JP2008098452A - サーミスタ素子、これを用いた温度センサ、及びサーミスタ素子の製造方法 - Google Patents

サーミスタ素子、これを用いた温度センサ、及びサーミスタ素子の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】−40〜900℃の温度範囲で、適切な抵抗値を取ることができるサーミスタ素子、これを用いた温度センサ、及びサーミスタ素子の製造方法を提供する。
【解決手段】サーミスタ素子10は、B定数がB(-40〜900)=2.00×103〜3.00×103Kの導電性酸化物焼結体からなるサーミスタ素子本体1と、これを貫通し、直線状に延びた、断面円形の第1電極部2aを有する第1電極線2と、第1電極線2と対をなす第2電極線3であって、サーミスタ素子本体1を第1電極部2aに平行に貫通し、直線状に延びた、断面円形の第2電極部3aを有する第2電極線3と、を備える。このサーミスタ素子10は、電極寸法比D/Lを、式(1)の範囲としてなる。
【選択図】図4

Description

本発明は、温度変化によって抵抗値が変化するサーミスタ素子、これを用いた温度センサ、及びサーミスタ素子の製造方法に関する。
従来より、導電性を有し、その抵抗値(比抵抗)が温度によって変化する導電性酸化物焼結体(金属酸化物セラミック)を用いて温度測定を行うNTCサーミスタ素子、さらには、このサーミスタ素子を用いた温度センサが知られている(特許文献1,2)。
このような温度センサの用途の1つとして、自動車等の排気管や触媒装置に取り付けて、排気ガスや触媒の温度を測定する用途がある。
また、サーミスタ素子の形態例としては、例えば、特許文献1の図2に示すように、サーミスタ素子本体に2本の導電線の一部を互いに平行に挿入したものが挙げられる。
特開2006−30025号公報 特開2000−88673号公報
このような用途の温度センサ(サーミスタ素子)では、−40℃の低温域から900℃の高温域までの極めて広い温度範囲で、温度を測定できることが求められる場合がある。 ところで、NTC型のサーミスタ素子は、温度が低い場合には抵抗値が高く、温度が上昇すると共に、その抵抗値が低くなる。
しかるに、サーミスタ素子の抵抗値が高すぎる場合も、低すぎる場合も、その抵抗値を簡易な回路で適切に測定することが困難になる。例えば、サーミスタ素子を用いた測温にしばしば用いられるリニアライズ回路(抵抗分圧回路)などを用いた場合、温度を測定する範囲において、サーミスタ素子の抵抗値が、概略、20Ω〜700kΩ程度の範囲に入っているのが好ましいことが判ってきた。さらに好ましくは、概略、50Ω〜500kΩの範囲に入っているのが好ましいことが判ってきた。
また、−40〜900℃の温度範囲で、このような抵抗値の範囲に収まるには、サーミスタ素子本体の持つB定数が、2000K〜3000K程度とする必要があることも判ってきた。
しかしながら、−40〜900℃の温度範囲において、サーミスタ素子の抵抗値を、上述の範囲内に適切に収めるには、サーミスタ素子本体のB定数の値のみならず、各部の寸法など他の要素についても考慮する必要があり、適切な特性を有するサーミスタ素子を製造するには、なお検討が必要であった。
そこで、さらに発明者らが調査を行ったところ、B定数がB(-40〜900)=2.00×103〜3.00×103Kの導電性酸化物焼結体からなるサーミスタ素子本体を用いたサーミスタ素子のうち、サーミスタ素子本体を貫通し、直線状に延びた、断面円形の第1電極部を有する第1電極線と、第1電極線と対をなす第2電極線であって、サーミスタ素子本体を上記電極部に平行に貫通し、直線状に延びた、断面円形の第2電極部を有する第2電極線と、を備えているサーミスタ素子については、少なくとも、サーミスタ素子本体の、第1電極部と第2電極部との仮想中点を通る、第1電極部と第2電極部との間を結ぶ仮想面に直交する仮想面直交方向の厚みtが、t=0.50〜1.2mmであり、第1電極部及び第2電極部の直径φが、φ=0.25〜0.40mmである範囲においては、第1電極部及び第2電極部の長さをL(mm)、第1電極部と第2電極部との間の電極間距離をD(mm)としたとき、サーミスタ素子の抵抗値は、電極寸法比D/Lと比例関係となり、電極寸法比D/Lが大きいほど抵抗値が増加することが判明した。
さらに、直径φの抵抗値に対する影響や、厚みtの抵抗値に対する影響、断面円形の第1,第2電極部を用いたことによる影響も、判ってきた。
本発明は、かかる知見に基づいてなされたものであって、−40〜900℃の温度範囲で、適切な抵抗値を取ることができるサーミスタ素子、これを用いた温度センサ、及びサーミスタ素子の製造方法を提供することを目的とする。
その解決手段は、B定数がB(-40〜900)=2.00×103〜3.00×103Kの導電性酸化物焼結体からなるサーミスタ素子本体と、上記サーミスタ素子本体を貫通し、直線状に延びた、断面円形の第1電極部を有する第1電極線と、上記第1電極線と対をなす第2電極線であって、上記サーミスタ素子本体を上記第1電極部に平行に貫通し、直線状に延びた、断面円形で、上記第1電極部と等しい直径及び長さの第2電極部を有する第2電極線と、を備え、上記サーミスタ素子本体は、上記第1電極部と第2電極部との仮想中点を通る、上記第1電極部と第2電極部との間を結ぶ仮想面に直交する仮想面直交方向の厚みtが、t=0.500〜1.20mmであり、上記第1電極部及び第2電極部は、その直径φが、φ=0.250〜0.400mmであり、上記第1電極部及び第2電極部の長さをL(mm)、上記第1電極部と第2電極部との間の電極間距離をD(mm)、素子残厚をY(mm)=t−φ/√2としたとき、電極寸法比D/Lを、下記式(1)の範囲としてなるサーミスタ素子である。
[(2.00×10-2×0.410)/(7.00×102×exp(B×-3.44×10-3))]
×[(0.410+(1-1/√2)×0.300)/(D+(1-1/√2)φ)]
×(φ/0.300)
×[0.278/(0.474Y2−0.919Y+0.698)]
≦ D/L ≦
[(7.00×102×0.410)/(2.00×10-2×exp(B×3.44×10-3))]
×[(0.410+(1-1/√2)×0.300)/(D+(1-1/√2)φ)]
×(φ/0.300)
×[0.278/(0.474Y2−0.919Y+0.698)] …(1)
本発明のサーミスタ素子では、このサーミスタ素子の電極寸法比D/Lを、B定数(=2000〜3000K)、直径φ、厚みtに応じた、式(1)で規定される範囲とすると、−40℃でのサーミスタ素子の第1電極線と第2電極線との間の抵抗値Rs(-40)を、Rs(-40)≦7.00×102kΩとすることができる。さらに、900℃でのサーミスタ素子の第1電極線と第2電極線との間の抵抗値Rs(900)を、Rs(900)≧2.00×10-2kΩとすることができる。つまり、温度が−40〜900℃の範囲で、サーミスタ素子の第1電極線と第2電極線との間の抵抗値Rsを、Rs=2.00×10-2〜7.00×102kΩとすることができる。従って、サーミスタ素子と検知抵抗とを直列に接続した抵抗分圧回路に定電圧を印加し、分圧した電圧値を計測する回路など、簡易な回路を用いながらも、−40〜900℃の範囲で、抵抗値Rsを適切に検知可能なサーミスタ素子とすることができる。
しかも、式(1)によれば、電極寸法比D/Lの範囲として与えられるので、Dを都合の良い値に固定しておき、Lを変化させる、あるいは、Lを都合の良い値に固定しておき、Dを変化させる、などの調整により、抵抗値Rsを容易に調整できる。
なお、B定数B(-40〜900)は、-40℃及び900℃における抵抗値から求めたB定数である。
ここで、式(1)について説明する。この式(1)のうち、[(2.00×10-2×0.410)/(7.00×102×exp(B×-3.44×10-3))]をA1項、[(7.00×102×0.410)/(2.00×10-2×exp(B×3.44×10-3))]をA2項とする。また、[(0.410+(1-1/√2)×0.300)/(D+(1-1/√2)φ)]をB項、(φ/0.300)をC項、[0.278/(0.474Y2−0.919Y+0.698)]をD項とする。B,C,D項は、式(1)の左右の項(上限及び下限の項)に共通の項である。
先ず、A1項について説明する。
NTCサーミスタ素子の抵抗−温度特性、すなわち、温度Ts(K)における抵抗値Rsは、近似的に、Rs=R0・exp[B(1/Ts−1/T0)]で与えられる。ここで、当初抵抗値R0は、当初温度T0(K)における抵抗値、BはB定数(=B(-40〜900))である。
ところで、前述したように、B定数がB(-40〜900)=2.00×103〜3.00×103Kの導電性酸化物焼結体からなるサーミスタ素子本体を用いたサーミスタのうち、サーミスタ素子本体を貫通し、直線状に延びた、断面円形の第1電極部を有する第1電極線と、第1電極線と対をなす第2電極線であって、サーミスタ素子本体を上記電極部に平行に貫通し、直線状に延びた、断面円形の第2電極部を有する第2電極線と、を備えているサーミスタ素子を考える。このサーミスタ素子については、少なくとも、サーミスタ素子本体の、第1電極部と第2電極部との仮想中点を通る、第1電極部と第2電極部との間を結ぶ仮想面に直交する仮想面直交方向の厚みtが、t=0.50〜1.2mmであり、第1電極部及び第2電極部の直径φが、φ=0.25〜0.40mmである範囲においては、第1電極部及び第2電極部の長さをL(mm)、第1電極部と第2電極部との間の電極間距離をD(mm)としたとき、サーミスタ素子の抵抗値Rsは、電極寸法比D/Lと比例関係となることが判明した。
このようになる理由は、第1,第2電極部は、サーミスタ素子本体を互いに平行に貫通しているので、その長さLに沿う方向についてみると、第1,第2電極部間に生じる電界の様子は、どの部分でも、ほぼ同様であると考えられる。したがって、長さLが2倍になれば、サーミスタ素子の抵抗値Rsは1/2倍になると言うように、反比例の関係になる。一方、第1電極部と第2電極部との間の電極間距離Dを2倍とすれば、サーミスタ素子の抵抗値Rsも2倍になると言うように、正比例の関係になる。したがって、サーミスタ素子の抵抗値Rsは電極寸法比D/Lと、正比例の関係になると考えられる。
ここで、基準の電極間距離Db=0.410mm、基準の電極部の長さLb=1.00mmとし、基準の電極寸法比Db/Lb=0.410とした基準のサーミスタ素子を考える。また、このサーミスタ素子の持つB定数をB(-40〜900)=Bとする。
そして、当初温度T0=233K(=-40℃)のときの当初抵抗値R0(-40)が、R0(-40)=7.00×102(kΩ)であると仮定する。このサーミスタ素子の温度を変化させて、温度Ts=1173K(=900℃)とした場合、その抵抗値Rsは、Rs=7.00×102×exp[B(1/1173−1/233)]=7.00×102×exp(B×-3.44×10-3)で与えられる。つまり、B定数B、基準の電極寸法比Db/Lb=0.410を持つ基準のサーミスタ素子の温度Ts(=900℃)における抵抗値Rsが上式で与えられる。
一方、サーミスタ素子の抵抗値Rsは、電極寸法比D/Lに正比例するから、Rs=a1・(Db/Lb)、但しa1は比例係数、で表せる。また、温度Ts(=900℃)下で、サーミスタ素子に許容される最小の抵抗値2.00×10-2(kΩ)(=20.0Ω)となる電極寸法比を(D/L)minとすると、この場合も、2.00×10-2=a1×(D/L)minという関係を満たす。従って、比例係数a1=(D/L)min/2.00×10-2=(Db/Lb)/(7.00×102×exp(B×-3.44×10-3))の関係を満たす。これより、(D/L)min=(2.00×10-2)×(Db/Lb)/(7.00×102×exp(B×-3.44×10-3))=(2.00×10-2×0.410)/(7.00×102×exp(B×-3.44×10-3))となる。この電極寸法比(D/L)minは、電極寸法比D/Lのうちで、許容される最も小さな値であるから、電極寸法比D/Lとしては、D/L≧[(2.00×10-2×0.410)/(7.00×102×exp(B×-3.44×10-3))となる値を選択すればよいことになる。
これにより、A1項と電極寸法比D/Lとの関係が得られた。
ついで、A2項について説明する。
先ず、上述のA1項とは逆に、当初温度T0=1173K(=900℃)のときの当初抵抗値R0(900)が、R0(900)=2.00×10-2(kΩ)であると仮定する。このサーミスタ素子の温度を変化させて、温度Ts=233K(=-40℃)とした場合、その抵抗値Rsは、Rs=2.00×10-2×exp[B(1/233−1/1733)]=2.00×10-2×exp(B×3.44×10-3)で与えられる。つまり、基準の電極寸法比Db/Lb=0.410を持つ基準のサーミスタ素子の温度Ts(=-40℃)における抵抗値Rsが上式で与えられる。
一方、サーミスタ素子の抵抗値Rsは、前述したように電極寸法比D/Lに正比例するので、Rs=a2・(Db/Lb)で表せる。また、温度Ts(=-40℃)下で、サーミスタ素子に許容される最大の抵抗値7.00×102(kΩ)となる電極寸法比を(D/L)maxとすると、この場合も、7.00×102=a2×(D/L)maxという関係を満たす。したがって、比例係数a2=(D/L)max/7.00×102=(Db/Lb)/(2.00×10-2×exp(B×-3.44×10-3))の関係を満たす。これより、(D/L)max=(7.00×102)×(Db/Lb)/(2.00×10-2×exp(B×-3.44×10-3))=(7.00×102×0.410)/(2.00×10-2×exp(B×-3.44×10-3))となる。この電極寸法比(D/L)maxは、電極寸法比D/Lのうちで、許容される最も大きな値であるから、電極寸法比D/Lとしては、D/L≦[(2.00×10-27.00×102×0.410)/(2.00×10-2×exp(B×-3.44×10-3))となる値を選択すればよいことになる。
これにより、A2項と電極寸法比D/Lとの関係が得られた。
ついで、B項について説明する。
本発明のサーミスタ素子は、直線状に延びた、断面円形の第1電極部及び第2電極部を用いている。また、この第1電極部及び第2電極部の直径はφ(mm)である。第1電極部と第2電極部との間の抵抗値Rsに寄与するのは、第1,第2電極部のうちごく一部の、電極間距離Dをなす、互いに最も近い部分のみではないから、第1電極部及び第2電極部の表面形状(円筒面)を考慮する必要がある。この場合、抵抗値Rsに寄与する第1電極部と第2電極部との実効的な距離としては、電極間距離Dよりも大きな値となるはずである。
そこで、図1に示すように、第1電極部2aと第2電極部3aの実効距離Deffを、D+(1−1/√2)×φ/2×2=D+(1-1/√2)φとする。
ところで、基準のサーミスタ素子において、基準の電極間距離Db=0.410mm、基準の電極部の直径φb=0.300mmであるので、基準の実効距離Deffbは、Deffb=(0.410+(1-1/√2)×0.300)=0.498となる。
