JP2004217500A - サーミスタ素子用焼結体及びその製造方法、並びにサーミスタ素子、温度センサ - Google Patents
サーミスタ素子用焼結体及びその製造方法、並びにサーミスタ素子、温度センサ Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】本サーミスタ素子用焼結体は、Sr、Y、Mn、Al、Fe及びOを含有するサーミスタ素子用焼結体であって、Srのモル数をx、Yのモル数を1−x、Mnのモル数をy、Alのモル数をz、Feのモル数を1−y−zとすると、0.020≦x≦0.178、0.090≦y≦0.178、0.55≦z、及び0.025≦1−y−zの各範囲にあり、ペロブスカイト型酸化物及びガーネット型酸化物の各結晶相を含有する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、広い温度範囲において優れた温度検知性能を有するサーミスタ素子用焼結体及びその製造方法並びに温度センサに関する。更に詳しくは、検出温度の上限が1000℃程度であり、下限が300℃以下、好ましくは100℃以下であるとともに、熱履歴に対して安定であり、更に、焼結体個体間での100〜900℃の間におけるB定数のばらつきが少ないサーミスタ素子用焼結体及びその製造方法、並びにサーミスタ素子、温度センサに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、電子機器の温度補償や温度を検出する用途において、サーミスタ素子が広く用いられている。サーミスタ素子を温度検出に用いる場合、サーミスタ素子を構成するサーミスタ素子用焼結体に求められる性能としては、(1)B定数が小さいこと、(2)熱履歴に対して抵抗変化が小さいこと、そして、(3)抵抗値のばらつき、所望の検知温度範囲におけるB定数のばらつきが小さいことである。ここでB定数とは、所定の温度範囲に対する抵抗変化を示す指標であり、その値が小さいほど、温度変化に対する抵抗変化が小さいことを意味する。上述した性能を有するサーミスタ素子用焼結体から形成されるサーミスタ素子は、(1)検知温度範囲が広く、(2)耐熱性に優れ、(3)温度検知精度が優れたものとなる。
【0003】
サーミスタ素子用焼結体としては、300〜1000℃の温度領域において安定した抵抗温度特性を示す、(Y,Sr)(Cr,Fe,Ti)O3を主成分とする焼結体が開示されている(例えば、特許文献1等)。この特許文献1に開示されているサーミスタ素子用焼結体の抵抗温度特性は、300℃で約100kΩ、900℃で約80Ωの抵抗値を示し、300〜900℃におけるB定数が約8000Kである。しかし、焼結体の構成元素としてTiを含有するためにB定数が大きくなる傾向にあり、200℃以下の温度では抵抗値はMΩ台と大きく、絶縁抵抗との識別がつかず、温度検知ができない抵抗温度特性となっている。
尚、上記組成を構成する元素の含有割合を変化させることによって、例えば、100℃付近の温度が検知できるように100℃における抵抗値を、絶縁抵抗と識別可能な500kΩ以下とすることも可能ではある。しかし、その場合、1000℃程度の高い温度に繰り返しあるいは長時間連続的に晒されるといったような熱履歴によって、サーミスタ素子(サーミスタ焼結体)の抵抗温度特性の安定性が損なわれる傾向にある。また、構成成分であるCr元素は揮発しやすいため、その揮発量の多少により素子(サーミスタ素子用焼結体)個体間のB定数がばらつくといった問題点があった。
【0004】
また、Y(Cr,Mn)O3+Y2O3を主成分とするサーミスタ素子用焼結体も開示されている(例えば、特許文献2、特許文献3参照)。これらの焼結体にはCrを含有しているために、焼結体個体間のB定数のばらつきは避けられない。
このように、300℃〜1000℃程度、好ましくは100〜1000℃程度の温度範囲において優れた温度検知性能を有し、熱履歴に対して安定であり、更には個体間におけるばらつきの小さいサーミスタ素子用焼結体が求められている。
【0005】
【特許文献1】
特許第3254595号公報
【特許文献2】
特開平11−251108号公報
【特許文献3】
特開2002−124403号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記従来の問題点を解決するものであり、上限が1000℃程度であり、下限が好ましくは300℃以下、より好ましくは100℃以下の温度検知が良好であるとともに、熱履歴に対して安定であり、更に100〜900℃の間における焼結体個体間のB定数のばらつきが少ないサーミスタ素子用焼結体及びその製造方法、並びにサーミスタ素子、温度センサを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は以下の通りである。
