JP2004225214A - 導電性複合繊維 - Google Patents

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JP2004225214A JP2003015784A JP2003015784A JP2004225214A JP 2004225214 A JP2004225214 A JP 2004225214A JP 2003015784 A JP2003015784 A JP 2003015784A JP 2003015784 A JP2003015784 A JP 2003015784A JP 2004225214 A JP2004225214 A JP 2004225214A
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義斉 森
Yoshitaka Matsumura
由隆 松村
聡 ▲くわ▼山
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Abstract

【課題】導電性粒子を含有せしめたポリエステルを鞘成分とし、特定範囲の固有粘度を有するポリエチレンテレフタレートを芯成分として、導電性粒子の含有量、芯成分のポリエチレンテレフタレートの固有粘度、芯成分の繊維横断面積の占有率を適正なものとすることにより、製糸性や加工性に優れ、優れた除電性能と耐久性を有する防塵衣、低発塵衣、手術衣、OA機器用ブラシなどが得られる導電性複合繊維を得ることができる。
【解決手段】導電性粒子を15〜80重量%含有するポリエステルからなり、電気抵抗10Ω・cm以下である導電ポリマー(A)を鞘成分とし、固有粘度0.68〜0.85であるポリエチレンテレフタレートからなる非導電ポリマー(B)を芯成分とする芯鞘複合繊維であり、芯成分は繊維横断面積の50〜95%を占有し、かつ鞘成分が繊維表面を完全に被覆していることを特徴とする導電性複合繊維。
【選択図】図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、除電性能に優れた導電性複合繊維に関するものであり、詳しくは防塵衣、低発塵衣、手術衣、OA機器用ブラシなど特に耐摩耗性や耐工業洗濯性が要求される用途に用いた場合に、優れた除電性能と耐久性を発揮し、製糸性に優れた繊維強度の高い導電性繊維に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
除電性能に優れた繊維としての導電性繊維については種々の提案がなされている。導電性カーボンブラックを15〜50重量%含有する熱可塑性ポリアミドからなる導電ポリマー層の鞘成分と融点170℃以上の熱可塑性ポリマーからなる芯ポリマー層からなる芯鞘型の導電性複合繊維が提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
また、導電性粒子と熱可塑性ポリマーからなる導電層と繊維形成性ポリマーからなる保護層とが接合されてなる複合繊維において、導電性粒子が無機化合物を核とし、その外側に金属層を有しかつ表面に導電性金属化合物皮膜を有することを特徴とする導電性複合糸が提案されている。(特許文献2参照)。
【0004】
さらには、導電性カーボンブラックを15〜50重量%含有する熱可塑性エラストマーからなる導電ポリマー層と、繊維形成性熱可塑性ポリマーからなる保護ポリマー層とが複合されてなり、且つ保護ポリマー層が繊維表面周長の60%以上を占有し、繊維全体重量の30〜95重量%以下を形成する導電性複合繊維が提案されている。(特許文献3参照)。
【0005】
しかしながら、従来提案されてきた導電ポリマー層と非導電ポリマー層との組み合わせでは、複合安定性が不十分であったり、得られる導電性複合繊維の強度が低いために、製造工程や高次加工工程などの工程通過性が不安定となり安定した生産が困難であるばかりでなく、繊維の破断や成分剥離が生じやすいために、除電性能のバラツキが大きくなったり、OA機器用ブラシや防塵衣や手術衣などの耐摩耗性や耐工業洗濯性が必要な製品に使用した際の長期間使用時の除電性能の低下が発生するという問題があった。
【0006】
また、導電ポリマー層を芯成分とし非導電ポリマーを保護ポリマーとして鞘成分に用いて、導電ポリマー層を被覆する芯鞘複合繊維や、導電ポリマー層を繊維表面に一部露出させた導電性複合繊維についても、上記特許文献中に提案あるいは図示されているが、これらの導電性複合繊維では目的とする優れた除電性能を発揮する導電性複合繊維を得ることが出来ない。
