JP2004225975A - 液体燃料燃焼装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】組み立てを極めて容易かつ精度良くに行うことができ、部品相互の相対位置を精度良く保って良好な燃焼性能が得られるようにすること。
【解決手段】ケース13の底部側に空気室13Aを形成する一方、上部に燃焼室11を形成する燃焼盤16と、この燃焼盤16との間にガス室24を形成する燃焼室外筒15と、前記燃焼室内に回転可能に配置される気化筒39と、この気化筒の下部外周側に位置して液体燃料を燃焼室内に飛散させる飛散リング40と、前記気化筒39を回転駆動させるためのモータM1を含むユニットUを備えてバーナー10が構成されている。ケース13の中間部にはバーナベースBが配置されており、このバーナベースBの上面側に前記燃焼盤16が固定される一方、バーナベースBの下面側に前記ユニットUが固定されている。
【選択図】 図4

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は液体燃料燃焼装置に係り、更に詳しくは、精度の良い組み立てを容易に実現して、安定した燃焼性能を得ることができる液体燃料燃焼装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、給湯機等に用いられる液体燃料燃焼装置としては、例えば、実公平1−41022号公報に開示された液体燃料燃焼装置が知られている。この液体燃料燃焼装置は、上部を開放するケースと、当該ケースの底部側に空気室を形成するように配置されるとともに灯油等の燃料が燃焼する燃焼室を内部に備えた燃焼盤と、この燃焼盤の外側に位置してガス室を形成する燃焼室外筒と、前記燃焼盤内の略中央に設けられるとともに、前記ケースの底部側に配置されたモータを介して回転可能に設けられた気化筒と、当該気化筒の下部に設けられて液体燃料を燃焼室内に飛散させる飛散リングと、前記空気室を通じて前記気化筒及び燃焼室に送気するための送風機とを備えて構成されている。
【0003】
前記液体燃料燃焼装置は、気化筒の回転によって当該気化筒と飛散リングとの間の隙間から燃焼室内に液体燃料が飛散され、当該液体燃料を着火することで噴霧燃焼が行われ、この噴霧燃焼の燃焼熱で気化筒を加熱することにより当該気化筒内の液体燃料を気化し、当該気化した燃料を前記送風機から気化筒内に供給された空気と混合して当該混合気を燃焼盤に形成された炎孔から前記燃焼室内に噴出させることで気化燃焼を行うようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記液体燃料燃焼装置にあっては、取付板を介してモータをケース内に取り付ける一方、板金部材からなる燃焼室外筒及び燃焼盤を順次ケース内に積み重ねる構成となっているため、個々の部品の寸法精度が極めて重要なものとなる。
すなわち、気化筒は、その構造上、燃焼室内で回転させる構成であるため、気化筒と、燃焼盤の中央部に設けられた貫通穴との間には、気化筒を回転させるための若干の隙間を確保しなければならないものとなる。この一方、燃焼用の空気は、気化筒の内部に設けられた送風筒を経て気化筒内部から混合気としてガス室を通り、更に、燃焼盤に形成された多数の炎孔から燃焼室内に混合気を噴出して炎を形成する構成であるため、気化筒からガス室に入る混合気が、前記隙間を通って漏れてしまう場合があり、この漏れ量によっては燃焼不良になったり、漏れ込んだ混合気によって気化筒回りに本来形成されない炎が形成されて気化筒が過加熱状態になるという不都合を招来する。
更に、安定した燃焼性能を得るために、ガス室を形成する燃焼盤及び燃焼室外筒と、ガス室を上下に貫通する複数の送気通路との接合部から空気及び混合気の漏れがないように確実にシールを行わなければならず、多数箇所においてかしめ等を施して漏れを許さない加工が必要となり、組み立て工程や管理の負担も重くなるという不都合がある。
【0005】
【発明の目的】