[1] Sr、Y、Mn、Al、Fe及びOを含有するサーミスタ素子用焼結体であって、Srのモル数をx、Yのモル数を1−x、Mnのモル数をy、Alのモル数をz、Feのモル数を1−y−zとすると、0.020≦x≦0.178、0.090≦y≦0.178、0.55≦z、及び0.025≦1−y−zの各範囲にあり、ペロブスカイト型酸化物及びガーネット型酸化物の各結晶相を含有することを特徴とするサーミスタ素子用焼結体。
[2] 更に、Siを含有する上記[1]に記載のサーミスタ素子用焼結体。
[3] 粉末X線回折分析により、上記ペロブスカイト型酸化物は、AlYO3として同定され、上記ガーネット型酸化物は、Y3Al5O12として同定される上記[1]又は[2]に記載のサーミスタ素子用焼結体。
[4] 上記ペロブスカイト型酸化物及び/又は上記ガーネット型酸化物のYサイトにはSrが、AlサイトにはMn及び/又はFeがそれぞれ固溶している上記[3]に記載のサーミスタ素子用焼結体。
[5] Sr、Y、Mn、Al及びFeの各元素を含む各原料粉末を混合し、仮焼して仮焼粉末とし、その後、この仮焼粉末と、少なくともSi元素を含む焼結助剤と、を混合したサーミスタ合成粉末を成形し、次いで、得られた成形体を焼成することにより、Srのモル数をx、Yのモル数を1−x、Mnのモル数をy、Alのモル数をz、Feのモル数を1−y−zとすると、0.020≦x≦0.178、0.090≦y≦0.178、0.55≦z、及び0.025≦1−y−zの各範囲にあり、且つ、ペロブスカイト型酸化物及びガーネット型酸化物の各結晶相を含有するサーミスタ素子用焼結体を得ることを特徴とするサーミスタ素子用焼結体の製造方法。
[6] Si元素が実質的に無含有であるとともに、Sr、Y、Mn、Al及びFeの各元素を含む各原料粉末を混合し、仮焼して仮焼粉末とし、その後、この仮焼粉末を粉砕して得られるサーミスタ合成粉末を成形し、次いで、得られた成形体を焼成することにより、Srのモル数をx、Yのモル数を1−x、Mnのモル数をy、Alのモル数をz、Feのモル数を1−y−zとすると、0.020≦x≦0.178、0.090≦y≦0.178、0.55≦z、及び0.025≦1−y−zの各範囲にあり、且つ、ペロブスカイト型酸化物及びガーネット型酸化物の各結晶相を含有し、且つSiを実質的に無含有とするサーミスタ素子用焼結体を得ることを特徴とするサーミスタ素子用焼結体の製造方法。
[7] 上記[1]乃至[4]のいずれかに記載のサーミスタ素子用焼結体に、一対の電極を一体化させて形成してなることを特徴とするサーミスタ素子。
[8] 上記[1]乃至[4]のいずれかに記載のサーミスタ素子用焼結体を用いてなることを特徴とする温度センサ。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明のサーミスタ素子用焼結体は、Sr、Y、Mn、Al、Fe及びOを含有するサーミスタ素子用焼結体であって、これらの元素を所定量含有し、ペロブスカイト型酸化物及びガーネット型酸化物の各結晶相を含有する。即ち、本発明のサーミスタ素子用焼結体は、Ti、更には揮発し易いCrを含有しない構成であるため、B定数を小さくすることができ、且つ量産した場合にサーミスタ素子用焼結体(ひいてはサーミスタ素子)の個体間におけるB定数のばらつきを小さくすることができる。更に、Sr、Y、Mn、Al、Fe等の含有量を特定することにより、300℃付近から1000℃程度まで、より好ましくは100℃付近から1000℃程度までの範囲内で良好な温度検知が可能となり、熱履歴の前後において抵抗値の変化の小さく、且つ、100〜900℃の間におけるB定数のばらつきが少ない(小さい)サーミスタ素子用焼結体とすることができる。尚、Cr及びTiは、全く含有されないことが望ましいが、製造に用いる原料に不純物として含まれる場合や製造時に混入される場合等で不可避的に含まれることがある。そのため、サーミスタ素子用焼結体をEDSによる面分析(例えば、日本電子社製走査型電子顕微鏡「JED−2110型」を用いて加速電圧20kVで測定した場合)で実施したときにCr、Tiが検出されなければ、本明細書において「含有しない」ものと定義する。また、本発明のサーミスタ素子用焼結体は、Si元素を含有して形成することもできる。但し、本発明のサーミスタ素子用焼結体は、Si元素を含有せずとも形成することもできる。尚、このSi元素についても、製造に用いる原料に不純物として含まれる場合等で不可避的に含まれることがある。従って、本発明においては、サーミスタ素子用焼結体の化学分析を行ったときに検出されるSi元素を酸化物換算したときに、その量が0.3質量%以上でない場合には、Si元素は「実質的に無含有」であるものと定義する。
