JP2021057976A - スイッチの駆動回路 - Google Patents

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Abstract

【課題】スイッチのターンオン速度がばらつく場合であっても、過電流が流れていると誤判定されるのを防止しつつ、過電流が流れていることを迅速に判定できるスイッチの駆動回路を提供する。【解決手段】駆動回路Drは、スイッチSWを駆動対象とし、ダイオード40及びコンデンサ44を備えている。駆動回路Drは、スイッチSWのゲートへの充電が開始されてからフィルタ時間経過したタイミングにおいて、定電流電源42からコンデンサ44へと電流を供給し始める。駆動回路Drは、スイッチSWがオン状態にされている場合におけるコンデンサ44の電圧Vdeastが過電流閾値Vαを超えた場合、スイッチSWに過電流が流れていると判定する駆動制御部50を備えている。駆動制御部50は、スイッチSWのターンオン速度が低い場合よりも、ターンオン速度が高い場合のフィルタ時間を短く設定する。【選択図】 図2

Description

本発明は、スイッチの駆動回路に関する。
この種の駆動回路としては、例えば特許文献1に見られるように、IGBT等のスイッチに流れる過電流を検出するデサット(Desat)方式の検出機能を備えるものが知られている。詳しくは、この駆動回路は、ダイオード、コンデンサ及び電流供給部を備えている。ダイオードは、カソードがスイッチの高電位側端子に接続されている。コンデンサは、ダイオードのアノードと、スイッチの低電位側端子に接続されたグランド部とを接続している。電流供給部は、スイッチのゲートへの充電が開始されてからフィルタ時間経過したタイミングにおいてコンデンサに電流を供給し始める。駆動回路は、スイッチがオン状態にされている場合におけるコンデンサの電圧がその閾値を超えた場合、スイッチに過電流が流れていると判定する。
デサット方式の検出機能においてフィルタ時間が設けられているのは、スイッチがオフ状態からオン状態に切り替えられる期間の途中において、スイッチに過電流が流れていないにもかかわらず、過電流が流れていると誤判定されるのを防止するためである。
国際公開第2014/115272号
スイッチ及び駆動回路の個体差や動作状態等に起因して、スイッチのターンオン速度がばらつく。この場合、過電流が流れていると誤判定されるのを的確に防止する上では、ターンオン速度のばらつき範囲のうち低い方に合わせてフィルタ時間を長めに設定することも考えられる。しかしながら、この場合、ターンオン速度のばらつき範囲のうち高い方に対応する構成については、フィルタ時間がその適正な時間よりも長めに設定されることになり、過電流が流れていることを迅速に判定できなくなる懸念がある。この場合、スイッチに過電流が流れ始めてからスイッチの保護動作に移行するまでの期間に発生する短絡エネルギが、スイッチの短絡耐量を超えるおそれがある。
本発明は、スイッチのターンオン速度がばらつく場合であっても、過電流が流れていると誤判定されるのを防止しつつ、過電流が流れていることを迅速に判定できるスイッチの駆動回路を提供することを主たる目的とする。
本発明は、スイッチを駆動するスイッチの駆動回路において、
前記スイッチの高電位側端子にカソードが接続されたダイオードと、
前記スイッチのゲートへの充電が開始されてからフィルタ時間経過したタイミングにおいて、前記スイッチの低電位側端子と前記ダイオードのアノードとの間に形成された容量部に電流を供給し始める電流供給部と、
前記スイッチがオン状態にされている場合における前記容量部の電圧がその閾値を超えた場合、前記スイッチに過電流が流れていると判定する判定部と、
前記スイッチのターンオン速度が低い場合よりも、前記ターンオン速度が高い場合の前記フィルタ時間を短く設定する設定部と、を備える。
本発明では、スイッチのターンオン速度が低い場合よりも、ターンオン速度が高い場合のフィルタ時間が短く設定される。つまり、ターンオン速度が低い場合よりも、ターンオン速度が高い場合において、電流供給部から容量部への電流供給開始タイミングが早められる。これにより、スイッチのターンオン速度がばらつく場合であっても、過電流が流れていると誤判定されるのを防止しつつ、過電流が流れていることを迅速に判定することができる。
第1実施形態に係る回転電機の制御システムの全体構成図。 駆動回路を示す図。 過電流が流れない場合の判定電圧等の推移を示すタイムチャート。 過電流が流れる場合の判定電圧等の推移を示すタイムチャート。 過電流検出処理の手順を示すフローチャート。 フィルタ時間設定処理の手順を示すフローチャート。 ターンオン速度が低い場合におけるフィルタ時間の設定態様を示すタイムチャート。 ターンオン速度が高い場合におけるフィルタ時間の設定態様を示すタイムチャート。 第2実施形態に係るフィルタ時間設定処理の手順を示すフローチャート。 第3実施形態に係るフィルタ時間設定処理の手順を示すフローチャート。 第4実施形態に係るフィルタ時間設定処理の手順を示すフローチャート。 第5実施形態に係るフィルタ時間設定処理の手順を示すフローチャート。 ターンオン速度が低い場合におけるフィルタ時間の設定態様を示すタイムチャート。 ターンオン速度が高い場合におけるフィルタ時間の設定態様を示すタイムチャート。 第6実施形態に係るフィルタ時間設定処理の手順を示すフローチャート。 第7実施形態に係るフィルタ時間設定処理の手順を示すフローチャート。 第8実施形態に係るフィルタ時間設定処理の手順を示すフローチャート。 ターンオン速度が低い場合におけるフィルタ時間の設定態様を示すタイムチャート。 ターンオン速度が高い場合におけるフィルタ時間の設定態様を示すタイムチャート。 第9実施形態に係るフィルタ時間設定処理の手順を示すフローチャート。 第10実施形態に係るフィルタ時間設定処理の手順を示すフローチャート。 第11実施形態に係る駆動回路を示す図。 定電流電源の出力電流の設定態様を示すタイムチャート。 定電流電源の出力電流の設定態様を示すタイムチャート。 第12実施形態に係る駆動制御部の機能ブロック図。 第13実施形態に係る駆動制御部の機能ブロック図。
<第1実施形態>