本発明は、このような不都合に着目して案出されたものであり、その目的は、組み立てを極めて容易かつ精度良く行うことができ、燃焼性能を安定して確保することのできる液体燃料燃焼装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本発明は、有底のケース内に配置されて当該ケースの底部側に空気室を形成する一方、上部に燃焼室を形成する燃焼盤と、前記燃焼盤の外側に位置して当該燃焼盤との間にガス室を形成する燃焼室外筒と、前記燃焼室内に回転可能に配置されて前記空気室側に開放する気化筒と、この気化筒の下部外周側に位置して液体燃料を燃焼室内に飛散させる飛散リングと、前記気化筒の外側で前記ガス室を上下方向に貫通する送気通路と、前記空気室に空気を供給する送風機とを備え、前記気化筒と飛散リングとの間の隙間から燃焼室に飛散された液体燃料を着火して噴霧燃焼を行い、この噴霧燃焼の燃焼熱で気化筒を加熱することで当該気化筒内に供給される液体燃料を気化し、当該気化した燃料を気化筒内に供給される空気と混合し、当該混合気を前記燃焼盤に形成された炎孔から噴出させて気化燃焼を行う液体燃料燃焼装置において、
前記ケース内にベース部材を配置し、当該ベース部材を基準として前記燃焼盤及び気化筒の回転駆動用のユニットを取り付ける、という構成を採っている。このような構成とすれば、ベース部材を基準として燃焼盤及び前記ユニットを取り付ければよいことになるので、組み立て作業が簡単になる他、ベース部材が一定の精度を備えていれば、燃焼盤や気化筒駆動用のユニットを精度良く組み立てることが可能となる。従って、気化筒と燃焼盤との間の隙間を周方向に沿って精度良く形成することができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
【0008】
本発明においては、前記送気通路をベース部材と一体成形する構成も採用することができる。このような構成では、ベース部材と送気通路とを別体とした場合に比べて部品点数を削減することができ、しかも、組み立ての容易化を達成することができる。また、ベース部材と送気通路との間に燃焼性能に影響をもたらす隙間を全く生じさせることもないため、従来必要とされていたかしめ等の加工を施す工程も一掃でき、この点からも組み立ての容易化を達成することができる。
【0009】
また、前記ベース部材はダイキャスト成形品により構成され、前記燃焼盤及びユニットが取り付けられる部位が二次加工による仕上げ面とされる、という構成を採ることが好ましい。これにより、ベース部材が安価に提供できるとともに、必要な部位のみを二次加工するだけでよいため、ベース部材の製造効率を良好のものとすることができる。
【0010】
なお、本明細書において、「噴霧燃焼」とは、液体燃料を着火することによって行われる燃焼を意味し、「気化燃焼」とは、気化した液体燃焼を空気と混合することにより得られる混合気を着火することによって行われる燃焼を意味する。
【0011】
【実施例】
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
【0012】
図1には、本実施例に係る液体燃料燃焼装置としてのバーナーの概略平面図が示され、図2には、図1に対して部品を一部取り外した状態のバーナーの概略平面図が示されている。また、図3には、図1のA−A線矢視概略断面図が示されている。これらの図において、バーナー10は、平面視で略正方形となる燃焼室11を含む上部構成体12と、この上部構成体12を下方から支持するとともに、上部が開放する有底容器状をなすケース13(図3参照)と、このケース13内の底部側に設けられた空気室13Aに空気を供給する送風機14とを備えて構成されている。
【0013】
前記上部構成体12は、図3及び図4に示されるように、ケース13の上下方向略中間高さ位置に配置されて下方に空気室13Aを形成するベース部材としてのバーナベースBを基準として当該バーナベースBの上部に設けられている。すなわち、上部構成体12は、有底略角筒状の燃焼室外筒15と、この燃焼室外筒15の内側に設けられた有底略角筒状の燃焼盤16と、当該燃焼盤16の内側略中央に位置するとともに、灯油等の液体燃料を気化して空気との混合気を形成する混合気形成手段18と、当該混合気形成手段18の下部側に設けられるとともに、燃焼室11内に空気室13Aからの空気を導入する空気導入部19とを備えて構成されている。なお、本実施例では、燃焼盤16の上部、すなわち、混合気形成手段18との間に形成される空間が前記燃焼室11となっている。
