JP2004224423A - 重量物用パレット及び重量物支持方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】コイルのような円柱状の重量物を安定性を高めて効率的に支持する重量物用パレットを提供する。
【解決手段】重量物用パレット17は、支持すべきコイル18の軸方向とは直交する方向に平行に配置された第1の鋼材22aと、第1の鋼材22aの下面にコイル18の軸方向と平行に配置されて第1の鋼材22aを支持するための第2の鋼材24a,第2の鋼材24bと、第1の鋼材22aの上面にコイル18の軸方向と平行に配置され、その断面形状が台形形状を有する一対の支持材41a,支持材41bとから構成されている。コイル18は、支持材41a,支持材41bの内方側の傾斜面の支時点Tによって2点でのみ支持され、その外周壁20の最下点と第1の鋼材22aの上面との間には、所定の距離δが確保された状態となる。
【選択図】 図1
【解決手段】重量物用パレット17は、支持すべきコイル18の軸方向とは直交する方向に平行に配置された第1の鋼材22aと、第1の鋼材22aの下面にコイル18の軸方向と平行に配置されて第1の鋼材22aを支持するための第2の鋼材24a,第2の鋼材24bと、第1の鋼材22aの上面にコイル18の軸方向と平行に配置され、その断面形状が台形形状を有する一対の支持材41a,支持材41bとから構成されている。コイル18は、支持材41a,支持材41bの内方側の傾斜面の支時点Tによって2点でのみ支持され、その外周壁20の最下点と第1の鋼材22aの上面との間には、所定の距離δが確保された状態となる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は重量物用パレット及び重量物支持方法に関し、特に鋼板コイル等の円柱状の重量物を搭載してコンテナ等に搬入するための重量物用パレット及び重量物支持方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図9は特開2001−315782号公報で開示されている従来のコンテナ用パレットの使用状態を示した断面図であり、図10は図9のX−Xラインの断面図である。
【0003】
これらの図を参照して、コンテナ用パレット21は同一平面にて所定間隔で互いに平行に配置された一対のH型鋼よりなる第1の鋼材22a,第1の鋼材22bと、第1の鋼材22a,第1の鋼材22bの各々の両端部の内側近傍を支持するように、第1の鋼材22a,第1の鋼材22bの軸方向と直角方向に配置された一対のH型鋼よりなる第2の鋼材24a,第2の鋼材24bとが互いに溶接接合された一体構造のものとして構成されている。また、第1の鋼材22a,第1の鋼材22bの内側にこれらと平行に配置され、第2の鋼材24a,第2の鋼材24bの側面に整列するように、第2の鋼材24a,第2の鋼材24b上に一対のH型鋼よりなる第3の鋼材25a,第3の鋼材25bが溶接等で接合されている。
【0004】
更に、第1の鋼材22a,第1の鋼材22bの両端部の上面には、固定部材27a〜固定部材27dが取付けられ、これらには各々シャックル28a〜シャックル28dが着脱自在に取付けられている。
【0005】
このように構成されたコンテナ用パレット21は第1の鋼材22a,第1の鋼材22bの軸方向がコンテナ13の幅方向となるようにコンテナ13に積載されている。そして、第1の鋼材22a,第1の鋼材22bの両端部とコンテナ13の側板14a,側板14bとの間には、コンテナ用パレット21の側板14a,側板14bの方向への移動を阻止するための木製材料よりなる固定材35a,固定材35bが配置されている。
【0006】
同様に図10に示されているように、コンテナ用パレット21のコンテナ13に対する長手方向(図においては左右方向)への移動を阻止するために、木製材料よりなる固定材36a,固定材36bが底板15上に取付けられている。これによってコンテナ用パレット21のコンテナ13における長手方向への移動が阻止される。
【0007】
一方、コンテナ用パレット21の第1の鋼材22a,第1の鋼材22b及び第3の鋼材25a,第3の鋼材25bの各々の背の上には、積み込むべきコイル18の平面投影形状よりやや大きな矩形形状の木製材料よりなる敷板31が配置される。また、コイル18の外周壁20とコンテナ用パレット21の上に敷設された敷板31との間にコイル18の回転移動を防止するための楔状の木製材料よりなる回り止め32a〜回り止め32dを差し込むようにして設置する。
【0008】
更に、コイル18の巻芯19内にワイヤ33aを通すようにして、コンテナ用パレット21の固定部材27a,固定部材27bによってコイル18を固定する。同様にコンテナ用パレット21の固定部材27c,固定部材27dからワイヤ33bをコイル18の巻芯19に掛け渡すようにしてコイル18を固定する。これによってコイル18はコンテナ用パレット21に対して一体的に固定される。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上記の従来のコンテナ用パレットのような重量物パレットで支持すべきコイルは円柱状であるため、その軸方向に対して直交する断面で見ると、パレットはその中央の1点でコイルを支持していることになる。
【0010】
そのため、コンテナの動揺等によって、コイルは不安定となり、その軸を中心として転動しやすくなるため、その防止手段として周り止め等が別途必要となる。また、コイルの重量はパレットの中央に集中的に加わることになるため、パレットを構成する鋼材の強度を上げる必要も生じ、結果的にパレットのコストも上昇してしまう。更に、コイル自体に加わる衝撃力もその下面に集中することになり、コイルにすり傷等のダメージが生じ易い。
【0011】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、コイルのような円柱状の重量物を安定性を高めて効率的に支持する重量物パレット及び重量物支持方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1記載の発明は円柱状の重量物を、その軸方向を水平方向に保持した状態で支持する重量物用パレットであって、その上面が水平面を有し、重量物の軸方向に対して直交する方向に並行に延びる少なくとも2本の第1の鋼材と、第1の鋼材上に所定距離離れた位置に取付けられ、重量物の側壁の2箇所を支持位置として各々支持する一対の支持材とを備え、重量物の外径をDとし、支持材の各々の支持位置の第1の鋼材の上面からの高さをHとし、支持位置の各々の間隔をAとすると、
H>(D−(D2 −A2 )1/2 )/2
