JP2004215431A - 渦電流式減速装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】小型・軽量化に寄与する渦電流式減速装置を提供することを目的とする。特に、永久磁石から発生する磁束の活用の仕方を工夫(有効活用)することにより、装置の小型・軽量化等に寄与する渦電流式減速装置を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明に係る渦電流式減速装置は、強磁性体から成り、機関の回転軸に連結された制動部材と;前記制動部材の制動面に近接し、当該制動部材に沿って配置された鉄心と;前記鉄心に巻回された第1電磁コイルと;前記鉄心に埋設され、前記制動部材に面する端部と反対側の端部が露出した永久磁石とを備えている。そして、前記電磁コイルに通電し、前記永久磁石及び電磁コイルからの磁界に基づく渦電流により制動力を前記制動部材に付与する構造を採る。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、渦電流式減速装置に関し、詳しくは、永久磁石と電磁石を併用した渦電流式減速装置の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
特開2002−272193号公報(特許文献1)には、電磁石と永久磁石とを併用した渦電流式減速装置が提案されている。このように永久磁石と電磁石の両方を備えた、所謂ハイブリッドタイプの減速装置は、電磁コイルの電流を制御するだけで非制動状態と制動状態とに切り換えできる構造となっている。このため、永久磁石群を駆動するアクチュエータを必要としない等のメリットがある。
【特許文献1】特開2002−272193号
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記の特許文献1に示したものの他にも種々の構造のハイブリッドタイプ渦電流式減速装置が提案されているが、装置の更なる小型・軽量化や、発熱の低減等が課題となっている。
【0004】
本発明は、上記のような状況に鑑みて成されたものであり、小型・軽量化に寄与する渦電流式減速装置を提供することを目的とする。特に、永久磁石から発生する磁束の活用の仕方を工夫(有効活用)することにより、装置の小型・軽量化等に寄与する渦電流式減速装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係る渦電流式減速装置は、強磁性体から成り、機関の回転軸に連結された制動部材と;前記制動部材の制動面に近接し、当該制動部材に沿って配置された鉄心と;前記鉄心に巻回された第1電磁コイルと;前記鉄心に埋設され、前記制動部材に面する端部と反対側の端部が露出した永久磁石とを備えている。そして、前記電磁コイルに通電し、前記永久磁石及び電磁コイルからの磁界に基づく渦電流により制動力を前記制動部材に付与する構造を採る。
【0006】
上記のように、本発明においては、電磁コイルと永久磁石とを共通の鉄心に配設しているため、装置全体の小型・軽量化を図ることが可能となる。特に、鉄心を1/4(π/2)や1/2(π)等360°の1を除く約数の個数の円弧状に分割・成形することにより、軽量化が図れるのみならず、好ましくない磁束を分割位置で遮断できる等、磁界設計の自由度が増すというメリットがある。
【0007】
また、永久磁石の一部を鉄心から制動部材に面する端部の反対側端部で露出した配置とすれば、永久磁石の当該端部で回り込む(迂回する)磁束を排除することができ、永久磁石で発生する磁束の大部分を制動部材側に作用させることが可能となる。すなわち、永久磁石の磁束を有効に活用できることとなる。なお、組み立て工程においては、永久磁石を鉄心の端部(制動部材の中心側)から挿入する構造とすることができる。
【0008】
