JP3970851B2 - サーミスタ素子用焼結体及びその製造方法並びに温度センサ - Google Patents

サーミスタ素子用焼結体及びその製造方法並びに温度センサ Download PDF

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Description

本発明は、広い温度範囲において優れた温度検知性能を有するサーミスタ素子用焼結体及びその製造方法、並びに温度センサに関する。更に詳しくは、上限温度が1000℃程度であり、下限温度が300℃以下、より好ましくは200℃以下、更に好ましくは100℃以下の温度検知が熱履歴に対して安定なサーミスタ素子用焼結体及びその製造方法並びに温度センサに関する。
従来より、電子機器の温度補償や温度を検出する用途において、サーミスタ素子が広く用いられている。サーミスタ素子を温度検出に用いる場合、サーミスタ素子を構成するサーミスタ素子用焼結体に求められる性能としては、B定数が小さいことである。ここでB定数とは、所定の温度範囲に対する抵抗変化を示す指標であり、その値が小さいほど、温度変化に対する抵抗変化が小さいことを意味する。
サーミスタ素子用焼結体としては、300〜1000℃の温度領域において安定した抵抗温度特性を示す、(Y,Sr)(Cr,Fe,Ti)Oを主成分とする焼結体が開示されている(例えば、特許文献1等)。この特許文献1に開示されているサーミスタ素子用焼結体の抵抗温度特性は、300℃で約100kΩ、900℃で約80Ωの抵抗値を示し、300〜900℃におけるB定数が約8000Kである。しかし、焼結体の構成元素としてTiを含有するためにB定数が大きくなる傾向にあり、200℃以下の温度では抵抗値はMΩ台と大きく、絶縁抵抗との識別がつかず、温度検知ができない抵抗温度特性となっている。
尚、上記組成を構成する元素の含有割合を変化させることによって、例えば、100℃付近の温度が検知できるように100℃における抵抗値を、絶縁抵抗と識別可能な500kΩ以下とすることも可能ではある。しかし、その場合、1000℃程度の高い温度に繰り返しあるいは長時間連続的に晒されるといったような熱履歴によって、サーミスタ素子(サーミスタ焼結体)の抵抗温度特性の安定性が損なわれる傾向にある。また、構成成分であるCr元素は揮発しやすいため、その揮発量の多少により素子の抵抗温度特性がばらつくといった問題点があった。
このように、300℃以下の温度検知性能を有し、好ましくは100〜1000℃程度の温度範囲において優れた温度検知性能を有し、熱履歴の前後において抵抗値の変化の小さいサーミスタ素子用焼結体が求められている。
特許第3254595号公報
本発明は上記従来の問題点を解決するものであり、300℃以下の温度検知性能を有し、好ましくは100℃付近から1000℃程度までの温度検知可能な特性を有し、熱履歴の前後において抵抗値の変化の小さいサーミスタ素子用焼結体及びその製造方法並びに温度センサを提供することを目的とする。
本発明は以下の通りである。
[1] Sr、Y、Mn、Al、Fe、Si及びOを含有し、Crを含有しないサーミスタ素子用焼結体であって、
Srのモル数をx、Yのモル数を1−x、Mnのモル数をy、Alのモル数をz、Feのモル数を1−y−zとすると、0.090≦x≦0.178、0.090≦y≦0.178、z≧0.275、1−y−z≧0.025の各範囲にあることを特徴とするサーミスタ素子用焼結体。
[2] Sr、Y、Mn、Al及びFeの各元素を含む各原料粉末を混合し、仮焼して仮焼粉末とし、その後、該仮焼粉末と焼結助剤とを混合したサーミスタ合成粉末を成形し、次いで、得られた成形体を焼成することにより、Srのモル数をx、Yのモル数を1−x、Mnのモル数をy、Alのモル数をz、Feのモル数を1−y−zとした場合、0.090≦x≦0.178、0.090≦y≦0.178、z≧0.275、1−y−z≧0.025の各範囲にあるサーミスタ素子用焼結体を得ることを特徴とするサーミスタ素子用焼結体の製造方法。
[3] 上記[1]に記載のサーミスタ素子用焼結体を用いてなることを特徴とする温度センサ。
本発明のサーミスタ素子用焼結体によれば、所定の元素(Y、Sr、Fe、Mn、Al、Si及びO)を含有する焼結体は、広い温度範囲において優れた温度検知性能を発揮することができ、熱履歴に対する抵抗変化を小さくすることができる。