であり、且つ
2×A>D
としたものである。
【0013】
このように構成すると、重量物はその側壁の2箇所においてのみ支持材によって支持されるとともに、重量物の重心位置から垂直下方に延びる線分と重心位置と支持位置とを結ぶ線分とがなす角度が30゜を超えることになる。
【0014】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の構成において、第1の鋼材の各々は、その下面において一定距離(L)離れた位置において、重量物の軸方向に対して平行に延びる一対の第2の鋼材によって支持され、支持材の各々は、第2の鋼材の各々から内方側の上方であって第2の鋼材の各々の鉛直方向から等間隔(B)で配置されるとき、
A=L−2B
であり、重量物による支持材を介して、第1の鋼材に加わる荷重をWとし、第1の鋼材の許容曲げ応力をσ、その断面係数をZとすると、
A≧L−4×σ×Z/W
としたものである。
【0015】
このように構成すると、第1の鋼材に生じる曲げ応力は設計応力以下となる。
【0016】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の発明の構成において、支持材を、断面が略矩形の木材としたものである。
【0017】
このように構成すると、重量物の支持位置は木材の角の位置によって規定される。
【0018】
請求項4記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれかに記載の発明の構成において、第1の鋼材の各々の間において、第1の鋼材の軸方向と平行に延びるとともに、各々が等間隔に配置されて支持材の各々を支持する複数の第3の鋼材を更に備えたものである。
【0019】
このように構成すると、軸方向に長い重量物に対して沿うように配置された支持材の各々は第3の鋼材によっても支持される。
【0020】
請求項5記載の発明は、円柱状の重量物を、その軸方向を水平方向に保持した状態で支持する重量物支持方法であって、軸方向に平行に配置された一対の支持材を準備し、支持材の各々によって、重量物の側壁の2箇所のみを支持するものである。
【0021】
このように構成すると、重量物の重心は、支持材の2箇所の支持位置を通る鉛直線の間のスペースに位置する。
【0022】
請求項6記載の発明は、請求項5記載の発明の構成において、重量物の重心位置(O)から垂直下方に伸びる線分と、重心位置(O)と支持材によって支持される点(T)とを結ぶ線分とがなす角度をθとすると、
θ>30゜
としたものである。
【0023】
このように構成すると、支持状態が30゜傾いた場合でも、重量物は支持材の一方を超えて転動することはない。
【0024】
請求項7記載の発明は、請求項5又は請求項6記載の発明の構成において、重量物はその中央が軸方向に貫通する巻芯を有するコイルであり、支持材の各々の下面は、軸方向に直交する平行に延びる第1の鋼材によって支持されており、コイルの巻芯を通して第1の鋼材の下面に巻き込むようにベルトが取付けられるものである。
【0025】
このように構成すると、重量物はベルトを介して第1の鋼材と一体化する。
【0026】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1記載の発明は、重量物は2箇所においてのみ支持材によって所定位置で支持されるため、支持状態が安定するとともに、支持材の各々が歯止めの役割も果たすため効率的な支持を可能とするパレットとなる。
【0027】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の効果に加えて、第1の鋼材に生じる曲げ応力は設計応力以下となるため、第1の鋼材の安全性が確保され、重量物パレットの信頼性を向上する。
【0028】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の発明の効果に加えて、重量物の支持位置は木材の角の位置によって規定されるため、木材の側面の幅方向の長さが支持位置の高さHに対応することとなり、高さHの設定が容易となる。
【0029】
請求項4記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれかに記載の発明の効果に加えて、支持材を介して伝達される重量物の重量は第1の鋼材及び第3の鋼材に分散されるため、重量物の支持状態が安定する。
【0030】
請求項5記載の発明は、重量物の荷重は支持材の2箇所の支持位置の間に作用するため、重量物の支持状態が安定する。
【0031】
請求項6記載の発明は、請求項5記載の発明の効果に加えて、通常の船舶等による重量物の輸送において重量物を安定に支持することが可能となる。
【0032】
請求項7記載の発明は、請求項5又は請求項6記載の発明の効果に加えて、重量物はベルトを介して第1の鋼材と一体化するため、重量物の支持状態がより安定化する。
【0033】
【発明の実施の形態】
図1はこの発明の第1の実施の形態による重量物パレットの使用状態を示した正面図であって、従来例として示した図9に対応した図であり、図2は図1のII―IIラインから見た図であり、従来例で示した図10に対応した図である。
【0034】
これらの図を参照して、重量物用パレット17は、支持すべき円柱状の重量物である軸方向に平行で且つ所定距離(L)離れた位置に配置される一対のH型鋼よりなる第2の鋼材24a,第2の鋼材24bと、コイル18の軸方向に対して直交する方向に平行に配置され、第2の鋼材24a,第2の鋼材24bの上面であってコイル18の軸方向の両端部側に配置されたH型鋼よりなる第1の鋼材22a,第1の鋼材22bと、第1の鋼材22a,第2の鋼材24bとの間であってこれらに平行に配置され、第2の鋼材24a,第2の鋼材24bの上に設置されるH型鋼よりなる4本の第3の鋼材25a〜25dと、第1の鋼材22a,第1の鋼材22b及び第3の鋼材25a〜25dの各々の上にコイル18の軸方向に対して平行に配置され、断面が台形形状を有する、例えば木製材料よりなる一対の支持材41a,支持材41bとから構成されている。
【0035】
尚、支持材41a,支持材41bの外方側であって第1の鋼材22a,第1の鋼材22b及び第3の鋼材25a〜25dの各々の上には、支持材41a,支持材41bの外方に向けての移動を防止するための例えばアングル鋼よりなる固定部材42a,固定部材42bが取付けられている。使用時にあっては、コイル18の外周壁20が支持材41a,支持材41bの傾斜面にのみ接するようにこれらを配置する。すなわち、コイル18は、図1で示すその軸に直交する断面において支持材41aの点Tと支持材41bの点Tとの2点においてのみ支持されることになる。これは、コイル18の外周壁20の最下点と第1の鋼材22aの上方の水平面との間にはδの距離が常時確保されるように設置されることを意味する。
