JP2004222618A - 再生豆腐及び具材入り再生豆腐の製造方法、 - Google Patents
再生豆腐及び具材入り再生豆腐の製造方法、 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】再生豆腐の製造方法と開発と同時に、新規な具入り再生豆腐を製造し、豆腐の利用範囲を拡大する。
【解決手段】豆腐を解砕してペーストとし、このペーストに必要により各種固形具材を添加した後で、トランスグルタミナーゼを作用させて加熱、再凝固させることにより再生豆腐を得る。
【選択図】なし
【解決手段】豆腐を解砕してペーストとし、このペーストに必要により各種固形具材を添加した後で、トランスグルタミナーゼを作用させて加熱、再凝固させることにより再生豆腐を得る。
【選択図】なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規な再生豆腐の製造方法、詳しくは通常の豆腐を、カッター等で解砕してペースト化した後、トランスグルタミナーゼ(以下TGと略記する)を加えて、1)そのまま再生させる、又は2)再生するときに、豆腐とは異なる色調の、もしくは豆腐とは異なる食感を持った具材を混入させて具入り再生豆腐とする再生豆腐の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
豆腐は、その製法に準じて、豆乳を型枠の中で凝固させた後水晒しするいわゆるカット豆腐と、凝固剤を添加混合した豆乳を小型容器に充填・シールし容器中で加熱凝固させる充填豆腐に大きく2分類される。また、丸大豆を原料して作られるものと、いわゆる植物性粉末蛋白に油脂や乳化剤を添加して作られるものがある。
【0003】
このようにして作られる豆腐は、いずれも色調的には、いわゆる豆腐色というべき白一色である。まれにゴマ豆腐等においてその素材の色が出ているものもあるが非常にまれなものである。また、食感的にも、絹のなめらかさ、木綿のざらつきといった特有の食感を持っているが基本的にヘテロな食感を持った豆腐はなく、単一の食感をもつのが従来の豆腐の特徴である。
【0004】
また、豆腐は健康食品的なイメージがあり、その評価は定まっている。しかし、これにしても原料由来が植物性タンパク質(丸大豆)であるとの評価でしかない。豆腐を材料とする料理は数多く存在しているが、豆腐そのものの形態で食されるものは、先のゴマ豆腐ぐらいであり、食生活の多様化に伴い、更に多種形態の豆腐の提供が望まれるところである。例えば、豆腐に色とりどりの具材を入れ、見た目に楽しい、更にヘルシー感を与えるような豆腐の提供があっても良い筈である。
しかし、従来、豆腐の再利用加工食品としては、その代表的なものとして、油揚げ、厚揚げ、又はがんもどき程度であり、これは豆腐を単に油揚げしたり、豆腐を崩して絞った後に野菜等の刻んだものを混合し、成形した後油ちょう工程を経た、いわゆるフライ製品であり豆腐そのものの食感を有するものではない。
一方、生産現場では、一般の豆腐の製造工程において必然的にできてしまう不良品(本来豆腐なのに、見た目の悪いもの、形が崩れたもの等)の利用方法も更に考える必要があるのも事実である。
【0005】
しかし、これらの課題に対しては、従来は殆ど省みられなかった。その理由としては、豆乳に対してこれらの具材を投入して豆腐を作ってもこれらが豆腐の底に沈降してしまい、均一な分散ができず、見た目にも良好なものができないということ、又、豆腐のイメージが固定してしまい、一旦固めた豆腐を崩した後に豆腐として再生するという発想が無かったこと等が挙げられる。更には、一度壊した(解砕)豆腐は、いわゆる豆腐用凝固剤では再生することが技術上できなかったことも大きな理由と考えられる。
【0006】
豆腐を一旦壊砕し再生する従来技術としては、特開2001−352911号公報(特許文献1)を上げることができるが、これはソーセージ代替品を植物性蛋白で製造する方法で、豆腐を絞ってから澱粉を加えて更にTGを加えて腸詰め後、加熱することで肉を植物蛋白(豆腐蛋白)に置き換えたソーセージを作ろうとするものである。この方法は、製品を硬い肉代替物とするために、豆腐をしぼる工程及び澱粉の添加が必要となるが、逆に絞らなければならないが為に、豆腐としてのなめらかさ、きめの細かさ、しなやかさといった豆腐本来の食感を得ることができなくなり、この方法において再生豆腐を作ることはできない。
【0007】
植物性蛋白質にTGを作用させ、冷凍耐性を付与する豆腐の製造技術が特開平5−13020号公報(特許文献2)に開示されているが、新規な形態を有する豆腐の製造、又は再生豆腐に関する開示はない。
【0008】
【特許文献1】
特開2001−352911号公報
【特許文献2】
特開平5−13020号公報
【特許文献3】
特開昭64−27471号公報
【特許文献4】
特公平1−50382号公報
【特許文献5】
特開平1−300889号公報
【特許文献6】
特開平5−199883号公報
【特許文献7】
特開平6−225775号公報
【非特許文献1】
関信夫ら(Seki Nobuo et al)、日本水産学会誌、1990年、第56巻、第1号、p.125頁