また、構成元素を、更に限定された範囲内に設定することにより、従来(300℃以上)よりも低い温度(300℃未満、100℃付近まで)で使用可能で、熱履歴に対する抵抗変化が小さいサーミスタ素子用焼結体とすることができる。
本発明のサーミスタ素子用焼結体の製造方法によれば、サーミスタ素子用焼結体を効率良く製造することができる。
本発明のサーミスタ素子用焼結体を用いて得られる温度センサによれば、広い温度範囲において優れた温度検知性能を有するものとして有用である。
以下、本発明を詳しく説明する。
本発明のサーミスタ素子用焼結体は、Sr、Y、Mn、Al、Fe、Si及びOを含有し、Crを含有しないサーミスタ素子用焼結体であって、Srのモル数をx、Yのモル数を1−x、Mnのモル数をy、Alのモル数をz、Feのモル数を1−y−zとすると、0.090≦x≦0.178、0.090≦y≦0.178、z≧0.275、1−y−z≧0.025の各範囲にあることを特徴とする。
つまり、本発明のサーミスタ素子用焼結体は、Ti元素、揮発し易いCr元素を含有しない構成であるため、B定数を小さくすることができ、且つ量産した場合にサーミスタ素子用焼結体(ひいてはサーミスタ素子)の抵抗温度特性のばらつきを抑制することができる。その結果、100℃付近から温度検知可能な特性を有し、熱履歴の前後において抵抗値の変化の小さいサーミスタ素子用焼結体とすることができる。尚、Cr元素、Ti元素は、全く含有されないことが望ましいが、製造に用いる原料に不純物として含まれる場合や製造時に混入される場合等で不可避的に含まれることがある。そのため、サーミスタ焼結体をEDSによる面分析(例えば、日本電子社製走査型電子顕微鏡「JED−2110型」を用いて加速電圧20kVで測定した場合)で実施したときにCr元素、Ti元素が検出されなければ、本明細書において「含有しない」ものと定義する。
本発明のサーミスタ素子用焼結体を構成する元素の好ましい組成は、Srのモル数をx、Yのモル数を1−x、Mnのモル数をy、Alのモル数をz、Feのモル数を1−y−zとすると、0.090≦x≦0.178、0.090≦y≦0.178、z≧0.275、1−y−z≧0.025であり、好ましくは、0.095≦x≦0.175、0.095≦y≦0.175、z≧0.291、1−y−z≧0.040であり、より好ましくは、0.126≦x≦0.166、0.126≦y≦0.166、z≧0.494、1−y−z≧0.080である。尚、Siの含有割合(モル数)は特に限定されないが、通常、酸化物換算にて1〜25mol%である。x<0.090且つy<0.090では、100℃における初期抵抗が大きくなり、絶縁に近い状態となり、一方、x>0.178且つy>0.178では、素子の内部が空隙の多い組織となり導電特性を阻害し、特性が不安定になる傾向にある。また、z<0.275では、素子の結晶粒子が粒成長して大きくなり過ぎて、初期抵抗のばらつきが大きくなる傾向を示す。1−y−z<0.025では、熱履歴に対して抵抗変化が大きくなる傾向がある。
本発明のサーミスタ素子用焼結体の製造方法は、Sr、Y、Mn、Al及びFeの各元素を含む各原料粉末を混合し、仮焼して仮焼粉末とし、その後、該仮焼粉末と焼結助剤とを混合したサーミスタ合成粉末を成形し、次いで、得られた成形体を焼成することにより、Srのモル数をx、Yのモル数を1−x、Mnのモル数をy、Alのモル数をz、Feのモル数を1−y−zとした場合、0.090≦x≦0.178、0.090≦y≦0.178、z≧0.275、1−y−z≧0.025の各範囲にあるサーミスタ素子用焼結体を得るものである。
即ち、Y、Sr、Fe、Mn及びAlの各元素を含む化合物から計算される各元素のモル数を考慮して原料粉末の組成を決定し、サーミスタ素子用焼結体を製造することができる。
まず、出発原料としての原料粉末、即ち、Y、Sr、Fe、Mn及びAlの各元素を含む各化合物、例えば酸化物、水酸化物、炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩等の粉末、好ましくは酸化物あるいは炭酸塩の粉末を、湿式混合等の方法で混合、乾燥した後、仮焼した後、仮焼粉末とする。その後、この仮焼粉末と焼結助剤とを混合し、粉砕して「サーミスタ合成粉末」を得る。尚、硫酸塩、硝酸塩を用いる場合には、水に溶解・混合した後に、加熱・重合し、乾燥させたものを仮焼して仮焼粉末とする手法が採用される。
