JP2008098452A - サーミスタ素子、これを用いた温度センサ、及びサーミスタ素子の製造方法 - Google Patents
サーミスタ素子、これを用いた温度センサ、及びサーミスタ素子の製造方法 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】サーミスタ素子10は、B定数がB(-40〜900)=2.00×103〜3.00×103Kの導電性酸化物焼結体からなるサーミスタ素子本体1と、これを貫通し、直線状に延びた、断面円形の第1電極部2aを有する第1電極線2と、第1電極線2と対をなす第2電極線3であって、サーミスタ素子本体1を第1電極部2aに平行に貫通し、直線状に延びた、断面円形の第2電極部3aを有する第2電極線3と、を備える。このサーミスタ素子10は、電極寸法比D/Lを、式(1)の範囲としてなる。
【選択図】図4
Description
このような温度センサの用途の1つとして、自動車等の排気管や触媒装置に取り付けて、排気ガスや触媒の温度を測定する用途がある。
また、サーミスタ素子の形態例としては、例えば、特許文献1の図2に示すように、サーミスタ素子本体に2本の導電線の一部を互いに平行に挿入したものが挙げられる。
また、−40〜900℃の温度範囲で、このような抵抗値の範囲に収まるには、サーミスタ素子本体の持つB定数が、2000K〜3000K程度とする必要があることも判ってきた。
本発明は、かかる知見に基づいてなされたものであって、−40〜900℃の温度範囲で、適切な抵抗値を取ることができるサーミスタ素子、これを用いた温度センサ、及びサーミスタ素子の製造方法を提供することを目的とする。
[(2.00×10-2×0.410)/(7.00×102×exp(B×-3.44×10-3))]
×[(0.410+(1-1/√2)×0.300)/(D+(1-1/√2)φ)]
×(φ/0.300)
×[0.278/(0.474Y2−0.919Y+0.698)]
≦ D/L ≦
[(7.00×102×0.410)/(2.00×10-2×exp(B×3.44×10-3))]
×[(0.410+(1-1/√2)×0.300)/(D+(1-1/√2)φ)]
×(φ/0.300)
×[0.278/(0.474Y2−0.919Y+0.698)] …(1)
しかも、式(1)によれば、電極寸法比D/Lの範囲として与えられるので、Dを都合の良い値に固定しておき、Lを変化させる、あるいは、Lを都合の良い値に固定しておき、Dを変化させる、などの調整により、抵抗値Rsを容易に調整できる。
なお、B定数B(-40〜900)は、-40℃及び900℃における抵抗値から求めたB定数である。
NTCサーミスタ素子の抵抗−温度特性、すなわち、温度Ts(K)における抵抗値Rsは、近似的に、Rs=R0・exp[B(1/Ts−1/T0)]で与えられる。ここで、当初抵抗値R0は、当初温度T0(K)における抵抗値、BはB定数(=B(-40〜900))である。
ところで、前述したように、B定数がB(-40〜900)=2.00×103〜3.00×103Kの導電性酸化物焼結体からなるサーミスタ素子本体を用いたサーミスタのうち、サーミスタ素子本体を貫通し、直線状に延びた、断面円形の第1電極部を有する第1電極線と、第1電極線と対をなす第2電極線であって、サーミスタ素子本体を上記電極部に平行に貫通し、直線状に延びた、断面円形の第2電極部を有する第2電極線と、を備えているサーミスタ素子を考える。このサーミスタ素子については、少なくとも、サーミスタ素子本体の、第1電極部と第2電極部との仮想中点を通る、第1電極部と第2電極部との間を結ぶ仮想面に直交する仮想面直交方向の厚みtが、t=0.50〜1.2mmであり、第1電極部及び第2電極部の直径φが、φ=0.25〜0.40mmである範囲においては、第1電極部及び第2電極部の長さをL(mm)、第1電極部と第2電極部との間の電極間距離をD(mm)としたとき、サーミスタ素子の抵抗値Rsは、電極寸法比D/Lと比例関係となることが判明した。
このようになる理由は、第1,第2電極部は、サーミスタ素子本体を互いに平行に貫通しているので、その長さLに沿う方向についてみると、第1,第2電極部間に生じる電界の様子は、どの部分でも、ほぼ同様であると考えられる。したがって、長さLが2倍になれば、サーミスタ素子の抵抗値Rsは1/2倍になると言うように、反比例の関係になる。一方、第1電極部と第2電極部との間の電極間距離Dを2倍とすれば、サーミスタ素子の抵抗値Rsも2倍になると言うように、正比例の関係になる。したがって、サーミスタ素子の抵抗値Rsは電極寸法比D/Lと、正比例の関係になると考えられる。
そして、当初温度T0=233K(=-40℃)のときの当初抵抗値R0(-40)が、R0(-40)=7.00×102(kΩ)であると仮定する。このサーミスタ素子の温度を変化させて、温度Ts=1173K(=900℃)とした場合、その抵抗値Rsは、Rs=7.00×102×exp[B(1/1173−1/233)]=7.00×102×exp(B×-3.44×10-3)で与えられる。つまり、B定数B、基準の電極寸法比Db/Lb=0.410を持つ基準のサーミスタ素子の温度Ts(=900℃)における抵抗値Rsが上式で与えられる。
一方、サーミスタ素子の抵抗値Rsは、電極寸法比D/Lに正比例するから、Rs=a1・(Db/Lb)、但しa1は比例係数、で表せる。また、温度Ts(=900℃)下で、サーミスタ素子に許容される最小の抵抗値2.00×10-2(kΩ)(=20.0Ω)となる電極寸法比を(D/L)minとすると、この場合も、2.00×10-2=a1×(D/L)minという関係を満たす。従って、比例係数a1=(D/L)min/2.00×10-2=(Db/Lb)/(7.00×102×exp(B×-3.44×10-3))の関係を満たす。これより、(D/L)min=(2.00×10-2)×(Db/Lb)/(7.00×102×exp(B×-3.44×10-3))=(2.00×10-2×0.410)/(7.00×102×exp(B×-3.44×10-3))となる。この電極寸法比(D/L)minは、電極寸法比D/Lのうちで、許容される最も小さな値であるから、電極寸法比D/Lとしては、D/L≧[(2.00×10-2×0.410)/(7.00×102×exp(B×-3.44×10-3))となる値を選択すればよいことになる。
これにより、A1項と電極寸法比D/Lとの関係が得られた。
先ず、上述のA1項とは逆に、当初温度T0=1173K(=900℃)のときの当初抵抗値R0(900)が、R0(900)=2.00×10-2(kΩ)であると仮定する。このサーミスタ素子の温度を変化させて、温度Ts=233K(=-40℃)とした場合、その抵抗値Rsは、Rs=2.00×10-2×exp[B(1/233−1/1733)]=2.00×10-2×exp(B×3.44×10-3)で与えられる。つまり、基準の電極寸法比Db/Lb=0.410を持つ基準のサーミスタ素子の温度Ts(=-40℃)における抵抗値Rsが上式で与えられる。
一方、サーミスタ素子の抵抗値Rsは、前述したように電極寸法比D/Lに正比例するので、Rs=a2・(Db/Lb)で表せる。また、温度Ts(=-40℃)下で、サーミスタ素子に許容される最大の抵抗値7.00×102(kΩ)となる電極寸法比を(D/L)maxとすると、この場合も、7.00×102=a2×(D/L)maxという関係を満たす。したがって、比例係数a2=(D/L)max/7.00×102=(Db/Lb)/(2.00×10-2×exp(B×-3.44×10-3))の関係を満たす。これより、(D/L)max=(7.00×102)×(Db/Lb)/(2.00×10-2×exp(B×-3.44×10-3))=(7.00×102×0.410)/(2.00×10-2×exp(B×-3.44×10-3))となる。この電極寸法比(D/L)maxは、電極寸法比D/Lのうちで、許容される最も大きな値であるから、電極寸法比D/Lとしては、D/L≦[(2.00×10-27.00×102×0.410)/(2.00×10-2×exp(B×-3.44×10-3))となる値を選択すればよいことになる。
