JP2010255157A - 耐湿熱性導電ミシン糸及び織編物 - Google Patents

耐湿熱性導電ミシン糸及び織編物 Download PDF

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Abstract

【課題】処理した後も、導電性及び制電性に優れた性能を有する十分な導電性能を有しており、導電性複合糸とすることで、導電ミシン糸の糸表面への導電性繊維露出割合が安定しており、縫製後の製品中にしっかりと固定することができ、クリーンルーム用や医療用の作業用ユニフォーム等の衣料用途や、カーテンなどのインテリア用途及び資材用途に好適に用いられる耐湿熱性導電ミシン糸を提供する。
【解決手段】鞘部に導電性繊維と芯部に熱可塑性繊維となるように構成されたカバリングからなる導電性複合糸を少なくとも1本以上用い、カバリングとは逆方向に合撚を施してなる導電性ミシン糸であって、該導電性複合糸に用いる導電繊維の電気抵抗値が1×10〜1×10Ω/cmである耐湿熱性導電性ミシン糸。
【選択図】図2

Description

本発明は、各種の衣料用途、インテリア用途及びフィルター用途、産業資材用途に用いることができる導電ミシン糸に関するものである。また、本発明は、このような導電ミシン糸を用いて織編物、不織布等を縫製した製品に関するものである。
従来、ミシン糸としては各種長繊維糸や紡績糸、長繊維糸と短繊維糸とを複合した長短複合糸の合撚糸が提供されており、各種衣料用途、インテリア用途及びフィルター用途、産業資材用途に用いられている。
このようなミシン糸において、機能性を付与した付加価値の高いミシン糸が要求されてきており、高強力性能を有するもの、耐熱性を有するもの、難燃性を有するもの等の提案がなされ、これらのミシン糸は機械特性、耐薬品性、耐候性等の多くの長所を有しており、衣料のみならず産業資材用途にも広く用いられている。しかし、これらの繊維は摩擦等により静電気の発生が著しいため、空気中の粉塵を吸引して美観を低下させたり、人体への電撃を与えて不快感を与えたり、さらにはスパークによる電子機器への障害や、引火性物質への引火爆発等の問題を引き起こす場合があり、そのために導電性を付与するための多くの研究がなされてきた。
そこで、特許文献1に、精紡工程にて導電性繊維を芯又は鞘に16〜30重量%配した精紡交撚糸を用いることで、電気抵抗値が1×10〜1×1011Ω/cmである導電性複合繊維を得られ、縫製時に発生する静電気防止できることが開示されている。しかしながら、この方法では導電性繊維を縫製時の摩擦における静電気は抑制できても、縫製された後の製品を洗濯し測定した場合には電気抵抗面で不十分であった。
また、特許文献2には、導電性繊維とポリエステル長繊維を引き揃えまたはエアー混繊した糸条を複数本用い下撚りした後に、下撚りとは逆の方向で上撚りを施すことで、寸法安定性に優れ電気抵抗値1×10Ω/cm以下のミシン糸が得られることが記載されている。しかしながら、該方法で得られたミシン糸では、寸法安定性は良好なもののミシン糸の長さ方向で導電性繊維の露出割合にバラツキがあるため、電気抵抗安定性に劣るものであった。
さらに、特許文献3には、導電性繊維に芳香族ポリアミドポリマーを用いることで、耐湿熱性の向上ができると記載されている。この方法で得られたものは確かに耐湿熱性に優れたものは得られるが、ミシン糸の長さ方向で導電性繊維の露出割合にバラツキがあるため、電気抵抗安定性に劣るものであった。
特開平10−310944号公報 特開2000−110042号公報 特開2005−307391号公報
本発明は、上記のような問題点を解決するもので、熱処理した後も、導電性及び制電性に優れた性能を有する十分な導電性能を有しており、導電性複合糸とすることで、導電ミシン糸の糸表面への導電性繊維露出割合が安定しており、縫製後の製品中にしっかりと固定することができ、クリーンルーム用や医療用の作業用ユニフォーム等の衣料用途や、カーテンなどのインテリア用途及び資材用途に好適に用いられる耐湿熱性導電ミシン糸を提供することを技術的な課題とするものである。
本発明者らは、上記課題を解決するために検討した結果、本発明に到達した。すなわち、本発明は以下の1〜5を要旨とするものである。
1.鞘部に導電性繊維と芯部に熱可塑性繊維となるように構成されたカバリングからなる導電性複合糸を少なくとも1本以上用い、カバリングとは逆方向に合撚を施してなる導電性ミシン糸であって、該導電性複合糸に用いる導電繊維の電気抵抗値が1×10〜1×10Ω/cmであることを特徴とする耐湿熱性導電性ミシン糸。