B項は、A1項あるいはA2項に対して、この基準の実効距離Deffbを基準として、考察しているサーミスタ素子についての実効距離Deffの影響を補正する補正項である。なお、電極間距離Dと同じく、実効距離Deffも、その値が大きくなるほど、サーミスタ素子の抵抗値Rsが大きくなる(比例する)。そこで、サーミスタ素子の実効距離Deffとして、基準の実効距離Deffbと異なる値を採用した場合には、その影響を相殺すべく、A1項あるいはA2項に、B項:Deffb/Deff=[(0.410+(1-1/√2)×0.300)/(D+(1-1/√2)φ)]を掛け合わせる。
ついで、C項について説明する。
第1,第2電極部は、図1に示すように、実効的に、上述で説明した実効距離Deffの電極間距離を持ち、実効幅Weffの幅を持つ電極部同士が対向しているとも考えることができる。この実効幅Weffの大きさは、Weff=2×1/√2×φ/2=φ/√2で与えられる。
ところで、基準のサーミスタ素子において、基準の電極部の直径φb=0.300mmであるので、基準の実効幅Weffbは、Weffb=0.300/√2=0.212mmとなる。
C項は、A1項あるいはA2項に対して、この基準の実効幅Weffbを基準として、考察しているサーミスタ素子についての実効幅Weffの影響を補正する補正項である。なお、実効幅Weffは、その値が大きくなるほど、サーミスタ素子の抵抗値Rsが小さくなる(反比例する)。そこで、サーミスタ素子の実効幅Weffとして、基準の実効幅Weffbと異なる値を採用した場合には、その影響を相殺すべく、A1項あるいはA2項に、C項:Weff/Weffb=φ/0.300(=((φ/√2)/(0.300/√2)))を掛け合わせる。
ついで、D項について説明する。
サーミスタ素子第1電極部2aと第2電極部3aとの間に生じる電気力線EFは、図2に示すように、第1電極部2aと第2電極部3aの表面のうち、実効幅Weffの範囲(図1参照)のみに生じる訳ではなく、それよりも拡がって生じる。具体的には、第1電極部2aと第2電極部3aの仮想中点CPを通り、第1電極部2aの中心線2acと第2電極部3aの中心線3acを通る仮想面Pに直交する仮想面直交方向DR1(図2中、上下方向)におけるサーミスタ素子本体1の厚みtのうち、実効幅Weffの範囲を除いた部分(厚みt1,t2の部分)をも、電気力線EFは通る。したがって、この部分の厚みt1,t2の大きさによっても、サーミスタ素子の抵抗値Rsが変化する。そこで、素子残厚YをY=t1+t2=t−Weff=t−φ/√2と定義した。
そして、所定の組成を有するサーミスタ本体1を用いた基準のサーミスタ素子(Db=0.410mm、φb=0.300mm、Weffb=0.212mm)について、素子残厚Y、したがって厚みtを変化させた場合に、Ts=350℃で得られる抵抗値Rsの各例を、図3にプロットした。
さらにこの結果から、2次の近似曲線の式:Rs=0.474Y2−0.919Y+0.698を得た。
また、厚みtを基準の厚みtb=0.950mmとし、したがって基準の素子残厚YbをYb=tb−φb/√2=0.950−0.300/√2=0.738mmとした場合の、基準の抵抗値Rsbを、上記式から求めると、Rsb=0.278(kΩ)となる。
D項は、A1項あるいはA2項に対して、この基準の素子残厚Ybである場合の抵抗値Rsbを基準としたとき、考察しているサーミスタ素子の素子残厚がYである場合に抵抗値が変化する影響を補正する補正項である。そこで、サーミスタ素子の素子残厚Yとして、基準の素子残厚Ybと異なる値を採用した場合には、素子残厚Yを変化させたことによる抵抗値の補正は、その影響を相殺するように、A1項あるいはA2項に、D項:[0.278/(0.474Y2−0.919Y+0.698)]を掛け合わせて行う。
以上のように、電極寸法比D/Lの下限を与えるA1項、及び上限を与えるA2項について、基準のサーミスタ素子の各寸法を基準とした補正のためのB,C,D項をそれぞれ掛け合わせて、各寸法の違いを補正することで、より適切な電極寸法比D/Lの範囲(下限及び上限)を与えることができる。
他の解決手段は、B定数がB(-40〜900)=2.00×103〜2.50×103Kの導電性酸化物焼結体からなるサーミスタ素子本体と、上記サーミスタ素子本体を貫通し、直線状に延びた、断面円形の第1電極部を有する第1電極線と、上記第1電極線と対をなす第2電極線であって、上記サーミスタ素子本体を上記第1電極部に平行に貫通し、直線状に延びた、断面円形で、上記第1電極部と等しい直径及び長さの第2電極部を有する第2電極線と、を備え、上記サーミスタ素子本体は、上記第1電極部と第2電極部との仮想中点を通る、上記第1電極部と第2電極部との間を結ぶ仮想面に直交する仮想面直交方向の厚みtが、t=0.500〜1.20mmであり、上記第1電極部及び第2電極部は、その直径φが、φ=0.250〜0.400mmであり、上記第1電極部及び第2電極部の長さをL(mm)、上記第1電極部と第2電極部との間の電極間距離をD(mm)、素子残厚をY(mm)=t−φ/√2としたとき、電極寸法比D/Lを、下記式(2)の範囲としてなるサーミスタ素子である。
[(5.00×10-2×0.410)/(5.00×102×exp(B×-3.44×10-3))]
×[(0.410+(1-1/√2)×0.300)/(D+(1-1/√2)φ)]
×(φ/0.300)
×[0.278/(0.474Y2−0.919Y+0.698)]
≦ D/L ≦
[(5.00×102×0.410)/(5.00×10-2×exp(B×3.44×10-3))]
×[(0.410+(1-1/√2)×0.300)/(D+(1-1/√2)φ)]
×(φ/0.300)
×[0.278/(0.474Y2−0.919Y+0.698)] …(2)
本発明のサーミスタ素子では、このサーミスタ素子の電極寸法比D/Lを、B定数(=2000〜2500K)、直径φ、厚みtに応じた、式(2)で規定される範囲とすると、−40℃でのサーミスタ素子の第1電極線と第2電極線との間の抵抗値Rs(-40)を、Rs(-40)≦5.00×102kΩとすることができる。さらに、900℃でのサーミスタ素子の第1電極線と第2電極線との間の抵抗値Rs(900)を、Rs(900)≧5.00×10-2kΩとすることができる。つまり、温度が−40〜900℃の範囲で、サーミスタ素子の第1電極線と第2電極線との間の抵抗値Rsを、Rs=5.00×10-2〜5.00×102kΩとすることができる。従って、抵抗分圧回路などの簡易な回路を用いながらも、−40〜900℃の範囲で、抵抗値Rsをさらに適切に検知可能なサーミスタ素子とすることができる。
しかも、式(2)によれば、電極寸法比D/Lの範囲として与えられるので、Dを都合の良い値に固定しておき、Lを変化させる、あるいは、Lを都合の良い値に固定しておき、Dを変化させる、などの調整により、抵抗値Rsを容易に調整できる。
なお、式(2)のうち、A3項:[(5.00×10-2×0.410)/(5.00×102×exp(B×-3.44×10-3))]は、前述のA1項と、5.00×10-2及び5.00×102の値が異なっているだけで、同様に考えればよいので説明を省略する。同様に、A4項:[(5.00×102×0.410)/(5.00×10-2×exp(B×3.44×10-3))]も、前述のA2項と、5.00×10-2及び5.00×102の値が異なっているだけであるので、同様に考えればよく、説明を省略する。
さらに、B,C,D項は、前述の式(1)と同様であり、また、式(2)において、左右の項(上限及び下限の項)に共通の項である。
また、請求項1または請求項2に記載のサーミスタ素子であって、同一品番の多数の上記サーミスタ素子について、上記サーミスタ素子本体の前記B定数と前記厚みtとの相関関係を見たとき、上記サーミスタ素子本体の上記B定数が大きいサーミスタ素子ほど、上記厚みtを小さくしてなる相関関係を有するサーミスタ素子とすると良い。
前述したように、サーミスタ素子の用途の1つに、車両用の温度センサがある。この温度センサの中には、車両運行時などにおいて、400〜900℃程度の温度に晒され、この温度付近で、サーミスタ素子の抵抗値の変化により、温度変化を精度良く検知したいものがある。
ところで、サーミスタ素子本体(導電性酸化物焼結体)のB定数は、同一品番のサーミスタ素子と言えども、完全に同一に形成することは困難であり、原材料の変動や調製段階での変動などにより、多数のサーミスタ素子を見た場合、例えば、異なる時期に製造した製造ロットの異なるサーミスタ素子(サーミスタ素子本体)について抜き取り検査をした場合、B定数にばらつきが生じることはやむを得ない。具体的には、サーミスタ素子本体用の原料粉末について、その先行試験の結果から、あるロットは、これを焼成した場合に、B定数が、所定の許容範囲内ではあっても、やや高めになる。一方、別のロットは、これを焼成した場合に、B定数が、所定の許容範囲内ではあっても、やや低めになると言うような状態が生じる。
なお、焼成条件を調整することにより、原料粉末の持つB定数の傾向を補正することが可能な場合もあるが、焼成条件の変更によるサーミスタ素子本体の他の特性などへの影響が考えられ、採用困難な場合が多い。
一方、サーミスタ素子本体の厚みtを変化させても、B定数を変化させることはできないが、この厚みtを変更したサーミスタ素子本体を形成することにより、サーミスタ素子の第1,第2電極部間で発生する抵抗値の大きさを変化させることはできる。具体的には、厚みtを大きくするほど、抵抗値が小さくなる。
本発明のサーミスタ素子は、サーミスタ素子本体のB定数が大きいほど、厚みtを小さくしてあるので、厚みtが大きいものに比して、サーミスタ素子の抵抗値が相対的に高くなる。
これにより、B定数が大きいと、温度範囲−40〜900℃のうち、特に、抵抗値が低くなる高温域の400〜900℃の範囲において、各サーミスタ素子の抵抗値がより低くなりがちであるのを、厚みtを小さくすることで抑制することができる。
また、この逆に、B定数が小さいと、この高温域において、各サーミスタ素子の抵抗値が高くなりがちであるのを、厚みtを大きくすることで抑制することができる。
かくして、各サーミスタ素子が、この高温域で実際に取る抵抗値のバラツキを抑制することができ、より適切に精度良く、温度検知をすることができる。
さらに、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のサーミスタ素子であって、前記サーミスタ素子本体をなす前記導電性酸化物焼結体が、Laを除く3A族元素のうち少なくとも1種の元素をM1とし、2A族元素のうち少なくとも1種の元素をM2とし、Crを除く4A,5A,6A,7A及び8族元素のうち少なくとも1種の元素をM3としたとき、組成式M1aM2bM3cAldCrefで表記され、 a,b,c,d,e,fが下記条件式を満たし、ペロブスカイト型結晶構造を有する導電性のペロブスカイト相と、上記ペロブスカイト相よりも導電性が低く、上記ペロブスカイト相を構成する金属元素から選択された少なくとも1種の金属元素をMeとしたとき、組成式MeOxで表記される結晶構造を有する少なくとも1種の金属酸化物相と、を含む導電性酸化物焼結体であるサーミスタ素子とすると良い。
0.600≦a≦1.000
0≦b≦0.400
0.150≦c<0.600
0.400≦d≦0.800
0<e≦0.050
0<e/(c+e)≦0.18
2.80≦f≦3.30
本発明のサーミスタ素子では、サーミスタ素子本体に、上述の導電性酸化物焼結体(以下、単に焼結体ともいう)を用いている。この焼結体のうち、a,b,c,d,e,fが上述の条件式を満たす導電性のペロブスカイト相は、−40℃〜+900℃の温度範囲における温度勾配定数(B定数:B(-40〜900))が、2000〜3000Kとなる。さらに、この導電性酸化物焼結体には、このペロブスカイト相よりも導電性が低い(絶縁性の高い、比抵抗の大きい)金属酸化物相も含まれている。このため、導電性酸化物焼結体において金属酸化物相の占める割合を適宜変化させることで、B定数を維持しつつ、導電性酸化物焼結体全体の比抵抗の値をシフトさせることができる。従って、この導電性酸化物焼結体を用いたサーミスタ素子では、所望の形態を有しながらも、−40℃〜+900℃の温度範囲において、適切な抵抗値となるように調整することができる。かくして、この導電性酸化物焼結体をサーミスタ素子本体に用いたサーミスタ素子では、このような広い温度範囲において、適切に温度を測定することができる。また、抵抗値計測(温度計測)のための回路構成を簡単にし、あるいは精度良好な抵抗値測定を可能とすることができる。
しかも、この導電性酸化物焼結体において、金属酸化物相MeOxをなす金属元素Meは、ペロブスカイト相を構成する金属元素から選択されたものである。従って、このペロブスカイト相と金属酸化物相とが共存するの焼結体中に、予期しない副生成物が生成されるおそれが無く、副生成物の生成による特性の変動が生じる虞もない。
また、金属元素Meがペロブスカイト相をなす金属元素でない場合には、この金属元素Meがペロブスカイト相中に固溶することで、固溶前とは異なる元素からなるペロブスカイト相が生成される虞があるが、本発明の焼結体では、このような組成変動も生じにくく、安定した組成を維持でき、焼結体の諸特性の変動も抑制される。
なお、導電性酸化物焼結体のうち、ペロブスカイト相は、ペロブスカイト型(ABO3)の結晶構造を有しており、通常Aサイトが(M1aM2b)、Bサイトが(M3cAldCre)である(M1aM2b)(M3cAldCre)O3で示される組成となる。ただし、a,b,c,d,eは上述の条件を満たす。
このような結晶構造を有する場合、Aサイトを占める元素M1,M2はイオン半径が近接しており、元素同士で互いに容易に置換できるものであり、これらの元素からなる副生成物の生成が少なく、置換された組成で安定に存在する。同様に、Bサイトを占める元素M3,Al,Crはイオン半径が近接しており、元素同士で互いに容易に置換できるものであり、これらの元素からなる副生成物の生成が少なく、置換された組成で安定に存在する。このため、広い組成範囲で連続的に組成比を変えて、導電性酸化物焼結体の比抵抗値やその温度勾配定数(B定数)を調整することができる。
なお、上述の導電性酸化物焼結体を作製する際の焼成条件(酸化、還元等の焼成雰囲気、及び焼成温度など)や、ペロブスカイト相のAサイト及びBサイトにおける元素同士の置換の量比により、酸素の過剰或いは欠損を生じることがあるので、fは3前後の値を取る。このように、上述の組成式における酸素原子と(M1aM2b)とのモル比、及び酸素原子と(M3cAldCre)とのモル比は、それぞれ正確に3:1となっていなくても、ペロブスカイト型の結晶構造が維持されていればよい。
また、金属酸化物相としては、ペロブスカイト相よりも導電率が低く、ペロブスカイト相を構成する金属元素から選択された少なくとも1種の金属元素をMeとしたときに、MeOxで表される結晶構造を有するものであればよい。具体的には、単一金属元素の酸化物、例えば、Y23,SrO,CaO,MnO2,Al23,Cr23などが挙げられる。また、複数の金属元素からなる複酸化物、例えば、Y−Al系酸化物(YAlO3,Y3Al512等)、Sr−Al系酸化物(SrAl24)なども挙げられる。さらにはこれらの酸化物が複数種類混在していても良い。