【0014】
前記燃焼室外筒15は、平面視で略正方形の外形を有する下底壁15Aと、この下底壁15Aの外周から上方に起立する四辺の外側壁15Bとからなる。底壁15Aには、略中央領域に中央貫通穴21が形成されているとともに、この中央貫通穴21の周方向に沿う複数箇所、本実施例では、周方向略90度間隔を隔てた箇所に中央貫通穴21よりも小径の第1外側貫通穴22が上向きバーリング形状を備えて形成されている。また、第1外側貫通孔22よりも若干外側となる位置には、周方向略45度間隔を隔てた位置に上向きバーリング形状を備えた第2外側貫通穴23(図2及び図3参照)が形成されている。
【0015】
前記燃焼盤16は、燃焼室外筒15の内方に隙間を隔てて配置されており、当該隙間によって前記混合気形成手段18で形成された混合気を通過させるガス室24が形成されている。また、燃焼盤16は、平面視で略正方形の外形を有し、且つ、中央部に開口16aが設けられた底壁16Aと、この底壁16Aの外周から上方に起立する四辺の側壁16Bとにより構成されている。底壁16Aにおいて、第1外側貫通穴22の上方に下向きバーリング形状を備えた第3外側貫通穴27が形成されている。また、側壁16Bには、前記ガス室24からの混合気を燃焼室11内に噴出可能とする多数の炎孔29が形成されているとともに、当該側壁16Bの上部に筒状部材33が設けられている。この筒状部材33は、内外二重壁構造とされ、その間がエアチャンバ35として構成されている。このエアチャンバ35は、図3に示されるように、送風機14からの一部の空気をバイパスさせる連通管34の一端(上端)が連通されており、エアチャンバ35の上部に形成された送気孔37から空気を上方に噴出することで、筒状部材33の上方に設けられる図示しない熱交換体の壁面の結露等を防止するようになっている。
【0016】
前記混合気形成手段18は、下部が空気室13A側に開放する釣鐘型の気化筒39と、この気化筒39の下端との間に微細な隙間S1を隔てて配置される飛散リング40と、前記中央貫通穴21の形成縁領域に支持されるとともに、上端側が気化筒39側に開放する一方、下端側が空気室13A側に開放して空気室13Aからの空気を燃焼用空気として気化筒39内に導入する略円筒状の送風筒41と、この送風筒41の上方に位置する燃料拡散体42と、この燃焼拡散体42に燃料供給管44を介して液体燃料を供給する送油ポンプ45(図1参照)とにより構成されている。
【0017】
前記燃料拡散体42は、図4に示されるように、上下両側が開放する略円筒状の側部42Aと、この側部42Aの上端に連なる外向きのフランジ部42Bと、側部42Aの下端側に連なるとともに、反転フック状に設けられて燃料供給管44からの液体燃料を受け取り可能な受け部42Cと、フランジ部42Bの上面側に微小な隙間S2を隔てて固定される頂部42Dとからなる。気化筒39及び燃料拡散体42は、その中央部に位置する共通の回転軸46によって支持されており、当該回転軸46を出力軸とするモータM1の駆動によって一体回転可能に設けられている。ここにおいて、前記モータM1及び回転軸46により、気化筒39の回転駆動用のユニットUが構成されている。なお、燃料拡散体42の受け部42Cに供給された液体燃料は、回転に伴う遠心力によって、前記隙間S2から気化筒39の内壁39B上部に向かって噴出するようになっている。
【0018】