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
豆腐又は型崩れし従来では豆腐としての商品価値のなかったものを解砕後、再度豆腐として再生すること、及び再生豆腐調製の際、各種具材を均一に混入し、ヘテロな食感を有する見た目に楽しい、健康イメージのより向上した再生豆腐を創出し、豆腐の有効利用、拡大を図ることを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、前記目的を達成すべく、鋭意検討した結果、解砕した豆腐ペーストに対してTGを作用させることによって、解砕された豆腐がなめらかでかつ、きめの細かいしっかりした豆腐が再生できること、及び解砕された豆腐 ペーストに各種の具材を沈降することなく分散させることが出来ることを見いだし、本発明を完成させた。
【0011】
即ち、本発明は、豆腐を解砕してペーストとし、これにTGを作用させて再凝固させ、得られた豆腐部分の破断応力が、後記する測定法で測定した場合、40〜200g/cm2となるように再生させることを特徴とする再生豆腐の製造方法、及び再生豆腐を作るに当たって、具材として豆腐の色調、食感に影響をもたらす固形食品を添加して作らせることを特徴とする再生豆腐の製造方法である。以下に本発明について詳細に記載する。
【0012】
即ち、本発明は、
(1)豆腐を解砕してペーストとし、これにトランスグルタミナーゼを作用させて加熱、再凝固させ、再生した豆腐部分の破断強度が40〜200g/cm2であることを特徴とする再生豆腐の製造方法。
(2)豆腐が、大豆を原料として豆乳を得、該豆乳に豆腐用凝固剤を作用させて得た豆腐、又は植物性粉末蛋白と油脂、乳化材を主成分として作られた豆腐であることを特徴とする(1)記載の再生豆腐の製造方法。
(3)再生豆腐を作るに当たって、具材として豆腐の色調、食感に影響を与える固形食品を添加することを特徴とする(1)又は(2)記載の再生豆腐の製造方法。
(4)豆腐の蛋白質1g当たり、トランスグルタミナーゼを0.1〜20ユニット添加することを特徴とする(1)記載の再生豆腐の製造方法。
(5)具材が、再生豆腐製造時の加熱によっても形態を維持できる食品から選ばれる1種以上であることを特徴とする(3)記載の再生豆腐の製造方法。
【0013】
【発明の実施の態様】
本発明で言う再生豆腐とは、一般的な豆腐(充填豆腐、カットタイプ豆腐、ソフト豆腐等)を解砕してペースト化し、それにTGを加えて成形、加熱、冷却して作られる豆腐を言う。また、この時、ペーストに対して一定量の食品具材を混入させて同様にTGを加えて作った具材入り再生豆腐も含むものとする。
【0014】
ここに使用する原料としての豆腐については、通常の方法、即ち、大豆を原料として豆乳を得、当該豆乳に豆腐用凝固剤を作用させて得られる豆腐であれば、全て用いることができる。即ち、一般的に流通している絹ごし豆腐、木綿豆腐、及び充填絹ごし豆腐等が用いられる。また、こうして作られる豆腐とは別に植物性粉末蛋白に植物油や乳化剤を配合して得られる豆乳代替物からつくられる豆腐でも問題ない。更に、先述した通り、通常製品の生産工程において必然的に発生する、形態上の不良品等も当然使用することができる。
【0015】
次に、これらを解砕してペーストとする工程であるが、一般的な解砕機、フードカッター,サイレントカッター、ボールカッターが使用でき、場合によってはリボンミキサーやバドルミキサーのような攪拌機的なものも使用できる。得られる製品にできるだけなめらかさを持たせることが好ましい為、ここでの解砕はできるだけ細かくする事が好ましいが、粒径を規定する必然性はない。尚、そのまま再生豆腐とする場合には、この工程においてTGを加えてから必要な大きさの形態のケースに充填し加熱工程に供し、再凝固させればよい。
【0016】
一方、具入り再生豆腐を製造するときには、必要な具材を解砕後の豆腐ペーストに混合する。この時、普通の豆乳だと、その粘度が低いために具材を入れると底に沈んでしまって全体に均一に分散することができないが、この豆腐ペーストは、ある程度粘性を持っていることから、このペーストに対して具材を添加混合しても沈降分離して底に沈んでしまうと言うことはない。
【0017】
具材についても、何ら規定するものではない。ほうれんそう、小松菜、芹、三つ葉、ニンジン、大根、春菊、しそ等の緑黄色野菜類や、煮豆、コーン等の穀物加工品類、リンゴ、ナシ、バナナ等の果物類、更には、健康食品イメージであるアロエ、コンニャク、海藻類、その他キノコ等が用いられる。また、前記以外に畜肉魚介類の味付け物又は水煮加工品、卵加工品、チーズなどの乳加工品、嗜好品としてのナタデココ等も加えてもよい。要は、豆腐に入れた時に、豆腐の色調、食感に影響をあたえ、かつ、豆腐再生時の加熱によってもその形態を維持できる固形食品であれば全て利用できる。従って、非常に広範囲な生鮮食品類、加工食品類を使用することができる訳である。
【0018】
これらの具材を、豆腐ペーストに対して1〜50%程度、好ましくは5〜20%程度を混合する。この時、入れる具材は一種でも良いし、また色調等を勘案して2種またはそれ以上を組み合わせても良い。それらの具材の前処理方法は、これも特に規定するものではないが、この後殺菌、酵素失活のための工程が入るため、これらの具を生のまま適当なサイズにカットし、又はカットしないでその具材が活かせる方法で処理すればよい。細かくカットしてしまうと全体がその色調になり且つ食感のヘテロ感が小さくなるのでその素材ごとの大きさを選択する事が重要である。
