JP2004223608A - 球状黒鉛鋳鉄の金型鋳造方法 - Google Patents

球状黒鉛鋳鉄の金型鋳造方法 Download PDF

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    • C21C1/10Making spheroidal graphite cast-iron

Abstract

【課題】チル晶の生成を防止して微細な球状黒鉛を晶出させると同時に、内部欠陥の発生を防止できる球状黒鉛鋳鉄の金型鋳造方法を提供する。
【解決手段】キャビティー内壁面に断熱層を形成した金型を用意する工程、球状黒鉛鋳鉄の組成を有する溶湯を湯道を介して上記キャビティー内に充填する工程、上記キャビティー内の溶湯が凝固を開始する直前に、上記湯道を閉鎖することにより該キャビティー内を密閉する工程、および上記密閉されたキャビティー内で球状黒鉛の晶出に伴う内圧の作用下で上記溶湯を凝固させる工程を含む。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、球状黒鉛鋳鉄を金型鋳造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
球状黒鉛鋳鉄は、ダクタイル鋳鉄、ノジュラー鋳鉄とも呼ばれ、鋳放し状態(as cast)で黒鉛が球状に晶出したミクロ組織を有しており、黒鉛形態が球状であることによって、黒鉛形態が球状でない他の鋳鉄に比べて強度および延性が著しく高く、鋳鋼に匹敵する高い強靭性を備えている。
【0003】
元来、球状黒鉛鋳鉄は砂型により鋳造されてきたが、溶湯が除冷されるため、晶出した球状黒鉛が粗大化し、機械的性質の向上に限界があった。また、砂型による鋳造品は、形状・寸法の精度にも限界があった。
【0004】
このような砂型鋳造による限界を超えて機械的性質や形状・寸法の精度を高めた球状黒鉛鋳鉄製品を得ることが求められている。
【0005】
このような要請に応えるべく、球状黒鉛鋳鉄を金型鋳造する試みが行なわれている。金型鋳造を用いると、砂型鋳造に比べて遥かに高い冷却速度が得られるので、球状黒鉛が微細に晶出し、鋳造組織全体も微細化するため、強度および延性の向上すると同時に、形状・寸法の精度も高めることができる。
【0006】
しかし、金型鋳造では、冷却速度が最も大きいためチル晶(セメンタイトから成る急冷組織)の生成することが避けられなかった。チル晶が生成すると、鋳造品の硬さは高くなるが、靭性が劣化してしまい、結局、金型鋳造による良好な機械的性質が得られない。
【0007】
そのため、例えば特許文献1(特開2000−288716号公報)に開示された方法のように、鋳造品に熱処理を施すことにより、チル晶を構成するセメンタイトを分解してフェライトと炭素にする、等の後処理が必要であった。
【0008】
更に重要な点として、従来の方法では、砂型・金型のいずれを用いた場合にも、引け巣等の内部欠陥の発生が避けられず、これにより特に疲労強度が低下するという大きな問題があった。
【0009】
一般に鋳物は、押し湯を製品部より遅く凝固させ、押し湯から製品部へ溶湯補給を行なうことにより、引け巣の発生を防止している。
【0010】
ここで、鋳鉄は凝固時に黒鉛晶出により体積が膨張するので、この体積膨張を拘束してキャビティー内に内圧を発生させ、この内圧を利用して引け巣発生を防止する方法が提案されている。具体的には、砂型の強度を増加させたり、砂型を金型でバックアップ(バックメタルシェル)したりして、体積膨張を拘束する。
【0011】
しかし、これらの方法でも押し湯が併用されているため、黒鉛晶出による体積膨張は未凝固の押し湯への溶湯の流出として解放されてしまい、実際には膨張拘束による内圧の発生作用はあまり得られない。また、バックメタルシェル方式では、砂型の造形が難しく砂型層を厚くせざるを得ないため、金型によるバックアップが効果的に発揮できずに砂型部分が移動してしまい、やはり膨張拘束による内圧の発生作用を十分に得ることができない。
【0012】
一方、無押し湯方案としては、製品部とゲートの形状最適化が行なわれているが、体積膨張を拘束して鋳造欠陥の発生を防止する対策は取られていない。
