JP2004226447A - 磁性キャリア及び二成分系現象剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】キャリア付着を防止し、光耐久性で、高画質なフルカラー複写画像を得る磁性キャリア及び磁性キャリアを含む二成分系現像剤を提供する。
【解決手段】本発明の磁性キャリアはバインダー樹脂中に金属酸化物粒子としてハードフェライト粒子を分散させたコアの表面に、更に非磁性の金属酸化物粒子を含有させた樹脂被覆層を設け高低抗化したものである。キャリアは緻密な磁気ブラシで現像性を向上させつつキャリア付着を防止することができる。又、表面にシリコーン系の樹脂をコートすることでトナースペントやコート剥がれのない耐久性に優れたキャリアとすることができる、本発明の磁性キャリアと粒度分布がシャープなトナーとを組み合わせた現像剤は、現像性及び転写性に優れ、高画質画像を長期に渡って提供することができることを特徴とする。
【選択図】 なし
【解決手段】本発明の磁性キャリアはバインダー樹脂中に金属酸化物粒子としてハードフェライト粒子を分散させたコアの表面に、更に非磁性の金属酸化物粒子を含有させた樹脂被覆層を設け高低抗化したものである。キャリアは緻密な磁気ブラシで現像性を向上させつつキャリア付着を防止することができる。又、表面にシリコーン系の樹脂をコートすることでトナースペントやコート剥がれのない耐久性に優れたキャリアとすることができる、本発明の磁性キャリアと粒度分布がシャープなトナーとを組み合わせた現像剤は、現像性及び転写性に優れ、高画質画像を長期に渡って提供することができることを特徴とする。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真法、静電記録法等における静電潜像を現像するための現像剤を構成する磁性キャリア及び二成分系現像剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子写真法としては米国特許第2,297,691号に記載されている如く、多くの方法が知られているが、一般には光導電性物質からなる感光体を利用し、種々の手により該感光体上に電気的潜像を形成し、次いで該潜像をトナーを用いて現像を行って視像とし、必要に応じて紙等の転写材にトナー画像を転写した後、熱・圧力などにより写材上にトナー画像を定着し複写画像を得るものである。また、トナーを用いて現像する方法あるいは、トナー画像を定着する方法としては、従来各種の方法が提案されている。
【0003】
該静電潜像を現像する工程は、帯電させたトナー粒子を静電潜像の静電相互作用を利用して静電潜像状に画像形成を行うものである。一般にかかる静電潜像をトナーを用いて現像する方法のうち、トナーをキャリアと呼ばれる媒体に分散させた二成分系現像剤が特に高画質を要求されるフルカラー複写機には好適に用いられている。
【0004】
この二成分系現像剤に用いられるキャリア粒子は、トナー粒子に良好な帯電性を付与し、現像極において静電潜像上にトナーを現像し、キャリア粒子自身は現像容器内に戻され新たにトナーと混合し良好な帯電を付与するというサイクルで長時間繰り返し使用される。したがって、キャリア粒子に要求される性能として、トナーに良好な帯電を付与すること、キャリア自身が静電潜像担持体に付着する、いわゆるキャリア付着しないこと、繰り返しの使用でも帯電付与性能が劣化しないこと等が挙げられる。従来、キャリア粒子としては鉄粉キャリア、フェライトキャリア、磁性微粒子をバインダー中に分散した磁性体分散樹脂キャリア等が磁気ブラシ現像用の二成分系現像剤用として用いられている。
【0005】
一方、高画質化の要求により現像システムの検討も種々行われており、中でも現像プロセスに交番電界を印加する方法が用いられる場合には、これに鉄粉キャリアを使用すると低抵抗であるためリークが起こり、現像不良が生じてしまう。また、フェライトキャリアを用いても、キャリア粒子の比抵抗が107〜109Ω・cm程度では十分良好な画像が得られない。そこで、キャリア粒子表面に熱可塑性樹脂などをコートして比抵抗を高めたものを用いると良好な画像が得られるようになるが、このような熱可塑性樹脂を用いたコートキャリアは長時間に渡る繰り返し使用において、キャリア表面にトナースペントが発生し、トナーへの摩擦帯電付与能力が低下したり、コート材が剥がれることによってキャリア粒子の比抵抗が低下してしまい、画像劣化を引き起こす場合がある。
【0006】
また、現像剤の観点から高画質化をはかるためにトナー及びキャリア粒子の粒径を小さくする等の検討が行われている。この場合、キャリア粒径が小さくなるに従い、静電潜像担持体へのキャリア付着を生じやすくなる。例えば特公平5−8424号公報には微粒子化したキャリアとトナーを用いて振動電界下で非接触方式で現像する方法が記載されている。該明細書では、振動電界を印加する現像プロセスにおいてキャリア付着を改善するために、樹脂コートを施してキャリアの高抵抗化が効果を有すると記載されているが、発生したキャリア付着を改善するためにキャリアの比抵抗を見かけ上、高抵抗化してもキャリアコアとして比抵抗の低いものを用いている場合には、表面に少しでもコアが露出している場合や繰り返し使用によるコート剥がれを生じてしまった場合などにはキャリア付着を防止し、高画質画像を得るには不十分な場合がある。
【0007】
そこで、キャリアとして磁性体を樹脂中に分散した樹脂キャリアを用いるとキャリアのバルク抵抗を鉄粉キャリアやフェライトキャリアに比べて高くすることができる。しかし、これらの場合でも例えば、特開平5−100494号公報に開示されるような磁性粒子では、樹脂中に含有させる磁性体量を増やすべく粒径比の異なる磁性体を用いているが、磁気的なキャリアの拘束力としては高くなるが、樹脂中に含有される磁性体が比抵抗が低い場合、キャリアとしての比抵抗は低下してしまい、交番電界を用いる現像方法等にこのようなキャリアを用いると、キャリア付着を生じる場合がある。すなわち、低抵抗の磁性体を樹脂中に多量に含有させた樹脂キャリアにおいてはキャリア表面にマグネタイトのような低抵抗の磁性微粒子が多数露出しやすく、その磁性微粒子を電荷注入サイトとして電荷注入によって帯電し、静電潜像担持体に現像されるのである。また長時間繰り返し使用した際にはキャリア表面の磁性微粒子の脱離を生じてしまい、キャリアとしての性能が低下したり、画像を汚してしまう場合もある。
【0008】
これらを改善するためにキャリアの高耐久化の検討がなされている。例えば、キャリアのトナースペント化やコート材の剥がれを防止したり、磁性体分散型樹脂キャリアの場合には表面の磁性微粒子の脱離を防止するために、低表面エネルギーの樹脂をコートする提案がされている。例えば特公昭62−61948号公報、特公平2−3181号公報にシリコーン樹脂コートキャリアの提案がなされ、特公昭59−8827号公報に樹脂変性シリコーンコートキャリアの提案がなされている。また、特開平6−118725号公報には磁性体分散型樹脂キャリアの表面に導電性物質含有シリコーンコートキャリアの記載がある。この明細書中には磁性体分散型樹脂キャリアの比抵抗を下げるために導電性物質を含有したシリコーン樹脂コートを施すことで、高耐久で高画質な画像を得るとあるが、上述したようにキャリア比抵抗が下がった場合には特に交番電界印加する現像プロセスにおいて、キャリア付着を生じてしまう場合がある。
【0009】
従って、上述したように、キャリア付着を防止しつつ、高耐久性で、かつ高画質化を計るために、種々の手法が試みられてはいるものの、特に上述した欠点を全て改善することができる手段は現在までのところ得られていない。
【0010】
また、従来、電子写真プロセスにおいては、転写工程の後に転写材上に転写されずに感光体上に残ったトナー粒子はクリーニング工程により感光体上より除去されるが、この工程においては、従来、ブレードクリーニング、ファーブラシクリーニング、ローラークリーニング等の力学的に転写残余のトナーを掻き落とすか、またはせき止めて廃トナー容器へと回収するものを用いている。しかし、このようなクリーニング部材を感光体表面に押し当てられることに起因して問題が生じることがあった。例えば、部材を強く押し当てることにより感光体を摩耗させ感光体が短命化することなどが挙げられる。
【0011】
また、装置面からみると、このようなクリーニング装置を具備するために装置が必然的に大きくなり装置のコンパクト化を目指すときのネックになっていた。
【0012】
さらには、エコロジーの観点より、トナーの有効活用という意味で廃トナーのでないシステムあるいは廃トナーの少ないシステムが望まれていた。
【0013】
従来、廃トナーを低減すべく、トナーの現像同時クリーニング又は、クリーナレスと呼ばれる技術が開示されており、例えば、特公平5−69427においては、感光体一回転につき一画像としており、転写残余のトナーの影響が同一画像に現れないようにしており、又、特開昭64−20587、特開平2−259784、特開平4−50886、特開平5−165378等では、転写残余のトナーを散らし部材により感光体上に散らし、非パターン化することで、一画像につき感光体の同一表面が複数回利用される場合でも、画像上で顕在化しにくい構成を試みている。
【0014】
しかし、電子写真の利用が進んでいる今日、様々な転写材に対してトナー像を転写する必要性がでできており、この意味でこれら従来技術は様々な転写材に対し満足するものではなかった。また、非パターン化部材に電圧を印加する等の方法はクリーナレスシステムの特長である装置をコンパクト化するというメリットを充分に達成できないような構成であった。
【0015】
一方、特開平2−51168においては、クリーナレスプロセスを達成する手段としてトナー側から試みている。すなわち、球形トナー及び球形キャリアを使用し、安定した帯電特性を得ることで達成しようと試みている。しかしながら、単に球形トナーと球形キャリアを組み合わせた場合、初期特性においては、ある程度満足のいくものでも、繰り返し使用していくうちにトナー表面の外添剤が埋没したり、脱離してしまうなどのトナーの劣化現象が発生し、その結果、トナーの転写効率が低下して画像に白抜け、ガサツキ等の欠陥が発生したり、さらには感光体上の転写されなかったトナーが感光体表面に融着(フィルミング)してしまうという場合があった。
【0016】
また、現像同時クリーニングにおいては、特開平5−62383では均一化部材をイコライズするという手段で、繰り返し使用による感光体上のフィルミングを防止しようとしているが、現像剤の構成については開示されていなかった。
【0017】
重合トナーを用いた例としては、特開平5−19662には、一次重合粒子を何個か融着させて二次粒子としたものをトナーとしてを用いる技術が開示されており、また特開平4−296766においては、感光体露光光を透過する重合トナーを使用する技術が開示されている。また、特開平5−188637においては、体積平均径、個数平均径、トナー帯電量、トナー投影像の面積比、トナーBET比表面積などを規定したトナーを使用することなどが開示されているが、これらのトナーにおいて実用上の問題点を総て解決するには至らなかった。
【0018】
更にまた、トナーとキャリアからなる二成分系現像剤を用いる場合、現像器においては現像剤担持体上に適度に均一な現像剤層を形成するために、現像剤担持部材上に規制部材を配置した構成を取っているのであるが、このような規制部材を具備した現像器に直接重合法で得られたトナーとキャリアとからなる現像剤を用いた場合、粉砕法で得られたトナーとキャリアからなる現像剤と比較して極めて流動性が良いため、現像剤が現像剤担持体と規制部材間をすり抜ける現象が発生する場合がある。このため、現像剤粒子間の帯電量が不均一になり易く、かつ、現像剤担持体上に現像剤の均一なコーティングが得られない結果として地カブリや画像ムラのある不良画像が発生することがある。更に現像剤担持体表面が鏡面形状の場合には、周方向への搬送力不足のため現像剤担持体両端への現像剤の偏りが生じ、繰り返しの複写耐久で軸受け等に現像剤が入り込み現像剤の融着物が発生するため、転写時において転写不良を起こし易く、画像欠陥の原因となる。
【0019】
また、一般的に直接重合法により得られたトナーは、実質的に球形であるために現像器内でパッキングしやすく、場合によっては現像剤が現像器内の規制部材の下流部分に密に充填し、現像剤担持体へ強く押しつけられる結果、現像剤がスリーブ表面に融着する、いわゆるスリーブ汚染が発生する。スリーブ汚染は、画像濃度の低下、地カブリの原因となり好ましくない。特にワックスのような低軟化点物質を多量に含有する粉砕法トナーを用いた現像剤ではこの現象が顕著になる。
【0020】
特開昭63−247762号公報においては、パラフィン等の低軟化点物質を単量体に対し50〜3000質量部含有した直接重合法のトナーを現像剤に用い、現像剤担持体の表面粗さ(Rzmax値)に着目した出願がなされている。しかしながら、現像剤の現像剤担持体上への融着に関しては、繰り返しの複写耐久において初期には効果が認められたが、繰り返しの複写耐久後は、現像剤担持体上にトナー融着が認められた。また、スリーブ表面粗さ(Rzmax値)の規制だけでは、流動性の良い現像剤を安定して現像剤担持体上に搬送し続けることは困難であった。
【0021】
従って、上述したように、キャリア付着を防止しつつ、高画質化を計るために、種々の手法が試みられてはいるものの、特に上述した欠点を全て改善することができる手段は現在までのところ得られておらず、更に、現像同時クリーニングあるいは、クリーナーレスとよばれる技術で、長期耐久で感光体上にフィルミングを生じたり、トナーあるいはキャリアが劣化せずに実用上において十分な性能を有するものは得られていない。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】
したがって本発明の目的は、キャリア付着を防止し、高耐久性で、高画質なフルカラー複写画像を得る磁性キャリア及び磁性キャリアを含む二成分系現像剤を提供することにある。
【0023】
また、他の目的として、磁性体分散樹脂キャリアにおける磁性体の脱離を防止し、高耐久性で、高画質なフルカラー複写画像を得る磁性キャリア及び磁性キャリアを含む二成分系現像剤を提供することにある。
【0024】
また、他の目的として、現像剤の寿命を延ばし、多数枚の複写においても画像劣化のない現像剤を提供することにある。
【0025】
また、他の目的として、転写性が優れ、かつ繰り返し使用の耐久特性を改善し、感光体上にフィルミングを生じない現像剤を提供することにある。
【0026】
【課題を解決するための手段および作用】
本発明の前述した目的は少なくともバインダー樹脂及び磁性金属酸化物粒子を含有する磁性キャリア粒子において、
磁性キャリア粒子の個数平均粒径が5〜100μmであり、
磁性キャリア粒子の比抵抗が25〜500V印加時に、5.0×1013Ω・cm以上であり、
磁性キャリア粒子の真比重が3.0〜4.9g/cm3であり、
磁性キャリア粒子の10000エルステッドの磁場における飽和磁化が100emu/cm3以上であり、残留磁化が50emu/cm3以上であり、かつ保持力が300エルステッド以上であることを特徴とする磁性キャリアを用いることによって達成される。
【0027】
さらに、本発明の前述の目的は少なくともトナーと磁性キャリアを有する二成分系現像剤において、磁性キャリアは少なくともバインダー樹脂及び磁性金属酸化物粒子を含有する磁性キャリア粒子であり、
磁性キャリア粒子の個数平均粒径が5〜100μmであり、
磁性キャリア粒子の比抵抗が25〜500V印加時に、5.0×1013Ω・cm以上であり、
磁性キャリア粒子の真比重が3.0〜4.9g/cm3であり、
磁性キャリア粒子の10000エルステッドの磁場に測る飽和磁化が100emu/cm3以上であり、残留磁化が50emu/cm3以上であり、かつ保持力が300エルステッド以上であり、
トナーは重量平均粒径が1〜10μmであり、35%以下の個数分布の変動係数を有し、かつ形状係数SF−1が100〜130の範囲であり、かつ、全体又は一部が重合法により形成されており、かつ残存モノマーの含有量が1000ppm以下であるトナーを用いることによって達成される。
【0028】
以下に本発明の作用を詳細に説明する。
【0029】
本発明者らが詳細な検討を行なったところ、高画質化の観点からはキャリア粒径をできるだけ小さくすることが好ましいことを見いだした。すなわち、現像極(磁極の強さ約1000エルステッド)において、磁気ブラシの穂立ちを密にすることで、静電潜像に忠実な現像が可能となり、ドット再現性の良い画像が得られることがわかった。磁気ブラシの密度はキャリアの磁化の強さがに関係しており、キャリア粒子の磁気力を下げるにつれて磁気ブラシ密度が密になる。
【0030】
キャリアが同一組成であるならば、キャリア粒子の磁気力は粒径と関係しているため、キャリアの磁気力を下げていくと、次第にキャリア付着が生じる傾向にある。このような観点から、本発明では使用するキャリア粒径として、その個数平均粒径としては5〜10.0μmの範囲のものを使用することができ、さらにはキャリア磁化の強さが100emu/cm3以上のときに高画質、キャリア付着防止の観点からより好適で、また、キャリアの残留磁化の強さが50emu/cm3以上で、かつ保持力が300エルステッド以上となるような磁気特性を有するようにMO・6(Fe2O3)で表されるマグネトプランバイト構造を有するハードフェライト材料を選択した場合にキャリア付着を良好に防止できることが判明した。
【0031】
すなわち、キャリア付着のドライビングフォースは特に交番電界印加における接触現像方法において、現像バイアス印加時に現像スリーブからキャリアヘの電荷注入によるキャリアの帯電が支配的因子となっていると考えられる、従ってキャリア付着を防止する手段としてはキャリアの比抵抗を高め電荷注入を抑制することが挙げられる。上記に示したハードフェライト材料は磁性粒子としては比抵抗が高く、従って、キャリアコア材に用いた場合、電荷注入が起こりにくいキャリア比抵抗にすることが出来ることを見いだした。
【0032】
本発明で使用されるキャリア粒子の比抵抗は25〜500V印加時において、5.0×1013Ω・cm以上の抵抗を有することが必須である。50×1013Ω・cm未満の比抵抗では先述したようにキャリア付着防止の目的を達成できない場合がある。
【0033】
また、本発明の磁性キャリアは樹脂中に磁性の金属酸化物粒子を分散させた樹脂キャリアであるが、特に樹脂キャリアの場合のバインダー中の磁性体等の脱離を防止するためには熱硬化性の樹脂をバインダーとし、直接重合法によりキャリアコアを得ることが効果的であることがわかった。さらにバインダー中に分散する金属酸化物粒子の表面を親油化処現することで金属酸化物粒子の分散性が向上し、バインダー樹脂との密着性を高め、金属酸化物粒子の脱離を防止することがより良好になることもわかった。また、本発明の磁性キャリアは金属酸化物粒子とバインダー樹脂でコアを形成した後に、さらに表面に非磁性の金属酸化物粒子と樹脂からなる被覆層を設けることで高低抗化を可能にしている。すなわち比抵抗の高い非磁性金属酸化物粒子と樹脂とを用いてコアにコートを施すことで、被覆層の膜厚を厚く、かつ均一に形成できることによって高抵抗化を達成できる。ここでコア表面をコートする場合、非磁性の金属酸化物粒子は表面が上述した親油化処理してあることが好ましく、またコートの方法としては硬化性の樹脂をバインダーとして直接重合によるものが好ましい。
【0034】
尚、非磁性金属酸化物粒子のキャリア表面近傍への存在状態は磁性キャリアをミクロトームで切断し、断面を日立製作所製FE−SEM(S−800)を用いて5000倍から2万倍で表面観察することで確認した。
【0035】
本発明の磁性キャリアに用いることができる磁性金属酸化物粒子としては、MO・6(Fe2O3)で表される六方晶マグネトプランバイト構造を有するハードフェライト材料が好ましく、例えば、BaFe12O19、SrFe12O19、PbFe12O19であらわされるバリウムフェライト、ストロンチウムフェライト及び鉛フェライトなどを挙げることができる。また、キャリアとしての磁気特性や電気低抗等の調整のために、上記磁性金属酸化物粒子以外にも非磁性金属酸化物粒子を併用することが可能であり、例えば、Al2O3、SiO2、CaO、TiO2、V2O5、CrO2、MnO2、α−Fe2O3、CoO、NiO、CuO、ZnO、SrO、Y2O3、ZrO2等を挙げることができる。非磁性金属酸化物粒子を併用する場合には、比重や形状が類似している粒子を用いるのがバインダーとの密着性、キャリア強度を高めるためにより好ましい。本発明の磁性キャリアでは非磁性金属酸化物粒子としてヘマタイトを組み合せて用いていることが好ましい。
【0036】
上述した本発明の磁性キャリアの好ましい形態である磁性体分散型樹脂キャリアを製造する方法としては、直接的にモノマーと少なくとも磁性の金属酸化物粒子を混合、重合してキャリアを得る方法がある。このとき、重合に用いられるモノマーとしては、後述するビニル系モノマーの他にエポキシ樹脂の出発原料となるビスフェノール類とエピクロルヒドリン、フェノール樹脂のフェノール類とアルデヒド類、尿素樹脂の尿素とアルデヒド類、メラミンとアルデヒド類等が用いられる。例えば、硬化系フェノール樹脂を用いたキャリアの製造方法としては、水性媒体中でフェノール類とアルデヒド類を塩基性触媒の存在下で金属酸化物粒子、好ましくは親油化処理した金属酸化物粒子を入れ、重合して磁性キャリアを得る。
【0037】
上記の金属酸化物粒子を樹脂に分散してコアとする場合、磁性を示す金属酸化物粒子の個数平均粒径はキャリア粒径によっても変わるが、0.02〜2μmまでのものが好ましく用いることができる。また、2種以上の金属酸化物粒子を分散させて用いる場合、磁性を示す金属酸化物粒子の個数平均粒径は0.02〜2μmまでのものが用いることができ、他方の金属酸化物粒子の個数平均粒径は、0.05〜5μmのものが使用できる。この場合、磁性の金属酸化物粒子(粒径:ra)に対して他方の金属酸化物粒子(粒径:rb)の粒径比rb/raは1.0を超え5.0倍以下であることが好ましい。1.0倍以下であると比抵抗の低い磁性の金属酸化物粒子が表面に出やすくなり、後述するがキャリアコアの抵抗を十分に上げることができず、本発明のキャリア付着を防止する効果が得られにくくなる。また、5.0倍を超えると樹脂中への金属酸化物粒子の取り込みがうまくいかなくなり、キャリアの強度が低下し、金属酸化物粒子の脱離を引き起こしやすくなる。本発明で使用する金属酸化物粒子の粒径測定方法については後述する。