以下、本発明に係る駆動回路を具体化した第1実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1に示すように、制御システムは、回転電機10と、インバータ20と、回転電機10を制御対象とする制御装置25とを備えている。本実施形態において、回転電機10は、星形結線された3相の巻線11を備えている。本実施形態の制御システムは、車両に搭載されている。回転電機10のロータは、車両の駆動輪と動力伝達が可能なように接続されている。回転電機10は、例えば同期機である。
回転電機10は、インバータ20を介して、直流電源21に接続されている。本実施形態において、直流電源21は2次電池である。なお、直流電源21及びインバータ20の間には、平滑コンデンサ22が設けられている。
インバータ20は、U,V,W相それぞれについて、上アームスイッチSWHと下アームスイッチSWLとの直列接続体を備えている。本実施形態では、各スイッチSWH,SWLとして、SiCのNチャネルMOSFETが用いられている。上アームスイッチSWHには、ボディダイオードとしての上アームダイオードDHが内蔵され、下アームスイッチSWLには、ボディダイオードとしての下アームダイオードDLが内蔵されている。本実施形態の各スイッチSWH,SWLにおいて、高電位側端子がドレインであり、低電位側端子がソースである。
各相において、上アームスイッチSWHのソースと下アームスイッチSWLのドレインとの接続点には、巻線11の第1端が接続されている。各相の巻線11の第2端は、中性点で接続されている。
制御装置25は、回転電機10の制御量をその指令値に制御すべく、インバータ20の各スイッチSWH,SWLを駆動する。制御量は、例えばトルクである。制御装置25は、デッドタイムを挟みつつ上,下アームスイッチSWH,SWLを交互にオン状態とすべく、上,下アームスイッチSWH,SWLに対応する駆動信号INH,INLを、上,下アームスイッチSWH,SWLに対して個別に設けられた上,下アーム駆動回路DrH,DrLに出力する。駆動信号は、スイッチのオン状態への切り替えを指示するオン指令と、オフ状態への切り替えを指示するオフ指令とのいずれかをとる。
続いて、図2を用いて、駆動回路について説明する。本実施形態の各駆動回路DrH,DrLは、基本的には同じ構成である。以下、説明の便宜上、各駆動回路DrH,DrLの符号を単にDrと記載したり、各スイッチSWH,SWLの符号を単にSWと記載したり、各駆動信号INH,INLの符号を単にINと記載したりする。
駆動回路Drは、定電圧電源30、充電スイッチ31、充電抵抗体32、放電抵抗体33及び放電スイッチ34を備えている。定電圧電源30には、充電スイッチ31及び充電抵抗体32を介して、スイッチSWのゲートが接続されている。本実施形態では、充電スイッチ31としてPチャネルMOSFETが用いられ、放電スイッチ34としてNチャネルMOSFETが用いられている。なお、図2のVomは、定電圧電源30の出力電圧を示す。
スイッチSWのゲートには、放電抵抗体33及び放電スイッチ34を介して、スイッチSWのソース(グランド部に相当)が接続されている。
駆動回路Drは、ソフト遮断抵抗体35及びソフト遮断スイッチ36を備えている。本実施形態では、ソフト遮断スイッチ36としてNチャネルMOSFETが用いられている。ソフト遮断抵抗体35の抵抗値は、放電抵抗体33の抵抗値よりも大きくされている。スイッチSWのゲートには、ソフト遮断抵抗体35及びソフト遮断スイッチ36を介して、スイッチSWのソースが接続されている。
スイッチSWは、センス端子Stを備えている。センス端子Stには、スイッチSWのドレイン電流と相関を有する微少電流が流れる。センス端子Stには、センス抵抗体37の第1端が接続され、センス抵抗体37の第2端には、スイッチSWのソースが接続されている。この構成によれば、センス端子Stに流れる微少電流によってセンス抵抗体37に電圧降下が生じる。このため、センス抵抗体37の電位差(以下、センス電圧Vse)を、ドレイン電流の相関値として用いることができる。本実施形態では、センス抵抗体37の両端のうち、第2端よりも第1端の電位が高い場合のセンス電圧Vseを正と定義する。
駆動回路Drは、ダイオード40、定電圧電源41、定電流電源42、供給スイッチ43、コンデンサ44、リセットスイッチ45及び電気経路46を備えている。なお、本実施形態において、コンデンサ44が容量部に相当し、定電圧電源41、定電流電源42及び供給スイッチ43が「電流供給部」に相当する。
ダイオード40のカソードには、スイッチSWのドレインが接続されている。ダイオード40のアノードには、電気経路46が接続されている。電気経路46には、供給スイッチ43を介して定電流電源42が接続されている。定電流電源42は、定電圧電源41から給電されて定電流を出力する機能を有している。
電気経路46には、コンデンサ44の第1端が接続され、コンデンサ44の第2端には、スイッチSWのソースが接続されている。電気経路46には、リセットスイッチ45を介してスイッチSWのソースが接続されている。
駆動回路Drは、コンパレータ47及び電源48を備えている。コンパレータ47の非反転入力端子には、コンデンサ44の端子間電圧である判定電圧Vdeastが入力される。コンパレータ47の反転入力端子には、電源48の出力電圧である過電流閾値Vαが入力される。コンパレータ47の出力信号Sigは、駆動回路Drが備える駆動制御部50に入力される。
駆動制御部50は、例えばICを主体に構成されている。駆動制御部50は、ゲート電圧検出回路51、センス電圧検出回路52及び温度検出回路53を備えている。ゲート電圧検出回路51は、スイッチSWのゲート電圧Vgsを検出し、センス電圧検出回路52は、センス電圧Vseを検出する。温度検出回路53は、スイッチSW付近に配置された感温ダイオード38の出力信号に基づいて、スイッチSWの温度TDを検出する。なお、感温ダイオード38に代えて、スイッチSW付近にサーミスタが配置されていてもよい。
駆動制御部50は、制御装置25から出力された駆動信号INを取得する。駆動制御部50は、取得した駆動信号INがオン指令であると判定した場合、充電処理により、スイッチSWをオン状態に切り替える。充電処理は、充電スイッチ31をオン駆動して、かつ、放電スイッチ34をオフ駆動する処理である。充電処理によれば、スイッチSWのゲート電圧がその閾値電圧Vth以上となり、スイッチSWがオン状態に切り替えられる。
駆動制御部50は、駆動信号INがオフ指令であると判定した場合、放電処理により、スイッチSWをオフ状態に切り替える。放電処理は、充電スイッチ31をオフ駆動して、かつ、放電スイッチ34をオン駆動する処理である。放電処理によれば、スイッチSWのゲート電圧が閾値電圧Vth未満となり、スイッチSWがオフ状態に切り替えられる。