前記バーナベースBはアルミダイキャストにより得られた成形品によって構成されている。このバーナベースBは、前記ケース13の中間段部13Bを支持面として配置されてねじ48によりケース13内に固定されるようになっている。このバーナベースBは、図5ないし図7に示されるように、各コーナー部に前記ねじ48が挿通される取付穴49を備えた平面視略方形をなす板状部50を備えて構成されている。板状部50の中央には前記中央貫通穴21と略同一の径となる略円形の穴51が設けられており、この穴51の内周部分には、燃料供給管44の支持体52が上下方向に沿って一体に設けられている。支持体52の上端面52Aには、ねじ穴52B(図5参照)が二箇所に形成されており、前記上端面52Aに、燃料供給管44に固定されたフランジ44A(図4参照)が着座した状態でねじ固定され、これにより、燃料供給管44の先端吐出口と燃料拡散体42との相対位置が精度良く決定されるようになっている。また、板状部50の上面側において、前記穴51の外側同心円上には、周方向略90度間隔を隔てた位置、すなわち、図5中穴51の上下左右位置の合計四箇所に、前記ガス室24を上下方向に貫通して燃焼室11内への送気通路となる送気管54が一体に設けられている。この送気管54の上端部は、前記第3外側貫通穴27を形成するバーリング部を受容可能な形状とされ、上端面は燃焼盤16の取り付け部位として切削等の二次加工による仕上げ面とされている。また、送気管54を周方向略90度間隔に配することにより、ガス室24内を流れる混合気がバランスよく燃焼盤16に設けられた炎孔29に分散できるようになっている。また、板状部50の上面側において、前記送気管54よりも外側の位置には、前記穴51と同心円上に沿って周方向略45度間隔を隔てた位置に取付筒56が合計8個設けられている。これらの取付筒56の高さは送気管54と同一であるとともに、前記燃焼盤16の底壁16Aに設けられた8個の穴16C(図4参照)を形成するバーリング部を受容する上端部形状を備え、その受容状態で、上方よりねじ58をねじ込むことで燃焼盤16の取り付け位置が決定されるようになっている。この際、取付筒56の上端面すなわち燃焼盤16の取り付け部位は、切削等の二次加工を施した仕上げ面に形成されている。また、前記板状部50の下面側には、支持脚60が穴51回りの四箇所に形成されている。これらの支持脚60の下端側はケース13の中央部に形成された上段底壁13Cを貫通する高さを備えている。また、支持脚60の各下端面すなわちモータM1を含むユニットUの取り付け部位は、切削等の二次加工を施した仕上げ面とされており、前記モータM1の外周部分から突設された取付面61を当接させた状態で、下方からねじ62をねじ込むことで前記ユニットUの取り付けが可能となり、回転軸46に固定される気化筒39の取付け位置が正確に確保されるようになっている。また、図5に示されるように、前記板状部50において、中央の穴51近傍の外周側にはねじ穴63が形成され、これらのねじ穴63には前記燃焼室外筒15の下底壁15Aの内周側がねじ64(図2,図4参照)で固定され、これにより、板状部50と燃焼室外筒15の下底壁15Aとの間に配置される断熱機能を備えたパッキンPの内周側シール性が良好に保たれるとともに、前記下底壁15Aの熱変形も抑制され、当該下底壁15Aに固定される送風筒41の位置を一定に保って燃料拡散体42との位置的干渉が回避可能となる。なお、パッキンPの材質としては、撥油剤を含浸させたガラス繊維又は膨張黒鉛が好ましい。
【0019】
前記燃焼室11内に空気を送り込むための空気導入部19は、前記バーナベースBに一体に設けられて前記第1及び第3外側貫通穴22,27間に位置する送気管54と、この送気管54の上端開放側と飛散リング40との間に設けられて当該飛散リング40との間に送気間隙Pを形成可能な送気案内リング70とにより構成されている。空気導入部19は、空気室13Aを通過した空気を送気管54を介して送気間隙Pから燃焼室11内に供給可能となっている。ここで、送気管54の上端内周側は、前記第3外側貫通穴27を形成するバーリング部を受容する対応形状に設けられている。
【0020】
前記送気案内リング70は、燃焼盤16の底壁16Aとともに前記バーナベースBの取付筒56に取り付けられる断面略クランク形のベース部材71、このベース部材71の上端側に設けられて前記飛散リング40との間に送気間隙Pを形成するための断面略L字形の起立部材72とからなる。
【0021】
前記送風機14は、送風機用モータM2の駆動によってファンF(図3参照)が回転し、ケース13における空気室13Aに直接送り込めるようになっている。なお、送風機としては、軸流式、遠心式、斜流式、或いは横流式のもの等を採用することができる。
【0022】
次に、前記バーナベースBを用いた組み立て要領と、燃焼動作について説明する。