【0038】
本発明の磁性キャリアのコア中に含有される金属酸化物粒子の量は、50質量%〜99質量%である。金属酸化物粒子の量が50質量%未満であると帯電性が不安定になり、特に低温低湿環境下においてキャリアが帯電し、その残留電荷が残存しやすくなるために微粉トナーや外添削等がキャリア表面に付着しやすくなる。また、99質量%を超えるとキャリア強度が低下して、耐久によるキャリアの割れ、金属酸化物粒子の脱離などの問題を生じやすくなる。
【0039】
さらに本発明の磁性キャリアでは、例えば、コア中に非磁性の金属酸化物粒子と磁性の金属酸化物粒子を組み合わせるて用いるなど、2種以上の金属酸化物粒子を分散させることも可能である。この場合、コア中に含有される金属酸化物粒子全体に占める磁性を有する金属酸化物粒子の含有量が30質量%〜100質量%である。30質量%未満であるとコアの高抵抗化は良好になる半面、キャリアとしての磁気力が小さくなり、キャリア付着を招く場合がある。
【0040】
更に、本発明の磁性キャリアに使用される金属酸化物粒子は親油化処理されていることが好ましい、これはキャリアから金属酸化物粒子の脱離を防止でき、またキャリア製造上においても、親油化処理された金属酸化物粒子をバインダー樹脂中に分散させ、コア粒子を形成する場合、均一でかつ高密度でバインダー樹脂申に取り込ませることが可能となる。特に、重合法でコア粒子を形成する場合は球形で表面が平滑な粒子を得る上で重要である。
【0041】
親油化処理はシラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウムカップリング剤等のカップリング剤や種々の界面活性剤で表面処理することが好ましい。
【0042】
特にシラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤等のカップリング剤あるいは界面活性剤群の中から選ばれる1種以上のもので表面処理することが好ましい。
【0043】
シラン系カップリング剤としては、疎水性基、アミノ基あるいはエポキシ基を有するものを用いることができる。疎水性基をもつシラン系カップリング剤として例えば、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシ)シラン等を挙げることができる。アミノ基をもつシラン系カップリング剤としては、γ−アミノプロピルエトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。エポキシ基をもつシラン系カップリング剤としては、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)トリメトキシシラン等が挙げられる。
【0044】
チタン系カップリング剤としては、例えば、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリドデシルビンゼンスルホニルチタネート、イソプロペルトリス(ジオクチルピロホスフェート)チタネート等を挙げることができる。
【0045】
界面活性剤としては、市販の界面活性剤を使用することができる。
【0046】
本発明の磁性キャリアに用いられるバインダー樹脂としては、ビニル系モノマーを重合して得られる全ての樹脂が挙げられる。ここで言うビニル系モノマーとしては例えば、スチレン、O−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン、m−ニトロスチレン、O−ニトロスチレン、p−ニトロスチレン等のスチレン誘導体と、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレンなどのエチレン及び不飽和モノオレフィン類;ブタジエン、イソプレンなどの不飽和ジオレフィン類、塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、フッ化ビニル等のハロゲン化ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル等のビニルエステル類;メタクリル酸及びメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル等のα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;アクリル酸及びアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニル等のアクリル酸エステル類;マレン酸、マレイン酸ハーフエステル;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類、N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドン等のN−ビニル化合物;ビニルナフタリン類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等のアクリル酸若しくはメタクリル酸誘導体;アクロレイン類などが挙げられ、これらの中から1種又は2種以上使用して重合させたものが用いられる。
【0047】
また、ビニル系モノマーから重合して得られる樹脂以外にポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂などの非ビニル縮合系樹脂あるいはこれらと前記ビニル系樹脂との混合物を用いることができる。
【0048】
その他、本発明の磁性キャリアのコアを製造する方法としては、ビニル系、非ビニル系の熱可塑成樹脂、金属酸化物粒子、その他硬化剤等の添加剤を混合機により十分に混合してから加熱ロール、ニーダー、エクストルーダー等の混練機を用いて溶融、混練して、これを冷却後、粉砕分級を行なってキャリアコアを得ることができる。この際、得られた金属酸化物粒子を含有した樹脂粒子を熱あるいは機械的に球形化してコアとして用いることが好ましい。
【0049】
特に好ましく本発明の磁性キャリアのコアを製造する方法としては、キャリアコアの強度をアップさせたり、コート樹脂をより良好にコートするためにバインダーを架橋させて用いるのが好ましい。例えば、溶融混練時に架橋成分を添加し混練時に架橋させる、あるいは直接重合時に硬化型樹脂を選択し直接重合させてコアを得る、あるいは架橋成分を入れたモノマーを使用する等の方法を挙げることができる。
【0050】
本発明の磁性キャリアはコートして用いることが好ましい。コートする方法としてはキャリアコア材を浮遊流動させながらコート樹脂溶液をスプレーしコア材表面にコート膜性樹脂をバインダー樹脂としてキャリアコア材に用いているコア材にコートする場合に好適である。
【0051】
またその他のコート方法として、剪断応力を加えながらコート樹脂溶液の溶媒を徐々に揮発させながら被膜を形成させるなどの他のコート方法によっても本発明の樹脂コートキャリアを製造することができる。
【0052】
本発明に使用できるコート樹脂としては、絶縁性樹脂を使用することができる。ここで、使用される絶縁性樹脂としては熱可塑性の樹脂であっても熱硬化性樹脂であっても使用でき、具体的には例えば熱可塑性の樹脂としてはポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、スチレン−アクリル酸共重合体等のアクリル樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル、酢酸ビニル、ポリフッ化ビニリデン樹脂、フルオロカーボン樹脂、パーフロロカーボン樹脂、溶剤可溶性パーフロロカーボン樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリビニルピロリドン、石油樹脂、セルロース、酢酸セルロース、硝酸セルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース誘導体、ノボラック樹脂、低分子量ポリエチレン、飽和アルキルポリエステル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアクリレートといった芳香族ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルケトン樹脂を挙げることができる。
【0053】
またかかる硬化性樹脂としては、具体的には例えば、フェノール樹脂、変性フェノール樹脂、マレイン樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、具体的には例えば無水マレイン酸−テレフタル酸−多価アルコールの重縮合によって得られる不飽和ポリエステル、尿素樹脂、メラミン樹脂、尿素−メラミン樹脂、キシレン樹脂、トルエン樹脂、グアナミン樹脂、メラミン−グアテミン樹脂、アセトグアナミン樹脂、グリプタール樹脂、フラン樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリウレタン樹脂等を挙げることができる。上述した樹脂は、単独でも使用できるがそれぞれ混合して使用しても良い。また、熱可塑性樹脂に硬化剤などを混合し硬化させて使用することもできる。
【0054】
本発明においては、特にシリコーン樹脂をコートするのが好ましい。これはキャリア同士が合一せずに均一に膜形成ができ、長期の使用においてもコート層がコア材から剥がれることなく耐久性の優れたキャリアとすることができるからであり、またシリコーン樹脂は低表面エネルギーであるため、トナーと混合して現像剤とした場合に、キャリア表面へのトナー組成物のスペントを防止でき、安定してトナーに摩擦帯電電荷を付与できることによることによる。シリコーン樹脂をコートする場合は、被膜強度をより高めるためにキュアを施すことが好ましい。具体的には150℃以上の温度で0.5時間以上保持することが好ましい。
【0055】
また、コート量はキャリアコア粒子100質量部に対し、0.05〜10質量部であることが好ましい。さらには0.2質量%〜5質量%の範囲であることが最も好適である。コート量が0.05質量%未満ではキャリアコア材を十分にコートすることが困難となり、耐久後にトナースペントを十分抑制することができない。また、10質量%を超えると、樹脂コート量が多すぎるため比抵抗は所望の範囲とすることができるが流動性が低下したり、かえって電荷が蓄積することによるキャリア付着を生じたりする場合がある。
【0056】
尚、本発明の磁性キャリアの粒径測定方法については後述する。キャリアの磁気特性の測定は、理研電子(株)製の振動磁場型磁気特性自動記録装置BHV−30を用いて行った。測定条件の具体例は後述する。
【0057】
ところで、画質の向上はキャリアの改良のみでは難しく、トナーを改良することも重要である。すなわち、二成分系現像剤においてはキャリアは現像において重要であるが、それ以降の電子写真プロセスである転写、定着過程を経て、最終画像の画質ならびにカブリ等の画像品質に対してはトナーの影響が非常に大きい。本発明の二成分系現像剤においてはトナーを改良することで画像品質を向上することができた。
【0058】
すなわち、本発明に用いられるトナーは、重量平均粒径が1〜10μm、好ましくは3〜8μmの範囲であることが好適である。また、35%以下の個数分布の変動係数を有していることが反転成分のない良好な帯電付与、潜像ドットの再現性等を満足させるために必須である。
【0059】
トナー重量平均粒径が10μmを超えると、潜像を現像する粒子1個が大きくなるためにいくらキャリアの磁気力を下げても潜像に忠実な現像が行えず、また、静電的な転写を行うとトナーの飛び散りが激しくなる。また、1μm以下の粒径では粉体としてのハンドリング性に不都合を生じる。
【0060】
また、35%以下の個数分布の変動係数を超えると微粉トナーへのトナー帯電付与が良好に行えず、トナートリボ分布が広くなり、帯電不良(反転成分生成)や現像したトナーの粒径偏在化により耐久での粒径変化等の問題を生じてしまったり、キャリアとの摩擦帯電が良好に行えなくなるのに加え、潜像を忠実に再現できなくなる。本発明に用いる粒度分布の測定には、例えばレーザー走査型のCIS100(GLAI社製)を使用する方法を挙げることができる。
【0061】
具体的測定法については後述する。
【0062】
更にまた、本発明に用いられるトナーは形状係数SF−1が100〜130の範囲であり、全体、または一部が重合法で形成されており、かつ残存モノマー含有量が1000ppm以下であることが必要である。すなわち、本発明においてトナーは電子写真プロセス、特に現像同時クリーニング方法、クリーナレス画像形成方法等のクリーナーレスプロセスを用いたシステムにおいて有効である。すなわち、クリーナーレスプロセスのその原理は、電子写真各工程における感光体上のトナーの帯電極性及び帯電量を制御することと、反転現像方法を用いることが重要である。
【0063】
例を挙げて説明すると、マイナス帯電性の感光体及びマイナス帯電性のトナーを用いた場合、その転写工程において、プラス極性の転写部材によって可視化された像を転写材に転写することになるが、転写材の種類(厚み、抵抗、誘電率等の違い)と画像面積等の関係により、転写残余のトナーの帯電極性がプラスからマイナスまで変動する。しかし、マイナス帯電性の感光体を帯電する際のマイナス極性の帯電部材により、感光体表面と共に転写残余のトナーまでもが、転写工程においてプラス極性に振れていたとしても、一様にマイナス側へ帯電極性を揃えることが出来る。これゆえ、現像方法として反転現像を用いた場合、トナーの現像されるべき明部電位部にはマイナスに帯電された、転写残余のトナーが残り、トナーの現像されるべきでない暗部電位には、現像電界の関係上、トナー担持体の方に引き寄せられ、暗部電位をもつ感光体上にトナーは残留しない。
【0064】
このように、転写残余のトナーの帯電極性を制御することにより、現像同時クリーニング、クリーナレス画像形成方法が成立するわけであるが、このトナーの帯電極性を制御する工程において、感光体帯電部材によりトナーあるいは現像剤の劣化が促進されており、画質の劣化を引き起こしていることが判明した。
【0065】
その劣化の詳細であるが、例えば、コロナ帯電器を感光体帯電部材として用いた場合、先ず、コロナ帯電線により発生した電離イオンが感光体表面に導かれ、感光体表面に付着することにより表面に電位をもつ。このとき、感光体上にトナーが存在すれば、このコロナシャワーに晒されることにより、トナーも同時に感光体帯電極性と同極性に帯電される。これら電離イオンは化学的活性が非常に高いと考えられ、転写残余のトナーについてコロナシャワー、又は放電の影響をみると、感光体帯電部材を通過するトナーが帯電極性制御される際、化学的影響を受けて耐久特性、画像品質特性等に悪影響を与えていることが判明した。
【0066】
従来は、ブレード又は、ファーブラシなどのクリーニング部材により、転写残余のトナーが感光体上からクリーニングされており、感光体帯電の影響がトナーあるいは、現像剤に及ぶことはなかったものと考えられる。このため、感光体上に存在するトナーの帯電による化学的影響を考慮にいれた検討は行われていなかった。しかし、現像同時クリーニング、クリーナレス画像形成方法においては、感光帯電部材の影響を受けたトナーが現像器に回収、再利用されるため、これらの化学的影響を考慮にいれる必要性があることが判明した。
【0067】
本発明者らは、様々なトナーについて鋭意検討を行い、現像同時クリーニング、クリーナレス画像形成方法においては、トナー中に含まれる残存モノマーの含有量とこれら耐久特性、画像品質特性に密接なつながりのあることを見い出した。すなわち、残存モノマーによる作用は、以下のようなものと考えられる。例えば、結着樹脂、着色剤、帯電制御剤を主たる成分とするトナーの場合、残存モノマーは、トナー中に存在し、トナーのガラス転移点あるいはガラス転移点周辺の熱的挙動に影響を与える。モノマーは低分子量成分であるためにトナー全体を可塑化する方向に働く。一方、放電又はコロナシャワーに晒されたトナーについては、その活性種により、結着樹脂が影響を受ける。例えば、樹脂中の分子鎖が切断されることで樹脂分解物が生成し、低分子量分を生じたり、あるいは、逆に樹脂分解物が更に重合反応を促進していくなどが考えられる。一方、トナー中の残存モノマーは、感光体帯電部材により発生する活性種により、活性化するものと考えられる。
【0068】
このように、トナー中にはこれらに起因する反応性低分子量分が存在するため、これらが拮抗あるいは競合するものと考えられる。又、トナー中に含まれる荷電制御剤も比較的電子の授受に富む化合物であり、明瞭な原因の総ては掴みきれてはいないが、残存モノマーが存在することで、トナー中の反応性低分子量分の拮抗、競合の関係が変化することが示唆される。つまり、残存モノマーの影響でトナー表面の特性が徐々に変化することにより、トナーの流動性、帯電性が変化し、耐久により画像濃度の変化、カブリの発生、フィルミング等の問題が生じる。
【0069】
トナー中の残存モノマー含有量という観点から現象を解析すると、1000ppmよりも少なければ、耐久特性上の性能が良好であり、1000ppmを超える範囲のトナーを用いると、耐久特性及び画像特性の点で実用上不十分である。望ましくは、残存モノマー量が、500ppm以下であると、耐久特性、画像品質特性が良好となり、300ppm以下であると更に良好な結果が得られる。本発明に供せられるトナー中の残存モノマーの定量方法については後述する。
【0070】
また、本発明においては、トナーの形状係数SF−1が100〜130であるものが好適に用いられる。さらに好ましくは、SF−1が100〜120である。本発明に用いられる形状係数を示すSF−1は、日立製作所製FE−SEM(S−800)を用いトナー像を100個無作為にサンプリングし、その画像情報はインターフェースを介してニレコ社製画像解析装置(LUSEX3)に導入し解析を行い下式より算出し得られた値を本発明においては形状係数SF−1と定義した。
【0071】
【数1】
【0072】
トナーの形状係数SF−1は球形度合を示し、130より大きいと、球形から徐々に不定形となる。トナー形状の作用効果としては、できるだけ、トナー表面に対する感光体帯電部材の影響を低め、トナー中に反応性低分子量成分の生成を抑さえることである。すなわち、トナー表面積のなるべく小さい球形が好ましい。
【0073】
トナーの一部又は、全体が重合法により形成されたトナーを用いることにより発明の効果を高めることが出来る。特に、トナー表面部分を重合法により形成されたトナーについては、分散媒中にプレトナー(モノマー組成物)粒子として存在させ、必要な部分を重合反応により生成するため、表面性については、かなり平滑化されたものを得ることが出来る。この平滑さの作用効果は、電界がいわゆる尖った部分に集中する傾向があることに集約される。
【0074】
すなわち、感光体帯電工程を経たトナーについては、いわゆる凸凹のあるトナーについては、凸部分にコロナシャワーあるいは放電が集中しその部分を特異的に劣化する特性をもつのに対し、平滑であればコロナシャワーあるいは放電の集中するところがないので劣化しにくいと考えられる。
【0075】
SF−1が130を超えると、カブリが増えたり、耐久性が若干劣る場合がある。
【0076】
さらには、トナーにコア/シェル構造をもたせ、シェル部分を重合により形成されたようなトナーを用いることで、本発明に用いられるトナーをさらに容易に製造することが出来る。この意味で、本発明には、コア/シェル構造を有するトナーが好ましく用いられる。コア/シェル構造の作用は、トナーの優れた定着性を損なうことなく耐ブロッキング性を付与できることは言うまでもなく、コアを有しないようなバルクとしての重合トナーに比較して、シェル部分のみを重合するほうが、重合工程の後の後処理工程において、残存モノマーの除去が容易に行われるからである。
【0077】
また、コア部の主たる成分としては低軟化点物質が好ましく、ASTM D3418−8に準拠し測定された主体極大ピーク値が、40〜90℃を示す化合物が好ましい。極大ピークが40℃未満であると低軟化点物質の自己凝集力が弱くなり、結果として高温オフセット性が弱くなり好ましくない。一方、極大ピークが、90℃を超えると定着温度が高くなり、好ましくない。更に直接重合方法によりトナーを得る場合においては、水系で造粒・重合を行うため極大ピーク値の温度が高いと主に造粒中に低軟化点物質が析出してきて懸濁系を阻害するため好ましくない。
【0078】
本発明の極大ピーク値の温度の測定には、例えばパーキンエレマー社製DSC−7を用いる。装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。サンプルはアルミニウム製パンを用い対照用に空パンをセットし、昇温速度10℃/min.で測定を行なった。
【0079】
具体的にはパラフィンワックス,ポリオレフィンワックス,フィッシャートロピッシュワックス,アミドワックス,高級脂肪酸,エステルワックス及びこれらの誘導体又はこれらのグラフト/ブロック化合物等が利用できる。
【0080】
また、低軟化点物質はトナー中へ5〜30質量%添加することが好ましい。仮に5質量%未満の添加では先に述べた残存モノマーの除去に負担がかかり、又30質量%を超える場合は、重合法による製造においても造粒時にトナー粒子同士の合一が起きやすく、粒度分布の広いものが生成しやすく、本発明には不適当であった。
【0081】
本発明に使用されるトナーの結着剤樹脂としては、具体的には例えばポリスチレン、ポリ−P−クロルスチレン、ポリビニルトルエンと言ったスチレンおよびその誘導体から得られる高分子化合物、スチレン−P−クロルスチレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体、ポリ塩化ビニル、フェノール樹脂、変性フェノール樹脂、マレイン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル、シリコーン樹脂、脂肪族多価アルコール、脂肪族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、芳香族ジアルコール類、ジフェノール類から選択される単量体を構造単位として有するポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール、テルペン樹脂、クマロンインデン樹脂、石油樹脂、架橋したスチレン系樹脂および架橋したポリエステル樹脂等を挙げることができる。