2.導電性繊維が複数の単糸からなるマルチフィラメントであって、各単糸が、ポリエステル系樹脂からなる非導電性成分と、導電性粒子を含有するポリエステル系樹脂からなる導電性成分とで構成される複合繊維であり、繊維の長手方向に対して垂直に切断した横断面において、非導電性成分中に導電性成分部分が存在し、かつ導電性成分は一部が繊維表面に露出している形状を呈しており、かつ、湿熱処理(121℃で25時間処理)後の導電性能低下率が20以下、湿熱処理(121℃で25時間処理)後の強力保持率が70%以上である上記1記載の耐湿熱性導電ミシン糸。
3.導電性繊維の導電性成分が、ポリエステル系樹脂からなる非導電性成分と、導電性粒子を含有するポリエステル系樹脂からなる導電性成分とで構成され、導電性成分の少なくとも一部が繊維表面に露出している形状を呈している導電性複合繊維であって、導電性複合繊維中にアンチモン化合物及びリン化合物が下記式(1)〜(2)を同時に満足する量含有される耐湿熱性導電性繊維である上記2記載の耐湿熱性導電ミシン糸。
(1)0.5×10−4≦〔Sb〕≦3.0×10−4
(2)0.1×10−4≦〔P〕≦20.0×10−4
なお、〔Sb〕はアンチモン化合物の含有量、〔P〕はリン化合物の含有量を表し、単位は「モル/酸成分モル」である。
4.熱可塑性繊維の強度が3cN/dtex以上であることを特徴とする上記1〜3いずれかに記載の耐湿熱性導電ミシン糸。
5.上記1〜4いずれかに記載の耐湿熱性導電ミシン糸を使用した織編物であって、湿熱処理(121℃で25時間処理)後の、当該導電ミシン糸にかかる縫製方向の縫い目の表面漏洩抵抗値が1×10Ω以下であることを特徴とする織編物。
本発明の耐湿熱性導電ミシン糸は、十分な導電性能と安定性を有しており、芯部に十分な強度を有する熱可塑性繊維を含むものであるため、ミシン糸にした際の糸切れもなく、また導電性複合糸の鞘部に優れた電気性能及び、湿熱処理後の強度保持性を有する耐湿熱性導電性繊維を構成しているために、該導電性繊維が複合糸中もしくは導電ミシン糸で導電性繊維がしっかりと表面に露出固定されているので、湿熱処理後も安定した電気抵抗及び耐久性にも優れるものとなる。
そして、本発明の耐湿熱性導電ミシン糸は、クリーンルーム用や医療用の作業用ユニフォーム等の衣料用途や、カーテンなどのインテリア用途及び資材用途に縫製用ミシン糸として好適に用いることができる。
本発明における導電性複合糸を構成する導電性繊維を繊維の長手方向に対して垂直に切断した横断面形状を示す一実施態様である。 本発明における導電性複合糸を構成する導電性繊維を繊維の長手方向に対して垂直に切断した横断面形状を示す他の実施態様である。 本発明における導電性複合糸を構成する導電性繊維を繊維の長手方向に対して垂直に切断した横断面形状を示す他の実施態様である。 本発明における導電性複合糸のシングルカバリング糸の一実施態様を示す模式図である。 本発明における導電性複合糸のダブルカバリング糸の一実施態様を示す模式図である。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の導電ミシン糸に用いる導電性複合糸は、鞘部が耐湿熱性の導電性繊維、芯部が熱可塑性繊維からなるように構成されたカバリング糸条である。
まず、導電性繊維について説明する。
本発明における導電性繊維としては、ポリエステル系樹脂からなる非導電性成分と、導電性粒子を含有するポリエステル系樹脂からなる導電性成分とで構成される導電性複合繊維が好ましく用いられる。かかる導電性複合繊維の複合形態について図面を用いて説明する。図1〜3は、本発明に用いる導電性複合繊維の長手方向に対して垂直に切断した横断面形状を示す模式図である。
同繊維では、導電性成分の少なくとも一部が繊維表面に露出している形状のものが好ましい。例えば、図1に示すように、導電性成分が繊維表面の全体を覆っているもの、つまり、鞘部が導電性成分、芯部が非導電性成分の芯鞘形状のものや、図2、3に示すような、導電性成分の一部が繊維表面に露出している形状のものが挙げられる。繰り返し湿熱処理を施した場合に、導電性複合繊維にクラックの発生や脱落が生じにくい形状としては、繊維表面の一部を導電性成分が覆っている図2、3の形状のものが好ましい。
導電性成分の一部が繊維表面に露出している形状のものとしては、図2(a)〜(d)に示すように、略三角形状の導電性成分が非導電性成分中に存在しており、導電性成分の一部(略三角形状の一辺)が繊維表面に露出しているようなものが挙げられる。導電性成分の形状は特に限定されるものではなく、四角形や半円形状のものであってもよい。