【0007】
【特許文献1】
特開2002−235245号公報
【0008】
【特許文献2】
特開平3−249212号公報
【0009】
【特許文献3】
特開平4−153306号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題を解決し、製糸性・加工性に優れ、OA機器用ブラシや防塵衣や手術衣などの耐摩耗性や耐工業洗濯性が必要な製品に使用した際の長期間使用時の除電性能が殆ど低下せず、長期に渡って優れた除電性能を発揮する導電性複合繊維を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するための本発明は、導電性粒子を15〜80重量%含有するポリエステルからなる電気抵抗10Ω・cm以下である導電ポリマー(A)を鞘成分とし、固有粘度0.68〜0.85であるポリエチレンテレフタレートからなる非導電ポリマー(B)を芯成分とする芯鞘複合繊維であり、芯成分は繊維横断面積の50〜95%を占有し、かつ鞘成分が繊維表面を完全に被覆していることを特徴とする導電性複合繊維である。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0013】
本発明における導電ポリマー(A)は、導電性粒子を15〜80重量%含有するポリエステルからなり、電気抵抗10Ω・cm以下である。
【0014】
導電性粒子については、特に限定するものではないが、導電性カーボンブラックを用いる場合の含有量は15〜40重量%、好ましくは20〜35重量%である。導電性カーボンブラックの含有量が15重量%より少ない場合には十分な除電性能は発揮されない。一方、40重量%を超える場合では、ポリマー流動性が著しく低下して製糸性が極端に悪化するので好ましくない。
【0015】
用いる導電性カーボンブラックは10−3〜10Ω・cmの固有電気抵抗を有するものが良い。周知の如く、カーボンブラックは完全に粒子分散をしている場合は一般に導電性が不良であって、ストラクチャーと呼ばれる連鎖構造をとると導電性が向上して導電性カーボンブラックと言われるものになる。従って、導電性カーボンブラックによって、ポリマーを導電化するにあたっては、このストラクチャーを破壊しないでカーボンブラックを分散させることが肝要となる。そして、導電性カーボンブラック含有複合体の電気伝導メカニズムとしては、カーボンブラック連鎖の接触によるものとトンネル効果によるものが考えられるが、前者の方が主と考えられる。従って、カーボンブラックの連鎖が長く高密度ポリマー中に存在する方が接触確率大となり、高導電性となる。本発明者らの検討結果では、導電性カーボンブラックの含有量は15重量%未満では殆ど効果がなく、20重量%を超えると急激に導電性が向上し、30重量%を超えると向上の比率は小さくなって、40重量%を超えると向上の比率はほぼ飽和する。
【0016】
その他の導電性粒子としては、粒子粉末での電気抵抗が10Ω・cm以下のものが適用可能であり、より好ましくは10Ω・cm以下のものであり、酸化第2錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化タングステンなどの導電性を有する金属酸化物に適当な第2成分を少量添加したものが導電性を強化することができるので好ましい。この第2成分としては、酸化第2錫に対しては、酸化アンチモン、酸化亜鉛に対しては酸化アルミニウム、酸化インジウム、酸化ゲルマニウムもしくは酸化錫などが挙げられる。酸化チタン粒子の表面に、酸化第2錫を主成分とし酸化アンチモンを第2成分として有する被膜を付加した導電性粒子などが紡糸汎用性が高くより好ましい。これらの導電性金属化合物粒子を用いる場合、導電ポリマー(A)において、目的とする導電性能を得るための導電性粒子の含有量は60〜80重量%であり、好ましくは65〜75重量%である。
【0017】
本発明において、導電性粒子を混練配合するポリマーは、ポリエステル系ポリマーである。本発明の目的である高い繊維強度を得るための非導電性ポリマー(B)であるポリエチレンテレフタレートとの複合安定性を保持し、製糸工程や高次加工工程あるいは製品使用中の成分剥離を抑制するためのものである。
【0018】
