JP2004215416A - 電圧駆動型半導体素子の異常検出方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ゲートタイミングをバランスさせるためゲート線を互いに磁気結合して直列または並列に複数個接続された電圧駆動型半導体素子の異常を、その動作モードに関係無く素子異常が発生した直後に迅速に検出可能とする。
【解決手段】例えば2つ直列に接続された素子Q1,Q2のゲート線を、磁気結合回路Tgにより磁気結合した部分の電圧V(Tg1),V(Tg2)をE/O回路を介して制御回路CTに取り込み、この電圧とそのときゲート駆動回路GDU1,2に与えたゲート信号との関係から、素子異常が発生した時点で直ちにその素子を特定して検出できるようにする。
【選択図】 図1
【解決手段】例えば2つ直列に接続された素子Q1,Q2のゲート線を、磁気結合回路Tgにより磁気結合した部分の電圧V(Tg1),V(Tg2)をE/O回路を介して制御回路CTに取り込み、この電圧とそのときゲート駆動回路GDU1,2に与えたゲート信号との関係から、素子異常が発生した時点で直ちにその素子を特定して検出できるようにする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、複数個直列または並列に接続された電圧駆動型半導体素子(以下、単に素子ともいう)の破壊等による異常を検出する異常検出方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の異常検出方式として、例えば特許文献1,2に示すもの等がある。
図13にこれらと同様の素子異常検出機能を有する電力変換装置の構成例を示す。ここでは、電圧駆動型半導体素子としてIGBT(絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)を2直列接続した例を示す。
図13において、Q1,Q2は素子、Rd11とRd12、Rd21とRd22は各素子のコレクタ電圧VCE1,VCE2をそれぞれ分圧して検出するための分圧抵抗である。また、GDU1,GDU2はゲート駆動回路を示し、素子をオン・オフさせるためのバイアス電圧を出力する。これらGDUは制御回路からゲート信号を入力し、素子異常検出信号を返送信号として返送する。O/E,E/Oはこれらの信号を光→電気,電気→光に変換し、光ケーブルによって伝送している。
【0003】
図14にGDUの例を示す。
図示のように、ゲート信号に応じて素子のゲート・エミッタ間にバイアス電圧を与える駆動部DU、分圧抵抗で検出したコレクタ電圧を基準電圧Vdと比較し、素子の印加電圧の状態を検出する素子電圧検出部DV、およびこの素子電圧検出部DVからの信号と、ゲート信号との関係によって素子の異常を検出し、これを返送信号として制御回路CTに返送する素子異常検出部DAから構成される。
【0004】
上記基準電圧Vdとしては、素子検出電圧がオフ時にはVdより高く(電圧有り)、オン時には低く(電圧無し)なるような値に選ばれる。したがって、素子が正常動作をしている限りはゲート信号がオフ時に電圧有り、オン時に電圧無しという動作をするが、素子が異常になるとこれらの関係が成り立たなくなるので、これにより異常の有無を判断するようにしている。
【0005】
異常検出方法について説明する。図15,図16は素子のオン,オフ時にそれぞれQ1が破壊し、そのコレクタ・エミッタ間が短絡状態になった場合のタイムチャートを示す。
例えば、図15のようにオン時に素子Q1が破壊すると、コレクタ・エミッタ間が短絡状態になるため、Q1の検出電圧VCEd1が基準電圧Vdよりも低くなるが、これは正常時でも同じであるため、正常と見なされることになる。しかし、その後オフ信号が入力されると、Q1のコレクタ・エミッタ間が短絡しているためQ1のコレクタ電圧は電圧無し、すなわち見かけ上オンとなり、このタイミングで異常を検出できる。
【0006】
一方、オフ時に素子Q1が破壊すると、図16のようにQ1のVCEd1は零となるので、その時点で素子異常を検出できる。