【0013】
【特許文献1】
特開2000−288716号公報(請求項1)
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、チル晶(セメンタイト)の生成を防止して微細な球状黒鉛を晶出させると同時に、内部欠陥の発生を防止できる球状黒鉛鋳鉄の金型鋳造方法を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明の球状黒鉛鋳鉄を金型鋳造する方法は、
キャビティー内壁面に断熱層を形成した金型を用意する工程、
球状黒鉛鋳鉄の組成を有する溶湯を湯道を介して上記キャビティー内に充填する工程、
上記キャビティー内の溶湯が凝固を開始する直前に、上記湯道を閉鎖することにより該キャビティー内を密閉する工程、および
上記密閉されたキャビティー内で球状黒鉛の晶出に伴う内圧の作用下で上記溶湯を凝固させる工程
を含むことを特徴とする。
【0016】
本発明の方法においては、金型キャビティー内壁面に断熱層を形成したことにより過度の急冷を防止して、チル晶の生成を防止して球状黒鉛を晶出させることができる。そして、キャビティー内の溶湯が凝固を開始する直前に湯道を閉鎖してキャビティー内を密閉することにより、球状黒鉛の晶出による体積膨張を拘束してキャビティー内に内圧を発生させ、この内圧の作用下でキャビティー内の溶湯を凝固させることにより、鋳造欠陥の発生を防止することができる。これにより、良好な球状化組織(望ましくは黒鉛球状化率85%以上)を有する球状黒鉛鋳鉄を鋳造することができる。
【0017】
前記断熱層は、熱伝導度が0.25W/mK以下、厚さが600μm以下であることが望ましい。
【0018】
前記断熱層は、中空セラミック粒子と、中実セラミック粒子と、粘結材とから実質的に成ることが望ましい。
【0019】
【発明の実施の形態】
図1を参照して、本発明の方法による鋳造過程を説明する。図1には、横軸に示した経過時間tの推移に対して、縦軸にキャビティー内の溶湯の温度Tおよび状態変化を示してある。
【0020】
図中の左上に示したように、所定の球状黒鉛鋳鉄の組成となるように配合した原料を溶解して溶湯を作成し、これに通常の球状化処理を施した後、キャビティー内壁に予め断熱層を設けた金型内に注湯する。金型キャビティー内の溶湯温度を適当な測温装置(図示せず)により常時監視しておく。溶湯温度が既知の凝固開始温度に到達した時点t1で、金型の湯道を閉鎖してキャビティー内を気密状態に密閉する。
【0021】
図2に、湯道閉鎖後の金型および金型キャビティー内溶湯を模式的に示す。金型10は、上型10A・下型10Bを型締めして組み立てられている。型締め力Fを上下の白抜き矢印で示した。上型10Aおよび下型10Bは、それぞれキャビティー10Cの内壁に断熱層12が予め形成してある。
【0022】
キャビティー内の鋳鉄溶湯14は、凝固開始時点t1から時間経過に伴い固相が晶出する。その過程で金属相よりも低密度の球状黒鉛16が晶出することにより、4本の実線矢印Eで示したように体積膨張しようとするが、キャビティー10C内が密閉されているため体積膨張が拘束されて溶湯14中に内圧が発生する。金型10はこの内圧を十分に受け止めるだけの剛性を備えており、型締め力も内圧に比べて遥かに大きいので、内圧による鋳型移動を生ずることなく、内圧を維持した状態で凝固が進行し、時刻t2でキャビティ10C内の溶湯全体が凝固を完了する。なお、凝固開始t1から凝固完了t2の期間は、キャビティー内溶湯温度は凝固潜熱により図示のようにほぼ一定で推移する。
【0023】
このように本発明においては、(1)金型キャビティー内壁に断熱層を設けたことにより冷却速度を制御して球状黒鉛の晶出を安定して確保し、(2)この球状黒鉛の晶出による体積膨張を金型キャビティーの密閉により拘束して発生した内圧を常に溶湯に作用させながら凝固を完了させる。
【0024】
これにより、砂型鋳造に比べて微細な球状黒鉛を晶出させると同時に、内圧作用下での凝固により鋳造欠陥の発生を効果的に抑制し、強度および靭性の優れた球状黒鉛鋳鉄を製造することができる。
【0025】
【実施例】