制動部材の制動面に対して、第1電磁コイルが鉄心よりも接近した配置とすることは、鉄心における発熱を抑制する効果がある。また、鉄心の形状として、制動部材側の第1電磁コイルが配設される箇所にテーパ状の凹状部を形成し、永久磁石の制動部材側の端部に相当する箇所の幅を狭くすれば、永久磁石で発生する磁界を絞り込むことができ、磁束の有効活用につながる。更に、第1電磁コイルの巻回方向と、非制動時の永久磁石の磁界の方向とが、相対的に垂直から傾斜した状態とした場合には、制動時に永久磁石の磁束を効率よく曲げることができ、磁束の活用の効率化、自由度が増す。
【0009】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の第1実施例に係る渦電流式減速装置(リターダ)の要部の構造を示す縦断面図である。図2は、第1実施例に係るリターダの要部の構造を示す概略側面図である。本実施例に係るリターダ10は、機関の回転軸16に対して固定部材18を介して固定された強磁性体からなる制動部材11と;制動部材11の近傍に配置される制動ユニット(12,14,22)と、当該制動ユニットを包囲するケース20とを備えている。
【0010】
回転軸16は、例えば、大型車両(トラック)のプロペラシャフトに連結される。制動部材11は円盤(ディスク)状に成形され、中心部を回転軸16が貫通する格好で配置される。ケース20内部に収容された制動ユニットは、制動部材11の側面側に配置された複数の電磁コイル(第1電磁コイル)12と;当該電磁コイル12の内部を貫通する鉄心22と;鉄心22の一部に埋め込まれ、制動部材11の側面に対向する複数の永久磁石14とを備えている。
【0011】
鉄心22は、環状一体に成型されており、その外周に複数の電磁コイル12が巻回される。永久磁石14は、嵌込み又は接着によって鉄心22に埋設される。隣接する永久磁石14は、互いにN極及びS極が対向するように配置される(図3)。永久磁石14と電磁コイル12とは、鉄心22の円周方向において交互に配置される。なお、電磁コイル12及び永久磁石14の数は、必要とする制動力等を考慮して適宜変更することができる。
【0012】
図3及び図4は、第1実施例に係るリターダ10の原理を示す説明図であり、各々非制動状態(OFF)及び制動状態(ON)を示す。永久磁石14は、鉄心22の制動部材11と反対側の端部から挿入され、その端部(図の右側)が外部に露出した状態となる。露出した永久磁石14の端部は、必要に応じて研磨等の処理が施される。本実施例においては、鉄心22よりも電磁コイル12の方が制動部材11に接近した配置となっている。
【0013】
非制動状態(制動OFF時)おいては、原則として、電磁コイル12を非通電状態とする。図3に示すように、永久磁石14のN極から出る磁界は、鉄心22を介して電磁コイル12の内部を通って隣接する永久磁石のS極に向かい、短絡磁気回路を形成する。永久磁石14からの磁界は、鉄心22の外部(制動部材11)へは殆ど出ることがない。なお、非制動時において、電磁コイル12の磁界と永久磁石14の磁界の方向が同じとなるように、電磁コイル12を通電することも可能である。
【0014】
次に、制動状態(制動ON時)においては、図4に示すように、電磁コイル12の磁界と永久磁石14の磁界の方向が逆となる方向に電磁コイル12を通電する。永久磁石14のN極から出た磁界は、電磁コイル12による磁界と反発して、制動部材11側に入る。すなわち、永久磁石14と制動部材11との間に磁気回路が形成される。そして、永久磁石14からの磁界に基づく渦電流により制動部材11に制動力が付与される。
【0015】
以上説明したように、第1の実施例によれば、環状一体型の鉄心22を用い、永久磁石14と電磁コイル12とをリニアに配列しているため、装置全体の小型化、鉄心の軽量化を図ることが可能となる。また、永久磁石14の一端側には鉄心22等の磁極部材が配置されていないため、当該部分において迂回する磁界の発生を抑制することができ、永久磁石14によって発生する磁束を効率よく制動部材11側に導くことが可能となる。更に、鉄心22よりも電磁コイル12の方が制動部材11に接近した配置となっているため、鉄心22に制動部材から伝わる熱の量を低減させることができる。