図2(a)は、導電性成分の数が1個で繊維表面に露出している箇所が1箇所であるもの、(b)は導電性成分の数が2個で繊維表面に露出している箇所が2箇所、(c)は導電性成分の数が3個で繊維表面に露出している箇所が3箇所、(d)は導電性成分の数が4個で繊維表面に露出している箇所が4箇所であるものの例である。
導電性成分の繊維表面に露出している箇所は2〜20箇所が好ましく、中でも3〜8箇所であることが好ましい。導電性成分の繊維表面に露出している箇所が1箇所であると、繊維表面に露出している部分が湿熱処理後、着用等による負荷を受けた時にクラックが生じたり、破損、欠落すると、導電性能が不十分となり、当初の導電性能を維持できなくなる場合がある。一方、導電性成分の繊維表面に露出している箇所が20箇所を超える場合は、繊維表面への露出部分が多くなり、湿熱処理後のクラックや欠落が生じやすくなる。
このため、導電性成分の繊維表面への露出の割合は、円周の3/4以下、中でも1/2以下とすることが好ましく、より好ましくは1/3〜1/10である。円周の1/10未満となると、導電性能が不十分となりやすく、好ましくない。
さらに、本発明における導電性複合繊維の形状として、導電性成分の繊維表面に露出している部分が2箇所以上あり、かつ導電性成分が繊維中心部付近を連通する形状を呈していることが好ましい。その一例としては、図3(a)〜(c)に示すようなものが挙げられる。
図3(a)は、導電性成分が繊維の中心部付近を通って一直線状に配置されているものであり、繊維表面に露出している部分が2箇所のものである。(b)は、導電性成分が繊維の中心部付近を通って十字形状に配置されており、繊維表面に露出している部分が4箇所のものである。(c)は、導電性成分が繊維の中心部付近を通って三方に分かれた形状に配置されており、繊維表面に露出している部分が3箇所のものである。
このように、導電性成分が繊維中心部付近を連通し、かつ繊維表面に2箇所以上露出していることにより、繊維表面に多数の導電性の接点が存在し、かつそれらの接点間が中心部を介して導通することにより電気の流れが多方向で可能となるので、導電性に優れた繊維とすることができる。このため、中でも導電性成分の繊維表面に露出している部分が3箇所以上とすることが好ましい。ただし、露出している部分の箇所が増えると、繊維表面への露出部分が多くなり、滅菌処理後にクラックや欠落が生じやすくなるため、中でも3〜8箇所とすることが好ましい。
また、導電性成分の繊維表面への露出の割合は、前記と同様の理由で、円周の3/4以下、中でも1/2以下とすることが好ましく、より好ましくは1/3〜1/10である。
また、本発明に用いる複合繊維においては、非導電性成分と導電性成分の複合比率は、非導電性成分が60〜90質量%、導電性成分が40〜10質量%とすることが好ましく、より好ましくは非導電性成分が70〜85質量%、導電性成分が30〜15質量%である。導電性成分の複合比率が10質量%未満では、導電性性能が十分でない場合があり、一方、導電性成分の複合比率が40質量%を超えると、強伸度特性等の糸質性能が劣ったり、操業時のトラブルや滅菌処理後のクラックが生じやすくなる。
そして、本発明における導電性複合繊維は、導電性能として、電気抵抗値が1×10Ω/cm〜1×10Ω/cmであり、中でも1×10Ω/cm〜1×10Ω/cmであることが好ましい。複合繊維の電気抵抗値が1×10Ω/cmを超えると、使用する用途によっては、導電性能が不十分となる。特に導電性複合繊維の電気抵抗値が1×10Ω/cm以下であると、得られた織編物を通常の環境下で使用した場合に、織編物の帯電をほとんどなくすことが可能となる。一方、1×10Ω/cm未満にしようとすると、導電性粒子をポリマーに多量に含有させることが必要となり、繊維物性に悪影響を及ぼすばかりか、紡糸、延伸時にトラブルが生じやすくなる。
なお、本発明における導電性複合繊維の電気抵抗値は、AATCC76法に準じて以下のようにして測定するものである。導電性複合繊維(マルチフィラメントもしくは単糸のいずれでもよい)を長さ方向に15cm程度にカットして、10サンプルを採取する。このサンプルの両端の表面にケラチンクリームを塗布し、この表面部分を金属端子に接続し、試料測定長10cmにて、50Vの直流電流を印加して電流値を測定し、下記式で電気抵抗値を算出する。算出した10個のサンプルの電気抵抗値の相加平均値とする。
電気抵抗値=E/(I×L)
E:電圧(V) I:測定電流(A) L:測定長(cm)