【0019】
尚、これらの食品素材は生だと微生物的に汚染されていることも多いため、又、生の時と加熱後の体積、形態が変化することもあるので事前に必要な温度で、必要な時間ブランチング処理してから、混合することも実際の製品化については重要である。
【0020】
これらの混合工程についても何ら規制することは無く、一般的に使用されるリボンタイプ゜のミキサーかパドル型ミキサー等、入れた具材をできるだけ壊さないようなミキサーであれば何を用いてもよい。また、この混合工程において、TGを添加混合すればよい。
【0021】
このようにして作られた豆腐ペーストは、必要な大きさの、好ましい形のケースに充填する。この時のケースについても何の規制もない。ただ、微生物管理が非常に大きな管理項目となるため、十分な殺菌が行われやすい形態にすることが好ましい。通常の豆腐容器(400g以内程度)のサイズが使い易い。
【0022】
本発明で用いられるTGは、TG活性を有する限り特別の制限はなく、その起源も特に問わない。例えば、ストレプトベリチシリウム属(Streptoverticillium属)等に属する微生物由来のもの、(特開昭64−27471号公報(特許文献3))、モルモットなど哺乳動物由来のもの(特公平1−50382号公報(特許文献4))、タラなど魚類由来のもの(関信夫等「日本水産学会誌」56巻1号125ページ(1990)(非特許文献1))、バイオテクノロジーを利用した遺伝子組換法によって得られるもの(特開平1−300889号公報(特許文献5)、特開平5−199883号公報(特許文献6)及び特開平6−225775号公報(特許文献7))等を用いることができる。
このうち、カルシウムがなくても作用すること及び大量に入手できること等の理由から微生物由来のTGを用いることが好ましい。尚、現在、ストレプトベリチシリウム属はストレプトマイセス属(Streptomyces属)として分類されている。
【0023】
TGの使用量については、原料豆腐中のタンパク質1g当たり、0.01〜20ユニット(以下uと記載)のTGを添加する。より好ましくは、1〜10u/g であるが、これらの濃度は豆腐中のタンパク濃度、入れる具材の量や質、またその後の加熱工程の加熱条件に大きく左右されるものである。これらの量よりも少なければ、当然豆腐を再成型することはできないし、これ以上多すぎても期待以上の効果は発現しないし、又経済的にも得ではない。
この時の添加方法については、市販されているTG製剤を使用することが便利である。例えば味の素(株) から上梓されている豆腐用製剤「アクティバ」スーパーカード(TG20u/g 含有)を水に溶かして添加することが好ましい。添加量の加減は、当業者であれば上述の範囲内で、事前の予備検討で設定できる。「アクティバ」スーパーカードそのものの味、風味は、僅かに甘味があるが、ほとんど無臭であるため、豆腐の味、風味、もしくは添加した具材の風味をそのまま活かすことができる。
尚、TG活性の測定方法は特開昭64−27471号公報(特許文献3)に準じ、ヒドロキサム酸法により、1分間に1マイクロモルのヒドロキサム酸を生成する活性を1ユニット(1U)とする。
【0024】
TGで処理した再生豆腐の特性は、通常の凝固剤処理豆腐に対して、しなやかで、食感的に舌触りのなめらかで、崩れにくくかつ保水力に優れた豆腐になる。容器に充填シールした後、TGの作用を完成させるために反応させる条件が必要になるが、この条件については、ペーストの温度、容器の大きさ、具材の大きさ、質等に大きく影響される。豆腐のペースト化は微生物対策を考慮すると必然的に低温下で行われるのが好ましく、また添加する具材等についても低温(室温以下、好ましくは10℃以下が好ましい)に管理する必要がある。
従って、反応条件を一律に特定することには意味がなく、添加したTGの効果が発現できる温度履歴を与えてやればよい。この条件も、当業者であれば事前の予備検討で適宜設定可能である。例えば、通常の豆腐容器に300g程度充填し、加熱する場合には、例えば90℃の熱水槽中で、50〜60分間加熱するいわゆる1段加熱でも十分にTGの効果を発現することができる。また、この一段階加熱ではTGの活性発現と共にTGの失活及び殺菌も可能である。
【0025】
もちろん、この条件に限らず、TGの最適活性発現温度でもある40〜50℃に一定時間ホールドし、その後、更に高温で処理する2段加熱法等を採用することもできる。要は添加したTGが有効に作用し、十分な効果を得られる温度と時間を選択すればよい。
ただし、この時具材として緑黄色野菜を添加する場合には、緑色葉菜類が加熱により変色、褐変による退色があるため可能なだけ加熱量は少なくすることが必要である。
【0026】
加熱が終わったら可及的速やかに冷却することが好ましい。このようにして製造された再生豆腐は、通常の絹ごし豆腐と色調、食感の点で遜色ない。また、具入り再生豆腐は、葉菜類の緑、ニンジンの赤、コーンの黄色、等が相まって豆腐の白とのコントラストの美しい豆腐となる。また、それを食した時は、従来の豆腐とは異なるヘテロな食感が楽しめ、且つ野菜類の持つ独特な味、風味、と豆腐の味、風味がよくマッチングしておいしい豆腐となる。
