本発明者らが鋭意検討した結果、結着樹脂中に金属化合物粒子が分散されているキャリアコアを持ち、このキャリアコア表面を樹脂で被覆した磁性体分散型樹脂キャリアにおいて、キャリアの30℃,80%RH環境に放置後の水分吸着量TH2O-H(質量%)と、キャリアの23℃,5%RH環境に放置後の水分吸着量TH2O-L(質量%)と、キャリアの表面積Sm(cm2/g)とが、下記関係
を満たしていることが、良好な画質を長期にわたって得られるということを見出した。
以下にその詳細を説明する。
キャリアの30℃,80%RH環境に放置後の単位表面積あたりの水分吸着量であるTH2O-H/(100×Sm)が6.00×10-6未満である場合には、特に高温環境下において、現像器内の機械的衝撃による発熱を抑制しきれず、トナースペントが起こり易くなってしまう。TH2O-H/(100×Sm)が1.50×10-5を超える場合には、過剰の吸着水分量のために、トナーに適切な帯電を与えられず、その結果、カブリ及び飛散の如き画像欠陥が生じやすくなると共に、キャリアの低抵抗化により、現像バイアスがキャリアを介してリークし、感光体ドラム上に描かれた静電潜像を乱してしまい、画像欠陥が生じることもある。
キャリアの23℃,5%RH環境に放置後の単位表面積あたりの水分吸着量であるTH2O-L/(100×Sm)が1.00×10-6未満である場合には、特に低湿環境下において、過剰の電荷をトナーに与えてしまう、いわゆるチャージアップ現象がおこり、その結果、画像濃度低下を起こしてしまい、極端な場合では、キャリアに蓄積される電荷がリークし難くなり、現像器内に補給されたトナーに適切な帯電が与えられず、いわゆるチャージアップかぶりという画像欠陥を起こす場合もある。 更に、現像器内壁等の物質と帯電してしまい、本来与えられるべきトナーの帯電量が不均一になってしまうこともある。その他、エッジ強調及び静電気的な外添剤付着の如き画像欠陥を引き起こし易い。TH2O-L/(100×Sm)が5.50×10-6を超える場合には、その水分のほとんどは、キャリア表面よりも、内部に保持されていると考えられ、それは、水分吸着サイトの多さ、つまりキャリア内部の空隙の多さを意味しており、その結果、キャリアそのものの強度は弱いものになってしまい、長期にわたって安定した画像を得ることができなくなってしまう。
キャリアの含水量を調整する方法としては、下記の(A)乃至(C)の方法が挙げられる。
(A)例えば、親水性および疎水性の有機官能基をキャリア表面に適正量含有させることにより行なう方法。
(B)例えば、親水性及び疎水性の高い有機/無機微粒子層をキャリア表面に適正量付着させる方法。
(C)例えば、キャリアコア材表面にシリコーン樹脂のような硬化反応を伴う樹脂による被覆層を形成する際に、(i)加湿窒素を流入することにより、(ii)減圧脱気をすることにより、又は(iii)アルコールの如き極性溶媒、或いはその極性溶媒に水を添加したものを予めキャリアコアに馴染ませることにより、被覆直前のキャリアコア材の含水量を制御することで、被覆材の反応速度を制御し、キャリア表面の官能基を制御する方法。
本発明において、キャリアの30℃,80%RH環境に放置後の水分吸着量TH2O-H(質量%)及びキャリアの23℃,5%RH環境に放置後の水分吸着量TH2O-L(質量%)の測定は、下記測定方法によって行なった。
<水分吸着量TH2Oの測定方法>
含水率の測定は、各環境に24h以上放置したキャリアをカールフィッシャー電量滴定することで行った。測定機器は平沼産業(株)社製の自動加熱気化水分測定システムAQ−6、SE−24を用いた。
まず、トナーと、混合前のフレッシュなキャリアもしくは画出し試験が行われていない初期現像剤中のトナーをコンタミノンの如き界面活性剤が加えられた水で洗い流すことによって得られるキャリアとを24h以上真空乾燥させ、完全に水分を取り除く。
その後、水分を除去したキャリアを30℃,80%RH環境、もしくは23℃,5%RH環境下に放置して、完全に調湿の完了した試料0.8gをガラス製の20ccサンプル管に精秤し、フッ素グリースを塗った蓋をする。この時、空気中に含まれる水分量を補正するために、上記の蓋をした時、同時に同型のパッキンで蓋をした空のサンプル管を1本用意する。これらを滴定し、得られた測定値における試料入りサンプル管の測定値から空のサンプル管の測定値を引いたものが、試料の含水量を示す。また、この試料の含水量を試料の秤量値で除し、100倍した値が、試料の含水率となる。滴定条件は、加熱温度=120℃、キャリアガス(窒素ガス)流量=0.2L/min、Blowガス流量=0.3L/min、INTERVAL=30秒の条件で滴定をおこなう。尚、滴定の際、発生液はリーデル・デ・ヘーエン社(西独)製ハイドラナールアクアライトAG、対極液はリーデル・デ・ヘーエン社(西独)製ハイドラナールアクアライトCGを用いた。
本発明において、キャリアの表面積Sm(cm2/g)及び50%粒径の測定は、下記測定方法によって行なった。
<キャリア表面積Smの測定方法>
球形近似によるキャリアの表面積Smの測定は、シンパテック(SYNPATEC)社製で乾式分散機(ロドス<RODOS>)を備えたレーザー回折式粒度分布測定装置(へロス<HELOS>)を用いて、フィードエア圧力3bar,吸引圧力0.1barで測定した。尚、この装置により、キャリア粒子の体積基準の50%粒径及び粒度分布も合わせて測定した。
キャリア粒径は、体積基準による50%粒径(D)が好ましくは15〜60μm、より好ましくは25〜50μmであることがよい。さらにキャリアは、50%粒径の2/3以下の粒径(2D/3≧)の粒子の含有量が、好ましくは5体積%以下、より好ましくは0.1〜5体積%以下であることが良い。
キャリアの50%粒径が15μm未満である場合には、キャリアの粒度分布の微粒子側の粒子による非画像部へのキャリア付着を良好に防止できない場合がある。キャリアの50%粒径が60μmより大きい場合には、磁気ブラシの剛直さによるはきめは生じないが、大きさ故の画像のムラを生じてしまう場合がある。
本発明のキャリアの粒度分布として、50%粒径の2/3以下の粒径の粒子の含有量が5体積%を超える場合には、キャリアの微粉によるキャリア付着を生じる傾向がある。
本発明において、キャリアの体積抵抗値は、1×108〜1×1016Ω・cmであることが好ましく、より好ましくは、1×109〜1×1015Ω・cmであることが良い。
キャリアの体積抵抗値が1×108Ω・cm未満であると、感光体表面へのキャリア付着を起こし易く、感光体に傷を生じさせたり、直接紙上に転写されたりして画像欠陥を起こし易くなる。さらに、現像バイアスが、キャリアを介してリークし、感光体ドラム上に描かれた静電潜像を乱してしまうことがある。
キャリアの体積抵抗値が1×1016Ω・cmを超えると、エッジ強調のきつい画像が形成され易く、さらに、キャリア表面の電荷がリークしづらくなるため、チャージアップ現象による画像濃度の低下や、新たに補給されたトナーへの帯電付与ができなくなくなることによるカブリ及び飛散などを起こしてしまうことがある。さらに、現像器内壁等の物質と帯電してしまい、本来与えられるべきトナーの帯電量が不均一になってしまうこともある。その他、静電気的な外添剤付着など、画像欠陥を引き起こしやすい。
キャリアの体積抵抗値の測定は、真空理工(株)社製の粉体用絶縁抵抗測定器を用いて測定した。測定条件は、23℃,60%条件下に24時間以上放置したキャリアを直径20mm(0.283cm2)の測定セル中にいれ、120g/cm2の荷重電極で挟み、厚みを2mmとし、印加電圧を500Vで測定した。
キャリアの磁気特性は、1000/4π(kA/m)での磁化の強さが、好ましくは20〜100(Am2/kg)、より好ましくは30〜65(Am2/kg)であるような低磁気力であることが良い。
キャリアの磁化の強さが100(Am2/kg)を超えると、キャリア粒径にも関係するが、現像極での現像スリーブ上に形成される磁気ブラシの密度が減少し、穂長が長くなり、かつ剛直化してしまうためコピー画像上に掃き目ムラが生じやすく、特に多数枚の複写又はプリントによる現像剤の耐久劣化が生じやすい。
キャリアの磁化の強さが20(Am2/kg)未満では、キャリア微粉を除去してもキャリアの磁気力が低下し、キャリア付着が生じやすく、トナー搬送性が低下し易い。
キャリアの磁気特性の測定は、理研電子(株)製の振動磁場型磁気特性自動記録装置BHV−35を用いて行なった。測定条件としては、キャリア粉体の磁気特性は1000/4π(kA/m)の外部磁場を作り、そのときの磁化の強さを求めた。キャリアを円筒状のプラスチック容器にキャリア粒子が動かないように十分密になるようにパッキングした状態に作製し、この状態で磁化モーメントを測定し、試料を入れたときの実際の重量を測定して、磁化の強さ(Am2/kg)を求めた。
本発明において、キャリアコアに用いる金属化合物粒子としては、下記式(1)又は(2)で表される磁性を有するマグネタイト又はフェライトが挙げられる。
MO・Fe2O3 ・・・(1)
M・Fe2O4 ・・・(2)
(式中、Mは3価、2価又は1価の金属イオンを示す。)
Mとしては、Mg、Al、Si、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Sr、Y、Zr、Nb、Mo、Cd、Sn、Ba、Pb及びLiが挙げられ、これらは、単独あるいは複数で用いることができる。
上記の磁性を有する金属化合物粒子の具体的化合物としては、例えば、マグネタイト、Zn−Fe系フェライト、Mn−Zn−Fe系フェライト、Ni−Zn−Feフェライト、Mn−Mg−Fe系フェライト、Ca−Mn−Fe系フェライト、Ca−Mg−Fe系フェライト、Li−Fe系フェライト及びCu−Zn−Fe系フェライトの如き鉄系酸化物が挙げられる。
さらに、本発明において、キャリアコアに用いる金属化合物粒子としては、上記の磁性を有する金属化合物(強磁性体)と下記の非磁性の金属化合物とを混合して用いても良い。
非磁性の金属化合物としては、例えば、Al2O3、SiO2、CaO、TiO2、V2O5、CrO、MnO2、α−Fe2O3、CoO、NiO、CuO、ZnO、SrO、Y2O3及びZrO2が挙げられる。この場合、1種類の金属化合物を用いることもできるが、とくに好ましくは少なくとも2種以上の金属化合物を混合して用いるのが良い。その場合には、比重や形状が類似している粒子を用いるのが結着樹脂との密着性及びキャリアコア粒子の強度を高めるためにより好ましい。
組み合わせの具体例としては、例えば、マグネタイトとヘマタイト、マグネタイトとγ−Fe2O3、マグネタイトとSiO2、マグネタイトとAl2O3、マグネタイトとTiO2、マグネタイトとCa−Mn−Fe系フェライト、マグネタイトとCa−MgFe系フェライトが好ましく用いることができる。中でもマグネタイトとヘマタイトの組み合わせが特に好ましく用いることができる。