また、素子破壊してコレクタ・エミッタ間が開放状態となったときは、入力信号にかかわらず素子電圧が印加される。つまり、オフ状態と見なされるため、オン時に素子破壊が生じたときには瞬時に素子異常を検出し、オフ時での素子破壊は次のターンオン時に素子異常を検出する。
【0007】
ところで、素子を複数個直列または並列に接続する場合に、特性や条件によって各スイッチングタイミングにばらつきが生じるため、各素子のゲート線を互いに磁気結合することで、スイッチングタイミングまたはゲートタイミングを一致させるものがあるが(必要ならば、出願人が先に出願した特願2001−366471号を参照されたい)、このような場合にも従来は上述のような素子異常検出方式が利用されている。
【0008】
【特許文献1】
実開平06−029391号公報(第8−9頁、図1)
【特許文献2】
特開平05−219752号公報(第4頁、図1,2)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記のような方式では、素子電圧と入力信号より素子異常を検知することは可能であるが、モードによっては次のスイッチングが行なわれるまで異常検出が行なわれず、検出遅れ時間が長くなる。この場合、故障したタイミングと原因が特定できなくなると言う問題を生じることになる。
したがって、この発明の課題は、モードに関係無く素子異常の検出を可能にすることにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
このような課題を解決するため、請求項1の発明では、スイッチングタイミングをバランスさせるために各ゲート線が互いに磁気結合されて直列または並列に接続された複数個の電圧駆動型半導体素子と、これらの電圧駆動型半導体素子をオン,オフさせるゲート駆動回路と、このゲート駆動回路にゲート信号を与える制御回路とを備え、
前記磁気結合された部分の電圧を一括して検出して前記制御回路に入力し、この制御回路に入力された信号とゲート信号との関係から異常動作の素子を瞬時に特定可能にしたことを特徴とする。
【0011】
請求項2の発明では、電圧駆動型半導体素子と、この電圧駆動型半導体素子をオン,オフさせるゲート駆動回路と、このゲート駆動回路にゲート信号を与える制御回路とを備え、
前記ゲート駆動回路と電圧駆動型半導体素子のゲート間を結ぶゲート線に一次側,二次側巻線をもつトランスの一次側巻線を直列に接続し、トランスの二次側巻線に接続された抵抗に発生する電圧とゲート信号との関係から素子異常を瞬時に検出可能にしたことを特徴とする。
この請求項2の発明においては、前記トランスのコアとしては正規のゲート電流では飽和しない容量のものを使用することができる(請求項3の発明)。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1はこの発明の第1の実施の形態を示す構成図である。
これも図14と同じく素子Q1,Q2が2直列接続構成のものであるが、素子Q1,Q2のスイッチングタイミングまたはゲートタイミングを一致させるために磁気結合回路Tgを設けるとともに、各部の検出電圧Tg1,Tg2を電気/光変換器E/Oを介して制御回路CTに入力し、ここで素子異常を検出するようにした点が特徴である。なお、磁気結合回路Tgは同じ磁性体にゲート線を巻きつけるか、または変圧器等を用いることができる。
【0013】
図2に制御回路の構成例を示す。
すなわち、制御回路CTはゲート信号を発生するゲート信号発生回路GT、素子の過渡動作時に素子異常の誤検出を防止する誤検知防止回路ED、および磁気結合部の電圧とゲート信号との関係から異常素子を判別し、ゲート信号を停止する異常動作判別回路FT等から構成される。なお、O/Eは光信号を電気信号に変換する光/電気変換器、E/Oは電気信号を光信号に変換する電気/光変換器である。
【0014】
図3に図1の正常時の動作波形を示す。
制御回路CTからオン信号Viが出力されると、ゲート駆動回路GDU1,2に信号が伝達され、IGBTがオンし始める。このとき、IGBTのゲート・エミッタ間の入力容量を充電するために、ゲート電流Ig1,Ig2が流れるが、制御回路CTからGDUの出力までの伝達時間が異なり、これらの電流値が異なる場合、タイミングをバランスさせるように磁気結合回路Tgが動作して端子電圧が発生する。これは、ゲートタイミングバランスとして必要な動作であるが、これにより発生した端子電圧が制御回路CTに返送され、異常動作として認識されてしまう。
