JP6118561B2 - 導電性複合繊維 - Google Patents

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Description

本発明は、除電性能に優れた複合繊維に関する。詳しくは、実使用時の発塵性が抑えられ、優れた導電性能が長期に亘り保持され、また他の繊維との混用した場合に、消費性能、特に耐アイロン性及び染色堅牢度を十分に満足する衣料用に適した導電性繊維に関する。さらに本発明は、少量の導電性カーボンブラックを含有するにもかかわらず、複写機やプリンター用の帯電用ブラシ等として長期間に亘り優れた除電性能を示し、高品質の印刷画像を長期に亘り形成することのできる導電性繊維に関する。
従来から除電性能に優れた導電性繊維については種々の提案がなされており、たとえば導電性を有さない繊維の表面に金属メッキを施して導電性を付与したものや導電性カーボンブラックを樹脂やゴム類に分散させ、これを繊維表面にコートすることによって導電性被覆層を形成せしめたもの等がある。しかし、これらは製造工程が複雑で技術的に困難な方法によって得られるものであったり、導電性繊維を実用に供するための準備段階、たとえば製織編のための精練工程での薬品処理や実使用における摩耗や繰返し洗濯といった外的作用によって導電性が容易に低下し実用の域を脱してしまうという問題があつた。
他の導電性繊維として、スチール繊維のような金属繊維が除電性能に優れたものとして知られているが、金属繊維はコストが高く、しかも一般の有機素材とはなじみにくいため紡績性が不良となつたり、製織、染仕上工程でのトラブルの原因となったり、着用時の洗濯による断線、脱落が生じやすく、さらには通電性に基づく感覚、スパークの問題、布地の溶融トラブル等の原因となっていた。
さらにまた別のタイプの導電性繊維として、導電性カーボンブラックを均一に分散させたポリマーを繊維化する方法が提案されているが、導電性カーボンブラックを多量に含有するために繊維の製造が難しく、収率も悪く、コスト高であり、かつ繊維物性が著しく低下し、特殊な工程を用いる以外に製品化が困難というのが現状である。
上記問題点を解決するために、たとえば芯鞘型複合繊維の芯成分ポリマーに導電性カーボンブラックを含有させ、それを通常の繊維形成性ポリマーからなる鞘で被覆する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。また、導電性カーボンブラックを含む芯成分のかなりの部分が鞘成分を貫通して繊維の表面に露出している導電性繊維も提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
特許文献1の場合、繊維物性を保つため芯成分を50%以下にする必要があり、そのため非導電性の鞘成分が芯成分を厚く被覆し、芯成分中のカーボンブラック含有量を多くしないと充分な性能が発揮されない。特許文献2は、特許文献1の課題を解消しようとするものであるが、カーボンブラックを含む芯成分が表面に露出している割合が大きいため、繊維は耐薬品性、耐久性に劣り、芯成分と鞘成分との剥離その他のトラブルを生じやすい。
さらには、上記単一の芯鞘型導電性繊維の除電性能向上と成分層間の剥離防止を中心とした耐久性向上を目的とし、導電性カーボンブラックを含む導電性ポリマー層とそれと同じポリマーで導電性カーボンを含まない非導電性ポリマー層とを多層状に張合わせた繊維が提案されている(特許文献3参照。)。しかし、特許文献3の場合も導電性カーボンブラックを含む層が繊維表面に露出しすぎているため耐薬品性、耐久性の向上は十分には認められない。
一方、有機導電性物質を含有する線状重合体を繊維形成性ポリマー内に筋状に分散せしめた導電性繊維が提案されている(例えば特許文献4、5参照。)。特許文献4、5においては導電性成分が繊維表面ではなく繊維内部に分布しているため、剥離、表面摩耗、洗濯等の耐久性が向上するというものである。