上記の磁性を示す金属化合物を単独で使用する場合、又は非磁性の金属化合物と混合して使用する場合、磁性を示す金属化合物の個数平均粒径は、キャリアコアの個数平均粒径によっても変わるが、好ましくは0.02〜2μm、より好ましくは0.05〜1μmであることが良い。
磁性を示す金属化合物の個数平均粒径が0.02μm未満の場合には、好ましい磁気特性を得られがたくなる。磁性を示す金属化合物の個数平均粒径が2μmを超える場合には、造粒不均一により、強度の高い好ましい粒径のキャリアが得られがたくなる。
磁性を有する金属化合物と非磁性の化合物とを混合して用いる場合、非磁性の金属化合物の個数平均粒径は、好ましくは0.05〜5μm、より好ましくは0.1〜3μmであることが良い。この場合、磁性を有する金属化合物の個数平均粒径(平均粒径ra)と、非磁性の金属化合物の個数平均粒径(平均粒径rb)との粒径比(rb/ra)は、好ましくは1.0乃至5.0、より好ましくは1.2乃至5.0であることが良い。
非磁性の金属化合物の個数平均粒径が0.05μm未満の場合には、好ましい抵抗が得られず、キャリア付着しやすくなる。非磁性の金属化合物の個数平均粒径が5μmを超える場合には、造粒不均一により強度の高い好ましい粒径のキャリアが得られがたくなる。
さらに、rb/raが1.0未満であると、比抵抗の低い強磁性を示す金属化合物粒子が表面に出やすくなり、キャリアコアの比抵抗を上げにくく、キャリア付着を防止する効果が得られ難くなる。rb/raが5を超えると、キャリアの強度が低下しやすく、キャリア破壊を引き起こしやすくなる。
上記金属酸化物の個数平均粒径は、日立製作所(株)製の透過型電子顕微鏡H−800により5000〜20000倍に拡大した写真画像を用い、ランダムに粒径0.01μm以上の粒子を300個以上抽出し、ニレコ社(株)製の画像処理解析装置Luzex3により水平方向フェレ径をもって金属酸化物粒径として測定し、平均化処理して個数平均粒径を算出した。
結着樹脂に分散されている金属化合物の体積抵抗値は、磁性を有する金属化合物粒子の比抵抗が1×103Ω・cm以上の範囲のものが好ましく、特に、磁性を有する金属化合物と非磁性の化合物とを混合して用いる場合には、磁性を有する金属化合物粒子の体積抵抗値が1×103Ω・cm以上の範囲が好ましく、他方の非磁性の金属化合物粒子は磁性金属化合物粒子よりも高い比抵抗を有するものを用いることが好ましく、好ましくは、本発明に用いる非磁性の金属化合物の体積抵抗値は1×108Ω・cm以上、より好ましくは1×1010Ω・cm以上のものが良い。
磁性を有する金属化合物粒子の体積抵抗値が1×103Ω・cm未満であると、含有量を減量しても所望の高比抵抗が得られ難く、電荷注入を招き、画質の劣化や、キャリア付着を招きやすい。また、磁性を有する金属化合物と非磁性の化合物とを混合して用いる場合には、非磁性の金属化合物の体積抵抗値が1×108Ω・cm未満であると、磁性キャリアコアの比抵抗が低くなり、本発明の効果が得られにくくなる。
本発明において、磁性を有する金属化合物及び非磁性の金属化合物の体積抵抗値の測定方法は、キャリア粒子の体積抵抗値の測定方法に準じて行なう。
本発明のキャリアコアにおいて、金属化合物の含有量は、キャリアコアに対して、好ましくは80〜99質量%であることが良い。
金属化合物の含有量が80質量%未満であると、帯電性が不安定になりやすく、特に低温低湿環境下においてキャリアが帯電し、その残留電荷が残存し易くなるために、微粉トナーや外添剤がキャリア粒子表面に付着し易くなり、さらに、適度な比重が得られなくなる。金属化合物の含有量が99質量%を超えると、キャリア強度が低下して、耐久によるキャリアの割れなどの問題を生じ易くなる。
さらに本発明の好ましい形態としては、磁性を有する金属化合物と非磁性の化合物との混合物を含有するキャリアコアにおいて、含有する金属化合物全体に占める磁性を有する金属化合物の含有量が好ましくは50〜95質量%、より好ましくは55〜95質量%であることが良い。
含有する金属化合物全体に占める磁性を有する金属化合物の含有量が50質量%未満であると、コアの高抵抗化は良好になる反面、キャリアとしての磁気力が小さくなり、キャリア付着を招く場合がある。含有する金属化合物全体に占める磁性を有する金属化合物の含有量が95質量%を超えると、磁性を有する金属化合物の比抵抗にもよるが、より好ましいコアの高抵抗化が図れない場合がある。
本発明に用いるキャリアコア粒子の結着樹脂としては、熱硬化性樹脂であり、一部または全部が3次元的に架橋されている樹脂であることが好ましい。このことにより、分散する金属化合物粒子を強固に結着できるため、キャリアコアの強度を高めることができ、多数枚の複写においても金属化合物の脱離が起こり難く、さらに、被覆樹脂を、より良好に被覆することができ、その結果、吸着水分量を本発明の範囲内に制御することが容易になる。
磁性体分散型キャリアコアを得る方法としては、特に以下に記載する方法に限定されるものではないが、本発明においては、モノマーと溶媒が均一に分散又は溶解されているような溶液中から、モノマーを重合させることにより粒子を生成する重合法の製造方法、特に、キャリアコア粒子中に分散する金属酸化物に、親油化処理を施すことにより、粒度分布のシャープな、微粉の少ない磁性体分散型樹脂キャリアコアを得る方法が、好適に用いられる。
本発明においては、高画質化を達成するために重量平均粒径が1〜10μmの小粒径トナーと組み合わせて用いられるキャリアの場合、キャリア粒径もトナーの粒径に応じて小粒径化することが好ましく、上述した製造方法ではキャリア粒径を小粒径化させても平均粒径に関係なく微粉の少ないキャリアを製造できることから特に好ましい。
キャリアコア粒子の結着樹脂に使用されるモノマーとしては、ラジカルの重合性モノマーを用いることができる。例えばスチレン;o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−エチルスチレン、p−ターシャリーブチルスチレンの如きスチレン誘導体;アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニルの如きアクリル酸エステル;メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノメチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ベンジルの如きメタクリル酸エステル類;2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、n−ブチルエーテル、イソブチルエーテル、β−クロルエチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル、p−メチルフェニルエーテル、p−クロルフェニルエーテル、p−ブロムフェニルエーテル、p−ニトロフェニルビニルエーテル、p−メトキシフェニルビニルエーテルの如きビニルエーテル;ブタジエンの如きジエン化合物を挙げることができる。
これらのモノマーは単独または混合して使用することができ、好ましい特性が得られるような好適な重合体組成を選択することができる。
前述したように、キャリアコア粒子の結着樹脂は3次元的に架橋されていることが好ましいが、結着樹脂を3次元的に架橋させるための架橋剤としては、重合性の2重結合を一分子当たり2個以上有する架橋剤を使用することが好ましい。このような架橋剤としては、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレンの如き芳香族ジビニル化合物;エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、グリセロールアクロキシジメタクリレート、N,N−ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルスルフィド及びジビニルスルフォンが挙げられる。これらは、2種類以上を適宜混合して使用しても良い。架橋剤は、重合性混合物にあらかじめ混合しておくこともできるし、必要に応じて適宜重合の途中で添加することもできる。
その他のキャリアコア粒子の結着樹脂のモノマーとして、エポキシ樹脂の出発原料としてなるビスフェノール類とエピクロルヒドリン;フェノール樹脂のフェノール類とアルデヒド類;尿素樹脂の尿素とアルデヒド類;メラミンとアルデヒド類が挙げられる。
もっとも好ましい結着樹脂は、フェノール系樹脂である。その出発原料としては、フェノール、m−クレゾール、3,5−キシレノール、p−アルキルフェノール、レゾルシル、p−tert−ブチルフェノールの如きフェノール化合物、ホルマリン、パラホルムアルデヒド、フルフラールの如きアルデヒド化合物が挙げられる。特にフェノールとホルマリンの組み合わせが好ましい。
これらのフェノール樹脂又はメラミン樹脂を用いる場合には、硬化触媒として塩基性触媒を用いることができる。塩基性触媒として通常のレゾール樹脂製造に使用される種々のものを用いることができる。具体的にはアンモニア水、ヘキサメチレンテトラミン、ジエチルトリアミン、ポリエチレンイミンの如きアミン類を挙げることができる。
本発明において、キャリアコアに含有される金属化合物は、親油化処理されていることが磁性キャリア粒子の粒度分布をシャープにすること及び金属化合物粒子のキャリアからの脱離を防止する上で好ましい。親油化処理された金属化合物を分散させたキャリアコア粒子を形成する場合、モノマーと溶媒が均一に分散又は溶解している液中から重合反応が進むと同時に溶液に不溶化した粒子が生成する。そのときに金属酸化物が粒子内部で均一に、かつ高密度に取り込まれる作用と粒子同士の凝集を防止し粒度分布をシャープ化する作用があると考えられる。更に、親油化処理を施した金属化合物を用いた場合、フッ化カルシウムの如き懸濁安定剤を用いる必要がなく、懸濁安定剤がキャリア表面に残存することによる帯電性阻害、コート時におけるコート樹脂の不均一性、シリコーン樹脂の如き反応性樹脂をコートした場合における反応阻害を防止することができる。また、懸濁安定剤が表面に存在しないこと及び、それに付随する弊害を無くすことで、吸着水分量を本発明の範囲内に制御することを容易にしている。
親油化処理は、エポキシ基、アミノ基及びメルカプト基からなるグループから選ばれた、1種又は2種以上の官能基を有する有機化合物や、それらの混合物である親油化処理剤で処理されていることが好ましい。特に、本発明の吸着水分量の範囲を容易に達成し、帯電付与能が安定したキャリアを得るためには、エポキシ基が好ましく用いられる。
磁性金属酸化物粒子は、磁性金属酸化物粒子100質量部当り好ましくは0.1〜10質量部、より好ましくは0.2〜6質量部の親油化処理剤で処理されているのが磁性金属酸化物粒子の親油性及び疎水性を高める上で好ましい。