次に、導電性複合繊維の湿熱処理(121℃で25時間処理)後の性能について説明する。具体的には、湿熱処理後の導電性能低下率が20以下であり、強度保持率が70%以上であることがそれぞれ好ましい。これらを達成するには、後述のように導電性複合繊維中にアンチモン化合物及びリン化合物を特定量含有するのが好ましく、これにより、カルボキシル末端基濃度の低いものとすることができる。そうすると、滅菌処理等の湿気処理を繰り返し行っても、その前後で導電性能の低下及び強度の低下が少なくなる。
通常、製薬工場、IT関連事業所、病院等で使用される手術着や白衣、食品工場のユニフォーム等では高圧の蒸気による滅菌処理が定期的に(繰り返し)施される。その時の蒸気処理、すなわち湿熱処理温度は121℃〜135℃で、処理時間としては15分〜5分程度が滅菌に必要とされる時間として一般的である。
121℃での湿熱処理(1回)に要する時間は通常15分程度であることから、本発明においては、100回分の湿熱処理に相当する25時間処理を行うことで処理前後の導電性能と強度の低下の程度をみる指標とするものである。
まず、本発明での導電性複合繊維における湿熱処理(121℃で25時間処理)後の導電性能低下率は以下のようにして算出するものである。
導電性能低下率=(Y/X)
X:導電性複合繊維の湿熱処理前の電気抵抗値(Ω/cm)
Y:導電性複合繊維の湿熱処理後の電気抵抗値(Ω/cm)
本発明における導電性複合繊維は、導電性能低下率が20以下であり、中でも10以下であることが好ましい。通常、導電性能低下率が100を超えると、滅菌処理等の湿熱処理により電気抵抗値が大きく低下する繊維となり、処理前には導電性能を有していたとしても、処理後には導電性能を有していないものとなり、耐久性に劣り、各用途において十分に導電性能が発揮できないものとなる。20以下であることにより、ほとんど導電性能の低下がなく、非常に耐久性に優れたものとなる。
さらに、導電性複合繊維における湿滅処理後の強度保持率は、繊維の引張強度をJIS L1013引張強さ及び伸び率の標準時試験に従い、定速伸張形の試験機を用い、つかみ間隔20cmで測定する。次に、湿熱処理を121℃、25時間行った後、再度同様の方法で繊維の強度を求める。そして、以下のようにして算出するものである。
強度保持率(%)=(S/M)×100
S:導電性複合繊維の湿熱処理後の引張強度(cN/dtex)
M:導電性複合繊維の湿熱処理前の引張強度(cN/dtex)
強度保持率は70%以上、中でも75%以上であることが好ましい。常法で得られた繊維では、強度保持率は50%以下になってしまう。この場合、滅菌処理を繰り返すうちに、強度の低下が大きくなり、着用による負荷でダメージを受けて、繊維が切断したり、品位が悪くなると同時に導電性能も低下する。強度保持率が70%以上であることで、湿熱処理後もほとんど強度の低下のない優れた性能のものが得られる。
そして、導電性複合繊維は繊維中にアンチモン化合物及びリン化合物が下記式(1)〜(2)を同時に満足する量含有されていることが好ましい。
(1)0.5×10−4≦〔Sb〕≦3.0×10−4
(2)0.1×10−4≦〔P〕≦20.0×10−4
これにより、導電性複合繊維は耐湿熱性を有するものとなり、上記のような湿熱処理後の導電性能低下率や強度保持率を有するものとなり、さらには、色調にも優れたものとなる。
アンチモン化合物としては、三酸化アンチモン、塩化アンチモン、酢酸アンチモン等が挙げられ、中でも重縮合触媒活性、得られるポリエステル繊維の物性及びコストの点から、三酸化アンチモンを用いることが好ましい。
アンチモン化合物の特徴としては十分な重縮合活性を示すが、重縮合反応後期で熱分解促進する作用がある。しかるに、多量に添加すると、ポリエステル中のカルボキシル末端基量が増加し、耐湿熱性能が低下した繊維となる。
アンチモン化合物の添加量は十分な重縮合反応速度が発揮される範囲で少なくするのがよいため、ポリエステル繊維中のアンチモン化合物の含有量は(1)式を満足するものとするのがよい。
繊維中のアンチモン化合物の含有量は(1)式で定める範囲のうち、中でも、0.8× 10−4≦〔Sb〕≦2.5×10−4とすることが好ましい。(1)式で定める値より少ない場合は、十分な重縮合活性を示さず、重縮合反応時間が長くなるため熱分解反応が進行し、カルボキシル末端基濃度が高くなり、耐湿熱性が劣るものとなる傾向にある。
一方、繊維中のアンチモン化合物の含有量が(1)式で定める値より多い場合は、ポリエステルの色調を悪化させるばかりではなく、さらに、熱分解反応も促進されるため、
カルボキシル末端基濃度が高くなり、耐湿熱性が劣るものとなる傾向にある。