【0027】
本発明で規定する再生豆腐及び具入り再生豆腐の豆腐部分の破断強度は、フドウ工業(株)社のレオメーターを使用し、直径8mm円盤プランジャーを挿入スピード6cm/分、サンプル高さを2cmの条件で測定したときの値とする。本発明品の破断強度は40〜200g/cm2程度である。一方、通常、市販豆腐の破断強度が60〜140g/cm2程度であることから、いわゆる豆腐の柔らかさを有するものである。具入り再生豆腐では、添加混合される具材によりその破断強度は変化するので、具材を避けた豆腐部分の破談強度を測定する。破断強度が200g/cm2を超えると、通常の豆腐とは異なる食感となり、本発明でいう再生豆腐とは離れるが、これらもまた新規加工食品として利用可能なことは言うまでもない。因みに、先の先行技術で述べた特開2001−352911号公報(特許文献1)の破断応力は、227gとあり、本発明と同様の装置、条件で測定された値と仮定すると破断強度としては450g/cm2程度となり、本願発明品とは明らかに異なる。以下、実施例で本発明を詳細に説明する。
【0028】
【実施例】
本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0029】
(実施例1)市販の絹ごし豆腐1000gをフードカッターで30秒解砕して豆腐ペーストを得た。この豆腐ペーストに対して、味の素(株)の酵素製剤「アクティバ」スーパーカード(TG20u/g 含有)を40%水溶液として、25g添加混合した後、豆腐用容器(300g容)に充填シールした。これを85℃熱水槽で60分加熱し、TGの反応と失活、及び殺菌を一段加熱で行なった後、冷却して再生豆腐とした。尚、TG添加量は蛋白質1g当たりTG4ユニット(4U)であった。
また、比較例として、TGを入れないペーストのみのもの、又凝固剤としてニガリ(塩化マグネシウム)の40%溶液を10g添加したものを作り比較評価した。その結果、TG無添加区、及びニガリ添加区はペースト状のままで、豆腐としての再生はできなかったが、本発明品(TG添加区)はしっかりした通常の豆腐と同様の硬さとなめらかを有し、かつ、きめの細かい絹ごし豆腐であった。本発明品(TG添加品)は市販の絹ごし豆腐と比較しても遜色の無いものであった。
【0030】
本発明品を、前記した方法で破断強度、破断距離(凹み)を調べたところ、下記の表1に示すように、通常の豆腐と殆ど変わらなかった。
【0031】
【表1】
【0032】
(実施例2)実施例1と同様に市販絹ごし豆腐を解砕して豆腐ペーストを得た。また、緑黄色野菜としてほうれん草を沸騰水中で15秒ブランチングした後水冷し、軽く絞り、3〜5cmにカット後、豆腐ペーストに対して約10%混合した。またその混合物に対してTGを実施例1と同様に添加(蛋白質1g当たりTG4u添加)した後、容器に充填シールして85℃1時間加熱後冷却して、具入り再生豆腐を作った。これを評価した結果、再生豆腐としてのなめらかさ、しなやかさの中に、多少熱により変色しているが好ましい野菜の色調と、その野菜の風味がよくマッチングした新しい豆腐が得られた。
これは従来の均質、単調な色調、食感の豆腐とは異なる新しいイメージの豆腐であった。豆腐部分の破断強度は、実施例1で得られた具材無添加のものと変わらなかった。
【0033】
(実施例3)実施例2と同様の方法で、ほうれん草の代わりに、ニンジンをほそく線切りしたものを加えて具材入り再生豆腐を作製した。得られた豆腐は、非常に華やかなニンジンの赤色が、豆腐の白とマッチして美しかった。また、食感的にもヘテロ感と甘みがマッチングしておいしいものであった。
【0034】
(実施例4)実施例2と同様の方法で、水煮コーン、ゆで卵のキザミ、水煮アロエ、市販ナタデココを具材として具入り再生豆腐を作って評価した。その結果、それぞれの色調、食感、味、風味が豆腐とマッチングしてそれぞれおいしい再生豆腐ができた。
【0035】
【発明の効果】
本発明により、一旦豆腐として凝固させた豆腐を、解砕してペースト化し、それをTGで再成型化する事ができるようになり、従来生産工程で発生する形態的不良品(型くずれや見た目の不良品等)を再生することが出来る様になり、不良品の有効利用が可能となった。これに付随してコストダウンも可能となる。
また、この方法により新たな具材が容易に豆腐に組み込むことができるようになり、新しいイメージの豆腐の生産が可能になる。すなわち、従来の白一色の単調な色調に緑黄色野菜等の多彩な色調が組み込むことが可能となり、カラフルな豆腐ができる。更に、これら野菜等を組み込むことで均質な豆腐の食感に新しいヘテロな食感を組み込めるようになる。また、豆腐は健康食品としての地位は確立しているが、野菜類や、アロエ等の健康イメージ食品を組み込むことにより更に高い健康食品としての地位を築くことができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規な再生豆腐の製造方法、詳しくは通常の豆腐を、カッター等で解砕してペースト化した後、トランスグルタミナーゼ(以下TGと略記する)を加えて、1)そのまま再生させる、又は2)再生するときに、豆腐とは異なる色調の、もしくは豆腐とは異なる食感を持った具材を混入させて具入り再生豆腐とする再生豆腐の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