【0015】
そこで、誤検知防止回路EDによってオン・オフ時の過渡期間を、図示のように誤検知防止期間としてマスクする。このマスクされた信号Vr1’,Vr2’は、異常動作判別回路FTに入力される。異常動作判別回路FTでは信号Vr1’,Vr2’とゲート信号Viから異常の有無と異常素子の特定を行ない、それに応じてゲート信号を出力する。図3の正常動作の場合、素子の定常期間ではゲート電流は零であるため、Tgの端子電圧は発生しない。このとき、異常動作判別回路FTからはゲート信号Viを図示のように、そのままVi1,Vi2として出力させる。
【0016】
図4は素子破壊時(オン時にQ1が破壊)の各部波形図である。
素子破壊が発生すると、IGBTのゲート・エミッタ間のインピーダンスが低下して、ほとんどの場合短絡状態となる。このとき、GDUの等価回路は図5のようになり、Q1のゲート電流Ig1のみが流れようとし、端子電圧が発生する。この端子電圧はIg1を抑制し、Ig2を増加させる方向に発生するため、V(Tg1)は正の電圧、V(Tg2)は負の電圧となる。よって、Vr1’ は正の電圧,Vr2’は零となり、異常動作判別回路FTにてQ1が破壊した直後にそのことを検知することができる。
【0017】
また、オフ期間に素子が破壊した場合は、図6の等価回路に示すようにIg1が負の方向に流れるため、上記のオン期間に破壊した場合とは逆に、V(Tg1)が負の電圧、V(Tg2)が正の電圧、すなわちVr1’が零、Vr2’が正電圧となる。異常動作判別回路FTはVr2’によって素子故障を検出し、Viの条件によりQ1が破壊したことを検知できる。この場合も、素子故障の発生直後に故障検出が可能である。
素子を多直列または多並列に接続した場合の例を図7,図8に示す。このような場合も、各ゲート線に接続されている磁気結合部の電圧を一括して検出することで、図1の場合と同様にして素子異常の検知が可能である。
【0018】
ところで、以上では素子を図7,図8のように複数個直列または並列に接続する場合について説明したが(図7:複数個直列、図8複数個並列)、このような考え方は素子が1つの場合にも適用することができる。図9にこのような観点に基づく実施形態を示す。
【0019】
図9において、Q1はIGBT等の電圧型半導体素子、GDUはゲート駆動回路、Trは素子異常検出用トランス、RTはゲート電流検出用抵抗である。
図10にゲート駆動回路の構成例を示す。ゲート駆動のための駆動回路DU、素子の過渡動作(オン/オフ)時に素子異常の誤検出を防止する誤検出防止用回路を内蔵した素子電圧検出回路DV、およびトランスの二次側電圧とゲート信号との関係から素子の異常を判別し、制御回路CTに信号を返送する素子異常検出回路DA等から構成される。
【0020】
図11に正常時の各部波形を示す。
制御回路CTから図示のようなオン信号が出力されると、ゲート駆動回路GDUに信号が伝送され、素子Q1がオンする。このとき、素子のゲート・エミッタ間の入力容量が充電されるため、ゲート電流IGが流れてトランスの二次側に電圧VTが発生する。図1の場合と同じく、この電圧VTが異常動作として認識されるおそれがあるので、これを防止するためにオン/オフ時の過渡期間は、誤検出防止用回路からマスク信号VMを与えている。このマスクされた信号VPは素子異常検出回路DAに入力され、ここで異常かどうかが判断され結果が制御回路CTへ返送される。
【0021】
図12に素子破壊時の各部波形を示す。
素子破壊が発生すると、素子のゲート・エミッタ間のインピーダンスが低下してほとんどの場合、短絡状態となる。この状態でゲート電流IGが流れるとトランスの二次側に電圧VTが発生し、素子異常検出回路DAにより異常発生が検出される。
また、オフ時に素子異常が発生すると、ゲート・エミッタ間が短絡状態となり、ゲート電流IGが上記とは逆方向に流れる負の電圧として検出され、素子異常検出回路Dにて素子異常が発生したことを検出することができる。