【0023】
バーナベースBをケース13の中間段部13B上に配置し、板状部50の各コーナーに設けられた取付穴49位置にてねじ48を中間段部13Bにねじ込んで固定する。この後、ユニットUをケース13の下方から挿入し、モータM1の外周部分に設けられた取付面61を支持脚60の下端面に密着させ、ねじ62を支持脚60にねじ込んでユニットUを固定する。この状態では、回転軸46は、燃焼室11側に突出することとなる。そして、バーナベースBの板状部50上にパッキンPを配置した状態でケース13の上部から燃焼室外筒15を収容し、下底壁15Aに設けられた第1外側貫通穴22に送気管54を挿通させるとともに、第2外側貫通穴23に取付筒56をそれぞれ挿通させる。その後、ケース13の上方から燃焼盤16を収容するとともに、当該燃焼盤16の底壁16Aに形成された第3外側貫通穴27及び穴16Cを形成する各バーリング形状部を送気管54の上端及び取付筒56の上端にそれぞれ着座させる。これにより、燃焼室外筒15及び燃焼盤16は、バーナベースBに対して所定位置にセットされることとなる。この状態で、前記送気案内リング70を配置し、当該送気案内リングの外周側に設けられた図示しない穴を燃焼盤16の底壁16Aに形成された穴16Cに合わせ、ねじ58を上方よりねじ込むことで、送気案内リング70の固定を完了する。次いで、前記回転軸46の上端に、飛散リング40が予め固定された気化筒39を被せるように配置し、回転軸46の上端にナット部材75を締め付けることで、気化筒39を固定することができる。なお、前記組み立て順位は、限定的なものではなく、作業条件等に応じて変更することができる。例えば、バーナベースBをケース13内に配置する前の段階で、当該バーナベースBに燃焼室外筒15、燃焼盤16を予め固定しておくこともできる。
【0024】
前記バーナー10の運転に際しては、図示しないスイッチを投入すると、送風機14とモータM1が同時に作動する。送風機14が作動することにより、当該送風機14から空気室13Aに空気が供給され、また、連通管34を経て筒状部材33のエアチャンバ35に空気が供給される。
【0025】
前記空気室13Aに送られた空気は、送風筒41を通じて気化筒39内に供給されて燃焼用空気として消費される一方、送気管54を通じて燃焼室11内に供給され、一部が燃焼用空気として消費されつつ気化筒39の冷却空気として利用されることとなる。また、前記エアチャンバ35内に供給された空気は、送気孔37から上方に噴出し、図示しない熱交換体の外周に沿う流れとなって結露等を防止することとなる。
【0026】
気化筒39は、モータM1が作動することにより、燃料拡散体42と共に回転し、燃料供給管44から燃料拡散体42の受け部42Cに灯油等の液体燃料が供給される。この液体燃料は、燃料拡散体42の回転によって燃料拡散体42に形成された微細な隙間S2から気化筒39の内壁39Bに向かって噴出され、更に、気化筒39と飛散リング40との間に形成された隙間S1から燃焼室11内に飛散される。この飛散された液体燃料は、燃焼室11内に延びるイグナイター等の点火装置(図示省略)の火花によって着火され、噴霧燃焼が開始する。
【0027】
噴霧燃焼が開始されると、その燃焼熱によって気化筒39が加熱され、気化筒39の内壁39Bに噴出された液体燃料が気化する。そして、当該気化した燃料は、気化筒39の内部に供給された空気と混合して混合気となり、当該混合気がガス室24を通って燃焼盤16の各炎孔29から燃焼室11内に噴出され、気化燃焼が行われる。
【0028】
従って、このような実施例によれば、バーナベースBを設けて当該バーナベースBに燃焼盤16及びモータM1の駆動用のユニットUを取り付ける構成としたから、気化筒39を支持する回転軸46の中心位置と燃焼盤16との相対位置が非常に精度良く設定されるようになり、燃焼盤16と気化筒39との間に形成される若干の隙間が周方向に沿って均一に形成できるようになる。しかも、これらの相互組み立て位置がバーナベースBによって決定されるため、組み立て作業も極めて容易に行うことが可能となる。
【0029】