【0016】
図5及び図6は、本発明の第2実施例に係るリターダの構造及び原理を示す説明図であり、各々、非制動状態(OFF)及び制動状態(ON)を示す。本実施例において、上述した第1実施例と同一又は対応する構成要素については、同一の符号を付し、重複した説明は省略する。本実施例の特徴は、鉄心122の制動部材11側において、電磁コイル12が巻回される箇所に凹部122aを形成したことにある。このような構成により、電磁コイル14の出っ張りをなくすことができると共に、永久磁石14と制動部材11の距離を短くできる。その結果、永久磁石14の磁界を効率よく制動部材11に作用させることができ、制動効率の向上につながる。
【0017】
非制動状態(制動OFF時)おいては、原則として、電磁コイル12を非通電状態とする。永久磁石14のN極から出る磁界は、鉄心122を介して電磁コイル12の内部を通って隣接する永久磁石のS極に向かい、短絡磁気回路を形成する。永久磁石14からの磁界は、鉄心122の外部(制動部材11)へは殆ど出ることがない。なお、非制動時において、電磁コイル12の磁界と永久磁石14の磁界の方向が同じとなるように、電磁コイル12を通電することも可能である。
【0018】
次に、制動状態(制動ON時)においては、図6に示すように、電磁コイル12の磁界と永久磁石14の磁界の方向が逆となる方向に電磁コイル12を通電する。永久磁石14のN極から出た磁界は、電磁コイル12による磁界と反発して、制動部材11側に入る。すなわち、永久磁石14と制動部材11との間に磁気回路が形成される。そして、永久磁石14からの磁界に基づく渦電流により制動部材11に制動力が付与される。
【0019】
図7及び図8は、本発明の第3実施例に係るリターダの構造及び原理を示す説明図であり、各々、非制動状態(OFF)及び制動状態(ON)を示す。本実施例において、上述した各実施例と同一又は対応する構成要素については、同一の符号を付し、重複した説明は省略する。本実施例の特徴は、鉄心222を2枚のディスク状制動部材11a、11bで挟むような構造とし、更に、鉄心222の制動部材11a、11b側において、電磁コイル12が巻回される箇所に凹部を形成したことにある。
【0020】
本実施例で採用される永久磁石14は、鉄心222の内部を貫通し、制動部材11a,11bに対向する端部が露出する構造とする。これにより、不要な磁束の迂回を抑制でき、永久磁石14で発生する磁束を有効に活用することができる。
【0021】
非制動状態(制動OFF時)においては、原則として、電磁コイル12を非通電状態とする。永久磁石14のN極から出る磁界は、鉄心222を介して電磁コイル12の内部を通って隣接する永久磁石のS極に向かい、短絡磁気回路を形成する。永久磁石14からの磁界は、鉄心222の外部(制動部材11)へは殆ど出ることがない。なお、非制動時において、電磁コイル12の磁界と永久磁石14の磁界の方向が同じとなるように、電磁コイル12を通電することも可能である。
【0022】
次に、制動状態(制動ON時)においては、図8に示すように、電磁コイル12の磁界と永久磁石14の磁界の方向が逆となる方向に電磁コイル12を通電する。永久磁石14のN極から出た磁界は、電磁コイル12による磁界と反発して、左右の制動部材11a,11b側に入る。すなわち、永久磁石14と制動部材11a,11bとの間に磁気回路が形成される。そして、永久磁石14からの磁界に基づく渦電流により制動部材11a,11bに制動力が付与される。
【0023】
図9及び図10は、本発明の第4実施例に係るリターダの構造及び原理を示す説明図であり、各々、非制動状態(OFF)及び制動状態(ON)を示す。本実施例において、上述した各実施例と同一又は対応する構成要素については、同一の符号を付し、重複した説明は省略する。本実施例は、先に示した第2実施例の改良であり、永久磁石14の外側(制動部材側)にも電磁コイル(第2電磁コイル)112を配設している。
【0024】