しかしながら、特許文献4、5の場合、有機導電性物質を含有する線状重合体は、それと全く相溶性のない繊維形成性ポリマー内において、長さ方向へ非連続状態で分散混合しており、繊維強度には全く寄与しないため繊維強度の低下は避けることができない。また、導電性ポリマーの分散状態によって導電性能が変化するため、製造条件、製品品質の管理が非常に難しくならざるを得ない。さらに、一般的に非相溶重合体を混合分散させた場合、分散成分は非分散ポリマーに完全に包み込まれるものではなく一部表面に露出するため、その部分から導電性重合体の一部が脱落する可能性もある。また、このような繊維を製造する場合の工程調子、たとえば紡糸吐出におけるバルーニングが異常に大きく、口金汚れや断糸が多く発生して生産性の非常に低いものとなってしまう。
上記以外の導電性ポリマー層が繊維表面の一部に露出するタイプの複合繊維の例としては、繊維や繊維製品の製造工程において金属との摩耗が少なく、複合成分間の剥離や導電性成分が抜け落ちることのない導電性複合繊維が提案されている(例えば、特許文献6、7、8参照。)。
しかしながら、従来提案されてきた導電性ポリマー層と非導電性ポリマー層との組み合わせでは、製造工程では問題なくても、導電性の繊維製品として長期間の実使用において評価したとき、やはり剥離による導電性の低下が生じるという問題があった。また、導電性繊維をユニフォームなどの衣料用途に使用する場合、導電性複合繊維のみで衣料を作成することよりも、他の繊維に少量の導電性複合繊維を混用して衣料とすることが多いが、このような混用生地を染色する場合、従来の導電性繊維は、仮に染色されても染色堅牢度が悪いために、他の繊維に色が移るという問題を起こし、衣料製品として満足できるものはなかった。
このように、導電性繊維の衣料用途で、導電性能の長期耐久性、複合成分の耐剥離性、消費性能まで考慮した技術は従来提案されていなかった。
また、非衣料用途で見た場合においても、たとえば、導電性能の湿度依存性(環境)が少なく、放電開始電圧が低く高印加電圧下においても優れた除電性能を有し、実際に使用を続けた場合の除電性能の低下がほとんどなく、性能(画像の鮮明さ)が長期にわたり維持される優れた導電性複合繊維は従来存在していないというのが現状である。
米国特許第3,803,453号明細書 特公昭53−044579号公報 特開昭52−152513号公報 特開昭53−147865号公報 特開昭54−034470号公報 特開昭54−134117号公報 特開昭61−132624号公報 特開平9−279416号公報
本発明の目的は、繊維や繊維製品の製造工程での摩耗や成分剥離が生じないのは勿論のこと、実際に繊維製品として長期間使用した場合においても、半導体製造工程で用いられる作業服として使用した場合の導電物質の塵によるショート等の問題等、さらには複写機やプリンター用の帯電用ブラシ等として長期間に亘り低電圧下でも安定した除電性能を示し、高品質の印刷画像を長期に亘り形成することのできる導電性繊維であり、初期の良好な導電性能を保持することの可能な導電性複合繊維を提供することである。また、本発明の別の目的は、他の繊維と混用して繊維製品とする場合、染色処理を行なっても、他の繊維に色移りのしない染色堅牢度に優れる導電性複合繊維を提供することである。
本発明者等は上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、繊維断面が三層構造を有し、かつ三層構造の中間層にカーボンブラックを含有した複合繊維とすることにより、本発明の目的が達成されることを見出した。
すなわち本発明は、中間層(A)にカーボンブラックを含有した繊維形成性ポリマーからなる三層構造の導電性複合繊維であって繊維横断面の半径Rから中間層の外接円の中心距離rを引いた値をlとしたときに、lの最大値(lmax)とlの最小値(lmin)の関係が下記の式(1)を満足し、かつ繊維断面の半径Rに対するlmaxの比率が下記の範囲(2)を満足する導電性複合繊維であって、前記導電性複合繊維が外層(B)と中間層(A)および内層(C)の三層からなり、各層の複合比率が、外層(B)と中間層(A)及び内層(C)の面積比率で(B):(A):(C)=20:20:60〜30:30:40であることを特徴とする、帯電ブラシ用の導電性複合繊維である。
