JP2004222367A - ゲート駆動装置及び電力変換装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】分流構造を持たない主半導体素子を短絡や過電流から迅速に保護でき、電力変換装置本体を安全に停止させる。
【解決手段】電力変換装置の主半導体素子1をゲート駆動するためのゲート駆動回路40において、主半導体素子1のコレクタ端子Cに接続され、当該主半導体素子1のコレクタ電圧を検出する電圧検出部20と、電圧検出部20に電気的に並列に接続され、電圧検出部20により検出されたコレクタ電圧の電圧検出波形を微分するように調整する波形調整回路30と、コレクタ電圧の基準電圧を生成する基準電源3と、基準電源3の基準電圧と波形調整回路30により調整された電圧検出波形とを比較し、比較結果に基づいて、異常検知信号を出力する電圧比較器2と、を備える。
【選択図】 図1
【解決手段】電力変換装置の主半導体素子1をゲート駆動するためのゲート駆動回路40において、主半導体素子1のコレクタ端子Cに接続され、当該主半導体素子1のコレクタ電圧を検出する電圧検出部20と、電圧検出部20に電気的に並列に接続され、電圧検出部20により検出されたコレクタ電圧の電圧検出波形を微分するように調整する波形調整回路30と、コレクタ電圧の基準電圧を生成する基準電源3と、基準電源3の基準電圧と波形調整回路30により調整された電圧検出波形とを比較し、比較結果に基づいて、異常検知信号を出力する電圧比較器2と、を備える。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、保護機能をもつゲート駆動装置及び電力変換装置に係り、特に、分流構造を持たない主半導体素子を短絡や過電流から迅速に保護でき、電力変換装置本体を安全に停止し得るゲート駆動装置及び電力変換装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体素子の過電流や短絡から半導体素子及び装置本体を保護する機能を備えた電力変換装置が知られている。この種の電力変換装置では、特に、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)のような電圧駆動型半導体素子を用い、この半導体素子が過電流や短絡状態になると、ゲート駆動回路により当該半導体素子をターンオフさせる旨の保護方式が用いられている。
【0003】
ここで、過電流や短絡状態の検知には、例えば、次の3つの方法が良く知られている。
第1の方法は、自素子を流れる電流の一部を分流可能な半導体素子を用い、分流電流により、過電流や短絡状態を検知する方法である。
【0004】
第2の方法は、負荷が短絡状態になると、半導体素子のゲート電圧が上昇する特性を利用して、ゲート駆動電圧に対するゲート電圧により短絡状態を検出する方法である(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
第3の方法は、オン(導通)状態の半導体素子におけるコレクタ電圧を検出し、このコレクタ電圧により、過電流や短絡状態を検知する方法である(例えば、特許文献2参照。)。
【0006】
これら3つの方法は、必要により、いずれか又は2種類の組合せが用いられる。
次に、過電流や短絡状態を検知した後の保護方法としては、半導体素子のゲートに印加する電圧を徐々に下げ、半導体素子の電流値を下げた後にターンオフする方式や、短絡検出信号を出力して上位の制御装置でゲート信号をブロックする方式などがある。
【0007】
【特許文献1】
特開平4−48656号公報
【0008】
【特許文献2】
特許第2881755号明細書
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、以上のような電力変換装置では、過電流や短絡状態を検知する3つの方法がそれぞれ次のような状況にある。
【0010】
第1の方法は、電流を分流させるための構造(以下、分流構造という)が半導体素子に必要となってしまう。
第2の方法は、負荷短絡の検出には特に問題が無いが、本発明者の検討によれば、半導体素子の異常を検出できないものとなっている。
【0011】
第3の方法は、ターンオンの過渡時には高耐圧の半導体素子ほどコレクタ電圧が減少するのに時間がかかることから、短絡や過電流を判断するまでの時間が比較的長くかかってしまう。
【0012】
本発明は上記実情を考慮してなされたもので、分流構造を持たない主半導体素子を短絡や過電流から迅速に保護でき、電力変換装置本体を安全に停止し得るゲート駆動装置及び電力変換装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
第1の発明は、電力変換装置の主半導体素子をゲート駆動するためのゲート駆動装置において、前記主半導体素子のコレクタ端子に接続され、当該主半導体素子のコレクタ電圧を検出する電圧検出手段と、前記電圧検出手段に電気的に並列に接続され、前記電圧検出手段により検出されたコレクタ電圧を微分するように調整する微分調整手段と、前記コレクタ電圧の基準電圧を生成する基準電圧生成手段と、前記基準電圧生成手段により生成された基準電圧と前記微分調整手段により調整されたコレクタ電圧とを比較し、比較結果に基づいて、前記コレクタ電圧の状態信号を出力する状態出力手段と、を備えたゲート駆動装置である。
【0014】
このように、基準電圧との比較対象であるコレクタ電圧を微分するように調整しているので、比較に要する時間を大幅に短縮することができる。従って、分流構造を持たない主半導体素子を短絡や過電流から迅速に保護でき、もって、電力変換装置本体を安全に停止させることができる。
