため、高画像濃度でドット抜けのない高品位画像が期待できる。
【0115】
磁気力の高い磁性キャリアでは、現像剤担持体の回転と潜像担持体の回転が互いにカウンター方向である現像方式を用いて、本発明のごとき接触二成分系AC現像を行う場合、現像剤担持体の回転と潜像担持体の回転が互いに順方向である現像方式に比較して、剛直な現像剤磁気ブラシにより画像にスジ目があらわれるいわゆるスキャベンジングが起こりやすくなる。これは、現像剤磁気ブラシが潜像及び潜像に乗ったトナーに、より衝撃力が強く接するためである。しかし、本発明のような比較的低磁気力の磁性キャリアの場合は、現像剤磁気ブラシが比較的ソフトに潜像担持体及びトナー画像に接するため、スキャベンジングが起こりにくい。
【0116】
本発明の画像形成方法における接触二成分系AC現像方式で、現像剤磁気ブラシに印加する交番電界は500Hz〜5000Hzであることが好適である。印加する交番電界が500Hz未満である場合、いかに本発明のごとき実質的に高抵抗の磁性キャリアであっても、磁性キャリアを通じて電荷が潜像担持体に注入されてしまい、キャリア付着してしまう場合があった。また、印加する交番電界が5000Hzを超える場合、電界に対してトナーが追随できず画質低下を招きやすい。
【0117】
印加する交番電界としては、従来の正弦波、三角波あるいは矩形波を用いることができるが、波形を適切に制御した交番電界を用いることもできる。例えば、潜像担持体から現像剤担持体にトナーを向かわせる第1電圧と現像剤担持体から潜像担持体にトナーを向かわせる第2電圧と、該第1電圧と第2電圧の間の第3電圧で波形のパターンを形成させるような交番電界を用いることができるが、このような場合も、その波形の繰り返しパターン1周期に対して周波数が本発明における交番電界の周波数の範囲、すなわち500Hz〜5000Hzであることが好適である。
【0118】
ところで、本発明の画像形成方法に、クリーナーレスプロセスを組み合わせることが可能であるが、前述したように、接触帯電部材に磁気ブラシローラを用いて、これにクリーナーレスプロセスを組み合わせた場合、磁気ブラシ中にトナーが混入したとき、その帯電特性が変化してしまうという問題点がある。
【0119】
このような問題を避けるため、本発明の画像形成方法にクリーナーレスプロセスを組み合わせる場合には、転写効率が95%以上であるトナーが必須であり、より好ましくは98%以上であるトナーを用いるのが良い。このような観点から、本発明ではトナーとして個数平均粒径が1〜10μmであり、35%以下の個数分布の変動係数を有することトナーを用いることが好ましく、さらに好ましくはトナーの形状係数SF−1が100〜130の範囲であり、かつ、全体又は一部が重合法により形成されており、かつ残存モノマーの含有量が1000ppm以下であるトナーが好ましい。
【0120】
転写効率は、ベタ黒画像を現像させたのち紙上に転写させ、その単位面積当りの転写されたトナー重量(T1)と、転写されずに潜像担持体上に残ったトナー重量(T2)を測定し、下記の式
転写効率(%)=100×T1/(T1+T2)
により計算することにより算出した。
【0121】
また、本発明の画像形成方法においては現像剤担持体は、その表面形状が
0.2μm≦中心線平均粗さ(Ra)≦5.0μm
10μm≦凹凸の平均間隔(Sm)≦80μm
0.05≦Ra/Sm≦0.5
上記条件を満足することが好ましい。
【0122】
Ra及びSmとは、JIS−B0601及びIS0468に記載される中心線平均粗さ及び凹凸の平均間隔を規定する値で次式により求められる。
【0123】
【数2】
【0124】
【数3】
【0125】
Raが0.2μmより小さいと、現像剤の搬送性が不十分なため耐久による画像むらや画像の濃度むらが発生しやすくなる。Raが5μmを超えると、現像剤の搬送性には優れるものの、プレード等の現像剤搬送量規制部における規制力が大きくなりすぎるために外部添加剤が摺擦による劣化を受けて耐久時の画質が低下する。
【0126】
Smが80μmより大きくなると、現像剤担持体上への現像剤が保持されにくくなるために画像濃度が低くなってしまう。このSmの与える原因について詳細は不明であるが、現像剤担持体の搬送量規制部等で現像剤担持体との滑りが起こっていることから、凹凸の間隔が広くなりすぎると現像剤が密にパッキングされた塊として作用し、その力が現像剤担持体一現像剤間の保持力を上回ると考えられる。Smが10μm未満であると、担持体表面の凹凸の多くが現像剤平均粒径より小さくなるため、凹部に入り込む現像剤の粒度選択性が生じ、現像剤微粉成分による融着が発生しやすくなる。また製造的にも困難である。
【0127】
さらに上記の観点より現像剤担持体上の凸部の高さと凹凸の間隔から求められる凸・凹の傾斜(≒f(Ra/Sm))が本発明の場合重要な原因となる。本発明では
0.05≦Ra/Sm≦0.5
であることが好ましく、より好ましくは0.07以上0.3以下である。