lmax/lmin≦1.8 (1)
0.05≦lmax/R≦0.30 (2)
さらに本発明は、好ましくは中間層(A)の導電性カーボンブラック含有量が、15〜50重量%であることを特徴とする上記の導電性複合繊維である。
本発明の導電性複合繊維は、実使用において耐久性に優れた除電性能を有する。
本発明において、中間層(A)に含まれるカーボンブラックは、10−3〜10Ω・cmの固有電気抵抗を有するものがよい。カーボンブラックが完全に粒子状分散をしている場合は一般に導電性が不良であり、ストラクチヤーと呼ばれる連鎖構造を形成している場合には、導電性能が向上して導電性カーボンブラックと称されるものになる。したがって、導電性カーボンブラックによってポリマーを導電化するに当たっては、このストラクチヤーを破壊しないでカーボンブラックを分散させることが肝要となる。
一般に、通常の延伸を行うとストラクチャーが破壊され易いこととなるが、本発明では、特殊な延伸方法を使用しているため、延伸されているにもかかわらず、ストラクチャーが殆ど破壊されていないという特長点を有している。すなわち、従来の一般的な延伸方法は、ローラー間の速度差により無理に延伸する方法であるため、繊維が無理に延伸されストラクチャーが切断されることとなるが、本発明のように、ローラー間で延伸を行う方法ではなく、繊維の自由延伸に委ねるような方法の場合には、無理な張力が繊維にかからないため、ストラクチャーが切断され難くなる。
そして、導電性カーボンブラック含有複合体の電気伝導メカニズムとしては、カーボンブラック連鎖の接触によるものとトンネル効果によるものが考えられているが、前者の方が主と考えられている。したがって、カーボンブラックの連鎖は長い方が、また高密度でポリマー中にカーボンブラックが存在する方が、接触確率が大きくなり高導電性となる。連鎖を長くするためには、導電層を構成するポリマーを結晶化させ、かつ非晶部が分子運動できるようなルーズな構造にすると、カーボンブラックが非晶部に集中して非晶部のカーボン濃度が高くなり、導電性能が高くなる。
本発明の複合繊維は、繊維断面の半径Rから中間層の外接円の中心距離rを引いた値をlとしたとき、lの最大値(lmax)とlの最小値(lmin)の関係が、lmax/lmin≦1.8を満足することに特徴を有するものであり、lmax/lmin≦1.8であることにより、中間層の導電性能を繊維断面の全ての方向に対して均一に発現することができる。1.8より大きい場合は、均一に性能を発揮することができない。lmax/lminの関係として、好ましくは1.5以下、より好ましくは1.2以下0.5以上である。
本発明において、上記したlmaxとlminは、例えば透過型電子顕微鏡で撮影した単糸の横断面全体像から求める。この場合、繊維横断面は、通常の方法で包埋した試料を0.1μm程度の厚みに切り出した切片の中で、シワや断面変形の比較的少ない試料を用い、観察は単糸で行い、n数は10とし、各単糸のlmax/lminの平均値を試料のlmax/lminとする。
また、本発明複合繊維の繊維断面の半径Rから中間層の外接円の中心距離rを引いた値をlとし、lの最大値をlmaxとしたとき、繊維断面の半径Rに対するlmaxの比率(lmax/R)が0.05以上0.3以下であることが必要である。lmax/Rが0.05より小さい場合、外層の厚みが少ないため耐摩擦性が劣り均一な性能を得るための耐久性に劣る。一方、lmax/Rが0.3より大きい場合、外層の厚みが大きいため導電性能が不十分となり適当でない。lmax/Rの関係として、好ましくは0.08以上0.25以下であり、さらに好ましくは0.1以上0.23以下である。