【0015】
なお、上記第1の発明は、ゲート駆動装置を「装置」として表現したが、これに限らず、「ゲート駆動方法」又は「保護方法」等として表現してもよい。また、ゲート駆動装置を備えた電力変換装置と表現してもよく、あるいは電力変換装置の「ゲート駆動方法」又は「保護方法」等として表現してもよい。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の各実施形態について図面を参照して説明する。以下の説明では、主半導体素子の例として、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)を用いるが、これに限らず、MOS−FETやSiCによるスイッチング素子を用いてもよい。
【0017】
(第1の実施形態)
図1は本発明の第1の実施形態に係る電力変換装置に用いられるゲート駆動回路及び主半導体素子の構成を示す回路図である。図示するように、主半導体素子1のコレクタ端子Cには波形調整回路付電圧検出部10を介して電圧比較器2の第1入力端子が接続されている。
【0018】
一方、主半導体素子1のエミッタ端子Eは基準電源3を介して電圧比較器2の第2入力端子に接続されている。電圧比較器2の出力端子は、電力変換装置の図示しない制御装置に接続されている。
【0019】
また、波形調整回路付電圧検出手段10、電圧比較器2及び基準電源3は、ゲート駆動回路(ゲート駆動装置)40を構成している。
【0020】
ここで、波形調整回路付電圧検出部10は、電圧検出部20と波形調整回路30とを、主半導体素子1のコレクタ端子Cと電圧比較器2の第1入力端子との間で、電気的に並列に接続したものである。
【0021】
電圧検出部20は、電流源21及びダイオード22からなり、電流源21を順方向に接続されたダイオード22を介してコレクタ端子Cに接続し、且つ電流源21とダイオード22との間に電圧比較器2の第1入力端子を接続した構成である。
波形調整回路(微分調整手段)30は、例えば、抵抗31及びコンデンサ32を直列接続した微分要素を持つ回路であり、コレクタ端子Cを抵抗31及びコンデンサ32を介して、電圧比較器2の第1入力端子に接続した構成である。
【0022】
電圧比較器(状態出力手段)2は、波形調整回路付電圧検出部10から受けるコレクタ電圧と基準電源3の基準電圧とを比較し、コレクタ電圧が基準電圧よりも高いとき、異常検知信号(状態信号)を出力する機能をもっている。
【0023】
次に、以上のように構成されたゲート駆動回路の動作を説明する。
いま、ゲート駆動回路40は、オン/オフ信号を主半導体素子1のゲート端子Gに印加し、主半導体素子1にターンオン動作とターンオフ動作とを繰り返させている。
【0024】
このとき、電圧検出部20においては、電流源21とダイオード22により、主半導体素子1がオン(導通)状態のときに、電流源21からの電流をダイオード22を通じて主半導体素子1へ流している。これにより、主半導体素子1のコレクタ電圧が電圧比較器2に検出可能となっている。
【0025】
但し、電圧検出部20だけでコレクタ電圧を測定することで過電流(短絡)を検出する場合、主半導体素子1の耐圧が高いほどターンオン後、コレクタ・エミッタ間の飽和電圧に達するまで時間がかかり、健全にターンオンしたかどう短時間に判定するのが難しい。
【0026】
そこで、電圧検出部20と並列に波形調整回路30を接続して波形を調整し、検出時間の短縮を図っている。
すなわち、波形調整回路30は、抵抗31とコンデンサ32の微分要素により、主半導体素子1のコレクタ電圧波形を微分して電圧比較器2に入力し、ターンオン後から飽和電圧に達するまでの過渡期間でも電圧比較器2にコレクタ電圧の十分な低下を判断可能とさせている。
【0027】
一方、電圧比較器2は、波形調整回路付電圧検出部10から入力されるコレクタ電圧と、基準電源4から受ける基準電圧とを比較し、コレクタ電圧が基準電圧よりも高いとき、過電流(短絡)とみなし、異常検知信号を図示しない制御装置に出力し、制御装置から受けたオフ信号を主半導体素子1のゲート端子Gに出力させる。
【0028】
このように、ターンオン後から飽和電圧に達するまでの過渡期間でも、コレクタ電圧の十分な低下を確認でき、コレクタ電圧が高いときには短絡や過電流を検知することができる。
【0029】
上述したように本実施形態によれば、基準電圧との比較対象である電圧検出波形が微分されるように調整されているので、比較に要する時間を大幅に短縮することができる。このため、分流構造を持たない主半導体素子1を短絡や過電流から迅速に保護でき、もって、電力変換装置を安全に停止させることができる。
【0030】
また、このように主半導体素子1の故障、過電流(短絡)を検知し、保護動作をすることにより、信頼性を向上させることができる。
【0031】
(第2の実施形態)
図2は本発明の第2の実施形態に係る電力変換装置に用いられるゲート駆動回路及び主半導体素子の構成を示す回路図であり、図1と同一部分には同一符号を付してその詳しい説明を省略し、ここでは異なる部分について主に述べる。なお、以下の各実施形態も同様にして重複した説明を省略する。
【0032】
すなわち、本実施形態は、第1の実施形態の変形例であり、具体的には、前述した電圧検出部20に代えて、主半導体素子1のコレクタ・エミッタ間に直列接続された複数の抵抗23,24からなる電圧検出部20aを有し、この電圧検出部20aの抵抗23,24間と電圧比較器2の第1入力端子との間に直列接続された波形調整回路30を備えた構成となっている。
【0033】