【0082】
スチレン−アクリル系共重合体に使用される重合可能な単量体としては具体的に例えば、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸2エチルヘキシル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸オクチル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドと言ったエチレン性2重結合を有するアクリル酸エステル類、例えばマレイン酸、マレイン酸ブチル、と言ったマレイン酸のハーフエステル、およびジエステル類、酢酸ビニル、塩化ビニル、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテル、ビニルブチルエーテルと言ったビニルエステル類、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルヘキシルケトンと言ったビニルケトン類を挙げることができる。
【0083】
上述した架橋剤としは、主として不飽和結合を2個以上有する化合物を挙げることができ、具体的には例えばジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン等の芳香族ジビニル化合物、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレートと言った不飽和結合を2個有するカルボン酸エステル、ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルスルフィド、ジビニルスルホン等のジビニル化合物、および不飽和結合を3個以上有する化合物を単独若しくは混合して使用することができる。上述の架橋剤は、結剤着樹脂に対して、0.01から10質量%、好ましくは0.05から5質量%で使用するのが好適である。
【0084】
加圧定着方式を用いる場合には、圧力定着トナー用結剤着樹脂を使用することが可能であり、具体的には例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチレン、ポリウレタンエラストマー、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、線状飽和ポリエステル、パラフィンおよび他のワックス類を挙げることができる。
【0085】
本発明に使用されるトナーには、荷電制御剤をトナーに配合して使用することもできる。荷電制御剤の添加によって現像システムに応じた最適の帯電量とすることができる。かかる正荷電制御剤としてはニグロシン、及び脂肪酸金属塩誘導体、トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4ナフトスルホン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフロロボレートと言った4級アンモニウム塩、ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド、ジシクロヘキシルスシオキサイドと言った、ジオルガノスズオキサイド、ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズボレート、ジシクロヘキシルスズボレートを単独であるいは2種以上組み合わせて用いることができる。上述した荷電制御剤のうち特に、ニグロシン系、4級アンモニウム塩と言った荷電制御剤が好適である。
【0086】
また、本発明では負荷電制御剤を使用することもでき、具体的には例えば、有機金属錯体、キレート化合物が有効であり、アルミニウムアセチルアセトナート、鉄(II)アセチルアセトナート、3,5−ジターシャルブチルサリチル酸クロムを挙げることができる。特にアセチルアセトンの金属錯体(モノアルキル置換体、ジアルキル置換体を包含する)、サリチル酸系金属錯体(モノアルキル置換体、ジアルキル置換体を包含する)、またはそれらの塩が好ましく、特にはサリチル酸系金属塩が好適である。上述の荷電制御剤はトナーに添加する際には、結着剤樹脂に対して0.1〜20質量部、より好ましくは0.2〜10質量部で使用されることが好適である。特にカラー画像形成に使用される場合には無色若しくは淡色の荷電制御剤を使用することが好ましい。
【0087】
本発明で使用されるトナーに添加することができる着色剤としては、従来知られている染料及び顔料を使用することができ、具体的には例えばカーボンブラック、マグネタイト、フタロシアニンブルー、ピーコックブルー、パーマネントレッド、レーキレッド、ローダミンレーキ、ハンザイエロー、パーマネントイエロー、ベンジジンイエロー等を使用することができる。その際の添加料としては、結着剤樹脂に対して0.1〜20質量%好ましくは0.5〜20質量部、さらにはトナー像の好適なOHPフイルムの透過性を考慮すると12質量%以下の範囲で使用されるのが好ましく、通常0.5〜9質量%であるのが最も好適である。
【0088】
本発明のトナーにはさらに熱ロール定着時の離型性を向上させる目的でポリエチレン、ポリプロピレン、マイクロクリスタリングワックス、カルナバワックス、サゾールワックス、パラフィンワックスなどのワックス成分を添加することもできる。
【0089】
本発明に使用されるトナーにはシリカ、アルミナ、酸化チタン、ポリテトラフロロエチレン、ポリビニリデンフロライド、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、シリコーンと言った微粉末を添加することが好適である。トナーに対して上述した微粉末を添加することによって、トナーとキャリア、あるいはトナー相互の間に微粉末が存在することになり、現像剤の流動性が向上され、さらに現像剤の寿命も向上されることになる。上述した微粉末の平均粒径は0.2μm以下であることが好ましい。平均粒径が0.2μmを超えると流動性向上の効果がなくなり、トナー現像、転写時の不良等により画質を低下させてしまう場合がある。これら微粉末の平均粒径の測定は後述する。
【0090】
また、これら微粉末の表面積としては、BET法による窒素吸着によった比表面積が30m/g以上、特に50〜400m2/gの範囲のものが良好である。かかる微粉末の添加量は、トナー粒径に合わせてトナー100質量%に対して0.1〜20質量%で使用することが好適である。
【0091】
本発明に用いられるトナーを粉砕法で製造する方法は、ビニル系、非ビニル系の熱可塑成樹脂、着色剤、荷電制御剤、その他の添加剤を混合機により十分に混合してから加熱ロール、ニーダー、エクストルーダーと言った混練機を用いて溶融、混練して樹脂類を十分に混合して、その中に顔料、若しくは染料を分散させる。これを冷却後、粉砕分級を行なってトナー粒子を得ることができる。本発明におけるトナーの分級方法として好ましくは、慣性力を利用した多分割分級装置を用いる。この装置を用いることにより、本発明の粒度分布を有するトナーを効率的に製造できる。
【0092】
発明に用いられるトナーの製造方法に直接重合方法を用いる場合は、具体的には以下のようにして製造することが可能である。
【0093】
単量体中に低軟化物質から在る離型剤,着色剤,荷電制御剤,重合開始剤その他の添加剤を加え、ホモジナイサー・超音波分散機等によって均一に溶解又は分散せしめた単量体組成物を、分散安定剤を含有する水相中に通常の撹拌機またはホモミキサー,ホモジナイサー等により分散せしめる。好ましくは単量体組成物からなる液滴が所望のトナー粒子のサイズを有するように撹拌速度・時間を調整し、造粒する。その後は分散安定剤の作用により、粒子状態が維持され、且つ粒子の沈降が防止される程度の撹拌を行えば良い。
【0094】
重合温度は40℃以上、一般的には50〜90℃の温度に設定して重合を行う。また、重合反応後半に昇温しても良く、更に、耐久特性向上の目的で、未反応の重合性単量体、副生成物等を除去するために反応後半、又は、反応終了後に一部水系媒体を留去しても良い。反応終了後、生成したトナー粒子を洗浄・ろ過により回収し、乾燥する。懸濁重合法においては、通常単量体系100質量部に対して水300〜3000質量部を分散媒として使用するのが好ましい。得られたトナーは分級して粒度分布を制御しても良く、その方法として好ましくは、慣性力を利用した多分割分級装置を用いる。この装置を用いることにより、本発明の粒度分布を有するトナーを効率的に製造できる。
【0095】
また、トナー中に低軟化点物質を内包化せしめる具体的方法としては、水系媒体中での材料の極性を主要単量体より低軟化点物質の方を小さく設定し、更に少量の極性の大きな樹脂又は単量体を添加せしめることで低軟化点物質を外殻樹脂で被覆したいわゆるコア/シェル構造を有するトナーを得ることができる。トナーの粒度分布制御や粒径の制御は、難水溶性の無機塩や保護コロイド作用をする分散剤の種類や添加量を変える方法や機械的装置条件例えばローターの周速・パス回数・撹拌羽根形状等の撹拌条件や容器形状又は、水溶液中での固形分濃度等を制御することにより可能となる。
【0096】
本発明に用いられるトナーの外殻樹脂としては、一般的に用いられているスチレン−(メタ)アクリル共重合体,ポリエステル樹脂,エポキシ樹脂,スチレン−ブタジエン共重合体を利用する事が出来る。重合法による直接トナーを得る方法においては、それらの単量体が好ましく用いられる。外殻樹脂成分の数平均分子(Mn)は、5000〜1000000が好ましく、また重量平均分子量(Mw)と数平均分子鐙(Mn)の比(Mw/Mn)は、2〜100が好ましい。
【0097】
外殻樹脂の分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定される。具体的なGPCの測定方法としては、予めトナーをソックスレー抽出器を用いトルエン溶剤で20時間抽出を行った後、ロータリーエバポレーターでトルエンを留去せしめ、更に低軟化点物質は溶解するがシェル用樹脂は溶解し得ない有機溶剤、例えばクロロホルム等を加え十分洗浄を行った後、THF(テトラヒドロフラン)に可溶した溶液をポア径が0.3μmの耐溶剤性メンブランフィルターでろ過したサンプルをウォーターズ社製150Cを用い、カラム構成は昭和電工製A−801、802、803、804、805、806、807を連結し標準ポリスチレン樹脂の検量線を用い分子量分布を測定し得る。
【0098】
本発明において用いられるトナーがコア/シェル構造を有する場合、その製造方法としては、外殻樹脂で低軟化点物質を内包化せしめるため外殻樹脂の他に更に極性樹脂を添加せしめることが特に好ましい。本発明に用いられる極性樹脂としては、スチレンと(メタ)アクリル酸の共重合体,マレイン酸共重合体,飽和ポリエステル樹脂,エポキシ樹脂が好ましく用いられる。該極性樹脂は、シェル樹脂又は単最体と反応しうる不飽和基を分子量に含まないものが特に好ましい。仮に不飽和基を有する極性樹脂を含む場合においてはシェル樹脂層を形成する単錯体と架橋反応が起き、特に、フルカラー用トナーとしては、極めて高分子量になり四色トナーの混色には不利となり好ましくない。
【0099】
また、本発明においては、外殻構造を有するトナーの表面にさらに重ねて重合法により最外殻樹脂層を設けても良い。
【0100】
上述の最外殻樹脂腰のガラス転移温度は、耐ブロッキング性のさらなる向上のため外殻樹脂層のガラス転移温度以上に設計されること、さらに定着性を損なわない程度に架橋されていることが好ましい。また、該外殻樹脂層には帯電性向上のため極性樹脂や荷電制御剤が含有されていることが好ましい。
【0101】
本発明に用いられるトナーに外添剤として微粉末を処理する場合は、ヘンシェルミキサー等の混合機を使用して行うことができる。このようにして得られたトナーは本発明のキャリア粒子と混合されて二成分現像剤とされる。上述の二成分現像剤を形成する場合、現像プロセスにも依存するが典型的には現像剤中のトナーの割合が1〜20質量%、より好ましくは1〜10質量%の範囲であることが好適である。またかかる二成分現像剤の摩擦帯電量としては5〜100μC/gの範囲であることが好適であり、最も好ましくは5〜60μC/gである。なお本発明で使用した摩擦帯電量の測定条件については後述する。
【0102】
以下に本発明で使用する種々の測定方法を記載する。
【0103】
本発明で使用したキャリア粒径の測定方法を記載する。本発明のキャリアの粒径は、走査電子顕微鏡(100〜5000倍)によりランダムに粒径0.1μm以上のキャリア粒子300個以上抽出し、ニレコ社(株)製の画像処理解析装置Luzex3により水平方向フェレ径をもってキャリア粒径として測定し、個数平均粒径を算出するものとする。
【0104】
本発明で使用するキャリアの磁気特性は理研電子(株)製の振動磁場型磁気特性自動記録装置BHV−30を用いて測定する。キャリア粉体の磁気特性値は1キロエルステッドの外部磁場を作り、そのときの磁化の強さを求める。キャリアは円筒状のプラスチック容器に十分密になるようにパッキングした状態に作製する。この状態で磁化モーメントを測定し、試料を入れたときの実際の重量を測定して、磁化の強さを求める。(emu/g)ついで、キャリア粒子の真比重を乾式自動密度計アキュピック1330(島津製作所(株)社製)により求め、磁化の強さ(emu/g)に真比重を掛けることで本発明の単位体積あたりの磁化の強さ(emu/cm3)を求める。
【0105】
本発明の磁性キャリアの比抵抗の測定はハイレジスタンスメーター4329A(横河ヒューレットパッカード製)で測定した値を示した。
【0106】
また、本発明で使用する金属酸化物粒子の粒径測定方法を以下に記載する。本発明の金属酸化物粒子の個数平均粒径は、日立製作所(株)社製透過型電子顕微鏡H−800により5000〜20000倍に拡大した写真画像を用い、ランダムに粒径0.01μm以上の粒子を300個以上抽出し、ニレコ社(株)製の画像処理解析装置Luzex3により水平方向フェレ径をもって金属酸化物粒子粒径として測定し、平均か処理して個数平均粒径を算出するものとする。
【0107】
以下に、本発明で使用するトナー粒径測定の具体例を示す。純水100〜150mlに界面活性剤(アルキルベンゼンスルホン酸塩)を0.1〜5ml添加し、これに測定試料を2〜20mg添加する。試料を懸濁した電解液を超音波分散器で1〜3分間分散処理して、レーザースキャン粒度分布アナライザーCIS−100(GALAI社製)を用いて粒度分布等を測定する。本発明では0.5μm〜60μmの粒子を測定して、この条件で測定した個数平均粒径、標準偏差をコンピュータ処理により求め、更に個数分布の変動係数を計算によりを求める。
【0108】
本発明に用いられるトナー中の残存モノマーの定量方法については、トナー0.2gをTHF4mlに溶解し、ガスクロマトグラフィーにて以下の条件で内部標準法により測定した。
【0109】
【0110】
トナーの摩擦帯電量の測定方法を記載する。ポリビンにトナーとキャリアをトナー重量が5質量%となるように混合し、ヤヨイ式振とう機で120秒間混合する。この混合粉体(現像剤)を底部に635メッシュの導電性スクリーンを装着した金属製の容器にいれ、吸引機で吸引し、エレクトロメーターに表示された値と容器内の重量変化から摩擦帯電量を求める。この際、吸引圧を250mmHgとする。この方法によって、トナーの摩擦帯電量Qを下記式を用いて算出する。
Q(mC/kg)=Q’/(W1−W2)
(式中W1は吸引前の重量でありW2は吸引後の重量であり、Q’はエレクトロメーターに表示された値である。)
【0111】
以下に本発明を実施例をもって具体的に説明するが、本発明は実施例によって制限されるものではない。
【0112】
[実施例]
<磁性キャリア製造例>
(磁性キャリアA)
・フェノール 10質量部
・ホルムアルデヒド溶液 6質量部
(ホルムアルデヒド40%、メタノール10%、水50%)
・親油化処理したバリウムフェライト 100質量部
上記材料と、28%アンモニア水、水をフラスコに入れ、撹拌、混合しながら40分間で85℃まで昇温・保持し、3時間反応・硬化させた。その後、30℃まで冷却し、さらに水を添加した後、上澄み液を除去し、沈殿物を水洗し、風乾した。次いで、これを減圧下(5mmHg以下)で180℃で乾燥して、球状のキャリアコア粒子(a)を得た。
【0113】
次いで上記で得られたキャリアコア粒子(a)100質量部、フェノール0.5質量部、ホルマリン溶液0.75部、親油化処理α−Fe2O3 2質量部、28質量%のアンモニア水0.2質量部、及び水50質量部をフラスコにいれ、撹拌、混合しながら40分間で85℃まで昇温、保持し、3時間反応・硬化させた。その後、30℃まで冷却し、50質量部の水を添加した後、上澄み液を除去し、水洗し、風乾した。次いで減圧下(5mmHg以下)に170℃で乾燥して、表面をフェノール樹脂でコートしたキャリアコア粒子(b)を得た。また、このキャリアコア粒子の切断面をFE−SEM観察したところ、粒子表面近傍に樹脂とα−Fe2O3からなるコート層が形成されていることが判明した。
【0114】
上記で用いたバリウムフェライト粉(個数平均粒径0.25μm)及びα−Fe2O3(個数平均粒径0.60μm)はそれぞれ、0.5質量%のシラン系カップリング剤[3−(2−アミノエチルアミノプロピル)ジメトキシシラン]を加え、容器内で100℃以上で、高速混合撹拌して金属酸化物粒子の親油化処理を行った。
【0115】
更に、上記で得られたキャリアコア粒子(b)の表面に、以下の方法で熱硬化性のシリコーン樹脂をコートした。キャリアコア粒子(b)の表面のコート樹脂量が0.5質量%になるように、トルエンを溶媒として10質量%のキャリアコード溶液を作製した。次にキャリアコア粒子(b)に剪断応力を連続して加えながらコート溶液を滴下した後、溶媒を揮発させて、キャリアコア表面へのコートを行った。このコート磁性キャリア粒子を160℃で2時間熱処理した後、放冷する。次に凝集したキャリアを解砕し、更に200メッシュの節で分級して、磁性キャリア(A)を得た。
【0116】
得られた磁性キャリア粒子の個数平均粒径は36.5μmであった。また、キャリアの切断面をFE−SEM観察したところ、粒子表面近傍に樹脂とFe2O3からなるコート層とさらにその上にシリコーン樹脂層が形成されていることが判明した。
【0117】
得られた磁性キャリア粒子(A)を10キロエルステッドの磁場中で磁化したのち、磁気特性を測定した。10キロエルステッドにおける飽和磁化は175emu/cm3であり、残留磁化は110emu/cm3、保持力2650エルステッドであった。磁性キャリア粒子の真比重は3.7g/cm3であった。磁性キャリア粒子の比抵抗は、25V印加時には3.6×1016Ω・cm,100V印加時には7.5×1015Ω・cm,500V印加時には9.2×1014Ω・cmであった。
【0118】
(磁性キャリアB)
・フェノール 10質量部
・ホルムアルデヒド溶液 6質量部
(ホルムアルデヒド40%、メタノール10%、水50%)
・親油化処理したストロンチウムフェライト 100質量部
上記材料と、28%アンモニア水、水をフラスコに入れ、撹拌、混合しながら40分間で85℃まで昇温・保持し、3時間反応・硬化させた。その後、30℃まで冷却し、さらに水を添加した後、上澄み液を除去し、沈殿物を水洗し、風乾した。次いで、これを減圧下(5mmHg以下)で180℃で乾燥して、球状のキャリアコア粒子(c)を得た。
【0119】
次いで上記で得られたキャリアコア粒子(c)100質量部、フェノール0.5質量部、ホルマリン溶液0.75部、親油化処理α−Fe2O3 1.5質量部、28質量%のアンモニア水0.2質量部、及び水50質量部をフラスコにいれ、撹拌、混合しながら40分聞で85℃まで昇温・保持し、3時間反応・硬化させた。その後、30℃まで冷却し、50質量部の水を添加した後、上澄み液を除去し、水洗し、風乾した。次いで減圧下(5mmHg以下)に170℃で乾燥して、表面をフェノール樹脂でコートしたキャリアコア粒子(d)を得た。
【0120】
キャリアコア粒子の切断面をFE−SEM観察したところ、粒子表面近傍に樹脂とα−Fe2O3からなるコート層が形成されていることが判明した。
【0121】
尚、上記で用いたストロンチウムフェライト粉(個数平均粒径0.25μm)及びα−Fe2O3(個数平均粒径0.60μm)はそれぞれ、1.0質量%のシラン系カップリング剤[3−(2−アミノエチルアミノプロピル)ジメトキシシラン]を加え、容器内で100℃以上で、高速混合撹拌して金属酸化物粒子の親油化処理を行ったものである。
【0122】
次に、上記で得られたキャリアコア粒子(d)の表面に、以下の方法で熱硬化性のシリコーン樹脂をコートした。キャリアコア粒子(d)の表面のコート樹脂量が0.5質量%になるように、シリコーン樹脂を秤取した。次にシラン系カップリング剤として3−アミノプロピルトリメトキシシランを上述のシリコーン樹脂固形分量の3質量%となるように秤取して添加した。次にトルエンを溶媒としてシリコーン樹脂溶液の樹脂固形分濃度が10質量%になるように希釈してキャリアコート溶液を作製した。
【0123】
次にキャリアコア粒子(d)に剪断応力を連続して加えながら上記のコート溶液を滴下した後、溶媒を揮発させて、キャリアコア表面へのコートを行った。このコート磁性キャリア粒子を160℃で2時間熱処理した後、放冷する。次に凝集したキャリアを解砕し、更に200メッシュの篩で分級して、磁性キャリア(B)を得た。得られた磁性キャリア粒子の個数平均粒径は37.1μmであった。また、キャリアの切断面をFE−SEM観察したところ、粒子表面近傍に樹脂と、α−Fe2O3からなるコート層とさらにその上にシリコーン樹脂層が形成されていることが判明した。
【0124】