Ra/Smが0.05未満であると、現像剤の現像剤担持体上への保持力が弱いため現像剤担持体へ現像剤が保持されにくくなるので現像剤規制部で搬送量が制御されず、結果として画像むらが生じる。Ra/Smが0.5を超えると、現像剤担持体表面の凹部に入った現像剤が他の現像剤と循環しにくくなるため現像剤融着が発生する。
【0128】
現像剤担持体の長さ方向にさらに溝(いわゆるローレット)を数本加工せしめることで、さらに流動性に優れた現像剤をも現像剤担持体に均一にコーティングすることが容易になった。
【0129】
本発明におけるRa及びSmの測定は、接触式表面粗さ測定器SE−3300(小坂研究所社製)を用い、JIS−B0601に準拠して行った。
【0130】
本発明の所定の表面粗さを有する現像剤担持体を製造する方法としては、例えば不定形・定形粒子を砥粒として用いたサンドブラスト法、スリーブ円周方向に凹凸を形成するためにサンドペーパーでスリーブ面を軸方向に擦るサンドペーパー法、化学処理による方法、弾性樹脂でコート後樹脂凸部を形成する方法等を用いることができる。
【0131】
以下に、本発明で使用するトナー粒径測定の具体例を示す。純水100〜150mlに界面活性剤(アルキルベンゼンスルホン酸塩)を0.1〜5ml添加し、これに測定試料を2〜20mg添加する。試料を懸濁した電解液を超音波分散器で1〜3分間分散処理して、レーザースキャン粒度分布アナライザーCIS−100(GALAI社製)を用いて粒度分布等を測定する。本発明では0.5μm〜60μmの粒子を測定して、この条件で測定した個数平均粒径、標準偏差をコンピュータ処理により求め、更に個数分布の変動係数を計算によりを求める。
【0132】
本発明に用いられるトナー中の残存モノマーの定量方法については、トナー0.2gをTHF4mlに溶解し、ガスクロマトグラフィーにて以下の条件で内部標準法により測定した。
【0133】
【0134】
本発明で用いられるトナーの摩擦帯電量の測定方法を記載する。ポリビンにトナーとキャリアをトナー濃度が5質量%となるように混合し、ヤヨイ式振とう機で120秒間混合する。この混合粉体(現像剤)を底部に635メッシュの導電性スクリーンを装着した金属製の容器にいれ、吸引機で吸引し、エレクトロメーターに表示された値と容器内の重量変化から摩擦帯電量を求める。この際、吸引圧を250mmHgとする。この方法によって、トナーの摩擦帯電量Qを下記式を用いて算出する。
Q(mC/kg)=Q’/(W1−W2)
(式中W1は吸引前の重量でありW2は吸引後の重量であり、Q’はエレクトロメーターに表示された値である。)
【0135】
なお、本発明で用いた静電潜像担持体の表面抵抗の測定方法について述べる。
【0136】
潜像担持体表面に、有効電極長さ2cmで、電極間距離120μmのくし型電極を金蒸着し、抵抗測定装置(ヒューレットパッカード社製4140BpAMATER)にて100Vの電圧を印加させて測定する。
【0137】
【実施例】
以下に本発明を実施例をもって具体的に説明するが、本発明は実施例によって制限されるものではない。
【0138】
[実施例]
<磁性キャリア製造例>
(磁性キャリアA)
フェノール 10質量部
ホルムアルデヒド溶液 6質量部
(ホルムアルデヒド40%、メタノール10%、水50%)
親油化処理したバリウムフェライト 100質量部
上記材料と、28%アンモニア水、水をフラスコに入れ、撹拌、混合しながら40分間で85℃まで昇温・保持し、3時間反応・硬化させた。その後、30℃まで冷却し、さらに水を添加した後、上澄み液を除去し、沈殿物を水洗し、風乾した。次いで、これを減圧下(5mmHg以下)で180℃で乾燥して、球状のキャリアコア粒子(a)を得た。
【0139】
次いで上記で得られたキャリアコア粒子(a)100質量部、フェノール0.5質量部、ホルマリン溶液0.75部、親液化処理α−F2O3 2質量部、28質量%のアンモニア水0.2質量部、及び水50質量部をフラスコにいれ、撹拌、混合しながら40分間で85℃まで昇温、保持し、3時間反応・硬化させた。その後、30℃まで冷却し、50質量部の水を添加した後、上澄み液を除去し、水洗し、風乾した。次いで減圧下(5mmHg以下)に170℃で乾燥して、表面をフェノール樹脂でコートしたキャリア:コア粒子(b)を得た。また、このキャリアコア粒子の切断面をFE−SEM観察したところ、粒子表面近傍に樹脂とα−Fe2O3からなるコート層が形成されていることが半竈明した。
【0140】
上記で用いたバリウムフェライト粉(個数平均粒径0.25μm)及びα−Fe2O3(個数平均粒径0.60μm)はそれぞれ、0.5質量%のシラン系カップリング剤[3−(2−アミノエチルアミノプロピル)ジメトキシシラン]を加え、容器内で100℃以上で、高速混合撹拌して金属酸化物粒子の親油化処理を行った。
【0141】