また、電圧検出部20a及び波形調整回路30は波形調整回路付電圧検出手段10aを構成し、波形調整回路付電圧検出手段10a、電圧比較器2及び基準電源3は、ゲート駆動回路(ゲート駆動装置)40aを構成している。
【0034】
以上のような構成としても、前述同様に、電圧検出部20aでコレクタ電圧を検出した後、波形調整回路30によりコレクタ電圧変化を微分して過電流(短絡)を判断できるまでの時間を短縮しながら、電圧比較器2により過電流(短絡)を検知することができる。
【0035】
(第3の実施形態)
図3は本発明の第3の実施形態に係る電力変換装置に用いられるゲート駆動回路及び主半導体素子の構成を示す回路図である。
本実施形態は、第1又は第2の実施形態の変形例であり、具体的には、電圧比較器2の出力端子と主半導体素子1のゲート端子Gとの両端子に接続されたゲートブロック回路41を備えている。
【0036】
なお、図3中、波形調整回路付電圧検出部10bは、図1又は図2に示した波形調整回路付電圧検出部10,10aと同一構成のものである。また、波形調整回路付電圧検出手段10b、電圧比較器2、基準電源3及びゲート信号ブロック回路41は、ゲート駆動回路(ゲート駆動装置)40bを構成している。
【0037】
ここで、ゲート信号ブロック回路(オフ状態保持手段)41は、オン信号がゲート駆動回路40bに入力されると、所定のマスク時間経過後から電圧比較器2の出力信号に基づいて、この出力信号が過電流(短絡)を示すときには、入力されるオン信号を阻止し、ゲート端子Gに一定時間オフ信号を出力し続ける機能をもっている。
【0038】
以上のような構成によれば、元々の第1又は第2の実施形態の効果に加え、過電流(短絡)の際に、引き続きオン信号がゲート駆動回路40bに入力されても、主半導体素子1をオフ状態に制御するので、より確実に、過電流(短絡)から主半導体素子を保護することができる。
【0039】
なお、本実施形態はマスク時間を用いるため、過電流(短絡)の流れる状況により、保護を開始する時点が若干異なる。
【0040】
例えば、主半導体素子1がターンオンすると同時に、主半導体素子1に過電流(短絡電流)が流れる場合は、マスク時間分だけ過電流(短絡電流)が流れ、マスク時間が経過した時点で保護を開始する。
【0041】
また、主半導体素子1が健全に電流を流している状態から過電流(短絡電流)が流れる場合は、主半導体素子1のコレクタ電圧が基準電源3の基準電圧を超えた時点で保護を開始する。
【0042】
但し、いずれの場合にしても、ゲート駆動回路40bにより、電力変換装置の制御回路を介さず、ローカルに過電流(短絡)から主半導体素子1を保護することができる。
【0043】
(第4の実施形態)
図4は本発明の第4の実施形態に係る電力変換装置に用いられるゲート駆動回路及び主半導体素子の構成を示す回路図である。
本実施形態は、第3の実施形態の変形例であり、具体的には、主半導体素子1の温度を検出する温度検出器42と、温度検出器42による検出結果に基づいて、ゲート信号ブロック回路41のターンオン信号からのマスク時間を設定するマスク時間設定器43とを備えている。
【0044】
また、波形調整回路付電圧検出手段10b、電圧比較器2、基準電源3、ゲート信号ブロック回路41及びマスク時間設定器43は、ゲート駆動回路(ゲート駆動装置)40cを構成している。
【0045】
以上のような構成によれば、第3の実施形態の効果に加え、主半導体素子1の温度により、ターンオン時のコレクタ電圧過渡特性が変化する場合にも対応し、変化したコレクタ電圧過渡特性に合わせてマスク時間を変更するので、より安全に、主半導体素子を保護することができる。
【0046】
(第5の実施形態)
図5は本発明の第5の実施形態に係る電力変換装置に用いられるゲート駆動回路及び主半導体素子の構成を示す回路図である。
本実施形態は、第1〜第4の実施形態とは異なり、主半導体素子1のゲート電圧に基づいて主半導体素子の異常を検知するものであり、具体的には、第1入力端子が主半導体素子1のゲート端子Gに接続され、第2入力端子が基準ゲート電源44に接続されたゲート電圧比較器45と、負極が主半導体素子1のエミッタ端子Eに接続され、正極がゲート電圧比較器45に接続された基準ゲート電源44とを備えている。また、基準ゲート電源44及びゲート電圧比較器45は、ゲート駆動回路(ゲート駆動装置)40dを構成している。
【0047】
ここで、ゲート電圧比較器(ゲート状態出力手段)45は、主半導体素子1のゲート電圧と、基準ゲート電源44の基準ゲート電圧とを比較し、比較結果に基づいて、フィードバック信号を図示しない電力変換装置の制御装置に出力する機能をもっている。
【0048】
次に、以上のように構成されたゲート駆動回路の動作を説明する。
いま、ゲート駆動回路40dは、オン/オフ信号を主半導体素子1のゲート端子Gに入力し、主半導体素子1を駆動している。
【0049】
このとき、ゲート駆動回路40dのゲート電圧比較器45は、主半導体素子1のゲート電圧と、基準ゲート電源44の基準ゲート電圧とを比較し、比較結果に基づいて、フィードバック信号を電力変換装置の制御装置に出力している。
【0050】
これにより、電力変換装置の制御装置は、主半導体素子1のゲート電圧の状態を検出することができる。
【0051】
詳しくは、主半導体素子1は、特にIGBTなどの絶縁ゲート型電圧駆動半導体素子の場合、素子が健全な状態では、ゲート・エミッタ間のインピーダンスが高い。このため、ゲート端子Gに入力されるオン/オフ信号の振幅(ゲート電圧)は、高い状態で維持される。
【0052】