得られた磁性キャリア粒子(B)を10キロエルステッドの磁場中で磁化したのち、磁気特性を測定した。10キロエルステッドにおける飽和磁化は150emu/cm3であり、残留磁化は90emu/cm3、保持カ2200エルステッドであった。磁性キャリア粒子の真比重は3.65g/cm3であった。磁性キャリア粒子の比抵抗は、25V印加時には2.9×1016Ω・cm、100V印加時には8.3×1015Ω・cm、500V印加時には3.1×1015Ω・cmであった。
【0125】
(磁性キャリアC)
・フェノール 7質量部
・ホルマリン溶液 10.5質量部
(ホルムアルデヒド40%、メタノール10%、水50%)
・親油化処理したバリウムフェライト粉 73質量部
・親油化処理したα−Fe2O3 15質量部
上記材料と塩基性触媒として28質量%アンモニア水2質量部、および水15質量部をフラスコに入れ、撹拌、混合しながら40分間で85℃まで昇温・保持し、3時間反応・硬化させた。その後、30℃まで冷却し、100質量部の水を添加した後、上澄み液を除去し、沈殿物を水洗し、風乾した。次いで、これを減圧下(5mmHg以下)に70℃で乾燥して、バリウムフェライトとα−Fe2O3とをフェノール樹脂をバインダーとして結合した球状のキャリアコア(e)を得た。
【0126】
次いで上記で得られたキャリアコア粒子(e)100質量部、フェノール0.5質量部、ホルマリン溶液0.75部、親油化処理α−Fe2O3 1.5質量部、28質量%のアンモニア水0.2質量部、及び水50質量部をフラスコにいれ、撹拌、混合しながら40分間で85℃まで昇温、保持し、3時間反応・硬化させた。その後、30℃まで冷却し、50質量部の水を添加した後、上澄み液を除去し、水洗し、風乾した。次いで減圧下(5mmHg以下)に170℃で乾燥して、表面をフェノール樹脂でコートしたキャリアコア粒子(f)を得た。また、キャリアの切断面をFE−SEM観察したところ、粒子表面近傍に樹脂とα−Fe2O3からなるコート層が形成されていることが判明した。
【0127】
尚、上記で用いたバリウムフェライト粉(個数平均粒径0.25μm)及びα−Fe2O3(個数平均粒径0.60μm)はそれぞれ、2.0質量%のチタン系カップリング剤(イソプロピルトリトデシルベンセンスルホニルチタネート)を加え、容器内で100℃以上で、高速混合撹拌して金属酸化物粒子の親油化処理を行ったものである。
【0128】
次に、上記で得られたキャリアコア粒子(f)の表面に、以下の方法で熱硬化性のシリコーン樹脂をコートした。まず、キャリアコア粒子(f)の表面のコート樹脂量が0.5質量%になるように、シリコーン樹脂を秤取し、次にシラン系カップリング剤としてn−プロピルトリメトキシシランを上述のシリコーン樹脂固形分量の3質量%となるように秤取して添加した。次にトルエンを溶媒としてシリコーン樹脂溶液の樹脂固形分濃度が10質量%になるように希釈してキャリアコート溶液を作製した。
【0129】
次にキャリアコア粒子(f)に剪断応力を連続して加えながら上記のコート溶液を滴下した後、溶媒を揮発させて、キャリアコア表面へのコートを行った。このコート磁性キャリア粒子を160℃で2時間熱処理した後、放冷する。次に凝集したキャリアを解砕し、更に200メッシュの篩で分級して、磁性キャリア(C)を得た。得られた磁性キャリア粒子の個数平均粒径は42.0μmであった。キャリアの切断面をFE−SEM観察したところ、粒子表面近傍に樹脂とα−Fe2O3からなるコート層とさらにその上にシリコーン樹脂層が形成されていることが判明した。
【0130】
得られた磁性キャリア粒子(C)を10キロエルステッドの磁場中で磁化したのち、磁気特性を測定した。10キロエルステッドにおける飽和磁化は140em/cm3であり、残留磁化は85emu/cm3、保持力2100エルステッドであった。磁性キャリア粒子の奥比重は3.63g/cm3であった。磁性キャリア粒子の比抵抗は、25V印加時には7.9×1015Ω・cm,100V印加時には6.5×1015Ω・cm、500V印加時には4.1×1015Ω/cmであった。
【0131】
(磁性キャリアD)
・フェノール 10質量部
・ホルムアルデヒド溶液 6質量部
(ホルムアルデヒド40%、メタノール10%、水50%)
・親油化処理したマグネタイト 100質量部
上記材料と、28%アンモニア水、水をフラスコに入れ、撹拌、混合しながら40分間で85℃まで昇温・保持し、3時間反応・硬化させた。その後、30℃まで冷却し、さらに水を添加した後、上澄み液を除去し、沈殿物を水洗し、風乾した。次いで、これを減圧下(5mmHg以下)で180℃で乾燥して、球状のキャリアコア粒子(g)を得た。
【0132】
上記で用いたマグネタイト粉(個数平均粒径0.24μm)1.0質量%のシラン系カップリング剤〔3−(2−アミノエチルアミノプロピル)ジメトキシシラン]を加え、容器内で100℃以上で、高速混合撹拌して親油化処理を行った。
【0133】
更に、上記で得られたキャリアコア粒子(g)の表面に、キャリアAと同様の方法で熱硬化性のシリコーン樹脂をコートして、磁性キャリア(D)を得た。キャリアの切断面をFE−SEM観察したところ、バインダー樹脂とマグネタイトからなるコア粒子の表面にシリコーン樹脂層が形成されていることが判明した。
【0134】
得られた磁性キャリア粒子の個数平均粒径は36.0μmであった。得られた磁性キャリア粒子(D)の磁気特性を測定した。10キロエルステッドにおける飽和磁化は210emu/cm3であり、残留磁化は20emu/cm3、保持力は0エルステッドであった。磁性キャリア粒子の真比重は3.65g/cm3であった。磁性キャリア粒子の比抵抗は、25V印加時には2.1×109Ω・cm,100V印加時には7.5×108Ω・cm,500V印加時に2.4×107Ω・cmであった。
【0135】
(磁性キャリアE)
・Fe2O3 26.4質量部
・CuO 12.0質量部
・ZnO 52.7質量部
になるように秤量し、ボールミルを用いて混合を行った。
【0136】
これを仮焼した後、ボールミルにより粉砕を行い、さらにスプレードライヤーにより造粒を行った。これを焼結し、さらに分級してキャリアコア粒子を得た。このキャリアコアに、スチレン−メタクリル酸2−エチルヘキシル共重合体(共重合比:50/50)をコート量0.5質量%になるようトルエンを溶媒として流動床式塗布装置スピラコーター(岡田精工社製)を用いてコートを行い、150℃で1時間流動床中で乾燥した後、解砕し、更に200メッシュの篩がけによる分級を行って磁性キャリア(E)を得た。得られたキャリア粒子の粒径は、45.0μmであった。得られた磁性キャリア粒子(B)の磁気特性を測定した。10キロエルステッドにおける飽和磁化は280emu/cm3であり、残留磁化は0emu/cm3、保持力は0エルステッドであった。磁性キャリア粒子の奥比重は4.88g/cm3であった。磁性キャリア粒子の比抵抗は、25V印加時には7.1×1012Ω・cm,100V印加時には5.0×1010Ω・cm,500V印加時には3.4×109Ω・cmであった。
【0137】
[トナー製造例]
(重合トナーの製造例A)
イオン交換水710gに、0.1M−Na3PO4水溶液450gを投入し、60℃に加温した後、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、12000rpmにて擾幹した。とれに1.0M−CaCl2水溶液68gを徐々に添加し、Ca3(PO4)2を含む水系媒体を得た。
【0138】
一方、
上記処方を60℃に加温し、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、12000rpmにて均一に溶解、分散した。これに、重合開始剤2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)10gを溶解し、重合性単量体組成物を調製した。
【0139】
前記、水系媒体中に上記重合性単量体組成物を投入し、60℃,N2雰囲気下において、TK式ホモミキサーにて10000rpmで10分間撹拌し、重合性単量体組成物を造粒した。その後、パドル撹拌翼で撹拌しつつ、80℃に昇温し、10時間反応させた。重合反応終了後、減圧下で残存モノマーを留去し、冷却後、塩酸を加え、リン酸カルシウムを溶解させた後、ろ過、水洗、乾燥をして、シアン着色懸濁粒子を得た。
【0140】
得られた着色粒子は個数平均粒径(D1)が5.2μmであり、変動係数19%であった。
【0141】
得られた着色粒子100質量部に対して、BET法による比表面積が、200m2/gである疎水性シリカを1.5質量部外添し、懸濁重合トナーAを得た。このシアントナーの個数平均粒径及び変動係数は実質的に外添前と同等であった。また、得られたトナーの形状係数SF−1は112であり、残存モノマー量は420ppmであった。
【0142】
(重合トナーの製造例B)
イオン交換水710gに、0.1M−Na3PO4水溶液450gを投入し、60℃に加温した後、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、12000rpmにて援幹した。これに1.0M−CaCl2水溶液68gを徐々に添加し、Ca3(PO4)2を含む水系媒体を得た。
【0143】
一方、
上記処方を60℃に加温し、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、12000rpmにて均一に溶解、分散した。これに、重合開始剤2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)10gを溶解し、重合性単量体組成物を調製した。
【0144】
前記、水系媒体中に上記重合性単量体組成物を投入し、60℃,N2雰囲気下において、TK式ホモミキサーにて10000rpmで10分間撹拌し、重合性単量体組成物を造粒した。その後、パドル撹拌翼で撹拌しつつ、80℃に昇温し、10時間反応させた。
【0145】
重合反応終了後、製造例Aと同一条件の減圧下で残存モノマーを留去し、冷却後、塩酸を加えリン酸カルシウムを溶解させた後、ろ過、水洗、乾燥をして、シアン着色懸濁粒子を得た。得られた着色粒子は個数平均粒径(D1)が5.1μmであり、変動係数17%であった。得られた着色粒子100質量部に対して、BET法による比表面積が、200m2/gである疎水化処理酸化チタンを2.0質量部外添し、懸濁重合トナーBを得た。このシアントナーの個数平均粒径及び変動係数は実質的に外添前と同等であった。得られたトナー待られたトナーの形状係数SF−1は108であり、残存モノマー量は440ppmであった。
【0146】
[重合トナーの製造例C]
イオン交換水710gに、0.1M−Na3PO4水溶液450gを投入し、60℃に加温した後、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、12000rpmにて撹拌した。これに1.0M−CaCl2、水溶液68gを徐々に添加し、Ca3(PO4)2を含む水系媒体を得た。
【0147】
一方、
上記処方を60℃に加温し、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、12000rpmにて均一に溶解、分散した。これに、重合開始剤2.2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)10gを溶解し、重合性単量体組成物を調製した。
【0148】
前記、水系媒体中に上記重合性単量体組成物を投入し、60℃,N2雰囲気下において、TK式ホモミキサーにて10000rpmで10分間撹拌し、重合性単量体組成物を造粒した。その後、パドル撹拌翼で撹拌しつつ、60℃に昇温し、6時間反応させた。重合反応終了後冷却し、塩酸を加えリン酸カルシウムを溶解させた後、ろ過、水洗、乾燥をして、シアン着色懸濁粒子を得た。得られた粒子は平均粒径(D1)が5.0μmであり、個数分布の変動係数は41%であった。
【0149】
得られた着色粒子100質量部に対して、BET法による比表面積が、200m2/gである疎水化処理酸化チタンを1.5質量部外添し、懸濁重合トナーCを得た。このシアントナーの個数平均粒径及び変動係数は実質的に外添前と同等であった。得られたトナー得られたトナーの形状係数SF−1は115であり、残存モノマー量は1700ppmであった。
【0150】
[粉砕トナーの製造例D]
四つ口フラスコに、窒素置換した水180質量部とポリビニルアルコールの0.2質量%水溶液20質量部を投入したのちに、スチレン77質量部、アクリル酸−n−ブチル22質量部ベンゾイルパーオキサイド1.4質量部、ジビニルベンゼン0.2質量部を加え、撹拌し懸濁液とした。この後、フラスコ内を窒素で置換した後に、80℃に昇温し同温度に10時間保持し重合反応を行った。
【0151】
該重合体を水洗した後に、温度を65℃に保ちつつ減圧環境にて乾燥し樹脂を得た。該樹脂を88質量%、合金属アゾ染料を2質量%、カーボンブラック7質量%、低分子量ポリプロピレン3質量%を固定槽式乾式混合機により混合し、ベント口を吸引ポンプに接続し吸引しつつ、二軸押し出し機にて溶融混練を行った。
【0152】
この溶融混練物を、ハンマーミルにて粗砕し1mmメッシュパスのトナー組成物の粗砕物をえた。さらに、この粗砕物を機械式粉砕機により、体積平均径20〜30μmまで粉砕を行った後に、旋回流中の粒子間衝突を利用したジェットミルにて粉砕を行った後、多段割分級機により、分級を行い黒色の着色粒子を得た。得られた粒子は個数平均粒径6.1μm、変動係数28.2%であった。
【0153】
このトナー組成物100質量部に対して、疎水化処理した酸化チタン1.5質量部外添し、粉砕トナーDを得た。このシアントナーの個数平均粒径及び変動係数は実質的に外添前と同等であった。尚、トナー形状係数を測定したところ、SF−1は124であり、残存モノマー量は510ppmであった。
【0154】
(実施例1)
上述のようにして製造した磁性キャリアAと重合トナーAとをトナー濃度が8%となるように混合して現像剤を調製した。
【0155】
この現像剤を用いて、カラー複写機(CLC700、キヤノン社製)の改造機を用いて5万枚の複写耐久試験を行った。その結果、初期から5万枚まで画像濃度1.45〜1.50と安定で、かつキャリア付着やカブリも全くなく、細線再現性に優れた画像が得られた。さらに、クリーニング不良も発生せず、またドラムから紙へのトナーの転写効率を測定したところ、初期100%であり、2万枚耐久時では96%と高く、転写効率の低下も認められなかった。また、耐久試験中のトナーの摩擦帯電量を測定したところ初期は−34.5(mc/kg)であり、2万枚後は−32.2(mc/kg)と安定していた。
【0156】
また、2万枚耐久後のキャリア表面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、コート材の剥がれやトナースペントもなく、初期のキャリア表面と同様な表面状態を呈していた。
【0157】
また、2万枚耐久後の感光体表面にはトナーフィルミングは認められなかった。
【0158】
(実施例2)
磁性キャリアBと重合トナーBとを実施例1と同様に現像剤化(トナー濃度8.0%)して、CLC500複写機(キヤノン社製)改造機にいれて5万枚の複写耐久試験を行った。初期の画質、特にドット再現性に優れ、高解像な画像が得られた。また、カブリやキャリア付着もなく良好な結果が得られた。さらに、5万枚の複写試験を行った後の画質は、初期の画像とほぼ同等なものが得られた。さらに、クリーニング不良も発生せず、またドラムから線へのトナーの転写効率を測定したところ、初期99%であり、5万枚耐久時では95%と高く、転写効率の低下も認められなかった。また、ベタ画像の濃度は初期から5万枚まで1.45〜1.53と安定していた。5万枚耐久後のキャリア表面を観察すると初期の表面状態とほぼ同様であり、トナースペントやコート剥がれば認められなかった。また、5万枚耐久後の感光体表面にはトナーフィルミングは認められなかった。
【0159】
(実施例3)
磁性キャリアCと重合トナーAとを実施例1と同様に現像剤化(トナー濃度8.0%)して、CLC700複写機(キヤノン社製)改造機にいれて5万枚の複写耐久試験を行った。初期の画質、特にドット再現性に優れ、高解像な画像が得られた。また、カブリやキャリア付着もなく良好な結果が得られた。さらに、5万枚の複写試験を行った後の画質は、初期の画像とほぼ同等なものが得られた。さらに、クリーニング不良も発生せず、またドラムから線へのトナーの転写効率を測定したところ、初期97%であり、5万枚耐久時では95%と高く、転写効率の低下も認められなかった。また、ベタ画像の濃度は初期から5万枚まで1.47〜1.55と安定していた。5万枚耐久後のキャリア表面を観察すると初期の表面状態とほぼ同様であり、トナースペントやコート剥がれば認められなかった6また、5万枚耐久後の感光体表面にはトナーフィルミングは認められなかった。
【0160】
(実施例4)
磁性キャリアAと粉砕トナーDとを実施例1と同様に現像剤化(トナー濃度8.0%)して、CLC500複写機(キヤノン社製)改造機にいれて5万枚の複写耐久試験を行った。初期の画質、特にハーフトーンの階調性の再現に優れた良好な画像が得られた。また、カブリやキャリア付着も認められなかった。さらに、5万枚の複写試験を行った後の画質は、初期の画像とほぼ同等なものが得られた。さらに、クリーニング不良も発生せず、またドラムから紙へのトナーの転写効率を測定したところ、初期93%であり、5万枚耐久時では90%と転写効率も良好であった。また、ベタ画像の濃度は初期から5万枚まで1.51〜1.60と安定していた。5万枚耐久後のキャリア表面を観察すると初期の表面状態とほぼ同様であり、トナースペントやコート剥がれは認められなかった。また、5万枚耐久後の感光体表面にはトナーフィルミングは認められなかった。
【0161】
(比較例1)
磁性キャリアDと重合トナーAとを実施例1と同様に現像剤化(トナー濃度8.0%)して、CLC700複写機(キヤノン社製)改造機にいれて5万枚の複写耐久試験を行った。初期の画質においては特にハーフトーン部に白抜けが目立つ画像が得られた。また、かなりのキャリア付着が認められた。さらに、5万枚の複写試験を行った後の画質は、画像上に白スジの入った画像であった。またドラムから線へのトナーの転写効率を測定したところ、初期97%であり、5万枚耐久時では85%と転写効率が低下していた。また、ベタ画像の濃度は初期1.51から5万枚後には1.72と変化していた。5万枚耐久後のキャリア表面を観察すると表面に所々、トナースペントが認められた。また、5万枚耐久後の感光体表面にはトナーフィルミングやキャリア付着による傷が認められ、これが画像上のスジの原因であることが判明した。
【0162】
(比較例2)
磁性キャリアDと重合トナーCとを実施例1と同様に現像剤化(トナー濃度8.0%)して、CLC500複写機(キヤノン社製)改造機にいれて5万枚の複写耐久試験を行った。初期の画質においては特にハーフトーン部に白抜けが目立つ画像が得られた。また、白地部へのカブリやキャリア付着が認められた。さらに、5万枚の複写試験を行った後の画質は、画像上に白スジの入った画像であった。また、クリーニング不良の発生が認められた。ドラムから紙へのトナーの転写効率を測定したところ、初期95%であり、5万枚耐久時では86%と転写効率が低下していた。また、ベタ画像の濃度は初期1.49から5万枚後には1.77と変化していた。5万枚耐久後のキャリア表面を観察すると表面に所々、トナースペントが認められた。また、5万枚耐久後の感光体表面にはトナーフィルミングやキャリア付着による傷が認められ、これが画像上のスジの原因であることが判明した。
【0163】
(比較例3)
磁性キャリアEと重合トナーCとを実施例1と同様に現像剤化(トナー濃度5.5%)して、CLC500複写機(キヤノン社製)改造機にいれて5万枚の複写耐久試験を行った。初期の画質においては特にハーフトーン部にややガサツキのある画像が得られた。また、カブリやキャリア付着は認められなかった。さらに、5万枚の複写試験を行った後の画質は、階調性が充分にとれていなかった。また、少しクリーニング不良が発生した。ドラムから紙へのトナーの転写効率を測定したところ、初期93%であり、5万枚耐久時では88%と転写効率が低下していた。また、ベタ画像の濃度は初期1.49から5万枚後には1.89と大きく変化していた。5万枚耐久後のキャリア表面を観察すると表面にトナースペントが認められた。また、5万枚耐久後の感光体表面にはトナーフィルミングが認められた。
【0164】
【表1】
【0165】
【表2】
【0166】
【発明の効果】
本発明の磁性キャリアはバインダー樹脂中に金属酸化物粒子としてハードフェライト粒子を分散させたコアの表面に、更に非磁性の金属酸化物粒子を含有させた樹脂被覆層を設け高抵抗化したものである。本構成としたキャリアは緻密な磁気ブラシで現像性を向上させつつキャリア付着を防止することができる。また、表面にシリコーン系の樹脂をコートすることでトナースペントやコート剥がれのない耐久性に優れたキャリアとすることができる。本発明の磁性キャリアと粒度分布がシャープなトナーとを組み合わせた現像剤は、現像性及び転写性に優れ、高画質画像を長期に渡って提供することが出来る。
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真法、静電記録法等における静電潜像を現像するための現像剤を構成する磁性キャリア及び二成分系現像剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子写真法としては米国特許第2,297,691号に記載されている如く、多くの方法が知られているが、一般には光導電性物質からなる感光体を利用し、種々の手により該感光体上に電気的潜像を形成し、次いで該潜像をトナーを用いて現像を行って視像とし、必要に応じて紙等の転写材にトナー画像を転写した後、熱・圧力などにより写材上にトナー画像を定着し複写画像を得るものである。また、トナーを用いて現像する方法あるいは、トナー画像を定着する方法としては、従来各種の方法が提案されている。
【0003】