これにより、A2項と電極寸法比D/Lとの関係が得られた。
本発明のサーミスタ素子は、直線状に延びた、断面円形の第1電極部及び第2電極部を用いている。また、この第1電極部及び第2電極部の直径はφ(mm)である。第1電極部と第2電極部との間の抵抗値Rsに寄与するのは、第1,第2電極部のうちごく一部の、電極間距離Dをなす、互いに最も近い部分のみではないから、第1電極部及び第2電極部の表面形状(円筒面)を考慮する必要がある。この場合、抵抗値Rsに寄与する第1電極部と第2電極部との実効的な距離としては、電極間距離Dよりも大きな値となるはずである。
そこで、図1に示すように、第1電極部2aと第2電極部3aの実効距離Deffを、D+(1−1/√2)×φ/2×2=D+(1-1/√2)φとする。
ところで、基準のサーミスタ素子において、基準の電極間距離Db=0.410mm、基準の電極部の直径φb=0.300mmであるので、基準の実効距離Deffbは、Deffb=(0.410+(1-1/√2)×0.300)=0.498となる。
B項は、A1項あるいはA2項に対して、この基準の実効距離Deffbを基準として、考察しているサーミスタ素子についての実効距離Deffの影響を補正する補正項である。なお、電極間距離Dと同じく、実効距離Deffも、その値が大きくなるほど、サーミスタ素子の抵抗値Rsが大きくなる(比例する)。そこで、サーミスタ素子の実効距離Deffとして、基準の実効距離Deffbと異なる値を採用した場合には、その影響を相殺すべく、A1項あるいはA2項に、B項:Deffb/Deff=[(0.410+(1-1/√2)×0.300)/(D+(1-1/√2)φ)]を掛け合わせる。
第1,第2電極部は、図1に示すように、実効的に、上述で説明した実効距離Deffの電極間距離を持ち、実効幅Weffの幅を持つ電極部同士が対向しているとも考えることができる。この実効幅Weffの大きさは、Weff=2×1/√2×φ/2=φ/√2で与えられる。
ところで、基準のサーミスタ素子において、基準の電極部の直径φb=0.300mmであるので、基準の実効幅Weffbは、Weffb=0.300/√2=0.212mmとなる。
C項は、A1項あるいはA2項に対して、この基準の実効幅Weffbを基準として、考察しているサーミスタ素子についての実効幅Weffの影響を補正する補正項である。なお、実効幅Weffは、その値が大きくなるほど、サーミスタ素子の抵抗値Rsが小さくなる(反比例する)。そこで、サーミスタ素子の実効幅Weffとして、基準の実効幅Weffbと異なる値を採用した場合には、その影響を相殺すべく、A1項あるいはA2項に、C項:Weff/Weffb=φ/0.300(=((φ/√2)/(0.300/√2)))を掛け合わせる。
サーミスタ素子第1電極部2aと第2電極部3aとの間に生じる電気力線EFは、図2に示すように、第1電極部2aと第2電極部3aの表面のうち、実効幅Weffの範囲(図1参照)のみに生じる訳ではなく、それよりも拡がって生じる。具体的には、第1電極部2aと第2電極部3aの仮想中点CPを通り、第1電極部2aの中心線2acと第2電極部3aの中心線3acを通る仮想面Pに直交する仮想面直交方向DR1(図2中、上下方向)におけるサーミスタ素子本体1の厚みtのうち、実効幅Weffの範囲を除いた部分(厚みt1,t2の部分)をも、電気力線EFは通る。したがって、この部分の厚みt1,t2の大きさによっても、サーミスタ素子の抵抗値Rsが変化する。そこで、素子残厚YをY=t1+t2=t−Weff=t−φ/√2と定義した。
そして、所定の組成を有するサーミスタ本体1を用いた基準のサーミスタ素子(Db=0.410mm、φb=0.300mm、Weffb=0.212mm)について、素子残厚Y、したがって厚みtを変化させた場合に、Ts=350℃で得られる抵抗値Rsの各例を、図3にプロットした。
さらにこの結果から、2次の近似曲線の式:Rs=0.474Y2−0.919Y+0.698を得た。
また、厚みtを基準の厚みtb=0.950mmとし、したがって基準の素子残厚YbをYb=tb−φb/√2=0.950−0.300/√2=0.738mmとした場合の、基準の抵抗値Rsbを、上記式から求めると、Rsb=0.278(kΩ)となる。
D項は、A1項あるいはA2項に対して、この基準の素子残厚Ybである場合の抵抗値Rsbを基準としたとき、考察しているサーミスタ素子の素子残厚がYである場合に抵抗値が変化する影響を補正する補正項である。そこで、サーミスタ素子の素子残厚Yとして、基準の素子残厚Ybと異なる値を採用した場合には、素子残厚Yを変化させたことによる抵抗値の補正は、その影響を相殺するように、A1項あるいはA2項に、D項:[0.278/(0.474Y2−0.919Y+0.698)]を掛け合わせて行う。
[(5.00×10-2×0.410)/(5.00×102×exp(B×-3.44×10-3))]
×[(0.410+(1-1/√2)×0.300)/(D+(1-1/√2)φ)]
×(φ/0.300)
×[0.278/(0.474Y2−0.919Y+0.698)]
≦ D/L ≦
[(5.00×102×0.410)/(5.00×10-2×exp(B×3.44×10-3))]
×[(0.410+(1-1/√2)×0.300)/(D+(1-1/√2)φ)]
×(φ/0.300)
×[0.278/(0.474Y2−0.919Y+0.698)] …(2)
しかも、式(2)によれば、電極寸法比D/Lの範囲として与えられるので、Dを都合の良い値に固定しておき、Lを変化させる、あるいは、Lを都合の良い値に固定しておき、Dを変化させる、などの調整により、抵抗値Rsを容易に調整できる。
さらに、B,C,D項は、前述の式(1)と同様であり、また、式(2)において、左右の項(上限及び下限の項)に共通の項である。
ところで、サーミスタ素子本体(導電性酸化物焼結体)のB定数は、同一品番のサーミスタ素子と言えども、完全に同一に形成することは困難であり、原材料の変動や調製段階での変動などにより、多数のサーミスタ素子を見た場合、例えば、異なる時期に製造した製造ロットの異なるサーミスタ素子(サーミスタ素子本体)について抜き取り検査をした場合、B定数にばらつきが生じることはやむを得ない。具体的には、サーミスタ素子本体用の原料粉末について、その先行試験の結果から、あるロットは、これを焼成した場合に、B定数が、所定の許容範囲内ではあっても、やや高めになる。一方、別のロットは、これを焼成した場合に、B定数が、所定の許容範囲内ではあっても、やや低めになると言うような状態が生じる。
なお、焼成条件を調整することにより、原料粉末の持つB定数の傾向を補正することが可能な場合もあるが、焼成条件の変更によるサーミスタ素子本体の他の特性などへの影響が考えられ、採用困難な場合が多い。
これにより、B定数が大きいと、温度範囲−40〜900℃のうち、特に、抵抗値が低くなる高温域の400〜900℃の範囲において、各サーミスタ素子の抵抗値がより低くなりがちであるのを、厚みtを小さくすることで抑制することができる。
また、この逆に、B定数が小さいと、この高温域において、各サーミスタ素子の抵抗値が高くなりがちであるのを、厚みtを大きくすることで抑制することができる。