このような構成により、個々の永久磁石14のN極からS極に向かう磁界も電磁コイル112の磁界の影響を受け、制動時に永久磁石14の磁界を効率よく活用することが可能となる。すなわち、永久磁石14から発生する磁界の利用率を向上可能となる。
【0025】
非制動状態(制動OFF時)においては、図9に示すように原則として、電磁コイル12の磁界の方向と永久磁石14の磁界の方向が一致し、電磁コイル112の磁界の方向と永久磁石14の磁界の方向が逆となるようにする。これにより、永久磁石14のN極から出る磁界は、鉄心322を介して電磁コイル12の内部を通って隣接する永久磁石のS極に向かい、短絡磁気回路を形成する。電磁コイル12及び112の磁界が作用しないため、永久磁石14からの磁界は、鉄心322の外部(制動部材11)へは殆ど出ることがない。
【0026】
次に、制動状態(制動ON時)においては、図10に示すように、原則として、電磁コイル12の磁界の方向と永久磁石14の磁界の方向が逆となり、電磁コイル112の磁界の方向と永久磁石14の磁界の方向が一致するようにする。これにより、永久磁石14のN極から出た磁界は、電磁コイル12,112による磁界と反発して、制動部材11側に流れる。すなわち、永久磁石14と制動部材11との間に磁気回路が形成される。そして、永久磁石14からの磁界に基づく渦電流により制動部材11に制動力が付与される。
【0027】
図11及び図12は、本発明の第5実施例に係るリターダの構造及び原理を示す説明図であり、各々、非制動状態(OFF)及び制動状態(ON)を示す。本実施例において、上述した各実施例と同一又は対応する構成要素については、同一の符号を付し、重複した説明は省略する。本実施例は、図5及び図6に示した実施例の改良であり、鉄心422において、電磁コイル12が配設される制動部材11側の凹部422aの形状を変更している。本実施例においては、凹部422aにテーパをもたせ、永久磁石14の制動部材11側の端部に相当する箇所の幅を狭くしている。これにより、永久磁石14で発生する磁界を絞り込むことができ、磁束の有効活用、制動効率の向上につながる。
【0028】
非制動状態(制動OFF時)においては、原則として、電磁コイル12を非通電状態とする。永久磁石14のN極から出る磁界は、鉄心422を介して電磁コイル12の内部を通って隣接する永久磁石のS極に向かい、短絡磁気回路を形成する。永久磁石14からの磁界は、鉄心422の外部(制動部材11)へは殆ど出ることがない。なお、非制動時において、電磁コイル12の磁界と永久磁石14の磁界の方向が同じとなるように、電磁コイル12を通電することも可能である。
【0029】
次に、制動状態(制動ON時)においては、図12に示すように、電磁コイル12の磁界と永久磁石14の磁界の方向が逆となる方向に電磁コイル12を通電する。永久磁石14のN極から出た磁界は、電磁コイル12による磁界と反発して、制動部材11側に入る。すなわち、永久磁石14と制動部材11との間に磁気回路が形成される。そして、永久磁石14からの磁界に基づく渦電流により制動部材11に制動力が付与される。上述したように、永久磁石14の制動部材11側の端部に相当する箇所の幅を狭くしているため、永久磁石14で発生する磁界が絞り込まれた状態で制動部材11に達する。
【0030】
図13は、本発明の第6実施例に係るリターダの要部の構造を示す断面図である。本実施例は、先に説明した第1〜第5実施例と異なり、ドラムタイプの制動部材511を採用している。なお、本実施例において、上述した各実施例と同一又は対応する構成要素については、同一の符号を付し、重複した説明は省略する。
【0031】
図において、制動部材511は車両のプロペラシャフト16に連結され、当該シャフト16に連動して回転する。なお、制動部材511の外周には図示しない放熱フィンが形成されている。制動部材511の内周面に面するように複数配置された電磁石は、固定枠に連結された環状一体成形の鉄心522と、鉄心522の外周に複数巻回された電磁コイル514とから構成される。電磁コイル514は、図示しない電流源(制御装置)に接続され、制動時に通電されるようになっている。鉄心522には、複数の永久磁石512が嵌め込み、又は接着によって埋設されている。