該静電潜像を現像する工程は、帯電させたトナー粒子を静電潜像の静電相互作用を利用して静電潜像状に画像形成を行うものである。一般にかかる静電潜像をトナーを用いて現像する方法のうち、トナーをキャリアと呼ばれる媒体に分散させた二成分系現像剤が特に高画質を要求されるフルカラー複写機には好適に用いられている。
【0004】
この二成分系現像剤に用いられるキャリア粒子は、トナー粒子に良好な帯電性を付与し、現像極において静電潜像上にトナーを現像し、キャリア粒子自身は現像容器内に戻され新たにトナーと混合し良好な帯電を付与するというサイクルで長時間繰り返し使用される。したがって、キャリア粒子に要求される性能として、トナーに良好な帯電を付与すること、キャリア自身が静電潜像担持体に付着する、いわゆるキャリア付着しないこと、繰り返しの使用でも帯電付与性能が劣化しないこと等が挙げられる。従来、キャリア粒子としては鉄粉キャリア、フェライトキャリア、磁性微粒子をバインダー中に分散した磁性体分散樹脂キャリア等が磁気ブラシ現像用の二成分系現像剤用として用いられている。
【0005】
一方、高画質化の要求により現像システムの検討も種々行われており、中でも現像プロセスに交番電界を印加する方法が用いられる場合には、これに鉄粉キャリアを使用すると低抵抗であるためリークが起こり、現像不良が生じてしまう。また、フェライトキャリアを用いても、キャリア粒子の比抵抗が107〜109Ω・cm程度では十分良好な画像が得られない。そこで、キャリア粒子表面に熱可塑性樹脂などをコートして比抵抗を高めたものを用いると良好な画像が得られるようになるが、このような熱可塑性樹脂を用いたコートキャリアは長時間に渡る繰り返し使用において、キャリア表面にトナースペントが発生し、トナーへの摩擦帯電付与能力が低下したり、コート材が剥がれることによってキャリア粒子の比抵抗が低下してしまい、画像劣化を引き起こす場合がある。
【0006】
また、現像剤の観点から高画質化をはかるためにトナー及びキャリア粒子の粒径を小さくする等の検討が行われている。この場合、キャリア粒径が小さくなるに従い、静電潜像担持体へのキャリア付着を生じやすくなる。例えば特公平5−8424号公報には微粒子化したキャリアとトナーを用いて振動電界下で非接触方式で現像する方法が記載されている。該明細書では、振動電界を印加する現像プロセスにおいてキャリア付着を改善するために、樹脂コートを施してキャリアの高抵抗化が効果を有すると記載されているが、発生したキャリア付着を改善するためにキャリアの比抵抗を見かけ上、高抵抗化してもキャリアコアとして比抵抗の低いものを用いている場合には、表面に少しでもコアが露出している場合や繰り返し使用によるコート剥がれを生じてしまった場合などにはキャリア付着を防止し、高画質画像を得るには不十分な場合がある。
【0007】
そこで、キャリアとして磁性体を樹脂中に分散した樹脂キャリアを用いるとキャリアのバルク抵抗を鉄粉キャリアやフェライトキャリアに比べて高くすることができる。しかし、これらの場合でも例えば、特開平5−100494号公報に開示されるような磁性粒子では、樹脂中に含有させる磁性体量を増やすべく粒径比の異なる磁性体を用いているが、磁気的なキャリアの拘束力としては高くなるが、樹脂中に含有される磁性体が比抵抗が低い場合、キャリアとしての比抵抗は低下してしまい、交番電界を用いる現像方法等にこのようなキャリアを用いると、キャリア付着を生じる場合がある。すなわち、低抵抗の磁性体を樹脂中に多量に含有させた樹脂キャリアにおいてはキャリア表面にマグネタイトのような低抵抗の磁性微粒子が多数露出しやすく、その磁性微粒子を電荷注入サイトとして電荷注入によって帯電し、静電潜像担持体に現像されるのである。また長時間繰り返し使用した際にはキャリア表面の磁性微粒子の脱離を生じてしまい、キャリアとしての性能が低下したり、画像を汚してしまう場合もある。
【0008】
これらを改善するためにキャリアの高耐久化の検討がなされている。例えば、キャリアのトナースペント化やコート材の剥がれを防止したり、磁性体分散型樹脂キャリアの場合には表面の磁性微粒子の脱離を防止するために、低表面エネルギーの樹脂をコートする提案がされている。例えば特公昭62−61948号公報、特公平2−3181号公報にシリコーン樹脂コートキャリアの提案がなされ、特公昭59−8827号公報に樹脂変性シリコーンコートキャリアの提案がなされている。また、特開平6−118725号公報には磁性体分散型樹脂キャリアの表面に導電性物質含有シリコーンコートキャリアの記載がある。この明細書中には磁性体分散型樹脂キャリアの比抵抗を下げるために導電性物質を含有したシリコーン樹脂コートを施すことで、高耐久で高画質な画像を得るとあるが、上述したようにキャリア比抵抗が下がった場合には特に交番電界印加する現像プロセスにおいて、キャリア付着を生じてしまう場合がある。
【0009】
従って、上述したように、キャリア付着を防止しつつ、高耐久性で、かつ高画質化を計るために、種々の手法が試みられてはいるものの、特に上述した欠点を全て改善することができる手段は現在までのところ得られていない。
【0010】
また、従来、電子写真プロセスにおいては、転写工程の後に転写材上に転写されずに感光体上に残ったトナー粒子はクリーニング工程により感光体上より除去されるが、この工程においては、従来、ブレードクリーニング、ファーブラシクリーニング、ローラークリーニング等の力学的に転写残余のトナーを掻き落とすか、またはせき止めて廃トナー容器へと回収するものを用いている。しかし、このようなクリーニング部材を感光体表面に押し当てられることに起因して問題が生じることがあった。例えば、部材を強く押し当てることにより感光体を摩耗させ感光体が短命化することなどが挙げられる。
【0011】
また、装置面からみると、このようなクリーニング装置を具備するために装置が必然的に大きくなり装置のコンパクト化を目指すときのネックになっていた。
【0012】
さらには、エコロジーの観点より、トナーの有効活用という意味で廃トナーのでないシステムあるいは廃トナーの少ないシステムが望まれていた。
【0013】
従来、廃トナーを低減すべく、トナーの現像同時クリーニング又は、クリーナレスと呼ばれる技術が開示されており、例えば、特公平5−69427においては、感光体一回転につき一画像としており、転写残余のトナーの影響が同一画像に現れないようにしており、又、特開昭64−20587、特開平2−259784、特開平4−50886、特開平5−165378等では、転写残余のトナーを散らし部材により感光体上に散らし、非パターン化することで、一画像につき感光体の同一表面が複数回利用される場合でも、画像上で顕在化しにくい構成を試みている。
【0014】
しかし、電子写真の利用が進んでいる今日、様々な転写材に対してトナー像を転写する必要性がでできており、この意味でこれら従来技術は様々な転写材に対し満足するものではなかった。また、非パターン化部材に電圧を印加する等の方法はクリーナレスシステムの特長である装置をコンパクト化するというメリットを充分に達成できないような構成であった。
【0015】
一方、特開平2−51168においては、クリーナレスプロセスを達成する手段としてトナー側から試みている。すなわち、球形トナー及び球形キャリアを使用し、安定した帯電特性を得ることで達成しようと試みている。しかしながら、単に球形トナーと球形キャリアを組み合わせた場合、初期特性においては、ある程度満足のいくものでも、繰り返し使用していくうちにトナー表面の外添剤が埋没したり、脱離してしまうなどのトナーの劣化現象が発生し、その結果、トナーの転写効率が低下して画像に白抜け、ガサツキ等の欠陥が発生したり、さらには感光体上の転写されなかったトナーが感光体表面に融着(フィルミング)してしまうという場合があった。
【0016】
また、現像同時クリーニングにおいては、特開平5−62383では均一化部材をイコライズするという手段で、繰り返し使用による感光体上のフィルミングを防止しようとしているが、現像剤の構成については開示されていなかった。
【0017】
重合トナーを用いた例としては、特開平5−19662には、一次重合粒子を何個か融着させて二次粒子としたものをトナーとしてを用いる技術が開示されており、また特開平4−296766においては、感光体露光光を透過する重合トナーを使用する技術が開示されている。また、特開平5−188637においては、体積平均径、個数平均径、トナー帯電量、トナー投影像の面積比、トナーBET比表面積などを規定したトナーを使用することなどが開示されているが、これらのトナーにおいて実用上の問題点を総て解決するには至らなかった。
【0018】
更にまた、トナーとキャリアからなる二成分系現像剤を用いる場合、現像器においては現像剤担持体上に適度に均一な現像剤層を形成するために、現像剤担持部材上に規制部材を配置した構成を取っているのであるが、このような規制部材を具備した現像器に直接重合法で得られたトナーとキャリアとからなる現像剤を用いた場合、粉砕法で得られたトナーとキャリアからなる現像剤と比較して極めて流動性が良いため、現像剤が現像剤担持体と規制部材間をすり抜ける現象が発生する場合がある。このため、現像剤粒子間の帯電量が不均一になり易く、かつ、現像剤担持体上に現像剤の均一なコーティングが得られない結果として地カブリや画像ムラのある不良画像が発生することがある。更に現像剤担持体表面が鏡面形状の場合には、周方向への搬送力不足のため現像剤担持体両端への現像剤の偏りが生じ、繰り返しの複写耐久で軸受け等に現像剤が入り込み現像剤の融着物が発生するため、転写時において転写不良を起こし易く、画像欠陥の原因となる。
【0019】
また、一般的に直接重合法により得られたトナーは、実質的に球形であるために現像器内でパッキングしやすく、場合によっては現像剤が現像器内の規制部材の下流部分に密に充填し、現像剤担持体へ強く押しつけられる結果、現像剤がスリーブ表面に融着する、いわゆるスリーブ汚染が発生する。スリーブ汚染は、画像濃度の低下、地カブリの原因となり好ましくない。特にワックスのような低軟化点物質を多量に含有する粉砕法トナーを用いた現像剤ではこの現象が顕著になる。
【0020】
特開昭63−247762号公報においては、パラフィン等の低軟化点物質を単量体に対し50〜3000質量部含有した直接重合法のトナーを現像剤に用い、現像剤担持体の表面粗さ(Rzmax値)に着目した出願がなされている。しかしながら、現像剤の現像剤担持体上への融着に関しては、繰り返しの複写耐久において初期には効果が認められたが、繰り返しの複写耐久後は、現像剤担持体上にトナー融着が認められた。また、スリーブ表面粗さ(Rzmax値)の規制だけでは、流動性の良い現像剤を安定して現像剤担持体上に搬送し続けることは困難であった。
【0021】
従って、上述したように、キャリア付着を防止しつつ、高画質化を計るために、種々の手法が試みられてはいるものの、特に上述した欠点を全て改善することができる手段は現在までのところ得られておらず、更に、現像同時クリーニングあるいは、クリーナーレスとよばれる技術で、長期耐久で感光体上にフィルミングを生じたり、トナーあるいはキャリアが劣化せずに実用上において十分な性能を有するものは得られていない。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】
したがって本発明の目的は、キャリア付着を防止し、高耐久性で、高画質なフルカラー複写画像を得る磁性キャリア及び磁性キャリアを含む二成分系現像剤を提供することにある。
【0023】
また、他の目的として、磁性体分散樹脂キャリアにおける磁性体の脱離を防止し、高耐久性で、高画質なフルカラー複写画像を得る磁性キャリア及び磁性キャリアを含む二成分系現像剤を提供することにある。
【0024】
また、他の目的として、現像剤の寿命を延ばし、多数枚の複写においても画像劣化のない現像剤を提供することにある。
【0025】
また、他の目的として、転写性が優れ、かつ繰り返し使用の耐久特性を改善し、感光体上にフィルミングを生じない現像剤を提供することにある。
【0026】
【課題を解決するための手段および作用】
本発明の前述した目的は少なくともバインダー樹脂及び磁性金属酸化物粒子を含有する磁性キャリア粒子において、
磁性キャリア粒子の個数平均粒径が5〜100μmであり、
磁性キャリア粒子の比抵抗が25〜500V印加時に、5.0×1013Ω・cm以上であり、
磁性キャリア粒子の真比重が3.0〜4.9g/cm3であり、
磁性キャリア粒子の10000エルステッドの磁場における飽和磁化が100emu/cm3以上であり、残留磁化が50emu/cm3以上であり、かつ保持力が300エルステッド以上であることを特徴とする磁性キャリアを用いることによって達成される。
【0027】
さらに、本発明の前述の目的は少なくともトナーと磁性キャリアを有する二成分系現像剤において、磁性キャリアは少なくともバインダー樹脂及び磁性金属酸化物粒子を含有する磁性キャリア粒子であり、
磁性キャリア粒子の個数平均粒径が5〜100μmであり、
磁性キャリア粒子の比抵抗が25〜500V印加時に、5.0×1013Ω・cm以上であり、
磁性キャリア粒子の真比重が3.0〜4.9g/cm3であり、
磁性キャリア粒子の10000エルステッドの磁場に測る飽和磁化が100emu/cm3以上であり、残留磁化が50emu/cm3以上であり、かつ保持力が300エルステッド以上であり、
トナーは重量平均粒径が1〜10μmであり、35%以下の個数分布の変動係数を有し、かつ形状係数SF−1が100〜130の範囲であり、かつ、全体又は一部が重合法により形成されており、かつ残存モノマーの含有量が1000ppm以下であるトナーを用いることによって達成される。
【0028】
以下に本発明の作用を詳細に説明する。
【0029】
本発明者らが詳細な検討を行なったところ、高画質化の観点からはキャリア粒径をできるだけ小さくすることが好ましいことを見いだした。すなわち、現像極(磁極の強さ約1000エルステッド)において、磁気ブラシの穂立ちを密にすることで、静電潜像に忠実な現像が可能となり、ドット再現性の良い画像が得られることがわかった。磁気ブラシの密度はキャリアの磁化の強さがに関係しており、キャリア粒子の磁気力を下げるにつれて磁気ブラシ密度が密になる。
【0030】
キャリアが同一組成であるならば、キャリア粒子の磁気力は粒径と関係しているため、キャリアの磁気力を下げていくと、次第にキャリア付着が生じる傾向にある。このような観点から、本発明では使用するキャリア粒径として、その個数平均粒径としては5〜10.0μmの範囲のものを使用することができ、さらにはキャリア磁化の強さが100emu/cm3以上のときに高画質、キャリア付着防止の観点からより好適で、また、キャリアの残留磁化の強さが50emu/cm3以上で、かつ保持力が300エルステッド以上となるような磁気特性を有するようにMO・6(Fe2O3)で表されるマグネトプランバイト構造を有するハードフェライト材料を選択した場合にキャリア付着を良好に防止できることが判明した。
【0031】
すなわち、キャリア付着のドライビングフォースは特に交番電界印加における接触現像方法において、現像バイアス印加時に現像スリーブからキャリアヘの電荷注入によるキャリアの帯電が支配的因子となっていると考えられる、従ってキャリア付着を防止する手段としてはキャリアの比抵抗を高め電荷注入を抑制することが挙げられる。上記に示したハードフェライト材料は磁性粒子としては比抵抗が高く、従って、キャリアコア材に用いた場合、電荷注入が起こりにくいキャリア比抵抗にすることが出来ることを見いだした。
【0032】
本発明で使用されるキャリア粒子の比抵抗は25〜500V印加時において、5.0×1013Ω・cm以上の抵抗を有することが必須である。50×1013Ω・cm未満の比抵抗では先述したようにキャリア付着防止の目的を達成できない場合がある。
【0033】
また、本発明の磁性キャリアは樹脂中に磁性の金属酸化物粒子を分散させた樹脂キャリアであるが、特に樹脂キャリアの場合のバインダー中の磁性体等の脱離を防止するためには熱硬化性の樹脂をバインダーとし、直接重合法によりキャリアコアを得ることが効果的であることがわかった。さらにバインダー中に分散する金属酸化物粒子の表面を親油化処現することで金属酸化物粒子の分散性が向上し、バインダー樹脂との密着性を高め、金属酸化物粒子の脱離を防止することがより良好になることもわかった。また、本発明の磁性キャリアは金属酸化物粒子とバインダー樹脂でコアを形成した後に、さらに表面に非磁性の金属酸化物粒子と樹脂からなる被覆層を設けることで高低抗化を可能にしている。すなわち比抵抗の高い非磁性金属酸化物粒子と樹脂とを用いてコアにコートを施すことで、被覆層の膜厚を厚く、かつ均一に形成できることによって高抵抗化を達成できる。ここでコア表面をコートする場合、非磁性の金属酸化物粒子は表面が上述した親油化処理してあることが好ましく、またコートの方法としては硬化性の樹脂をバインダーとして直接重合によるものが好ましい。
【0034】
尚、非磁性金属酸化物粒子のキャリア表面近傍への存在状態は磁性キャリアをミクロトームで切断し、断面を日立製作所製FE−SEM(S−800)を用いて5000倍から2万倍で表面観察することで確認した。
【0035】
本発明の磁性キャリアに用いることができる磁性金属酸化物粒子としては、MO・6(Fe2O3)で表される六方晶マグネトプランバイト構造を有するハードフェライト材料が好ましく、例えば、BaFe12O19、SrFe12O19、PbFe12O19であらわされるバリウムフェライト、ストロンチウムフェライト及び鉛フェライトなどを挙げることができる。また、キャリアとしての磁気特性や電気低抗等の調整のために、上記磁性金属酸化物粒子以外にも非磁性金属酸化物粒子を併用することが可能であり、例えば、Al2O3、SiO2、CaO、TiO2、V2O5、CrO2、MnO2、α−Fe2O3、CoO、NiO、CuO、ZnO、SrO、Y2O3、ZrO2等を挙げることができる。非磁性金属酸化物粒子を併用する場合には、比重や形状が類似している粒子を用いるのがバインダーとの密着性、キャリア強度を高めるためにより好ましい。本発明の磁性キャリアでは非磁性金属酸化物粒子としてヘマタイトを組み合せて用いていることが好ましい。
【0036】
上述した本発明の磁性キャリアの好ましい形態である磁性体分散型樹脂キャリアを製造する方法としては、直接的にモノマーと少なくとも磁性の金属酸化物粒子を混合、重合してキャリアを得る方法がある。このとき、重合に用いられるモノマーとしては、後述するビニル系モノマーの他にエポキシ樹脂の出発原料となるビスフェノール類とエピクロルヒドリン、フェノール樹脂のフェノール類とアルデヒド類、尿素樹脂の尿素とアルデヒド類、メラミンとアルデヒド類等が用いられる。例えば、硬化系フェノール樹脂を用いたキャリアの製造方法としては、水性媒体中でフェノール類とアルデヒド類を塩基性触媒の存在下で金属酸化物粒子、好ましくは親油化処理した金属酸化物粒子を入れ、重合して磁性キャリアを得る。
【0037】
上記の金属酸化物粒子を樹脂に分散してコアとする場合、磁性を示す金属酸化物粒子の個数平均粒径はキャリア粒径によっても変わるが、0.02〜2μmまでのものが好ましく用いることができる。また、2種以上の金属酸化物粒子を分散させて用いる場合、磁性を示す金属酸化物粒子の個数平均粒径は0.02〜2μmまでのものが用いることができ、他方の金属酸化物粒子の個数平均粒径は、0.05〜5μmのものが使用できる。この場合、磁性の金属酸化物粒子(粒径:ra)に対して他方の金属酸化物粒子(粒径:rb)の粒径比rb/raは1.0を超え5.0倍以下であることが好ましい。1.0倍以下であると比抵抗の低い磁性の金属酸化物粒子が表面に出やすくなり、後述するがキャリアコアの抵抗を十分に上げることができず、本発明のキャリア付着を防止する効果が得られにくくなる。また、5.0倍を超えると樹脂中への金属酸化物粒子の取り込みがうまくいかなくなり、キャリアの強度が低下し、金属酸化物粒子の脱離を引き起こしやすくなる。本発明で使用する金属酸化物粒子の粒径測定方法については後述する。
【0038】
本発明の磁性キャリアのコア中に含有される金属酸化物粒子の量は、50質量%〜99質量%である。金属酸化物粒子の量が50質量%未満であると帯電性が不安定になり、特に低温低湿環境下においてキャリアが帯電し、その残留電荷が残存しやすくなるために微粉トナーや外添削等がキャリア表面に付着しやすくなる。また、99質量%を超えるとキャリア強度が低下して、耐久によるキャリアの割れ、金属酸化物粒子の脱離などの問題を生じやすくなる。
【0039】
さらに本発明の磁性キャリアでは、例えば、コア中に非磁性の金属酸化物粒子と磁性の金属酸化物粒子を組み合わせるて用いるなど、2種以上の金属酸化物粒子を分散させることも可能である。この場合、コア中に含有される金属酸化物粒子全体に占める磁性を有する金属酸化物粒子の含有量が30質量%〜100質量%である。30質量%未満であるとコアの高抵抗化は良好になる半面、キャリアとしての磁気力が小さくなり、キャリア付着を招く場合がある。
【0040】
更に、本発明の磁性キャリアに使用される金属酸化物粒子は親油化処理されていることが好ましい、これはキャリアから金属酸化物粒子の脱離を防止でき、またキャリア製造上においても、親油化処理された金属酸化物粒子をバインダー樹脂中に分散させ、コア粒子を形成する場合、均一でかつ高密度でバインダー樹脂申に取り込ませることが可能となる。特に、重合法でコア粒子を形成する場合は球形で表面が平滑な粒子を得る上で重要である。
【0041】
親油化処理はシラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウムカップリング剤等のカップリング剤や種々の界面活性剤で表面処理することが好ましい。
【0042】
特にシラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤等のカップリング剤あるいは界面活性剤群の中から選ばれる1種以上のもので表面処理することが好ましい。
【0043】
シラン系カップリング剤としては、疎水性基、アミノ基あるいはエポキシ基を有するものを用いることができる。疎水性基をもつシラン系カップリング剤として例えば、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシ)シラン等を挙げることができる。アミノ基をもつシラン系カップリング剤としては、γ−アミノプロピルエトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。エポキシ基をもつシラン系カップリング剤としては、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)トリメトキシシラン等が挙げられる。