豆腐は、その製法に準じて、豆乳を型枠の中で凝固させた後水晒しするいわゆるカット豆腐と、凝固剤を添加混合した豆乳を小型容器に充填・シールし容器中で加熱凝固させる充填豆腐に大きく2分類される。また、丸大豆を原料して作られるものと、いわゆる植物性粉末蛋白に油脂や乳化剤を添加して作られるものがある。
【0003】
このようにして作られる豆腐は、いずれも色調的には、いわゆる豆腐色というべき白一色である。まれにゴマ豆腐等においてその素材の色が出ているものもあるが非常にまれなものである。また、食感的にも、絹のなめらかさ、木綿のざらつきといった特有の食感を持っているが基本的にヘテロな食感を持った豆腐はなく、単一の食感をもつのが従来の豆腐の特徴である。
【0004】
また、豆腐は健康食品的なイメージがあり、その評価は定まっている。しかし、これにしても原料由来が植物性タンパク質(丸大豆)であるとの評価でしかない。豆腐を材料とする料理は数多く存在しているが、豆腐そのものの形態で食されるものは、先のゴマ豆腐ぐらいであり、食生活の多様化に伴い、更に多種形態の豆腐の提供が望まれるところである。例えば、豆腐に色とりどりの具材を入れ、見た目に楽しい、更にヘルシー感を与えるような豆腐の提供があっても良い筈である。
しかし、従来、豆腐の再利用加工食品としては、その代表的なものとして、油揚げ、厚揚げ、又はがんもどき程度であり、これは豆腐を単に油揚げしたり、豆腐を崩して絞った後に野菜等の刻んだものを混合し、成形した後油ちょう工程を経た、いわゆるフライ製品であり豆腐そのものの食感を有するものではない。
一方、生産現場では、一般の豆腐の製造工程において必然的にできてしまう不良品(本来豆腐なのに、見た目の悪いもの、形が崩れたもの等)の利用方法も更に考える必要があるのも事実である。
【0005】
しかし、これらの課題に対しては、従来は殆ど省みられなかった。その理由としては、豆乳に対してこれらの具材を投入して豆腐を作ってもこれらが豆腐の底に沈降してしまい、均一な分散ができず、見た目にも良好なものができないということ、又、豆腐のイメージが固定してしまい、一旦固めた豆腐を崩した後に豆腐として再生するという発想が無かったこと等が挙げられる。更には、一度壊した(解砕)豆腐は、いわゆる豆腐用凝固剤では再生することが技術上できなかったことも大きな理由と考えられる。
【0006】
豆腐を一旦壊砕し再生する従来技術としては、特開2001−352911号公報(特許文献1)を上げることができるが、これはソーセージ代替品を植物性蛋白で製造する方法で、豆腐を絞ってから澱粉を加えて更にTGを加えて腸詰め後、加熱することで肉を植物蛋白(豆腐蛋白)に置き換えたソーセージを作ろうとするものである。この方法は、製品を硬い肉代替物とするために、豆腐をしぼる工程及び澱粉の添加が必要となるが、逆に絞らなければならないが為に、豆腐としてのなめらかさ、きめの細かさ、しなやかさといった豆腐本来の食感を得ることができなくなり、この方法において再生豆腐を作ることはできない。
【0007】
植物性蛋白質にTGを作用させ、冷凍耐性を付与する豆腐の製造技術が特開平5−13020号公報(特許文献2)に開示されているが、新規な形態を有する豆腐の製造、又は再生豆腐に関する開示はない。
【0008】
【特許文献1】
特開2001−352911号公報
【特許文献2】
特開平5−13020号公報
【特許文献3】
特開昭64−27471号公報
【特許文献4】
特公平1−50382号公報
【特許文献5】
特開平1−300889号公報
【特許文献6】
特開平5−199883号公報
【特許文献7】
特開平6−225775号公報
【非特許文献1】
関信夫ら(Seki Nobuo et al)、日本水産学会誌、1990年、第56巻、第1号、p.125頁
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
豆腐又は型崩れし従来では豆腐としての商品価値のなかったものを解砕後、再度豆腐として再生すること、及び再生豆腐調製の際、各種具材を均一に混入し、ヘテロな食感を有する見た目に楽しい、健康イメージのより向上した再生豆腐を創出し、豆腐の有効利用、拡大を図ることを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、前記目的を達成すべく、鋭意検討した結果、解砕した豆腐ペーストに対してTGを作用させることによって、解砕された豆腐がなめらかでかつ、きめの細かいしっかりした豆腐が再生できること、及び解砕された豆腐 ペーストに各種の具材を沈降することなく分散させることが出来ることを見いだし、本発明を完成させた。
【0011】