【0032】
図14及び図15は、第6実施例に係るリターダの構造及び原理を示す説明図であり、各々、非制動状態(OFF)及び制動状態(ON)を示す。本実施例は、先に示した第1実施例(図1〜図4)の思想をドラムタイプの制動部材に適用したものと言える。
【0033】
非制動状態(制動OFF時)おいては、原則として、電磁コイル514を非通電状態とする。永久磁石512のN極から出る磁界は、鉄心522を介して電磁コイル514の内部を通って隣接する永久磁石のS極に向かい、短絡磁気回路を形成する。電磁コイル514の磁界が作用しないため、永久磁石512からの磁界は、鉄心522の外部(制動部材511)へは殆ど出ることがない。なお、非制動時において、電磁コイル514の磁界と永久磁石512の磁界の方向が同じとなるように、電磁コイル514を通電することも可能である。
【0034】
次に、制動状態(制動ON時)においては、図15に示すように、電磁コイル514の磁界と永久磁石512の磁界の方向が逆となる方向に電磁コイル514を通電する。永久磁石512のN極から出た磁界は、電磁コイル514による磁界と反発して、制動部材511側に流れる。すなわち、永久磁石512と制動部材511との間に磁気回路が形成される。そして、永久磁石512からの磁界に基づく渦電流により制動部材511に制動力が付与される。
【0035】
図16及び図17は、本発明の第7実施例に係るリターダの構造及び原理を示す説明図であり、各々、非制動状態(OFF)及び制動状態(ON)を示す。本実施例において、上述した各実施例と同一又は対応する構成要素については、同一の符号を付し、重複した説明は省略する。本実施例は、先に示した第6実施例の改良であり、鉄心622の内側(制動部材側)に複数の凹部622aを所定の間隔で設け、これと反対側には凸部622bを設けている。そして、これらの凹部622aと凸部622bに電磁コイル514を巻回する構成としている。
【0036】
このような構成により、制動部材511側への電磁コイル514の出っ張りを排除でき、第6実施例の場合に比べて永久磁石512を制動部材511側に近づけることが可能となる。その結果、永久磁石512の磁力を効率よく活用できることになる。なお、逆に発熱量が増加し、永久磁石512の温度が上昇するというデメリットもある。
【0037】
非制動状態(制動OFF時)おいては、原則として、電磁コイル514を非通電状態とする。永久磁石512のN極から出る磁界は、鉄心622を介して電磁コイル514の内部を通って隣接する永久磁石のS極に向かい、短絡磁気回路を形成する。電磁コイル514の磁界が作用しないため、永久磁石512からの磁界は、鉄心622の外部(制動部材511)へは殆ど出ることがない。なお、非制動時において、電磁コイル514の磁界と永久磁石512の磁界の方向が同じとなるように、電磁コイル514を通電することも可能である。
【0038】
次に、制動状態(制動ON時)においては、図17に示すように、電磁コイル514の磁界と永久磁石512の磁界の方向が逆となる方向に電磁コイル514を通電する。永久磁石512のN極から出た磁界は、電磁コイル514による磁界と反発して、制動部材511側に流れる。すなわち、永久磁石512と制動部材511との間に磁気回路が形成される。そして、永久磁石512からの磁界に基づく渦電流により制動部材511に制動力が付与される。
【0039】
図18及び図19は、本発明の第8実施例に係るリターダの構造及び原理を示す説明図であり、各々、非制動状態(OFF)及び制動状態(ON)を示す。本実施例において、上述した各実施例と同一又は対応する構成要素については、同一の符号を付し、重複した説明は省略する。なお、説明の便宜上、図ではディスクタイプの制動部材を用いているように示しているが、本実施例の思想はディスクタイプ及びドラムタイプの双方に適用可能である。