導電性複合繊維は、アンチモン化合物に加えて、リン化合物も含有していることが好ましい。繊維中のリン化合物の含有量は(2)式を満足する量とすることがよく、中でも0.5×10−4≦〔P〕≦10.0×10−4とすることが好ましい。リン化合物としては、リン酸又はそのエステルから誘導されたリン酸又はそのエステル(モノ−、ジ−及びトリ−エステル)が好ましく、具体的には、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリフェニル及びリン酸トリス−2−ヒドロキシエチル等が挙げられる。
リン化合物は、アンチモン化合物によるポリエステル系樹脂の色調の悪化を抑制するばかりでなく、熱分解を抑制する効果がある。繊維中のリン化合物の含有量が(2)式で定める値より少ない場合は、これらの効果が不十分となり、式(1)を満足していたとしても、繊維の色調を十分に良好にし、耐湿熱特性を向上させることが困難となることがある。一方、繊維中のリン化合物の含有量が(2)式で定める値より多い場合は、重縮合反応時にポリエステル系内が酸性となることにより、副反応物であるエーテル結合が生成するため、耐湿熱性が劣るばかりでなく強度も低下することがある。
そして、さらに本発明においては、上記の効果を十分に奏するために、アンチモン化合物とリン化合物との含有量が式(3)式を同時に満足することが好ましい。
(3)〔P〕/〔Sb〕≧0.2
上記したように、リン化合物は、アンチモン化合物によるポリエステル繊維の色調の悪化、熱分解作用を抑制する効果を奏するものであるため、アンチモン化合物との割合を示す式(3)を満足することが好ましい。
つまり、導電性複合繊維においては、ポリマーの重縮合反応時にアンチモン化合物及びリン化合物を添加し、重縮合反応させることが好ましい。加えて、本発明においては、これらの化合物の繊維中の含有量が式(1)〜(2)を同時に満足するものとし、さらに好ましくは、式(3)を同時に満足させるのが好ましい。
通常、カルボキシル末端基濃度の低い耐湿熱性に優れた繊維を得るためには、ポリエステルの重縮合反応において、溶融重合と固相重合とを行う必要ある。しかし、本発明では、上記のように、重縮合反応時にアンチモン化合物及びリン化合物を添加することによって、溶融重合のみでカルボキシル末端基濃度が低い導電性複合繊維を構成する耐湿熱性に優れたポリエステルを得ることができるのである。
本発明では、導電性複合繊維のカルボキシル末端基濃度は、25geq/t以下とすることが好ましく、中でも20geq/t以下、さらには18geq/t以下であることが好ましい。カルボキシル末端基濃度が25geq/tを超えて高くなると、耐湿熱性に劣るものとなり、導電性能低下率や強度保持率を満足しないものとなりやすい。
本発明における導電性複合繊維のカルボキシル末端基濃度は、導電性複合繊維0.1g をベンジルアルコール10mlに溶解し、この溶液にクロロホルム10mlを加えた後、1/10規定の水酸化カリウムベンジルアルコール溶液で滴定して求めるものである。
また、導電性複合繊維中には、アンチモン化合物やリン化合物以外の化合物を含有させてもよい。例えば、重縮合触媒として用いられる、チタン化合物やコバルト化合物等が挙げられる。
チタン化合物としては、テトラn−ブチルチタネート、テトラn−プロピルチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラエチルチタネート等が用いられるが、重縮合触媒活性、得られる繊維の物性の点から、テトラn−ブチルチタネートが好ましい。
また、コバルト化合物としては、酢酸コバルト、塩化コバルト、安息香酸コバルト等が挙げられるが、得られる繊維の物性の点から、酢酸コバルトが好ましい。
なお、導電性複合繊維中のアンチモン化合物、リン化合物の含有量は、導電性複合繊維をアルミ板上で加熱溶融した後、圧縮プレス機で平面を有する成型体に形成し、蛍光X線測定装置(理学電機工業株式会社製3270型)に供して、定量分析するものである。
次に、熱可塑性繊維について説明する。
熱可塑性繊維とは、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリオキシエトキシベンゾエート、ポリエチレンナフタレート、シクロヘキサンジメチレンテレフタレート及び、これら等のポリエステルに付加的部分としてさらにイソフタル酸、スルホイソフタル酸成分、プロピレングリコール、ブチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコールのようなジオール成分を共重合したポリエステル、ナイロン−6、ナイロン−6.6、芳香族ナイロン等のポリアミド、ポリプロピレン、アクリル、またはポリカポロラクトン、ポリブチレンサクシネートなどの化合物であって、土壌中や水中に長時間放置すると、微生物などの作用によって炭酸ガスと水に分解される脂肪族ポリエステル化合物等が挙げられる。