よって、素子が健全な場合、ゲート駆動回路40dに入力されるオン/オフ信号と、ゲート駆動回路40dから出力されるフィードバック信号とは、互いにオン状態とオフ状態とが同期した関係となる。
【0053】
一方、主半導体素子1に破損(故障)等の異常がある場合、ゲート・エミッタ間のインピーダンスが低下する。このため、ゲート端子Gに入力されるオン/オフ信号の振幅(ゲート電圧)は、低い状態に落ち込む。
【0054】
よって、素子が異常な場合、ゲート駆動回路40dに入力されるオン/オフ信号と、ゲート駆動回路40dから出力されるフィードバック信号とは、互いにオン状態とオフ状態とが同期せずに異なった関係となる。このため、制御装置では、オン/オフ信号とフィードバック信号との論理不一致として、主半導体素子1の異常を検出することができる。また、制御装置は、この異常検出に伴い、主半導体素子1の駆動を停止させることができる。
【0055】
(第6の実施形態)
図6は本発明の第6の実施形態に係る電力変換装置に用いられるゲート駆動回路及び主半導体素子の構成を示す回路図である。
本実施形態は、第3と第5の実施形態を組合せた形態であり、具体的には、図3に示した構成において、ゲート信号ブロック回路41の出力を図5のゲート電圧比較部45が基準ゲート電圧と比較する構成となっている。
【0056】
また、波形調整回路付電圧検出手段10b、電圧比較器2、基準電源3、ゲート信号ブロック回路41、基準ゲート電源44及びゲート電圧比較器45は、ゲート駆動回路(ゲート駆動装置)40eを構成している。
【0057】
以上のような構成によれば、主半導体素子1が過電流(短絡)となった場合には、第3の実施形態により、ゲート駆動回路40dに入力されるオン信号にかかわらず、主半導体素子1にはターンオフさせるオフ信号が出力されるため、主半導体素子1のゲート電圧をオフ状態とみなすことができる。
【0058】
一方、第5の実施形態により、主半導体素子1のゲート電圧に基づいて、常にフィードバック信号が電力変換装置の制御装置に出力されている。
【0059】
すなわち、主半導体素子1が過電流(短絡)状態の場合には、ゲート駆動回路40dにオン信号が入力されても、主半導体素子1のゲート端子Gには強制的にオフ信号が入力され、オフ状態のフィードバック信号が制御装置に出力される。
【0060】
この結果、制御装置がゲート駆動回路40dに出力するオン信号と、制御装置がゲート駆動回路40dから受けるフィードバック信号とのオン状態とオフ状態とが異なることとなる。
【0061】
これにより、制御装置は、主半導体素子1の故障又は過電流(短絡)を判定でき、判定結果に応じて電力変換装置を停止させることができる。
【0062】
なお、本願発明は、上記各実施形態に限定されるものでなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は可能な限り適宜組み合わせて実施してもよく、その場合、組み合わされた効果が得られる。さらに、上記各実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が省略されることで発明が抽出された場合には、その抽出された発明を実施する場合には省略部分が周知慣用技術で適宜補われるものである。
【0063】
その他、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。
【0064】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、分流構造を持たない主半導体素子を短絡や過電流から迅速に保護でき、電力変換装置本体を安全に停止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る電力変換装置に用いられるゲート駆動回路及び主半導体素子の構成を示す回路図である。
【図2】本発明の第2の実施形態に係る電力変換装置に用いられるゲート駆動回路及び主半導体素子の構成を示す回路図である。
【図3】本発明の第3の実施形態に係る電力変換装置に用いられるゲート駆動回路及び主半導体素子の構成を示す回路図である。
【図4】本発明の第4の実施形態に係る電力変換装置に用いられるゲート駆動回路及び主半導体素子の構成を示す回路図である。
【図5】本発明の第5の実施形態に係る電力変換装置に用いられるゲート駆動回路及び主半導体素子の構成を示す回路図である。
【図6】本発明の第6の実施形態に係る電力変換装置に用いられるゲート駆動回路及び主半導体素子の構成を示す回路図である。
【符号の説明】
1…主半導体素子、2…電圧比較器、3…基準電源、10…波形調整回路付電圧検出部、20…電圧検出部、21…電流源、22…ダイオード、30…波形調整回路、31,23,24…抵抗、32…コンデンサ、40,40a〜40e…ゲート駆動回路、41…ゲート信号ブロック回路、42…温度検出器、43…マスク時間設定器、44…基準ゲート電源、45…ゲート電圧比較器。
【発明の属する技術分野】
本発明は、保護機能をもつゲート駆動装置及び電力変換装置に係り、特に、分流構造を持たない主半導体素子を短絡や過電流から迅速に保護でき、電力変換装置本体を安全に停止し得るゲート駆動装置及び電力変換装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体素子の過電流や短絡から半導体素子及び装置本体を保護する機能を備えた電力変換装置が知られている。この種の電力変換装置では、特に、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)のような電圧駆動型半導体素子を用い、この半導体素子が過電流や短絡状態になると、ゲート駆動回路により当該半導体素子をターンオフさせる旨の保護方式が用いられている。