【0040】
本実施例においては、2つの電磁コイルのペア(612a,612b)と1つの永久磁石とが交互に配置されている。また、電磁コイル(612a,612b)の巻回方向と、非制動時の永久磁石14の磁界の方向とが、相対的に垂直から傾斜した状態となっている。すなわち、永久磁石14の磁束が電磁石の磁束を斜め方向に横切る構成となっている。なお、電磁コイル612a,612bが巻回される鉄心122の箇所に、断面三角形状の切り込みを形成し、コイルが鉄心に対して垂直に巻回される構成とすることもできる。
【0041】
本実施例によれば、制動時に永久磁石14の磁束を効率よく曲げることができ、磁束の活用の効率化、自由度が増すというメリットがある。すなわち、永久磁石14から発生する磁束をより大きく曲げ、反発させることができ、磁束の逃げ道が無くなり、効率が向上する。
【0042】
図20は、本発明の第9実施例に係るリターダの概念構造を示す説明図(平面図)であり、ディスクタイプの制動部材11に適用される。本実施例において、上述した各実施例と同一又は対応する構成要素については、同一の符号を付し、重複した説明は省略する。本実施例においては、中心角が約90度の扇形の制動ユニット700を4つ備え、制動ディスク11の周方向に沿って等間隔で配置される。各制動ユニット700は、上述した各実施例のように電磁コイルと永久磁石が配設されるが、説明の便宜上、詳細な図示は省略する。
【0043】
本実施例によれば、制動ユニット(鉄心)700を円弧状に分割・成形することにより、軽量化が図れる。また、好ましくない磁束を、各ユニットの分割位置で遮断できる等、磁界設計の自由度が増すというメリットがある。なお、分割数は、4つに限らず、円周360°の約数で1を除く2つ(180度)や6つ(60度)などでもよい。
【0044】
図21は、本発明の第10実施例に係るリターダの概念構造を示す説明図(平面図)であり、ドラムタイプの制動部材511に適用される。本実施例において、上述した各実施例と同一又は対応する構成要素については、同一の符号を付し、重複した説明は省略する。本実施例においては、中心角が約90度の扇形の制動ユニット800を4つ備え、制動ドラム511の周方向に沿って等間隔で配置される。各制動ユニット800は、上述した各実施例のように電磁コイルと永久磁石が配設されるが、説明の便宜上、詳細な図示は省略する。
【0045】
本実施例も上述した第9実施例と同様に、制動ユニット(鉄心)800を円弧状に分割・成形することにより、軽量化が図れる。また、好ましくない磁束を、各ユニットの分割位置で遮断できる等、磁界設計の自由度が増すというメリットがある。なお、分割数は、4つに限らず、円周360°の約数で1を除く2つ(180度)や6つ(60度)などでもよい。
【0046】
以上、本発明の実施例(実施形態、実施態様)について説明したが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではなく、特許請求の範囲に示された技術的思想の範疇において変更可能なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の第1実施例に係るリターダの要部の構造を示す縦断面図である。
【図2】図2は、第1実施例に係るリターダの要部の構造を示す概略側面(平面)図である。
【図3】図3は、第1実施例に係るリターダの原理を示す説明図であり、非制動状態を示す。
【図4】図4は、第1実施例に係るリターダの原理を示す説明図であり、制動状態を示す。
【図5】図5は、本発明の第2実施例に係るリターダの構造及び原理を示す説明図であり、非制動状態を示す。
【図6】図6は、第2実施例に係るリターダの原理を示す説明図であり、制動状態を示す。
【図7】図7は、本発明の第3実施例に係るリターダの構造及び原理を示す説明図であり、非制動状態を示す。
【図8】図8は、第3実施例に係るリターダの原理を示す説明図であり、制動状態を示す。