なお、駆動制御部50が提供する機能は、例えば、実体的なメモリ装置に記録されたソフトウェア及びそれを実行するコンピュータ、ハードウェア、又はそれらの組み合わせによって提供することができる。
駆動制御部50は、充電処理が行われている場合において過電流検出処理を行う。以下、下アーム駆動回路DrLを例にして、図3及び図4を用いて、この処理について説明する。
図3は、スイッチSWに過電流が流れない場合を示す。図3(a)は駆動回路Drに入力される駆動信号INの推移を示し、図3(b)はスイッチSWのゲート電圧Vgsの推移を示し、図3(c)はスイッチSWのドレイン電流Idsの推移を示す。図3(d)は判定電圧Vdeastの推移を示し、図3(e)はスイッチSWのドレイン及びソース間電圧Vdsの推移を示す。
時刻t1においてオン指令に切り替えられたと判定され、充電処理が開始される。これにより、ゲート電圧Vgsが上昇し始める。その後、時刻t1からフィルタ時間tf経過した時刻t2において、リセットスイッチ45がオフ駆動に維持された状態で、供給スイッチ43がオン駆動に切り替えられる。これにより、定電流電源42からコンデンサ44へと電流が供給され始める。その結果、判定電圧Vdeastが0から上昇し始める。図3に示す例では、過電流が流れないことから、判定電圧Vdeastは過電流閾値Vαまで上昇しない。
図4は、スイッチSWに過電流が流れる場合を示す。詳しくは、対向アームスイッチとしての上アームスイッチSWHにショート故障が発生している場合において、自アームスイッチとしての下アームスイッチSWLがオン状態に切り替えられ、上,下アームスイッチSWH,SWLに短絡電流が流れる場合を示す。なお、図4(a)〜(e)は、先の図3(a)〜(e)に対応している。
時刻t1においてオン指令に切り替えられたと判定され、充電処理が開始される。これにより、ゲート電圧Vgsが上昇し始める。その後、時刻t1からフィルタ時間tf経過した時刻t2において、リセットスイッチ45がオフ駆動に維持された状態で、供給スイッチ43がオン駆動に切り替えられる。これにより、判定電圧Vdeastが0から上昇し始める。
図4に示す例では、過電流(短絡電流)が流れることから、判定電圧Vdeastは、その後時刻t3において過電流閾値Vαに到達する。その結果、コンパレータ47の出力信号Sigの論理がHに切り替えられ、駆動制御部50は、過電流が流れていると判定し、ソフト遮断処理を行う。なお、短絡電流は、下アームスイッチSWLがオン状態にされている期間の途中に上アームスイッチSWHにショート故障が発生した場合にも流れる。
図5に、過電流検出処理の手順を示す。この処理は、駆動制御部50により、例えば所定の制御周期で繰り返し実行される。
ステップS10では、駆動信号INがオフ指令からオン指令に切り替わったか否かを判定する。
ステップS10において肯定判定した場合には、ステップS11に進み、充電スイッチ31をオン駆動し、放電スイッチ34をオフ駆動する充電処理を行う。また、ソフト遮断スイッチ36をオフ駆動する。
ステップS12では、ステップS10において肯定判定してからフィルタ時間tfが経過したと判定するまで待機する。つまり、本実施形態では、スイッチSWのゲートへの充電が開始されてからの経過時間を、駆動信号INがオン指令に切り替えられてからの経過時間としてカウントする。
ステップS12において肯定判定した場合には、ステップS13に進み、供給スイッチ43をオン駆動に切り替える。これにより、定電流電源42からコンデンサ44に電流が供給され始める。
ステップS14では、コンパレータ47の出力信号Sigの論理がLであるか否かを判定する。ステップS14の処理が判定部に相当する。
ステップS14において論理がLであると判定した場合には、ステップS15に進み、駆動信号INがオン指令からオフ指令に切り替えられたか否かを判定する。ステップS15において未だオン指令がなされていると判定した場合には、ステップS14に移行する。
一方、ステップS15においてオフ指令に切り替えられたと判定した場合、又はステップS10において否定判定した場合には、ステップS16に進み、充電スイッチ31をオフ駆動し、放電スイッチ34をオン駆動する放電処理を行う。また、供給スイッチ43をオフ駆動に切り替える。なお、駆動信号INがオフ指令とされている期間に、リセットスイッチ45を一時的にオン駆動し、判定電圧Vdeastを0にリセットする。
ステップS14においてコンパレータ47の出力信号Sigの論理がHであると判定した場合には、過電流が流れていると判定し、ステップS17に進む。ステップS17では、充電スイッチ31及び放電スイッチ34をオフ駆動し、ソフト遮断スイッチ36をオン駆動にするソフト遮断処理を行う。これにより、スイッチSWのターンオフに伴って発生するサージ電圧を抑制しつつ、スイッチSWをオフ状態に切り替える。
続くステップS18では、フェール信号FLの論理を切り替える。例えば、本実施形態では、LからHに切り替える。フェール信号FLは、制御装置25に通知される。フェール信号FLの論理が切り替えられることにより、制御装置25は、スイッチSWに過電流が流れていることを把握できる。なお、制御装置25は、入力されるフェール信号FLに基づいて過電流が流れていると判定した場合、各相のうち過電流が流れていない相のインバータ20のスイッチをオンオフ駆動させて回転電機10のロータを回転させ、車両の退避走行を実施してもよい。
続いて、図6に、過電流検出処理のうち、ステップS12で用いられるフィルタ時間tfの設定処理の手順を示す。この処理は、駆動制御部50により、例えば所定の制御周期で繰り返し実行される。
ステップS20では、駆動信号INがオフ指令からオン指令に切り替えられたか否かを判定する。
ステップS20において肯定判定した場合には、ステップS21に進み、検出したゲート電圧Vgsに基づいて、ゲート電圧Vgsの上昇速度dVgstを算出する。
ステップS22では、算出した上昇速度dVgstが高いほど、充電処理が次回実施される場合、すなわち次回のスイッチング周期におけるフィルタ時間tfを短く設定する。この設定は、上昇速度dVgstが高いほど、スイッチSWのターンオン速度が高いことに鑑みたものである。フィルタ時間tfは、例えば、フィルタ時間tfと上昇速度dVgstとが関係付けられたマップ情報に基づいて設定されればよい。このマップ情報は、駆動回路Drが備える記憶部としてのメモリに記憶されている。メモリは、ROM以外の非遷移的実体的記録媒体(例えば、ROM以外の不揮発性メモリ)である。なお、本実施形態において、ステップS21,S22の処理が設定部に相当する。