更に、上記で得られたキャリアコア粒子(b)の表面に、以下の方法で熱硬化性のシリコーン樹脂をコートした。キャリアコア粒子(b)の表面のコート樹脂量が0.5質量%になるように、トルエンを溶媒として10質量%のキャリアコード溶液を作製した。次にキャリアコア粒子(b)に剪断応力を連続して加えながらコート溶液を滴下した後、溶媒を揮発させて、キャリアコア表面へのコートを行った。このコート磁性キャリア粒子を160℃で2時間熱処理した後、放冷する。次に凝集したキャリアを解砕し、更に200メッシュの篩で分級して、磁性キャリア(A)を得た。
【0142】
得られた磁性キャリア粒子の個数平均粒径は36.3μmであった。また、キャリアの切断面をFE−SEM観察したところ、粒子表面近傍に樹脂とα−Fe2O3からなるコート層とさらにその上にシリコーン樹脂層が形成されていることが判明した。
【0143】
得られた磁性キャリア粒子(A)を10キロエルステッドの磁場中で磁化したのち、磁気特性を測定した。10キロエルステッドにおける飽和磁化は175emu/cm3であり、残留磁化は110emu/cm3、保持力2650エルステッドであった。磁性キャリア粒子の真比重は3.7g/cm3であった。磁性キャリア粒子の比抵抗は、25V印加時には3.6×1016Ω・cm,100V印加時には7.5×1015Ω・cm,500V印加時には9.2×1014Ω・cmであった。
【0144】
(磁性キャリアB)
フェノール 10質量部
ホルムアルデヒド溶液 6質量部
(ホルムアルデヒド40%、メタノール10%、水50%)
親油化処理したストロンチウムフェライト 100質量部
上記材料と、28%アンモニア水、水をフラスコに入れ、撹拌、混合しながら40分間で85℃まで昇温・保持し、3時間反応・硬化させた。その後、30℃まで冷却し、さらに水を添加した後、上澄み液を除去し、沈殿物を水洗し、風乾した。次いで、これを減圧下(5mmHg以下)で180℃で乾燥して、球状のキャリアコア粒子(c)を得た。
【0145】
次いで上記で得られたキャリアコア粒子(c)100質量部、フェノール0.5質量部、ホルマリン溶液0.75部、親油化処理α−Fe2O31.5質量部、28質量%のアンモニア水0.2質量部、及び水50質量部をフラスコにいれ、撹拌、混合しながら40分間で85℃まで昇温、保持し、3時間反応・硬化させた、その後、30℃まで冷却し、50質量部の水を添加した後、上澄み液を除去し、水洗し、風乾した。次いで減圧下(5mmHg以下)に170℃で乾燥して、表面をフェノール樹脂でコートしたキャリアコア粒子(d)を得た。
【0146】
キャリアコア粒粒子の切断面をFE−SEM観察したところ、粒子表面近傍に樹脂とα−Fe2O3からなるコート層が形成されていることが判明した。
【0147】
尚、上記で用いたストロンチウムフェライト粉(個数平均粒径0.25μm)及びα−Fe2O3(個数平均粒径0.60μm)はそれぞれ、10質量%のシラン系カップリング剤[3−(2−アミノエチノレアミノプロピル)ジメトキシシラン]を加え、容器内で100℃以上で、高速混合撹拌して金属酸化物粒子の親油化処理を行ったものである。
【0148】
次に、上記で得られたキャリアコア粒子(d)の表面に、以下の方法で熱硬化性のシリコーン樹脂をコートした。キャリアコア粒子(d)の表面のコート樹脂量が0.5質量%になるように、シリコーン樹脂を秤取した。次にシラン系カップリング剤として3一アミノプロピルトリメトキシシランを上述のシリコーン樹脂固形分量の3質量%となるように秤取して添加した。次にトルエンを溶媒としてシリコーン樹脂溶液の樹脂固形分濃度が10質量%になるように希釈してキャリアコード溶液を作製した。
【0149】
次にキャリアコア粒子(d)に剪断応力を連続して加えながら上記のコート溶液を滴下した後、溶媒を揮発させて、キャリアコア表面へのコートを行った。このコート磁性キャリア粒子を160℃で2時間熱処理した後、放冷する。次に凝集したキャリアを解砕し、更に200メッシュの篩で分級して、磁性キャリア(B)を得た。得られた磁性キャリア粒子の個数平均粒径は37.5μmであった。また、キャリアの切断面をFE−SEM観察したところ、粒子表面近傍に樹脂とα−Fe2O3からなるコート層とさらにその上にシリコーン樹脂層が形成されていることが判跳した。
【0150】
得られた磁性キャリア粒子(B)を10キロエルステッドの磁場中で磁化したのち、磁気特性を測定した。10キロエルステッドにおける飽和磁化は150emu/cm3であり、残留磁化は90emu/cm3、保持力2200エルステッドであった。磁性キャリア粒子の奥比重は3.65g/cm3であった。磁性キャリア粒子の比抵抗は、25V印加時には2.9×1016Ω・cm,100V印加時には8.3×1015Ω・cm,500V印加時には3.1×1015Ω・cmであった。
【0151】
(磁性キャリアC)
フェノール 7質量部
ホルマリン溶液 10.5質量部
(ホルムアルデヒド40%、メタノール10%、水50%)
親油化処理したバリウムフェライト粉 73質量部
親油化処理したα−Fe2O3 15質量部