かくして、各サーミスタ素子が、この高温域で実際に取る抵抗値のバラツキを抑制することができ、より適切に精度良く、温度検知をすることができる。
0.600≦a≦1.000
0≦b≦0.400
0.150≦c<0.600
0.400≦d≦0.800
0<e≦0.050
0<e/(c+e)≦0.18
2.80≦f≦3.30
また、金属元素Meがペロブスカイト相をなす金属元素でない場合には、この金属元素Meがペロブスカイト相中に固溶することで、固溶前とは異なる元素からなるペロブスカイト相が生成される虞があるが、本発明の焼結体では、このような組成変動も生じにくく、安定した組成を維持でき、焼結体の諸特性の変動も抑制される。
このような結晶構造を有する場合、Aサイトを占める元素M1,M2はイオン半径が近接しており、元素同士で互いに容易に置換できるものであり、これらの元素からなる副生成物の生成が少なく、置換された組成で安定に存在する。同様に、Bサイトを占める元素M3,Al,Crはイオン半径が近接しており、元素同士で互いに容易に置換できるものであり、これらの元素からなる副生成物の生成が少なく、置換された組成で安定に存在する。このため、広い組成範囲で連続的に組成比を変えて、導電性酸化物焼結体の比抵抗値やその温度勾配定数(B定数)を調整することができる。
0.600≦a<1.000
0<b≦0.400
0.820≦a≦0.950
0.050≦b≦0.180
0.181≦c≦0.585
0.410≦d≦0.790
0.005≦e≦0.050
0<e/(c+e)≦0.18
2.91≦f≦3.27
0.850≦b≦0.940
0.060≦b≦0.150
0.181≦c≦0.545
0.450≦d≦0.780
0.005≦e≦0.050
0<e/(c+e)≦0.18
2.92≦f≦3.25
0.20≦SP/S≦0.80
金属酸化物相に対して相対的に高い導電性を示すペロブスカイト相の総断面積が20%を下回る場合には、焼結体の導電性が低下して比抵抗が上昇するため、サーミスタ素子において、このような比抵抗値を有する焼結体を使用しにくくなるからである。
なお、焼結体の断面積S中に占めるペロブスカイト相の総断面積SPの割合は、焼結体に含まれるペロブスカイト相の体積分率とも等しい値となる。
焼結体の焼成時あるいは900℃などの高温環境下において、複酸化物をなす2つの元素のうち、一方の元素のみが、複酸化物から、ペロブスカイト相へ移動し、これに固溶することは、単元素の酸化物から、これをなす金属元素(M1あるいはM2)が、ペロブスカイト相へ移動し固溶する場合に比して、生じにくいと考えられる。従って、金属酸化物相に複酸化物を含めることにより、高温環境下でのペロブスカイト相の組成のズレを抑制し、耐熱性を高めることができると考えられる。
0.600≦a<1.000
0<b≦0.400
前記金属酸化物相に、前記元素M1及び元素M2からなる複酸化物を含むサーミスタ素子とするのが好ましい。
焼結体の焼成時あるいは900℃などの高温環境下において、複酸化物をなす2つの元素M1,M2のうち、一方の元素のみが、複酸化物から、ペロブスカイト相のAサイトへ移動し固溶することは、単元素の酸化物から、これをなす金属元素(M1あるいはM2)が、ペロブスカイト相のAサイトへ移動し固溶する場合に比して、生じにくいと考えられる。従って、金属酸化物相に、元素M1及びM2からなる複酸化物を含めることにより、さらに高温環境下でのペロブスカイト相の組成のズレを抑制し、耐熱性を高めることができる。
なお、このような複酸化物としては、例えば、ペロブスカイト相が、(Y,Sr)(Mn,Al,Cr)O3で表される場合において、SrY2O4,SrY4O7などが挙げられる。
なお、このような複酸化物としては、ペロブスカイト相が(Y,Sr)(Mn,Al,Cr)O3である場合において、SrAl2O4、YAlO3,Y3Al5O12などが挙げられる。
[(2.00×10-2×0.410)/(7.00×102×exp(B×-3.44×10-3))]
×[(0.410+(1-1/√2)×0.300)/(D+(1-1/√2)φ)]
×(φ/0.300)
×[0.278/(0.474Y2−0.919Y+0.698)]
≦ D/L ≦
[(7.00×102×0.410)/(2.00×10-2×exp(B×3.44×10-3))]
×[(0.410+(1-1/√2)×0.300)/(D+(1-1/√2)φ)]
×(φ/0.300)
×[0.278/(0.474Y2−0.919Y+0.698)] …(1)
すると、これを焼成したサーミスタ素子では、−40℃での第1電極線と第2電極線との間の抵抗値Rs(-40)を、Rs(-40)≦7.00×102kΩとすることができる。さらに、900℃でのサーミスタ素子の第1電極線と第2電極線との間の抵抗値Rs(900)を、Rs(900)≧2.00×10-2kΩとすることができる。つまり、温度が−40〜900℃の範囲で、サーミスタ素子の第1電極線と第2電極線との間の抵抗値Rsを、Rs=2.00×10-2〜7.00×102kΩとすることができる。
かくして、本発明のサーミスタ素子の製造方法によって、抵抗分圧回路などの簡易な回路を用いながらも、−40〜900℃の範囲で、抵抗値Rsを適切に検知可能なサーミスタ素子を製造することができる。
しかも、式(1)によれば、電極寸法比D/Lの範囲として与えられるので、Dを都合の良い値に固定しておき、Lを変化させる、あるいは、Lを都合の良い値に固定しておき、Dを変化させる、などの調整により、サーミスタ素子抵抗値Rsを容易に調整できる製造方法となる。
[(5.00×10-2×0.410)/(5.00×102×exp(B×-3.44×10-3))]
×[(0.410+(1-1/√2)×0.300)/(D+(1-1/√2)φ)]
×(φ/0.300)
×[0.278/(0.474Y2−0.919Y+0.698)]
≦ D/L ≦
[(5.00×102×0.410)/(5.00×10-2×exp(B×3.44×10-3))]
×[(0.410+(1-1/√2)×0.300)/(D+(1-1/√2)φ)]
×(φ/0.300)
×[0.278/(0.474Y2−0.919Y+0.698)] …(2)
すると、これを焼成したサーミスタ素子では、抵抗値Rs(-40)を、Rs(-40)≦5.00×102kΩとすることができる。さらに、抵抗値Rs(900)を、Rs(900)≧5.00×10-2kΩとすることができる。つまり、温度が−40〜900℃の範囲で、サーミスタ素子の第1電極線と第2電極線との間の抵抗値Rsを、Rs=5.00×10-2〜5.00×102kΩとすることができる。
かくして、本発明のサーミスタの製造方法によって、抵抗分圧回路などの簡易な回路を用いながらも、−40〜900℃の範囲で、抵抗値Rsをさらに適切に検知可能なサーミスタ素子を製造することができる。
しかも、式(2)によれば、電極寸法比D/Lの範囲として与えられるので、Dを都合の良い値に固定しておき、Lを変化させる、あるいは、Lを都合の良い値に固定しておき、Dを変化させる、などの調整により、サーミスタ素子抵抗値Rsを容易に調整できる製造方法となる。
なお、焼成条件を調整することにより、原料粉末の持つB定数の傾向を補正することは可能な場合もあるが、焼成条件の変更によるサーミスタ素子本体の他の特性などへの影響が考えられ、採用困難な場合が多い。
このようにして製造することにより、B定数が大きいと、温度範囲−40〜900℃のうち、特に、抵抗値が低くなる高温域の400〜900℃の範囲において、各サーミスタ素子の抵抗値がより低くなりがちであるのを、厚みtを小さくすることで抑制することができる。
また、この逆に、B定数が小さいと、この高温域において、各サーミスタ素子の抵抗値が高くなりがちであるのを、厚みtを大きくすることで抑制することができる。