【0036】
この実施の形態においては、図2に示すようにコイル18の重量を6Wとし、第1の鋼材22a,第1の鋼材22bと第3の鋼材25a〜25dの6本の鋼材に対してコイル18の重量が均等に加わるものとして以下説明する。これによって、例えば第1の鋼材22aに対しては、支持材41a,支持材41bを介して各々W/2の荷重が両側に加わることになる。そして、支持材41aの傾斜面とコイル18の外周壁20との接触点Tにおいては、図1において示すような力の釣合いが生じることになる。
【0037】
すなわち、支持材41aからコイル18に対して反力Rが生じ、コイル18から支持材41aに対してはTの位置において、鉛直下方方向にはW/2が生じ、水平外方方向に対してはSの力が加わることになる。そしてこれらの力が点Tにおいて釣り合った状態となる。一方、支持材41bに対しても点Tにおいて同様の力の釣り合いが生じることになる。
【0038】
ここで、支持材41a,支持材41bの各々に加わった水平外方方向の力Sは第1の鋼材22a上に取付けられた固定部材42a,固定部材42bの各々によって受け止められることになる。
【0039】
コイル18から支持材41aに加わった鉛直下方方向への力W/2は、点Tの鉛直下方方向において第1の鋼材22aに加わることになる。そしてこの位置と第2の鋼材24aとの距離をBとすると、支持材41b側も同様の関係となることから
A=L−2×B
となる。
【0040】
ここで第1の鋼材22aを、第2の鋼材24a,第2の鋼材24bでその両端が支持されたスパンLの単純支持梁に、その両端から各々Bの位置にW/2の力が加わったものと考える。ここで、第1の鋼材22aの許容曲げ応力をσとし、その断面係数をZとすると、
A≧L−4×σ×Z/W …(1)
の関係なるように距離Aを設定すれば、第1の鋼材22aに生じる曲げ応力がその許容曲げ応力以下となり、第1の鋼材22aの安全性が確保される。
【0041】
図1に示した状態から、支持材41a,支持材41bの取付け位置を一定とし、コイル18自体を径の小さな物に変更した場合を想定する。図から明かなように、コイル18の外径Dが所定の値以下となると、コイル18の外周壁20の最下端は第1の鋼材22aの上面に当接して、従来例で示したような1点支持の状態となってしまう。そこで、コイル18が常に支持材41a,支持材41bによって2点でのみ支持される条件について検討する。
【0042】
コイル18の重量物用パレット17の中心位置Oから垂直下方に延びる線分と、重量物用パレット17の中心位置Oと支持材41a,支持材41bの各々によって支持される点Tとを結ぶ線分とがなす角度をθとし、支時点Tの第1の鋼材22aの上面からの垂直距離をHとする。すると、コイル18が支持材41a,支持材41bによって2点のみで支持される条件としては、
A=D×sinθ …(2)
であり、
H>D×(1−cosθ)/2 …(3)
となる。
【0043】
そこで、式(2)と(3)から、
H>(D−(D2 −A2 )1/2 )/2 …(4)
となる。
【0044】
一方、コンテナ船の横揺れ動揺角度(JISZ−1618)にあっては、θは30゜が最大値となっている。したがって、静的な船体の横傾斜が30゜の状態であっても、コイル18が支持材41a,支持材41bを転動して乗り越えないための最低条件としてθ>30゜の関係が必要となる。すなわち、
2×A>D …(5)
の関係も合わせて必要となる。すなわち上記の式(4)及び式(5)の条件をいずれも充足すると、コイル18は支持材41a,支持材41bによって常に2点で支持された状態となり、且つこれらの設置角度θが常に30゜を超えた状態となり安定した支持状態が確保される。
【0045】
尚、式(4)であるが、コイル18の外周壁20の最下端と第1の鋼材22aの上面と間の距離δを2点支持の余裕と考えると、支持材41a,支持材41bの最小の取付け高さHminは、
Hmin=δ+(D−(D2 −A2 )1/2 )/2 …(6)
となる。
【0046】
このようにしてコイル18の外径に応じて重量物用パレット17の適切な設計をすることが可能となる。尚、距離δは、通常の支持状態における余裕と考える他に、コイル18に輸送時における衝撃が加わった場合に支持材41a,41bが変形することを考慮して設定することが好ましい。すなわち、そのような場合でもコイル18の下面が第1の鋼材22a,第1の鋼材22b等の上面に接しないように、距離δを支持材41a,41bの材質、形状等に応じて所定の値に設定することが好ましい。
【0047】
図3は上記の設計プロセスによって採用された重量物パレットの具体例の一例である。
【0048】
図3の(1)に示されているように、支持材41a,支持材41bとして、断面が150mm角で長さが1000mmの角材が使用されている。図4は図3の(1)に示されているIV−IVラインから見た図である。
【0049】
支持材41a,支持材41bは角材を用いていることから、その支持高さHは150mmとなる。そして支持材41a,支持材41bの取付け間隔A1 は670mmに設定されている。そこで、支持材41a,支持材41bの大きさや取付け位置を上記の値に固定してコイル18の外径Dを変化させて得た結果が、以下の通りである。
【0050】
【表1】
この表から明かなようにコイル18の外径Dが1000〜1300mmの範囲にある場合には、δ及びθともに問題がない。しかし、コイル18の外径が1400mm以上となると、網掛け部によって示されているようにθが30゜未満となり不適切な支持状態となる。尚、図3の(1)はコイル18の外径D1 が1000mmの状態を示し、図3の(2)はコイル18の外径D2 が1300mmとなっている状態を示している。
【0051】
そこで、コイル18の外径が1300mmを超えた場合であっても安定した支持状態を設定するために、支持材同志の間隔を780mmに設定した例が図4に示されている。この例にあっては、支持材41a,支持材41b自体は図3に示したものと同一であるが、その取付け間隔A2 が780mmに設定されている点が異なっている。この状態で計算した取付け状態の結果は以下の通りである。
【0052】
【表2】
ここでδを20mmと設定すると、上記の網掛けの部分が不適切な支持状態となる。すなわち、コイル18の外径Dが1200mm以下となるとδが小さくなり、更に外径Dが1100mm以下となるとδが負の値、すなわちコイル18が第1の鋼材22aに接触してしまい1点支持の状態となることを意味する。