【0003】
ここで、過電流や短絡状態の検知には、例えば、次の3つの方法が良く知られている。
第1の方法は、自素子を流れる電流の一部を分流可能な半導体素子を用い、分流電流により、過電流や短絡状態を検知する方法である。
【0004】
第2の方法は、負荷が短絡状態になると、半導体素子のゲート電圧が上昇する特性を利用して、ゲート駆動電圧に対するゲート電圧により短絡状態を検出する方法である(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
第3の方法は、オン(導通)状態の半導体素子におけるコレクタ電圧を検出し、このコレクタ電圧により、過電流や短絡状態を検知する方法である(例えば、特許文献2参照。)。
【0006】
これら3つの方法は、必要により、いずれか又は2種類の組合せが用いられる。
次に、過電流や短絡状態を検知した後の保護方法としては、半導体素子のゲートに印加する電圧を徐々に下げ、半導体素子の電流値を下げた後にターンオフする方式や、短絡検出信号を出力して上位の制御装置でゲート信号をブロックする方式などがある。
【0007】
【特許文献1】
特開平4−48656号公報
【0008】
【特許文献2】
特許第2881755号明細書
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、以上のような電力変換装置では、過電流や短絡状態を検知する3つの方法がそれぞれ次のような状況にある。
【0010】
第1の方法は、電流を分流させるための構造(以下、分流構造という)が半導体素子に必要となってしまう。
第2の方法は、負荷短絡の検出には特に問題が無いが、本発明者の検討によれば、半導体素子の異常を検出できないものとなっている。
【0011】
第3の方法は、ターンオンの過渡時には高耐圧の半導体素子ほどコレクタ電圧が減少するのに時間がかかることから、短絡や過電流を判断するまでの時間が比較的長くかかってしまう。
【0012】
本発明は上記実情を考慮してなされたもので、分流構造を持たない主半導体素子を短絡や過電流から迅速に保護でき、電力変換装置本体を安全に停止し得るゲート駆動装置及び電力変換装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
第1の発明は、電力変換装置の主半導体素子をゲート駆動するためのゲート駆動装置において、前記主半導体素子のコレクタ端子に接続され、当該主半導体素子のコレクタ電圧を検出する電圧検出手段と、前記電圧検出手段に電気的に並列に接続され、前記電圧検出手段により検出されたコレクタ電圧を微分するように調整する微分調整手段と、前記コレクタ電圧の基準電圧を生成する基準電圧生成手段と、前記基準電圧生成手段により生成された基準電圧と前記微分調整手段により調整されたコレクタ電圧とを比較し、比較結果に基づいて、前記コレクタ電圧の状態信号を出力する状態出力手段と、を備えたゲート駆動装置である。
【0014】
このように、基準電圧との比較対象であるコレクタ電圧を微分するように調整しているので、比較に要する時間を大幅に短縮することができる。従って、分流構造を持たない主半導体素子を短絡や過電流から迅速に保護でき、もって、電力変換装置本体を安全に停止させることができる。
【0015】
なお、上記第1の発明は、ゲート駆動装置を「装置」として表現したが、これに限らず、「ゲート駆動方法」又は「保護方法」等として表現してもよい。また、ゲート駆動装置を備えた電力変換装置と表現してもよく、あるいは電力変換装置の「ゲート駆動方法」又は「保護方法」等として表現してもよい。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の各実施形態について図面を参照して説明する。以下の説明では、主半導体素子の例として、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)を用いるが、これに限らず、MOS−FETやSiCによるスイッチング素子を用いてもよい。
【0017】
(第1の実施形態)
図1は本発明の第1の実施形態に係る電力変換装置に用いられるゲート駆動回路及び主半導体素子の構成を示す回路図である。図示するように、主半導体素子1のコレクタ端子Cには波形調整回路付電圧検出部10を介して電圧比較器2の第1入力端子が接続されている。
【0018】
一方、主半導体素子1のエミッタ端子Eは基準電源3を介して電圧比較器2の第2入力端子に接続されている。電圧比較器2の出力端子は、電力変換装置の図示しない制御装置に接続されている。
【0019】
また、波形調整回路付電圧検出手段10、電圧比較器2及び基準電源3は、ゲート駆動回路(ゲート駆動装置)40を構成している。
【0020】
ここで、波形調整回路付電圧検出部10は、電圧検出部20と波形調整回路30とを、主半導体素子1のコレクタ端子Cと電圧比較器2の第1入力端子との間で、電気的に並列に接続したものである。
【0021】
電圧検出部20は、電流源21及びダイオード22からなり、電流源21を順方向に接続されたダイオード22を介してコレクタ端子Cに接続し、且つ電流源21とダイオード22との間に電圧比較器2の第1入力端子を接続した構成である。
波形調整回路(微分調整手段)30は、例えば、抵抗31及びコンデンサ32を直列接続した微分要素を持つ回路であり、コレクタ端子Cを抵抗31及びコンデンサ32を介して、電圧比較器2の第1入力端子に接続した構成である。
【0022】
