JP2004217688A - A重油 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】石油樹脂およびアスファルテン分を含有する残油を含むことを特徴としたA重油。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、A重油に関する。更に詳しくは、スラッジおよび析出ワックスによるフィルターの目詰まりを起こさない、常温および低温におけるフィルター通油性に優れるA重油に関する。
【0002】
【従来の技術】
A重油は、ボイラー等の外燃機器燃料や小型漁船、建設機器等の陸上輸送用以外のディーゼルエンジン機器燃料として用いられている。A重油を用いる各種燃焼機器には、燃料油中の異物を除去するために燃料系統に目開き5〜20μmのフィルターが設けられている。
近年、A重油に使用されるエンジンの高出力化及び低燃費化等に伴い、より微細な異物を除去するために、燃料フィルターの目開きが非常に細かくなってきている。
一方、A重油には税法上10%残留炭素分が0.2質量%以上になるように、残留炭素分付与基材を含有させている。従来よりその残留炭素付与基材に起因するスラッジにより燃料フィルターが閉塞し、燃料供給が不可能となる問題がしばしば生じていたが、近年の燃料フィルターの目開きの微細化により、さらに大きな問題となってきており、スラッジにより燃料フィルターを閉塞させない、常温におけるフィルター通油性に優れるA重油の要望が高まっている。
また、A重油はガソリンや灯油に比べ重質分を多く含んでいるため、低温時のワックス析出が問題となることがある。例えば、A重油をボイラー等の外燃機器燃料に用いる場合、低温におけるワックス析出は、ボイラーの燃料系統中の夾雑物防止用のフィルター(目開き50〜250μm)を閉塞させ、燃料供給が不可能となる恐れがある。
【0003】
常温における燃料フィルター閉塞を防止するためにスラッジの発生を抑制する方法としては、A重油基材中の芳香族分の割合を多くすることが考えられるが、この方法では、実際のA重油使用条件下においてフィルター通油性の充分な改善効果を期待できないのが現状である。また、芳香族分の割合を多くすると、燃焼性が悪化する傾向があり好ましくない。
一方、低温時のワックス析出を抑える方法としては、中間留分に重質油を添加する方法(例えば、特許文献1参照。)、直脱残油を含有する方法(例えば、特許文献2参照。)および低温流動性向上剤を添加する方法(例えば、非特許文献1参照。)が挙げられるが、いずれの方法も低温および常温におけるフィルター通有性を十分改善することができない。
【0004】
【特許文献1】
特開平8−333583号
【特許文献2】
特開平7−97581号
【非特許文献1】
野村宏次著,「船舶用燃料の科学」,成山堂,1994年,p.164−166
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、常温時のスラッジによるフィルターの目詰まりを起こさず、かつ低温時のワックスによるフィルターの目詰まりを起こさない、常温および低温においてフィルター通油性の良好なA重油を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成したものである。
すなわち、本発明は、石油樹脂およびアスファルテン分を含有する残油を含むことを特徴とするA重油に関する。
本発明においては、前記石油樹脂はA重油中に0.2〜40g/L配合されていることが好ましい。
また本発明においては、A重油中にアスファルテン分を0.001〜0.03質量%含有することが好ましい。
また本発明においては、前記残油が常圧残油であり、かつA重油中に0.02〜0.6容量%配合されていることが好ましい。
また本発明においては、前記残油が減圧残油であり、かつA重油中に0.01〜0.3容量%配合されていることが好ましい。
また本発明においては、前記残油が直脱残油であり、かつA重油中に0.03〜0.9容量%配合されていることが好ましい。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下に本発明をさらに詳細に説明する。
本発明のA重油は、石油樹脂およびアスファルテン分を含有する残油を含むことを特徴とする。
本発明でいう石油樹脂とは、石油類の熱分解(スチームクラッキング等)によりエチレン、プロピレンを製造する際に副生する分解油留分中のジオレフィン、モノオレフィンなどを混合物のまま、フリーデルークラフツ型触媒を用いてカチオン的に重合して得られる熱可塑性樹脂をいう。石油樹脂としては、重合にあずかる分解油留分のうちC5留分(ピペリレン、イソブチレンなど)を原料とする脂肪族系またはC5系石油樹脂、C9留分(スチレン同族体、インデン同族体など)を原料とするC9系石油樹脂の2種類の石油樹脂が知られている。