【0053】
尚、図5の(1)においては、コイル18の外径D2が1300mmの状態を示し、図5の(2)はコイル18の外径D3 が1500mmの状態を示している。
【0054】
図6は更に他の支持材41a,支持材41bの取付け状態を示した具体例である。尚、この例においては、支持材41a,支持材41bは上述の同じ角材を使用しているものの、その下面と第1の鋼材22aの上面との間に厚さ28mmの合板等によるかさ上げ材44a,かさ上げ材44bが配置されている。また、支持材41a,支持材41bの取付け間隔A3 は920mmに設定されている。このようにして得られた結果が以下の通りである。
【0055】
【表3】
表から明かなように網掛け部は不適切な支持状態となっているが、コイル18の外径Dが1500〜1800mmにあっては適切な支持状態となることを意味している。尚、かさ上げ材44a,かさ上げ材44bによるかさ上げは、支持材41a,支持材41b自体は変更せずにその2点間距離Aをコイル18の外径の増大にともなって増加させる必要がある場合に有効な対策である。
【0056】
尚、図6の(1)においては、コイル18の外径D3が1500mmの状態を示し、図6の(2)においては、コイル18の外径D4が1800mmの状態を示している。
【0057】
以上のように図3、図5及び図6に示されているような3種類の重量物用パレット17を準備することによって、コイル18の外径が1000mmから1800mmに対して適切な支持状態を確保することが可能となる。
【0058】
図7はこの発明の更に他の実施の形態による重量物パレットの使用状態を示した正面図であり、図8は図7で示したVIII−VIIIラインから見た図であり、一部を破断した状態を示した図である。
【0059】
これらの図を参照して、支持材41a,支持材41bは上述と同様に断面が正方形形状の角材を使用しているが、コイル18を支持する角の部分がいずれも斜めにカットされている。したがって、支持材41a,支持材41bのコイル18の支持高さが減少することになるため、支持材41a,支持材41bの下面と第1の鋼材22aの上面との間にかさ上げ材44a,かさ上げ材44bが配置されている。これによってコイル18の2点支持の状態を確保するのに必要な支持材としての高さを維持している。
【0060】
また、コイル18にはその中央部を軸方向に貫通する巻芯19が形成されているが、この巻芯19を通して第1の鋼材22aの下面に巻き込むようにベルト46が取付けられている。これによってコイル18は、重量物用パレット17を構成する第1の鋼材22aに一体化することになる。コンテナ船の横揺れの動揺角度は上述のようにその最大値が30゜であるが、実際には動揺にともなってその接線方向の加速度が生じる場合があり、この横揺れによる加速度に対処するためにコイル18を重量物用パレット17に対してラッシングして一体化するものである。
【0061】
これによってコイル18は、重量物用パレット17によって支持材41a、支持材41bによる2点支持の状態を確保しながら、動揺に対してもより安定した支持状態が確保されることになる。
【0062】
尚、上記の各実施の形態では、支持材は木製で且つ特定断面形状としているが、これに代えて、鋼材等の他の材質で構成したり、又横長の矩形形状としたり、他の断面形状としても同様の効果を奏する。
【0063】
又、上記の第1の実施の形態では、支持材を一体型としているが、歯止め部分と緩衝部分とに別けて構成し、これらを組み合せて使用するようにしても良い。
【0064】
更に、上記の各実施の形態では、第3の鋼材を設けているが、これは搭載すべきコイルの軸方向長さに応じてその数、サイズ等を適切に選定すれば良い。
【0065】
更に、上記の各実施の形態では、重量物用パレットを構成する鋼材は特定形状のものを使用しているが、他の形状の鋼材を使用しても良い事は言うまでもない。
【0066】
更に、上記の各実施の形態では、1000〜1800mmの外径のコイルに適した重量物パレットを前提としているが、これ以外の外径を有するコイルに対しても同様の設計プロセスによって適切な重量物パレットを設計すれば良い。
【0067】
更に、上記の各実施の形態では、支持材の支持角度θを30°を超えるものとしているが、この支持角度の範囲は使用状況に応じて適切に選定すれば良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施の形態による重量物用パレットの使用状態を示した正面図である。
【図2】図1で示したII−IIラインから見た図である。
【図3】この発明の第2の実施の形態による重量物用パレットの使用状態を示した正面図である。
【図4】図3の(1)に示されたIV−IVラインから見た図である。
【図5】この発明の第3の実施の形態による重量物用パレットの使用状態を示した正面図である。
【図6】この発明の第4の実施の形態による重量物用パレットの使用状態を示した正面図である。
【図7】この発明の第5の実施の形態による重量物用パレットの使用状態を示した正面図である。
【図8】図7で示したVIII−VIIIラインから見た図である。
【図9】従来のコンテナ用パレットの使用状態を説明するための正面図である。
【図10】図9で示したX−Xラインから見た図である。
【符号の説明】
17…重量物用パレット
18…コイル
19…巻芯
20…外周壁
22…第1の鋼材
24…第2の鋼材
25…第3の鋼材
41…支持材
46…ベルト
尚、各図中同一符号は同一又は相当部分を示す。
【発明の属する技術分野】
この発明は重量物用パレット及び重量物支持方法に関し、特に鋼板コイル等の円柱状の重量物を搭載してコンテナ等に搬入するための重量物用パレット及び重量物支持方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図9は特開2001−315782号公報で開示されている従来のコンテナ用パレットの使用状態を示した断面図であり、図10は図9のX−Xラインの断面図である。
【0003】
これらの図を参照して、コンテナ用パレット21は同一平面にて所定間隔で互いに平行に配置された一対のH型鋼よりなる第1の鋼材22a,第1の鋼材22bと、第1の鋼材22a,第1の鋼材22bの各々の両端部の内側近傍を支持するように、第1の鋼材22a,第1の鋼材22bの軸方向と直角方向に配置された一対のH型鋼よりなる第2の鋼材24a,第2の鋼材24bとが互いに溶接接合された一体構造のものとして構成されている。また、第1の鋼材22a,第1の鋼材22bの内側にこれらと平行に配置され、第2の鋼材24a,第2の鋼材24bの側面に整列するように、第2の鋼材24a,第2の鋼材24b上に一対のH型鋼よりなる第3の鋼材25a,第3の鋼材25bが溶接等で接合されている。