かくして、本発明の製造方法によれば、この高温域で実際に取る抵抗値のバラツキを抑制し、より適切に精度良く、温度検知をすることができるサーミスタ素子を製造することができる。
0.600≦a≦1.000
0≦b≦0.400
0.150≦c<0.600
0.400≦d≦0.800
0<e≦0.050
0<e/(c+e)≦0.18
2.80≦f≦3.30
なお、第1電極部2aと第2電極部3aとの間の電極間距離をD(mm)、第1電極部2a及び第2電極部3aの長さをL(mm)、これらの直径をφ(mm)、サーミスタ素子本体1の厚みをt(mm)とする。
ここで、厚みtは、t=0.500〜1.20mm、直径φは、φ=0.250〜0.400mmの範囲を考慮するものとする。
また、長さLは、L≧0.3mmとするのが好ましい。また、電極間距離Dは、D≧0.1mmとするのが好ましい。
ところで、前述したように、B定数がB(-40〜900)=2.00×103〜3.00×103Kの導電性酸化物焼結体からなるサーミスタ素子本体を用いたサーミスタ素子のうち、前述した本実施例に係るサーミスタ素子10では、その抵抗値Rsが、電極寸法比D/Lと比例関係となることが判明した。
すなわち、サーミスタ素子本体1を貫通し、直線状に延びた、断面円形の第1電極部2aを有する第1電極線2と、第1電極線2と対をなす第2電極線3であって、サーミスタ素子本体1を第1電極部2aに平行に貫通し、直線状に延びた、断面円形の第2電極部3aを有する第2電極線3と、を備えているサーミスタ素子10を考える。図1に示すように、このサーミスタ素子10については、少なくとも、サーミスタ素子本体1の、第1電極部2aと第2電極部3aとの仮想中点CPを通り、第1電極部2aと第2電極部3aとの間を結ぶ仮想面Pに直交する仮想面直交方向DR1の厚みtが、t=0.50〜1.2mmであり、第1電極部2a及び第2電極部3aの直径φが、φ=0.25〜0.40mmである範囲においては、サーミスタ素子10の抵抗値Rsは、電極寸法比D/Lと比例関係となることが判明した。
一方、電極間距離Dについて言えば、第1電極部2aと第2電極部3aとの間の電極間距離Dを2倍とすれば、サーミスタ素子の抵抗値Rsも2倍になると言うように、正比例の関係になる。
したがって、サーミスタ素子の抵抗値Rsは電極寸法比D/Lとも、正比例の関係になると考えられる。
そして、当初温度T0=233K(=-40℃)のときの当初抵抗値R0(-40)が、R0(-40)=7.00×102(kΩ)であると仮定する。このサーミスタ素子10の温度を変化させて、温度Ts=1173K(=900℃)とした場合、その抵抗値Rsは、Rs=7.00×102×exp[B(1/1173−1/233)]=7.00×102×exp(B×-3.44×10-3)で与えられる。つまり、B定数B、基準の電極寸法比Db/Lb=0.410を持つ基準のサーミスタ素子の温度Ts(=900℃)における抵抗値Rsが上式で与えられる。
一方、サーミスタ素子10の抵抗値Rsは、電極寸法比D/Lに正比例するのであるから、Rs=a1・(Db/Lb)、但しa1は比例係数、で表せる。
また、温度Ts(=900℃)下で、サーミスタ素子10に許容される最小の抵抗値2.00×10-2(kΩ)(=20.0Ω)となる電極寸法比を(D/L)minとすると、この場合も、2.00×10-2=a1×(D/L)minという関係を満たす。
従って、比例係数a1=(D/L)min/2.00×10-2=(Db/Lb)/(7.00×102×exp(B×-3.44×10-3))の関係を満たす。これより、(D/L)min=(2.00×10-2)×(Db/Lb)/(7.00×102×exp(B×-3.44×10-3))=(2.00×10-2×0.410)/(7.00×102×exp(B×-3.44×10-3))となる。この電極寸法比(D/L)minは、電極寸法比D/Lのうちで、許容される最も小さな値であるから、電極寸法比D/Lとしては、D/L≧[(2.00×10-2×0.410)/(7.00×102×exp(B×-3.44×10-3))となる値を選択すればよいことになる。
この関係は、前述した式(1),(2)におけるA1項と電極寸法比D/Lとの関係を与えるものである。
一方、サーミスタ素子10の抵抗値Rsは、前述したように電極寸法比D/Lに正比例するので、Rs=a2・(Db/Lb)で表せる。温度Ts(=-40℃)下で、サーミスタ素子に許容される最大の抵抗値7.00×102(kΩ)となる電極寸法比を(D/L)maxとすると、この場合も、7.00×102=a2×(D/L)maxという関係を満たす。
従って、比例係数a2=(D/L)max/7.00×102=(Db/Lb)/(2.00×10-2×exp(B×-3.44×10-3))の関係を満たす。これより、(D/L)max=(7.00×102)×(Db/Lb)/(2.00×10-2×exp(B×-3.44×10-3))=(7.00×102×0.410)/(2.00×10-2×exp(B×-3.44×10-3))となる。この電極寸法比(D/L)maxは、電極寸法比D/Lのうちで、許容される最も大きな値であるから、電極寸法比D/Lとしては、D/L≦[(2.00×10-27.00×102×0.410)/(2.00×10-2×exp(B×-3.44×10-3))となる値を選択すればよいことになる。
この関係は、前述した式(1),(2)におけるA2項と電極寸法比D/Lとの関係を与えるものである。
[(2.00×10-2×0.410)/(7.00×102×exp(B×-3.44×10-3))]
≦ D/L ≦
[(7.00×102×0.410)/(2.00×10-2×exp(B×3.44×10-3))] …(3)
[(5.00×10-2×0.410)/(5.00×102×exp(B×-3.44×10-3))]
≦ D/L ≦
[(5.00×102×0.410)/(5.00×10-2×exp(B×3.44×10-3))] …(4)
そこで、それらによる影響を考慮すると共に、上述の基本関係式(3)を有効に利用するため、サーミスタ素子の各寸法について基準の値を定め、それと異なる値を用いる場合に生じる抵抗値Rsのずれを、補正項によって修正するという形式を取ることにする。
図1を参照して既に説明したように、電極間距離Dは、第1電極部2aと第2電極線3aとの間隙の大きさで与えられる。また、この第1電極部及び第2電極部の直径はφ(mm)である。第1電極部2aと第2電極部3aとの間の抵抗値Rsに寄与するのは、第1,第2電極部2a,3aのうちごく一部の、電極間距離Dをなす、互いに最も近い部分のみではない。そこで、第1電極部2a及び第2電極部3aの表面形状(円筒面)を考慮する必要がある。この場合、第1電極部2aと第2電極部3aとの距離としては、電極間距離Dよりも大きな値となるはずである。
本例では、第1電極部2a及び第2電極部3aが断面円形であることから、第1電極部2aと第2電極部3aとの間の抵抗値Rsに寄与する距離として、実効距離Deffを、図1に示すようにして与える。すなわち、第1電極部2aの中心線2acと第2電極部3aの中心線3acを結ぶ線に対して、中心線2ac及び中心線3acからそれぞれ45度(45deg)傾いた方向に延ばした線が、第1電極部2a及び第2電極部3aの外周面と交わる点を、それぞれL1,L2,N1,N2とする。点L1とL2を結ぶ線分L1−L2と、点N1とN2を結ぶ線分N1−N2との間隔(間隙)を、実効距離Deffとする。この実効距離Deffは、Deff=D+(1−1/√2)×φ/2×2=D+(1-1/√2)φで与えられる。