本発明の金型拘束鋳造により球状黒鉛鋳鉄を鋳造した。また、比較のために、砂型鋳造、非拘束の金型鋳造による鋳造品およびこれらを加圧下で行なったHIP鋳造品も作製した。鋳造品の組成は、Fe−3.6C−3.0Si−0.25Mn−xMg(質量%)であった。ここで、球状化剤であるMgの添加量xは、最も球状化を促進する量として、金型鋳造の場合には0.025質量%とし、砂型鋳造の場合には0.04質量%とした。不純物は、P<0.03質量%、S<0.01質量%であった。鋳型への注湯温度は1400℃とした。これら本発明例および比較例の鋳造条件を表1にまとめて示す。
【0026】
【表1】
Figure 2004223608
【0027】
表1中、試料(T/P)No.1は本発明例であり、用いた金型構成を図3(a)に示す。押し湯は用いず、湯口から注湯された溶湯は湯道を介して金型キャビティー(図中「T/P」と表示した金型部位)に注入される。
【0028】
試料No.2〜5は比較例であり、いずれも押し湯を用いた鋳造方案を採用している。試料No.2、試料No.4はいずれも図3(b)に示す砂型Yブロックにより、試料No.3、試料No.5はいずれも図3(c)に示す金型丸棒により、それぞれ開放系で鋳造したものであり、そのうち試料No.4、試料No.5は鋳造品にHIP処理(熱間等方加圧処理)を施したものである。
【0029】
ここで、本発明例の金型構成(図3(a))については、金型キャビティー(各T/P部)の内壁に下記の断熱コーティングを予め施した。湯道は断熱コーティングなしのままとした。
【0030】
〔断熱コーティング〕
配合組成:中空ムライト粉末(粒径50μm)+シリカ粉末(中実。粒径10μm以下)
配合比(質量比)ムライト:シリカ=30:70
粘結剤(種類:ベントナイト+水ガラス、配合量:全体を100質量%として、ベントナイト5質量%、水ガラス10質量%)
コーティング厚さ:600μm
図4に、上記の断熱コーティングを施した金型キャビティー内壁の走査電子顕微鏡写真を示す。金型キャビティー内壁面に、中空ムライト粒子と中実シリカ粒子とが均一に混合した多孔質の断熱コーティング層が形成されていることが分かる。
【0031】
上記本発明例による鋳造の際には、図3(a)に示したように、湯道と金型キャビティー(T/P部)に温度センサを設けて連続的に温度をモニターした。温度測定結果の一例を図5に示す。
【0032】
図5に示すように、断熱コーティングなしの湯道は急速に温度降下して供試鋳鉄の凝固温度(約1150℃)に早期に到達するため、湯道内溶湯が鋳造開始数秒後に凝固完了する。すなわち、図中で湯道の温度曲線が水平になる区間の左端で凝固開始し、右端で凝固完了する。
【0033】
これに対して、断熱コーティングを施してあるキャビティー内(図中「T/P」)は、湯道が凝固完了した後も凝固温度(約1150℃)より高温に保持されて溶融状態に維持されている。すなわち、湯道が凝固完了した直後にキャビティー内で凝固が開始する(図中のT/P温度曲線の水平区間の左端)。これにより、キャビティー内は湯道を閉鎖された密閉状態で凝固の全過程が進行する。
【0034】
このように本発明による金型拘束鋳造により得られた円柱状試料について、図6(a)に横断面のマクロスケッチを、図6(b)に中心部の光学顕微鏡写真を示す。図6(a)のマクロスケッチに示したように、試料表層部に若干のセメンタイト発生が認められたが、大部分は図6(b)で代表されるように球状黒鉛が微細に生成したミクロ組織であった。黒鉛球状率は85%以上であった。なお、黒鉛球状化率の定量は、JIS G5502に準じて行なった。
【0035】
上記のようにして作製した本発明例の試料および比較例の試料を切削加工したものについて、疲労試験を行った。試験条件は下記のとおりであった。
【0036】
〔疲労試験条件〕
試験方式:回転曲げ疲労試験
試験片 熱処理状態:930℃×3.5h+730℃×6h
寸法・形状:全長170mm、両端掴み部各φ15mm×60mm、中央試験部φ12mm×50mm(*)
(*)両側の掴み部との移行区間(R25)を含む。
【0037】