特に、導電性粒子の均一分散性や溶融特性、さらには得られた導電性複合繊維の耐屈曲性を得るために、ポリブチレンテレフタレートが好ましい。本発明の様に導電ポリマーと非導電ポリマーとを複合した導電性繊維を用いる場合、製品での長期連続使用における過酷な曲げ、引っ張り、屈曲などの動作や洗濯が繰り返し行われ、導電性複合繊維における導電ポリマーの導電部分の脱落やクラックにより徐々に除電効果が低下していく。本発明者らの検討結果では、長期連続使用における除電効果の低下を抑制するためには、導電ポリマー(A)にポリブチレンテレフタレート系ポリエステルを用いることにより、前記の如く長期使用においても導電性能があまり低下しないことを見出した。ポリブチレンテレフタレートは、K.Tashiro,Macromoleules,13,1378(1980)によると、外部より加えられた応力により、結晶c軸の短いα−fromと結晶c軸の長いβ−formとが可逆的に変化し、結晶c軸長が約1.4オングストローム程度伸縮するとある。このポリブチレンテレフタレート固有の応力起因の結晶構造の変化は、外部からの応力を繊維構造の伸縮性に転移させるものであり、導電性複合繊維の導電ポリマーに用いた場合においても、過酷な曲げ、引っ張り、屈曲に対する耐久性を向上するものである。
【0019】
本発明における導電ポリマー(A)は、電気抵抗10Ω・cm以下であることが必要であり、好ましくは10Ω・cm以下とすることが良い。
【0020】
なお、導電ポリマー(A)は、280℃溶融粘度:Y(poise)がズリ速度:X(sec−1)に対してY=29648X−0.515±130の範囲とすることが非導電ポリマー(B)との複合安定性や導電性複合繊維の物性を得るために好ましい。
【0021】
本発明の芯成分を構成する非導電性ポリマー(B)は、固有粘度0.68〜0.85のポリエチレンテレフタレートである。本発明の目的である除電性能の耐久性を保持するための繊維強度を得るためのものであり、また特に繰り返し工業洗濯が施される防塵衣や低発塵衣、手術衣などの製品に用いた場合の、耐水圧特性や強度特性を保持するためのものである。固有粘度が0.68を下回るポリエチレンテレフタレートを用いた場合、目的とする繊維強度特性が得られず、複合紡糸或いは延伸の際に糸切れを多発したり、高次加工工程での毛羽や単糸切れなどを発生する。また固有粘度が0.85を上回るポリエチレンテレフタレートを用いた場合、安定して紡糸口金からポリマーを吐出するために、溶融紡糸する際の紡糸温度を295℃を超えて高くする必要があり、295℃以上の紡糸温度領域では導電ポリマー(A)の溶融粘度が急激に低下するために安定した複合断面形状を得るのが困難になり、安定した製糸が出来ないばかりでなく、導電性複合繊維の導電性能にもバラツキが生じる。また、防塵衣や低発塵衣、手術衣などの特に寸法安定性が要求される製品では、一般的にポリエステル系繊維で布帛組織の90重量%以上を構成し、導電性複合繊維を交撚、合撚、混繊したもの、或いは導電性複合繊維単体を布帛組織中に少量打ち込むなどして使用するが、非導電性ポリマー(B)にポリアミドやポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレートを用いた場合、他のポリエステル系繊維と収縮特性などが異なるために、製品に重要な寸法安定性が得られなくなったり、布帛としての一体感が得られない。すなわち、 本発明における芯成分を構成する非導電性ポリマー(B)は、固有粘度0.68〜0.85のポリエチレンテレフタレートであり、好ましくは固有粘度0.70〜0.82、さらに好ましくは0.75〜0.80である。
【0022】
本発明の導電性複合繊維は、導電ポリマー(A)を鞘成分とし、非導電ポリマー(B)を芯成分とする芯鞘複合繊維であり、芯成分は繊維横断面積の50〜95%以上を占有し、かつ鞘成分が繊維表面を完全に被覆しているものである。
【0023】