【0009】
本発明のサーミスタ素子用焼結体の組成は、Srのモル数をx、Yのモル数を1−x、Mnのモル数をy、Alのモル数をz、Feのモル数を1−y−zとすると、0.020≦x≦0.178、0.090≦y≦0.178、0.55≦z、0.025≦1−y−zである。
x<0.020且つy<0.090では、100℃における抵抗値が大きくなる傾向があり、一方、x<0.020且つ0.178<x、y<0.090且つ0.178<y、1−y−z<0.025では、熱履歴に対して抵抗変化が大きくなる傾向がある。また、z<0.55では、素子の結晶粒子が粒成長して大きくなり過ぎて、初期抵抗のばらつきが大きくなる傾向を示す。
上記各元素の好ましい含有量は、0.060≦x≦0.175、0.127≦y≦0.175、0.560≦z≦0.800、及び0.040≦1−y−zである。この範囲であれば、100℃におけるサーミスタ素子用焼結体の抵抗値を500kΩ以下とすることができ、更に900℃における抵抗値を35Ω以上とすることができる。そして、上記のような抵抗値を有すれば、100℃付近〜1000℃程度までの温度検知性能を非常に良好なものとすることができる。
尚、上記説明した各含有量は、Siが含有する場合であっても成り立つ。
【0010】
上記ペロブスカイト型酸化物は、Y及び/又はSrが配置するサイトと、Al、Mn及びFeから選ばれる少なくとも1種が配置するサイトから構成される酸化物であり、具体的には、FeYO3、AlYO3、MnYO3、YFeO3、YAlO3、YMnO3等が挙げられる。また、上記ペロブスカイト型酸化物は、それぞれのサイトにイオン半径が近い2種類以上の元素が固溶されることがあり、その場合には、Y(Fe,Al)O3、Y(Fe,Mn)O3、Y(Mn,Al)O3、Y(Fe,Mn,Al)O3、(Y、Sr)FeO3、(Y、Sr)AlO3、(Y,Sr)MnO3、(Y、Sr)(Fe,Al)O3、(Y,Sr)(Fe,Mn)O3、(Y,Sr)(Mn,Al)O3、(Y,Sr)(Fe,Mn,Al)O3等の化学式にてペロブスカイト型酸化物を表すことができる。本発明のサーミスタ素子用焼結体には、ペロブスカイト型酸化物の結晶相として上記に例示した酸化物が1種単独で含まれていてもよいし、2種以上の組み合わせで含まれていてもよい。尚、上記Y(Fe,Al)O3において、「(Fe,Al)」は、1つのサイトを占めるFe及びAlのいずれか一方に、他方が固溶していることを示す。以下も同じである。
【0011】
また、上記ガーネット型酸化物は、Y及び/又はSrが配置するサイトと、Al、Mn及びFeから選ばれる少なくとも1種が配置されるサイトとによって構成され、具体的には、Y3Fe5O12、Y3Al5O12、Y3Mn5O12等が挙げられる。また、上記ガーネット型酸化物は、それぞれのサイトにイオン半径が近い2種類以上の元素が固溶されることがあり、その場合には、(Al,Fe)5Y3O12、Y3(Fe,Mn)5O12、Y3(Mn,Al)5O12、Y3(Fe,Mn,Al)5O12、(Y,Sr)3Fe5O12、(Y,Sr)3Al5O12、(Y,Sr)3Mn5O12、(Y,Sr)3(Fe,Al)5O12、(Y,Sr)3(Fe,Mn)5O12、(Y,Sr)3(Mn,Al)5O12、(Y,Sr)3(Fe,Mn,Al)5O12等の化学式にてガーネット型酸化物を表すことができる。本発明のサーミスタ素子用焼結体には、ガーネット型酸化物の結晶相として上記に例示した酸化物が1種単独で含まれていてもよいし、2種以上の組み合わせで含まれていてもよい。
尚、サーミスタ素子用焼結体において、ペロブスカイト型酸化物及びガーネット型酸化物の結晶相が生成されていることは、粉末X線回折分析により、JCPDSカードを用いて同定することができる。即ち、上記した化学式は、JCPDSカードが存在する化合物の結晶ピークデータと照合して、その存在を確認することができる。したがって、ペロブスカイト型酸化物として上記したAlYO3の結晶相、ガーネット型酸化物として上記したY3Al5O12の結晶相についても、粉末X線回折による分析によって同定することができる。また、各サイトへの2種類以上の元素の固溶は、粉末X線パターン上に目的とする結晶構造以外の出発物質のピークがないことや、目的とする結晶構造の粉末X線パターンのピークシフトにより確認することができる。
【0012】