続いて、図7及び図8を用いて、スイッチSWのターンオン速度が低い場合と高い場合とにおけるフィルタ時間tfの設定態様について説明する。
まず、図7を用いて、ターンオン速度が低い場合について説明する。図7(a)〜(e)は、先の図3(a)〜(e)に対応している。
時刻t1において充電処理が開始され、ゲート電圧Vgsが上昇し始める。その後、時刻t2において、ゲート電圧VgsがスイッチSWのミラー電圧Vmilに到達する。ゲート電圧Vgsがミラー電圧Vmilに到達した後、ドレイン及びソース間電圧Vdsは、0Vに近い値まで低下する。時刻t1〜t2の期間において、ゲート電圧Vgsに基づいて上昇速度dVgstが算出される。なお、図7には、ゲート電圧Vgsがミラー電圧Vmilとされる期間(以下、ミラー期間)をTmilにて示した。
ミラー期間中の時刻t3において、時刻t1からフィルタ時間tf経過したと判定され、定電流電源42からコンデンサ44に電流が供給され始める。その後、時刻t4においてゲート電圧Vgsが上昇し始め、その後ゲート電圧Vgsは定電圧電源30の出力電圧Vomに到達する。
続いて、図8を用いて、ターンオン速度が図7よりも高い場合について説明する。図8(a)〜(e)は、先の図7(a)〜(e)に対応している。また、図8の時刻t1,t2,t3,t4は、図7の時刻t1,t2,t3,t4に対応している。
図8に示す例では、上昇速度dVgstが図7に示す上昇速度dVgstよりも高いため、フィルタ時間tfが図7に示すフィルタ時間tfよりも短く設定される。これにより、スイッチSW及び駆動回路Drの個体差や動作状態等に起因してスイッチSWのターンオン速度がばらつく場合であっても、過電流が流れていると誤判定されるのを防止しつつ、過電流が流れていることを迅速に判定することができる。
<第2実施形態>
以下、第2実施形態について、第1実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、ゲート電圧Vgsの上昇速度dVgstに代えて、ゲート電圧Vgsが0から上昇し始めてからミラー電圧Vmilに到達するまでの時間に基づいて、フィルタ時間tfが設定される。
図9に、フィルタ時間tfの設定処理の手順を示す。この処理は、駆動制御部50により、例えば所定の制御周期で繰り返し実行される。なお、図9において、先の図6に示した処理と同一の処理については、便宜上、同一の符号を付している。
ステップS20において肯定判定した場合には、ステップS23に進み、検出したゲート電圧Vgsに基づいて、ゲート電圧Vgsが0から上昇し始めてからミラー電圧Vmilに到達するまでの経過時間を算出する。
ステップS24では、算出した経過時間が短いほど、次回のスイッチング周期におけるフィルタ時間tfを短く設定する。この設定は、算出した経過時間が短いほど、スイッチSWのターンオン速度が高いことに鑑みたものである。つまり、ターンオン速度が高い場合の図8に示す時刻t1〜t2の経過時間は、ターンオン速度が低い場合の図7に示す時刻t1〜t2の経過時間よりも短い。なお、フィルタ時間tfは、例えば、フィルタ時間tfと経過時間とが関係付けられたマップ情報に基づいて設定されればよい。
以上説明した本実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
<第3実施形態>
以下、第3実施形態について、第1実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、ゲート電圧Vgsが0から上昇し始めてからミラー電圧Vmilに到達するまでの時間がフィルタ時間tfに設定される。
図10に、フィルタ時間tfの設定処理の手順を示す。この処理は、駆動制御部50により、例えば所定の制御周期で繰り返し実行される。なお、図10において、先の図6に示した処理と同一の処理については、便宜上、同一の符号を付している。
ステップS20において肯定判定した場合には、ステップS25に進み、検出したゲート電圧Vgsに基づいて、ゲート電圧Vgsが0から上昇し始めてからミラー電圧Vmilに到達するまでの経過時間を算出する。
ステップS26では、算出した経過時間を、次回のスイッチング周期におけるフィルタ時間tfに設定する。この設定によれば、スイッチSWのターンオン速度が高いほど、フィルタ時間tfが短く設定されることとなる。
以上説明した本実施形態によれば、ゲート電圧Vgsがミラー電圧Vmilに到達したタイミング近傍のタイミングにおいて、定電流電源42からコンデンサ44へと電流が供給され始める。これにより、駆動信号INがオン指令に切り替えられた後、過電流検出を早期に開始することができる。
<第4実施形態>
以下、第4実施形態について、第3実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、ゲート電圧Vgsが0から上昇し始めてから、ミラー期間Tmilの終了タイミングまでの時間がフィルタ時間tfに設定される。
図11に、フィルタ時間tfの設定処理の手順を示す。この処理は、駆動制御部50により、例えば所定の制御周期で繰り返し実行される。なお、図11において、先の図6に示した処理と同一の処理については、便宜上、同一の符号を付している。
ステップS20において肯定判定した場合には、ステップS27に進み、検出したゲート電圧Vgsに基づいて、ゲート電圧Vgsが0から上昇し始めてから、ミラー期間Tmilの終了タイミングまでの経過時間を算出する。
ステップS28では、算出した経過時間を、次回のスイッチング周期におけるフィルタ時間tfに設定する。この設定によれば、スイッチSWのターンオン速度が高いほど、フィルタ時間tfが短く設定されることとなる。
以上説明した本実施形態によれば、ミラー期間Tmilの終了タイミング近傍のタイミングにおいて、定電流電源42からコンデンサ44へと電流が供給され始める。これにより、ドレイン及びソース間電圧Vdsを0近傍まで低下させてから過電流検出を開始できる。その結果、スイッチSWに過電流が流れていないにもかかわらず、過電流が流れていると誤判定されることを的確に防止できる。
<第5実施形態>