【0044】
チタン系カップリング剤としては、例えば、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリドデシルビンゼンスルホニルチタネート、イソプロペルトリス(ジオクチルピロホスフェート)チタネート等を挙げることができる。
【0045】
界面活性剤としては、市販の界面活性剤を使用することができる。
【0046】
本発明の磁性キャリアに用いられるバインダー樹脂としては、ビニル系モノマーを重合して得られる全ての樹脂が挙げられる。ここで言うビニル系モノマーとしては例えば、スチレン、O−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン、m−ニトロスチレン、O−ニトロスチレン、p−ニトロスチレン等のスチレン誘導体と、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレンなどのエチレン及び不飽和モノオレフィン類;ブタジエン、イソプレンなどの不飽和ジオレフィン類、塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、フッ化ビニル等のハロゲン化ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル等のビニルエステル類;メタクリル酸及びメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル等のα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;アクリル酸及びアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニル等のアクリル酸エステル類;マレン酸、マレイン酸ハーフエステル;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類、N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドン等のN−ビニル化合物;ビニルナフタリン類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等のアクリル酸若しくはメタクリル酸誘導体;アクロレイン類などが挙げられ、これらの中から1種又は2種以上使用して重合させたものが用いられる。
【0047】
また、ビニル系モノマーから重合して得られる樹脂以外にポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂などの非ビニル縮合系樹脂あるいはこれらと前記ビニル系樹脂との混合物を用いることができる。
【0048】
その他、本発明の磁性キャリアのコアを製造する方法としては、ビニル系、非ビニル系の熱可塑成樹脂、金属酸化物粒子、その他硬化剤等の添加剤を混合機により十分に混合してから加熱ロール、ニーダー、エクストルーダー等の混練機を用いて溶融、混練して、これを冷却後、粉砕分級を行なってキャリアコアを得ることができる。この際、得られた金属酸化物粒子を含有した樹脂粒子を熱あるいは機械的に球形化してコアとして用いることが好ましい。
【0049】
特に好ましく本発明の磁性キャリアのコアを製造する方法としては、キャリアコアの強度をアップさせたり、コート樹脂をより良好にコートするためにバインダーを架橋させて用いるのが好ましい。例えば、溶融混練時に架橋成分を添加し混練時に架橋させる、あるいは直接重合時に硬化型樹脂を選択し直接重合させてコアを得る、あるいは架橋成分を入れたモノマーを使用する等の方法を挙げることができる。
【0050】
本発明の磁性キャリアはコートして用いることが好ましい。コートする方法としてはキャリアコア材を浮遊流動させながらコート樹脂溶液をスプレーしコア材表面にコート膜性樹脂をバインダー樹脂としてキャリアコア材に用いているコア材にコートする場合に好適である。
【0051】
またその他のコート方法として、剪断応力を加えながらコート樹脂溶液の溶媒を徐々に揮発させながら被膜を形成させるなどの他のコート方法によっても本発明の樹脂コートキャリアを製造することができる。
【0052】
本発明に使用できるコート樹脂としては、絶縁性樹脂を使用することができる。ここで、使用される絶縁性樹脂としては熱可塑性の樹脂であっても熱硬化性樹脂であっても使用でき、具体的には例えば熱可塑性の樹脂としてはポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、スチレン−アクリル酸共重合体等のアクリル樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル、酢酸ビニル、ポリフッ化ビニリデン樹脂、フルオロカーボン樹脂、パーフロロカーボン樹脂、溶剤可溶性パーフロロカーボン樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリビニルピロリドン、石油樹脂、セルロース、酢酸セルロース、硝酸セルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース誘導体、ノボラック樹脂、低分子量ポリエチレン、飽和アルキルポリエステル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアクリレートといった芳香族ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルケトン樹脂を挙げることができる。
【0053】
またかかる硬化性樹脂としては、具体的には例えば、フェノール樹脂、変性フェノール樹脂、マレイン樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、具体的には例えば無水マレイン酸−テレフタル酸−多価アルコールの重縮合によって得られる不飽和ポリエステル、尿素樹脂、メラミン樹脂、尿素−メラミン樹脂、キシレン樹脂、トルエン樹脂、グアナミン樹脂、メラミン−グアテミン樹脂、アセトグアナミン樹脂、グリプタール樹脂、フラン樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリウレタン樹脂等を挙げることができる。上述した樹脂は、単独でも使用できるがそれぞれ混合して使用しても良い。また、熱可塑性樹脂に硬化剤などを混合し硬化させて使用することもできる。
【0054】
本発明においては、特にシリコーン樹脂をコートするのが好ましい。これはキャリア同士が合一せずに均一に膜形成ができ、長期の使用においてもコート層がコア材から剥がれることなく耐久性の優れたキャリアとすることができるからであり、またシリコーン樹脂は低表面エネルギーであるため、トナーと混合して現像剤とした場合に、キャリア表面へのトナー組成物のスペントを防止でき、安定してトナーに摩擦帯電電荷を付与できることによることによる。シリコーン樹脂をコートする場合は、被膜強度をより高めるためにキュアを施すことが好ましい。具体的には150℃以上の温度で0.5時間以上保持することが好ましい。
【0055】
また、コート量はキャリアコア粒子100質量部に対し、0.05〜10質量部であることが好ましい。さらには0.2質量%〜5質量%の範囲であることが最も好適である。コート量が0.05質量%未満ではキャリアコア材を十分にコートすることが困難となり、耐久後にトナースペントを十分抑制することができない。また、10質量%を超えると、樹脂コート量が多すぎるため比抵抗は所望の範囲とすることができるが流動性が低下したり、かえって電荷が蓄積することによるキャリア付着を生じたりする場合がある。
【0056】
尚、本発明の磁性キャリアの粒径測定方法については後述する。キャリアの磁気特性の測定は、理研電子(株)製の振動磁場型磁気特性自動記録装置BHV−30を用いて行った。測定条件の具体例は後述する。
【0057】
ところで、画質の向上はキャリアの改良のみでは難しく、トナーを改良することも重要である。すなわち、二成分系現像剤においてはキャリアは現像において重要であるが、それ以降の電子写真プロセスである転写、定着過程を経て、最終画像の画質ならびにカブリ等の画像品質に対してはトナーの影響が非常に大きい。本発明の二成分系現像剤においてはトナーを改良することで画像品質を向上することができた。
【0058】
すなわち、本発明に用いられるトナーは、重量平均粒径が1〜10μm、好ましくは3〜8μmの範囲であることが好適である。また、35%以下の個数分布の変動係数を有していることが反転成分のない良好な帯電付与、潜像ドットの再現性等を満足させるために必須である。
【0059】
トナー重量平均粒径が10μmを超えると、潜像を現像する粒子1個が大きくなるためにいくらキャリアの磁気力を下げても潜像に忠実な現像が行えず、また、静電的な転写を行うとトナーの飛び散りが激しくなる。また、1μm以下の粒径では粉体としてのハンドリング性に不都合を生じる。
【0060】
また、35%以下の個数分布の変動係数を超えると微粉トナーへのトナー帯電付与が良好に行えず、トナートリボ分布が広くなり、帯電不良(反転成分生成)や現像したトナーの粒径偏在化により耐久での粒径変化等の問題を生じてしまったり、キャリアとの摩擦帯電が良好に行えなくなるのに加え、潜像を忠実に再現できなくなる。本発明に用いる粒度分布の測定には、例えばレーザー走査型のCIS100(GLAI社製)を使用する方法を挙げることができる。
【0061】
具体的測定法については後述する。
【0062】
更にまた、本発明に用いられるトナーは形状係数SF−1が100〜130の範囲であり、全体、または一部が重合法で形成されており、かつ残存モノマー含有量が1000ppm以下であることが必要である。すなわち、本発明においてトナーは電子写真プロセス、特に現像同時クリーニング方法、クリーナレス画像形成方法等のクリーナーレスプロセスを用いたシステムにおいて有効である。すなわち、クリーナーレスプロセスのその原理は、電子写真各工程における感光体上のトナーの帯電極性及び帯電量を制御することと、反転現像方法を用いることが重要である。
【0063】
例を挙げて説明すると、マイナス帯電性の感光体及びマイナス帯電性のトナーを用いた場合、その転写工程において、プラス極性の転写部材によって可視化された像を転写材に転写することになるが、転写材の種類(厚み、抵抗、誘電率等の違い)と画像面積等の関係により、転写残余のトナーの帯電極性がプラスからマイナスまで変動する。しかし、マイナス帯電性の感光体を帯電する際のマイナス極性の帯電部材により、感光体表面と共に転写残余のトナーまでもが、転写工程においてプラス極性に振れていたとしても、一様にマイナス側へ帯電極性を揃えることが出来る。これゆえ、現像方法として反転現像を用いた場合、トナーの現像されるべき明部電位部にはマイナスに帯電された、転写残余のトナーが残り、トナーの現像されるべきでない暗部電位には、現像電界の関係上、トナー担持体の方に引き寄せられ、暗部電位をもつ感光体上にトナーは残留しない。
【0064】
このように、転写残余のトナーの帯電極性を制御することにより、現像同時クリーニング、クリーナレス画像形成方法が成立するわけであるが、このトナーの帯電極性を制御する工程において、感光体帯電部材によりトナーあるいは現像剤の劣化が促進されており、画質の劣化を引き起こしていることが判明した。
【0065】
その劣化の詳細であるが、例えば、コロナ帯電器を感光体帯電部材として用いた場合、先ず、コロナ帯電線により発生した電離イオンが感光体表面に導かれ、感光体表面に付着することにより表面に電位をもつ。このとき、感光体上にトナーが存在すれば、このコロナシャワーに晒されることにより、トナーも同時に感光体帯電極性と同極性に帯電される。これら電離イオンは化学的活性が非常に高いと考えられ、転写残余のトナーについてコロナシャワー、又は放電の影響をみると、感光体帯電部材を通過するトナーが帯電極性制御される際、化学的影響を受けて耐久特性、画像品質特性等に悪影響を与えていることが判明した。
【0066】
従来は、ブレード又は、ファーブラシなどのクリーニング部材により、転写残余のトナーが感光体上からクリーニングされており、感光体帯電の影響がトナーあるいは、現像剤に及ぶことはなかったものと考えられる。このため、感光体上に存在するトナーの帯電による化学的影響を考慮にいれた検討は行われていなかった。しかし、現像同時クリーニング、クリーナレス画像形成方法においては、感光帯電部材の影響を受けたトナーが現像器に回収、再利用されるため、これらの化学的影響を考慮にいれる必要性があることが判明した。
【0067】
本発明者らは、様々なトナーについて鋭意検討を行い、現像同時クリーニング、クリーナレス画像形成方法においては、トナー中に含まれる残存モノマーの含有量とこれら耐久特性、画像品質特性に密接なつながりのあることを見い出した。すなわち、残存モノマーによる作用は、以下のようなものと考えられる。例えば、結着樹脂、着色剤、帯電制御剤を主たる成分とするトナーの場合、残存モノマーは、トナー中に存在し、トナーのガラス転移点あるいはガラス転移点周辺の熱的挙動に影響を与える。モノマーは低分子量成分であるためにトナー全体を可塑化する方向に働く。一方、放電又はコロナシャワーに晒されたトナーについては、その活性種により、結着樹脂が影響を受ける。例えば、樹脂中の分子鎖が切断されることで樹脂分解物が生成し、低分子量分を生じたり、あるいは、逆に樹脂分解物が更に重合反応を促進していくなどが考えられる。一方、トナー中の残存モノマーは、感光体帯電部材により発生する活性種により、活性化するものと考えられる。
【0068】
このように、トナー中にはこれらに起因する反応性低分子量分が存在するため、これらが拮抗あるいは競合するものと考えられる。又、トナー中に含まれる荷電制御剤も比較的電子の授受に富む化合物であり、明瞭な原因の総ては掴みきれてはいないが、残存モノマーが存在することで、トナー中の反応性低分子量分の拮抗、競合の関係が変化することが示唆される。つまり、残存モノマーの影響でトナー表面の特性が徐々に変化することにより、トナーの流動性、帯電性が変化し、耐久により画像濃度の変化、カブリの発生、フィルミング等の問題が生じる。
【0069】
トナー中の残存モノマー含有量という観点から現象を解析すると、1000ppmよりも少なければ、耐久特性上の性能が良好であり、1000ppmを超える範囲のトナーを用いると、耐久特性及び画像特性の点で実用上不十分である。望ましくは、残存モノマー量が、500ppm以下であると、耐久特性、画像品質特性が良好となり、300ppm以下であると更に良好な結果が得られる。本発明に供せられるトナー中の残存モノマーの定量方法については後述する。
【0070】
また、本発明においては、トナーの形状係数SF−1が100〜130であるものが好適に用いられる。さらに好ましくは、SF−1が100〜120である。本発明に用いられる形状係数を示すSF−1は、日立製作所製FE−SEM(S−800)を用いトナー像を100個無作為にサンプリングし、その画像情報はインターフェースを介してニレコ社製画像解析装置(LUSEX3)に導入し解析を行い下式より算出し得られた値を本発明においては形状係数SF−1と定義した。
【0071】
【数1】
【0072】
トナーの形状係数SF−1は球形度合を示し、130より大きいと、球形から徐々に不定形となる。トナー形状の作用効果としては、できるだけ、トナー表面に対する感光体帯電部材の影響を低め、トナー中に反応性低分子量成分の生成を抑さえることである。すなわち、トナー表面積のなるべく小さい球形が好ましい。
【0073】
トナーの一部又は、全体が重合法により形成されたトナーを用いることにより発明の効果を高めることが出来る。特に、トナー表面部分を重合法により形成されたトナーについては、分散媒中にプレトナー(モノマー組成物)粒子として存在させ、必要な部分を重合反応により生成するため、表面性については、かなり平滑化されたものを得ることが出来る。この平滑さの作用効果は、電界がいわゆる尖った部分に集中する傾向があることに集約される。
【0074】
すなわち、感光体帯電工程を経たトナーについては、いわゆる凸凹のあるトナーについては、凸部分にコロナシャワーあるいは放電が集中しその部分を特異的に劣化する特性をもつのに対し、平滑であればコロナシャワーあるいは放電の集中するところがないので劣化しにくいと考えられる。
【0075】
SF−1が130を超えると、カブリが増えたり、耐久性が若干劣る場合がある。
【0076】
さらには、トナーにコア/シェル構造をもたせ、シェル部分を重合により形成されたようなトナーを用いることで、本発明に用いられるトナーをさらに容易に製造することが出来る。この意味で、本発明には、コア/シェル構造を有するトナーが好ましく用いられる。コア/シェル構造の作用は、トナーの優れた定着性を損なうことなく耐ブロッキング性を付与できることは言うまでもなく、コアを有しないようなバルクとしての重合トナーに比較して、シェル部分のみを重合するほうが、重合工程の後の後処理工程において、残存モノマーの除去が容易に行われるからである。
【0077】
また、コア部の主たる成分としては低軟化点物質が好ましく、ASTM D3418−8に準拠し測定された主体極大ピーク値が、40〜90℃を示す化合物が好ましい。極大ピークが40℃未満であると低軟化点物質の自己凝集力が弱くなり、結果として高温オフセット性が弱くなり好ましくない。一方、極大ピークが、90℃を超えると定着温度が高くなり、好ましくない。更に直接重合方法によりトナーを得る場合においては、水系で造粒・重合を行うため極大ピーク値の温度が高いと主に造粒中に低軟化点物質が析出してきて懸濁系を阻害するため好ましくない。
【0078】
本発明の極大ピーク値の温度の測定には、例えばパーキンエレマー社製DSC−7を用いる。装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。サンプルはアルミニウム製パンを用い対照用に空パンをセットし、昇温速度10℃/min.で測定を行なった。
【0079】
具体的にはパラフィンワックス,ポリオレフィンワックス,フィッシャートロピッシュワックス,アミドワックス,高級脂肪酸,エステルワックス及びこれらの誘導体又はこれらのグラフト/ブロック化合物等が利用できる。
【0080】
また、低軟化点物質はトナー中へ5〜30質量%添加することが好ましい。仮に5質量%未満の添加では先に述べた残存モノマーの除去に負担がかかり、又30質量%を超える場合は、重合法による製造においても造粒時にトナー粒子同士の合一が起きやすく、粒度分布の広いものが生成しやすく、本発明には不適当であった。
【0081】
本発明に使用されるトナーの結着剤樹脂としては、具体的には例えばポリスチレン、ポリ−P−クロルスチレン、ポリビニルトルエンと言ったスチレンおよびその誘導体から得られる高分子化合物、スチレン−P−クロルスチレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体、ポリ塩化ビニル、フェノール樹脂、変性フェノール樹脂、マレイン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル、シリコーン樹脂、脂肪族多価アルコール、脂肪族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、芳香族ジアルコール類、ジフェノール類から選択される単量体を構造単位として有するポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール、テルペン樹脂、クマロンインデン樹脂、石油樹脂、架橋したスチレン系樹脂および架橋したポリエステル樹脂等を挙げることができる。
【0082】
スチレン−アクリル系共重合体に使用される重合可能な単量体としては具体的に例えば、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸2エチルヘキシル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸オクチル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドと言ったエチレン性2重結合を有するアクリル酸エステル類、例えばマレイン酸、マレイン酸ブチル、と言ったマレイン酸のハーフエステル、およびジエステル類、酢酸ビニル、塩化ビニル、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテル、ビニルブチルエーテルと言ったビニルエステル類、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルヘキシルケトンと言ったビニルケトン類を挙げることができる。
【0083】
上述した架橋剤としは、主として不飽和結合を2個以上有する化合物を挙げることができ、具体的には例えばジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン等の芳香族ジビニル化合物、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレートと言った不飽和結合を2個有するカルボン酸エステル、ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルスルフィド、ジビニルスルホン等のジビニル化合物、および不飽和結合を3個以上有する化合物を単独若しくは混合して使用することができる。上述の架橋剤は、結剤着樹脂に対して、0.01から10質量%、好ましくは0.05から5質量%で使用するのが好適である。
【0084】