本発明のサーミスタ素子用焼結体には、上記例示した酸化物の結晶相以外に、他の酸化物の結晶相を含有してもよい。その例としては、Sr−Al系酸化物、Sr−Fe系酸化物、Sr−Y系酸化物等のSr系酸化物が挙げられる。これらは1種単独で含まれてもよいし、2種以上の組み合わせで含まれてもよい。尚、本明細書において、「Sr−Al系酸化物」及び「Sr−Fe系酸化物」、「Sr−Y系酸化物」とは、それぞれ、Sr元素とAl元素とからなる酸化物、及び、Sr元素とFe元素とからなる酸化物、Sr元素とY元素とからなる酸化物の総称を指すものであって、Sr−Al−Fe系酸化物やSr−Al−Fe−Mn系酸化物等を含むものである。本明細書では、サーミスタ素子用焼結体に対しEDSによる面分析を行ったとき、Sr元素及びAl元素の平均濃度がその両元素を除く他の元素の平均濃度よりも多く検出されれば、「Sr−Al系酸化物の結晶相」を含有するものとみなすことにする。Sr−Fe系酸化物、Sr−Y系酸化物についても同様とする。
【0013】
本発明のサーミスタ素子用焼結体を構成する結晶粒子の平均粒子径は、好ましくは7μm以下、より好ましくは0.1〜7μm、更に好ましくは0.1〜3μmである。結晶粒子の平均粒子径が大きくなり過ぎると、狙いとする材料組成に対しズレを生じたサーミスタ焼結体が得られることがあり、特性の不安定化を招く傾向がある。
【0014】
本発明の第1のサーミスタ素子用焼結体の製造方法は、Sr、Y、Mn、Al及びFeの各元素を含む各原料粉末を混合し、仮焼して仮焼粉末とし、その後、この仮焼粉末と、少なくともSi元素を含む焼結助剤と、を混合したサーミスタ合成粉末を成形し、次いで、得られた成形体を焼成することにより、Srのモル数をx、Yのモル数を1−x、Mnのモル数をy、Alのモル数をz、Feのモル数を1−y−zとすると、0.020≦x≦0.178、0.090≦y≦0.178、0.55≦z、及び0.025≦1−y−zの各範囲にあり、且つ、ペロブスカイト型酸化物及びガーネット型酸化物の各結晶相を含有するサーミスタ素子用焼結体を得るのである。
【0015】
まず、出発原料としての原料粉末、即ち、Y、Sr、Fe、Mn及びAlの各元素を含む各化合物、例えば酸化物、水酸化物、炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩等の粉末、好ましくは酸化物あるいは炭酸塩の粉末を、湿式混合等の方法で混合、乾燥した後、仮焼した後、仮焼粉末とする。その後、この仮焼粉末と焼結助剤とを混合し、粉砕して「サーミスタ合成粉末」を得る。尚、硫酸塩、硝酸塩を用いる場合には、水に溶解・混合した後に、加熱・重合し、乾燥させたものを仮焼して仮焼粉末とする手法が採用される。
【0016】
仮焼条件は特に限定されないが、好ましくは1100〜1500℃、より好ましくは1150〜1450℃の温度で、通常、1時間以上、好ましくは1.5時間以上である。また、仮焼雰囲気は特に限定されないが、通常、大気である。
【0017】
上記焼結助剤としては、Si元素を含むものを用いるものとし、例えば、SiO2、CaSiO3、SrSiO3等が挙げられる。これらのうち、SiO2が好ましい。また、これらは1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。このSi元素を含む焼結助剤の配合量は、仮焼粉末全体を100質量部とした場合、通常、0.3〜10質量部、好ましくは0.3〜5質量部、更に好ましくは0.3〜3質量部である。かかる範囲とすることにより、低温による焼成が可能となり、強度が大きく、高温安定性に優れた素子用焼結体とすることができる。
【0018】
また、サーミスタ素子用焼結体を形成するために必要な上記原料粉末及び焼結助剤粉末の平均粒子径は特に限定されないが、通常、0.5〜2.0μm、好ましくは0.5〜1.5μmである。粒子径が大きすぎると均一に混合されないことがあり、サーミスタ素子特性のばらつきが大きくなる要因となる。
【0019】
また、仮焼粉末に少なくともSi元素を含む焼結助剤を混合し、粉砕することで得られるサーミスタ合成粉末は、更にバインダー及び溶剤又は水と混合される。バインダーとしては特に限定されず、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等が挙げられる。上記バインダーの配合量は、上記粉末成分全量に対して、通常、5〜20質量%、好ましくは10〜20質量%である。尚、上記バインダーと混合する際の上記サーミスタ合成粉末の平均粒子径は、2.0μm以下であることが好ましく、これによって、均一に混合することができる。
【0020】
次いで、これらの混合物を乾燥、造粒して金型プレス成形に適した流動性の良好な成形用粉末を得る。そして、この成形用粉末を用いて、所定の形状に成形する。その後、この成形体を焼成することにより、ペロブスカイト型酸化物、ガーネット型酸化物の各結晶相を含有するサーミスタ素子用焼結体を得ることができる。焼成条件は特に限定されないが、好ましい温度は1400〜1700℃、より好ましくは1400〜1650℃、更に好ましくは1400〜1600℃である。かかる範囲とすることにより、著しい結晶粒成長を抑制することができ、特性のばらつきを低減することができる。焼成時間は、通常、1〜5時間、好ましくは1〜2時間である。また、焼成雰囲気は特に限定されないが、通常、大気である。