以下、第5実施形態について、第1実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、ゲート電圧Vgsに代えて、センス電圧Vseに基づいてフィルタ時間tfが設定される。
図12に、フィルタ時間tfの設定処理の手順を示す。この処理は、駆動制御部50により、例えば所定の制御周期で繰り返し実行される。なお、図12において、先の図6に示した処理と同一の処理については、便宜上、同一の符号を付している。
ステップS20において肯定判定した場合には、ステップS30に進み、検出したセンス電圧Vseに基づいて、センス電圧Vseの上昇速度dVsetを算出する。この上昇速度dVsetは、充電処理が開始された直後にセンス電圧Vseが上昇する期間における速度である。
ステップS31では、算出した上昇速度dVsetが高いほど、次回のスイッチング周期におけるフィルタ時間tfを短く設定する。この設定は、上昇速度dVsetが高いほど、スイッチSWのターンオン速度が高いことに鑑みたものである。なお、フィルタ時間tfは、例えば、フィルタ時間tfと上昇速度dVsetとが関係付けられたマップ情報に基づいて設定されればよい。
続いて、図13及び図14を用いて、スイッチSWのターンオン速度が低い場合と高い場合とにおけるフィルタ時間tfの設定態様について説明する。
まず、図13を用いて、ターンオン速度が低い場合について説明する。図13(d)はセンス電圧Vseの推移を示し、図13(a)〜(c),(e),(f)は、先の図3(a)〜(e)に対応している。
時刻t1において充電処理が開始され、ゲート電圧Vgsが上昇し始め、その後、ゲート電圧VgsがスイッチSWのミラー電圧Vmilに到達する。また、時刻t1の後、ドレイン電流Idsの上昇に伴い、センス電圧Vseも上昇する。センス電圧Vseは、時刻t2においてピーク値となる。時刻t1〜t2の期間において、フィルタ時間tfの設定に用いられるセンス電圧Vseの上昇速度dVsetが算出される。
その後、ミラー期間中の時刻t3において、時刻t1からフィルタ時間tf経過したと判定され、定電流電源42からコンデンサ44に電流が供給され始める。
続いて、図14を用いて、ターンオン速度が図13よりも高い場合について説明する。図14(a)〜(f)は、先の図13(a)〜(f)に対応している。また、図14の時刻t1,t2,t3,t4は、図13の時刻t1,t2,t3,t4に対応している。
図14に示す例では、上昇速度dVsetが図13に示す上昇速度dVsetよりも高いため、フィルタ時間tfが図13に示すフィルタ時間tfよりも短く設定される。
以上説明した本実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
<第6実施形態>
以下、第6実施形態について、第5実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、下アーム駆動回路DrLの駆動制御部50により実行される過電流検出処理を例にして説明する。この過電流検出処理では、下アーム駆動回路DrLのセンス電圧検出回路52(「自アーム検出部」に相当)により検出されたセンス電圧Vseに基づいて、下アームスイッチSWLのゲート電圧Vgsが0から上昇し始めてから、上アームダイオードDHのリカバリ電流の流通終了タイミングまでの経過時間が算出される。そして、算出された経過時間がフィルタ時間tfに設定される。
図15に、フィルタ時間tfの設定処理の手順を示す。この処理は、駆動制御部50により、例えば所定の制御周期で繰り返し実行される。なお、図15において、先の図12に示した処理と同一の処理については、便宜上、同一の符号を付している。
ステップS20において肯定判定した場合には、ステップS32に進み、検出したゲート電圧Vgsが0から上昇し始めてから、上アームダイオードDHのリカバリ電流の流通終了タイミングまでの経過時間を算出する。具体的には、例えば、検出したゲート電圧Vgsが0から上昇し始めてから、センス電圧Vseがピーク値となるタイミング(図13及び図14の時刻t2)までの経過時間を算出する。この経過時間を算出するのは、センス電圧Vseがピーク値となるタイミングが、上アームダイオードDHのリカバリ電流の流通終了タイミングと同等のタイミングであること、及びリカバリ電流の流通終了タイミングが、下アームスイッチSWLのドレイン及びソース間電圧Vdsが既に大きく低下しているタイミングであることに鑑みた処理である。
ステップS33では、算出した経過時間を、次回のスイッチング周期におけるフィルタ時間tfに設定する。この設定によれば、スイッチSWのターンオン速度が高いほど、フィルタ時間tfが短く設定されることとなる。
以上説明した本実施形態によれば、第5実施形態と同様の効果を奏することができる。
<第7実施形態>
以下、第7実施形態について、第5実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、スイッチSWのゲート電圧Vgsが0から上昇し始めてから、検出されたセンス電圧Vseの持ち上がりが終了するタイミングまでの経過時間が算出される。そして、算出された経過時間がフィルタ時間tfに設定される。ここで、センス電圧Vseの持ち上がりが終了するタイミングとは、図13及び図14の時刻t4である。持ち上がりが発生する期間においては、センス端子Stに流れる電流とスイッチSWのドレイン電流Idsとの相関が大きく崩れる。
図16に、フィルタ時間tfの設定処理の手順を示す。この処理は、駆動制御部50により、例えば所定の制御周期で繰り返し実行される。なお、図16において、先の図12に示した処理と同一の処理については、便宜上、同一の符号を付している。
ステップS20において肯定判定した場合には、ステップS34に進み、検出したゲート電圧Vgsが0から上昇し始めてから、検出したセンス電圧Vseの持ち上がりが終了するタイミングまでの経過時間を算出する。
ステップS35では、算出した経過時間を、次回のスイッチング周期におけるフィルタ時間tfに設定する。この設定によれば、スイッチSWのターンオン速度が高いほど、フィルタ時間tfが短く設定されることとなる。
以上説明した本実施形態によれば、第5実施形態と同様の効果を奏することができる。
<第8実施形態>
以下、第8実施形態について、第1実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、ゲート電圧Vgsに代えて、スイッチSWの温度に基づいてフィルタ時間tfが設定される。