エポキシ基を有する親油化処理剤としては、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)トリメトキシシラン、エピクロルヒドリン、グリシドール及びスチレン−(メタ)アクリル酸グリシジル共重合体が挙げられる。
アミノ基を持つ親油化処理剤としては、例えば、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルメトキシジエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、エチレンジアミン、エチレントリアミン、スチレン−(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体及びイソプロピルトリ(N−アミノエチル)チタネート等が用いられる。
メルカプト基を有する親油化処理剤としては、例えば、メルカプトエタノール、メルカプトプロピオン酸及びγ−メルカプトプロピルトリメトキシシランが用いられる。
キャリアコア表面を被覆する樹脂は、特に限定を受けるものではない。具体的には、例えば、ポリスチレン、スチレン−アクリル共重合体の如きアクリル樹脂、塩化ビニル、酢酸ビニル、ポリフッ化ビニリデン樹脂、フルオロカーボン樹脂、パーフロロカーボン樹脂、溶剤可溶性パーフロロカーボン樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリビニルピロリドン、石油樹脂、セルロース、セルロース誘導体、ノボラック樹脂、低分子量ポリエチレン、飽和アルキルポリエステル樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、フェノール樹脂、変性フェノール樹脂、マレイン樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、無水マレインとテレフタル酸と多価アルコールとの重縮合によって得られる不飽和ポリエステル、尿素樹脂、メラミン樹脂、尿素−メラミン樹脂、キシレン樹脂、トルエン樹脂、グアナミン樹脂、メラミン−グアナミン樹脂、アセトグアナミン樹脂、グリプタール樹脂、フラン樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂及びポリウレタン樹脂を挙げることができる。
中でもシリコーン樹脂は、コアとの密着性、スペント防止の観点から、好ましく用いられる。シリコーン樹脂は、単独で用いることもできるが、被覆層の強度を高め好ましい帯電に制御するために、カップリング剤と併用して用いることが好ましい。更に、前述のカップリング剤は、その一部が、樹脂をコートする前に、キャリアコア表面に処理される、いわゆるプライマー剤として用いられることが好ましく、その後の被覆層が、共有結合を伴った、より密着性の高い状態で形成することができる。
カップリング剤としては、アミノシランを用いると良い。その結果、ポジ帯電性を持ったアミノ基をキャリア表面に導入でき、良好にトナーに負帯電特性を付与できる。更に、アミノ基の存在は、金属化合物に好ましく処理されている親油化処理剤と、シリコーン樹脂の両者を活性化させるため、シリコーン樹脂のキャリアコアとの密着性を更に高め、同時に樹脂の硬化を促進することでより強固な被覆層を形成することができる。
被覆層の被覆処理時は、30℃〜80℃の温度下において、減圧状態で被覆することが好ましい。
その理由は明確ではないが、下記(1)乃至(3)に記載するものと予想される。
(1)キャリアコアの持つ水分が、樹脂を活性化することに使用され、キャリア全体としての水分量を適度に制御できる。
(2)被覆段階で適度の反応が進行し、キャリアコア表面に被覆材が均一に、また平滑に被覆される。
(3)焼き付け工程において、少なくとも160℃以下での低温処理が可能となり、樹脂の過度な架橋を防止し、被覆層の耐久性を高められる。
また、最終工程において23℃,60%RHのような通常環境下に少なくとも24時間以上放置することによる調湿工程を行なうことが好ましい。その結果、焼き付け工程中に熱をかけることで消失した水分を、本発明の構成内に、すばやく制御することが可能となる。また、焼き付け工程中にキャリア同士の接触や、装置の壁などとの接触でキャリア自身が電荷を保持してしまい、トナーへの帯電付与性能を低下させてしまう、いわゆる「キャリアの自己帯電」を緩和させ、トナーに安定した帯電を与えることを可能にする。
上述のキャリアと組み合わせて二成分系現像剤を構成するためのトナーは、少なくともトナー用結着樹脂及び着色剤を含有するものであり、重量平均粒径が、3〜10μm、好ましくは3〜8μmであることが、特に有効である。トナーの重量平均粒径が3μm未満の場合には、特に低湿環境下においてチャージアップの如き問題が起こり易くなり、本発明のキャリアを用いた効果が充分に得られ難くなり、さらに、トナー自身としても粉体としてのハンドリング性が低い。トナーの重量平均粒径が10μmを超えると、特に高温高湿下において、飛散及びカブリの如き問題が起こり易く、本発明のキャリアを用いた効果が充分に見られなくなる。さらに、トナー粒子1個が大きくなるために、解像度が高く、緻密な画像が得られ難く、さらに、静電的な転写を行なうと、トナーの飛び散りが生じ易くなる。
トナーの平均粒径及び粒度分布の測定は、以下の通り行った。
電解質溶液100〜150mlに界面活性剤(アルキルベンゼンスルホン酸塩)を0.1〜5ml添加し、これに測定試料を2〜20mg添加する。試料を懸濁した電解液を超音波分散器で1〜3分間分散処理して、コールターカウンターマルチサイザー(コールター社製)により17μmまたは100μm等の適宜トナーサイズに合わせたアパチャーを用いて体積を基準として0.3〜40μmの粒度分布等を測定する。この条件で測定した個数平均粒径、重量平均粒径をコンピュータ処理により求め、さらに個数基準の粒度分布より個数平均粒径の1/2倍径累積分布以下の累積割合を計算し、1/2倍径累積分布以下の累積値を求める。同様に体積基準の粒度分布より重量平均粒径の2倍径累積分布以上の累積割合を計算し、2倍径累積分布以上の累積値を求める。
上述した本発明のキャリアと組み合わせるトナーとしては、トナーの結着樹脂として少なくともポリエステル樹脂を含んでいる場合に、特に有効である。すなわち、ポリエステル樹脂は、定着性及び混色性に優れ、特に、カラートナーの結着樹脂として好ましく用いられるが、反面、負帯電能が強く、特に低湿環境において帯電が過大になり易いという問題を持っていた。しかし、本発明のキャリアと組み合わせて用いると、トナーの過剰帯電を抑制して優れた現像性を得ることができる。
その他のトナーの結着樹脂としては、ポリスチレン;ポリ−p−クロルスチレン、ポリビニルトルエンの如きスチレン誘導体から得られる高分子化合物;スチレン−p−クロルスチレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体の如きスチレン共重合体;ポリ塩化ビニル、フェノール樹脂、変性フェノール樹脂、マレイン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル、シリコーン樹脂;脂肪族多価アルコール、脂肪族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、芳香族ジアルコール類及びジフェノール類から選択される単量体を構造単位として有するポリエステル樹脂;ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール、テルペン樹脂、クマロンインデン樹脂、石油樹脂が挙げられる。
さらにトナーは、形状係数SF−1が100〜120であることがより好ましい。
形状係数SF−1が120を超えるトナーにおいては、現像剤の流動性変化が大きくなりやすく、長期の耐久試験において帯電量の変化を起こし易い。SF−1が100〜120の範囲内であるトナーは、紙上への転写効率が高く、感光体上に乗せるトナー量が少なくても、これまでのトナーと同等の濃度が出せるため、コスト面においても有利である。また、キャリア上を転がり易く、さらに現像剤のパッキング密度が高く成り易いため、キャリアとの接触機会は多く、常に安定した帯電を保持し易い。
トナーの形状係数SF−1は、日立製作所製FE−SEM(S−800)を用い、トナー像(倍率300倍)を300個以上無作為にサンプリングし、その画像情報は、インターフェースを介してニレコ社製画像解析装置(Luzex3)に導入し解析を行い、下式より算出し得られた値を、トナーの形状係数SF−1と定義した。
(式中、MXLNGはトナーの最大径を示し、AREAはトナーの投影面積を示す。)
コア/シェル構造を有し、コアが低軟化点物質で形成されたトナーも、好ましく用いられる。上記トナーは、低軟化点物質を用いているため、低温定着に有利となっているが、機械的シェアによる発熱に不利な方向にあり、現像器内でトナースペントをおこすことがあるが、本発明のキャリアを用いることで、その懸念は解消される。
低軟化点物質をトナー粒子中に内包化せしめる方法としては、水系媒体中での材料の極性を主要単量体より低軟化点物質の方を小さく設定し、更に少量の極性の大きな樹脂又は単量体を添加せしめることで低軟化点物質を外殻樹脂で被覆した、いわゆるコア/シェル構造を有するトナー粒子を得ることができる。
トナーの粒度分布制御や粒径の制御は、難水溶性の無機塩、又は保護コロイド作用とする分散剤の種類及び添加量を変える方法、或いは、機械的装置条件、例えば、ローラの周速、パス回数、撹拌羽根形状の如き撹拌条件、容器形状又は水系媒体中での固形分濃度を制御することにより所定のトナーを得ることができる。
トナーの外殻樹脂としては、スチレン−(メタ)アクリル共重合体,ポリエステル樹脂,エポキシ樹脂,スチレン−ブタジエン共重合体が挙げられる。
重合法により直接トナー粒子を得る方法においては、それらの単量体が好ましく用いられる。具体的には、スチレン;o(m−,p−)−メチルスチレン、m(p−)−エチルスチレンの如きスチレン単量体;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ベヘニル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチルの如き(メタ)アクリル酸エステル単量体;ブタジエン、イソプレン、シクロヘキセン、(メタ)アクリロニトリル、アクリル酸アミドの如きエン単量体が好ましく用いられる。
これらトナーは、外添剤として、少なくともシリカ微粒子及び又は酸化チタン微粒子を用いることが、現像剤に良好に流動性を付与でき、現像剤の寿命が向上することから好ましい。またこれら微粉体を用いることで、より環境変動の少ない現像剤となる。