【0021】
本発明の第2のサーミスタ素子用焼結体の製造方法は、Si元素が実質的に無含有であるとともに、Sr、Y、Mn、Al及びFeの各元素を含む各原料粉末を混合し、仮焼して仮焼粉末とし、その後、この仮焼粉末を粉砕して得られるサーミスタ合成粉末を成形し、次いで、得られた成形体を焼成することにより、Srのモル数をx、Yのモル数を1−x、Mnのモル数をy、Alのモル数をz、Feのモル数を1−y−zとすると、0.020≦x≦0.178、0.090≦y≦0.178、0.55≦z、及び0.025≦1−y−zの各範囲にあり、且つ、ペロブスカイト型酸化物及びガーネット型酸化物の各結晶相を含有し、且つSiを実質的に無含有とするサーミスタ素子用焼結体を得るのである。
【0022】
上記仮焼粉末を得るまでの工程は、上記第1のサーミスタ素子用焼結体の製造方法における説明と同様である。第2の製造方法においては、上記仮焼粉末を粉砕することによって、サーミスタ合成粉末とする。(但し、Si元素を含む焼結助剤は混合させない。)
その後、このサーミスタ合成粉末に、上記第1のサーミスタ素子用焼結体の製造方法と同様にして、バインダー及び溶剤又は水と混合し、得られる混合物の乾燥、造粒によって成形用粉末を得る。次いで、この成形用粉末を用いて成形し、上記と同様にして熱処理を行い、サーミスタ素子用焼結体を得る。
尚、出発原料としての原料粉末の平均粒子径等についても、上記第1のサーミスタ素子用焼結体の製造方法と同様である。
【0023】
また、上記第1及び第2のサーミスタ素子用焼結体の製造方法に関わる上記成形用粉末を用いて、サーミスタ素子とする場合には、この成形用粉末及び一対の電極(この電極を構成する材料としては、耐熱性に優れたPt、Pt/Rh合金等が好ましい。)を用いて、所定の形状に成形する。その後、この一体化した成形体を焼成することにより、サーミスタ素子を得ることができる。焼成温度等は上記と同様であり、かかる範囲とすることにより、電極を構成する材料の劣化を抑制することもできる。
上記焼成は、サヤ内に素子を敷き詰めて蓋をして行うことで、特定成分の揮発を抑制することができ、また、Pt、Pt/Rh合金等の材料からなる板をサヤの底に敷いたり、焼結体と同じ材質からなるサヤを使用する等によってサヤへの成分の拡散を防止することができる。
【0024】
本発明のサーミスタ素子用焼結体あるいは上記サーミスタ素子は、上記焼成の後、必要に応じて、更に熱処理を行うことができる。その条件としては、例えば、800〜1100℃、好ましくは850〜1100℃、更に好ましくは900〜1100℃の温度で、30時間以上、好ましくは100時間以上、更に好ましくは200時間以上である。かかる温度及び処理時間で熱処理を行うことにより、サーミスタ素子用焼結体の抵抗温度特性を更に安定化することができる。また、熱処理を行う場合の雰囲気は、大気雰囲気でも、大気以外の特別な雰囲気でもよい。更に、上記焼成処理を終えてからこの熱処理を行うまでの時間についても特に限定はなく、焼結体の温度が室温まで低下した後に行うことが好ましい。
【0025】
本発明のサーミスタ素子用焼結体を用いて得られるサーミスタ素子の一例を図1に示す。サーミスタ素子2は、サーミスタ素子用焼結体1及び一対の電極9からなり、それぞれの電極9の一端側は、サーミスタ素子用焼結体1の内部に埋没している。素子の形状としては特に限定されず、ビード型以外に、ディスク型、ロッド型、ワッシャー型等のいずれであってもよい。
【0026】
本発明の温度センサは、上記サーミスタ素子用焼結体を用いてなるものである。また、サーミスタ素子用焼結体に電極が配設されたサーミスタ素子を用いてなるものであってもよい。温度センサの一例を図2に示す。図2は、自動車の排気ガス通路に設けられて排気ガス温度を検出するための温度センサの構造を示す部分破断側面図である。この温度センサは、サーミスタ素子2を有底筒状の金属チューブ3の内部に収容したものである。金属チューブ3は、その先端側3aが閉塞し、後端側3bが開放される。金属チューブ3の基端側3bには、フランジ4がアルゴン溶接される。フランジ4上には、六角ナット部5及びネジ部5bを有するナット5が回動自在に挿通される。フランジ4の基端側4aには、継手6がアルゴン溶接される。金属チューブ3、フランジ4及び継手6の内部には、一対のシース芯線7を内包するシース8が配置される。金属チューブ3の内部においてシース8の先端側8aへ突出するシース芯線7には、サーミスタ素子2がPt/Rh合金線9を介して接続される。金属チューブ3の先端側3aの内部には、酸化ニッケル製のペレット10が配置される。また、サーミスタ素子2の周囲にはセメント11が充填される。継手6の内部においてシース8の基端側8bへ突出するシース芯線7には、端子12を介して一対のリード線13が接続される。