本発明において使用する石油樹脂としては特に制限はなく、市販のものをはじめとして各種の石油樹脂を使用することができる。そのうち、重量平均分子量が500〜5000、軟化点が60℃〜200℃のC9系石油樹脂を使用することが好ましい。なかでも、製造コスト、A重油への溶解性の点から、重量平均分子量1000以上2500以下、軟化点90℃以上140℃以下のC9系石油樹脂を使用することが特に好ましい。
本発明において、A重油中の石油樹脂の配合割合は特に限定されるものではないが、石油樹脂のA重油への相溶性の面から、A重油1L中に0.2〜40g配合されていることが好ましく、0.5〜20g配合されていることがより好ましい。
【0008】
本発明のA重油においては、前記石油樹脂と共にアスファルテン分を含有する残油を必須成分として含むものである。
かかるアスファルテン分を含有する残油としては、常圧蒸留装置の塔底油である常圧残油(AR)、直接脱硫装置の塔底油である直脱残油(RDS BTM)、減圧蒸留装置の塔底油である減圧残油(VR)等を挙げることができる。これらの残油は、1種類を使用しても良く、または2種以上を混合して使用することもできる。
【0009】
本発明において、A重油中のアスファルテン分を含有する残油の配合割合は特に限定されるものではないが、常温および低温におけるフィルター通油性を向上させる観点から、A重油中のアスファルテン分の含有量が0.001〜0.03質量%となるように配合することが好ましく、0.002〜0.02質量%となるように配合することがより好ましい。
本発明において、アスファルテン分とは、IP143「アスファルテン分試験方法」に準拠して得られる値を意味している。
【0010】
本発明においては、アスファルテン分を含有する残油として常圧残油を用いるのが好ましい。この場合、ワックスによるフィルター目詰まりを防止する観点からA重油中に0.02容量%以上配合することが好ましく、0.04容量%以上配合することがより好ましい。また、スラッジによるフィルター目詰まりを防止する観点からA重油中に配合する割合は0.6容量%以下が好ましく、0.4容量%以下であることがより好ましい。
【0011】
また本発明においては、アスファルテン分を含有する残油として減圧残油を用いるのが好ましい。この場合、ワックスによるフィルター目詰まりを防止する観点からA重油中に0.01容量%以上配合することが好ましく、0.02容量%以上配合することがより好ましい。また、スラッジによるフィルター目詰まりを防止する観点からA重油中に配合する割合は0.3容量%以下が好ましく、0.2容量%以下であることがより好ましい。
【0012】
また本発明においては、アスファルテン分を含有する残油として直脱残油を用いるのが好ましい。この場合、ワックスによるフィルター目詰まりを防止する観点からA重油中に0.03容量%以上配合することが好ましく、0.06容量%以上配合することがより好ましい。また、スラッジによるフィルター目詰まりを防止する観点からA重油中に配合する割合は0.9容量%以下が好ましい。
【0013】
なお、本発明のA重油においては、石油樹脂とアスファルテン分を含有する残油は残留炭素分付与基材として寄与する。
本発明のA重油は上記した通り、石油樹脂とアスファルテン分を含有する残油を残留炭素付与基材として使用することが好ましいが、エキストラクト、スラリー油等、その他の残留炭素付与基材を併用しても良い。
【0014】
本発明のA重油において、10%残留炭素分は税法上のA重油の免税条件「10%残油の残留炭素分0.2質量%以上」の点から0.2質量%以上であることが必要であり、スラッジによるフィルター目詰まり防止の点から、0.5質量%以下が好ましく、0.4質量%以下がより好ましく、0.3質量%以下がさらに好ましい。
本発明において、10%残留炭素分とは、JIS K 2270「原油及び石油製品−残留炭素分試験方法」により測定される値を意味している。
【0015】
本発明のA重油の動粘度については特に制限はないが、燃焼異常を防止する点から、50℃における動粘度が5mm2/s以下のものが好ましく、4mm2/s以下がより好ましく、3mm2/s以下が最も好ましい。また、燃料噴射ポンプの摩耗および焼付き防止の点から、1.2mm2/s以上が好ましく、1.4mm2/s以上がより好ましく、1.6mm2/s以上が最も好ましい。
本発明において、50℃における動粘度とは、JIS K 2283「原油及び石油製品−動粘度試験方法及び粘度指数算出方法」に準拠して得られた値を表すものを意味している。
【0016】
本発明のA重油の流動点については特に制限はないが、低温時のワックス析出を減少させる点から、0℃以下であることが好ましく、−5℃以下がより好ましく、−10℃以下が最も好ましい。
本発明において、流動点とは、JIS K 2269「原油及び石油製品の流動点試験方法」に準拠して得られた値を表すものを意味している。