即ち、本発明は、豆腐を解砕してペーストとし、これにTGを作用させて再凝固させ、得られた豆腐部分の破断応力が、後記する測定法で測定した場合、40〜200g/cm2となるように再生させることを特徴とする再生豆腐の製造方法、及び再生豆腐を作るに当たって、具材として豆腐の色調、食感に影響をもたらす固形食品を添加して作らせることを特徴とする再生豆腐の製造方法である。以下に本発明について詳細に記載する。
【0012】
即ち、本発明は、
(1)豆腐を解砕してペーストとし、これにトランスグルタミナーゼを作用させて加熱、再凝固させ、再生した豆腐部分の破断強度が40〜200g/cm2であることを特徴とする再生豆腐の製造方法。
(2)豆腐が、大豆を原料として豆乳を得、該豆乳に豆腐用凝固剤を作用させて得た豆腐、又は植物性粉末蛋白と油脂、乳化材を主成分として作られた豆腐であることを特徴とする(1)記載の再生豆腐の製造方法。
(3)再生豆腐を作るに当たって、具材として豆腐の色調、食感に影響を与える固形食品を添加することを特徴とする(1)又は(2)記載の再生豆腐の製造方法。
(4)豆腐の蛋白質1g当たり、トランスグルタミナーゼを0.1〜20ユニット添加することを特徴とする(1)記載の再生豆腐の製造方法。
(5)具材が、再生豆腐製造時の加熱によっても形態を維持できる食品から選ばれる1種以上であることを特徴とする(3)記載の再生豆腐の製造方法。
【0013】
【発明の実施の態様】
本発明で言う再生豆腐とは、一般的な豆腐(充填豆腐、カットタイプ豆腐、ソフト豆腐等)を解砕してペースト化し、それにTGを加えて成形、加熱、冷却して作られる豆腐を言う。また、この時、ペーストに対して一定量の食品具材を混入させて同様にTGを加えて作った具材入り再生豆腐も含むものとする。
【0014】
ここに使用する原料としての豆腐については、通常の方法、即ち、大豆を原料として豆乳を得、当該豆乳に豆腐用凝固剤を作用させて得られる豆腐であれば、全て用いることができる。即ち、一般的に流通している絹ごし豆腐、木綿豆腐、及び充填絹ごし豆腐等が用いられる。また、こうして作られる豆腐とは別に植物性粉末蛋白に植物油や乳化剤を配合して得られる豆乳代替物からつくられる豆腐でも問題ない。更に、先述した通り、通常製品の生産工程において必然的に発生する、形態上の不良品等も当然使用することができる。
【0015】
次に、これらを解砕してペーストとする工程であるが、一般的な解砕機、フードカッター,サイレントカッター、ボールカッターが使用でき、場合によってはリボンミキサーやバドルミキサーのような攪拌機的なものも使用できる。得られる製品にできるだけなめらかさを持たせることが好ましい為、ここでの解砕はできるだけ細かくする事が好ましいが、粒径を規定する必然性はない。尚、そのまま再生豆腐とする場合には、この工程においてTGを加えてから必要な大きさの形態のケースに充填し加熱工程に供し、再凝固させればよい。
【0016】
一方、具入り再生豆腐を製造するときには、必要な具材を解砕後の豆腐ペーストに混合する。この時、普通の豆乳だと、その粘度が低いために具材を入れると底に沈んでしまって全体に均一に分散することができないが、この豆腐ペーストは、ある程度粘性を持っていることから、このペーストに対して具材を添加混合しても沈降分離して底に沈んでしまうと言うことはない。
【0017】
具材についても、何ら規定するものではない。ほうれんそう、小松菜、芹、三つ葉、ニンジン、大根、春菊、しそ等の緑黄色野菜類や、煮豆、コーン等の穀物加工品類、リンゴ、ナシ、バナナ等の果物類、更には、健康食品イメージであるアロエ、コンニャク、海藻類、その他キノコ等が用いられる。また、前記以外に畜肉魚介類の味付け物又は水煮加工品、卵加工品、チーズなどの乳加工品、嗜好品としてのナタデココ等も加えてもよい。要は、豆腐に入れた時に、豆腐の色調、食感に影響をあたえ、かつ、豆腐再生時の加熱によってもその形態を維持できる固形食品であれば全て利用できる。従って、非常に広範囲な生鮮食品類、加工食品類を使用することができる訳である。
【0018】
これらの具材を、豆腐ペーストに対して1〜50%程度、好ましくは5〜20%程度を混合する。この時、入れる具材は一種でも良いし、また色調等を勘案して2種またはそれ以上を組み合わせても良い。それらの具材の前処理方法は、これも特に規定するものではないが、この後殺菌、酵素失活のための工程が入るため、これらの具を生のまま適当なサイズにカットし、又はカットしないでその具材が活かせる方法で処理すればよい。細かくカットしてしまうと全体がその色調になり且つ食感のヘテロ感が小さくなるのでその素材ごとの大きさを選択する事が重要である。
【0019】
尚、これらの食品素材は生だと微生物的に汚染されていることも多いため、又、生の時と加熱後の体積、形態が変化することもあるので事前に必要な温度で、必要な時間ブランチング処理してから、混合することも実際の製品化については重要である。
【0020】
これらの混合工程についても何ら規制することは無く、一般的に使用されるリボンタイプ゜のミキサーかパドル型ミキサー等、入れた具材をできるだけ壊さないようなミキサーであれば何を用いてもよい。また、この混合工程において、TGを添加混合すればよい。
【0021】
このようにして作られた豆腐ペーストは、必要な大きさの、好ましい形のケースに充填する。この時のケースについても何の規制もない。ただ、微生物管理が非常に大きな管理項目となるため、十分な殺菌が行われやすい形態にすることが好ましい。通常の豆腐容器(400g以内程度)のサイズが使い易い。