中でも、耐湿熱性の点でカルボキシル末端基濃度が25eq/t以下のポリエステルが好適である。
さらに、本発明の効果を損なわない範囲であれば、酸化防止剤、艶消し剤、着色剤、滑剤等の添加剤が含有されていてもよい。
繊維の断面形状としては、丸断面、三角断面、四角断面、五角断面、扁平断面、くさび型断面、あるいは、アルファベットを象ったC型断面、H型断面、I型断面、W型断面等が挙げられる。熱可塑性繊維は、通常、複数本を束にして糸条の形状で用い、糸条の形態としては、原糸、仮撚加工糸、他の糸条とのインタレース混繊糸等任意のものが採用できる。
そして、熱可塑性繊維の強度については、3cN/dtex以上が望ましく、好ましくは4cN/dtex以上であり、最も好ましくは5cN/dtex以上である。熱可塑性繊維の強度が、3cN/dtex未満であると、得られる導電ミシン糸の強度が低く、縫製時に糸切れが発生する原因となることがある。
本発明における導電性複合糸は、熱可塑性繊維の周りに導電性繊維が巻き付いたカバリング状のものである。本発明の導電ミシン糸は、このような導電性複合糸を合撚して得られたものであり、糸表面に導電性繊維が安定した状態で露出している。その結果、導電性繊維を紡績糸に混用させたものや、導電性繊維と他の非導電性繊維を下撚りした後に、複数本合わせて上撚りしたものと比較し、安定した電気抵抗値が得られる。加えて、織編物等の製品縫製に用いた場合、優れた効果を発揮し、縫製製品を滅菌処理した後の縫い目方向において、表面漏洩抵抗などの性能が低下し難い。
導電ミシン糸における導電性繊維の露出割合については、10%以上が好ましく、さらに好ましくは20%以上であり、最も好ましくは30%以上である。
縫製後の導電ミシン糸は、生地表面に現れる面積は一般に少ない傾向にある。そのため、導電性繊維の露出割合が過度に低くなると、導電ミシン糸は本来の性能を十分に発揮できなくなる。その結果、表面漏洩抵抗値は不安定なものとなり、湿熱処理後や洗濯後で表面漏洩抵抗値は低いものとなる。
本発明における導電性複合糸としては、カバリング機を用いたシングルカバリング糸やダブルカバリング糸などが好適である。
図4はシングルカバリング糸の模式図であり、熱可塑性繊維1の周りに導電性繊維2が平行に巻き付いたものである。図5はダブルカバリング糸の模式図であり、熱可塑性繊維1の周りに導電性繊維2が2本交差するように巻き付いたものである。そして、カバリングでの撚糸回数は、200〜1000T/Mの範囲が好ましい。200T/M未満であると、カバリング糸とした際の導電性繊維の露出割合が低くなる場合があり好ましくない。一方、1000T/Mを超えると、導電性能は十分に発揮されるが、コストが高くなる。
本発明の導電性複合糸においては、熱可塑性繊維の総繊度(M)と導電性繊維の総繊度(N)との比(M/N)が10/1〜1/10であることが好ましく、中でも5/1〜1/5であることが好ましく、さらには3/1〜1/2であることが好ましい。総繊度比(M/N)が10/1を超えると、導電性繊維が複合糸表面に露出する割合が少なくなり、その結果、十分な導電性能が得られなくなる。一方、熱可塑性の総繊度の比が1/10未満であると、導電ミシン糸を縫製に用いる際に、導電ミシン糸の強力が低くなり、ミシンでの糸切れが発生するためである。また、複合糸全体としての繊度が過度に細くなると、織編物に用いた場合、縫い目強力等の物性が低下しやすくなる。
また、カバリングの形態が逆になる、すなわち、導電性繊維の周りに熱可塑性繊維が巻き付いたような形態であると、導電性繊維の生地表面への露出が少なくなり、その結果、得られる製品は十分な導電性能が得られなくなる。そこで、本発明では、熱可塑性の周りに導電性繊維が巻き付いた導電性複合糸を採用するのである。
本発明では、上記の導電性複合糸を少なくとも1本以上用い、カバリングとは逆方向に合撚を施せば、目的の導電性ミシン糸が得られる。このとき、合撚相手としては、任意の糸条が採用できる。例えば、導電性複合糸が1本の場合は、導電性複合糸と他の糸条とを合撚して導電性ミシン糸となせばよい。導電性複合糸が2本の場合は、この2糸を合撚するか、この2糸に他の糸条を加えて合撚すればよい。
また、導電ミシン糸の縫製後の表面漏洩抵抗値については、実使用を考慮して、該導電ミシン糸を使用して縫製された織編物を、湿熱処理(121℃ で25時間処理)後の、縫製方向の縫い目の表面漏洩抵抗値が1×10Ω以下であることが好ましい。より好ましくは、1×10Ω以下であり、最も好ましくは1×10Ω以下である。