その他の外添剤としては、金属酸化物微粉体(酸化アルミニウム,チタン酸ストロンチウム,酸化セリウム,酸化マグネシウム,酸化クロム,酸化錫,酸化亜鉛など)、窒化物微粉体(窒化ケイ素など)、炭化物微粉体(炭化ケイ素など)、金属塩微粉体(硫酸カルシウム,硫酸バリウム,炭酸カルシウムなど)、脂肪酸金属塩微粉体(ステアリン酸亜鉛,ステアリン酸カルシウムなど)、カーボンブラック、樹脂微粉体(ポリテトラフロロエチレン、ポリビニリデンフロライド、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、シリコーン樹脂など)が好ましい。これらの外添剤は、単独で用いても、また、複数併用しても良い。シリカ微粉体を含め、上記の外添剤は、疎水化処理が行なわれていることが、より好ましい。
上述した外添剤は、個数平均粒径が0.2μm以下であることが好ましい。個数平均粒径が0.2μmを超えると流動性が低下し、現像及び転写時に画質が低下する。
外添剤の使用量は、トナー粒子100質量部に対し、好ましくは0.01〜10質量部、より好ましくは0.05〜5質量部で用いられることが良い。
外添剤は、BET法による窒素吸着による比表面積が、好ましくは30m2/g以上、より好ましくは50〜400m2/gの範囲のものが好適である。
トナー粒子と外添剤との混合処理は、ヘンシェルミキサーの如き混合機を使用して行うことができる。
本発明において、トナーの用いられる着色剤としては、下記のものが挙げられる。
イエロー着色剤としては、縮合アゾ化合物,イソインドリノン化合物,アンスラキノン化合物,アゾ金属錯体,メチン化合物,アリルアミド化合物に代表される化合物が用いられる。具体的には、C.I.ピグメントイエロー12、13、14、15、17、62、74、83、93、94、95、109、110、111、128、129、147、168が好適に利用できる。
マゼンタ着色剤としては、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アンスラキノン、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物が用いられる。具体的には、C.I.ピグメントレッド2、3、5、6、7、23、48:2、48:3、48:4、57:1、81:1、144、146、166、169、177、184、185、202、206、220、221、254が好適に利用できる。
シアン着色剤としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アンスラキノン化合物、塩基染料レーキ化合物が挙げられる。具体的には、C.I.ピグメントブルー1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62、66が好適に利用できる。
これらの着色剤は、単独又は混合し更には固溶体の状態で用いることができる。
ブラック着色剤としては、カーボンブラック、および上記に示すイエロー/マゼンタ/シアン着色剤を用い、黒色に調色したものが挙げられる。
着色剤は、カラートナーの場合、色相角、彩度、明度、耐候性、OHP透明性及びトナー中への分散性の点を考慮して選択される。着色剤の含有量は、トナー用結着樹脂100質量部に対し1〜20質量部であることが好ましい。
トナーに用いられる荷電制御剤としては、公知のものが利用できる。カラートナーの場合は、特に、無色又は淡色でトナーの帯電スピードが速く且つ一定の帯電量を安定して維持できる荷電制御剤が好ましい。更に本発明においては、重合法を用いてトナーを製造する場合には、重合阻害性が無く水系媒体への可溶化物の無い荷電制御剤が特に好ましい。また、さらに本現像剤に用いられるトナーは、0.1mol/lの水酸化ナトリウムにより抽出した時の抽出分を吸光度測定した時、280nm〜350nmの範囲に少なくとも1つ以上のピークを有することが好ましい。本ピークは、帯電を制御する、結着樹脂の硬化を促進させ流動性を高めるなどの目的ためにトナー中に好ましく用いられるオキシカルボン酸由来のピークである。このようなオキシカルボン酸は、高い帯電性をトナーに持たせることができる。しかし、結着樹脂や他の材料、及びトナーの製法によっては、高湿下における、帯電量の極端な低下や低湿下におけるトナーのチャージアップなどが見られる場合があり、その使用には制限があった。
しかし、本発明のキャリアを用いることで、特に低湿下におけるトナーのチャージアップ現象を効果的に抑制する事が可能となった。
水酸化ナトリウムの抽出分は、0.1mol/lの水酸化ナトリウム水溶液50mlにトナー1gを秤量して加え、スターラーを用いて50rpmで撹拌し、均一に分散させる。3時間分散処理を行なった後、メンブランフィルター(ポアサイズ:0.45μm)を用いて濾過し、得られた濾液の吸光度を測定した。
ネガ系荷電制御剤としては、例えば、サリチル酸、ジアルキルサリチル酸、ナフトエ酸、ダイカルボン酸又はそれらの誘導体の金属化合物;スルホン酸又はカルボン酸を側鎖に持つ高分子型化合物;ホウ素化合物;尿素化合物;ケイ素化合物;及びカリークスアレーンが好ましく用いられる。ポジ系荷電制御剤としては、例えば、四級アンモニウム塩;該四級アンモニウム塩を側鎖に有する高分子型化合物;グアニジン化合物;及びイミダゾール化合物が好ましく用いられる。荷電制御剤の含有量は、結着樹脂100質量部に対し0.5〜10質量部であることが好ましい。しかしながら、荷電制御剤のトナー粒子への添加は必須ではない。
トナー粒子を製造する方法としては、結着樹脂及び着色剤、その他の内添物を溶融混練し、混練物を冷却後、粉砕及び分級する方法、懸濁重合方法を用いて直接トナー粒子を生成する方法や、単量体には可溶で得られる重合体が不溶な水系有機溶剤を用い直接トナー粒子を生成する分散重合方法、又は水溶性極性重合開始剤存在下で直接重合しトナー粒子を生成するソープフリー重合方法に代表される乳化重合方法を用いトナー粒子を製造する方法等が挙げられる。
本発明においては、トナーの形状係数SF−1を100〜120にコントロールでき、比較的容易に粒度分布がシャープで3乃至10μmの重量平均粒径の微粒子トナーが得られる懸濁重合方法によるトナー粒子の製造方法が好ましい。
重合方法によりトナー粒子を生成する場合には、重合開始剤として、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリルの如きアゾ系重合開始剤;ベンゾイルペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシド、ジイソプロピルペルオキシカーボネート、クメンヒドロペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシドの如き過酸化物系重合開始剤が用いられる。
重合開始剤の添加量は、目的とする重合度により変化するが、一般的には単量体に対し0.5〜20質量%添加され用いられる。重合開始剤の種類は、重合方法により若干異なるが、10時間半減期温度を参考に、単独又は混合し利用される。重合度を制御するための公知の架橋剤,連鎖移動剤,重合禁止剤等を更に添加し用いることも可能である。
トナーの製造方法として懸濁重合を利用する場合には、用いる分散剤として無機系酸化物としては、リン酸三カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、メタケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、シリカ、アルミナ等が挙げられる。有機系化合物としては、ポリビニルアルコール、ゼラチン、メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩、デンプン等が挙げられる。これらは水相に分散させて使用される。これら分散剤は、重合性単量体100質量部に対して0.2〜10.0質量部を使用することが好ましい。
これら分散剤は、市販のものをそのまま用いても良いが、細かい均一な粒度を有する分散粒子を得るために、分散媒中にて高速撹拌下にて該無機化合物を生成させることも出来る。例えば、リン酸三カルシウムの場合、高速撹拌下において、リン酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液を混合することで懸濁重合方法に好ましい分散剤を得ることができる。また、これら分散剤の微細化のための0.001〜0.1質量部の界面活性剤を併用しても良い。具体的には市販のノニオン型、アニオン型又はカチオン型の界面活性剤が利用でき、例えばドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンダデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウムが好ましく用いられる。
トナーの製造方法に直接重合方法を用いる場合においては、以下の如き製造方法によって具体的にトナーを製造することが可能である。単量体中に低軟化物質からなる離型剤、着色剤、荷電制御剤、重合開始剤その他の添加剤を加え、ホモジナイザー、超音波分散機等によって均一に溶解又は分散せしめた単量体組成物を、分散安定剤を含有する水相中に通常の撹拌機またはホモミキサー、ホモジナイザー等により分散させる。好ましくは単量体組成物からなる液滴を所望のトナー粒子のサイズを有するように撹拌速度・時間を調整し、造粒する。その後は分散安定剤の作用により、粒子状態が維持され、且つ粒子の沈降が防止される程度の撹拌を行なえば良い。重合温度は40℃以上、一般的には50〜90℃の温度に設定して重合を行なう。重合反応後半に昇温しても良く、更に、耐久特性向上の目的で、未反応の重合性単量体及び副生成物を除去するために反応後半又は反応終了後に、一部水系媒体を留去しても良い。反応終了後、生成したトナー粒子を洗浄及びろ過により回収し、乾燥する。懸濁重合法においては、通常単量体系100質量部に対して水300〜3000質量部を分散媒として使用するのが好ましい。
トナーは分級して粒度分布を制御しても良く、その方法として好ましくは、慣性力を利用した多分割分級装置を用いる。この装置を用いることにより、本発明で好ましい粒度分布を有するトナーを効率的に製造できる。
以下に、トナーの摩擦帯電量の測定方法を記載する。
トナーとキャリアを適当な混合量(トナー:2〜15質量%)となるように混合し、ターブラミキサーで120秒混合する。この混合粉体(現像剤)を、底部に635メッシュの導電性スクリーンを装着した金属製の容器にいれ、吸引機で吸引し、吸引前後の質量差と容器に接続されたコンデンサーに蓄積された電位から摩擦帯電量を求める。この際、吸引圧を250mmHgとする。この方法によって、トナーの摩擦帯電量を下記式を用いて算出する。
(式中、W1は吸引前の混合粉体の質量であり、W2は吸引後の混合粉体の質量であり、Cはコンデンサーの容量、及びVはコンデンサーに蓄積された電位である。)