図17に、フィルタ時間tfの設定処理の手順を示す。この処理は、駆動制御部50により、例えば所定の制御周期で繰り返し実行される。なお、図17において、先の図6に示した処理と同一の処理については、便宜上、同一の符号を付している。
ステップS20において肯定判定した場合には、ステップS40に進み、温度検出回路53により検出したスイッチSWの温度(以下、検出温度TD)に基づいて、充電処理が開始された直後に検出温度TDが上昇する期間における検出温度TDの上昇速度dTtを算出する。
ステップS41では、算出した上昇速度dTtが高いほど、次回のスイッチング周期におけるフィルタ時間tfを短く設定する。この設定は、上昇速度dTtが高いほど、スイッチSWのターンオン速度が高いことに鑑みたものである。
続いて、図18及び図19を用いて、スイッチSWのターンオン速度が低い場合と高い場合とにおけるフィルタ時間tfの設定態様について説明する。
まず、図18を用いて、ターンオン速度が低い場合について説明する。図18(d)は検出温度TDの推移を示し、図18(a)〜(c),(e),(f)は、先の図3(a)〜(e)に対応している。
時刻t1において充電処理が開始され、ゲート電圧Vgsが上昇し始め、その後、ゲート電圧VgsがスイッチSWのミラー電圧Vmilに到達する。また、時刻t1の後、ドレイン電流Idsの上昇に伴い、検出温度TDも上昇する。ドレイン電流Idsは、時刻t2においてピーク値となり、検出温度TDは、その後時刻t3においてピーク値となる。時刻t3から検出温度TDが低下するのは、スイッチSWがフルオン状態となり、スイッチSWで発生する損失が低下するためである。時刻t1〜t3の期間のうち検出温度TDが上昇する期間において、フィルタ時間tfの設定に用いられる検出温度TDの上昇速度dTが算出される。
その後、ミラー期間中の時刻t3において、時刻t1からフィルタ時間tf経過したと判定され、定電流電源42からコンデンサ44に電流が供給され始める。
続いて、図19を用いて、ターンオン速度が図18よりも高い場合について説明する。図19(a)〜(f)は、先の図18(a)〜(f)に対応している。また、図19の時刻t1,t2,t3,t4は、図18の時刻t1,t2,t3,t4に対応している。
図19に示す例では、上昇速度dTtが図18に示す上昇速度dTtよりも高いため、フィルタ時間tfが図18に示すフィルタ時間tfよりも短く設定される。
以上説明した本実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
<第9実施形態>
以下、第9実施形態について、第8実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、検出温度TDの上昇速度dTtに代えて、検出温度TDの時間平均値である平均温度Taveに基づいて、フィルタ時間tfが設定される。
図20に、フィルタ時間tfの設定処理の手順を示す。この処理は、駆動制御部50により、例えば所定の制御周期で繰り返し実行される。なお、図20において、先の図17に示した処理と同一の処理については、便宜上、同一の符号を付している。
ステップS20において肯定判定した場合には、ステップS42に進み、検出温度TDに基づいて、平均温度Taveを算出する。具体的には例えば、複数のスイッチング周期における検出温度TDの平均値として、平均温度Taveを算出すればよい。
ステップS43では、算出した平均温度Taveが低いほど、次回のスイッチング周期におけるフィルタ時間tfを短く設定する。この設定は、平均温度Taveが低いほど、スイッチSWのターンオン速度が高いことに鑑みたものである。図18に、ターンオン速度が低い場合の平均温度Taveを示し、図19に、ターンオン速度が高い場合の平均温度Taveを示した。図19に示す平均温度Taveは、図18に示す平均温度Taveよりも低い。なお、フィルタ時間tfは、例えば、フィルタ時間tfと平均温度Taveとが関係付けられたマップ情報に基づいて設定されればよい。
以上説明した本実施形態によれば、第8実施形態と同様の効果を奏することができる。
<第10実施形態>
以下、第10実施形態について、第8実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、先の図18及び図19の時刻t1〜t3に示したように、ゲート電圧Vgsが0から上昇し始めてから、検出温度TDが低下し始めるタイミングまでの時間がフィルタ時間tfに設定される。
図21に、フィルタ時間tfの設定処理の手順を示す。この処理は、駆動制御部50により、例えば所定の制御周期で繰り返し実行される。なお、図21において、先の図17に示した処理と同一の処理については、便宜上、同一の符号を付している。
ステップS20において肯定判定した場合には、ステップS44に進み、検出したゲート電圧Vgsが0から上昇し始めてから、検出温度TDが低下し始めるタイミングまでの経過時間を算出する。
ステップS45では、算出した経過時間を、次回のスイッチング周期におけるフィルタ時間tfに設定する。この設定によれば、スイッチSWのターンオン速度が高いほど、フィルタ時間tfが短く設定されることとなる。
以上説明した本実施形態によれば、ドレイン及びソース間電圧Vdsを0近傍まで低下させてから過電流検出を開始できる。その結果、スイッチSWに過電流が流れていないにもかかわらず、過電流が流れていると誤判定されることを的確に防止できる。
<第11実施形態>
以下、第11実施形態について、上記各実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、図22に示すように、定電流電源42の出力電流Itが可変とされる。この出力電流Itは、定電流電源42が駆動制御部50により操作されることにより可変とされる。なお、図22において、先の図2に示した構成と同一の構成については、便宜上、同一の符号を付している。
続いて、出力電流Itの2つの可変手法について説明する。
まず、図23を用いて、定電流電源42からコンデンサ44への電流供給開始タイミングが、ドレイン及びソース間電圧Vdsが0近傍まで低下した後に設定される場合について説明する。図23(d)は定電流電源42の出力電流Itの推移を示し、図23(a)〜(c),(e),(f)は、先の図3(a)〜(e)に対応している。