電圧比較器(状態出力手段)2は、波形調整回路付電圧検出部10から受けるコレクタ電圧と基準電源3の基準電圧とを比較し、コレクタ電圧が基準電圧よりも高いとき、異常検知信号(状態信号)を出力する機能をもっている。
【0023】
次に、以上のように構成されたゲート駆動回路の動作を説明する。
いま、ゲート駆動回路40は、オン/オフ信号を主半導体素子1のゲート端子Gに印加し、主半導体素子1にターンオン動作とターンオフ動作とを繰り返させている。
【0024】
このとき、電圧検出部20においては、電流源21とダイオード22により、主半導体素子1がオン(導通)状態のときに、電流源21からの電流をダイオード22を通じて主半導体素子1へ流している。これにより、主半導体素子1のコレクタ電圧が電圧比較器2に検出可能となっている。
【0025】
但し、電圧検出部20だけでコレクタ電圧を測定することで過電流(短絡)を検出する場合、主半導体素子1の耐圧が高いほどターンオン後、コレクタ・エミッタ間の飽和電圧に達するまで時間がかかり、健全にターンオンしたかどう短時間に判定するのが難しい。
【0026】
そこで、電圧検出部20と並列に波形調整回路30を接続して波形を調整し、検出時間の短縮を図っている。
すなわち、波形調整回路30は、抵抗31とコンデンサ32の微分要素により、主半導体素子1のコレクタ電圧波形を微分して電圧比較器2に入力し、ターンオン後から飽和電圧に達するまでの過渡期間でも電圧比較器2にコレクタ電圧の十分な低下を判断可能とさせている。
【0027】
一方、電圧比較器2は、波形調整回路付電圧検出部10から入力されるコレクタ電圧と、基準電源4から受ける基準電圧とを比較し、コレクタ電圧が基準電圧よりも高いとき、過電流(短絡)とみなし、異常検知信号を図示しない制御装置に出力し、制御装置から受けたオフ信号を主半導体素子1のゲート端子Gに出力させる。
【0028】
このように、ターンオン後から飽和電圧に達するまでの過渡期間でも、コレクタ電圧の十分な低下を確認でき、コレクタ電圧が高いときには短絡や過電流を検知することができる。
【0029】
上述したように本実施形態によれば、基準電圧との比較対象である電圧検出波形が微分されるように調整されているので、比較に要する時間を大幅に短縮することができる。このため、分流構造を持たない主半導体素子1を短絡や過電流から迅速に保護でき、もって、電力変換装置を安全に停止させることができる。
【0030】
また、このように主半導体素子1の故障、過電流(短絡)を検知し、保護動作をすることにより、信頼性を向上させることができる。
【0031】
(第2の実施形態)
図2は本発明の第2の実施形態に係る電力変換装置に用いられるゲート駆動回路及び主半導体素子の構成を示す回路図であり、図1と同一部分には同一符号を付してその詳しい説明を省略し、ここでは異なる部分について主に述べる。なお、以下の各実施形態も同様にして重複した説明を省略する。
【0032】
すなわち、本実施形態は、第1の実施形態の変形例であり、具体的には、前述した電圧検出部20に代えて、主半導体素子1のコレクタ・エミッタ間に直列接続された複数の抵抗23,24からなる電圧検出部20aを有し、この電圧検出部20aの抵抗23,24間と電圧比較器2の第1入力端子との間に直列接続された波形調整回路30を備えた構成となっている。
【0033】
また、電圧検出部20a及び波形調整回路30は波形調整回路付電圧検出手段10aを構成し、波形調整回路付電圧検出手段10a、電圧比較器2及び基準電源3は、ゲート駆動回路(ゲート駆動装置)40aを構成している。
【0034】
以上のような構成としても、前述同様に、電圧検出部20aでコレクタ電圧を検出した後、波形調整回路30によりコレクタ電圧変化を微分して過電流(短絡)を判断できるまでの時間を短縮しながら、電圧比較器2により過電流(短絡)を検知することができる。
【0035】
(第3の実施形態)
図3は本発明の第3の実施形態に係る電力変換装置に用いられるゲート駆動回路及び主半導体素子の構成を示す回路図である。
本実施形態は、第1又は第2の実施形態の変形例であり、具体的には、電圧比較器2の出力端子と主半導体素子1のゲート端子Gとの両端子に接続されたゲートブロック回路41を備えている。
【0036】
なお、図3中、波形調整回路付電圧検出部10bは、図1又は図2に示した波形調整回路付電圧検出部10,10aと同一構成のものである。また、波形調整回路付電圧検出手段10b、電圧比較器2、基準電源3及びゲート信号ブロック回路41は、ゲート駆動回路(ゲート駆動装置)40bを構成している。
【0037】
ここで、ゲート信号ブロック回路(オフ状態保持手段)41は、オン信号がゲート駆動回路40bに入力されると、所定のマスク時間経過後から電圧比較器2の出力信号に基づいて、この出力信号が過電流(短絡)を示すときには、入力されるオン信号を阻止し、ゲート端子Gに一定時間オフ信号を出力し続ける機能をもっている。
【0038】
以上のような構成によれば、元々の第1又は第2の実施形態の効果に加え、過電流(短絡)の際に、引き続きオン信号がゲート駆動回路40bに入力されても、主半導体素子1をオフ状態に制御するので、より確実に、過電流(短絡)から主半導体素子を保護することができる。
【0039】
なお、本実施形態はマスク時間を用いるため、過電流(短絡)の流れる状況により、保護を開始する時点が若干異なる。
【0040】
例えば、主半導体素子1がターンオンすると同時に、主半導体素子1に過電流(短絡電流)が流れる場合は、マスク時間分だけ過電流(短絡電流)が流れ、マスク時間が経過した時点で保護を開始する。
【0041】