次に、本発明の画像形成方法について説明する。
本発明の画像形成方法は、静電荷像担持体を帯電手段によって帯電し、帯電された静電荷像担持体を露光して静電荷像を静電荷像担持体に形成し、静電荷像を二成分系現像剤を有する現像手段で現像することによってトナー画像を静電荷像担持体上に形成し、静電荷像担持体上のトナー画像を中間転写体を介して、又は、介さずに転写材へ転写し、転写材上のトナー画像を加熱加圧定着手段によって定着するものである。
以下、添付図面を参照しながら本発明の画像形成方法について説明する。
図1において、マグネットローラ21の有する磁力によって、搬送スリーブ22の表面に磁性粒子23よりなる磁気ブラシを形成し、この磁気ブラシを静電荷像担持体(感光ドラム)1の表面に接触させ、感光ドラム1を帯電する。搬送スリーブ22には、図示されないバイアス印加手段により帯電バイアスが印加されている。帯電された感光ドラム1に、図示されない露光装置によりレーザー光24を照射することにより、デジタルな静電荷像を形成する。感光ドラム1上に形成された静電荷像は、マグネットローラ12を内包しており、図示されないバイアス印加装置によって現像バイアスが印加されている現像スリーブ11に担持されている二成分系現像剤19中のトナー19aによって、現像される。
現像手段としての現像装置4は、隔壁17により現像剤室R1、撹拌室R2に区画され、それぞれ現像剤搬送スクリュー13、14が設置されている。撹拌室R2の上方には、補給用トナー18を収容したトナー貯蔵室R3が設置され、貯蔵室R3の下部には補給口20が設けられている。
現像剤搬送スクリュー13は回転することによって、現像剤室R1内の二成分系現像剤19を撹拌しながら現像スリーブ11の長手方向に沿って一方向に搬送する。隔壁17には図の手前側と奥側に図示しない開口が設けられており、スクリュー13によって現像剤室R1の一方に搬送された二成分系現像剤19は、その一方側の隔壁17の開口を通って撹拌室R2に送り込まれ、現像剤搬送スクリュー14に受け渡される。スクリュー14の回転方向はスクリュー13と逆で、撹拌室R2内の二成分系現像剤19、現像剤室R1から受け渡された二成分系現像剤19及びトナー貯蔵室R3から補給されたトナーを撹拌、混合しながら、スクリュー13とは逆方向に撹拌室R2内を搬送し、隔壁17の他方の開口を通って現像剤室R1に送り込む。
感光ドラム1上に形成された静電荷像を現像するには、現像剤室R1内の現像剤19がマグネットローラ12の磁力により汲み上げられ、現像スリーブ11の表面に担持される。現像スリーブ11上に担持された二成分系現像剤19は、現像スリーブ11の回転にともない規制ブレード15に搬送され、そこで適正な層厚の現像剤薄層に規制された後、現像スリーブ11と感光ドラム1とが対向した現像領域に至る。マグネットローラ12の現像領域に対応した部位には、磁極(現像極)N1が位置されており、現像極N1が現像領域に現像磁界を形成し、この現像磁界により現像剤が穂立ちして、現像領域に二成分系現像剤19の磁気ブラシが生成される。そして磁気ブラシが感光ドラム1に接触し、反転現像法により、磁気ブラシに付着しているトナー19aおよび現像スリーブ11の表面に付着しているトナー19aが、感光ドラム1上の静電荷像の領域に転移して付着し、静電荷像が現像されトナー像が形成される。
現像領域を通過した二成分系現像剤19は、現像スリーブ11の回転にともない現像装置4内に戻され、磁極S1、S2間の反撥磁界により現像スリーブ11から剥ぎ取られ、現像剤室R1および撹拌室R2内に落下して回収される。
上記の現像により現像装置4内の二成分系現像剤19のT/C比(トナーとキャリアの混合比、すなわち現像剤中のトナー濃度)が減少したら、トナー貯蔵室R3からトナー18を現像で消費された量に見あった量で撹拌室R2に補給し、二成分系現像剤19のT/Cが所定量に保たれる。その容器4内の二成分系現像剤19のT/C比の検知には、コイルのインダクタンスを利用して二成分系現像剤19の透磁率の変化を測定するトナー濃度検知センサーを使用する。トナー濃度検知センサーは、図示されないコイルを内部に有している。
現像スリーブ11の下方に配置され、現像スリーブ11上の二成分系現像剤19の層厚を規制する規制ブレード15は、アルミニウム又はSUS316の如き非磁性材料で作製される非磁性ブレード15である。その端部と現像スリーブ11面との距離は300〜1000μm、好ましくは400〜900μmである。この距離が300μmより小さいと、磁性キャリアがこの間に詰まり現像剤層にムラを生じやすいと共に、良好な現像を行なうのに必要な二成分系現像剤を塗布しにくく、濃度の薄いムラの多い現像画像が形成されやすい。現像剤中に混在している不用粒子による不均一塗布(いわゆるブレードづまり)を防止するためにはこの距離は400μm以上が好ましい。この距離が1000μmより大きいと現像スリーブ11上へ塗布される現像剤量が増加し所定の現像剤層厚の規制が行いにくく、感光ドラム1への磁性キャリア粒子の付着が多くなると共に現像剤の循環、規制ブレード15による現像規制が弱まりトナーのトリボが低下しカブリやすくなる。
この磁性キャリア粒子層は、現像スリーブ11が矢印方向に回転駆動されても磁気力,重力に基づく拘束力と現像スリーブ11の移動方向への搬送力との釣合いによってスリーブ表面から離れるに従って動きが遅くなる。重力の影響により落下するものもある。
従って磁極NとSの配設位置と磁性キャリア粒子の流動性及び磁気特性を適宜選択することにより、磁性キャリア粒子層はスリーブに近いほど磁極N1方向に搬送し移動層を形成する。この磁性キャリア粒子の移動により、現像スリーブ11の回転に伴って現像領域へ現像剤は搬送され現像に供される。
現像されたトナー画像は、搬送されてくる転写材(記録材)25上へ、バイアス印加手段26により転写バイアス印加されている転写手段である転写ブレード27により転写され、転写材上に転写されたトナー画像は、図示されていない定着装置により転写材に定着される。転写工程において、転写材に転写されずに感光ドラム1上に残った転写残トナーは、帯電工程において、帯電を調整され、現像時に回収される。
図3は、本発明の画像形成方法をフルカラー画像形成装置に適用した概略図を示す。
フルカラー画像形成装置本体には、第1画像形成ユニットPa、第2画像形成ユニットPb、第3画像形成ユニットPc及び第4画像形成ユニットPdが併設され、各々異なった色の画像が潜像形成、現像、転写のプロセスを経て転写材上に形成される。
画像形成装置に併設される各画像形成ユニットの構成について第1の画像形成ユニットPaを例に挙げて説明する。
第1の画像形成ユニットPaは、静電荷像担持体としての直径30mmの電子写真感光体ドラム61aを具備し、この感光体ドラム61aは矢印a方向へ回転移動される。62aは帯電手段としての一次帯電器であり、直径16mmのスリーブの表面に形成された磁気ブラシが感光ドラム61aの表面に接触するように配置されている。67aは、一次帯電器62aにより表面が均一に帯電されている感光体ドラム61aに静電荷像を形成するためのレーザー光であり、図示されていない露光装置により照射される。63aは、感光体ドラム61a上に担持されている静電荷像を現像してカラートナー画像を形成するための現像手段としての現像装置でありキャリア及びカラートナーを有する二成分系現像剤を保持している。64aは感光体ドラム61aの表面に形成されたカラートナー画像をベルト状の転写材担持体68によって搬送されて来る転写材(記録材)の表面に転写するための転写手段としての転写ブレードであり、この転写ブレード64aは、転写材担持体68の裏面に当接して転写バイアスを印加し得るものである。
第1の画像形成ユニットPaは、一次帯電器62aによって感光体ドラム61aを均一に一次帯電した後、露光装置67aにより感光体に静電荷像を形成し、形成された静電荷像を現像装置63aが保有している二成分系現像剤のカラートナーで現像し、この現像されたトナー画像を第1の転写部(感光体と転写材の当接位置)で転写材を担持搬送するベルト状の転写材担持体68の裏面側に当接する転写ブレード64aに転写バイアス印加手段60aから転写バイアスを印加することによって、転写材の表面に転写する。
現像によりトナーが消費され、T/C比が低下すると、その低下をコイルのインダクタンスを利用して現像剤の透磁率の変化を測定するトナー濃度検知センサー85で検知し、消費されたトナー量に応じて補給用トナー65を補給する。なお、トナー濃度検知センサー85は図示されないコイルを内部に有している。
本画像形成装置は、第1の画像形成ユニットPaと同様の構成で、現像装置に保有されるカラートナーの色の異なる第2の画像形成ユニットPb、第3の画像形成ユニットPc、第4の画像形成ユニットPdの4つの画像形成ユニットを併設するものである。例えば、第1の画像形成ユニットPaにイエロートナー、第2の画像形成ユニットPbにマゼンタトナー、第3の画像形成ユニットPcにシアントナー、及び第4の画像形成ユニットPdにブラックトナーをそれぞれ用い、各画像形成ユニットの転写部で各カラートナーの転写材上への転写が順次行なわれる。この工程で、レジストレーションを合わせつつ、同一転写材上に一回の転写材の移動で各カラートナーは重ね合わせられ、終了すると分離帯電器69によって転写材担持体68上から転写材が分離され、搬送ベルトの如き搬送手段によって加熱加圧定着手段である定着器70に送られ、ただ一回の定着によって最終のフルカラー画像が得られる。
定着器70は、一対の直径40mmの定着ローラ71と直径30mmの加圧ローラ72を有し、定着ローラ71は、内部に加熱手段75及び76を有している。
転写材上に転写された未定着のカラートナー画像は、この定着器70の定着ローラ71と加圧ローラ72との圧接部を通過することにより、熱及び圧力の作用により転写材上に定着される。
図3において、転写材担持体68は、無端のベルト状部材であり、このベルト状部材は、80の駆動ローラによって矢印e方向に移動するものである。79は、転写ベルトクリーニング装置であり、81はベルト従動ローラであり、82は、ベルト除電器である。83は、転写材ホルダー内の転写材を転写材担持体68に搬送するための一対のレジストローラである。
転写手段としては、転写材担持体の裏面側に当接する転写ブレードに代えてローラ状の転写ローラの如き転写材担持体の裏面側に当接して転写バイアスを直接印加可能な接触転写手段を用いることが可能である。
さらに、上記の接触転写手段に代えて一般的に用いられている転写材担持体の裏面側に非接触で配置されているコロナ帯電器から転写バイアスを印加して転写を行なう非接触の転写手段を用いることも可能である。
しかしながら、転写バイアス印加時のオゾンの発生量を制御できる点で接触転写手段を用いることが、より好ましい。
次に、図4を参照しながら本発明の他の画像形成方法の一例を説明する。
図4は、本発明の画像形成方法を実施可能な画像形成装置の例を示す概略構成図である。