なお、本発明におけるバーナベースBは、図示構成例に限定されるものではなく、燃焼盤16とモータM1の回転駆動用のユニットUを精度良く取り付けることができる限りにおいて種々の形状変更を行うことができる。例えば、前記ベース部材Bにおける支持脚60を上部支持脚及び下部支持脚の二分割型とし、下部支持脚をSUS303,SUSXM7等のオーステナイト系ステンレスで構成することができる。これによれば、下部支持脚を低熱伝導率のものによって構成することができるため、ユニットUへの熱伝導を効果的に妨げて当該ユニットUの回転部分の寿命を延ばすことができる。更に、ベース部材Bはアルミダイキャスト成形品に限らず、金属粉体焼結成形等によって成形したものを用いることでもよく、これによれば、精度の良いベース部材を提供することができる。但し、前記実施例のようなダイキャスト成形品によりベース部材Bを構成した場合には製造コストの面で有利となる。また、バーナベースBの配置高さは、図示構成例に限定されるものではなく、下方に空気室13Aが形成できる高さであれば良い。
【0030】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、ベース部材を基準として燃焼盤及び前記ユニットを取り付ける構成としたから、組み立て作業が簡単になる他、ベース部材が一定の精度を備えていれば、燃焼盤や気化筒駆動用のユニットを精度良く組み立てることが可能となる。
【0031】
また、ベース部材が送気通路を一体に備えた構成としたから、送気通路を別体とした場合に比べて部品点数を削減することができ、且つ、組み立ての容易化を達成することができる、しかも、ベース部材と送気通路との間に燃焼性能に影響をもたらす隙間を全く生じさせることもないため、空気漏れを防止するための加工を施す必要もない。
【0032】
更に、前記ベース部材をダイキャスト成形品とし、燃焼盤等の取り付け部位を切削等の二次加工により仕上げるだけの構成であるから、部品コストを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例に係るバーナーの概略平面図。
【図2】図1に対して気化筒及び飛散リングを外した状態のバーナーの概略平面図。
【図3】図1のA−A線矢視概略断面図。
【図4】バーナーの要部拡大断面図。
【図5】バーナベースの平面図。
【図6】図5のB−B線断面図。
【図7】バーナベースの底面図。
【符号の説明】
10…バーナー(液体燃料燃焼装置)、11…燃焼室、13…ケース、13A…空気室、14…送風機、16…燃焼盤、24…ガス室、39…気化筒、40…飛散リング、54…送気管(送気通路)、B…バーナベース(ベース部材)

Claims (3)

  1. 有底のケース内に配置されて当該ケースの底部側に空気室を形成する一方、上部に燃焼室を形成する燃焼盤と、前記燃焼盤の外側に位置して当該燃焼盤との間にガス室を形成する燃焼室外筒と、前記燃焼室内に回転可能に配置されて前記空気室側に開放する気化筒と、この気化筒の下部外周側に位置して液体燃料を燃焼室内に飛散させる飛散リングと、前記気化筒の外側で前記ガス室を上下方向に貫通する送気通路と、前記空気室に空気を供給する送風機とを備え、前記気化筒と飛散リングとの間の隙間から燃焼室に飛散された液体燃料を着火して噴霧燃焼を行い、この噴霧燃焼の燃焼熱で気化筒を加熱することで当該気化筒内に供給される液体燃料を気化し、当該気化した燃料を気化筒内に供給される空気と混合し、当該混合気を前記燃焼盤に形成された炎孔から噴出させて気化燃焼を行う液体燃料燃焼装置において、
    前記ケース内にベース部材を配置し、当該ベース部材を基準として前記燃焼盤及び前記気化筒の回転駆動用のユニットを取り付けたことを特徴とする液体燃料燃焼装置。
  2. 前記送気通路は、前記ベース部材と一体成形されていることを特徴とする請求項1記載の液体燃料燃焼装置。
  3. 前記ベース部材はダイキャスト成形品により構成され、前記燃焼盤及びユニットが取り付けられる部位が二次加工による仕上げ面とされていることを特徴とする請求項1又は2記載の液体燃料燃焼装置。
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