湿熱処理(121℃で25時間処理)後の縫い目方向の表面漏洩抵抗値が1×10Ωよりも大きくなると、十分な制電効果が得られなくなり、クリーンルームウェアー等のユニフォーム用途での実使用には不向きである。
さらに、IEC規格(国際電気標準会議規定)の中では、IEC61340−5−1(静電気現象からの電子デバイスの保護規定)において、表面漏洩抵抗値は1×1012Ω以下であることが盛り込まれているが、近年の規格見直しでは11×10Ω以下が好ましいとの変更がされている。この点からもクリーンルームウェアー用途で用いるユニフォーム用途での縫製用ミシン糸も1×10Ω以下であることが好ましい。
導電ミシン糸の強度については、使用用途によって異なるがユニフォーム用途等に使用する場合には、5N以上が好ましく、より好ましくは7N以上であり、最も好ましくは10N以上である。導電ミシン糸の強度が5N未満になると縫製の際に、導電ミシン糸の糸切れが発生し、縫い目方向の表面漏洩抵抗値の性能低下が起こり易くなる。更に縫製時の糸切れによるコスト高にもなる。
上記のようにして、得られた導電ミシン糸は優れた導電性能、制電性能を有し、さらに安定した耐久性能を有したものとなる。
(実施例1)
導電性成分として、極限粘度(フェノールと四塩化エタンとの等質量混合液を溶媒とし、温度20℃で測定した)0.75、カルボキシル末端基濃度が25geq/tのPBT (実質的にブチレンテレフタレート繰り返し単位が100モル%)に、導電性粒子として、平均粒径0.2μmのカーボンブラック(導電性成分中の27質量%となる量)を溶融混練したものを用い、常法によりチップ化して導電性成分とした。
また、非導電成分としては、ビス(β−ヒドロキシエチル)テレフタレート及びその低重合体(BHET)の存在するエステル化反応缶に、モル比1/1.6のテレフタル酸とエチレングリコールとのスラリーを連続的に供給し、温度250℃、圧力0.05kg/cm、滞留時間8時間の条件でエステル化反応を行い、エステル化反応率が95%のBHETを連続的に得た。このBHET50kgを重合槽に移送し、265℃に加熱し、触媒として三酸化アンチモンを、ポリエステルを構成する酸成分1モルに対し1.0×10−4モルと、リン化合物としてリン酸トリエチルを、ポリエステルを構成する酸成分1モルに対し0.5×10−4モル添加した。
その後、徐々に減圧し265℃で最終的に0.1tollの減圧下で3.5時間重縮合反応(溶融重合のみ)を行い、極限粘度(フェノールと四塩化エタンとの等質量混合液を溶媒とし、温度20℃で測定した)0.64、カルボキシル末端基濃度が9.0geq/tのPETを得、常法によりチップ化した。これを非導電性成分とした。
次に、単糸の横断面形状が図2(c)となるように設計された紡糸口金を用いて、導電性成分と非導電性成分のチップを供給し、通常の複合紡糸装置より紡糸温度295℃、導電性成分の複合比率20質量%となるように紡糸し、冷却、オイリングしながら3000m/分の速度で巻き取り、43dtex/2fの未延伸糸を得た。そして、この未延伸糸を90℃の熱ローラを介して1.53倍に延伸し、さらに、190℃のヒートプレートで熱処理を行った後に巻き取り、図2(c)の断面形状を呈する28dtex/2fの導電性複合繊維を得た。
なお、複合繊維中におけるアンチモン化合物、リン化合物の含有量は、それぞれ0.8×10−4モル、0.4×10−4モル、複合繊維の各種物性は、カルボキシル末端基濃度16.0geq/t、湿熱処理前後の電気抵抗値は、それぞれ9.1×10Ω/cm、3.5×10Ω/cm、導電性能低下率3.6、湿熱処理前後の引張強度は、それぞれ2.4cN/dtex、2.0cN/dtex、強度保持率83%であった。
次に、熱可塑性繊維としては、ユニチカファイバー(株)製、ポリエステル54dtex/24f(強度4.2cN/dtex)を用い、熱可塑性繊維の周りに得られた耐湿熱性導電性繊維を巻き付くべく、片岡エンジニアリング社製のカバリング機(PS−D−230)を用い、撚糸回数600T/M、Z撚りで導電性複合糸(シングルカバリング)を得た。なお、熱可塑性繊維の総繊度(M)と導電性繊維の総繊度(N)との総繊度比(M/N)は、3/1であった。
次いで、共立機械製ST−30リング撚糸機にて、得られた導電性複合糸を3本用い、撚糸回数600T/M、S撚りで合撚し、耐湿熱性導電ミシン糸を得た。
得られた耐湿熱性導電ミシン糸を使用し、JUKI製1本針ミシンを用いて平織物(仕上げ密度:経糸78本/2.54cm、緯糸:72本/2.54cm)を合わせ縫いし、縫製方向の縫い目の表面漏洩抵抗値を測定した。更に湿熱処理(121℃で25時間処理)後における表面漏洩抵抗値も測定した。結果を表1に示す。