上記材料と塩基性触媒として28質量%アンモニア水2質量部、および水15質量部をフラスコに入れ、撹拌、混合しながら40分間で85℃まで昇温・保持し、3時間反応・硬化させた。その後、30℃まで冷却し、100質量部の水を添加した後、上澄み液を除去し、沈殿物を水洗し、風乾した。次いで、これを減圧下(5mmHg以下)に70℃で乾燥して、バリウムフェライトとα−Fe2O3とをフェノール樹脂をバインダーとして結合した球状のキャリアコア(e)を得た。
【0152】
次いで上紀で得られたキャリアコア粒子(e)100質量部、フェノール0.5質量部、ホルマリン溶液0.75部、親油化処理α−Fe2O31.5質量部、28質量%のアンモニア水0.2質量部、及び水50質量部をフラスコにいれ、撹拌、混合しながら40分間で85℃まで昇温、保持し、3時間反応・硬化させた。その後、30℃まで冷却し、50質量部の水を添加した後、上澄み液を除去し、水洗し、風乾した。次いで減圧下(5mmHg以下)に170℃で乾燥して、.表面をフェノール樹脂でコートしたキャリアコア粒子(f)を得た。また、キャリアの切断面をFe−SEM観察したところ、粒子表面近傍に樹脂とα−Fe2O3からなるコート層が形成されていることが判明した。
【0153】
尚、上記で用いたバリウムフェライト粉(個数平均粒径0.25μm)及びα−Fe2O3(個数平均粒径0.60μm)はそれぞれ、2.0質量%のチタン系カップリング剤(イソプロピルトリトデシルベンセンスルホニルチタネート)を加え、容器内で100℃以上で、高速混合撹拌して金属酸化物粒子の親油化処理を行ったものである。
【0154】
次に、上記で得られたキャリアコア粒子(f)の表面に、以下の方法で熱硬化性のシリコーン樹脂をコートした、まず、キャリアコア粒子(f)の表面のコート樹脂量が0.5質量%になるように、シリコーン樹脂を秤取し、次にシラン系カップリング剤としてn−プロピルトリメトキシシランを上述のシリコーン樹脂固形分量の3質量%となるように秤取して添加した。次にトルエンを溶媒としてシリコーン樹脂溶液の樹脂固形分濃度が10質量%になるように希釈してキャリアコード溶液を作製した。
【0155】
次にキャリアコア粒子(f)に勢断応力を連続して加えながら上記のコート溶液を滴下した後、溶媒を揮発させて、キャリアコア表面へのコートを行った。このコート磁性キャリア粒子を160℃で2時間熱処理した後、放冷する。次に凝集したキャリアを解砕し、更に200メッシュの篩で分級して、磁性キャリア(C)を得た。得られた磁性キャリア粒子の個数平均粒径は42.6μmであった。キャリアの切断面をFE−SEM観察したところ、粒子表面近傍に樹脂とα−Fe2O3からなるコート層とさらにその上にシリコーン樹脂層が形成されていることが判明した。
【0156】
得られた磁性キャリア粒子(C)を10キロエルステッドの磁場中で磁化したのち、磁気特性を測定した。10キロエルステッドにおける飽和磁化は140emu/cm3であり、残留磁化は85emu/cm3、保持力2100エルステッドであった。磁性キャリア粒子の輿比重は3.63g/cm3であった。磁性キャリア粒子の比抵抗は、25V印加時には79×1015Ω・cm,100V印加時には6.5×1015Ω・cm,500V印加時には3.1×1015Ω・cmであった。
【0157】
(磁性キャリアD)
フェノール 10質量部
ホルムアルデヒド溶液 6質量部
(ホルムアルデヒド40%、メタノール10%、水50%)
親油化処理したマグネタイト 100質量部
上記材料と、28%アンモニア水、水をフラスコに入れ、撹拌、混合しながら40分間で85℃まで昇温・保持し、3時間反応・硬化させた。その後、30℃まで冷却し、さらに水を添加した後、上澄み液を除去し、沈殿物を水洗し、風乾した。次いで、これを減圧下(5mmHg以下)で180℃で乾燥して、球状のキャリアコア粒子(g)を得た。
【0158】
上記で用いたマグネタイト粉(個数平均粒径0.24μm)1.0質量%のシラン系カップリング剤[3−(2−アミノエチルアミノプロピル)ジメトキシシラン]を加え、容器内で100℃以上で、高速混合撹拌して親油化処理を行った。
【0159】
更に、上記で得られたキャリアコア粒子(g)の表面に、キャリアAと同様の方法で熱硬化性のシリコーン樹脂をコートして、磁性キャリア(D)を得た。キャリアの切断面をFE−SEM観察したところ、バインダー樹脂とマグネタイトからなるコア粒子の表面にシリコーン樹脂層が形成されていることが判明した。
【0160】
得られた磁性キャリア粒子の個数平均粒径は35.8μmであった。得られた磁性キャリア粒子(D)の磁気特性を測定した。10キロエルステッドにおける飽和磁化は210emu/cm3であり、残留磁化は20emu/cm3、保持力は0エルステッドであった。磁性キャリア粒子の真比重は3.65g/cm3であった。磁性キャリア粒子の比抵抗は、25V印加時には2.1×109Ω・cm,100V印加時には7.5×108Ω・cm,500V印加時には34×107Ω・cmであった。
【0161】
(磁性キャリアE)
Fe2O3 26.4質量部
CuO 12.0質量部