上記焼結助剤としては、Si元素を含むものを用いるものとし、例えば、SiO、CaSiO、SrSiO等が挙げられる。これらのうち、SiOが好ましい。また、これらは1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。このSi元素を含む焼結助剤の配合量は、仮焼粉末全体を100質量部とした場合、通常、0.3〜10質量部、好ましくは0.3〜5質量部、更に好ましくは0.3〜3質量部である。かかる範囲とすることにより、低温による焼成が可能となり、強度が大きく、高温安定性に優れた素子用焼結体とすることができる。
また、サーミスタ素子用焼結体を形成するために必要な上記原料粉末及び焼結助剤粉末の平均粒子径は特に限定されないが、通常、0.5〜2.0μm、好ましくは0.5〜1.5μmである。粒子径が大きすぎると均一に混合されないことがあり、サーミスタ素子特性のばらつきが大きくなる要因となる。
また、仮焼粉末に少なくともSi元素を含む焼結助剤を混合し、粉砕することで得られるサーミスタ合成粉末は、更にバインダー及び溶剤又は水と混合される。バインダーとしては特に限定されず、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等が挙げられる。上記バインダーの配合量は、上記粉末成分全量に対して、通常、5〜20質量%、好ましくは10〜20質量%である。尚、上記バインダーと混合する際の上記サーミスタ合成粉末の平均粒子径は、2.0μm以下であることが好ましく、これによって、均一に混合することができる。
次いで、これらの混合物を乾燥、造粒して金型プレス成形に適した流動性の良好な成形用粉末を得る。そして、この成形用粉末を用いて、所定の形状に成形する。その後、この成形体を焼成することにより、サーミスタ素子用焼結体を得ることができる。焼成条件は特に限定されないが、好ましい温度は1400〜1700℃、より好ましくは1400〜1650℃、更に好ましくは1400〜1600℃である。かかる範囲とすることにより、著しい結晶粒成長を抑制することができ、特性のばらつきを低減することができる。焼成時間は、通常、1〜5時間、好ましくは1〜2時間である。また、焼成雰囲気は特に限定されないが、通常、大気である。
また、上記成形用粉末を用いて、サーミスタ素子とする場合には、この成形用粉末及び一対の電極(この電極を構成する材料としては、耐熱性に優れたPt、Pt/Rh合金等が好ましい。)を用いて、所定の形状に成形する。その後、この一体化した成形体を焼成することにより、サーミスタ素子を得ることができる。焼成温度等は上記と同様であり、かかる範囲とすることにより、電極を構成する材料の劣化を抑制することもできる。
上記焼成は、サヤ内に素子を敷き詰めて蓋をして行うことで、特定成分の揮発を抑制することができ、また、Pt、Pt/Rh合金等の材料からなる板をサヤの底に敷いたり、焼結体と同じ材質からなるサヤを使用する等によってサヤへの成分の拡散を防止することができる。
本発明のサーミスタ素子用焼結体あるいは上記サーミスタ素子は、上記焼成の後、必要に応じて、更に熱処理を行うことができる。その条件としては、例えば、800〜1100℃、好ましくは850〜1100℃、更に好ましくは900〜1100℃の温度で、30時間以上、好ましくは100時間以上、更に好ましくは200時間以上である。かかる温度及び処理時間で熱処理を行うことにより、サーミスタ素子用焼結体の抵抗温度特性を更に安定化することができる。また、熱処理を行う場合の雰囲気は、大気雰囲気でも、大気以外の特別な雰囲気でもよい。更に、上記焼成処理を終えてからこの熱処理を行うまでの時間についても特に限定はなく、焼結体の温度が室温まで低下した後に行うことが好ましい。
本発明のサーミスタ素子用焼結体を用いて得られるサーミスタ素子の一例を図1に示す。サーミスタ素子2は、サーミスタ素子用焼結体1及び一対の電極9からなり、それぞれの電極9の一端側は、サーミスタ素子用焼結体1の内部に埋没している。素子の形状としては特に限定されず、ビード型以外に、ディスク型、ロッド型、ワッシャー型等のいずれであってもよい。