【0004】
更に、第1の鋼材22a,第1の鋼材22bの両端部の上面には、固定部材27a〜固定部材27dが取付けられ、これらには各々シャックル28a〜シャックル28dが着脱自在に取付けられている。
【0005】
このように構成されたコンテナ用パレット21は第1の鋼材22a,第1の鋼材22bの軸方向がコンテナ13の幅方向となるようにコンテナ13に積載されている。そして、第1の鋼材22a,第1の鋼材22bの両端部とコンテナ13の側板14a,側板14bとの間には、コンテナ用パレット21の側板14a,側板14bの方向への移動を阻止するための木製材料よりなる固定材35a,固定材35bが配置されている。
【0006】
同様に図10に示されているように、コンテナ用パレット21のコンテナ13に対する長手方向(図においては左右方向)への移動を阻止するために、木製材料よりなる固定材36a,固定材36bが底板15上に取付けられている。これによってコンテナ用パレット21のコンテナ13における長手方向への移動が阻止される。
【0007】
一方、コンテナ用パレット21の第1の鋼材22a,第1の鋼材22b及び第3の鋼材25a,第3の鋼材25bの各々の背の上には、積み込むべきコイル18の平面投影形状よりやや大きな矩形形状の木製材料よりなる敷板31が配置される。また、コイル18の外周壁20とコンテナ用パレット21の上に敷設された敷板31との間にコイル18の回転移動を防止するための楔状の木製材料よりなる回り止め32a〜回り止め32dを差し込むようにして設置する。
【0008】
更に、コイル18の巻芯19内にワイヤ33aを通すようにして、コンテナ用パレット21の固定部材27a,固定部材27bによってコイル18を固定する。同様にコンテナ用パレット21の固定部材27c,固定部材27dからワイヤ33bをコイル18の巻芯19に掛け渡すようにしてコイル18を固定する。これによってコイル18はコンテナ用パレット21に対して一体的に固定される。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上記の従来のコンテナ用パレットのような重量物パレットで支持すべきコイルは円柱状であるため、その軸方向に対して直交する断面で見ると、パレットはその中央の1点でコイルを支持していることになる。
【0010】
そのため、コンテナの動揺等によって、コイルは不安定となり、その軸を中心として転動しやすくなるため、その防止手段として周り止め等が別途必要となる。また、コイルの重量はパレットの中央に集中的に加わることになるため、パレットを構成する鋼材の強度を上げる必要も生じ、結果的にパレットのコストも上昇してしまう。更に、コイル自体に加わる衝撃力もその下面に集中することになり、コイルにすり傷等のダメージが生じ易い。
【0011】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、コイルのような円柱状の重量物を安定性を高めて効率的に支持する重量物パレット及び重量物支持方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1記載の発明は円柱状の重量物を、その軸方向を水平方向に保持した状態で支持する重量物用パレットであって、その上面が水平面を有し、重量物の軸方向に対して直交する方向に並行に延びる少なくとも2本の第1の鋼材と、第1の鋼材上に所定距離離れた位置に取付けられ、重量物の側壁の2箇所を支持位置として各々支持する一対の支持材とを備え、重量物の外径をDとし、支持材の各々の支持位置の第1の鋼材の上面からの高さをHとし、支持位置の各々の間隔をAとすると、
H>(D−(D2 −A2 )1/2 )/2
であり、且つ
2×A>D
としたものである。
【0013】
このように構成すると、重量物はその側壁の2箇所においてのみ支持材によって支持されるとともに、重量物の重心位置から垂直下方に延びる線分と重心位置と支持位置とを結ぶ線分とがなす角度が30゜を超えることになる。
【0014】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の構成において、第1の鋼材の各々は、その下面において一定距離(L)離れた位置において、重量物の軸方向に対して平行に延びる一対の第2の鋼材によって支持され、支持材の各々は、第2の鋼材の各々から内方側の上方であって第2の鋼材の各々の鉛直方向から等間隔(B)で配置されるとき、
A=L−2B
であり、重量物による支持材を介して、第1の鋼材に加わる荷重をWとし、第1の鋼材の許容曲げ応力をσ、その断面係数をZとすると、
A≧L−4×σ×Z/W
としたものである。
【0015】
このように構成すると、第1の鋼材に生じる曲げ応力は設計応力以下となる。
【0016】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の発明の構成において、支持材を、断面が略矩形の木材としたものである。
【0017】
このように構成すると、重量物の支持位置は木材の角の位置によって規定される。
【0018】
請求項4記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれかに記載の発明の構成において、第1の鋼材の各々の間において、第1の鋼材の軸方向と平行に延びるとともに、各々が等間隔に配置されて支持材の各々を支持する複数の第3の鋼材を更に備えたものである。
【0019】
このように構成すると、軸方向に長い重量物に対して沿うように配置された支持材の各々は第3の鋼材によっても支持される。
【0020】
請求項5記載の発明は、円柱状の重量物を、その軸方向を水平方向に保持した状態で支持する重量物支持方法であって、軸方向に平行に配置された一対の支持材を準備し、支持材の各々によって、重量物の側壁の2箇所のみを支持するものである。
【0021】
このように構成すると、重量物の重心は、支持材の2箇所の支持位置を通る鉛直線の間のスペースに位置する。
【0022】
請求項6記載の発明は、請求項5記載の発明の構成において、重量物の重心位置(O)から垂直下方に伸びる線分と、重心位置(O)と支持材によって支持される点(T)とを結ぶ線分とがなす角度をθとすると、
θ>30゜
としたものである。
【0023】
このように構成すると、支持状態が30゜傾いた場合でも、重量物は支持材の一方を超えて転動することはない。
【0024】