ZnO 52.7質量部
になるように秤量し、ボールミルを用いて混合を行った。
【0162】
これを仮焼した後、ボールミルを用いて混合を行い、さらにスプレードライヤーにより造粒を行った。これを焼結し、さらに分級してキャリアコア粒子を得た。このキャリアコアに、スチレン−メタクリル酸2−エチルヘキシル共重合体(共重合比:50/50)をコート量0.5質量%になるようトルエンを溶媒として流動床式塗布装置スピラコーター(岡田精工社製)を用いてコートを行い、150℃で1時間流動床中で乾燥した後、解砕し、さらに200メッシュの箭いがけによる分級を行って磁性キャリア(E)を得た。得られたキャリア粒子の粒径は、45.1μmであった。得られた磁性キャリア粒子(E)の磁性特性を測定した。10キロエルステッドにおける飽和磁化は280emu/cm3であり、残留磁化は0emu/cm3、保持力は0エルステッドであった。磁性キャリア粒子の真比重は4.88g/cm3であった。磁性キャリア粒子の比抵抗は、25V印加時には7.1×1012Ω・cm,100V印加時には5.0×1010Ω・cm,500V印加時には34×109Ω・cmであった。
【0163】
[トナー製造例]
(重合トナーの製造例A)
イオン交換水710gに、0.1M−Na3PO4水溶液450gを投入し、60℃に加温した後、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、12000rpmにて撹拌した。これに1.0M−CaCl2水溶液68gを徐々に添加し、Ca3(PO4)2を含む水系媒体を得た。
【0164】
一方、
上記処方を60℃に加温し、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、12000rpmにて均一に溶解、分散した。これに、重合開始剤2,2’−アソビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)10gを溶解し、重合性単量体組成物を調製した。
【0165】
前記、水系媒体中に上記重合性単量体組成物を投入し、60℃、N2雰囲気下において、TK式ホモミキサーにて10000rpmで10分間撹拌し、重合性単量体組成物を造粒した。その後、パドル撹拌翼で撹拌しつつ、80℃に昇温し、10時間反応させた。
【0166】
重合反応終了後、減圧下で残存モノマーを留去し、冷却後、塩酸を加え、リン酸カルシウムを溶解させた後、ろ過、水洗、乾燥をして、シアン着色懸濁粒子を得た。
【0167】
得られた着色粒子は個数平均粒径(D1)が5.2μmであり、変動径数が19%であった。
【0168】
得られた着色粒子100質量部に対して、BET法による比表面積が、200m2/gである疎水性シリカを1.5質量部外添し、懸濁重合トナーAを得た。このシアントナーの個数平均粒径及び変動係数は実質的に外添前と同等であった。また、得られたトナーの形状係数SF−1は112であり、残存モノマー量は420ppmであった。
【0169】
(重合トナーの製造例B)
イオン交換水710gに、0.1M−Na3PO4水溶液450gを投入し、60℃に加温した後、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、12000rpmにて撹拌した。これに1.0M−CaCl2水溶液68gを徐々に添加し、Ca3(PO4)2を含む水系媒体を得た。
【0170】
一方、
上記処方を60℃に加温し、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、12000rpmにて均一に溶解、分散した。これに、重合開始剤2,21−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)10gを溶解し、重合性単量体組成物を調製した。
【0171】
前記、水系媒体中に上記重合性単量体組成物を投入し、60℃、N2雰囲気下において、TK式ホモミキサーにて10000rpmで10分間撹拌し、重合性単量体組成物を造粒した。その後、パドル撹拌翼で撹拌しつつ、80℃に昇温し、10時間反応させた。重合反応終了後、製造例Aと同一条件の減圧下で残存モノマーを留去し、冷却後、塩酸を加えリン酸カルシウムを溶解させた後、ろ過、水洗、乾燥をして、シアン着色懸濁粒子を得た。得られた着色粒子は個数平均粒径(D1)が5.1μmであり、変動係数17%であった。得られた着色粒子100質量部に対して、BET法による比表面積が、200m2/gである疎水化処理酸化チタンを2.0質量部外添し、懸濁重合トナーBを得た。このシアントナーの個数平均粒径及び変動係数は実質的に外添前と同等であった。得られたトナー得られたトナーの形状係数SF−1は108であり、残存モノマー量は440ppmであった。
【0172】
[重合トナーの製造例C]