この画像形成装置は、フルカラー複写機に構成されている。フルカラー複写機は、図4に示すように、上部にデジタルカラー画像リーダ部35、下部にデジタルカラー画像プリンタ部36を有する。
画像リーダ部において、原稿30を原稿台ガラス31上に載せ、露光ランプ32により露光走査することにより、原稿30からの反射光像をレンズ33によりフルカラーセンサー34に集光し、カラー色分解画像信号を得る。カラー色分解画像信号は、増幅回路(図示せず)を経てビデオ処理ユニット(図示せず)にて処理を施され、デジタル画像プリンタ部に送出される。
画像プリンタ部において、静電荷像担持体である感光ドラム1は、例えば有機光導電体のような感光体であり、矢印方向に回転自在に担持されている。感光ドラム1の回りには、前露光ランプ11、一次帯電部材としてのコロナ帯電器2、潜像形成手段としてのレーザー露光光学系3、電位センサー12、色の異なる4個の現像器4Y、4C、4M、4K、ドラム上光量検知手段13、転写装置5Aおよびクリーニング器6が配置されている。
レーザー露光光学系3において、リーダ部からの画像信号は、レーザー出力部(図示せず)にてイメージスキャン露光の光信号に変換され、変換されたレーザー光がポリゴンミラー3aで反射され、レンズ3bおよびミラー3cを介して、感光ドラム1の面上に投影される。
プリンタ部は、画像形成時、感光ドラム1を矢印方向に回転させ、前露光ランプ11で除電した後に感光ドラム1を帯電器2により一様にマイナス帯電させて、各分解色ごとに光像Eを照射し、感光ドラム1上に潜像を形成する。
次に、所定の現像器を動作させて感光ドラム1上の潜像を現像し、感光ドラム1上に樹脂を基体とした負帯電性トナーによる可視像、すなわち、トナー像を形成する。現像器4Y、4C、4M、4Kは、それぞれの偏心カム24Y、24C、24M、24Kの動作により、各分解色に応じて択一的に感光ドラム1に接近して、現像を行なう。
転写装置5Aは、転写ドラム5、転写帯電器5b、記録材を静電吸着するための吸着帯電器5cおよびこれと対向する吸着ローラ5g、そして内側帯電器5d、外側帯電器5e、分離帯電器5hを有している。転写ドラム5は、回転駆動可能に軸支され、その周囲の開口域に記録材(転写材)を担持する記録材担持体である転写シート5fが、円筒状に一体的に調節されている。転写シート5fには、ポリカーボネートフィルムが使用される。
記録材は、記録材カセット7a、7bまたは7cから記録材搬送系を通って転写ドラム5に搬送され、その転写シート5f上に担持される。転写ドラム5上に担持された記録材は、転写ドラム5の回転にともない感光ドラム1と対向した転写位置に繰り返し搬送され、転写位置を通過する過程で転写帯電器5bの作用により、記録材上に感光ドラム1上のトナー像が転写される。
上記の画像形成工程を、イエロー(Y)、シアン(C)マゼンタ(M)、およびブラック(K)について繰り返し、転写ドラム5上の記録材上に4色のトナー像を重ねて転写したカラー画像が得られる。
片面の画像形成の場合は、このようにして4色のトナー像を転写された記録材が、分離爪8a、分離押上げコロ8bおよび分離帯電器5hの作用により、転写ドラム5から分離して加熱定着装置9に送られる。この加熱定着装置9は、内部に加熱手段を有する加熱定着ローラ9aと加圧ローラ9bによって構成されている。加熱部材としてのこの加熱定着ローラ9aと加圧ローラ9bの圧接部を記録材が通過することにより記録材上に担持されているフルカラー画像が記録材に定着される。すなわち、この定着工程によりトナーの混色、発色および記録材への固定が行われて、フルカラーの永久像とされたのちトレイ10に排紙され、1枚のフルカラー複写が終了する。他方、感光ドラム1は、表面の残留トナーをクリーニング器6で清掃して除去された後、再度、画像形成工程に供せられる。
本発明の画像形成方法においては、潜像担持体に形成された静電荷像を現像したトナー像を中間転写体を介して記録材に転写することも可能である。
すなわち、この画像形成方法は、静電荷像担持体に形成された静電荷像を現像することによって形成したトナー像を中間転写体に転写する工程及び中間転写体に転写されたトナー像を記録材に転写する工程を有するものである。
図5を参照しながら、中間転写体を用いた画像形成方法の一例を具体的に説明する。
図5に示す装置システムにおいて、シアン現像器54−1、マゼンタ現像器54−2、イエロー現像器54−3、ブラック現像器54−4に、それぞれシアントナーを有するシアン現像剤、マゼンタトナーを有するマゼンタ現像剤、イエロートナーを有するイエロー現像剤及びブラックトナーを有するブラック現像剤が導入されている。レーザー光の如き潜像形成手段53によって潜像保持体としての感光体51上に静電潜像が形成される。磁気ブラシ現像方式、非磁性一成分現像方式又は磁性ジャンピング現像方式の如き現像方式によって、感光体51に形成された静電荷像をこれらの現像剤によって現像し、各色トナー像が感光体51に形成される。感光体51は導電性基体51b及び導電性基体51b上に形成されたアモルファスセレン、硫化カドミウム、酸化亜鉛、有機光導電体、アモルファスシリコンの如き光導電絶縁物質層51aを持つ感光ドラムもしくは感光ベルトである。感光体51は図示しない駆動装置によって矢印方向に回転する。感光体51としては、アモルファスシリコン感光層又は有機系感光層を有する感光体が好ましく用いられる。
有機感光層としては、感光層が電荷発生物質及び電荷輸送性能を有する物質を同一層に含有する単一層型でもよく、又は、電荷輸送層を電荷発生層を成分とする機能分離型感光層であっても良い。導電性基体上に電荷発生層、次いで電荷輸送層の順で積層されている構造の積層型感光層は好ましい例の一つである。
有機感光層の結着樹脂は、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂がクリーニング性が良く、クリーニング不良、感光体へのトナーの融着、外添剤のフィルミングが起こりにくい。
帯電工程では、コロナ帯電器を用いる感光体51とは非接触タイプの方式と、ローラの如き接触帯電部材を用いる接触タイプの方式があり、いずれのものも用いられる。効率的な均一帯電、シンプル化、低オゾン発生化のために図5に示す如く接触方式のものが好ましく用いられる。
一次帯電部材としての帯電ローラ52は、中心の信金52bとその外周を形成した導電性弾性層52aとを基本構成とするものである。帯電ローラ52は、感光体51面に押圧力をもって圧接され、感光体51の回転に伴い従動回転する。
帯電ローラを用いた時の好ましいプロセス条件としては、ローラの当接圧が4.9〜490N/m(5〜500g/cm)で、直流電圧に交流電圧を重畳したものを用いたときには、交流電圧=0.5〜5kVpp、交流周波数=50Hz〜5kHz、直流電圧=±0.2〜±5kVである。
この他の接触帯電部材としては、帯電ブレードを用いる方法や、導電性ブラシを用いる方法がある。これらの接触帯電部材は、高電圧が不必要になったり、オゾンの発生が低減するといった効果がある。
接触帯電部材としての帯電ローラ及び帯電ブレードの材質としては、導電性ゴムが好ましく、その表面に離型性被膜を設けても良い。離型性被膜としては、ナイロン系樹脂、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)、PVDC(ポリ塩化ビニリデン)、フッ素アクリル樹脂が適用可能である。
感光体上のトナー像は、電圧(例えば、±0.1〜±5kV)が印加されている中間転写体55に転写される。中間転写体55は、パイプ状の導電性芯金55bと、その外周面に形成した中抵抗の弾性体層55aからなる。芯金55bは、プラスチックの表面に導電層(例えば導電性メッキ)を設けたものでも良い。
中抵抗の弾性体層55aは、シリコーンゴム、フッ素樹脂ゴム、クロロプレンゴム、ウレタンゴム、EPDM(エチレンプロピレンジエンの3元共重合体)などの弾性材料に、カーボンブラック、酸化亜鉛、酸化スズ、炭化ケイ素の如き導電性付与材を配合分散して電気抵抗値(体積抵抗率)を105〜1011Ω・cmの中抵抗に調整した、ソリッドあるいは発泡肉質の層である。
中間転写体55は、感光体51に対して並行に軸受けさせて感光体51の下面部に接触させて配設してあり、感光体51と同じ周速度で矢印の反時計方向に回転する。
感光体51の面に形成担持された第1色のトナー像が、感光体51と中間転写体55とが接する転写ニップ部を通過する過程で中間転写体55に対する印加転写バイアスで転写ニップ域に形成された電界によって、中間転写体55の外面に対して順次に中間転写されていく。
中間転写体55に転写されなかった感光体51上の転写残トナーは、感光体用クリーニング部材58によってクリーニングされ感光体用クリーニング容器59に回収される。
中間転写体55に対して並行に軸受けさせて中間転写体55の下面部に接触させて転写手段が配設され、転写手段57は例えば転写ローラ又は転写ベルトであり、中間転写体55と同じ周速度で矢印の時計方向に回転する。転写手段57は直接中間転写体55と接触するように配設されていても良く、またベルト等が中間転写体55と転写手段57との間に接触するように配置されても良い。
転写ローラの場合、中心の芯金57bとその外周を形成した導電性弾性層57aとを基本構成とするものである。
中間転写体及び転写ローラとしては、一般的な材料を用いることが可能である。中間転写体の弾性層の体積固有抵抗値よりも転写ローラの弾性層の体積固有抵抗値をより小さく設定することで転写ローラへの印加電圧が軽減でき、転写材上に良好なトナー像を形成できると共に転写材の中間転写体への巻き付きを防止することができる。特に中間転写体の弾性層の体積固有抵抗値が転写ローラの弾性層の体積固有抵抗値より10倍以上であることが特に好ましい。
中間転写体及び転写ローラの硬度は、JIS K−6301に準拠し測定される。本発明に用いられる中間転写体は、10〜40度の範囲に属する弾性層から構成されることが好ましく、一方、転写ローラの弾性層の硬度は、中間転写体の弾性層の硬度より硬く41〜80度の値を有するものが中間転写体への転写材の巻き付きを防止する上で好ましい。中間転写体と転写ローラの硬度が逆になると、転写ローラ側に凹部が形成され、中間転写体への転写材の巻き付きが発生しやすい。
転写手段57は中間転写体55と等速度或は周速度に差をつけて回転させる。転写材56は中間転写体55と転写手段57との間に搬送されると同時に、転写手段57にトナーが有する摩擦電荷と逆極性のバイアスを転写バイアス手段から印加することによって中間転写体55上のトナー像が転写材56の表面側に転写される。
転写材56に転写されなかった中間転写体上の転写残トナーは、中間転写体用クリーニング部材60によってクリーニングされ中間転写体用クリーニング容器62に回収される。転写材56に転写されたトナー像は、加熱定着装置61により転写材56に定着される。