【0022】
本発明で用いられるTGは、TG活性を有する限り特別の制限はなく、その起源も特に問わない。例えば、ストレプトベリチシリウム属(Streptoverticillium属)等に属する微生物由来のもの、(特開昭64−27471号公報(特許文献3))、モルモットなど哺乳動物由来のもの(特公平1−50382号公報(特許文献4))、タラなど魚類由来のもの(関信夫等「日本水産学会誌」56巻1号125ページ(1990)(非特許文献1))、バイオテクノロジーを利用した遺伝子組換法によって得られるもの(特開平1−300889号公報(特許文献5)、特開平5−199883号公報(特許文献6)及び特開平6−225775号公報(特許文献7))等を用いることができる。
このうち、カルシウムがなくても作用すること及び大量に入手できること等の理由から微生物由来のTGを用いることが好ましい。尚、現在、ストレプトベリチシリウム属はストレプトマイセス属(Streptomyces属)として分類されている。
【0023】
TGの使用量については、原料豆腐中のタンパク質1g当たり、0.01〜20ユニット(以下uと記載)のTGを添加する。より好ましくは、1〜10u/g であるが、これらの濃度は豆腐中のタンパク濃度、入れる具材の量や質、またその後の加熱工程の加熱条件に大きく左右されるものである。これらの量よりも少なければ、当然豆腐を再成型することはできないし、これ以上多すぎても期待以上の効果は発現しないし、又経済的にも得ではない。
この時の添加方法については、市販されているTG製剤を使用することが便利である。例えば味の素(株) から上梓されている豆腐用製剤「アクティバ」スーパーカード(TG20u/g 含有)を水に溶かして添加することが好ましい。添加量の加減は、当業者であれば上述の範囲内で、事前の予備検討で設定できる。「アクティバ」スーパーカードそのものの味、風味は、僅かに甘味があるが、ほとんど無臭であるため、豆腐の味、風味、もしくは添加した具材の風味をそのまま活かすことができる。
尚、TG活性の測定方法は特開昭64−27471号公報(特許文献3)に準じ、ヒドロキサム酸法により、1分間に1マイクロモルのヒドロキサム酸を生成する活性を1ユニット(1U)とする。
【0024】
TGで処理した再生豆腐の特性は、通常の凝固剤処理豆腐に対して、しなやかで、食感的に舌触りのなめらかで、崩れにくくかつ保水力に優れた豆腐になる。容器に充填シールした後、TGの作用を完成させるために反応させる条件が必要になるが、この条件については、ペーストの温度、容器の大きさ、具材の大きさ、質等に大きく影響される。豆腐のペースト化は微生物対策を考慮すると必然的に低温下で行われるのが好ましく、また添加する具材等についても低温(室温以下、好ましくは10℃以下が好ましい)に管理する必要がある。
従って、反応条件を一律に特定することには意味がなく、添加したTGの効果が発現できる温度履歴を与えてやればよい。この条件も、当業者であれば事前の予備検討で適宜設定可能である。例えば、通常の豆腐容器に300g程度充填し、加熱する場合には、例えば90℃の熱水槽中で、50〜60分間加熱するいわゆる1段加熱でも十分にTGの効果を発現することができる。また、この一段階加熱ではTGの活性発現と共にTGの失活及び殺菌も可能である。
【0025】
もちろん、この条件に限らず、TGの最適活性発現温度でもある40〜50℃に一定時間ホールドし、その後、更に高温で処理する2段加熱法等を採用することもできる。要は添加したTGが有効に作用し、十分な効果を得られる温度と時間を選択すればよい。
ただし、この時具材として緑黄色野菜を添加する場合には、緑色葉菜類が加熱により変色、褐変による退色があるため可能なだけ加熱量は少なくすることが必要である。
【0026】
加熱が終わったら可及的速やかに冷却することが好ましい。このようにして製造された再生豆腐は、通常の絹ごし豆腐と色調、食感の点で遜色ない。また、具入り再生豆腐は、葉菜類の緑、ニンジンの赤、コーンの黄色、等が相まって豆腐の白とのコントラストの美しい豆腐となる。また、それを食した時は、従来の豆腐とは異なるヘテロな食感が楽しめ、且つ野菜類の持つ独特な味、風味、と豆腐の味、風味がよくマッチングしておいしい豆腐となる。
【0027】
本発明で規定する再生豆腐及び具入り再生豆腐の豆腐部分の破断強度は、フドウ工業(株)社のレオメーターを使用し、直径8mm円盤プランジャーを挿入スピード6cm/分、サンプル高さを2cmの条件で測定したときの値とする。本発明品の破断強度は40〜200g/cm2程度である。一方、通常、市販豆腐の破断強度が60〜140g/cm2程度であることから、いわゆる豆腐の柔らかさを有するものである。具入り再生豆腐では、添加混合される具材によりその破断強度は変化するので、具材を避けた豆腐部分の破談強度を測定する。破断強度が200g/cm2を超えると、通常の豆腐とは異なる食感となり、本発明でいう再生豆腐とは離れるが、これらもまた新規加工食品として利用可能なことは言うまでもない。因みに、先の先行技術で述べた特開2001−352911号公報(特許文献1)の破断応力は、227gとあり、本発明と同様の装置、条件で測定された値と仮定すると破断強度としては450g/cm2程度となり、本願発明品とは明らかに異なる。以下、実施例で本発明を詳細に説明する。