なお、導電性酸化物焼結体を構成する結晶粒子の大きさを示す平均粒径は、好ましくは7μm以下、より好ましくは0.1〜7μm、更に好ましくは0.1〜3μmである。結晶粒子の平均粒子径が大きくなりすぎると、この焼結体あるいはこれを用いたサーミスタ素子の特性の不安定化を招く傾向があるためである。
さらに、上記のサーミスタ素子であって、前記導電性酸化物焼結体の前記a,bが下記条件式を満たすサーミスタ素子とするするのが好ましい。
0.600≦a<1.000
0<b≦0.400
このサーミスタ素子では、前記導電性酸化物焼結体について、0.600≦a<1.000,及び0<b≦0.400、つまり、a<1.000,b>0としている。即ち、この焼結体では、そのペロブスカイト相は、Laを除く3A族元素のうち少なくとも1種の元素M1のほか、2A族のうち少なくとも1種の元素M2を必須成分として含みつつ、a及びbが上述の条件式を満たす組成を有する。この導電性酸化物焼結体を用いたサーミスタ素子では、ペロブスカイト相に、元素M2を含まない(b=0)のものに比して、これを多数製造する場合にも、各々の導電性酸化物焼結体(サーミスタ素子本体)、従って、サーミスタ素子の個体間の特性バラツキ、焼成ロット間の特性バラツキを小さくすることができる利点がある。
さらに、上記サーミスタ素子であって、前記導電性酸化物焼結体について、a,b,c,d,e,fが下記の条件式を満たすサーミスタ素子とするのが好ましい。
0.820≦a≦0.950
0.050≦b≦0.180
0.181≦c≦0.585
0.410≦d≦0.790
0.005≦e≦0.050
0<e/(c+e)≦0.18
2.91≦f≦3.27
a〜fが上述の条件式を満たす本発明のサーミスタ素子では、導電性酸化物焼結体がなすサーミスタ素子本体について、より確実に−40℃〜900℃の温度範囲におけるB定数を2000〜3000Kの範囲内に調整することができる。またa〜fが上述の条件式を満たすこの導電性酸化物焼結体では、a〜fをある数値に特定した導電性焼結体を用いたサーミスタ素子を複数製造する場合にも、各導電性焼結体(サーミスタ素子本体)、従って、サーミスタ素子の個体間の特性ばらつき、焼成ロット間の特性ばらつきを一層小さくすることができる。
さらに、上記サーミスタ素子であって、前記導電性酸化物焼結体について、a,b,c,d,e,fが下記の条件式を満たすサーミスタ素子とするのが好ましい。
0.850≦b≦0.940
0.060≦b≦0.150
0.181≦c≦0.545
0.450≦d≦0.780
0.005≦e≦0.050
0<e/(c+e)≦0.18
2.92≦f≦3.25
さらに、上記いずれかに記載のサーミスタ素子であって、前記導電性酸化物焼結体において、前記元素M1がY,Nd,Ybから選ばれる1種またはそれ以上の元素であり、前記元素M2がMg,Ca,Srから選ばれる1種またはそれ以上の元素であり、前記元素M3がMn,Feから選ばれる1種またはそれ以上の元素であるサーミスタ素子とするのが好ましい。
このサーミスタ素子に用いる導電性酸化物焼結体では、元素M1をY,Nd,Ybから選ばれる1種またはそれ以上の元素とし、元素M2をMg,Ca,Srから選ばれる1種またはそれ以上の元素とし、元素M3をMn,Feから選ばれる1種またはそれ以上の元素としている。これらの元素を選択することにより、上記した範囲のB定数が安定して得られるものとし易い。
あるいは、前記いずれかに記載のサーミスタ素子であって、前記導電性酸化物焼結体における、前記元素M1がYであり、前記元素M2がSrであり、前記M3がMnであるサーミスタ素子とするのが好ましい。
サーミスタ素子に用いるこの導電性酸化物焼結体では、特に、元素M1をYとし、元素M2をSrとし、元素M3をMnとしている。これにより、上記した範囲のB定数が安定して得られるものとし易い。
さらに、上述のサーミスタ素子であって、前記導電性酸化物焼結体において、上記導電性酸化物焼結体の断面(断面積S)に現れた上記ペロブスカイト相の総断面積をSPとしたとき、S及びSPが下記式を満たすサーミスタ素子とするのが好ましい。
0.20≦SP/S≦0.80
焼結体には、ペロブスカイト相と金属酸化物相とが含まれているので、その断面にも、ペロブスカイト相及び金属酸化物相が現れる。本発明のサーミスタ素子に用いる焼結体では、焼結体の断面(断面積S)とこれに現れたペロブスカイト相の総断面積SPとを上述の式を満たす関係とした。具体的には、焼結体の断面積S中に占めるペロブスカイト相の総断面積SPの割合の下限を0.20(20%)とした。
金属酸化物相に対して相対的に高い導電性を示すペロブスカイト相の総断面積が20%を下回る場合には、焼結体の導電性が低下して比抵抗が上昇するため、サーミスタ素子において、このような比抵抗値を有する焼結体を使用しにくくなるからである。
また、同様に、焼結体の断面積S中に占めるペロブスカイト相の総断面積SPの割合の上限を0.80(80%)以下とした。ペロブスカイト相の総断面積が80%を超える場合には、焼結体の導電性の低下がわずかで比抵抗の上昇が少ない。このため、ペロブスカイト相よりも比抵抗が大きい金属酸化物相を加えたことによる利点が少ないからである。
なお、焼結体の断面積S中に占めるペロブスカイト相の総断面積SPの割合は、焼結体に含まれるペロブスカイト相の体積分率とも等しい値となる。
さらに、上述のいずれかに記載のサーミスタ素子であって、前記導電性酸化物焼結体の前記金属酸化物相に複酸化物を含むサーミスタ素子とするのが好ましい。
本発明のサーミスタ素子では、焼結体の金属酸化物相が複酸化物を含んでいる。複酸化物は、2種以上の金属元素からなる酸化物である。
焼結体の焼成時あるいは900℃などの高温環境下において、複酸化物をなす2つの元素のうち、一方の元素のみが、複酸化物から、ペロブスカイト相へ移動し、これに固溶することは、単元素の酸化物から、これをなす金属元素(M1あるいはM2)が、ペロブスカイト相へ移動し固溶する場合に比して、生じにくいと考えられる。従って、金属酸化物相に複酸化物を含めることにより、高温環境下でのペロブスカイト相の組成のズレを抑制し、耐熱性を高めることができると考えられる。
さらに、上述のサーミスタ素子であって、前記導電性酸化物焼結体は、前記a,bが下記条件式を満たし、
0.600≦a<1.000
0<b≦0.400
前記金属酸化物相に、前記元素M1及び元素M2からなる複酸化物を含むサーミスタ素子とするのが好ましい。
このサーミスタ素子では、焼結体において、0.600≦a<1・000,及び0<b≦0.400、つまり、a<1・000,b>0としている。即ち、この焼結体では、そのペロブスカイト相は、3A族の元素M1のほか、2A族の元素M2を必須成分として含む組成を有する。その上、金属酸化物相が、複酸化物として、元素M1及びM2からなる複酸化物を含む。この元素M1及びM2はいずれも、ペロブスカイト相におけるAサイトに配置される元素である。
焼結体の焼成時あるいは900℃などの高温環境下において、複酸化物をなす2つの元素M1,M2のうち、一方の元素のみが、複酸化物から、ペロブスカイト相のAサイトへ移動し固溶することは、単元素の酸化物から、これをなす金属元素(M1あるいはM2)が、ペロブスカイト相のAサイトへ移動し固溶する場合に比して、生じにくいと考えられる。従って、金属酸化物相に、元素M1及びM2からなる複酸化物を含めることにより、さらに高温環境下でのペロブスカイト相の組成のズレを抑制し、耐熱性を高めることができる。
なお、このような複酸化物としては、例えば、ペロブスカイト相が、(Y,Sr)(Mn,Al,Cr)O3で表される場合において、SrY24,SrY47などが挙げられる。
さらに、上述のサーミスタ素子であって、前記導電性酸化物焼結体において、前記元素M1はYを含み、前記元素M2はSrを含み、前記金属酸化物相は、組成式SrY24で表記される複酸化物を含むサーミスタ素子とするのが好ましい。
このサーミスタ素子では、焼結体において、金属酸化物相に、複酸化物として、SrY24を含んでいる。このようにすることで、焼結体の耐熱性、高温安定性を高めることができる。
さらに、前述のサーミスタ素子であって、前記導電性酸化物焼結体のうち、前記金属酸化物相に、前記元素M1及びM2の少なくともいずれかと、前記元素M3,Al及びCrの少なくともいずれかとの複酸化物を含むサーミスタ素子とするのが好ましい。
このサーミスタ素子では、焼結体は、金属酸化物相が、ペロブスカイト相のAサイトをなす元素(M1,M2)と、Bサイトをなす元素(M3,Al,Cr)とからなる複酸化物を含んでいる。このように、ペロブスカイト相のAサイト及びBサイトをなす元素からそれぞれ選択した元素からなる複酸化物を用いることにより、高温環境下でのペロブスカイト相の組成のズレをさらに抑制することができると考えられる。
なお、このような複酸化物としては、ペロブスカイト相が(Y,Sr)(Mn,Al,Cr)O3である場合において、SrAl24、YAlO3,Y3Al512などが挙げられる。
さらに、上述のサーミスタ素子であって、前記導電性酸化物焼結体のうち、前記元素M2は、Srを含み、前記金属酸化物相は、組成式SrAl24で表記される複酸化物を含むサーミスタ素子とするのが好ましい。
本発明のサーミスタ素子では、焼結体は、ペロブスカイト相にSrを含んでおり、金属酸化物相には、SrAl24を含んでいる。このようにすることで、耐熱性が向上する利点がある。
さらに、上述のいずれか1項に記載のサーミスタ素子であって、前記導電性酸化物焼結体と、上記導電性酸化物焼結体を被覆する耐還元性の耐還元性被膜と、を備えるサーミスタ素子とするのが好ましい。
このサーミスタ素子は、導電性酸化物焼結体とこれを被覆する耐還元性被膜とを有している。このため、サーミスタ素子が還元性雰囲気に晒された場合でも、耐還元性被膜により焼結体が保護され、この焼結体が還元されることが防止されるので、サーミスタ素子(焼結体)の示す抵抗値を維持することができる。
さらに、上記のいずれか1項に記載のサーミスタ素子を用いてなる温度センサとすると良い。
本発明の温度センサでは、−40〜900℃の広い温度範囲にわたって、20〜700kΩ、あるいは50〜500kΩ以内という、適切な抵抗値を示すサーミスタ素子を用いてなるので、−40〜900℃の広い温度範囲にわたって、適切に温度測定が可能な温度センサとなる。また、抵抗値計測(温度計測)のための回路構成を簡単にし、あるいは精度良好な抵抗値測定を可能とすることができる温度センサとなる。
さらに他の解決手段は、B定数がB(-40〜900)=2.00×103〜3.00×103Kの導電性酸化物焼結体からなるサーミスタ素子本体と、上記サーミスタ素子本体を貫通し、直線状に延びた、断面円形の第1電極部を有する第1電極線と、上記第1電極線と対をなす第2電極線であって、上記サーミスタ素子本体を上記第1電極部に平行に貫通し、直線状に延びた、断面円形で、上記第1電極部と等しい直径及び長さの第2電極部を有する第2電極線と、を備えるサーミスタ素子の製造方法であって、上記サーミスタ素子において、上記サーミスタ素子本体のうち、上記第1電極部と第2電極部との仮想中点を通る、上記第1電極部と第2電極部との間を結ぶ仮想面に直交する仮想面直交方向の厚みをt(mm)、上記第1電極部及び第2電極部の直径をφ(mm)、上記第1電極部及び第2電極部の長さをL(mm)、上記第1電極部と第2電極部との間の電極間距離をD(mm)、素子残厚をY(mm)=t−φ/√2としたとき、焼結後に上記導電性酸化物焼結体となるプレス用粉末、上記第1電極線、及び上記第2電極線を用いて、未焼成サーミスタ素子をプレス成形するプレス工程であって、上記未焼成サーミスタ素子を焼成した場合に、上記厚みtが、t=0.500〜1.20mm、上記直径φが、φ=0.250〜0.400mm、電極寸法比D/Lが、下記式(1)の範囲内となる形態の上記未焼成サーミスタ素子を成形するプレス工程を備えるサーミスタ素子の製造方法である。
[(2.00×10-2×0.410)/(7.00×102×exp(B×-3.44×10-3))]
×[(0.410+(1-1/√2)×0.300)/(D+(1-1/√2)φ)]
×(φ/0.300)
×[0.278/(0.474Y2−0.919Y+0.698)]
≦ D/L ≦
[(7.00×102×0.410)/(2.00×10-2×exp(B×3.44×10-3))]
×[(0.410+(1-1/√2)×0.300)/(D+(1-1/√2)φ)]
×(φ/0.300)
×[0.278/(0.474Y2−0.919Y+0.698)] …(1)
本発明のサーミスタ素子の製造方法では、焼成後のサーミスタ素子において、厚みt、直径φが所定の範囲内になり、かつ、電極寸法比D/Lが、B定数(=2000〜3000K)、直径φ、厚みtに応じた、式(1)で規定される範囲となるように、未焼成サーミスタ素子をプレス成形する。
すると、これを焼成したサーミスタ素子では、−40℃での第1電極線と第2電極線との間の抵抗値Rs(-40)を、Rs(-40)≦7.00×102kΩとすることができる。さらに、900℃でのサーミスタ素子の第1電極線と第2電極線との間の抵抗値Rs(900)を、Rs(900)≧2.00×10-2kΩとすることができる。つまり、温度が−40〜900℃の範囲で、サーミスタ素子の第1電極線と第2電極線との間の抵抗値Rsを、Rs=2.00×10-2〜7.00×102kΩとすることができる。
かくして、本発明のサーミスタ素子の製造方法によって、抵抗分圧回路などの簡易な回路を用いながらも、−40〜900℃の範囲で、抵抗値Rsを適切に検知可能なサーミスタ素子を製造することができる。
しかも、式(1)によれば、電極寸法比D/Lの範囲として与えられるので、Dを都合の良い値に固定しておき、Lを変化させる、あるいは、Lを都合の良い値に固定しておき、Dを変化させる、などの調整により、サーミスタ素子抵抗値Rsを容易に調整できる製造方法となる。
さらに他の解決手段は、B定数がB(-40〜900)=2.00×103〜2.50×103Kの導電性酸化物焼結体からなるサーミスタ素子本体と、上記サーミスタ素子本体を貫通し、直線状に延びた、断面円形の第1電極部を有する第1電極線と、上記第1電極線と対をなす第2電極線であって、上記サーミスタ素子本体を上記第1電極部に平行に貫通し、直線状に延びた、断面円形で、上記第1電極部と等しい直径及び長さの第2電極部を有する第2電極線と、を備えるサーミスタ素子の製造方法であって、上記サーミスタ素子において、上記サーミスタ素子本体のうち、上記第1電極部と第2電極部との仮想中点を通る、上記第1電極部と第2電極部との間を結ぶ仮想面に直交する仮想面直交方向の厚みをt(mm)、上記第1電極部及び第2電極部の直径をφ(mm)、上記第1電極部及び第2電極部の長さをL(mm)、上記第1電極部と第2電極部との間の電極間距離をD(mm)、素子残厚をY(mm)=t−φ/√2としたとき、焼結後に上記導電性酸化物焼結体となるプレス用粉末、上記第1電極線、及び上記第2電極線を用いて、未焼成サーミスタ素子をプレス成形するプレス工程であって、上記未焼成サーミスタ素子を焼成した場合に、上記厚みtが、t=0.500〜1.20mm、上記直径φが、φ=0.250〜0.400mm、電極寸法比D/Lが、下記式(2)の範囲内となる形態の上記未焼成サーミスタ素子を成形するプレス工程を備えるサーミスタ素子の製造方法である。