イオン交換水710gに、0.1M−Na3PO4水溶液450gを投入し、60℃に加温した後、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、12000rpmにて撹拌した。これに1.0M−CaCl2水溶液68gを徐々に添加し、Ca3(PO4)2を含む水系媒体を得た。
【0173】
一方、
上記処方を60℃に加温し、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、12000ppmにて均一に溶解、分散した。これに、重合開始剤2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)10gを溶解し、重合性単量体組成物を調製した。
【0174】
前記、水系媒体中に上記重合性単量体組成物を投入し、60℃、N2雰囲気下において、TK式ホモミキサーにて10000ppmで10分間撹拌し、重合性単量体組成物を造粒した。その後、パドル撹拌翼で撹拌しつつ、60℃に昇温し、6時間反応させた。重合反応終了後、冷却し、塩酸を加えリン酸カルシウムを溶解させた後、ろ過、水洗、乾燥をして、シアン着色懸濁粒子を得た。得られた着色粒子は重量平均径(D4)約6.4μm、個数平均粒径(D1)が5.0μmであり、個数分布の変動係数は41%であった。
【0175】
得られた着色粒子100質量部に対して、BET法による比表面積が、200m2/gである疎水化処理酸化チタンを1.5質量部外添し、懸濁重合トナーCを得た。このシアントナーの個数平均粒径及び変動係数は実質的に外添前と同等であった。得られたトナーの形状係数SF−1は115であり、残属モノマー量は1700ppmであった。
【0176】
[粉砕トナーの製造例D]
四つ口フラスコに、窒素置換した水180質量部とポリビニルアルコールの0.2質量%水溶液20質量部を投入したのちに、スチレン77質量部、アクリル酸−n−ブチル22質量部ベンゾイルパーオキサイド1.4質量部、ジビニルベンゼン0.2質量部を加え、撹拌し懸濁液とした。この後、フラスコ内を窒素で置換した後に、80℃に昇温し同温度に10時間保持し重合反応を行った。
【0177】
該重合体を水洗した後に、温度を65℃に保ちつつ減圧環境にて乾燥し樹脂を得た。該樹脂を88質量%、合金属アゾ染料を2質量%、カーボンブラック7質量%、低分子量ポリプロピレン3質量%を固定槽式乾式混合機に上り混合し、ベント口を吸引ポンプに接続し吸引しつつ、二軸押し出し機にて溶融混練を行った。
【0178】
この溶融混練物を、ハンマーミルにて粗砕し1mmメッシュパスのトナー組成物の粗砕物をえた。さらに、この粗砕物を機械式粉砕機により、体積平均径20〜30μmまで粉砕を行った後に、旋回流中の粒子間衝突を利用したジェットミルにて粉砕を行った後、多段割分級機により、分級を行い黒色の着色粒子を得た。得られた粒子は個数平均粒径6.1μm、変動係数は28.2%であった。
【0179】
このトナー組成物100質量部に対して、疎水化処理した酸化チタン(BET比表面積250m2/g)1.5質量部外添し、粉砕トナーDを得た。このシアントナーの個数平均粒径及び変動係数は実質的に外添前と同等であった。尚、トナー形状係数を測定したところ、SF−1は124であり、残存モノマー量は510ppmであった。
【0180】
以上のコート樹脂溶液の各処方をガラスビーズをいれたペイントシェイカーで2時問分散させ、コート樹脂溶液を作製した。これを上記のコア粒子に、前述したスピラゴータを用いてコートし、150℃で1時間乾燥させた。得られた接触帯電磁性ブラシ用磁性粒子の比抵抗は8.9×106Ωcm、個数平均粒径は40.1μmであった。1キロエルステッドにおける磁化の強さ(σ1000)=250.3emu/cm3であった(磁性粒子の真比重は5.02g/cm3)。
【0181】
ここで用いた接触帯電磁性ブラシ用磁性粒子とそのコア粒子の比抵抗と個数平均粒径は、前述した現像剤用磁性キャリアの該特性の測定方法によった。
【0182】
(実施例1)
上述のようにして製造した磁性キャリアAと重合トナーAとをトナー濃度が8%となるように混合して現像剤を調製した。この現像剤をキヤノン製フルカラーレーザー複写機CLC−500改造機を用いて画像出しを行った。この現像部周辺の模式図を図1に示し、これをもって説明する。
【0183】
キヤノン製フルカラーレーザー複写機現像器の現像剤担持体(現像スリーブ)1と現像剤規制部材(磁性ブレード)8との距離Aを600μm、現像スリーブ1と静電潜像担持体(感光ドラム)2との距離Bを400μmとした。このときの現像ニップCは5mmであった。
【0184】
なお、現像スリーブは、CLC−500の現像器内で用いられている現像スリーブ(材質:SUS、日立金属社製、25φ)の表面をニューマブラスター(不二製作所製)を用いてサンドブラストし、Ra=2.1μm,Sm=29.6μmのブラストスリーブ(Ra/Sm=0.07)としたものを用いた。
【0185】