本発明の温度センサは、上記サーミスタ素子用焼結体を用いてなるものである。また、サーミスタ素子用焼結体に電極が配設されたサーミスタ素子を用いてなるものであってもよい。温度センサの一例を図2に示す。図2は、自動車の排気ガス通路に設けられて排気ガス温度を検出するための温度センサの構造を示す部分破断側面図である。この温度センサは、サーミスタ素子2を有底筒状の金属チューブ3の内部に収容したものである。金属チューブ3は、その先端側3aが閉塞し、後端側3bが開放される。金属チューブ3の基端側3bには、フランジ4がアルゴン溶接される。フランジ4上には、六角ナット部5及びネジ部5bを有するナット5が回動自在に挿通される。フランジ4の基端側4aには、継手6がアルゴン溶接される。金属チューブ3、フランジ4及び継手6の内部には、一対のシース芯線7を内包するシース8が配置される。金属チューブ3の内部においてシース8の先端側8aへ突出するシース芯線7には、サーミスタ素子2がPt/Rh合金線9を介して接続される。金属チューブ3の先端側3aの内部には、酸化ニッケル製のペレット10が配置される。また、サーミスタ素子2の周囲にはセメント11が充填される。継手6の内部においてシース8の基端側8bへ突出するシース芯線7には、端子12を介して一対のリード線13が接続される。これらリード線13は、耐熱ゴム製の補助リング14に内包される。シース芯線7及びリード線13は互いにかしめ端子12により接続される。
以下、本発明について、実施例及び比較例を挙げて具体的に説明するが、本発明は、これら実施例によって何ら限定されるものではない。
〔1〕サーミスタ素子の製造
実施例1〜31
粉末(純度99.9%以上、平均粒子径1.1μm)、SrCO粉末(純度99.0%以上、平均粒子径0.5μm)、Fe粉末(純度99.2%以上、平均粒子径0.9μm)、MnO粉末(純度99.0%以上、平均粒子径1.2μm)、及びAl粉末(純度99.5%以上、平均粒子径0.6μm)、を用いて、Srのモル数をx、Yのモル数を1−x、Mnのモル数をy、Alのモル数をz、Feのモル数を1−y−zとした場合に、x、y及びzが表1及び2に示される値となるように秤量し、湿式混合した。その後、乾燥して粉末状とし、大気中、1400℃で2時間仮焼した。次いで、この仮焼粉末100質量%に対して1質量%の焼結助剤(SiO粉末、平均粒子径1.5μm)、を更に添加して、湿式粉砕、乾燥し、サーミスタ合成粉末を得た。
その後、このサーミスタ合成粉末に対して主成分をポリビニルブチラールとするバインダーを20質量%添加して混合、乾燥し、整粒して、造粒粉末を得た。
次いで、この造粒粉末を用いて、金型成型法にてプレス成形(プレス圧;4500kg/cm)して図1に示す一対の電極の一端側が埋設された六角形状(厚さ1.24mm)の成形体を得て、大気中、1550℃で1時間焼成して、実施例1〜31のサーミスタ素子を製造した。
比較例1
粉末(純度99.9%以上、平均粒子径1.1μm)、SrCO粉末(純度99.0%以上、平均粒子径0.5μm)、Cr粉末(純度99.3%以上、平均粒子径0.5μm)、Fe粉末(純度99.2%以上、平均粒子径0.9μm)、及びTiO粉末(純度99.2%以上、平均粒子径1.8μm)、を用いて、Srのモル数をx、Yのモル数を1−x、Feのモル数をy、Tiのモル数をz、Crのモル数を1−y−zとした場合に、x、y及びzが表2に示される値となるように秤量した以外は、実施例1と同様にしてサーミスタ素子を得た。
Figure 0003970851
Figure 0003970851
〔2〕サーミスタ素子の評価
2−1.性能試験(抵抗値の測定、B定数及びB定数のばらつきの測定)
実施例1〜31及び比較例1で得られたサーミスタ素子50個の抵抗値(kΩ)を、100、300、600及び900℃において初期抵抗値として測定した。そして、得られた抵抗値に基づいて、下記式(1)によりB定数(K)を算出した。表に記載の数値は50個のデータの中央値に相当する素子の特定で、その実施例の代表値として示している。
B定数=ln(R/R)/(1/T−1/T) ・・・(1)
R;絶対温度T(K)のときの抵抗値(kΩ)
;絶対温度T(K)のときの抵抗値(kΩ)
また、100〜900℃の範囲で見たB定数のばらつきを、50個のデータの±3σがB定数の平均値に対して、どの程度のばらつきを有するかを下記式(2)により算出した。
B定数のばらつき(%)=±3σ/平均値 ・・・(2)
以上の結果を表3〜5に示す。また、各試料を組成別にプロットした3成分系状態図を図3に示す。各プロット近辺に付した数字は、100℃及び900℃の初期抵抗値である。
Figure 0003970851
Figure 0003970851
Figure 0003970851