[(5.00×10-2×0.410)/(5.00×102×exp(B×-3.44×10-3))]
×[(0.410+(1-1/√2)×0.300)/(D+(1-1/√2)φ)]
×(φ/0.300)
×[0.278/(0.474Y2−0.919Y+0.698)]
≦ D/L ≦
[(5.00×102×0.410)/(5.00×10-2×exp(B×3.44×10-3))]
×[(0.410+(1-1/√2)×0.300)/(D+(1-1/√2)φ)]
×(φ/0.300)
×[0.278/(0.474Y2−0.919Y+0.698)] …(2)
本発明のサーミスタ素子の製造方法では、焼成後のサーミスタ素子において、厚みt、直径φが所定の範囲内になり、かつ、電極寸法比D/Lが、B定数(=2000〜2500K)、直径φ、厚みtに応じた、式(2)で規定される範囲となるように、未焼成サーミスタ素子をプレス成形する。
すると、これを焼成したサーミスタ素子では、抵抗値Rs(-40)を、Rs(-40)≦5.00×102kΩとすることができる。さらに、抵抗値Rs(900)を、Rs(900)≧5.00×10-2kΩとすることができる。つまり、温度が−40〜900℃の範囲で、サーミスタ素子の第1電極線と第2電極線との間の抵抗値Rsを、Rs=5.00×10-2〜5.00×102kΩとすることができる。
かくして、本発明のサーミスタの製造方法によって、抵抗分圧回路などの簡易な回路を用いながらも、−40〜900℃の範囲で、抵抗値Rsをさらに適切に検知可能なサーミスタ素子を製造することができる。
しかも、式(2)によれば、電極寸法比D/Lの範囲として与えられるので、Dを都合の良い値に固定しておき、Lを変化させる、あるいは、Lを都合の良い値に固定しておき、Dを変化させる、などの調整により、サーミスタ素子抵抗値Rsを容易に調整できる製造方法となる。
さらに、請求項6または請求項7に記載のサーミスタ素子の製造方法であって、前記プレス工程は、同一品番のサーミスタ素子を製造する場合において、焼結後の上記サーミスタ素子本体の前記B定数が大きくなるプレス粉末を用いる場合ほど、前記厚さtが小さくなる形態の前記未焼成サーミスタ素子を成形するサーミスタ素子の製造方法とすると良い。
本発明のサーミスタ素子の製造方法では、焼成後のサーミスタ素子本体(導電性酸化物焼結体)のB定数が大きくなるプレス粉末を用いる場合ほど、厚さtが小さくなる形態に未焼成サーミスタ素子を成形する。
前述したように、サーミスタ素子本体(導電性酸化物焼結体)のB定数は、同一品番のサーミスタ素子と言えども、完全に同一に形成することは困難である。従って、多数のサーミスタ素子を見た場合、例えば、製造ロットの異なるサーミスタ素子について抜き取り検査をした場合、B定数にばらつきが生じる。
なお、焼成条件を調整することにより、原料粉末の持つB定数の傾向を補正することは可能な場合もあるが、焼成条件の変更によるサーミスタ素子本体の他の特性などへの影響が考えられ、採用困難な場合が多い。
一方、サーミスタ素子本体の厚みtを変化させても、B定数を変化させることはできないが、この厚みtを変更したサーミスタ素子本体を形成することにより、サーミスタ素子の第1,第2電極部間で発生する抵抗値の大きさを変化させることはできる。具体的には、厚みtを大きくするほど、抵抗値が小さくなる。
本発明のサーミスタ素子の製造方法では、プレス工程において、B定数が大きいプレス粉末を使い場合ほど、厚みtが小さくなる形態に未焼成サーミスタ素子を成形するので、厚みtが大きくなるものを成形した場合に比して、焼成後のサーミスタ素子の抵抗値を相対的に高くできる。
このようにして製造することにより、B定数が大きいと、温度範囲−40〜900℃のうち、特に、抵抗値が低くなる高温域の400〜900℃の範囲において、各サーミスタ素子の抵抗値がより低くなりがちであるのを、厚みtを小さくすることで抑制することができる。
また、この逆に、B定数が小さいと、この高温域において、各サーミスタ素子の抵抗値が高くなりがちであるのを、厚みtを大きくすることで抑制することができる。
かくして、本発明の製造方法によれば、この高温域で実際に取る抵抗値のバラツキを抑制し、より適切に精度良く、温度検知をすることができるサーミスタ素子を製造することができる。
さらに、請求項6〜請求項8のいずれか1項に記載のサーミスタ素子の製造方法であって、前記サーミスタ素子本体をなす前記導電性酸化物焼結体が、Laを除く3A族元素のうち少なくとも1種の元素をM1とし、2A族元素のうち少なくとも1種の元素をM2とし、Crを除く4A,5A,6A,7A及び8族元素のうち少なくとも1種の元素をM3としたとき、組成式M1aM2bM3cAldCrefで表記され、a,b,c,d,e,fが下記条件式を満たし、ペロブスカイト型結晶構造を有する導電性のペロブスカイト相と、上記ペロブスカイト相よりも導電性が低く、上記ペロブスカイト相を構成する金属元素から選択された少なくとも1種の金属元素をMeとしたとき、組成式MeOxで表記される結晶構造を有する少なくとも1種の金属酸化物相と、を含む導電性酸化物焼結体であるサーミスタ素子の製造方法とすると良い。
0.600≦a≦1.000
0≦b≦0.400
0.150≦c<0.600
0.400≦d≦0.800
0<e≦0.050
0<e/(c+e)≦0.18
2.80≦f≦3.30
本発明のサーミスタ素子の製造方法では、サーミスタ素子本体をなす導電性酸化物焼結体(以下、単に焼結体ともいう)に、上述の条件を満たす焼結体を用いている。この焼結体のうち、a,b,c,d,e,fが上述の条件式を満たす導電性のペロブスカイト相は、−40℃〜+900℃の温度範囲における温度勾配定数(B定数:B(-40〜900))が、2000〜3000Kとなる。さらに、この導電性酸化物焼結体には、このペロブスカイト相よりも導電性が低い(絶縁性の高い、比抵抗の大きい)金属酸化物相も含まれている。このため、導電性酸化物焼結体において金属酸化物相の占める割合を適宜変化させることで、B定数を維持しつつ、導電性酸化物焼結体全体の比抵抗の値をシフトさせることができる。従って、この導電性酸化物焼結体を用いたサーミスタ素子では、所望の形態を有しながらも、−40℃〜+900℃の温度範囲において、適切な抵抗値となるように調整することができる。かくして、サーミスタ素子を製造するに当たり、この導電性酸化物焼結体をサーミスタ素子本体に用いることで、このような広い温度範囲において、適切に温度を測定することができるサーミスタ素子を製造することができる。また、抵抗値計測(温度計測)のための回路構成を簡単にし、あるいは精度良好な抵抗値測定を可能なサーミスタ素子を製造することができる。
本発明に係るサーミスタ素子10について、図面を参照して説明する。このサーミスタ素子10は、図4に示すように、厚さt(mm)の六角形板状で、所定の組成を有する導電性酸化物焼結体からなるサーミスタ素子本体1と、このサーミスタ素子本体1の対向する対向面1A,1B間を、直径φで直線状の第1電極線2及び第2電極線3が、互いに平行に貫通する形態を有している。この第1電極線2のうち、サーミスタ素子本体1内に位置し、これを貫通する部分を第1電極部2a、対向面1Aから図4(b)中、下方に突出する部位を第1接続部2b、対向面1Bから図4(b)中、上方に突出する部位を第1突出部2cとする。同様に、第2電極線3のうち、サーミスタ素子本体1内に位置し、これを貫通する部分を第2電極部極3a、対向面1Aから図4(b)中、下方に突出する部位を第2接続部3b、対向面1Bから図4(b)中、上方に突出する部位を第2突出部3cとする。これら第1,第2電極線2,3は、いずれもPt−Rh合金からなる。
ついで、このサーミスタ素子10の各部の寸法と抵抗値との関係について検討する。
なお、第1電極部2aと第2電極部3aとの間の電極間距離をD(mm)、第1電極部2a及び第2電極部3aの長さをL(mm)、これらの直径をφ(mm)、サーミスタ素子本体1の厚みをt(mm)とする。
ここで、厚みtは、t=0.500〜1.20mm、直径φは、φ=0.250〜0.400mmの範囲を考慮するものとする。
また、長さLは、L≧0.3mmとするのが好ましい。また、電極間距離Dは、D≧0.1mmとするのが好ましい。
前述したように、NTCサーミスタ素子の抵抗−温度特性、すなわち、温度Ts(K)における抵抗値Rsは、近似的に、Rs=R0・exp[B(1/Ts−1/T0)]で与えられる。ここで、当初抵抗値R0は、当初温度T0(K)における抵抗値、BはB定数(K)である。
ところで、前述したように、B定数がB(-40〜900)=2.00×103〜3.00×103Kの導電性酸化物焼結体からなるサーミスタ素子本体を用いたサーミスタ素子のうち、前述した本実施例に係るサーミスタ素子10では、その抵抗値Rsが、電極寸法比D/Lと比例関係となることが判明した。
すなわち、サーミスタ素子本体1を貫通し、直線状に延びた、断面円形の第1電極部2aを有する第1電極線2と、第1電極線2と対をなす第2電極線3であって、サーミスタ素子本体1を第1電極部2aに平行に貫通し、直線状に延びた、断面円形の第2電極部3aを有する第2電極線3と、を備えているサーミスタ素子10を考える。図1に示すように、このサーミスタ素子10については、少なくとも、サーミスタ素子本体1の、第1電極部2aと第2電極部3aとの仮想中点CPを通り、第1電極部2aと第2電極部3aとの間を結ぶ仮想面Pに直交する仮想面直交方向DR1の厚みtが、t=0.50〜1.2mmであり、第1電極部2a及び第2電極部3aの直径φが、φ=0.25〜0.40mmである範囲においては、サーミスタ素子10の抵抗値Rsは、電極寸法比D/Lと比例関係となることが判明した。
このようになる理由は、以下によるものと考えられる。すなわち、第1電極部2a及び,第2電極部3aは、サーミスタ素子本体1を互いに平行に貫通しているので、その長さLに沿う方向(仮想面直交方向DR1)についてみると、第1電極部2aと第2電極部3aと間に生じる電界及び電気力線の様子は、どの部分でも、ほぼ同様であると考えられる。したがって、サーミスタ素子10の抵抗値Rsは、長さLが2倍になれば、1/2倍になると言うように、反比例の関係になる。
一方、電極間距離Dについて言えば、第1電極部2aと第2電極部3aとの間の電極間距離Dを2倍とすれば、サーミスタ素子の抵抗値Rsも2倍になると言うように、正比例の関係になる。
したがって、サーミスタ素子の抵抗値Rsは電極寸法比D/Lとも、正比例の関係になると考えられる。
ここで、サーミスタ素子10として、基準の電極間距離Db=0.410mm、基準の電極部の長さLb=1.00mmとし、基準の電極寸法比Db/Lb=0.410とした基準のサーミスタ素子を考える。また、このサーミスタ素子10の持つB定数をB(-40〜900)=Bとする。
そして、当初温度T0=233K(=-40℃)のときの当初抵抗値R0(-40)が、R0(-40)=7.00×102(kΩ)であると仮定する。このサーミスタ素子10の温度を変化させて、温度Ts=1173K(=900℃)とした場合、その抵抗値Rsは、Rs=7.00×102×exp[B(1/1173−1/233)]=7.00×102×exp(B×-3.44×10-3)で与えられる。つまり、B定数B、基準の電極寸法比Db/Lb=0.410を持つ基準のサーミスタ素子の温度Ts(=900℃)における抵抗値Rsが上式で与えられる。
一方、サーミスタ素子10の抵抗値Rsは、電極寸法比D/Lに正比例するのであるから、Rs=a1・(Db/Lb)、但しa1は比例係数、で表せる。
また、温度Ts(=900℃)下で、サーミスタ素子10に許容される最小の抵抗値2.00×10-2(kΩ)(=20.0Ω)となる電極寸法比を(D/L)minとすると、この場合も、2.00×10-2=a1×(D/L)minという関係を満たす。
従って、比例係数a1=(D/L)min/2.00×10-2=(Db/Lb)/(7.00×102×exp(B×-3.44×10-3))の関係を満たす。これより、(D/L)min=(2.00×10-2)×(Db/Lb)/(7.00×102×exp(B×-3.44×10-3))=(2.00×10-2×0.410)/(7.00×102×exp(B×-3.44×10-3))となる。この電極寸法比(D/L)minは、電極寸法比D/Lのうちで、許容される最も小さな値であるから、電極寸法比D/Lとしては、D/L≧[(2.00×10-2×0.410)/(7.00×102×exp(B×-3.44×10-3))となる値を選択すればよいことになる。
この関係は、前述した式(1),(2)におけるA1項と電極寸法比D/Lとの関係を与えるものである。
ついで、上述の場合とは逆に、当初温度T0=1173K(=900℃)のときの当初抵抗値R0(900)が、R0(900)=2.00×10-2(kΩ)であると仮定する。このサーミスタ素子10の温度を変化させて、温度Ts=233K(=-40℃)とした場合、その抵抗値Rsは、Rs=2.00×10-2×exp[B(1/233−1/1733)]=2.00×10-2×exp(B×3.44×10-3)で与えられる。つまり、基準の電極寸法比Db/Lb=0.410を持つ基準のサーミスタ素子の温度Ts(=-40℃)における抵抗値Rsが上式で与えられる。
一方、サーミスタ素子10の抵抗値Rsは、前述したように電極寸法比D/Lに正比例するので、Rs=a2・(Db/Lb)で表せる。温度Ts(=-40℃)下で、サーミスタ素子に許容される最大の抵抗値7.00×102(kΩ)となる電極寸法比を(D/L)maxとすると、この場合も、7.00×102=a2×(D/L)maxという関係を満たす。
従って、比例係数a2=(D/L)max/7.00×102=(Db/Lb)/(2.00×10-2×exp(B×-3.44×10-3))の関係を満たす。これより、(D/L)max=(7.00×102)×(Db/Lb)/(2.00×10-2×exp(B×-3.44×10-3))=(7.00×102×0.410)/(2.00×10-2×exp(B×-3.44×10-3))となる。この電極寸法比(D/L)maxは、電極寸法比D/Lのうちで、許容される最も大きな値であるから、電極寸法比D/Lとしては、D/L≦[(2.00×10-27.00×102×0.410)/(2.00×10-2×exp(B×-3.44×10-3))となる値を選択すればよいことになる。
この関係は、前述した式(1),(2)におけるA2項と電極寸法比D/Lとの関係を与えるものである。
以上より、下記する電極寸法比D/Lと抵抗値Rsとの基本関係式(3)が得られた。
[(2.00×10-2×0.410)/(7.00×102×exp(B×-3.44×10-3))]
≦ D/L ≦
[(7.00×102×0.410)/(2.00×10-2×exp(B×3.44×10-3))] …(3)
また、R0(-40)=5.00×102(kΩ)、及びR0(900)=5.00×10-2(kΩ)とすることにより、同様にして、下記する電極寸法比D/Lと抵抗値Rsとの基本関係式(4)も得られる。