【0028】
【実施例】
本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0029】
(実施例1)市販の絹ごし豆腐1000gをフードカッターで30秒解砕して豆腐ペーストを得た。この豆腐ペーストに対して、味の素(株)の酵素製剤「アクティバ」スーパーカード(TG20u/g 含有)を40%水溶液として、25g添加混合した後、豆腐用容器(300g容)に充填シールした。これを85℃熱水槽で60分加熱し、TGの反応と失活、及び殺菌を一段加熱で行なった後、冷却して再生豆腐とした。尚、TG添加量は蛋白質1g当たりTG4ユニット(4U)であった。
また、比較例として、TGを入れないペーストのみのもの、又凝固剤としてニガリ(塩化マグネシウム)の40%溶液を10g添加したものを作り比較評価した。その結果、TG無添加区、及びニガリ添加区はペースト状のままで、豆腐としての再生はできなかったが、本発明品(TG添加区)はしっかりした通常の豆腐と同様の硬さとなめらかを有し、かつ、きめの細かい絹ごし豆腐であった。本発明品(TG添加品)は市販の絹ごし豆腐と比較しても遜色の無いものであった。
【0030】
本発明品を、前記した方法で破断強度、破断距離(凹み)を調べたところ、下記の表1に示すように、通常の豆腐と殆ど変わらなかった。
【0031】
【表1】
【0032】
(実施例2)実施例1と同様に市販絹ごし豆腐を解砕して豆腐ペーストを得た。また、緑黄色野菜としてほうれん草を沸騰水中で15秒ブランチングした後水冷し、軽く絞り、3〜5cmにカット後、豆腐ペーストに対して約10%混合した。またその混合物に対してTGを実施例1と同様に添加(蛋白質1g当たりTG4u添加)した後、容器に充填シールして85℃1時間加熱後冷却して、具入り再生豆腐を作った。これを評価した結果、再生豆腐としてのなめらかさ、しなやかさの中に、多少熱により変色しているが好ましい野菜の色調と、その野菜の風味がよくマッチングした新しい豆腐が得られた。
これは従来の均質、単調な色調、食感の豆腐とは異なる新しいイメージの豆腐であった。豆腐部分の破断強度は、実施例1で得られた具材無添加のものと変わらなかった。
【0033】
(実施例3)実施例2と同様の方法で、ほうれん草の代わりに、ニンジンをほそく線切りしたものを加えて具材入り再生豆腐を作製した。得られた豆腐は、非常に華やかなニンジンの赤色が、豆腐の白とマッチして美しかった。また、食感的にもヘテロ感と甘みがマッチングしておいしいものであった。
【0034】
(実施例4)実施例2と同様の方法で、水煮コーン、ゆで卵のキザミ、水煮アロエ、市販ナタデココを具材として具入り再生豆腐を作って評価した。その結果、それぞれの色調、食感、味、風味が豆腐とマッチングしてそれぞれおいしい再生豆腐ができた。
【0035】
【発明の効果】
本発明により、一旦豆腐として凝固させた豆腐を、解砕してペースト化し、それをTGで再成型化する事ができるようになり、従来生産工程で発生する形態的不良品(型くずれや見た目の不良品等)を再生することが出来る様になり、不良品の有効利用が可能となった。これに付随してコストダウンも可能となる。
また、この方法により新たな具材が容易に豆腐に組み込むことができるようになり、新しいイメージの豆腐の生産が可能になる。すなわち、従来の白一色の単調な色調に緑黄色野菜等の多彩な色調が組み込むことが可能となり、カラフルな豆腐ができる。更に、これら野菜等を組み込むことで均質な豆腐の食感に新しいヘテロな食感を組み込めるようになる。また、豆腐は健康食品としての地位は確立しているが、野菜類や、アロエ等の健康イメージ食品を組み込むことにより更に高い健康食品としての地位を築くことができる。
Claims (5)
- 豆腐を解砕してペーストとし、これにトランスグルタミナーゼを作用させて加熱、再凝固させ、再生した豆腐部分の破断強度が40〜200g/cm2であることを特徴とする再生豆腐の製造方法。
- 豆腐が、大豆を原料として豆乳を得、該豆乳に豆腐用凝固剤を作用させて得た豆腐、又は植物性粉末蛋白と油脂、乳化材を主成分として作られた豆腐であることを特徴とする請求項1記載の再生豆腐の製造方法。
- 再生豆腐を作るに当たって、具材として豆腐の色調、食感に影響を与える固形食品を添加することを特徴とする請求項1又は2記載の再生豆腐の製造方法。
- 豆腐の蛋白質1g当たり、トランスグルタミナーゼを0.1〜20ユニット添加することを特徴とする請求項1記載の再生豆腐の製造方法。
- 具材が、再生豆腐製造時の加熱によっても形態を維持できる食品から選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項3記載の再生豆腐の製造方法。
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2003
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