転写ローラの材質しては、帯電ローラと同様のものを用いることができ、好ましい転写プロセス条件としては、ローラの当接圧が2.94〜490N/m(3〜500g/cm)(より好ましくは19.6〜294N/m)で、直流電圧=±0.2〜±10kVである。
当接圧力としての線圧が2.94N/m未満であると、転写材の搬送ずれや転写不良の発生が起こりやすくなるため好ましくない。
例えば転写ローラ57の導電性弾性層57bは、ポリウレタンゴム、EPDM(エチレンプロピレンジエン三元重合体)の如き弾性材料に、カーボンブラック、酸化亜鉛、酸化スズ、炭化硅素の如き導電性付与剤を配合分散して電気抵抗値(体積抵抗率)を106〜1010Ω・cmの中抵抗に調整した、ソリッドあるいは発泡肉質の層である。
以下、本発明の実施例について具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
キャリア製造例1
・フェノール 7.5質量部
・ホルマリン溶液 11.25質量部
(ホルムアルデヒド約40%、メタノール約10%、残りは水)
・γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン1.0質量%で親油化処理したマグネタイト微粒子 53質量部
(平均粒径0.24μm、比抵抗5×105Ω・cm)
・γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン1.0質量%で親油化処理したα−Fe2O3微粒子 35質量部
(平均粒径0.60μm、比抵抗2×109Ω・cm)
ここで用いたマグネタイト及びα−Fe2O3の親油化処理は、マグネタイト99質量部及びα−Fe2O399質量部のそれぞれに対して1.0質量部のγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを加え、ヘンシェルミキサー内で100℃で30分間、予備混合撹拌することによって行なった。
上記材料および水11質量部を40℃に保ちながら、1時間混合を行った。このスラリーに塩基性触媒として28質量%アンモニア水2.0質量部、および水11質量部をフラスコに入れ、撹拌・混合しながら40分間で85℃まで昇温・保持し、3時間反応させ、フェノール樹脂を生成し硬化させた。その後、30℃まで冷却し、100質量部の水を添加した後、上澄み液を除去し、沈殿物を水洗し、風乾した。次いで、これを減圧下(5mmHg以下)に180℃で乾燥して、フェノール樹脂を結着樹脂としたマグネタイト微粒子含有球状の磁性キャリアコア粒子を得た。
この粒子を60メッシュ及び100メッシュの篩によって、粗大粒子の除去を行ない、次いでコアンダ効果を利用した多分割風力分級機(エッポジェットラボEJ−L−3、日鉄鉱業社製)を使用して微粉除去及び粗粉除去をおこない、体積平均50%粒径35μmのキャリアコア粒子を得た。得られたキャリアコアは、比抵抗が2.2×1012Ω・cmであり、水分量が.0.15質量%であった。
得られたキャリアコア粒子をコーター内に投入し、加湿窒素を流入させ水分量0.3質量%に調整した。その後、トルエン溶媒を用いて希釈したγ−アミノプロピルトリメトキシシラン3質量%を剪断応力を連続して印加しつつ、コア表面に処理した。またその際、40℃,100torr,乾燥窒素気流下で溶媒を揮発させながら行なった。引き続き、置換基がすべてメチル基であるストレートシリコーン樹脂0.5質量%及び、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン0.015質量%の混合物をトルエンを溶媒として被覆した。その際、40℃,500torr,乾燥窒素気流下で溶媒を揮発させながら行なった。
さらに、この磁性コートキャリアを140℃で焼き付け、100メッシュの篩で、凝集した粗大粒子をカットし、次いで多分割風力分級機で微粉及び粗粉を除去して粒度分布を調整した。
その後23℃,60%内で保たれたホッパー内で100時間調湿して磁性コートキャリアNo.1を得た。得られた磁性コートキャリアNo.1の製法を表1に、物性を表2に示す。
キャリア製造例2
キャリア製造例1において、マグネタイトとヘマタイトの比率70:30の割合に変更することを除いては、キャリア製造例1と同様にして磁性コートキャリアNo.2を得た。得られた磁性コートキャリアNo.2の製法を表1に、物性を表2に示す。
キャリア製造例3
キャリア製造例1において、マグネタイトとヘマタイトの比率を100:0とし、かつ表面処理がγ−アミノプロピルトリメトキシシランでなされたマグネタイトを用いてコアを製造する。その後、加湿窒素の流入によりコート前水分量を0.49%に調整したコアに、アミノシランをキャリア製造例1と同様に処理し、メチルシリコーン1.5%、アミノシラン0.015%処理することに変更することを除いては、キャリア製造例1と同様にして磁性コートキャリアNo.3を得た。得られた磁性コートキャリアNo.3の製法を表1に、物性を表2に示す。
キャリア製造例4
キャリア製造例1において、マグネタイトとヘマタイトの比率を40:60としてコアを製造する。その後、100torr減圧下コート前水分量を0.03%に調整したコアに、アミノシランをキャリア製造例1と同様に処理し、スチレン−4フッ化エチレン共重合体を3%処理することに変更することを除いては、キャリア製造例1と同様にして磁性コートキャリアNo.4を得た。得られた磁性コートキャリアNo.4の製法を表1に、物性を表2に示す。
キャリア製造例5
キャリア製造例2において、結着樹脂をメラミン樹脂としてコアを製造することを除いては、キャリア製造例2と同様にして磁性コートキャリアNo.5を得た。得られた磁性コートキャリアNo.5の製法を表1に、物性を表2に示す。
キャリア製造例6
キャリア製造例3において、結着樹脂をエポキシ樹脂とし、コート前水分量を0.52%にした後、アミノシランを0.5%処理し、さらにポリエステル樹脂0.5%で処理することを除いてはキャリア製造例3と同様にして磁性コートキャリアNo.6を得た。得られた磁性コートキャリアNo.6の製法を表1に、物性を表2に示す。
キャリア製造例7
キャリア製造例2において、マグネタイトとヘマタイトをn−プロピルトリメトキシシランで表面処理し、コート前水分量を0.48%に調整することを除いては、キャリア製造例2と同様にして磁性コートキャリアNo.7を得た。得られた磁性コートキャリアNo.7の製法を表1に、物性を表2に示す。
キャリア製造例8
キャリア製造例2において、コート前水分量を0.12%に調整し、メチルシリコーンとアミノシランの混合物をキャリア製造例3と同様に処理することを除いては、キャリア製造例2と同様にして磁性コートキャリアNo.8を得た。得られた磁性コートキャリアNo.8の製法を表1に、物性を表2に示す。
キャリア製造例9
キャリア製造例2において、マグネタイトとヘマタイトをキャリア製造例3と同様のアミノシランで表面処理し、コート前水分量を0.5%に調整した後、常圧で乾燥窒素を流さずにコートすることに変更することを除いては、キャリア製造例2と同様にして磁性コートキャリアNo.9を得た。得られた磁性コートキャリアNo.9の製法を表1に、物性を表2に示す。
キャリア製造例10
キャリア製造例2において、コア重合時の触媒を水酸化ナトリウムに変更し、コート前水分量を0.47%に調整することを除いては、キャリア製造例2と同様にして磁性コートキャリアNo.10を得た。得られた磁性コートキャリアNo.10の製法を表1に、物性を表2に示す。
キャリア製造例11
キャリア製造例2において、コート前水分量を0.46%に変更することを除いては、キャリア製造例2と同様にして磁性コートキャリアNo.11を得た。得られた磁性コートキャリアNo.11の製法を表1に、物性を表2に示す。
キャリア製造例12
キャリア製造例1において、マグネタイトとヘマタイトの比率を100:0とし、かつ表面処理がなされていないマグネタイト(0.15μm)を用い、懸濁安定剤としてCaFを用いてコアを製造した。その後、加湿窒素の流入によりコート前水分量を0.50%に調整したコアに、アミノシランをキャリア製造例9と同様に処理することを除いては、キャリア製造例1と同様にして磁性コートキャリアNo.12を得た。得られた磁性コートキャリアNo.12の製法を表1に、物性を表2に示す。
トナーの製造例1(粉砕トナー1)
・ポリエステル樹脂(プロポキシ化ビスフェノールAとフマール酸との縮合ポリ
マー;酸価10.8mgKOH/g) 100質量部
・C.I.ピグメントブルー15:3 5質量部
・ジアルキルサリチル酸のアルミニウム化合物 5質量部
・低分子量ポリプロピレン 5質量部
上記材料をヘンシェルミキサーにより混合し、ペントロを吸引ポンプに接続し吸引しつつ、二軸押し出し機にて溶融混練を行った。この溶融混練物を、ハンマーミルにて粗砕して1mmのメッシュパスの粗砕物を得た。さらに、ジェットミルにて微粉砕を行った後、多分割分級機(エルボウジェット)により、分級を行ないシアントナー粒子を得た。
このシアントナー粒子100質量部に対して、疎水化処理酸化チタン微粉体(一次粒子の個数平均粒径:0.02μm)を1.2質量部ヘンシェルミキサーにより混合し、重量平均粒径6.5μmのシアントナーNo.1を得た。得られたトナーNo.1の組成及び物性を表3に示す。
トナーの製造例2(粉砕トナー2)
トナーの製造例1で用いたポリエステル樹脂に代えてスチレン−n−ブチルアクリレート共重合体樹脂(酸価0mgKOH/g、Mw30000、Mn9000)100質量部を用い、このシアントナー粒子100質量部に対して、疎水化処理シリカ微粉体(一次粒子の個数平均粒径:0.03μm)を1.2質量部ヘンシェルミキサーにより混合することを除いては、トナーの製造例1と同様にしてシアントナーNo.2を得た。得られたトナーNo.2の組成及び物性を表3に示す。
トナーの製造例3(粉砕トナー3)
トナーの製造例1で用いたジアルキルサリチル酸のアルミニウム化合物を添加しないことを除いては、トナーの製造例1と同様にしてシアントナーNo.3を得た。得られたトナーNo.3の組成及び物性を表3に示す。
トナーの製造例4(粉砕トナー4)
トナーの製造例1で用いたジアルキルサリチル酸のアルミニウム化合物に代えてカリックスアレーンを用いたことを除いては、シアントナーの製造例1と同様にしてトナーNo.4を得た。得られたトナーNo.4の組成及び物性を表3に示す。
トナーの製造例5(粉砕トナー5)
トナーの製造例1において、溶融混練物の粉砕及び分級条件を変更することを除いては、トナーの製造例1と同様にして重量平均粒径11.3μmのシアントナーNo.5を得た。得られたトナーNo.5の組成及び物性を表3に示す。
トナーの製造例6(重合トナー6)