これらリード線13は、耐熱ゴム製の補助リング14に内包される。シース芯線7及びリード線13は互いにかしめ端子12により接続される。
【0027】
【実施例】
以下、本発明について、実施例及び比較例を挙げて具体的に説明するが、本発明は、これら実施例によって何ら限定されるものではない。
〔1〕サーミスタ素子の製造
実施例1〜13
Y2O3粉末(純度99.9%以上、平均粒子径1.1μm)、SrCO3粉末(純度99.0%以上、平均粒子径0.5μm)、Fe2O3粉末(純度99.2%以上、平均粒子径0.9μm)、MnO2粉末(純度99.0%以上、平均粒子径1.2μm)、及びAl2O3粉末(純度99.5%以上、平均粒子径0.6μm)、を用いて、Srのモル数をx、Yのモル数を1−x、Mnのモル数をy、Alのモル数をz、Feのモル数を1−y−zとした場合に、x、y及びzが表1及び表2に示される値となるように秤量し、湿式混合した。その後、乾燥して粉末状とし、大気中、1400℃で2時間仮焼した。次いで、この仮焼粉末100質量部に対して1質量部の焼結助剤(SiO2粉末、平均粒子径1.5μm)、を更に添加して、湿式粉砕、乾燥し、サーミスタ合成粉末を得た。
その後、このサーミスタ合成粉末100質量部に対して主成分をポリビニルブチラールとするバインダーを20質量部添加して混合、乾燥し、整粒して、造粒粉末を得た。
次いで、この造粒粉末を用いて、金型成型法にてプレス成形(プレス圧;4500kg/cm3)して図1に示す一対の電極の一端側が埋設された六角形状(厚さ1.24mm)の成形体を得て、大気中、1550℃で1時間焼成して、実施例1〜13のサーミスタ素子を製造した。
【0028】
実施例14〜17
Y2O3粉末(純度99.9%以上、平均粒子径1.1μm)、SrCO3粉末(純度99.0%以上、平均粒子径0.5μm)、Fe2O3粉末(純度99.2%以上、平均粒子径0.9μm)、MnO2粉末(純度99.0%以上、平均粒子径1.2μm)、及びAl2O3粉末(純度99.5%以上、平均粒子径0.6μm)、を用いて、Srのモル数をx、Yのモル数を1−x、Mnのモル数をy、Alのモル数をz、Feのモル数を1−y−zとした場合に、x、y及びzが表2に示される値となるように秤量し、湿式混合した。その後、乾燥して粉末状とし、大気中、1400℃で2時間仮焼した。次いで、この仮焼粉末を湿式粉砕、乾燥し、サーミスタ合成粉末を得た。
その後、このサーミスタ合成粉末100質量部に対して主成分をポリビニルブチラールとするバインダーを20質量部添加して混合、乾燥し、整粒して、造粒粉末を得た。
次いで、この造粒粉末を用いて、金型成型法にてプレス成形(プレス圧;4500kg/cm3)して図1に示す一対の電極の一端側が埋設された六角形状(厚さ1.24mm)の成形体を得て、大気中、1500℃で1時間焼成して、実施例14〜17のサーミスタ素子を製造した。なお、この実施例14〜17は、原料粉末において不可避的にSi元素が極微量含まれるものもあったが、上述した実施例1〜31とは異なり、SiO2粉末よりなる焼結助剤は添加していないものである。それより、得られるサーミスタ素子(サーミスタ素子用焼結体)には、Si元素が実質的に無含有の状態になっている。なお、Si元素が実質的に無含有であると判断するにあたり、本明細書では、上述したように得られたサーミスタ素子用焼結体を、化学分析しSi元素を酸化物換算した値にて0.3質量%以上検出されなければ「実質的に無含有」であるとした。
【0029】
比較例1〜4
上記x、y、z、1−y−zを表2に示す値となるように秤量した以外は、実施例1と同様にしてサーミスタ素子を得た。
【0030】
比較例5
Y2O3粉末(純度99.9%以上、平均粒子径1.1μm)、SrCO3粉末(純度99.0%以上、平均粒子径0.5μm)、Cr2O3粉末(純度99.3%以上、平均粒子径0.5μm)、Fe2O3粉末(純度99.2%以上、平均粒子径0.9μm)、及びTiO2粉末(純度99.2%以上、平均粒子径1.8μm)、を用いて、Srのモル数をx、Yのモル数を1−x、Feのモル数をy、Tiのモル数をz、Crのモル数を1−y−zとした場合に、x、y及びzが表2に示される値となるように秤量した以外は、実施例1と同様にしてサーミスタ素子を得た。
【0031】
〔2〕サーミスタ素子の評価
2−1.結晶の平均粒子径の算出