[(5.00×10-2×0.410)/(5.00×102×exp(B×-3.44×10-3))]
≦ D/L ≦
[(5.00×102×0.410)/(5.00×10-2×exp(B×3.44×10-3))] …(4)
但し、この式(3),(4)では、第1,第2電極部2a,3aの直径φ、サーミスタ素子本体1の厚みt等の抵抗値Rsに対する影響が考慮されていない。
そこで、それらによる影響を考慮すると共に、上述の基本関係式(3)を有効に利用するため、サーミスタ素子の各寸法について基準の値を定め、それと異なる値を用いる場合に生じる抵抗値Rsのずれを、補正項によって修正するという形式を取ることにする。
先ず、電極部間の距離について検討する。
図1を参照して既に説明したように、電極間距離Dは、第1電極部2aと第2電極線3aとの間隙の大きさで与えられる。また、この第1電極部及び第2電極部の直径はφ(mm)である。第1電極部2aと第2電極部3aとの間の抵抗値Rsに寄与するのは、第1,第2電極部2a,3aのうちごく一部の、電極間距離Dをなす、互いに最も近い部分のみではない。そこで、第1電極部2a及び第2電極部3aの表面形状(円筒面)を考慮する必要がある。この場合、第1電極部2aと第2電極部3aとの距離としては、電極間距離Dよりも大きな値となるはずである。
本例では、第1電極部2a及び第2電極部3aが断面円形であることから、第1電極部2aと第2電極部3aとの間の抵抗値Rsに寄与する距離として、実効距離Deffを、図1に示すようにして与える。すなわち、第1電極部2aの中心線2acと第2電極部3aの中心線3acを結ぶ線に対して、中心線2ac及び中心線3acからそれぞれ45度(45deg)傾いた方向に延ばした線が、第1電極部2a及び第2電極部3aの外周面と交わる点を、それぞれL1,L2,N1,N2とする。点L1とL2を結ぶ線分L1−L2と、点N1とN2を結ぶ線分N1−N2との間隔(間隙)を、実効距離Deffとする。この実効距離Deffは、Deff=D+(1−1/√2)×φ/2×2=D+(1-1/√2)φで与えられる。
一方、基準のサーミスタ素子では、基準の電極間距離Db=0.410mm、基準の電極部の直径φb=0.300mmとする。すると、基準の実効距離Deffbは、Deffb=(0.410+(1-1/√2)×0.300)=0.498となる。
そこで、B項として、A1項あるいはA2項に対して、この基準の実効距離Deffbを基準として、考察しているサーミスタ素子についての実効距離Deffの影響を補正する補正項を考える。なお、電極間距離Dと同じく、実効距離Deffも、その値が大きくなるほど、サーミスタ素子の抵抗値Rsが大きくなる(比例する)。そこで、サーミスタ素子の実効距離Deffとして、基準の実効距離Deffbと異なる値を採用した場合には、その影響を相殺すべく、A1項あるいはA2項に、B項:Deffb/Deff=[(0.410+(1-1/√2)×0.300)/(D+(1-1/√2)φ)]を掛け合わせることとする。
ついで、第1電極部と第2電極部とが対向する幅について検討する。
第1電極部2a及び第2電極部3aは、図1に示すように、実効的に、上述で説明した実効距離Deffの電極間距離を持ち、実効幅Weffの幅を持つ電極部同士が対向しているとも考えることができる。この実効幅Weffの大きさは、Weff=2×1/√2×φ/2=φ/√2で与えられる。
ところで、基準のサーミスタ素子では、基準の電極部の直径φb=0.300mmとする。すると、基準の実効幅Weffbは、Weffb=0.300/√2=0.212mmとなる。
そこで、C項として、A1項あるいはA2項に対して、この基準の実効幅Weffbを基準として、考察しているサーミスタ素子についての実効幅Weffの影響を補正する補正項を考える。なお、実効幅Weffは、その値が大きくなるほど、サーミスタ素子の抵抗値Rsが小さくなる(反比例する)。そこで、サーミスタ素子の実効幅Weffとして、基準の実効幅Weffbと異なる値を採用した場合には、その影響を相殺すべく、A1項あるいはA2項に、C項:Weff/Weffbφ/0.300(=((φ/√2)/(0.300/√2)))を掛け合わせることとする。
さらに、サーミスタ素子本体1の厚さについて検討する。
サーミスタ素子第1電極部2aと第2電極部3aとの間に生じる電気力線EFは、図2に示すように、第1電極部2aと第2電極部3aの表面のうち、実効幅Weffの範囲(図1参照)のみに生じる訳ではなく、それよりも拡がって生じる。具体的には、第1電極部2aと第2電極部3aの仮想中点CPを通り、第1電極部2aの中心線2acと第2電極部3aの中心線3acを通る仮想面Pに直交する仮想面直交方向DR1(図2中、上下方向)におけるサーミスタ素子本体1の厚みtのうち、実効幅Weffの範囲を除いた部分(厚みt1,t2の部分)をも、電気力線EFは通る。したがって、この部分の厚みt1,t2の大きさによっても、サーミスタ素子の抵抗値Rsが変化する。そこで、素子残厚YをY=t1+t2=t−Weff=t−φ/√2と定義した。
そして、所定の組成を有するサーミスタ本体1を用いた基準のサーミスタ素子(Db=0.410mm、φb=0.300mm、Weffb=0.212mm)について、素子残厚Y、したがって厚みtを変化させた場合に、Ts=350℃で得られる抵抗値Rsの各例を、図3にプロットした。
さらにこの結果から、2次の近似曲線の式:Rs=0.474Y2−0.919Y+0.698を得ることができる。
ここで、厚みtを基準の厚みtb=0.950mmとし、したがって基準の素子残厚YbをYb=tb−φb/√2=0.950−0.300/√2=0.738mmとした場合の、基準の抵抗値Rsbを、上述の近似曲線の式から求めると、Rsb=0.278(kΩ)となる。
D項として、A1項あるいはA2項に対して、この基準の素子残厚Ybである場合の抵抗値Rsbを基準としたとき、考察しているサーミスタ素子の素子残厚がYである場合に抵抗値が変化する影響を補正する補正項を考える。そこで、サーミスタ素子の素子残厚Yとして、基準の素子残厚Ybと異なる値を採用した場合には、素子残厚Yを変化させたことによる抵抗値の補正は、その影響を相殺するように、A1項あるいはA2項に、D項:[0.278/(0.474Y2−0.919Y+0.698)]を掛け合わせて行うこととする。
以上から、電極寸法比D/Lと抵抗値Rsとの関係について、さらに、直径φ、厚みt(素子残厚Y)の影響をも考慮した前述の式(1)が得られた。
[(2.00×10-2×0.410)/(7.00×102×exp(B×-3.44×10-3))]
×[(0.410+(1-1/√2)×0.300)/(D+(1-1/√2)φ)]
×(φ/0.300)
×[0.278/(0.474Y2−0.919Y+0.698)]
≦ D/L ≦
[(7.00×102×0.410)/(2.00×10-2×exp(B×3.44×10-3))]
×[(0.410+(1-1/√2)×0.300)/(D+(1-1/√2)φ)]
×(φ/0.300)
×[0.278/(0.474Y2−0.919Y+0.698)] …(1)
かくして、前述の形態にかかる本実施例のサーミスタ素子10について、電極寸法比D/Lをこの式(1)の範囲内に収めることで、抵抗値Rsを、-40〜900℃の範囲で20.0Ω〜700kΩの範囲内に保つことができる。
また、この式(1)によれば、採用すべき電極寸法比D/Lは、ある範囲として与えられるので、例えば、電極間距離Dを都合の良い値に固定しておき、長さLを変化させる調整により、あるいは、長さLを都合の良い値に固定しておき、電極間距離Dを変化させる調整により、サーミスタ素子10の抵抗値Rsを容易に調整できる。
また同様に、電極寸法比D/Lと抵抗値Rsとの関係について、さらに、直径φ、厚みt(素子残厚Y)の影響をも考慮した前述の式(2)が得られた。
[(5.00×10-2×0.410)/(5.00×102×exp(B×-3.44×10-3))]
×[(0.410+(1-1/√2)×0.300)/(D+(1-1/√2)φ)]
×(φ/0.300)
×[0.278/(0.474Y2−0.919Y+0.698)]
≦ D/L ≦
[(5.00×102×0.410)/(5.00×10-2×exp(B×3.44×10-3))]
×[(0.410+(1-1/√2)×0.300)/(D+(1-1/√2)φ)]
×(φ/0.300)
×[0.278/(0.474Y2−0.919Y+0.698)] …(2)
従って、同様に、本実施例のサーミスタ素子10について、電極寸法比D/Lをこの式(2)の範囲内に収めることで、抵抗値Rsを、-40〜900℃の範囲で50.0Ω〜500kΩの範囲内に保つことができる。
また、この式(2)によれば、採用すべき電極寸法比D/Lは、ある範囲として与えられるので、例えば、電極間距離Dを都合の良い値に固定しておき、長さLを変化させる調整により、あるいは、長さLを都合の良い値に固定しておき、電極間距離Dを変化させる調整により、サーミスタ素子10の抵抗値Rsを容易に調整できる。
ところで、既に図2を参照して説明したように、サーミスタ素子本体1の厚みtのうち、実効幅Weffの範囲を除いた部分(厚みt1,t2の部分)をも、電気力線EFは通る。したがって、この部分の厚みt1,t2の大きさ、従って、厚みtによっても、サーミスタ素子の抵抗値Rsが変化する。
つまり、サーミスタ素子本体1の厚みtを変化させても、B定数を変化させることはできないが、この厚みtを変更したサーミスタ素子本体1を形成することにより、サーミスタ素子10の第1電極部2aと第2電極部3aとの間で発生する抵抗値Rsの大きさを変化させることはできる。具体的には、厚みtを大きくするほど、抵抗値Rsを小さくできる。
一方、サーミスタ素子本体(導電性酸化物焼結体)のB定数は、同一品番のサーミスタ素子と言えども、完全に同一に形成することは困難である。原材料の変動や調製段階での変動などにより、多数のサーミスタ素子を見た場合、例えば、異なる時期に製造した製造ロットの異なるサーミスタ素子(サーミスタ素子本体)について抜き取り検査をした場合、B定数にばらつきが生じることはやむを得ない。
具体的には、サーミスタ素子本体用の原料粉末について、その先行試験の結果から、あるロットは、これを焼成した場合に、B定数が、所定の許容範囲内ではあっても、やや高めになる。一方、別のロットは、これを焼成した場合に、B定数が、所定の許容範囲内ではあっても、やや低めになると言うような状態が生じる。
なお、焼成条件を調整することにより、原料粉末の持つB定数の傾向を補正することが可能な場合もあるが、焼成条件の変更によるサーミスタ素子本体の他の特性などへの影響が考えられ、採用困難な場合が多い。
このような場合、同一品番のサーミスタ素子であっても、B定数のバラツキが生じることはやむを得ないと考えざるを得ない。しかしながら、各サーミスタ素子のある温度範囲における抵抗値がばらつくのを抑制したい要求が有る場合がある。例えば、サーミスタ素子10の用途の1つに、車両用の温度センサ100がある。この温度センサ100の中には、車両運行時などにおいて、400〜900℃程度の温度に晒されものがあるが、その中には、特にこの高温の温度域で、サーミスタ素子の抵抗値の変化により、温度変化を精度良く検知したいとの要求があるものがある。
このような要求がある場合、サーミスタ素子10について、サーミスタ素子本体1のB定数が大きいほど、厚みtを小さくすると良い。このようにすると、厚みtが大きいものに比して、サーミスタ素子10の抵抗値Rsを相対的に高くできる。
これにより、サーミスタ素子本体1のB定数が大きい場合、温度範囲−40〜900℃のうち、特に、抵抗値が低くなる高温域の400〜900℃の範囲において、各サーミスタ素子10の抵抗値Rsがより低くなりがちである。しかし、サーミスタ素子本体1の厚みtを小さくすることで、抵抗値Rsの低下を抑制することができる。
また、この逆に、B定数が小さい場合には、この高温域において、各サーミスタ素子の抵抗値Rsが高くなりがちである。しかし、厚みtを大きくすることで、抵抗値Rsの増大を抑制することができる。
かくして、各サーミスタ素子10ついて、B定数にはばらつきが生じていても、この高温域でサーミスタ素子10が実際に取る抵抗値Rsのバラツキを抑制することができ、より適切に精度良く、温度検知をすることができる。
ついで、本実施例のサーミスタ素子10の製造について説明する。
先ず、焼結後にB定数がB(-40〜900)=2.00×103〜3.00×103Kとなる導電性酸化物焼結体となるプレス用粉末を製造する。この導電性酸化物焼結体(サーミスタ素子本体)の組成、及びプレス用粉末(造粒粉末)の製造については、後述する。その後、プレス工程において、このプレス用粉末を用いて、金型成型法にて六角形板状にプレス成形する。
その際、図4に示すように、直径φがφ=0.250〜0.400mmで、Pt−Rh合金製の一対の第1、第2電極線2,3が、平行に配置され、その両端が突出し、途中部分が埋設されるようにして、未焼成サーミスタ素子10Mを得る。その後、大気中1500℃で2Hr焼成してサーミスタ素子10を製造した。
但し、このプレス工程において、未焼成サーミスタ素子10Mは、これを焼成した場合に、厚みtが、t=0.500〜1.20mm、電極寸法比D/Lが、前述の式(1)の範囲内となる形態の未焼成サーミスタ素子を成形する。
このようにして製造したサーミスタ素子10では、−40℃での抵抗値Rs(-40)を、Rs(-40)≦7.00×102kΩとすることができる。さらに、900℃での抵抗値Rs(900)を、Rs(900)≧2.00×10-2kΩとすることができる。つまり、温度が−40〜900℃の範囲で、サーミスタ素子10の抵抗値Rsを、Rs=2.00×10-2〜7.00×102kΩとすることができる。
かくして、この製造方法によって、抵抗分圧回路などの簡易な回路を用いながらも、−40〜900℃の範囲で、抵抗値Rsを適切に検知可能なサーミスタ素子10を製造することができる。
なお、さらに好ましくは、焼結後にB定数がB(-40〜900)=2.00×103〜2.50×103Kとなる導電性酸化物焼結体となるプレス用粉末を用い、電極寸法比D/Lが、前述の式(2)の範囲内となる形態の未焼成サーミスタ素子を成形し、これを焼成する。
すると、このサーミスタ素子10では、抵抗値Rs(-40)を、Rs(-40)≦5.00×102kΩとすることができる。さらに、抵抗値Rs(900)を、Rs(900)≧5.00×10-2kΩとすることができる。つまり、温度が−40〜900℃の範囲で、サーミスタ素子10の抵抗値Rsを、Rs=5.00×10-2〜5.00×102kΩとすることができる。
かくして、抵抗分圧回路などの簡易な回路を用いながらも、−40〜900℃の範囲で、抵抗値Rsをさらに適切に検知可能なサーミスタ素子を製造することができる。
しかも、式(1)または(2)によれば、電極寸法比D/Lの範囲として与えられるので、Dを都合の良い値に固定しておき、Lを変化させる、あるいは、Lを都合の良い値に固定しておき、Dを変化させる、などの調整により、サーミスタ素子抵抗値Rsを容易に調整できる製造方法となる。