【0022】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、多直・並列に接続された素子のゲートタイミングをバランスさせるためにゲート線を互いに磁気結合し、その部分の端子電圧を一括して検出し、これとゲート信号との関係から素子故障や異常動作等の有無を判別することで、動作モードに関係無く瞬時に異常動作素子を特定することが可能となる。
また、請求項2の発明によれば、トランスの二次側電圧を検出し、これとゲート駆動回路の入力信号との関係から素子故障および異常動作等の有無を判別することで、動作モードに関係無く瞬時に素子異常を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施の形態を示す構成図
【図2】図1に示す制御回路の構成例図
【図3】図1の正常時の動作波形図
【図4】図1の異常時の動作波形図
【図5】オン時の等価回路図
【図6】オフ時の等価回路図
【図7】複数の素子を直列接続した場合の構成図
【図8】複数の素子を並列接続した場合の構成図
【図9】この発明の第2の実施の形態を示す構成図
【図10】図9に示すゲート駆動回路の構成例図
【図11】図9の正常時の動作波形図
【図12】図9の異常時の動作波形図
【図13】従来例を示す構成図
【図14】図13で用いるゲート駆動回路の構成例図
【図15】オン時における素子破壊時の動作説明図
【図16】オフ時における素子破壊時の動作説明図
【符号の説明】
CT…制御回路、E/O…電気/光変換器、O/E…光/電気変換器、GDU,GDU1〜n…ゲート駆動回路、Tr…トランス、Tg…磁気結合回路、Q1〜Qn…電圧駆動型半導体素子(IGBT:絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)、GT…ゲート信号発生回路、FT…異常動作判別回路、ED…誤検知防止回路、Tr…トランス、RT…抵抗、DA…素子異常検出回路、DV…素子電圧検出回路、DU…駆動回路。
【発明の属する技術分野】
この発明は、複数個直列または並列に接続された電圧駆動型半導体素子(以下、単に素子ともいう)の破壊等による異常を検出する異常検出方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の異常検出方式として、例えば特許文献1,2に示すもの等がある。
図13にこれらと同様の素子異常検出機能を有する電力変換装置の構成例を示す。ここでは、電圧駆動型半導体素子としてIGBT(絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)を2直列接続した例を示す。
図13において、Q1,Q2は素子、Rd11とRd12、Rd21とRd22は各素子のコレクタ電圧VCE1,VCE2をそれぞれ分圧して検出するための分圧抵抗である。また、GDU1,GDU2はゲート駆動回路を示し、素子をオン・オフさせるためのバイアス電圧を出力する。これらGDUは制御回路からゲート信号を入力し、素子異常検出信号を返送信号として返送する。O/E,E/Oはこれらの信号を光→電気,電気→光に変換し、光ケーブルによって伝送している。
【0003】
図14にGDUの例を示す。
図示のように、ゲート信号に応じて素子のゲート・エミッタ間にバイアス電圧を与える駆動部DU、分圧抵抗で検出したコレクタ電圧を基準電圧Vdと比較し、素子の印加電圧の状態を検出する素子電圧検出部DV、およびこの素子電圧検出部DVからの信号と、ゲート信号との関係によって素子の異常を検出し、これを返送信号として制御回路CTに返送する素子異常検出部DAから構成される。
【0004】
上記基準電圧Vdとしては、素子検出電圧がオフ時にはVdより高く(電圧有り)、オン時には低く(電圧無し)なるような値に選ばれる。したがって、素子が正常動作をしている限りはゲート信号がオフ時に電圧有り、オン時に電圧無しという動作をするが、素子が異常になるとこれらの関係が成り立たなくなるので、これにより異常の有無を判断するようにしている。
【0005】
異常検出方法について説明する。図15,図16は素子のオン,オフ時にそれぞれQ1が破壊し、そのコレクタ・エミッタ間が短絡状態になった場合のタイムチャートを示す。