加圧定着方式を用いる場合には、圧力定着トナー用結剤着樹脂を使用することが可能であり、具体的には例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチレン、ポリウレタンエラストマー、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、線状飽和ポリエステル、パラフィンおよび他のワックス類を挙げることができる。
【0085】
本発明に使用されるトナーには、荷電制御剤をトナーに配合して使用することもできる。荷電制御剤の添加によって現像システムに応じた最適の帯電量とすることができる。かかる正荷電制御剤としてはニグロシン、及び脂肪酸金属塩誘導体、トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4ナフトスルホン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフロロボレートと言った4級アンモニウム塩、ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド、ジシクロヘキシルスシオキサイドと言った、ジオルガノスズオキサイド、ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズボレート、ジシクロヘキシルスズボレートを単独であるいは2種以上組み合わせて用いることができる。上述した荷電制御剤のうち特に、ニグロシン系、4級アンモニウム塩と言った荷電制御剤が好適である。
【0086】
また、本発明では負荷電制御剤を使用することもでき、具体的には例えば、有機金属錯体、キレート化合物が有効であり、アルミニウムアセチルアセトナート、鉄(II)アセチルアセトナート、3,5−ジターシャルブチルサリチル酸クロムを挙げることができる。特にアセチルアセトンの金属錯体(モノアルキル置換体、ジアルキル置換体を包含する)、サリチル酸系金属錯体(モノアルキル置換体、ジアルキル置換体を包含する)、またはそれらの塩が好ましく、特にはサリチル酸系金属塩が好適である。上述の荷電制御剤はトナーに添加する際には、結着剤樹脂に対して0.1〜20質量部、より好ましくは0.2〜10質量部で使用されることが好適である。特にカラー画像形成に使用される場合には無色若しくは淡色の荷電制御剤を使用することが好ましい。
【0087】
本発明で使用されるトナーに添加することができる着色剤としては、従来知られている染料及び顔料を使用することができ、具体的には例えばカーボンブラック、マグネタイト、フタロシアニンブルー、ピーコックブルー、パーマネントレッド、レーキレッド、ローダミンレーキ、ハンザイエロー、パーマネントイエロー、ベンジジンイエロー等を使用することができる。その際の添加料としては、結着剤樹脂に対して0.1〜20質量%好ましくは0.5〜20質量部、さらにはトナー像の好適なOHPフイルムの透過性を考慮すると12質量%以下の範囲で使用されるのが好ましく、通常0.5〜9質量%であるのが最も好適である。
【0088】
本発明のトナーにはさらに熱ロール定着時の離型性を向上させる目的でポリエチレン、ポリプロピレン、マイクロクリスタリングワックス、カルナバワックス、サゾールワックス、パラフィンワックスなどのワックス成分を添加することもできる。
【0089】
本発明に使用されるトナーにはシリカ、アルミナ、酸化チタン、ポリテトラフロロエチレン、ポリビニリデンフロライド、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、シリコーンと言った微粉末を添加することが好適である。トナーに対して上述した微粉末を添加することによって、トナーとキャリア、あるいはトナー相互の間に微粉末が存在することになり、現像剤の流動性が向上され、さらに現像剤の寿命も向上されることになる。上述した微粉末の平均粒径は0.2μm以下であることが好ましい。平均粒径が0.2μmを超えると流動性向上の効果がなくなり、トナー現像、転写時の不良等により画質を低下させてしまう場合がある。これら微粉末の平均粒径の測定は後述する。
【0090】
また、これら微粉末の表面積としては、BET法による窒素吸着によった比表面積が30m/g以上、特に50〜400m2/gの範囲のものが良好である。かかる微粉末の添加量は、トナー粒径に合わせてトナー100質量%に対して0.1〜20質量%で使用することが好適である。
【0091】
本発明に用いられるトナーを粉砕法で製造する方法は、ビニル系、非ビニル系の熱可塑成樹脂、着色剤、荷電制御剤、その他の添加剤を混合機により十分に混合してから加熱ロール、ニーダー、エクストルーダーと言った混練機を用いて溶融、混練して樹脂類を十分に混合して、その中に顔料、若しくは染料を分散させる。これを冷却後、粉砕分級を行なってトナー粒子を得ることができる。本発明におけるトナーの分級方法として好ましくは、慣性力を利用した多分割分級装置を用いる。この装置を用いることにより、本発明の粒度分布を有するトナーを効率的に製造できる。
【0092】
発明に用いられるトナーの製造方法に直接重合方法を用いる場合は、具体的には以下のようにして製造することが可能である。
【0093】
単量体中に低軟化物質から在る離型剤,着色剤,荷電制御剤,重合開始剤その他の添加剤を加え、ホモジナイサー・超音波分散機等によって均一に溶解又は分散せしめた単量体組成物を、分散安定剤を含有する水相中に通常の撹拌機またはホモミキサー,ホモジナイサー等により分散せしめる。好ましくは単量体組成物からなる液滴が所望のトナー粒子のサイズを有するように撹拌速度・時間を調整し、造粒する。その後は分散安定剤の作用により、粒子状態が維持され、且つ粒子の沈降が防止される程度の撹拌を行えば良い。
【0094】
重合温度は40℃以上、一般的には50〜90℃の温度に設定して重合を行う。また、重合反応後半に昇温しても良く、更に、耐久特性向上の目的で、未反応の重合性単量体、副生成物等を除去するために反応後半、又は、反応終了後に一部水系媒体を留去しても良い。反応終了後、生成したトナー粒子を洗浄・ろ過により回収し、乾燥する。懸濁重合法においては、通常単量体系100質量部に対して水300〜3000質量部を分散媒として使用するのが好ましい。得られたトナーは分級して粒度分布を制御しても良く、その方法として好ましくは、慣性力を利用した多分割分級装置を用いる。この装置を用いることにより、本発明の粒度分布を有するトナーを効率的に製造できる。
【0095】
また、トナー中に低軟化点物質を内包化せしめる具体的方法としては、水系媒体中での材料の極性を主要単量体より低軟化点物質の方を小さく設定し、更に少量の極性の大きな樹脂又は単量体を添加せしめることで低軟化点物質を外殻樹脂で被覆したいわゆるコア/シェル構造を有するトナーを得ることができる。トナーの粒度分布制御や粒径の制御は、難水溶性の無機塩や保護コロイド作用をする分散剤の種類や添加量を変える方法や機械的装置条件例えばローターの周速・パス回数・撹拌羽根形状等の撹拌条件や容器形状又は、水溶液中での固形分濃度等を制御することにより可能となる。
【0096】
本発明に用いられるトナーの外殻樹脂としては、一般的に用いられているスチレン−(メタ)アクリル共重合体,ポリエステル樹脂,エポキシ樹脂,スチレン−ブタジエン共重合体を利用する事が出来る。重合法による直接トナーを得る方法においては、それらの単量体が好ましく用いられる。外殻樹脂成分の数平均分子(Mn)は、5000〜1000000が好ましく、また重量平均分子量(Mw)と数平均分子鐙(Mn)の比(Mw/Mn)は、2〜100が好ましい。
【0097】
外殻樹脂の分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定される。具体的なGPCの測定方法としては、予めトナーをソックスレー抽出器を用いトルエン溶剤で20時間抽出を行った後、ロータリーエバポレーターでトルエンを留去せしめ、更に低軟化点物質は溶解するがシェル用樹脂は溶解し得ない有機溶剤、例えばクロロホルム等を加え十分洗浄を行った後、THF(テトラヒドロフラン)に可溶した溶液をポア径が0.3μmの耐溶剤性メンブランフィルターでろ過したサンプルをウォーターズ社製150Cを用い、カラム構成は昭和電工製A−801、802、803、804、805、806、807を連結し標準ポリスチレン樹脂の検量線を用い分子量分布を測定し得る。
【0098】
本発明において用いられるトナーがコア/シェル構造を有する場合、その製造方法としては、外殻樹脂で低軟化点物質を内包化せしめるため外殻樹脂の他に更に極性樹脂を添加せしめることが特に好ましい。本発明に用いられる極性樹脂としては、スチレンと(メタ)アクリル酸の共重合体,マレイン酸共重合体,飽和ポリエステル樹脂,エポキシ樹脂が好ましく用いられる。該極性樹脂は、シェル樹脂又は単最体と反応しうる不飽和基を分子量に含まないものが特に好ましい。仮に不飽和基を有する極性樹脂を含む場合においてはシェル樹脂層を形成する単錯体と架橋反応が起き、特に、フルカラー用トナーとしては、極めて高分子量になり四色トナーの混色には不利となり好ましくない。
【0099】
また、本発明においては、外殻構造を有するトナーの表面にさらに重ねて重合法により最外殻樹脂層を設けても良い。
【0100】
上述の最外殻樹脂腰のガラス転移温度は、耐ブロッキング性のさらなる向上のため外殻樹脂層のガラス転移温度以上に設計されること、さらに定着性を損なわない程度に架橋されていることが好ましい。また、該外殻樹脂層には帯電性向上のため極性樹脂や荷電制御剤が含有されていることが好ましい。
【0101】
本発明に用いられるトナーに外添剤として微粉末を処理する場合は、ヘンシェルミキサー等の混合機を使用して行うことができる。このようにして得られたトナーは本発明のキャリア粒子と混合されて二成分現像剤とされる。上述の二成分現像剤を形成する場合、現像プロセスにも依存するが典型的には現像剤中のトナーの割合が1〜20質量%、より好ましくは1〜10質量%の範囲であることが好適である。またかかる二成分現像剤の摩擦帯電量としては5〜100μC/gの範囲であることが好適であり、最も好ましくは5〜60μC/gである。なお本発明で使用した摩擦帯電量の測定条件については後述する。
【0102】
以下に本発明で使用する種々の測定方法を記載する。
【0103】
本発明で使用したキャリア粒径の測定方法を記載する。本発明のキャリアの粒径は、走査電子顕微鏡(100〜5000倍)によりランダムに粒径0.1μm以上のキャリア粒子300個以上抽出し、ニレコ社(株)製の画像処理解析装置Luzex3により水平方向フェレ径をもってキャリア粒径として測定し、個数平均粒径を算出するものとする。
【0104】
本発明で使用するキャリアの磁気特性は理研電子(株)製の振動磁場型磁気特性自動記録装置BHV−30を用いて測定する。キャリア粉体の磁気特性値は1キロエルステッドの外部磁場を作り、そのときの磁化の強さを求める。キャリアは円筒状のプラスチック容器に十分密になるようにパッキングした状態に作製する。この状態で磁化モーメントを測定し、試料を入れたときの実際の重量を測定して、磁化の強さを求める。(emu/g)ついで、キャリア粒子の真比重を乾式自動密度計アキュピック1330(島津製作所(株)社製)により求め、磁化の強さ(emu/g)に真比重を掛けることで本発明の単位体積あたりの磁化の強さ(emu/cm3)を求める。
【0105】
本発明の磁性キャリアの比抵抗の測定はハイレジスタンスメーター4329A(横河ヒューレットパッカード製)で測定した値を示した。
【0106】
また、本発明で使用する金属酸化物粒子の粒径測定方法を以下に記載する。本発明の金属酸化物粒子の個数平均粒径は、日立製作所(株)社製透過型電子顕微鏡H−800により5000〜20000倍に拡大した写真画像を用い、ランダムに粒径0.01μm以上の粒子を300個以上抽出し、ニレコ社(株)製の画像処理解析装置Luzex3により水平方向フェレ径をもって金属酸化物粒子粒径として測定し、平均か処理して個数平均粒径を算出するものとする。
【0107】
以下に、本発明で使用するトナー粒径測定の具体例を示す。純水100〜150mlに界面活性剤(アルキルベンゼンスルホン酸塩)を0.1〜5ml添加し、これに測定試料を2〜20mg添加する。試料を懸濁した電解液を超音波分散器で1〜3分間分散処理して、レーザースキャン粒度分布アナライザーCIS−100(GALAI社製)を用いて粒度分布等を測定する。本発明では0.5μm〜60μmの粒子を測定して、この条件で測定した個数平均粒径、標準偏差をコンピュータ処理により求め、更に個数分布の変動係数を計算によりを求める。
【0108】
本発明に用いられるトナー中の残存モノマーの定量方法については、トナー0.2gをTHF4mlに溶解し、ガスクロマトグラフィーにて以下の条件で内部標準法により測定した。
【0109】
【0110】
トナーの摩擦帯電量の測定方法を記載する。ポリビンにトナーとキャリアをトナー重量が5質量%となるように混合し、ヤヨイ式振とう機で120秒間混合する。この混合粉体(現像剤)を底部に635メッシュの導電性スクリーンを装着した金属製の容器にいれ、吸引機で吸引し、エレクトロメーターに表示された値と容器内の重量変化から摩擦帯電量を求める。この際、吸引圧を250mmHgとする。この方法によって、トナーの摩擦帯電量Qを下記式を用いて算出する。
Q(mC/kg)=Q’/(W1−W2)
(式中W1は吸引前の重量でありW2は吸引後の重量であり、Q’はエレクトロメーターに表示された値である。)
【0111】
以下に本発明を実施例をもって具体的に説明するが、本発明は実施例によって制限されるものではない。
【0112】
[実施例]
<磁性キャリア製造例>
(磁性キャリアA)
・フェノール 10質量部
・ホルムアルデヒド溶液 6質量部
(ホルムアルデヒド40%、メタノール10%、水50%)
・親油化処理したバリウムフェライト 100質量部
上記材料と、28%アンモニア水、水をフラスコに入れ、撹拌、混合しながら40分間で85℃まで昇温・保持し、3時間反応・硬化させた。その後、30℃まで冷却し、さらに水を添加した後、上澄み液を除去し、沈殿物を水洗し、風乾した。次いで、これを減圧下(5mmHg以下)で180℃で乾燥して、球状のキャリアコア粒子(a)を得た。
【0113】
次いで上記で得られたキャリアコア粒子(a)100質量部、フェノール0.5質量部、ホルマリン溶液0.75部、親油化処理α−Fe2O3 2質量部、28質量%のアンモニア水0.2質量部、及び水50質量部をフラスコにいれ、撹拌、混合しながら40分間で85℃まで昇温、保持し、3時間反応・硬化させた。その後、30℃まで冷却し、50質量部の水を添加した後、上澄み液を除去し、水洗し、風乾した。次いで減圧下(5mmHg以下)に170℃で乾燥して、表面をフェノール樹脂でコートしたキャリアコア粒子(b)を得た。また、このキャリアコア粒子の切断面をFE−SEM観察したところ、粒子表面近傍に樹脂とα−Fe2O3からなるコート層が形成されていることが判明した。
【0114】
上記で用いたバリウムフェライト粉(個数平均粒径0.25μm)及びα−Fe2O3(個数平均粒径0.60μm)はそれぞれ、0.5質量%のシラン系カップリング剤[3−(2−アミノエチルアミノプロピル)ジメトキシシラン]を加え、容器内で100℃以上で、高速混合撹拌して金属酸化物粒子の親油化処理を行った。
【0115】
更に、上記で得られたキャリアコア粒子(b)の表面に、以下の方法で熱硬化性のシリコーン樹脂をコートした。キャリアコア粒子(b)の表面のコート樹脂量が0.5質量%になるように、トルエンを溶媒として10質量%のキャリアコード溶液を作製した。次にキャリアコア粒子(b)に剪断応力を連続して加えながらコート溶液を滴下した後、溶媒を揮発させて、キャリアコア表面へのコートを行った。このコート磁性キャリア粒子を160℃で2時間熱処理した後、放冷する。次に凝集したキャリアを解砕し、更に200メッシュの節で分級して、磁性キャリア(A)を得た。
【0116】
得られた磁性キャリア粒子の個数平均粒径は36.5μmであった。また、キャリアの切断面をFE−SEM観察したところ、粒子表面近傍に樹脂とFe2O3からなるコート層とさらにその上にシリコーン樹脂層が形成されていることが判明した。
【0117】
得られた磁性キャリア粒子(A)を10キロエルステッドの磁場中で磁化したのち、磁気特性を測定した。10キロエルステッドにおける飽和磁化は175emu/cm3であり、残留磁化は110emu/cm3、保持力2650エルステッドであった。磁性キャリア粒子の真比重は3.7g/cm3であった。磁性キャリア粒子の比抵抗は、25V印加時には3.6×1016Ω・cm,100V印加時には7.5×1015Ω・cm,500V印加時には9.2×1014Ω・cmであった。
【0118】
(磁性キャリアB)
・フェノール 10質量部
・ホルムアルデヒド溶液 6質量部
(ホルムアルデヒド40%、メタノール10%、水50%)
・親油化処理したストロンチウムフェライト 100質量部
上記材料と、28%アンモニア水、水をフラスコに入れ、撹拌、混合しながら40分間で85℃まで昇温・保持し、3時間反応・硬化させた。その後、30℃まで冷却し、さらに水を添加した後、上澄み液を除去し、沈殿物を水洗し、風乾した。次いで、これを減圧下(5mmHg以下)で180℃で乾燥して、球状のキャリアコア粒子(c)を得た。
【0119】
次いで上記で得られたキャリアコア粒子(c)100質量部、フェノール0.5質量部、ホルマリン溶液0.75部、親油化処理α−Fe2O3 1.5質量部、28質量%のアンモニア水0.2質量部、及び水50質量部をフラスコにいれ、撹拌、混合しながら40分聞で85℃まで昇温・保持し、3時間反応・硬化させた。その後、30℃まで冷却し、50質量部の水を添加した後、上澄み液を除去し、水洗し、風乾した。次いで減圧下(5mmHg以下)に170℃で乾燥して、表面をフェノール樹脂でコートしたキャリアコア粒子(d)を得た。
【0120】
キャリアコア粒子の切断面をFE−SEM観察したところ、粒子表面近傍に樹脂とα−Fe2O3からなるコート層が形成されていることが判明した。
【0121】
尚、上記で用いたストロンチウムフェライト粉(個数平均粒径0.25μm)及びα−Fe2O3(個数平均粒径0.60μm)はそれぞれ、1.0質量%のシラン系カップリング剤[3−(2−アミノエチルアミノプロピル)ジメトキシシラン]を加え、容器内で100℃以上で、高速混合撹拌して金属酸化物粒子の親油化処理を行ったものである。
【0122】
次に、上記で得られたキャリアコア粒子(d)の表面に、以下の方法で熱硬化性のシリコーン樹脂をコートした。キャリアコア粒子(d)の表面のコート樹脂量が0.5質量%になるように、シリコーン樹脂を秤取した。次にシラン系カップリング剤として3−アミノプロピルトリメトキシシランを上述のシリコーン樹脂固形分量の3質量%となるように秤取して添加した。次にトルエンを溶媒としてシリコーン樹脂溶液の樹脂固形分濃度が10質量%になるように希釈してキャリアコート溶液を作製した。
【0123】
次にキャリアコア粒子(d)に剪断応力を連続して加えながら上記のコート溶液を滴下した後、溶媒を揮発させて、キャリアコア表面へのコートを行った。このコート磁性キャリア粒子を160℃で2時間熱処理した後、放冷する。次に凝集したキャリアを解砕し、更に200メッシュの篩で分級して、磁性キャリア(B)を得た。得られた磁性キャリア粒子の個数平均粒径は37.1μmであった。また、キャリアの切断面をFE−SEM観察したところ、粒子表面近傍に樹脂と、α−Fe2O3からなるコート層とさらにその上にシリコーン樹脂層が形成されていることが判明した。
【0124】
得られた磁性キャリア粒子(B)を10キロエルステッドの磁場中で磁化したのち、磁気特性を測定した。10キロエルステッドにおける飽和磁化は150emu/cm3であり、残留磁化は90emu/cm3、保持カ2200エルステッドであった。磁性キャリア粒子の真比重は3.65g/cm3であった。磁性キャリア粒子の比抵抗は、25V印加時には2.9×1016Ω・cm、100V印加時には8.3×1015Ω・cm、500V印加時には3.1×1015Ω・cmであった。
【0125】
(磁性キャリアC)
・フェノール 7質量部
・ホルマリン溶液 10.5質量部
(ホルムアルデヒド40%、メタノール10%、水50%)
・親油化処理したバリウムフェライト粉 73質量部
・親油化処理したα−Fe2O3 15質量部
上記材料と塩基性触媒として28質量%アンモニア水2質量部、および水15質量部をフラスコに入れ、撹拌、混合しながら40分間で85℃まで昇温・保持し、3時間反応・硬化させた。その後、30℃まで冷却し、100質量部の水を添加した後、上澄み液を除去し、沈殿物を水洗し、風乾した。次いで、これを減圧下(5mmHg以下)に70℃で乾燥して、バリウムフェライトとα−Fe2O3とをフェノール樹脂をバインダーとして結合した球状のキャリアコア(e)を得た。
【0126】
次いで上記で得られたキャリアコア粒子(e)100質量部、フェノール0.5質量部、ホルマリン溶液0.75部、親油化処理α−Fe2O3 1.5質量部、28質量%のアンモニア水0.2質量部、及び水50質量部をフラスコにいれ、撹拌、混合しながら40分間で85℃まで昇温、保持し、3時間反応・硬化させた。その後、30℃まで冷却し、50質量部の水を添加した後、上澄み液を除去し、水洗し、風乾した。次いで減圧下(5mmHg以下)に170℃で乾燥して、表面をフェノール樹脂でコートしたキャリアコア粒子(f)を得た。また、キャリアの切断面をFE−SEM観察したところ、粒子表面近傍に樹脂とα−Fe2O3からなるコート層が形成されていることが判明した。
【0127】
尚、上記で用いたバリウムフェライト粉(個数平均粒径0.25μm)及びα−Fe2O3(個数平均粒径0.60μm)はそれぞれ、2.0質量%のチタン系カップリング剤(イソプロピルトリトデシルベンセンスルホニルチタネート)を加え、容器内で100℃以上で、高速混合撹拌して金属酸化物粒子の親油化処理を行ったものである。
【0128】
次に、上記で得られたキャリアコア粒子(f)の表面に、以下の方法で熱硬化性のシリコーン樹脂をコートした。まず、キャリアコア粒子(f)の表面のコート樹脂量が0.5質量%になるように、シリコーン樹脂を秤取し、次にシラン系カップリング剤としてn−プロピルトリメトキシシランを上述のシリコーン樹脂固形分量の3質量%となるように秤取して添加した。次にトルエンを溶媒としてシリコーン樹脂溶液の樹脂固形分濃度が10質量%になるように希釈してキャリアコート溶液を作製した。