さらに、プレス工程では、同一品番のサーミスタ素子を製造する場合において、焼結後のサーミスタ素子本体のB定数が大きくなるプレス粉末を用いる場合ほど、厚さtが小さくなる形態の未焼成サーミスタ素子10Mを成形すると良い。具体的には、プレス工程における金型の移動ストロークを調整することにより、未焼成サーミスタ素子10Mの厚みtに相当する寸法を、サーミスタ素子本体のB定数が大きくなるプレス粉末を用いる場合ほど、小さくなるように調整する。
このようにしてサーミスタ素子10(未焼成サーミスタ素子10M)を製造することにより、B定数が大きいと、温度範囲−40〜900℃のうち、特に、抵抗値が低くなる高温域の400〜900℃の範囲において、各サーミスタ素子10の抵抗値Rsがより低くなりがちであるのを、厚みtを小さくすることで抑制することができる。
また、この逆に、B定数が小さいと、この高温域において、各サーミスタ素子10の抵抗値Rsが高くなりがちであるのを、厚みtを大きくすることで抑制することができる。
かくして、この製造方法によれば、この高温域で実際に取る抵抗値のバラツキを抑制し、より適切に精度良く、温度検知をすることができるサーミスタ素子10を製造することができる。
ついで、本実施例のサーミスタ素子10(サーミスタ素子本体1)に用いる導電性酸化物焼結体の製造、組成及び特性について説明する。
なお、前述の説明では、サーミスタ素子10として、第1,第2電極線2,3を、サーミスタ素子本体10に貫通させた、従って、第1,第2電極部2a,3aの両側から第1,第2電極線2,3の一部(第1,第2接続部2b,3b及び第1,第2突出部2c,3c)がそれぞれ突出した形態(以下、貫通型ともいう)のサーミスタ素子を示した。これに対し、以下の説明では、上述の貫通型のサーミスタ素子10と異なり、本件発明の形態が外れるのであるが、図5に示すように、第1,第2突出部が存在せず、第1,第2電極部202a,203aの対向面201B側の端部が、サーミスタ素子本体201内に位置する形態(以下、挿入型ともいう)のサーミスタ素子210(参考例1〜18及び比較参考例1,2)を用いて得た結果に基づき、導電性酸化物焼結体の特性等について説明を行うこととする。
従って、B定数など、サーミスタ素子の形態に関係せず、導電性酸化物焼結体の特性に関係するものについては、そのまま、本件発明(実施例)のサーミスタ素子10にも適用することができる。一方、サーミスタ素子210の抵抗値(初期抵抗値Rs(-40)、Rs(900))などは、サーミスタ素子の形態に依存するので、そのままでは、本件発明のサーミスタ素子には適用することができないものである。
先ず、表1に示す参考例1〜18及び比較参考例1,2にかかる、導電性酸化物焼結体、及び、これからなるサーミスタ素子本体201を有するサーミスタ素子210,220の製造について説明する。
まず、ペロブスカイト相用の仮焼粉末を以下のようにして得る。即ち、原料粉末として、Y23,Nd23,Yb23,SrCO3,MgO,CaCO3,MnO2,Fe23,Al23,Cr23(全て純度99%以上の市販品を用いた。)を用いて、化学式(組成式)M1aM2bM3cAldCre3としたときの、元素M1,M2,M3が、表1に示す組み合わせとなり、しかも、a,b,c,d,eが、表1に示すモル数となるように、それぞれ秤量する。さらに、これらの原料粉末を湿式混合して乾燥することにより、ペロブスカイト相用の原料粉末混合物を調整した。次いで、この原料粉末混合物を大気雰囲気下1400℃で2Hr仮焼し、平均粒径1〜2μmのペロブスカイト相用の仮焼粉末を得た。
一方、参考例1〜15,17,18及び比較参考例1にかかる金属酸化物相用の仮焼粉末を、以下のようにして得る。即ち、原料粉末として、SrCO3,Al23(全て純度99%以上の市販品を用いた。)を用いて、化学式(組成式)SrAl24となるように、それぞれ秤量し、これらの原料粉末を湿式混合して乾燥することにより、金属酸化物相用の原料粉末混合物を調整した。次いで、この原料粉末混合物を大気雰囲気下1200℃で2Hr仮焼し、平均粒径1〜2μmの金属酸化物相用の仮焼粉末を得た。
なお、参考例17の耐還元性被膜形成のため、このSrAl24の仮焼粉末にバインダ及び分散媒を添加して混練して、ディップコーティング用のスラリーを別途、作成した。
また、参考例16にかかる金属酸化物相用の仮焼粉末を、以下のようにして得る。即ち、原料粉末として、Y23,SrCO3(全て純度99%以上の市販品を用いた。)を用いて、化学式(組成式)SrY24となるように、それぞれ秤量し、これらの原料粉末を湿式混合して乾燥することにより、金属酸化物相用の原料粉末混合物を調整した。次いで、この原料粉末混合物を大気雰囲気下1200℃で2Hr仮焼し、平均粒径1〜2μmの金属酸化物相用の仮焼粉末を得た。
ついで、ペロブスカイト相用の仮焼粉末と金属酸化物相用の仮焼粉末とを秤量し、これらの仮焼粉末を樹脂ポットと高純度Al23玉石とを用い、エタノールを分散媒として、湿式混合粉砕を行った。
次いで得られたスラリーを80℃で2Hr乾燥し、サーミスタ合成粉末を得た。その後、このサーミスタ合成粉末100重量部に対し、ポリビニルブチラールを主成分とするバインダーを20重量部添加して混合、乾燥する。さらに、250μmメッシュの篩を通して造粒し、造粒粉末(プレス用粉末)を得た。
なお、使用しうるバインダーとしては、上述のポリビニルブチラールに特に限定されず、例えばポリビニルアルコール、アクリル系バインダー等が挙げられる。バインダーの配合量は上述の仮焼粉末全量に対し、通常5〜20重量部、好ましくは10〜20重量部とする。
また、バインダーと混合するにあたり、サーミスタ合成粉末の平均粒子径は2.0μm以下としておくのが好ましく、これによって均一に混合することができる。
ついで、プレス工程として、上述の造粒粉末(プレス用粉末)を用いて、金型成型法にてプレス成形(プレス圧:4500kg/cm2)して、図5に示すように、Pt−Rh合金製の一対の電極線202,203の一端側が埋設された六角形板状(厚さ1.24mm)の未焼成成形体を得る。その後、大気中1500℃で2Hr焼成し、参考例1〜16,18のサーミスタ素子210を製造した。なお、比較参考例1,2に係るサーミスタ素子も、同様にして製造した。
サーミスタ素子210の各寸法は、一辺1.15mmの六角形状で、厚み1.00mm、電極線202,203の径φ0.3mm、電極間距離0.44mm、電極挿入量1.10mmである。
なお、上記では、所定の組成及び製法によるプレス用粉末を用いて、金型成型法にてプレス成形、焼成を行って、サーミスタ素子210を製造したことを説明したが、前述した本実施例のサーミスタ素子10(未焼成サーミスタ素子10M)の製造においても、同様のプレス粉末を用いて、プレス工程を行う。
また、参考例17のサーミスタ素子については、上述の未焼成成形体を前述のディップコーティング用のスラリーに浸した後、引き上げて乾燥させ、この未焼成成形体の表面に被膜を形成した。ついで、被膜付きの未焼成成形体を大気中1500℃で2Hr焼成して、図6にその構造を示すように、焼結体201と、この表面を緻密に覆う、SrAl24からなる耐還元性の耐還元性被膜201bを備える参考例17のサーミスタ素子220を製造した。
ついで、本参考例1〜18及び比較参考例1,2のサーミスタ素子210,220について、以下のようにしてB定数(温度勾配定数)を測定した。即ち、まず、サーミスタ素子210,220を、絶対温度T(-40)=233K(=-40℃)の環境下に放置し、その状態でのサーミスタ素子10の初期抵抗値Rs(-40)を測定した。ついで、サーミスタ素子210,220を、絶対温度T(900)=1173K(=900℃)の環境下に放置し、その状態でのサーミスタ素子210,220の初期抵抗値Rs(900)を測定した。そして、B定数:B(-40〜900)を、以下の式(5)に従って算出した。
B(-40〜900)=ln[Rs(900)/Rs(-40)]/[1/T(900)−1/T(-40)] …(5)
なお、Rs(-40):−40℃におけるサーミスタ素子の初期抵抗値(kΩ)、Rs(900):900℃におけるサーミスタ素子の初期抵抗値(kΩ)である。
このB定数の測定方法は、本実施例のサーミスタ素子10についても同様である。
また、初期抵抗値Rs(-40)、Rs(900)は、挿入型のサーミスタ素子210,220と、本実施例の貫通型のサーミスタ素子10とでは、たとえ、サーミスタ素子本体の形態が同様であっても、第1,第2電極部の形態が異なるため、互いに異なる値になる。しかし、B定数B(-40〜900)は、導電性酸化物焼結体固有の値であるため、導電性酸化物焼結体の組成や製造条件、焼成条件などが同様であれば、サーミスタ素子本体の形態によらず、同様の値を示す。
さらに、参考例1,2,3,6,17に係るサーミスタ素子210,220について、後述するようにして温度センサ100に組み込み、この温度センサ100の状態でのサーミスタ素子210,220の初期抵抗値Rt(-40)及びRt(900)を測定した。ついで、大気中で1050℃×50Hr保持し、その後、上述と同様にして、−40℃及び900℃における温度センサ100の状態におけるサーミスタ素子210,220の熱処理後抵抗値Rt'(-40)、Rt'(900)をそれぞれ測定した。
その上で、−40℃における初期抵抗値Rt(-40)と熱処理後抵抗値Rt'(-40)との比較から、熱処理による抵抗変化の温度変化換算値CT(-40)(単位:deg)を、下記式(6)により算出した。900℃における初期抵抗値Rt(900)と熱処理後抵抗値Rt'(900)との比較からも、同様の式(7)により温度変化換算値CT(900)を算出した。その上で、温度変化換算値CT(-40)とCT(900)のうち大きい方を、温度変化換算値CT(deg)として表1に示した。
CT(-40)=[(B(-40〜900)×T(-40))/[ln(Rt'(-40)/Rt(-40))×T(-40)+B(-40〜900)]]−T(-40) …(6)
CT(900)=[(B(-40〜900)×T(900))/[ln(Rt'(900)/Rt(900))×T(900)+B(-40〜900)]]−T(900) …(7)
なお、温度センサ100のうち、金属チューブ9の内周面及びシース部材8を構成する金属製の外筒には、予め酸化皮膜が形成されている。これにより、この温度センサ100のサーミスタ素子10近傍を高温とした場合でも、金属チューブ9やシース部材8の外筒の酸化が抑制され、この金属チューブ9内の雰囲気が還元雰囲気となることが防止されている。従って、サーミスタ素子10が還元されて、その抵抗値が変化することが防止されている。
さらに、各参考例及び比較参考例に係るサーミスタ素子210,220(単体)について、大気中で繰り返し温度変化を与えた場合の抵抗変化を評価した。具体的には、室温(25℃)から−40℃まで、-80deg/Hrの降温速度で冷却し、−40℃環境下に2.5Hr放置後、サーミスタ素子の抵抗値R1(-40)を測定する。その後、900℃まで+300deg/Hrの昇温速度で昇温させ、900℃環境下に2Hr保持し、抵抗値R1(900)を測定する。ついで再び、−40℃まで-80deg/Hrの降温速度で冷却し、−40℃環境下に2.5Hr保持し、サーミスタ素子の抵抗値R2(-40)を測定する。その後さらに、900℃まで+300deg/Hrの昇温速度で昇温させ、900℃環境下に2Hr保持し、抵抗値R2(900)を測定する。
その上で、−40℃における抵抗値R1(-40)と抵抗値R2(-40)との比較から、繰り返し温度変化による抵抗変化の温度変化換算値DT(-40)(単位:deg)を、下記式(8)により算出した。また、900℃における抵抗値R1(900)と抵抗値R2(900)との比較からも、同様の式(5)により温度変化換算値DT(900)を算出した。その上で、温度変化換算値DT(-40)とDT(900)のうち大きい方を、温度変化換算値DT(deg)として表1に示した。
DT(-40)=[(B(-40〜900)×T(-40))/[ln(R2(-40)/R1(-40))×T(-40)+B(-40〜900)]]−T(-40) …(8)
DT(900)=[(B(-40〜900)×T(900))/[ln(R2(900)/R1(900))×T(900)+B(-40〜900)]]−T(900) …(9)
これらの結果も、表1に示す。
上述の温度変化換算値CT(-40),CT(900)、及び温度変化換算値DT(-40),DT(900)の測定方法は、本実施例のサーミスタ素子10についても同様である。
また、温度変化換算値CT(-40),CT(900)、及び温度変化換算値DT(-40),DT(900)は、導電性酸化物焼結体の特性の安定性を示す指標であり、導電性酸化物焼結体固有の値であると考えられる。このため、導電性酸化物焼結体の組成や製造条件、焼成条件などが同様であれば、サーミスタ素子本体の形態によらず、同様の値を示す。
また、以下のようにして、焼結体(サーミスタ素子本体201)の断面組織写真を撮影し、面積分率SP/Sを算出した。
まず、焼結体を樹脂に埋め込み、3μmのダイヤペーストを用いたバフ研磨処理を行って断面を研磨した試料を作成した。その後、走査型電子顕微鏡(JEOL社製 商品名:JSM-6460LA)により、断面を倍率3000倍で写真撮影する。図7に参考例6に係る焼結体の断面写真を示す。なお、EDSによる組成分析から白色部分がペロブスカイト相、暗灰色の部分が金属酸化物相(具体的には、SrAl24)である。また、黒色部分は気孔である。撮影した組織写真のうち、40μm×30μmの視野を画像解析装置にて解析し、視野(断面積S)に対するペロブスカイト相の相面積SPの占める割合(面積分率)SP/Sを求めた。
この面積分率SP/Sの測定方法は、本実施例のサーミスタ素子10についても同様である。また、面積分率SP/Sは、サーミスタ素子本体の形態によらない指標である。
なお、複合相からなる焼結体において、任意の断面において、特定の相が占める面積分率は、当該特定相が焼結体内で占める体積分率に等しくなる。つまり、この面積分率SP/Sは、サーミスタ素子本体(焼結体)201に占めるペロブスカイト相の体積分率とも等しい。さらに、図7を参照すると判るように、本参考例のサーミスタ素子本体(焼結体)201は、ペロブスカイト相と金属酸化物相の2相からなっているので、気孔分を除けば、面積分率SP/Sは、ほぼ、ペロブスカイト相と金属酸化物相との面積割合や体積割合を示すことになる。
まず、参考例1〜7,18について説明する。この表1によれば、M1=Y,M2=Sr,M3=Mnである。組成式YaSrbMncAldCrefの値a,b,c,d,e,fが、下記の条件式を満たす導電性のペロブスカイト相と、このペロブスカイト相よりも導電性の低い金属酸化物相(本参考例では、SrAl24)とからなる、参考例1〜7,18の導電性酸化物焼結体からなるサーミスタ素子本体201を用いたサーミスタ素子10では、B定数:B(-40〜900)が、B(-40〜900)=2000〜3000Kという、従来に比して相対的に低い値の導電性酸化物焼結体(サーミスタ素子210)となる。
0.600≦a≦1.000
0≦b≦0.400
0.150≦c<0.600
0.400≦d≦0.800
0<e≦0.050
0<e/(c+e)≦0.18
2.80≦f≦3.30