【0017】
本発明のA重油の硫黄分および窒素分の含有量については特に制限はないが、排ガス中の有害物質を低減するには、硫黄分は1.0質量%以下であることが好ましく、0.8質量%以下であることがより好ましく、0.5質量%以下であることが最も好ましい。窒素分は0.1質量%以下であることが好ましく、0.08質量%以下であることがより好ましく、0.05質量%以下であることが最も好ましい。
本発明において、硫黄分、窒素分とは、それぞれ、JIS K 2541「原油及び石油製品−硫黄分試験方法」、JIS K 2609「原油及び石油製品−窒素分試験方法」に準拠して得られた値を表すものを意味している。
【0018】
本発明のA重油の水分含有量については特に制限はないが、低温時のフィルター目詰まりを防止するには、水分は0.1容量%以下であることが好ましく、0.08容量%以下がより好ましく、0.05容量%以下であることが最も好ましい。
本発明において、水分含有量とは、JIS K 2275「原油及び石油製品−水分試験方法」に準拠して得られた値を表すものを意味している。
【0019】
本発明のA重油のセタン指数については、特に制限はないが、燃焼性向上の点から40以上であることが好ましく、43以上であることがより好ましく、45以上であることが最も好ましい。
本発明において、セタン指数はJIS K 2204−1992「軽油」に準拠して得られた値を表すものを意味している。つまり次の式によって算出する。
セタン指数=0.49083+1.06577X−0.0010522X2
ただし、上記式中、Xは以下のとおりである。
X=97.833(logA)2+2.2088BlogA+0.01247B2−423.51logA−4.7808B+419.59
A:(9/5)[101.3kPa(760mmHg)における50%留出温度(℃)]+32
B:API度
なお、「101.3kPa(760mmHg)における50%留出温度(℃)」は、JIS K 2254「石油製品−蒸留試験方法」によって測定し、「API度」は、JIS K 2249「原油及び石油製品−密度試験方法及び密度・質量・容量換算表」によって15℃の密度から換算して求める。
【0020】
本発明のA重油のドライスラッジ量については特に制限はないが、常温でのフィルター目詰まりが起こり難くなる点から、2.0mg/100ml以下であることが好ましく、1.5mg/100ml以下であることがより好ましく、1.0mg/100ml以下であることが最も好ましい。
ここでいうドライスラッジ量とは、常温において、試料を目開き1.2μmのフィルターで吸引ろ過し、ろ過後のフィルター及びフィルター上の残留物をn−ヘプタンで洗浄し、乾燥後残留物の質量から、試料100ml当りの残留物の質量で表される値を意味している。
【0021】
また、本発明のA重油のセタン価については特に制限はないが、燃焼性向上の点から、35以上であることが好ましく、38以上であることがより好ましく、40以上であることが最も好ましい。
ここでいうセタン価とは、JIS K 2280「石油製品−燃料油−オクタン価及びセタン価試験方法並びにセタン指数算出方法」に準拠して得られる値を意味している。
【0022】
また、本発明のA重油のCFPP(目詰まり点)については特に制限はないが、冬期においてワックスによるフィルター目詰まりの防止により優れることから、+5℃以下であることが好ましく、0℃以下であることがより好ましく、−5℃以下であることが最も好ましい。
本発明において、CFPPとは、JIS K 2288「軽油−目詰まり点試験方法」に準拠して得られる値を意味している。
【0023】
また、本発明のA重油の−5℃におけるワックス含有量については特に制限はないが、冬期においてワックスによるフィルター目詰まりの防止性により優れることから、1.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることがより好ましく、0.3質量%以下であることが最も好ましい。
本発明において、−5℃におけるワックス含有量とは、メンブランフィルター、メチルエチルケトン−アセトン混合溶剤及び試料を−5℃まで冷却し、試料17gを、目開き5.0μmのメンブランフィルターで吸引ろ過し、フィルター上のワックスをメチルエチルケトン−アセトン混合溶剤30mlで洗浄した後、フィルターに捕集したワックス量を測り、試料全量に対するワックス量を表すものを意味している。
【0024】
また、本発明のA重油の蒸留性状については何ら制限はないが、通常は下記性状を満たすものが好ましい。
蒸留初留点 : 120〜240℃
10%留出温度(T10): 150〜280℃
50%留出温度(T50): 230〜330℃
90%留出温度(T90): 280〜410℃