実施例1〜17及び比較例1〜5で得られたサーミスタ素子を構成するサーミスタ焼結体の組織観察を、日本電子社製走査型電子顕微鏡「JED−2110型」を用いて加速電圧20kV、倍率2000倍で行った。この観察から、結晶の平均粒子径を算出した。その結果を表1及び表2に示す。また、得られた組織の反射電子像の例を実施例5について図3に示す。
【0032】
2−2.結晶相の分析
実施例1〜17及び比較例1〜5で得られたサーミスタ素子を構成するサーミスタ焼結体の粉末X線回折分析、及びEDS分析し、各焼結体に存在する結晶相を求めた。その結果を表1及び表2に示す。また、得られたX線回折パターンの例を実施例5、15及び17について図4、5及び図6に示す。
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】
2−3.性能試験(抵抗値の測定、B定数及びB定数のばらつきの測定)
実施例1〜17及び比較例1〜5で得られたサーミスタ素子50個の抵抗値(kΩ)を、100、300、600及び900℃において初期抵抗値として測定した。そして、得られた抵抗値に基づいて、下記式(1)によりB定数(K)を算出した。表に記載の数値は50個のデータの中央値に相当する素子の特性で、その実施例の代表値として示している。
B定数=ln(R/R0)/(1/T−1/T0) ・・・(1)
R;絶対温度T(K)のときの抵抗値(kΩ)
R0;絶対温度T0(K)のときの抵抗値(kΩ)
尚、TはT0より高い絶対温度である。
また、100〜900℃の範囲で見たB定数のばらつきを、50個のデータの3σがB定数の平均値に対して、どの程度のばらつきを有するかを下記式(2)により算出し、表3に併記した。
B定数のばらつき(%)=3σ/平均値 ・・・(2)
以上の結果を表3に示す。
【0036】
【表3】
【0037】
また、耐久性を調べるために、上記サーミスタ素子用を大気中、1000℃で150時間熱処理し、上記と同様にして耐久後抵抗値として測定し、上記熱処理後の抵抗変化率(%)を下記式(3)により求めた。
抵抗変化率={(RT’−RT)/RT}×100 ・・・(3)
RT;熱処理前の絶対温度Tにおける抵抗値(kΩ)
RT’;熱処理後の絶対温度Tにおける抵抗値(kΩ)
また、上記抵抗変化率の温度換算値(℃)を下記式(4)により求めた。
温度換算値=〔(B×T)/{ln(RT’/RT)×T+B}〕−T・・・(4)
B;絶対温度Tにおける初期(耐久前)のB定数
以上の結果を表3に併記した。
【0038】
〔3〕実施例の効果
表1及び表2より、Sr、Y、Mn、Al、Fe、Si及びOを含有する実施例1〜13、並びに、Sr、Y、Mn、Al、Fe及びOを含有し、Siが実質的に無含有である実施例14〜17は、ペロブスカイト型酸化物(AlYO3)、ガーネット型酸化物(Y3Al5O12)を含有していることが分かる。
実施例5のサ−ミスタ素子(サーミスタ素子用焼結体)の粉末X線回折パターン(図4参照)からは、ペロブスカイト型構造のAlYO3(JCPDSカードNo.33−0041)、ガーネット型構造のY3Al5O12(JCPDSカードNo.09−0310)、Sr−Al系酸化物(SrAl2O4;JCPDSカードNo.34−0379、Sr5Al2O8;JCPDSカードNo.10−0065)、及びSi酸化物(Sr2SiO4;JCPDSカードNo.39−1256)の存在を確認することができる。
尚、本明細書では、EDSによるサーミスタ焼結体の面分析を行ったとき、Sr元素及びAl元素の平均濃度がその両元素を除く他の元素の平均濃度よりも多く検出されれば、「Sr−Al系酸化物の結晶相」を含有するものとみなしている。また、図3に示す実施例5の反射電子像から、このサーミスタ素子を構成するサーミスタ焼結体の結晶粒子は小さく、緻密に構成されていることが分かる。
【0039】
また、Siを含まない実施例15のサーミスタ素子(サーミスタ素子用焼結体)の粉末X線回折パターン(図5参照)からは、ペロブスカイト型構造のAlYO3、ガーネット型構造のY3Al5O12、Sr−Al系酸化物(SrAl2O4)、及びAl2Y4O9(JCPDSカードNo.34−0368又は14−0475)の存在を確認することができる。
更に、Siを含まない実施例17のサーミスタ素子(サーミスタ素子用焼結体)の粉末X線回折パターン(図6参照)からは、ペロブスカイト型構造のAlYO3、ガーネット型構造のY3Al5O12の存在を確認することができる。尚、実施例16及び17については、図示していないが、EDSによる面分析では、Sr−Al系酸化物の結晶相は確認されなかった。
また、比較例1〜4は、いずれもペロブスカイト型酸化物(FeYO3)、ガーネット型酸化物(Al2Fe3Y3O12)を含有していた。
【0040】