なお、値fについては、表1に記載していないが、蛍光X線分析を用いたY,Sr,Mn,Al,Cr,Oの各元素の組成比と、前述の方法で算出した面積分率、または、粉末X線回折分析により同定した結晶相の存否及び存在比から、f=2.80〜3.30の範囲内であることを確認している。本参考例では具体的には、ペロブスカイト相と金属酸化物相(SrAl24)の存在比とを特定し、各金属元素の量をペロブスカイト相と金属酸化物相に振り分ける。ついで、金属酸化物相(SrAl24)に含まれるOの数が4であると定めた上で(つまり、SrAl24については、酸素の欠損はないとして)、金属酸化物相に用いられているOの量を算出することで、ペロブスカイト相におけるOの数fを算出する。
しかも、焼結体には、ペロブスカイト相の他に、ペロブスカイト相よりも導電性の低い金属酸化物相(SrAl24)も混在しているので、ペロブスカイト相のみからなる焼結体(例えば、比較参考例2)に比して、B定数を維持しつつ初期抵抗値Rs(-40),Rs(900)など、サーミスタ素子210が示す抵抗値を増加させることができており、ペロブスカイト相と金属酸化物相の量比によって、抵抗値を適宜の値に調整することができる。
具体的に説明する。金属酸化物相(SrAl24)の存在しない比較参考例2の焼結体では、B定数(B(-40〜900)=2553K)は適切であるが、本参考例の形態のサーミスタ素子210とした場合には、焼結体が相対的に導電性の高いペロブスカイト相のみで構成されることになるので、初期抵抗値Rs(-40)=39kΩ、Rs(900)=0.006kΩ(=6Ω)となり、サーミスタ素子10の示す抵抗値が低く、抵抗値測定が困難となりがちである。
これに対し、ペロブスカイト相の組成(a〜eの値)は比較参考例2と同じであるが、相対的に導電性の低い金属酸化物相を生成させ、ペロブスカイト相の面積分率を30〜40%程度とした参考例1,2,3の焼結体においては、金属酸化物相を増やした分(従って、ペロブスカイト相が減った分)、比較参考例2のものより抵抗値が高くできる。例えば、参考例1の焼結体(サーミスタ素子210)では、初期抵抗値Rs(-40)=423kΩ、Rs(900)=0.088kΩとなり、抵抗値測定が容易な抵抗値に設定できることが判る。
なお、さらに導電性の低い多量の金属酸化物相を生成させ、ペロブスカイト相の面積分率を16%程度とした参考例7では、さらに抵抗値が高くなる。具体的には、初期抵抗値Rs(-40)=41400kΩ、Rs(900)=5.92kΩとなる。このことから、焼結体において金属酸化物相の占める割合の多寡、従って、ペロブスカイト相の面積分率を適宜調整することで、比抵抗の値をシフトさせ、サーミスタ素子210の抵抗値を抵抗値測定が容易な抵抗値に設定できることが判る。
その一方、参考例1,2,3及び参考例7の焼結体においても、B定数は2500K前後の値となっており、比較参考例2のB定数とほぼ同じである。つまり、金属酸化物相を生成させても、B定数は変動しないことが判る。
また表1によれば、元素M1にYを用いた参考例1〜7,18に対し、元素M1としてNdを使用した参考例8,9、及び、元素M1としてY及びYbを用いた参考例10,11も、同様に、B定数が、B(-40〜900)=2000〜3000Kという、従来に比して相対的に低い値の導電性酸化物焼結体(サーミスタ素子210)とすることができることが判る。さらに、これらについても参考例1〜7,18と同様、ペロブスカイト相と金属酸化物相(本例ではSrAl24)との量比を変化させることで、サーミスタ素子210の抵抗値を適宜の値に調整することができている。
さらに表1によれば、元素M2にSrを用いた参考例1〜7に対し、元素M2としてSr及びMgを、あるいは、Sr及びCaを用いた参考例12,13,14も、同様に、B定数を、B(-40〜900)=2000〜3000Kという、従来に比して相対的に低い値の導電性酸化物焼結体(サーミスタ素子210)とすることができることが判る。さらに、これらについても参考例1〜7と同様、ペロブスカイト相と金属酸化物相(本例ではSrAl24)との量比を変化させることで、サーミスタ素子10の抵抗値を適宜の値に調整することができている。
また、元素M3にMnを用いた参考例1〜7に対し、元素M3としてFeを用いた実施例15についても、同様である。
さらに、金属酸化物相としてSrAl24を用いた参考例1〜7に対して、SrY24を用いた参考例16でも、同様に、ペロブスカイト相と金属酸化物相(本例ではSrY24)との量比を変化させることで、サーミスタ素子10の抵抗値を適宜の値にすることができている。
また、参考例18では、Srを含まない(b=0)としたペロブスカイト相を有する導電性酸化物焼結体(サーミスタ素子10)を示したが、Yのほか、Srを含む導電性酸化物焼結体(サーミスタ素子10)を用いるのが好ましい。
即ち、参考例1〜17に示すように、a<1.000,b>0とするのが好ましい。Sr等(2A族の元素M2)を含まない(b=0)ペロブスカイト相を有する参考例18にかかる焼結体では、この焼結体(サーミスタ素子210,220)を多数製造すると、各個体間の特性バラツキや焼成ロット間の特性ばらつきが大きくなり易い傾向がある。これに比して、Y等(3A族の元素M1)のほかにSr等(2A族の元素M2)を含む、例えば参考例1〜17の焼結体では、相対的に、個体間の特性バラツキや焼成ロット間の特性ばらつきが小さくできる。
またさらに、耐還元性被膜201bを有する参考例17に係るサーミスタ素子220でも、実施例1〜7と同様、同様に適切な範囲のB定数及び抵抗値を有するサーミスタ素子220とすることができる。さらにこの参考例17に係るサーミスタ素子220では、耐還元性被膜201bを有する。このため、例えば、後述する温度センサ100にこの参考例17に係るサーミスタ素子220を組み付けた場合、金属チューブ9やシース部材8の外筒に形成した酸化皮膜の一部が何等かの原因で破損したり、酸化皮膜に欠損があるために、金属チューブ9やシース部材8の外筒が酸化することにより、サーミスタ素子220の周囲が還元性雰囲気となった場合でも、内部の焼結体(サーミスタ素子本体)201が還元されることが防止されるので、さらに抵抗値を安定して維持することができる。
なお、比較参考例1の焼結体は、d=0、即ち、ペロブスカイト相にAlを含んでいないものとした。この比較参考例1に係る焼結体(サーミスタ素子本体)は、B定数は適当な値となる(B(-40〜900)=2137K)が、多量の金属酸化物相を生成させ、ペロブスカイト相の面積分率を17%程度としているにも拘わらず、初期抵抗値Rs(-40)=14kΩ、Rs(900)=0.009kΩとなる。ペロブスカイト相の導電性が高く(比抵抗が低く)、多量の金属酸化物相の存在によっても、サーミスタ素子210の抵抗値が十分に高くできないためである。このように、a〜fが前述の条件式の範囲を外れているペロブスカイト相を有する焼結体においては、比抵抗(従ってサーミスタ素子の抵抗値)やB定数が適切でなくなる。
かくして、本参考例の各組成を有する導電性酸化物焼結体(サーミスタ素子本体201)を用いたサーミスタ素子210,220は、−40℃の低温下から900℃の高温までの広い範囲にわたって抵抗測定を行うのに適する、2000〜3000KのB定数を有するものとすることができる。さらに、このサーミスタ素子210,220は、その形状、電極線の間隔等に応じて、焼結体における金属酸化物相の多寡、つまりペロブスカイト相の面積分率を適宜調整することで、抵抗値の大きさを調整することができ、−40℃の低温下から900℃の高温までの広い範囲にわたって適切な抵抗値となるものにできる。これにより、本参考例のサーミスタ素子210,220によれば、−40℃の低温下から900℃の高温までの広い範囲にわたって適切に温度測定が可能となる。
なお、B定数の範囲は、好ましくは、B(-40〜900)=2000〜2900Kとなるようにすると良く、さらに好ましくは、B(-40〜900)=2000〜2800Kとなるようにすると良い。またさらに好ましくは、B(-40〜900)=2000〜2500Kとなるようにすると良い。
さらに、表1において、参考例1,2,3,6,17の欄に示す導電性酸化物焼結体(サーミスタ素子本体201)を用いたサーミスタ素子210,220を組み付けた温度センサ100では、温度変化換算値CT(deg)が±10deg以内の良好な値となった。当該焼結体(サーミスタ素子210,220、温度センサ100)が熱履歴に対する抵抗変化が少ない特性を有するものであるか否かを判断する目安が、温度変化換算値CTが±10degであると考えられる。各参考例の焼結体(サーミスタ素子210,220)は、この目安の範囲に含まれているからである。特に、参考例2,3,6,17の焼結体(サーミスタ素子210,22、温度センサ100)においては、CTが±3deg以内の値となり、特に良好な温度特性の高温耐久性を示し、熱履歴に対する抵抗変化が小さい焼結体(サーミスタ素子)となることが判る。
なお、他の参考例4,5,7〜16,18の焼結体については、温度変化換算値CTの測定結果を明示していない。
但し、前述の方法で測定した温度変化換算値DTについては、いずれの参考例及び比較参考例についても測定してある。いずれの参考例でも、この温度変化換算値DTは±10deg以内となった。
この温度変化換算値DTついても、当該焼結体1(サーミスタ素子10)が熱履歴に対する抵抗変化が少ない特性を有するものか否かを判断する目安が、温度変化換算値DTが±10degであると考えられる。各参考例1〜18の焼結体(サーミスタ素子210,220)は、いずれもこの目安の範囲に含まれていることから、本参考例1〜18のサーミスタ素子210,220は、いずれも熱履歴に対する抵抗変化が小さく、実用上問題なく使用可能な焼結体(サーミスタ素子)であることが判る。
ついで、本実施例に係るサーミスタ素子10を用いた温度センサ100の構成について、図2を参照して説明する。なお、前述した参考例にかかるサーミスタ素子210,220を用いた温度センサ100も同様である。この温度センサ100は、サーミスタ素子10(210,220)を感温素子として用いるものであり、この温度センサ100を自動車の排気管の取付部に装着して、サーミスタ素子10を排気ガスが流れる排気管内に配置させて、排気ガスの温度検出に使用するものである。
温度センサ100のうち、軸線AXに沿う方向(以下、軸線方向ともいう)に延びる金属チューブ9は、先端部91側(図2中、下方)が閉塞した有底筒状をなしており、この先端部91の内側に本実施例のサーミスタ素子10を収納してなる。この金属チューブ9は、予め熱処理が施されており、その外側面及び内側面が酸化されて酸化皮膜に覆われている。金属チューブ9の内側でサーミスタ素子10の周囲には、セメント14が充填されて、サーミスタ素子10を固定している。金属チューブ9の後端92は開放されており、この後端92部分は、フランジ部材4の内側に圧入、挿通されている。
フランジ部材4は、軸線方向に延びる筒状の鞘部42と、この鞘部42の先端側(図2中、下方)に位置し、この鞘部42よりも大きい外径を有して径方向外側に突出するフランジ部41とを備えている。フランジ部41の先端側には、排気管の取付部とシールを行うテーパ状の座面45を有しいる。また、鞘部42は、先端側に位置する先端側鞘部44とこれよりも径小の後端側鞘部43とからなる二段形状をなしている。
そして、フランジ部材4内に圧入された金属チューブ9は、その外周面が後端側鞘部43と周方向全周に亘り部位L1でレーザー溶接されることで、フランジ4に強固に固定されている。また、フランジ部材4の先端側鞘部44には、概略円筒形状の金属カバー部材6が圧入され、周方向全周に亘り部位L2でレーザ溶接されて、気密状態で接合されている。
また、フランジ部材4及び金属カバー部材6の周囲には、六角ナット部51およびネジ52を有する取り付け部材5が回動自在に嵌挿されている。本実施例の温度センサ100は、排気管(図示しない)の取付部にフランジ部材4のフランジ部41の座面45を当接させ、ナット5を取付部に螺合させることにより、排気管に固定する。
金属チューブ9、フランジ部材4および金属カバー部材6の内側には、一対の芯線7を内包するシース部材8が配置されている。このシース部材8は、金属製の外筒と、導電性の一対の芯線7と、外筒内に充填され外筒と各芯線7のと間を絶縁しつつ芯線7を保持する絶縁粉末とから構成されている。なお、このシース部材8の外筒にも熱処理により、予め酸化皮膜が形成されている。
金属チューブ9の内部においてシース部材8の外筒の先端から(図中下方に)突出する芯線7には、サーミスタ素子10の第1,第2電極線2,3がレーザ溶接により接続されている。
一方、シース部材8から後端側に突き出した芯線7は、加締め端子11を介して一対のリード線12に接続されている。芯線7同士及び加締め端子11同士は、絶縁チューブ15により互いに絶縁されている。
この一対のリード線12は、金属カバー部材6の後端部内側に挿入された弾性シール部材13のリード線挿通孔を通って、金属カバー部材6の内側から外部に向かって引き出され、外部回路(図示しない。例えば、ECU)と接続するためのコネクタ21の端子部材に接続されている。これにより、サーミスタ素子10の出力は、シース部材8の芯線7からリード線12、コネクタ21を介して図示しない外部回路に取り出され、排気ガスの温度が検出される。リード線12には、飛石等の外力から保護するためのガラス編組チューブ20が被せられており、このガラス編組チューブ20は、自身の先端部が弾性シール部材13と共に金属カバー部材6に加締め固定されている。
このような構造を有する温度センサ100では、前述したように、所定の組成を有する導電性酸化物焼結体からなり、適切なB定数(B(-40〜900)=2.00×103〜3.00×103K、あるいは2.00×103〜2.50×103K)を持つサーミスタ素子本体1を有し、しかも、式(1)あるいは(2)を満たす適切な電極寸法比D/L等の寸法を有するサーミスタ素子10を用いている。このため、サーミスタ素子10の抵抗値Rsの大きさを、−40℃の低温下から900℃の高温までの広い領域に亘り、20Ω〜700kΩ(あるいは、50Ω〜500kΩ)の範囲に収めることができ、自動車のエンジンの排気ガスの温度等について、簡単な構成の抵抗分圧回路などを用いて、適切に温度を測定することができる温度センサである。
なお、温度センサ100の製造については、前述の説明及び公知の手法によればよいので説明を省略する。
以上において、本発明を、実施例に即して説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できることはいうまでもない。
例えば、図4で例示する実施例のサーミスタ素子10は、六角形板状のサーミスタ素子本体1の対向面1A,1B間を貫通する第1,第2電極線2,3を有する形態とした。
しかし、例えば、図9(a)に示すように、直方体形状のサーミスタ素子本体61と、このサーミスタ素子本体61の対向する平行な対向面61A,61B間を平行に貫通する直線状の第1電極部62a,第2電極部63aを有する第1電極線62,第2電極線63とを有するサーミスタ素子60としても良い。また、図9(b)に示すように、円板形状のサーミスタ素子本体71と、このサーミスタ素子本体71の対向する平行な対向面71A,71B間を平行に貫通する直線状の第1電極部72a,第2電極部73aを有する第1電極線72,第2電極線73とを有するサーミスタ素子70としても良い。