請求項7記載の発明は、請求項5又は請求項6記載の発明の構成において、重量物はその中央が軸方向に貫通する巻芯を有するコイルであり、支持材の各々の下面は、軸方向に直交する平行に延びる第1の鋼材によって支持されており、コイルの巻芯を通して第1の鋼材の下面に巻き込むようにベルトが取付けられるものである。
【0025】
このように構成すると、重量物はベルトを介して第1の鋼材と一体化する。
【0026】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1記載の発明は、重量物は2箇所においてのみ支持材によって所定位置で支持されるため、支持状態が安定するとともに、支持材の各々が歯止めの役割も果たすため効率的な支持を可能とするパレットとなる。
【0027】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の効果に加えて、第1の鋼材に生じる曲げ応力は設計応力以下となるため、第1の鋼材の安全性が確保され、重量物パレットの信頼性を向上する。
【0028】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の発明の効果に加えて、重量物の支持位置は木材の角の位置によって規定されるため、木材の側面の幅方向の長さが支持位置の高さHに対応することとなり、高さHの設定が容易となる。
【0029】
請求項4記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれかに記載の発明の効果に加えて、支持材を介して伝達される重量物の重量は第1の鋼材及び第3の鋼材に分散されるため、重量物の支持状態が安定する。
【0030】
請求項5記載の発明は、重量物の荷重は支持材の2箇所の支持位置の間に作用するため、重量物の支持状態が安定する。
【0031】
請求項6記載の発明は、請求項5記載の発明の効果に加えて、通常の船舶等による重量物の輸送において重量物を安定に支持することが可能となる。
【0032】
請求項7記載の発明は、請求項5又は請求項6記載の発明の効果に加えて、重量物はベルトを介して第1の鋼材と一体化するため、重量物の支持状態がより安定化する。
【0033】
【発明の実施の形態】
図1はこの発明の第1の実施の形態による重量物パレットの使用状態を示した正面図であって、従来例として示した図9に対応した図であり、図2は図1のII―IIラインから見た図であり、従来例で示した図10に対応した図である。
【0034】
これらの図を参照して、重量物用パレット17は、支持すべき円柱状の重量物である軸方向に平行で且つ所定距離(L)離れた位置に配置される一対のH型鋼よりなる第2の鋼材24a,第2の鋼材24bと、コイル18の軸方向に対して直交する方向に平行に配置され、第2の鋼材24a,第2の鋼材24bの上面であってコイル18の軸方向の両端部側に配置されたH型鋼よりなる第1の鋼材22a,第1の鋼材22bと、第1の鋼材22a,第2の鋼材24bとの間であってこれらに平行に配置され、第2の鋼材24a,第2の鋼材24bの上に設置されるH型鋼よりなる4本の第3の鋼材25a〜25dと、第1の鋼材22a,第1の鋼材22b及び第3の鋼材25a〜25dの各々の上にコイル18の軸方向に対して平行に配置され、断面が台形形状を有する、例えば木製材料よりなる一対の支持材41a,支持材41bとから構成されている。
【0035】
尚、支持材41a,支持材41bの外方側であって第1の鋼材22a,第1の鋼材22b及び第3の鋼材25a〜25dの各々の上には、支持材41a,支持材41bの外方に向けての移動を防止するための例えばアングル鋼よりなる固定部材42a,固定部材42bが取付けられている。使用時にあっては、コイル18の外周壁20が支持材41a,支持材41bの傾斜面にのみ接するようにこれらを配置する。すなわち、コイル18は、図1で示すその軸に直交する断面において支持材41aの点Tと支持材41bの点Tとの2点においてのみ支持されることになる。これは、コイル18の外周壁20の最下点と第1の鋼材22aの上方の水平面との間にはδの距離が常時確保されるように設置されることを意味する。
【0036】
この実施の形態においては、図2に示すようにコイル18の重量を6Wとし、第1の鋼材22a,第1の鋼材22bと第3の鋼材25a〜25dの6本の鋼材に対してコイル18の重量が均等に加わるものとして以下説明する。これによって、例えば第1の鋼材22aに対しては、支持材41a,支持材41bを介して各々W/2の荷重が両側に加わることになる。そして、支持材41aの傾斜面とコイル18の外周壁20との接触点Tにおいては、図1において示すような力の釣合いが生じることになる。
【0037】
すなわち、支持材41aからコイル18に対して反力Rが生じ、コイル18から支持材41aに対してはTの位置において、鉛直下方方向にはW/2が生じ、水平外方方向に対してはSの力が加わることになる。そしてこれらの力が点Tにおいて釣り合った状態となる。一方、支持材41bに対しても点Tにおいて同様の力の釣り合いが生じることになる。
【0038】
ここで、支持材41a,支持材41bの各々に加わった水平外方方向の力Sは第1の鋼材22a上に取付けられた固定部材42a,固定部材42bの各々によって受け止められることになる。
【0039】
コイル18から支持材41aに加わった鉛直下方方向への力W/2は、点Tの鉛直下方方向において第1の鋼材22aに加わることになる。そしてこの位置と第2の鋼材24aとの距離をBとすると、支持材41b側も同様の関係となることから
A=L−2×B
となる。
【0040】
ここで第1の鋼材22aを、第2の鋼材24a,第2の鋼材24bでその両端が支持されたスパンLの単純支持梁に、その両端から各々Bの位置にW/2の力が加わったものと考える。ここで、第1の鋼材22aの許容曲げ応力をσとし、その断面係数をZとすると、
A≧L−4×σ×Z/W …(1)
の関係なるように距離Aを設定すれば、第1の鋼材22aに生じる曲げ応力がその許容曲げ応力以下となり、第1の鋼材22aの安全性が確保される。
【0041】
図1に示した状態から、支持材41a,支持材41bの取付け位置を一定とし、コイル18自体を径の小さな物に変更した場合を想定する。図から明かなように、コイル18の外径Dが所定の値以下となると、コイル18の外周壁20の最下端は第1の鋼材22aの上面に当接して、従来例で示したような1点支持の状態となってしまう。そこで、コイル18が常に支持材41a,支持材41bによって2点でのみ支持される条件について検討する。
【0042】