そこで、B項として、A1項あるいはA2項に対して、この基準の実効距離Deffbを基準として、考察しているサーミスタ素子についての実効距離Deffの影響を補正する補正項を考える。なお、電極間距離Dと同じく、実効距離Deffも、その値が大きくなるほど、サーミスタ素子の抵抗値Rsが大きくなる(比例する)。そこで、サーミスタ素子の実効距離Deffとして、基準の実効距離Deffbと異なる値を採用した場合には、その影響を相殺すべく、A1項あるいはA2項に、B項:Deffb/Deff=[(0.410+(1-1/√2)×0.300)/(D+(1-1/√2)φ)]を掛け合わせることとする。
第1電極部2a及び第2電極部3aは、図1に示すように、実効的に、上述で説明した実効距離Deffの電極間距離を持ち、実効幅Weffの幅を持つ電極部同士が対向しているとも考えることができる。この実効幅Weffの大きさは、Weff=2×1/√2×φ/2=φ/√2で与えられる。
ところで、基準のサーミスタ素子では、基準の電極部の直径φb=0.300mmとする。すると、基準の実効幅Weffbは、Weffb=0.300/√2=0.212mmとなる。
そこで、C項として、A1項あるいはA2項に対して、この基準の実効幅Weffbを基準として、考察しているサーミスタ素子についての実効幅Weffの影響を補正する補正項を考える。なお、実効幅Weffは、その値が大きくなるほど、サーミスタ素子の抵抗値Rsが小さくなる(反比例する)。そこで、サーミスタ素子の実効幅Weffとして、基準の実効幅Weffbと異なる値を採用した場合には、その影響を相殺すべく、A1項あるいはA2項に、C項:Weff/Weffbφ/0.300(=((φ/√2)/(0.300/√2)))を掛け合わせることとする。
サーミスタ素子第1電極部2aと第2電極部3aとの間に生じる電気力線EFは、図2に示すように、第1電極部2aと第2電極部3aの表面のうち、実効幅Weffの範囲(図1参照)のみに生じる訳ではなく、それよりも拡がって生じる。具体的には、第1電極部2aと第2電極部3aの仮想中点CPを通り、第1電極部2aの中心線2acと第2電極部3aの中心線3acを通る仮想面Pに直交する仮想面直交方向DR1(図2中、上下方向)におけるサーミスタ素子本体1の厚みtのうち、実効幅Weffの範囲を除いた部分(厚みt1,t2の部分)をも、電気力線EFは通る。したがって、この部分の厚みt1,t2の大きさによっても、サーミスタ素子の抵抗値Rsが変化する。そこで、素子残厚YをY=t1+t2=t−Weff=t−φ/√2と定義した。
そして、所定の組成を有するサーミスタ本体1を用いた基準のサーミスタ素子(Db=0.410mm、φb=0.300mm、Weffb=0.212mm)について、素子残厚Y、したがって厚みtを変化させた場合に、Ts=350℃で得られる抵抗値Rsの各例を、図3にプロットした。
さらにこの結果から、2次の近似曲線の式:Rs=0.474Y2−0.919Y+0.698を得ることができる。
D項として、A1項あるいはA2項に対して、この基準の素子残厚Ybである場合の抵抗値Rsbを基準としたとき、考察しているサーミスタ素子の素子残厚がYである場合に抵抗値が変化する影響を補正する補正項を考える。そこで、サーミスタ素子の素子残厚Yとして、基準の素子残厚Ybと異なる値を採用した場合には、素子残厚Yを変化させたことによる抵抗値の補正は、その影響を相殺するように、A1項あるいはA2項に、D項:[0.278/(0.474Y2−0.919Y+0.698)]を掛け合わせて行うこととする。
[(2.00×10-2×0.410)/(7.00×102×exp(B×-3.44×10-3))]
×[(0.410+(1-1/√2)×0.300)/(D+(1-1/√2)φ)]
×(φ/0.300)
×[0.278/(0.474Y2−0.919Y+0.698)]
≦ D/L ≦
[(7.00×102×0.410)/(2.00×10-2×exp(B×3.44×10-3))]
×[(0.410+(1-1/√2)×0.300)/(D+(1-1/√2)φ)]
×(φ/0.300)
×[0.278/(0.474Y2−0.919Y+0.698)] …(1)
また、この式(1)によれば、採用すべき電極寸法比D/Lは、ある範囲として与えられるので、例えば、電極間距離Dを都合の良い値に固定しておき、長さLを変化させる調整により、あるいは、長さLを都合の良い値に固定しておき、電極間距離Dを変化させる調整により、サーミスタ素子10の抵抗値Rsを容易に調整できる。
[(5.00×10-2×0.410)/(5.00×102×exp(B×-3.44×10-3))]
×[(0.410+(1-1/√2)×0.300)/(D+(1-1/√2)φ)]
×(φ/0.300)
×[0.278/(0.474Y2−0.919Y+0.698)]
≦ D/L ≦
[(5.00×102×0.410)/(5.00×10-2×exp(B×3.44×10-3))]
×[(0.410+(1-1/√2)×0.300)/(D+(1-1/√2)φ)]
×(φ/0.300)
×[0.278/(0.474Y2−0.919Y+0.698)] …(2)
また、この式(2)によれば、採用すべき電極寸法比D/Lは、ある範囲として与えられるので、例えば、電極間距離Dを都合の良い値に固定しておき、長さLを変化させる調整により、あるいは、長さLを都合の良い値に固定しておき、電極間距離Dを変化させる調整により、サーミスタ素子10の抵抗値Rsを容易に調整できる。
つまり、サーミスタ素子本体1の厚みtを変化させても、B定数を変化させることはできないが、この厚みtを変更したサーミスタ素子本体1を形成することにより、サーミスタ素子10の第1電極部2aと第2電極部3aとの間で発生する抵抗値Rsの大きさを変化させることはできる。具体的には、厚みtを大きくするほど、抵抗値Rsを小さくできる。
具体的には、サーミスタ素子本体用の原料粉末について、その先行試験の結果から、あるロットは、これを焼成した場合に、B定数が、所定の許容範囲内ではあっても、やや高めになる。一方、別のロットは、これを焼成した場合に、B定数が、所定の許容範囲内ではあっても、やや低めになると言うような状態が生じる。
なお、焼成条件を調整することにより、原料粉末の持つB定数の傾向を補正することが可能な場合もあるが、焼成条件の変更によるサーミスタ素子本体の他の特性などへの影響が考えられ、採用困難な場合が多い。
これにより、サーミスタ素子本体1のB定数が大きい場合、温度範囲−40〜900℃のうち、特に、抵抗値が低くなる高温域の400〜900℃の範囲において、各サーミスタ素子10の抵抗値Rsがより低くなりがちである。しかし、サーミスタ素子本体1の厚みtを小さくすることで、抵抗値Rsの低下を抑制することができる。
また、この逆に、B定数が小さい場合には、この高温域において、各サーミスタ素子の抵抗値Rsが高くなりがちである。しかし、厚みtを大きくすることで、抵抗値Rsの増大を抑制することができる。
かくして、各サーミスタ素子10ついて、B定数にはばらつきが生じていても、この高温域でサーミスタ素子10が実際に取る抵抗値Rsのバラツキを抑制することができ、より適切に精度良く、温度検知をすることができる。
先ず、焼結後にB定数がB(-40〜900)=2.00×103〜3.00×103Kとなる導電性酸化物焼結体となるプレス用粉末を製造する。この導電性酸化物焼結体(サーミスタ素子本体)の組成、及びプレス用粉末(造粒粉末)の製造については、後述する。その後、プレス工程において、このプレス用粉末を用いて、金型成型法にて六角形板状にプレス成形する。
その際、図4に示すように、直径φがφ=0.250〜0.400mmで、Pt−Rh合金製の一対の第1、第2電極線2,3が、平行に配置され、その両端が突出し、途中部分が埋設されるようにして、未焼成サーミスタ素子10Mを得る。その後、大気中1500℃で2Hr焼成してサーミスタ素子10を製造した。