例えば、図15のようにオン時に素子Q1が破壊すると、コレクタ・エミッタ間が短絡状態になるため、Q1の検出電圧VCEd1が基準電圧Vdよりも低くなるが、これは正常時でも同じであるため、正常と見なされることになる。しかし、その後オフ信号が入力されると、Q1のコレクタ・エミッタ間が短絡しているためQ1のコレクタ電圧は電圧無し、すなわち見かけ上オンとなり、このタイミングで異常を検出できる。
【0006】
一方、オフ時に素子Q1が破壊すると、図16のようにQ1のVCEd1は零となるので、その時点で素子異常を検出できる。
また、素子破壊してコレクタ・エミッタ間が開放状態となったときは、入力信号にかかわらず素子電圧が印加される。つまり、オフ状態と見なされるため、オン時に素子破壊が生じたときには瞬時に素子異常を検出し、オフ時での素子破壊は次のターンオン時に素子異常を検出する。
【0007】
ところで、素子を複数個直列または並列に接続する場合に、特性や条件によって各スイッチングタイミングにばらつきが生じるため、各素子のゲート線を互いに磁気結合することで、スイッチングタイミングまたはゲートタイミングを一致させるものがあるが(必要ならば、出願人が先に出願した特願2001−366471号を参照されたい)、このような場合にも従来は上述のような素子異常検出方式が利用されている。
【0008】
【特許文献1】
実開平06−029391号公報(第8−9頁、図1)
【特許文献2】
特開平05−219752号公報(第4頁、図1,2)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記のような方式では、素子電圧と入力信号より素子異常を検知することは可能であるが、モードによっては次のスイッチングが行なわれるまで異常検出が行なわれず、検出遅れ時間が長くなる。この場合、故障したタイミングと原因が特定できなくなると言う問題を生じることになる。
したがって、この発明の課題は、モードに関係無く素子異常の検出を可能にすることにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
このような課題を解決するため、請求項1の発明では、スイッチングタイミングをバランスさせるために各ゲート線が互いに磁気結合されて直列または並列に接続された複数個の電圧駆動型半導体素子と、これらの電圧駆動型半導体素子をオン,オフさせるゲート駆動回路と、このゲート駆動回路にゲート信号を与える制御回路とを備え、
前記磁気結合された部分の電圧を一括して検出して前記制御回路に入力し、この制御回路に入力された信号とゲート信号との関係から異常動作の素子を瞬時に特定可能にしたことを特徴とする。
【0011】
請求項2の発明では、電圧駆動型半導体素子と、この電圧駆動型半導体素子をオン,オフさせるゲート駆動回路と、このゲート駆動回路にゲート信号を与える制御回路とを備え、
前記ゲート駆動回路と電圧駆動型半導体素子のゲート間を結ぶゲート線に一次側,二次側巻線をもつトランスの一次側巻線を直列に接続し、トランスの二次側巻線に接続された抵抗に発生する電圧とゲート信号との関係から素子異常を瞬時に検出可能にしたことを特徴とする。
この請求項2の発明においては、前記トランスのコアとしては正規のゲート電流では飽和しない容量のものを使用することができる(請求項3の発明)。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1はこの発明の第1の実施の形態を示す構成図である。
これも図14と同じく素子Q1,Q2が2直列接続構成のものであるが、素子Q1,Q2のスイッチングタイミングまたはゲートタイミングを一致させるために磁気結合回路Tgを設けるとともに、各部の検出電圧Tg1,Tg2を電気/光変換器E/Oを介して制御回路CTに入力し、ここで素子異常を検出するようにした点が特徴である。なお、磁気結合回路Tgは同じ磁性体にゲート線を巻きつけるか、または変圧器等を用いることができる。
【0013】
図2に制御回路の構成例を示す。