本発明のA重油の初留点は、燃焼機器出力低下防止の点から120℃以上が好ましく、130℃以上がより好ましく、140℃以上が最も好ましい。また、燃焼異常を防止する点から240℃以下が好ましく、230℃以下がより好ましく、220℃以下が最も好ましい。
本発明のA重油のT10は、燃焼機器出力低下防止の点から150℃以上が好ましく、160℃以上がより好ましく、170℃以上が最も好ましい。また、燃焼異常を防止する点から280℃以下が好ましく、270℃以下がより好ましく、260℃以下が最も好ましい。
本発明のA重油のT50は、燃焼機器出力低下防止の点から230℃以上が好ましく、240℃以上がより好ましく、250℃以上が最も好ましい。また、燃焼異常を防止する点から330℃以下が好ましく、320℃以下がより好ましく、310℃以下が最も好ましい。
本発明のA重油のT90は、燃焼機器出力低下防止の点から280℃以上が好ましく、290℃以上がより好ましく、300℃以上が最も好ましい。また、燃焼異常を防止する点から410℃以下が好ましく、400℃以下がより好ましく、390℃以下が最も好ましい。
本発明において、上記蒸留性状は、JIS K 2254「石油製品−蒸留試験方法」に準拠して得られる値を意味している。
【0025】
本発明のA重油の引火点については特に制限はないが、通常60℃以上110℃以下であることが好ましく、燃焼異常を防止する点から100℃以下がより好ましく、95℃以下がさらに好ましく、90℃以下が最も好ましい。
本発明において、引火点とは、JIS K 2265「原油及び石油製品−引火点試験方法」に準拠して得られた値を意味している。
【0026】
本発明のA重油の総発熱量については特に制限はないが、通常30000J/g以上50000J/g以下であることが好ましい。総発熱量の下限は、機器の燃焼効率の低下を防止する点から、31000J/g以上がより好ましく、32000J/g以上がさらに好ましい。また、上限については、燃焼異常を防止する点から、49000J/g以下がより好ましく、48000J/g以下がさらに好ましい。
本発明において、総発熱量とは、JIS K 2279「原油及び石油製品−発熱量試験方法及び計算による推定方法」に準拠して得られた値を意味している。
【0027】
本発明のA重油の15℃における密度については特に制限はないが、通常0.80g/cm3以上0.95g/cm3以下であることが好ましい。15℃における密度の下限は、機器の燃焼効率の低下を防止する点から、0.81g/cm3以上がより好ましく、0.82g/cm3以上がさらに好ましい。また、上限については、燃焼異常を防止する点から、0.94g/cm3以下がより好ましく、0.93g/cm3以下がさらに好ましい。
本発明において、15℃における密度とは、JIS K 2249「原油及び石油製品−密度試験方法及び密度・質量・容量換算表」に準拠して得られた値を意味している。
【0028】
本発明のA重油の製造方法は限定されるものではなく、通常、A重油基材に石油樹脂およびアスファルテンを含有する残油を配合し、必要に応じて添加剤を配合して製造される。
A重油基材としては、A重油の基材として通常用いられる基材を使用することができる。具体的には、常圧蒸留装置より得られる直留灯油又は脱硫処理した灯油、直留軽質軽油又は脱硫処理した軽質軽油、直留重質軽油又は脱硫処理した重質軽油、流動接触分解装置及び/又は残渣流動接触分解装置より得られる軽質サイクル油、減圧蒸留装置より得られる減圧軽油を水素化脱硫した水素化脱硫減圧軽油、水素化分解装置より得られる水素化分解軽油、直接重油脱硫装置より得られる直脱軽油等が挙げられる。これらの基材は1種類のみを使用しても良く、または2種以上を混合して使用しても良い。
【0029】
また、添加剤としては、流動性向上剤、セタン価向上剤、酸化防止剤、安定化剤、分散剤、金属不活性化剤、微生物殺菌剤、助燃剤、帯電防止剤、識別剤、着色剤等の各種添加剤を適宜加えることができる。
これらの中でも、冬期においてワックスによるフィルター目詰まりを防止する効果により優れることから、流動性向上剤を添加することが好ましい。流動性向上剤としては、たとえばエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−α−オレフィン共重合体等のポリマー型添加剤、油溶性分散剤型添加剤およびアルケルコハク酸等を用いることが出来る。
また、流動性向上剤の添加量については何ら制限はないが、A重油全量基準で10〜1000mg/Lであることが好ましく、100〜500mg/Lであることがより好ましい。
【0030】
【発明の効果】
本発明のA重油は、常温および低温におけるフィルター通油性に優れているため、スラッジおよびワックス析出によるフィルターの目詰まりによるトラブルはほとんど発生しない。
【0031】
【実施例】
次に実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は、これらによって何ら限定されるものではない。