【図9】図9は、本発明の第4実施例に係るリターダの構造及び原理を示す説明図であり、非制動状態を示す。
【図10】図10は、第4実施例に係るリターダの原理を示す説明図であり、制動状態を示す。
【図11】図11は、本発明の第5実施例に係るリターダの構造及び原理を示す説明図であり、非制動状態を示す。
【図12】図12は、第5実施例に係るリターダの原理を示す説明図であり、制動状態を示す。
【図13】図13は、本発明の第6実施例に係るリターダの要部の構造を示す断面図である。
【図14】図14は、第6実施例に係るリターダの原理を示す説明図であり、非制動状態を示す。
【図15】図15は、第6実施例に係るリターダの原理を示す説明図であり、制動状態を示す。
【図16】図16は、本発明の第7実施例に係るリターダの原理を示す説明図であり、非制動状態を示す。
【図17】図17は、第7実施例に係るリターダの原理を示す説明図であり、制動状態を示す。
【図18】図18は、本発明の第8実施例に係るリターダの原理を示す説明図であり、非制動状態を示す。
【図19】図19は、第8実施例に係るリターダの原理を示す説明図であり、制動状態を示す。
【図20】図20は、本発明の第9実施例に係るリターダ(ディスクタイプ)の要部の構造を示す概略側面(平面)図である。
【図21】図21は、本発明の第10実施例に係るリターダ(ドラムタイプ)の要部の構造を示す概略側面(平面)図である。
【符号の説明】
10 リターダ
11 制動部材
12 電磁コイル
14 永久磁石
16 回転軸
22 鉄心

Claims (11)

  1. 強磁性体から成り、機関の回転軸に連結された制動部材と;
    前記制動部材の制動面の近傍において、当該制動部材に沿って配置された鉄心と;
    前記鉄心に巻回された第1電磁コイルと;
    前記鉄心に埋設され、前記制動部材に面する端部と反対側の端部が露出した永久磁石とを備えたことを特徴とする渦電流式減速装置。
  2. 前記鉄心は環状に成形され、当該鉄心の外周に複数の前記第1電磁コイルと、複数の前記永久磁石とが配置されることを特徴とする請求項1に記載の渦電流式減速装置。
  3. 前記鉄心は円弧状に成形されていることを特徴とする請求項1に記載の渦電流式減速装置。
  4. 前記鉄心は中心角が略360°の約数の円弧状に成形され、前記制動部材の周方向に対して当該鉄心を均等に前記約数の個数だけ配置されていることを特徴とする請求項3に記載の渦電流式減速装置。
  5. 前記制動部材の制動面に対して、前記第1電磁コイルが前記鉄心よりも接近した配置とすることを特徴とする請求項1,2,3又は4に記載の渦電流式減速装置。
  6. 前記鉄心は、前記制動部材側の前記第1電磁コイルが配設される箇所にテーパ状の凹状部を形成し、これによって、前記永久磁石の配置されている前記制動部材側の端部に相当する箇所の幅を狭くしていることを特徴とする請求項1,2,3,4又は5に記載の渦電流式減速装置。
  7. 前記鉄心において、2つの前記第1電磁コイルのペアと1つの前記永久磁石とが交互に配置されることを特徴とする請求項1,2,3,4,5又は6に記載の渦電流式減速装置。
  8. 前記第1電磁コイルの巻回方向と、非制動時の前記永久磁石の磁界の方向とが、相対的に垂直から傾斜した状態とすることを特徴とする請求項1,2,3,4,5,6又は7に記載の渦電流式減速装置。
  9. 前記制動部材はディスク状に成形され、前記鉄心は当該制動部材の少なくとも片側の面に対向して配置されることを特徴とする請求項1,2,3,4,5,6,7又は8に記載の渦電流式減速装置。
  10. 前記制動部材は、前記鉄心を挟んで両側に配置されることを特徴とする請求項9に記載の渦電流式減速装置。
  11. 前記制動部材はドラム状に成形され、前記鉄心は当該制動部材の軸側内部に配置され、制動部材の内周面に対向して配置されることを特徴とする請求項1,2,3,4,5,6,7又は8に記載の渦電流式減速装置。
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