本発明において、中間層(A)に含まれる導電性カーボンブラックは、該(A)成分中に好ましくは15〜50重量%、より好ましくは20〜40重量%含有される。導電性カーボンブラックの含量が15重量%より少ない場合には目的とする導電性が得られず、充分な除電性能は発揮されない場合がある。一方、50重量%を越える場合は、導電性のより一層の向上は認められず、芯成分ポリマーの流動性が著しく低下して紡糸性が極端に悪化するので好ましくない。
カーボンブラックは完全に粒子状分散をしている場合、導電性が不良であり、ストラクチヤーと呼ばれる連鎖構造をとるときに導電性が向上して導電性カーボンブラックと言われるものになる。したがって、導電性カーボンブラックによってポリマーを導電化するにあたっては、このストラクチヤーを破壊しないで導電性カーボンブラックを分散させることが肝要となる。
導電性カーボンブラック含有する複合体の電気伝導メカニズムは、カーボンブラック連鎖の接触によるものとトンネル効果によるものと考えられるが、前者の方が主と考えられる。したがって、カーボンブラックの連鎖は長い方が、また高密度でポリマー中に存在する方が、接触確率が大となり高導電性となる。本発明者らの検討結果では、導電性カーボンブラック含量が15重量%未満ではほとんど効果がなく、20重量%になると急激に導電性が向上し、30重量%を越えるとほぼ飽和する。
また本発明の導電性複合繊維は外層(B)と中間層(A)および内層(C)の三層からなることが好ましい。導電ポリマー層である中間層(A)、保護ポリマー層である外層(B)、芯ポリマー層である内層(C)の複合比率は、面積比率で(B):(A):(C)=10:10:80〜30:30:40であることが好ましい。外層(B)の比率が10%未満では摩擦や洗濯などの外的作用に対する耐久性が不十分となる場合があり、30%より大きい場合は狙いとする導電性能が不十分となる場合がある。また、中間層(A)が10重量%未満になると安定した複合構造として紡糸することが困難となる場合がある。特に、繊維断面において導電性ポリマーからなる中間層が安定に連続性をもつ繊維を得るのが難しくなる。また中間層(A)が30%を越えると、複合繊維の紡糸性及び延伸後の繊維物性が極端に低下し実用性は失われてしまう場合がある。さらに、内層(C)は40%未満では複合繊維の紡糸性が極端に低下し安定な生産性が得られず、80%より大きい場合は複合繊維の安定な断面形成性が得られず導電性能としても不十分になる場合が多い。これらの理由から三層の複合比率が、外層(B)と中間層(A)及び内層(C)の面積比率で(B):(A):(C)=10:10:80〜30:30:40の範囲であることが好ましく、より好ましくは15:15:70〜25:25:50の範囲である。
次に、本発明の導電ポリマー層である中間層(A)を構成するポリマーについて説明する。本発明において、中間層(A)に用いる樹脂としては、熱可塑性ポリアミドあるいは熱可塑性ポリエステルであることが好ましい。熱可塑性ポリアミドとしては、具体的にはナイロン12、ナイロン11、ナイロン6、ナイロン66、ナイロンエラストマー、半芳香族ポリアミド等を挙げることができる。
熱可塑性ポリエステルとしては、たとえば、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、4,4’−ジカルボキシジフェニル、5−ナトリウムスルホイソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸、アゼライン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸などのジカルボン酸成分と、エチレングリコ−ル、ジエチレングリコ−ル、プロピレングリコ−ル、1,4ブタンジオ−ル、ポリエチレングリコ−ル、ポリテトラメチレングリコール等の脂肪族ジオ−ル;ビスフェノ−ルAまたはビスフェノ−ルSのエチレンオキサイド付加物等の芳香族ジオ−ル;シクロヘキサンジメタノ−ル等の脂環族ジオ−ルなどのジオ−ル成分を用いて形成された繊維形成性ポリエステルを挙げることができる。なかでも汎用ポリエステルであるエチレンテレフタレ−ト単位あるいはブチレンテレフタレ−ト単位を80モル%以上、とくに90モル%以上含有するポリエステルが好ましい。