表3より、実施例1〜17は、B定数のばらつきが比較例1〜5と比べて小さくなっており、また耐久試験後における抵抗変化率の温度換算値(℃)も100、300、600、900℃において全て10℃以内と優れた特性を示すことが分かる。
【0041】
【発明の効果】
本発明のサーミスタ素子用焼結体によれば、Y、Sr、Fe、Mn、Al及びOを含有する焼結体であって、それら構成元素の含有量を特定してなるサーミスタ素子用焼結体は、広い温度範囲において優れた温度検知性能を発揮することができ、100〜900℃の間におけるB定数のばらつきを少なく、熱履歴に対する抵抗変化を小さくする(耐久性を向上させる)ことができる。
本発明のサーミスタ素子用焼結体の製造方法によれば、ペロブスカイト型酸化物、ガーネット型酸化物の結晶相を含有するサーミスタ素子用焼結体を効率良く製造することができる。
本発明のサーミスタ素子用焼結体を用いて得られるサーミスタ素子、温度センサによれば、広い温度範囲において優れた温度検知性能を有するものとして有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】サーミスタ素子の一例を示す概略説明図である。
【図2】温度センサの一例を示す概略説明図である。
【図3】実施例5で得られた焼結体の組織のSEM像(反射電子像)を示す説明図である。
【図4】実施例5で得られた焼結体の粉末X線回折パターンを示す説明図である。
【図5】実施例15で得られた焼結体の粉末X線回折パターンを示す説明図である。
【図6】実施例17で得られた焼結体の粉末X線回折パターンを示す説明図である。
【符号の説明】
1;サーミスタ素子用焼結体、2;サーミスタ素子、3;金属チューブ、3a;金属チューブの先端側、3b;金属チューブの基端側、4;フランジ、4a;フランジの基端側、5;ナット、5a;六角ナット部、5b;ネジ部、6;継手、7;シース芯線、8;シース、8a;シースの先端側、8b;シースの基端側、9;電極、10;酸素濃度低下抑制用ペレット、11;セメント、12;かしめ端子、13;リード線、14;補助リング。
Claims (8)
- Sr、Y、Mn、Al、Fe及びOを含有するサーミスタ素子用焼結体であって、Srのモル数をx、Yのモル数を1−x、Mnのモル数をy、Alのモル数をz、Feのモル数を1−y−zとすると、0.020≦x≦0.178、0.090≦y≦0.178、0.55≦z、及び0.025≦1−y−zの各範囲にあり、ペロブスカイト型酸化物及びガーネット型酸化物の各結晶相を含有することを特徴とするサーミスタ素子用焼結体。
- 更に、Siを含有する請求項1に記載のサーミスタ素子用焼結体。
- 粉末X線回折分析により、上記ペロブスカイト型酸化物は、AlYO3として同定され、上記ガーネット型酸化物は、Y3Al5O12として同定される請求項1又は2に記載のサーミスタ素子用焼結体。
- 上記ペロブスカイト型酸化物及び/又は上記ガーネット型酸化物のYサイトにはSrが、AlサイトにはMn及び/又はFeがそれぞれ固溶している請求項3に記載のサーミスタ素子用焼結体。
- Sr、Y、Mn、Al及びFeの各元素を含む各原料粉末を混合し、仮焼して仮焼粉末とし、その後、該仮焼粉末と、少なくともSi元素を含む焼結助剤と、を混合したサーミスタ合成粉末を成形し、次いで、得られた成形体を焼成することにより、Srのモル数をx、Yのモル数を1−x、Mnのモル数をy、Alのモル数をz、Feのモル数を1−y−zとすると、0.020≦x≦0.178、0.090≦y≦0.178、0.55≦z、及び0.025≦1−y−zの各範囲にあり、且つ、ペロブスカイト型酸化物及びガーネット型酸化物の各結晶相を含有するサーミスタ素子用焼結体を得ることを特徴とするサーミスタ素子用焼結体の製造方法。
- Si元素が実質的に無含有であるとともに、Sr、Y、Mn、Al及びFeの各元素を含む各原料粉末を混合し、仮焼して仮焼粉末とし、その後、該仮焼粉末を粉砕して得られるサーミスタ合成粉末を成形し、次いで、得られた成形体を焼成することにより、Srのモル数をx、Yのモル数を1−x、Mnのモル数をy、Alのモル数をz、Feのモル数を1−y−zとすると、0.020≦x≦0.178、0.090≦y≦0.178、0.55≦z、及び0.025≦1−y−zの各範囲にあり、且つ、ペロブスカイト型酸化物及びガーネット型酸化物の各結晶相を含有し、且つSiを実質的に無含有とするサーミスタ素子用焼結体を得ることを特徴とするサーミスタ素子用焼結体の製造方法。
- 請求項1乃至4のいずれかに記載のサーミスタ素子用焼結体に、一対の電極を一体化させて形成してなることを特徴とするサーミスタ素子。
- 請求項1乃至4のいずれかに記載のサーミスタ素子用焼結体を用いてなることを特徴とする温度センサ。
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