また、耐久性を調べるために、上記サーミスタ素子用を大気中、1000℃で150時間熱処理し、上記と同様にして耐久後抵抗値として測定し、B定数を算出し、表3〜表5に併記した。
更に、上記熱処理後の抵抗変化率(%)を下記式(3)により求めた。
抵抗変化率={(R’−R)/R}×100 ・・・(3)
;熱処理前の温度Tにおける抵抗値(kΩ)
’;熱処理後の温度Tにおける抵抗値(kΩ)
また、上記抵抗変化率の温度換算値(℃)を下記式(4)により求めた。
温度換算値=〔(B×T)/{ln(R’/R)×T+B}〕−T
・・・(4)
B;温度TにおけるB定数
以上の結果を表6に示す。
Figure 0003970851
〔3〕実施例の効果
また、表3〜表5より、実施例1〜31は、Ti元素を含有しないサーミスタ素子であるため、初期特性が比較例1と比べてB定数が極めて小さく、更に揮発し易いCr元素を含有しないことからB定数のばらつきが比較例1と比べて小さいことが分かる。このようにTi元素、Cr元素を含有しない実施例1〜31のサーミスタ素子は、比較例1のそれよりもB定数が小さく、且つ特性ばらつきが小さいため、優れた特性を有していることが分かる。
表6より、実施例1及び2は、z<0.275であるため、また、実施例8〜10、26、28、29及び30は、x及びyが上記の好ましい範囲外であるため、更には、実施例31は、1−y−z<0.025であるため、抵抗変化率及び温度換算値がともにやや大きくなり、熱履歴に対してやや不安定な特性を示した。
一方、0.090≦x≦0.178、0.090≦y≦0.178、z≧0.275、1−y−z≧0.025の範囲で組成比を変えて得られる実施例3〜7、11〜25及び27は、100、300、600及び900℃における温度換算値は全て10℃以内であり、広い温度範囲において優れた温度検知性能を有することが分かる。特に、0.126≦x≦0.166、0.126≦y≦0.166、z≧0.494、1−y−z≧0.080である実施例13〜15及び17〜25は、100℃における抵抗値が500kΩ以下、且つ900℃における抵抗値が50Ω以上と小さくなり過ぎることなく、更に、温度換算値が全て8℃以内であり、より優れた性能を有することが分かる。このように、特定の構成元素の割合を所定範囲内に設定することで、優れた温度検知性能をもたらすサーミスタ素子を提供可能なことが分かる。
サーミスタ素子の一例を示す概略説明図である。 温度センサの一例を示す概略説明図である。 実施例1〜31のサーミスタ素子用焼結体の組成を3成分系状態図の形態で示す。中心から左下に向かってFeのモル数を、右下に向かってAlのモル数を、上に向かってSr又はMnのモル数を示す。
符号の説明
1;サーミスタ素子用焼結体、2;サーミスタ素子、3;金属チューブ、3a;金属チューブの先端側、3b;金属チューブの基端側、4;フランジ、4a;フランジの基端側、5;ナット、5a;六角ナット部、5b;ネジ部、6;継手、7;シース芯線、8;シース、8a;シースの先端側、8b;シースの基端側、9;電極、10;酸素濃度低下抑制用ペレット、11;セメント、12;かしめ端子、13;リード線、14;補助リング。

Claims (3)

  1. Sr、Y、Mn、Al、Fe、Si及びOを含有し、Crを含有しないサーミスタ素子用焼結体であって、
    Srのモル数をx、Yのモル数を1−x、Mnのモル数をy、Alのモル数をz、Feのモル数を1−y−zとすると、0.090≦x≦0.178、0.090≦y≦0.178、z≧0.275、1−y−z≧0.025の各範囲にあることを特徴とするサーミスタ素子用焼結体。
  2. Sr、Y、Mn、Al及びFeの各元素を含む各原料粉末を混合し、仮焼して仮焼粉末とし、その後、該仮焼粉末と焼結助剤とを混合したサーミスタ合成粉末を成形し、次いで、得られた成形体を焼成することにより、
    Srのモル数をx、Yのモル数を1−x、Mnのモル数をy、Alのモル数をz、Feのモル数を1−y−zとした場合、0.090≦x≦0.178、0.090≦y≦0.178、z≧0.275、1−y−z≧0.025の各範囲にあるサーミスタ素子用焼結体を得ることを特徴とするサーミスタ素子用焼結体の製造方法。
  3. 請求項1に記載のサーミスタ素子用焼結体を用いてなることを特徴とする温度センサ。
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