特に、ポリブチレンテレフタレート系の樹脂、すなわちブチレンテレフタレート単位を
80モル%以上含有するポリエステル系の樹脂が導電性カーボンブラックを練り込みやす
く、且つ結晶化しやすいことから高い導電性能が得られるので好ましい。ポリエチレンテ
レフタレート系の樹脂も使用可能であるが、導電性カーボンブラックを多量に添加すると
溶融紡糸の際の紡糸性が低下することとなり、紡糸性を高めるために共重合ポリエチレン
テレフタレートを用いるということも考えられるが、共重合ポリエチレンテレフタレート
を使用すると一般に結晶性が低下し、導電性能が低下することとなる。以上のことから、
結晶を形成しやすいポリエステル系の樹脂であるポリブチレンテレフタレート系樹脂が特
に優れていることとなる。また、導電層を構成する樹脂の融点は200℃以上であること
が実用耐久性の点で必要である。好ましくは210℃以上250℃以下である。
保護ポリマー層である外層(B)、芯ポリマー層である内層(C)は、本発明の繊維化の際、良好な工程性を維持することと導電層である中間層(A)との界面剥離を生じさせず、長期耐久性能を維持するための重要な役割を担っている。この外層(B)と内層(C)を構成するポリマーとしては、繊維形成可能な熱可塑性ポリエステルと熱可塑性ポリアミドを使用することができる。特に融点が210℃以上の熱可塑性結晶性ポリマーが耐久性能の点で使用される。曳糸性に劣るポリマーは基本的には本発明の保護層用、内層用樹脂としては不適である。
熱可塑性ポリエステルとしては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタリン−2,6−ジカルボン酸、4,4’−ジカルボキシジフェニル、5−ナトリウムスルホイソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸;アゼライン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸などのジカルボン酸成分と、エチレングリコ−ル、ジエチレングリコ−ル、プロピレングリコ−ル、1,4ブタンジオール、ポリエチレングリコ−ル、ポリテトラメチレングリコ−ル等の脂肪族ジオール;ビスフェノールAまたはビスフェノ−ルSのエチレンオキサイド付加物等の芳香族ジオ−ル;シクロヘキサンジメタノ−ル等の脂環族ジオ−ルなどのジオール成分を用いて形成された繊維形成性ポリエステルを挙げることができる。なかでも汎用ポリエステルであるエチレンテレフタレート単位、ブチレンテレフタレート単位を80モル%以上、とくに90モル%以上含有するポリエステルを挙げることができ、少量の第3成分を含む変性ポリエステルも使用することが可能である。さらに、これらに少量の添加剤、蛍光増白剤、安定剤等を含んでいてもよい。これらのポリエステルは、繊維化する際の溶融粘度特性が良好であり、更に繊維物性、耐熱性が優れたものとなる。なかでも、ポリエチレンテレフタレート系のポリエステルが繊維化工程性、繊維物性、耐久性の点で好ましい。特に、融点が240℃以上、280℃以下のポリエステルが好ましい。さらに、導電層を構成するポリエステル系ポリマーよりも融点が10〜50℃高いポリエステル系のポリマーが保護層用のポリマーとして好ましい。さらにポリアミド系樹脂としては、4,6−ナイロン、6−ナイロン、6,6−ナイロン、6,10−ナイロン、6,12−ナイロン、11−ナイロン、12−ナイロン等の脂肪族ポリアミド、芳香族ポリアミドが挙げられる。好ましいものとしては、6−ナイロン、6,6−ナイロン、6,12−ナイロン、12−ナイロンが挙げられる。