イオン交換水710質量部に、0.1M−Na3PO4水溶液450質量部を投入し、60℃に加温した後、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、12000rpmにて撹拌した。これに1.0M−CaCl2水溶液68質量部を徐々に添加し、Ca3(PO4)2を含む水系媒体を得た。
一方、
・スチレン 165質量部
・n−ブチルアクリレート 35質量部
・C.I.ピグメントブルー15:3(着色剤) 15質量部
・ジアルキルサリチル酸金属化合物(荷電制御剤) 5質量部
・飽和ポリエステル(極性樹脂) 10質量部
・エステルワックス(融点70℃) 50質量部
上記材料を60℃に加温し、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、11000rpmにて均一に溶解、分散した。これに、重合開始剤2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)10質量部を溶解し、重合性単量体組成物を調製した。
水系媒体中に上記重合性単量体組成物を投入し、60℃,N2雰囲気下において、TK式ホモミキサーにて11000rpmで10分間撹拌し、重合性単量体組成物を造粒した。その後、パドル撹拌翼で撹拌しつつ、80℃に昇温し、10時間反応させた。重合反応終了後、減圧下で残存モノマーを留去し、冷却後、塩酸を加えてリン酸カルシウムを溶解した後、ろ過、水洗、乾燥をして、シアントナー粒子を得た。
得られたシアントナー粒子100質量部に対して、疎水化処理シリカ微粉体(一次粒子の個数平均粒径:0.03μm)を1.6質量部外添し、重量平均粒径6.8μmのシアントナーNo.6を得た。得られたトナーNo.6の組成及び物性を表3に示す。
トナーの製造例7(重合トナー7)
トナーの製造例6で用いた疎水化処理シリカ微粉体に代えて疎水化処理アルミナ微粉体(一次粒子の個数平均粒径:0.1μm)を1.2質量部用いたことを除いては、トナーの製造例6と同様にしてシアントナーNo.7を得た。得られたトナーNo.7の組成及び物性を表3に示す。
トナーの製造例8(重合トナー8)
トナーの製造例6で用いたC.I.ピグメントブルー15:3に代えてキナクリドンを8質量部用いたことを除いては、トナーの製造例6と同様にしてマゼンタトナーNo.8を得た。得られたトナーNo.8の組成及び物性を表3に示す。
トナーの製造例9(重合トナー9)
トナーの製造例6で用いたC.I.ピグメントブルー15:3に代えてピグメントイエロー93を6.5質量部用いたことを除いては、トナーの製造例6と同様にしてイエロートナーNo.9を得た。得られたトナーNo.9の組成及び物性を表3に示す。
トナーの製造例10(重合トナー10)
トナーの製造例6で用いたC.I.ピグメントブルー15:3に代えてカーボンブラックを10質量部用いたことを除いては、トナーの製造例6と同様にしてブラックトナーNo.10を得た。得られたトナーNo.10の組成及び物性を表3に示す。
〔実施例1〕
キャリアNo.1とトナーNo.6を全質量に対するトナーの割合が8質量%となるように混合して二成分系現像剤Aを製造した。
得られた二成分系現像剤Aを市販の複写機GP55(キヤノン製)を改造した画像形成装置に用いて画出しを行ない、転写効率、帯電立ち上がり特性、帯電安定性、トナー飛散、カブリ、画像濃度に関して評価を行なった。それぞれの測定条件及び評価基準を以下に示す。
評価環境は、常温低湿下(23℃/5%RH)、常温常湿下(23℃/60%RH)、高温高湿下(30℃/80%RH)の各環境下にて行なった。
転写効率の評価は、常温常湿下において行なった。評価方法は、まず感光体ドラム上にベタ黒画像を形成し、そのベタ黒画像を透明な粘着テープで採取し、その画像濃度(D1)をカラー反射濃度計(color reflection densitometer X−RITE 404A manufactured by X−Rite Co.)で測定した。次に再度、ベタ黒画像を感光体ドラム上に形成し、ベタ黒画像を記録材へ転写し、記録材上に転写されたベタ黒画像を透明な粘着テープで採取し、その画像濃度(D2)を測定した。転写効率は、得られた画像濃度(D1)及び(D2)から下式に基づいて算出した。
転写効率(%)=(D2/D1)×100
帯電の立ち上がり特性は、常温低湿下で1000枚の複写テストを行ない、初期からの現像剤の帯電量変化から帯電の立ち上がり特性を評価した。評価は、空回転2分間を行なった後、画出しを開始し、その時の帯電量と1000枚時の帯電量の変化幅を%で表わし、以下の評価基準で行なった。
(評価基準)
A:帯電量の変化幅が2%未満
B:帯電量の変化幅が2%〜6%未満
C:帯電量の変化幅が6%〜10%未満
D:帯電量の変化幅が10%〜15%未満
E:帯電量の変化幅が15%〜20%未満
F:帯電量の変化幅が20%以上
帯電安定性は、高温高湿下で5万枚の複写テストを行ない、現像剤の帯電量変化から帯電安定性を評価した。評価は、1000枚複写時の帯電量と終了時の帯電量の変化幅を%で表わし、以下の評価基準で行なった。
(評価基準)
A:帯電量の変化幅が0%〜11%未満
B:帯電量の変化幅が11%〜20%未満
C:帯電量の変化幅が21%〜30%未満
D:帯電量の変化幅が31%〜40%未満
E:帯電量の変化幅が41%〜50%未満
F:帯電量の変化幅が50%以上
トナー飛散は、高温高湿下において5万枚画出しの後現像器を取り出し、空回転機にセットする。現像器のスリーブ真下を中心にA4の紙を置き、10分間の空回転を行ない、紙上に落ちたトナーの質量を測定し、以下の基準により評価した。
(評価基準)
A:4mg未満
B:4mg〜7mg未満
C:7mg〜10mg未満
D:10mg〜13mg未満
E:13mg〜16mg未満
F:16mg以上
カブリに関しては、高温高湿下で反射濃度計(densitometer TC6MC:(有)東京電色技術センター)を用いて、白紙の反射濃度、及び複写機の紙の非画像部の反射濃度を測定し、両者の反射濃度の差を白紙の反射濃度を基準として評価した。
(評価基準)
A:0.6%未満
B:0.6〜1.1%未満
C:1.1〜1.6%未満
D:1.6〜2.1%未満
E:2.1〜4.1%未満
F:4.1%以上
画像濃度は、高温高湿下において、初期及び3万枚の複写終了後にベタ黒画像を複写し、その濃度を、カラー反射濃度計(color reflection densitometer X−RITE 404A manufactured by X−Rite Co.)で測定した。評価結果を表4に示す。
〔実施例2〜3、参考例4〜5、実施例6〜15及び比較例1〜3〕
表4に示すようなキャリア及びトナーの組み合わせに代える以外は実施例1と同様にして二成分系現像剤B〜Rを製造し、画出しを行ない評価した。評価結果を表4に示す。
〔実施例16〕
キャリアNo.1とトナーNo.6を全質量に対するトナーの割合が8質量%となるように混合して二成分系現像剤Aを製造した。
トナーNo.6に代えて、トナーNo.8、トナーNo.9及びトナーNo.10をそれぞれ用いて二成分系現像剤S、T及びUを製造した。
得られた4色の二成分系現像剤T、S、A及びU(E−27の実際の色順)を図3に示すフルカラー画像形成装置の現像装置63a、63b、63c及び63dにそれぞれ投入して、下記の条件でフルカラー画像の形成を行ったところ、良好なフルカラー画像が得られ、多数枚複写においても、画像濃度が安定したフルカラー画像が得られた。
(画像形成条件)
帯電工程において、OPC感光ドラムを帯電するための磁気ブラシ帯電装置に使用する磁性粒子23は下記のものを使用した。
磁性粒子の調製
MgO5質量部,MnO8質量部,SrO4質量部,Fe2O383質量部をそれぞれ微粒化した後、水を添加混合し、造粒した後、1300℃にて焼成し、粒度を調整した後、平均粒径28μmのフェライト磁性粒子(79.58kA/m(1000エルステッド)の磁界下で測定した磁化の強さが60Am2/kg、保磁力が4.38×10-1kA/m[=55エルステッド])を得た。
上記磁性粒子100質量部に、イソプロポキシトリイソステアロイルチタネート10質量部をヘキサン99質量部/水1質量部に混合させたものを処理量が、0.1質量部となるように表面処理して、磁性粒子を得た。
この磁性粒子の体積抵抗値は3×107Ω・cmであった。
帯電装置では、感光ドラム1に対してカウンター方向に感光体の周速に対して120%の周速で回転させ、直流/交流電界(−700V、1kHz/1.2kVPP)を重畳印加し、感光ドラム1を帯電させた。画像面積30%のオリジナル画像をデジタル処理し、OPC感光ドラムにデジタル潜像を静電荷像として形成した。
現像装置63a、63b、63c及び63dとしては、いずれも図1に示す現像装置4を用いた。負帯電性のカラートナーにより反転現像方法により静電荷像を現像した。現像スリーブに印加する現像バイアスは図2に示す非連続の交流バイアス電圧を使用した直流/交流電圧(−300V、8kHz/2kVPP)を重畳印加し、現像コントラスト200V、カブリとり反転コントラスト−150Vに設定した。
感光体ドラム1上に形成されたカラートナー画像は、第1の転写部(感光体と転写材の当接位置)で転写ブレード64aに転写バイアス印加手段60aから転写電流−15μAを印加することによって、転写材の表面に転写し、さらに、第2の転写部、第3の転写部及び第4の転写部で順次転写材上にカラートナー画像を多重転写した。
加熱加圧定着装置における、加熱ローラとしてはPFA樹脂を層厚1.2μmに被覆したものを使用し、加圧ローラとしてはPFA樹脂を層厚1.2μmに被覆したものを使用した。加熱加圧定着装置からシリコーンオイル塗布手段を取りはずし、オイルレス定着をおこなった。
〔実施例17〕
実施例16で製造した4色の二成分系現像剤T、A、S及びUを図4に示すフルカラー画像形成装置の現像装置4Y、4C、4M及び4Kにそれぞれ投入し、現像スリーブに非連続の交流バイアス電圧を使用した直流/交流電圧(−500V、12kHz/2kVPP)を重畳印加し、現像コントラスト270V、カブリとり反転コントラスト−120Vに設定し、さらに、転写電流17μA、オイルレス定着にてフルカラー画像の形成を行ったところ、良好なフルカラー画像が得られ、多数枚複写においても、画像濃度が安定したフルカラー画像が得られた。
〔実施例18〕
実施例16で製造した4色の二成分系現像剤A、S、T及びUを図5に示すフルカラー画像形成装置の現像装置54−1、54−2、54−3及び54−4にそれぞれ投入して、現像スリーブに非連続の交流バイアス電圧を使用した直流/交流電圧(−350V、3kHz/1.8kVPP)を重畳印加し、現像コントラスト250V、カブリとり反転コントラスト−150Vに設定し、さらに、転写電流15μA、オイルレス定着にてフルカラー画像の形成を行ったところ、良好なフルカラー画像が得られ、多数枚複写においても、画像濃度が安定したフルカラー画像が得られた。