【0129】
次にキャリアコア粒子(f)に剪断応力を連続して加えながら上記のコート溶液を滴下した後、溶媒を揮発させて、キャリアコア表面へのコートを行った。このコート磁性キャリア粒子を160℃で2時間熱処理した後、放冷する。次に凝集したキャリアを解砕し、更に200メッシュの篩で分級して、磁性キャリア(C)を得た。得られた磁性キャリア粒子の個数平均粒径は42.0μmであった。キャリアの切断面をFE−SEM観察したところ、粒子表面近傍に樹脂とα−Fe2O3からなるコート層とさらにその上にシリコーン樹脂層が形成されていることが判明した。
【0130】
得られた磁性キャリア粒子(C)を10キロエルステッドの磁場中で磁化したのち、磁気特性を測定した。10キロエルステッドにおける飽和磁化は140em/cm3であり、残留磁化は85emu/cm3、保持力2100エルステッドであった。磁性キャリア粒子の奥比重は3.63g/cm3であった。磁性キャリア粒子の比抵抗は、25V印加時には7.9×1015Ω・cm,100V印加時には6.5×1015Ω・cm、500V印加時には4.1×1015Ω/cmであった。
【0131】
(磁性キャリアD)
・フェノール 10質量部
・ホルムアルデヒド溶液 6質量部
(ホルムアルデヒド40%、メタノール10%、水50%)
・親油化処理したマグネタイト 100質量部
上記材料と、28%アンモニア水、水をフラスコに入れ、撹拌、混合しながら40分間で85℃まで昇温・保持し、3時間反応・硬化させた。その後、30℃まで冷却し、さらに水を添加した後、上澄み液を除去し、沈殿物を水洗し、風乾した。次いで、これを減圧下(5mmHg以下)で180℃で乾燥して、球状のキャリアコア粒子(g)を得た。
【0132】
上記で用いたマグネタイト粉(個数平均粒径0.24μm)1.0質量%のシラン系カップリング剤〔3−(2−アミノエチルアミノプロピル)ジメトキシシラン]を加え、容器内で100℃以上で、高速混合撹拌して親油化処理を行った。
【0133】
更に、上記で得られたキャリアコア粒子(g)の表面に、キャリアAと同様の方法で熱硬化性のシリコーン樹脂をコートして、磁性キャリア(D)を得た。キャリアの切断面をFE−SEM観察したところ、バインダー樹脂とマグネタイトからなるコア粒子の表面にシリコーン樹脂層が形成されていることが判明した。
【0134】
得られた磁性キャリア粒子の個数平均粒径は36.0μmであった。得られた磁性キャリア粒子(D)の磁気特性を測定した。10キロエルステッドにおける飽和磁化は210emu/cm3であり、残留磁化は20emu/cm3、保持力は0エルステッドであった。磁性キャリア粒子の真比重は3.65g/cm3であった。磁性キャリア粒子の比抵抗は、25V印加時には2.1×109Ω・cm,100V印加時には7.5×108Ω・cm,500V印加時に2.4×107Ω・cmであった。
【0135】
(磁性キャリアE)
・Fe2O3 26.4質量部
・CuO 12.0質量部
・ZnO 52.7質量部
になるように秤量し、ボールミルを用いて混合を行った。
【0136】
これを仮焼した後、ボールミルにより粉砕を行い、さらにスプレードライヤーにより造粒を行った。これを焼結し、さらに分級してキャリアコア粒子を得た。このキャリアコアに、スチレン−メタクリル酸2−エチルヘキシル共重合体(共重合比:50/50)をコート量0.5質量%になるようトルエンを溶媒として流動床式塗布装置スピラコーター(岡田精工社製)を用いてコートを行い、150℃で1時間流動床中で乾燥した後、解砕し、更に200メッシュの篩がけによる分級を行って磁性キャリア(E)を得た。得られたキャリア粒子の粒径は、45.0μmであった。得られた磁性キャリア粒子(B)の磁気特性を測定した。10キロエルステッドにおける飽和磁化は280emu/cm3であり、残留磁化は0emu/cm3、保持力は0エルステッドであった。磁性キャリア粒子の奥比重は4.88g/cm3であった。磁性キャリア粒子の比抵抗は、25V印加時には7.1×1012Ω・cm,100V印加時には5.0×1010Ω・cm,500V印加時には3.4×109Ω・cmであった。
【0137】
[トナー製造例]
(重合トナーの製造例A)
イオン交換水710gに、0.1M−Na3PO4水溶液450gを投入し、60℃に加温した後、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、12000rpmにて擾幹した。とれに1.0M−CaCl2水溶液68gを徐々に添加し、Ca3(PO4)2を含む水系媒体を得た。
【0138】
一方、
上記処方を60℃に加温し、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、12000rpmにて均一に溶解、分散した。これに、重合開始剤2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)10gを溶解し、重合性単量体組成物を調製した。
【0139】
前記、水系媒体中に上記重合性単量体組成物を投入し、60℃,N2雰囲気下において、TK式ホモミキサーにて10000rpmで10分間撹拌し、重合性単量体組成物を造粒した。その後、パドル撹拌翼で撹拌しつつ、80℃に昇温し、10時間反応させた。重合反応終了後、減圧下で残存モノマーを留去し、冷却後、塩酸を加え、リン酸カルシウムを溶解させた後、ろ過、水洗、乾燥をして、シアン着色懸濁粒子を得た。
【0140】
得られた着色粒子は個数平均粒径(D1)が5.2μmであり、変動係数19%であった。
【0141】
得られた着色粒子100質量部に対して、BET法による比表面積が、200m2/gである疎水性シリカを1.5質量部外添し、懸濁重合トナーAを得た。このシアントナーの個数平均粒径及び変動係数は実質的に外添前と同等であった。また、得られたトナーの形状係数SF−1は112であり、残存モノマー量は420ppmであった。
【0142】
(重合トナーの製造例B)
イオン交換水710gに、0.1M−Na3PO4水溶液450gを投入し、60℃に加温した後、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、12000rpmにて援幹した。これに1.0M−CaCl2水溶液68gを徐々に添加し、Ca3(PO4)2を含む水系媒体を得た。
【0143】
一方、
上記処方を60℃に加温し、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、12000rpmにて均一に溶解、分散した。これに、重合開始剤2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)10gを溶解し、重合性単量体組成物を調製した。
【0144】
前記、水系媒体中に上記重合性単量体組成物を投入し、60℃,N2雰囲気下において、TK式ホモミキサーにて10000rpmで10分間撹拌し、重合性単量体組成物を造粒した。その後、パドル撹拌翼で撹拌しつつ、80℃に昇温し、10時間反応させた。
【0145】
重合反応終了後、製造例Aと同一条件の減圧下で残存モノマーを留去し、冷却後、塩酸を加えリン酸カルシウムを溶解させた後、ろ過、水洗、乾燥をして、シアン着色懸濁粒子を得た。得られた着色粒子は個数平均粒径(D1)が5.1μmであり、変動係数17%であった。得られた着色粒子100質量部に対して、BET法による比表面積が、200m2/gである疎水化処理酸化チタンを2.0質量部外添し、懸濁重合トナーBを得た。このシアントナーの個数平均粒径及び変動係数は実質的に外添前と同等であった。得られたトナー待られたトナーの形状係数SF−1は108であり、残存モノマー量は440ppmであった。
【0146】
[重合トナーの製造例C]
イオン交換水710gに、0.1M−Na3PO4水溶液450gを投入し、60℃に加温した後、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、12000rpmにて撹拌した。これに1.0M−CaCl2、水溶液68gを徐々に添加し、Ca3(PO4)2を含む水系媒体を得た。
【0147】
一方、
上記処方を60℃に加温し、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、12000rpmにて均一に溶解、分散した。これに、重合開始剤2.2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)10gを溶解し、重合性単量体組成物を調製した。
【0148】
前記、水系媒体中に上記重合性単量体組成物を投入し、60℃,N2雰囲気下において、TK式ホモミキサーにて10000rpmで10分間撹拌し、重合性単量体組成物を造粒した。その後、パドル撹拌翼で撹拌しつつ、60℃に昇温し、6時間反応させた。重合反応終了後冷却し、塩酸を加えリン酸カルシウムを溶解させた後、ろ過、水洗、乾燥をして、シアン着色懸濁粒子を得た。得られた粒子は平均粒径(D1)が5.0μmであり、個数分布の変動係数は41%であった。
【0149】
得られた着色粒子100質量部に対して、BET法による比表面積が、200m2/gである疎水化処理酸化チタンを1.5質量部外添し、懸濁重合トナーCを得た。このシアントナーの個数平均粒径及び変動係数は実質的に外添前と同等であった。得られたトナー得られたトナーの形状係数SF−1は115であり、残存モノマー量は1700ppmであった。
【0150】
[粉砕トナーの製造例D]
四つ口フラスコに、窒素置換した水180質量部とポリビニルアルコールの0.2質量%水溶液20質量部を投入したのちに、スチレン77質量部、アクリル酸−n−ブチル22質量部ベンゾイルパーオキサイド1.4質量部、ジビニルベンゼン0.2質量部を加え、撹拌し懸濁液とした。この後、フラスコ内を窒素で置換した後に、80℃に昇温し同温度に10時間保持し重合反応を行った。
【0151】
該重合体を水洗した後に、温度を65℃に保ちつつ減圧環境にて乾燥し樹脂を得た。該樹脂を88質量%、合金属アゾ染料を2質量%、カーボンブラック7質量%、低分子量ポリプロピレン3質量%を固定槽式乾式混合機により混合し、ベント口を吸引ポンプに接続し吸引しつつ、二軸押し出し機にて溶融混練を行った。
【0152】
この溶融混練物を、ハンマーミルにて粗砕し1mmメッシュパスのトナー組成物の粗砕物をえた。さらに、この粗砕物を機械式粉砕機により、体積平均径20〜30μmまで粉砕を行った後に、旋回流中の粒子間衝突を利用したジェットミルにて粉砕を行った後、多段割分級機により、分級を行い黒色の着色粒子を得た。得られた粒子は個数平均粒径6.1μm、変動係数28.2%であった。
【0153】
このトナー組成物100質量部に対して、疎水化処理した酸化チタン1.5質量部外添し、粉砕トナーDを得た。このシアントナーの個数平均粒径及び変動係数は実質的に外添前と同等であった。尚、トナー形状係数を測定したところ、SF−1は124であり、残存モノマー量は510ppmであった。
【0154】
(実施例1)
上述のようにして製造した磁性キャリアAと重合トナーAとをトナー濃度が8%となるように混合して現像剤を調製した。
【0155】
この現像剤を用いて、カラー複写機(CLC700、キヤノン社製)の改造機を用いて5万枚の複写耐久試験を行った。その結果、初期から5万枚まで画像濃度1.45〜1.50と安定で、かつキャリア付着やカブリも全くなく、細線再現性に優れた画像が得られた。さらに、クリーニング不良も発生せず、またドラムから紙へのトナーの転写効率を測定したところ、初期100%であり、2万枚耐久時では96%と高く、転写効率の低下も認められなかった。また、耐久試験中のトナーの摩擦帯電量を測定したところ初期は−34.5(mc/kg)であり、2万枚後は−32.2(mc/kg)と安定していた。
【0156】
また、2万枚耐久後のキャリア表面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、コート材の剥がれやトナースペントもなく、初期のキャリア表面と同様な表面状態を呈していた。
【0157】
また、2万枚耐久後の感光体表面にはトナーフィルミングは認められなかった。
【0158】
(実施例2)
磁性キャリアBと重合トナーBとを実施例1と同様に現像剤化(トナー濃度8.0%)して、CLC500複写機(キヤノン社製)改造機にいれて5万枚の複写耐久試験を行った。初期の画質、特にドット再現性に優れ、高解像な画像が得られた。また、カブリやキャリア付着もなく良好な結果が得られた。さらに、5万枚の複写試験を行った後の画質は、初期の画像とほぼ同等なものが得られた。さらに、クリーニング不良も発生せず、またドラムから線へのトナーの転写効率を測定したところ、初期99%であり、5万枚耐久時では95%と高く、転写効率の低下も認められなかった。また、ベタ画像の濃度は初期から5万枚まで1.45〜1.53と安定していた。5万枚耐久後のキャリア表面を観察すると初期の表面状態とほぼ同様であり、トナースペントやコート剥がれば認められなかった。また、5万枚耐久後の感光体表面にはトナーフィルミングは認められなかった。
【0159】
(実施例3)
磁性キャリアCと重合トナーAとを実施例1と同様に現像剤化(トナー濃度8.0%)して、CLC700複写機(キヤノン社製)改造機にいれて5万枚の複写耐久試験を行った。初期の画質、特にドット再現性に優れ、高解像な画像が得られた。また、カブリやキャリア付着もなく良好な結果が得られた。さらに、5万枚の複写試験を行った後の画質は、初期の画像とほぼ同等なものが得られた。さらに、クリーニング不良も発生せず、またドラムから線へのトナーの転写効率を測定したところ、初期97%であり、5万枚耐久時では95%と高く、転写効率の低下も認められなかった。また、ベタ画像の濃度は初期から5万枚まで1.47〜1.55と安定していた。5万枚耐久後のキャリア表面を観察すると初期の表面状態とほぼ同様であり、トナースペントやコート剥がれば認められなかった6また、5万枚耐久後の感光体表面にはトナーフィルミングは認められなかった。
【0160】
(実施例4)
磁性キャリアAと粉砕トナーDとを実施例1と同様に現像剤化(トナー濃度8.0%)して、CLC500複写機(キヤノン社製)改造機にいれて5万枚の複写耐久試験を行った。初期の画質、特にハーフトーンの階調性の再現に優れた良好な画像が得られた。また、カブリやキャリア付着も認められなかった。さらに、5万枚の複写試験を行った後の画質は、初期の画像とほぼ同等なものが得られた。さらに、クリーニング不良も発生せず、またドラムから紙へのトナーの転写効率を測定したところ、初期93%であり、5万枚耐久時では90%と転写効率も良好であった。また、ベタ画像の濃度は初期から5万枚まで1.51〜1.60と安定していた。5万枚耐久後のキャリア表面を観察すると初期の表面状態とほぼ同様であり、トナースペントやコート剥がれは認められなかった。また、5万枚耐久後の感光体表面にはトナーフィルミングは認められなかった。
【0161】
(比較例1)
磁性キャリアDと重合トナーAとを実施例1と同様に現像剤化(トナー濃度8.0%)して、CLC700複写機(キヤノン社製)改造機にいれて5万枚の複写耐久試験を行った。初期の画質においては特にハーフトーン部に白抜けが目立つ画像が得られた。また、かなりのキャリア付着が認められた。さらに、5万枚の複写試験を行った後の画質は、画像上に白スジの入った画像であった。またドラムから線へのトナーの転写効率を測定したところ、初期97%であり、5万枚耐久時では85%と転写効率が低下していた。また、ベタ画像の濃度は初期1.51から5万枚後には1.72と変化していた。5万枚耐久後のキャリア表面を観察すると表面に所々、トナースペントが認められた。また、5万枚耐久後の感光体表面にはトナーフィルミングやキャリア付着による傷が認められ、これが画像上のスジの原因であることが判明した。
【0162】
(比較例2)
磁性キャリアDと重合トナーCとを実施例1と同様に現像剤化(トナー濃度8.0%)して、CLC500複写機(キヤノン社製)改造機にいれて5万枚の複写耐久試験を行った。初期の画質においては特にハーフトーン部に白抜けが目立つ画像が得られた。また、白地部へのカブリやキャリア付着が認められた。さらに、5万枚の複写試験を行った後の画質は、画像上に白スジの入った画像であった。また、クリーニング不良の発生が認められた。ドラムから紙へのトナーの転写効率を測定したところ、初期95%であり、5万枚耐久時では86%と転写効率が低下していた。また、ベタ画像の濃度は初期1.49から5万枚後には1.77と変化していた。5万枚耐久後のキャリア表面を観察すると表面に所々、トナースペントが認められた。また、5万枚耐久後の感光体表面にはトナーフィルミングやキャリア付着による傷が認められ、これが画像上のスジの原因であることが判明した。
【0163】
(比較例3)
磁性キャリアEと重合トナーCとを実施例1と同様に現像剤化(トナー濃度5.5%)して、CLC500複写機(キヤノン社製)改造機にいれて5万枚の複写耐久試験を行った。初期の画質においては特にハーフトーン部にややガサツキのある画像が得られた。また、カブリやキャリア付着は認められなかった。さらに、5万枚の複写試験を行った後の画質は、階調性が充分にとれていなかった。また、少しクリーニング不良が発生した。ドラムから紙へのトナーの転写効率を測定したところ、初期93%であり、5万枚耐久時では88%と転写効率が低下していた。また、ベタ画像の濃度は初期1.49から5万枚後には1.89と大きく変化していた。5万枚耐久後のキャリア表面を観察すると表面にトナースペントが認められた。また、5万枚耐久後の感光体表面にはトナーフィルミングが認められた。
【0164】
【表1】
【0165】
【表2】
【0166】
【発明の効果】
本発明の磁性キャリアはバインダー樹脂中に金属酸化物粒子としてハードフェライト粒子を分散させたコアの表面に、更に非磁性の金属酸化物粒子を含有させた樹脂被覆層を設け高抵抗化したものである。本構成としたキャリアは緻密な磁気ブラシで現像性を向上させつつキャリア付着を防止することができる。また、表面にシリコーン系の樹脂をコートすることでトナースペントやコート剥がれのない耐久性に優れたキャリアとすることができる。本発明の磁性キャリアと粒度分布がシャープなトナーとを組み合わせた現像剤は、現像性及び転写性に優れ、高画質画像を長期に渡って提供することが出来る。
Claims (7)
- 少なくともバインダー樹脂及び磁性金属酸化物粒子を含有する磁性キャリア粒子において、
磁性キャリア粒子の個数平均粒径が5〜100μmであり、
磁性キャリア粒子の比抵抗が25〜500V印加時に、5.0×1013Ω・cm以上であり、
磁性キャリア粒子の真比重が3.0〜4.9g/cm3であり、
磁性キャリア粒子の10000エルステッドの磁場における飽和磁化が100emu/cm3以上であり、残留磁化が50emu/cm3以上であり、かつ保持力が300エルステッド以上
であることを特徴とする磁性キャリア。 - 該磁性キャリア粒子は少なくとも熱硬化性のバインダー樹脂、表面が親油化処理された非磁性金属酸化物粒子及び磁性金属酸化物粒子で構成され、該非磁性金属酸化物粒子はキャリアの表面近傍に存在し、かつ該磁性金属酸化物粒子は、六方晶マグネトプランバイト構造のMO・6(Fe2O3)(式中、MはBa、SrまたはPbである)を有するハードフェライトであることを特徴とする請求項1に記載の磁性キャリア。
- 該磁性キャリア粒子は表面がシリコーン系の樹脂でコートされていることを特徴とする請求項1乃至2に記載の磁性キャリア。
- 少なくともトナーと磁性キャリア粒子を有する二成分系現像剤において、該トナーは個数平均粒径が1〜10μmであり、35%以下の個数分布の変動係数を有し、かつ該磁性キャリア粒子は少なくともバインダー樹脂及び磁性金属酸化物粒子を含有し、
磁性キャリア粒子の個数平均粒径が5〜100μmであり、
磁性キャリア粒子の比抵抗が25〜500V印加時に、5.0×1013Ω・cm以上であり、
磁性キャリア粒子の真比重が3.0〜4.9g/cm3であり、
磁性キャリア粒子の10000エルステッドの磁場における飽和磁化が100emu/cm3以上であり、残留磁化が50emu/cm3以上であり、かつ保持力が300エルステッド以上であることを特徴とする二成分系現像剤。 - 該磁性キャリア粒子は少なくとも熱硬化性のバインダー樹脂、表面が親油化処理された非磁性金属酸化物粒子及び磁性金属酸化物粒子で構成され、該非磁性金属酸物粒子はキャリアの表面近傍に存在し、かつ該磁性金属酸化物粒子は六方晶マグネトプランバイト構造のMO・6(Fe2O3)(式中、MはBa、SrまたはPbである)を有するハードフェライトであることを特徴とする請求項4に記載の二成分系現像剤。
- 該磁性キャリア粒子は表面がシリコーン系の樹脂でコートされていること特徴とする請求項4乃至5に記載の二成分系現像剤。
- 該トナーは形状係数SF−1が100〜130の範囲であり、かつ、全体又は一部が重合法により形成されており、かつ残存モノマーの含有量が1000ppm以下であることを特徴とする請求項4乃至6に記載の二成分系現像剤。
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JP2007163728A (ja) * | 2005-12-13 | 2007-06-28 | Canon Inc | 磁性キャリア、二成分系現像剤、補給用現像剤及び現像方法 |
JP2009230090A (ja) * | 2008-02-28 | 2009-10-08 | Ricoh Co Ltd | 電子写真現像剤用キャリア、現像剤、画像形成方法、画像形成装置及びプロセスカートリッジ |
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-
2003
- 2003-01-20 JP JP2003010753A patent/JP2004226447A/ja not_active Withdrawn
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