また、主半導体素子1が健全に電流を流している状態から過電流(短絡電流)が流れる場合は、主半導体素子1のコレクタ電圧が基準電源3の基準電圧を超えた時点で保護を開始する。
【0042】
但し、いずれの場合にしても、ゲート駆動回路40bにより、電力変換装置の制御回路を介さず、ローカルに過電流(短絡)から主半導体素子1を保護することができる。
【0043】
(第4の実施形態)
図4は本発明の第4の実施形態に係る電力変換装置に用いられるゲート駆動回路及び主半導体素子の構成を示す回路図である。
本実施形態は、第3の実施形態の変形例であり、具体的には、主半導体素子1の温度を検出する温度検出器42と、温度検出器42による検出結果に基づいて、ゲート信号ブロック回路41のターンオン信号からのマスク時間を設定するマスク時間設定器43とを備えている。
【0044】
また、波形調整回路付電圧検出手段10b、電圧比較器2、基準電源3、ゲート信号ブロック回路41及びマスク時間設定器43は、ゲート駆動回路(ゲート駆動装置)40cを構成している。
【0045】
以上のような構成によれば、第3の実施形態の効果に加え、主半導体素子1の温度により、ターンオン時のコレクタ電圧過渡特性が変化する場合にも対応し、変化したコレクタ電圧過渡特性に合わせてマスク時間を変更するので、より安全に、主半導体素子を保護することができる。
【0046】
(第5の実施形態)
図5は本発明の第5の実施形態に係る電力変換装置に用いられるゲート駆動回路及び主半導体素子の構成を示す回路図である。
本実施形態は、第1〜第4の実施形態とは異なり、主半導体素子1のゲート電圧に基づいて主半導体素子の異常を検知するものであり、具体的には、第1入力端子が主半導体素子1のゲート端子Gに接続され、第2入力端子が基準ゲート電源44に接続されたゲート電圧比較器45と、負極が主半導体素子1のエミッタ端子Eに接続され、正極がゲート電圧比較器45に接続された基準ゲート電源44とを備えている。また、基準ゲート電源44及びゲート電圧比較器45は、ゲート駆動回路(ゲート駆動装置)40dを構成している。
【0047】
ここで、ゲート電圧比較器(ゲート状態出力手段)45は、主半導体素子1のゲート電圧と、基準ゲート電源44の基準ゲート電圧とを比較し、比較結果に基づいて、フィードバック信号を図示しない電力変換装置の制御装置に出力する機能をもっている。
【0048】
次に、以上のように構成されたゲート駆動回路の動作を説明する。
いま、ゲート駆動回路40dは、オン/オフ信号を主半導体素子1のゲート端子Gに入力し、主半導体素子1を駆動している。
【0049】
このとき、ゲート駆動回路40dのゲート電圧比較器45は、主半導体素子1のゲート電圧と、基準ゲート電源44の基準ゲート電圧とを比較し、比較結果に基づいて、フィードバック信号を電力変換装置の制御装置に出力している。
【0050】
これにより、電力変換装置の制御装置は、主半導体素子1のゲート電圧の状態を検出することができる。
【0051】
詳しくは、主半導体素子1は、特にIGBTなどの絶縁ゲート型電圧駆動半導体素子の場合、素子が健全な状態では、ゲート・エミッタ間のインピーダンスが高い。このため、ゲート端子Gに入力されるオン/オフ信号の振幅(ゲート電圧)は、高い状態で維持される。
【0052】
よって、素子が健全な場合、ゲート駆動回路40dに入力されるオン/オフ信号と、ゲート駆動回路40dから出力されるフィードバック信号とは、互いにオン状態とオフ状態とが同期した関係となる。
【0053】
一方、主半導体素子1に破損(故障)等の異常がある場合、ゲート・エミッタ間のインピーダンスが低下する。このため、ゲート端子Gに入力されるオン/オフ信号の振幅(ゲート電圧)は、低い状態に落ち込む。
【0054】
よって、素子が異常な場合、ゲート駆動回路40dに入力されるオン/オフ信号と、ゲート駆動回路40dから出力されるフィードバック信号とは、互いにオン状態とオフ状態とが同期せずに異なった関係となる。このため、制御装置では、オン/オフ信号とフィードバック信号との論理不一致として、主半導体素子1の異常を検出することができる。また、制御装置は、この異常検出に伴い、主半導体素子1の駆動を停止させることができる。
【0055】
(第6の実施形態)
図6は本発明の第6の実施形態に係る電力変換装置に用いられるゲート駆動回路及び主半導体素子の構成を示す回路図である。
本実施形態は、第3と第5の実施形態を組合せた形態であり、具体的には、図3に示した構成において、ゲート信号ブロック回路41の出力を図5のゲート電圧比較部45が基準ゲート電圧と比較する構成となっている。
【0056】
また、波形調整回路付電圧検出手段10b、電圧比較器2、基準電源3、ゲート信号ブロック回路41、基準ゲート電源44及びゲート電圧比較器45は、ゲート駆動回路(ゲート駆動装置)40eを構成している。
【0057】
以上のような構成によれば、主半導体素子1が過電流(短絡)となった場合には、第3の実施形態により、ゲート駆動回路40dに入力されるオン信号にかかわらず、主半導体素子1にはターンオフさせるオフ信号が出力されるため、主半導体素子1のゲート電圧をオフ状態とみなすことができる。
【0058】
一方、第5の実施形態により、主半導体素子1のゲート電圧に基づいて、常にフィードバック信号が電力変換装置の制御装置に出力されている。
【0059】
すなわち、主半導体素子1が過電流(短絡)状態の場合には、ゲート駆動回路40dにオン信号が入力されても、主半導体素子1のゲート端子Gには強制的にオフ信号が入力され、オフ状態のフィードバック信号が制御装置に出力される。
【0060】