図7に、疲労試験結果をまとめて示す。同図中の各プロット形状は表1に示した各試料No.と下記のように対応している。
【0038】
〇:本発明例(試料No.1:金型拘束鋳造)
△:比較例(試料No.4:砂型開放鋳造+HIP処理(*1))
◇:比較例(試料No.5:金型開放鋳造+HIP処理(*1))
+:比較例(試料No.2:砂型開放鋳造)
×:比較例(試料No.3:金型開放鋳造)
(*1)HIP処理条件
圧力:98MPa、Ar雰囲気
温度:930℃
時間:3.5h
図7に示したように、金型拘束鋳造を行なった本発明例(〇)は、砂型または金型による開放鋳造を行なった比較例(+、×)に比べて、疲労強度および疲労限度が大幅に向上しており、砂型または金型による開放鋳造品にHIP処理を行なった比較例(△、◇)と同等の高いレベルが得られた。10回疲労強度で比較すると、開放鋳造(HIP処理なし)による比較例(+、×)が200MPaレベルであるのに対して、本発明例(〇)は300MPaレベルに向上しており、これは開放鋳造品にHIP処理を行なった比較例(△、◇)と同等の高レベルである。なお、いずれの試料についても繰返し負荷10回は疲労曲線の水平部分(一定部分)が現われている領域内にあるので、ここで10回疲労強度は実質的な疲労限であると考えてよい。
【0039】
上記疲労試験後の試料破断面を観察した。図8に破断面のマクロ写真を、図9に破断面の破壊起点部の走査電子顕微鏡写真をそれぞれ示す。
【0040】
図8に示したようにいずれも試料の表面を起点として疲労亀裂が発生し断面全体に伝播して最終破断に至っていた。図中の矢印で示した点(起点)から放射状(扇形)に疲労亀裂が進展していることが分かる。疲労亀裂が成長して臨界亀裂サイズ(材料固有の破壊靭性値で決まる)を超えたところで不安定破壊が生じて一気に全断面破壊(破断)に至ったと考えられる。
【0041】
本発明による金型拘束鋳造品の場合は、図9(a)に示すように、マクロ的な破壊起点に30μm程度の球状黒鉛粒子が存在し、これを起点(相界面による応力集中源)として疲労亀裂が発生したと推定される。これに対して砂型あるいは金型による開放鋳造品(いずれもHIP処理なし)の場合は、図9(b)に示すように、マクロ的な破壊起点に50μm程度の鋳造欠陥が存在し、これを起点(空隙による応力集中源)として疲労亀裂が発生したと推定される。
【0042】
なお、砂型あるいは金型による開放鋳造品にHIP処理を施した場合にも、本発明例と同様に、図9(a)に示すような30μm程度の球状黒鉛粒子が破壊起点に存在することが観察され、これが亀裂発生源となったと推定される。
【0043】
このように、本発明による金型拘束鋳造を行なうことにより、疲労亀裂の発生を誘起する50μmあるいはこれを超えるような大きい鋳造欠陥が発生せず、それにより少なくとも疲労亀裂発生が抑制されて疲労強度(疲労限)が大幅に向上する。更に、上述したように疲労破壊が亀裂発生→亀裂成長→不安定破壊という3段階で進行する破壊機構を考慮すれば、大きい鋳造欠陥が存在しないことは、亀裂成長および最終的な不安定破壊に対する抵抗力も高めることになり、全体として疲労特性を高めることになる。
【0044】
本発明品(試料No.1)は、砂型あるいは金型による開放鋳造品にHIP処理を行なった比較例(試料No.4、5)と同等の疲労特性(疲労曲線)を示しているので、HIP処理による鋳造欠陥低減効果とほぼ同等の鋳造欠陥低減効果が本発明の金型拘束鋳造によって得られたと考えられる。
【0045】
〔断熱層材料の望ましい形態〕
本発明の金型拘束鋳造による球状黒鉛晶出と鋳造欠陥低減の効果を安定して得るためには、金型キャビティーの内壁に設ける断熱層が極めて重要である。
【0046】
一般に鋳鉄の金型鋳造では、珪藻土等の粘度鉱物を塗型材として用いている。この粘度鉱物系の塗型材は、高温の溶湯との直接接触による熱衝撃や摩耗を抑制することで金型の耐久性を向上させるために用いられる。しかし、このような従来からの塗型材では、断熱性が低く、通常1〜2mmの厚さに塗布しても、チル晶(セメンタイト)の発生を安定して防止することができなかった。
【0047】