導電ポリマー(A)を鞘成分として繊維表面を完全に被覆することによって、本発明の目的である優れた除電性能を発揮するものである。導電ポリマー(A)が非導電ポリマー(B)で完全に被覆されているかその一部しか露出していない場合は、繊維周長方向で電気抵抗値に斑が生じやすく、導電性能のバラツキが大きくなるため、導電ポリマー(A)を鞘成分として繊維表面を完全に被覆する必要がある。また、繊維強度を確保するための芯成分は、繊維横断面積の50%以上を占有する比率で複合する必要があり、50%を下回ると繊維強度が低下するために製糸性・高次加工性が低下し、また製品の除電性能耐久性が損なわれる。また、芯成分が繊維横断面積の95%を超える比率で複合した場合、導電ポリマー(A)からなる鞘成分の複合比率が低下するために、繊維長手方向に均一に連続されず、安定した複合紡糸が困難となるばかりでなく、除電性能に斑が生じる。 なお、前記芯成分の繊維横断面積の占有率は、固有粘度の高いポリエチレンテレフタレートを用いる場合は、芯成分が繊維横断面積に占める割合を比較的小さくし、固有粘度の低いポリエチレンテレフタレートを用いる場合には、芯成分が繊維横断面積に占める割合を大きくするという様に、複合紡糸に用いる導電ポリマー(A)のポリエステル種と、非導電ポリマー(B)のポリエチレンテレフタレートの固有粘度の組合せによって、得られる導電性複合繊維を製糸性や高次加工性あるいは実際製品使用するのに問題のない繊維強度レベルが得られる様に好適に選択するものであり、繊維強度としては2.8cN/dtex以上が好ましく、好ましくは3.0cN/dtex以上であり、さらに好ましくは3.5cN/dtex以上とすることが好ましい。
【0024】
本発明の導電性複合繊維の製造方法は特に限定されるものではなく、未延伸糸を複合紡糸したのちに延伸する方法、一旦未延伸糸を巻き取ることなく直接紡糸延伸する方法など、いずれの方法を採用しても良い。
【0025】
【実施例】
以下、実施例により詳細に説明する。なお、本発明の実施例中における測定項目は次の通りである。また、実施例および比較例をまとめた表1〜3においては、導電性粒子・導電ポリマーを次の通り省略して記載する。
【0026】
1.導電性粒子
C−B(カーボンブラック)、T−S(チタン系酸化錫)、I−C(沃化第一銅)
2.導電ポリマー
PBT(ポリブチレンテレフタレート)、N6(ナイロン6)
3.固有粘度
オルソクロロフェノール(以下OCPと略す)10ml中に試料ポリマーを0.8g溶かし、25℃にてオストワルド粘度計を用いて相対粘度ηrを次式により算出した値(IV)である。
ηr=η/η=(t×q)/(t×q
IV=0.0242ηr+0.2634
但し、η:ポリマー溶液の粘度、η:OCPの粘度、t:溶液の落下時間(秒)、q:溶液の密度(g/cm)t:OCPの落下時間(秒)、q:OCPの密度(g/cm)。
【0027】
4.繊度
JIS L1090−5−3の方法で測定した。
【0028】
5.繊維強度
JIS L1090−5−5−1の方法で測定した。
【0029】
6.電気抵抗
電圧電流計法により、平行クリップ電極にセットされた導電性複合繊維の試料に、直流電圧100V印可した際の試料に流れる電流値より、オームの法則により算出した抵抗値の対数で評価した。電気抵抗10Ω・cm以下の対数は、5以下である。
【0030】
7.製糸性
通常の複合紡糸機にて、1,000kgの導電性複合繊維の未延伸糸を巻き取った後に、通常の延伸機にてボビンに0.5kgの延伸糸を巻き取り、1,000kgの未延伸糸に対する導電性複合繊維の製品収率で以下の通り判定した。
○:95%以上、△:80〜94%、×:79%以下
8.加工安定性
得られた導電性複合繊維をポリエステル(ポリエチレンテレフタレート)/綿=65/35の混紡糸でカバーリングし、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート)/綿=65/35、綿番手20S/2の経糸に80本に1本の割合で打ち込んでタテ80本/inヨコ50本/inの2/1ツイル織物とした。この際の、ポリエステル/綿混紡糸でのカバーリングを行う際の、導電性複合繊維の給糸ガイドおよび糸道での毛羽・糸切れ発生頻度(導電繊維の給糸長100,000m当たり)で評価し、○および△を合格とした。
5回:○、6〜10回:△、11回以上:×
9.摩擦帯電圧
JIS L 1094B法に準じて測定し、加工安定性の評価に用いた織物を50cm四方の織物を10cm×10cmの格子状に区分けして、25箇所を測定し、その平均値とした。なお、平均値あるいは測定箇所の1つにでも摩擦帯電圧が200V以上あるものは不合格とした。
【0031】
10.耐久性
加工安定性および摩擦耐電圧の評価に用いた織物を250回繰り返し洗濯した後の摩擦耐電圧を測定し、評価基準は摩擦耐電圧と同等に評価した。
【0032】
実施例1