すなわち、制御回路CTはゲート信号を発生するゲート信号発生回路GT、素子の過渡動作時に素子異常の誤検出を防止する誤検知防止回路ED、および磁気結合部の電圧とゲート信号との関係から異常素子を判別し、ゲート信号を停止する異常動作判別回路FT等から構成される。なお、O/Eは光信号を電気信号に変換する光/電気変換器、E/Oは電気信号を光信号に変換する電気/光変換器である。
【0014】
図3に図1の正常時の動作波形を示す。
制御回路CTからオン信号Viが出力されると、ゲート駆動回路GDU1,2に信号が伝達され、IGBTがオンし始める。このとき、IGBTのゲート・エミッタ間の入力容量を充電するために、ゲート電流Ig1,Ig2が流れるが、制御回路CTからGDUの出力までの伝達時間が異なり、これらの電流値が異なる場合、タイミングをバランスさせるように磁気結合回路Tgが動作して端子電圧が発生する。これは、ゲートタイミングバランスとして必要な動作であるが、これにより発生した端子電圧が制御回路CTに返送され、異常動作として認識されてしまう。
【0015】
そこで、誤検知防止回路EDによってオン・オフ時の過渡期間を、図示のように誤検知防止期間としてマスクする。このマスクされた信号Vr1’,Vr2’は、異常動作判別回路FTに入力される。異常動作判別回路FTでは信号Vr1’,Vr2’とゲート信号Viから異常の有無と異常素子の特定を行ない、それに応じてゲート信号を出力する。図3の正常動作の場合、素子の定常期間ではゲート電流は零であるため、Tgの端子電圧は発生しない。このとき、異常動作判別回路FTからはゲート信号Viを図示のように、そのままVi1,Vi2として出力させる。
【0016】
図4は素子破壊時(オン時にQ1が破壊)の各部波形図である。
素子破壊が発生すると、IGBTのゲート・エミッタ間のインピーダンスが低下して、ほとんどの場合短絡状態となる。このとき、GDUの等価回路は図5のようになり、Q1のゲート電流Ig1のみが流れようとし、端子電圧が発生する。この端子電圧はIg1を抑制し、Ig2を増加させる方向に発生するため、V(Tg1)は正の電圧、V(Tg2)は負の電圧となる。よって、Vr1’ は正の電圧,Vr2’は零となり、異常動作判別回路FTにてQ1が破壊した直後にそのことを検知することができる。
【0017】
また、オフ期間に素子が破壊した場合は、図6の等価回路に示すようにIg1が負の方向に流れるため、上記のオン期間に破壊した場合とは逆に、V(Tg1)が負の電圧、V(Tg2)が正の電圧、すなわちVr1’が零、Vr2’が正電圧となる。異常動作判別回路FTはVr2’によって素子故障を検出し、Viの条件によりQ1が破壊したことを検知できる。この場合も、素子故障の発生直後に故障検出が可能である。
素子を多直列または多並列に接続した場合の例を図7,図8に示す。このような場合も、各ゲート線に接続されている磁気結合部の電圧を一括して検出することで、図1の場合と同様にして素子異常の検知が可能である。
【0018】
ところで、以上では素子を図7,図8のように複数個直列または並列に接続する場合について説明したが(図7:複数個直列、図8複数個並列)、このような考え方は素子が1つの場合にも適用することができる。図9にこのような観点に基づく実施形態を示す。
【0019】
図9において、Q1はIGBT等の電圧型半導体素子、GDUはゲート駆動回路、Trは素子異常検出用トランス、RTはゲート電流検出用抵抗である。
図10にゲート駆動回路の構成例を示す。ゲート駆動のための駆動回路DU、素子の過渡動作(オン/オフ)時に素子異常の誤検出を防止する誤検出防止用回路を内蔵した素子電圧検出回路DV、およびトランスの二次側電圧とゲート信号との関係から素子の異常を判別し、制御回路CTに信号を返送する素子異常検出回路DA等から構成される。
【0020】
図11に正常時の各部波形を示す。
制御回路CTから図示のようなオン信号が出力されると、ゲート駆動回路GDUに信号が伝送され、素子Q1がオンする。このとき、素子のゲート・エミッタ間の入力容量が充電されるため、ゲート電流IGが流れてトランスの二次側に電圧VTが発生する。図1の場合と同じく、この電圧VTが異常動作として認識されるおそれがあるので、これを防止するためにオン/オフ時の過渡期間は、誤検出防止用回路からマスク信号VMを与えている。このマスクされた信号VPは素子異常検出回路DAに入力され、ここで異常かどうかが判断され結果が制御回路CTへ返送される。