コイル18の重量物用パレット17の中心位置Oから垂直下方に延びる線分と、重量物用パレット17の中心位置Oと支持材41a,支持材41bの各々によって支持される点Tとを結ぶ線分とがなす角度をθとし、支時点Tの第1の鋼材22aの上面からの垂直距離をHとする。すると、コイル18が支持材41a,支持材41bによって2点のみで支持される条件としては、
A=D×sinθ …(2)
であり、
H>D×(1−cosθ)/2 …(3)
となる。
【0043】
そこで、式(2)と(3)から、
H>(D−(D2 −A2 )1/2 )/2 …(4)
となる。
【0044】
一方、コンテナ船の横揺れ動揺角度(JISZ−1618)にあっては、θは30゜が最大値となっている。したがって、静的な船体の横傾斜が30゜の状態であっても、コイル18が支持材41a,支持材41bを転動して乗り越えないための最低条件としてθ>30゜の関係が必要となる。すなわち、
2×A>D …(5)
の関係も合わせて必要となる。すなわち上記の式(4)及び式(5)の条件をいずれも充足すると、コイル18は支持材41a,支持材41bによって常に2点で支持された状態となり、且つこれらの設置角度θが常に30゜を超えた状態となり安定した支持状態が確保される。
【0045】
尚、式(4)であるが、コイル18の外周壁20の最下端と第1の鋼材22aの上面と間の距離δを2点支持の余裕と考えると、支持材41a,支持材41bの最小の取付け高さHminは、
Hmin=δ+(D−(D2 −A2 )1/2 )/2 …(6)
となる。
【0046】
このようにしてコイル18の外径に応じて重量物用パレット17の適切な設計をすることが可能となる。尚、距離δは、通常の支持状態における余裕と考える他に、コイル18に輸送時における衝撃が加わった場合に支持材41a,41bが変形することを考慮して設定することが好ましい。すなわち、そのような場合でもコイル18の下面が第1の鋼材22a,第1の鋼材22b等の上面に接しないように、距離δを支持材41a,41bの材質、形状等に応じて所定の値に設定することが好ましい。
【0047】
図3は上記の設計プロセスによって採用された重量物パレットの具体例の一例である。
【0048】
図3の(1)に示されているように、支持材41a,支持材41bとして、断面が150mm角で長さが1000mmの角材が使用されている。図4は図3の(1)に示されているIV−IVラインから見た図である。
【0049】
支持材41a,支持材41bは角材を用いていることから、その支持高さHは150mmとなる。そして支持材41a,支持材41bの取付け間隔A1 は670mmに設定されている。そこで、支持材41a,支持材41bの大きさや取付け位置を上記の値に固定してコイル18の外径Dを変化させて得た結果が、以下の通りである。
【0050】
【表1】
この表から明かなようにコイル18の外径Dが1000〜1300mmの範囲にある場合には、δ及びθともに問題がない。しかし、コイル18の外径が1400mm以上となると、網掛け部によって示されているようにθが30゜未満となり不適切な支持状態となる。尚、図3の(1)はコイル18の外径D1 が1000mmの状態を示し、図3の(2)はコイル18の外径D2 が1300mmとなっている状態を示している。
【0051】
そこで、コイル18の外径が1300mmを超えた場合であっても安定した支持状態を設定するために、支持材同志の間隔を780mmに設定した例が図4に示されている。この例にあっては、支持材41a,支持材41b自体は図3に示したものと同一であるが、その取付け間隔A2 が780mmに設定されている点が異なっている。この状態で計算した取付け状態の結果は以下の通りである。
【0052】
【表2】
ここでδを20mmと設定すると、上記の網掛けの部分が不適切な支持状態となる。すなわち、コイル18の外径Dが1200mm以下となるとδが小さくなり、更に外径Dが1100mm以下となるとδが負の値、すなわちコイル18が第1の鋼材22aに接触してしまい1点支持の状態となることを意味する。
【0053】
尚、図5の(1)においては、コイル18の外径D2が1300mmの状態を示し、図5の(2)はコイル18の外径D3 が1500mmの状態を示している。
【0054】
図6は更に他の支持材41a,支持材41bの取付け状態を示した具体例である。尚、この例においては、支持材41a,支持材41bは上述の同じ角材を使用しているものの、その下面と第1の鋼材22aの上面との間に厚さ28mmの合板等によるかさ上げ材44a,かさ上げ材44bが配置されている。また、支持材41a,支持材41bの取付け間隔A3 は920mmに設定されている。このようにして得られた結果が以下の通りである。
【0055】
【表3】
表から明かなように網掛け部は不適切な支持状態となっているが、コイル18の外径Dが1500〜1800mmにあっては適切な支持状態となることを意味している。尚、かさ上げ材44a,かさ上げ材44bによるかさ上げは、支持材41a,支持材41b自体は変更せずにその2点間距離Aをコイル18の外径の増大にともなって増加させる必要がある場合に有効な対策である。
【0056】
尚、図6の(1)においては、コイル18の外径D3が1500mmの状態を示し、図6の(2)においては、コイル18の外径D4が1800mmの状態を示している。
【0057】
以上のように図3、図5及び図6に示されているような3種類の重量物用パレット17を準備することによって、コイル18の外径が1000mmから1800mmに対して適切な支持状態を確保することが可能となる。
【0058】
図7はこの発明の更に他の実施の形態による重量物パレットの使用状態を示した正面図であり、図8は図7で示したVIII−VIIIラインから見た図であり、一部を破断した状態を示した図である。
【0059】
これらの図を参照して、支持材41a,支持材41bは上述と同様に断面が正方形形状の角材を使用しているが、コイル18を支持する角の部分がいずれも斜めにカットされている。したがって、支持材41a,支持材41bのコイル18の支持高さが減少することになるため、支持材41a,支持材41bの下面と第1の鋼材22aの上面との間にかさ上げ材44a,かさ上げ材44bが配置されている。これによってコイル18の2点支持の状態を確保するのに必要な支持材としての高さを維持している。
【0060】
また、コイル18にはその中央部を軸方向に貫通する巻芯19が形成されているが、この巻芯19を通して第1の鋼材22aの下面に巻き込むようにベルト46が取付けられている。これによってコイル18は、重量物用パレット17を構成する第1の鋼材22aに一体化することになる。コンテナ船の横揺れの動揺角度は上述のようにその最大値が30゜であるが、実際には動揺にともなってその接線方向の加速度が生じる場合があり、この横揺れによる加速度に対処するためにコイル18を重量物用パレット17に対してラッシングして一体化するものである。