但し、このプレス工程において、未焼成サーミスタ素子10Mは、これを焼成した場合に、厚みtが、t=0.500〜1.20mm、電極寸法比D/Lが、前述の式(1)の範囲内となる形態の未焼成サーミスタ素子を成形する。
かくして、この製造方法によって、抵抗分圧回路などの簡易な回路を用いながらも、−40〜900℃の範囲で、抵抗値Rsを適切に検知可能なサーミスタ素子10を製造することができる。
かくして、抵抗分圧回路などの簡易な回路を用いながらも、−40〜900℃の範囲で、抵抗値Rsをさらに適切に検知可能なサーミスタ素子を製造することができる。
また、この逆に、B定数が小さいと、この高温域において、各サーミスタ素子10の抵抗値Rsが高くなりがちであるのを、厚みtを大きくすることで抑制することができる。
かくして、この製造方法によれば、この高温域で実際に取る抵抗値のバラツキを抑制し、より適切に精度良く、温度検知をすることができるサーミスタ素子10を製造することができる。
なお、前述の説明では、サーミスタ素子10として、第1,第2電極線2,3を、サーミスタ素子本体10に貫通させた、従って、第1,第2電極部2a,3aの両側から第1,第2電極線2,3の一部(第1,第2接続部2b,3b及び第1,第2突出部2c,3c)がそれぞれ突出した形態(以下、貫通型ともいう)のサーミスタ素子を示した。これに対し、以下の説明では、上述の貫通型のサーミスタ素子10と異なり、本件発明の形態が外れるのであるが、図5に示すように、第1,第2突出部が存在せず、第1,第2電極部202a,203aの対向面201B側の端部が、サーミスタ素子本体201内に位置する形態(以下、挿入型ともいう)のサーミスタ素子210(参考例1〜18及び比較参考例1,2)を用いて得た結果に基づき、導電性酸化物焼結体の特性等について説明を行うこととする。
従って、B定数など、サーミスタ素子の形態に関係せず、導電性酸化物焼結体の特性に関係するものについては、そのまま、本件発明(実施例)のサーミスタ素子10にも適用することができる。一方、サーミスタ素子210の抵抗値(初期抵抗値Rs(-40)、Rs(900))などは、サーミスタ素子の形態に依存するので、そのままでは、本件発明のサーミスタ素子には適用することができないものである。
まず、ペロブスカイト相用の仮焼粉末を以下のようにして得る。即ち、原料粉末として、Y2O3,Nd2O3,Yb2O3,SrCO3,MgO,CaCO3,MnO2,Fe2O3,Al2O3,Cr2O3(全て純度99%以上の市販品を用いた。)を用いて、化学式(組成式)M1aM2bM3cAldCreO3としたときの、元素M1,M2,M3が、表1に示す組み合わせとなり、しかも、a,b,c,d,eが、表1に示すモル数となるように、それぞれ秤量する。さらに、これらの原料粉末を湿式混合して乾燥することにより、ペロブスカイト相用の原料粉末混合物を調整した。次いで、この原料粉末混合物を大気雰囲気下1400℃で2Hr仮焼し、平均粒径1〜2μmのペロブスカイト相用の仮焼粉末を得た。
なお、参考例17の耐還元性被膜形成のため、このSrAl2O4の仮焼粉末にバインダ及び分散媒を添加して混練して、ディップコーティング用のスラリーを別途、作成した。
なお、使用しうるバインダーとしては、上述のポリビニルブチラールに特に限定されず、例えばポリビニルアルコール、アクリル系バインダー等が挙げられる。バインダーの配合量は上述の仮焼粉末全量に対し、通常5〜20重量部、好ましくは10〜20重量部とする。
また、バインダーと混合するにあたり、サーミスタ合成粉末の平均粒子径は2.0μm以下としておくのが好ましく、これによって均一に混合することができる。
サーミスタ素子210の各寸法は、一辺1.15mmの六角形状で、厚み1.00mm、電極線202,203の径φ0.3mm、電極間距離0.44mm、電極挿入量1.10mmである。
B(-40〜900)=ln[Rs(900)/Rs(-40)]/[1/T(900)−1/T(-40)] …(5)
なお、Rs(-40):−40℃におけるサーミスタ素子の初期抵抗値(kΩ)、Rs(900):900℃におけるサーミスタ素子の初期抵抗値(kΩ)である。
また、初期抵抗値Rs(-40)、Rs(900)は、挿入型のサーミスタ素子210,220と、本実施例の貫通型のサーミスタ素子10とでは、たとえ、サーミスタ素子本体の形態が同様であっても、第1,第2電極部の形態が異なるため、互いに異なる値になる。しかし、B定数B(-40〜900)は、導電性酸化物焼結体固有の値であるため、導電性酸化物焼結体の組成や製造条件、焼成条件などが同様であれば、サーミスタ素子本体の形態によらず、同様の値を示す。
その上で、−40℃における初期抵抗値Rt(-40)と熱処理後抵抗値Rt'(-40)との比較から、熱処理による抵抗変化の温度変化換算値CT(-40)(単位:deg)を、下記式(6)により算出した。900℃における初期抵抗値Rt(900)と熱処理後抵抗値Rt'(900)との比較からも、同様の式(7)により温度変化換算値CT(900)を算出した。その上で、温度変化換算値CT(-40)とCT(900)のうち大きい方を、温度変化換算値CT(deg)として表1に示した。
CT(-40)=[(B(-40〜900)×T(-40))/[ln(Rt'(-40)/Rt(-40))×T(-40)+B(-40〜900)]]−T(-40) …(6)
CT(900)=[(B(-40〜900)×T(900))/[ln(Rt'(900)/Rt(900))×T(900)+B(-40〜900)]]−T(900) …(7)
なお、温度センサ100のうち、金属チューブ9の内周面及びシース部材8を構成する金属製の外筒には、予め酸化皮膜が形成されている。これにより、この温度センサ100のサーミスタ素子10近傍を高温とした場合でも、金属チューブ9やシース部材8の外筒の酸化が抑制され、この金属チューブ9内の雰囲気が還元雰囲気となることが防止されている。従って、サーミスタ素子10が還元されて、その抵抗値が変化することが防止されている。
その上で、−40℃における抵抗値R1(-40)と抵抗値R2(-40)との比較から、繰り返し温度変化による抵抗変化の温度変化換算値DT(-40)(単位:deg)を、下記式(8)により算出した。また、900℃における抵抗値R1(900)と抵抗値R2(900)との比較からも、同様の式(5)により温度変化換算値DT(900)を算出した。その上で、温度変化換算値DT(-40)とDT(900)のうち大きい方を、温度変化換算値DT(deg)として表1に示した。
DT(-40)=[(B(-40〜900)×T(-40))/[ln(R2(-40)/R1(-40))×T(-40)+B(-40〜900)]]−T(-40) …(8)
DT(900)=[(B(-40〜900)×T(900))/[ln(R2(900)/R1(900))×T(900)+B(-40〜900)]]−T(900) …(9)
これらの結果も、表1に示す。
また、温度変化換算値CT(-40),CT(900)、及び温度変化換算値DT(-40),DT(900)は、導電性酸化物焼結体の特性の安定性を示す指標であり、導電性酸化物焼結体固有の値であると考えられる。このため、導電性酸化物焼結体の組成や製造条件、焼成条件などが同様であれば、サーミスタ素子本体の形態によらず、同様の値を示す。