【0032】
[実施例1〜9および比較例1〜5]
表1に示す性状を有する各基材を表2に示す配合割合で配合し、実施例1〜9および比較例1〜4のA重油を調製した。なお、表2中の石油樹脂の配合量(g/L)はA重油基材混合物1Lに対する配合量であり、残油の配合割合(容量%)はA重油基材混合物に対する配合割合である。
各試料油の性状を表2に記載した。また、比較例5として市販A重油の性状を表2に併記した。
各試料油および市販A重油について、常温における通油性および低温性能評価を下記の方法により行った。結果を表2に併記した。
【0033】
(通油性性能評価)
試料容器として20Lペール缶を用いる。直径の外側から1/4の位置に、試料吸引管を差し込む穴を設ける。試料吸引管は外径10mmの銅管を用い、この試料吸引管とフィルターはシリコンゴム管で接続する。また、フィルターの出口から吸引ポンプまでは、銅管を用いて接続する。フィルターは日本濾過器株式会社製フューエルフィルター(型番276237)を用い、通油面積は2±0.1cm2のものを用いる。ポンプは通油量が1〜10L/hrに調整できるものを用いる。恒温槽は試料容器およびフィルターが入る容量があり、プログラム温度調節機能を備え、温度精度は±0.5℃以内のものを用いる。温度が20〜25℃の試料約10Lを試料容器に入れ、吸引管付きふたをする。ポンプを駆動させ、通油量が5±0.2L/hrになるようにポンプ圧力を調整する。試験条件として、恒温槽の温度プログラムは20℃で5時間以上保持出来るようにする。試験は低温恒温槽のプログラム温度が試験温度(20℃)で2時間保持した後、ポンプを駆動して開始する。ポンプ駆動後にフィルター出口から吸引ポンプの間に接続した圧力計より圧力を測定する。
ポンプ駆動後から差圧が26.6kPa(200mmHg)に達する時間を測定した。
通油性が悪い場合は、フィルター目詰まりを起こし、短時間で差圧が上昇するのに対し、通油性の良好なA重油は差圧が上昇するまでの時間が長い。
【0034】
(低温性能評価)
試料容器として20Lペール缶を用いる。直径の外側から1/4の位置に、試料吸引管を差し込む穴を設ける。試料吸引管は外径10mmの銅管を用い、この試料吸引管とフィルターはシリコンゴム管で接続する。また、フィルターの出口から吸引ポンプまでは、銅管を用いて接続する。フィルターはネポン株式会社製(コードNo.120267)を用いる。ポンプは通油量が1〜10L/hrに調整できるものを用いる。低温恒温槽は試料容器およびフィルターが入る容量があり、プログラム温度調節機能を備え、温度精度は±0.5℃以内で、−30℃以下まで冷却できる能力を持つものを用いる。温度が20〜25℃の試料約15Lを試料容器に入れ、吸引管付きふたをする。ポンプを駆動させ、通油量が9.5±0.2L/hrになるようにポンプ圧力を調整する。試験条件として、冬期の気象実態から、低温恒温槽の温度プログラムは10℃から1℃/hrの冷却速度で、任意の試験温度まで冷し、その温度で3時間以上保持出来るようにする。試験は低温恒温槽のプログラム温度が試験温度で2時間保持した後、ポンプを駆動して開始する。ポンプ駆動後に圧力計より圧力を測定する。通油限界の判定は、試験時間60分間通油中に差圧が33kPa(250mmHg)以上に上昇した場合をフェール基準とした。なお、フィルター目詰まり温度を求めるには、1℃の間隔でパスとフェールの結果が得られるまで、試験毎に試料を取り替えて、任意の試験温度で試験を繰り返す。フェールした最も高い温度を目詰まり温度とする。
【0035】
表2の結果から明らかなように、実施例1〜9のA重油は、いずれも常温における通油性が非常に良好であり、かつ低温性能における通油性にも優れることが分かる。
これに対して、石油樹脂およびアスファルテン分を含有する残油の両者を含有しない比較例1〜5は常温および低温における通油性の両方またはどちらか一方の性能が劣るものである。
【0036】
【表1】
【0037】
【表2】
Claims (6)
- 石油樹脂およびアスファルテン分を含有する残油を含むことを特徴とするA重油。
- 前記石油樹脂がA重油中に0.2〜40g/L配合されていることを特徴とする請求項1記載のA重油。
- アスファルテン分を0.001〜0.03質量%含有することを特徴とする請求項1記載のA重油。
- 前記残油が常圧残油であり、かつA重油中に0.02〜0.6容量%配合されていることを特徴とする請求項1記載のA重油。
- 前記残油が減圧残油であり、かつA重油中に0.01〜0.3容量%配合されていることを特徴とする請求項1記載のA重油。
- 前記残油が直脱残油であり、かつA重油中に0.03〜0.9容量%配合されていることを特徴とする請求項1記載のA重油。
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