この結果、制御装置がゲート駆動回路40dに出力するオン信号と、制御装置がゲート駆動回路40dから受けるフィードバック信号とのオン状態とオフ状態とが異なることとなる。
【0061】
これにより、制御装置は、主半導体素子1の故障又は過電流(短絡)を判定でき、判定結果に応じて電力変換装置を停止させることができる。
【0062】
なお、本願発明は、上記各実施形態に限定されるものでなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は可能な限り適宜組み合わせて実施してもよく、その場合、組み合わされた効果が得られる。さらに、上記各実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が省略されることで発明が抽出された場合には、その抽出された発明を実施する場合には省略部分が周知慣用技術で適宜補われるものである。
【0063】
その他、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。
【0064】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、分流構造を持たない主半導体素子を短絡や過電流から迅速に保護でき、電力変換装置本体を安全に停止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る電力変換装置に用いられるゲート駆動回路及び主半導体素子の構成を示す回路図である。
【図2】本発明の第2の実施形態に係る電力変換装置に用いられるゲート駆動回路及び主半導体素子の構成を示す回路図である。
【図3】本発明の第3の実施形態に係る電力変換装置に用いられるゲート駆動回路及び主半導体素子の構成を示す回路図である。
【図4】本発明の第4の実施形態に係る電力変換装置に用いられるゲート駆動回路及び主半導体素子の構成を示す回路図である。
【図5】本発明の第5の実施形態に係る電力変換装置に用いられるゲート駆動回路及び主半導体素子の構成を示す回路図である。
【図6】本発明の第6の実施形態に係る電力変換装置に用いられるゲート駆動回路及び主半導体素子の構成を示す回路図である。
【符号の説明】
1…主半導体素子、2…電圧比較器、3…基準電源、10…波形調整回路付電圧検出部、20…電圧検出部、21…電流源、22…ダイオード、30…波形調整回路、31,23,24…抵抗、32…コンデンサ、40,40a〜40e…ゲート駆動回路、41…ゲート信号ブロック回路、42…温度検出器、43…マスク時間設定器、44…基準ゲート電源、45…ゲート電圧比較器。
Claims (8)
- 電力変換装置の主半導体素子をゲート駆動するためのゲート駆動装置において、
前記主半導体素子のコレクタ端子に接続され、当該主半導体素子のコレクタ電圧を検出する電圧検出手段と、
前記電圧検出手段に電気的に並列に接続され、前記電圧検出手段により検出されたコレクタ電圧を微分するように調整する微分調整手段と、
前記コレクタ電圧の基準電圧を生成する基準電圧生成手段と、
前記基準電圧生成手段により生成された基準電圧と前記微分調整手段により調整されたコレクタ電圧とを比較し、比較結果に基づいて、前記コレクタ電圧の状態信号を出力する状態出力手段と、
を備えたことを特徴とするゲート駆動装置。 - 請求項1に記載のゲート駆動装置において、
前記微分調整手段は、前記並列に接続に代えて、前記電圧検出手段に直列に接続されたことを特徴とするゲート駆動装置。 - 請求項1又は請求項2に記載のゲート駆動装置において、
前記状態出力手段から出力された状態信号が異常状態を示すとき、予め設定されたマスク時間の完了後からゲート駆動信号をオフ状態に保持するオフ状態保持手段を備えたことを特徴とするゲート駆動装置。 - 請求項3に記載のゲート駆動装置において、
前記主半導体素子の温度の検出結果に基づいて、前記オフ状態保持手段のマスク時間を設定するマスク時間設定手段を備えたことを特徴とするゲート駆動装置。 - 電力変換装置の主半導体素子をゲート駆動するためのゲート駆動装置において、
前記主半導体素子の基準ゲート電圧を生成する基準ゲート電圧生成手段と、
前記基準ゲート電圧生成手段により生成された基準ゲート電圧と前記主半導体素子のゲート端子に印加するゲート電圧とを比較し、比較結果に基づいて、前記ゲート電圧の状態信号を出力するゲート状態出力手段と、
前記ゲート駆動装置に入力するゲート駆動信号と当該ゲート駆動装置から出力されるゲート電圧の状態信号とに基づいて、両者のオン/オフ状態が不一致のとき、前記ゲート駆動を停止させる駆動停止手段と、
を備えたことを特徴とするゲート駆動装置。 - 請求項3に記載のゲート駆動装置において、
前記主半導体素子の基準ゲート電圧を生成する基準ゲート電圧生成手段と、
前記基準ゲート電圧生成手段により生成された基準ゲート電圧と前記主半導体素子のゲート端子に印加するゲート電圧とを比較し、比較結果に基づいて、前記ゲート電圧の状態信号を出力するゲート状態出力手段と、
を備えたことを特徴とするゲート駆動装置。 - 請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載のゲート駆動装置を備えたことを特徴とする電力変換装置。
- 請求項6に記載のゲート駆動装置を備えた電力変換装置において、
前記ゲート駆動装置に入力するゲート駆動信号と当該ゲート駆動装置から出力されるゲート電圧の状態信号とに基づいて、両者のオン/オフ状態が不一致のとき、前記ゲート駆動を停止させる駆動停止手段を備えたことを特徴とする電力変換装置。
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