まず、焼結体を樹脂に埋め込み、3μmのダイヤペーストを用いたバフ研磨処理を行って断面を研磨した試料を作成した。その後、走査型電子顕微鏡(JEOL社製 商品名:JSM-6460LA)により、断面を倍率3000倍で写真撮影する。図7に参考例6に係る焼結体の断面写真を示す。なお、EDSによる組成分析から白色部分がペロブスカイト相、暗灰色の部分が金属酸化物相(具体的には、SrAl2O4)である。また、黒色部分は気孔である。撮影した組織写真のうち、40μm×30μmの視野を画像解析装置にて解析し、視野(断面積S)に対するペロブスカイト相の相面積SPの占める割合(面積分率)SP/Sを求めた。
この面積分率SP/Sの測定方法は、本実施例のサーミスタ素子10についても同様である。また、面積分率SP/Sは、サーミスタ素子本体の形態によらない指標である。
0.600≦a≦1.000
0≦b≦0.400
0.150≦c<0.600
0.400≦d≦0.800
0<e≦0.050
0<e/(c+e)≦0.18
2.80≦f≦3.30
また、元素M3にMnを用いた参考例1〜7に対し、元素M3としてFeを用いた実施例15についても、同様である。
即ち、参考例1〜17に示すように、a<1.000,b>0とするのが好ましい。Sr等(2A族の元素M2)を含まない(b=0)ペロブスカイト相を有する参考例18にかかる焼結体では、この焼結体(サーミスタ素子210,220)を多数製造すると、各個体間の特性バラツキや焼成ロット間の特性ばらつきが大きくなり易い傾向がある。これに比して、Y等(3A族の元素M1)のほかにSr等(2A族の元素M2)を含む、例えば参考例1〜17の焼結体では、相対的に、個体間の特性バラツキや焼成ロット間の特性ばらつきが小さくできる。
なお、他の参考例4,5,7〜16,18の焼結体については、温度変化換算値CTの測定結果を明示していない。
この温度変化換算値DTついても、当該焼結体1(サーミスタ素子10)が熱履歴に対する抵抗変化が少ない特性を有するものか否かを判断する目安が、温度変化換算値DTが±10degであると考えられる。各参考例1〜18の焼結体(サーミスタ素子210,220)は、いずれもこの目安の範囲に含まれていることから、本参考例1〜18のサーミスタ素子210,220は、いずれも熱履歴に対する抵抗変化が小さく、実用上問題なく使用可能な焼結体(サーミスタ素子)であることが判る。
金属チューブ9の内部においてシース部材8の外筒の先端から(図中下方に)突出する芯線7には、サーミスタ素子10の第1,第2電極線2,3がレーザ溶接により接続されている。
一方、シース部材8から後端側に突き出した芯線7は、加締め端子11を介して一対のリード線12に接続されている。芯線7同士及び加締め端子11同士は、絶縁チューブ15により互いに絶縁されている。
例えば、図4で例示する実施例のサーミスタ素子10は、六角形板状のサーミスタ素子本体1の対向面1A,1B間を貫通する第1,第2電極線2,3を有する形態とした。
しかし、例えば、図9(a)に示すように、直方体形状のサーミスタ素子本体61と、このサーミスタ素子本体61の対向する平行な対向面61A,61B間を平行に貫通する直線状の第1電極部62a,第2電極部63aを有する第1電極線62,第2電極線63とを有するサーミスタ素子60としても良い。また、図9(b)に示すように、円板形状のサーミスタ素子本体71と、このサーミスタ素子本体71の対向する平行な対向面71A,71B間を平行に貫通する直線状の第1電極部72a,第2電極部73aを有する第1電極線72,第2電極線73とを有するサーミスタ素子70としても良い。
また、導電性酸化物焼結体の焼結性、B定数、温度特性の高温耐久性など、導電性酸化物焼結体、サーミスタ素子、あるいは温度センサに要求されると特性を損なわない範囲で、導電性酸化物焼結体に、Na,K,Ga,Si,C,Cl,S等の他の成分を含有していてもよい。
10M 未焼成サーミスタ素子
100 温度センサ
1,61,71,201 サーミスタ素子本体
1A,1B 対向面
2 第1電極線
2a 第1電極部
2ac (第1電極部の)中心線
2b 第1接続部
2c 第1突出部
3 第2電極線
3a 第2電極部
3ac (第2電極部の)中心線
3b 第21接続部
3c 第2突出部
φ (第1電極部,第2電極部の)直径
D (第1電極部と第2電極部との)電極間距離
L (第1電極部,第2電極部の)長さ
D/L 電極寸法比
Deff 実効距離
Weff 実効幅
CP (第1電極部と第2電極部との)仮想中点
P 仮想面
DR1 仮想面直交方向
t (サーミスタ素子本体の、仮想中点を通る仮想面直交方向についての)厚み
t1,t2 厚み
Y 素子残厚
Ts (サーミスタ素子の)温度
Rs (サーミスタ素子の)抵抗値
T0 (サーミスタ素子の)当初温度
R0 (サーミスタ素子の)当初抵抗値
Claims (9)
- B定数がB(-40〜900)=2.00×103〜3.00×103Kの導電性酸化物焼結体からなるサーミスタ素子本体と、
上記サーミスタ素子本体を貫通し、直線状に延びた、断面円形の第1電極部を有する
第1電極線と、
上記第1電極線と対をなす第2電極線であって、
上記サーミスタ素子本体を上記第1電極部に平行に貫通し、直線状に延びた、断面円形で、上記第1電極部と等しい直径及び長さの第2電極部を有する
第2電極線と、を備え、
上記サーミスタ素子本体は、上記第1電極部と第2電極部との仮想中点を通る、上記第1電極部と第2電極部との間を結ぶ仮想面に直交する仮想面直交方向の厚みtが、t=0.500〜1.20mmであり、
上記第1電極部及び第2電極部は、その直径φが、φ=0.250〜0.400mmであり、
上記第1電極部及び第2電極部の長さをL(mm)、
上記第1電極部と第2電極部との間の電極間距離をD(mm)、
素子残厚をY(mm)=t−φ/√2としたとき、
電極寸法比D/Lを、下記式(1)の範囲としてなる
サーミスタ素子。
[(2.00×10-2×0.410)/(7.00×102×exp(B×-3.44×10-3))]
×[(0.410+(1-1/√2)×0.300)/(D+(1-1/√2)φ)]
×(φ/0.300)
×[0.278/(0.474Y2−0.919Y+0.698)]
≦ D/L ≦
[(7.00×102×0.410)/(2.00×10-2×exp(B×3.44×10-3))]
×[(0.410+(1-1/√2)×0.300)/(D+(1-1/√2)φ)]
×(φ/0.300)
×[0.278/(0.474Y2−0.919Y+0.698)] …(1) - B定数がB(-40〜900)=2.00×103〜2.50×103Kの導電性酸化物焼結体からなるサーミスタ素子本体と、
上記サーミスタ素子本体を貫通し、直線状に延びた、断面円形の第1電極部を有する
第1電極線と、
上記第1電極線と対をなす第2電極線であって、
上記サーミスタ素子本体を上記第1電極部に平行に貫通し、直線状に延びた、断面円形で、上記第1電極部と等しい直径及び長さの第2電極部を有する
第2電極線と、を備え、
上記サーミスタ素子本体は、上記第1電極部と第2電極部との仮想中点を通る、上記第1電極部と第2電極部との間を結ぶ仮想面に直交する仮想面直交方向の厚みtが、t=0.500〜1.20mmであり、
上記第1電極部及び第2電極部は、その直径φが、φ=0.250〜0.400mmであり、
上記第1電極部及び第2電極部の長さをL(mm)、
上記第1電極部と第2電極部との間の電極間距離をD(mm)、
素子残厚をY(mm)=t−φ/√2としたとき、
電極寸法比D/Lを、下記式(2)の範囲としてなる
サーミスタ素子。
[(5.00×10-2×0.410)/(5.00×102×exp(B×-3.44×10-3))]
×[(0.410+(1-1/√2)×0.300)/(D+(1-1/√2)φ)]
×(φ/0.300)
×[0.278/(0.474Y2−0.919Y+0.698)]
≦ D/L ≦