カーボンブラック粒子を25重量%含有し、280℃溶融粘度がズリ速度1216sec−1で630poiseであるポリブチレンテレフタレートを導電ポリマー(A)として鞘成分に用い、固有粘度0.78のポリエチレンテレフタレートを非導電ポリマー(B)芯成分として、図1の如き断面形状を有し、繊維横断面積比(A:B)=20:80となるように、通常の複合紡糸機を用いて、紡糸温度290℃、紡速1500m/分で未延伸糸を巻き取り、次いで延伸熱セットして、28デシテックス5フィラメントの導電性複合繊維を得た。製品収率は97.5%と優れた製糸性を有し、繊維強度は3.6cN/dtexであり、繊維電気抵抗値は1.6×10Ω・cm、すなわち電気抵抗値の対数は4.2となり、優れた除電性能を有していることが分かった。また、これを用いた織物においては、加工安定性は良好であり、摩擦帯電圧62V、250回洗濯後の摩擦帯電圧88Vと目的とする優れた除電性能および耐久性を有することが分かった。結果をまとめて表1〜3に示す。
【0033】
実施例2
非導電ポリマー(B)芯成分を固有粘度0.85のポリエチレンテレフタレートとし、繊維横断面積比=50:50、紡糸温度295℃としたこと以外、実施例1と同様の方法で導電性複合繊維を得た。
【0034】
実施例3
非導電ポリマー(B)芯成分を固有粘度0.68のポリエチレンテレフタレートとし、繊維横断面積比=5:95、紡糸温度287℃としたこと以外、実施例1と同様の方法で導電性複合繊維を得た。
【0035】
実施例4
導電性粒子に酸化チタン表面を酸化錫と酸化アンチモンを併用して被覆したチタン系酸化錫を用い、導電性粒子を65重量%含有するPBTからなる導電ポリマー(A)を鞘成分とし、固有粘度0.75のポリエチレンテレフタレートを非導電ポリマー(B)芯成分とし、繊維横断面積比=30:70としたこと以外、実施例1と同様の方法で導電性複合繊維を得た。
【0036】
実施例5
導電性粒子に沃化第一銅を用い、導電性粒子を80重量%含有するPBTからなる導電ポリマー(A)を鞘成分とし、固有粘度0.83のポリエチレンテレフタレートを非導電ポリマー(B)芯成分とし、繊維横断面積比=20:80としたこと以外、実施例1と同様の方法で導電性複合繊維を得た。
【0037】
これら、いずれの実施例においても、安定した製糸性、加工性、および良好な除電性能、耐久性を有した目的とする導電性複合繊維を得ることが出来た。
【0038】
【表1】
Figure 2004225214
【0039】
比較例1
導電性粒子の含有量を10重量%としたこと以外、実施例1と同様の方法で複合繊維を得た。得られた繊維は製糸性、加工安定性には問題ないものの、電気抵抗値は1.26×1013Ω・cm、すなわち対数13.1となり、これを用いた織物の摩擦帯電圧は460Vとなり、優れた除電性能を発揮せず、目的とする導電性複合繊維とは言えないものとなった。
【0040】
比較例2
導電性粒子に酸化チタン表面を酸化錫と酸化アンチモンを併用して被覆したチタン系酸化錫を用い、導電性粒子を90重量%含有するPBTからなる導電ポリマー(A)を鞘成分としたこと以外、実施例1と同様の方法で導電性複合繊維を複合紡糸しようとしたが、導電ポリマーの流動性が著しく低下し、安定した吐出が出来ず、製糸することが出来ず、紡糸温度、紡糸速度など製糸条件を種々変更したが、改善する兆候は見られなかった。
【0041】
比較例3
導電ポリマー(A)をカーボンブラックを35重量%含有するナイロン6としたこと以外、実施例1と同様の方法で導電性複合繊維を得た。得られた繊維の除電性能や織物摩擦帯電圧には問題無かったが、複合紡糸や延伸熱セットあるいは織物加工の際に、芯成分と鞘成分の剥離による糸切れや毛羽が多発し、実際生産するには困難なレベルのものとなった。また、250回洗濯後の摩擦帯電圧が204Vとなり、耐久性の不十分な結果となり、この織物から導電性複合繊維を抜き取り、詳細に調査・観察したところ、導電性複合繊維の表面において導電性ポリマーにクラックが入り連続性が欠落したり、芯成分と鞘成分が剥離している部分が見られた。
【0042】
比較例4
非導電ポリマー(B)芯成分を固有粘度0.63のポリエチレンテレフタレートとし、紡糸温度285℃としたこと以外、実施例1と同様の方法で導電性複合繊維を得た。得られた繊維は、繊維強度2.4cN/dtexとなり、除電性能および織物の摩擦帯電圧は問題無いものの、複合紡糸や延伸熱セットあるいは織物加工の際に、芯成分の破断によると思われる糸切れや毛羽が多発し、実際生産するには困難なレベルのものとなった。また、250回洗濯後の摩擦帯電圧は311Vとなり、耐久性の劣るものとなり、この織物から導電性複合繊維を抜き取り、詳細に調査・観察したところ、繊維強度が低いために、織物中で導電性複合繊維の連続性が欠落していることが分かった。また、紡糸温度や紡糸速度など製糸条件を種々検討したが、前記結果に変化は見られなかった。