【0021】
図12に素子破壊時の各部波形を示す。
素子破壊が発生すると、素子のゲート・エミッタ間のインピーダンスが低下してほとんどの場合、短絡状態となる。この状態でゲート電流IGが流れるとトランスの二次側に電圧VTが発生し、素子異常検出回路DAにより異常発生が検出される。
また、オフ時に素子異常が発生すると、ゲート・エミッタ間が短絡状態となり、ゲート電流IGが上記とは逆方向に流れる負の電圧として検出され、素子異常検出回路Dにて素子異常が発生したことを検出することができる。
【0022】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、多直・並列に接続された素子のゲートタイミングをバランスさせるためにゲート線を互いに磁気結合し、その部分の端子電圧を一括して検出し、これとゲート信号との関係から素子故障や異常動作等の有無を判別することで、動作モードに関係無く瞬時に異常動作素子を特定することが可能となる。
また、請求項2の発明によれば、トランスの二次側電圧を検出し、これとゲート駆動回路の入力信号との関係から素子故障および異常動作等の有無を判別することで、動作モードに関係無く瞬時に素子異常を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施の形態を示す構成図
【図2】図1に示す制御回路の構成例図
【図3】図1の正常時の動作波形図
【図4】図1の異常時の動作波形図
【図5】オン時の等価回路図
【図6】オフ時の等価回路図
【図7】複数の素子を直列接続した場合の構成図
【図8】複数の素子を並列接続した場合の構成図
【図9】この発明の第2の実施の形態を示す構成図
【図10】図9に示すゲート駆動回路の構成例図
【図11】図9の正常時の動作波形図
【図12】図9の異常時の動作波形図
【図13】従来例を示す構成図
【図14】図13で用いるゲート駆動回路の構成例図
【図15】オン時における素子破壊時の動作説明図
【図16】オフ時における素子破壊時の動作説明図
【符号の説明】
CT…制御回路、E/O…電気/光変換器、O/E…光/電気変換器、GDU,GDU1〜n…ゲート駆動回路、Tr…トランス、Tg…磁気結合回路、Q1〜Qn…電圧駆動型半導体素子(IGBT:絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)、GT…ゲート信号発生回路、FT…異常動作判別回路、ED…誤検知防止回路、Tr…トランス、RT…抵抗、DA…素子異常検出回路、DV…素子電圧検出回路、DU…駆動回路。
Claims (3)
- スイッチングタイミングをバランスさせるために各ゲート線が互いに磁気結合されて直列または並列に接続された複数個の電圧駆動型半導体素子と、これらの電圧駆動型半導体素子をオン,オフさせるゲート駆動回路と、このゲート駆動回路にゲート信号を与える制御回路とを備え、
前記磁気結合された部分の電圧を一括して検出して前記制御回路に入力し、この制御回路に入力された信号とゲート信号との関係から異常動作の素子を瞬時に特定可能にしたことを特徴とする直並列接続された電圧駆動型半導体素子の異常検出方法。 - 電圧駆動型半導体素子と、この電圧駆動型半導体素子をオン,オフさせるゲート駆動回路と、このゲート駆動回路にゲート信号を与える制御回路とを備え、
前記ゲート駆動回路と電圧駆動型半導体素子のゲート間を結ぶゲート線に一次側,二次側巻線をもつトランスの一次側巻線を直列に接続し、トランスの二次側巻線に接続された抵抗に発生する電圧とゲート信号との関係から素子異常を瞬時に検出可能にしたことを特徴とする電圧駆動型半導体素子の異常検出方法。 - 前記トランスのコアとしては正規のゲート電流では飽和しない容量のものを使用することを特徴とする請求項2に記載の電圧駆動型半導体素子の異常検出方法。
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