これに対して、本実施例で用いた中空ムライトは極めて高い断熱性を備えており、本発明の断熱層に用いる材料として望ましい。実際には、中空ムライトに塗膜形成、沈殿防止のために中実シリカを配合し、これに粘結材(ベントナイト、水ガラス等)を加えて用いる。
【0048】
中空ムライト粉末とシリカ粉末との配合比を表2に示したように種々に変えた断熱層(No.11〜14)を用いて、鋳造実験を行った。比較のために、断熱層なしの場合(比較A)および従来の塗型材塗布の場合(比較B)についても同様に鋳造実験を行なった。
【0049】
【表2】
Figure 2004223608
【0050】
図10に示したように、JIS4号舟金型のキャビティー内壁に断熱層を形成して、上記組成の鋳鉄溶湯を注湯し、鋳型内の溶湯温度を熱伝対により連続測定した。ムライト/シリカ断熱層の厚さは、成膜可能な最大厚さである600μmとした。これより厚いと断熱層に剥離が発生して安定に維持できない。また従来の塗型材の厚さは一般に用いられている2mmとした。図11に温度測定結果を示す。また、各断熱層の熱伝導度の測定結果および鋳造組織の観察結果(チル晶の有無)を表2に示す。
【0051】
図11および表2に示したように、従来の塗型材に対して冷却速度を遅くできてチル晶を生じなかったのはNo.12、13、14の断熱層であった。この結果から、断熱層として望ましい熱伝導度は0.25W/mK以下であることが分かる。また、断熱層の厚さは、上記のように成膜性の観点から600μm以下とすることが望ましい。
【0052】
【発明の効果】
本発明によれば、チル晶(セメンタイト)の生成を防止して微細な球状黒鉛を晶出させると同時に、内部欠陥の発生を防止できる球状黒鉛鋳鉄の金型鋳造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の方法による鋳造過程を示すグラフである。
【図2】図2は、湯道閉鎖後の金型および金型キャビティー内溶湯を示す断面図である。
【図3】図3は、(a)本発明例の金型拘束鋳造に用いた金型構成、(b)比較例に用いた砂型、および(c)比較例に用いた金型を示す側面図である。
【図4】図4は、本発明により金型キャビティー内壁に施した粉末微粒子から成る断熱コーティングの微細構造を示す走査電子顕微鏡写真である。
【図5】図5は、本発明による金型拘束鋳造における湯道と金型キャビティーについて実測した温度変化曲線を示すグラフである。
【図6】図6は、本発明により金型拘束鋳造した円柱状試料について、(a)横断面のマクロスケッチ、および(b)中心部の金属組織を示す光学顕微鏡写真である。
【図7】図7は、本発明例および比較例について回転曲げ疲労試験結果を示すグラフである。
【図8】図8は、疲労試験後の試料破断面全体の微細構造を示すマクロ写真である。
【図9】図9は、疲労試験後の試料破断面における破壊起点の微細構造を示す走査電子顕微鏡写真であり、(a)は金型拘束鋳造品、(b)は砂型あるいは金型による開放鋳造品である。
【図10】図10は、種々の断熱コーティングについて鋳造実験を行なうための舟金型を示す断面図である。
【図11】図11は、種々の断熱コーティングを用いた鋳造実験において実測した温度変化曲線を示すグラフである。

Claims (3)

  1. 球状黒鉛鋳鉄を金型鋳造する方法において、
    キャビティー内壁面に断熱層を形成した金型を用意する工程、
    球状黒鉛鋳鉄の組成を有する溶湯を湯道を介して上記キャビティー内に充填する工程、
    上記キャビティー内の溶湯が凝固を開始する直前に、上記湯道を閉鎖することにより該キャビティー内を密閉する工程、および
    上記密閉されたキャビティー内で球状黒鉛の晶出に伴う内圧の作用下で上記溶湯を凝固させる工程
    を含むことを特徴とする球状黒鉛鋳鉄の金型鋳造方法。
  2. 前記断熱層は、熱伝導度が0.25W/mK以下、厚さが600μm以下であることを特徴とする請求項1記載の方法。
  3. 前記断熱層は、中空セラミック粒子と、中実セラミック粒子と、粘結材とから実質的に成ることを特徴とする請求項1または2記載の方法。
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