時刻t1において充電処理が開始され、ゲート電圧Vgsが上昇し始め、その後、ゲート電圧VgsがスイッチSWのミラー電圧Vmilに到達する。また、時刻t1の後、時刻t2において、ドレイン及びソース間電圧Vdsが0近傍まで低下する。その後、ミラー期間中の時刻t3において、時刻t1からフィルタ時間tf経過したと判定され、定電流電源42からコンデンサ44に電流が供給され始める。
ここで、時刻t3〜t5の期間において、出力電流Itが0から所定電流Iαまで上昇させられる。この期間t3〜t5のうち、時刻t4〜t5の期間よりも時刻t3〜t4の期間における出力電流Itの増加速度が高く設定される。この設定によれば、時刻t3から極力早期にコンデンサ44が充電されるため、過電流検出を迅速に開始することができる。
続いて、図24を用いて、定電流電源42からコンデンサ44への電流供給開始タイミングが、ドレイン及びソース間電圧Vdsが0近傍まで低下する前に設定される場合について説明する。図24(a)〜(f)は、先の図23(a)〜(f)に対応している。
時刻t1において充電処理が開始され、ゲート電圧Vgsが上昇し始める。また、時刻t1の後、時刻t2において、時刻t1からフィルタ時間tf経過したと判定され、定電流電源42からコンデンサ44に電流が供給され始める。その後、時刻t3において、ドレイン及びソース間電圧Vdsが0近傍まで低下する。
ここで、時刻t2〜t5の期間において、出力電流Itが0から所定電流Iαまで上昇させられる。この期間t2〜t5のうち、時刻t2〜t4の期間よりも時刻t4〜t5の期間における出力電流Itの増加速度が高く設定される。この設定によれば、スイッチSWに過電流が流れていないにもかかわらず、過電流が流れていると誤判定されることを的確に防止しつつ、過電流検出を極力早期に開始することができる。
<第11実施形態の変形例>
駆動制御部50は、充電処理を開始してからフィルタ時間tfが経過するタイミングが、ドレイン及びソース間電圧Vdsが0近傍まで低下するタイミング(以下、基準タイミング)よりも前か後かを判定する。そして、駆動制御部50は、フィルタ時間tfが経過するタイミングが基準タイミングよりも後であると判定した場合、図23(d)に示した出力電流Itの設定を行い、フィルタ時間tfが経過するタイミングが基準タイミングよりも前であると判定した場合、図24(d)に示した出力電流Itの設定を行ってもよい。
<第12実施形態>
以下、第12実施形態について、上記各実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
図25に、駆動制御部50の機能ブロック図を示す。
駆動制御部50は、第1設定部61、第2設定部62、第3設定部63及び選択部64を備えている。
第1設定部61は、検出したゲート電圧Vgs(「スイッチの状態量」に相当)に基づいて、第1〜第4実施形態のいずれかで説明したフィルタ時間の設定処理を行う。以下、第1設定部61により設定されたフィルタ時間を第1フィルタ時間tf1と称すこととする。
第2設定部62は、検出したセンス電圧Vse(「スイッチの状態量」に相当)に基づいて、第5〜第7実施形態のいずれかで説明したフィルタ時間の設定処理を行う。以下、第2設定部62により設定されたフィルタ時間を第2フィルタ時間tf2と称すこととする。
第3設定部63は、検出温度TD(「スイッチの状態量」に相当)に基づいて、第8〜第10実施形態のいずれかで説明したフィルタ時間の設定処理を行う。以下、第3設定部63により設定されたフィルタ時間を第3フィルタ時間tf3と称すこととする。
選択部64は、スイッチSWの各スイッチング周期において、各設定部61〜63のうち、最初にフィルタ時間を算出した設定部のフィルタ時間を、図5のステップS12で用いられるフィルタ時間tfとして設定する。
以上説明した本実施形態によれば、次回のスイッチング周期において必要なフィルタ時間を早期に決定することができる。
<第13実施形態>
以下、第13実施形態について、第12実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、図26に示すように、選択部64は、スイッチSWの各スイッチング周期において、各設定部61〜63により算出されたフィルタ時間tf1〜tf3のうち、最も長いフィルタ時間を、図5のステップS12で用いられるフィルタ時間tfとして設定する。
以上説明した本実施形態によれば、スイッチSWに過電流が流れていないにもかかわらず、過電流が流れていると誤判定されることを的確に防止できる。
<その他の実施形態>
なお、上記各実施形態は、以下のように変更して実施してもよい。
・第13実施形態において、選択部64は、各設定部61〜63により算出されたフィルタ時間tf1〜tf3のうち、中間のフィルタ時間を、図5のステップS12で用いられるフィルタ時間tfとして設定してもよい。
・スイッチSWの温度特性は、ドレイン電流によっても変わり得る。具体的には例えば、ドレイン電流が小さい電流域においては、検出温度TDが低いほどターンオン速度が高くなる一方、ドレイン電流が大きい電流域においては、検出温度TDが高いほどターンオン速度が高くなる。このため、センス電圧Vseと検出温度TDとの双方を用いてフィルタ時間tfが設定されてもよい。
・定電圧駆動に代えて、定電流駆動でスイッチSWをオンさせてもよい。
・デサット方式で用いられる容量部としては、受動素子としてのコンデンサ44に限らない。例えば、駆動回路Drから受動素子としてのコンデンサ44を除去し、容量部として、電気経路46とグランド部との間に形成された寄生容量が用いられてもよい。
・インバータを構成するスイッチとしては、MOSFETに限らず、例えばIGBTであってもよい。この場合、スイッチの高電位側端子はコレクタであり、低電位側端子はエミッタである。また、スイッチを備える電力変換回路としては、多相インバータに限らず、例えばDCDCコンバータであってもよい。
・本開示に記載の制御部及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ以上の専用ハードウェア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリと一つ以上のハードウェア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