[(5.00×102×0.410)/(5.00×10-2×exp(B×3.44×10-3))]
×[(0.410+(1-1/√2)×0.300)/(D+(1-1/√2)φ)]
×(φ/0.300)
×[0.278/(0.474Y2−0.919Y+0.698)] …(2) - 請求項1または請求項2に記載のサーミスタ素子であって、
同一品番の多数の上記サーミスタ素子について、上記サーミスタ素子本体の前記B定数と前記厚みtとの相関関係を見たとき、
上記サーミスタ素子本体の上記B定数が大きいサーミスタ素子ほど、上記厚みtを小さくしてなる相関関係を有する
サーミスタ素子。 - 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のサーミスタ素子であって、
前記サーミスタ素子本体をなす前記導電性酸化物焼結体が、
Laを除く3A族元素のうち少なくとも1種の元素をM1とし、
2A族元素のうち少なくとも1種の元素をM2とし、
Crを除く4A,5A,6A,7A及び8族元素のうち少なくとも1種の元素をM3としたとき、
組成式M1aM2bM3cAldCreOfで表記され、
a,b,c,d,e,fが下記条件式を満たし、
ペロブスカイト型結晶構造を有する導電性のペロブスカイト相と、
上記ペロブスカイト相よりも導電性が低く、
上記ペロブスカイト相を構成する金属元素から選択された少なくとも1種の金属元素をMeとしたとき、
組成式MeOxで表記される結晶構造を有する少なくとも1種の金属酸化物相と、を含む
導電性酸化物焼結体である
サーミスタ素子。
0.600≦a≦1.000
0≦b≦0.400
0.150≦c<0.600
0.400≦d≦0.800
0<e≦0.050
0<e/(c+e)≦0.18
2.80≦f≦3.30 - 請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のサーミスタ素子を用いてなる温度センサ。
- B定数がB(-40〜900)=2.00×103〜3.00×103Kの導電性酸化物焼結体からなるサーミスタ素子本体と、
上記サーミスタ素子本体を貫通し、直線状に延びた、断面円形の第1電極部を有する
第1電極線と、
上記第1電極線と対をなす第2電極線であって、
上記サーミスタ素子本体を上記第1電極部に平行に貫通し、直線状に延びた、断面円形で、上記第1電極部と等しい直径及び長さの第2電極部を有する
第2電極線と、を備える
サーミスタ素子の製造方法であって、
上記サーミスタ素子において、
上記サーミスタ素子本体のうち、上記第1電極部と第2電極部との仮想中点を通る、上記第1電極部と第2電極部との間を結ぶ仮想面に直交する仮想面直交方向の厚みをt(mm)、
上記第1電極部及び第2電極部の直径をφ(mm)、
上記第1電極部及び第2電極部の長さをL(mm)、
上記第1電極部と第2電極部との間の電極間距離をD(mm)、
素子残厚をY(mm)=t−φ/√2としたとき、
焼結後に上記導電性酸化物焼結体となるプレス用粉末、上記第1電極線、及び上記第2電極線を用いて、未焼成サーミスタ素子をプレス成形するプレス工程であって、
上記未焼成サーミスタ素子を焼成した場合に、
上記厚みtが、t=0.500〜1.20mm、
上記直径φが、φ=0.250〜0.400mm、
電極寸法比D/Lが、下記式(1)の範囲内
となる形態の上記未焼成サーミスタ素子を成形する
プレス工程を備える
サーミスタ素子の製造方法。
[(2.00×10-2×0.410)/(7.00×102×exp(B×-3.44×10-3))]
×[(0.410+(1-1/√2)×0.300)/(D+(1-1/√2)φ)]
×(φ/0.300)
×[0.278/(0.474Y2−0.919Y+0.698)]
≦ D/L ≦
[(7.00×102×0.410)/(2.00×10-2×exp(B×3.44×10-3))]
×[(0.410+(1-1/√2)×0.300)/(D+(1-1/√2)φ)]
×(φ/0.300)
×[0.278/(0.474Y2−0.919Y+0.698)] …(1) - B定数がB(-40〜900)=2.00×103〜2.50×103Kの導電性酸化物焼結体からなるサーミスタ素子本体と、
上記サーミスタ素子本体を貫通し、直線状に延びた、断面円形の第1電極部を有する
第1電極線と、
上記第1電極線と対をなす第2電極線であって、
上記サーミスタ素子本体を上記第1電極部に平行に貫通し、直線状に延びた、断面円形で、上記第1電極部と等しい直径及び長さの第2電極部を有する
第2電極線と、を備える
サーミスタ素子の製造方法であって、
上記サーミスタ素子において、
上記サーミスタ素子本体のうち、上記第1電極部と第2電極部との仮想中点を通る、上記第1電極部と第2電極部との間を結ぶ仮想面に直交する仮想面直交方向の厚みをt(mm)、
上記第1電極部及び第2電極部の直径をφ(mm)、
上記第1電極部及び第2電極部の長さをL(mm)、
上記第1電極部と第2電極部との間の電極間距離をD(mm)、
素子残厚をY(mm)=t−φ/√2としたとき、
焼結後に上記導電性酸化物焼結体となるプレス用粉末、上記第1電極線、及び上記第2電極線を用いて、未焼成サーミスタ素子をプレス成形するプレス工程であって、
上記未焼成サーミスタ素子を焼成した場合に、
上記厚みtが、t=0.500〜1.20mm、
上記直径φが、φ=0.250〜0.400mm、
電極寸法比D/Lが、下記式(2)の範囲内
となる形態の上記未焼成サーミスタ素子を成形する
プレス工程を備える
サーミスタ素子の製造方法。
[(5.00×10-2×0.410)/(5.00×102×exp(B×-3.44×10-3))]
×[(0.410+(1-1/√2)×0.300)/(D+(1-1/√2)φ)]
×(φ/0.300)
×[0.278/(0.474Y2−0.919Y+0.698)]
≦ D/L ≦
[(5.00×102×0.410)/(5.00×10-2×exp(B×3.44×10-3))]
×[(0.410+(1-1/√2)×0.300)/(D+(1-1/√2)φ)]
×(φ/0.300)
×[0.278/(0.474Y2−0.919Y+0.698)] …(2) - 請求項6または請求項7に記載のサーミスタ素子の製造方法であって、
前記プレス工程は、
同一品番のサーミスタ素子を製造する場合において、
焼結後の上記サーミスタ素子本体の前記B定数が大きくなるプレス粉末を用いる場合ほど、
前記厚さtが小さくなる形態の前記未焼成サーミスタ素子を成形する
サーミスタ素子の製造方法。 - 請求項6〜請求項8のいずれか1項に記載のサーミスタ素子の製造方法であって、
前記サーミスタ素子本体をなす前記導電性酸化物焼結体が、
Laを除く3A族元素のうち少なくとも1種の元素をM1とし、
2A族元素のうち少なくとも1種の元素をM2とし、
Crを除く4A,5A,6A,7A及び8族元素のうち少なくとも1種の元素をM3としたとき、
組成式M1aM2bM3cAldCreOfで表記され、
a,b,c,d,e,fが下記条件式を満たし、
ペロブスカイト型結晶構造を有する導電性のペロブスカイト相と、
上記ペロブスカイト相よりも導電性が低く、
上記ペロブスカイト相を構成する金属元素から選択された少なくとも1種の金属元素をMeとしたとき、
組成式MeOxで表記される結晶構造を有する少なくとも1種の金属酸化物相と、を含む
導電性酸化物焼結体である
サーミスタ素子の製造方法。
0.600≦a≦1.000
0≦b≦0.400
0.150≦c<0.600
0.400≦d≦0.800
0<e≦0.050
0<e/(c+e)≦0.18
2.80≦f≦3.30
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