また、サーミスタ素子の製造において、サーミスタ素子本体をなす導電性酸化物焼結体の原料粉末としては、実施例において例示した各元素を含む化合物の粉末を使用することができる。そのほか、酸化物、炭酸塩、水酸化物、硝酸塩等の化合物を用いることができる。なお、特に酸化物、炭酸塩を用いるのが好ましい。
また、導電性酸化物焼結体の焼結性、B定数、温度特性の高温耐久性など、導電性酸化物焼結体、サーミスタ素子、あるいは温度センサに要求されると特性を損なわない範囲で、導電性酸化物焼結体に、Na,K,Ga,Si,C,Cl,S等の他の成分を含有していてもよい。
第1電極部と第2電極部との関係を示し、式(1),(2)におけるB,C,D項の説明に供する説明図である。 第1電極部と第2電極部との関係、及びこれらの間に発生する電気力線を示し、式(1),(2)におけるD項の説明に供する説明図である。 基準のサーミスタ素子において、素子残厚Yを変化させた場合の、抵抗値Rsの変化をプロットしたグラフである。 実施例のサーミスタ素子にかかり、(a)はその斜視図、(b)は平面図である。 表1で示す参考例、比較参考例のサーミスタ素子の構造を示す平面図である。 表1で示す参考例17にかかるサーミスタ素子の構造を示す部分破断断面図である。 導電性酸化物焼結体の断面における組織の状態例(実施例6)を示す走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。 図4のサーミスタ素子を用いた温度センサの構造を示す部分破断断面図である。 本発明のサーミスタ素子の他の形態を示す斜視図である。
符号の説明
10,60,70,210,220 サーミスタ素子
10M 未焼成サーミスタ素子
100 温度センサ
1,61,71,201 サーミスタ素子本体
1A,1B 対向面
2 第1電極線
2a 第1電極部
2ac (第1電極部の)中心線
2b 第1接続部
2c 第1突出部
3 第2電極線
3a 第2電極部
3ac (第2電極部の)中心線
3b 第21接続部
3c 第2突出部
φ (第1電極部,第2電極部の)直径
D (第1電極部と第2電極部との)電極間距離
L (第1電極部,第2電極部の)長さ
D/L 電極寸法比
Deff 実効距離
Weff 実効幅
CP (第1電極部と第2電極部との)仮想中点
P 仮想面
DR1 仮想面直交方向
t (サーミスタ素子本体の、仮想中点を通る仮想面直交方向についての)厚み
t1,t2 厚み
Y 素子残厚
Ts (サーミスタ素子の)温度
Rs (サーミスタ素子の)抵抗値
T0 (サーミスタ素子の)当初温度
R0 (サーミスタ素子の)当初抵抗値

Claims (9)

  1. B定数がB(-40〜900)=2.00×103〜3.00×103Kの導電性酸化物焼結体からなるサーミスタ素子本体と、
    上記サーミスタ素子本体を貫通し、直線状に延びた、断面円形の第1電極部を有する
    第1電極線と、
    上記第1電極線と対をなす第2電極線であって、
    上記サーミスタ素子本体を上記第1電極部に平行に貫通し、直線状に延びた、断面円形で、上記第1電極部と等しい直径及び長さの第2電極部を有する
    第2電極線と、を備え、
    上記サーミスタ素子本体は、上記第1電極部と第2電極部との仮想中点を通る、上記第1電極部と第2電極部との間を結ぶ仮想面に直交する仮想面直交方向の厚みtが、t=0.500〜1.20mmであり、
    上記第1電極部及び第2電極部は、その直径φが、φ=0.250〜0.400mmであり、
    上記第1電極部及び第2電極部の長さをL(mm)、
    上記第1電極部と第2電極部との間の電極間距離をD(mm)、
    素子残厚をY(mm)=t−φ/√2としたとき、
    電極寸法比D/Lを、下記式(1)の範囲としてなる
    サーミスタ素子。
    [(2.00×10-2×0.410)/(7.00×102×exp(B×-3.44×10-3))]
    ×[(0.410+(1-1/√2)×0.300)/(D+(1-1/√2)φ)]
    ×(φ/0.300)
    ×[0.278/(0.474Y2−0.919Y+0.698)]
    ≦ D/L ≦
    [(7.00×102×0.410)/(2.00×10-2×exp(B×3.44×10-3))]
    ×[(0.410+(1-1/√2)×0.300)/(D+(1-1/√2)φ)]
    ×(φ/0.300)
    ×[0.278/(0.474Y2−0.919Y+0.698)] …(1)
  2. B定数がB(-40〜900)=2.00×103〜2.50×103Kの導電性酸化物焼結体からなるサーミスタ素子本体と、
    上記サーミスタ素子本体を貫通し、直線状に延びた、断面円形の第1電極部を有する
    第1電極線と、
    上記第1電極線と対をなす第2電極線であって、
    上記サーミスタ素子本体を上記第1電極部に平行に貫通し、直線状に延びた、断面円形で、上記第1電極部と等しい直径及び長さの第2電極部を有する
    第2電極線と、を備え、
    上記サーミスタ素子本体は、上記第1電極部と第2電極部との仮想中点を通る、上記第1電極部と第2電極部との間を結ぶ仮想面に直交する仮想面直交方向の厚みtが、t=0.500〜1.20mmであり、
    上記第1電極部及び第2電極部は、その直径φが、φ=0.250〜0.400mmであり、
    上記第1電極部及び第2電極部の長さをL(mm)、
    上記第1電極部と第2電極部との間の電極間距離をD(mm)、
    素子残厚をY(mm)=t−φ/√2としたとき、
    電極寸法比D/Lを、下記式(2)の範囲としてなる
    サーミスタ素子。
    [(5.00×10-2×0.410)/(5.00×102×exp(B×-3.44×10-3))]
    ×[(0.410+(1-1/√2)×0.300)/(D+(1-1/√2)φ)]
    ×(φ/0.300)
    ×[0.278/(0.474Y2−0.919Y+0.698)]
    ≦ D/L ≦
    [(5.00×102×0.410)/(5.00×10-2×exp(B×3.44×10-3))]
    ×[(0.410+(1-1/√2)×0.300)/(D+(1-1/√2)φ)]
    ×(φ/0.300)
    ×[0.278/(0.474Y2−0.919Y+0.698)] …(2)
  3. 請求項1または請求項2に記載のサーミスタ素子であって、
    同一品番の多数の上記サーミスタ素子について、上記サーミスタ素子本体の前記B定数と前記厚みtとの相関関係を見たとき、
    上記サーミスタ素子本体の上記B定数が大きいサーミスタ素子ほど、上記厚みtを小さくしてなる相関関係を有する
    サーミスタ素子。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のサーミスタ素子であって、
    前記サーミスタ素子本体をなす前記導電性酸化物焼結体が、
    Laを除く3A族元素のうち少なくとも1種の元素をM1とし、
    2A族元素のうち少なくとも1種の元素をM2とし、
    Crを除く4A,5A,6A,7A及び8族元素のうち少なくとも1種の元素をM3としたとき、
    組成式M1aM2bM3cAldCrefで表記され、
    a,b,c,d,e,fが下記条件式を満たし、
    ペロブスカイト型結晶構造を有する導電性のペロブスカイト相と、
    上記ペロブスカイト相よりも導電性が低く、
    上記ペロブスカイト相を構成する金属元素から選択された少なくとも1種の金属元素をMeとしたとき、
    組成式MeOxで表記される結晶構造を有する少なくとも1種の金属酸化物相と、を含む
    導電性酸化物焼結体である
    サーミスタ素子。
    0.600≦a≦1.000
    0≦b≦0.400
    0.150≦c<0.600
    0.400≦d≦0.800
    0<e≦0.050
    0<e/(c+e)≦0.18
    2.80≦f≦3.30
  5. 請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のサーミスタ素子を用いてなる温度センサ。
  6. B定数がB(-40〜900)=2.00×103〜3.00×103Kの導電性酸化物焼結体からなるサーミスタ素子本体と、
    上記サーミスタ素子本体を貫通し、直線状に延びた、断面円形の第1電極部を有する
    第1電極線と、
    上記第1電極線と対をなす第2電極線であって、
    上記サーミスタ素子本体を上記第1電極部に平行に貫通し、直線状に延びた、断面円形で、上記第1電極部と等しい直径及び長さの第2電極部を有する
    第2電極線と、を備える
    サーミスタ素子の製造方法であって、
    上記サーミスタ素子において、
    上記サーミスタ素子本体のうち、上記第1電極部と第2電極部との仮想中点を通る、上記第1電極部と第2電極部との間を結ぶ仮想面に直交する仮想面直交方向の厚みをt(mm)、
    上記第1電極部及び第2電極部の直径をφ(mm)、
    上記第1電極部及び第2電極部の長さをL(mm)、
    上記第1電極部と第2電極部との間の電極間距離をD(mm)、
    素子残厚をY(mm)=t−φ/√2としたとき、
    焼結後に上記導電性酸化物焼結体となるプレス用粉末、上記第1電極線、及び上記第2電極線を用いて、未焼成サーミスタ素子をプレス成形するプレス工程であって、
    上記未焼成サーミスタ素子を焼成した場合に、
    上記厚みtが、t=0.500〜1.20mm、
    上記直径φが、φ=0.250〜0.400mm、
    電極寸法比D/Lが、下記式(1)の範囲内
    となる形態の上記未焼成サーミスタ素子を成形する
    プレス工程を備える
    サーミスタ素子の製造方法。
    [(2.00×10-2×0.410)/(7.00×102×exp(B×-3.44×10-3))]
    ×[(0.410+(1-1/√2)×0.300)/(D+(1-1/√2)φ)]
    ×(φ/0.300)
    ×[0.278/(0.474Y2−0.919Y+0.698)]
    ≦ D/L ≦
    [(7.00×102×0.410)/(2.00×10-2×exp(B×3.44×10-3))]
    ×[(0.410+(1-1/√2)×0.300)/(D+(1-1/√2)φ)]
    ×(φ/0.300)
    ×[0.278/(0.474Y2−0.919Y+0.698)] …(1)
  7. B定数がB(-40〜900)=2.00×103〜2.50×103Kの導電性酸化物焼結体からなるサーミスタ素子本体と、
    上記サーミスタ素子本体を貫通し、直線状に延びた、断面円形の第1電極部を有する
    第1電極線と、
    上記第1電極線と対をなす第2電極線であって、
    上記サーミスタ素子本体を上記第1電極部に平行に貫通し、直線状に延びた、断面円形で、上記第1電極部と等しい直径及び長さの第2電極部を有する
    第2電極線と、を備える
    サーミスタ素子の製造方法であって、
    上記サーミスタ素子において、
    上記サーミスタ素子本体のうち、上記第1電極部と第2電極部との仮想中点を通る、上記第1電極部と第2電極部との間を結ぶ仮想面に直交する仮想面直交方向の厚みをt(mm)、
    上記第1電極部及び第2電極部の直径をφ(mm)、
    上記第1電極部及び第2電極部の長さをL(mm)、
    上記第1電極部と第2電極部との間の電極間距離をD(mm)、
    素子残厚をY(mm)=t−φ/√2としたとき、
    焼結後に上記導電性酸化物焼結体となるプレス用粉末、上記第1電極線、及び上記第2電極線を用いて、未焼成サーミスタ素子をプレス成形するプレス工程であって、
    上記未焼成サーミスタ素子を焼成した場合に、
    上記厚みtが、t=0.500〜1.20mm、
    上記直径φが、φ=0.250〜0.400mm、
    電極寸法比D/Lが、下記式(2)の範囲内
    となる形態の上記未焼成サーミスタ素子を成形する
    プレス工程を備える
    サーミスタ素子の製造方法。
    [(5.00×10-2×0.410)/(5.00×102×exp(B×-3.44×10-3))]
    ×[(0.410+(1-1/√2)×0.300)/(D+(1-1/√2)φ)]
    ×(φ/0.300)
    ×[0.278/(0.474Y2−0.919Y+0.698)]
    ≦ D/L ≦
    [(5.00×102×0.410)/(5.00×10-2×exp(B×3.44×10-3))]
    ×[(0.410+(1-1/√2)×0.300)/(D+(1-1/√2)φ)]
    ×(φ/0.300)
    ×[0.278/(0.474Y2−0.919Y+0.698)] …(2)
  8. 請求項6または請求項7に記載のサーミスタ素子の製造方法であって、
    前記プレス工程は、
    同一品番のサーミスタ素子を製造する場合において、
    焼結後の上記サーミスタ素子本体の前記B定数が大きくなるプレス粉末を用いる場合ほど、
    前記厚さtが小さくなる形態の前記未焼成サーミスタ素子を成形する
    サーミスタ素子の製造方法。
  9. 請求項6〜請求項8のいずれか1項に記載のサーミスタ素子の製造方法であって、
    前記サーミスタ素子本体をなす前記導電性酸化物焼結体が、
    Laを除く3A族元素のうち少なくとも1種の元素をM1とし、
    2A族元素のうち少なくとも1種の元素をM2とし、
    Crを除く4A,5A,6A,7A及び8族元素のうち少なくとも1種の元素をM3としたとき、
    組成式M1aM2bM3cAldCrefで表記され、
    a,b,c,d,e,fが下記条件式を満たし、
    ペロブスカイト型結晶構造を有する導電性のペロブスカイト相と、
    上記ペロブスカイト相よりも導電性が低く、
    上記ペロブスカイト相を構成する金属元素から選択された少なくとも1種の金属元素をMeとしたとき、
    組成式MeOxで表記される結晶構造を有する少なくとも1種の金属酸化物相と、を含む
    導電性酸化物焼結体である
    サーミスタ素子の製造方法。
    0.600≦a≦1.000
    0≦b≦0.400
    0.150≦c<0.600
    0.400≦d≦0.800
    0<e≦0.050
    0<e/(c+e)≦0.18
    2.80≦f≦3.30
JP2006279331A 2006-10-12 2006-10-12 サーミスタ素子、これを用いた温度センサ、及びサーミスタ素子の製造方法 Active JP4996196B2 (ja)

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