また、現像スリーブ1と感光ドラム2との周速比は2.2:1で進行方向が図1に示す通りお互いにカウンター方向であり、現像スリーブ1の現像極S1の磁場が1キロエルステッド、さらに現像条件は、交番電界は図2に示したような波形をもつ1800Vで周波数3000Hzのものを用い、現像バイアスは−480Vとなるように設定した。さらに、トナー現像コントラスト(Vcont)350V、カブリ取り電圧(Vback)80Vとした。
【0186】
接触帯電部材3に印加する電圧としては、−560VのDCバイアスを用いた。
【0187】
なお、感光ドラムとしてはアルミニウム製のφ80のドラム上に以下の機能層を5層もったOPC感光体を用いた。
【0188】
アルミ基層側から順に第1層は下引き層、第2層は正電荷注入防止層、第3層は電荷発生層、第4層は電荷輸送層であり、第5層が電荷注入層である。この電荷注入層は光硬化性のアクリル樹脂にSnO2超微粒子、さらに接触帯電部材と感光体との接触時間を増加させて、均一な帯電を行うために4フッ化エチレン樹脂粒子を分散したものである。具体的には、アンチモンをドーピングし、低抵抗化した樺径約0.03μmのSnO2粒子を樹脂に対して70質量%、さらに粒径0.25μmの4フッ化エチレン樹脂粒子を20質量%、分散剤を1.2質量%分散したものである。この感光ドラムの表面抵抗は1×1012Ωであった。
【0189】
上記の現像条件で画像出しを行った。この結果、細線再現性に非常に優れ、ベタ画像の濃度が高い優れた画像が得られた。さらに、キャリア付着による画像部、非画像部の画像の乱れやトナーカブリは認められなかった。
【0190】
なお、ベタ黒画像を感光ドラムから紙上に転写する際のトナー転写効率を測定すると、99.4%であり、クリーナーレスプロセスにも十分対応できるレベルてあった。実際、クリーナーを取り外して1万枚の画像出し耐久を行ったところ、帯電磁気ブラシの帯電性にまったく変化はなく、帯電ブーストなどは見られなかった。
【0191】
(実施例2)
現像剤としては実施例1と全く同じものを用いて、現像条件を交番電界2000V(ピーク間電圧)、周波数1000Hzの矩形波に変え、他の条件は実施例1と全く同様にして画像出しを行った。その結果、問題ないレベルの良好な画像が得られた。
【0192】
(実施例3)
磁性キャリアBと重合トナーBとを実施例1と同様に現像剤化(トナー濃度8.0%)し二成分系現像剤を得た。実施例1と全く同様にして画像出し、1万枚の画像出し耐久試験を行った。細線再現性、キャリア付着、トナーカプリなどは実施例1と同様の良好な結果を得た。
【0193】
(実施例4)
磁性キャリアCと重合トナーAとを実施例1と同様に現像剤化(トナー濃度8.0%)して、実施例1と全く同様にして画像出しを行い、実施例1同様に良好な結果を得た。
【0194】
(実施例5)
磁性キャリアAと粉砕トナーDとを実施例1と同様に現像剤化(トナー濃度8.0%)実施例1と全く同様にして画像出しを行っれキャリア付着、トナーカブリなどは実施例1と同様の良好な結果を得た。但し、実施例1同様に転写効率を測定すると、90%であった。
【0195】
(実施例6)
実施例1の感光ドラムの表面機能層のうち第5層の電荷注入層に、4フッ化エチレン樹脂粒子と分散剤を分散しないこと以外は全く同様の感光ドラムを用い、他の現像剤、現像条件等を全く実施例1と同様にして画像出しを行った。感光ドラムの表面抵抗は3×1010Ωであった。その結果、実施例1同様に良好な結果を得られた。
【0196】
(比較例1)
磁性キャリアDと重合トナーAとを実施例1と同様に現像剤化(トナー濃度8.0%)して実施例1と全く同様にして画像出しを行った結果、ベタ画像濃度は十分であったが、細線再現性、キャリア付着及びトナーカブリがいずれも悪い結果となった。
【0197】
(比較例2)
実施例1の感光ドラムの表面機能層のうち第5層の電荷注入層に添加する低抵抗化したSnO2粒子を、光硬化性のアクリル樹脂に対して125質量%分散すること以外は全く同様の感光ドラムを用い、他の現像剤、現像条件等は全く実施例1と同様にして画像出しを行った。感光ドラムの表面抵抗は5×109Ωであった。
【0198】
その結果、細線再現性が悪く、微視的に見ると画像流れが起こっていることがわかった。
【0199】
(比較例3)
実施例1の感光ドラムの表面機能層のうち第5層を除く構成とした以外は全く同様の感光ドラムを用い、他の現像剤、現像条件等は全く実施例1と同様にして画像出しを行った。感光ドラムの表面抵抗は3×1016Ωであった。その結果、帯電ゴーストの発生とそれに起因する細線再現性の悪化、トナーカブリの発生が見られた。
【0200】
【表1】
【0201】
【表2】
【0202】
表2中の評価方法、基準は次の通りである。
(1)画像濃度:画像濃度はSPIフィルターを装着したマクベス社製マクベスカラーチェッカーRD−1255を使用して、普通紙上に形成された画像の相対濃度として測定した。
(2)ライン再現性:オリジナル画像及び標準サンプルを参考にして目視により評価した。