さらに、本発明においては、外層(B)を形成する熱可塑性ポリマーのSP値(Solubility parameter;溶解指数)(φ1)と導電層である中間層(A)を形成する熱可塑性ポリマーのSP値(φ2)が0≦|φ1−φ2|≦1.1を満足するものを使用する必要がある。この条件を満足する組み合わせのものは、両ポリマーの接着性が良好で、界面剥離が生じ難く、繊維物性の点でも優れている。|φ1−φ2|>1.1の場合には、界面剥離が生じ易く、実用における耐久性は得られない。
本発明の複合繊維の断面形態は、上記のような三層構造を満たすものであれば特に限定されないが、例えば、外層(B)が繊維の外周を占め、導電層である中間層(A)が外周から均一に保護層に覆われていることが重要である。
また本発明においては、外層(B)、内層(C)を形成する熱可塑性ポリマー中に、平均粒径0.01μm以上1μm以下の無機微粒子が0.05重量%〜10重量%の割合で含有されていることが、導電性繊維の紡糸性の点で、さらには製編織性の点で好ましい。無機微粒子の含有量が0.05重量%未満の場合には、得られた導電性繊維にループ、毛羽、繊度斑等を生じ易くなり、10重量%を超えると工程通過性が悪く断糸の原因となる。より好ましくは0.2重量%〜5重量%の割合で無機微粒子を含有させるとよい。
熱可塑性ポリマーに含有する無機微粒子の種類としては、樹脂に対して実質的に劣化作用をもたず、それ自体で安定性に優れるものであればいずれも使用できる。
かかる無機微粒子の代表例としては、シリカ、アルミナ、酸化チタン、炭酸カルシウム、
硫酸バリウムなどの無機微粒子を挙げることができ、これらは単独で使用しても2種以上
併用してもよい。
無機微粒子の平均粒径は、0.01μm以上1μm以下であることが好ましく、より好
ましくは0.02μm以上0.6μm以下である。平均粒径が0.01μm未満であると
延伸時の糸条にかかる張力などに僅かな変動を生じても得られる繊維にループや毛羽、繊
度斑などが発生するようになる。一方、平均粒径が1μmを越えると繊維の紡糸性、延伸
性の低下をもたらし、紡糸断糸、延伸捲付などを発生し易くなる。尚、ここでいう平均粒
径とは遠心沈降法を用いて求めた値をいう。
無機微粒子の添加方法については特に制限されず、ポリマーの重合時から溶融紡出直前までの任意の段階で樹脂中に無機微粒子が均一に混合されているように添加、混合すればよい。
本発明の導電性複合繊維の製造方法は特に限定されず、例えば、三層芯鞘型複合繊維を製造するために使用される溶融紡糸装置を用い、複合紡糸を行い、その後延伸する方式で製造してもよいし、高速紡糸を行い延伸工程を省略する方式で製造してもよい。ただし、外層(B)のポリマー層が導電性ポリマー層である中間層(A)を所望の状態で繊維表面に均一に被覆するようにするためには、紡糸装置内での分配板における導電性ポリマー用の導入孔と外層ポリマー用の導入孔の位置関係を調節したり、両ポリマーの複合比率を調整することが好ましい。
また、本発明においては、導電性複合繊維の延伸性をより向上させるために、外層(B)と内層(C) に平均粒子径が0.5μm以下である無機微粒子を5重量%以下の割合で含有させておくことが好ましい。
このような方法で製造される本発明の導電性複合繊維の単繊維繊度は、特に限定されず、用途に応じて2dtex〜34dtex程度のものとすることができる。
本発明においては、前述の導電性ポリマー層である中間層(A)に対して特定のポリマー層である外層(B)を用い、膜厚を制御することにより、低摩擦帯電圧の環境下においても導電性能を発揮できるような複合繊維の設計が重要である。
本発明の複合繊維の複合断面形態は、前述のような三層の断面形成条件を満たすものであれば特に限定されないが、例えば、図1に見られるような断面形態を例示することができる。そして、本発明の作用効果を最大限に発現できるという点からは、導電性ポリマー層である中間層(A)が均一に保護されている同心円の断面形態が最も好ましい。
以下に実施例によって本発明を詳述するが、これによって本発明は何ら限定されるものではない。なお、導電性繊維の電気抵抗値の測定、帯電ブラシにしたときの画像評価等は以下に示す方法で行なった。