【0061】
これによってコイル18は、重量物用パレット17によって支持材41a、支持材41bによる2点支持の状態を確保しながら、動揺に対してもより安定した支持状態が確保されることになる。
【0062】
尚、上記の各実施の形態では、支持材は木製で且つ特定断面形状としているが、これに代えて、鋼材等の他の材質で構成したり、又横長の矩形形状としたり、他の断面形状としても同様の効果を奏する。
【0063】
又、上記の第1の実施の形態では、支持材を一体型としているが、歯止め部分と緩衝部分とに別けて構成し、これらを組み合せて使用するようにしても良い。
【0064】
更に、上記の各実施の形態では、第3の鋼材を設けているが、これは搭載すべきコイルの軸方向長さに応じてその数、サイズ等を適切に選定すれば良い。
【0065】
更に、上記の各実施の形態では、重量物用パレットを構成する鋼材は特定形状のものを使用しているが、他の形状の鋼材を使用しても良い事は言うまでもない。
【0066】
更に、上記の各実施の形態では、1000〜1800mmの外径のコイルに適した重量物パレットを前提としているが、これ以外の外径を有するコイルに対しても同様の設計プロセスによって適切な重量物パレットを設計すれば良い。
【0067】
更に、上記の各実施の形態では、支持材の支持角度θを30°を超えるものとしているが、この支持角度の範囲は使用状況に応じて適切に選定すれば良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施の形態による重量物用パレットの使用状態を示した正面図である。
【図2】図1で示したII−IIラインから見た図である。
【図3】この発明の第2の実施の形態による重量物用パレットの使用状態を示した正面図である。
【図4】図3の(1)に示されたIV−IVラインから見た図である。
【図5】この発明の第3の実施の形態による重量物用パレットの使用状態を示した正面図である。
【図6】この発明の第4の実施の形態による重量物用パレットの使用状態を示した正面図である。
【図7】この発明の第5の実施の形態による重量物用パレットの使用状態を示した正面図である。
【図8】図7で示したVIII−VIIIラインから見た図である。
【図9】従来のコンテナ用パレットの使用状態を説明するための正面図である。
【図10】図9で示したX−Xラインから見た図である。
【符号の説明】
17…重量物用パレット
18…コイル
19…巻芯
20…外周壁
22…第1の鋼材
24…第2の鋼材
25…第3の鋼材
41…支持材
46…ベルト
尚、各図中同一符号は同一又は相当部分を示す。
Claims (7)
- 円柱状の重量物を、その軸方向を水平方向に保持した状態で支持する重量物用パレットであって、
その上面が水平面を有し、前記重量物の前記軸方向に対して直交する方向に平行に延びる少なくとも2本の第1の鋼材と、
前記第1の鋼材上に所定距離離れた位置に取付けられ、前記重量物の側壁の2箇所を支持位置として各々支持する一対の支持材とを備え、
前記重量物の外径をDとし、前記支持材の各々の支持位置の前記第1の鋼材の上面からの高さをHとし、前記支持位置の各々の間隔をAとすると、
H>(D−(D2 −A2 )1/2 )/2
であり、且つ
2×A>D
である、重量物用パレット。 - 前記第1の鋼材の各々は、その下面において一定距離(L)離れた位置において、前記重量物の前記軸方向に対して平行に延びる一対の第2の鋼材によって支持され、
前記支持材の各々は、前記第2の鋼材の各々から内方側の上方であって前記第2の鋼材の各々の鉛直方向から等間隔(B)で配置されるとき、
A=L−2B
であり、
前記重量物による前記支持材を介して前記第1の鋼材に加わる荷重をWとし、前記第1の鋼材の許容曲げ応力をσ、その断面係数をZとすると、
A≧L−4×σ×Z/W
である、
請求項1記載の重量物用パレット。 - 前記支持材は、断面が略矩形の木材である、請求項1又は請求項2記載の重量物用パレット。
- 前記第1の鋼材の各々の間において、前記第1の鋼材の軸方向と平行に延びるとともに、各々が前記支持材の各々を支持する複数の第3の鋼材を更に備えた、請求項1から請求項3のいずれかに記載の重量物用パレット。
- 円柱状の重量物を、その軸方向を水平方向に保持した状態で支持する重量物支持方法であって、
前記軸方向に平行に配置された一対の支持材を準備し、
前記支持材の各々によって、前記重量物の側壁の2箇所のみを支持する、重量物支持方法。 - 前記重量物の重心位置(O)から垂直下方に延びる線分と、前記重心位置(O)と前記支持材によって支持される点(T)とを結ぶ線分とがなす角度をθとすると、
θ>30゜
である、
請求項5記載の重量物支持方法。 - 前記重量物はその中央が前記軸方向に貫通する巻芯を有するコイルであり、
前記支持材の各々の下面は、前記軸方向に直交する方向に平行に延びる第1の鋼材によって支持されており、前記コイルの巻芯を通して前記第1の鋼材の下面に巻き込むようにベルトが取付けられる、請求項5又は請求項6記載の重量物支持方法。
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Cited By (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009234608A (ja) * | 2008-03-27 | 2009-10-15 | Sumitomo Metal Logistics Service Co Ltd | 重量物載置装置 |
KR200465411Y1 (ko) * | 2011-07-15 | 2013-02-18 | 씨제이대한통운 (주) | 코일 운송용 받침대 |
KR101473976B1 (ko) * | 2013-03-28 | 2014-12-17 | 전순용 | 코일 운송을 위한 컨테이너 |
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-
2003
- 2003-01-27 JP JP2003017193A patent/JP2004224423A/ja active Pending
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JP7315370B2 (ja) | 2019-04-26 | 2023-07-26 | 株式会社神戸製鋼所 | コイル状製品用金属製パレット |
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