(3)キャリア付着:ベタ白画像を画出しし、現像部とクリーナー部との間の感光ドラム上の部分を透明な接着テープを密着させてサンプリングし、5cm×5cm中の感光ドラム上に付着していた磁性キャリア粒子の個数をカウントし、1cm2あたりの付着キャリアの個数を算出する。
優 :10個/cm2未満
良 :10個〜20個/cm2未満
可 :20個〜50個/cm2未満
やや悪い:50個〜100個/cm2未満
悪い :100個/cm2以上
【0203】
(4)カブリ
画出し前の普通紙の平均反射率Dr(%)を東京電色株式会社製デンシトメータTC−6MCによって測定した。一方、普通紙上にベタ自画像を画出しし、次いでベタ白画像の反射率Ds(%)を測定した。カブリ(%)は下記式
fog(%)=Dr(%)−Ds(%)
から算出する。
優 :1.0(%)未満
良 :1.0〜1.5(%)未満
可 :1.5〜2.0(%)未満
やや悪い:2.0〜3.0(%)未満
悪い :3.0(%)以上
【0204】
【発明の効果】
本発明によれば、表面抵抗が1×1010〜1×1016Ωである電荷注入層を有する静電潜像担持体に帯電部材を接触させて帯電させる接触帯電装置を有する画像形成方法において、二成分系現像剤として、磁性キャリアは少なくともバインダー樹脂と磁性粒子としてハードフェライト材料からなる粒子をコア材として、更にその表面に非磁性の金属酸化物粒子を含有した樹脂層を設け、比抵抗を5.0×1013Ω・cm以上の高抵抗とした磁性キャリアを用いている。このような構成とすることで、現像剤磁気ブラシを潜像担持体に接触させながら交番電界を印加して現像を行うと、キャリア付着がなく、かつ高画質画像を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に好適な画像形成装置の模式図である。
【図2】本発明の実施例に用いた現像バイアス波形を示したものである。
【符号の説明】
1 現像スリーブ
2 感光ドラム
3 接触帯電部材
4 転写ドラム
5 露光手段
6 クリーナー
7 転写材
Claims (9)
- 表面抵抗が1×1010〜1×1016Ωである電荷注入層を有する静電潜像担持体と、磁性キャリアとトナーを含有する二成分系現像剤を担持する現像剤担持体とを対向させて配設し、現像する画像形成方法において、
該磁性キャリア粒子は少なくともバインダー樹脂及び磁性金属酸化物粒子を含有し、
磁性キャリア粒子の個数平均粒径が5〜100μmであり、
磁性キャリア粒子の比抵抗が25〜500V印加時に、5.0×1013Ω・cm以上であり、
磁性キャリア粒子の真比重が3.0〜4.9g/cm3であり、
磁性キャリア粒子の10000エルステッドの磁場における飽和磁化が100emu/cm3以上であり、残留磁化が50emu/cm3以上であり、かつ保持力が300エルステッド以上であり、
該現像剤担持体上に形成する現像剤磁気ブラシを該潜像担持体に接触させ、交番電界を印加しつつ現像を行うことを特徴とする画像形成方法。 - 該磁性キャリアは少なくとも熱硬化性のバインダー樹脂及び表面が親油化処理された非磁性金属酸化物粒子と磁性金属酸化物粒子で構成され、該非磁性金属酸化物粒子はキャリアの表面近傍に存在し、かつ該磁性金属酸化物粒子は、六方晶マグネトプランバイト構造のMO・6(Fe2O3)(式中、MはBa、SrまたはPbである)を有するハードフェライトであることを特徴とする請求項1に記載の画像形成方法。
- 該磁性キャリア粒子は表面がシリコーン系の樹脂でコートされていることを特徴とする請求項1乃至2に記載の画像形成方法。
- 該トナーは個数平均粒径が1〜10μmであり、35%以下の個数分布の変動係数を有することを特徴とする請求項1乃至3に記載の画像形成方法。
- 該トナーは形状係数SF−1が100〜130の範囲であり、かつ、全体又は一部が重合法により形成されており、かつ残存モノマーの含有量が1000ppm以下であることを特徴とする請求項4に記載の画像形成方法。
- 静電潜像担持体の帯電部材が、磁性粒子で構成された磁気ブラシであり、
該磁性粒子の比抵抗が1×105〜1×108Ωcmであり、該磁性粒子の個数平均粒径が5〜100μmであり、二成分系現像剤を構成する磁性キャリアの磁場1キロエルステッドにおける磁化の強さより高めた磁性粒子であることを特徴とする請求項1乃至5に記載の画像形成方法。 - BET法による比表面積が100m2/g以上である無機微粒子又は有機微粒子又はそれらの混合物が外添剤として二成分系現像剤に含有されていることを特徴とする請求項1乃至6に記載の画像形成方法。
- 現像剤担持体の回転の進行方向と潜像担持体の回転の進行方向が、対向部において互いにカウンター方向であることを特徴とする請求項1乃至7に記載の画像形成方法。
- 現像剤担持体の表面形状が、
0.2μm≦中心線平均粗さ(Ra)≦5.0μm
10μm≦凹凸の平均間隔(Sm)≦80μm
0.05≦Ra/Sm≦0.5
上記条件を満足することを特徴とする請求項1乃至8に記載の画像形成方法。
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