20…インバータ、25…制御装置、40…ダイオード、42…定電流電源、43…供給スイッチ、44…コンデンサ、47…コンパレータ、50…駆動制御部。

Claims (18)

  1. スイッチ(SWH,SWL)を駆動するスイッチの駆動回路(DrH,DrL)において、
    前記スイッチの高電位側端子にカソードが接続されたダイオード(40)と、
    前記スイッチのゲートへの充電が開始されてからフィルタ時間(tf)経過したタイミングにおいて、前記スイッチの低電位側端子と前記ダイオードのアノードとの間に形成された容量部(44)に電流を供給し始める電流供給部(41〜43)と、
    前記スイッチがオン状態にされている場合における前記容量部の電圧(Vdeast)がその閾値(Vα)を超えた場合、前記スイッチに過電流が流れていると判定する判定部と、
    前記スイッチのターンオン速度が低い場合よりも、前記ターンオン速度が高い場合の前記フィルタ時間を短く設定する設定部と、を備えるスイッチの駆動回路。
  2. 前記スイッチのゲート電圧を検出するゲート電圧検出部(51)を備え、
    前記設定部は、検出された前記ゲート電圧に基づいて、前記フィルタ時間を設定する請求項1に記載のスイッチの駆動回路。
  3. 前記設定部は、前記ゲートへの充電が開始されてから、前記スイッチのゲート電圧が該スイッチのミラー電圧(Vmil)に到達するまでの期間において、検出された前記ゲート電圧の上昇速度(dVgst)が低い場合よりも、その上昇速度が高い場合の前記フィルタ時間を短く設定する請求項2に記載のスイッチの駆動回路。
  4. 前記設定部は、前記ゲートへの充電が開始されてから、検出された前記ゲート電圧が前記スイッチのミラー電圧に到達するまでの時間が長い場合よりも、その時間が短い場合の前記フィルタ時間を短く設定する請求項2に記載のスイッチの駆動回路。
  5. 前記設定部は、前記ゲートへの充電が開始されてから、検出された前記ゲート電圧が前記スイッチのミラー電圧に到達するまでの時間を前記フィルタ時間に設定する請求項2に記載のスイッチの駆動回路。
  6. 前記設定部は、検出された前記ゲート電圧に基づいて、前記ゲートへの充電が開始されてから前記スイッチのミラー期間が終了するまでの時間を算出し、算出した時間を前記フィルタ時間に設定する請求項2に記載のスイッチの駆動回路。
  7. 前記スイッチは、自身に流れる電流と相関を有する微小電流が流れるセンス端子(St)を有し、
    前記センス端子に接続されたセンス抵抗体(37)の両端の電位差であるセンス電圧(Vse)を検出するセンス電圧検出部(52)を備え、
    前記設定部は、検出された前記センス電圧に基づいて、前記フィルタ時間を設定する請求項1に記載のスイッチの駆動回路。
  8. 前記設定部は、検出された前記センス電圧が前記ゲートへの充電が開始された直後に上昇する期間における該センス電圧の上昇速度が低い場合よりも、その上昇速度が高い場合の前記フィルタ時間を短く設定する請求項7に記載のスイッチの駆動回路。
  9. 前記スイッチとしての上アームスイッチ(SWH)及び下アームスイッチ(SWL)を駆動対象とし、前記上アームスイッチと前記下アームスイッチとを交互にオン状態にするスイッチの駆動回路において、
    前記上アームスイッチ及び前記下アームスイッチには、ダイオード(DH,DL)が逆並列接続されており、
    前記上アームスイッチ及び前記下アームスイッチのうち、オン状態に切り替えられようとしているスイッチを自アームスイッチとし、残りのスイッチを対向アームスイッチとし、前記自アームスイッチに対応する前記センス電圧検出部を自アーム検出部とする場合、前記設定部は、前記自アーム検出部により検出された前記センス電圧に基づいて、前記自アームスイッチのゲートへの充電が開始されてから、前記対向アームスイッチに逆並列接続された前記ダイオードのリカバリ電流の流通が終了するまでの時間を算出し、算出した時間を前記フィルタ時間に設定する請求項7に記載のスイッチの駆動回路。
  10. 前記設定部は、検出された前記センス電圧に基づいて、前記ゲートへの充電が開始されてから、検出された前記センス電圧の持ち上がりが終了するまでの時間を算出し、算出した時間を前記フィルタ時間に設定する請求項7に記載のスイッチの駆動回路。
  11. 前記スイッチの温度を検出する温度検出部(53)を備え、
    前記設定部は、前記温度検出部の検出温度に基づいて、前記フィルタ時間を設定する請求項1に記載のスイッチの駆動回路。
  12. 前記設定部は、前記ゲートへの充電が開始された直後に前記検出温度が上昇する期間における該検出温度の上昇速度(dTt)が低い場合よりも、その上昇速度が高い場合の前記フィルタ時間を短く設定する請求項11に記載のスイッチの駆動回路。
  13. 前記設定部は、前記検出温度の時間平均値(Tave)が高い場合よりも、その時間平均値が低い場合の前記フィルタ時間を短く設定する請求項11に記載のスイッチの駆動回路。
  14. 前記設定部は、前記ゲートへの充電が開始されてから、前記検出温度が低下し始めるまでの時間を算出し、算出した時間を前記フィルタ時間に設定する請求項11に記載のスイッチの駆動回路。
  15. 前記電流供給部は、供給電流を0から所定電流(Iα)まで上昇させる期間のうち、後半よりも前半における供給電流の増加速度を高くする請求項1〜14のいずれか1項に記載のスイッチの駆動回路。
  16. 前記電流供給部は、供給電流を0から所定電流(Iα)まで上昇させる期間のうち、前半よりも後半における供給電流の増加速度を高くする請求項1〜14のいずれか1項に記載のスイッチの駆動回路。
  17. 前記スイッチの複数の状態量を検出する検出部(51〜53)を備え、
    前記設定部は、前記各状態量について、検出された状態量に基づいて前記フィルタ時間を算出し、算出した前記各フィルタ時間のうち、最初に算出したフィルタ時間を用いる請求項1〜16のいずれか1項に記載のスイッチの駆動回路。
  18. 前記スイッチの複数の状態量を検出する検出部(51〜53)を備え、
    前記設定部は、検出された複数の状態量それぞれに基づいて、各状態量に対応する前記フィルタ時間を算出し、算出した前記各フィルタ時間のうち、最も短いフィルタ時間以外のフィルタ時間を用いる請求項1〜16のいずれか1項に記載のスイッチの駆動回路。
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