【0043】
比較例5
非導電ポリマー(B)芯成分を固有粘度0.90のポリエチレンテレフタレートとしたこと以外、実施例1と同様の方法で導電性複合繊維を得た。但し、紡糸温度295℃では芯成分の流動性低下による吐出不良が発生したため、安定して吐出する紡糸温度300℃とした。得られた繊維は、繊維強度4.1cN/dtexとなり、電気抵抗値は7.9×10Ω・cm、すなわち対数4.9となったが、複合紡糸の際の糸切れや延伸熱セット時の糸切れや毛羽が頻発した。また、織物の摩擦帯電圧は、測定個所により122〜249Vとバラツキが非常に大きく、除電性能が不均一であり、250回洗濯後の摩擦帯電圧は308Vとなり、耐久性の劣るものとなった。この織物から導電性複合繊維を抜き取り、詳細に調査・観察したところ、導電性複合繊維の鞘成分である導電ポリマーの層厚みにバラツキが大きい部分や芯成分と鞘成分が剥離している部分が見られた。
【0044】
比較例6
複合面積比率(A:B)=2:98としたこと以外、実施例1と同様の方法で導電性複合繊維を得た。得られた繊維は、繊維強度は4.2cN/dtexとなったものの、複合紡糸や延伸熱セット、織物加工の際に鞘成分と芯成分の剥離によるものと思われる糸切れや毛羽が頻発した。また、繊維の電気抵抗値は3.2×1011Ω・cm、すなわち対数11.5となり、織物の摩擦帯電圧の劣ったものとなった。この織物から導電性複合繊維を抜き取り、詳細に調査・観察したところ、導電性複合繊維の鞘成分である導電ポリマーの層厚みにバラツキが大きい部分や鞘成分の連続性が欠落している部分が見られた。
【0045】
比較例7
非導電ポリマー(B)芯成分を固有粘度0.83のポリエチレンテレフタレートとし、複合面積比率(A:B)=60:40としたこと以外、実施例1と同様の方法で導電性複合繊維を得た。得られた繊維は、繊維強度1.9cN/dtexとなり、製糸性・加工性ともに劣悪なものとなった。また、電気抵抗値は1.26×10Ω・cm、すなわち対数5.1となり、織物の摩擦帯電圧は46Vが得られたが、250回洗濯後の摩擦帯電圧は220Vとなり、目的とする除電性能の耐久性が欠如したものとなった。この織物から導電性複合繊維を抜き取り、詳細に調査・観察した結果、繊維が破断している部分が多く確認された。
【0046】
比較例8
導電ポリマー(A)を芯成分とし、非導電ポリマー(B)を鞘成分とし、図4の如き断面形状としたこと以外、実施例1と同様の方法で導電性複合繊維を得た。得られた繊維は、繊維強度3.7cN/dtexとなり、製糸性・加工性ともに問題無いが、電気抵抗値が7.9×1012Ω・cm、すなわち対数12.9となり、織物の摩擦帯電圧は331Vと目的とする除電性能を発揮しないものとなった。
【0047】
【表2】
Figure 2004225214
【0048】
【表3】
Figure 2004225214
【0049】
【発明の効果】上述したように、本発明によれば、導電性粒子を適正な範囲で含有せしめたポリエステルを鞘成分とし、特定範囲の固有粘度を有するポリエチレンテレフタレートを芯成分として、芯成分の繊維横断面積の占有率を適正なものとすることにより、製糸性や加工性に優れ、優れた除電性能と耐久性を有する防塵衣、低発塵衣、手術衣、OA機器用ブラシなどが得られる導電性複合繊維を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明導電性複合繊維の横断面の一具体例
【図2】本発明導電性複合繊維の横断面の一具体例
【図3】本発明導電性複合繊維の横断面の一具体例
【図4】本発明以外の導電性複合繊維の横断面の一具体例
【符号の説明】
A:導電ポリマー
B:非導電ポリマー

Claims (1)

  1. 導電性粒子を15〜80重量%含有するポリエステルからなり、電気抵抗10Ω・cm以下である導電ポリマー(A)を鞘成分とし、固有粘度0.68〜0.85であるポリエチレンテレフタレートからなる非導電ポリマー(B)を芯成分とする芯鞘複合繊維であり、芯成分は繊維横断面積の50〜95%を占有し、かつ鞘成分が繊維表面を完全に被覆していることを特徴とする導電性複合繊維。
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