<電気抵抗値R Ω・cm>
電圧電流計法により、平行クリップ電極にセットされた導電性繊維(単繊維)試料に、直流電圧25〜500Vを印可し、その電圧とその時の試料に流れる電流値からオームの法則により求めた。また、本発明で規定される電気抵抗値は100V印可時で求めたものである。
<繊維化工程性>
20kg紡糸した際の毛羽・断糸の発生状況で評価。
○:毛羽、断糸の発生なく良好
×:断糸が発生
<画像評価方法>
ブラシ帯電法において、ブラシ回転方向を感光体と反方向とし、直流のバイアス電圧をかけて帯電画像出しテストを行ない、初期及び1万枚コピー後の画像評価を以下に示す基準で行なった。
(1)初期性能評価
○:鮮明均一な画像が得られる。
×:画像が不鮮明であり、スジ斑が目立つ。
(2)繰り返し(1万枚)画像評価
○:初期と同様な鮮明均一な画像が得られる。
×:画像が不鮮明であり、スジ斑が目立つ。
[実施例1]
導電性カーボンブラック(吸油量;115cc/100g)を35重量%含有したナイロン6を中間層(A)として用い、外層(B)と内層(C)を平均粒子径0.4μmの酸化チタンを0.5重量%含有するナイロン6を用いて、(B):(A):(C)=20:20:60(重量比)の比率とし、図1に示すような三層断面で複合紡糸し、その後延伸を実施し、25デニール/4f(27.8dtex/4f)の導電性複合繊維を得た。この導電性複合繊維の構成および繊維化工程性の評価結果、さらに100V印加時の電気抵抗値を纏めて表1、2に示す。
[実施例2〜4]
導電性ポリマー成分である中間層(A)、外層(B)と内層(C)のポリマー種と複合比率を表1、2に示す値とする以外は実施例1と同様に繊維化し性能評価に供した。結果を表1、2に示す。
[比較例1〜2]
導電性ポリマー成分である中間層(A)、外層(B)と内層(C)の複合比率と断面を形成する紡糸ノズル部品を変更し、表1、2に示す値と断面とする以外は実施例1と同様に繊維化し性能評価に供した。結果を表1、2に示す。
Figure 0006118561
Figure 0006118561
本発明の導電性複合繊維は、繊維物性・実使用における耐久性に優れた除電性能を有するものであり、複写機やプリンターなどのOA機器に組み込まれる帯電ブラシや除電ブラシとして好適に使用することができる。また、染色堅牢度が優れているというメリットを生かし、静電気を嫌う環境における作業服、ユニフォーム等の衣料分野にも使用することができる。
本発明の複合繊維の断面の一例を示す模式図。 本発明の複合繊維の断面の別の態様を示す模式図。 本発明において比較例となる複合繊維の断面の一例を示す模式図。 本発明において比較例となる複合繊維の断面の別の一例を示す模式図。 本発明の複合繊維の断面において、繊維横断面の半径R、中間層の外接円の中心距離r、Rからrを引いた値lとの関係を示す模式図。

Claims (2)

  1. 中間層(A)にカーボンブラックを含有した繊維形成性ポリマーからなる三層構造の導電性複合繊維であって繊維横断面の半径Rから中間層の外接円の中心距離rを引いた値をlとしたときに、lの最大値(lmax)とlの最小値(lmin)の関係が下記の式(1)を満足し、かつ繊維断面の半径Rに対するlmaxの比率が下記の範囲(2)を満足する導電性複合繊維であって、前記導電性複合繊維が外層(B)と中間層(A)および内層(C)の三層からなり、各層の複合比率が、外層(B)と中間層(A)及び内層(C)の面積比率で(B):(A):(C)=20:20:60〜30:30:40であることを特徴とする、帯電ブラシ用の導電性複合繊維
    lmax/lmin≦1.8 (1)
    0.05≦lmax/R≦0.30 (2)
  2. 中間層(A)の導電性カーボンブラック含有量が、15〜50重量%であることを特徴とする請求項1記載の導電性複合繊維。
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