(実施例2)
導電性成分として、極限粘度0.65、カルボキシル末端基濃度24geq/tでイソフタル酸を15モル%共重合した共重合ポリブチレンテレフタレート(共重合PBT)に平均粒径0.2μmのカーボンブラックを導電成分中の30質量%となるように、溶融混練したものを用い、常法によりチップ化して導電性成分とした。
また、非導電性成分として、ビス(β−ヒドロキシエチル)テレフタレート及びその低重合体(BHET)の存在するエステル化反応缶に、モル比1/1.6のテレフタル酸とエチレングリコールとのスラリーを連続的に供給し、温度250℃、圧力0.05kg/cm、滞留時間8時間の条件でエステル化反応を行い、エステル化反応率が95%のBHETを連続的に得た。このBHET50kgを重合槽に移送し、イソフタル酸とエチレングリコールのスラリーをイソフタル酸が8モル%となるように投入した後、265℃に加熱し、触媒として三酸化アンチモンを、ポリエステルを構成する酸成分1モルに対し1.0×10−4モルと、リン化合物としてリン酸トリエチルを、ポリエステルを構成する酸成分1モルに対し0.5×10−4モル添加した。その後、徐々に減圧し、265℃で最終的に0.1tollの減圧下で4.0時間重縮合反応(溶融重合のみ)を行い、極限粘度(フェノールと四塩化エタンとの等質量混合液を溶媒とし、温度20℃で測定した)0.64、カルボキシル末端基濃度が11.0geq/tのイソフタル酸8モル%共重合PETを得、常法によりチップ化した。これを非導電性成分とした。そして、以上の導電性成分及び非導電性成分を使用する以外は実施例1と同様に行い、導電性複合繊維を得た。
なお、複合繊維中におけるアンチモン化合物、リン化合物の含有量は、それぞれ0.8×10−4モル、0.4×10−4モル、複合繊維の各種物性は、カルボキシル末端基濃度17.0geq/t、湿熱処理前後の電気抵抗値は、それぞれ7.1×10Ω/cm、3.7×10Ω/cm、導電性能低下率5.2、湿熱処理前後の引張強度は、それぞれ2.3cN/dtex、1.7cN/dtex、強度保持率74%であった。
そして、以降は実施例1と同様にして、耐湿熱性導電ミシン糸を得た。
1 熱可塑性繊維
2 導電性繊維

Claims (5)

  1. 鞘部に導電性繊維と芯部に熱可塑性繊維となるように構成されたカバリングからなる導電性複合糸を少なくとも1本以上用い、カバリングとは逆方向に合撚を施してなる導電性ミシン糸であって、該導電性複合糸に用いる導電繊維の電気抵抗値が1×10〜1×10Ω/cmであることを特徴とする耐湿熱性導電性ミシン糸。
  2. 導電性繊維が複数の単糸からなるマルチフィラメントであって、各単糸が、ポリエステル系樹脂からなる非導電性成分と、導電性粒子を含有するポリエステル系樹脂からなる導電性成分とで構成される複合繊維であり、繊維の長手方向に対して垂直に切断した横断面において、非導電性成分中に導電性成分部分が存在し、かつ導電性成分は一部が繊維表面に露出している形状を呈しており、かつ、湿熱処理(121℃で25時間処理)後の導電性能低下率が20以下、湿熱処理(121℃で25時間処理)後の強力保持率が70%以上である請求項1記載の耐湿熱性導電ミシン糸。
  3. 導電性繊維の導電性成分が、ポリエステル系樹脂からなる非導電性成分と、導電性粒子を含有するポリエステル系樹脂からなる導電性成分とで構成され、導電性成分の少なくとも一部が繊維表面に露出している形状を呈している導電性複合繊維であって、導電性複合繊維中にアンチモン化合物及びリン化合物が下記式(1)〜(2)を同時に満足する量含有される耐湿熱性導電性繊維である請求項2記載の耐湿熱性導電ミシン糸。
    (1)0.5×10−4≦〔Sb〕≦3.0×10−4
    (2)0.1×10−4≦〔P〕≦20.0×10−4
    なお、〔Sb〕はアンチモン化合物の含有量、〔P〕はリン化合物の含有量を表し、単位は「モル/酸成分モル」である。
  4. 熱可塑性繊維の強度が3cN/dtex以上であることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の耐湿熱性導電ミシン糸。
  5. 請求項1〜4いずれかに記載の耐湿熱性導電ミシン糸を使用した織編物であって、湿熱処理(121℃で25時間処理)後の、当該導電ミシン糸にかかる縫製方向の縫い目の表面漏洩抵抗値が1×10Ω以下であることを特徴とする織編物。
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